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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】ガス検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/3504 20140101AFI20241010BHJP
【FI】
G01N21/3504
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021036353
(22)【出願日】2021-03-08
(65)【公開番号】P2021162577
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-11-22
(31)【優先権主張番号】P 2020064487
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】303046277
【氏名又は名称】旭化成エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100181272
【弁理士】
【氏名又は名称】神 紘一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180655
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】池田 優二
(72)【発明者】
【氏名】桑田 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】古屋 貴明
【審査官】井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-517467(JP,A)
【文献】特開2017-020901(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-21/01
G01N 21/17-21/61
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の主面に設けられ、光を発する発光素子と、
前記基板の主面に設けられ、前記光を受け取る受光素子と、
前記発光素子が発した前記光を前記受光素子に導く導光部材と、
第1の接合部材と、
第2の接合部材とを備え、
前記第1の接合部材は、前記基板と前記導光部材とを接合し、かつ、前記導光部材に対する外力を加えた際に前記基板の主面と平行及び/又は垂直な方向に動きを抑制し、
前記第2の接合部材は前記基板と前記導光部材とを接合し、前記導光部材に対する外力を加えた際又は熱膨張による歪みが生じた際に、前記基板の主面と平行な方向に前記導光部材の動きを抑制し、及び/又は、前記基板の主面に垂直な平面内に動きを抑制し、
第1の接合部材及び第2の接合部材の少なくとも一方は、前記基板の主面と平行な方向又は前記基板の主面に垂直な平面内に動きうるガス検出装置であって、
第1の接合部材及び第2の接合部材が、それぞれ基板の主面と平行及び垂直な方向の動きを抑制するものは除き、
前記受光素子の中心と前記発光素子の中心とを結ぶ線分の垂直二等分線を直線Lpとし、前記受光素子を通る直線で前記直線Lpと平行なものを直線Ldとし、前記発光素子を通る直線で前記直線Lpと平行なものを直線Leとし、前記直線Ldと前記直線Leに挟まれた前記基板の主面内の最大の領域を領域Rtとし、前記第1の接合部材の前記基板の主面への垂直投影像が前記領域Rtに存在する、ガス検出装置。
【請求項2】
前記第1の接合部材は、前記基板を固定し、前記第1の接合部材から最も遠い前記導光部材の表面の点を始点として、前記導光部に対して前記基板の主面と平行方向かつ前記始点と第1の接合部をつなぐ直線の垂直方向に外力を加えた際に回転軸となる、請求項1に記載のガス検出装置。
【請求項3】
前記基板はホールを備え、
前記第2の接合部材は、前記導光部材と接続されて、少なくとも一部が前記ホールに挿入される挿入部を備える、請求項1又は2に記載のガス検出装置。
【請求項4】
前記ホールは前記基板を貫通し、
前記第2の接合部材は、前記基板の主面と反対の面である底面の前記ホールから挿入されて、前記挿入部を留める留め具を備える、請求項3に記載のガス検出装置。
【請求項5】
前記留め具は前記挿入部をねじ留めする、請求項4に記載のガス検出装置。
【請求項6】
前記挿入部のうち前記ホールに挿入された部分の側面は、少なくとも一部が前記ホールの側面と接しない、請求項3から5のいずれか一項に記載のガス検出装置。
【請求項7】
第1の接合部材のうち前記基板と接合される部分は、前記基板との間に空間を有しない、請求項6に記載のガス検出装置。
【請求項8】
前記ホールは、長穴である、請求項3から請求項7のいずれか一項に記載のガス検出装置。
【請求項9】
前記長穴は、前記第1の接合部材と前記第2の接合部材の前記基板の主面への垂直投影像のそれぞれの中心をつないだ方向に対して伸長している穴である、請求項8に記載のガス検出装置。
【請求項10】
前記第2の接合部材が、熱膨張による歪みが生じた際、前記第1の接合部材と前記第2の接合部材の前記基板の主面への垂直投影像のそれぞれの中心をつないだ方向以外の動きを抑制する請求項1から9のいずれか一項に記載のガス検出装置。
【請求項11】
前記導光部材は、第1の反射部と第2の反射部とを備える、請求項1から10のいずれか一項に記載のガス検出装置。
【請求項12】
前記第1の反射部は、第2の反射部に対する相対位置が固定される、請求項11に記載のガス検出装置。
【請求項13】
前記第1の反射部は、前記第1の接合部材によって前記基板と接合され、
前記第2の反射部は、前記第2の接合部材によって前記基板と接合される、請求項11又は12に記載のガス検出装置。
【請求項14】
前記第1の接合部材は複数の部品で構成される、請求項1から13のいずれか一項に記載のガス検出装置。
【請求項15】
前記第1の接合部材は1つの部品で構成される、請求項1から13のいずれか一項に記載のガス検出装置。
