(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】ダイボンディング装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/52 20060101AFI20241011BHJP
【FI】
H01L21/52 F
H01L21/52 C
(21)【出願番号】P 2021036749
(22)【出願日】2021-03-08
【審査請求日】2024-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】515085901
【氏名又は名称】ファスフォードテクノロジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】勝俣 浩司
(72)【発明者】
【氏名】浅川 典靖
【審査官】正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】特開昭53-104169(JP,A)
【文献】特開平06-029694(JP,A)
【文献】特開2003-218599(JP,A)
【文献】特開2015-228532(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0068824(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハを保持し水平方向に移動するウェハ保持台と、
前記ウェハからダイをピックアップするヘッドと、
前記ウェハ保持台と前記ヘッドとを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記ヘッドが前記ダイをピックアップする動作を行った後であって、前記ウェハを次にピックアップする予定のダイの位置に移動する途中または移動後において、前記ヘッドの前記ダイのピックアップミスを検出した際に、前記ピックアップする予定のダイをピックアップした後、前記ウェハをピックアップミスしたダイの位置に戻し、前記ピックアップミスしたダイをピックアップする動作を行うよう構成されるダイボンディング装置。
【請求項2】
請求項1のダイボンディング装置において、
さらに、前記ウェハからダイをピックアップする第二ヘッドを備え、
前記制御部は、前記ヘッドが前記ダイをピックアップする動作を行った後であって、前記ウェハを次にピックアップする予定のダイの位置に移動する途中または移動後において、前記ヘッドの前記ダイのピックアップミスを検出した際に、前記第二ヘッドにより前記ピックアップする予定のダイをピックアップしてから、前記ウェハをピックアップミスしたダイの位置に戻し、前記ヘッドにより前記ピックアップミスしたダイをピックアップする動作を行うよう構成されるダイボンディング装置。
【請求項3】
請求項2のダイボンディング装置において、
前記制御部によって動作を行うよう構成され、前記ウェハからダイをピックアップする前記ヘッドまたは前記第二ヘッドとは異なるヘッドを備えるダイボンディング装置。
【請求項4】
請求項2または3のダイボンディング装置において、さらに、
第一グレードのダイが載置される第一基板を搬送する第一搬送レーンと、
第二グレードのダイが載置される第二基板を搬送する第二搬送レーンと、
前記ヘッドがピックアップするダイが載置される第一中間ステージと、
前記第二ヘッドがピックアップするダイが載置される第二中間ステージと、
前記第一中間ステージに載置されるダイをピックアップし、前記第一基板に載置する第一ボンディングヘッドと、
前記第二中間ステージに載置されるダイをピックアップし、前記第二基板に載置する第二ボンディングヘッドと、
を備え、
前記制御部は、
前記ヘッドにより前記第一グレードのダイを前記ウェハからピックアップし、
前記第二ヘッドにより前記第二グレードのダイを前記ウェハからピックアップするよう構成されるダイボンディング装置。
【請求項5】
請求項2または3のダイボンディング装置において、さらに、
第一グレードのダイが載置される第一基板および第三基板を搬送する第一搬送レーンと、
第二グレードのダイが載置される第二基板を搬送する第二搬送レーンと、
前記ヘッドがピックアップするダイが載置される第一中間ステージと、
前記第二ヘッドがピックアップするダイが載置される第二中間ステージと、
前記第一中間ステージに載置されるダイをピックアップし、前記第一基板および前記第二基板に載置する第一ボンディングヘッドと、
前記第二中間ステージに載置されるダイをピックアップし、前記第三基板に載置する第二ボンディングヘッドと、
を備え、
前記制御部は、
前記ヘッドにより前記第一グレードのダイおよび前記第二グレードのダイを前記ウェハからピックアップし、
前記第二ヘッドにより前記第一グレードのダイを前記ウェハからピックアップし、
前記第三基板へのボンディングが終了すると、前記第三基板を排出すると共に、前記第一基板へのボンディングの終了を待たずに前記第一基板を前記第三基板側に搬送するよう構成されるダイボンディング装置。
【請求項6】
請求項2または3のダイボンディング装置において、さらに、
第一グレードのダイが載置される第一基板および第三基板を搬送する第一搬送レーンと、
第二グレードのダイが載置される第二基板および第四基板を搬送する第二搬送レーンと、
前記ヘッドがピックアップするダイが載置される第一中間ステージと、
前記第二ヘッドがピックアップするダイが載置される第二中間ステージと、
前記第一中間ステージに載置されるダイをピックアップし、前記第一基板および前記第二基板に載置する第一ボンディングヘッドと、
前記第二中間ステージに載置されるダイをピックアップし、前記第三基板および前記第四基板に載置する第二ボンディングヘッドと、
を備え、
前記制御部は、
前記ヘッドにより前記第一グレードのダイおよび前記第二グレードのダイを前記ウェハからピックアップし、
前記第二ヘッドにより前記第一グレードおよび前記第二グレードのダイを前記ウェハからピックアップし、
前記第三基板へのボンディングが終了すると、前記第三基板を排出すると共に、前記第一基板へのボンディングの終了を待たずに前記第一基板を前記第三基板側に搬送し、
前記第四基板へのボンディングが終了すると、前記第四基板を排出すると共に、前記第二基板へのボンディングの終了を待たずに前記第二基板を前記第四基板側に搬送するよう構成されるダイボンディング装置。
【請求項7】
請求項2または3のダイボンディング装置において、
さらに、第一グレードおよび第二グレードのダイが載置される、第一基板および第二基板を搬送する第一搬送レーンと、
前記ヘッドがピックアップするダイが載置される第一中間ステージと、
前記第二ヘッドがピックアップするダイが載置される第二中間ステージと、
前記第一中間ステージに載置されるダイをピックアップし、前記第一基板に載置する第一ボンディングヘッドと、
前記第二中間ステージに載置されるダイをピックアップし、前記第二基板に載置する第二ボンディングヘッドと、
を備え、
前記制御部は、
前記ヘッドにより前記第一グレードのダイおよび前記第二グレードのダイを前記ウェハからピックアップし、
前記第二ヘッドにより前記第一グレードおよび前記第二グレードのダイを前記ウェハからピックアップし、
前記第二基板へのボンディングが終了すると、前記第二基板を排出すると共に、前記第一基板へのボンディングの終了を待たずに前記第一基板を前記第二基板側に搬送するよう構成されるダイボンディング装置。
【請求項8】
請求項2または3のダイボンディング装置において、
さらに、第一グレードおよび第二グレードのダイが載置される、第一基板および第二基板を搬送する第一搬送レーンと、
前記ヘッドがピックアップするダイが載置される第一中間ステージと、
前記第二ヘッドがピックアップするダイが載置される第二中間ステージと、
前記第一中間ステージに載置されるダイをピックアップし、前記第一基板に載置する第一ボンディングヘッドと、
前記第二中間ステージに載置されるダイをピックアップし、前記第二基板に載置する第二ボンディングヘッドと、
を備え、
前記制御部は、
前記ヘッドにより前記第一グレードのダイおよび前記第二グレードのダイを前記ウェハからピックアップし、
前記第二ヘッドにより前記第一グレードおよび前記第二グレードのダイを前記ウェハからピックアップし、
前記第二基板へのボンディングが終了すると、前記第二基板を排出し、
前記第一基板へのボンディングが終了すると、前記第一基板を排出するよう構成されるダイボンディング装置。
【請求項9】
請求項1のダイボンディング装置において、さらに、
第一グレードおよび第二グレードのダイが載置される第一基板を搬送する第一搬送レーンと、
前記ヘッドがピックアップするダイが載置される第一中間ステージと、
前記第一中間ステージに載置されるダイをピックアップし、前記第一基板に載置する第一ボンディングヘッドと、
を備え、
前記制御部は、前記ヘッドにより前記第一グレードおよび前記第二グレードのダイを前記ウェハからピックアップするよう構成されるダイボンディング装置。
