(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】補助的なフィーチャを用いてデジタルリソグラフィのプロセスウィンドウ及び解像度を改善する方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20241010BHJP
【FI】
G03F7/20 501
(21)【出願番号】P 2023517999
(86)(22)【出願日】2021-09-16
(86)【国際出願番号】 US2021050660
(87)【国際公開番号】W WO2022060977
(87)【国際公開日】2022-03-24
【審査請求日】2023-05-10
(32)【優先日】2020-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ, チ-ミン
(72)【発明者】
【氏名】レイディグ, トーマス エル.
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン デン ブルク, ダグラス ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】チェン, チャン ファン
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-043664(JP,A)
【文献】特開2004-133426(JP,A)
【文献】特開2006-058882(JP,A)
【文献】特表2013-527982(JP,A)
【文献】特開2018-151618(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィプロセスのための1以上の主たるフィーチャを規定するデータを受け取ることであって、前記主たるフィーチャは1以上のポリゴンを含む、データを受け取ること、
前記主たるフィーチャを規定する前記データに基
づいて、
前記主たるフィーチャの強度対数勾配(ILS)と焦点深度の一方または両方の最大値に基づいて、1以上の補助的なフィーチャの位置及び幅を特定すること、
前記リソグラフィプロセス中に前記主たるフィーチャに適用されるパターンバイアスを特定することであって、前記主たるフィーチャの前記パターンバイアスは、前記補助的なフィーチャの前記位置及び前記幅に基
づいて特定される、パターンバイアスを特定すること、
前記主たるフィーチャに対応するデータ、前記補助的なフィーチャに対応するデータ、及び前記パターンバイアスに対応するデータを仮想マスクファイルに変換すること、並びに
マスクレスリソグラフィデバイス内で前記仮想マスクファイルを使用して基板をパターニングすることを含む、方法。
【請求項2】
前記補助的なフィーチャの前記位置及び前記幅を特定することは、ルックアップテーブルを参照することを含み、前記ルックアップテーブルは、前記主たるフィーチャに関する経験的データを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ルックアップテーブルは、前記データに基
づいて基板のフォトレジスト内に形成される前記主たるフィーチャの
前記強度対数勾配(ILS)と
前記焦点深度とのうちの一方又は両方の最大値に基
づいて、前記補助的なフィーチャの前記位置及び前記幅を特定する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
リソグラフィプロセスのための1以上の主たるフィーチャを規定するデータを受け取ることであって、前記主たるフィーチャは1以上のポリゴンを含む、データを受け取ること、
ルックアップテーブルを参照することにより、前記主たるフィーチャを規定する前記データに基づいて、1以上の補助的なフィーチャの位置及び幅を特定すること、
前記リソグラフィプロセス中に前記主たるフィーチャに適用されるパターンバイアスを特定することであって、前記主たるフィーチャの前記パターンバイアスは、前記補助的なフィーチャの前記位置及び前記幅に基づいて特定される、パターンバイアスを特定すること、
前記主たるフィーチャに対応するデータ、前記補助的なフィーチャに対応するデータ、及び前記パターンバイアスに対応するデータを仮想マスクファイルに変換すること、並びに
マスクレスリソグラフィデバイス内で前記仮想マスクファイルを使用して基板をパターニングすることを含み、
前記ルックアップテーブルは、前記補助的なフィーチャが、隣接する各補助的なフィーチャ間の距離の閾値と、前記補助的なフィーチャと前記主たるフィーチャとの間の距離の閾値とを満たすように、前記補助的なフィーチャの前記位置を特定する、
方法。
【請求項5】
前記パターンバイアスを特定することは、ルックアップテーブルを参照することを含み、前記ルックアップテーブルは、前記主たるフィーチャについて予め規定された限界寸法を維持するためのバイアスに関する経験的データを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記基板上にパターンを形成するために、前記基板を現像又はエッチングすることによって前記基板を処理することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記主たるフィーチャのデータ及び前記パターンバイアスを示すデータを前記仮想マスクファイルに変換することは、前記データ内の前記1以上のポリゴンの各々を1以上の四角形ポリゴンに変換して、前記仮想マスクファイルを生成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記補助的なフィーチャの前記幅は、前記主たるフィーチャの限界寸法よりも小さい、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記補助的なフィーチャは、
前記主たるフィーチャの主たるフィーチャエッジを前記補助的なフィーチャの補助的なエッジと平行にすることで、前記補助的なフィーチャと前記主たるフィーチャの主たるフィーチャエッジとの間に180度の位相干渉を構築する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
リソグラフィプロセスのための1以上の主たるフィーチャを規定するデータを受け取ることであって、前記主たるフィーチャは1以上のポリゴンを含む、データを受け取ること、
前記データに基
づいて空間像及びレジストプロファイルを予測するように構築されたリソグラフィモデルに前記データを入力すること、
前記リソグラフィモデルを解くための数値計算を使用して1以上の補助的なフィーチャの位置及び幅を特定することであって、特定される前記位置及び前記幅は、前記データに基
づいて基板のフォトレジスト内に形成される前記主たるフィーチャの最大強度対数勾配(ILS)又は最大焦点深度に対応する、1以上の補助的なフィーチャの位置及び幅を特定すること、
前記リソグラフィプロセス中に前記主たるフィーチャに適用されるパターンバイアスを特定することであって、前記主たるフィーチャの前記パターンバイアスは、前記リソグラフィモデルを解くための数値計算を使用して特定され、特定される前記パターンバイアスは、前記データに基
づいて前記基板の前記フォトレジスト内に形成される前記主たるフィーチャの最大ILS又は最大焦点深度に対応する、パターンバイアスを特定すること、
前記主たるフィーチャに対応するデータ、前記補助的なフィーチャに対応するデータ、及び前記パターンバイアスに対応するデータを仮想マスクファイルに変換すること、並びに
マスクレスリソグラフィデバイス内で前記仮想マスクファイルを使用して基板をパターニングすることを含む、方法。
【請求項11】
リソグラフィプロセスのための1以上の主たるフィーチャを規定するデータを受け取ることであって、前記主たるフィーチャは1以上のポリゴンを含む、データを受け取ること、
前記データに基づいて空間像及びレジストプロファイルを予測するように構築されたリソグラフィモデルに前記データを入力すること、
前記リソグラフィモデルを解くための数値計算を使用して1以上の補助的なフィーチャの位置及び幅を特定することであって、特定される前記位置及び前記幅は、前記データに基づいて基板のフォトレジスト内に形成される前記主たるフィーチャの最大強度対数勾配(ILS)又は最大焦点深度に対応する、1以上の補助的なフィーチャの位置及び幅を特定すること、
前記リソグラフィプロセス中に前記主たるフィーチャに適用されるパターンバイアスを特定することであって、前記主たるフィーチャの前記パターンバイアスは、前記リソグラフィモデルを解くための数値計算を使用して特定され、特定される前記パターンバイアスは、前記データに基づいて前記基板の前記フォトレジスト内に形成される前記主たるフィーチャの最大ILS又は最大焦点深度に対応する、パターンバイアスを特定すること、
前記主たるフィーチャに対応するデータ、前記補助的なフィーチャに対応するデータ、及び前記パターンバイアスに対応するデータを仮想マスクファイルに変換すること、並びに
マスクレスリソグラフィデバイス内で前記仮想マスクファイルを使用して基板をパターニングすることを含み、
前記補助的なフィーチャの前記位置、前記補助的なフィーチャの前記幅、及び前記パターンバイアスを特定することは、パターン修正ソフトウェアアプリケーションの前記リソグラフィモデルに入力を提供することを含み、前記パターン修正ソフトウェアアプリケーションは、前記主たるフィーチャ及び前記補助的なフィーチャを有するマスクパターンを形成するように動作可能である、
方法。
【請求項12】
前記パターン修正ソフトウェアアプリケーションは、前記補助的なフィーチャの前記位置及び前記幅に基
づいて、前記主たるフィーチャの限界寸法を維持するために必要とされる前記パターンバイアスを予測する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記補助的なフィーチャの前記幅は、前記主たるフィーチャの限界寸法よりも小さい、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記基板上にパターンを形成するために、前記基板を現像又はエッチングすることによって前記基板を処理することを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記主たるフィーチャのデータ及び前記パターンバイアスを示すデータを前記仮想マスクファイルに変換することは、前記データ内の前記1以上のポリゴンの各々を1以上の四角形ポリゴンに変換して、前記仮想マスクファイルを生成することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記補助的なフィーチャは、
前記主たるフィーチャの主たるフィーチャエッジを前記補助的なフィーチャの補助的なエッジと平行にすることで、前記補助的なフィーチャと前記主たるフィーチャの主たるフィーチャエッジとの間に180度の位相干渉を構築する、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
フォトレジストが上に配置された基板を支持するように構成された可動ステージ、並びに
前記可動ステージの上に配置された処理ユニットであって、前記処理ユニットと通信するコントローラによって提供される仮想マスクファイルをプリントするように構成された処理ユニットを備える、システムであって、前記コントローラは、
リソグラフィプロセスのための1以上の主たるフィーチャを規定するデータを受け取ることであって、前記主たるフィーチャは1以上のポリゴンを含む、データを受け取ること、
