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特許7570081二酸化炭素の吸着方法、および二酸化炭素の脱離方法
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  • 特許-二酸化炭素の吸着方法、および二酸化炭素の脱離方法 図1
  • 特許-二酸化炭素の吸着方法、および二酸化炭素の脱離方法 図2
  • 特許-二酸化炭素の吸着方法、および二酸化炭素の脱離方法 図3
  • 特許-二酸化炭素の吸着方法、および二酸化炭素の脱離方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】二酸化炭素の吸着方法、および二酸化炭素の脱離方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/04 20060101AFI20241011BHJP
   B01J 20/08 20060101ALI20241011BHJP
   B01J 20/28 20060101ALI20241011BHJP
   B01J 20/34 20060101ALI20241011BHJP
   C01F 7/784 20220101ALI20241011BHJP
【FI】
B01D53/04
B01D53/04 220
B01J20/08 C
B01J20/28 Z
B01J20/34 H
C01F7/784
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019036956
(22)【出願日】2019-02-28
(65)【公開番号】P2020138169
(43)【公開日】2020-09-03
【審査請求日】2021-12-02
【審判番号】
【審判請求日】2023-09-22
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、未来社会創造事業「二酸化炭素吸着剤の機能開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】犬丸 啓
(72)【発明者】
【氏名】片桐 清文
(72)【発明者】
【氏名】奥田 彩花
(72)【発明者】
【氏名】川下 実央
【合議体】
【審判長】深草 祐一
【審判官】原 賢一
【審判官】後藤 政博
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0144227(US,A1)
【文献】特開2016-016369(JP,A)
【文献】特開2014-136673(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D53/02-53/12
B01J20/08-20/34
C01F7/78-7/785
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱離型の層状金属水酸化物に二酸化炭素を吸着させる二酸化炭素の吸着方法であって、
上記脱離型の層状金属水酸化物、水、および、二酸化炭素を含む水蒸気以外の気体を、共存した状態で加熱することによって、上記脱離型の層状金属水酸化物に上記二酸化炭素を吸着させる吸着工程を含み、
上記水は、3.57×10 Pa以上、4.55×10 Pa以下の水蒸気分圧にて、上記脱離型の層状金属水酸化物、および、上記気体と共存し、
上記気体は、40体積%以上の二酸化炭素を含む、二酸化炭素の吸着方法。
【請求項2】
上記加熱は、50℃以上400℃以下にて行われる、請求項に記載の二酸化炭素の吸着方法。
【請求項3】
上記脱離型の層状金属水酸化物の平均粒子径が150nm以下である、請求項1または2に記載の二酸化炭素の吸着方法。
【請求項4】
上記脱離型の層状金属水酸化物は、以下の一般式(1)にて示されるホスト層を含むものである、請求項1~の何れか1項に記載の二酸化炭素の吸着方法:
[M2+ 1-x3+ (OH)] ・・・一般式(1)
(一般式(1)中、M2+は2価の金属イオンを示し、M3+は3価の金属イオンを示し、xは0<x<1の数を示す)。
【請求項5】
上記脱離型の層状金属水酸化物は、上記一般式(1)において、0≦x<0.40のものである、請求項に記載の二酸化炭素の吸着方法。
【請求項6】
請求項1~の何れか1項に記載の二酸化炭素の吸着方法にて二酸化炭素を吸着させた層状金属水酸化物を100℃以上400℃以下にて加熱することによって、上記層状金属水酸化物から上記二酸化炭素を脱離させる脱離工程を含む、二酸化炭素の脱離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素の吸着方法、および二酸化炭素の脱離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
