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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】清掃シート
(51)【国際特許分類】
   A47L 13/17 20060101AFI20241010BHJP
   A47L 13/20 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
A47L13/17 A
A47L13/20 A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2024094461
(22)【出願日】2024-06-11
【審査請求日】2024-08-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003247
【氏名又は名称】弁理士法人小澤知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】内藤 翠
(72)【発明者】
【氏名】眞鍋 優佳
(72)【発明者】
【氏名】須田 朋和
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/240282(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/079828(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/149903(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/141119(WO,A1)
【文献】特開2007-307392(JP,A)
【文献】国際公開第2010/147209(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第106037604(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L13/00-13/62
D04H 1/00- 1/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1シート状部材と、
前記第1シート状部材に重なる第2シート状部材と、
前記第1シート状部材と前記第2シート状部材を接合した接合部と、
前記第1シート状部材と前記第2シート状部材の少なくとも一方に、薬液が含浸されたウェット型の清掃シートであって、
前記清掃シートの重量に対する300%以上の薬液が含浸され、かつ7.00kPa~8.00kPaの圧力で前記清掃シートが押圧された湿潤押圧状態において、前記接合部が設けられていない非接合領域における前記清掃シートの厚みは、前記接合部が設けられた接合領域における前記清掃シートの厚みに対する3.0倍以上である、清掃シート。
【請求項2】
前記非接合領域の厚みと前記接合領域の厚みの差は、0.3mm以上2.0mm以下である、請求項1に記載の清掃シート。
【請求項3】
前記第2シート状部材は、前記第1シート状部材よりも清掃面側に配置されており、
前記第2シート状部材の親水度は、前記第1シート状部材の親水度よりも低い、請求項1又は請求項2に記載の清掃シート。
【請求項4】
前記第1シート状部材は、不織布であり、
前記第2シート状部材は、繊維束である、請求項1又は請求項2に記載の清掃シート。
【請求項5】
前記接合部は、前記繊維束の繊維の配向方向に沿って間隔を空けて配置されており、
前記配向方向における前記接合部の間には、前記繊維束が切断された切断部が配向方向に沿って間隔を空けて配置されており、
前記切断部は、前記配向方向と直交する直交方向において間隔を空けて配置されており、
前記切断部によって切断された前記繊維は、前記接合部を基点として前記不織布に対して起立可能な起立部を構成し、
前記直交方向において前記切断部間に配置された繊維は、前記不織布に対して接合されずに、前記配向方向に隣接する前記接合部を跨がって配置されている、請求項4に記載の清掃シート。
【請求項6】
前記起立部の前記配向方向の長さは、1mm以上30mm以下である、請求項5に記載の清掃シート。
【請求項7】
前記清掃シートの一方の外面には、前記第1シート状部材が配置され、
前記清掃シートの他方の外面には、前記第2シート状部材が配置されている、請求項4に記載の清掃シート。
【請求項8】
前記湿潤押圧状態において前記清掃シートの一方の外面を清掃面に当てて平面方向に300mm移動する際に要する力は、前記湿潤押圧状態において前記清掃シートの他方の外面を清掃面に当てて平面方向に300mm移動する際に要する力に対して2.0倍以上3.0倍以下である、請求項7に記載の清掃シート。
【請求項9】
前記清掃シートの両方の外面には、前記第2シート状部材が配置され、
前記第1シート状部材は、前記第2シート状部材間に配置されている、請求項7に記載の清掃シート。
【請求項10】
前記清掃シートは、第1方向及び第2方向を含む平面方向に延びかつ清掃対象に対向する対向面を有する清掃具に対して取り付けられて使用され、
前記清掃シートは、前記対向面の前記第1方向の端縁に沿って折り返されて前記清掃具に係合される一対のシート側部と、前記一対のシート側部間において前記対向面上に配置されるシート中央部と、を有し、
前記接合部は、前記シート中央部において、前記第2方向において間隔を空けて複数配置されている、請求項1又は請求項2に記載の清掃シート。
【請求項11】
前記第1シート状部材の繊維の配向方向及び前記第2シート状部材の繊維の配向方向の少なくとも一方は、前記第1方向である、請求項10に記載の清掃シート。