前記主たるフィーチャを規定する前記データに基
づいて、
前記主たるフィーチャの強度対数勾配(ILS)と焦点深度の一方または両方の最大値に基づいて、1以上の補助的なフィーチャの位置及び幅を特定すること、
前記リソグラフィプロセス中に前記主たるフィーチャに適用されるパターンバイアスを特定することであって、前記主たるフィーチャの前記パターンバイアスは、前記補助的なフィーチャの前記位置及び前記幅に基
づいて特定される、パターンバイアスを特定すること、
前記主たるフィーチャに対応するデータ、前記補助的なフィーチャに対応するデータ、及び前記パターンバイアスに対応するデータを前記仮想マスクファイルに変換すること、並びに
前記処理ユニットで前記仮想マスクファイルを使用して基板をパターニングすること、を実行するように構成されている、システム。
【請求項18】
前記コントローラは、前記基板上にパターンを形成するために、前記基板を現像又はエッチングすることによって前記基板を処理するように更に構成されている、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記補助的なフィーチャの前記幅は、前記主たるフィーチャの限界寸法よりも小さい、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記コントローラは、ルックアップテーブルを参照するように更に構成され、前記ルックアップテーブルは、前記主たるフィーチャに関する経験的データを含む、請求項17に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示の実施形態は、広くは、リソグラフィシステムに関する。特に、本開示の実施形態は、リソグラフィ環境内でフィーチャをプリント(print)する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] フォトリソグラフィは、半導体デバイスやディスプレイデバイス(例えば、液晶ディスプレイ(LCD))の製造に広く用いられている。LCDの製造においては、大面積基板が利用されることが多い。LCD又はフラットパネルは、一般的に、コンピュータ、タッチパネルデバイス、携帯情報端末(PDA)、携帯電話、テレビモニタなどのアクティブマトリクスディスプレイに使用される。通常、フラットパネルは、2枚のプレートの間に配置された、画素を形成する液晶材料の層を含んでよい。電源からの電力が液晶材料にわたって印加されると、液晶材料を通過する光の量が画素の位置において制御されてよく、画像の生成が可能となる。
【0003】
[0003] 概して、リソグラフィ技法は、画素を形成する液晶材料層の一部として組み込まれる電気的フィーチャを生成するために利用される。マスクレスリソグラフィ技法は、仮想マスクを作成することを含み、膜の選択された部分が膜から除去されて、基板上の膜内にパターンを生成する。しかし、デバイスのサイズが減少するにつれて、解像度を高めることが引き続き必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
[0004] 一実施形態では、方法が提供される。該方法は、リソグラフィプロセスのための1以上の主たるフィーチャを規定するデータを受け取ることを含む。主たるフィーチャは、1以上のポリゴン(polygon)を含む。該方法は、主たるフィーチャを規定するデータに基いて、1以上の補助的なフィーチャの位置及び幅を特定すること、及び、リソグラフィプロセス中に主たるフィーチャに適用されるパターンバイアスを特定することを更に含む。主たるフィーチャのパターンバイアスは、補助的なフィーチャの位置及び幅に基いて特定される。該方法は、主たるフィーチャに対応するデータ、補助的なフィーチャに対応するデータ、及びパターンバイアスに対応するデータを仮想マスクファイルに変換すること、並びに、マスクレスリソグラフィデバイス内で仮想マスクファイルを使用して基板をパターニングすることを更に含む。
【0005】
[0005] 更に別の一実施形態では、方法が提供される。該方法は、リソグラフィプロセスのための1以上の主たるフィーチャを規定するデータを受け取ることを含む。主たるフィーチャは、1以上のポリゴンを含む。該方法は、データに基いて空間像(aerial image)及びレジストプロファイルを予測するように構築されたリソグラフィモデルにデータを入力すること、並びに、リソグラフィモデルを解くための数値計算を使用して1以上の補助的なフィーチャの位置及び幅を特定することを更に含む。その場合、特定される位置及び幅は、データに基いて基板のフォトレジスト内に形成される主たるフィーチャの最大強度対数勾配(ILS)又は最大焦点深度に対応する。該方法は、リソグラフィプロセス中に主たるフィーチャに適用されるパターンバイアスを特定することを更に含む。主たるフィーチャのパターンバイアスは、リソグラフィモデルを解くための数値計算を使用して特定される。その場合、特定されるパターンバイアスは、データに基いて基板のフォトレジスト内に形成される主たるフィーチャの最大ILS又は最大焦点深度に対応する。該方法は、主たるフィーチャに対応するデータ、補助的なフィーチャに対応するデータ、及びパターンバイアスに対応するデータを仮想マスクファイルに変換すること、並びに、マスクレスリソグラフィデバイス内で仮想マスクファイルを使用して基板をパターニングすることを更に含む。
【0006】
[0006] 更に別の一実施形態では、システムが提供される。該システムは、フォトレジストが上に配置された基板を支持するように構成された可動ステージ、並びに、可動ステージの上に配置された処理ユニットであって、処理ユニットと通信するコントローラによって提供される仮想マスクファイルをプリントするように構成された処理ユニットを含む。該コントローラは、リソグラフィプロセスのための1以上の主たるフィーチャを規定するデータを受け取るように構成される。主たるフィーチャは、1以上のポリゴンを含む。該コントローラは、主たるフィーチャを規定するデータに基いて、1以上の補助的なフィーチャの位置及び幅を特定すること、及び、リソグラフィプロセス中に主たるフィーチャに適用されるパターンバイアスを特定すること、を実行するように更に構成される。主たるフィーチャのパターンバイアスは、補助的なフィーチャの位置及び幅に基いて特定される。該コントローラは、主たるフィーチャに対応するデータ、補助的なフィーチャに対応するデータ、及びパターンバイアスに対応するデータを仮想マスクファイルに変換すること、並びに、処理ユニットで仮想マスクファイルを使用して基板をパターニングすること、を実行するように更に構成される。
【0007】
[0007] 上述した本開示の特徴を詳細に理解できるように、一部が添付の図面に例示されている実施形態を参照しながら、上記に短く要約した本開示をより具体的に説明する。しかし、添付図面は例示的な実施形態を示しているに過ぎず、したがって、本開示の範囲を限定すると見なすべきではなく、その他の等しく有効な実施形態も許容され得ることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】[0008] 本明細書で説明される実施形態によるリソグラフィ環境の概略図である。
【
図2】[0009] 本明細書で説明される実施形態による例示的なマスクレスリソグラフィデバイスの斜視図である。
【
図3A】[0010]
図3A及び
図3Bは、本明細書で説明される実施形態によるデジタルパターンファイルのマスクパターンの概略図である。
【
図3B】
図3A及び
図3Bは、本明細書で説明される実施形態によるデジタルパターンファイルのマスクパターンの概略図である。
【
図4A】[0011]
図4A~
図4Dは、本明細書で説明される実施形態によるマスクパターンの構成の概略図である。
【
図4B】
図4A~
図4Dは、本明細書で説明される実施形態によるマスクパターンの構成の概略図である。
【
図4C】
図4A~
図4Dは、本明細書で説明される実施形態によるマスクパターンの構成の概略図である。
【
図4D】
図4A~
図4Dは、本明細書で説明される実施形態によるマスクパターンの構成の概略図である。
【
図5】[0012] 本明細書で説明される実施形態によるルールベース(rule-based)露光を実行するための方法のフロー図である。
【
図6】[0013] 本明細書で説明される実施形態によるルールベースプロセスフローの概略図である。
【
図7】[0014] 本明細書で説明される実施形態によるモデルベース(model based)露光を実行するための方法のフロー図である。
【
図8】[0015] 本明細書で説明される実施形態によるモデルベースプロセスフローの概略図である。
【
図9】[0016] 本明細書で説明される実施形態による処理システムを描く。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0017] 理解を容易にするために、可能な場合には、図に共通する同一の要素を指し示すのに同一の参照番号を使用した。一実施形態の要素及び特徴は、追加の記述がなくても、他の複数の実施形態に有益に組み込むことができると考えられている。
【0010】
[0018] 本開示の実施形態は、広くは、リソグラフィシステムに関する。特に、本開示の実施形態は、リソグラフィ環境内でフィーチャをプリントする方法に関する。該方法は、マスクパターンを特定することを含む。マスクパターンは、リソグラフィプロセスにおいて主たるフィーチャと共にマスクレスリソグラフィデバイスに提供される補助的なフィーチャを含む。補助的なフィーチャは、ルールベースプロセスフロー又はリソグラフィモデルプロセスフローを用いて特定される。
【0011】
[0019] 一実施形態では、方法が提供される。該方法は、リソグラフィプロセスのための1以上の主たるフィーチャを規定するデータを受け取ることを含む。主たるフィーチャは、1以上のポリゴンを含む。該方法は、主たるフィーチャを規定するデータに基いて、1以上の補助的なフィーチャの位置及び幅を特定すること、及び、リソグラフィプロセス中に主たるフィーチャに適用されるパターンバイアスを特定することを更に含む。主たるフィーチャのパターンバイアスは、補助的なフィーチャの位置及び幅に基いて特定される。該方法は、主たるフィーチャに対応するデータ、補助的なフィーチャに対応するデータ、及びパターンバイアスに対応するデータを仮想マスクファイルに変換すること、並びに、マスクレスリソグラフィデバイス内で仮想マスクファイルを使用して基板をパターニングすることを更に含む。
【0012】