【請求項16】
前記第1の接合部材は、前記基板の主面への垂直投影像が、中実円形、中空円形、弓形又は多角形である、請求項15に記載のガス検出装置。
【請求項17】
前記第1の接合部材は、前記第1の接合部材の前記基板の主面への垂直投影像が、前記直線Lp上にあるように配置される、請求項に記載のガス検出装置。
【請求項18】
前記第1の接合部材と前記第2の接合部材の前記基板の主面への垂直投影像のそれぞれの中心間の距離が、前記基板における最大距離の半分よりも長い、請求項1から請求項17のいずれか一項に記載のガス検出装置。
【請求項19】
前記第2の接合部材の接合度は、前記第1の接合部材の接合度よりも小さい請求項1から18のいずれか一項に記載のガス検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はガス検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスを検出するガス検出装置が様々な分野で利用されている。例えば特許文献1は、赤外線を放射する光源と、特定波長の赤外線を検出する検出器とを同一のケース内に備え、当該ケース内に被検出ガスが導入されるように構成された装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-184211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1に記載されるガス検出装置において、光路管は基板固定部の溝及び固定具によって基板及びケースに対して強固に接合される。そのため、例えば熱膨張による基板及びケースの歪みが光路管に伝わって、光路の歪みが生じ、若しくは光学面の相対位置が変化し、ガス検出感度が変動するおそれがある。
【0005】
かかる点に鑑みてなされた本開示の目的は、光路の歪みの発生を抑制することが可能なガス検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係るガス検出装置は、
基板と、
前記基板の主面に設けられ、光を発する発光素子と、
前記基板の主面に設けられ、前記光を受け取る受光素子と、
前記発光素子が発した前記光を前記受光素子に導く導光部材と、
第1の接合部材と、
第2の接合部材とを備え、
前記第1の接合部材は、前記基板と前記導光部材とを接合し、かつ、前記導光部材に対する外力を加えた際に前記基板の主面と平行及び/又は垂直な方向に動きを抑制し、
前記第2の接合部材は前記基板と前記導光部材とを接合し、前記導光部材に対する外力を加えた際又は熱膨張による歪みが生じた際に、前記基板の主面と平行な方向に前記導光部材の動きを抑制し、及び/又は、前記基板の主面に垂直な平面内に動きを抑制し、
第1の接合部材及び第2の接合部材の少なくとも一方は、前記基板の主面と平行な方向又は前記基板の主面に垂直な平面内に動きうる。
【0007】
本開示の一実施形態に係るガス検出装置は、
光を発する発光素子と前記光を受け取る受光素子とを主面に設けた基板と、
前記発光素子が発した前記光を前記受光素子に導く導光部材と、
前記基板と前記導光部材とを接合する第1の接合部材と、
前記基板と前記導光部材とを接合し、前記第1の接合部材より低い接合度を有する第2の接合部材と、を備える。
【0008】
本開示の一実施形態に係るガス検出装置は、
基板と、
前記基板の主面に設けられ、光を発する発光素子と、
前記基板の主面に設けられ、前記光を受け取る受光素子と、
前記発光素子が発した前記光を前記受光素子に導く導光部材と、
第1の接合部材と、
第2の接合部材と、を備え、
前記第1の接合部材は、前記基板と前記導光部材とを、基板の平面と平行な第1方向に第1拘束度で、前記基板の平面と平行かつ前記1方向と垂直な第2方向に第2拘束度で、及び前記基板の平面に垂直な第3方向に第3拘束度で、それぞれの並進方向に拘束し、
前記第2の接合部材は、前記基板と前記導光部材とを、前記第1方向に第4拘束度で、前記第2方向に第5拘束度で、及び前記第3方向に第6拘束度で、それぞれの並進方向に拘束し、
前記第1拘束度から前記第6拘束度のうち少なくとも1つはゼロであり、前記第1拘束度と前記第4拘束度の何れか一方はゼロではなく、前記第2拘束度と前記第5拘束度の何れか一方はゼロではなく、前記第3拘束度と前記第6拘束度の何れか一方はゼロではない。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一実施形態によれば、光路の歪みの発生を抑制することが可能なガス検出装置が提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本開示の一実施形態に係るガス検出装置の一部を透過させた斜視図である。
図2図2は、ガス検出装置の断面の一例を示す図である。
図3図3は、第1及び第2の接合部材の配置及び形状の一例を示す図である。
図4図4は、第1の接合部材の配置の別の例を示す図である。
図5図5は、第2の接合部材の断面拡大図である。
図6図6は、ガス検出装置の断面の別の例を示す図である。
図7図7は、第1の接合部材の配置及び形状の別の例を示す図である。
図8図8は、第1の接合部材の形状の別の例を示す図である。
図9図9は、第1の接合部材の形状の別の例を示す図である。
図10図10は、導光部材の別の構成例を示す図である。
図11図11は、長穴を説明するための図である。
図12図12は、物面(発光面)での強度分布と像面(受光面)における照度分布とを説明するための図である。
図13図13は、拘束点と歪みとの関係を説明するための図である。
図14図14は、第1の接合部材の形状の別の例を示す図である。
図15図15は、第1及び第2の接合部材の配置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
