(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】紙製のトレー
(51)【国際特許分類】
B65D 81/34 20060101AFI20241011BHJP
B65D 5/28 20060101ALI20241011BHJP
B65D 5/24 20060101ALI20241011BHJP
【FI】
B65D81/34 U
B65D5/28
B65D5/24 Z
(21)【出願番号】P 2020186662
(22)【出願日】2020-11-09
【審査請求日】2023-08-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000231637
【氏名又は名称】株式会社ニップン
(73)【特許権者】
【識別番号】000129493
【氏名又は名称】株式会社クラウン・パッケージ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】西川 桃佳
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 尚貴
(72)【発明者】
【氏名】杉山 拓朗
(72)【発明者】
【氏名】小長谷 友季子
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-240042(JP,A)
【文献】実開平07-028007(JP,U)
【文献】実開平06-030084(JP,U)
【文献】実開平05-007665(JP,U)
【文献】米国特許第05433374(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/34
B65D 5/00- 5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正方形状または長方形状の上面開口部を有する紙製のトレーであって、
正面壁部、背面壁部、左面壁部、右面壁部、及び、下面壁部、を備えており、
前記正面壁部と前記背面壁部とは、互いに向き合っており、
前記左面壁部と前記右面壁部とは、互いに向き合っており、
前記正面壁部は、当該正面壁部の上縁において外側に折り返された正面補強壁部に連続しており、
前記背面壁部は、当該背面壁部の上縁において外側に折り返された背面補強壁部に連続しており、
前記左面壁部は、当該左面壁部の上縁において外側に折り曲げ可能な左面フランジ部に連続しており、
前記左面フランジ部は、当該左面フランジ部の外縁において外側に折り返された左面フランジ補強部に連続しており、
前記左面フランジ補強部は、当該左面フランジ補強部の内縁において左面補強壁部に連続しており、
前記右面壁部は、当該右面壁部の上縁において外側に折り曲げ可能な右面フランジ部に連続しており、
前記右面フランジ部は、当該右面フランジ部の外縁において外側に折り返された右面フランジ補強部に連続しており、
前記右面フランジ補強部は、当該右面フランジ補強部の内縁において右面補強壁部に連続しており、
前記正面壁部の上縁の左面側端と前記左面壁部の上縁の正面側端とが僅かに離間
して両者の間に蒸気抜け口が形成されるように、前記正面壁部の左面側の上部及び/または前記左面壁部の正面側の上部に切欠部が形成されており、
前記正面壁部の上縁の右面側端と前記右面壁部の上縁の正面側端とが僅かに離間
して両者の間に蒸気抜け口が形成されるように、前記正面壁部の右面側の上部及び/または前記右面壁部の正面側の上部に切欠部が形成されており、
前記背面壁部の上縁の左面側端と前記左面壁部の上縁の背面側端とが僅かに離間
して両者の間に蒸気抜け口が形成されるように、前記背面壁部の左面側の上部及び/または前記左面壁部の背面側の上部に切欠部が形成されており、
前記背面壁部の上縁の右面側端と前記右面壁部の上縁の背面側端とが僅かに離間
して両者の間に蒸気抜け口が形成されるように、前記背面壁部の右面側の上部及び/または前記右面壁部の背面側の上部に切欠部が形成されている
ことを特徴とするトレー。
【請求項2】
正方形状または長方形状の上面開口部を有する紙製のトレーであって、
正面壁部、背面壁部、左面壁部、右面壁部、及び、下面壁部、を備えており、
前記正面壁部と前記背面壁部とは、互いに向き合っており、
前記左面壁部と前記右面壁部とは、互いに向き合っており、
前記正面壁部は、当該正面壁部の上縁において外側に折り返された正面補強壁部に連続しており、
前記背面壁部は、当該背面壁部の上縁において外側に折り返された背面補強壁部に連続しており、
前記左面壁部は、当該左面壁部の上縁において外側に折り曲げ可能な左面フランジ部に連続しており、
前記左面フランジ部は、当該左面フランジ部の外縁において外側に折り返された左面フランジ補強部に連続しており、
前記左面フランジ補強部は、当該左面フランジ補強部の内縁において左面補強壁部に連続しており、
前記右面壁部は、当該右面壁部の上縁において外側に折り曲げ可能な右面フランジ部に連続しており、
前記右面フランジ部は、当該右面フランジ部の外縁において外側に折り返された右面フランジ補強部に連続しており、
前記右面フランジ補強部は、当該右面フランジ補強部の内縁において右面補強壁部に連続しており、
(i) 前記正面壁部の上縁の左面側端と前記左面壁部の上縁の正面側端とが僅かに離間
して両者の間に蒸気抜け口が形成されるように、前記正面壁部の左面側の上部及び/または前記左面壁部の正面側の上部に切欠部が形成されているか、または、
(ii) 前記正面壁部の上縁の右面側端と前記右面壁部の上縁の正面側端とが僅かに離間
して両者の間に蒸気抜け口が形成されるように、前記正面壁部の右面側の上部及び/または前記右面壁部の正面側の上部に切欠部が形成されているか、または、
(iii) 前記背面壁部の上縁の左面側端と前記左面壁部の上縁の背面側端とが僅かに離間
して両者の間に蒸気抜け口が形成されるように、前記背面壁部の左面側の上部及び/または前記左面壁部の背面側の上部に切欠部が形成されているか、または、
(iv) 前記背面壁部の上縁の右面側端と前記右面壁部の上縁の背面側端とが僅かに離間
して両者の間に蒸気抜け口が形成されるように、前記背面壁部の右面側の上部及び/または前記右面壁部の背面側の上部に切欠部が形成されている
ことを特徴とするトレー。
【請求項3】
前記下面壁部は、左面側端における高さ及び右面側端における高さが、左右方向の中央領域における高さよりも低くなっている
ことを特徴とする請求項1または2に記載のトレー。
【請求項4】
前記下面壁部は、左面側端における前後方向の長さ及び右面側端における前後方向の長さが、左右方向の中央領域における前後方向の長さよりも短くなっている
ことを特徴とする請求項3に記載のトレー。
【請求項5】
前記正面壁部の下面側端と前記下面壁部の正面側端とは、少なくとも部分的に連続しており、
前記背面壁部の下面側端と前記下面壁部の背面側端とは、少なくとも部分的に連続しており、
前記左面壁部の下面側端と前記下面壁部の左面側端とは、少なくとも部分的に連続しており、
前記右面壁部の下面側端と前記下面壁部の右面側端とは、少なくとも部分的に連続している
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のトレー。
【請求項6】
前記正面壁部の左面側端と前記左面壁部の正面側端とは、左正面折り曲げ補強部を介して、少なくとも部分的に連続しており、
前記正面壁部の右面側端と前記右面壁部の正面側端とは、右正面折り曲げ補強部を介して、少なくとも部分的に連続しており、
前記背面壁部の左面側端と前記左面壁部の背面側端とは、左背面折り曲げ補強部を介して、少なくとも部分的に連続しており、
前記背面壁部の右面側端と前記右面壁部の背面側端とは、右背面折り曲げ補強部を介して、少なくとも部分的に連続しており、
前記左正面折り曲げ補強部及び前記左背面折り曲げ補強部は、前記左面壁部の外側に接着固定されており、
前記左面補強壁部のサイズ及び配置位置は、前記左正面折り曲げ補強部及び前記左背面折り曲げ補強部と重ならないようになっており、
前記右正面折り曲げ補強部及び前記右背面折り曲げ補強部は、前記右面壁部の外側に接着固定されており、
前記右面補強壁部のサイズ及び配置位置は、前記右正面折り曲げ補強部及び前記右背面折り曲げ補強部と重ならないようになっている
ことを特徴とする請求項5に記載のトレー。
【請求項7】
前記左面壁部の上縁に対して、前記左面フランジ部が外側に折り曲げられ、
前記右面壁部の上縁に対して、前記右面フランジ部が外側に折り曲げられ、
前記左面壁部の上縁を含む前記左面フランジ部の上面、前記右面壁部の上縁を含む前記右面フランジ部の上面、前記正面壁部の上縁、及び、前記背面壁部の上縁に、トップシールが設けられている
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のトレー。
