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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】分離カラム接続装置及び分離装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/60 20060101AFI20241011BHJP
   G01N 30/54 20060101ALI20241011BHJP
【FI】
G01N30/60 P
G01N30/60 Q
G01N30/54 G
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021003225
(22)【出願日】2021-01-13
(65)【公開番号】P2022108322
(43)【公開日】2022-07-26
【審査請求日】2023-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 太一郎
(72)【発明者】
【氏名】富田 将司
(72)【発明者】
【氏名】清水 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】飯島 夢生
(72)【発明者】
【氏名】増田 藍
(72)【発明者】
【氏名】古川 大地
【審査官】高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/199335(WO,A1)
【文献】特開2020-186979(JP,A)
【文献】特開2007-078436(JP,A)
【文献】特開平07-239325(JP,A)
【文献】国際公開第2013/095964(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/00 -30/96
B01J 20/281-20/292
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の配管を第1の方向に沿って支持し、前記第1の方向に前記第1の配管を移動させる駆動装置と、
前記第1の方向に沿って、前記第1の配管と対向するように第2の配管を固定する固定部材と、
前記第1の配管と前記第2の配管との間に配置され、前記第1の配管が連通する第1の穴と前記第2の配管が連通する第2の穴とを有するカラムケースと、
前記第1の配管の移動と連動して前記カラムケースを前記第1の方向に移動させる連動機構と、を備え、
前記カラムケースには、分離カラムを保持するカラムカートリッジが着脱可能であり、
前記駆動装置は、
前記第1の配管と前記第2の配管との間に前記分離カラムが加圧して挟まれる閉鎖状態と、前記第1の配管及び前記第2の配管が前記カラムケースの外側に位置する開放状態と、の2つの状態を可逆的にとるように前記第1の配管及び前記連動機構を移動させ、
前記第1の穴の直径及び前記第2の穴の直径は、前記開放状態において、前記カラムケースの内側から前記第1の穴及び前記第2の穴を経由して前記第1の配管と前記第2の配管への操作者の接触を妨げるような大きさである、分離カラム接続装置。
【請求項2】
前記連動機構は、
前記カラムケースの移動量が前記第1の配管の移動量より少なくなるように、前記カラムケースを移動させる、請求項1に記載の分離カラム接続装置。
【請求項3】
前記開放状態は、
前記第1の配管と前記第2の配管との間隔が前記カラムケースの前記第1の方向の幅よりも大きい状態である、請求項1に記載の分離カラム接続装置。
【請求項4】
前記第1の穴の直径及び前記第2の穴の直径が10mm以下である、請求項に記載の分離カラム接続装置。
【請求項5】
第1の配管を第1の方向に沿って支持し、前記第1の方向に前記第1の配管を移動させる駆動装置と、
前記第1の方向に沿って、前記第1の配管と対向するように第2の配管を固定する固定部材と、
前記第1の配管と前記第2の配管との間に配置され、前記第1の配管が連通する第1の穴と前記第2の配管が連通する第2の穴とを有するカラムケースと、
前記第1の配管の移動と連動して前記カラムケースを前記第1の方向に移動させる連動機構と、を備え、
前記カラムケースには、分離カラムを保持するカラムカートリッジが着脱可能であり、
前記駆動装置は、
前記第1の配管と前記第2の配管との間に前記分離カラムが加圧して挟まれる閉鎖状態と、前記第1の配管及び前記第2の配管が前記カラムケースの外側に位置する開放状態と、の2つの状態を可逆的にとるように前記第1の配管及び前記連動機構を移動させるよう構成され、
前記駆動装置は、
駆動源であるモータと、
第1の支軸のまわりに回転自在に軸支された出力ギヤと、
前記モータの回転力を前記出力ギヤまで減速して伝達する減速機と、
一端部が前記出力ギヤに固定され、前記出力ギヤと一体として回転するクランクアームと、
前記第1の配管を保持し、前記第1の配管とともに前記第1の方向に直線的に移動する移動部材と、
前記第2の配管を保持し、前記閉鎖状態において所定量圧縮されて前記分離カラムに対して所定の押圧力を付勢する第1の付勢部材と、
前記移動部材に設けられた第2の支軸と、
一端部が前記第2の支軸のまわりに回転自在に軸支された連結棒と、
前記クランクアームの他端部と前記連結棒の他端部とを回転自在に軸支する共通の第3の支軸と、を有し、
前記クランクアームの回転動作が前記移動部材の直線動作に変換され、
前記開放状態においては前記第1の支軸と前記第2の支軸とを結んだ直線の外に前記第3の支軸が配置され、
前記第3の支軸が、前記第1の支軸と前記第3の支軸と前記第2の支軸とがその順に一直線上に配置される上死点位置を超えるように、前記第1の配管が前記分離カラムに近づく方向に前記クランクアームを回転させることで、前記第1の配管及び前記第2の配管を前記分離カラムに当接させ、前記第1の付勢部材を前記所定量圧縮して前記閉鎖状態とする、離カラム接続装置。
【請求項6】
前記第1の支軸、前記出力ギヤ及び前記クランクアームは、前記第1の配管を挟んで対向して一対設けられ、
前記第1の支軸同士の間には前記第1の配管の直径よりも大きな空隙が設けられ、
前記第1の支軸の中心軸と前記第1の配管の中心軸とは交差する、請求項に記載の分離カラム接続装置。
【請求項7】
前記分離カラムは、少なくとも一部が第1のヒートブロックに覆われた状態で前記カラムカートリッジに保持され、
前記分離カラム接続装置は、
前記第1のヒートブロックの受熱面と対向する伝熱面を有する第2のヒートブロックと、
前記第2のヒートブロックに接触し、熱源となるヒータ素子と、
前記駆動装置と連動して動作し、前記受熱面と前記伝熱面とが当接又は離反するように前記第2のヒートブロックを移動可能に支持する移動機構と、を備え、
前記移動機構は、
前記第2のヒートブロックの前記伝熱面を前記第1のヒートブロックの前記受熱面に向けて付勢する第2の付勢部材を有し、
前記駆動装置の動作により前記閉鎖状態から前記開放状態となる間、前記第2の付勢部材による付勢力に抗って前記第2のヒートブロックの前記伝熱面を前記第1のヒートブロックの前記受熱面から離反させ、
前記駆動装置の動作により前記開放状態から前記閉鎖状態となる間、前記第2の付勢部材による前記付勢力によって前記第2のヒートブロックの前記伝熱面を前記第1のヒートブロックの前記受熱面に当接させる、請求項1に記載の分離カラム接続装置。
【請求項8】
前記移動機構は、
貫通穴を有し、前記第2のヒートブロックを前記貫通穴を通して上下方向に移動可能に支持するヒートブロックガイドを有し、
前記第2のヒートブロックの前記伝熱面を前記第1のヒートブロックの前記受熱面に当接させる際に、前記第2のヒートブロックの前記伝熱面に平行な前記ヒートブロックガイドの第1の面よりも前記伝熱面を突出させ、