層状金属水酸化物は、金属水酸化物を含んでいるホスト層と、陰イオンおよび水を含んでいるゲスト層と、が交互に積層した、層状の化合物である。
【0003】
層状金属水酸化物を一般式で表すと、[M2+ 1-x3+ (OH)x+[An- x/nx-・mHOにて示され、このとき、ホスト層は、[M2+ 1-x3+ (OH)x+にて示され、ゲスト層は、[An- x/nx-・mHOにて示される。
【0004】
ホスト層は、2価の金属イオン(M2+:Mg2+、Zn2+、Co2+、または、Ni2+等)と、3価の金属イオン(M3+:Al3+、Fe3+、Cr3+、または、Ga3+等)と、を含み、金属イオンを6つのヒドロキシル基が取り込んで形成される八面体が互いに稜を共有することにより形成され得る。ホスト層は、2価の金属イオンの一部が3価の金属イオンによって置換されているため、正電荷を有し、当該ホスト層では、水酸化物シートが重なって層状構造を形成している。
【0005】
一方、ゲスト層は、陰イオン(An-:Cl、NO 、CO 2-、SO 2-、または、PO 3-等)と、水とを含み、更に、その他の分子も含み得る。層状金属水酸化物が電気的に中性となるように、ゲスト層は陰イオンを含んでいる。
【0006】
ホスト層に含まれる金属イオンの組成を変化させることにより、ホスト層の電荷密度を制御することができる。ホスト層の電荷密度を特定の値に制御すれば、特定の陰イオンを、当該ホスト層に吸着させることができる。つまり、ホスト層に含まれる金属イオンの組成を変化させることにより、当該ホスト層に、特定の陰イオンに対する吸着特性を付与することができる。
【0007】
ホスト層に吸着した特定の陰イオンを脱離させることができれば、当該ホスト層を再生可能な機能性材料として利用することができる。それ故に、近年、ホスト層に特定の陰イオンを吸着させる技術のみならず、ホスト層に吸着した特定の陰イオンを脱離させる技術の開発も、盛んに行われている。
【0008】
例えば、非特許文献1および非特許文献2には、2価の金属イオンとしてMg2+、3価の金属イオンとしてAl3+を用い、陰イオンとしてCO 2-(換言すれば、二酸化炭素)を用いた層状金属水酸化物が開示されている。更に、これらの非特許文献は、層状金属水酸化物を加熱した場合の二酸化炭素の放出挙動と、層状金属水酸化物の層構造の変化と、について開示している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【文献】Nick D. Hutson et. al., Chem. Mater.,2004, 16, p.4135-4143
【文献】Toshiyuki Hibino et. al., Clays and Clay minerals, Vol.43, No.4, p.427-432, 1995
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の層状金属水酸化物は、層状金属水酸化物から二酸化炭素を効率良く脱離させるためには高温条件(例えば、400℃をこえる高温条件)が必要であるとともに、層状金属水酸化物から二酸化炭素を脱離させるときに層状金属水酸化物の層構造が破壊されるという問題点を有している。
【0011】
なお、層状金属水酸化物の層構造が破壊されると、層構造を再構築しない限り、当該層状金属水酸化物に対して繰り返して二酸化炭素を吸着および脱離させることができない。さらに、層構造を再構築するなどして、層状金属水酸化物に対して繰り返して二酸化炭素を吸着および脱離した場合には、吸着および脱離からなるサイクルを繰り返すにしたがって、当該層状金属水酸化物が吸着および脱離できる二酸化炭素の量が低下するという問題も有している。
【0012】
本発明の一態様は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、二酸化炭素の吸着および脱離を繰り返した場合であっても、層状金属水酸化物に対して吸着および脱離できる二酸化炭素の量の低下を抑制できる、二酸化炭素の吸着方法および脱離方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、鋭意研究を行った結果、脱離型の層状金属水酸化物に対して、所定の条件下にて二酸化炭素を吸着させれば、二酸化炭素を吸着させた層状金属水酸化物から、低温にて二酸化炭素を脱離させることができるとともに、層状金属水酸化物の層構造の破壊を防止でき、その結果、吸着および脱離できる二酸化炭素の量の低下を抑制できるという効果が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。即ち、本発明の一態様は、以下の構成を含む。
【0014】