【請求項8】
請求項5または6に記載のトレーを形成するためのブランク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正方形状または長方形状の上面開口部を有する紙製のトレーに関する。
【背景技術】
【0002】
電子レンジ加熱用のトレーは、例えば特許文献1~3に示されるように、様々なタイプのものが開発されている。
【0003】
本件出願人でもある株式会社クラウン・パッケージは、電子レンジ加熱用の紙製トレーとして、意匠登録1462512の意匠権を保有している。当該意匠登録による紙製トレーは、1枚のブランクから製造可能で廃材量を抑制でき、容器としての強度も比較的高く電子レンジ加熱後にそのまま食器として使用することができる(別の食器に移し替える必要無しで喫食可能である)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-331112号公報
【文献】特開2007-008568号公報
【文献】特開2017-100797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、意匠登録1462512による容器は、特に上面開口部にトップシールを熱圧着する場合において、強度が不十分であるという問題が指摘された。また、トップシールが不所望のタイミングで剥がれてしまうことがある、という問題も指摘された。
【0006】
本件発明者は、各側壁の上縁を折り返して二重にすることで、各側壁の強度を向上可能であることを知見した。しかしながら、それでも尚、トップシールが不所望のタイミングで剥がれてしまうという問題は残存する。
【0007】
そこで更に、本件発明者は、鋭意の検討を重ね、上面開口部の形状を正方形状または長方形状とした上で、対向する一対の側壁部の各々に連続するようにフランジ部を設けておいて当該フランジ部の上面にトップシールを熱圧着することで、トップシールの剥がれの問題を解消できることを知見した。
【0008】
更に、本件発明者は、正方形状または長方形状の上面開口部の四隅(の少なくともいずれか)に相当する領域に蒸気抜け口となる切欠部を設けることで、強度の低下を招くことなく、電子レンジ加熱の際に発生する水蒸気を効果的に逃がすことができることを知見した。
【0009】
本発明は、以上の知見に基づいて創案されたものである。本発明の目的は、十分な強度を有すると共にトップシールのための広い熱圧着面を提供することができる紙製のトレーであって、当該トレー内に収容された食材から電子レンジ加熱の際に発生する水蒸気等を効果的に逃がすことができるトレーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、
正方形状または長方形状の上面開口部を有する紙製のトレーであって、
正面壁部、背面壁部、左面壁部、右面壁部、及び、下面壁部、を備えており、
前記正面壁部と前記背面壁部とは、互いに向き合っており、
前記左面壁部と前記右面壁部とは、互いに向き合っており、
前記正面壁部は、当該正面壁部の上縁において外側に折り返された正面補強壁部に連続しており、
前記背面壁部は、当該背面壁部の上縁において外側に折り返された背面補強壁部に連続しており、
前記左面壁部は、当該左面壁部の上縁において外側に折り曲げ可能な左面フランジ部に連続しており、
前記左面フランジ部は、当該左面フランジ部の外縁において外側に折り返された左面フランジ補強部に連続しており、
前記左面フランジ補強部は、当該左面フランジ補強部の内縁において左面補強壁部に連続しており、
前記右面壁部は、当該右面壁部の上縁において外側に折り曲げ可能な右面フランジ部に連続しており、
前記右面フランジ部は、当該右面フランジ部の外縁において外側に折り返された右面フランジ補強部に連続しており、
前記右面フランジ補強部は、当該右面フランジ補強部の内縁において右面補強壁部に連続しており、
前記正面壁部の上縁の左面側端と前記左面壁部の上縁の正面側端とが僅かに離間するように、前記正面壁部の左面側の上部及び/または前記左面壁部の正面側の上部に切欠部が形成されており、
前記正面壁部の上縁の右面側端と前記右面壁部の上縁の正面側端とが僅かに離間するように、前記正面壁部の右面側の上部及び/または前記右面壁部の正面側の上部に切欠部が形成されており、
前記背面壁部の上縁の左面側端と前記左面壁部の上縁の背面側端とが僅かに離間するように、前記背面壁部の左面側の上部及び/または前記左面壁部の背面側の上部に切欠部が形成されており、
前記背面壁部の上縁の右面側端と前記右面壁部の上縁の背面側端とが僅かに離間するように、前記背面壁部の右面側の上部及び/または前記右面壁部の背面側の上部に切欠部が形成されている
ことを特徴とするトレー
である。
【0011】
本発明によれば、正面壁部が当該正面壁部の上縁において外側に折り返された正面補強壁部に連続しているため、当該正面壁部の上縁にトップシールを熱圧着する際の強度を十分に担保できる。また、正面補強壁部が正面壁部と重なって当該正面壁部を補強することにより、トレー内に収容された食材から電子レンジ加熱の際に発生する水蒸気によって正面壁部の強度が低下してトレーが不所望に変形することが抑制される。
【0012】
同様に、背面壁部が当該背面壁部の上縁において外側に折り返された背面補強壁部に連続しているため、当該背面壁部の上縁にトップシールを熱圧着する際の強度を十分に担保できる。また、背面補強壁部が背面壁部と重なって当該背面壁部を補強することにより、トレー内に収容された食材から電子レンジ加熱の際に発生する水蒸気によって背面壁部の強度が低下してトレーが不所望に変形することが抑制される。
【0013】
また、左面壁部が当該左面壁部の上縁において外側に折り曲げ可能な左面フランジ部に連続しており、当該左面フランジ部の上面をトップシールの熱圧着面とすることができ、当該広い熱圧着面がトップシールの剥がれの問題を解消することができる。更に、左面フランジ補強部が左面フランジ部と重なって当該左面フランジ部を補強すると共に、左面補強壁部が左面壁部と重なって当該左面壁部を補強することにより、トレー内に収容された食材から電子レンジ加熱の際に発生する水蒸気によって左面フランジ部及び左面壁部の強度が低下してトレーが不所望に変形することが抑制される。
【0014】
同様に、右面壁部が当該右面壁部の上縁において外側に折り曲げ可能な右面フランジ部に連続しており、当該右面フランジ部の上面をトップシールの熱圧着面とすることができ、当該広い熱圧着面がトップシールの剥がれの問題を解消することができる。更に、右面フランジ補強部が右面フランジ部と重なって当該右面フランジ部を補強すると共に、右面補強壁部が右面壁部と重なって当該右面壁部を補強することにより、トレー内に収容された食材から電子レンジ加熱の際に発生する水蒸気によって右面フランジ部及び右面壁部の強度が低下してトレーが不所望に変形することが抑制される。
【0015】
また、正面壁部の上縁の左面側端と左面壁部の上縁の正面側端とが僅かに離間するように、正面壁部の左面側の上部及び/または左面壁部の正面側の上部に切欠部が形成されているため、上面開口部を覆うようにトップシールが熱圧着される場合でも、当該切欠部が電子レンジ加熱の際の蒸気抜け口として効果的に機能することができる。
【0016】
同様に、正面壁部の上縁の右面側端と右面壁部の上縁の正面側端とが僅かに離間するように、正面壁部の右面側の上部及び/または右面壁部の正面側の上部に切欠部が形成されているため、上面開口部を覆うようにトップシールが熱圧着される場合でも、当該切欠部が電子レンジ加熱の際の蒸気抜け口として効果的に機能することができる。
【0017】
同様に、背面壁部の上縁の左面側端と左面壁部の上縁の背面側端とが僅かに離間するように、背面壁部の左面側の上部及び/または左面壁部の背面側の上部に切欠部が形成されているため、上面開口部を覆うようにトップシールが熱圧着される場合でも、当該切欠部が電子レンジ加熱の際の蒸気抜け口として効果的に機能することができる。
【0018】
同様に、背面壁部の上縁の右面側端と右面壁部の上縁の背面側端とが僅かに離間するように、背面壁部の右面側の上部及び/または右面壁部の背面側の上部に切欠部が形成されているため、上面開口部を覆うようにトップシールが熱圧着される場合でも、当該切欠部が電子レンジ加熱の際の蒸気抜け口として効果的に機能することができる。
【0019】
前記の態様では、正方形状または長方形状の上面開口部の四隅の各々に相当する領域に蒸気抜け口となる切欠部が設けられているが、この態様に限定されず、正方形状または長方形状の上面開口部の四隅の少なくとも1つに相当する領域に蒸気抜け口となる切欠部が設けられた態様も、本発明の範囲内のものである。
【0020】
すなわち、本発明の別の一態様は、