前記第2のヒートブロックは、
前記ヒートブロックガイドの前記第1の面よりも上方にフランジを有し、前記フランジは前記貫通穴よりも大きい、請求項に記載の分離カラム接続装置。
【請求項9】
前記カラムケースが排水口をさらに備える、請求項に記載の分離カラム接続装置。
【請求項10】
前記排水口が下方に位置するように前記カラムケースが水平面に対して傾いている、請求項に記載の分離カラム接続装置。
【請求項11】
前記カラムカートリッジには、前記カラムカートリッジの情報を記録可能な情報記録部が設けられ、
前記分離カラム接続装置は、
前記情報記録部と対向した位置に設けられ、前記情報記録部の情報を読み書き可能な情報読み取り装置をさらに備え、
前記情報読み取り装置の読み取り可能範囲は、前記開放状態と前記閉鎖状態との間の前記情報記録部の移動範囲よりも大きい、請求項1に記載の分離カラム接続装置。
【請求項12】
第1の配管及び第2の配管と、
前記第1の配管と前記第2の配管との間に配置され、前記第1の配管が連通する第1の穴と前記第2の配管が連通する第2の穴とを有するカラムケースと、を備え、
前記カラムケースは、分離カラムを保持するカラムカートリッジが着脱可能に構成され、
前記第1の穴の直径及び前記第2の穴の直径は、前記第1の配管及び前記第2の配管が前記カラムケースの外側に位置する開放状態において、前記カラムケースの内側から前記第1の穴及び前記第2の穴を経由して前記第1の配管と前記第2の配管への操作者の接触を妨げるような大きさである、分離カラム接続装置。
【請求項13】
請求項1に記載の分離カラム接続装置を備える分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、分離カラム接続装置及び分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体クロマトグラフ(LC)や固相抽出(SPE)などでは、充填剤を詰めた分離カラムにより試料を分離して、夾雑物の除去や、微量サンプルを濃縮することによる高精度な分析を実現できる。試料は、分離カラムの上流側に接続された入口管から分離カラム内を経由して、分離カラムの下流側に接続された出口管から分離されて吐出される。分離カラムは測定対象とする試料に応じて交換され、また分離カラムが使用寿命に達した場合にも交換される。
【0003】
したがって、分離カラムは交換が容易であり、かつセットした際には上流側の配管及び下流側の配管により所定の圧力で押圧されて試料のリークが防止されることが望ましい。また、分離カラムから配管を離反したのちに分離カラムを取り外す際には、異物の付着や配管の変形を防止するために、使用者が配管に接触できない構成が望ましい。
【0004】
特許文献1には、「分離カラムを保持するカラムホルダと、分離カラムの上流側のシール部と連結するシール部を備え上流側の配管が接続された第1のフィッティングを搭載する第1のフィッティングホルダと、分離カラムの下流側のシール部と連結するシール部を備え下流側の配管が接続された第2のフィッティングを搭載する第2のフィッティングホルダと、第1のフィッティングホルダと第2のフィッティングホルダのいずれか一方が固定された本体部材と、本体部材に固定されていない第1のフィッティングホルダ又は第2のフィッティングホルダを前記本体部材に対して移動させる駆動部と、カラムホルダを駆動部による移動方向に案内するガイドと、カラムホルダと第2のフィッティングホルダとの間に設けられた弾性体と、を有する。」という構成の分離カラム接続装置が開示されている(特許文献1の段落0008参照)。このような構成により、「低コストかつ小型化が実現できる装置構成で、空気の混入を防止でき再現性の高い分析が実現できる。」と記載されている(特許文献1の段落0012参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6611398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された構成において、カラムホルダは、ガイドに沿って駆動部によって移動される。分離カラムはカラムホルダに保持されているため、分離カラムを交換する際には分離カラムのみをカラムホルダから取り外し、新たな分離カラムをカラムホルダに取り付ける必要がある。分離カラムをカラムホルダに取り付けるための構成として、位置決め及び固定用のピンを設け、ピンの弾性変形を利用して分離カラムを着脱する構成(実施例19)、及び弾性変形するヒンジを用いて分離カラムを着脱する構成(実施例20)が開示されている。
【0007】
しかしながら、分離カラムの取り付けの際には、ピンと穴との位置合わせ、又はヒンジとヒンジを受ける部分との位置合わせをする必要があり、操作者は注意深く作業しなければならないため操作者の負担が大きい。
【0008】
そこで、本開示は、分離カラムの交換を容易にする技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本開示の分離カラム接続装置は、第1の配管を第1の方向に沿って支持し、前記第1の方向に前記第1の配管を移動させる駆動装置と、前記第1の方向に沿って、前記第1の配管と対向するように第2の配管を固定する固定部材と、前記第1の配管と前記第2の配管との間に配置され、前記第1の配管が連通する第1の穴と前記第2の配管が連通する第2の穴とを有するカラムケースと、前記第1の配管の移動と連動して前記カラムケースを前記第1の方向に移動させる連動機構と、を備え、前記カラムケースには、分離カラムを保持するカラムカートリッジが着脱可能であり、前記駆動装置は、前記第1の配管と前記第2の配管との間に前記分離カラムが加圧して挟まれる閉鎖状態と、前記第1の配管及び前記第2の配管が前記カラムケースの外側に位置する開放状態と、の2つの状態を可逆的にとるように前記第1の配管及び前記連動機構を移動させる。
【0010】
本開示に関連する更なる特徴は、本明細書の記述、添付図面から明らかになるものである。また、本開示の態様は、要素及び多様な要素の組み合わせ及び以降の詳細な記述と添付される特許請求の範囲の様態により達成され実現される。本明細書の記述は典型的な例示に過ぎず、本開示の特許請求の範囲又は適用例を如何なる意味に於いても限定するものではないことを理解する必要がある。
【発明の効果】
【0011】
本開示の技術によれば、分離カラムの交換が容易となる。上記以外の課題、構成及び効果は、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施形態に係る分離カラム接続装置のC-C部分断面正面図である。
図2】第1の実施形態に係る分離カラム接続装置のA-A断面上面図である。
図3】第1の実施形態に係る分離カラム接続装置のB-B側断面図である。
図4】ヒートブロックを分離カラムから退避した状態を示す図である。
図5】配管を分離カラムから解除する動作の途中を示す図である。
図6】配管を分離カラムから解除した状態を示す図である。
図7】カラムカートリッジを取り外した状態を示す図である。
図8】分離カラムの取り付け動作の途中の状態を示す図である。
図9A】第1の実施形態に係る分離カラム接続装置のB-B側断面図であり、カラムカートリッジを取り外した状態を示している。
図9B】第2の実施形態に係る分離カラム接続装置のB-B側断面図であり、カラムカートリッジを取り外した状態を示している。
図10A】第2の実施形態に係る分離カラム接続装置の一部を示す斜視図である。
図10B】第2の実施形態に係る分離カラム接続装置の一部を示す斜視図である。
図11】第3の実施形態に係る分離カラム接続装置の一部を示す正面図である。