【請求項12】
前記第1シート状部材は、前記清掃シートの前記第2方向の全域に配置され、
前記第2シート状部材は、前記シート中央部の前記第2方向の全域に配置されており、
前記第2方向において、前記第2シート状部材の外縁は、前記第1シート状部材の外縁よりも内側に位置する、請求項10に記載の清掃シート。
【請求項13】
前記第1シート状部材には、少なくとも前記第1シート状部材を厚み方向に圧縮した圧搾部が形成されており、
前記圧搾部は、少なくとも前記シート側部に設けられている、請求項12に記載の清掃シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のシート状部材を有する清掃シートに関する。
【0002】
特許文献1及び特許文献2には、複数のシート状部材を有する清掃シートが開示されている。特許文献1の清掃シートは、シート状部材としての内層シートと外層シートを有し、清掃面に対向する板状の対向面を有する清掃具に取り付けられて使用される。また、特許文献2の清掃シートは、シート状部材としての第1繊維層と第2繊維層を有し、清掃具に取り付けられたり、清掃具に取り付けられずにシート単体で使用されたりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-100950号公報
【文献】特開2000-234253号公報
【発明の概要】
【0004】
清掃具に取り付けられる清掃シートは、清掃時に清掃具を介して清掃面に対して押圧される。このとき清掃シートは、清掃具と清掃面によって両側から所定の圧力を受けつつ清掃面に対して移動され、清掃面の粉塵を捕集する。また、清掃具に取り付けられずに使用される清掃シートは、清掃時に手によって清掃面に対して押圧される。このとき清掃シートは、手と清掃面によって両側から所定の圧力を受けつつ清掃面に対して移動され、清掃面の粉塵を捕集する。使用者が、清掃シートの使用態様を鋭意研究したところ、ウェット式の清掃シートにあっては、清掃面に対して清掃シートが密着し易く、所定の圧力を清掃シートが受けた際に、清掃面と清掃シートに隙間が形成され難く、小さい粉塵を捕集できるが大きい粉塵を捕集できないことがあった。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、ウェット式の清掃シートにおいて大小種々のサイズの粉塵を捕集し易い清掃シートを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様に係る清掃シートは、第1シート状部材と、前記第1シート状部材に重なる第2シート状部材と、前記第1シート状部材と前記第2シート状部材を接合した接合部と、前記第1シート状部材と前記第2シート状部材の少なくとも一方に、薬液が含浸されたウェット型の清掃シートである。前記清掃シートの重量に対する300%以上の薬液が含浸され、かつ7.00kPa~8.00kPaの圧力で前記清掃シートが押圧された湿潤押圧状態において、前記接合部が設けられていない非接合領域における前記清掃シートの厚みは、前記接合部が設けられた接合領域における前記清掃シートの厚みに対する3.0倍以上である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態に係る清掃具及び清掃シートを模式的に示した斜視図である。
図2図2は、第1実施形態に係る清掃シートの平面図である。
図3図3は、図2に示すA-A線に沿った模式断面図である。
図4図4は、図2に示すB部分の拡大斜視図を模式的に示した図である。
図5図5は、押圧湿潤状態を説明するための図である。
図6図6は、清掃シート1の側面の写真を示した図である。
図7図7は、湿潤押圧状態における清掃シートを移動する力の測定を説明するための図である。
図8図8は、第2実施形態に係る清掃シートの模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(1)実施形態の概要
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
態様1に係る発明は、第1シート状部材と、前記第1シート状部材に重なる第2シート状部材と、前記第1シート状部材と前記第2シート状部材を接合した接合部と、前記第1シート状部材と前記第2シート状部材の少なくとも一方に、薬液が含浸されたウェット型の清掃シートである。前記清掃シートの重量に対する300%以上の薬液が含浸され、かつ7.00kPa~8.00kPaの圧力で前記清掃シートが押圧された湿潤押圧状態において、前記接合部が設けられていない非接合領域における前記清掃シートの厚みは、前記接合部が設けられた接合領域における前記清掃シートの厚みに対する3.0倍以上である。清掃シートの外面のうち、清掃面と反対側に位置する面は、清掃具又は手に沿って配置される。そのため、清掃シートの外面のうち、清掃面側に位置する面は、非接合領域と接合領域の厚み差による凹凸が形成される。凹部に対応する接合領域の厚みに対して凸部に対応する非接合領域の厚みが3倍以上であり、その差が大きいため、凹部内に大きい粉塵を捕集し、凸部によって清掃面に密接して小さい粉塵を捕集できる。
【0009】
態様2に係る発明は、態様1に係る発明において、以下の特徴を有する。前記非接合領域の厚みと前記接合領域の厚みの差は、0.3mm以上2.0mm以下である。一般的な埃及びごみの寸法は、例えば、埃(JISダスト7種)は、5μm~75μmであり、砂(JISけい砂)は、45μm~212μmであり、パン屑は、1mm~2mmである。非接合領域の厚みと接合領域の厚みの差が0.3mm以上であることにより。非接合領域による凹みの容積を確保し、凹みに埃等を保持し易い。また、非接合領域の厚みと接合領域の厚みの差が2.0mm以下であることにより、凹部の底面を形成する繊維にも埃等が当たり易くなり、繊維よって埃及びごみを保持し易くなる。
