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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】統合化IGA-DFOSシステム
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/353 20060101AFI20241015BHJP
【FI】
G01D5/353 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023542097
(86)(22)【出願日】2021-08-18
(86)【国際出願番号】 JP2021030223
(87)【国際公開番号】W WO2023021619
(87)【国際公開日】2023-02-23
【審査請求日】2024-01-15
(73)【特許権者】
【識別番号】303021609
【氏名又は名称】ニューブレクス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002941
【氏名又は名称】弁理士法人ぱるも特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岸田 欣増
(72)【発明者】
【氏名】麻 寧緒
【審査官】吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/061718(WO,A1)
【文献】米国特許第10915678(US,B1)
【文献】欧州特許出願公開第3783572(EP,A1)
【文献】特開2021-51712(JP,A)
【文献】角谷 将基 Masaki Sumiya ほか,2次元Helmholtz方程式に対する周期アイソジオメトリック境界要素法の開発と高速多重極法による高速化,計算工学講演会論文集 第21巻 [CD-ROM] Proceedings of the Conference on Computational Engi,日本,2016年05月31日,第21巻, D-7-1,ISSN 1342-145X, 特に第1章 緒言
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/353
G01B 11/16
G01K 11/32-11/324
G02B 6/00
G06F 17/00-17/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定体に装着されて前記被測定体の物理量をセンシングする光ファイバと、
前記光ファイバで検出されたセンシング信号を基に前記被測定体の物理量を演算し、当該物理量の分布状態を求める分布演算型光ファイバ計測装置と、
非一様有理Bスプライン基底関数でモデル化され、前記光ファイバの形状を形成するファイバメッシュを組み込んだファイバメッシュ組込型IGA解析ツールと、
を備え、
前記分布演算型光ファイバ計測装置によりリアルタイムで計測された、前記光ファイバの装着位置での被測定体の物理量の分布状態を前記ファイバメッシュ組込型IGA解析ツールに入力して、前記光ファイバの装着位置以外での被測定体の物理量の分布状態を求める、
ことを特徴とする統合化IGA-DFOSシステム。
【請求項2】
前記非一様有理Bスプライン基底関数でのモデル化は、CADツールを用いて作成されることを特徴とする請求項1に記載の統合化IGA-DFOSシステム。
【請求項3】
前記光ファイバの装着位置以外での被測定体の物理量の分布状態を求める際の負荷条件、境界条件、および材料の欠陥あるいは劣化の値は、予め与えられた値を用いることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の統合化IGA-DFOSシステム。
【請求項4】
前記ファイバメッシュ組込型IGA解析ツールで解析を行う際の、負荷条件、境界条件、および材料の欠陥あるいは劣化の値を未知数として設定して、前記分布演算型光ファイバ計測装置で求められた物理量の分布状態に合致するように、前記ファイバメッシュ組込型IGA解析ツールを用いて、未知数である前記負荷条件、境界条件、および材料の欠陥あるいは劣化の値を、既定の推測法により推測して求め、この求められた推測値を用いて前記被測定体の物理量の分布状態を解析して求めることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の統合化IGA-DFOSシステム。
【請求項5】
前記ファイバメッシュ組込型IGA解析ツールの前記非一様有理Bスプライン基底関数は、前記被測定体の位置に関する連続性、および当該位置の変化に関する連続性を有していることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の統合化IGA-DFOSシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、統合化IGA-DFOSシステムに関わる。
【背景技術】
【0002】
分布型光ファイバセンシング(以下では、DFOS:Distributed Fiber Optic Sensingとも呼ぶ)技術の特徴は、その実用性において、敷設した光ファイバがどのような状況下にあっても、有効な計測値が提供できること、すなわち、信憑性が高いことにある。この分布型光ファイバセンシング技術の代表的な方式として、ラマン(Raman)、ブリルアン(Brillouin)、レイリー(Rayleigh)の3方式が挙げられる。一方、光ファイバを敷設できる通路としての空間は、光ファイバの接続、与えられるスペースなどの制約により、その自由度がこれまで制限されていた(特許文献1-2、非特許文献1-6参照)。
【0003】
このような問題を検討し、解決するために用いられる数値解析ツールとして、従来から広く利用されている有限要素(FEM)を利用する場合においては、実際の現象を再現する際に以下のような問題点がある。
a)対象となる形状を有限要素によりモデル化する際、メッシュ生成が必須であることなどにより、長い作業時間とコストがかかる。
b)境界条件、あるいは負荷条件は、理想化して定められることが多いため、実際の条件とは異なる。
c)腐食、あるいは欠陥による形状、又は材料特性が変化した場合、それらを反映させたモデルの再構築が必要となるため、実際の使用においては現実的ではない。
【0004】
また、上記FEMに比較して高効率な解析方法である境界要素法(BEM)などの数値解析方法があるが、非線形の問題に適用するには制約が多い。このため、多様なニーズに対応できない。
【0005】
一方、NURBS型の数学モデルが開発され、機械設計に必要な十分な精密さ、複雑形状に対応できる能力、また、コンパクトなサイズに抑えた商用性を備えたCAD技術は、すでに製造業における標準となり、大量のCADデータが蓄積されてはいるが、ほとんど有効に利用されていない。また、リアルタイム監視が使命とされた光ファイバ分布計測SHM(Structurer Health Monitoring)に一番便利なリソースであるが、その技術は未だ確立されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2004/048889号
【文献】国際公開第2005/003689号
【非特許文献】
【0007】
【文献】K. Lim, et al.,”Distributed fiber optic sensors for monitoring pressure and stiffness changes in out-of-round pipes”, Struct.Control Health Monit.2016;23:303-314,Published online 15 july 2015 in Wiley Online Library.