[0020] 更に別の一実施形態では、方法が提供される。該方法は、リソグラフィプロセスのための1以上の主たるフィーチャを規定するデータを受け取ることを含む。主たるフィーチャは、1以上のポリゴンを含む。該方法は、データに基いて空間像及びレジストプロファイルを予測するように構築されたリソグラフィモデルにデータを入力すること、並びに、リソグラフィモデルを解くための数値計算を使用して1以上の補助的なフィーチャの位置及び幅を特定することを更に含む。その場合、特定される位置及び幅は、データに基いて空間像及びレジストプロファイルを予測するように構築されたリソグラフィモデルにデータを入力することを更に含む。基いて基板のフォトレジスト内に形成される主たるフィーチャの最大強度対数勾配(ILS)又は最大焦点深度に対応する。該方法は、リソグラフィプロセス中に主たるフィーチャに適用されるパターンバイアスを特定することを更に含む。主たるフィーチャのパターンバイアスは、リソグラフィモデルを解くための数値計算を使用して特定される。その場合、特定されるパターンバイアスは、データに基いて基板のフォトレジスト内に形成される主たるフィーチャの最大ILS又は最大焦点深度に対応する。該方法は、主たるフィーチャに対応するデータ、補助的なフィーチャに対応するデータ、及びパターンバイアスに対応するデータを仮想マスクファイルに変換すること、並びに、マスクレスリソグラフィデバイス内で仮想マスクファイルを使用して基板をパターニングすることを更に含む。更に別の一実施形態では、システムが提供される。該システムは、フォトレジストが上に配置された基板を支持するように構成された可動ステージ、並びに、可動ステージの上に配置された処理ユニットであって、処理ユニットと通信するコントローラによって提供される仮想マスクファイルをプリントするように構成された処理ユニットを含む。該コントローラは、リソグラフィプロセスのための1以上の主たるフィーチャを規定するデータを受け取るように構成される。主たるフィーチャは、1以上のポリゴンを含む。該コントローラは、主たるフィーチャを規定するデータに基いて、1以上の補助的なフィーチャの位置及び幅を特定すること、及び、リソグラフィプロセス中に主たるフィーチャに適用されるパターンバイアスを特定すること、を実行するように更に構成される。主たるフィーチャのパターンバイアスは、補助的なフィーチャの位置及び幅に基いて特定される。該コントローラは、主たるフィーチャに対応するデータ、補助的なフィーチャに対応するデータ、及びパターンバイアスに対応するデータを仮想マスクファイルに変換すること、並びに、処理ユニットで仮想マスクファイルを使用して基板をパターニングすること、を実行するように更に構成される。
【0013】
[0021] 更に別の一実施形態では、システムが提供される。該システムは、フォトレジストが上に配置された基板を支持するように構成された可動ステージ、並びに、可動ステージの上に配置された処理ユニットであって、処理ユニットと通信するコントローラによって提供される仮想マスクファイルをプリントするように構成された処理ユニットを含む。該コントローラは、リソグラフィプロセスのための1以上の主たるフィーチャを規定するデータを受け取るように構成される。主たるフィーチャは、1以上のポリゴンを含む。該コントローラは、主たるフィーチャを規定するデータに基いて、1以上の補助的なフィーチャの位置及び幅を特定すること、及び、リソグラフィプロセス中に主たるフィーチャに適用されるパターンバイアスを特定すること、を実行するように更に構成される。主たるフィーチャのパターンバイアスは、補助的なフィーチャの位置及び幅に基いて特定される。該コントローラは、主たるフィーチャに対応するデータ、補助的なフィーチャに対応するデータ、及びパターンバイアスに対応するデータを仮想マスクファイルに変換すること、並びに、処理ユニットで仮想マスクファイルを使用して基板をパターニングすること、を実行するように更に構成される。
【0014】
[0022]
図1は、リソグラフィ環境100の概略図である。図示されているように、リソグラフィ環境100は、マスクレスリソグラフィデバイス108、コントローラ110、及び通信リンク101を含むが、それらに限定されない。コントローラ110は、コントローラ110に提供されるデジタルパターンファイル104(例えば、データ)の転送を容易にするように動作可能である。コントローラ110は、仮想マスクソフトウェアアプリケーション102及びパターン修正ソフトウェアアプリケーション106を実行するように動作可能である。リソグラフィ環境デバイスの各々は、通信リンク101を介して互いと接続されるように動作可能である。リソグラフィ環境デバイスの各々は、通信リンク101によってコントローラ110と接続されるように動作可能である。リソグラフィ環境100は、同じエリア若しくは製造施設内に位置付けられ得る。或いは、リソグラフィ環境デバイスの各々は、異なるエリア内に位置付けられ得る。幾つかの事例では、仮想マスクソフトウェアアプリケーション102、デジタルパターンファイル104、及び/又はパターン修正ソフトウェアアプリケーション106のうちの1以上が、コントローラ110(例えば、メモリ116)にローカルに記憶されてよい。更に又は代替的に、仮想マスクソフトウェアアプリケーション102、デジタルパターンファイル104、及び/又はパターン修正ソフトウェアアプリケーション106のうちの1以上は、遠隔で(例えば、クラウドに)記憶されてよい。
【0015】
[0023] 複数のリソグラフィ環境デバイスの各々は、本明細書で説明される方法500動作及び方法700動作で更にインデックス付けされる。本明細書で説明される他の複数の実施形態と組み合わされ得る一実施形態では、マスクレスリソグラフィデバイス108とコントローラ110の各々が、搭載型プロセッサ及びメモリを含む。その場合、メモリは、以下で説明される方法500及び700の任意の部分に対応する指示命令を記憶するように構成される。通信リンク101は、有線接続、無線接続、衛星接続などのうちの少なくとも1つを含んでよい。通信リンク101は、本明細書で更に説明される複数の実施形態に従って、データを記憶するためのファイルの送受信を容易にする。通信リンク101に沿ったデータの転送は、リソグラフィ環境デバイスにファイル又はデータを転送又はコピーする前に、ファイル又はデータをクラウド内に一時的に又は恒久的に記憶することを含み得る。
【0016】
[0024] コントローラ110は、中央処理装置(CPU)112、サポート回路114、及びメモリ116を含む。CPU112は、リソグラフィ環境を制御するために産業用設定で使用され得るコンピュータプロセッサの任意の形態の1つであり得る。メモリ116は、CPU112に結合される。メモリ116は、容易に利用可能なメモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、フロッピーディスク、ハードディスク、又はローカル若しくは遠隔のデジタルストレージの任意の他の形態)のうちの1以上であり得る。サポート回路114は、プロセッサをサポートするためにCPU112に結合される。これらの回路は、キャッシュ、電源、クロック回路、入力/出力回路、サブシステムなどを含む。コントローラ110は、サポート回路114及びメモリ116内で見られる入力/出力(I/O)デバイスに結合されるCPU112を含み得る。コントローラ110は、通信リンク101を介したマスクレスリソグラフィデバイス108へのデジタルパターンファイル104の転送を容易にするように動作可能である。デジタルパターンファイル104は、コントローラ110を介して仮想マスクソフトウェアアプリケーション102又はマスクレスリソグラフィデバイス108に提供されるように動作可能である。
【0017】
[0025] メモリ116は、仮想マスクソフトウェアアプリケーション102やパターン修正ソフトウェアアプリケーション106などの1以上のソフトウェアアプリケーションを含み得る。メモリ116はまた、本明細書で説明される方法500及び700を実行するためにCPU112によって使用される記憶された媒体データも含み得る。CPU112は、ソフトウェアアプリケーションを実行し、データを処理することができる、ハードウェアユニット又はハードウェアユニットの組み合わせであり得る。幾つかの構成では、CPU112が、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、及び/又はそのようなユニットの組み合わせを含む。CPU112は、仮想マスクソフトウェアアプリケーション102やパターン修正ソフトウェアアプリケーション106などの1以上のソフトウェアアプリケーションを実行し、記憶された媒体データを処理するように構成される。それらは、各々、メモリ116内に含まれ得る。コントローラ110は、仮想リソグラフィ環境デバイスへ及び仮想リソグラフィ環境デバイスからのデータ及びファイルの転送を制御する。メモリ116はまた、本明細書で説明される複数の実施形態による方法500又は方法700の任意の動作に対応する複数の指示命令を記憶するようにも構成される。
【0018】
[0026] コントローラ110は、通信リンク101を介して、デジタルパターンファイル104のパターンフィーチャ(
図3A~
図3Bで示されている)を受け取り、それらのパターンフィーチャをマスクレスリソグラフィデバイス108に転送するように動作可能である。コントローラ110はまた、パターン修正ソフトウェアアプリケーション106によって提供されるデジタルパターンファイル104に基いて、デジタルリソグラフィプロセスの制御及び自動化を容易にしてもよい。デジタルパターンファイル104(又はコンピュータ指示命令)は、イメージングデザインファイルと呼ばれてよく、コントローラ110によって可読であってよく、基板上でどの作業が実行可能であるかを特定する。仮想マスクソフトウェアアプリケーション102及びパターン修正ソフトウェアアプリケーション106は、コントローラ110から分離されて(例えば、クラウド内に)図示されているが、仮想マスクソフトウェアアプリケーション102及びパターン修正ソフトウェアアプリケーション106は、ローカル(例えば、メモリ116内)に記憶されてよいことが考慮されている。
【0019】
[0027] デジタルパターンファイル104は、マスクレスリソグラフィデバイス108によって出力された電磁放射を使用してフォトレジストの中に書き込まれるパターンに対応する。本明細書で説明される他の複数の実施形態と組み合わされ得る一実施形態では、パターンが、1以上のパターニングデバイスを用いて形成されてよい。例えば、1以上のパターニングデバイスは、イオンビームエッチング、反応性イオンエッチング、電子ビーム(e-beam)エッチング、ウェットエッチング、ナノインプリントリソグラフィ(NIL)、及びそれらの組み合わせを実行するように構成される。デジタルパターンファイル104は、異なるフォーマットで提供されてよい。例えば、デジタルパターンファイル104のフォーマットは、とりわけ、GDSフォーマットとOASISフォーマットのうちの一方であってよい。デジタルパターンファイル104は、デジタルパターンファイル104内に含まれるパターンフィーチャに基づいてプリントされるフィーチャに対応する情報を含む。プリントされるフィーチャは、基板(例えば、基板220)上に生成されることになる。デジタルパターンファイル104は、1以上の構造要素に対応する関心エリアを含んでよい。構造要素は、幾何学的形状(例えば、ポリゴン)として構築されてよい。
【0020】
[0028] パターン修正ソフトウェアアプリケーション106は、デジタルパターンファイル104を修正及び/又は更新するために実行可能である。本明細書で説明される他の複数の実施形態と組み合わされ得る一実施形態では、パターン修正ソフトウェアアプリケーション106が、コントローラ110のメモリ116内に記憶されたソフトウェアプログラムである。CPU112は、ソフトウェアプログラムを実行するように構成されている。本明細書で説明される他の複数の実施形態と組み合わされ得る別の一実施形態では、パターン修正ソフトウェアアプリケーション106が、コントローラ及びメモリ(例えば、データストア)を含む遠隔コンピュータサーバであってよい。
【0021】
[0029] デジタルパターンファイル104は、コントローラ110に提供される。コントローラ110は、パターン修正ソフトウェアアプリケーション106をデジタルパターンファイル104に適用する。例えば、パターン修正ソフトウェアアプリケーション106は、遠隔で又はローカルに適用されてよい。パターン修正ソフトウェアアプリケーション106は、1以上の主たるフィーチャ304(
図3A及び