〔1〕脱離型の層状金属水酸化物に二酸化炭素を吸着させる二酸化炭素の吸着方法であって、上記脱離型の層状金属水酸化物、水、および、二酸化炭素を含む水蒸気以外の気体を、共存した状態で加熱することによって、上記脱離型の層状金属水酸化物に上記二酸化炭素を吸着させる吸着工程を含み、上記水は、1.00×10Pa以上の水蒸気分圧にて、上記脱離型の層状金属水酸化物、および、上記気体と共存する、二酸化炭素の吸着方法。
【0015】
〔2〕上記気体は、20体積%以上の二酸化炭素を含む、〔1〕に記載の二酸化炭素の吸着方法。
【0016】
〔3〕上記加熱は、50℃以上400℃以下にて行われる、〔1〕または〔2〕に記載の二酸化炭素の吸着方法。
【0017】
〔4〕上記脱離型の層状金属水酸化物の平均粒子径が150nm以下である、〔1〕~〔3〕の何れかに記載の二酸化炭素の吸着方法。
【0018】
〔5〕上記脱離型の層状金属水酸化物は、以下の一般式(1)にて示されるホスト層を含むものである、〔1〕~〔4〕の何れかに記載の二酸化炭素の吸着方法:
[M2+ 1-x3+ (OH)] ・・・一般式(1)
(一般式(1)中、M2+は2価の金属イオンを示し、M3+は3価の金属イオンを示し、xは0<x<1の数を示す)。
【0019】
〔6〕上記脱離型の層状金属水酸化物は、上記一般式(1)において、0≦x<0.40のものである、〔5〕に記載の二酸化炭素の吸着方法。
【0020】
〔7〕〔1〕~〔6〕の何れか1項に記載の二酸化炭素の吸着方法にて二酸化炭素を吸着させた層状金属水酸化物を100℃以上400℃以下にて加熱することによって、上記層状金属水酸化物から上記二酸化炭素を脱離させる脱離工程を含む、二酸化炭素の脱離方法。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一態様によれば、繰り返し層状金属水酸化物に二酸化炭素を吸着および脱離させることによる、二酸化炭素の吸着および脱離する量の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施例に係る二酸化炭素の吸着方法による、水蒸気分圧および二酸化炭素の分圧と、0サイクル目に脱離した二酸化炭素量の量に対する、1サイクル目に脱離した二酸化炭素の量の割合と、の関係を示す。
図2】本発明の実施例に係る二酸化炭素の吸着方法の二酸化炭素を吸着および脱離を繰り返した場合における、二酸化炭素の脱離量をガスクロマトグラフ質量分析計で測定した結果を示す。
図3】本発明の比較例に係る二酸化炭素の吸着方法の二酸化炭素を吸着および脱離を繰り返した場合における、二酸化炭素の脱離量をガスクロマトグラフ質量分析計で測定した結果を示す。
図4】本発明の実施例に係る二酸化炭素の吸着方法の1サイクル目終了時点における粒子のXRDの結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の一実施形態について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態や実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態や実施例についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された学術文献及び特許文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。また、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上、B以下」を意図する。加えて、本明細書において「層状金属水酸化物」とは、層状複水酸化物(Layered Double Hydroxide:LDH)と同じ結晶構造を有する層状金属水酸化物を意図する。
【0024】
〔1.二酸化炭素の吸着方法〕
本実施の形態の二酸化炭素の吸着方法は、脱離型の層状金属水酸化物に二酸化炭素を吸着させる二酸化炭素の吸着方法であって、脱離型の層状金属水酸化物、水、および、二酸化炭素を含む水蒸気以外の気体(例えば、二酸化炭素を含み、かつ、上記水が水蒸気となったものを含まない、気体)を、共存した状態で加熱することによって、脱離型の層状金属水酸化物に上記二酸化炭素を吸着させる吸着工程を含み、水は、1.00×10Pa以上の水蒸気分圧にて、脱離型の層状金属水酸化物、および、気体と共存する。
【0025】
本実施の形態に係る二酸化炭素の吸着方法は、脱離型の層状金属水酸化物に二酸化炭素を吸着させる。
【0026】