【文献】K. Nishiguchi, et al.,”Error analysis for 3D shape sensing by fiber-optic distributed sensors”,Proceedings of the 49th ISCIE International Symposium on Stochastic Systems Theory and Its Applications, Hiroshima, Nov.3-4, 2017
【文献】Y. Mei, ”Error analysis for distributed fiber optic sensing technology based on Brillouin scattering”, Lucy Cavendish College, August, 2018
【文献】A Piccolo, et al.,”Non-invasive tunnel convergence measurement based on distributed optical fiber strain sensing”, Smart Mater. Struct. 28, (2019)045008, (13pp), https://doi.org/10.1088/1361-665X/ab04cc
【文献】K. Kishida, et al.,”Study of Optical Fibers Strain-Temperature Sensitivities Using Hybrid Brillouin-Rayleigh System”, PHOTONIC SENSORS/Vol.4, No.1, 2014:1-11, DOI:10.1007/s13320-013-0136-1
【文献】Y. Yamauchi, et al.,”A STUDY OF THE STABILITY, RELIABILITY, AND ACCURACY OF NEUBRESCOPE-BASED PIPE THINNING DETECTION SYSTEM”, The 3rd International Conference on Structual Health Monitoring of Intelligent Infrastructure, Vancouver, British Columbia, Canada, Nov.13-16, 2007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
数値解析を用いて検討すべき対象物の具体的な特徴(現状)と、これを解決する解決手法の課題は以下の通りである。
a)図面設計をベースに建造した構造物は、その使用中に劣化し、本来の理想的な構造物ではなく、欠陥のある構造物となっている。このような欠陥などの存在する実際の構造物のライフサイクルを監視する現状の手法は、モニタリング精度、あるいは使用の自由度が不十分である。
b)現状、欠陥、あるいは劣化のある実際の構造物の破損、破壊プロセスなどに対して適用されるコアモニタリング技術、情報収集力は非常に不足している。
c)自動車、あるいは電子部品などの量産品に対する数値解析は日常的に行われているが、個別仕様で製造される構造体を対象とする数値解析に対しては、明確なガイドラインがなく、モニタリング手法も定まっていない。
d)現状の数値解析技術では、構造体の負荷条件、境界条件、および欠陥、あるいは劣化を既知の情報として入力し、安全性評価を行っている(順解析技術)。一方、モニタリングした部分的な情報を基に、負荷条件、境界条件、及び欠陥、あるいは劣化などを逆解析する一般的な解析技術(逆解析技術)は、確立されていない。
【0009】
本願は、上記のような問題点を解決するためになされたものであって、FO(光ファイバ)敷設案を融合したFOメッシュを含むIGA(IGA:Isogeometric Analysis)数値解析モデルを開発することにより、FO敷設案(FOの設置ルートなど、装着を容易にするための案)に、CAD設計データの懸念事項であるリスク要因への対応策、評価された負荷と使用環境条件、腐食あるいは地震などの影響を反映させることを目的とする。
【0010】
また、この開発により、被測定対象物のひずみ、温度などに対して高精度で信頼性の高い分布計測システムであるDFOS計測システムが実現させ、IGA数値解析モデル(以降、この数値解析モデルを「ファイバメッシュ組込型IGA解析モデル」とも呼ぶ)を適用して、被測定対象物の変形の即時計測、荷重の負荷状況をリモートで監視することにより、FOが敷設されていない部位を含む、被測定対象物の変形、負荷(面内荷重および面外荷重)の逆解析を行えるようにすることで、被測定対象物の変形の即時計測、荷重の負荷状況のリモートでの監視を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願に開示される統合化IGA-DFOSシステムは、
