(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】ストッパ
(51)【国際特許分類】
A61M 5/315 20060101AFI20241010BHJP
A61M 5/20 20060101ALI20241010BHJP
A61M 5/24 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
A61M5/315 510
A61M5/20
A61M5/24 500
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023112729
(22)【出願日】2023-07-10
(62)【分割の表示】P 2020543009の分割
【原出願日】2019-02-08
【審査請求日】2023-07-10
(32)【優先日】2018-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504456798
【氏名又は名称】サノフイ
【氏名又は名称原語表記】SANOFI
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ベルント・キューン
【審査官】鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-115053(JP,A)
【文献】特表2007-517613(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0312455(US,A1)
【文献】特開2012-29918(JP,A)
【文献】国際公開第2011/121867(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/315
A61M 5/20
A61M 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用デバイスのカートリッジまたはシリンジ内で使用するためのストッパ(108、200、1600、1900)であって、容器閉鎖システム(114、290)内に配置されるように構成されており:
閉端(203、1603、1903)および開端(202、1602、1902)を含むシェル(201、1601、1901)であって、該シェル(201、1601、1901)の長手方向軸に沿って閉端(203、1603、1903)と開端(202、1602、1902)との間に側壁が延び、該開端(202、1602、1902)が、空洞(606、1906)を画成し、側壁が、容器閉鎖システム(114)内に嵌るようなサイズおよび形状の外面を画成する、シェル(201、1601、1901)と;
空洞(606、1906)内へ挿入されるように構成されたインサート(1610、1910)であって、プランジャロッド(660)からの力を受け、該力をシェル(201、1601、1901)へ分散させて、シェル(201、1601、1901)を容器閉鎖システム(114)内へ前進させるようなサイズおよび形状のインサート(1610、1910)とを含み、
ここで、空洞(606)内のシェルの閉端(203、1603、1903)は、空洞(606、1906)内へ挿入されたときにインサート(1610、1910)によって接触されて偏向するように構成された凸面(1606)を画成し、
シェル(201、1601、1901)の閉端(203、1603、1903)は、弾性および/または塑性変形可能な材料から作られ、
空洞は、シェルの閉端(203、1603、1903)からシェル(201、1601、1901)の開端(202、1602、1902)に向かって延びる少なくとも1つの通気チャネル(1820、1920)を含み、該少なくとも1つの通気チャネル(1820、1920)は、空洞(606、1906)内へのインサート(1610、1910)の挿入中に空洞(606、1906)内の空気および/または流体が少なくとも1つの通気チャネル(1820、1920)を通って排出されることを有効にするようなサイズおよび位置である、前記ストッパ。
【請求項2】
シェル(201、1601、1901)の閉端(203、1603、1903)は、空洞(606、1906)内の凸面(1606)と、シェル(201、1601、1901
)の閉端(203、1603、1903)の外部の凹面(1607)とを画成する弓形領域(1903)を画成し、該弓形領域(1903)は、空洞(606、1906)内への挿入中にインサート(1610、1910)が凸面(1606)に接触することによって偏向するように構成される、請求項1に記載のストッパ。
【請求項3】
空洞(606、1906)は、シェル(201、1601、1901)の開端(202、1602、1902)から閉端(203、1603、1903)へ内向きに先細りする側壁を画成し、該内向きに先細りする側壁は、弓形領域(1903)がインサート(1610、1910)によって偏向されたとき、内向きの先細を維持するように構成される、請求項1または2に記載のストッパ。
【請求項4】
空洞(606、1906)は、内部段差要素(607a、607b)を含み、インサート(1610、1910)は、シェル(201、1601、1901)の内部段差要素(607a、607b)に当接し、プランジャロッド(106、660)からの力の少なくとも一部分を内部段差要素(607a、607b)へ分散させるように構成された対応する段差要素(615a、615b)を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のストッパ。
【請求項5】
空洞(606、1906)は、前記空洞(606、1906)内へ延びるスナップ嵌め機能(409、1409)を画成し、該スナップ嵌め機能(409、1409)は、該スナップ嵌め機能(409、1409)が弛緩してインサート(1610、1910)内の対応するくぼみ(419、1419)に入るまで、空洞内へのインサート(1610、1910)の挿入中に該インサート(1610、1910)によって偏向または変形されることによって、空洞(606、1906)内でインサート(1610、1910)を保持するように構成され、インサート(1610、1910)の外面は、スナップ嵌め機能(409、1409)を受け入れるようなサイズおよび位置の対応するくぼみ(419、1419)を画成する、請求項4に記載のストッパ。
【請求項6】
スナップ嵌め機能(409、1409)は、空洞(606、1906)の周りに径方向に延びる、請求項5に記載のストッパ。
【請求項7】
対応するくぼみ(419、1419)は、インサート(1610、1910)の外面の周りに径方向に延びる、請求項5または6に記載のストッパ。
【請求項8】
対応する段差要素(615a、615b)は、内部段差要素(607a、607b)を保持し、インサート(1610、1910)に印加された力による内部段差要素(607a、607b)の径方向の偏向に耐えるようなサイズおよび位置である、請求項4~7のいずれか1項に記載のストッパ。
【請求項9】
内部段差要素(607a、607b)は、第1の境界面(1116a、1116b)を画成し、対応する段差要素(615a、615b)は、第2の境界面(1106a、1106b)を画成し、インサート(1610、1910)をシェル(201、1601、1901)内へ挿入することで、第1の境界面(1116a、1116b)を第2の境界面(1106a、1106b)に当接させる、請求項4~8のいずれか1項に記載のストッパ。
【請求項10】
第1の境界面(1116a、1116b)および第2の境界面(1106a、1106b)は、シェル(201、1601、1901)の閉端(203、1603、1903)に対して鋭角を画成する、請求項9に記載のストッパ。
【請求項11】
インサート(1610、1910)は、挿入されたときに空洞(606、1906)内に完全に嵌るようなサイズおよび形状である、請求項1~10のいずれか1項に記載のストッパ。
【請求項12】
インサート(1610、1910)は、挿入されたときに長手方向軸に対してシェル(201、1601、1901)の開端の上に接触面を画成する、請求項1~11のいずれか1項に記載のストッパ。
【請求項13】
少なくとも1つの通気チャネル(1820、1920)は、空洞(606、1906)の開端(202、1602、1902)から開端(202、1602、1902)とは反対側の空洞(606、1906)の後端へ延びる、請求項1~12のいずれか1項に記載のストッパ。
【請求項14】
少なくとも1つの通気チャネル(1820、1920)は、少なくとも空洞(606、1906)の後端の長さに沿って径方向に延びる、請求項13に記載のストッパ。
【請求項15】
少なくとも1つの通気チャネル(1820、1920)は、シェル(201、1601、1901)の開端(202、1602、1902)に向かって部分的に延び、シェル(201、1601、1901)の開端(202、1602、1902)まで完全に延びていない、請求項1~12のいずれか1項に記載のストッパ。
【請求項16】
インサート(1610、1910)は、インサート(1610、1910)の挿入中にインサート(1610、1910)の外部の周りで空洞(606、1906)内の空気の通気を有効にするように構成された円錐形に先細りする外
面を画成する、請求項1~15のいずれか1項に記載のストッパ。
【請求項17】
インサート(1610、1910)は、感知信号(670)を生成するように構成されたセンサを有する電子デバイス(680)を含み、シェル(201、1601、1901)の閉端(203、1603、1903)は、感知信号を通すように構成される、請求項1~16のいずれか1項に記載のストッパ。
【請求項18】
センサは、容器閉鎖システム(114、290)内のストッパ(108、200、1600、1900)の位置に応答するように構成される、請求項17に記載のストッパ。
【請求項19】
インサート(1610、1910)は、インサート(1610、1910)が空洞(606、1906)内へ挿入されたとき、インサート(1610、1910)に対して空洞(606、1906)の開端(202、1602、1902)を封止するように構成されたキャップ部材(2080、2180、2280)を含む、請求項1~18のいずれか1項に記載のストッパ。
【請求項20】
ストッパ(108、200、1600、1900)は、側壁(203、1603、1903)の外面の周りに配置された封止部材を含み、封止部材は、ストッパ(108、200、1600、1900)が容器閉鎖システム(114、290)内に配置されたとき、外面と容器閉鎖システム(114、290)の内面との間に封止を形成するように配置される、請求項1~19のいずれか1項に記載のストッパ。
【請求項21】
シェル(201、1601、1901)の側壁(203、1603、1903)の外面は、外面の周りに径方向に封止領域を画成し、封止領域は、ストッパ(108、200、1600、1900)が容器閉鎖システム(114、290)内に配置されたとき、外面と容器閉鎖システム(114、290)の内面との間に封止を形成するように配置される
、請求項1~19のいずれか1項に記載のストッパ。
【請求項22】
容器閉鎖システム(114、290)であって:
カートリッジまたはシリンジハウジング(291)と;
請求項1~21のいずれか1項に記載のストッパ(108、200、1600、1900)とを含み、ここで、シェルは、容器閉鎖システム(114、290)が医薬品(60)で充填される前に、ハウジング(291)内へ挿入されるように構成され、インサート(1610、1910)は、充填処置後にストッパ(108、200、1600、1900)内へ挿入されるように構成される、前記容器閉鎖システム。
【請求項23】
容器閉鎖システム(114、290)は、シリンジであり、カートリッジハウジング(291)は、シリンジのハウジングであり、インサート(1610、1910)は、シリンジが医療用デバイス(100)内へ組み立てられた後にストッパのシェル(201、1601、1901)内へ挿入されるように構成されたシリンジのプランジャロッド(106、660)の遠位端に配置される、請求項22に記載の容器閉鎖システム(114、290)。
【請求項24】
ハウジング(291)は、自動注射器、ペン注射器、および注射ポンプのうちの1つまたはそれ以上とともに使用されるように構成される、請求項22または23に記載の容器閉鎖システム(114、290)。
【請求項25】