本明細書において「脱離型の層状金属水酸化物」とは、ゲスト層が脱離しているホスト層を備えている層状金属水酸化物を意図する。このとき、「脱離型の層状金属水酸化物」では、ホスト層から少なくとも一部のゲスト層が脱離していればよく、ホスト層から全てのゲスト層が脱離している必要はない。例えば、ホスト層に対してゲスト層が飽和状態にて吸着しているときのゲスト層の重量を「1」としたとき、「脱離型の層状金属水酸化物」は、ホスト層に対して、0.9以下、より好ましくは0.8以下、より好ましくは0.7以下、より好ましくは0.6以下、より好ましくは0.5以下、より好ましくは0.4以下、より好ましくは0.3以下、より好ましくは0.2以下、最も好ましくは0.1以下のゲスト層が吸着しているものであり得る。
【0027】
一方、本明細書において「非脱離型の層状金属水酸化物」とは、ゲスト層が吸着しているホスト層を備えている層状金属水酸化物を意図する。このとき、「非脱離型の層層状金属水酸化物」では、少なくとも一部のホスト層に対してゲスト層が吸着していればよく、ホスト層に対してゲスト層が飽和状態にて吸着している必要はない。例えば、ホスト層に対してゲスト層が飽和状態にて吸着しているときのゲスト層の重量を「1」としたとき、「非脱離型の層状金属水酸化物」は、ホスト層に対して、0.1よりも多い、0.2よりも多い、0.3よりも多い、0.4よりも多い、0.5よりも多い、より好ましくは0.6よりも多い、より好ましくは0.7よりも多い、より好ましくは0.8よりも多い、最も好ましくは0.9よりも多いゲスト層が吸着しているものであり得る。
【0028】
本実施の形態に係る二酸化炭素の吸着方法は、脱離型の層状金属水酸化物、水、および二酸化炭素を含む気体を、共存した状態で加熱することによって、上記脱離型の層状金属水酸化物に上記二酸化炭素を吸着させる吸着工程を含む。
【0029】
<吸着工程>
本実施の形態に係る二酸化炭素の吸着方法における吸着工程は、1.00×10Pa、より好ましくは2.0×10Pa以上、さらに好ましくは2.16×10Pa以上、さらに好ましくは2.50×10Pa以上、さらに好ましくは3.00×10Pa以上、さらに好ましくは3.57×10Pa以上、さらに好ましくは4.00×10Pa以上、さらに好ましくは4.55×10Pa以上、最も好ましくは5.00×10Pa以上の水蒸気分圧にて、水を、脱離型の層状金属水酸化物、および二酸化炭素を含む気体と共存させる。当該構成によれば、脱離型の層状金属水酸化物に二酸化炭素の吸着および脱離を繰り返した際における、二酸化炭素の吸着量および脱離量の低下を抑制することができる。
【0030】
吸着工程において脱離型の層状金属水酸化物と共存する気体に含まれる二酸化炭素の量は、特に限定されないが、好ましくは20体積%以上、より好ましくは30体積%以上、より好ましくは40体積%以上、より好ましくは50体積%以上、より好ましくは60体積%以上、より好ましくは70体積%以上、より好ましくは80体積%以上、より好ましくは90体積%以上、最も好ましくは100体積%である。このとき、脱離型の層状金属水酸化物と共存する気体に含まれる二酸化炭素の量は、当該気体が水蒸気になった水を含まない場合における、二酸化炭素の量である。
【0031】
より具体的に、吸着工程において、脱離型の層状金属水酸化物と共存する気体に含まれる二酸化炭素の量は、特に限定されないが、脱離型の層状金属水酸化物、水および気体の混合物を加熱したときの二酸化炭素の分圧に換算して、水の供給速度が1.2cc/hの場合には、好ましくは1.59×10Pa以上、より好ましくは2.39×10Pa以上、より好ましくは3.19×10Pa以上、より好ましくは3.98×10Pa以上、より好ましくは4.78×10Pa以上、より好ましくは5.58×10Pa以上、より好ましくは6.37×10Pa以上、より好ましくは7.17×10Pa以上、最も好ましくは7.97×10Paの分圧である。
【0032】
吸着工程において、脱離型の層状金属水酸化物と共存する気体に含まれる二酸化炭素の量は、特に限定されないが、脱離型の層状金属水酸化物、水および気体の混合物を加熱したときの二酸化炭素の分圧に換算して、水の供給速度が2.4cc/hの場合には、好ましくは1.31×10Pa以上、より好ましくは1.97×10Pa以上、より好ましくは2.63×10Pa以上、より好ましくは3.28×10Pa以上、より好ましくは3.94×10Pa以上、より好ましくは4.59×10Pa以上、より好ましくは5.25×10Pa以上、より好ましくは5.91×10Pa以上、最も好ましくは6.56×10Paの分圧である。
【0033】
吸着工程において、脱離型の層状金属水酸化物と共存する気体に含まれる二酸化炭素の量は、特に限定されないが、脱離型の層状金属水酸化物、水および気体の混合物を加熱したときの二酸化炭素の分圧に換算して、水の供給速度が3.6cc/hの場合には、好ましくは1.12×10Pa以上、より好ましくは1.67×10Pa以上、より好ましくは2.23×10Pa以上、より好ましくは2.79×10Pa以上、より好ましくは3.35×10Pa以上、より好ましくは3.91×10Pa以上、より好ましくは4.46×10Pa以上、より好ましくは5.02×10Pa以上、最も好ましくは5.58×10Paの分圧である。