【請求項10】
請求項1のダイボンディング装置において、さらに、
第一グレードのダイが載置される第一基板を搬送する第一搬送レーンと、
第二グレードのダイが載置される第二基板を搬送する第二搬送レーンと、
前記ヘッドがピックアップするダイが載置される第一中間ステージと、
前記第一中間ステージに載置されるダイをピックアップし、前記第一基板に載置する第一ボンディングヘッドと、
を備え、
前記制御部は、前記ヘッドにより前記第一グレードおよび前記第二グレードのダイを前記ウェハからピックアップするよう構成されるダイボンディング装置。
【請求項11】
ウェハを保持し水平方向に移動するウェハ保持台と、前記ウェハからダイをピックアップするヘッドと、を備えるダイボンディング装置にウェハを搬入する搬入工程と、
前記ウェハから前記ダイをピックアップするピックアップ工程と、
ピックアップした前記ダイを基板に載置するボンディング工程と、
を有し、
前記ピックアップ工程は、
(a)前記ヘッドが前記ダイをピックアップする動作を行う工程と、
(b)前記(a)工程後、前記ヘッドを移動させる工程と、
(c)前記(b)工程と並行して、前記ウェハを次にピックアップする予定のダイの位置に移動する工程と、
(d)前記(c)工程後、または前記(c)工程と並行して、前記ヘッドの前記ダイのピックアップミスを検出する工程と、
(e)前記(d)工程において前記ヘッドの前記ダイのピックアップミスを検出した場合に、前記ピックアップする予定のダイをピックアップする工程と、
(f)前記(e)工程後、前記ウェハをピックアップミスしたダイの位置に戻し、前記ピックアップミスしたダイをピックアップする工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項11の半導体装置の製造方法において、
前記ダイボンディング装置は、さらに、前記ウェハからダイをピックアップする第二ヘッドを備え、
前記(e)工程は前記第二ヘッドにより前記ピックアップする予定のダイをピックアップする半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項12の半導体装置の製造方法において、
前記ダイボンディング装置は、さらに、前記ウェハからダイをピックアップする前記ヘッドまたは第二ヘッドとは異なるヘッドを備え、
前記(e)または(f)工程は前記異なるヘッドによりダイをピックアップする半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項11の半導体装置の製造方法において、
前記ピックアップ工程は、ピックアップした前記ダイを中間ステージに載置し、
前記ボンディング工程は、前記中間ステージに載置されたダイをピックアップする半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はダイボンディング装置に関し、例えば、ウェハからダイをピックアップするヘッドの移動とウェハの移動とを並行して行うダイボンダに適用可能である。
【背景技術】
【0002】
半導体チップ(以下、ダイという。)を配線基板やリードフレームなどの基板に搭載してパッケージを組み立てる工程の一部に、半導体ウエハ(以下、単にウェハという)からダイを分割する工程と、分割したダイを基板上にボンディングする工程とがある。ボンディングする工程に用いる半導体製造装置がダイボンダ等のダイボンディング装置である。ダイボンディング装置では、ピックアップヘッドまたはボンディングヘッドによりウェハからダイを真空吸着し、上昇し、水平移動し、下降して、中間ステージまたは基板に載置する。ダイボンディング装置では、生産性の向上のため、ウェハからダイをピックアップするヘッドの移動とウェハの移動とを並行して行うことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ピックアップ動作の高速化のため、ピックアップ動作が完了すると思われるタイミングにおいて、ウェハは次のダイのピックアップ位置に移動することがある。よって、ピックアップをミスした場合、再ピックアップ(リトライ)のため、ピックアップミスしたダイの位置にウェハを戻す必要がある。
【0005】
本開示の課題は再ピックアップの処理時間を低減することが可能な技術を提供することにある。その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
すなわち、ダイボンディング装置は、ウェハを保持し水平方向に移動するウェハ保持台と、前記ウェハからダイをピックアップするヘッドと、前記ウェハ保持台と前記ヘッドとを制御する制御部と、を備える。前記制御部は、前記ヘッドが前記ダイをピックアップする動作を行った後であって、前記ウェハを次にピックアップする予定のダイの位置に移動する途中または移動後において、前記ヘッドの前記ダイのピックアップミスを検出した際に、前記ピックアップする予定のダイをピックアップしてから、前記ウェハをピックアップミスしたダイの位置に戻し、前記ピックアップミスしたダイをピックアップする動作を行うよう構成される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、再ピックアップの処理時間を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第一実施形態におけるダイボンダを説明する概略上面図である。
【
図2】
図1に示すダイボンダにおけるダイ供給部周辺の概略正面図である。
【
図3】
図1に示すダイボンダにおける第一ボンディング部の概略側面図である。
【
図4】
図1に示すダイボンダにおける第二ボンディング部の概略側面図である。
【
図5】ダイ供給部の主要部を示す概略断面図である。
【
図6】
図1に示すダイボンダによる半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
【
図7】比較例における動作を説明するためのダイ供給部周辺の概略正面図である。
【
図8】比較例における動作を説明するためのダイ供給部周辺の概略正面図である。
【
図9】比較例における動作を説明するためのダイ供給部周辺の概略正面図である。
【
図10】第一実施形態における動作を説明するためのダイ供給部周辺の概略正面図である。
【
図11】第一実施形態における動作を説明するためのダイ供給部周辺の概略正面図である。
【
図12】第一実施形態における動作を説明するためのダイ供給部周辺の概略正面図である。
【
図13】
図1に示すダイボンダにおける第一動作例を説明する概略上面図である。
【
図14】
図1に示すダイボンダにおける第二動作例を説明する概略上面図である。
【
図15】
図1に示すダイボンダにおける第三動作例を説明する概略上面図である。
【
図16】
図1に示すダイボンダにおける第三動作例を説明する概略上面図である。
【
図17】第二実施形態におけるダイボンダの第一動作例を説明する概略上面図である。
【
図18】第二実施形態におけるダイボンダの第二動作例を説明する概略上面図である。
【
図19】第三実施形態におけるダイボンダを説明する概略上面図である。
【
図20】
図19に示すダイボンダにおけるダイ供給部周辺の概略正面図である。
【
図21】比較例における動作を説明するためのダイ供給部周辺の概略正面図である。
【
図22】比較例における動作を説明するためのダイ供給部周辺の概略正面図である。
【
図23】比較例における動作を説明するためのダイ供給部周辺の概略正面図である。
【
図24】第三実施形態における動作を説明するためのダイ供給部周辺の概略正面図である。
【
図25】第三実施形態における動作を説明するためのダイ供給部周辺の概略正面図である。
【
図26】第三実施形態における動作を説明するためのダイ供給部周辺の概略正面図である。
【
図27】
図19に示すダイボンダにおける動作例を説明する概略上面図である。
【
図28】第四実施形態におけるダイボンダにおける動作例を説明する概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態および比較例について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明を省略することがある。なお、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。
【0010】
[第一実施形態]
まず、第一実施形態のダイボンダの構成について
図1から
図5を用いて説明する。
図1は第一実施形態におけるダイボンダの概略上面図である。
図2は
図1に示すダイボンダにおけるダイ供給部周辺の概略正面図である。
図3は
図1に示すダイボンダにおける第一ボンディング部の概略側面図である。
図4は
図1に示すダイボンダにおける第二ボンディング部の概略側面図である。
図5はダイ供給部の主要部を示す概略断面図である。
【0011】