被測定体に装着されて前記被測定体の物理量をセンシングする光ファイバと、
前記光ファイバで検出されたセンシング信号を基に前記被測定体の物理量を演算し、当該物理量の分布状態を求める分布演算型光ファイバ計測装置と、
非一様有理Bスプライン基底関数でモデル化され、前記光ファイバの形状を形成するファイバメッシュを組み込んだファイバメッシュ組込型IGA解析ツールと、
を備え、
前記分布演算型光ファイバ計測装置によりリアルタイムで計測された、前記光ファイバの装着位置での被測定体の物理量の分布状態を、前記ファイバメッシュ組込型IGA解析ツールに入力して、前記光ファイバの装着位置以外での被測定体の物理量の分布状態を求める、
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本願に開示される統合化IGA-DFOSシステムによれば、FO敷設案(FOの設置ルートなど、装着を容易にするための案)に、CAD設計データの懸念事項であるリスク要因への対応策、評価された負荷と使用環境条件、腐食あるいは地震などの影響を反映させることができる。
【0013】
また、FOが敷設されていない部位を含む、被測定対象物の変形、負荷(面内荷重および面外荷重)の逆解析を行うことで、被測定対象物の変形の即時計測、荷重の負荷状況のリモートでの監視が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施の形態1の統合化IGA-DFOSシステムの構成を説明するためのブロック図である。
図2】実施の形態1の統合化IGA-DFOSシステムにおける2次元NURBS曲線の一例を示す図である。
図3】実施の形態1の統合化IGA-DFOSシステムにおける移動平均ファイバひずみを説明するための図である。
図4】実施の形態1の統合化IGA-DFOSシステムに係るIGA数値解析モデルにおける、全てのサンプリングポイントでの弾性応力解析とファイバひずみ計算のフローを説明するための図である。
図5】実施の形態1の統合化IGA-DFOSシステムに係るIGA数値解析モデルで提案した定式化の適用例を説明するための実験モデルを示す図である。
図6図5の実験モデルにおける光ファイバの最大ひずみの値と円筒パイプの変位値の関係を示した図である。
図7】上記IGA数値解析モデルを用いた光ファイバの歪分布のシミュレーション結果と実験モデルで得た実験データの関係を示す図である。
図8】上記IGA数値解析モデルにおける逆IGA法について、円筒パイプに沿った荷重を例に説明するための図である。
図9】上記IGA数値解析モデルにより最適化された円筒パイプ長手方向の圧力分布のシミュレーション結果を示す図である。
図10】上記IGA数値解析モデルにより最適化されたファイバ歪のシミュレーション結果と実験モデルで得た実験データの関係を示す図である。
図11】上記IGA数値解析モデルを適用した逆IGA法による効果を評価した表図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施の形態1.
[統合化IGA-DFOSシステムの概要]
実施の形態1の統合化IGA-DFOSシステムについて、以下図を用いて説明する。
図1は、上述の課題を解決するために新たに開発された実施の形態1の統合化IGA-DFOSシステムの構成を説明するためのブロック図である。図中、実線の矢印は、実施の形態1の統合化IGA-DFOSシステムを構成する内容に関わる項目であり、点線の矢印は実施の形態1の統合化IGA-DFOSシステムの波及効果を示している。
【0016】
上述の課題を解決するための強度、外観と形状、素材の選択、コスト、リスク対応策などの要求を満たすため、CAD設計により実現される主要な要素である、NURBS(Non-Uniform Rational B-Splineの略。非一様有理Bスプライン)モデル、FO(光ファイバ)敷設案を融合したFOメッシュを含むIGA(IGA:Isogeometric Analysis)数値解析モデルが新たに開発された。
【0017】
このIGA数値解析モデルの開発により、FO敷設案(FOの設置ルートなど、装着(設置)を容易にするための案)には、CAD設計データの懸念事項であるリスク要因への対応策、評価された負荷と使用環境条件、腐食あるいは地震などの影響を反映させることが可能となった。
【0018】
また、この開発により、被測定対象物のひずみ、温度などに対して高精度で信頼性の高い分布計測システムであるDFOS計測システムが実現されるとともに、当該FOメッシュが上記NURBS基底/形状関数でモデル化されたIGA数値解析モデル(以降、この数値解析モデルを「ファイバメッシュ組込型IGA解析モデル」とも呼ぶ)を適用することにより、被測定対象物の変形の即時計測、荷重の負荷状況をリモートで監視することが可能となり、これらを基にして、FOが敷設されていない部位を含む、被測定対象物の変形、負荷(面内荷重および面外荷重)の逆解析が可能となった。