正方形状または長方形状の上面開口部を有する紙製のトレーであって、
正面壁部、背面壁部、左面壁部、右面壁部、及び、下面壁部、を備えており、
前記正面壁部と前記背面壁部とは、互いに向き合っており、
前記左面壁部と前記右面壁部とは、互いに向き合っており、
前記正面壁部は、当該正面壁部の上縁において外側に折り返された正面補強壁部に連続しており、
前記背面壁部は、当該背面壁部の上縁において外側に折り返された背面補強壁部に連続しており、
前記左面壁部は、当該左面壁部の上縁において外側に折り曲げ可能な左面フランジ部に連続しており、
前記左面フランジ部は、当該左面フランジ部の外縁において外側に折り返された左面フランジ補強部に連続しており、
前記左面フランジ補強部は、当該左面フランジ補強部の内縁において左面補強壁部に連続しており、
前記右面壁部は、当該右面壁部の上縁において外側に折り曲げ可能な右面フランジ部に連続しており、
前記右面フランジ部は、当該右面フランジ部の外縁において外側に折り返された右面フランジ補強部に連続しており、
前記右面フランジ補強部は、当該右面フランジ補強部の内縁において右面補強壁部に連続しており、
(i) 前記正面壁部の上縁の左面側端と前記左面壁部の上縁の正面側端とが僅かに離間するように、前記正面壁部の左面側の上部及び/または前記左面壁部の正面側の上部に切欠部が形成されているか、または、
(ii) 前記正面壁部の上縁の右面側端と前記右面壁部の上縁の正面側端とが僅かに離間するように、前記正面壁部の右面側の上部及び/または前記右面壁部の正面側の上部に切欠部が形成されているか、または、
(iii) 前記背面壁部の上縁の左面側端と前記左面壁部の上縁の背面側端とが僅かに離間するように、前記背面壁部の左面側の上部及び/または前記左面壁部の背面側の上部に切欠部が形成されているか、または、
(iv) 前記背面壁部の上縁の右面側端と前記右面壁部の上縁の背面側端とが僅かに離間するように、前記背面壁部の右面側の上部及び/または前記右面壁部の背面側の上部に切欠部が形成されている
ことを特徴とするトレー
である。
【0021】
本発明によっても、正面壁部が当該正面壁部の上縁において外側に折り返された正面補強壁部に連続しているため、当該正面壁部の上縁にトップシールを熱圧着する際の強度を十分に担保できる。また、正面補強壁部が正面壁部と重なって当該正面壁部を補強することにより、トレー内に収容された食材から電子レンジ加熱の際に発生する水蒸気によって正面壁部の強度が低下してトレーが不所望に変形することが抑制される。
【0022】
同様に、背面壁部が当該背面壁部の上縁において外側に折り返された背面補強壁部に連続しているため、当該背面壁部の上縁にトップシールを熱圧着する際の強度を十分に担保できる。また、背面補強壁部が背面壁部と重なって当該背面壁部を補強することにより、トレー内に収容された食材から電子レンジ加熱の際に発生する水蒸気によって背面壁部の強度が低下してトレーが不所望に変形することが抑制される。
【0023】
また、左面壁部が当該左面壁部の上縁において外側に折り曲げ可能な左面フランジ部に連続しており、当該左面フランジ部の上面をトップシールの熱圧着面とすることができ、当該広い熱圧着面がトップシールの剥がれの問題を解消することができる。更に、左面フランジ補強部が左面フランジ部と重なって当該左面フランジ部を補強すると共に、左面補強壁部が左面壁部と重なって当該左面壁部を補強することにより、トレー内に収容された食材から電子レンジ加熱の際に発生する水蒸気によって左面フランジ部及び左面壁部の強度が低下してトレーが不所望に変形することが抑制される。
【0024】
同様に、右面壁部が当該右面壁部の上縁において外側に折り曲げ可能な右面フランジ部に連続しており、当該右面フランジ部の上面をトップシールの熱圧着面とすることができ、当該広い熱圧着面がトップシールの剥がれの問題を解消することができる。更に、右面フランジ補強部が右面フランジ部と重なって当該右面フランジ部を補強すると共に、右面補強壁部が右面壁部と重なって当該右面壁部を補強することにより、トレー内に収容された食材から電子レンジ加熱の際に発生する水蒸気によって右面フランジ部及び右面壁部の強度が低下してトレーが不所望に変形することが抑制される。
【0025】
また、(i)正面壁部の上縁の左面側端と左面壁部の上縁の正面側端とが僅かに離間するように、正面壁部の左面側の上部及び/または左面壁部の正面側の上部に切欠部が形成されているため、上面開口部を覆うようにトップシールが熱圧着される場合でも、当該切欠部が電子レンジ加熱の際の蒸気抜け口として効果的に機能することができる。
【0026】
あるいは、(ii)正面壁部の上縁の右面側端と右面壁部の上縁の正面側端とが僅かに離間するように、正面壁部の右面側の上部及び/または右面壁部の正面側の上部に切欠部が形成されているため、上面開口部を覆うようにトップシールが熱圧着される場合でも、当該切欠部が電子レンジ加熱の際の蒸気抜け口として効果的に機能することができる。
【0027】
あるいは、(iii)背面壁部の上縁の左面側端と左面壁部の上縁の背面側端とが僅かに離間するように、背面壁部の左面側の上部及び/または左面壁部の背面側の上部に切欠部が形成されているため、上面開口部を覆うようにトップシールが熱圧着される場合でも、当該切欠部が電子レンジ加熱の際の蒸気抜け口として効果的に機能することができる。
【0028】
あるいは、(iv)背面壁部の上縁の右面側端と右面壁部の上縁の背面側端とが僅かに離間するように、背面壁部の右面側の上部及び/または右面壁部の背面側の上部に切欠部が形成されているため、上面開口部を覆うようにトップシールが熱圧着される場合でも、当該切欠部が電子レンジ加熱の際の蒸気抜け口として効果的に機能することができる。
【0029】
以上の2態様のトレーの各々において、前記下面壁部は、左面側端における高さ及び右面側端における高さが、左右方向の中央領域における高さよりも低くなっていることが好ましい。
【0030】
これによれば、当該高さの差によって下面壁部の下方に形成される空間の存在によって下面壁部における熱伝導が良好となり、電子レンジ加熱の際の加熱ムラの発生を効果的に抑制することができる。また、いわゆる「上げ底」の容器となるため、トレー内に収容される食材の見映えが良くなる。
【0031】
更に、この場合、前記下面壁部は、左面側端における前後方向の長さ及び右面側端における前後方向の長さが、左右方向の中央領域における前後方向の長さよりも短くなっていることが好ましい。
【0032】
これによれば、上面開口部が正方形状または長方形状である一方で、下面壁部は平面視で八角形状となり、トレー内に収容される食材を箸で摘まみ出す等の作業が行いやすい。また、トレー内に収容される食材の見映えも良くなる。
【0033】
また、前記正面壁部の下面側端と前記下面壁部の正面側端とは、少なくとも部分的に連続しており、前記背面壁部の下面側端と前記下面壁部の背面側端とは、少なくとも部分的に連続しており、前記左面壁部の下面側端と前記下面壁部の左面側端とは、少なくとも部分的に連続しており、前記右面壁部の下面側端と前記下面壁部の右面側端とは、少なくとも部分的に連続していることが好ましい。
【0034】
これによれば、当該トレーを1枚のブランクから製造することが可能であるため、廃材量を抑制できる。
【0035】
更に、この場合、前記正面壁部の左面側端と前記左面壁部の正面側端とは、左正面折り曲げ補強部を介して、少なくとも部分的に連続しており、前記正面壁部の右面側端と前記右面壁部の正面側端とは、右正面折り曲げ補強部を介して、少なくとも部分的に連続しており、前記背面壁部の左面側端と前記左面壁部の背面側端とは、左背面折り曲げ補強部を介して、少なくとも部分的に連続しており、前記背面壁部の右面側端と前記右面壁部の背面側端とは、右背面折り曲げ補強部を介して、少なくとも部分的に連続しており、前記左正面折り曲げ補強部及び前記左背面折り曲げ補強部は、前記左面壁部の外側に接着固定されており、前記左面補強壁部のサイズ及び配置位置は、前記左正面折り曲げ補強部及び前記左背面折り曲げ補強部と重ならないようになっており、前記右正面折り曲げ補強部及び前記右背面折り曲げ補強部は、前記右面壁部の外側に接着固定されており、前記右面補強壁部のサイズ及び配置位置は、前記右正面折り曲げ補強部及び前記右背面折り曲げ補強部と重ならないようになっていることが好ましい。
【0036】
これによれば、ブランク状態からのトレーの組立作業が容易である。また、左正面折り曲げ補強部及び左背面折り曲げ補強部が左面壁部の外側に接着固定されているため、左面壁部が更に補強され、同様に、右正面折り曲げ補強部及び右背面折り曲げ補強部が右面壁部の外側に接着固定されているため、右面壁部が更に補強される。更に、左面補強壁部のサイズ及び配置位置は、左正面折り曲げ補強部及び左背面折り曲げ補強部と重ならないようになっており、右面補強壁部のサイズ及び配置位置は、右正面折り曲げ補強部及び右背面折り曲げ補強部と重ならないようになっているため、美観においても優れている。