図3Bで示されている)に隣接した1以上の補助的なフィーチャ306(
図3A及び
図3Bで示されている)を含むことによって、デジタルパターンファイル104を修正及び更新するように動作可能である。本明細書で説明される他の複数の実施形態と組み合わされ得る一実施形態では、パターン修正ソフトウェアアプリケーション106が、1以上の補助的なフィーチャ306の適用のためのルールベースアルゴリズムを利用する。ルールベースアルゴリズムは、ルックアップテーブルを利用して、デジタルパターンファイル104内に含まれる補助的なフィーチャ306の位置及び幅を特定する。
【0022】
[0030] ルックアップテーブルは、主たるフィーチャ304(
図3A及び
図3Bで示されている)の位置及び寸法に関する経験的データを含む。ルールベースアルゴリズムは、ルックアップテーブルを参照して、デジタルパターンファイル104に基いて基板のフォトレジスト内に形成されるプリントされるフィーチャの強度対数勾配(ILS)及び焦点深度を最大化する、補助的なフィーチャ306(
図3A及び
図3Bで示されている)の位置及び幅を特定する。ルールベースアルゴリズムは、更に、ルックアップテーブルを参照して、主たるフィーチャ304(
図3A及び
図3Bで示されている)に適用されるパターンバイアスを特定する。ルックアップテーブルは、補助的なフィーチャ306(
図3A及び
図3Bで示されている)の位置及び幅に基いて、主たるフィーチャ304(
図3A及び
図3Bで示されている)に対して所望される寸法を維持するために必要とされる主たるフィーチャ304のバイアスに関する経験的データを含む。
【0023】
[0031] ルールベースアルゴリズムは、一組の試験フィーチャを設計し、その試験フィーチャをプリントし、複数の試験を結果としてのILS値と相関させることによって、経験的に構築される。例えば、限界寸法が1μmの孤立した試験フィーチャの場合、幅が異なる複数の補助的なフィーチャが生成され、各1μmの試験フィーチャごとに様々な場所に配置される。パターンバイアスはまた、変数として試験フィーチャの組に追加されてもよい。試験フィーチャは、プリントされ、検査される。ILS及び/又は焦点深度が最大で、試験フィーチャの組の寸法が正しく、余分なプリントされたパターンがない結果が、ルックアップテーブルに追加される。したがって、ルックアップテーブルは、提供されたデジタルパターンファイル104に基いて、可能な限り最大のILS及び焦点深度(又は他の値、ユーザが規定した規則に基いて)を実現するための、補助的なフィーチャの位置及び幅を示すデータの行を含む。幾つかの実施例では、本明細書で規定されるソフトウェアアルゴリズムが、ルックアップテーブルから絶対的に最大のILS値を有する補助的なフィーチャを選択しなくてもよい。むしろ、ソフトウェアアルゴリズムは、他の予め規定された条件も満たす中でILS値が最も大きい補助的なフィーチャを選択してよい。そのような一実施例では、ソフトウェアアルゴリズムが、他の(第1の)フィーチャがアルゴリズムの他の規則を満たさない場合、第2、第3、又は他の最大のILS値を有する補助的なフィーチャを選択してよい。
【0024】
[0032] その後のプリント動作では、パターン修正ソフトウェアアプリケーション106が、1μmの限界寸法を有する孤立した主たるフィーチャ304を検出すると、ルックアップテーブルを参照することによって、補助的なフィーチャ及びパターンバイアスが特定される。ルックアップテーブルの各行は、主たるフィーチャの1つの種類に対応してよい。例えば、ルックアップテーブルは、1μmの幅の孤立した主たるフィーチャ用の単一の行、及び、隣接する主たるフィーチャ間で3μmのポリゴン間隔を有する1μmの幅の主たるフィーチャ用の別の1つの行を含んでよい。他の実施例、変数、及び値も考慮されている。ルックアップテーブル及び/又は選択は、処理結果に応じて改良又は更新されてよいことが、考慮されている。
【0025】
[0033] 本明細書で説明される他の複数の実施形態と組み合わされ得る別の一実施形態では、パターン修正ソフトウェアアプリケーション106が、リソグラフィモデルを利用する。リソグラフィモデルは、デジタルパターンファイル104を解析して、基板のフォトレジスト内に形成されるフィーチャの強度対数勾配(ILS)及び焦点深度を大きくする。
【0026】
[0034] リソグラフィのモデルは、物理ベースのモデルである。リソグラフィモデルは、スカラーイメージングモデル又はベクトルイメージングモデルのいずれかを使用してよい。例えば、リソグラフィモデルは、光学特性及び/又はフォトレジスト特性によって規定されるマトリックスである透過クロス係数(TCC)を利用してよい。解像度向上技術(RET)、光近接効果補正(OPC)、及び光源マスク最適化(SMO)などの、他の数値シミュレーション技法も利用されてよい。しかし、現在知られているものであれ、後に開発されるものであれ、そのようなモデル及びモデリング技法は全て、本開示の範囲内にあることが意図される。リソグラフィモデルは、光学特性(例えば、マスクレスリソグラフィデバイス108に関する光学特性)とフォトレジスト特性(例えば、パターンがプリントされることになる材料などのフォトレジストの特性、及びフォトレジストの処理特性)に基いて規定されるように構築される。フォトレジスト特性は、開口数、露光量、照明の種類、照明のサイズ、及び波長を含み、他の値を含んでもよい。
【0027】
[0035] リソグラフィモデルが構築されると、デジタルパターンファイル104は、リソグラフィモデルに入力される。次いで、リソグラフィモデルは、デジタルパターンファイル104の空間像及びレジストプロファイルの予測を出力する。後処理動作により、デジタルパターンファイル104に基いて基板のフォトレジスト内に形成されるフィーチャのILS及び焦点深度が特定されてよい。リソグラフィモデルは、数値計算を利用して、最大ILS及び最大焦点深度(又は他の予め規定された制約の範囲内の最大ILS及び最大焦点深度)を実現するための変数を予測することになる。変数は、補助的なフィーチャ306(
図3A及び
図3Bで示されている)の幅318及び位置320、並びに、主たるフィーチャ304(
図3Bで示されている)のパターンバイアス値を含む。数値計算は、反復法、レベルセット法、又はリソグラフィモデルを解くために動作可能な任意の他の数値方法であってもよい。
【0028】
[0036] 一実施形態では、リソグラフィモデルが、デジタルパターンファイル104の変数を反復的に調整することによって、デジタルパターンファイル104を改良する。変数は、予め規定された制約の範囲内で特定される。予め規定された制約には、余分なフィーチャがプリントされないこと、及び、主たるフィーチャがデジタルパターンファイル内で概説された所望される寸法を有すること、を保証することが含まれる。変数は、フィーチャの閾値強度対数勾配(ILS)及び/又は閾値焦点深度が実現されるまで、パターン修正ソフトウェアアプリケーション106のリソグラフィモデル又は他の規則に従って反復的に調整される。更に又は代替的に、パターン修正ソフトウェアアプリケーション106は、フィーチャの最大強度対数勾配(ILS)及び/又は最大焦点深度が実現されるまで、パターン修正ソフトウェアアプリケーション106のアルゴリズム又は他の規則に従って、デジタルパターンファイル104の変数を反復的に調整することによって、デジタルパターンファイル104を改良する。リソグラフィモデルはまた、補助的なフィーチャ306の幅が、補助的なフィーチャ306がプリントされることを可能にするのに十分大きくないことも保証する。リソグラフィモデルは、主たるフィーチャ304がデジタルパターンファイル104に基く所望のパターンの許容範囲内にあるように、バイアスが適用されることを保証する。
【0029】
[0037] デジタルパターンファイル104は、デジタルパターンファイル104をパターン修正ソフトウェアアプリケーション106を用いて更新した後で、仮想マスクソフトウェアアプリケーション102に提供されてよい。コントローラ110は、デジタルパターンファイル104を仮想マスクソフトウェアアプリケーション102に提供する。仮想マスクソフトウェアアプリケーション102は、通信リンク101を介してデジタルパターンファイル104を受け取るように動作可能である。仮想マスクソフトウェアアプリケーション102は、vMASCソフトウェアであり得る。本明細書で説明される他の複数の実施形態と組み合わされ得る一実施形態では、仮想マスクソフトウェアアプリケーション102が、コントローラ110のメモリ116内に記憶されたソフトウェアプログラムである。CPU112は、ソフトウェアプログラムを実行するように構成されている。本明細書で説明される他の複数の実施形態と組み合わされ得る別の一実施形態では、仮想マスクソフトウェアアプリケーション102が、コントローラ及びメモリ(例えば、データストア)を含む遠隔コンピュータサーバであってよい。
【0030】
[0038] デジタルパターンファイル104は、仮想マスクソフトウェアアプリケーション102によって仮想マスクファイルに変換される。仮想マスクファイルは、マスクレスリソグラフィデバイス108によってプリントされるデザインのデジタル表現である。仮想マスクファイルは、通信リンク101を介してマスクレスリソグラフィデバイス108に提供される。本明細書で説明される他の複数の実施形態と組み合わされ得る一実施形態では、仮想マスクファイルが、マスクレスリソグラフィデバイス108内にローカルに記憶されてよい。
【0031】
[0039]
図2は、例示的なマスクレスリソグラフィデバイス108の斜視図である。マスクレスリソグラフィデバイス108は、ステージ214及び処理ユニット204を含む。ステージ214は、一対の軌道216によって支持されている。基板220が、ステージ214によって支持されている。ステージ214は、一対の軌道216に沿って移動するように動作可能である。ステージ214の位置の情報をリソグラフィコントローラ222に提供するために、エンコーダ218がステージ214に結合されている。マスクレスリソグラフィデバイス108は、コントローラ110と通信する。コントローラ110は、マスクパターンに対応する1以上の仮想マスクファイルを供給するように動作可能である。或いは、コントローラは、それ以外の方法で、本明細書で説明されるプロセスを実行するように構成されている。
【0032】
[0040] リソグラフィコントローラ222は、概して、本明細書で説明される処理技法の制御及び自動化を容易にするように設計されている。リソグラフィコントローラ222は、処理ユニット204、ステージ214、及びエンコーダ218に結合されてよく、又はそれらと通信してよい。処理ユニット204及びエンコーダ218は、基板処理及び基板の位置合わせに関する情報をリソグラフィコントローラ222に提供してよい。例えば、処理ユニット204は、基板処理が完了したことをリソグラフィコントローラ222に警告するように、リソグラフィコントローラ222に情報を提供してよい。リソグラフィコントローラ222は、仮想マスクソフトウェアアプリケーション102によって提供された仮想マスクファイルに基いて、マスクレスリソグラフィプロセスの制御及び自動化を容易にする。リソグラフィコントローラ222によって読まれることが可能な仮想マスクファイルは、基板上でどの作業が実行されるべきかを特定する。仮想マスクファイルは、電磁放射を使用してフォトレジストの中に書き込まれる露光パターンに対応する。
【0033】