【0019】
以上の結果、リスク要因への対応策、評価された負荷と使用環境条件、腐食あるいは地震などの影響を反映させることが可能となり、被測定対象物の変形の即時計測、荷重の負荷状況のリモートでの監視が可能となる。この結果、計測監視対象システム(以下、リモート構造モニタリングシステムとも呼ぶ)の安全性・機能性・余寿命・メンテナンス計画の管理について、高信頼性と低コスト化をもたらすことが期待できる。
【0020】
なお、CAD設計により実現される主要な要素である、NURBSモデル、構造体の建設・製造に関わるFO(光ファイバ)敷設案については、上述のFOメッシュがNURBS基底/形状関数でモデル化されていることで、当該メッシュの作成がCADからIGAシステムへの簡単な入力により容易になされるため、上記計測監視対象システムの統合一元化、効率化、産業化が可能となる。
【0021】
[統合化IGA-DFOSシステムの詳細]
はじめに、実施の形態1の統合化IGA-DFOSシステムの主要構成要素の詳細について説明する。実施の形態1の統合化IGA-DFOSシステムは、2つの主要構成部分である、FOセンシング技術に関わる部分と、ファイバメッシュ組込型IGA解析技術に関わる部分とで構成されている。
【0022】
前者のFOセンシング技術は、取得するデータにリアリティがあり、被測定体の部分的な現象を捉えることができるというメリットがあるが、現象の本質が直接反映されない可能性があるという課題もある。
【0023】
一方、後者のファイバメッシュ組込型IGA解析技術は、理論に基づく技術であり、被測定体の内部と外部全体を捉えることができるというメリットがある。また、現象の本質が究明できる可能性も持っている。
【0024】
実施の形態1の統合化IGA-DFOSシステムにおいては、これら2つの主要構成部分を融合して、それぞれの課題を解決しつつ、互いのメリットを同時に満たすシステムの実現が図られ、DFOSのリアルタイム分布センシング機能と高効率な数値解析モデル(解析モデルとも呼ぶ)であるファイバメッシュ組込型IGA解析モデルを統合したリモート構造モニタリングシステムが新たに開発された。
【0025】
すなわち、光ファイバメッシュモデル(以下、単にファイバメッシュモデルとも言う)の提案によるDFOS情報を含めるため、IGAツールを利用する。IGAツールで使用される解析モデルはCADから直接取得でき(CADで使用されている基底関数を形状関数として使用する)、初期条件と境界条件は、DFOSからリアルタイムおよびリモートで、直接または間接的に提供できる。
【0026】
[分布型光ファイバセンシング]
光ファイバセンサは、センサを多重化することなく、単一のファイバにより分布測定を実行できる。特に、歪の計測に用いられるTW-COTDRと呼ぶレイリー周波数シフトを利用する方式は、弾性散乱であるレイリー後方散乱現象(光が光ファイバを通過するときに生ずるファイバに沿ったランダムな屈折率変動による)を用いた方式であり、歪あるいは温度の変化がこのレイリー周波数シフトを引き起こす。そこで、相互相関を介して基準状態と参照状態との間で測定された周波数差を比較することにより、目的とするひずみ、あるいは温度を求める。なお、この方式では、高い分解能(cmオーダー)と安定した精度(0.1με未満)を実現している。
【0027】
[統合されたIGAおよびDFOSの定式化]
まず、IGAにおける座標系について説明する。IGAのような、単一パラメータ定式化では、主に、3つの座標系(空間)がある。1番目の空間は、ガウス積分点が定義されているガウス空間(範囲:-1~1)である。2番目の空間は、基底関数が評価されるパラメトリック空間である。IGAの用語では、NURBS形状の親要素と正規化ノットベクトルも表わす。2番目の空間は形状自体が存在する物理空間である。
【0028】
ガウス空間からパラメトリック空間への座標変換は、線形マッピング(式(1))に従う。
【数1】
【0029】
ここで、{ξi、ξi+1}は、ノットスパンであり、J(式(2))は、パラメトリック空間からガウス空間へのJacobian(ヤコビアン)である。パラメトリック曲線c(ξ)は、単変量基底関数Nと制御点座標Cの積によって定義される(式(3))。
【数2】
【数3】
【0030】
単一パラメータ定式化では、同じ基準を使用して変位、あるいは歪などの場を表せる。その場合、制御点座標Cは、制御パラメータに置き換えられる。例えば、変位場は、式(4)で表され、物理空間からパラメトリック空間までのJacobian(ヤコビアン)は、式(5)~式(7)で表される。