カートリッジまたはシリンジハウジング(291)は、液体の薬剤を収容する、請求項22~24のいずれか1項に記載の容器閉鎖システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本説明は、ストッパを使用して薬剤を排出するように構成された医療用デバイスのカートリッジまたはシリンジ内で使用するためのストッパに関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤の注射による治療を必要とする様々な疾病が存在する。そのような注射は、医療従事者または患者自身によって適用される注射デバイスを使用して実行することができる。一例として、1型および2型の糖尿病は、たとえば1日1回または数回のインスリン用量の注射によって、患者自身が治療することができる。たとえば、充填済みの使い捨てインスリンペンまたは自動注射器を、注射デバイスとして使用することができる。別法として、再利用可能なペンまたは自動注射器を使用することもできる。再利用可能なペンまたは自動注射器では、空の薬剤カートリッジを新しいものに交換することが可能である。典型的に、これらのデバイスはそれぞれ、エラストマーのストッパまたは栓を用いて、デバイス内のカートリッジまたはシリンジから薬剤を駆動し、これらのデバイスのいくつかは、ストッパ内に埋め込まれた1つまたはそれ以上の電子デバイスを含む。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本実施形態の例示的な開示は、医療用デバイスのカートリッジまたはシリンジ内で使用するためのストッパであって、容器閉鎖システム内に配置されるように構成されており、閉端および開端を含むシェルであり、シェルの長手方向軸に沿って閉端と開端との間に側壁が延び、開端が、空洞を画成し、側壁が、容器閉鎖システム内に嵌るようなサイズおよび形状の外面を画成する、シェルと;空洞内へ挿入されるように構成されたインサートであり、プランジャロッドからの力を受け、その力をシェルへ分散させて、シェルを容器閉鎖システム内へ前進させるようなサイズおよび形状のインサートとを含み、ここで、空洞内のシェルの閉端は、空洞内へ挿入されたときにインサートによって接触されて偏向するように構成された凸面を画成し、シェルの閉端は、弾性および/または塑性変形可能な材料から作られる、ストッパである。
【0004】
シェルの閉端は、空洞内の凸面と、シェルの閉端の外部の凹面とを画成する弓形領域を画成することができ、弓形領域は、空洞内への挿入中にインサートが凸面に接触することによって偏向するように構成することができる。
【0005】
空洞は、シェルの開端から閉端へ内向きに先細りする側壁を画成することができ、内向きに先細りする側壁は、弓形領域がインサートによって偏向されたとき、内向きの先細を維持するように構成することができる。
【0006】
空洞は、内部段差要素を含むことができ、インサートは、シェルの内部段差要素に当接し、プランジャロッドからの力の少なくとも一部分を内部段差要素へ分散させるように構成された対応する段差要素を含むことができる。
【0007】
空洞は、空洞内へ延びるスナップ嵌め機能(snap-fit feature)を画成することができ、スナップ嵌め機能は、スナップ嵌め機能が弛緩してインサート内の対応するくぼみに入るまで、空洞内へのインサートの挿入中にインサートによって偏向または変形されることによって、空洞内でインサートを保持するように構成され、インサートの外面は、スナップ嵌め機能を受け入れるようなサイズおよび位置の対応するくぼみを画成することができる。
【0008】
対応する段差要素は、内部段差要素を保持し、インサートに印加された力による内部段差要素の径方向の偏向に耐えるようなサイズおよび位置とすることができる。
【0009】
内部段差要素は、第1の境界面を画成することができ、対応する段差要素は、第2の境界面を画成することができ、インサートをシェル内へ挿入することで、第1の境界面を第2の境界面に当接させることができる。
【0010】
第1の境界面および第2の境界面は、シェルの閉端に対して鋭角を画成することができる。
【0011】
空洞は、シェルの閉端からシェルの開端に向かって延びる少なくとも1つの通気チャネルを含むことができ、少なくとも1つの通気チャネルは、空洞内へのインサートの挿入中に空洞内の空気および/または流体が少なくとも1つの通気チャネルを通って排出されることを有効にするようなサイズおよび位置である。
【0012】
少なくとも1つの通気チャネルは、シェルの開端に向かって部分的に延び、シェルの開端まで完全に延びていなくてもよい。
【0013】
インサートは、インサートの挿入中にインサートの外部の周りで空洞内の空気の通気を有効にするように構成された円錐形に先細りする外面を画成することができる。
【0014】
インサートは、感知信号を生成するように構成されたセンサを有する電子デバイスを含むことができ、シェルの閉端は、感知信号を通すように構成することができる。
【0015】
センサは、容器閉鎖システム内のストッパの位置に応答するように構成することができる。
【0016】
本開示の別の例示的な実施形態は、容器閉鎖システムであって、カートリッジまたはシリンジハウジングと、上述したストッパとを含み、ここで、シェルは、容器閉鎖システムが医薬品で充填される前に、ハウジング内へ挿入されるように構成され、インサートは、充填処置後にストッパ内へ挿入されるように構成される、容器閉鎖システムである。
【0017】
容器閉鎖システムは、シリンジを含むことができ、カートリッジハウジングは、シリンジのハウジングとすることができ、インサートは、シリンジが医療用デバイス内へ組み立てられた後にストッパのシェル内へ挿入されるように構成されたシリンジのプランジャロッドの遠位端に配置することができる。
【0018】
ハウジングは、自動注射器、ペン注射器、および注射ポンプのうちの1つまたはそれ以上とともに使用されるように構成することができる。
【0019】
カートリッジまたはシリンジハウジングは、液体の薬剤を収容することができる。
【0020】
本開示の別の例示的な実施形態は、容器閉鎖システム内に配置されるように構成されたストッパである。ストッパは、シェルと、シェルの空洞内へ挿入されるように構成されたインサートとを含む。シェルは、閉端および開端を含み、シェルの長手方向軸に沿って閉端と開端との間に側壁が延び、開端は、空洞を画成し、側壁は、容器閉鎖システム内に嵌るようなサイズおよび形状の外面を画成し、空洞は、内部段差要素を有する。インサートは、プランジャロッドからの力を受け、その力をシェルへ分散させて、シェルを容器閉鎖システム内へ前進させるようなサイズおよび形状である。インサートは、シェルの内部段差要素に当接し、プランジャロッドからの力の少なくとも一部分を内部段差要素へ分散させるように構成された対応する段差要素を含む。
【0021】
いくつかの例では、空洞は、空洞内へ延びるスナップ嵌め機能を画成し、スナップ嵌め機能は、スナップ嵌め機能が弛緩してインサート内の対応するくぼみに入るまで、空洞内へのインサートの挿入中にインサートによって偏向または変形されることによって、空洞内でインサートを保持するように構成され、インサートの外面は、スナップ嵌め機能を受け入れるようなサイズおよび位置の対応するくぼみを画成する。
【0022】
いくつかの例では、スナップ嵌め機能は、空洞の周りに径方向に延びる。
【0023】
いくつかの例では、対応するくぼみは、インサートの外面の周りに径方向に延びる。
【0024】
いくつかの例では、対応する段差要素は、内部段差要素を保持し、インサートに印加された力による内部段差要素の径方向の偏向に耐えるようなサイズおよび位置である。
【0025】
いくつかの例では、内部段差要素は、第1の境界面を画成し、対応する段差要素は、第2の境界面を画成し、インサートをシェル内へ挿入することで、第1の境界面を第2の境界面に当接させる。いくつかの例では、第1および第2の境界面は、シェルの閉端に対して鋭角を画成する。
【0026】
いくつかの例では、インサートは、挿入されたときに空洞内に完全に嵌るようなサイズおよび形状である。
【0027】
いくつかの例では、インサートは、挿入されたときに長手方向軸に対してシェルの開端の上に接触面を画成する。
【0028】
いくつかの例では、空洞は、空洞の開端から開端とは反対側の空洞の後端へ延びる通気チャネルを画成し、通気チャネルは、空洞内へのインサートの挿入中に空洞内の空気および/または流体が通気チャネルを通って排出されることを有効にするようなサイズおよび位置である。いくつかの例では、通気チャネルは、少なくとも空洞の後端の長さに沿って径方向に延びる。
【0029】
いくつかの例では、インサートは、インサートの挿入中にインサートの外部の周りで空洞内の空気の通気を有効にするように構成された円錐形に先細りする外面を画成する。
【0030】
いくつかの例では、インサートは、感知信号を生成するように構成されたセンサを有する電子デバイスを含み、シェルの閉端は、感知信号を通すように構成される。
【0031】
いくつかの例では、センサは、容器閉鎖システム内のストッパの位置に応答するように構成される。
【0032】
いくつかの例では、インサートは、インサートが空洞内へ挿入されたとき、インサートに対して空洞の開端を封止するように構成されたキャップ部材を含む。
【0033】
いくつかの例では、インサートは、スナップ嵌め機能、接着剤、溶接、超音波溶接、摩擦溶接、または熱溶接のうちの1つまたはそれ以上を使用して、シェルに固定されるように構成される。
【0034】
いくつかの例では、シェルは、滅菌することができる材料から構築される。
【0035】
いくつかの例では、インサートは、プランジャロッドの遠位端である。
【0036】
いくつかの例では、ストッパは、側壁の外面の周りに配置された封止部材を含み、封止部材は、ストッパが容器閉鎖システム内に配置されたとき、外面と容器閉鎖システムの内面との間に封止を形成するように配置される。
【0037】
いくつかの例では、シェルは、実質上曲げやすい材料を含む軟質シェルである。
【0038】
いくつかの例では、軟質シェルの側壁の外面は、外面の周りに径方向に封止領域を画成し、封止領域は、ストッパが容器閉鎖システム内に配置されたとき、外面と容器閉鎖システムの内面との間に封止を形成するように配置される。
【0039】
いくつかの例では、シェルの閉端は、空洞内へ挿入されたときにインサートによって接触されて偏向するように構成された凸状形状を空洞内に画成する。
【0040】
いくつかの例では、シェルの閉端は、空洞内の凸状形状と、シェルの閉端の外部の凹面とを画成する弓形領域を画成し、弓形領域は、空洞内へ挿入されたときにインサートによって偏向するように構成される。
【0041】
別の例は、カートリッジまたはシリンジハウジングおよびストッパを含む容器閉鎖システムであり、ストッパは、容器閉鎖システム内に配置されるように構成される。ストッパは、シェルと、シェルの空洞内へ挿入されるように構成されたインサートとを含む。シェルは、閉端および開端を含み、シェルの長手方向軸に沿って閉端と開端との間に側壁が延び、開端は、空洞を画成し、側壁は、容器閉鎖システム内に嵌るようなサイズおよび形状の外面を画成し、空洞は、内部段差要素を有する。インサートは、プランジャロッドからの力を受け、その力をシェルへ分散させて、シェルを容器閉鎖システム内へ前進させるようなサイズおよび形状である。インサートは、シェルの内部段差要素に当接し、プランジャロッドからの力の少なくとも一部分を内部段差要素へ分散させるように構成された対応する段差要素を含む。シェルは、容器閉鎖システムが医薬品で充填される前に、カートリッジまたはシリンジ内へ挿入されるように構成され、インサートは、充填処置後にストッパ内へ挿入されるように構成される。
【0042】
いくつかの例では、医療用カートリッジは、シリンジであり、カートリッジハウジングは、シリンジのハウジングであり、インサートは、シリンジが医療用デバイス内へ組み立てられた後にストッパのシェル内へ挿入されるように構成されたシリンジのプランジャロッドの遠位端に配置される。
【0043】
いくつかの例では、ハウジングは、自動注射器とともに使用されるように構成される。
【0044】
いくつかの例では、ハウジングは、ペン注射器とともに使用されるように構成される。
【0045】
いくつかの例では、ハウジングは、注射ポンプとともに使用されるように構成される。
【0046】
いくつかの実例では、薬剤は、医薬活性化合物を含む。
【0047】
別の例は、容器閉鎖システム内に配置されるように構成されたストッパである。ストッパは、閉端および開端を有するシェルであり、シェルの長手方向軸に沿って閉端と開端との間に側壁が延びる、シェルと、ストッパの空洞内へ挿入されるように構成されたインサートであり、プランジャロッドからの力を受け、その力をシェルへ分散させて、シェルを容器閉鎖システム内へ前進させるようなサイズおよび形状のインサートとを含む。ストッパの開端は、空洞を画成し、側壁は、容器閉鎖システム内に嵌るようなサイズおよび形状の外面を画成する。シェルの閉端は、空洞の閉端の凸面と、シェルの閉端の外部の凹面とを画成する弓形領域を画成し、弓形領域は、空洞内へ挿入されたときにインサートが凸状領域に接触することによって偏向するように構成される。
【0048】
いくつかの実例では、空洞は、空洞の開端から閉端へ内向きに先細りする側壁を画成し、内向きに先細りする側壁は、弓形領域がインサートによって偏向されたとき、内向きの先細を維持するように構成される。
【0049】