ダイボンダ10は、大別して、ダイ供給部1と、第一ピックアップ部2Aおよび第二ピックアップ部2Bと、第一中間ステージ部3Aおよび第二中間ステージ部3Bと、第一ボンディング部4Aおよび第二ボンディング部4Bと、第一搬送部5aおよび第二搬送部5bと、各部の動作を監視し制御する制御部8と、を有する。Y軸方向がダイボンダ10の前後方向であり、X軸方向が左右方向である。ダイ供給部1がダイボンダ10の手前(正面)側に配置され、第一ボンディング部4Aおよび第二ボンディング部4Bが奥側に配置される。
【0012】
ダイ供給部1は、ウェハ11を保持するウェハ保持台12と、ウェハ11からダイDを突き上げる突上げユニット13と、を有する。
図5に示すように、ウェハ保持台12は、ウェハリング14を保持するエキスパンドリング15と、ウェハリング14に保持され複数のダイDが接着されたダイシングテープ16を水平に位置決めする支持リング17と、を有する。突上げユニット13は支持リング17の内側に配置される。制御部8は、ウェハ保持台12を図示しない駆動手段によってX軸方向およびY軸方向に移動し、ピックアップするダイDを突上げユニット13の位置(ピックアップ位置)に移動させる。
【0013】
ウェハ保持台12は、ダイDの突き上げ時に、ウェハリング14を保持しているエキスパンドリング15を下降させる。その結果、ウェハリング14に保持されているダイシングテープ16が引き伸ばされダイDの間隔が広がり、突上げユニット13によりダイD下方よりダイDを突き上げ、ダイDのピックアップ性を向上させている。ウェハ11とダイシングテープ16との間にダイアタッチフィルム(DAF)と呼ばれるフィルム状の接着材料を貼り付けている。DAFを有するウェハ11では、ダイシングは、ウェハ11とDAFに対して行なわれる。ここで、ウェハ11は複数のダイDに分割されており、ダイDが後述するダイシングテープ16によりウェハの外形で保持されているものである。従って、剥離工程では、ウェハ11とDAFをダイシングテープ16から剥離する。なお、以降では、DAFを省略して説明する。
【0014】
第一ピックアップ部2Aは、突上げユニット13で突き上げられたダイDを先端に吸着保持する第一コレット22Aを有し、ダイ供給部1からダイDをピックアップし、第一中間ステージ部3Aに載置する第一ピックアップヘッド21Aと、を有する。なお、第一ピックアップ部2Aは、第一ピックアップヘッド21Aを昇降、回転及びX軸方向移動させる図示しない各駆動部を有する。
【0015】
第二ピックアップ部2Bは第一ピックアップ部2Aとウェハ認識カメラ24を通るY軸方向の仮想線に対して鏡面対称の構造をしており、第二ピックアップ部2Bの各構成要素(第二ピックアップヘッド21B、第二コレット22B)は第一ピックアップ部2Aの各構成要素(第一ピックアップヘッド21A、第一コレット22A)と同様の構成である。ウェハ11内のピックアップ対象のダイDを認識するウェハ認識カメラ24は第一ピックアップ部2Aと第二ピックアップ部2Bとで共用される。
【0016】
第一ピックアップヘッド21Aおよび第二ピックアップヘッド21Bは、ウェハ11からダイDを交互にピックアップし、X軸方向に移動して、第一ボンディングヘッド41Aおよび第二ボンディングヘッド41Bとの軌道の交点のそれぞれに設けられた第一中間ステージ31Aおよび第二中間ステージ31BにダイDを載置する。
【0017】
第一中間ステージ部3Aは、ダイDを一時的に載置する第一中間ステージ31Aと、第一中間ステージ31A上のダイDを認識する第一ステージ認識カメラ34Aと、を有する。第二中間ステージ部3Bは第一中間ステージ部3Aとウェハ認識カメラ24を通るY軸方向の仮想線に対して鏡面対称の構造をしており、第二中間ステージ部3Bの各構成要素(第二中間ステージ31B,第二ステージ認識カメラ34B)は第一中間ステージ部3Aの各構成要素(第一中間ステージ31A、第一ステージ認識カメラ34A)と同様の構成である。
【0018】
第一ボンディング部4Aは、第一ピックアップヘッド21Aと同様の構造を有し、第一中間ステージ31AからダイDをピックアップし、第一ボンディングステージ45aAまたは第二ボンディングステージ45bAに搬送されてくる基板Sにボンディングし、又は既に基板Sの上にボンディングされたダイの上に積層する形でボンディングする第一ボンディングヘッド41Aと、第一ボンディングヘッド41Aの先端に装着されダイDを吸着保持する第一コレット42Aと、基板Sの位置認識マーク(図示せず)を撮像し、ボンディングすべきダイDのボンディング位置を認識する第一基板認識カメラ44Aと、を有する。なお、第一ボンディング部4Aは、第一ボンディングヘッド41Aを昇降、回転及びY軸方向移動させる図示しない各駆動部を有する。
【0019】
第二ボンディング部4Bは第一ボンディング部4Aとウェハ認識カメラ24を通るY軸方向の仮想線に対して鏡面対称の構造をしており、第二ボンディング部4Bの各構成要素(第二ボンディングヘッド41B、第二コレット42B、第二基板認識カメラ44B、第一ボンディングステージ45aB、第二ボンディングステージ45bB)は第一ボンディング部4Aの各構成要素(第一ボンディングヘッド41A、第一コレット42A、第一基板認識カメラ44A、第一ボンディングステージ45aA、第二ボンディングステージ45bA)と同様の構成である。
【0020】
このような構成によって、第一ボンディングヘッド41Aは、第一ステージ認識カメラ34Aの撮像データに基づいてピックアップ位置・姿勢を補正し、第一中間ステージ31AからダイDをピックアップし、第一基板認識カメラ44Aの撮像データに基づいて基板SのパッケージエリアPにダイDをボンディングする。第二ボンディングヘッド41Bは、第一ボンディングヘッド41Aと同様に、基板SにダイDをボンディングする。
【0021】
第一搬送部5aは基板Sが移動する第一搬送レーン52aを有する。第二搬送部5bは基板Sが移動する第二搬送レーン52bを有する。第一搬送レーン52aおよび第二搬送レーン52bはY軸方向に並んで配設され、基板SをX軸方向に搬送する。
【0022】
このような構成によって、基板Sは、図示しない基板供給部から第一搬送レーン52aおよび第二搬送レーン52bに沿ってボンディング位置(実装位置)まで移動し、ボンディング後、図示しない基板搬出部まで移動して、基板搬出部に基板Sを渡したり、基板供給部まで戻り、基板供給部に基板Sを渡したりする。
【0023】
制御部8は、ダイボンダ10の上述した各部の動作を監視し制御するプログラム(ソフトウェア)を格納するメモリと、メモリに格納されたプログラムを実行する中央処理装置(CPU)と、を備える。
【0024】
次に、第一実施形態におけるダイボンダを用いた半導体装置の製造方法について
図6を用いて説明する。
図6は
図1に示すダイボンダによる半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
【0025】
(ステップS11:ウェハ・基板搬入工程)
ウェハ11から分割されたダイDが貼付されたダイシングテープ16を保持したウェハリング14をウェハカセット(不図示)に格納し、ダイボンダ10に搬入する。制御部8はウェハリング14が充填されたウェハカセットからウェハリング14をダイ供給部1に供給する。また、基板Sを準備し、ダイボンダ10の基板供給部に搬入する。
【0026】
(ステップS12:ピックアップ工程)
制御部8は、突上げユニット13によりウェハ11上のピックアップ対象のダイDを下から突き上げ、ウェハ11の裏面に貼りつけられているダイシングテープ16からダイDを剥離する。これに並行して、制御部8は、第一ピックアップヘッド21Aまたは第二ピックアップヘッド21Bをピックアップ対象のダイDの直上まで下降し、ダイシングテープ16から剥離されたダイDを第一ピックアップヘッド21Aの第一コレット22Aまたは第二ピックアップヘッド21Bの第二コレット22Bにより真空吸着する。そして、制御部8は、第一ピックアップヘッド21Aまたは第二ピックアップヘッド21Bを上昇動作、平行移動動作、及び下降動作を行って第一中間ステージ31Aまたは第二中間ステージ31Bの所定箇所にダイDを載置する。この時、制御部8は、第一中間ステージ31Aまたは第二中間ステージ31Bの図示しない複数の吸着穴によってダイDを吸着して、ピックアップヘッド21から離間させる。このようにして、ダイシングテープ16から剥離されたダイDは、第一コレット22Aまたは第二コレット22Bに吸着、保持されて、第一中間ステージ31Aまたは第二中間ステージ31Bに搬送されて載置される。
【0027】
制御部8は、第一ステージ認識カメラ34Aにより第一中間ステージ31Aの上のダイDの上面を撮像し、ダイDの位置決めを行うと共に、異物またはキズ等の異常の検査を行う。制御部8は、画像処理によって、ダイボンダのダイ位置基準点からの第一中間ステージ31A上のダイDのずれ量(X、Y、θ方向)を算出する。なお、ダイ位置基準点は、予め、第一中間ステージ31Aの所定の位置を装置の初期設定として保持している。そして、制御部8は、画像処理によって、ダイDの上面の異常の検査を行う。