【0034】
当該構成によれば、脱離型の層状金属水酸化物に二酸化炭素の吸着および脱離を繰り返した際における、二酸化炭素の吸着量および脱離量の低下を抑制することができる。
【0035】
二酸化炭素を含む気体は、例えば、工業施設(例えば、発電所)から排出される排ガスであってもよい。より具体的に、二酸化炭素を含む気体は、二酸化炭素以外の成分として、あらゆる気体を含むことが可能であり、当該成分としては、例えば、アルゴンガス、窒素ガス、酸素ガス、および、空気を挙げることができる。
【0036】
吸着工程では、脱離型の層状金属水酸化物、水、および、二酸化炭素を含む気体の混合物を、好ましくは50℃以上400℃以下、より好ましくは80℃以上350℃以下、さらに好ましくは120℃以上300℃以下、最も好ましくは150℃以上300℃以下の温度で加熱する。当該構成によれば、層状金属水酸化物の層構造を破壊することなく、脱離型の層状金属水酸化物へ吸着する二酸化炭素の量を増加させることができる。
【0037】
本実施の形態に係る二酸化炭素の吸着方法に用いる脱離型の層状金属水酸化物は、平均粒子径が150nm以下である。
【0038】
本実施の形態に係る二酸化炭素の吸着方法に用いる脱離型の層状金属水酸化物は、平均粒子径が、150nm以下、好ましくは140nm以下、より好ましくは130nm以下、より好ましくは120nm以下、より好ましくは110nm以下、より好ましくは100nm以下、より好ましくは90nm以下、より好ましくは80nm以下、より好ましくは70nm以下、より好ましくは60nm以下、より好ましくは50nm以下、より好ましくは40nm以下、より好ましくは30nm以下、より好ましくは20nm以下、最も好ましくは10nm以下である。平均粒子径の下限値は、限定されないが、例えば、0.01nm、0.1nm、1nm、または5nmであってもよい。当該構成によれば、層状金属水酸化物に吸着した二酸化炭素を低温条件にて脱離することができるとともに、層状金属水酸化物から二酸化炭素を脱離させるときに層状金属水酸化物の層構造が破壊されることを防ぐことができる。それ故に、当該構成によれば、二酸化炭素を繰り返して吸着および脱離することができる層状金属水酸化物を実現することができる。
【0039】
平均粒子径は、動的光散乱測定(DLS)によって求めることができる。なお、動的光散乱測定は、市販の装置(例えば、大塚電子株式会社製 ELSZ-1000ZS)を用い、当該市販の装置に添付のプロトコルにしたがって行えばよい。
【0040】
本実施の形態に係る二酸化炭素の吸着方法に用いる脱離型の層状金属水酸化物は、二酸化炭素の吸着および脱離からなるサイクルを経た後の脱離型の層状金属水酸化物であってもよいが、二酸化炭素の吸着および脱離からなるサイクルを経たことのない脱離型の層状金属水酸化物であることが好ましい。二酸化炭素の吸着および脱離からなるサイクルを経たことのない脱離型の層状金属水酸化物を用いれば、脱離型の層状金属水酸化物が初めに有している高い二酸化炭素の吸着能力および脱離能力をそのまま高く維持しながら、二酸化炭素の吸着および脱離からなるサイクルを繰り返し行うことができる。
【0041】
本実施の形態に係る二酸化炭素の吸着方法に用いる脱離型の層状金属水酸化物は、以下の一般式(1)にて示されるホスト層を含む脱離型の層状金属水酸化物であってもよい:
[M2+ 1-x3+ (OH)] ・・・一般式(1)
(一般式(1)中、M2+は2価の金属イオンを示し、M3+は3価の金属イオンを示し、xは0<x<1の数を示す)。
【0042】
「M2+」としては、特に限定されないが、例えば、Mg2+、Fe2+、Zn2+、Ca2+、Mn2+、Ni2+、Co2+、Cu2+、および、Sr2+を挙げることができる。一方、「M3+」としては、特に限定されないが、例えば、Al3+、Fe3+、Cr3+、Mn3+、Ga3+、および、Co3+を挙げることができる。
【0043】
一般式(1)における「M2+」と「M3+」との組み合わせは、特に限定されず、Mg2+、Fe2+、Zn2+、Ca2+、Mn2+、Ni2+、Co2+、Cu2+、および、Sr2+からなる群より選択される任意の「M2+」と、Al3+、Fe3+、Cr3+、Mn3+、Ga3+、および、Co3+からなる群より選択される任意の「M3+」と、の組み合わせであり得る。
【0044】
「M2+」および「M3+」の各々は、単一種類のイオンによって構成されていてもよいが、複数種類のイオンによって構成されていてもよい。つまり、「M2+」および「M3+」の各々は、それぞれの群より選択される複数種類のイオンが混在して構成されるものであってもよい。なお、複数種類のイオンによって構成されている場合には、2種類のイオン、3種類のイオン、4種類のイオン、または、5種類以上のイオンによって構成され得る。本実施形態に係る二酸化炭素の吸着方法に用いる脱離型の層状金属水酸化物では、Mg2+とAl3+との組み合わせであることが好ましい。