さらに別の例は、容器閉鎖システム内に配置されるように構成されたストッパであり、ストッパは、閉端および開端を有するシェルを含み、シェルの長手方向軸に沿って閉端と開端との間に側壁が延び、開端は、空洞を画成し、側壁は、容器閉鎖システムの内面内に嵌るようなサイズおよび形状の外面を画成する。ストッパは、側壁の外面の周りに配置された封止要素と、空洞内へ挿入されるように構成されたインサートと、空洞内へインサートを越えて挿入され、空洞内にインサートを封止するように構成された閉鎖キャップとを含み、封止要素は、シェルと容器閉鎖システムの内面との間に封止を生み出すように構成される。
【0050】
いくつかの実例では、ストッパは、空洞の閉端で空洞内に配置され、インサートをシェルに接着するように構成された接着要素を含み、接着要素は、空洞内へのインサートの挿入中またはインサートの近位端に対する空洞内への閉鎖キャップの挿入中にインサートの遠位端を受けるように構成される。
【0051】
いくつかの実例では、ストッパは、空洞内でインサートと閉鎖キャップと間に配置されるように構成された変形可能要素を含み、変形可能要素は、空洞内への閉鎖キャップの挿入中に閉鎖キャップの遠位端によって変形されるように構成される。
【0052】
いくつかの実例では、ストッパは、空洞の閉端で空洞内に配置されるように構成された変形可能要素を含み、変形可能要素は、空洞内へのインサートの挿入中またはインサートの近位端に対する空洞内への閉鎖キャップの挿入中にインサートの遠位端によって変形するように構成される。
【0053】
概して、本明細書に記載する例は、埋込み電子機器アセンブリをカートリッジまたはシリンジシリンダ内の動作位置へ位置決めするためのセンサインサートを有する薬学的閉鎖構成要素に関する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図2A】注射デバイスのカートリッジ内に配置されるように構成されたストッパの側面図である。
【
図2B】カートリッジ内に配置された
図2Aのストッパの断面概略図である。
【
図3】段差状インサートがストッパの空洞内に配置されている、ストッパの断面図である。
【
図4】インサートがストッパの空洞内にスナップ嵌め機能によって固定されている、ストッパの断面図である。
【
図5】インサートがストッパの空洞内に配置されている、ストッパの断面図である。
【
図6A】ストッパの対応する段差状空洞内内へ挿入された段差状インサートの断面図である。
【
図6B】プランジャによって駆動される前のインサートを収容している
図6Aの組み立てられたストッパの断面図である。
【
図6C】プランジャによってカートリッジ内へ駆動されている間またはその後の感知動作中の
図6Aのストッパの断面図である。
【
図7】カートリッジ内に配置され、無線システムによって電力供給されるストッパの断面図である。
【
図8A】カートリッジ内に配置され、圧電システムによって電力供給されるストッパの断面図である。
【
図8B】カートリッジ内に配置され、圧電システムによって電力供給されるストッパの断面図である。
【
図9A】カートリッジ内に配置され、熱電気システムによって電力供給されるストッパの断面図である。
【
図9B】カートリッジ内に配置され、熱電気システムによって電力供給されるストッパの断面図である。
【
図10】インサートが段差状プロファイルを有する、ストッパ内に配置されたインサートの外形を示すストッパの側面図である。
【
図11】インサートが鋭角を含む段差状プロファイルを有する、ストッパ内に配置されたインサートの外形を示すストッパの側面図である。
【
図12】インサートが段差状プロファイルを有する、ストッパ内に配置された先細インサートの外形を示すストッパの側面図である。
【
図13】インサートが鋭角を含む段差状プロファイルを有する、ストッパ内に配置された先細インサートの外形を示すストッパの側面図である。
【
図14】インサートがスナップ嵌め機能を含む段差状プロファイルを有する、ストッパ内に配置されたインサートの外形を示すストッパの側面図である。
【
図15】インサートがストッパ内へ完全に挿入されている、ストッパ内に配置されたインサートの外形を示すストッパの側面図である。
【
図16A】インサートがストッパと同一平面である、ストッパ内に配置されたインサートの外形を示すストッパの側面図である。
【
図16B】ゴムの前部が、内側空洞の方を向いている凹状形状を有する、インサートの挿入前の
図16のストッパの側面図である。
【
図17】インサートがより大きい電子機器アセンブリを収容するようなサイズである、ストッパ内に配置されたインサートの外形を示すストッパの側面図である。
【
図18A】インサートがストッパの空洞内に配置され、空洞が通気チャネルを含む、ストッパの断面図である。
【
図18B】空洞内の通気チャネルを見るためにインサートが除去された、
図18Aのストッパの上面図である。
【
図18C】シェルの中間部分を通る通気チャネルを示す、
図18Aのストッパの断面図である。
【
図19A】円錐形空洞および弓形遠位端を有するストッパの断面図である。
【
図19B】弓形遠位端が偏向位置である、ストッパ内に配置されたインサートの外形を示す
図19Aのストッパの側面図である。
【
図20】インサートが接着剤によって剛性シェルの空洞内に固定されている、インモールド封止を有する剛性シェルの断面図である。
【
図21】インサートが剛性シェルの空洞内の変形可能材料内へ押圧されている、インモールド封止を有する剛性シェルの断面図である。
【
図22】インサートが接着剤および変形可能材料によって剛性シェルの空洞内に固定されている、インモールド封止を有する剛性シェルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
患者による医療用デバイスの使用に関する情報は、センサによって判定することができ、センサはデータを生成し、次いで無線通信を介してこのデータにアクセスすることができる。注射デバイスの場合、薬物収容カートリッジまたはシリンジのストッパ(プランジャまたはプランジャストッパとも呼ばれる)内へ、1つまたはそれ以上のセンサを一体化することができる。データの無線通信は、エネルギー源、たとえば電池セルを必要とし、エネルギー源はまた、センサに接続する必要があり、したがってストッパに一体化することができる。注射デバイス内で使用される滅菌プランジャストッパに対する典型的な製造プロセスは、高温のプロセス工程(たとえば、ゴム成形および蒸気滅菌プロセス)を含み、これはいくつかの電子構成要素(たとえば、電池)に適合していないことがある。したがって、いくつかのカートリッジベースの注射および医療用シリンジシステムは、デバイスの交換可能部分(たとえば、カートリッジストッパまたはカートリッジハウジング)内に電子機器を含む場合、使用前に滅菌するのが困難な可能性がある。いくつかの実例では、電子アセンブリを収容する要素をプランジャストッパから分離することができ、滅菌プロセスが完了してから後の段階で組み立てることができる。
【0056】
電子デバイスおよびアセンブリは、熱が印加された後に劣化する可能性のある感温材料(たとえば、ポリマー)を含むことがある。さらに、電池は、高温で性能を失う可能性がある。過度の熱への電子機器構成要素の露出を回避するために、いくつかの例では、電子機器が追加される前に、カートリッジストッパ(栓と呼ばれることもある)の一部を滅菌することができる。たとえば、ストッパシェルは、カートリッジ壁に対する封止を形成することができ、ストッパとは別個に電子デバイスを収容するインサートを使用することができ、したがってインサートは、熱滅菌工程後にストッパ内へ組み立てられる(したがって、カートリッジ内の滅菌された液体に影響しない)。いくつかの実例では、インサートは、注射デバイスのプランジャロッドの遠位端に一体化され、注射デバイスの使用前にストッパシェル内へ挿入される。いくつかの例はまた、使い捨てまたは再利用可能の薬物カートリッジの事前に熱滅菌されたストッパに電子構成要素(たとえば、RFIDセンサ)を追加することを有効にする。
【0057】
薬物収容カートリッジまたはシリンジ内で使用されるストッパは、典型的に、投与精度の実現、容器閉鎖の完全性の維持、および患者へのフィードバックによる特定の力プロファイルの提供などの機能的要件を満足させる。容器閉鎖システムは概して、典型的にガラスまたはプラスチックから作られる筒体から構成されたカートリッジまたはシリンジと、ストッパとを含み、さらに閉鎖キャップを含む。以下に詳細に説明するように、ストッパのシェルは、センサインサート(簡単にインサートとも呼ばれる)を受け入れるように構成された空洞を、開端または近位端(薬物に接触する端部とは反対側の端部)上に画成することができ、いくつかの実例では、センサインサートは機能的電子デバイスを収容する。いくつかの実例では、空洞内に配置されたインサートは、ストッパによって密閉された容積付近に電子デバイスを配置し、それによってインサート内のセンサが容積の感知動作(たとえば、カートリッジ内のストッパの位置の判定)を行うことを有効にする。センサインサートをストッパ内へ組み立てることで、機能的要件に影響する次の問題が生じることがある:
(i)注射力の影響を受けたストッパの弾性変形は、投与精度に影響することがある。
(ii)センサインサートがストッパ内でその静止位置から動くことで、投与精度に影響することがある。
(iii)センサインサートの位置合わせ不良により、ストッパが傾斜し、容器閉鎖の完全性に影響することがある。
(iv)センサインサートの位置合わせ不良により、ストッパが傾斜し、注射中の力プロファイルに影響することがある。
(v)センサインサートの位置合わせ不良により、インサート内の感知ユニットからの超音波の放出および受信に影響することがあり、したがってカートリッジまたはシリンジ内のストッパの精密な位置測定を危うくすることがある。
(vi)センサインサートとストッパとの間に空気が含まれることで、投与動作中に振動を誘起することがあり、後に投与精度に影響することがある。
(vii)センサインサートの前に空気が含まれることで、たとえば超音波測定原理の機能に影響し、したがって誤った結果を招くことがある。
【0058】
したがって、本明細書に記載する技法は、とりわけ適当な注射力伝送、構成要素の許容可能な位置合わせおよび固定、ならびに空気の含有の回避を実現するために、センサインサートを受け入れるように構成された空洞を有するシェルを有するストッパを含む。動作の際、プランジャロッドによって印加される注射力が、ストッパの後端を押圧し、ストッパをカートリッジ内で前方へ押し、したがってカートリッジから薬剤を排出する。空洞はストッパシェルの後端内に形成され、空洞内にセンサインサートが配置される。インサートがシェル内にあるとき、プランジャロッドは、力をセンサインサートへ伝送し、いくつかの実例では、インサートは、各段差間の境界面を画成する段差状の形状を有し、したがってインサートにかかるプランジャの力は、ストッパの空洞内の対応する表面に対して境界面を介して互い違いにストッパへ分散される。いくつかの実施形態では、インサートの段差状プロファイルは、空洞と連係し、インサートに対して空洞を径方向に保持するように構成された機能を含む。いくつかの実例では、これらの機能は、インサートからストッパへの力の伝送中に、インサートに対するエラストマーストッパの径方向の固定を補強し、その結果、空洞の径方向の偏向(すなわち、インサートから離れる)を低減させるように構成される。
【0059】
いくつかの実例では、センサインサートは、ストッパ内のその判定された位置に組み立てられた後、スナップ嵌め要素によって定位置で固定される。そのようなスナップ嵌め要素は、センサインサート要素内の対応する溝に整合するゴム材料の円周リングとすることができる。ストッパの後端にある1つのスナップ嵌め要素、および場合によりさらなるスナップ嵌め要素を適用することができる。
【0060】
いくつかの実例では、センサインサートは、ストッパの遠位端(すなわち、薬物に接触する端部)の方を向いている遠位セクションでより小さい直径を有し、ストッパの近位端にある近位セクションでより大きい直径を有する円形形状を含む。いくつかの実例では、センサインサートの遠位セクションは、センサ要素を収容し、近位セクションは、センサ要素に接続された電源(たとえば、電池セル)を収容する。センサ要素と電源との間に、またはいくつかの実例では感知動作を行うためのストッパ内のセンサ要素の好ましい位置によって判定される異なる構成で、追加の電子構成要素(たとえば、集積回路またはプリント回路基板)を配置(または一体化)することができる。いくつかの実例では、ストッパ内の空洞は、遠位端から近位端へ細くなり、センサインサートの挿入のための案内を提供する。一実施形態では、センサインサートは、スナップ嵌め機能がセンサインサートを空洞内で定位置に保持するように係合するまで、ストッパのゴム材料とセンサインサートとの間の摩擦なく、センサインサートの挿入を可能にするための、ストッパ内側空洞の整合設計を有する円錐形状である。代替実施形態では、スナップ嵌め機能に加えてねじ山を使用して、センサインサートを定位置へロックすることができる。