図12】第3の実施形態に係る分離カラム接続装置のD-D側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本開示の実施形態を説明する。実施形態の説明において、上下左右前後の方向は図1及び図2に示す上下左右前後の方向を基準とする。
【0014】
実施形態で説明する分離カラム接続装置は、分離カラムを用いるあらゆる装置に搭載することができる。このような装置には、例えば液体クロマトグラフ及び固相抽出装置などの、試料中の成分を分離する分離装置や、分離装置を備える分析装置などが含まれる。
【0015】
[第1の実施形態]
<分離カラム接続装置の構成例>
図1は、第1の実施形態に係る分離カラム接続装置100のC-C部分断面正面図である。分離カラム接続装置100は、ベース7、カラムケース8、第1の配管固定部10、第2の配管固定部11、第1の配管13、第2の配管14、固定ブロック15、押圧ばね16、押圧ブロック17、押圧ストッパ18、スライドレール22、スライダ23、移動ブロック24、駆動装置37、連動機構69及び加熱機構76を備える。図1では、分離カラム2を第1の配管13及び第2の配管14との間に加圧接続した状態(閉鎖状態)が示されている。
【0016】
カラムケース8は、上面が開口した略直方体形状の容器であり、カラムケース8の内部にカラムカートリッジ1が着脱される。図1においては、カラムカートリッジ1がカラムケース8に取り付けられた状態が示されている。カラムカートリッジ1は、分離カラム2及び第1のヒートブロック3が収容されるカラムホルダ4と、カラムホルダ4の上面から上方に突出するツマミ5とを有する。分離カラム2は、例えば略円筒状をなし充填剤を内包する。分離カラム2を取り外す又は取り付ける際には、操作者は、ツマミ5を指でつまんでカラムカートリッジ1の単位でカラムケース8に対して上下方向に移動させることにより、着脱動作を行うことができる。図1に示すように、カラムケース8の開口は、上端が拡大されるように、上端近傍がテーパ加工されていてもよい。このような形状とすることにより、カラムカートリッジ1を挿入する際のガイドとなるので、操作者が挿入しやすくなる。
【0017】
第1のヒートブロック3は、分離カラム2の円筒面を覆うように配置され、第1のヒートブロック3を外部から加熱することで、分離カラム2を所定の温度に維持することができる。第1のヒートブロック3には、下方に突出する凸部が設けられている。第1のヒートブロック3の材質は、例えばアルミニウムなどの熱伝導率の高い材料とすることができる。第1のヒートブロック3には、例えばサーミスタなどの温度センサが内蔵されていてもよい。
【0018】
カラムホルダ4は、略直方体形状であり、分離カラム2と第1のヒートブロック3とを包囲する。カラムホルダ4は、分離カラム2の両端面及び第1のヒートブロック3の凸部に対応する部分に開口を有する。
【0019】
カラムホルダ4及びツマミ5の材質は、例えば、ポリフェニレンスルファイド樹脂などの樹脂材料とすることができ、特に、耐薬品性のある樹脂とすることができる。これにより、カラムホルダ4の内部にある第1のヒートブロック3が加熱されて高温になった場合でも、カラムホルダ4の表面やツマミ5は低温を維持することができるので、熱漏洩量が少なく、分離カラム2の温度が変動しにくい。カラムケース8の材質もまた、例えば、ポリフェニレンスルファイド樹脂などの樹脂材料、特に耐薬品性のある樹脂とすることができる。
【0020】
図示は省略しているが、カラムホルダ4の上面には、第1のヒートブロック3まで連通する1つ又は複数個の穴(例えば直径1mm程度)を分離カラム2の長手方向(左右方向)に沿って設けてもよく、その穴を通して温度測定用のプローブ(図示せず)を第1のヒートブロック3に当接させて、第1のヒートブロック3表面の温度を測定可能な構成としてもよい。これにより、分離カラム2の温度が適切であるか否かを確認することが可能であるとともに、分離カラム2の温度測定結果に応じてヒータへの通電電力を制御することで、分離カラム2の温度調整を精度良く行うことができる。
【0021】
カラムケース8の左側壁面8Lには、第1の配管固定部10の右端部が通過可能な穴9Lが開口されている。カラムケース8の右側壁面8Rには、第2の配管固定部11の左端部が通過可能な穴9Rが開口されている。これらの穴9L及び9Rの直径は例えば10mm以下であり、操作者の指先が入って第1の配管13及び第2の配管14に接触することを妨げるように構成されている。ただし、操作者が第1の配管13及び第2の配管14に決して接触できないという意味ではない。これにより、カラムカートリッジ1を外した状態でも、配管先端に作業者が接触して異物が付着する可能性が低く、信頼性の高い分離カラム接続装置100を提供できる。
【0022】
ベース7はその位置が固定されている。ベース7は、例えばアルミダイキャスト、鋳物、又は板金溶接構造など剛性の高い製法で加工することができる。カラムケース8は、左右方向に直線的に所定量移動可能にベース7に支持されている。したがって、カラムカートリッジ1は、カラムケース8内にセットされた状態で、左右方向に共に移動する。カラムケース8の移動の詳細については後述する。
【0023】
加熱機構76は、第2のヒートブロック12、ヒータガイド48、ヒータ素子51及びヒータ線66を有する。ヒータガイド48は、ベース7に固定されている。ヒータガイド48は、例えば耐熱性を有する樹脂製であり、略直方体形状を有する。第2のヒートブロック12は、略直方体形状を有し、第1のヒートブロック3の凸部の底面(受熱面)と対向して、下方から当接する。第2のヒートブロック12は、ヒータガイド48により上下方向に移動可能に支持されている。カラムケース8の底面には、第2のヒートブロック12及びヒータガイド48が貫通する貫通穴が設けられている。ヒータ素子51は、第1のヒートブロック3及び第2のヒートブロック12の加熱源であり、第2のヒートブロック12の底面に設けられている。ヒータ線66はヒータ素子51に接続され、ヒータ線66に通電することで、第2のヒートブロック12の上面を伝熱面とし、第1のヒートブロック3の下面を受熱面として、ヒータ素子51からの熱を第1のヒートブロック3に伝達することができる。このようにして、分離カラム2を所定の温度に加熱することができる。
【0024】
分離カラム接続装置100は、さらに、第2のヒートブロック12を上下動させるヒータ移動機構を備え、ヒータ移動機構は、ヒータ押しばね49(図3に図示)、ストッパ50(図3に図示)、ヒータ押し下げ突起52、連動リンク53、連動リンク支点54、ヒータ押し下げ部55及びヒータ解除ばね56を備える。ヒータ移動機構の構成及び動作の詳細については後述する。
【0025】
スライドレール22は、ベース7の左側上面に左右方向に沿って設けられている。スライダ23は、スライドレール22に沿って左右方向に移動する。移動ブロック24(移動部材)は、スライダ23上に設けられ、スライダ23とともに左右方向に移動する。第1の配管固定部10は、移動ブロック24の右端部に設けられ、第1の配管13を固定する。移動ブロック24が移動すると、第1の配管固定部10とそれに固定された第1の配管13も移動する。第1の配管13は、試料を供給又は排出する配管であり、分離カラム2と同心に、分離カラム2の左方に延設される。
【0026】
固定ブロック15(固定部材)は、ベース7の右側上面に固定され、正面視で略L字形状を有する。押圧ブロック17は、固定ブロック15の左方に設けられる。押圧ブロック17は、押圧ばね16(第1の付勢部材)を介してカラムカートリッジ1内の分離カラム2に向けて左方に予圧を与える。押圧ストッパ18は、ボルト状の部材であり、固定ブロック15を貫通して押圧ブロック17に螺合されている。押圧ストッパ18の柱状部は、押圧ばね16に挿入されている。押圧ストッパ18は、押圧ブロック17の左方への移動量を制限する。押圧ばね16の押し力によって押圧ブロック17が左方に移動した際に、押圧ストッパ18のボルト頭に相当する大径部が固定ブロック15に当接して、押圧ブロック17の左方へのさらなる移動を制限する。なお、この状態で押圧ばね16から押圧ブロック17に対して初期予圧力を与えていてもよい。