【0028】
制御部8は、第二ステージ認識カメラ34Bにより第二中間ステージ31Bの上のダイDの上面を撮像し、ダイDの位置決めを行うと共に、異常の検査を行う。制御部8は、画像処理によって、ダイボンダのダイ位置基準点からの第二中間ステージ31B上のダイDのずれ量(X、Y、θ方向)を算出する。なお、ダイ位置基準点は、予め、第二中間ステージ31Bの所定の位置を装置の初期設定として保持している。そして、制御部8は、画像処理によって、ダイDの上面の異常の検査を行う。
【0029】
そして、ダイDを第一中間ステージ31Aまたは第二中間ステージ31Bに搬送した第一ピックアップヘッド21Aまたは第二ピックアップヘッド21Bをダイ供給部1に戻す。上記した手順に従って、次のダイDがダイシングテープ16から剥離され、以後同様の手順に従ってダイシングテープ16から1個ずつダイDが剥離される。
【0030】
(ステップS13:ボンディング工程)
上述したように、制御部8は、基板供給部から基板Sを第一ボンディング部4Aに搬送する。また、制御部8は、基板供給部から基板Sを第二ボンディング部4Bに搬送する。そして、制御部8は、第一搬送レーン52a側の第一ボンディングステージ45aA上に載置された基板Sを第一基板認識カメラ44Aにより撮像する。制御部8は、画像処理によって、ダイボンダの基板位置基準点からの基板Sのずれ量(X、Y、θ方向)を算出している。なお、基板位置基準点は、予め、基板チェック部の所定の位置を装置の初期設定として保持している。
【0031】
制御部8は、ステップS12において算出したダイDのずれ量から第一ボンディングヘッド41Aの吸着位置を補正してダイDを第一コレット42Aにより吸着する。第一中間ステージ31AからダイDを吸着した第一ボンディングヘッド41Aを上昇、平行移動、及び下降を行って第一ボンディングステージ45aA上の基板Sの所定箇所(基板S上または既にボンディングしたダイの上)にダイDをアタッチする。
【0032】
制御部8は、第二搬送レーン52b側の第二ボンディングステージ45bB上に載置された基板Sを第二基板認識カメラ44Bにより撮像する。制御部8は、画像処理によって、ダイボンダの基板位置基準点からの基板Sのずれ量(X、Y、θ方向)を算出している。なお、基板位置基準点は、予め、基板チェック部の所定の位置を装置の初期設定として保持している。
【0033】
制御部8は、ステップS12において算出したダイDのずれ量から第二ボンディングヘッド41Bの吸着位置を補正してダイDを第二コレット42Bにより吸着する。第二中間ステージ31BからダイDを吸着した第二ボンディングヘッド41Bを上昇、平行移動、及び下降を行って第二ボンディングステージ45bB上の基板Sの所定箇所(基板S上または既にボンディングしたダイの上)にダイDをアタッチする。
【0034】
(ステップS14:基板搬出工程)
上述したように、制御部8はダイDがボンディングされた基板Sを基板搬出部に搬送する。ダイボンダ10の基板搬出部から基板Sを搬出する。
【0035】
上述したように、ダイDは、基板S上に実装され、ダイボンダから搬出される。その後、ワイヤボンディング工程でAuワイヤを介して基板Sの電極と電気的に接続される。例えば、積層ボンディングする場合は、続いて、ダイDが実装された基板Sがダイボンダに搬入されて基板S上に実装されたダイDの上に第二段目のダイDが積層され、ダイボンダから搬出された後、ワイヤボンディング工程でAuワイヤを介して基板Sの電極と電気的に接続される。第二段目のダイDは、前述した方法でダイシングテープ16から剥離された後、ダイボンディング工程に搬送されてダイDの上に積層される。上記工程が所定回数繰り返された後、基板Sをモールド工程に搬送し、複数個のダイDとAuワイヤとをモールド樹脂(図示せず)で封止することによって、積層パッケージが完成する。
【0036】
ピックアップ工程(ステップS12)の詳細動作について以下説明する。
【0037】
まず、本実施形態におけるダイボンダをより明確にするため、ピックアップヘッドによりウェハ上のダイをピックアップするときの問題点について
図1、
図2、
図7から
図9を用いて説明する。
図7から
図9は比較例における動作を説明するためのダイ供給部周辺の概略正面図である。
【0038】
本開示者らが検討した技術(比較例)における動作の詳細を以下説明する。
(ステップS20)
まず、
図1および
図2に示すように、ウェハ11はダイD1のピックアップ位置(突上げユニット13の位置、ウェハ認識カメラ24の位置)に移動する。その後、ウェハ認識カメラ24はダイD1を認識する。ここで、第一ピックアップヘッド21Aおよび第二ピックアップヘッド21Bは待機場所に位置する。
【0039】
(ステップS21)
次に、
図7(a)に示すように、第一ピックアップヘッド21AはダイD1のピックアップ位置に移動しピックアップ動作を開始する。ここで、第二ピックアップヘッド21Bは待機場所に位置する。
【0040】
(ステップS22)
そして、
図7(b)に示すように、第一ピックアップヘッド21AはダイD1をピックアップ後、第一中間ステージ31Aに移動を開始する。ここで、第一ピックアップヘッド21AはダイD1のピックアップを失敗している。ピックアップ高速化のため、ピックアップ動作が完了すると思われるタイミングで、ウェハ11は次のダイD2のピックアップ位置に移動する。その後、制御部8はピックアップ失敗を検出する。
【0041】
(ステップS23)
そして、
図7(c)に示すように、ウェハ11はピックアップミスしたダイD1のピックアップ位置に移動する(戻る)。ここで、第一ピックアップヘッド21Aは待機場所に移動し、第二ピックアップヘッド21Bは待機場所に位置する。
【0042】
(ステップS24)
次に、
図8(a)に示すように、ウェハ認識カメラ24はピックアップミスしたダイD1を認識する。ここで、第一ピックアップヘッド21Aおよび第二ピックアップヘッド21Bは待機場所に位置する。
【0043】
(ステップS25)
そして、
図8(b)に示すように、第一ピックアップヘッド21AはダイD1のピックアップ位置に移動し再ピックアップ動作を開始する。ここで、第二ピックアップヘッド21Bは待機場所に位置する。
【0044】
(ステップS26)
そして、
図8(c)に示すように、第一ピックアップヘッド21AはダイD1をピックアップ後、第一中間ステージ31Aに移動を開始する。ピックアップ高速化のため、ピックアップ動作が完了すると思われるタイミングで、ウェハ11は次のダイD2のピックアップ位置に移動する。ここで、第二ピックアップヘッド21Bは待機場所に位置する。
【0045】
(ステップS27)
次に、
図9(a)に示すように、ウェハ認識カメラ24は次のダイD2を認識する。ここで、第一ピックアップヘッド21Aおよび第二ピックアップヘッド21Bは待機場所に位置する。
【0046】
(ステップS28)
そして、
図9(b)に示すように、第二ピックアップヘッド21BはダイD2のピックアップ位置に移動しピックアップ動作を開始する。ここで、第一ピックアップヘッド21Aは待機場所に位置する。
【0047】
(ステップS29)
そして、
図9(c)に示すように、第二ピックアップヘッド21BはダイD2をピックアップ後、第二中間ステージ31Bに移動を開始する。ピックアップ高速化のため、ピックアップ動作が完了すると思われるタイミングで、ウェハ11は次のダイD3のピックアップ位置に移動する。ここで、第一ピックアップヘッド21Aは待機場所に位置する。
【0048】
ピックアップ高速化のため、ピックアップ動作が完了すると思われるタイミングで、ウェハ11は次のダイD2のピックアップ位置に移動しているため、
図7(c)に示すステップS23のように、ピックアップミスしたダイD1の位置にウェハ11を戻す必要がある。そして、再ピックアップが成功する、しないに関わらず、またウェハ11は次のダイD2のピックアップ位置に移動し、ピックアップミスが続いた際は所定の回数、この動作を繰り返す。
【0049】
このように、ダイピックアップに失敗した後に再ピックアップを行うリカバリ動作という無駄な動作がある。そのためリカバリ動作が発生した場合、ウェハ処理時間が増加する。ここで、ウェハ処理時間とはウェハ上の全てのダイをピックアップするのに要する時間である。
【0050】
第一実施形態では、第一ピックアップヘッド21Aまたは第二ピックアップヘッド21Bのいずれかがピックアップミスをした際に、ミスをしたピックアップヘッドとは異なる他方のピックアップヘッドがピックアップする予定のダイをピックアップしてから、ウェハ11をピックアップミスしたダイの位置に戻し、ピックアップミスしたピックアップヘッドで再ピックアップを行う。第一実施形態における動作の詳細について
図1、
図2、
図10から
図12を用いて説明する。
図10から
図12は第一実施形態における動作を説明するためのダイ供給部周辺の概略正面図である。
【0051】
(ステップS30)
まず、
図1および