【0061】
境界面の円錐形状の設計に加えて、いくつかの実例では、行き詰まりに閉じ込められる前に空気を通気することを可能にするための1つまたはそれ以上の横方向チャネルが設けられる。加えて、空洞の前端は、閉じ込められた空気を行き詰まりから排出するために、インサートがゴムシェルと最初に中心で接触することを可能にするように、空洞内へ延びる凸状形状を有することができる。いくつかの実例では、ストッパの閉端は、空洞の端部の凸状形状と、シェルの遠位端の凹状外面とを含む弓形の形状を画成する。いくつかの実例では、空洞の閉端は、インサートが挿入されたときに空洞から空気を通気するように構成された横方向チャネルを含む。
【0062】
「薬物」または「薬剤」という用語は、本明細書では、1つまたはそれ以上の医薬活性化合物について説明するために使用される。以下に記載するように、薬物または薬剤は、1つまたはそれ以上の疾病の治療のために、様々なタイプの調合物中に少なくとも1つの低分子もしくは高分子、またはその組合せを含むことができる。例示的な医薬活性化合物は、低分子;ポリペプチド、ペプチド、およびタンパク質(たとえば、ホルモン、発育因子、抗体、抗体フラグメント、および酵素);炭水化物および多糖;ならびに核酸、二本鎖または一本鎖DNA(裸およびcDNAを含む)、RNA、アンチセンスDNAおよびRNAなどのアンチセンス核酸、低分子干渉RNA(siRNA)、リボザイム、遺伝子、およびオリゴヌクレオチドを含むことができる。核酸は、ベクトル、プラスミド、またはリポソームなどの分子送達システムに組み込むことができる。これらの薬物のうちの1つまたはそれ以上の混合物も企図される。
【0063】
「薬物」または「薬剤」という用語は、本明細書では同義的に用いられ、1つもしくはそれ以上の活性医薬成分またはそれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物と、場合により薬学的に許容可能な担体と、を含む医薬製剤を記述する。活性医薬成分(「API」)とは、最広義には、ヒトまたは動物に対して生物学的効果を有する化学構造体のことである。薬理学では、薬剤または医薬は、疾患の治療、治癒、予防、または診断に使用されるか、さもなければ身体的または精神的なウェルビーイングを向上させるために使用される。薬物または薬剤は、限定された継続期間で、または慢性障害では定期的に使用可能である。
【0064】
以下に記載されるように、薬物または薬剤は、1つもしくはそれ以上の疾患の治療のために各種タイプの製剤中に少なくとも1つのAPIまたはその組合せを含みうる。APIの例としては、500Da以下の分子量を有する低分子;ポリペプチド、ペプチド、およびタンパク質(たとえば、ホルモン、成長因子、抗体、抗体フラグメント、および酵素);炭水化物および多糖;ならびに核酸、二本鎖または一本鎖DNA(ネイキッドおよびcDNAを含む)、RNA、アンチセンス核酸たとえばアンチセンスDNAおよびRNA、低分子干渉RNA(siRNA)、リボザイム、遺伝子、およびオリゴヌクレオチドが挙げられうる。核酸は、ベクター、プラスミド、またはリポソームなどの分子送達システムに取り込み可能である。1つまたはそれ以上の薬物の混合物も企図される。
【0065】
薬物または薬剤は、薬物送達デバイスでの使用に適合化された一次パッケージまたは「薬物容器」に包含可能である。薬物容器は、たとえば、1つもしくはそれ以上の薬物の収納(たとえば、短期または長期の収納)に好適なチャンバを提供するように構成されたカートリッジ、シリンジ、リザーバ、または他の硬性もしくは可撓性のベッセルでありうる。たとえば、いくつかの場合には、チャンバは、少なくとも1日間(たとえば、1日間~少なくとも30日間)にわたり薬物を収納するように設計可能である。いくつかの場合には、チャンバは、約1カ月~約2年間にわたり薬物を収納するように設計可能である。収納は、室温(たとえば、約20℃)または冷蔵温度(たとえば、約-4℃~約4℃)で行うことが可能である。いくつかの場合には、薬物容器は、投与される医薬製剤の2つ以上の成分(たとえば、APIと希釈剤、または2つの異なる薬物)を各チャンバに1つずつ個別に収納するように構成されたデュアルチャンバカートリッジでありうるか、またはそれを含みうる。かかる場合には、デュアルチャンバカートリッジの2つのチャンバは、人体もしくは動物体への投薬前および/または投薬中に2つ以上の成分間の混合が可能になるように構成可能である。たとえば、2つのチャンバは、互いに流体連通するように(たとえば、2つのチャンバ間の導管を介して)かつ所望により投薬前にユーザによる2つの成分の混合が可能になるように構成可能である。代替的または追加的に、2つのチャンバは、人体または動物体への成分の投薬時に混合が可能になるように構成可能である。
【0066】
本明細書に記載の薬物送達デバイスに含まれる薬物または薬剤は、多くの異なるタイプの医学的障害の治療および/または予防のために使用可能である。障害の例としては、たとえば、糖尿病または糖尿病に伴う合併症たとえば糖尿病性網膜症、血栓塞栓障害たとえば深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症が挙げられる。障害のさらなる例は、急性冠症候群(ACS)、アンギナ、心筋梗塞、癌、黄斑変性、炎症、枯草熱、アテローム硬化症および/または関節リウマチである。APIおよび薬物の例は、ローテリステ2014年(Rote Liste 2014)(たとえば、限定されるものではないがメイングループ12(抗糖尿病薬剤)または86(オンコロジー薬剤))やメルク・インデックス第15版(Merck Index,15th edition)などのハンドブックに記載されているものである。
【0067】
1型もしくは2型糖尿病または1型もしくは2型糖尿病に伴う合併症の治療および/または予防のためのAPIの例としては、インスリン、たとえば、ヒトインスリン、もしくはヒトインスリンアナログもしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)、GLP-1アナログもしくはGLP-1レセプターアゴニスト、はそのアナログもしくは誘導体、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP4)阻害剤、またはそれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、またはそれらのいずれかの混合物が挙げられる。本明細書で用いられる場合、「アナログ」および「誘導体」という用語は、天然に存在するペプチドに存在する少なくとも1つのアミノ酸残基の欠失および/または交換によりおよび/または少なくとも1つのアミノ酸残基の付加により天然に存在するペプチドの構造たとえばヒトインスリンの構造から形式的に誘導可能な分子構造を有するポリペプチドを指す。付加および/または交換アミノ酸残基は、コード可能アミノ酸残基または他の天然に存在する残基または純合成アミノ酸残基のどれかでありうる。インスリンアナログは、「インスリンレセプターリガンド」とも呼ばれる。特に、「誘導体」という用語は、天然に存在するペプチドの構造から形式的に誘導可能な分子構造、たとえば、1つまたはそれ以上の有機置換基(たとえば脂肪酸)がアミノ酸の1つまたはそれ以上に結合したヒトインスリンの分子構造を有するポリペプチドを指す。場合により、天然に存在するペプチドに存在する1つまたはそれ以上のアミノ酸が、欠失し、および/または非コード可能アミノ酸を含めて他のアミノ酸によって置き換えられ、または天然に存在するペプチドに非コード可能なものを含めてアミノ酸が付加される。
【0068】
インスリンアナログの例は、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン(インスリングラルギン);Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン(インスリングルリジン);Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン(インスリンリスプロ);Asp(B28)ヒトインスリン(インスリンアスパルト);位置B28のプロリンがAsp、Lys、Leu、ValまたはAlaに置き換えられたうえに位置B29のLysがProに置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28~B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリンおよびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0069】
インスリン誘導体の例は、たとえば、B29-N-ミリストイル-des(B30)ヒトインスリン、Lys(B29)(N-テトラデカノイル)-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデテミル、レベミル(Levemir)(登録商標));B29-N-パルミトイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-ミリストイルヒトインスリン;B29-N-パルミトイルヒトインスリン;B28-N-ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28-N-パルミトイル-LysB28ProB29ヒトインスリン;B30-N-ミリストイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30-N-パルミトイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29-N-(N-パルミトイル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン、B29-N-オメガ-カルボキシペンタデカノイル-ガンマ-L-グルタミル-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデグルデク、トレシーバ(Tresiba)(登録商標));B29-N-(N-リトコリル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)-des(B30)ヒトインスリンおよびB29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0070】
GLP-1、GLP-1アナログおよびGLP-1レセプターアゴニストの例は、たとえば、リキシセナチド(リキスミア(Lyxumia)(登録商標))、エキセナチド(エキセンジン-4、バイエッタ(Byetta)(登録商標)、ビデュリオン(Bydureon)(登録商標)、ヒラモンスターの唾液腺により産生される39アミノ酸ペプチド)、リラグルチド(ビクトーザ(Victoza)(登録商標))、セマグルチド、タスポグルチド、アルビグルチド(シンクリア(Syncria)(登録商標))、デュラグルチド(トルリシティ(Trulicity)(登録商標))、rエキセンジン-4、CJC-1134-PC、PB-1023、TTP-054、ラングレナチド/HM-11260C、CM-3、GLP-1エリゲン、ORMD-0901、NN-9924、NN-9926、NN-9927、ノデキセン、ビアドール-GLP-1、CVX-096、ZYOG-1、ZYD-1、GSK-2374697、DA-3091、MAR-701、MAR709、ZP-2929、ZP-3022、TT-401、BHM-034、MOD-6030、CAM-2036、DA-15864、ARI-2651、ARI-2255、エキセナチド-XTENおよびグルカゴン-Xtenである。
【0071】
オリゴヌクレオチドの例は、たとえば:家族性高コレステロール血症の治療のためのコレステロール低下アンチセンス治療剤ミポメルセンナトリウム(キナムロ(Kynamro)(登録商標))である。
【0072】
DPP4阻害剤の例は、ビダグリプチン、シタグリプチン、デナグリプチン、サキサグリプチン、ベルベリンである。
【0073】
ホルモンの例としては、脳下垂体ホルモンもしくは視床下部ホルモンまたはレギュラトリー活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニスト、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(Somatropine)(ソマトロピン(Somatropin))、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、リュープロレリン、ブセレリン、ナファレリン、およびゴセレリンが挙げられる。
【0074】