【0031】
【数4】
【数5】
【数6】
【数7】
【0032】
[BスプラインおよびNURBS基底関数]
基底関数は、形状の場と解の場の両方を表すために使用されるので、単一パラメータ定式化と、単一形状分析の重要な部分である。次数pの単変量Bスプライン基底関数は、Cox-de Boor再帰式によって定義される(式(8)参照)。
【数8】
【0033】
式(8)で、ξはパラメータ、ξはノットベクトルΞ={ξ、ξ、…、ξn+p+1}のi番目のノット値を表す。また、ノットベクトルはパラメトリック空間内の減少しない実数のセットである。なお、最初と最後のコントロールポイントは、物理ジオメトリと一致する。また、常に0から1の間の正規化されたノットが使用される。
【0034】
NURBS基底関数は円錐曲線の正確な表現を可能にするため、Bスプラインの投影変換によって形成される。単変量NURBS基底は式(9)で定義される。三変量NURBS基底関数は、単変量Bスプライン基底関数とそれぞれの重みのテンソル積として式(10)で定義される。
【0035】
【数9】
【数10】
【0036】
実際には、重み値は制御点に割り当てられ、基底関数の評価中に呼び出される。Bスプライン基底関数の一次導関数は、式(11)で定義される。NURBS基底関数の一次導関数は、式(12)で定義される。物理関数に関する導関数はJacobian(ヤコビアン)を使用して取得できる(式(13)参照)。
【0037】
【数11】
【数12】
【数13】
【0038】
要約すると、NURBS形状とその導関数を定義する場合には、基底関数、ノットベクトル、制御点座標、および重みベクトルの次数が必要である。NURBS基底関数には、以下に示す特質がある。
a)非負性。
b)単一性の分割(基底関数の合計が1になること)。
c)局所性(基底関数のサポートまたは影響が形状内の限られた領域にのみ及ぶこと)。
d)凸包(形状が常に制御多角形の内側にあること)。
e)アフィン共分散(形状が制御点と同じ方法で変換されること)。
【0039】
[IGA]
黙示的な弾性IGAは、基底関数と接続性、およびノードポイントの代わりに制御点を使用することを除いて、従来のFEMと同様である。本節では、固体構造の線形IGA定式化について簡単に説明する。
【0040】
仮想仕事の原理を使用して、定義域Ωの位置エネルギーは、式(14)で表される。形状関数(N)による定義域Ωの離散化後、歪分布は、変位場の導関数から導出されるひずみ-変位関係から式(15)で求められる。
【0041】
【数14】
【数15】
【0042】
ここで、Bはひずみ-変位行列であり、式(16)で表される。
【数16】
【0043】
また、応力σは材料行列Dの各項におけるひずみと構成要素の関係から導き出すことができる(式(17))。
【数17】
【0044】
また、位置エネルギーは式(18)で、最小エネルギーの定常状態は、離散化された変位に関する導関数を使用して、式(19)、式(20)のように取得できる。
【数18】
【数19】


【数20】
【0045】
最後に、要素の剛性行列と力のベクトルは、式(21)、式(22)のように書き表せる。
【数21】
【数22】
【0046】
グローバル剛性行列と力行列を組み立てた後、制御点での離散化された変位は、線形連立方程式のシステムで解くことができる(式(23)、式(24))。そして、ひずみと応力の分布は、上記の式(15)と式(17)から計算できる。
【数23】
【数24】

【0047】
[ファイバメッシュ(光ファイバメッシュ)]
光ファイバの形状は、光ファイバの質量と剛性が計測対象である構造システムにほとんど寄与しないと仮定して、3次元での単変量パラメトリックNURBS曲線として表すことができる。パラメトリックファイバ座標をξとして設定すると、物理座標x(以下ではグローバル座標xとも呼ぶ)はξの関数として式(25)から計算できる。そうすると、1次元の物理的なファイバ座標は、式(26)から導き出される曲線の弧長s(ξ)とみなせる。
【0048】
【数25】
【数26】
【0049】
以下で説明するファイバ歪の計算では、ファイバのサンプリングポイントでの接線ベクトルが必要となる。パラメータξでのファイバの単位接線ベクトルは、式(27)、及び式(28)で導出できる。ここで、2次の2次元NURBS曲線の一例を図2に示す。この図2では、4つの制御点(C~C)と接線ベクトルtが示されている。
【0050】
【数27】
【数28】
【0051】
[ひずみテンソルからファイバひずみへの変換]