【0027】
第2の配管固定部11(固定部材)は、押圧ブロック17の左端部に設けられ、第2の配管14を固定する。第2の配管14は、試料を排出又は供給する配管であり、分離カラム2と同心に、分離カラム2の右方に延設される。
【0028】
第1の配管固定部10と第2の配管固定部11とは同じ構造であってもよく、互いに対向して対称に設けられている。第1の配管13と第2の配管14は一方を上流とし他方を下流とし、上流側の配管はLCポンプ(図示せず)などと接続され、下流側配管は検出器(図示せず)などと接続される。
【0029】
第1の配管13は、分離カラム2の第1の当接面57(左端面)に第1の配管先端面21が加圧して当接した位置(閉鎖状態)と、第1の配管13が左方に移動して第1の配管先端面21及び第2の配管先端面20の間隔がカラムケース8の左側壁面8L及び右側壁面8Rのそれぞれの外側面の間隔よりも大きくなる位置(開放状態)と、の間を移動可能に支持されている。
【0030】
分離カラム2の第1の当接面57に第1の配管先端面21が当接した位置から、移動ブロック24の移動により第1の配管先端面21が右方に変位αだけ移動すると、分離カラム2を介して第2の配管14に力が加わり、第2の配管先端面20が変位αだけ右方に移動する。これにより、押圧ばね16が変位αだけ圧縮されて、押圧ばね16から押圧ブロック17に対して予め加えられた初期予圧力と、ばね定数と変位αを乗じた付勢力との和で表される力が生じる。したがって、第1の配管先端面21と第2の配管先端面20との間で、分離カラム2を所定の押圧で付勢しつつ挟みこむことができる。変位αは、例えば1mm程度である。
【0031】
連動機構69は、移動ブロック24の移動と連動してカラムケース8を移動させる機構である。連動機構69は、スライド板26及び一対のストッパピン27を有する。図1の上部において、連動機構69の上面図が示されている。
【0032】
スライド板26は、移動ブロック24の上面と平行にカラムケース8の左端面に設けられ、カラムケース8と一体として移動する。スライド板26は、平面視で略T字形状を有し、T字の上辺部が前後方向に平行で左方に位置し、T字の柱部が左右方向に平行で右方に位置する。すなわち、スライド板26の柱部の右端がカラムケース8の左端面に固定されている。一対のストッパピン27は、前後方向に並び上方に突出するように、移動ブロック24の上面に設けられている。
【0033】
図1に示す加圧状態(閉鎖状態)では、ストッパピン27とスライド板26の当接部28とは、距離Lだけ離間している。この状態から移動ブロック24が左方に移動していくと、ストッパピン27がスライド板26の上辺部の当接部28(右端面)に当接する。ストッパピン27と当接部28とが接触すると、移動ブロック24の移動動作がカラムケース8に伝達され、移動ブロック24の移動と連動してカラムケース8が左方に移動する。すなわち、移動ブロック24が距離Lだけ左方に移動したのち、スライド板26及びカラムケース8が左方に移動する。
【0034】
駆動装置37は、移動ブロック24、一対の連結棒支軸29(第2の支軸)、一対の連結棒30、一対のクランクアーム32、一対のクランク支軸33(第3の支軸)、一対の出力ギヤ支軸35(第1の支軸)、一対の出力ギヤ36、モータ38、ピニオンギヤ39、ギヤ軸40、ギヤ41、ウォームギヤ42、ギヤ支軸43、ウォームホイール44(図2に図示)、ギヤ45、ギヤ支軸46及びギヤ47を有する。
【0035】
モータ38は、出力ギヤ36の駆動源であり、本実施形態では出力軸が下向きに配置されている。モータ38は、例えばステッピングモータであり、ステッピングモータは、入力されたパルス信号の周波数とパルス数に応じて、所定の方向に所定の角度、所定の速度で回動する。ピニオンギヤ39はモータ38の出力軸に設けられ、モータ38の出力軸とともに回動する。ギヤ軸40は、鉛直かつ回転自在に軸支されている。ギヤ軸40にはギヤ41とウォームギヤ42(減速機)が設けられている。ギヤ41は、ピニオンギヤ39と噛み合ってギヤ軸40とともにピニオンギヤ39とは逆方向に回動し、ウォームギヤ42もギヤ軸40とともに回転する。
【0036】
図2は、分離カラム接続装置100のA-A断面上面図であり、分離カラム2を加圧接続した状態を示している。図2に示すように、ウォームホイール44(減速機)は、ギヤ45の後方に設けられている。ウォームホイール44は、ウォームギヤ42と噛み合って減速回転する。ギヤ支軸43は、前後方向に水平かつ回転自在に軸支されている。ギヤ支軸43には、ウォームホイール44及びギヤ45が設けられている。ギヤ支軸46は、前後方向に延伸する。ギヤ47は、ギヤ支軸46のまわりに回転自在に軸支され、ギヤ45と噛み合っている。
【0037】
出力ギヤ支軸35は、第1の配管13を挟んで前後方向に対称に、ベース7上に設けられた上下方向及び左右方向に平行な互いに対向する一対の壁面から突出するように設けられている。出力ギヤ36は、出力ギヤ支軸35のまわりに回動自在に軸支されており、ギヤ47と噛み合って回動する。クランクアーム32は、出力ギヤ36に固定されており、出力ギヤ36と一体として所定の角度の範囲を往復回動する。
【0038】
クランク支軸33は、第1の配管13を挟んで対称に、前後方向外側に突出するようにクランクアーム32に設けられている。クランク支軸33は略円筒状である。連結棒支軸29は、第1の配管13を挟んで対称に、前後方向外側に突出するように移動ブロック24に設けられている。連結棒支軸29は略円筒状である。連結棒30の一端部には連結穴31が設けられ、連結穴31は連結棒支軸29により回動自在に軸支されている。連結棒30の他端部には連結穴34が設けられ、連結穴34は、クランク支軸33により回動自在に軸支されている。
【0039】
上記のような構成により、モータ38を回転させると、ピニオンギヤ39、ギヤ41、ウォームギヤ42、ウォームホイール44、ギヤ45、ギヤ47、出力ギヤ36の順に駆動力が伝達されて、クランクアーム32が減速しつつ回動する。クランクアーム32、連結棒30及び移動ブロック24はいわゆるクランク機構を構成し、クランクアーム32の回転運動を移動ブロック24の直線運動に変換する作用がある。以上のように、モータ38を駆動すると、移動ブロック24を左右方向(第1の方向)に移動させることができ、これにより第1の配管13を左右方向に移動させることができる。なお、本実施形態では駆動装置37にクランク機構を用いているが、例えばボールネジや油圧シリンダを用いた直線動作駆動機構を用いてもよい。
【0040】
図2に示すように、連結棒30、クランクアーム32、出力ギヤ支軸35及び出力ギヤ36は、それぞれ第1の配管13を挟んで前後対称に一対設けられている。一対の出力ギヤ36はともにギヤ47に噛み合っているため常に連動して同期して回動するので、一対のクランクアーム32及び一対の連結棒30も同期して動作する。
【0041】
一対の連結棒30は、移動ブロック24に設けられた一対の連結棒支軸29に対して同期して作用する。したがって、一対のクランクアーム32が回動すると、移動ブロック24には一対の連結棒30を介して第1の配管13を挟んで対称な力と変位が加わる。これにより、移動ブロック24には曲げモーメントが加わることなく、安定してスライドレール22に沿って左右方向に移動し、かつ分離カラム2に所定の押圧を加えることができる。なお、一対の連結棒30は互いに連結された一体部品として構成されていてもよい。
【0042】