多糖の例としては、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリンもしくは超低分子量ヘパリンもしくはそれらの誘導体、もしくは硫酸化多糖たとえばポリ硫酸化形の上述した多糖、および/またはそれらの薬学的に許容可能な塩が挙げられる。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容可能な塩の例は、エノキサパリンナトリウムである。ヒアルロン酸誘導体の例は、ハイランG-F20(シンビスク(Synvisc)(登録商標))、ヒアルロン酸ナトリウムである。
【0075】
本明細書で用いられる「抗体」という用語は、イムノグロブリン分子またはその抗原結合部分を指す。イムノグロブリン分子の抗原結合部分の例としては、抗原への結合能を保持するF(ab)およびF(ab’)2フラグメントが挙げられる。抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、組換え抗体、キメラ抗体、脱免疫化もしくはヒト化抗体、完全ヒト抗体、非ヒト(たとえばネズミ)抗体、または一本鎖抗体でありうる。いくつかの実施形態では、抗体は、エフェクター機能を有するとともに補体を固定可能である。いくつかの実施形態では、抗体は、Fcレセプターへの結合能が低減されているか、または結合能がない。たとえば、抗体は、Fcレセプターへの結合を支援しない、たとえば、Fcレセプター結合領域の突然変異もしくは欠失を有するアイソタイプもしくはサブタイプ、抗体フラグメントまたは突然変異体でありうる。抗体という用語は、4価二重特異的タンデムイムノグロブリン(TBTI)および/またはクロスオーバー結合領域配向を有する二重可変領域抗体様結合タンパク質(CODV)に基づく抗原結合分子も含む。
【0076】
「フラグメント」または「抗体フラグメント」という用語は、完全長抗体ポリペプチドを含まないが依然として抗原に結合可能な完全長抗体ポリペプチドの少なくとも一部分を含む抗体ポリペプチド分子由来のポリペプチド(たとえば、抗体重鎖および/または軽鎖ポリペプチド)を指す。抗体フラグメントは、完全長抗体ポリペプチドの切断部分を含みうるが、この用語は、かかる切断フラグメントに限定されるものではない。本発明に有用な抗体フラグメントとしては、たとえば、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv(一本鎖Fv)フラグメント、線状抗体、単一特異的または多重特異的な抗体フラグメント、たとえば、二重特異的、三重特異的、四重特異的および多重特異的抗体(たとえば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)、1価または多価抗体フラグメント、たとえば、2価、3価、4価および多価の抗体、ミニボディ、キレート化組換え抗体、トリボディまたはビボディ、イントラボディ、ナノボディ、小モジュール免疫医薬(SMIP)、結合ドメインイムノグロブリン融合タンパク質、ラクダ化抗体、およびVHH含有抗体が挙げられる。抗原結合抗体フラグメントの追加の例は当技術分野で公知である。
【0077】
「相補性決定領域」または「CDR」という用語は、特異的抗原認識を媒介する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内の短いポリペプチド配列を指す。「フレームワーク領域」という用語は、CDR配列でないかつ抗原結合が可能になるようにCDR配列の適正配置を維持する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内のアミノ酸配列を指す。フレームワーク領域自体は、典型的には抗原結合に直接関与しないが、当技術分野で公知のように、ある特定の抗体のフレームワーク領域内のある特定の残基は、抗原結合に直接関与しうるか、またはCDR内の1つもしくはそれ以上のアミノ酸と抗原との相互作用能に影響を及ぼしうる。
【0078】
抗体の例は、抗PCSK-9 mAb(たとえば、アリロクマブ)、抗IL-6 mAb(たとえば、サリルマブ)、および抗IL-4 mAb(たとえば、デュピルマブ)である。
【0079】
本明細書に記載のいずれのAPIの薬学的に許容可能な塩も、薬物送達デバイスで薬物または薬剤に使用することが企図される。薬学的に許容可能な塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。
【0080】
図1は、注射デバイス100の分解図であり、注射デバイス100は、使い捨てまたは再利用可能の注射デバイスとすることができる。注射デバイス100は、ハウジング110を含み、ハウジング110内にカートリッジ114を有し、カートリッジ114はカートリッジハウジング104を有し、カートリッジハウジング104にニードルアセンブリ115を取り付けることができる。ニードルアセンブリ115の針109は、内側ニードルキャップ116および外側ニードルキャップ117によって保護されており、外側ニードルキャップ117をキャップ118によって覆うことができる。注射デバイス100から排出される薬剤または薬物の用量は、投与量ノブ112を回すことによって選択され、選択された用量は、投与量窓またはディスプレイ113を介して表示される。ディスプレイは、たとえばデジタルディスプレイを含むことができる。投与量ディスプレイ113は、注射デバイスのうち選択された投与量が見えるセクションに関する。
【0081】
以下でさらに説明するように、注射デバイス100は、1つまたはそれ以上の電子構成要素122、124を含むことができ、たとえば電子構成要素のうちのいくつかは、ストッパ108内に含むことができる。
【0082】
投与量ノブ112を回すことで、機械クリック音を引き起こして、音響フィードバックを使用者に提供する。投与量ディスプレイ113内に表示される数字は、ハウジング110内に収容されたスリーブ上に印刷されており、スリーブは、カートリッジ114内のストッパと機械的に相互作用する。針109が患者の皮膚部分に刺されて、次いで注射ボタン111が押されたとき、ディスプレイ113内に表示されている薬物用量が、注射デバイス100から排出される。注射中、プランジャアームの外形として示されている駆動機構106が、ストッパ108をカートリッジ内へ駆動して、薬物を排出する。ストッパは、流体の漏入および漏出に対するバリア;ガスバリア(たとえば、酸素)であり、H2Oおよび他の流体の蒸発を防止するため、容器閉鎖システムの重要な要素である。いくつかの実施形態では、容器の壁に接触する封止要素(
図6Aの604、605)によって封止機能が提供されるが、それでもなおストッパは滑ることが可能である。注射ボタン111が押された後、注射デバイス100の針109が特定の時間にわたって皮膚部分内に留まったとき、用量の大部分が実際に患者の体内へ注射されている。
【0083】
図2Aは、注射デバイスのカートリッジ内に配置されるように構成されたストッパ200の側面図である。ストッパ200は、たとえばシリンジ、注射器、自動注射器、注入ポンプデバイスなどの中のプランジャロッドまたは他の駆動デバイスによって接触されるように構成された近位端202を含む。ストッパはまた、遠位端203を含み、遠位端203は、ストッパ200の薬物に接触する端部であり、ストッパ200が配置されたカートリッジまたはシリンジ内の薬剤などに接触するように構成される。ストッパ200は、本体201を含み、本体201は、インサートを受け入れるように構成された内部空洞を画成したときは後にシェルと呼ばれるものであり、本体201の外面は、直径がより大きい領域として外面内へ形成された近位および遠位封止要素204、205を含み、近位および遠位封止要素204、205は、以下で
図2Bおよび
図6Bに示すように、ストッパ200が配置されたカートリッジまたはシリンジの内面と封止境界面を形成して、薬剤をカートリッジまたはシリンジ内へ封止し、ストッパ200が内面に沿って動く間はその封止を維持するように構成される。封止境界面(sealing interface)は、注射デバイスによって送達される薬剤の滅菌状態を維持するために必要とされるカートリッジ290(
図2B)内の滅菌したバリアの少なくとも一部を形成することができる。
【0084】
図2Bは、カートリッジ290内に配置された
図2Aのストッパ200を含む容器閉鎖システムの断面図である。
図2Bに示すように、ストッパ200は、ストッパの本体201の外面内へ形成された近位および遠位封止要素204、205がカートリッジ290のハウジング291の内面と封止係合するように、カートリッジ290内に配置される。カートリッジ290およびストッパ200は、カートリッジ290内の容積299を密閉し、カートリッジの遠位端は、キャップ292によって閉鎖されており、いくつかの実例では、キャップ292は、ストッパ200がカートリッジ290内を前進したとき、容積299内に収容されている薬剤を送達するように構成されたセプタムまたはポートとすることができる。
【0085】
図3は、ストッパ300のシェル301の空洞内に配置された段差状インサート310を示すストッパ300の断面図である。シェル301は、遠位端303および近位端302を含み、近位端302内に空洞(見えない)が形成されており、空洞の容積を占めるインサート310が示されている。インサートは、シェル301の近位端と同一平面の近位端311と、シェル301の遠位端付近に位置する遠位端312とを含む。インサート310は、3つの主部材313a~cから構築されており、主部材313a~cは、ユニボディ構造の区分、またはともに接合もしくは他の方法で固定された個々の部材とすることができる。インサート310の主部材313a~cはそれぞれ、遠位端312に向かって減少する円錐形の先細を有する外面314a~cを画成し、各外面314a~c間の先細直径の途切れが、主区分313a~c間に段差状面315a、315bを作成する。段差状面315a、315bおよび外面314a~c(および、完全を期すため、遠位端312)は、シェル301の空洞内のインサート310と可能な限り密接に連係するように、シェル301の空洞の内面によって中実に再現されている。このようにして、インサート310の段差状面315a、315b(水平面として示す)は、空洞の対応する境界面に当接し、インサート310の近位端311に力(たとえば、プランジャロッドから)が印加されたとき、その力の一部分は、段差状面315a、315bに当接する境界面にわたって加えられるように伝達される。動作の際、プランジャロッドからインサートに力が印加されてカートリッジ内でストッパ300を駆動するとき、この段差状構成は、印加された力のうち、円錐形の外面314a~cと空洞との相互作用によって生み出される径方向成分を低減させる。加えて、シェル301がエラストマー材料から構築されたとき、インサートに力がかかる結果、段差状面315a、315bが空洞の境界面を軸方向に(すなわち、ストッパの長手方向軸に沿って)押圧するため、インサート310から離れる方へのシェル301の径方向の偏向が低減される。その結果、シェル301が直接、シェル301内へのインサート310の動きに耐え、力が印加されたときにインサートの遠位端によって遠位端303を穿刺するという危険を冒すことなく、インサート310の遠位端312がシェル301の遠位端303により近づくことが有効になる。
【0086】
図4は、インサート410がストッパ400のシェル401の空洞内にスナップ嵌め機能408、409によって固定されている、ストッパ400の断面図である。シェル401は、遠位端403および近位端402を含み、近位端402内に空洞(見えない)が形成されており、空洞の容積を占めるインサート410が示されている。インサートは、シェル401の近位端と同一平面の近位端411と、シェル401の遠位端付近に位置する遠位端412とを含む。インサート410は、3つの主部材413a~cから構築されており、主部材413a~cは、ユニボディ構造の区分、またはともに接合もしくは他の方法で固定された個々の部材とすることができる。インサート410の主部材413a~cはそれぞれ、円錐形の先細の外面414a~cを画成し、近位主部材413a内には2つの溝418、419が形成され、2つの溝418、419は、スナップ嵌め要素408、409(たとえば、シェル401の空洞内へ突出する円形または長円形のリングセクション)と嵌合し、インサート410をシェル401内で保持するように構成される。動作の際、インサート410をシェル401内に挿入すると、スナップ嵌め要素は、スナップ嵌め要素408、409がインサート内の対応する溝418、419と位置合わせされるまで、偏向または他の形で変形し、いくつかの実例では、スナップ嵌め要素は、エラストマー材料から構築される。位置合わせされたとき、スナップ嵌め要素408、409は、径方向内方へ弛緩してインサート410の溝418、419に入り、インサート410がシェル401から容易に外れるのを防止する。
【0087】