図2に示すステップS20と同様に、ウェハ11はダイD1のピックアップ位置に移動する。その後、ウェハ認識カメラ24はダイD1を認識する。ここで、第一ピックアップヘッド21Aおよび第二ピックアップヘッド21Bは待機場所に位置する。
【0052】
(ステップS31)
次に、
図10(a)に示すように、比較例におけるステップS21と同様に、第一ピックアップヘッド21AはダイD1のピックアップ位置に移動しピックアップ動作を開始する。ここで、第二ピックアップヘッド21Bは待機場所に位置する。
【0053】
(ステップS32)
そして、
図10(b)に示すように、比較例におけるステップS22と同様に、第一ピックアップヘッド21AはダイD1をピックアップ後、第一中間ステージ31Aに移動を開始する。ここで、第一ピックアップヘッド21AはダイD1のピックアップを失敗している。ピックアップ高速化のため、ピックアップ動作が完了すると思われるタイミングで、ウェハ11は次のダイD2のピックアップ位置に移動する。その後、制御部8はピックアップ失敗を検出する。
【0054】
(ステップS33)
そして、
図10(c)に示すように、比較例におけるステップS27と同様に、ウェハ認識カメラ24は次のダイD2を認識する。ここで、第一ピックアップヘッド21Aおよび第二ピックアップヘッド21Bは待機場所に位置する。
【0055】
(ステップS34)
次に、
図11(a)に示すように、比較例におけるステップS28と同様に、第二ピックアップヘッド21BはダイD2のピックアップ位置に移動しピックアップ動作を開始する。ここで、第一ピックアップヘッド21Aは待機場所に位置する。
【0056】
(ステップS35)
そして、
図11(b)に示すように、第二ピックアップヘッド21BはダイD2をピックアップ後、第二中間ステージ31Bに移動を開始する。これに並行して、ウェハ11はピックアップミスしたダイD1のピックアップ位置に移動する(戻る)。ここで、第一ピックアップヘッド21Aは待機場所に位置する。
【0057】
(ステップS36)
そして、
図11(c)に示すように、比較例におけるステップS24と同様に、ウェハ認識カメラ24はピックアップミスしたダイD1を認識する。ここで、第一ピックアップヘッド21Aおよび第二ピックアップヘッド21Bは待機場所に位置する。
【0058】
(ステップS37)
次に、
図12(a)に示すように、比較例におけるステップS25と同様に、第一ピックアップヘッド21AはダイD1のピックアップ位置に移動し再ピックアップ動作を開始する。ここで、第二ピックアップヘッド21Bは待機場所に位置する。
【0059】
(ステップS38)
そして、
図12(b)に示すように、比較例におけるステップS26と同様に、第一ピックアップヘッド21AはダイD1をピックアップ後、第一中間ステージ31Aに移動を開始する。ここで、第二ピックアップヘッド21Bは待機場所に位置する。ピックアップ高速化のため、ピックアップ動作が完了すると思われるタイミングで、ウェハ11は次のダイD3のピックアップ位置に移動する。
【0060】
第一実施形態では、
図11(b)に示すようステップS35において、第二ピックアップヘッド21Bの移動と並行して、ウェハ11はピックアップミスしたダイD1のピックアップ位置に移動する(戻る)ことができるので、リカバリ動作が発生した場合であっても、比較例よりもウェハ処理時間を短縮することができる。
【0061】
次に、第一実施形態のダイボンダのいくつかの他の動作例について説明する。制御部8に格納する制御プログラムによりダイボンダ10の動作が規定される。ピックアップするウェハ上のダイには電気的特性により複数のグレードに弁別され、制御部8のメモリ上に記憶され、複数のグレードを有するダイを複数の基板にグレードごとに実装するグレード処理がある。グレード処理においては、ウェハ11に配置されている順番にダイがピックアップされないことがあるが、上述したリカバリ動作を行うことができる。
【0062】
(第一動作例)
搬送レーン別にグレード分けボンディングする第一動作例について
図13を用いて説明する。
図13は
図1に示すダイボンダにおける第一動作例を説明する概略上面図である。
【0063】
第一動作例では、二つにグレードのダイを有するウェハ11から第一分類のダイDaおよび第二分類のダイDbを第一ピックアップヘッド21Aおよび第二ピックアップヘッド21Bにより交互にピックアップし、第一搬送レーン52aにより搬送される第一分類の基板S1に第一分類のダイDaをボンディングし、第二搬送レーン52bにより搬送される第二分類の基板S2に第二分類のダイDbをボンディングする。数量の少ない分類のダイのピックアップが完了するまでは、第一ピックアップヘッド21Aは第二分類のダイDbのみをピックアップし、第二ピックアップヘッド21Bは第一分類のダイDaのみをピックアップする。
【0064】
すなわち、第一ピックアップヘッド21Aは第二分類のダイDbをウェハ11からピックアップして第一中間ステージ31Aに載置し、第一ボンディングヘッド41Aは第一中間ステージ31Aに載置された第二分類のダイDbをピックアップして第一ボンディング部4Aの第一ボンディングステージ45bAにおいて第二分類の基板S2に載置する。第二ピックアップヘッド21Bは第二分類のダイDaをウェハ11からピックアップして第二中間ステージ31Bに載置し、第二ボンディングヘッド41Bは第二中間ステージ31Bに載置された第一分類のダイDaをピックアップして第二ボンディング部4Bの第一ボンディングステージ45aBにおいて第一分類の基板S1に載置する。
【0065】
13
なお、一般的に、グレードの高い良品は最も数が多く、グレードが落ちるに従ってその数は急激に落ちる。ここで、第一分類のダイDaの方が第二分類のダイDbよりグレードが高いとすると、第一分類のダイDaの数は第二分類のダイDbより多い。例えば、第一分類のダイDaは90%程度に対して、第二分類のダイDbは10%程度である。
【0066】
第一分類のダイDaおよび第二分類のダイDbはランダムに位置するので、次にピックアップするダイはピックアップしたダイとは必ずしも隣接しない。この場合、ウェハ11の移動量は大きくなる。一方のピックアップヘッドがピックアップミスをした際は、上述した実施形態の動作と同様に、他方のピックアップヘッドがピックアップする予定のダイをピックアップしてから、ウェハ11をピックアップミスしたダイの位置に戻し、ピックアップミスしたピックアップヘッドで再ピックアップを行う。
【0067】
なお、数量の少ない分類のピックアップが完了してからは、上述した実施形態の動作と同様のピックアップおよびボンディング方法を実施する。すなわち、第一ピックアップヘッド21Aは第一分類のダイDaをウェハ11からピックアップして第一中間ステージ31Aに載置し、第一ボンディングヘッド41Aは第一中間ステージ31Aに載置された第一分類のダイDaをピックアップして第一ボンディング部4Aの第一ボンディングステージ45aAにおいて第一分類の基板S1に載置する。第二ピックアップヘッド21Bは第一分類のダイDaをウェハ11からピックアップして第二中間ステージ31Bに載置し、第二ボンディングヘッド41Bは第二中間ステージ31Bに載置された第一分類のダイDaをピックアップして第二ボンディング部4Bの第二ボンディングステージ45bBにおいて第一分類の基板S1に載置する。
【0068】
(第二動作例)
搬送レーン別にグレード分けボンディングを行い、数量が多いグレードの搬送レーンにおいて基板を順送り搬送する第二動作例について
図14を用いて説明する。
図14は
図1に示すダイボンダにおける第二動作例を説明する概略上面図である。
【0069】
第二動作例では、二つにグレードのダイを有するウェハ11から第一分類のダイDaおよび第二分類のダイDbを第一ピックアップヘッド21Aおよび第二ピックアップヘッド21Bにより交互にピックアップし、第一搬送レーン52aにより搬送される第一分類の基板S1A,S1Bに第一分類のダイDaをボンディングし、第二搬送レーン52bにより搬送される第二分類の基板S2に第二分類のダイDbをボンディングする。第一ピックアップヘッド21Aは、ピックアップするダイの位置に移動する距離が少なくなるよう第一分類のダイDaおよび第二分類のダイDbをピックアップする。第二ピックアップヘッド21Bは第一分類のダイDaのみをピックアップする。ここで、例えば、数量の多い分類のダイを第一分類のダイDaとする。
【0070】
すなわち、第一ピックアップヘッド21Aは第一分類のダイDaをウェハ11からピックアップして第一中間ステージ31Aに載置し、第一ボンディングヘッド41Aは第一中間ステージ31Aに載置された第一分類のダイDaをピックアップして第一ボンディング部4Aの第一ボンディングステージ45aAにおいて第一分類の基板S1Aに載置する。また、第一ピックアップヘッド21Aは第二分類のダイDbをウェハ11からピックアップして第一中間ステージ31Aに載置し、第一ボンディングヘッド41Aは第一中間ステージ31Aに載置された第二分類のダイDbをピックアップして第一ボンディング部4Aの第二ボンディングステージ45bAにおいて第二分類の基板S2に載置する。第二ピックアップヘッド21Bは第一分類のダイDaをウェハ11からピックアップして第二中間ステージ31Bに載置し、第二ボンディングヘッド41Bは第二中間ステージ31Bに載置された第一分類のダイDaをピックアップして第二ボンディング部4Bの第一ボンディングステージ45aBにおいて搬送される第一分類の基板S1Bに載置する。