【0010】
態様3に係る発明は、態様1又は態様2に係る発明において、以下の特徴を有する。前記第2シート状部材は、前記第1シート状部材よりも清掃面側に配置されている。前記第2シート状部材の親水度は、前記第1シート状部材の親水度よりも低い。本態様によれば、第1シート状部材は、親水度が高く、薬液を保持し易い。よって、第2シート状部材を清掃面側として使用する時に、内側に位置する第1シート状部材から薬液を徐々に放出し、薬液を出し続けることができる。
【0011】
態様4に係る発明は、態様1から態様3のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有する。前記第1シート状部材は、不織布である。前記第2シート状部材は、繊維束である。本態様によれば、繊維束である前記第2シート状部材によって清掃面の粉塵を絡めつつ保持し、不織布である第1シート状部材によって清掃シートの剛性を確保し、清掃シートの平面形状を維持し続け易い。
【0012】
態様5に係る発明は、態様4に係る発明において、以下の特徴を有する。前記接合部は、前記繊維束の繊維の配向方向に沿って間隔を空けて配置されている。前記配向方向における接合部の間には、前記繊維束が切断された切断部が配向方向に沿って間隔を空けて配置されている。前記切断部は、前記配向方向と直交する直交方向において間隔を空けて配置されている。前記切断部によって切断された前記繊維は、前記接合部を基点として前記不織布に対して起立可能な起立部を構成する。前記直交方向において前記切断部間に配置された繊維は、前記不織布に対して接合されずに、前記配向方向に隣接する接合部を跨がって配置されている。本態様によれば、起立部は、第1シート状部材に対して起立して清掃面に触れやすく、粉塵を捕集し易い。また、起立部に隣接して接合部を跨がった繊維が配置されているため、当該繊維に粉塵が絡みやすく、粉塵を保持し続け易い。また、清掃を続けて起立部の薬液が少なくなった場合には、起立部に隣接して接合部を跨がった繊維と、起立部が起立することで露出した第1シート状部材の繊維と、を介して薬液を放出し続けることができる。更に、接合部間を跨がって配置される繊維は、接合部と連なり、接合部側から薬液が浸透するため、薬液を放出し続けることができる。
【0013】
態様6に係る発明は、態様5に係る発明において、以下の特徴を有する。前記起立部の前記配向方向の長さは、1mm以上30mm以下である。起立部の長さが1mm以上30mm以下であるため、半径30mm以下の可動範囲で起立部が移動し、清掃面の凹凸内に起立部が入り込んで粉塵を捕集できる。また、半径30mm以下の可動範囲で起立部が移動すると、起立部によって第1シート状部材が覆われていない部分(凹部)において第1シート状部材が露出し、第1シート状部材の不織布によって仕上げの拭き取りを行うことができる。また、起立部の可動範囲が広すぎると、起立部によって第1シート状部材が覆われていない部分(凹部)の寸法が大きくなり、一旦引き込んだ粉塵がでてしまうおそれがある。しかし、起立部の可動範囲の半径が30mm以下であり、広すぎないため、粉塵を凹部内で捕集し続けることができる。
【0014】
態様7に係る発明は、態様4から態様6のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有する。前記清掃シートの一方の外面には、前記第1シート状部材が配置されている。前記清掃シートの他方の外面には、前記第2シート状部材が配置されている。本態様によれば、清掃シートの他方側の外面に配置された第2シート状部材によって粉塵の引き込みを行い、清掃シートの一方側の外面に配置された第1シート状部材によって拭き仕上げを行うことができる。
【0015】
態様8に係る発明は、態様7に係る発明において、以下の特徴を有する。前記湿潤押圧状態において前記清掃シートの一方の外面を清掃面に当てて平面方向に300mm移動する際に要する力は、前記湿潤押圧状態において前記清掃シートの他方の外面を清掃面に当てて平面方向に300mm移動する際に要する力に対して2.0倍以上3.0倍以下である。本態様によれば、一方側の外面と他方側の面の拭き重さが2倍以上異なるため、使用者は、視認しなくてもその感覚でいずれの外面で清掃しているかを把握できる。また、一方側の外面と他方側の面の拭き重さが異なりすぎると、使用者は、使用感が異なりすぎ、使用時に違和感が生じるおそれがある。一方側の外面と他方側の面の拭き重さが3倍以下であるため、使用者は、外面の違いを把握しつつ、同程度の使用感で清掃シートを使用できる。
【0016】
態様9に係る発明は、態様4から態様6のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有する。前記清掃シートの両方の外面には、前記第2シート状部材が配置されている。前記第1シート状部材は、前記第2シート状部材間に配置されている。本態様によれば、第1シート状部材によって清掃シートの剛性を確保して平面状態を維持しつつ、清掃シートの両面に配置された第2シート状部材によって粉塵の引き込みを行うことができる。また、清掃シートの両面に第2シート状部材が配置されているため、使用者は、いずれの外面を用いて清掃しても同じ使用感を感じることができる。
【0017】