【0037】
以上に説明してきたトレーは、トップシールを熱圧着する前段階のものであって、左面フランジ部及び右面フランジ部を外側に折り曲げる前段階のものを含む。このような状態のトレーは、積み重ねて取り扱うことが容易である。
【0038】
もっとも、左面フランジ部及び右面フランジ部を外側に折り曲げて、トップシールを熱圧着した状態のトレーも、当然に本発明の範囲内のものである。この場合、前記左面壁部の上縁に対して、前記左面フランジ部が外側に折り曲げられ得て、前記右面壁部の上縁に対して、前記右面フランジ部が外側に折り曲げられ得て、前記左面壁部の上縁を含む前記左面フランジ部の上面、前記右面壁部の上縁を含む前記右面フランジ部の上面、前記正面壁部の上縁、及び、前記背面壁部の上縁に、トップシールが設けられ得る。
【0039】
更に、少なくとも本願出願の時点では、前記トレーを形成するためのブランクに対応するものも、本願発明の対象である。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、正面壁部が当該正面壁部の上縁において外側に折り返された正面補強壁部に連続しているため、当該正面壁部の上縁にトップシールを熱圧着する際の強度を十分に担保できる。また、正面補強壁部が正面壁部と重なって当該正面壁部を補強することにより、トレー内に収容された食材から電子レンジ加熱の際に発生する水蒸気によって正面壁部の強度が低下してトレーが不所望に変形することが抑制される。
【0041】
同様に、背面壁部が当該背面壁部の上縁において外側に折り返された背面補強壁部に連続しているため、当該背面壁部の上縁にトップシールを熱圧着する際の強度を十分に担保できる。また、背面補強壁部が背面壁部と重なって当該背面壁部を補強することにより、トレー内に収容された食材から電子レンジ加熱の際に発生する水蒸気によって背面壁部の強度が低下してトレーが不所望に変形することが抑制される。
【0042】
また、左面壁部が当該左面壁部の上縁において外側に折り曲げ可能な左面フランジ部に連続しており、当該左面フランジ部の上面をトップシールの熱圧着面とすることができ、当該広い熱圧着面がトップシールの剥がれの問題を解消することができる。更に、左面フランジ補強部が左面フランジ部と重なって当該左面フランジ部を補強すると共に、左面補強壁部が左面壁部と重なって当該左面壁部を補強することにより、トレー内に収容された食材から電子レンジ加熱の際に発生する水蒸気によって左面フランジ部及び左面壁部の強度が低下してトレーが不所望に変形することが抑制される。
【0043】
同様に、右面壁部が当該右面壁部の上縁において外側に折り曲げ可能な右面フランジ部に連続しており、当該右面フランジ部の上面をトップシールの熱圧着面とすることができ、当該広い熱圧着面がトップシールの剥がれの問題を解消することができる。更に、右面フランジ補強部が右面フランジ部と重なって当該右面フランジ部を補強すると共に、右面補強壁部が右面壁部と重なって当該右面壁部を補強することにより、トレー内に収容された食材から電子レンジ加熱の際に発生する水蒸気によって右面フランジ部及び右面壁部の強度が低下してトレーが不所望に変形することが抑制される。
【0044】
また、正面壁部の上縁の左面側端と左面壁部の上縁の正面側端とが僅かに離間するように、正面壁部の左面側の上部及び/または左面壁部の正面側の上部に切欠部が形成されているため、上面開口部を覆うようにトップシールが熱圧着される場合でも、当該切欠部が電子レンジ加熱の際の蒸気抜け口として効果的に機能することができる。
【0045】
及び/または、正面壁部の上縁の右面側端と右面壁部の上縁の正面側端とが僅かに離間するように、正面壁部の右面側の上部及び/または右面壁部の正面側の上部に切欠部が形成されているため、上面開口部を覆うようにトップシールが熱圧着される場合でも、当該切欠部が電子レンジ加熱の際の蒸気抜け口として効果的に機能することができる。
【0046】
及び/または、背面壁部の上縁の左面側端と左面壁部の上縁の背面側端とが僅かに離間するように、背面壁部の左面側の上部及び/または左面壁部の背面側の上部に切欠部が形成されているため、上面開口部を覆うようにトップシールが熱圧着される場合でも、当該切欠部が電子レンジ加熱の際の蒸気抜け口として効果的に機能することができる。
【0047】
及び/または、背面壁部の上縁の右面側端と右面壁部の上縁の背面側端とが僅かに離間するように、背面壁部の右面側の上部及び/または右面壁部の背面側の上部に切欠部が形成されているため、上面開口部を覆うようにトップシールが熱圧着される場合でも、当該切欠部が電子レンジ加熱の際の蒸気抜け口として効果的に機能することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るトレーを形成するためのブランクの概略図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係るトレーの上面側斜視図である。
【
図7】本発明の第1実施形態に係るトレーの、左面フランジ部及び右面フランジ部を外側に折り曲げてトップシールを熱圧着した状態の、上面側斜視図である。
【
図12】本発明の第2実施形態に係るトレーを形成するためのブランクの概略図である。
【
図13】本発明の第2実施形態に係るトレーの上面側斜視図である。
【
図18】本発明の第2実施形態に係るトレーの、左面フランジ部及び右面フランジ部を外側に折り曲げてトップシールを熱圧着した状態の、上面側斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0050】
図1は、本発明の第1実施形態に係るトレー100を形成するためのブランクの概略図であり、
図2は、本発明の第1実施形態に係るトレー100の上面側斜視図であり、
図3は、
図2のトレー100の下面側斜視図である。また、
図4は、
図2のトレー100の正面図であり、
図5は、
図2のトレー100の左側面図であり、
図6は、
図2のトレー100の平面図である。
【0051】
本実施形態のトレー100は、薄型段ボール材(厚み0.9mm程度)から打ち抜かれたブランク(
図1参照)から組み立てられるものであり、
図2乃至
図6に示すように、正方形状または長方形状の上面開口部10を有するトレーである。
【0052】
より具体的には、本実施形態のトレー100は、正面壁部11、背面壁部12、左面壁部13、右面壁部14、及び、下面壁部15、を備えている。正面壁部11と背面壁部12とは、互いに向き合っており、左面壁部13と右面壁部14とは、互いに向き合っている。
【0053】
(下面壁部15)
下面壁部15は、
図1に示すように、左右対称且つ前後対称の形状で、台形状の左部15a(例えば左右方向長さ20mm)と、長方形状の中央部15b(例えば前後方向128mm×左右方向134mm)と、台形状の右部15c(例えば左右方向長さ20mm)と、からなっている。これにより、左部15aの左面側端における前後方向の長さ及び右部15cの右面側端における前後方向の長さ(いずれも例えば108mm)が、中央部15b(左右方向の中央領域)における前後方向の長さ(例えば128mm)よりも短くなっている。この結果、下面壁部15は、平面視で八角形状となっている。
【0054】
また、下面壁部15は、組立時において、
図2乃至
図6に示すように、左部15aの左面側端における高さ及び右部15cの右面側端における高さが、中央部15b(左右方向の中央領域)における高さよりも低くなっている。本実施形態では、当該高さの差が10mmとなっている。
【0055】
(正面壁部11~)
正面壁部11は、
図1に示すように、左右対称の形状で、三角形状の左部11aと、台形状の中央部11bと、三角形状の右部11cと、からなっている。中央部11bは、下面壁部15の中央部15bの正面側端から延びており、上縁(組立後に上縁となる縁)において外側に折り返される正面補強壁部11rに連続している。
【0056】
本実施形態では、正面補強壁部11rの形状は、前後方向長さが2mmだけ短い点を除いて、正面壁部11の中央部11bの形状と等しくなっている。そして、正面壁部11の中央部11bの左面側端及び右面側端並びに正面補強壁部11rの左面側端及び右面側端は、正面壁部11の上縁(組立後に上縁となる縁)に対して50°の角度を形成している。正面壁部11の中央部11bの前後方向長さは、例えば39.5mmである(この場合、正面補強壁部11rの前後方向長さは、39.5-2=37.5mmである)。
【0057】
図2乃至
図6に示すように、正面壁部11の上縁は、正面壁部11の中央部11bの上縁によって提供される。