式(24)の連立方程式を解くことにより、ファイバのひずみ分布は式(15)から求められる。1次元のファイバひずみを計算するため、ファイバが取付られた構造の表面のひずみテンソルをファイバのサンプリングポイントでの接線ベクトルとともに使用する。グローバル座標xに対応するサンプリングポイントSでの1次元ファイバひずみは、ファイバの接線方向にひずみテンソルを投影して計算できる(式(29)、式(30)参照)。
【0052】
【数29】
【数30】
【0053】
実際上は、ファイバひずみは単一点ひずみではなく、図3に示すように、2つの黒丸の点間の距離d(以降、長さdとも呼ぶ)にわたって平均化され、サンプリング位置lでの長さd(平均移動ウィンドウと同じ)にわたる移動平均ファイバひずみは式(31)、式(32)で表される。図3において、bはサンプリング間隔、長さdはサンプリング解像度でもある。
【0054】
【数31】
【数32】
【0055】
また、図4に、すべてのサンプリングポイントでの弾性応力解析とファイバひずみ計算をまとめたフローチャートを示す。
【0056】
[IGAとDFOSの利点]
統合されたIGAおよびDFOSの定式化の主な利点は、以下の通りである。
IGAでは、効率化されたCAE業務の流れのために、構造および光ファイバのCADデータをNURBS制御点およびノットベクトルの形式で使用できる。既存の簡潔な幾何学的アルゴリズムを分析コードに実装して効率的かつ正確な計算を行うこともできる。さらに、IGAの総自由度の観点から、解析メッシュサイズに関係なく、正確な形状を表現する能力と高効率が多くの研究者によって検証されている。
【0057】
DFOSは、歪ゲージと比較して、簡単な設定で分布ひずみデータを提供でき、高空間分解能、長距離(25km)、および24時間年中無休のリモート監視機能を備えている。レイリー後方散乱センサは、FBG(Fiber Bragg grating)センサより高い空間分解能を備えている。ファイバメッシュは、ファイバの形状と測定情報のみが入力として必要とされるため、ファイバ歪センサのタイプには依存しない。ファイバメッシュと逆解析法(後程、詳細に説明)を使用して、変形、荷重、応力、ひずみ分布などのリアルタイムの構造の状態を観察されたファイバ歪データから推測可能である。
【0058】
新たに開発されたリモート構造モニタリングシステムの具体的な内容は以下の3項目にまとめられる。
光ファイバの線上における(部分的な)分布型の計測された歪を、ファイバメッシュ組込型IGA解析モデルに入力して、全体現象を順解析する技術を開発した。なお、従来、光ファイバによって計測されたデータは、理論的な数値解析結果を検証するためだけに利用されていた。
ファイバメッシュ組込型IGA解析に必要な負荷条件、境界条件、および欠陥・材料の劣化を未知数として設定して、分布型の計測された歪に合致するように、逆解析する技術の開発(DFOSひずみデータから未知の境界条件などを推定)。
ファイバメッシュ組込型IGA解析ツールは、変位場の接続連続性(記号C1で示す。以下同様)の技術を利用するため、光ファイバの敷設特性の1つである接線の連続性(C1)と合致しており、要素技術としての精度保証がなされる。なお、従来の有限要素法では、変位場の連続性(記号C0で示す。以下同様)は保証されているが、接線の連続性(C1)は保証されていない(図2参照。ここで、従来の有限要素法では、与えられる点は図2に示す点C、点C、点C、点Cの4点であり、変位場の連続性は、これら4点で実現されるが(図2に示す、点Cと点C間、点Cと点C間、点Cと点C間の直線で実現される)、点Cと点C間を結ぶ曲線は、元元与えられていない。一方、新たに開発したファイバメッシュ組込型IGA解析モデルでは、図2中の点Cと点C間を結ぶ曲線がNURBSモデルにより与えられるため(NURBSモデルでは、点C、点C、点C、点Cは制御点とも呼ばれる)、この曲線の点Cと点C間での任意の点での接線が存在する(図2中、代表点での接線ベクトルtを参照)。つまり、接線の連続性を有している。このため、与えるべき点は最少、点Cと点Cだけで済むため、点の設定時間が有限要素法に比べて短縮される)。
【0059】
また、上述の実施の形態1の統合化IGA-DFOSシステムの効果は、以下のように纏められる。
設計段階からの光ファイバの敷設法に関して、解析モデルを含むCADツールによる一元化された実現手法を確立したことで、シームレスな解析モデルを構築することができる。
リアルタイムの光ファイバによる遠距離計測情報から、光ファイバが直接、敷設されていない監視対象の内部、あるいは接触など理論予測できない変形・荷重の情報を解析することができる。
監視対象物の時間推移データを収集することにより、監視対象物の変化、あるいは余寿命の推測が可能である。
監視対象物の補修による改善効果、地震などの意外イベントによる関心対象物の情報変化をアップデートできる。
【0060】
[実施例]
次に、弾性応力・ひずみ解析について、統合されたIGAとDFOSを使用した、上記提案の定式化の適用例を、円筒パイプを用いた実験モデルにより説明する。