態様10に係る発明は、態様1から態様9のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有する。前記清掃シートは、第1方向及び第2方向を含む平面方向に延びかつ清掃対象に対向する対向面を有する清掃具に対して取り付けられて使用される。前記清掃シートは、前記対向面の前記第1方向の端縁に沿って折り返されて前記清掃具に係合される一対のシート側部と、前記一対のシート側部間において前記対向面上に配置されるシート中央部と、を有する。前記接合部は、前記シート中央部において、前記第2方向において間隔を空けて複数配置されている。使用者は、清掃シートを取り付けた清掃具を使用して拭き取り操作する際は、一般的に、清掃面を第2方向に移動し、清掃シートの折り目が移動方向の先端側に位置した状態で折り目に対して直交する方向に移動される。このとき、第2方向に間隔を空けて接合部が配置されているため、接合領域と非接合領域が交互に当たり、凸形状となる非接合部による粉塵の当接及び引き込みと、凹形状となる接合部による粉塵の保持と、を実現できる。
【0018】
態様11に係る発明は、態様10に係る発明において、以下の特徴を有する。前記第1シート状部材の繊維の配向方向及び前記第2シート状部材の繊維の配向方向の少なくとも一方は、前記第1方向である。本態様によれば、第2方向に清掃シートを移動して拭き取り操作を行う際に、繊維に粉塵が絡まり易くなる。
【0019】
態様12に係る発明は、態様9又は態様10に係る発明において、以下の特徴を有する。前記第1シート状部材は、前記清掃シートの前記第2方向の全域に配置されている。前記第2シート状部材は、前記シート中央部の第2方向の全域に配置されている。前記第2方向において、前記第2シート状部材の外縁は、前記第1シート状部材の外縁よりも内側に位置する。本態様によれば、第2シート状部材がシート中央部の第2方向の全域に配置されているため、シート中央部の第2方向の全域に亘って第2シート状部材の繊維束によって粉塵を掻き込みできる。また、第2シート状部材は、第1シート状部材よりも第2方向の内側に位置し、シート側部には、第1シート状部材が配置され、かつ第2シート状部材が配置されていない領域が形成される。当該領域は、2層のシート状部材が配置された領域よりも厚みが薄く、清掃具に係合する際に係合し易く、かつ係合部から外れ難くなる。
【0020】
態様13に係る発明は、態様12に係る発明において、以下の特徴を有する。前記第1シート状部材には、少なくとも前記第1シート状部材を厚み方向に圧縮した圧搾部が形成されている。前記圧搾部は、少なくとも前記シート側部に設けられている。本態様によれば、圧搾部によってシート側部の剛性を高めることができる。第2シート状部材が配置されていない領域においても清掃シートとしての剛性を確保し、清掃シートによる拭き取り操作を続け易い。
【0021】
(2)第1実施形態に係る清掃シート
以下、図面を参照して、第1実施形態に係る清掃シート1について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0022】
清掃シート1は、清掃具200に対して取り付けられて使用されるシートであってもよいし、清掃具200に取り付けられずにシート単体で使用される清掃シートであってもよい。本実施の形態の清掃シート1は、清掃具200に対して取り付けられて使用される。清掃具200は、例えば、図1に示す清掃具200を例示できる。図1は、実施形態に係る清掃具200と、清掃具200に取り付けられる清掃シート1と、を模式的に示した斜視図である。清掃具200は、清掃対象に対向する対向面210を有する。対向面210は、清掃ヘッド201に設けられてよい。対向面210は、第1方向D1及び第2方向D2を含む平面方向に延びる。対向面210は、清掃シート1が当接し、当接した清掃シート1によって清掃対象を清掃する。対向面210は、矩形状の面であってよい。
【0023】
清掃具200は、対向面210と反対側の面等、対向面210以外の箇所に、着脱自在に清掃シート1に係合する係合部230を有してよい。係合部230は、対向面210の第1方向D1に延びる端縁に沿って折り返された清掃シート1が着脱自在に係合する。対向面210の第1方向D1に延びる端縁は、矩形面の端縁のうち、対向面210の第2方向D2における端縁である。清掃具200は、対向面210と連結し、使用者が把持する把持部250を有してよい。対向面210の第1方向D1の長さは、対向面210の第2方向D2の長さよりも長くてもよい。本実施の形態の対向面210の第1方向D1の長さは、対向面210の第2方向D2の長さに対する2.0倍以上である。対向面210の第1方向D1の長さが対向面210の第2方向D2の長い形態にあっては、清掃具200は、使用者が清掃具200を第2方向D2に往復移動をすることを想定して設計されてよい。なお、清掃具は、フローリング用(把持部の長さが長く、使用者が起立した状態で床面を清掃する)であってもよいし、ハンディ用(把持部の長さが短く、使用者が手で届く範囲を清掃する)であってもよい。
【0024】
清掃シート1は、床面、家具及び家電等の清掃対象の埃及びごみを拭き取ることにより、清掃対象の表面を清浄にする機能を備えたシート状の繊維構造体である。図2は、清掃シート1の平面図である。図3は、図2に示すA-A線に沿った断面を模式的に示した図である。図4は、図2に示すB部分を模式的に示した拡大斜視図である。なお、断面図は、説明の便宜上、構成部材同士を厚み方向Tに離間して示しているが、実際の製品では、構成部材同士が当接してよい。清掃シート1は、第1方向D1及び第2方向D2を含む平面方向と、平面方向に直交する厚み方向Tと、を有する。清掃シート1は、厚み方向Tの外側の面である一対の外面を有する。外面は、平面方向に延びており、第1面21及び第2面22を有する。第2面22は、第1面21と反対側の面である。第1面21と第2面22は、いずれも清掃対象を拭き取る拭き取り面を構成してよい。使用者は、清掃具200の対向面210に第2面22を当接させて第1面21によって清掃でき、かつ清掃具200の対向面210に第1面21を当接させて第2面22によって清掃できる。すなわち、第1面21と第2面22の両方によって清掃対象の埃及びごみを拭き取ることができる。図2に示す平面図は、第1面21側から見た図である。