【0058】
一方、正面壁部11の三角形状の左部11aは、正面壁部11の中央部11bの左面側端と、下面壁部15の左部15aの正面側端と、に連続しており、残りの一辺が正面壁部11の左面側端となっている。正面壁部11の(左部11aの)左面側端と正面壁部11の中央部11bの左面側端とがなす角度は、24°となっている。
【0059】
また、
図1に示すブランクの状態で、正面壁部11の左面側端は、前後方向に対して16°(10°~20°の範囲から好適に選択される)だけ傾斜して延びている。そして、当該正面壁部11の左面側端は、左正面折り曲げ補強部21を介して、左面壁部13の正面側端に連続している。
図1に示すブランクの状態で、左面壁部13の正面側端は、上部の切欠部31(後述する)を除いて、左右方向に対して18°(10°~20°の範囲から好適に選択される)だけ前後方向長さが広くなるように傾斜して延びている。
【0060】
左正面折り曲げ補強部21は、折り曲げて重ねられる2つの合同の三角形片21a、21bからなっている。そして、
図1に示すブランクの状態で、正面壁部11側の三角形片21bにおいて正面壁部11の左部11aと隣接する端縁(辺)の長さは、当該正面壁部11の左部11aの左面側端の長さよりも前後方向に約2.5mmだけ短くなっている。また、
図1に示すブランクの状態で、左面壁部13側の三角形片21aにおいて左面壁部13と隣接する端縁(辺)の長さは、当該左面壁部13の正面側端の長さよりも左右方向に約3.0mmだけ短くなっている。
【0061】
そして、左面壁部13の正面側端の上部となる約3.0mmの領域(三角形片21aの上縁よりも高い領域)は、左右方向に延びている。これにより、左右方向に対して18°だけ前後方向長さが広くなる傾斜線(この線に正面壁部11の左部11aの左面側端が位置合わせされてトレー100は組み立てられる)に対して、左面壁部13の正面側端の上部の輪郭は、18°の切欠部31を形成している。
【0062】
左右対称に、正面壁部11の三角形状の右部11cは、正面壁部11の中央部11bの右面側端と、下面壁部15の右部15cの正面側端と、に連続しており、残りの一辺が正面壁部11の右面側端となっている。正面壁部11の(右部11cの)右面側端と正面壁部11の中央部11bの右面側端とがなす角度は、24°となっている。
【0063】
また、
図1に示すブランクの状態で、正面壁部11の右面側端は、前後方向に対して16°(10°~20°の範囲から好適に選択される)だけ傾斜して延びている。そして、当該正面壁部11の右面側端は、右正面折り曲げ補強部22を介して、右面壁部14の正面側端に連続している。
図1に示すブランクの状態で、右面壁部14の正面側端は、上部の切欠部32(後述する)を除いて、左右方向に対して18°(10°~20°の範囲から好適に選択される)だけ前後方向長さが広くなるように傾斜して延びている。
【0064】
右正面折り曲げ補強部22は、折り曲げて重ねられる2つの合同の三角形片22a、22bからなっている。そして、
図1に示すブランクの状態で、正面壁部11側の三角形片22bにおいて正面壁部11の右部11cと隣接する端縁(辺)の長さは、当該正面壁部11の右部11cの右面側端の長さよりも前後方向に約2.5mmだけ短くなっている。また、
図1に示すブランクの状態で、右面壁部14側の三角形片22aにおいて右面壁部14と隣接する端縁(辺)の長さは、当該右面壁部14の正面側端の長さよりも左右方向に約3.0mmだけ短くなっている。
【0065】
そして、右面壁部14の正面側端の上部となる約3.0mmの領域(三角形片22aの上縁よりも高い領域)は、左右方向に延びている。これにより、左右方向に対して18°だけ前後方向長さが広くなる傾斜線(この線に正面壁部11の右部11cの右面側端が位置合わせされてトレー100は組み立てられる)に対して、右面壁部14の正面側端の上部の輪郭は、18°の切欠部32を形成している。
【0066】
(背面壁部12~)
前後対称に、背面壁部12は、
図1に示すように、左右対称の形状で、三角形状の左部12aと、台形状の中央部12bと、三角形状の右部12cと、からなっている。中央部12bは、下面壁部15の中央部15bの背面側端から延びており、上縁(組立後に上縁となる縁)において外側に折り返される背面補強壁部12rに連続している。
【0067】
本実施形態では、背面補強壁部12rの形状は、前後方向長さが2mmだけ短い点を除いて、背面壁部12の中央部12bの形状と等しくなっている。そして、背面壁部12の中央部12bの左面側端及び右面側端並びに背面補強壁部12rの左面側端及び右面側端は、背面壁部12の上縁(組立後に上縁となる縁)に対して50°の角度を形成している。背面壁部12の中央部12bの前後方向長さは、例えば39.5mmである(この場合、背面補強壁部12rの前後方向長さは、39.5-2=37.5mmである)。
【0068】
図2乃至
図6に示すように、背面壁部12の上縁は、背面壁部12の中央部12bの上縁によって提供される。
【0069】
一方、背面壁部12の三角形状の左部12aは、背面壁部12の中央部12bの左面側端と、下面壁部15の左部15aの背面側端と、に連続しており、残りの一辺が背面壁部12の左面側端となっている。背面壁部12の(左部12aの)左面側端と背面壁部12の中央部12bの左面側端とがなす角度は、24°となっている。
【0070】
また、
図1に示すブランクの状態で、背面壁部12の左面側端は、前後方向に対して16°(10°~20°の範囲から好適に選択される)だけ傾斜して延びている。そして、当該背面壁部12の左面側端は、左背面折り曲げ補強部23を介して、左面壁部13の背面側端に連続している。
図1に示すブランクの状態で、左面壁部13の背面側端は、上部の切欠部33(後述する)を除いて、左右方向に対して18°(10°~20°の範囲から好適に選択される)だけ前後方向長さが広くなるように傾斜して延びている。
【0071】
左背面折り曲げ補強部23は、折り曲げて重ねられる2つの合同の三角形片23a、23bからなっている。そして、
図1に示すブランクの状態で、背面壁部12側の三角形片23bにおいて背面壁部12の左部12aと隣接する端縁(辺)の長さは、当該背面壁部12の左部12aの左面側端の長さよりも前後方向に約2.5mmだけ短くなっている。また、
図1に示すブランクの状態で、左面壁部13側の三角形片23aにおいて左面壁部13と隣接する端縁(辺)の長さは、当該左面壁部13の背面側端の長さよりも左右方向に約3.0mmだけ短くなっている。
【0072】
そして、左面壁部13の背面側端の上部となる約3.0mmの領域(三角形片23aの上縁よりも高い領域)は、左右方向に延びている。これにより、左右方向に対して18°だけ前後方向長さが広くなる傾斜線(この線に背面壁部12の左部12aの左面側端が位置合わせされてトレー100は組み立てられる)に対して、左面壁部13の背面側端の上部の輪郭は、18°の切欠部33を形成している。
【0073】
左右対称に、背面壁部12の三角形状の右部12cは、背面壁部12の中央部12bの右面側端と、下面壁部15の右部15cの背面側端と、に連続しており、残りの一辺が背面壁部12の右面側端となっている。背面壁部12の(右部12cの)右面側端と背面壁部12の中央部12bの右面側端とがなす角度は、24°となっている。
【0074】
また、
図1に示すブランクの状態で、背面壁部12の右面側端は、前後方向に対して16°(10°~20°の範囲から好適に選択される)だけ傾斜して延びている。そして、当該背面壁部12の右面側端は、右背面折り曲げ補強部24を介して、右面壁部14の背面側端に連続している。
図1に示すブランクの状態で、右面壁部14の背面側端は、上部の切欠部34(後述する)を除いて、左右方向に対して18°(10°~20°の範囲から好適に選択される)だけ前後方向長さが広くなるように傾斜して延びている。
【0075】
右背面折り曲げ補強部24は、折り曲げて重ねられる2つの合同の三角形片24a、24bからなっている。そして、
図1に示すブランクの状態で、背面壁部12側の三角形片24bにおいて背面壁部12の右部12cと隣接する端縁(辺)の長さは、当該背面壁部12の右部12cの右面側端の長さよりも前後方向に約2.5mmだけ短くなっている。また、
図1に示すブランクの状態で、右面壁部14側の三角形片24aにおいて右面壁部14と隣接する端縁(辺)の長さは、当該右面壁部14の背面側端の長さよりも左右方向に約3.0mmだけ短くなっている。
【0076】
そして、右面壁部14の背面側端の上部となる約3.0mmの領域(三角形片24aの上縁よりも高い領域)は、左右方向に延びている。これにより、左右方向に対して18°だけ前後方向長さが広くなる傾斜線(この線に背面壁部12の右部12cの右面側端が位置合わせされてトレー100は組み立てられる)に対して、右面壁部14の背面側端の上部の輪郭は、18°の切欠部34を形成している。