移動ブロック24には、第1の配管固定ねじ25が設けられている。第1の配管固定ねじ25は、左右方向に延伸する貫通穴を有し、貫通穴には第1の配管13を通すことができる。第1の配管固定ねじ25を締めることによって、第1の配管固定部10に対して第1の配管13を固定することができる。第1の配管固定ねじ25を緩めれば、第1の配管固定部10から第1の配管13を左方に引き抜くことができ、第1の配管13を交換することができる。
【0043】
固定ブロック15及び押圧ブロック17には、これらを貫通するように第2の配管固定ねじ19が設けられている。第2の配管固定ねじ19は、左右方向に延伸する貫通穴を有し、貫通穴には第2の配管14を通すことができる。第2の配管固定ねじ19を締めることによって、第2の配管14の左端部が所定量突き出した状態で第2の配管固定部11に対して第2の配管14を固定し、分離カラム2の第2の当接面58(右端面)に当接できる。第2の配管固定ねじ19を緩めれば、第2の配管14を第2の配管固定部11から右方に引き抜くことができ、第2の配管14を交換することができる。
【0044】
出力ギヤ36の回転軸である出力ギヤ支軸35の軸中心を第1の配管13の中心高さと同一とすれば、クランクアーム32、出力ギヤ支軸35、クランク支軸33及び連結棒支軸29が一直線となった、いわゆる上死点位置において、連結棒30は水平となる。したがって、第1の配管13が、連結棒30から移動ブロック24に加わる力と同じ水平面上に位置するため、第1の配管先端面21は分離カラム2に対して鉛直に押圧されるので、安定して加圧される。
【0045】
一方、第1の配管13の中心高さと出力ギヤ支軸35の中心高さを同一にすると、軸と配管が互いに交差して干渉する。そこで、出力ギヤ支軸35は前後方向に延伸する1本の両持ち軸ではなく、ベース7の前端側から第1の配管13の手前まで設けた片持ち軸と、ベース7の後端側から第1の配管13の手前まで設けた片持ち軸とを対称に一対設ける構成としている。これにより、一対の出力ギヤ支軸35の間に空隙67を設けることができる。空隙67の幅を第1の配管13の直径より大きくすることで、第1の配管13が空隙67を横切ることができる。空隙67に第1の配管13を配置することで、第1の配管13と出力ギヤ支軸35との干渉を避けつつ、中心高さを同一として、第1の配管先端面21は分離カラム2に対して鉛直に押圧して、安定した押圧を加えることができる。
【0046】
上述したように、第1の配管固定ねじ25を緩めれば、第1の配管固定部10から第1の配管13を左方に引き抜くことができる。ここで、出力ギヤ支軸35の間には空隙67が設けられ、かつ空隙67の幅を第1の配管13の直径より大きくしたので、第1の配管13を交換する際には第1の配管13を左方に長く引き抜くのではなく、上方に持ち上げて移動して取り外すことができる。すなわち、第1の配管13の交換の容易な分離カラム接続装置100を提供できる。
【0047】
平面視で、カラムケース8の上面の開口はカラムカートリッジ1より一回り大きく、カラムカートリッジ1の周囲に適度な隙間を生じる。これにより、カラムカートリッジ1は、カラムケース8内に挿入及び抜去することができる。
【0048】
カラムカートリッジ1の奥側側面には、RFIDタグ75(情報記録部)が設けられている。RFIDタグ75は、例えば分離カラム2の種類や使用済品か未使用品かといった使用状態を示す情報を記録可能である。カラムケース8の後方には、RFIDタグ75と対向するようにRFIDリーダ74(情報読み取り装置)が設けられている。RFIDリーダ74は、RFIDタグ75の情報を読み取り、また書き込みを行うことができる。なお、RFIDリーダ74は、一例として左右方向に幅Eの範囲でRFIDタグ75とデータ交換を行うことが可能である。情報の記録方法としては、RFIDに限定されず、バーコードなど他の手法を用いてもよい。
【0049】
図3は、分離カラム接続装置100のB-B側断面図であり、分離カラム2を加圧接続した状態を示している。上述のように、第1のヒートブロック3は下方に突出する凸部を有しており、この凸部はカラムホルダ4の貫通穴から下方に露出している。第2のヒートブロック12は、ベース7に設けられており、第1のヒートブロック3と対向して、第1のヒートブロック3の下面に下方から当接する。ヒータガイド48は、ベース7に固定され、上下方向に第2のヒートブロック12が貫通する略長方形の貫通穴を有する。第2のヒートブロック12は、ヒータガイド48の貫通穴に沿って上下方向に移動可能に支持されている。
【0050】
第2のヒートブロック12の下面には、一対のヒータ押しばね49(例えば圧縮ばね)が設けられており、ヒータ押しばね49(第2の付勢部材)は、第2のヒートブロック12を上向きに付勢する。ストッパ50は、ヒータ押しばね49のストッパとして機能する。ヒータ押しばね49は、第2のヒートブロック12に対して前後対称に一対配置されているので、第2のヒートブロック12に対して均一に上向きの押圧力を加えることができる。
【0051】
第2のヒートブロック12の上面の高さは、カラムカートリッジ1がセットされた際の第1のヒートブロック3の下面の位置よりも高く設定されており、カラムカートリッジ1を上方からカラムケース8にセットすると、第2のヒートブロック12の上面と第1のヒートブロック3の下面とが当接する。
【0052】
カラムカートリッジ1がカラムケース8にセットされ、第1の配管13と第2の配管14が分離カラム2に加圧接続された状態では、第2のヒートブロック12は第1のヒートブロック3と当接して押し下げられる。これによりヒータ押しばね49が圧縮されて第2のヒートブロック12に上向きの反力を生じて、第2のヒートブロック12を適切な付勢力で第1のヒートブロック3に付勢する。
【0053】
第2のヒートブロック12には、一対のヒータ押しばね49よりもさらに前後方向外側に、一対のヒータ押し下げ突起52が互いに外側に向けて突出するよう設けられている。ヒータ押し下げ突起52は、左右方向から見て断面が略L字形状である。ヒータ押しばね49による上向きの押し力よりも大きな下向きの力をヒータ押し下げ突起52に加えると、第2のヒートブロック12はヒータガイド48の貫通穴に沿って下降して、第2のヒートブロック12の上面とカラムカートリッジ1内の第1のヒートブロック3の下面との間には空隙が生じる。
【0054】
<ヒータ移動機構の動作>
ヒータ移動機構は、駆動装置37の駆動によるクランクアーム32の回動と連動して、第2のヒートブロック12を下降させる。以下、図1及び図3を用いて、ヒータ移動機構の詳細を説明する。
【0055】
連動リンク53は連動リンク支点54のまわりに回動可能に軸支されている。連動リンク53の前後方向の幅は、一対のヒータ押し下げ突起52の間隔に略等しく、平面視で第1の配管13及び第2の配管14に対して前後方向に対称な形状をしている。
【0056】
連動リンク53の左端は上方に延伸しており、クランクアーム32の下面側と当接するよう配置されている。連動リンク支点54を挟んで反対側の連動リンク53の右端は、ヒータ押し下げ部55となっている。ヒータ押し下げ部55は一対のヒータ押し下げ突起52の上面に対して作用するよう配置されている。連動リンク53の左端部の下側にはベース7の一部を延伸したストッパ50が設けられており、連動リンク53の図1の反時計方向への回動範囲を制限している。
【0057】
連動リンク支点54とヒータ押し下げ部55との間には、ヒータ解除ばね56(例えば圧縮ばね)が設けられている。ヒータ解除ばね56(第2の付勢部材)は、ヒータガイド48の下面と、連動リンク53の上面との間に配設され、連動リンク53に図示時計回りのモーメントを生じて連動リンク53右端のヒータ押し下げ部55を下降する力を生じる。
【0058】