図1は、本開示の一実施形態に係るガス検出装置1の一部を透過させた斜視図である。ガス検出装置1は、一例として30mm×20mm×10mmの小型の装置であって、ガスセンサーとも称される。本実施形態において、ガス検出装置1は、導入した気体を透過した赤外線に基づいて被検出ガスの濃度を測定する、NDIR(Non Dispersive InfraRed)方式の装置である。被検出ガスは、例えば二酸化炭素、水蒸気、メタン、プロパン、ホルムアルデヒド、一酸化炭素、一酸化窒素、アンモニア、二酸化硫黄又はアルコール等である。
【0012】
ガス検出装置1は、基板2と、発光素子3と、受光素子4と、導光部材5と、第1の接合部材6と、第2の接合部材7と、を備える。図1では、導光部材5の一部を透過させてガス検出装置1の構成例を示しており、基板2の主面20に設けられた発光素子3及び受光素子4が見えている。本実施形態において、主面20は、基板2の面積が最も大きい面のうちで導光部材5と対向する面である。
【0013】
以下、図1に示すように、xy平面が基板2の主面20と平行であるように、直交座標が設定される。z軸方向は、基板2の主面20に垂直な方向である。x軸方向及びy軸方向は、基板2の主面20の辺と平行である。ここで、y軸方向は、後述する第1の反射部51と第2の反射部52とが向かい合う方向に対応する。
【0014】
基板2は、ガス検出装置1の部品を実装し、実装された電子部品の電気的な接続を行う板状の部材である。基板2は、発光素子3と、受光素子4と、を主面20に設ける。基板2はさらに別の電子部品を実装してよい。例えば、基板2は主面20又は主面20と反対の面である底面に、発光素子3及び受光素子4の少なくとも一方を制御するコントローラを設けてよい。また、基板2は主面20又は底面に、ガス濃度算出における演算を実行する演算部を備えてよい。演算部は、読み込むプログラムに応じた機能を実行する汎用のプロセッサ、及び、特定の処理に特化した専用のプロセッサの少なくとも1つを含んでよい。専用のプロセッサは、特定用途向けIC(ASIC;Application Specific Integrated Circuit)を含んでよい。プロセッサは、プログラマブルロジックデバイス(PLD;Programmable Logic Device)を含んでよい。演算部は、上記のコントローラと一体化されていてよい。
【0015】
発光素子3は、被検出ガスの検出に用いられる光を発する部品である。発光素子3は、被検出ガスによって吸収される波長を含む光を出力するものであれば特に制限されない。本実施形態において、発光素子3が発する光は赤外線であるが、これに限定されない。本実施形態において、発光素子3はLED(light emitting diode、発光ダイオード)であるが、別の例として半導体レーザ、有機発光素子又はMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ヒータ等であり得る。発光素子3は、基板2の主面20の第1の領域21に設けられる。第1の領域21は、z軸方向において、後述する第1のミラー511と対向する位置に定められる。
【0016】
受光素子4は、導入した気体を透過した光を受け取る部品である。受光素子4は、被検出ガスによって吸収される波長を含む光の帯域に感度を有するものであれば特に制限されない。本実施形態において、受光素子4が受け取る光は赤外線であるが、これに限定されない。本実施形態において、受光素子4はフォトダイオード(Photodiode)であるが、別の例としてフォトトランジスタ又はサーモパイル、焦電センサ、ボロメータ等であり得る。受光素子4は、受け取った光を電気信号に変換して、変換した電気信号を出力する。電気信号は、例えば演算部に出力される。電気信号を受け取った演算部は、光の透過率等に基づいて被検出ガスの濃度を演算する。受光素子4は、基板2の主面20の第2の領域22に設けられる。第2の領域22は、z軸方向において、後述する第5のミラー513と対向する位置に定められる。受光素子4は波長選択機能を有する光学フィルタを備えていてよい。
【0017】
導光部材5は、発光素子3が発した光を受光素子4に導く部材である。導光部材5は、ガス検出装置1の光学系である。導光部材5は光学部材を備え、発光素子3から受光素子4への光路を構成する。換言すると、導光部材5は、発光素子3と受光素子4とを光学的に接続させる。ここで、光学部材は例えばミラー及びレンズ等である。
【0018】
本実施形態において、導光部材5は、第1の反射部51と、第2の反射部52と、を備える。第1の反射部51は、光学部材として、第1のミラー511と、第3のミラー512と、第5のミラー513と、を備える。第1の反射部51は、発光素子3から発せられた光を最初に反射する鏡を持ち、及び受光素子4が受け取る光を最後に反射する鏡を持つ。第2の反射部52は、光学部材として、第2のミラー521と、第4のミラー522と、を備える。導光部材5は、発光素子3が発した光を、第1のミラー511、第2のミラー521、第3のミラー512、第4のミラー522及び第5のミラー513の順に反射して、受光素子4に導く。光路は、導光部材5と基板2との間に設けられた、気体が導入されるセル54を通過するように構成される。別の例として、導光部材5が備えるミラーの数は5つ以外の1つ以上であってよい。また、導光部材5は光路の一部においてレンズを備える構成であってよい。
【0019】
導光部材5において、第1の反射部51は、第2の反射部52に対する相対位置が固定される。例えば、第1の反射部51及び第2の反射部52は樹脂製であって一体形成されてよい。第1の反射部51及び第2の反射部52のミラーは、一体形成の後に金属メッキで加工されてよい。別の例として、第1の反射部51及び第2の反射部52は個別に形成されて、接着剤、ネジ、ツメ、はめ合い、グロメット、溶着等によって強力に固定されてよい。
【0020】
第1のミラー511は、焦点にある発光素子3から射出された光を反射する集光鏡である。第1のミラー511は例えば凹面鏡である。第1のミラー511の形状として、楕円面が使用されてよい。本実施形態において、第1のミラー511は、焦点にある発光素子3からz軸方向に発せられた光をxy平面方向に反射する。ここで、xy平面方向は、x軸方向及びy軸方向の少なくとも1つの方向の成分を有する方向である。ただし、xy平面方向は、z軸方向成分を有していてよい。