[0041] 基板220は、フラットパネルディスプレイの一部として使用される任意の適切な材料(例えば、ガラス)を含む。本明細書で説明される他の複数の実施形態と組み合わされ得る他の複数の実施形態では、基板220が、フラットパネルディスプレイの一部として使用されることが可能な他の材料から作製される。基板220は、パターンエッチングなどによって上にパターンが形成される膜層、及びパターニングされる膜層上に形成されるフォトレジスト層を有する。フォトレジスト層は、電磁放射(例えば、UV、又は深UV「光」)に敏感である。ポジ型フォトレジストは、放射線に露光されるとフォトレジスト現像液に溶解するフォトレジスト部分を含む。フォトレジスト現像液は、電磁放射を用いてパターンがフォトレジストに書き込まれた後にフォトレジストに付加される。ネガ型フォトレジストは、放射線に露光されるとフォトレジスト現像液に溶解しないフォトレジスト部分を含む。フォトレジスト現像液は、電磁放射を用いてパターンがフォトレジストに書き込まれた後にフォトレジストに付加される。フォトレジストの化学組成により、そのフォトレジストがポジ型フォトレジストであるか、又はネガ型フォトレジストであるかが決まる。フォトレジストの例には、ジアゾナフトキノン、フェノールホルムアルデヒド樹脂、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(メチルグルタルイミド)、及びSU-8のうちの少なくとも1つが含まれるが、これらに限定されない。フォトレジストが電磁放射に露光された後で、レジストが現像されて、露光された下層の膜層が残る。次いで、パターニングされたフォトレジストを用いて、下層の薄膜がフォトレジストの開口部を通してパターンエッチングされ、ディスプレイパネルの電子回路の一部が形成される。
【0034】
[0042] 処理ユニット204は、処理ユニット204が一対の軌道216を跨ぐように、支持体208によって支持されている。支持体208は、一対の軌道216及びステージ214が処理ユニット204の下を通過するための開口部212を提供する。処理ユニット204は、仮想マスクソフトウェアアプリケーション102から仮想マスクファイルを受けとるように構成されたパターン生成器である。仮想マスクファイルは、リソグラフィコントローラ222を介して処理ユニット204に提供される。処理ユニット204は、1以上の画像投影システム206を使用して、マスクレスリソグラフィプロセスにおいてフォトレジストを露光させるように構成されている。1以上の画像投影システム206は、電磁放射の書き込みビームを基板220に投影するように動作可能である。処理ユニット204によって生成された露光パターンは、画像投影システム206によって投影されて、基板220のフォトレジストを露光パターンに曝露する。
【0035】
[0043] フォトレジストの露光により、フォトレジスト内に1以上の異なるプリントされるフィーチャが形成される。本明細書で説明される他の複数の実施形態と組み合わされ得る一実施形態では、各画像投影システム206が、所望の画像を生成するために入射光を変調させる空間光変調器を含む。空間光変調器には、デジタルマイクロミラー、液晶ディスプレイ(LCD)、シリコン上液晶(LCoS)デバイス、シリコン上強誘電性液晶(FLCoS)デバイス、マイクロシャッタ(Microshutter)、マイクロLED、VCEL、、液晶ディスプレイ(LCD)、又は電磁放射の任意の固体エミッタが含まれるが、それらに限定されない。本明細書で説明される他の複数の実施形態と組み合わされ得る一実施形態では、画像投影システム206が、空間光変調器の一例であるデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を利用して、電磁放射の書き込みビームを基板220に投影する。DMDは、フォトレジスト上に画像を投影するために使用される様々な用途で反射型デジタルライトスイッチとして使用され、それによって、フォトレジスト上にプリントされるフィーチャを露光及びプリントする。DMDは、概して、長方形アレイに配置された数十万から数百万個の超小型ミラー(「マイクロミラー」)を含む。各マイクロミラーは、プリントされる画像の単一の画素に対応しており、ヒンジの周りで様々な角度に傾斜し得る。
【0036】
[0044] 各マイクロミラーは、デジタルパターンファイル104(
図1で示されている)に基いて、「オン」位置又は「オフ」位置にあってよい。光がDMDに到達すると、「オン」位置にあるマイクロミラーは、複数の書き込みビームを投影レンズ(図示せず)に投影する。次に、投影レンズは、書き込みビームを基板220に投影する。DMDの隣接する各マイクロミラーは、180度の位相差を持っている。光は、DMDに斜めに照射される。隣接するミラーの光路長の差が波長の半分となり、180度の位相差が生じるような角度が特定される。隣接するマイクロミラー間の180度の位相差により、各書き込みビーム間にダークスペースが生成される。高密度の書き込みビームを含むプリントされるフィーチャの領域(すなわち、プリントされるフィーチャの内側部分)は、180度の位相シフトを含む。したがって、これらの領域は、プリントされるフィーチャの左端及び右端よりも、規格化(normalized)強度対数勾配(ILS)が大きくなることがある。左端と右端の書き込みビームは、一般的に画像のコントラストを鮮明にする180度の干渉を構築するマイクロミラーが隣接していないため、規格化ILSが小さくなる。規格化ILSを大きくすると、プロセスウィンドウが大きくなり、焦点深度を大きくすると、形成されるパターンのフォーカスウィンドウが大きくなる。このように、プロセスウィンドウ及びフォーカスウィンドウを大きくすると、マスクレスリソグラフィデバイス108は、より高い解像度のパターンをプリントすることができ、解像度制限を改善することができる。本明細書で説明される他の複数の実施形態と組み合わされ得る一実施形態では、解像度が約0.8μm未満である。書き込みビームが、デジタルパターンファイル104に従って投影され、ILS及び焦点深度を増加させることが有益なので、補助的なフィーチャを追加して、主たるフィーチャのエッジと180度の位相差を形成してよい。
【0037】
[0045]
図3Aは、デジタルパターンファイル104のマスクパターン300の概略図である。マスクパターン300は、基板220(
図2で示されている)のフォトレジスト内に形成されるフィーチャの強度対数勾配(ILS)及び焦点深度を大きくするように設計されている。デジタルパターンファイル104は、1以上のポリゴン302A~302Bを含んでよい。例えば、
図3Aは、第1のポリゴン302A及び第2のポリゴン302Bを示している。1以上のポリゴン302A及び302Bは、処理ユニット204(
図2で示されている)によって投影される電磁放射に曝露されるフォトレジストの部分に対応する。デジタルパターンファイル104の1以上のポリゴン302A及び302Bに対応するフォトレジスト内に形成されるフィーチャのILSを改善することは、1以上の画像投影システム206(
図2で示されている)の解像度制限を改善することになる。
【0038】
[0046] 2つのポリゴン302A及び302Bのみが
図3A及び
図3Bで示されているが、ポリゴンの数に制限はない。フォトレジスト内に1以上の異なるフィーチャが形成されてよいように、任意の形状のポリゴンが、1以上のポリゴン302A及び302Bのために使用され得ることを理解されたい。マスクパターン300は、明視野露光や暗視野露光だけでなく、あらゆるパターンタイプで利用されるように適用可能である。
【0039】
[0047] 第1のポリゴン302A及び第2のポリゴン302Bは、各々、主たるフィーチャ304及び1以上の補助的なフィーチャ306を含む。主たるフィーチャ304は、プリントされる主たるパターンを含む。主たるフィーチャ304の強度対数勾配(ILS)及び焦点深度を改善するために、補助的なフィーチャ306が追加される。補助的なフィーチャと主たるフィーチャ304の主たるフィーチャエッジ308との間で180度の位相干渉が構築されるように、補助的なフィーチャ306が含まれる。ILSは、プリントプロセスのフィーチャやプロセスウィンドウの忠実性に対応する。例えば、ILSが低いほど、より小さいプロセスウィンドウに対応する。
図3Aで示されているように、主たるフィーチャ304の主たるフィーチャエッジ308が、補助的なフィーチャ306の補助的なエッジ310と平行になっていると、ILSが改善される。本明細書で説明される他の複数の実施形態と組み合わされ得る一実施形態では、主たるフィーチャエッジ308が、補助的なエッジ310と平行ではない。
【0040】
[0048] 補助的なフィーチャ306は、各々、幅318及び位置320を有する。補助的なフィーチャ306の幅318は、異なる補助的なエッジ310に沿って異なってよい。補助的なエッジ310の幅318を大きくすると、ILSが大きくなるが、補助的なフィーチャ306の幅318は、限界寸法312よりも小さい。各補助的なエッジ310は、対応する主たるフィーチャエッジ308と平行である。補助的なフィーチャ306の位置320は、補助的なエッジ310と対応する主たるフィーチャエッジ308との間の距離として規定される。補助的なフィーチャ長317は、対応する主たるフィーチャエッジ308と位置合わせされるように必要に応じて改良されてよい。
【0041】
[0049] 本明細書で説明される他の複数の実施形態と組み合わされ得る一実施形態では、補助的なフィーチャ306の幅318及び位置320が、主たるフィーチャ304の限界寸法312、ポリゴン間隔322、及び/又は主たるフィーチャ304の配向に応じて改良される。補助的なフィーチャ306の幅は、限界寸法312よりも小さくなければならない。それによって、補助的なフィーチャ306はプリントされない。更に、隣接する補助的なフィーチャ306は、各々、十分に離れた位置320を有さなければならない。それによって、補助的なフィーチャ306はプリントされない。十分に離れていない位置320を有する補助的なフィーチャ306はプリントされることになる。回折により、基板(例えば、基板220)が補助的なフィーチャ306から光量を受け取るエリアは、補助的なフィーチャ306によって規定されるエリアよりもわずかに大きい。2つの補助的なフィーチャ306が互いと近すぎるときに、2つの補助的なフィーチャ306の中間領域は、増加した光量を受け取り、したがって、基板上にプリントされ、仮想マスクファイル内の概説された所望のパターンを変更する可能性がある。
【0042】
[0050] 補助的なフィーチャ306の位置320は、補助的なフィーチャ306と主たるフィーチャ304とが、閾値距離を超えて分離されるようなものになる。閾値距離を超えない場合、補助的なフィーチャ306は、後続のリソグラフィプロセスにおいてプリントされることがある。したがって、補助的なフィーチャ306は、閾値距離を超えるような位置320を有するべきである。ポリゴン間隔322は、隣接するポリゴン302Aと302Bとの間の距離として規定される。ポリゴン間隔322は、補助的なフィーチャ306の各々の位置320に影響を与えることになる。マスクパターン300は、幅318及び位置320を有する補助的なフィーチャ306を用いて改良及び更新される。それによって、補助的なフィーチャ306は、プリントされないことになる。したがって、ポリゴン間隔322に応じて、1以上の補助的なフィーチャ306を隣接する主たるフィーチャ304間に配置して、プリントされることなしにILSを改善してよい。本明細書で説明される他の複数の実施形態と組み合わされ得る一実施形態では、