【0077】
そして、
図2乃至
図6に示すように、組立後の状態において、正面壁部11と背面壁部12とは、上方側が互いから遠ざかるように、それぞれ下面壁部15の中央部15bの正面側端及び背面側端から傾斜して延びている(例えば、傾斜角度は18°程度)。略同様に、左面壁部13と右面壁部14とは、上方側が互いから遠ざかるように、それぞれ下面壁部15の左部15aの左面側端及び右部15cの右面側端から傾斜して延びている(例えば、傾斜角度は16°程度)。
【0078】
(左面フランジ部53~)
また、左面壁部13は、当該左面壁部13の上縁において外側に折り曲げ可能な左面フランジ部53に連続している。左面フランジ部53の正面側端は、左面壁部13の正面側端の上部となる約3.0mmの領域(三角形片21aの上縁よりも高い領域)の延長線上に延びており、同様に、左面フランジ部53の背面側端は、左面壁部13の背面側端の上部となる約3.0mmの領域(三角形片23aの上縁よりも高い領域)の延長線上に延びている。左面フランジ部53は、
図1に示すブランクの状態で、左右方向長さが例えば14mm程度である。
【0079】
左面フランジ部53は、更に、当該左面フランジ部53の外縁において外側に折り返された左面フランジ補強部53rに連続している。左面フランジ補強部53rの形状は、外側に向かうにつれて前後方向長さが僅かに狭くなる点を除いて、左面フランジ部53の形状と概ね等しくなっている。すなわち、左面フランジ補強部53rは、
図1に示すブランクの状態で、左右方向長さが例えば13mm程度である。
【0080】
そして、左面フランジ補強部53rは、当該左面フランジ補強部53rの外縁(組立後には内縁となる)において左面補強壁部13rに連続している。左面補強壁部13rは、組立後の左正面折り曲げ補強部21及び左背面折り曲げ補強部23と干渉しないように(
図2、
図3及び
図5参照)、前後方向の長さが短くなっている(例えば25mm程度となっている)。また、左面補強壁部13rは、
図1に示すブランクの状態で、左右方向長さが例えば20mm程度である。
【0081】
本実施形態では、折り曲げの便宜のため、左面壁部13と左面フランジ部53との境界線(左面壁部13の上縁)上に、2つの切込線53aが設けられている。同様に、折り曲げの便宜のため、左面フランジ補強部53rと左面補強壁部13rとの境界線上に、1つの切込線53cが設けられている。また、折り返しの便宜のため、左面フランジ部53と左面フランジ補強部53rとの境界線上に、2つの切込線53bが設けられている。
【0082】
(右面フランジ部54~)
左右対称に、右面壁部14は、当該右面壁部14の上縁において外側に折り曲げ可能な右面フランジ部54に連続している。右面フランジ部54の正面側端は、右面壁部14の正面側端の上部となる約3.0mmの領域(三角形片22aの上縁よりも高い領域)の延長線上に延びており、同様に、右面フランジ部54の背面側端は、右面壁部14の背面側端の上部となる約3.0mmの領域(三角形片24aの上縁よりも高い領域)の延長線上に延びている。右面フランジ部54は、
図1に示すブランクの状態で、左右方向長さが例えば14mm程度である。
【0083】
右面フランジ部54は、更に、当該右面フランジ部54の外縁において外側に折り返された右面フランジ補強部54rに連続している。右面フランジ補強部54rの形状は、外側に向かうにつれて前後方向長さが僅かに狭くなる点を除いて、右面フランジ部54の形状と概ね等しくなっている。すなわち、右面フランジ補強部54rは、
図1に示すブランクの状態で、左右方向長さが例えば13mm程度である。
【0084】
そして、右面フランジ補強部54rは、当該右面フランジ補強部54rの外縁(組立後には内縁となる)において右面補強壁部14rに連続している。右面補強壁部14rは、組立後の右正面折り曲げ補強部22及び右背面折り曲げ補強部24と干渉しないように、前後方向の長さが短くなっている(例えば25mm程度となっている)。また、右面補強壁部14rは、
図1に示すブランクの状態で、左右方向長さが例えば20mm程度である。
【0085】
本実施形態では、折り曲げの便宜のため、右面壁部14と右面フランジ部54との境界線(右面壁部14の上縁)上に、2つの切込線54aが設けられている。同様に、折り曲げの便宜のため、右面フランジ補強部54rと右面補強壁部14rとの境界線上に、1つの切込線54cが設けられている。また、折り返しの便宜のため、右面フランジ部54と右面フランジ補強部54rとの境界線上に、2つの切込線54bが設けられている。
【0086】
(組立)
前述の通り、本実施形態のトレー100は、
図1に示すブランクから組み立てられる。具体的には、まず、正面補強壁部11rが正面壁部11の中央部11bの上縁で折り返され、重ねられた状態に接着され、前後対称に、背面補強壁部12rが背面壁部12の中央部12bの上縁で折り返され、重ねられた状態に接着される。また、切込線53bを利用して左面フランジ補強部53r及び左面補強壁部13rが左面フランジ部53の外縁で折り返され、左面フランジ部53及び左面壁部13に重ねられた状態に接着され、左右対称に、切込線54bを利用して右面フランジ補強部54r及び右面補強壁部14rが右面フランジ部54の外縁で折り返され、右面フランジ部54及び右面壁部14に重ねられた状態に接着される。
【0087】
続いて、左正面折り曲げ補強部21及び左背面折り曲げ補強部23が、
図1、
図2及び
図4に示すように左面壁部13の外側に折り曲げられ、これと左右対称に、右正面折り曲げ補強部22及び右背面折り曲げ補強部24が、右面壁部14の外側に折り曲げられる。
【0088】
そして、これらの折り曲げ動作に併せて、左面壁部13が下面壁部15の左部15aに対して折り曲げられ、下面壁部15の左部15aが下面壁部15の中央部15bに対して折り曲げられ、これらに伴って、正面壁部11の左部11aが下面壁部15の左部15a及び正面壁部11の中央部11bに対して折り曲げられ、前後対称に背面壁部12の左部12aが下面壁部15の左部15a及び背面壁部12の中央部12bに対して折り曲げられる。
【0089】
ほぼ同時に、左右対称に、右面壁部14が下面壁部15の右部15cに対して折り曲げられ、下面壁部15の右部15cが下面壁部15の中央部15bに対して折り曲げられ、これらに伴って、正面壁部11の右部11cが下面壁部15の右部15c及び正面壁部11の中央部11bに対して折り曲げられ、前後対称に背面壁部12の右部12cが下面壁部15の右部15c及び背面壁部12の中央部12bに対して折り曲げられる。
【0090】
そして、左正面折り曲げ補強部21及び左背面折り曲げ補強部23が、
図1、
図2及び
図4に示すように、左面壁部13の外側に接着され(三角形片21a、23aのみを左面壁部13に接着すれば足りる)、これと左右対称に、右正面折り曲げ補強部22及び右背面折り曲げ補強部24が、右面壁部14の外側に接着され(三角形片22a、24aのみを右面壁部14に接着すれば足りる)。
【0091】
以上のように組み立てられたトレー100は、トップシールを熱圧着する前段階のものであって、左面フランジ部53及び右面フランジ部54を外側に折り曲げる前段階のものである。このような状態のトレー100は、積み重ねて取り扱うことが容易である。
【0092】
(トップシールの熱圧着)
その後、切込線53a、53cを利用して左面フランジ部53が左面壁部13の上縁に対して外側に折り曲げられ、且つ、切込線54a、54cを利用して右面フランジ部54が右面壁部14の上縁に対して外側に折り曲げられると共に、当該トレー100内に、電子レンジ加熱によって調理可能な食材が収容される。
【0093】
そして、左面壁部13の上縁を含む左面フランジ部53の上面、右面壁部14の上縁を含む右面フランジ部54の上面、正面壁部11の上縁、及び、背面壁部12の上縁に、トップシール60が熱圧着される。
【0094】
図7は、本実施形態に係るトレー100の、左面フランジ部53及び右面フランジ部54を外側に折り曲げてトップシール60を熱圧着した状態の、上面側斜視図である。トップシール60は、理解をより容易にするべく、実際よりもかなり厚く描かれている(実際の厚さは、50~200μm程度である)。
図8は、
図7のトレー100の状態の下面側斜視図であり、
図9は、
図7のトレー100の状態の正面図であり、
図10は、
図7のトレー100の状態の左側面図であり、
図11は、
図7のトレー100の状態の平面図である。
【0095】
(主たる効果)