ヒータ解除ばね56のばね力の大きさについて説明する。連動リンク53左端部の当接部77を開放して連動リンク53を自由に回動可能な状態とし、ヒータ押し下げ部55がヒータ押し下げ突起52に当接した際に、ヒータ解除ばね56のばね力により第2のヒートブロック12を下降させる力の方が、ヒータ押しばね49により第2のヒートブロック12を上昇させる力より大きくなるように設定される。すなわち、ヒータ解除ばね56による下向きのばね力がヒータ押しばね49の力に打ち勝って、第2のヒートブロック12は下降する。
【0059】
一方、連動リンク53の左端が押し下げられると、言うまでもなく連動リンク53の右端にあるヒータ押し下げ部55は上昇し、ヒータ押し下げ突起52の上面から離反するので、第2のヒートブロック12はヒータ押しばね49のばね力によって上昇し、第1のヒートブロック3と当接して、ヒータ素子51からの熱を第2のヒートブロック12を通して第1のヒートブロック3に伝達して、分離カラム2を所定の温度に加熱できる。
【0060】
<カラムカートリッジ1の取り出し>
(1)加圧状態
図1図3は、クランクアーム32が、出力ギヤ支軸35、クランク支軸33及び連結棒支軸29が一直線となった、いわゆる上死点位置よりも角度θ1だけ時計方向に回動して、連動リンク当接部77に当接して回動が停止した状態を示していた。この状態では、第1の配管先端面21がカラムケース8の左側壁面8Lに設けられた穴9Lを通って分離カラム2の第1の当接面57(左端)に当接して、さらにカラムケース8及びカラムカートリッジ1ごと分離カラム2を右側に移動させた(例えば1mm程度)状態である。そして、第2の配管14も、分離カラム2の第2の当接面58(右端)に押されて右側に移動している。これにより、右向きの力が第2の配管固定部11及び押圧ブロック17に伝達されて押圧ばね16を圧縮し、所定の付勢力を生じる。このようにして、第1の配管先端面21と第2の配管先端面20との間で所定の付勢力で分離カラム2を加圧して挟んだ加圧状態(閉鎖状態)となっている。この状態で第1の配管13及び第2の配管14のいずれかを入口管とし、他方を出口管として試料を供給することで、試料を分離・抽出することができる。この状態では、分離カラム2は第1の配管13及び第2の配管14により挟まれているので、操作者は、カラムカートリッジ1をカラムケース8から取り外すことはできない。
【0061】
また、クランクアーム32が上死点位置よりもθ1だけ回転して、ストッパとして作用する連動リンク当接部77に当接することで、押圧ばね16からの左向きの付勢力が連結棒30を経由してクランクアーム32に図示時計回り(第2の方向)の回転モーメントを与える。その回転モーメントはクランクアーム32をさらに連動リンク当接部77に強く当接させる方向に作用するので、クランクアーム32と連結棒30はロックされて押圧ばね16による付勢力が緩むことがない。したがって、信頼性の高い分離カラム接続装置100を提供できる。
【0062】
(2)解除開始
操作者は、制御装置(不図示)を操作して、カラムカートリッジ1の取り出し操作を開始するための指示を入力する。制御装置は、取り出し操作の開始指示を受け取ると、モータ38に駆動信号を送信し、モータ38の出力軸を平面視で反時計回りに回転させる。モータ38の出力軸を反時計回りに回転させると、出力ギヤ36も図示反時計方向に回転して、クランクアーム32も図示反時計方向に回動する。
【0063】
図4は、出力ギヤ36を反時計方向に回転させて、クランクアーム32を水平をまたいで図1とは逆向きに角度θ2まで回転した状態を示す。ここで、θ2=θ1の場合は、連結棒支軸29の位置は図1と変わらないので、分離カラム2に対する第1の配管13と第2の配管14との押圧は維持されている。また、カラムカートリッジ1の左右方向の位置も移動しない。
【0064】
クランクアーム32は連動リンク当接部77から離反するので、ヒータ解除ばね56の付勢力によって連動リンク53は図示時計回りに回動し、ヒータ押し下げ部55がヒータ押し下げ突起52に当接して第2のヒートブロック12を下降させて、第1のヒートブロック3との間に空隙68を生じさせる。
【0065】
カラムカートリッジ1の左右方向の位置は図1に示す加圧状態から移動しないから、第2のヒートブロック12が下降する際に第1のヒートブロック3との間には摺動が生じないので、摩耗粉が生じることがなく、信頼性を確保できる。
【0066】
(3)離反中
さらにモータ38を回転させて出力ギヤ36及びクランクアーム32を反時計方向に回動すると、第1の配管先端面21が左方に移動する。圧縮されて付勢力を生じていた押圧ばね16は変位αだけ伸長して、押圧ストッパ18の大径部が固定ブロック15に当接し、分離カラム2への付勢力は解除される。
【0067】
図5は、クランクアーム32がθ3だけ反時計方向に回動し、移動ブロック24が距離Lだけ左方に移動してストッパピン27がスライド板26の当接部28に当接した状態を示す。第1の配管先端面21の位置がカラムケース8の左側面よりも左方に移動して、カラムケース8の左側面と第1の配管先端面21との間に隙間G(>0)を生じる位置関係となるように、各部材の寸法が定められている。図5においては、カラムケース8は押圧ばね16の圧縮量αだけ、カラムカートリッジ1とともに左方に移動した状態である。
【0068】
図4を参照して説明したように、第2のヒートブロック12は下降した位置にあり、第1のヒートブロック3との間には隙間が生じているので、カラムカートリッジ1が左方に移動しても第2のヒートブロック12と第1のヒートブロック3とは摺動することがなく、摩耗を防止することができる。
【0069】
(4)開放状態
さらにモータ38を回転させて出力ギヤ36及びクランクアーム32を反時計方向に回動すると、移動ブロック24がさらに左方に移動して、移動ブロック24が最も左方に移動した、開放状態となる。制御装置は、開放状態となった場合にモータ38への通電を切断する。
【0070】
図6は、クランクアームがθ4(<θ3)だけ反時計方向に回動した開放状態を示す。ここで、分離カラム2を加圧接続した状態(図1)から、図6に示した開放状態までのカラムカートリッジ1及びカラムケース8の移動量をdとする。
【0071】
図5の状態からストッパピン27はスライド板26の当接部28に当接した状態にあるから、さらに移動ブロック24が左方に移動すると、左方の力がストッパピン27及びスライド板26を経由して、移動ブロック24とともにカラムケース8がカラムカートリッジ1を内蔵したまま左方に移動する。かかる構成なので、カラムケース8左側面と第1の配管先端面21との間の隙間Gは、そのまま維持される。
【0072】
クランクアーム32の回動角度がθ3からθ4まで回動する間、カラムケース8は左方に移動するから、分離カラム2の第2の当接面58(右端面)と、第2の配管先端面20とは互いに離反する。ここで、回動角度θ4を開放位置として、第2の配管先端面20とカラムケース8の右側面との間に隙間Gが生じる位置とする。これは、移動ブロック24が図5の状態よりもさらに左方に距離dだけ移動した状態を示している。
【0073】
すなわち、図6の開放状態においては、移動ブロック24は距離(d+L)だけ左方に移動する。ここでd=Lであってもよいから、その場合には移動ブロック24の移動量は(2×L)であり、カラムケース8はその1/2の距離Lだけ左方に移動し、第1の配管先端面21とカラムケース8の左側面、第2の配管先端面20とカラムケース8の右側面との間にはそれぞれ等しい隙間Gが生じる位置関係となっている。
【0074】
また、第2のヒートブロック12はヒータ解除ばね56のばね力と、ヒータ押し下げ部55及びヒータ押し下げ突起52の作用によって下降した位置にあり、第1のヒートブロック3とは離反しているので、カラムカートリッジ1が移動する際にヒートブロック同士が摺動することがなく、摩耗粉の発生を防止できる。