図3Aで示されているように、補助的なフィーチャ306の幅318が、主たるフィーチャエッジ308のILSを改善するように増加されてよい。1つの補助的なフィーチャ306はまた、第1のポリゴン302A及び第2のポリゴン302Bについて主たるフィーチャエッジ308のILSを改善してもよい。更に、主たるフィーチャ304の配向は、補助的なフィーチャ306の位置320及び/又は幅318に影響を与えることがある。DMD(マイクロミラーデバイス)は円対称ではないため、DMDによるフィーチャの定量化の仕方により、垂直方向の主たるフィーチャ304は、45度方向の主たるフィーチャ304とは異なるようにプリントされることになる。
【0043】
[0051]
図3Bは、デジタルパターンファイル104のマスクパターン300の概略図である。
図3Bは、パターンバイアス314を有するマスクパターン300の主たるフィーチャ304を示している。補助的なフィーチャ306により、主たるフィーチャ304の寸法は増減することになる。補助的なフィーチャ306と主たるフィーチャ304の各々に光が照射された後で、電界が生成される。電界には極性があり、2つの電界が同じ極性であれば、主たるフィーチャ304の強度及び寸法が増加する。極性が異なると、主たるフィーチャ304の強度及び寸法が減少する。
【0044】
[0052] 主たるフィーチャ304の寸法の変化を補償するために、パターンバイアス314が、主たるフィーチャ304に実装されることになる。パターンバイアス314は、主たるフィーチャ304の限界寸法312の増加又は減少のいずれかを含み、補助的なフィーチャ306の追加前に、バイアスされた限界寸法316を得る。したがって、主たるフィーチャの寸法が増減したときに、バイアスされた限界寸法316は、所望の限界寸法312にシフトすることになる。パターンバイアス314は、正のバイアス又は負のバイアスのいずれかであってよい(すなわち、バイアスされた限界寸法316を実現するために、限界寸法312を増減させる)。パターンバイアス314は、補助的なフィーチャ306の効果の後で、限界寸法312が実現されるように実装される。
図3Bで示されているように、パターンバイアス314は、正のバイアスであり、主たるフィーチャ304に適用される。それによって、バイアスされた限界寸法316は、限界寸法312よりも大きくなる。したがって、バイアスされた限界寸法316は、リソグラフィプロセス中に限界寸法312まで減少する。パターンバイアス314により、補助的なフィーチャ306にも関わらず、限界寸法312が実現されることが可能になる。パターンバイアス314は、シミュレーション又は実験を介して改良され得る。
【0045】
[0053] パターンバイアス314の挙動は、補助的なフィーチャ306の位置320に敏感である。補助的なフィーチャ306の幅318が増加し続けると、補助的なフィーチャ306は所望の位置320から移動し、ILSに対して無視できる又は負の効果をもたらすことがある。幾つかの実施形態では、補助的なフィーチャ306の幅318が、パターンバイアス314の量に対応する。例えば、幅318を大きくするとILSが増加するので、それに対応して限界寸法312が減少することになる。したがって、限界寸法312の減少を補償するために、パターンバイアス314を増加させることになる。限界寸法312は、デジタルパターンファイル104に基づいて許容される許容範囲内であるべきである。
【0046】
[0054]
図4A~
図4Dは、マスクパターン400A~400Dの構成の概略図である。各構成400A~400Bは、1以上の主たるフィーチャ304及び1以上の補助的なフィーチャ306を含む。
図4Aは、マスクパターン400の第1の構成400Aを描いている。第1の構成400Aは、補助的なフィーチャ306と主たるフィーチャ304とを交互に含む。2つの主たるフィーチャ304の間に1つだけの補助的なフィーチャ306が配置されているが、補助的なフィーチャ306の数は限定されない。例えば、主たるフィーチャ304の間に補助的なフィーチャ306が配置されない場合もある。別の一実施例では、2つの補助的なフィーチャが、主たるフィーチャ304の間に配置される。補助的なフィーチャ306の数は、主たるフィーチャ304の間のポリゴン間隔322に基いて特定される。補助的なフィーチャ306は、主たるフィーチャエッジ308に沿って規格化強度対数勾配(ILS)及び焦点深度を最大化するように動作可能な位置320及び幅318を有する。
【0047】
[0055]
図4Bは、マスクパターン400の第2の構成400Bを描いている。第2の構成400Bは、主たるフィーチャ304内に配置された1以上の反補助的なフィーチャ402を含む。補助的なフィーチャ306は、主たるフィーチャ304の間に配置される。反補助的なフィーチャ402は、主たるフィーチャ304の間に配置される。回折のため、反補助的なフィーチャ402によって寄与(又は控除)される電界が、sinc(sin(x)/x)関数であり、すなわち、電界はサイドローブ(sidelobe)を有する。したがって、電界の勾配は、反補助的なフィーチャ402から離れる方向において正の極性と負の極性との間で交互に現れる。反補助的なフィーチャ402と主たるフィーチャ304との間の距離が最適であると、反補助的なフィーチャ402の電界の勾配は、主たるフィーチャ304のILSを高めることになる。
【0048】
[0056] 2つの主たるフィーチャ304の間に1つだけの補助的なフィーチャ306が配置されているが、補助的なフィーチャ306の数は限定されない。例えば、主たるフィーチャ304の間に補助的なフィーチャ306が配置されない場合もある。別の一実施例では、2つの補助的なフィーチャが、主たるフィーチャ304の間に配置される。補助的なフィーチャ306の数は、主たるフィーチャ304の間のポリゴン間隔322に基いて特定される。更に、反補助的なフィーチャ402は限定されず、主たるフィーチャ304内に任意の数の反補助的なフィーチャ402が存在してよい。補助的なフィーチャ306は、主たるフィーチャエッジ308に沿って規格化強度対数勾配(ILS)及び焦点深度を最大化するように動作可能な位置320及び幅318を有する。
【0049】
[0057]
図4Cは、マスクパターン400の第3の構成400Cを描いている。第3の構成400Cは、2次元のマスクパターンを描いている。第3の構成400Cは、主たるフィーチャ304の周りに配置された補助的なフィーチャ306を含む。補助的なフィーチャ306は、主たるフィーチャエッジ308に沿って規格化強度対数勾配(ILS)及び焦点深度を最大化するように動作可能な位置320及び幅318を有する。
【0050】
[0058]
図4Dは、マスクパターン400の第4の構成400Dを描いている。第4の構成400Dは、複数のビア404を有するマスクパターンを描いている。複数のビア404が、補助的なフィーチャ306によって取り囲まれている。幾つかの実施形態では、中間的な補助的なフィーチャ406が、2つのビア404の間に配置されてよい。中間的な補助的なフィーチャ406は、主たるフィーチャエッジ308に沿って規格化強度対数勾配(ILS)及び焦点深度を最大化するために、マスクパターン400D内に含まれてよい。補助的なフィーチャ306は、主たるフィーチャエッジ308に沿って規格化強度対数勾配(ILS)及び焦点深度を最大化するように動作可能な位置320及び幅318を有する。
【0051】
[0059]
図5は、
図5で示されているように、ルールベース露光を実行するための方法500のフロー図である。
図6は、ルールベースプロセスフロー600の概略図である。
図5は、
図1で示されているリソグラフィ環境100の複数の要素を含む。説明を容易にするために、方法500は、
図6のルールベースプロセスフロー600及び
図3A及び
図3Bのマスクパターン300を参照しながら説明されることになる。本明細書で説明される他の複数の実施形態と組み合わされ得る一実施形態では、方法500が、任意のリソグラフィプロセス及び任意のマスクレスリソグラフィデバイスを用いて利用されてよい。コントローラ110は、デジタルパターンファイル104(例えば、データ)の転送を容易にするように動作可能である。コントローラ110は、方法500の動作を容易にするように動作可能である。
【0052】
[0060] 動作501では、デジタルパターンファイル104が、コントローラ110に提供される。コントローラ110は、パターン修正ソフトウェアアプリケーション106を実行するように動作可能である。デジタルパターンファイル104は、マスクレスリソグラフィデバイス108(
図2で示されている)によって出力された電磁放射を使用してフォトレジストの中に書き込まれるパターンに対応する。デジタルパターンファイル104は、1以上の構造要素に対応する関心エリアを含んでよい。構造要素は、幾何学的形状、例えばポリゴン(例えば、
図3A~
図3Bで示されているポリゴン302A及び302B)として構築されてよい。デジタルパターンファイル104は、最初に1以上の主たるフィーチャ304(
図3A~
図3Bで示されている)を規定する。
【0053】
[0061] 動作502では、デジタルパターンファイル104が、パターン修正ソフトウェアアプリケーション106を用いて改良される。デジタルパターンファイル104は、改良されて、1以上の補助的なフィーチャ306の位置320及び幅318並びに主たるフィーチャ304のパターンバイアス314を特定する。デジタルパターンファイル104は、改良されて、リソグラフィプロセスにおいてフォトレジスト上に形成されるフィーチャの強度対数勾配(ILS)を改善する。本明細書で説明される他の複数の実施形態と組み合わされ得る一実施形態では、ILSが、主たるフィーチャ304の主たるフィーチャエッジ308に沿って特に改良される。デジタルパターンファイル104は、パターン修正ソフトウェアアプリケーション106によって改良及び更新されて、マスクパターン300を形成する。パターン修正ソフトウェアアプリケーション106は、ルールベースアルゴリズム606に基いて、補助的なフィーチャ306を特定する。ルールベースアルゴリズム606は、デジタルパターンファイル104の補助的なフィーチャ306を実装するためにルックアップテーブルを利用する。
【0054】
[0062] 上述されたように、ルックアップテーブルは、デジタルパターンファイル104の異なる主たるフィーチャ304を複数の群に分類すること、異なる補助的なフィーチャ306を各主たるフィーチャ304に適用すること、並びにその後に結果として生じるILS値及び/又は焦点深度値を特定し相関させることによって構築されてよい。例えば、
図4Aで示されているマスクパターン400などの主たるフィーチャ304を繰り返す場合、主たるフィーチャ304は、主たるフィーチャ304の限界寸法312及び相対位置によって分類され得る。各主たるフィーチャ304では、主たるフィーチャ304を取り囲む補助的なフィーチャ306の位置320及び幅318並びにパターンバイアス314などの変数が、これらの変数の異なる組み合わせをプリントすることによって経験的に特定される。デジタルパターンファイル104に基いて基板のフォトレジスト内に形成されるフィーチャの強度対数勾配(ILS)及び焦点深度を最大化する結果が、ルックアップテーブル内の1つの行として記録される。テーブルを完成させるために、異なる主たるフィーチャ304に対してプロセスが繰り返される。プロセスは、
図4C及び
図4Dで示されているマスクパターン400などの、非1D(一次元ではない)主たるフィーチャ304を描写するために更に拡張され得る。
【0055】