【0045】
xは、0<x<1の数であればよいが、0≦x<0.40の数であることが好ましく、0≦x≦0.34の数であることが更に好ましく、0≦x≦0.33の数であることが更に好ましい。これらxの値の範囲では、xの上限値は「0.40未満」となっているが、当該上限値に限定されず、上限値は「0.30以下」、「0.25以下」、「0.20以下」、「0.15以下」、「0.10以下」、または、「0.05以下」であってもよい。当該構成によれば、層状金属水酸化物に吸着した二酸化炭素を低温条件にて脱離することができるとともに、層状金属水酸化物から二酸化炭素を脱離させるときに層状金属水酸化物の層構造を維持できる。それ故に、当該構成によれば、繰り返し二酸化炭素を吸着および脱離することができる層状金属水酸化物を実現することができる。
【0046】
〔2.二酸化炭素の脱離方法〕
本実施の形態に係る二酸化炭素の脱離方法は、〔1.二酸化炭素の吸着方法〕にて二酸化炭素を吸着させた層状金属水酸化物を200℃以上400℃以下にて加熱することによって、上層状金属水酸化物から二酸化炭素を脱離させる脱離工程を含む。
【0047】
<脱離工程>
本実施の形態に係る二酸化炭素の脱離方法における脱離工程は、二酸化炭素が吸着された層状金属水酸化物を100℃以上400℃以下、好ましくは100℃以上390℃以下、より好ましくは100℃以上380℃以下、より好ましくは100℃以上370℃以下、より好ましくは100℃以上360℃以下、より好ましくは100℃以上350℃以下、より好ましくは100℃以上320℃以下、より好ましくは100℃以上300℃以下、より好ましくは100℃以上270℃以下、より好ましくは100℃以上250℃以下、最も好ましくは100℃以上220℃以下に加熱する。当該構成によれば、低温で加熱することにより、層状金属水酸化物の層構造を破壊せずに、層状金属水酸化物から二酸化炭素を脱離させることができる。当該構成によれば、二酸化炭素を繰り返して吸着および脱離することによる二酸化炭素の吸着量および脱離量の低下を抑制できる。
【実施例
【0048】
<1.層状金属水酸化物のナノ粒子の製造>
以下に、本実施例における層状金属水酸化物のナノ粒子の製造方法を説明する。なお、本実施例では、水熱合成法にしたがって、層状金属水酸化物のナノ粒子を製造した。
【0049】
まず、0.6M MgCl水溶液(5mL)と、0.2M AlCl水溶液(5mL)とを混合して、MgClの最終濃度が0.3Mであり、かつ、AlClの最終濃度が0.1Mである、溶液A(10mL)を調製した。
【0050】
別途、0.3M NaOH水溶液(20mL)と、0.026M NaCO水溶液(20mL)とを混合して、NaOHの最終濃度が0.15Mであり、かつ、NaCOの最終濃度が0.013Mである、溶液B(40mL)を調製した。
【0051】
200mL容量の三角フラスコに溶液Bを加え、当該三角フラスコ内の溶液Bを撹拌しながら、当該溶液Bに対して溶液Aを加えた。その後、溶液Aと溶液Bとの混合物を室温にて10分間撹拌し、白色の生成物を形成させた。
【0052】
溶液Aと溶液Bとの混合物を遠心分離し、白色の沈殿物を回収した。当該沈殿物をイオン交換水によって2回洗浄した。
【0053】
洗浄後の沈殿物を40mLのイオン交換水に懸濁し、水熱合成法にしたがって、層状金属水酸化物のナノ粒子を製造した。なお、反応条件は100℃とし、反応時間は、4時間とした。なお、水熱合成法の詳細については、AU2005318862A1に記載の方法にしたがった。
【0054】
<2.層状金属水酸化物のナノ粒子の物性評価>
当該試験では、<1.層状金属水酸化物のナノ粒子の製造>において作製した層状金属水酸化物のナノ粒子の物性を評価した結果について以下に説明する。
【0055】
層状金属水酸化物のナノ粒子の粒子径および結晶の形状については、走査型電子顕微鏡観察(SEM)および動的光散乱測定(DLS)を用いて評価した。また、層状金属水酸化物のナノ粒子に含まれるAlおよびMgの含有量、および組成については、結合プラズマ発光分光分析(ICP)を用いて評価した。
【0056】
<2-1.走査型電子顕微鏡観察(SEM)および動的光散乱測定(DLS)>
以下に、走査型電子顕微鏡観察の試験方法、および、試験結果について説明する。また、以下に、動的光散乱測定の試験方法、および、試験結果について説明する。なお、当該試験には、<1.層状金属水酸化物のナノ粒子の製造>の欄に記載されている、水熱合成法によって得られた層状金属水酸化物のナノ粒子を用いた。
【0057】
以下に、走査型電子顕微鏡観察の試験方法について説明する。
【0058】
(使用機器)
走査型電子顕微鏡:S4800(日立製)。
【0059】
(測定条件)