【0075】
開放位置においては第1の配管先端面21とカラムケース8の左側面との間に生じる隙間Gと、第2の配管先端面20とカラムケース8右側面との間に生じる隙間Gとが等しくなるような位置関係であるとしたが、移動ブロック24の移動量とカラムケース8の移動量は必ずしも2:1でなくてもよい。すなわち、d≠Lであって、カラムケース8の左側と右側において、それぞれ対応した配管先端との隙間は等しくなくてもよく、一方の隙間が他方の隙間より大きくてもよい。
【0076】
また、図6の開放状態において操作者がカラムカートリッジ1を右方、すなわちカラムカートリッジ1をセットする方向に移動させる力を加えたとしても、減速ギヤの一部にはウォームギヤ42を用いており、ウォームホイール44側からウォームギヤ42を回転させることはできない。したがって、開放状態でモータ38の通電を切断すれば開放状態を維持してロックした状態となる。すなわち、操作者が誤って手動でカラムカートリッジ1をセットしてしまうことがなく、信頼性の高い分離カラム接続装置100を提供できる。
【0077】
(5)取り外し
図7は、図6に示した開放状態で、カラムカートリッジ1を上方に引き抜いて取り外した状態を示す。図7に示すように、第1の配管先端面21及び第2の配管先端面20はともにカラムケース8の左右側面よりも外側にあるから、カラムカートリッジ1を上方に引き抜く際の妨げになることがない。また、新しいカラムカートリッジ1をカラムケース8内に上方からセットする際の妨げになることもない。
【0078】
上述したように、左側壁面8Lに開口した穴9Lの直径及び右側壁面8Rに開口した穴9Rの直径を、操作者の指先が入らない寸法とすることにより、カラムカートリッジ1を取り外した状態であっても、第1の配管先端面21と第2の配管先端面20には操作者の手が接触することができない。これにより、異物の付着などを防止して、信頼性の高い分離カラム接続装置を提供できる。
【0079】
<カラムカートリッジ1の取り付け>
カラムカートリッジ1を取り外した後、新しいカラムカートリッジ1を装着する際には、操作者は、図7の状態から図6の状態となるように、カラムカートリッジ1を上方からカラムケース8内に挿入する。操作者は、カラムケース8にカラムカートリッジ1を取り付けた後、制御装置を操作して、カラムカートリッジ1の取り付け操作を開始するための指示を入力する。制御装置は、取り付け操作の開始指示を受け取ると、モータ38に駆動信号を送信し、モータ38の出力軸を平面視で時計回りに回転させ、クランクアーム32も図示時計回りに回動させる。
【0080】
図8は、クランクアーム32がθ4からθ3まで時計方向に回動した状態を示す図である。クランクアーム32がθ4からθ3まで時計方向に回動する際に、移動ブロック24はストッパピン27とともに右方に移動して、ストッパピン27は当接部28から離反するので、カラムケース8を右方に移動する力は生じない。したがってカラムケース8及びカラムカートリッジ1は移動しない。一方、移動ブロック24とともに第1の配管13は右方に移動して、第1の配管先端面21が分離カラム2の左端面に当接する。
【0081】
この状態からさらにクランクアーム32を角度θ2まで図示時計回りに回動させると、第1の配管13を介して右向きの力が伝達されてカラムケース8及びカラムカートリッジ1は右方に押される。これにより、図4に示したように分離カラム2の右端面が第2の配管先端面20に当接して、変位αだけ押圧ばねを圧縮して、第1の配管13と第2の配管14とによって分離カラム2を所定の予圧で挟み込む。
【0082】
この状態に至るまでは、第2のヒートブロック12は下降した状態のままであり、カラムカートリッジ1に設けられた第1のヒートブロック3との間には空隙がある。
【0083】
さらにクランクアーム32を角度θ1まで図示時計回りに回転すると図1の状態に戻る。このとき、第1の配管13と第2の配管14とによって分離カラム2を所定の付勢力で挟み込んだまま、クランクアーム32が連動リンク当接部77を押し下げる。これにより、連動リンク53が連動リンク支点54のまわりに反時計方向に回動する。連動リンク53はヒータ解除ばね56を圧縮しつつヒータ押し下げ部55を上昇させる。さらにヒータ押し下げ部55がヒータ押し下げ突起52の上面から離反し、ヒータ押しばね49の押し力によって第2のヒートブロック12が上昇して第1のヒートブロック3に対して押圧され、分離カラム2を加熱できる状態に復帰する。以上のようにして、新しいカラムカートリッジ1を取り付けることが可能である。
【0084】
<RFIDタグの読み取り範囲>
カラムカートリッジ1及びカラムケース8の移動量と、RFIDリーダ74の読み取り範囲E(図2)との関係について説明する。図1図3に示した分離カラム2を加圧接続した状態から、図6及び図7に示した開放状態までのカラムカートリッジ1及びカラムケース8の移動量はdであり、RFIDリーダ74の読み取り範囲Eに対して、E>dとなる関係とする。さらに、カラムカートリッジ1に設けられたRFIDタグ75の位置が、カラムカートリッジ1がdだけ移動する間常にRFIDリーダ74の読み取り範囲E内となるように、RFIDリーダ74の位置とRFIDタグ75の位置とを定める。これにより、カラムカートリッジ1がカラムケース8内にセットされた状態であれば、RFIDリーダ74がRFIDタグ75の情報を読み取ることができるので、必要に応じて常時カラムカートリッジ1の状態を確認することが可能である。結果として、信頼性の高い分離カラム接続装置100を提供できる。
【0085】
<第1の実施形態のまとめ>
以上説明したように、本実施形態に係る分離カラム接続装置100は、分離カラム2を内包するカラムカートリッジ1を単位としてカラムケース8に着脱する構成を採用している。これにより、分離カラム2を交換する際に、操作者はカラムカートリッジ1を上下方向に移動させてカラムケース8の上面開口から着脱するだけでよいので、分離カラム2の交換が容易である。
【0086】
分離カラム2を着脱する際には、まず、分離カラム2を両側から対向して付勢する第1の配管13と第2の配管14のうち、第1の配管13を分離カラム2から離反する方向に移動させて付勢力を解除する。次に、連動機構によりカラムケース8を第1の配管13と同じ方向に、分離カラム2の略1/2だけ移動させて、第1の配管13と第2の配管14とをともにカラムケース8よりも外側まで移動する。その状態では、カラムカートリッジ1をカラムケース8の開口から着脱する際の妨げにならないので、分離カラム2の交換が容易である。
【0087】
本実施形態に係る分離カラム接続装置100は、モータ38を駆動源とする駆動装置37を備え、モータ38を駆動することにより、第1の配管13とカラムケース8を、分離方向(左右内側)及び予圧方向(左右外側)に可逆的に移動させることができる。このように、操作者が手動で予圧動作をする必要がなく、操作者の負担が少なく使用が容易である。
【0088】
[第2の実施形態]
カラムカートリッジ1を交換する際に、操作者が誤って試薬溶液をこぼしたり、あるいは配管と分離カラム2との接合部から検体溶液が漏洩したりする場合がある。そのように漏洩した試薬や検体溶液が、カラムケース8の底面から第2のヒートブロック12を加熱するヒータ素子51にまで到達すると、ショートする恐れがある。そこで、第2の実施形態においては、カラムケース8内に侵入した液体がヒータ素子51に到達することのない構成について提案する。
【0089】
<分離カラム接続装置の構成例>
図9Aは、第1の実施形態に係る分離カラム接続装置100のB-B側断面図であり、カラムカートリッジ1を取り外した状態を示している。図9Aに示すように、第1の実施形態の構成においては、第2のヒートブロック12はカラムケース8の底面近傍から露出していて、上面から液体が侵入した際には直接液体がかかる場合がある。