【0071】
第一ピックアップヘッド21Aは第一分類のダイDaおよび第二分類のダイDbの位置が近い箇所のダイをピックアップするが、その位置はランダムであるので、次にピックアップするダイはピックアップしたダイと隣接することは稀であり、ウェハ11の移動量は大きい。一方のピックアップヘッドがピックアップミスをした際は、実施形態と同様に、他方のピックアップヘッドがピックアップする予定のダイをピックアップしてから、ウェハ位置をピックアップミスしたダイの位置に戻し、ピックアップミスしたピックアップヘッドで再ピックアップを行う。
【0072】
第二ボンディングヘッド41Bによる第一分類のダイDaの第二ボンディング部4Bの第一ボンディングステージ45aBにおける第一分類の基板S1Bへのボンディングが終了した場合、その第一分類の基板S1Bを搬出させた後、第一ボンディング部4Aの第一ボンディングステージ45aAにおける第一分類の基板S1Aはボンディングが全て完了していなくても、その第一分類の基板S1Aを第二ボンディング部4Bの第一ボンディングステージ45aBのボンディング位置に移動させる。この際、第一搬送レーン52aにおける第一分類の基板S1Aの移動中は、第一ピックアップヘッド21Aと第一ボンディングヘッド41Aは選択的に第二分類のダイDbの処理を継続する。この時点でピックアップエラーが発生した場合は、次の第二分類のダイDbの処理を実施した後、第二分類のダイDbのリカバリ動作を実行する。
【0073】
(第三動作例)
搬送レーン別にグレード分けボンディングを行い、両搬送レーンにおいて基板を順送り搬送する第三動作例の動作について
図15および
図16を用いて説明する。
図15および
図16は
図1に示すダイボンダにおける第三動作例を説明する概略上面図である。
【0074】
第三動作例では、二つにグレードのダイを有するウェハ11から第一分類のダイDaおよび第二分類のダイDbを第一ピックアップヘッド21Aおよび第二ピックアップヘッド21Bにより交互にピックアップし、第一搬送レーン52aにより搬送される第一分類の基板S1Aおよび基板S1Bに第一分類のダイDaをボンディングし、第二搬送レーン52bにより搬送される第二分類の基板S2Aおよび基板S2Bに第二分類のダイDbをボンディングする。第一ピックアップヘッド21Aおよび第二ピックアップヘッド21Bは、ピックアップするダイの位置に移動する距離が少なくなるよう第一分類のダイDaおよび第二分類のダイDbをピックアップする。ここで、例えば、数量の多い分類のダイを第一分類のダイDaとする。
【0075】
すなわち、第一ピックアップヘッド21Aは第一分類のダイDaをウェハ11からピックアップして第一中間ステージ31Aに載置し、第一ボンディングヘッド41Aは第一中間ステージ31Aに載置された第一分類のダイDaをピックアップして第一ボンディング部4Aの第一ボンディングステージ45aAにおいて第一分類の基板S1Aに載置する。また、第一ピックアップヘッド21Aは第二分類のダイDbをウェハ11からピックアップして第一中間ステージ31Aに載置し、第一ボンディングヘッド41Aは第一中間ステージ31Aに載置された第二分類のダイDbをピックアップして第一ボンディング部4Aの第二ボンディングステージ45bAにおいて第二分類の基板S2Aに載置する。
【0076】
そして、第二ピックアップヘッド21Bは第一分類のダイDaをウェハ11からピックアップして第二中間ステージ31Bに載置し、第二ボンディングヘッド41Bは第二中間ステージ31Bに載置された第一分類のダイDaをピックアップして第二ボンディング部4Bの第一ボンディングステージ45aBにおいて搬送される第一分類の基板S1Bに載置する。また、第二ピックアップヘッド21Bは第二分類のダイDbをウェハ11からピックアップして第二中間ステージ31Bに載置し、第二ボンディングヘッド41Bは第二中間ステージ31Bに載置された第二分類のダイDbをピックアップして第二ボンディング部4Bの第二ボンディングステージ45bBにおいて搬送される第二分類の基板S2Bに載置する。
【0077】
第一ピックアップヘッド21Aおよび第二ピックアップヘッド21Bは第一分類のダイDaおよび第二分類のダイDbの位置が近い箇所のダイをピックアップするが、その位置はランダムであるので、次にピックアップするダイはピックアップしたダイと隣接することは稀であり、ウェハ11の移動量は大きい。一方のピックアップヘッドがピックアップミスをした際は、実施形態と同様に、他方のピックアップヘッドがピックアップする予定のダイをピックアップしてから、ウェハ位置をピックアップミスしたダイの位置に戻し、ピックアップミスしたピックアップヘッドで再ピックアップ動作を行う。
【0078】
さらに、第一搬送レーン52aおよび第二搬送レーン52bのいずれも、第二ボンディングヘッド41B側の第一分類の基板S1Bまたは第二分類の基板S2Bのボンディングが終了した場合、その第一分類の基板S1Bまたは第二分類の基板S2Bを搬出させた後、第一ボンディングヘッド41A側の第一分類の基板S1Aまたは第二分類の基板S2Aはボンディングが全て完了していなくても、その第一分類の基板S1Aまたは第二分類の基板S2Aを第二ボンディングヘッド41Bのボンディング位置に移動させる。
【0079】
この際、第一搬送レーン52aの第一分類の基板S1Aの移動中は、第一ピックアップヘッド21Aと第一ボンディングヘッド41Aは選択的に第二分類のダイDbの処理を継続する。この時点でピックアップエラーが発生した場合は、次の第二分類のダイDbの処理を実施した後、第二分類のダイDbのリカバリ動作を実行する。
【0080】
また、第二搬送レーン52bの第二分類の基板S2Aの移動中は、第一ピックアップヘッド21Aと第一ボンディングヘッド41Aは選択的に第一分類のダイDaの処理を継続する。この時点でエラーが発生した場合は、次の第一分類のダイDaの処理を実施した後、第一分類のダイDaのリカバリ動作を実行する。
【0081】
[第二実施形態]
第一実施形態におけるダイボンダは二つの第一搬送部5a(第一搬送レーン52a)および第二搬送部5b(第二搬送レーン52b)を備えているが、第二実施形態におけるダイボンダ10は、一つの搬送部5(搬送レーン52)のみを備えている。第二実施形態におけるダイボンダ10の他の構成およびその動作は第一実施形態と同様である。また、第二実施形態におけるダイボンダを用いた半導体装置の製造方法も第一実施形態と同様である。また、第二実施形態におけるダイボンダ10は、第一実施形態と同様に、グレード処理も実施可能であり、その動作例について以下説明する。なお、第一実施形態と同様に、グレード処理以外の処理も可能なことはいうまでもない。
【0082】
(第一動作例)
第二実施形態におけるダイボンダにおいてボンドポイント毎にグレード分けボンディングし、基板を順送り搬送する第一動作例について
図17を用いて説明する。
図17は第二実施形態におけるダイボンダの第一動作例を説明する概略上面図である。
【0083】
第一動作例では、二つにグレードのダイを有するウェハ11から第一分類のダイDaおよび第二分類のダイDbを第一ピックアップヘッド21Aおよび第二ピックアップヘッド21Bにより交互にピックアップし、第一ボンディング部4Aのボンディングステージ45Aにおいて基板SAの指定位置に第一分類のダイDaおよび第二分類のダイDbをボンディングし、第二ボンディング部4Bのボンディングステージ45Bにおいて基板SBの指定位置に第一分類のダイDaおよび第二分類のダイDbをボンディングする。ここで、基板SA、SB内の指定位置はホストコンピュータからの指定により指定される。その指定された基板のボンディング順に基づいて第一ピックアップヘッド21Aおよび第二ピックアップヘッド21Bは、指定グレードのピックアップを行う。
【0084】
すなわち、第一ピックアップヘッド21Aは第一分類のダイDaおよび第二分類のダイDbをウェハ11からピックアップして第一中間ステージ31Aに載置し、第一ボンディングヘッド41Aは第一中間ステージ31Aに載置された第一分類のダイDaおよび第二分類のダイDbをピックアップして第一ボンディング部4Aのボンディングステージ45Aにおいて基板SAに載置する。第二ピックアップヘッド21Bは第一分類のダイDaおよび第二分類のダイDbをウェハ11からピックアップして第二中間ステージ31Bに載置し、第二ボンディングヘッド41Bは第二中間ステージ31Bに載置された第一分類のダイDaおよび第二分類のダイDbをピックアップして第二ボンディング部4Bのボンディングステージ45Bにおいて搬送される基板SBに載置する。