加速電圧:15kV(通常時)
20kV(EDX使用時)。
【0060】
次いで、走査型電子顕微鏡観察の試験結果について説明する。
【0061】
作製した層状金属水酸化物のナノ粒子は、六角形の板状結晶が認められた。
【0062】
以下に、動的光散乱測定の試験方法について説明する。
【0063】
(使用機器)
動的光散乱測定器:ELSZ‐1000ZS(大塚電子株式会社製)
次いで、動的光散乱測定の試験結果について説明する。
【0064】
作製した層状金属水酸化物のナノ粒子は、平均粒子径が、約60nmであった。
【0065】
<2-2.結合プラズマ発光分光分析(ICP)>
以下に、結合プラズマ発光分光分析の試験方法、および、試験結果について説明する。なお、当該試験には、<1.層状金属水酸化物のナノ粒子の製造>の欄に記載の水熱合成法によって得られた層状金属水酸化物のナノ粒子を用いた。
【0066】
以下に、結合プラズマ発光分光分析の試験方法について説明する。
【0067】
(使用機器)
ICP測定装置:iCAP6500(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製)。
【0068】
(測定条件)
測定元素:AlおよびMg
測定方向:アキシャル
試料形態:液体
検量線条件:絶対検量線法。
【0069】
(試料調整方法)
試料10mgを1mlのNHOに溶解させ、超純水で50mlに定容した。定容した試料を5倍希釈し測定用試料とした。
【0070】
Al用標準溶液として、2.0、4.0、6.0および8.0ppmのAl(NO・9HOを含む溶液を調整し、当該溶液を用いて検量線を作成した。
【0071】
Mg用標準溶液として、用いて2.5、5.0、7.5、および10ppmのMg(NO・6HOを含む溶液を調整し、当該溶液を用いて検量線を作成した。
【0072】
次いで、結合プラズマ発光分光分析の試験結果について説明する。
【0073】
作製した層状金属水酸化物のナノ粒子に含まれる、Alの含有量は3.12ppm、Mgの含有量は5.07ppmであった。また、作製した層状金属水酸化物のナノ粒子の組成は、Mg1.8Al(OH)(CO0.5・0.67HOであった。
【0074】
以上をまとめると、<1.層状金属水酸化物のナノ粒子の製造>により作製した層状金属水酸化物は、粒子径がおよそ60nm、かつ、六角形の板状結晶のMg1.8Al(OH)(CO0.5・0.67HOの層状金属水酸化物が得られた。
【0075】
<3.二酸化炭素の吸着脱離試験>
以下に、二酸化炭素の吸着脱離試験の試験方法、および、試験結果について説明する。なお、当該試験には、<1.層状金属水酸化物のナノ粒子の製造>に記載の層状金属水酸化物のナノ粒子を用いた。比較対象試験として、<1.層状金属水酸化物のナノ粒子の製造>に記載の層状金属水酸化物と二酸化炭素との接触の際に水を添加せず二酸化炭素の吸着脱離試験を行った。
【0076】
以下に、二酸化炭素の吸着脱離試験の試験方法について説明する。
【0077】
(使用機器)
質量分析計:JMS-Q1050GC(日本電子株式会社製)。
【0078】
(測定方法)
(1)石英管セルに石英ウールと約30mgの層状金属水酸化物試料とを入れた。
(2)アルゴン100cc/min.流通環境下で、電気炉を用いて層状金属水酸化物試料を200℃まで加熱し、約1時間恒温を維持した。
(3)層状金属水酸化物試料を350℃まで加熱し、層状金属水酸化物試料から二酸化炭素を脱離させた。
(4)二酸化炭素脱離後、層状金属水酸化物試料を200℃まで冷却して、当該層状金属水酸化物試料に二酸化炭素とアルゴンとの混合ガス、および、必要に応じて水、を1気圧にて1時間接触させることにより、層状金属水酸化物試料へ二酸化炭素を再吸着させた。なお、混合ガスの流量は、100cm/min.である。なお、当該層状金属水酸化物試料に接触させる二酸化炭素および水の量は、下記の(a)および(b)に示すように調整した。
【0079】
(a)水は、液体の状態で添加した。水の添加量は、添加せず(0cc/h)、1.2cc/h、2.4cc/h、そして3.6cc/hと変更して当該層状金属水酸化物試料に添加した。なお、水が当該層状金属水酸化物試料と接触する環境では、200℃の高温のため、水は水蒸気となる。そのため、水を1.2cc/h添加する場合では、二酸化炭素の割合が20%、40%、60%、80%および、100%の場合、各々、水蒸気分圧が2.16×10Paとなる。また、水を2.4cc/h添加する場合では、二酸化炭素の割合が20%、40%、60%、80%および、100%の場合、各々、水蒸気分圧が3.57×10Paとなる。また、水を3.6cc/h添加する場合では、二酸化炭素の割合が20%、40%、60%、80%および、100%の場合、各々、水蒸気分圧が4.55×10Paとなる。
【0080】