以上のような本実施形態のトレー100によれば、正面壁部11が当該正面壁部11の上縁において外側に折り返された正面補強壁部11rに連続しているため、当該正面壁部11の上縁にトップシール60を熱圧着する際の強度を十分に担保できる。また、正面補強壁部11rが正面壁部11と重なって当該正面壁部11を補強することにより、トレー100内に収容された食材から電子レンジ加熱の際に発生する水蒸気によって正面壁部11の強度が低下してトレー100が不所望に変形することが抑制される。
【0096】
同様に、背面壁部12が当該背面壁部12の上縁において外側に折り返された背面補強壁部12rに連続しているため、当該背面壁部12の上縁にトップシール60を熱圧着する際の強度を十分に担保できる。また、背面補強壁部12rが背面壁部12と重なって当該背面壁部12を補強することにより、トレー100内に収容された食材から電子レンジ加熱の際に発生する水蒸気によって背面壁部12の強度が低下してトレー100が不所望に変形することが抑制される。
【0097】
また、左面壁部13が当該左面壁部13の上縁において外側に折り曲げ可能な左面フランジ部53に連続しており、当該左面フランジ部53の上面をトップシール60の熱圧着面とすることができ、当該広い熱圧着面がトップシール60の剥がれの問題を解消することができる。更に、左面フランジ補強部53rが左面フランジ部53と重なって当該左面フランジ部53を補強すると共に、左面補強壁部13rが左面壁部13と重なって当該左面壁部13を補強することにより、トレー100内に収容された食材から電子レンジ加熱の際に発生する水蒸気によって左面フランジ部53及び左面壁部13の強度が低下してトレー100が不所望に変形することが抑制される。
【0098】
同様に、右面壁部14が当該右面壁部14の上縁において外側に折り曲げ可能な右面フランジ部54に連続しており、当該右面フランジ部54の上面をトップシール60の熱圧着面とすることができ、当該広い熱圧着面がトップシール60の剥がれの問題を解消することができる。更に、右面フランジ補強部54rが右面フランジ部54と重なって当該右面フランジ部54を補強すると共に、右面補強壁部14rが右面壁部14と重なって当該右面壁部14を補強することにより、トレー100内に収容された食材から電子レンジ加熱の際に発生する水蒸気によって右面フランジ部54及び右面壁部14の強度が低下してトレー100が不所望に変形することが抑制される。
【0099】
また、正面壁部11の上縁の左面側端と左面壁部13の上縁の正面側端とが僅かに離間するように、左面壁部13の正面側の上部に切欠部31が形成されているため、上面開口部10を覆うようにトップシール60が熱圧着される場合でも、当該切欠部31が電子レンジ加熱の際の蒸気抜け口として効果的に機能することができる。
【0100】
同様に、正面壁部11の上縁の右面側端と右面壁部14の上縁の正面側端とが僅かに離間するように、右面壁部14の正面側の上部に切欠部32が形成されているため、上面開口部10を覆うようにトップシール60が熱圧着される場合でも、当該切欠部32が電子レンジ加熱の際の蒸気抜け口として効果的に機能することができる。
【0101】
同様に、背面壁部12の上縁の左面側端と左面壁部13の上縁の背面側端とが僅かに離間するように、左面壁部13の背面側の上部に切欠部33が形成されているため、上面開口部10を覆うようにトップシール60が熱圧着される場合でも、当該切欠部33が電子レンジ加熱の際の蒸気抜け口として効果的に機能することができる。
【0102】
同様に、背面壁部12の上縁の右面側端と右面壁部14の上縁の背面側端とが僅かに離間するように、右面壁部14の背面側の上部に切欠部34が形成されているため、上面開口部10を覆うようにトップシール60が熱圧着される場合でも、当該切欠部34が電子レンジ加熱の際の蒸気抜け口として効果的に機能することができる。
【0103】
また、本実施形態のトレー100では、正方形状または長方形状の上面開口部10の四隅の各々に相当する領域に蒸気抜け口となる切欠部31~34が設けられている。これにより、電子レンジ加熱の際に発生する水蒸気等を効果的に逃がすことができる。
【0104】
(その他の効果)
また、本実施形態のトレー100の下面壁部15は、左部15aの左面側端における高さ及び右部15cの右面側端における高さが、中央部15b(左右方向の中央領域)における高さよりも低くなっている。これにより、下面壁部15における熱伝導が良好となり、電子レンジ加熱の際の加熱ムラの発生を効果的に抑制することができる。また、いわゆる「上げ底」の容器となるため、トレー100内に収容される食材の見映えが良くなる。
【0105】
また、本実施形態のトレー100の下面壁部15は、左部15aの左面側端における前後方向の長さ及び右部15cの右面側端における前後方向の長さが、中央部15b(左右方向の中央領域)における前後方向の長さよりも短くなっている。すなわち、上面開口部10が正方形状または長方形状である一方で、下面壁部15は平面視で八角形状となっている。これにより、トレー100内に収容される食材を箸で摘まみ出す等の作業が行いやすい。また、トレー100内に収容される食材の見映えも良くなる。
【0106】
また、本実施形態のトレー100は、正面壁部11の下面側端と下面壁部15の正面側端とが少なくとも部分的に連続しており、背面壁部12の下面側端と下面壁部15の背面側端とが少なくとも部分的に連続しており、左面壁部13の下面側端と下面壁部15の左面側端とが少なくとも部分的に連続しており、右面壁部14の下面側端と下面壁部15の右面側端とが少なくとも部分的に連続している。すなわち、本実施形態のトレー100は、1枚のブランク(
図1参照)から製造することが可能である。このため、廃材量を抑制することができる。
【0107】
更に、本実施形態のトレー100は、正面壁部11の左面側端と左面壁部13の正面側端とが左正面折り曲げ補強部21を介して少なくとも部分的に連続しており、正面壁部11の右面側端と右面壁部14の正面側端とが右正面折り曲げ補強部22を介して少なくとも部分的に連続しており、背面壁部12の左面側端と左面壁部13の背面側端とが左背面折り曲げ補強部23を介して少なくとも部分的に連続しており、背面壁部12の右面側端と右面壁部14の背面側端とが右背面折り曲げ補強部24を介して少なくとも部分的に連続しており、左正面折り曲げ補強部21及び左背面折り曲げ補強部23は、左面壁部13の外側に接着固定されており、左面補強壁部13rのサイズ及び配置位置は、左正面折り曲げ補強部21及び左背面折り曲げ補強部23と重ならないようになっており、右正面折り曲げ補強部22及び右背面折り曲げ補強部24は、右面壁部14の外側に接着固定されており、右面補強壁部14rのサイズ及び配置位置は、右正面折り曲げ補強部22及び右背面折り曲げ補強部24と重ならないようになっている。
【0108】
これにより、ブランク状態(
図1参照)からのトレー100の組立作業が容易である。また、左正面折り曲げ補強部21及び左背面折り曲げ補強部23が左面壁部13の外側に接着固定されているため、左面壁部13が更に補強され、同様に、右正面折り曲げ補強部22及び右背面折り曲げ補強部24が右面壁部14の外側に接着固定されているため、右面壁部14が更に補強される。更に、左面補強壁部13rのサイズ及び配置位置は、左正面折り曲げ補強部21及び左背面折り曲げ補強部23と重ならないようになっており、右面補強壁部14rのサイズ及び配置位置は、右正面折り曲げ補強部22及び右背面折り曲げ補強部24と重ならないようになっているため、美観においても優れている。
【0109】
(第2実施形態)
なお、前記の第1実施形態のトレー100では、正方形状または長方形状の上面開口部10の四隅の各々に相当する領域に蒸気抜け口となる切欠部31~34が設けられている。しかしながら、この態様に限定されず、正方形状または長方形状の上面開口部の四隅の少なくとも1つに相当する領域に蒸気抜け口となる切欠部が設けられた態様も、本発明の範囲内のものである。
【0110】
図12は、本発明の第2実施形態に係るトレー200を形成するためのブランクの概略図であり、
図13は、本発明の第2実施形態に係るトレー200の上面側斜視図であり、
図14は、
図13のトレー200の下面側斜視図である。また、
図15は、
図13のトレー200の正面図であり、
図16は、
図13のトレー200の左側面図であり、
図17は、
図13のトレー200の平面図である。
【0111】
第2実施形態のトレー200においても、第1実施形態のトレー100と同様に、
図12に示すブランクの状態で、正面壁部11の左面側端は、前後方向に対して16°(10°~20°の範囲から好適に選択される)だけ傾斜して延びている。そして、当該正面壁部11の左面側端は、左正面折り曲げ補強部21を介して、左面壁部113の正面側端に連続している。