【0090】
また、第2のヒートブロック12はヒータガイド48の開口に沿って上下方向に移動可能に支持されて、ヒータ押しばね49で上方に付勢されている。第2のヒートブロック12の側面とヒータガイド48の開口との間には、摺動を可能とするよう隙間62が設けられている。したがって、液体が第2のヒートブロック12とヒータガイド48の開口の間の隙間に侵入すると、液体経路63に沿って流れ、ヒータガイド48の下端に到達した液体はヒータ押しばね49のストッパ50とヒータガイド48との間の隙間を通ってヒータ素子51に至る。
【0091】
図9Bは、第2の実施形態に係る分離カラム接続装置200のB-B側断面図であり、カラムカートリッジ1を取り外した状態を示している。図9Bに示すように、液体が第2のヒートブロック12とヒータガイド48の開口の間の隙間に侵入しないよう、第2のヒートブロック12の上面(伝熱面)とヒータガイド上面60(第1の面)との間には、フランジ59が設けられている。フランジ59は、第2のヒートブロック12と一体として上下方向に移動する。フランジ59は、ヒータガイド48上面の開口を覆うことができる大きさの薄板状の部材であり、前後方向及び左右方向に突出する。フランジ59は第2のヒートブロック12と一体であってもよいし、第2のヒートブロック12に金属板又はゴム板を嵌合して構成されていてもよい。
【0092】
図9Bに示すように、上方からカラムケース8内に侵入した液体は、液体経路64に沿って第2のヒートブロック12の上面からフランジ59を経由してヒータガイド48の外側まで導かれる。したがって、液体が第2のヒートブロック12とヒータガイド48間の隙間61に侵入することがなく、カラムケース8の底面に導かれる。さらに、カラムケース8の底面近傍側面と、ベース7の側面に排液口65を開口することにより、液体は排液口65を経由してベース7の外側に排出される。
【0093】
さらに、分離カラム接続装置100を水平に配置するのではなく、排液口65の側(図9Bでは前側)が低くなるよう前下がりに傾斜して配置すれば、排液を確実にできて信頼性の高い分離カラム接続装置100を提供できる。
【0094】
図10Aは、図1に示したように分離カラム2がセットされて予圧された状態を示す図である。図10Aに示すように、第2のヒートブロック12はヒータ押しばね49の付勢力によって上方に付勢され、上面が第1のヒートブロック3に当接した状態にある。このとき、フランジ59とヒータガイド上面60との間には隙間61が生じる。
【0095】
図10Bは、ヒータ押し下げ突起52にヒータ押し下げ部55が下向きに作用した状態を示す図である。第2のヒートブロック12は下降して、フランジ59の下面がヒータガイド上面60に当接して、フランジ59がヒータガイド上面60の開口を塞いだ状態である。以上説明した構成により、カラムケース8内に侵入した液体が確実に排出できる。
【0096】
<第2の実施形態のまとめ>
以上のように、本実施形態の分離カラム接続装置200は、第2のヒートブロック12の周囲に薄板状のフランジ59が設けられている。第2のヒートブロック12が下降した際には、連動リンク53の作用によって、第2のヒートブロック12とヒータガイド48との間の隙間をフランジ59が塞ぐので、誤って液体をこぼした際にも、液体が隙間から侵入してヒータ素子51に到達することがない。さらに、カラムケース8とベース7に排液口65が設けられていることにより、カラムケース8の内部に液体が蓄積されことなく排出される。結果として、ヒータ素子51のショートが防止されるので、安全性が高い分離カラム接続装置200を提供することができる。
【0097】
[第3の実施形態]
第2の実施形態では、カラムケース8内に侵入した液体を排出する構成について説明した。第3の実施形態では、カラムケース8の左右外側で押圧ブロック17又は移動ブロック24からの液もれを排出する構成について提案する。
【0098】
<分離カラム接続装置の構成例>
図11は、第3の実施形態に係る分離カラム接続装置300の概略正面図である。図11に示すように、分離カラム接続装置300は、締結部70、排液口71、集合樋72及び樋73をさらに備える点で、第2の実施形態と異なっている。締結部70は、押圧ブロック17及び移動ブロック24にそれぞれ設けられ、不図示の楔(例えば円錐状)を介して第1の配管13及び第2の配管14を強固に締結し、配管内を通過する高圧の検体溶液の漏れを防止する。樋73は、締結部70の下方にそれぞれ設けられている。締結部70から微量の液体が漏出した場合は、液体は樋73に受け止められる。排液口71は、ベース7を貫通するように、樋73から流れてきた液体が通過可能な位置に設けられている。集合樋72は、それぞれ排液口71の下方に設けられている。集合樋72の下方には不図示の廃液容器が配置され、集合樋72から流れてきた液体は廃液容器に貯蔵され廃棄される。
【0099】
図12は、分離カラム接続装置300の概略D-D側断面図である。図12においては、分離カラム接続装置300は互いに隣接して複数並置され、さらに前方が後方よりも低くなるよう角度φだけ傾斜して配置されている。集合樋72は、前後方向に延伸しており、複数の分離カラム接続装置300の下方に亘って配置されている。図12の液体経路64に示すように、締結部70から液体が漏れた場合には、樋73に受け止められ、傾斜によって前方に流れてベース7上に滴下され、ベース7の前側に設けられた排液口71を経由して集合樋72上に滴下され、傾斜によって前方に流れて集合樋72の前端から滴下される。排液口65及び排液口71をベース7の前方に寄せて設けることで、漏出した液体を確実に排出することができる。
【0100】
ここで、傾斜角度φの一例としては、液体が確実に前方に流れるように例えば5°以上とすることができ、場合によって10°程度の傾斜角度とすることができる。
【0101】
<第3の実施形態のまとめ>
以上のように、本実施形態の分離カラム接続装置300は、前方が低く後方が高くなるように傾斜して配置され、漏れた液体は前方に流れて樋73、排液口71、集合樋72の順に通過する。これにより、漏出した液体を確実に排出することができる。
【0102】
[変形例]
本開示は、上述した実施形態に限定されるものでなく、様々な変形例を含んでいる。例えば、上述した実施形態は、本開示を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備える必要はない。また、ある実施形態の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることもできる。また、各実施形態の構成の一部について、他の実施形態の構成の一部を追加、削除又は置換することもできる。
【符号の説明】
【0103】
100~300 分離カラム接続装置
1 カラムカートリッジ
2 分離カラム
3 第1のヒートブロック
4 カラムホルダ
5 ツマミ
7 ベース
8 カラムケース
10 第1の配管固定部
11 第2の配管固定部
12 第2のヒートブロック
13 第1の配管
14 第2の配管
15 固定ブロック
16 押圧ばね
17 押圧ブロック
18 押圧ストッパ
19 第2の配管固定ねじ
20 第2の配管先端面
21 第1の配管先端面
22 スライドレール
23 スライダ
24 移動ブロック
25 第1の配管固定ねじ
26 スライド板
27 ストッパピン
28 当接部
37 駆動装置
59 フランジ
69 連動機構
70 締結部
71 排液口
72 集合樋
73 樋
76 加熱機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12