【0085】
第一ピックアップヘッド21Aまたは第二ピックアップヘッド21Bのいずれかがピックアップミスをした際、実施形態と同様に、ミスをしたピックアップヘッドと異なるピックアップヘッドがピックアップする予定のダイをピックアップしてから、ウェハ11をピックアップミスしたダイの位置に戻し、ピックアップミスしたピックアップヘッドで再ピックアップを行う。
【0086】
さらに、第二ボンディング部4Bのボンディングステージ45B側の基板SBのボンディングが終了した場合、その基板S1Bを搬出させた後、第一ボンディング部4Aのボンディングステージ45A側の基板SAはボンディングが全て完了していなくても、その基板SAを第二ボンディング部4Bのボンディングステージ45Bのボンディング位置に移動させる。
【0087】
(第二動作例)
第二実施形態におけるダイボンダにおいてボンドポイント毎にグレード分けボンディングし、基板を戻り搬送する第二動作例について
図18を用いて説明する。
図18は第二実施形態におけるダイボンダの第二動作例を説明する概略上面図である。
【0088】
第二動作例では、二つにグレードのダイを有するウェハ11から第一分類のダイDaおよび第二分類のダイDbを第一ピックアップヘッド21Aおよび第二ピックアップヘッド21Bにより交互にピックアップし、第一ボンディング部4Aのボンディングステージ45Aにおいて基板SAの指定位置に第一分類のダイDaおよび第二分類のダイDbをボンディングし、第二ボンディング部4Bのボンディングステージ45Bにおいて基板SBの指定位置に第一分類のダイDaおよび第二分類のダイDbをボンディングする。ここで、基板SA、SB内の指定位置はホストコンピュータからの指定により指定される。その指定された基板のボンディング順に基づいて第一ピックアップヘッド21Aおよび第二ピックアップヘッド21Bは、指定グレードのピックアップを行う。
【0089】
すなわち、第一ピックアップヘッド21Aは第一分類のダイDaおよび第二分類のダイDbをウェハ11からピックアップして第一中間ステージ31Aに載置し、第一ボンディングヘッド41Aは第一中間ステージ31Aに載置された第一分類のダイDaおよび第二分類のダイDbをピックアップして第一ボンディング部4Aのボンディングステージ45Aにおいて基板SAに載置する。第二ピックアップヘッド21Bは第一分類のダイDaおよび第二分類のダイDbをウェハ11からピックアップして第二中間ステージ31Bに載置し、第二ボンディングヘッド41Bは第二中間ステージ31Bに載置された第一分類のダイDaおよび第二分類のダイDbをピックアップして第二ボンディング部4Bのボンディングステージ45Bにおいて搬送される基板SBに載置する。
【0090】
第一ピックアップヘッド21Aまたは第二ピックアップヘッド21Bのいずれかがピックアップミスをした際、実施形態と同様に、ミスをしたピックアップヘッドと異なるピックアップヘッドがピックアップする予定のダイをピックアップしてから、ウェハ11をピックアップミスしたダイの位置に戻し、ピックアップミスしたピックアップヘッドで再ピックアップ動作を行う。
【0091】
さらに、第二ボンディング部4Bのボンディングステージ45B側の基板SBのボンディングが終了した場合、その基板SBを基板搬出部に搬送して搬出させる。そして、第一ボンディング部4Aのボンディングステージ45A側の基板SAのボンディングが終了した場合、その基板SAを基板供給部に戻す搬送をして搬出させる。
【0092】
[第三実施形態]
まず、第三実施形態におけるダイボンダの構成について
図19および
図20を用いて説明する。
図19は第三実施形態におけるダイボンダの概略上面図である。
図20は
図19に示すダイボンダにおけるダイ供給部周辺の概略正面図である。
【0093】
第三実施形態におけるダイボンダ10は、大別して、ダイ供給部1と、ピックアップ部2と、中間ステージ部3と、ボンディング部4と、搬送部5と、各部の動作を監視し制御する制御部8と、を有する。すなわち、第三実施形態におけるダイボンダ10は、実施形態における第一ピックアップ部2A、第一中間ステージ部3A、第一ボンディング部4Aおよび第一搬送部5aと同様のものを備えており、その動作は第一実施形態と同様である。また、第三実施形態におけるダイボンダを用いた半導体装置の製造方法も第一実施形態と同様である。
【0094】
第三実施形態におけるピックアップ工程(ステップS12)の詳細について以下説明する。
【0095】
まず、第三実施形態におけるダイボンダをより明確にするため、ピックアップヘッドによりウェハ上のダイをピックアップするときの問題点について
図19から
図23を用いて説明する。
図21から
図23は比較例における動作を説明するためのダイ供給部周辺の概略正面図である。
【0096】
第一実施形態では二つのピックアップヘッドにより交互にウェハ上のダイをピックアップする場合の問題点について説明したが、一つのピックアップヘッドよりウェハ上のダイをピックアップする場合も同様の問題がある。
【0097】
ピックアップヘッド21は、
図20に示すウェハ11からダイD1をピックアップし、X軸方向に移動して中間ステージ31にダイD1を載置する。そして、ダイ供給部1は図示しない駆動手段によってX軸方向に移動することによりウェハ11をX軸方向に移動し、ピックアップするダイD2を突上げユニット13(ウェハ認識カメラ24)の位置に移動する。比較例における動作の詳細を以下説明する。
【0098】
(ステップS40)
まず、
図19および
図20に示すように、ウェハ11はダイD1のピックアップ位置に移動する。その後、ウェハ認識カメラ24はダイD1を認識する。ここで、ピックアップヘッド21は待機場所に位置する。
【0099】
(ステップS41)
次に、
図21(a)に示すように、ピックアップヘッド21はダイD1のピックアップ位置に移動しピックアップ動作を開始する。
【0100】
(ステップS42)
そして、
図21(b)に示すように、ピックアップヘッド21はダイD1をピックアップ後、中間ステージ31に移動を開始する。ここで、ピックアップヘッド21はダイD1のピックアップを失敗している。ピックアップ高速化のため、ピックアップ動作が完了すると思われるタイミングで、ウェハ11は次のダイD2のピックアップ位置に移動する。その後、制御部8はピックアップ失敗を検出する。
【0101】
(ステップS43)
そして、
図21(c)に示すように、ウェハ11はピックアップミスしたダイD1のピックアップ位置に移動する(戻る)。ここで、ピックアップヘッド21は待機場所に移動する。
【0102】
(ステップS44)
次に、
図22(a)に示すように、ウェハ認識カメラ24はピックアップミスしたダイD1を認識する。ここで、ピックアップヘッド21は待機場所に位置する。
【0103】
(ステップS45)
そして、
図22(b)に示すように、ピックアップヘッド21はダイD1のピックアップ位置に移動し再ピックアップ動作を開始する。
【0104】
(ステップS46)
そして、
図22(c)に示すように、ピックアップヘッド21はダイD1をピックアップ後、中間ステージ31に移動を開始する。ピックアップ高速化のため、ピックアップ動作が完了すると思われるタイミングで、ウェハ11は次のダイD2のピックアップ位置に移動する。
【0105】
(ステップS47)
次に、
図23(a)に示すように、ウェハ認識カメラ24は次のダイD2を認識する。ここで、ピックアップヘッド21は待機場所に位置する。
【0106】
(ステップS48)
そして、
図23(b)に示すように、ピックアップヘッド21はダイD2のピックアップ位置に移動しピックアップ動作を開始する。
【0107】
(ステップS49)
そして、
図23(c)に示すように、ピックアップヘッド21はダイD2をピックアップ後、中間ステージ31に移動を開始する。ピックアップ高速化のため、ピックアップ動作が完了すると思われるタイミングで、ウェハ11は次のダイD3のピックアップ位置に移動する。
【0108】
ピックアップ高速化のため、ピックアップ動作が完了すると思われるタイミングで、ウェハ11は次のダイD2のピックアップ位置に移動しているため、
図21(c)に示すステップS43のように、ピックアップミスしたダイD1の位置にウェハ11を戻す必要がある。そして、再ピックアップ(リトライ)が成功する、しないに関わらず、またウェハ11は次のダイD2のピックアップ位置に移動し、ピックアップミスが続いた際は所定の回数、この動作を繰り返す。
【0109】
このように、ダイピックアップに失敗したあとのリカバリ動作に無駄な動作がある。そのためリカバリ動作が発生した場合、ウェハ処理時間が増加する。
【0110】
第三実施形態では、ピックアップヘッドがピックアップミスをした際に、そのピックアップヘッドが次にピックアップする予定のダイをピックアップしてから、ウェハの位置をピックアップミスしたダイの位置に戻し、そのピックアップヘッドで再ピックアップ動作を行う。第三実施形態における動作の詳細について