[0063] 動作では、ルックアップテーブルが構築されると、仮想マスクソフトウェアアプリケーション102が、デジタルパターンファイル104上の各主たるフィーチャ304を解析し、限界寸法312及びポリゴン間隔322を特定する。主たるフィーチャエッジ308に沿って異なる限界寸法312又はポリゴン間隔322が存在する場合、エッジは、一定の寸法312及びポリゴン間隔322を有するセグメントに分割される。パターン修正ソフトウェアアプリケーション106は、ルックアップテーブルを参照し、限界寸法312及びポリゴン間隔322の入力に基いて、補助的なフィーチャ306の位置320及び幅318を特定する。パターン修正ソフトウェアアプリケーション106は、ルックアップテーブルを利用して、パターンバイアス314を特定する。ルックアップテーブルは、補助的なフィーチャ306の位置320及び幅318に基いて、主たるフィーチャ304の限界寸法312を維持するために必要とされるバイアスに関する経験的データを含む。
【0056】
[0064] 主たるフィーチャ304が繰り返されない複数の実施形態では、ルックアップテーブルが、ルックアップテーブルへの第3の入力値(第3の属性)として、隣接する主たるフィーチャ304の限界寸法312を含むように拡張され得る。例えば、2μmの限界寸法312を有する主たるフィーチャ304は、4μmの限界寸法312を有する主たるフィーチャ304と隣接する。主たるフィーチャ304がより複雑になるにつれて、主たるフィーチャ304をより良好に描写するために、より多くの入力属性が追加され得る。
【0057】
[0065] ルールベースアルゴリズム606は、ルックアップテーブルを参照して、デジタルパターンファイル104に基いて基板のフォトレジスト内に形成されるフィーチャの強度対数勾配(ILS)及び焦点深度を最大化する、補助的なフィーチャ306の位置320及び幅318を特定する。ルールベースアルゴリズム606はまた、補助的なフィーチャ306が、各隣接する補助的なフィーチャ306の間の距離、ならびに補助的なフィーチャと主たるフィーチャ304との間の距離の閾値を満たすことも保証する。距離の閾値は、補助的なフィーチャ306がプリントされないことを保証する助けとなる。更に、ルールベースアルゴリズム606は、補助的なフィーチャ306が、主たるフィーチャ304の限界寸法312よりも小さい幅318を有することを保証する。それによって、補助的なフィーチャ306は、プリントされないことになる。ルールベースアルゴリズムは、主たるフィーチャ304がデジタルパターンファイル104に基く所望のパターンの許容範囲内にあるように、パターンバイアス314が適用されることを保証する。本明細書で説明される他の複数の実施形態と組み合わされ得る一実施形態では、ILSが、主たるフィーチャ304の主たるフィーチャエッジ308に沿って特に改良される。デジタルパターンファイル104の2つ以上のポリゴンの補助的なフィーチャ306が特定されてよい。
【0058】
[0066] 動作503では、デジタルパターンファイル104のマスクパターン300が、仮想マスクソフトウェアアプリケーション102に提供される。マスクパターン300は、パターンバイアス314を有する主たるフィーチャ304に対応するデータ、ならびに補助的なフィーチャ306の位置320及び幅318に対応するデータを含む。仮想マスクソフトウェアアプリケーション102は、デジタルパターンファイル104内のマスクパターン300を、1以上の四角形ポリゴンに変換して、仮想マスクファイルを生成する。仮想マスクファイルは、主たるフィーチャ304及び補助的なフィーチャ306のデジタル表現である。
【0059】
[0067] 動作504では、仮想マスクファイルが、マスクレスリソグラフィデバイス108に供給される。マスクレスリソグラフィデバイス108は、リソグラフィプロセスを実行して、基板を曝露し、仮想マスクファイル内に含まれる主たるフィーチャ304を形成する。補助的なフィーチャ306はプリントされない。任意選択的に、動作504のリソグラフィプロセスの後で、基板上にパターンを形成するために、基板は、例えばフォトレジストの現像及び/又はエッチングによって更に処理されてよい。
【0060】
[0068] 補助的なフィーチャ306を有する主たるフィーチャ304は、補助的なフィーチャ306と主たるフィーチャ304の主たるフィーチャエッジ308との間に180度の位相干渉を構築する。したがって、基板のフォトレジスト上に形成されるフィーチャの強度対数勾配及び焦点深度が大きくなる。したがって、マスクレスリソグラフィデバイス108の解像度及びプロセスウィンドウが向上する。
【0061】
[0069]
図7は、
図7で示されているように、モデルベース二重露光を実行するための方法700のフロー図である。
図8は、モデルベースプロセスフロー800の概略図である。
図7は、
図1で示されているリソグラフィ環境100の複数の要素を含む。説明を容易にするために、方法700は、
図8のルールベースプロセスフロー800及び
図3A及び
図3Bのマスクパターン300を参照しながら説明されることになる。本明細書で説明される他の複数の実施形態と組み合わされ得る一実施形態では、方法700が、任意のリソグラフィプロセス及びマスクレスリソグラフィデバイスを用いて利用されてよい。コントローラ110は、デジタルパターンファイル104(例えば、データ)の転送を容易にするように動作可能である。コントローラ110は、方法700の動作を容易にするように動作可能である。
【0062】
[0070] 動作701では、デジタルパターンファイル104が、コントローラ110に提供される。コントローラ110は、パターン修正ソフトウェアアプリケーション106を実行するように動作可能である。デジタルパターンファイル104は、マスクレスリソグラフィデバイス108(
図2で示されている)によって出力された電磁放射を使用してフォトレジストの中に書き込まれるパターンに対応する。デジタルパターンファイル104は、1以上の構造要素に対応する関心エリアを含んでよい。構造要素は、幾何学的形状、例えばポリゴン(例えば、
図3A~
図3Bで示されているポリゴン302A及び302B)として構築されてよい。デジタルパターンファイル104は、最初に1以上の主たるフィーチャ304(
図3A~
図3Bで示されている)を規定する。
【0063】
[0071] 動作702では、デジタルパターンファイル104が、パターン修正ソフトウェアアプリケーション106を用いて改良される。デジタルパターンファイル104は、改良されて、1以上の補助的なフィーチャ306の位置320及び幅318並びに主たるフィーチャ304のパターンバイアス314を特定する。デジタルパターンファイル104は、改良されて、リソグラフィプロセスにおいてフォトレジスト上に形成されるフィーチャの強度対数勾配(ILS)を改善する。本明細書で説明される他の複数の実施形態と組み合わされ得る一実施形態では、ILSが、主たるフィーチャ304の主たるフィーチャエッジ308に沿って特に改良される。
【0064】
[0072] 補助的なフィーチャ306の幅318及び位置320、ならびに主たるフィーチャ304のパターンバイアス314は、リソグラフィモデル806に基いて特定される。リソグラフィモデル806は、補助的なフィーチャ306の位置320及び幅318を予測し、主たるフィーチャ304パターンバイアス314を予測するように動作可能である。リソグラフィモデルは、光学特性(例えば、マスクレスリソグラフィデバイス108に関する光学特性)とフォトレジスト特性(例えば、パターンがプリントされることになる材料などのフォトレジストの特性、及びフォトレジストの処理特性)に基いて規定されるように構築される。
【0065】
[0073] リソグラフィモデルが構築されると、デジタルパターンファイル104は、リソグラフィモデルに入力される。次いで、リソグラフィモデルは、デジタルパターンファイル104の空間像とレジストプロファイルの予測を出力するために、変数を予測し、調整することになる。後処理動作により、デジタルパターンファイル104に基いて基板のフォトレジスト内に形成されるフィーチャのILS及び焦点深度が特定されてよい。変数は、補助的なフィーチャ306(
図3A及び
図3Bで示されている)の幅318及び位置320、並びに、主たるフィーチャ304(
図3Bで示されている)のパターンバイアス値を含む。ILSが増加し、焦点深度が増加し、主たるフィーチャ304の所望の寸法が維持され、余分なパターンが印刷されないように、リソグラフィモデルによって変数が予測される。方法700は、リソグラフィモデルを解くための反復法に限定されるものではなく、リソグラフィモデルを解くために他の数学的方法を使用することもできる。
【0066】
[0074] 変数は、フィーチャの閾値強度対数勾配(ILS)及び/又は閾値焦点深度が実現されるまで、パターン修正ソフトウェアアプリケーション106のリソグラフィモデル806又は他の規則に従って調整される。更に又は代替的に、パターン修正ソフトウェアアプリケーション106は、フィーチャの最大強度対数勾配(ILS)及び/又は最大焦点深度が実現されるまで、パターン修正ソフトウェアアプリケーション106のリソグラフィモデル806又は他の規則に従って、デジタルパターンファイル104の変数を調整することによって、デジタルパターンファイル104を改良する。本明細書で説明される他の複数の実施形態と組み合わされ得る一実施形態では、ILSが、主たるフィーチャ304の主たるフィーチャエッジ308に沿って特に改良される。
【0067】
[0075] パターン修正ソフトウェアアプリケーション106は、パターン修正ソフトウェアアプリケーション106の範囲内で、補助的なフィーチャ306の位置320、補助的なフィーチャ306の幅318、及び主たるフィーチャ304のパターンバイアス314を同時に特定してよい。例えば、パターン修正ソフトウェアアプリケーション106は、補助的なフィーチャ306を改良するために、パターンバイアス314と併せて位置320及び幅318を調整可能であってよい。パターン修正ソフトウェアアプリケーション106は、補助的なフィーチャ306の位置320及び幅318に基いて、主たるフィーチャ304の限界寸法312を維持するために必要とされるパターンバイアス314を予測する。
【0068】
[0076] リソグラフィモデル806は、主たるフィーチャ304がデジタルパターンファイル104に基く所望のパターンの許容範囲内にあるように、パターンバイアス314が特定されることを保証する。リソグラフィモデル806はまた、補助的なフィーチャ306が、各隣接する補助的なフィーチャ306の間の距離、ならびに補助的なフィーチャと主たるフィーチャ304との間の距離の閾値を満たすことも保証する。距離の閾値は、補助的なフィーチャ306がプリントされないことを保証する助けとなる。更に、ルールベースアルゴリズム606は、補助的なフィーチャ306が、主たるフィーチャ304の限界寸法312よりも小さい幅318を有することを保証する。それによって、補助的なフィーチャ306は、プリントされないことになる。デジタルパターンファイル104は、パターン修正ソフトウェアアプリケーション106によって改良及び更新されて、マスクパターン300を形成する。
【0069】
[0077] 動作703では、デジタルパターンファイル104のマスクパターン300が、仮想マスクソフトウェアアプリケーション102に提供される。マスクパターン300は、パターンバイアス314を有する主たるフィーチャ304に対応するデータ、ならびに補助的なフィーチャ306の位置320及び幅318に対応するデータを含む。仮想マスクソフトウェアアプリケーション102は、デジタルパターンファイル104内のマスクパターン300を、1以上の四角形ポリゴンに変換して、仮想マスクファイルを生成する。仮想マスクファイルは、主たるフィーチャ304及び補助的なフィーチャ306のデジタル表現である。