図12に示すブランクの状態で、左面壁部113の正面側端は、上部の切欠部31を除いて、左右方向に対して18°(10°~20°の範囲から好適に選択される)だけ前後方向長さが広くなるように傾斜して延びている。
【0112】
左正面折り曲げ補強部21は、折り曲げて重ねられる2つの合同の三角形片21a、21bからなっている。そして、
図12に示すブランクの状態で、正面壁部11側の三角形片21bにおいて正面壁部11の左部11aと隣接する端縁(辺)の長さは、当該正面壁部11の左部11aの左面側端の長さよりも前後方向に約2.5mmだけ短くなっている。また、
図12に示すブランクの状態で、左面壁部113側の三角形片21aにおいて左面壁部113と隣接する端縁(辺)の長さは、当該左面壁部113の正面側端の長さよりも左右方向に約3.0mmだけ短くなっている。
【0113】
そして、左面壁部113の正面側端の上部となる約3.0mmの領域(三角形片21aの上縁よりも高い領域)は、左右方向に延びている。これにより、左右方向に対して18°だけ前後方向長さが広くなる傾斜線(この線に正面壁部11の左部11aの左面側端が位置合わせされてトレー200は組み立てられる)に対して、左面壁部113の正面側端の上部の輪郭は、18°の切欠部31を形成している。
【0114】
一方、
図12に示すブランクの状態で、正面壁部11の右面側端は、前後方向に対して16°(10°~20°の範囲から好適に選択される)だけ傾斜して延びている。そして、当該正面壁部11の右面側端は、右正面折り曲げ補強部122を介して、右面壁部114の正面側端に連続している。
【0115】
ここで、第2実施形態のトレー200では、第1実施形態のトレー100と異なり、
図12に示すブランクの状態で、右面壁部114の正面側端は、その全体が、左右方向に対して18°(10°~20°の範囲から好適に選択される)だけ前後方向長さが広くなるように傾斜して延びている。
【0116】
右正面折り曲げ補強部122は、折り曲げて重ねられる2つの合同の三角形片122a、122bからなっている。そして、
図12に示すブランクの状態で、正面壁部11側の三角形片122bにおいて正面壁部11の右部11cと隣接する端縁(辺)の長さは、当該正面壁部11の右部11cの右面側端の長さと等しくなっている。また、
図12に示すブランクの状態で、右面壁部114側の三角形片122aにおいて右面壁部114と隣接する端縁(辺)の長さは、当該右面壁部114の正面側端の長さと等しくなっている。
【0117】
そして、右面壁部114の正面側端に、正面壁部11の右部11cの右面側端が位置合わせされるように、トレー200が組み立てられるようになっている。すなわち、第1実施形態のトレー100と異なり、切欠部32は形成されない。
【0118】
同様に、
図12に示すブランクの状態で、背面壁部12の左面側端は、前後方向に対して16°(10°~20°の範囲から好適に選択される)だけ傾斜して延びている。そして、当該背面壁部12の左面側端は、左背面折り曲げ補強部123を介して、左面壁部113の背面側端に連続している。
【0119】
ここで、第2実施形態のトレー200では、第1実施形態のトレー100と異なり、
図12に示すブランクの状態で、左面壁部113の背面側端は、その全体が、左右方向に対して18°(10°~20°の範囲から好適に選択される)だけ前後方向長さが広くなるように傾斜して延びている。
【0120】
左背面折り曲げ補強部123は、折り曲げて重ねられる2つの合同の三角形片123a、123bからなっている。そして、
図12に示すブランクの状態で、背面壁部12側の三角形片123bにおいて背面壁部12の左部12aと隣接する端縁(辺)の長さは、当該背面壁部12の左部12aの左面側端の長さと等しくなっている。また、
図12に示すブランクの状態で、左面壁部113側の三角形片123aにおいて左面壁部113と隣接する端縁(辺)の長さは、当該左面壁部113の背面側端の長さと等しくなっている。
【0121】
そして、左面壁部113の背面側端に、背面壁部12の左部12aの左面側端が位置合わせされるように、トレー200が組み立てられるようになっている。すなわち、第1実施形態のトレー100と異なり、切欠部33は形成されない。
【0122】
同様に、
図12に示すブランクの状態で、背面壁部12の右面側端は、前後方向に対して16°(10°~20°の範囲から好適に選択される)だけ傾斜して延びている。そして、当該背面壁部12の右面側端は、右背面折り曲げ補強部124を介して、右面壁部114の背面側端に連続している。
【0123】
ここで、第2実施形態のトレー200では、第1実施形態のトレー100と異なり、
図12に示すブランクの状態で、右面壁部114の背面側端は、その全体が、左右方向に対して18°(10°~20°の範囲から好適に選択される)だけ前後方向長さが広くなるように傾斜して延びている。
【0124】
右背面折り曲げ補強部124は、折り曲げて重ねられる2つの合同の三角形片124a、124bからなっている。そして、
図12に示すブランクの状態で、背面壁部12側の三角形片124bにおいて背面壁部12の右部12cと隣接する端縁(辺)の長さは、当該背面壁部12の右部12cの右面側端の長さと等しくなっている。また、
図12に示すブランクの状態で、右面壁部114側の三角形片124aにおいて右面壁部114と隣接する端縁(辺)の長さは、当該右面壁部114の背面側端の長さと等しくなっている。
【0125】
そして、右面壁部14の背面側端に、背面壁部12の右部12cの右面側端が位置合わせされように、トレー200が組み立てられるようになっている。すなわち、第1実施形態のトレー100と異なり、切欠部34は形成されない。
【0126】
第2実施形態のトレー200のその他の構成については、
図1乃至
図11を用いて説明した第1実施形態のトレー100と略同様である。
図12乃至
図17において、第1実施形態のトレー100と同様の部分については、同様の符号を付している。本実施形態のトレー200の第1実施形態と同様の部分については、詳しい説明を省略する。
【0127】
また、
図18は、第2実施形態に係るトレー200の、左面フランジ部153及び右面フランジ部154を外側に折り曲げてトップシール60を熱圧着した状態の、上面側斜視図である。トップシール60は、理解をより容易にするべく、実際よりもかなり厚く描かれている(実際の厚さは50~200μm程度である)。
図19は、
図18のトレー200の状態の下面側斜視図であり、
図20は、
図18のトレー200の状態の正面図であり、
図21は、
図18のトレー200の状態の左側面図であり、
図22は、
図18のトレー200の状態の平面図である。
【0128】
本実施形態のトレー200では、正方形状または長方形状の上面開口部10の四隅のうちの1箇所に相当する領域に蒸気抜け口となる切欠部31が設けられている。このような1箇所の切欠部31でも、電子レンジ加熱の際に発生する水蒸気等を十分に逃がすことができる。
【0129】
その他、本実施形態のトレー200では、第1実施形態のトレー100と略同様の作用効果をもたらすことができる。
【0130】
(更なる他の実施形態)
なお、切欠部は、正方形状または長方形状の上面開口部10の四隅のうちの2箇所または3箇所に設けられてもよい。
【符号の説明】
【0131】
10 上面開口部
11 正面壁部
11a 左部
11b 中央部
11c 右部
11r 正面補強壁部
12 背面壁部
12a 左部
12b 中央部
12c 右部
12r 背面補強壁部
13 左面壁部
13r 左面補強壁部
14 右面壁部
14r 右面補強壁部
15 下面壁部
15a 左部
15b 中央部
15c 右部
21 左正面折り曲げ補強部
21a 三角形片
21b 三角形片
22 右正面折り曲げ補強部
22a 三角形片
22b 三角形片
23 左背面折り曲げ補強部
23a 三角形片
23b 三角形片
24 右背面折り曲げ補強部
24a 三角形片
24b 三角形片
31 切欠部
32 切欠部
33 切欠部
34 切欠部
53 左面フランジ部
53a 切込線
53b 切込線
53c 切込線
53r 左面フランジ補強部
54 右面フランジ部
54a 切込線
54b 切込線
54c 切込線
54r 右面フランジ補強部
60 トップシール
100 トレー
113 左面壁部
113r 左面補強壁部
114 右面壁部
114r 右面補強壁部
122 右正面折り曲げ補強部
122a 三角形片
122b 三角形片
123 左背面折り曲げ補強部
123a 三角形片
123b 三角形片
124 右背面折り曲げ補強部
124a 三角形片
124b 三角形片
153 左面フランジ部
153a 切込線
153b 切込線
153c 切込線
153r 左面フランジ補強部
154 右面フランジ部
154a 切込線
154b 切込線
154c 切込線
154r 右面フランジ補強部
200 トレー