【0025】
清掃シート1の第2方向D2の側部は、対向面210の第1方向D1に延びる端縁に沿って折り返されて、清掃具200対して着脱自在に係合するように構成されている。清掃シート1は、対向面210上に配置されるシート中央部R1と、シート中央部R1を挟んで第2方向D2の両側に設けられ、かつ対向面210の第1方向D1に延びる端縁に沿って折り返されて、清掃具200に対して着脱自在に係合するシート側部R2と、を有してよい。シート中央部R1は、清掃シート1の第2方向D2の中央に位置し、シート側部R2は、シート中央部R1に対する第2方向D2の両側に位置する。なお、シート中央部R1及びシート側部R2は、対向面210の寸法等によって変化するため、その範囲は、清掃シート1によって異なってよい。ただし、シート中央部R1は、清掃シート1の第2方向D2の中心を含む部分であり、シート側部R2は、清掃シート1の第2方向D2の側縁から第2方向D2の内側に延びる一定範囲であってよい。各シート側部R2の第2方向D2の長さは、シート中央部R1の第2方向D2の長さよりも短くてよい。
【0026】
清掃シート1は、複数のシート状部材を有する。シート状部材は、平面方向(第1方向及び第2方向)の寸法が厚み方向Tの寸法よりも長い部材であればよい。シート状部材は、不織布、織物等の繊維シートであってもよいし、繊維が集合した繊維束であってもよい。シート状部材は、第1シート状部材11と、第1シート状部材11に重なる第2シート状部材12と、を有する。第1シート状部材11と第2シート状部材12は、厚み方向Tに重なっている。シート状部材は、少なくとも第1シート状部材11と第2シート状部材12を有していればよく、更に他のシート状部材を有してもよい。第1シート状部材11と第2シート状部材12は、接合部31によって接合されている。接合部31は、熱溶着等の溶着部、接着剤による接着部等を例示できる。清掃シート1は、平面視にて接合部31が設けられた接合領域R11と、平面視にて接合部31が設けられていない非接合領域R12と、が設けられている。非接合領域R12は、第1シート状部材11と第2シート状部材12が接合されずに重なった領域のみならず、第1シート状部材11のみが配置された領域及び第2シート状部材12のみが配置された領域を含む。
【0027】
清掃シート1は、薬液が含浸されたウェット型の清掃シート1である。薬液は、清掃用の薬液であり、その成分は、例えば、水、界面活性剤、アルコール、グリセリン等を例示できる。薬液は、清掃シート1の重量に対する300%以上の薬液が含浸されてよい。薬液は、第1シート状部材11と第2シート状部材12の少なくとも一方に含浸されていればよく、第1シート状部材11と第2シート状部材12の両方に含浸されてよい。薬液の含浸量を測定する際は、パッケージから薬液が含浸された清掃シートを1枚取り出し、当該1枚の清掃シートの重量を測定する。次いで、当該清掃シートを蒸留水で洗浄して薬液を洗い流した後、清掃シートを乾燥する。乾燥した後の清掃シートの重量を測定する。薬液の含浸量は、最初の清掃シートの重量と乾燥した後の清掃シートの重力との差分によって算出できる。このように測定した薬液の含浸量が乾燥後の清掃シートの重量に対する300%以上である場合には、清掃シートの重量に対する300%以上の薬液が含浸されているものとする。
【0028】
ウェット式の清掃シート1は、乾式の清掃シートと比較して清掃対象に対して密着し易い。そのため、清掃対象の面と清掃シート1に隙間が形成され難く、小さい粉塵を捕集できるが大きい粉塵を捕集できないことがあった。本実施の形態の清掃シート1は、ウェット式の清掃シートにおいて大小種々のサイズの粉塵を捕集し易く構成されている。次いで、種々のサイズの粉塵を捕集し易くための構成について詳細に説明する。
【0029】
清掃シート1によって清掃面を拭き取り清掃する際には、清掃シート1は、清掃具(又は手)と清掃面によって両側から押圧される。出願人が鋭意研究したところ、この拭き取り清掃時に清掃シート1が受ける圧力は、一般的に7.00kPa~8.00kPaの圧力であることがわかった。本実施の形態の清掃シート1は、湿潤押圧状態における非接合領域R12における清掃シート1の厚みT12は、接合領域R11における清掃シート1の厚みT11に対する3.0倍以上である。清掃シート1の外面のうち、清掃面と反対側に位置する面は、清掃具又は手に沿って配置される。そのため、清掃シート1の外面のうち、清掃面側に位置する面は、非接合領域R12と接合領域R11の厚み差による凹凸が形成される。凹部に対応する接合領域R11の厚みに対して凸部に対応する非接合領域R12の厚みが3倍以上であり、その差が大きいため、凹部内に大きい粉塵を捕集し、凸部によって清掃面に密接して小さい粉塵を捕集できる。
【0030】