【0070】
[0078] 動作704では、仮想マスクファイルが、マスクレスリソグラフィデバイス108に供給される。マスクレスリソグラフィデバイス108は、リソグラフィプロセスを実行して、基板を曝露し、仮想マスクファイル内に含まれる主たるフィーチャ304を形成する。補助的なフィーチャ306はプリントされない。任意選択的に、動作704のリソグラフィプロセスの後で、基板上にパターンを形成するために、基板は、例えばフォトレジストの現像及び/又はエッチングによって更に処理されてよい。
【0071】
[0079] 補助的なフィーチャ306を有する主たるフィーチャ304は、補助的なフィーチャ306と主たるフィーチャ304の主たるフィーチャエッジ308との間に180度の位相干渉を構築する。したがって、基板のフォトレジスト上に形成されるフィーチャの強度対数勾配及び焦点深度が大きくなる。したがって、マスクレスリソグラフィデバイス108の解像度及びプロセスウィンドウが向上する。
【0072】
[0080]
図9は、特定の複数の実施形態による処理システム900を描いている。処理システム900は、特定の複数の実施形態によるコントローラ110の一例であり、上述された110の代わりに使用されてよい。
図9は、
図5及び
図6に関連して説明されたようなルールベース露光を実行するための方法、及び
図7及び
図8に関連して説明されたモデルベース露光を実行するための方法などの、本明細書で説明されるフロー図及び方法に従って複数の実施形態を実行するために、本明細書で説明される複数の実施形態のシステムを動作させてよい例示的な処理システム900を描いている。
【0073】
[0081] 処理システム900は、データバス916に接続された中央処理装置(CPU)902を含む。CPU902は、コンピュータ実行可能指示命令(例えば、メモリ908又はストレージ910内に記憶された)を処理し、処理システム900に、本明細書で説明されるシステムの複数の実施形態で本明細書で説明される方法の複数の実施形態(例えば、
図1~
図8に関連する)を実行させるように構成されている。CPU902は、単一のCPU、複数のCPU、複数の処理コアを有する単一のCPU、及びコンピュータ実行可能指示命令を実行させることができる処理アーキテクチャの他の形態を表すように含まれる。
【0074】
[0082] 処理システム900は、(1以上の)入力/出力(I/O)デバイス912及びインターフェース904を更に含む。インターフェース904は、処理システム900が入力/出力(I/O)デバイス912と相互作用することを可能にする。入力/出力(I/O)デバイス912は、例えば、キーボード、ディスプレイ、マウスデバイス、ペン入力、及び処理システム900との相互作用を可能にする他のデバイスである。処理システム900は、物理的な接続及び無線接続を介して、外付けI/Oデバイス(例えば、外付けディスプレイデバイス)と接続されてよいことに留意されたい。
【0075】
[0083] 処理システム900は、ネットワークインターフェース906を更に含む。ネットワークインターフェース906は、処理システムに外部ネットワーク914(それによって、外部計算デバイス)とのアクセスを提供する。
【0076】
[0084] 処理システム900は、メモリ908を更に含む。メモリ908は、この実施例では、例えば、
図5及び
図7に関連して説明されたように、本明細書で説明される動作を実行するための仮想マスクソフトウェアアプリケーション102及びパターン修正ソフトウェアアプリケーション106を含む。
【0077】
[0085] 単純化のために
図9では単一のメモリ908として示されているが、メモリ908に記憶される様々な態様は、処理システム900から遠隔のメモリを含む異なる物理的なメモリ内に記憶されてもよいが、バス916などの内部データ接続を介してCPU902によって全てアクセス可能であってよいことに留意されたい。
【0078】
[0086] ストレージ910は、本明細書で説明される動作を実行するための、基板レイアウト設計データ928、チップグループレイアウト設計データ930、デジタル露光群データ932、変位データ934、機械学習(ML)モデルデータ936(すなわち、リソグラフィモデルデータ)、MLトレーニングデータ938、ルックアップテーブルデータ940、及び仮想マスクデータ942を更に含む。当業者であれば理解できるように、他のデータ及び態様がストレージ910内に含まれてもよい。
【0079】
[0087] メモリ908と同様に、単一のストレージ910が、単純化のために
図9で描かれているが、ストレージ910内に記憶される様々な態様は、異なる物理的なストレージ内に記憶されてもよいが、バス916などの内部データ接続又はネットワークインターフェース906などの外部接続を介してCPU902によって全てアクセス可能であってよい。当業者であれば、処理システム900の1以上の要素が、遠隔に位置付けられてよく、ネットワーク914を介してアクセスされてよいことを理解するだろう。
【0080】
[0088] 前述の説明は、当業者が本明細書で説明された様々な実施形態を実施することを可能にするために提供されている。本明細書に記載された実施例は、特許請求の範囲に提示される範囲、適用性、又は実施形態を限定するものではない。これらの実施形態に対する様々な修正は、当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義される一般的な原理は、他の実施形態に適用されてもよい。例えば、開示の範囲から逸脱することなく、説明された要素の機能及び配置に変更を加えることができる。様々な例は、必要に応じて、様々な手順若しくは構成要素を省略、置換、又は追加することができる。例えば、記載された方法は、記載とは異なる順序で実行されてもよく、様々なステップが、追加、省略、又は組み合わせされてもよい。更に、幾つかの実施例に関連して説明された特徴は、幾つかの他の実施例において組み合わせてもよい。例えば、ここに述べられた態様を幾らでも使用して、装置が実装されてよく又は方法が実施されてよい。加えて、本開示の範囲は、本明細書で説明される本開示の様々な態様に加えて、又はそれ以外の、他の構造、機能、若しくは構造及び機能を使用して実施されるそのような装置又は方法をカバーすることが意図されている。本明細書で開示された開示の任意の態様は、請求項の1以上の要素によって実施され得ることを理解されたい。
【0081】
[0089] 本明細書で使用されるときに、項目のリストの「うちの少なくとも1つ」に言及するフレーズは、単一のメンバーを含むそれらの項目の任意の組み合わせを指す。一例として、「a、b、cのうちの少なくとも1つ」は、a、b、c、a-b、a-c、b-c、及びa-b-c、ならびに複数の同じ要素との任意の組み合わせ(例えば、a-a、a-a-a、a-a-b、a-a-c、a-b-b、a-c-c、b-b、b-b-b、b-b-c、c-c、及びc-c-c、又はa、b、及びcの任意の他の順序)をカバーすることが意図されている。
【0082】
[0090] 本明細書で使用されるように、「特定すること、決定すること(determining)」という用語は、多種多様な活動を包含する。例えば、「特定すること、決定すること」は、計算すること、算出すること、処理すること、導出すること、調査すること、調べること(例えば、テーブル(表)、データベース、又は別のデータ構造を調べること)、確認することなどを含んでよい。また、「特定すること、決定すること」は、受け取ること(例えば、情報を受け取ること)、アクセスすること(例えば、メモリ内のデータにアクセスすること)なども含んでよい。また、「特定すること、決定すること」は、解決すること、選択すること、選ぶこと、規定することなども含んでよい。
【0083】
[0091] 本明細書で開示される方法は、方法を実現するための1以上の動作又は活動を含む。方法の諸動作及び/又は諸活動は、特許請求の範囲から逸脱することなく互いに交換されてよい。言い換えると、具体的な動作又は活動の順序が特定されない限り、特定の動作及び/又は活動の順序及び/又は使用は、特許請求の範囲から逸脱することなく変更することができる。さらに、上述の方法の様々な工程は、対応する機能を実行可能な任意の適切な手段によって実行され得る。この手段には、回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、又はプロセッサを含むがこれらに限定されない、様々なハードウェア及び/又はソフトウェアコンポーネント及び/又はモジュールが含まれ得る。概して、図に工程が示されている場合、これらの工程は、類似の番号が付いた対応するミーンズ・プラス・ファンクションの構成要素を有することがある。
【0084】
[0092] 以下の特許請求の範囲は、本明細書で示されている実施形態に限定されることを意図するものではなく、特許請求の範囲の言語と一貫する完全な範囲が与えられるべきである。請求項において、単数形の要素への言及は、具体的に言及されない限り、「1個のみ」を意味することを意図するものではなく、むしろ「1個以上」を意味するものである。特に言及されない限り、「幾つかの(some)」という用語は、1個以上を意味する。クレーム要素は、その要素が「~のための手段(means for)」という語句を用いて明示的に列挙されない限り、又は方法クレームの場合、その要素が「~のためのステップ(step for)」という語句を用いて列挙されない限り、35U.S.C.§112(f)の規定に基づいて解釈されるべきではない。当業者に知られている、又は後に知られるようになる、本開示全体にわたって説明される様々な態様の要素に対する全ての構造的及び機能的均等物は、参照によって本明細書に明示的に組み込まれ、特許請求の範囲によって包含されることが意図される。更に、本明細書に開示されたものは、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に列挙されているかどうかにかかわらず、公共に寄進したものであることを意図するものではない。
【0085】
[0093] まとめると、リソグラフィ環境においてフィーチャをプリントする方法が、本明細書で説明される。該方法は、マスクパターンを特定することを含む。マスクパターンは、リソグラフィプロセスにおいて主たるフィーチャと共にマスクレスリソグラフィデバイスに提供される補助的なフィーチャを含む。補助的なフィーチャは、ルールベースプロセスフロー又はリソグラフィモデルプロセスフローを用いて特定される。更に、補助的なフィーチャによる主たるフィーチャの限界寸法の変動を補償するために、主たるフィーチャに対するバイアスが実装されてよい。マスクパターンは、パターン修正ソフトウェアアプリケーションによって定式化される。それによって、マスクパターンに基いてフォトレジスト内に形成されるフィーチャの強度対数勾配及び焦点深度が改善される。したがって、マスクパターンは、リソグラフィプロセスにおいて利用されるマスクレスリソグラフィデバイスの解像度及びプロセスウィンドウを改善するために動作可能である。マスクパターンは、ソフトウェアベースの解決策であり、したがって、解像度やプロセスウィンドウを改善するために、迅速且つ費用効率よく利用され得る。
【0086】
[0094] 以上の記述は、本開示の実施例を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他の実施例及び更なる実施例が考案されてよく、本開示の範囲は、下記の特許請求の範囲によって規定される。