【0021】
第2のミラー521、第3のミラー512及び第4のミラー522は、入射した光を反射する。第2のミラー521、第3のミラー512及び第4のミラー522の少なくとも1つは、集光機能を有する集光鏡であってよい。第2のミラー521、第3のミラー512及び第4のミラー522の少なくとも1つは、例えば凹面鏡であってよい。図1に示すように、第2のミラー521は、入射した第1のミラー511からの光を、第3のミラー512へ反射する。第3のミラー512は、入射した第2のミラー521からの光を、第4のミラー522へ反射する。第4のミラー522は、入射した第3のミラー512からの光を、第5のミラー513へ反射する。
【0022】
第5のミラー513は、入射した光を受光素子4に集光させる集光鏡である。第5のミラー513は例えば凹面鏡である。第5のミラー513の形状として、楕円面が使用されてよい。本実施形態において、第5のミラー513は、入射した第4のミラー522からのxy平面方向の光をz軸方向の成分を有するように反射する。具体的には、第5のミラー513は、焦点位置にある受光素子4において集光するように入射した光を反射する。
【0023】
第1のミラー511、第2のミラー521、第3のミラー512、第4のミラー522及び第5のミラー513を構成する材料は、例えば、金属、ガラス、セラミックス、ステンレス等であってよいが、この限りではない。検出感度向上の観点から、これらのミラーを構成する材料は、光の吸収係数が小さく反射率が高い材料で構成されることが好ましい。具体的には、アルミニウム、金、銀を含む合金、誘電体、若しくはこれらの積層体のコーティングが施された樹脂筐体が好ましい。信頼性及び経時変化の観点から金又は金を含む合金層でコーティングされた樹脂筐体が好ましい。さらに、反射率を高め、かつ経年劣化を避けるために金属層の表面に誘電体積層膜を形成することが好ましい。第1のミラー511及び第5のミラー513が樹脂筐体への蒸着又はめっきによって形成される場合、金属材料で形成される場合と比較して、高生産性と軽量化の向上を図ることができる。さらに、基板2との熱膨張係数差が縮まり、熱変形が抑制され、感度の変動が抑制される。また、導光部材5は切削加工で成形されてよく、生産性の観点からより好ましくは射出成型で成形されることが望ましい。
【0024】
第1の接合部材6は、基板2と導光部材5とを接合する部材である。本実施形態において、第1の接合部材6は、1本の柱体であって、基板2に接合する第1の底面部61(図2参照)と、導光部材5に接合する第2の底面部62と、を有する。第1の底面部61と基板2とは、例えば接着剤、グロメット又はネジ、溶着、ツメ、はめ合い等によって接合される。第2の底面部62と導光部材5との接合も同様である。また、生産性の観点から、構成部材の数が削減されるため第1の接合部材6と導光部材5は一体成型されていることが望ましい。
【0025】
第2の接合部材7は、第1の接合部材6と異なる位置において、基板2と導光部材5とを接合する部材である。第2の接合部材7の挿入部7a(図2参照)は導光部材5と接続される。第2の接合部材7の挿入部7aは、導光部材5と例えば接着剤、グロメット又はネジ、溶着ツメ、はめ合い等によって強固に接続されてよい。別の例として、第2の接合部材7の挿入部7aは、導光部材5と同じ材料であって、導光部材5と一体形成されてよい。導光部材5と一体形成される場合、構成部材の数が削減されるため、生産性が向上する。図1に示すように、第1の反射部51が第1の接合部材6によって基板2と接合されて、第2の反射部52が第2の接合部材7によって基板2と接合される。
【0026】
図2は、ガス検出装置1の断面の一例を示す図である。図2では、基板2と、第3のミラー512を含む導光部材5と、第1の接合部材6と、第2の接合部材7と、をyz平面に平行な面で切断した断面が示されている。セル54は、基板2と導光部材5とで挟まれた、ガス検出装置1の内部に形成される。導光部材5は、セル54に気体を導入する通気口53を備える。通気口53は、セル54からの気体の排出でも使用され得る。本実施形態において、第1の接合部材6は、中空の円柱体である。第1の底面部61は、基板2の底面から中空部分にネジが挿入されることによって、基板2と接合される。第2の底面部62は、中空部分にグロメットが挿入されて広がることによって、導光部材5と接合される。別の例として、第1の接合部材6は、中実の円柱体であってよい。第1の底面部61と基板2、及び、第2の底面部62と導光部材5は、接着剤、溶着、ツメ、はめ合い等によって接合されてよい。
【0027】
第2の接合部材7は、挿入部7aと、留め具7bと、を備える。挿入部7aは、上記のように、一部が導光部材5と強固に接続される。挿入部7aは、少なくとも一部が基板2のホール25に挿入される。別の例として、留め具7bの少なくとも一部がホール25に挿入される場合もある。ホール25は基板2に設けられた穴である。本実施形態において、ホール25は基板2をz軸方向すなわち厚み方向に貫通する。本実施形態において、挿入部7aは円柱体である。挿入部7aは、導光部材5と接続される面と反対側の面に、留め具7bが挿入される穴を有する。留め具7bは、基板2の底面のホール25から挿入されて、挿入部7aを留める。本実施形態において、留め具7bはネジであるが、他の具体例としてピン又はグロメット等であり得る。留め具7b及び挿入部7aの穴は、互いに対応するネジ山を有する。換言すると、留め具7bは挿入部7aをねじ留めする。ここで、別の例として、第2の接合部材7は、留め具7bのない構成であってよい。つまり、第2の接合部材7は、留め具7b用の穴がない挿入部7aのみで構成されてよい。この場合に、ホール25は主面20に設けられ、基板2をz軸方向に貫通しない穴であってよい。図2の第1のミラー511、基板2の主面20及び発光素子3は、図1の同じ番号が付された要素と同じであるため、説明を省略する。理由は後述するがホール25が一方向に伸長した長穴であってよい。