押圧湿潤状態は、清掃シート1の重量に対する300%以上の薬液が含浸され、かつ7.00kPa~8.00kPaの圧力で清掃シートが押圧された状態である。図5は、押圧湿潤状態を説明するための図である。押圧湿潤状態は、例えば、以下の方法によって再現できる。まず、清掃シート1の重量に対する300%以上の薬液を含浸する。薬液は、例えば、水94%、アルコール5%、界面活性剤0.5%、防腐剤0.5%を混合した液体を例示できる。次いで、図5(A)に示すように、薬液が含浸された清掃シート1の両面を板状部材401によって覆う。板状部材401は、薬液を吸収しない部材であり、かつ7.00kPa~8.00kPaの圧力で破損しない部材であればよく、例えば、金属製の定規を用いることができる。次いで、図5(B)に示すように、板状部材401の両側から清掃シート1に向かって押圧し、清掃シート1に対して7.00kPa~8.00kPaの圧力を加える。当該圧力を加える手段は、特に限定されないが、例えば、クリップによって板状部材401を挟んで、清掃シート1の両面側から清掃シートを押圧してよい。図5(B)は、押圧湿潤状態を示している。押圧湿潤状態における厚みの測定は、押圧湿潤状態において清掃シートの側面から写真を撮影して、画像を拡大して計測できる。なお、非接合領域R12における清掃シート1の厚みT12と、接合領域R11における清掃シート1の厚みT11と、の差の比較は、各領域の最大厚みによって比較できる。図6は、本実施の形態の押圧湿潤状態の清掃シート1の側面の写真を示した図である。
【0031】
非接合領域R12の厚みT12と接合領域R11の厚みT11の差は、0.3mm以上2.0mm以下であってよい。一般的な埃及びごみの寸法は、例えば、埃(JISダスト7種)は、5μm~75μmであり、砂(JISけい砂)は、45μm~212μmであり、パン屑は、1mm~2mmである。非接合領域の厚みと接合領域の厚みの差が0.3mm以上であることにより。非接合領域R12による凹みの容積を確保し、凹みに埃等を保持し易い。また、非接合領域R12の厚みT12と接合領域R11の厚みT11の差が2.0mm以下であることにより、凹部の底面を形成する繊維にも埃等が当たり易くなり、繊維よって埃及びごみを保持し易くなる。第1方向D1における接合部31のピッチは、10mm以上50mm以下であってよく、第2方向D2における接合部31のピッチは、10mm以上60mm以下であってよい。清掃シート1の厚みT12は、接合領域R11における清掃シート1の厚みT11に対する3.0倍以上であればよいが、好適には、4.0倍以上であってよい。また、清掃シート1の厚みT12は、接合領域R11における清掃シート1の厚みT11に対する10.0倍以下であってよく、好適には、7.0倍以下であってよい。
【0032】
第2シート状部材12は、第1シート状部材11よりも清掃面側に配置されてよい。清掃面側とは、清掃シート1の外面を構成する第1面21と第2面22のうち少なくとも一方側である。好適には、第2シート状部材12は、第1面21と第2面22の少なくとも一方側の面に配置されてよい。第2シート状部材12の親水度は、第1シート状部材11の親水度よりも低くてよい。第1シート状部材11は、親水度が高く、薬液を保持し易い。よって、第2シート状部材12を清掃面側として使用する時に、内側に位置する第1シート状部材11から薬液を徐々に放出し、薬液を出し続けることができる。当該親水度の比較は、JIS1907のバイレック法によって測定し、比較できる。
【0033】
第1シート状部材11の親水度を第2シート状部材12の親水度よりも高くする構成は、種々の構成を採用できるが、例えば、第1シート状部材11の親水性繊維の重量を第2シート状部材12の親水性繊維の重量よりも高くする構成、第2シート状部材12における疎水性繊維の重量を第1シート状部材11の疎水性繊維の重量よりも高くする構成を例示できる。
【0034】
第1シート状部材11及び第2シート状部材12は、繊維束、不織布、及び織物のいずれかによって構成されてよい。好適には、第1シート状部材11は、不織布であり、第2シート状部材12は、繊維束であってよい。本態様によれば、繊維束である第2シート状部材12によって清掃面の粉塵を絡めつつ保持し、不織布である第1シート状部材11によって清掃シート1の剛性を確保し、清掃シート1の平面形状を維持し続け易い。繊維束は、一定方向に連続した繊維の束である。繊維束の繊維が延びる方向は、繊維の配向方向となる。
【0035】
清掃具200に取り付けられて使用される清掃シート1にあっては、接合部31は、シート中央部R1において、第2方向D2において間隔を空けて複数配置されてよい。使用者は、清掃具200を使用して拭き取り操作する際は、一般的に、清掃面を第2方向に移動し、清掃シートの折り目が移動方向の先端側に位置した状態で折り目に対して直交する方向に移動される。このとき、第2方向に間隔を空けて接合部31が配置されているため、接合領域R11と非接合領域R12が交互に当たり、凸形状となる非接合領域による粉塵の当接と、凹形状となる接合領域R11による粉塵の保持と、を実現できる。なお、接合部31が第2方向において間隔を空けて複数された形態は、第2方向D2に平行な仮想線上(例えば、図3に示す断面)において、接合部31が第2方向D2に間隔を空けて複数配置されていればよい。
【0036】
清掃具200に取り付けられて使用される清掃シート1にあっては、第1シート状部材11の繊維の配向方向及び第2シート状部材12の繊維の配向方向の少なくとも一方は、第1方向D1であってよい。本態様によれば、第2方向D2に清掃シート1を移動して拭き取り操作を行う際に、繊維に粉塵が絡まり易くなる。好適には、第2シート状部材12の繊維の配向方向及び第2シート状部材12の繊維の配向方向の両方が第1方向D1であってよい。
【0037】