図5は、インサートがストッパ500のシェル501の空洞内に配置されている、ストッパ500の断面図であり、空洞およびインサート510は、シェル501をインサート510に径方向に保持するように構成された傾斜境界面516a、516bを画成する鋭角の突出部を画成する。シェル501は、遠位端503および近位端502を含み、近位端502内に空洞(見えない)が形成されており、空洞の容積を占めるインサート510が示されている。インサートは、シェル501の近位端と同一平面の近位端511と、シェル501の遠位端付近に位置する遠位端512とを含む。インサート510は、3つの主部材513a~cから構築されており、主部材513a~cは、ユニボディ構造の区分、またはともに接合もしくは他の方法で固定された個々の部材とすることができる。インサート510の主部材513a~cはそれぞれ、円錐形の先細の外面514a~cを画成し、各外面514a~c間の先細直径の途切れが、主区分513a~c間に内向きの段差状面516a、516bを作成する。内向きの段差状面516a、516bおよび外面514a~c(および、完全を期すため、遠位端512)は、シェル501の空洞内のインサート510と可能な限り密接に連係するように、シェル501の空洞の内面によって中実に再現されている。このようにして、インサート510の内向きの段差状面516a、516bは、空洞の対応する境界面に当接し、インサート510の近位端511に力(たとえば、プランジャロッドから)が印加されたとき、その力の一部分は、内向きの段差状面516a、516bに当接する境界面にわたって加えられるように伝達される。この構成は、印加された力のうち、円錐形の外面514a~cと空洞との相互作用によって生み出される径方向成分を低減させる。さらに、シェル501がエラストマー材料から構築されたとき、内向きの段差状面516a、516bは、インサート510から離れる方へのシェル501の径方向の偏向を防止する。その結果、空洞の一部分がインサート510と内向きの段差状面516a、516bとの間に閉じ込められるため、インサートに力が印加されたとき、たとえば連続的な円錐形インサートと比較すると、シェル501内へのインサート510の動きが低減され、この低減により、インサートの遠位端によって遠位端503を穿刺するという危険を冒すことなく、インサート510の遠位端512がシェル501の遠位端503により近づくことが有効になる。
【0088】
シェル301、401、501およびインサート310、410、510向けに選択される材料は、それらの硬度、弾性、および耐熱性または絶縁特性に基づいて選択される。いくつかの実例では、インサート310、410、510は、あらゆる埋込み電子構成要素の最大露出温度を下回る温度で成形することが可能になるように選択された材料、または電子構成要素の最小熱量を下回るように埋込み電子構成要素を維持することが可能な温度および時間で成形することが可能な材料から構築される。いくつかの実装では、シェル301、401、501およびインサート310、410、510は、様々な弾性を有するポリマー材料から作られる。いくつかの実装では、耐熱性を増大させるために、たとえばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)被覆などの耐熱性被覆をインサート310、410、510またはシェル301、401、501に適用することもできる。いくつかの場合、シェル301、401、501は、薬剤に適合するように選択されたより剛性の材料、たとえばPP、PE、COC、COP、PTFEから作られ、または少なくとも薬剤に接触する遠位端303、403、503において、エラストマー材料、たとえばブチルゴム、ハロブチルゴム、熱可塑性エラストマー(TPE)、シリコーンゴム、ポリウレタンなどから作られる。
【0089】
埋込み電子構成要素は、たとえばセンサ、エネルギー源、マイクロコントローラ、および無線トランシーバを含むことができる。いくつかの実例では、センサは、たとえば圧電デバイス、音響センサ、または電磁センサなどのセンサ/送信器デバイスとすることができる。センサ/送信器は、シェル301、401、501を介して、たとえば超音波、音響、光、または他の信号などの信号を伝送して、応答を測定することができ、いくつかの実例では、この応答を使用して、カートリッジ114、290内のストッパ200、300、400、500の位置、またはシリンジの注射が行われたかどうかを判定することができる。いくつかの実例では、センサによって受信された応答は、コントローラ(たとえば、埋込みまたは外部のマイクロコントローラ)へ提供され、コントローラは、この応答を受信し、カートリッジ114、290の状態を計算することができる。いくつかの実例では、カートリッジ114、290の状態は、カートリッジ114、290内の薬剤の充填レベルまたはストッパ200、300、400、500の位置に対応することができる。いくつかの実例では、カートリッジ114、290の状態により、薬剤の注射済み用量の測定が有効になる。
【0090】
いくつかの実例では、エネルギー源は、キャパシタまたはソーラー源を装荷することができる任意のエネルギーハーベスティング技術による電池である。無線トランシーバは、外部電子デバイスならびにセンサおよびエネルギー源と通信することができる。外部電子デバイスは、コントローラとすることができ、センサから受信したデータを外部データベースへ通信することができる。無線トランシーバは、たとえばBluetooth、NFC、または無線周波数を含む任意の知られている無線通信技法を使用して通信することができる。
【0091】
図3~
図5のストッパ300、400、500は、たとえば、インサート310、410、510の挿入前に湿熱滅菌プロセスを使用することによって、滅菌することができる。典型的な湿熱滅菌プロセスでは、インサートを収容している完成したストッパが、摂氏約105~130度の温度で約15~60分にわたって滅菌される。いくつかの実例では、湿熱滅菌は、飽和水蒸気滅菌(たとえば、121℃超/20分)を含む。他の実例では、滅菌はまた、照射(たとえば、ガンマ線または電子ビーム)またはガス滅菌によって行うこともできる。しかし、電池は典型的に、70℃を上回る高温に耐えない。したがって、蒸気および高熱滅菌プロセスは、電池を収容しているインサートには適当でない可能性がある。さらに、電子機器は典型的に、放射の影響を受けやすい。したがって、照射滅菌もまた、電子機器にとって適切ではない。影響を受けやすい電子機器または電池を収容しているインサートとゴムシェルとの組合せにとって好適な滅菌プロセスには、酸化エチレン(EtO)、二酸化塩素(ClO2)、および二酸化窒素(NO2)滅菌などのガスプロセスが含まれる。これらのプロセスは典型的に、60℃(EtO)および30℃(NO2、ClO2)を下回る温度で行われる。
【0092】
いくつかの実例では、容器を充填する前に、すべての構成要素(たとえば、シェル301、401、501およびインサート310、410、510)が、無菌製造エリア内で事前に滅菌されて組み立てられる。インサートは、カートリッジまたはシリンジの充填後にストッパ内へ挿入することもできる。これには、インサートのないストッパが、充填された容器に対する密封を実現するのに十分な機械的安定性および剛性を有している必要がある。大きいセンサインサートの場合、これは、COP、COCなどのより剛性の材料からストッパシェルを設計することによって最善に実現することができるのに対して、より小さいインサートの場合、ハロブチルゴムのようなよりエラストマーの材料が好ましい。シェルがインサートなしで滅菌される場合、121℃超/20分の蒸気滅菌が好ましい。充填済みのストッパ付きカートリッジ内へ組み立てられるインサートは、薬物調合物に接触しないため、滅菌する必要がない。
【0093】
図6Aは、シェル601によって形成された空洞606内へインサート610を挿入することによって組み立てられたストッパ600の断面図である。空洞606は、インサート610の外部段差状プロファイルに整合する内部段差状プロファイルを含む。空洞606は、
図3に関して上記で詳述したように、インサート610の対応する段差状面615a、bに当接するように構成された境界面607a、bを含む。組立て中、インサート610は、インサート610の段差状面615a、bが境界面607a、bに当接するまで、空洞606内へ挿入される(矢印697によって示す)。いくつかの実例では、ストッパ600は、エラストマー容器閉鎖部である。ストッパ600は、カートリッジ内に配置することができ(
図6Bに示す)、ストッパ600の近位および遠位封止縁部604、605が、カートリッジ内に薬剤を収容するように封止を周りに形成する。いくつかの実例では、電子構成要素680(または電子アセンブリ)がインサート610内に収容され、電子構成要素680は、たとえば:センサ、電源(たとえば、電池)、コントローラ、無線通信モジュール(たとえば、IEEE802.15、NFC、RF、IrDA)、音響モジュール、メモリ、オンオフスイッチ、感熱要素、感光要素、または圧力センサを収容する。いくつかの実例では、電子構成要素680は、ストッパのインサート610に対する任意の好適な衝撃(たとえば、プランジャロッドからの力または光信号)によって電子構成要素680をトリガするように構成されたオンオフスイッチを含む。
【0094】
図6Bは、プランジャロッド660によってカートリッジ690内へ駆動される前のストッパ600を示す。いくつかの実例では、プランジャロッド660(たとえば、ストッパ600に接触するように構成されたプランジャロッドおよびヘッド)は、カートリッジ690を有する注射器のアクチュエータもしくは駆動機構(
図1に示す)によって駆動され、またはカートリッジ690がシリンジハウジングであるシリンジのプランジャロッドである。動作の際、プランジャロッド660は、インサート610に対して駆動され(矢印698によって示す)、それによってシェル601に力を印加して、ストッパ600全体をカートリッジ690内へ動かし、薬剤60の一部分をカートリッジ690から駆動する。
【0095】
図6Cは、プランジャロッド660によってカートリッジ690内へ駆動されている間またはその後の感知動作中の
図6Aのストッパ600の断面図である。
図6Cは、プランジャロッド660がストッパ600のインサート610に接触し、ストッパ600をカートリッジ690内へ駆動している(矢印699によって示す)ところを示す。動作の際、電子構成要素680は、感知信号670を放出することができ、いくつかの実例では、感知信号670は、カートリッジ690内のストッパ600の位置に応答し、電子構成要素680がストッパ600の動きの信号標示を生成することを有効にする。
【0096】
標準的な電池に対する代替手段または電池に対する補足を提供するエネルギーハーベスティングを使用して、カートリッジシステム(たとえば、本明細書に開示するもの)内の電子回路へエネルギーを提供するデバイスおよび方法について、以下に説明する。
【0097】
上記で開示したシステムの態様により、医療用注射器が、埋込み電子構成要素(たとえば、RFID、センサ)の付属物を用いた「スマート」技術を利用して、注射デバイス(たとえば、ペン型注射器)のカートリッジに特定の機能を与えることが有効になる。カートリッジのストッパに電子機器を一体化したとき、1つまたはそれ以上の構成要素(たとえば、注射器またはカートリッジの特定の特性を測定するセンサ)を活動状態にすることができ、それにはエネルギー源が必要とされ、エネルギー源は典型的に電池とすることができる。後述する1つの代替手段は、電池の代わりの電源代用品としてエネルギーハーベスティング手段を使用することである。
【0098】
エネルギーハーベスティングシステムの一例が
図7に示されており、
図7は、カートリッジ790内に配置され、無線システム780によって電力供給されるストッパ700を含む容器閉鎖システム70の断面図である。ストッパ700は、カートリッジ790内に薬剤711を密閉するシェルを含み、いくつかの実例では、シェル701は、ハウジング701の内面に係合された複数の封止要素を含む。ストッパ700はまた、埋込み電子機器アセンブリ771、778、779を有するインサート710を含む。いくつかの実施形態では、動作の際、電子機器アセンブリ771、778、779は、インサート710と一体化され、またはインサート710によって保持されており、それによってストッパ700のシェル701内へインサート710を挿入することは、シェル701内に形成された空洞内へ電子機器アセンブリ771、778、779を挿入することを含む。電子機器アセンブリ771、778、779は、感知デバイス(S)779、無線デバイス(WL)778、および容量性デバイス(CE)771を含む。
【0099】
動作の際、感知デバイス779は、カートリッジ790内のストッパ700の位置を感知するように構成され、無線デバイス778は、外部電子デバイス(図示せず)と通信して、センサデバイス779からの情報を通信するように構成される。容量性デバイス771は、カートリッジ790に近接して位置する無線信号781からの無線誘導充電によって、感知デバイス779および無線デバイス778へ電力を提供するように構成される。いくつかの実施形態では、容量性デバイス771は、カートリッジ790内の感知デバイス779による測定の開始および実行ならびに無線デバイス778を使用した結果の返送に十分なエネルギーを提供するために、たとえば、近距離通信プロトコル(NFC)信号781を介してスマートフォン780から、または他の誘導装荷手段を有する典型的な無線充電デバイスによって、電力を無線で受信するように構成された容量性回路を含む。