また好ましくはホール25が、第1の接合部材と第2の接合部材の基板2の主面への垂直投影像のそれぞれの中心をつないだ方向に対して伸長している穴であってよい。ここで伸長した方向とは、長穴において長径を有する方向のことである。ホール25が長穴であり第2の接合部材7が留め具7bで留められている構成である場合には、第2の接合部材は、導光部材5に対する外力を加えた際又は熱膨張による歪みが生じた際に、基板2の主面20と平行であって、長穴の伸長する方向である、ある1方向以外の導光部材の動きを抑制する。外力の一例としては、ガス検出装置1の基板2を土台に固定し、導光部材5の代表点を押すことで、z軸方向にねじりを加えることである。詳細には代表点として、例えば第1の接合部材以外の導光部材5の一点、若しくは第1の接合部材から最も遠い導光部材5の表面の点を選択し、ここに外力を加える。他にも代表点としては導光部材5の各面の幾何中心を選んでよい。また外力の方向は基板2の主面20と平行な方向かつ代表点と第1の接合部をつなぐ方向に垂直な方向である。また、第2の接合部材7が留め具7bのない構成である場合、第2の接合部材7は基板2の主面20と垂直方向に自由に動ける。そのため、導光部材5に対する外力を加えた際又は熱膨張による歪みが生じた際に、第2の接合部材7は基板2の主面20に垂直な平面内に動きを抑制される。ここで長穴とは、図11に示すように、穴の外周に平行な2つの線分を含む形状の穴のことである。具体例として長穴とは、それぞれの中心が線分上に並ぶよう、同じ径の円を連続的に並べ、重ね合わせた図形の穴、又は長方形状の穴であってよい。ただし、第1の接合部材及び第2の接合部材が、それぞれ基板の主面と平行な方向及び垂直な方向に動きを抑制するものは本開示の実施形態から除かれる場合がある。
【0028】
図3は、第1の接合部材6の配置及び形状の一例を示す図である。図3では、z軸の負方向に向かって見た基板2の主面20が示されている。垂直投影像6iは、第1の接合部材6が基板2の主面20に対して垂直に投影された像である。本実施形態において、基板2の主面20への垂直投影像6iは中空円形である。別の例として、第1の接合部材6が中実の円柱体の場合に、垂直投影像6iは中実円形である。ここで、図3において、第1の領域21の中心21cと、第2の領域22の中心22cと、を結ぶ線分の中点24が示されている。また、図3において、第1の領域21の中心21cと第2の領域22の中心22cとを結ぶ線分の垂直二等分線23が示されている。また、挿入部7a及び留め具7bを備える第2の接合部材7が、ホール25に対して隙間を有しながら、挿入されている様子が示されている。本実施形態において、第1の接合部材6は、基板2の主面20への垂直投影像6iが、垂直二等分線23上にあるように配置される。また、詳細について後述するが、第2の接合部材7は導光部材5を自由に動ける方向をもって、つまり自由度を有して接合するために、実質的に、基板2と導光部材5とが第1の接合部材6によって接合されている。ここで垂直投影像6iとは、基板2の主面20の直上にある第1の接合部材6の断面形状であってよい。
【0029】
第1の接合部材6及び第2の接合部材7は、弾性率が大きく、変形しにくい材料を用いることができる。例えば第1の接合部材6及び第2の接合部材7の材料は、LCP(液晶ポリマー)、PP(ポリプロピレン)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PA(ポリアミド)、PPE(ポリフェニレンエーテル)、PC(ポリカーボネート)、又はPPS(ポリフェニレンスルファイド)、PMMA(ポリメタクリル酸メチル樹脂)等、及び、これらの2つ以上を混合した硬質樹脂か、又は耐熱性の観点から金属であってよい。また第1の接合部材6及び第2の接合部材7と導光部材5は同じ材料であってよい。第1の接合部材6及び第2の接合部材7と導光部材5の材料が同じであれば熱膨張差が生じないため、熱歪みを抑えることができる。基板2と導光部材5とは、実質的に第1の接合部材6で接合される。そのため、基板2が例えば熱膨張によって変形しても、拘束点が一つで過拘束になっていないため、導光部材5は基板2の変形の影響を受けない。例えば、基板2がy軸方向に広がるように変形した場合に、導光部材5が基板2と実質的に一点だけで接続されているので、光学部材は歪みを生じることなく一点を中心に相似縮小(膨張)する。その場合、光学性能には影響がない。
【0030】
また、仮に第2の接合部材7が存在せず、基板2と導光部材5とに異なる力が作用する場合、第1の接合部材6は軸方向に変形しにくいが、一方でねじれ変形及び曲げ変形を生じうる。そのため、導光部材5は、たとえば第2の接合部材7が導光部材5をx方向には拘束しない場合、基板2に対して第1の接合部材6を回転軸とする回転移動することがあり得る。すなわち、第1の接合部材6は導光部材5に対して基板2の主面20と平行な方向に外力を加えた際に回転軸となる。換言すると、導光部材5が基板2に対して動く場合に回転軸となりえる。ここで動くとは、基板2を固定し、かつ導光部材5の側面に基板2の主面に平行な剪断応力を印加した際に、導光部材5と基板2が相対的に回転することであってよい。しかし、図12に示す通り物面(発光面)での強度分布と像面(受光面)における照度分布は、回転軸に対して点対称に分布している。したがって、導光部材5が基板2(つまり発光面)に対して変形し移動しても、発光面がつくる受光面における照度分布の移動ベクトルは、受光部の移動ベクトルと一致する。このため受光面が受け取る照度分布に変化は生じず、ガス検出感度の変動がさらに抑制される。ここで物面(発光面)とは発光素子3の発光部において気体と触れ合う面でかつ光学的な透過性を持つ材料でできている面である。また像面(受光面)とは受光素子4の受感部において気体と触れ合う面でかつ光学的な透過性を持つ材料でできている面である。
【0031】