【0061】
[円筒パイプを用いた実験]
開発した手法を検証するため、外径300mm、長さ254mmで肉厚5mmの塩化ビニル製の円筒パイプ(ヤング率:2.8GPa、ポアソン比0.38)に変形を生じさせ、発生する歪を計測する実験を行った。この実験に用いた実験装置について、まず説明する。
【0062】
図5A図5Bに供試された実験装置の模式図を示す。図5Aに示すように、塩化ビニル製の円筒パイプ1の内周中央位置に、長さが当該円筒の直径相当のねじ棒2を設置するとともに、当該円筒の外周に、外側をテープで保護した光ファイバ3を、ピッチlpが33mmで4回、螺旋状に巻回する。この光ファイバの円筒表面上での座標位置(ファイバ座標)は、後でシミュレーションに使用するため、マークされている。なお、光ファイバの両端は、それぞれ、分布演算型光ファイバ計測装置4の入力端子、出力端子に接続される。
【0063】
また、図5Bに示すように、上記円筒パイプ1の中央部分(円筒パイプの直径位置)に設置されているねじ棒2を回転させて、円筒パイプ1に荷重が加えられる。この際、円筒パイプ内周部分に設けられた一対の長方形の梁5によって、パイプの長さ方向に荷重が分布するようになされている。また、ねじ棒2の設置位置に対応する当該円筒パイプ1の外周部分に設けられている2つのダイヤルゲージ6により、荷重によって生じたトータルの変位が測定される。また、正確で空間分解能に優れたレイリー後方散乱光を使用する供試の分布演算型光ファイバ計測装置4により、円筒に分布する歪(DFOSひずみ)が計測される。1cm間隔で光ファイバの歪を計測するため、特に、TW-COTDR計測モードが使用された。
【0064】
次に、実験手順について説明する。
実験は、円筒パイプの変形に対する光ファイバ歪の応答を確認するため、M1からM5と名付けられた5つの変位のケースに対して実行された。具体的な変位の値は、M1:172μm、M2:308μm、M3:534μm、M4:755μm、M5:887μm、である。また、実験のパラメータとしてのファイバ歪のサンプリング間隔は1cm、ファイバ歪測定の移動平均距離で定義される空間分解能は2cm、歪の再現性は±1μεである。
【0065】
実験前に、パイプの最小の変形下における参照ひずみ分布が取得される。次に、ねじ棒2を回転させて一定量(1ストローク)の変位を加える。正味の変位は、上記2つのダイヤルゲージの読み取り値の平均として算出される。変位により、円筒パイプが楕円形に変形し、光ファイバによって1D(一次元)歪として検出される。測定された歪は、真の値を得るため、参照ひずみの値が差し引かれる。光ファイバの歪が記録された後、上記ストロークを増加させ、プロセスが繰り返され、全ての荷重ケースの光ファイバの歪が所得される。
【0066】
[光ファイバの歪測定]
円筒パイプが楕円形に変形するため、光ファイバの歪は、ファイバ座標に対して、正の値(引張ひずみ)と負の値(圧縮ひずみ)の間を振動する波形となった。そこで、円筒パイプの変形の大きさに対する光ファイバ歪について、光ファイバの最大ひずみの値と円筒パイプの変位値をプロットし、図6に示す。図6より、光ファイバの歪は円筒パイプの変位値に対して線形に変化しているといえる。これより、数値解析シミュレーションで線形モデルを使用してよいと言える。
【0067】
[理想化された境界条件を使用した順IGAシミュレーション]
円筒パイプと光ファイバのモデルを単純な境界条件を用いて順IGAでシミュレーションし、シミュレーション結果を実験データと比較する。
【0068】
そこで、まず、形状(ジオメトリ)と解析メッシュについて、以下説明する。
供試の円筒パイプのNURBS形状は、3変量の2次関数と81個の制御点を使用して作成され、中空の円筒を正確に表現した。この標準構造では、円周に沿って3本のC0連続線が導入され、基底関数は、他の全ての箇所でC1連続であり、解析に適している。
【0069】
また、より細かいメッシュを作成して解析精度を上げるため、ノット挿入を使用したh洗練(リファインメント)が実行された。この洗練は、形状を変更せず、解析メッシュは、611個のノット要素(ノットスパン)と2205個の制御点で構成された。
さらに、付随するファイバ形状として、単変量の2次関数と33個の制御点を使用して螺旋曲線が作成された。
【0070】
最初に境界条件に付いて説明する。NURBS形状の制御点は補間ではないため、制御点の変位は、形状の実際の変位とは異なる。与えられた変位分布に必要な制御点変位は、内挿法またはフィッティング法を使用して導き出される。ただし、補間可能なC0連続領域がある場合には直接適用が可能である。円筒パイプモデルのシミュレーションでは、パイプ内面に沿って均一な変位が適用された(X=Y=Z=0ではUx=Uy=Uz=0。X=Y=0、Z=ZではUx=Uy=0。)。また、形状は制御点で補間されるため、変位値は制御点に直接、適用された。