【0100】
エネルギーハーベスティングシステムの別の例は、カートリッジ内の測定の開始および実行ならびに結果の返送に十分なエネルギーを提供するために、圧電技術を使用して、たとえば注射器の取扱いまたは注射動作中にストッパとプランジャとの間に生じる機械力からエネルギーを収集することである。
図8Aおよび
図8Bは、カートリッジ890内に配置されたストッパ800を含む容器閉鎖システム80の断面図であり、ストッパ800は、圧電システムによって電力供給される電子機器を有するセンサインサート810を含む。
図8Aは、プランジャ860が前進(たとえば、矢印897に沿って)してストッパ800内に配置されたインサート810に接触する作用を受ける容器閉鎖システム80を示す。ストッパ800は、カートリッジ890内に薬剤811を密閉し、ストッパ800のシェル801は、カートリッジ890の内面に封止係合される。インサート810は、ストッパ800のシェルの空洞内に配置され、インサート810は、埋込み電子機器アセンブリ872、878、879を含む。インサート810は、プランジャ860の力を受けて少なくとも部分的に偏向し、または他の形でプランジャからの力を電子機器アセンブリ872、878、879の一部分へ伝達することを有効にするように構成される。いくつかの実施形態では、動作の際、電子機器アセンブリ872、878、879は、インサート810と一体化され、またはインサート810によって保持されており、それによってストッパ800のインサート810を固定することは、ストッパ800のシェルの空洞内へ電子機器アセンブリ872、878、879を挿入することを含む。電子機器アセンブリ872、878、879は、感知デバイス(S)879、無線デバイス(WL)878、および圧電要素(PE)872を含む。
【0101】
動作の際、感知デバイス879は、カートリッジ890内のストッパ800の位置を感知するように構成され、無線デバイス878は、外部電子デバイス(図示せず)と通信して、センサデバイス879からの情報を通信するように構成される。圧電要素872は、ストッパ800に印加される力の一部分を電気エネルギーに変換することによって、感知デバイス879および無線デバイス878へ電力を提供するように構成される。
図8Bに示すように、圧電要素872は、プランジャ816によってインサート810に印加される力(矢印897によって示す運動中)によって、
図8Aの位置898から
図8Bの偏向位置899に変換される。位置898から偏向位置899への圧電要素872の変換により、エネルギーが吸収され、その一部分が電気エネルギーに変換される。
【0102】
一体化されたエネルギーハーベスティングデバイスの別の例は、注射器/ペンのカートリッジ内の測定の開始および実行ならびに結果の返送に十分なエネルギーを提供するために、ペルティエ素子(PE)を含んで、冷凍(たとえば、収納中のペンまたは注射器)と加温(たとえば、室温への露出)との温度差を電気エネルギーに変換することである。
図9Aおよび
図9Bは、カートリッジ990内に配置されたストッパ900を含む容器閉鎖システム90の断面図であり、ストッパ900は、内部電子機器デバイスに電力供給するペルティエ熱電気デバイスを含む。
図9Aは、カートリッジ990が低温環境(たとえば、4℃)で収納され、カートリッジ990内にストッパ900が配置され、ストッパ900のシェル901内に配置されたインサート910にプランジャ960が当たっているところを示す。ストッパ900のシェル901は、カートリッジ990の内壁に封止係合することによって、カートリッジ990内に薬剤911を密閉する。インサート910は、電子機器アセンブリ973、978、979を含み、インサート910またはシェル901は、電子機器アセンブリ973、978、979へ熱エネルギーを少なくとも部分的に伝達するように構成される。電子機器アセンブリ973、978、979は、感知デバイス(S)979、無線デバイス(WL)978、および熱電気要素(TE)973を含む。
【0103】
動作の際、感知デバイス979は、カートリッジ990内のストッパ900の位置を感知するように構成され、無線デバイス978は、外部電子デバイス(図示せず)と通信して、センサデバイス979からの情報を通信するように構成される。熱電気要素973は、熱電気要素の温度が変化したときにエネルギーを生成することによって、感知デバイス979および無線デバイス978へ電力を提供するように構成される。
図9Bに示すように、容器閉鎖システム90は、比較的高温の環境(たとえば、20℃)へ動かされ、熱電気要素973は、容器閉鎖システム90の外の環境から熱エネルギーを吸収することによって加熱される(矢印999によって示す温度遷移中)。熱電気要素973によって熱エネルギーを吸収することで、たとえば感知デバイス979および無線デバイス978に電力供給するための電気エネルギーが生成される。
【0104】
図7~
図9は、概して、埋込み電子機器構成要素を示すために、一般的な形状のインサート710、810、910を示すが、いくつかの実例では、インサート710、810、910は、本明細書に記載する段差状プロファイルのいずれかを含む形状を有することができることが理解されよう。
【0105】
図10は、ストッパ1000のシェル1001の空洞内に配置されたインサート1010の外形を示すストッパ1000の側面図であり、インサート1010は、まっすぐな段差状のプロファイルを有する。インサート1010は、インサート1010の近位端1011がシェル1001の近位端1002より下に位置するように、シェル1001内に配置され、したがってインサート1010は、近位端1002でシェル1001内に気密封止することが可能である。気密封止は、組み立てられたストッパ1000の洗浄および滅菌中に、インサート1010を加工助剤との接触から保護する。さらに、気密封止は、たとえば電池が漏れている場合に、ばら積輸送中の他のストッパを汚染から保護する。気密封止されたインサートを有するストッパは、無菌製造エリア内で容易に洗浄、滅菌、および後に処理することができる。シェル1001は、遠位端1003および近位端1002を含み、近位端1002内に空洞(見えない)が形成されており、空洞の容積を占めるインサート1010が示されている。インサートは、シェル1001の近位端と同一平面の近位端1011と、シェル1001の遠位端付近に位置する遠位端1012とを含む。インサート1010は、まっすぐな(たとえば、長手方向の)外面区分1014a~cを画成し、各外面区分1014a~c間の途切れが、外面区分1014a~c間に段差状面1015a、1015bを作成する。段差状面1015a、1015bおよび外面1014a~c(および、完全を期すため、遠位端1012)は、シェル1001の空洞内のインサート1010と可能な限り密接に連係するように、シェル1001の空洞の内面によって中実に再現されている。このようにして、インサート1010の段差状面1015a、1015b(水平面として示す)は、空洞の対応する境界面に当接し、インサート1010の近位端1011に力(たとえば、プランジャロッドから)が印加されたとき、その力の一部分は、段差状面1015a、1015bに当接する境界面にわたって加えられるように伝達される。
【0106】
図11は、ストッパ1100のシェル1101の空洞内のインサート1110の外形を示すストッパ1100の側面図であり、空洞およびインサート1110は、シェル1101をインサート1110に径方向に保持するように構成された内向きの段差状面1116a、1116bを画成する鋭角の突出部を画成する。シェル1101は、遠位端1103および近位端1102を含み、近位端1102内に空洞(見えない)が形成されており、空洞の容積を占めるインサート1110が示されている。インサートは、シェル1101の近位端と同一平面の近位端1111と、シェル1101の遠位端付近に位置する遠位端1112とを含む。インサート1110は、まっすぐな(たとえば、長手方向の)外面区分1014a~cを画成し、各外面区分1014a~c間の途切れが、外面区分1014a~c間に内向きの段差状面1116a、1116bを作成する。内向きの段差状面1116a、1116bおよび外面1114a~c(および、完全を期すため、遠位端1112)は、シェル1101の空洞内のインサート1110と可能な限り密接に連係するように、シェル1101の空洞の内面によって中実に再現されている。このようにして、インサート1110の内向きの段差状面1116a、1116bは、空洞の対応する境界面1106a、1106bに当接し、インサート1110の近位端1111に力(たとえば、プランジャロッドから)が印加されたとき、その力の一部分は、対応する内向きの段差状面1106a、1106bに当接する境界面1116a、1116bにわたって加えられるように伝達される。加えて、シェル1101がエラストマー材料から構築されたとき、内向きの段差状面1116a、1116bは、インサート1110から離れる方へのシェル1101の径方向(外方)の偏向を防止する。
【0107】
図12および
図13は、
図10および
図11の構成に対応するストッパ1200、1300を示すが、インサート1210、1310は、段差状面1215a、bおよび1316a、bを形成する円錐形の先細外面1214a~c(
図12)および1314a~c(
図13)を有する。
図13で、傾斜した境界面1316a、1316bは、印加された力のうち、円錐形の外面1314a~cと空洞との相互作用によって生み出される径方向(外方)成分の誘起を低減させる。
【0108】
図14は、ストッパ1400のシェル1401の空洞内に配置されたインサート1410の外形を示すストッパ1400の側面図であり、インサート1410は、空洞内にスナップ嵌め機能1417、1418、1419によって固定される。インサート1410は、まっすぐな(すなわち、長手方向の)プロファイルの外面1414a~cを画成し、近位外面1414aおよび中間外面1414b内には3つの溝1417、1418、1419が形成され、3つの溝1417、1418、1419は、スナップ嵌め要素1407、1408(たとえば、シェル1401の空洞内へ突出する円形または長円形のリングセクション)と嵌合し、インサート1410をシェル1401内で保持するように構成される。動作の際、インサート1410をシェル1401内に挿入すると、スナップ嵌め要素1407、1408、1409は、スナップ嵌め要素1407、1408、1409がインサート1410内の対応する溝1417、1418、1419と位置合わせされるまで、偏向または他の形で変形し、いくつかの実例では、スナップ嵌め要素1407、1408、1409は、エラストマー材料から構築される。位置合わせされたとき、スナップ嵌め要素1407、1408、1409は、径方向内方へ弛緩してインサート1410の溝1417、1418、1419に入り、インサート1410がシェル1401から容易に外れるのを防止する。
【0109】
図15は、ストッパ1500のシェル1501内に配置されたより大きいインサート1510の外形を示すストッパの側面図であり、インサート1510は、ストッパ1500内へ完全に挿入されている。
図15のインサート1510は、より大きい遠位端1512(すなわち、前述の図に示したインサートと比較)を含み、したがってインサート1510は、近位端1511から遠位端1512まで略円筒形の形状を有する。この構成では、インサート1510は、先細りした形状と比較すると、より大きい電子機器アセンブリを収容することが可能であり、より大きい電子機器アセンブリは、インサート1510の遠位端1512により大きい部分を有することが可能である。インサート1510は、外面1514a~cを含み、近位外面1514aと遠位外面1514cとの間に凹状外面1514bが位置し、近位外面1514aおよび遠位外面1514cはそれぞれ、凹状外面1514bより大きい直径を有する。段差状面1515および傾斜面1517が、凹状外面1514bを隣接する表面1514a、1514cに連結する。このようにして、インサート1510は、段差設計とスナップ嵌め設計との両方の組合せを含む。段差設計は、近位外面1514aと凹状外面1514bとの間の段差状面1515内に存在し、段差状面1515は、上記で詳細したように、シェル1501へ力を送達するように構成される(たとえば、
図3参照)。さらに、凹状外面1514bならびに隣接する段差状面1515および傾斜面1517は、シェル1501のスナップ嵌め領域1508がインサート1510を占有してシェル1501に固定するための溝を画成する。
【0110】
図16Aは、ストッパ1600のシェル1601内に配置されたインサート1610の外形を示すストッパ1600の側面図である。
図16Aの構成は、インサート1610の近位端1611がシェル1601の近位端1602と同一平面であることを除いて、