ここで、図4は第1の接合部材6の配置の別の例を示す図である。図4の各要素は、図3における同じ符号の要素と同じであるため、説明を省略する。図4に示すように、第1の接合部材6は基板2の主面20上の異なる位置に設けられてよい。つまり、第1の接合部材6は、基板2の主面20へ垂直投影像6iが、垂直二等分線23上にないように配置されてよい。また、第1の接合部材6は、y軸方向について、第1のミラー511及び第5のミラー513より、第2のミラー521及び第4のミラー522に近い位置に配置されてよい。ただし、上記のように、光路を保つために、発光素子3及び受光素子4が第1の反射部51との間で直接的に光を受発光することが必要である。そのため、第1の接合部材6は、導光部材5が基板2に対して動く場合に、第1の反射部51の移動量が第2の反射部52の移動量よりも小さくなる位置に設けられることが好ましい。つまり、回転軸となる第1の接合部材6は、第2の反射部52よりも第1の反射部51に近い位置に設けられることが好ましい。具体的には、第1の接合部材6の垂直投影像6iが中点24に近いことが好ましい。
【0032】
ここで、図4の場合においても第2の接合部材7は、導光部材5に外力を加えた際又は熱膨張による歪みが生じた際に、基板2の主面20と平行な方向以外の導光部材5の動きを抑制する。換言すると第2の接合部材7は基板2の主面20に垂直な方向の動きを抑制する。
【0033】
一例としては、第1の接合部材から最も遠い導光部材5の表面の点を始点として、導光部に対して基板2の主面20と平行方向かつ始点と第1の接合部をつなぐ直線の垂直方向に外力を加えた際に、第1の接合部材が回転軸となる場合では、第2の接合部材は基板2の主面20に垂直な方向の動きと、第1の接合部材と第2の接合部材の基板2の主面20への垂直投影像のそれぞれの中心をつないだ方向の動きを抑制する。
【0034】
別の例としては、熱膨張による歪みが生じた際、第2の接合部材は基板2の主面20に垂直な方向の動きと、第1の接合部材と第2の接合部材の基板2の主面20への垂直投影像のそれぞれの中心をつないだ方向以外の動きを抑制する。
【0035】
図5は、第2の接合部材7の断面拡大図である。本実施形態において、挿入部7a及び留め具7bを備える第2の接合部材7は、ホール25に対してxy平面に平行な方向に隙間を有する。図5に示すように、挿入部7aのうちホール25に挿入された部分の側面7asは、少なくとも一部が基板2のホール25の側面2sと接しない。図5の例において、仮に第2の接合部材7がy軸正方向に最大に移動して挿入部7aの側面7asとホール25の側面2sとが接触しても、y軸負方向側では隙間が生じる。これに対し、第1の底面部61、すなわち第1の接合部材6のうち基板2と接合される部分は、基板2との間に空間を有しない。xy平面方向について隙間を有する第2の接合部材7は、第1の接合部材6より低い接合度を有する。ここで、接合度は、接合させる対象の動きにくさを意味する。本実施形態において、接合度が高いとは、導光部材5が基板2に対して強く接合されている、又は、隙間なく密接に接合されているため基板2に対して移動しにくい状態を示す。接合度が低いとは、導光部材5が基板2に対して弱く接合されている、又は、隙間があるように接合されている、若しくは側面7asと側面2sが一部接してはいるが摩擦が少なく基板2に対して移動しやすい状態を示す。
【0036】
上記のように、導光部材5は、基板2に対して第1の接合部材6を回転軸として回転移動することがあり得る。第2の接合部材7は、z軸を回転軸とした自由な回転移動を抑制するが、ホール25との間に隙間を有することによって、微小な回転移動を許容する。ここで、許容される微小な回転移動は、隙間の大きさで定めることが可能である。上記のように、第1の反射部51が発光素子3から発せられた光及び受光素子4が受け取る光を直接的に反射することが可能である限り、光路は回転移動の前と同じく保たれる。よって、第2の接合部材7とホール25との間の隙間は、導光部材5が基板2に対して最大に移動しても導光部材5に対する光路が保たれるように設定される。また第2の接合部材7と第1の接合部材6は、それぞれの接合部材の取り付け公差が同じ場合、両接合部材間の距離が離れているほうが、光学部材の角度ずれが少なく、量産収率の観点から良い。特に第1の接合部材と第2の接合部材の基板2の主面20への垂直投影像のそれぞれの中心間の距離が、基板2における最大距離の半分よりも長いほうが好ましい。ここで異種樹脂材料間の熱膨張係数差が100ppm程度であり、電子機器一般の使用環境の最大温度差が150℃程度であるため、熱膨張による歪みの量はそれぞれの積から導光部材5の最大長の1.5%と見積もられる。したがって、隙間は導光部材5の最大長の1.5%以上と設計すればよい。
【0037】
また、図5に示すように、基板2のホール25は、留め具7bであるネジの頭部が接触する段差が設けられている。留め具7bが導光部材5と接続された挿入部7aとねじ留めされることによって、z軸方向において、基板2と導光部材5とは強く接合される。そのため、導光部材5の基板2に対するz軸方向への移動はさらに制限され、z方向の並進自由度が失われる。また二つの拘束点をつなぐ軸に対する回転自由度に関して、第1の接合部材6と基板は面接触しているため、回転が抑制され回転の自由度が失われている。換言すると、導光部材5は、第1の接合部材6と第2の接合部材7と基板2との接点を結んだ軸を中心とする回転自由度を持たない。
【0038】
また、第1の接合部材6は基板2に対して導光部材5のx軸、y軸、z軸の各々に対しての並進方向の自由度を拘束する。一方で第2の接合部材7は、上述の通り、基板2の主面20と垂直な方向の導光部材5の動きを抑制する。第2の接合部材7は、好ましくはホール25との間に隙間を有することによって、隙間が存在する方向に対しては自由度を拘束しない。図13に示すように、一般に過拘束とは対象物に対して、二つ以上の拘束点で、さらに同じ自由度に対して拘束がなされている場合に発生する。熱膨張などで対象物が変形した場合に、拘束点をつなぐ線分に沿って歪みが生じうる。過拘束である場合、その歪みは拘束点によって自由に伸長できないため、拘束点をつなぐ方向と別の方向にその歪みが逸れることで、全体の相似縮小(膨張)以外の変形をもたらす。