【0071】
次に、シミュレーションした結果と実験で得たデータとを比較する。
図7Aに、荷重ケース3(ケースM3)の場合の、ファイバの歪分布のシミュレーション結果と実験データを重畳したグラフを示す。図7Bに、図7A中に示した座標A~Eの円筒状での対応する位置を示した。この図7Aから、シミュレーション結果の傾向は、ピーク値を除き、実験データに厳密に従っていることがわかる。
【0072】
なお、シミュレーション結果のピーク値が実験データより大きな値を示しているのは、シミュレーションにおいて、理想的な集中荷重を仮定していることにあると考えられる。また、シミュレーションにおいて均一と仮定された荷重分布が、均一でなかった可能性がある。なお、荷重ケース4の場合も同様の傾向が見られた。
【0073】
[逆IGAを使用した境界条件の推定]
記節では、シミュレーションが、引張側のファイバひずみを過大に予測した。シミュレーションの値と実験データの不一致は、これらの間での異なる境界条件に起因する可能性があることを前節で指摘した。実際の現場においては、境界条件が不明な場合がよくある。一方で、荷重は、構造と安全性を決定するための重要なパラメータであることから、利用可能なファイバ歪データから境界条件を推定する数値的手法は有益であると思われる。そこで、この手法について以下説明する。

【0074】
結論から言えば、上記境界条件は、最適化アプローチを使用して、観測されたファイバひずみとシミュレーションされたファイバ歪の間の誤差を最小化することによって、推定可能できる。既知の実験データであるファイバひずみから未知の変数である境界条件を推定するこの手法は、逆IGAと称される。そして、次に、推定された境界条件を順シミュレーションで使用して、変位と応力の分布を取得できる。
【0075】
そこで、次に、円筒パイプモデルを用いた境界条件の推定について説明する。ここでは、上述の円筒パイプモデルを使用して、上記の逆IGA法について説明する。円筒パイプに沿った未知の荷重は、長方形の棒と接触している円筒パイプの表面領域の圧力分布として定義される(図8A参照)。円筒パイプの長さ方向(Z方向)に沿った圧力の変化は、図8Bに示すように、パラメータとして5つの係数を持つ2次Bスプライン関数で表される。最適化を使用してファイバ歪を適合させるため、目的関数Eは、ファイバに沿った各サンプリング点で観測されたファイバ歪と計算されたファイバ歪間の誤差の2乗の合計として定義される(式(33)参照)。
【0076】
【数33】
【0077】
この式でεは、式(31)で定義されている移動平均ファイバ歪を指す。目的関数Eは、図8Bの圧力分布関数の最適化パラメータpに関して最小化され、最小2乗化されて最適な解が得られる。なお、最適化の終了基準は、連続する反復計算間での差の値であるΔEが10-4με未満である。
【0078】
次に、逆IGA法でのシミュレーション結果について説明する。まず、図9に荷重ケース3からの入力ファイバひずみによる最適化された圧力分布の結果を示す。この図より、圧力分布は一定値ではなく、パイプの中央部分の圧力が高いことが判る。
【0079】
また、最適化されたファイバ歪のシミュレーション結果を図10に示す。この図より、図7の場合と比較して、シミュレーション結果と実験データの差は小さくなっており、両者の一致度は、より高くなっていることが判る。
【0080】
逆IGA法による効果を数値的に評価した結果を図11に示す。この表から、光ファイバひずみの誤差は、2乗平均平方根、および最大偏差のいずれの値も、逆IGA法が順解析法と比較して約1/2となっており、逆IGA法が有効であることが判る。
なお、上述の逆IGA法は、歪測定用光ファイバだけではなく、他のセンサである圧力センサ、あるいは温度センサとの組合せによる観測データの解析にも同様に適用可能である。
【0081】
本願は、例示的な実施の形態が記載されているが、実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合が含まれるものとする。具体的には、非一様有理Bスプライン基底関数でのモデル化はCADツールを用いて作成されることを前提として説明したが、設計段階からの光ファイバの敷設法に関して、解析モデルを含む別のツールにより一元化された手法であって、シームレスな解析モデルを構築することができるものであれば、CADツールに限るものではない。
【符号の説明】
【0082】
1 円筒パイプ、2 ねじ棒、3 光ファイバ、4 分布演算型光ファイバ計測装置、5 梁、6 ダイヤルゲージ
図1
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