図15の構成に類似している。インサート1610の遠位端の厚さがより大きいため、いくつかの例は、挿入後にインサート1610の遠位端1612とシェル1601との間に空気が閉じ込められる可能性を低減させるために、異なる構造のシェル1601を含む。そのような空気の閉込めは、インサート1610とシェル1601との間の連結の強度を低減させることによって、容器またはシリンジ内に配置されたストッパ1600の性能に悪影響を及ぼす可能性があり、いくつかの実例では、プランジャロッドがインサート1610に接触する位置に対する容器内のシェル1601の位置の精度を低減させる。
【0111】
図16Bは、シェル1601の遠位端1603の一部分を形成する凹状の弓形セクション1607を有するように修正された
図16Aのストッパの側面図である。この構成は、インサート1610の組立て中、インサート1610が空洞の凸状の遠位端1606に最初に接触するとき、閉じ込められた空気が前端から押し出されることを確実にする。凸状の遠位端1606は、インサートによって押し出されて、インサート1610の遠位端1612にぴったりと接する。インサート1610を挿入すると、インサート1610は、凸状の遠位端1606にすぐに接触して凸状の遠位端1606を偏向させ、したがって凹状の弓形セクション1607が偏向し、遠位端1603の平坦な外面を形成し、したがってストッパ1600の設計形状を形成する。インサート1610が凸状の遠位端1606に接触することを提供することによって、インサート1610内のセンサ(たとえば、
図6の電子デバイス680内)と、ストッパシェル1601との間の確実な位置関係が確保され、したがってセンサと、ストッパ1600の遠位端1603の外のカートリッジ内へ充填された薬品との間の確実な関係が確保されるため、センサ機能が改善される。これにより、ストッパ1600の遠位端1603を介した感知信号の送信および受信の精度および予測可能性が改善される。いくつかの実例では、インサート1610を挿入したとき、遠位端1603の外面は偏向して平坦でない形状になり、たとえば丸い表面になる。
【0112】
図17は、ストッパ1700のシェル1701内の空洞内に配置されたインサート1710の外形を示すストッパ1700の側面図であり、インサート1710は、より大きい電子機器アセンブリを収容するようなサイズであり、2つのスナップ嵌め要素を使用してシェル1701に固定される。インサート1710は、2つの段差状要素1715a、bを画成する2つの凹状外面1714a、bと、2つの傾斜面1517とを含み、これらの表面はともに、シェル1701の空洞の内壁の2つの対応するスナップ嵌め部分1708a、bを受けるように構成される。動作の際、段差状要素1715a、bは、ストッパ1700に印加された力の一部分をシェルへ分散させ、シェル1701の遠位端1703に対して設計された位置を越えた空洞内へのインサート1710の遠位端1712の動きに耐える。組立て中、スナップ嵌め部分1708a、bは偏向して、インサート1710がシェル1701の空洞内へ進むことを可能にし、インサートがシェル1701内のその所期の位置に到達した後、インサート1710の凹状外面1714a、bに対して弛緩する。いくつかの実例では、シェル1701内でインサート1710を固定するために、3つ以上のスナップ嵌め要素が使用される。
【0113】
図18Aおよび
図18Bはそれぞれ、インサート1810がストッパ1800のシェル1801の空洞1806(
図18Bに示す)内に配置されている、ストッパ1800の断面図および上面図であり、空洞1806は、通気チャネル1820を含む。動作の際、インサート1810が空洞1806内へ挿入されたとき、インサート1810の遠位端1812と空洞1806との間に閉じ込められた空気は、通気チャネル1820を通ってストッパ1800の近位端にあるインサート1810の近位端1811とシェル1801の近位端1802との間の空間1821へ進むことによって、ストッパ1800の外へ誘導される。
図18Cは、シェル1801の中間部分を通る通気チャネル1820を示す
図18Aのストッパの断面図である。
【0114】
図19Aは、円錐形の空洞1906および弓形遠位端1903を有するストッパ1900の断面図である。円錐形の空洞1906は、円錐形インサート(
図19Bの1910)を受け入れるように構成され、弓形遠位端1903は偏向して、インサート1910がシェル1901内へ完全に挿入されることを有効にする。弓形遠位端1903は、シェル1901の壁内の通気チャネル1920と側面を接しており、通気チャネル1920は、挿入中にインサート1910とシェル1901との間に閉じ込められる可能性のある空気のための出口を提供する。いくつかの実例では、通気チャネル1920は、空洞1906の開端まで完全には延びておらず、代わりに、インサート1910の遠位端とシェル1901との間に空気を閉じ込めることなく、インサート1910が完全に挿入されることを有効にするために、空洞1906の閉端の側に小さい空隙を提供する。このようにして、通気チャネル1920により、インサート1910の遠位端が挿入中に弓形遠位端1903に接触し、弓形遠位端1903を偏向させることが可能になり、その後、
図19Bに示すように、インサート1910の遠位端は、偏向した弓形遠位端1903と同一平面に静止する。また、空洞の開端にあるシェル1901の壁は、排出された空気が再びシェル1901とインサート1910との間の空間内へ侵入することを防止するために、インサート1910の外壁に対するフラップバルブとして作用することができる。
【0115】
図19Bは、ストッパ1900内に配置されたインサート1910の外形を示す
図19Aのストッパ1900の側面図であり、弓形遠位端1903が偏向位置で示されている。動作の際、空洞1906の内向きに先細りする側壁は、弓形遠位端1903が偏向したとき、インサート1910を受け入れるために径方向外方へわずかに偏向するが、壁は、インサート1910の円錐形の形状を受け入れるように内向きの先細を維持しており、インサート1910がプランジャロッドからの力を受けて径方向外方へ押し進むとき、ストッパ1900が配置されている容器(図示せず)の壁に押圧され、弓形遠位端1903の材料特性が張力変形に耐えることによって、空洞1906内へのインサート1910の過剰挿入に耐える。
図16、
図19A、および
図19Bは、段差機能のないシェル1601、1901を示しているが、本開示の別の実施形態は、弓形の遠位領域および段差機能(
図3~
図6Cおよび
図10~
図15)を有するシェルであり、段差機能はたとえば、空洞内へのインサートの過剰挿入の防止および/または傾斜した段差状機能によるシェル壁の保持を担う(傾斜した段差状機能は
図5および
図11に示す)。
図3~
図6Cおよび
図10~
図15に示す段差機能のいずれか1つのまたは組合せは、
図16、
図19A、および
図19Bの弓形構成に適合している。
【0116】
図20は、容器2091内に配置されたストッパ2000の断面図である。ストッパ2000は、インモールド封止2004、2005を有する剛性シェル2001と、接着要素2060によって剛性シェル2001の空洞内に固定されたインサート2010とを含む。インモールド封止2004、2005は、ストッパ2000と容器2091の内面との間の封止境界面を作成するように、剛性シェル2001の外面上に配置される。インモールド封止に対する代替手段として、Oリング封止を使用することもできる(図示せず)。ストッパ2000はまた、インサート2010をストッパ2000の空洞内へ封止するように、インサート2010を越えて空洞内へ挿入された後端閉鎖キャップ2080を含む。接着要素2060は、閉端で剛性シェル2001の空洞内に配置され、したがってインサート2010は、空洞内へ最大に挿入されたとき、接着要素2060に接触する。いくつかの実例では、接着要素2060は、接着材料から作られ、または外面上に接着材料を含む。接着要素2060は、インサート2010が空洞内へ挿入されたとき、インサート2010によって接触され、剛性シェル2001の空洞の閉端にインサート2010を付着させる。いくつかの実例では、後端閉鎖キャップ2080が空洞内へ挿入されてインサート2010に接触したとき、接着要素2060はインサート2010によって接触され、したがってインサート2010は、接着要素2060に対して前方へ駆動され、後端閉鎖キャップ2080は、後端閉鎖キャップ2080が剛性シェル2001に封止係合する空洞内の位置に到達する。いくつかの実例では、剛性シェル2001の空洞は、インサート2010の遠位端2012の形状に対応する形状を画成する前(すなわち、遠位)端2006を画成する。いくつかの実例では、剛性シェル2001の空洞の遠位端2006の形状は、空洞内へ延びる接着要素2060によって画成される。いくつかの実例では、接着要素2060は、剛性シェル2001との組立て前にインサート2010に取り付けられる。
【0117】
図21は、容器2191内に配置されたストッパ2100の断面図である。ストッパ2100は、インモールド封止2104、2105を有する剛性シェル2101と、剛性シェル2101の空洞内の変形可能要素2170内へ押圧されたインサート2110とを含む。ストッパ2100はまた、インサート2110をストッパ2100の空洞内へ封止するように、インサート2110を越えて空洞内へ挿入された後端閉鎖キャップ2180を含む。変形可能要素2170は、閉端で剛性シェル2101の空洞内に配置され、したがってインサート2110は、空洞内へ最大に挿入されたとき、変形可能要素2170に接触する。別法として、変形可能要素2170は、剛性シェル2101内への組立て前にインサート2110に取り付けることができる。変形可能要素2170は、空洞内へ挿入されたとき、インサートによって変形するように構成され、いくつかの実例では、弾性および/または塑性変形可能な材料(たとえば、シリコーン、TPE材料、接着剤、またはワックス)から作られる。いくつかの実例では、変形可能要素2170は、インサート2110によって接触されて変形する前に作られた平坦から凸状の形状を画成する。変形可能要素2170は、インサート2110が空洞内へ押圧されたとき、インサート2110によって接触されて変形し、剛性シェル2101の空洞の閉端にインサート2110を付着させる。いくつかの実例では、後端閉鎖キャップ2180が空洞内へ挿入されてインサート2110に接触したとき、変形可能要素2170はインサート2110によって接触され、したがってインサート2110は、変形可能要素2170に対して前方へ駆動され、後端閉鎖キャップ2180は、後端閉鎖キャップ2180が剛性シェル2101に封止係合する空洞内の位置に到達する。
【0118】
図22は、容器2291内のストッパ2200の断面図である。ストッパ2200は、インモールド封止2204、2205を有する剛性シェル2201と、変形可能要素2270によって剛性シェル2201の空洞内に固定されたインサート2210とを含む。ストッパ2200はまた、インサート2210をストッパ2200の空洞内へ封止するように、インサート2210を越えて空洞内へ挿入された後端閉鎖キャップ2280を含む。変形可能要素2270は、インサート2210と後端閉鎖キャップ2280との間の剛性シェル2201の空洞内に配置され、したがってインサート2210が空洞の閉端に接触し、後端閉鎖キャップ2280が変形可能要素2270に対して前方へ駆動され、剛性シェル2201に封止係合したとき、変形可能要素2270は、インサート2210と後端閉鎖キャップ2280との間で変形する。いくつかの実例では、
図20の配置と同様に、接着要素2260が閉端で剛性シェル2201の空洞内に配置され、したがって変形可能要素2270が後端閉鎖キャップ2280とインサート2210との間で押圧されたとき、インサート2210は接着要素2260に接触する。他の実例では、インサート2210は、空洞の閉端に直接係合する。
【0119】
いくつかの場合、剛性シェル2001、2101、2201は、薬剤に適合するように選択されたより剛性の材料、たとえばPP、PE、COC、COP、PTFEから作られ、または少なくとも容器2091、2191、2291内の薬剤に接触する遠位端2001、2101、2201において、エラストマー材料、たとえばブチルゴム、ハロブチルゴム、熱可塑性エラストマー(TPE)、シリコーンゴム、ポリウレタンなどから作られる。
【0120】
本発明の完全な範囲および精神から逸脱することなく、本明細書に記載するAPI、調合物、装置、方法、システム、および実施形態の様々な構成要素に修正(追加および/または削除)を加えることができ、本発明は、そのような修正およびそのあらゆる均等物を包含することが、当業者には理解されよう。
【0121】
本開示の複数の実装について説明してきた。それにもかかわらず、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、様々な修正を加えることができることが理解されよう。したがって、他の実装も以下の特許請求の範囲の範囲内である。