清掃具200に取り付けられて使用される清掃シート1にあっては、第1シート状部材11は、清掃シート1の第2方向D2の全域に配置され、第2シート状部材12は、シート中央部の第2方向の全域に配置されてよい。第2方向において、第2シート状部材12の外縁は、第1シート状部材11の外縁よりも内側に位置してよい。第2シート状部材12がシート中央部R1の第2方向D2の全域に配置されているため、シート中央部R1の第2方向D2の全域に亘って第2シート状部材12の繊維束によって粉塵を掻き込みできる。また、第2シート状部材12は、第1シート状部材11よりも第2方向D2の内側に位置し、シート側部R2には、第1シート状部材11が配置され、かつ第2シート状部材12が配置されていない領域が形成される。当該領域は、2層のシート状部材が配置された領域よりも厚みが薄く、清掃具に係合する際に係合し易く、かつ係合部230から外れ難くなる。
【0038】
本実施の形態の第2シート状部材12は、シート中央部R1の全域と、シート側部R2の第2方向D2の一部の領域と、に跨がって配置されている。第2シート状部材12の第2方向D2の外縁よりも第2方向D2の外側には、第1シート状部材11のみが配置されている。第2シート状部材12よりも第2方向D2の外側の領域において、第1シート状部材11には、切り込み部35が形成されてよい。切り込み部35は、第1シート状部材11を切断した部分であり、第1方向D1及び第2方向D2において間隔を空けて配置されてよい。切り込み部35は、シート側部R2のみに設けられ、シート中央部R1に設けられていない。当該構成によれば、シート中央部R1における剛性を確保しつつシート側部R2の剛性を低減し、清掃時における清掃シート1の形状を維持する効果と、清掃具200の係合部230に対する係合し易さと、を両立できる。
【0039】
清掃具200に取り付けられて使用される清掃シート1にあっては、第1シート状部材11には、少なくとも第1シート状部材11を厚み方向に圧縮した圧搾部37が形成されてよい。圧搾部37は、少なくともシート側部R2に設けられてよい。本態様によれば、圧搾部37によってシート側部R2の剛性を高めることができる。第2シート状部材12が配置されていない領域においても清掃シート1としての剛性を確保し、清掃シート1による拭き取り操作を続け易い。圧搾部37は、少なくとも第1シート状部材11を厚み方向に圧縮した部分であればよい。本実施の形態の圧搾部37は、接合部と共に形成されている。より詳細には、第1シート状部材11と第2シート状部材12を厚み方向に押圧して溶着部を形成することで、第1シート状部材11と第2シート状部材12が重なる領域に接合部31を形成し、第1シート状部材11のみが配置された領域に圧搾部37を形成できる。よって、接合部31と圧搾部37は連なっていてよい。また、変形例において、圧搾部37は、接合部31と別に形成されていてもよい。
【0040】
接合部31は、繊維束の繊維の配向方向に沿って間隔を空けて配置されてよい。配向方向における接合部31の間には、繊維束が切断された切断部32が配向方向に沿って間隔を空けて配置されてよい。切断部32は、配向方向と直交する直交方向において間隔を空けて配置されてよい。切断部によって切断された繊維は、接合部を基点として不織布に対して起立可能な起立部33を構成してよい。直交方向において切断部32間に配置された繊維は、不織布に対して接合されずに、配向方向に隣接する接合部31を跨がって配置されてよい。図4(A)は、起立部33が起立していない状態を示しており、図4(B)は、起立部33が起立した状態を示している。本態様によれば、起立部33は、第1シート状部材11に対して起立して清掃面に触れやすく、粉塵を捕集し易い。また、起立部33に隣接して接合部31を跨がった繊維34が配置されているため、当該繊維に粉塵が絡みやすく、粉塵を保持し続け易い。また、清掃を続けて起立部33の薬液が少なくなった場合には、起立部33に隣接して接合部を跨がった繊維34と、起立部33が起立することで露出した第1シート状部材11の繊維と、を介して薬液を放出し続けることができる。更に、接合部31間を跨がって配置される繊維34は、接合部31と連なり、接合部31側からの薬液が浸透されるため、薬液を放出し続けることができる。
【0041】
起立部33の配向方向の長さは、1mm以上30mm以下であってよい。起立部33の長さが1mm以上30mm以下であるため、半径30mm以下の可動範囲で起立部33が移動し、清掃面の凹凸内に起立部33が入り込んで粉塵を捕集できる。また、半径30mm以下の可動範囲で起立部33が移動すると、起立部33によって第1シート状部材11が覆われていない部分(凹部)において第1シート状部材11が露出し、第1シート状部材11の不織布によって仕上げの拭き取りを行うことができる。また、起立部33の可動範囲が広すぎると、起立部33によって第1シート状部材11が覆われていない部分(凹部)の寸法が大きくなり、一旦引き込んだ粉塵がでてしまうおそれがある。しかし、起立部33の可動範囲の半径が30mm以下であり、広すぎないため、粉塵を凹部内で捕集し続けることができる。
【0042】
本実施の形態の繊維束の繊維の配向方向は、第1方向D1であり、直交方向は、第2方向である。接合部31は、第1方向D1に間隔を空けて配置されている。接合部31は、線状であり、清掃シート1の第2方向D2の中心から、第2方向D2に対して傾斜しつつ第2方向D2の外側に向かって延びている。切断部32は、第1方向D1における接合部31間に配置されている。接合部31は、非連続に並んで線状に配置されており、清掃シート1の第2方向D2の中心から、第2方向D2に対して傾斜しつつ第2方向D2の外側に向かって延びている。接合部31と切断部32は、第1方向D1に交互に配置されている。接合部31の第2方向D2の外端縁は、第2シート状部材12の第2方向の外縁に到達している。切断部32の外縁は、接合部31の第2方向D2の外端縁よりも第2方向D2の内側に位置する。