図19、
図20、
図24から
図26を用いて説明する。
図24から
図26は第三実施形態における動作を説明するためのダイ供給部周辺の概略正面図である。
【0111】
(ステップS50)
まず、
図19および
図20に示すステップS40と同様に、ウェハ11はダイD1のピックアップ位置に移動する。その後、ウェハ認識カメラ24はダイD1を認識する。ここで、ピックアップヘッド21は待機場所に位置する。
【0112】
(ステップS51)
次に、
図24(a)に示すように、比較例におけるステップS41と同様に、ピックアップヘッド21はダイD1のピックアップ位置に移動しピックアップ動作を開始する。
【0113】
(ステップS52)
そして、
図24(b)に示すように、比較例におけるステップS42と同様に、ピックアップヘッド21はダイD1をピックアップ後、中間ステージ31に移動を開始する。ここで、ピックアップヘッド21はダイD1のピックアップを失敗している。ピックアップ高速化のため、ピックアップ動作が完了すると思われるタイミングで、ウェハ11は次のダイD2のピックアップ位置に移動する。その後、制御部8はピックアップ失敗を検出する。
【0114】
(ステップS53)
そして、
図24(c)に示すように、比較例におけるステップS47と同様に、ウェハ認識カメラ24は次のダイD2を認識する。ここで、ピックアップヘッド21は待機場所に位置する。
【0115】
(ステップS54)
次に、
図25(a)に示すように、比較例におけるステップS48と同様に、ピックアップヘッド21はダイD2のピックアップ位置に移動しピックアップ動作を開始する。
【0116】
(ステップS55)
そして、
図25(b)に示すように、ピックアップヘッド21はダイD2をピックアップ後、中間ステージ31に移動を開始する。これに並行して、ウェハ11はピックアップミスしたダイD1のピックアップ位置に移動する(戻る)。
【0117】
(ステップS56)
そして、
図25(c)に示すように、比較例におけるステップS44と同様に、ウェハ認識カメラ24はピックアップミスしたダイD1を認識する。ここで、ピックアップヘッド21は待機場所に位置する。
【0118】
(ステップS57)
次に、
図26(a)に示すように、比較例におけるステップS45と同様に、ピックアップヘッド21はダイD1のピックアップ位置に移動し再ピックアップ動作を開始する。
【0119】
(ステップS58)
そして、
図26(b)に示すように、比較例におけるステップS46と同様に、ピックアップヘッド21はダイD1をピックアップ後、中間ステージ31に移動を開始する。ピックアップ高速化のため、ピックアップ動作が完了すると思われるタイミングで、ウェハ11は次のダイD3のピックアップ位置に移動する。
【0120】
第三実施形態では、
図25(b)に示すステップS55のように、ピックアップヘッド21の移動と並行して、ウェハ11はピックアップミスしたダイD1のピックアップ位置に移動する(戻る)ことができるので、リカバリ動作が発生した場合、比較例よりもウェハ処理時間を短縮することができる。
【0121】
(動作例)
第三実施形態におけるダイボンダ10は、第一実施形態と同様に、グレード処理も実施可能であり、その動作例について以下説明する。第三実施形態におけるダイボンダにおいてボンドポイント毎にグレード分けボンディングする動作例について
図27を用いて説明する。
図27は
図19に示すダイボンダの動作例を説明する概略上面図である。
【0122】
動作例では、二つにグレードのダイを有するウェハ11から第一分類のダイDaおよび第二分類のダイDbをピックアップヘッド21によりピックアップし、ボンディングステージ45において基板Sの指定位置に第一分類のダイDaおよび第二分類のダイDbをボンディングする。ここで、基板S内の指定位置はホストコンピュータからの指定により指定される。その指定された基板のボンディング順に基づいてピックアップヘッド21は、指定グレードのピックアップを行う。
【0123】
すなわち、ピックアップヘッド21は第一分類のダイDaおよび第二分類のダイDbをウェハ11からピックアップして中間ステージ31に載置し、ボンディングヘッド41は中間ステージ31に載置された第一分類のダイDaおよび第二分類のダイDbをピックアップしてボンディングステージ45において基板Sに載置する。
【0124】
ピックアップヘッド21がピックアップミスをした際、そのピックアップヘッドが次にピックアップする予定のダイをピックアップしてから、ウェハ11をピックアップミスしたダイの位置に戻し、ピックアップミスしたピックアップヘッドで再ピックアップを行う。
【0125】
[第四実施形態]
第三実施形態におけるダイボンダは一つの搬送部5(搬送レーン52)のみを備えているが、第四実施形態におけるダイボンダ10は、二つの第一搬送部5a(第一搬送レーン52a)および第二搬送部5b(第二搬送レーン52b)を備えている。第四実施形態におけるダイボンダ10の他の構成およびその動作は第三実施形態と同様である。
【0126】
(動作例)
第四実施形態におけるダイボンダ10は、第一実施形態と同様に、グレード処理も実施可能であり、その動作例について以下説明する。搬送レーン別にグレード分けボンディングする動作例について
図28を用いて説明する。
図28は第四実施形態におけるダイボンダにおける動作例を説明する概略上面図である。
【0127】
動作例では、二つにグレードのダイを有するウェハ11から第一分類のダイDaおよび第二分類のダイDbをピックアップヘッド21によりピックアップし、第一搬送レーン52aにより搬送される第一分類の基板S1に第一分類のダイDaをボンディングし、第二搬送レーン52bにより搬送される第二分類の基板S2に第二分類のダイDbをボンディングする。
【0128】
すなわち、ピックアップヘッド21は第一分類のダイDaをウェハ11からピックアップして中間ステージ31に載置し、ボンディングヘッド41は中間ステージ31に載置された第一分類のダイDaをピックアップして第一搬送レーン52a側のボンディングステージ45aにおいて第一分類の基板S1に載置する。ピックアップヘッド21は第二分類のダイDbをウェハ11からピックアップして中間ステージ31に載置し、ボンディングヘッド41は中間ステージ31に載置された第二分類のダイDbをピックアップして第二搬送レーン52b側のボンディングステージ45bにおいて第二分類の基板S2に載置する。
【0129】
一方のピックアップヘッドがピックアップミスをした際は、第三実施形態と同様に、そのピックアップヘッドが次のピックアップする予定のダイをピックアップしてから、ウェハ11をピックアップミスしたダイの位置に戻し、ピックアップヘッドで再ピックアップを行う。
【0130】
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果が得られる。
【0131】
(1)ピックアップミスしたダイの位置へ移動(戻る動作)を他の動作と並行して行うため、ピックアップミスした際の無駄な動作がなくなる。これにより、リカバリ動作が発生した場合でも、ウェハ処理時間の低下を防止することが可能である。
【0132】
(2)ダイグレード分けボンディング時においてリカバリ動作が発生した場合でも、ウェハ処理時間の低下を防止することが可能である。
【0133】
(3)通常のピックアップ動作時のピックアップ速度は維持すると共に、一定の割合で発生するピックアップミスに際しスループットの低下を最小限にすることが可能である。
【0134】
以上、本開示者によってなされた開示を実施形態に基づき具体的に説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。
【0135】
例えば、実施形態では、ダイ供給部からダイをピックアップヘッドでピックアップして中間ステージに載置し、中間ステージに載置されたダイをボンディングヘッドで基板にボンディングするダイボンダについて説明したが、中間ステージとピックアップヘッドがなく、ダイ供給部のダイをボンディングヘッドでピックアップして基板にボンディングするようにしてもよい。
【0136】
また、実施形態ではウェハの裏面にDAFが貼付されているが、DAFはなくてもよい。
【0137】
また、実施形態ではダイの表面を上にしてボンディングされるが、ダイをピックアップ後ダイの表裏を反転させて、ダイの裏面を上にしてボンディングしてもよい。この場合、中間ステージは設けなくてもよい。この装置はフリップチップボンダという。
【0138】
また、実施形態ではピックアップヘッド及びボンディングヘッドは、2つまたは1つの例を説明しているが、これに限定されることはなくピックアップヘッド及びボンディングヘッドは、3つ以上(複数)であってもよい。
【符号の説明】
【0139】
8・・・制御部
10・・・ダイボンダ(ダイボンディング装置)
11・・・ウェハ
12・・・ウェハ保持台
21A・・・第一ピックアップヘッド(ヘッド)
D・・・ダイ