【0039】
よって、図11に示すように、ホール25は長穴であることによって、過拘束状態でなくなる。そのため、その長穴の伸長する方向には、第2の接合部材7は自由に動くことができ、熱膨張による歪みが低減される。特に第1の接合部材と第2の接合部材の基板2の主面20への垂直投影像のそれぞれの中心をつないだ方向に対して伸長していると、ガス検出装置1は、膨張による光学性能の劣化を抑制することが可能である。なぜならば拘束点間で歪みが生じうるが、その拘束点間をつなぐ方向に拘束がないときは、自由に動くことでその歪みをすべて解消でき、温度変化による相似縮小(膨張)以外の変形をもたらさないからである。
【0040】
以上のように、本実施形態に係るガス検出装置1は、上記の構成によって、例えば基板2に熱膨張による歪みが生じても、導光部材5がその変形の影響を受けない。また、上記のように、導光部材5が基板2に対して最大に移動しても、第2の接合部材7によって光路は適切に保たれる。したがって、ガス検出装置1は、相似縮小(膨張)以外の変形による光学性能の劣化を抑制することが可能である。
【0041】
また、ガス検出装置1は、基板2の主面20へ垂直投影像6iが、第1の領域21の中心と第2の領域22の中心とを結ぶ線分の垂直二等分線上にあるように配置されることによって、像面(受光面)上の照度分布が変化を受けず、ガス検出感度の変動が抑制される。図12に示す通り物面(発光面)での強度分布と像面(受光面)における照度分布は、回転軸に対して点対称に分布しており、熱膨張によって基板2が変形した場合、上記の垂直二等分線に対し左右対称に変形が起こる。発光面がつくる受光面における照度分布の移動は、受光面の移動と、方向及び量が一致するからである。
【0042】
また、図15に示すとおり、第1の接合部材6及び第2の接合部材7の基板の主面への垂直投影像が領域Rtに配置されていれば、熱膨張によって基板2が変形した場合、同じ理由から像面(受光面)上の照度分布が変化を受けづらく、ガス検出感度の変動が抑制される。ここで、直線Lpは、第1の領域21の中心と第2の領域22の中心とを結ぶ線分の垂直二等分線23である。直線Leは、直線Lpと平行な第1の領域21を通る直線である。直線Ldは、直線Lpと平行な第2の領域22を通る直線である。領域Rtは、直線Leと直線Ldに挟まれた基板の主面内の最大の領域である。
【0043】
(第2実施形態)
図6は、本開示の別の実施形態に係るガス検出装置1の断面の一例を示す図である。本実施形態に係るガス検出装置1は、上記の第1実施形態に係るガス検出装置1と比べて、第1の接合部材6の構成が異なる。その他の構成要素は、第1実施形態に係るガス検出装置1と同じである。例えば、本実施形態に係るガス検出装置1の斜視図は、第1実施形態と同じく図1で示される。また、第1実施形態に係るガス検出装置1と同じ構成要素については、図1図4と同じ符号を付しており、詳細な説明を省略する。
【0044】
図6に示すように、本実施形態において第1の接合部材6は柱体でない。第1の接合部材6は、第1の底面部61を含む第1の部分6aと、第2の底面部62を含む第2の部分6bと、第1の部分6a、第2の部分6b及び第3のミラー512を結合する結合部63と、を備える。第3のミラー512が第1の接合部材6と結合されることによって、第1の反射部51の第2の反射部52に対する相対位置はさらに強固に固定される。
【0045】
図7は、本実施形態における、第1の接合部材6の配置及び形状の一例を示す図である。図7では、z軸の負方向に向かって見た基板2の主面20が示されている。本実施形態において、基板2の主面20への垂直投影像6iは弓形である。第1の接合部材6は、基板2の主面20へ垂直投影像6iが、第1の領域21の中心21cと第2の領域22の中心22cとを結ぶ線分の中点24を含むように配置される。上記のように、第1の接合部材6の垂直投影像6iが中点24に近くすることで、第1の反射部51の移動量を第2の反射部52の移動量よりも小さくできるので、光路パラメーターのからのずれを小さく保つことに寄与する。
【0046】
以上のように、本実施形態に係るガス検出装置1は、上記の構成によって、第1実施形態と同じ効果を奏する。また、本実施形態に係るガス検出装置1は、第3のミラー512も結合する結合部63を有する第1の接合部材6を備えることによって、第1の反射部51の第2の反射部52に対する相対位置をさらに強固に固定することができる。
【0047】
(変形例)
以上、実施形態を諸図面及び実施例に基づき説明したが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び修正を行うことが容易であることに注意されたい。したがって、これらの変形及び修正は本開示の範囲に含まれることに留意すべきである。例えば、各部材、各手段などに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段などを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0048】
例えば、第1の接合部材6は、垂直投影像6iが多角形の形状であってよい。一つの変形例として、図8に示すように、垂直投影像6iが四角形であって、第1の接合部材6は四角柱であってよい。
【0049】
例えば、上記の実施形態において、第1の接合部材6は1つの部品で構成されると説明した。第1の接合部材6は複数の部品で構成されてよい。ここで、複数の部品は、互いに離れているが、導光部材5に対して基板2の主面20と平行な方向に外力を加えた際に全体として回転軸となるように、ある程度近接して配置されている。一つの変形例として、図9に示すように、垂直投影像6iが複数の中実円形であってよい。このとき、第1の接合部材6は、基板2と導光部材5とをより強固に接合することが可能である。
【0050】