(b)二酸化炭素は、混合ガスに占める二酸化炭素の割合を20%、40%、60%、80%および、100%と調整することにより、二酸化炭素が当該層状金属水酸化物試料に接触する量を調整した。なお、二酸化炭素の分圧は、水を1.2cc/h添加する場合には、混合ガスに占める二酸化炭素の割合を20%、40%、60%、80%および、100%としたとき、各々、1.59×10Pa、3.19×10Pa、4.78×10Pa、6.37×10Pa、7.97×10Paとなる。また、二酸化炭素の分圧は、水を2.4cc/h添加する場合には、混合ガスに占める二酸化炭素の割合を20%、40%、60%、80%および、100%としたとき、各々、1.31×10Pa、2.63×10Pa、3.94×10Pa、5.25×10Pa、6.56×10Paとなる。また、二酸化炭素の分圧は、水を3.6cc/h添加する場合には、混合ガスに占める二酸化炭素の割合を20%、40%、60%、80%および、100%としたとき、各々、1.12×10Pa、2.23×10Pa、3.35×10Pa、4.46×10Pa、5.58×10Paとなる。
(5)系内に残留している二酸化炭素および水をアルゴンで置換した。
【0081】
上記工程(3)から(5)を1サイクルとした工程を複数回行い、各工程における二酸化炭素脱離量をガスクロマトグラフ質量分析計にて測定した。
【0082】
次いで、二酸化炭素の吸着脱離試験の試験結果について説明する。
【0083】
図2および3において、「0サイクル」は、上記(1)から(3)を行った時の二酸化炭素の脱離量を示し、「1サイクル」は、上記(4)、(5)および(3)を1回目に行った際の二酸化炭素の脱離量を示し、「2サイクル」は、上記(4)、(5)および(3)を2回目に行った際の二酸化炭素の脱離量を示す。「3サイクル」は、上記(4)、(5)および(3)を3回目に行った際の二酸化炭素の脱離量を示す。
【0084】
図1において、水蒸気分圧と、二酸化炭素分圧と、を変更することによる、0サイクル目に脱離した二酸化炭素量の量に対する、1サイクル目に脱離した二酸化炭素の量の割合(LDH再生率とも称する)を示す。
【0085】
図1では、水蒸気分圧が約1.00×10Pa以上であれば、二酸化炭素分圧に応じて、LDH再生率が増加することが明らかとなった。
【0086】
図2は、水蒸気分圧が3.5×10Pa、および二酸化炭素の分圧が6.5×10Paの場合における、3サイクルまでの二酸化炭素の脱離量の推移を示す。また、図3は、水を添加せず(換言すれば水蒸気分圧が0Pa)、二酸化炭素の分圧が1.0×10Paの場合における、3サイクルまでの二酸化炭素の脱離量の推移を示す。
【0087】
図2では、水蒸気が存在する条件下にて層状金属水酸化物試料に二酸化炭素を吸着させることにより、二酸化炭素の吸着および脱離する量の低下が抑制された。これにより、二酸化炭素の吸着方法を調節することにより、複数回繰り返し利用した場合であっても、二酸化炭素の吸着および脱離する量の低下を抑制できることが明らかとなった。
【0088】
一方、図3では、水蒸気が存在しない条件下にて層状金属水酸化物試料に二酸化炭素を吸着させた。サイクル数の増加に応じて層状金属水酸化物試料から脱離する二酸化炭素の量が低下した。そして層状金属水酸化物試料から脱離する二酸化炭素の量が低下することに伴い、当該層状金属水酸化物試料に吸着される二酸化炭素の量も低下した。
【0089】
<4.粉末X線回折測定(XRD)>
以下に、粉末X線回折測定の試験方法、および、試験結果について説明する。なお、当該試験には、<3.二酸化炭素の吸着脱離試験>に記載の1サイクル目が終了した時点における層状金属水酸化物試料のナノ粒子を用いた。
【0090】
以下に、粉末X線回折測定の試験方法について説明する。
(使用機材)
X線回折装置:D8-ADVANCE(Burker AXS株式会社製)
ディテクター:D8-ADVANCE VANTEC(Burker AXS株式会社製)
測定線源:波長1.5418ÅのCu Kα
フィルター:Ni
(測定条件)
X線管負荷:40mA、35kV
測定角度:5.0-70.0deg
サンプリング間隔:0.007deg
発散スリット(入射):0.6mm
受光スリットDetector Slit:12.09mm
Antiscattering Slit:7.87mm
ディテクター受光角:3.00°
次いで、粉末X線回折測定の試験結果について説明する。
【0091】
図4にXRDによる測定結果を示す。図4に示すように1サイクル目が終了した時点における層状金属水酸化物試料は層構造を維持していることが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は、繰り返し二酸化炭素を吸着および脱離する際に二酸化炭素の吸着および脱離する量の低下を抑制する二酸化炭素吸着剤に適用できる。
図1
図2
図3
図4