【0043】
清掃シート1の一方の外面には、第1シート状部材11が配置され、清掃シート1の他方の外面には、第2シート状部材12が配置されてよい。本態様によれば、清掃シート1の他方側の外面に配置された第2シート状部材12によって粉塵の引き込みを行い、清掃シートの一方側の外面に配置された第1シート状部材11によって拭き仕上げを行うことができる。本実施の形態では、第1面21の全面に第1シート状部材11が配置され、第2面22に第2シート状部材12と第1シート状部材11が配置されている。
【0044】
湿潤押圧状態において清掃シート1の一方の外面を清掃面に当てて平面方向に300mm移動する際に要する力は、湿潤押圧状態において清掃シートの他方の外面を清掃面に当てて平面方向に300mm移動する際に要する力に対して2.0倍以上3.0倍以下であってよい。一方側の外面と他方側の面の拭き重さが2倍以上異なるため、使用者は、視認しなくてもその感覚でいずれの外面で清掃しているかを把握できる。また、一方側の外面と他方側の面の拭き重さが異なりすぎると、使用者は、使用感が異なりすぎ、使用時に違和感が生じるおそれがある。一方側の外面と他方側の面の拭き重さが3倍以下であるため、使用者は、外面の違いを把握しつつ、同程度の使用感で清掃シートを使用できる。
【0045】
湿潤押圧状態における清掃シート1を移動する力は、以下の方法によって測定できる。図7は、湿潤押圧状態における清掃シート1を移動する力の測定を説明するための図である。測定機器は、オートグラフ301を用いる。オートグラフ301の下チャック部分を外し、オートグラフに清掃面としてのフローリング302をセットする。このとき、水準器計を用いて、フローリング302の表面を0度になるようにセットする。フローリング302に固定されているフック303の穴に紐を通し、紐304の一端をオートグラフ301の上チャック305に挟む。オートグラフ301の上チャック305とフック303の穴の距離は、300mmとする。300%以上の薬液が含浸された清掃シート1を清掃ヘッド201に装着する。紐304の他端を2つに分岐させて、2つの先端に金具306を取り付け、当該金具306を清掃ヘッド201の係合部に取り付ける。金具306は、清掃シート1の引っ張る方向に対して直交する方向に間隔を空けて配置する。清掃シート1が受ける圧力が7.00kPa~8.00kPaとなるように、清掃ヘッド201上に重り307を載せる。この状態で、オートグラフ301によって清掃ヘッド201を介して清掃シート1を引っ張る。引張速度は、500mm/min、引張距離は、300mmとして、測定した値の最大値を湿潤押圧状態における清掃シート1を移動する力(単位:N)とする。なお、次の清掃シートの移動する力を測定する際は、フローリングの表面を乾いた布で拭く。
【0046】
(3)第2実施形態に係る清掃シート
次いで、第2実施形態に係る清掃シートについて詳細に説明する。図8は、第2実施形態に係る清掃シート1Xの模式断面図である。図8に示す断面図は、図2に示すA-A線を基準とした断面である。第2実施形態に係る清掃シート1Xは、清掃シート1の両方の外面には、第2シート状部材12が配置されている。第1シート状部材11は、第2シート状部材12間に配置されている。第2実施形態の清掃シート1Xは、第1面の形状と第2面の形状が同じである。本態様によれば、第1シート状部材11によって清掃シートの剛性を確保して平面状態を維持しつつ、清掃シートの両面に配置された第2シート状部材12によって粉塵の引き込みを行うことができる。また、清掃シートの両面に第2シート状部材12が配置されているため、使用者は、いずれの外面を用いて清掃しても同じ使用感を感じることができる。また、第2シート状部材12が起立部を有する形態にあっては、いずれの外面においても、起立部によって第1シート状部材11が覆われていない部分(凹部)において第1シート状部材11が露出し、第1シート状部材11の不織布によって仕上げの拭き取りを行うことができる。
【0047】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0048】
1、1X :清掃シート
11 :第1シート状部材
12 :第2シート状部材
21 :第1面(外面)
22 :第2面(外面)
31 :接合部
32 :切断部
33 :起立部
34 :接合部を跨がった繊維
35 :切り込み部
37 :圧搾部
200 :清掃具
201 :清掃ヘッド
210 :対向面
230 :係合部
250 :把持部
R1 :シート中央部
R2 :シート側部
R11 :接合領域
R12 :非接合領域
D1 :第1方向(配向方向)
D2 :第2方向
T :厚み方向
【要約】
【課題】ウェット式の清掃シートにおいて大小種々のサイズの粉塵を捕集し易い清掃シートを提供する。
【解決手段】清掃シート(1)は、第1シート状部材(11)と、第1シート状部材に重なる第2シート状部材(12)と、第1シート状部材と第2シート状部材を接合した接合部(31)と、第1シート状部材と第2シート状部材の少なくとも一方に、薬液が含浸されたウェット型の清掃シートである。清掃シートの重量に対する300%以上の薬液が含浸され、かつ7.00kPa~8.00kPaの圧力で清掃シートが押圧された湿潤押圧状態において、接合部(31)が設けられていない非接合領域(R12)における清掃シートの厚み(T12)は、接合部(31)が設けられた接合領域(R11)における清掃シートの厚みに対する3.0倍以上である。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8