例えば、上記の実施形態において、一体形成又は接着剤等によって、第1の反射部51は、第2の反射部52に対する相対位置が固定されると説明した。一つの変形例として、図10に示すように、第2の反射部52は、第1の反射部51と共に、第1の接合部材6の第2の底面部62と接着剤、ネジ、ツメ、はめ合い、グロメット、溶着等によって強力に接合されてよい。このとき、第2の反射部52は、第2のミラー521及び第4のミラー522と一体形成され、第1の反射部51まで延びる延長部523を備えてよい。
【0051】
例えば、上記の実施形態において、第1の接合部材6は、z軸方向に長辺を有する形状であるが、z軸以外の方向に長辺を有する形状であってよい。例えば図14に示すように、第1の接合部材6は、x軸方向に長辺を有する柱体であってよい。第1の接合部材6は、基板2の主面20のx軸と平行な一辺と、その一辺と対向する第1の反射部51の底面部分のそれぞれと、接着剤等で接続されてよい。このとき、導光部材5は、基板2に対して第1の接合部材6を回転軸としてz軸正方向に移動し得る。しかし、留め具7bによって、z軸方向において基板2と導光部材5とが強く接合されれば、導光部材5の移動を抑制することができる。
【0052】
例えば、上記の実施形態において、第1の反射部51が高い接合度を有する第1の接合部材6によって基板2と接合されて、第2の反射部52が低い接合度を有する第2の接合部材7によって基板2と接合される。ここで、第1の接合部材6及び第2の接合部材7と、第1の反射部51及び第2の反射部52との組み合わせは、上記の実施形態の例に限定されない。例えば、第1の反射部51が第2の接合部材7によって基板2と接合されて、第2の反射部52が第1の接合部材6によって基板2と接合されてよい。また、例えば、第1の接合部材6及び第2の接合部材7は、第1の反射部51又は第2の反射部52うち所望の反射部と基板2とを接合してよい。
【0053】
上述した実施形態を別の捉え方をすると、本実施形態のガス検出装置は、基板と、基板の主面20に設けられ、光を発する発光素子3と、基板の主面20に設けられ、光を受け取る受光素子4と、発光素子3が発した光を受光素子4に導く導光部材と、第1の接合部材と、第2の接合部材と、を備え、第1の接合部材は、基板と導光部材とを、基板の平面と平行な第1方向に第1拘束度、基板の平面と平行かつ1方向と垂直な第2方向に第2拘束度、及び基板の平面に垂直な第3方向に第3拘束度でそれぞれ並進方向に拘束し、第2の接合部材は、基板と導光部材とを、第1方向に第4拘束度、第2方向に第5拘束度、第3方向に第6拘束度でそれぞれ並進方向に拘束し、拘束度のうち少なくとも1つはゼロであり、第1拘束度と第4拘束度の何れか一方はゼロではなく、第2拘束度と第5拘束度の何れか一方はゼロではなく、第3拘束度と第6拘束度の何れか一方はゼロではないガス検出装置である。
【0054】
ここで、拘束度とは、対象物がある方向に対して並進に自由に動けるか否かを表す指標であり、拘束度がゼロとはその方向に対象物が自由に動けることを指す。具体的に拘束度を測定する方法として、対象物の一点を規定量X変位させ、そのときに対象物全体の平均変位量Yを測定する方法が挙げられる。このとき、拘束度は(X-Y)/Xの絶対値である。ただし、拘束度が0.01以下の場合はゼロとする。
【0055】
第1から第6拘束度のうち少なくとも1つがゼロであることにより、第1の接合部材と第2の接合部材の少なくともいずれか一方が、第1から第3方向の何れか一方に自由に動くことが可能になる。
【0056】
また、第1拘束度と第4拘束度の何れか一方がゼロでなく、第2拘束度と第5拘束度の何れか一方がゼロでなく、かつ、第3拘束度と第6拘束度の何れか一方がゼロでないことにより、導光部材全体が基板から離脱することを防止する。
【0057】
すなわち、導光部材と基板とが、全体としては固定され、かつ、導光部材に対する外力を加えた際又は熱膨張による歪みが生じた際に第1から第3方向の何れか一方に自由に動くことが可能であるため、装置の信頼性は保ちつつ、光路の歪みの発生を抑制することが可能となる。
【0058】
各拘束度をゼロにする方法は特に制限されないが、上述した実施形態に示したとおり、接合部材の挿入部をホールに挿入する形態において留め具を外す方法(これにより第3、第6拘束度がゼロになりうる)、挿入部がホールの側面と接しない形態とする方法(これにより第1、第2、第4、第5拘束度がゼロになりうる)が挙げられる。
【0059】
基板の平面方向に対する外力及び応力に対する光路の歪みの発生を抑制するためには、第4拘束度及び/又は第5拘束度をゼロにすれば良い(この場合、第2の接合部材側が基板に平行な面方向に少なくとも一方に自由に動く)。あるいは、第1拘束度及び/又は第2拘束度をゼロにすれば良い(この場合、第1の接合部材側が基板に平行な面方向に少なくとも一方に自由に動く)。
【0060】
基板の垂直方向に対する外力及び応力に対する光路の歪みの発生を抑制するためには、第6拘束度をゼロにすれば良い(この場合、第2の接合部材側が基板に垂直な方向に自由に動く)。あるいは、第3拘束度をゼロにすれば良い(この場合、第1の接合部材側が基板に垂直な方向に自由に動く)。
【0061】
信頼性及び組み立て容易性の観点から、第1~第3拘束度がゼロではないことが好ましい場合がある。
【符号の説明】
【0062】
1 ガス検出装置
2 基板
2s ホールの側面
3 発光素子
4 受光素子
5 導光部材
6 第1の接合部材
6a 第1の部分
6b 第2の部分
6i 垂直投影像
7 第2の接合部材
7a 挿入部
7as 挿入部の側面
7b 留め具
20 主面
21 第1の領域
21c 第1の領域の中心
22 第2の領域
22c 第2の領域の中心
23 垂直二等分線
24 中点
25 ホール
51 第1の反射部
52 第2の反射部
53 通気口
54 セル
61 第1の底面部
62 第2の底面部
63 結合部
511 第1のミラー
512 第3のミラー
513 第5のミラー
521 第2のミラー
522 第4のミラー
523 延長部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
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図15