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特許7570756回折格子導光板用モールドの製造方法および回折格子導光板の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】回折格子導光板用モールドの製造方法および回折格子導光板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20241015BHJP
   G02B 5/18 20060101ALI20241015BHJP
【FI】
H01L21/30 502D
G02B5/18
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023068780
(22)【出願日】2023-04-19
(62)【分割の表示】P 2020536666の分割
【原出願日】2019-06-18
(65)【公開番号】P2023086835
(43)【公開日】2023-06-22
【審査請求日】2023-04-24
(31)【優先権主張番号】10-2018-0070583
(32)【優先日】2018-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ウン・キョ・ホ
(72)【発明者】
【氏名】ソン・ホ・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】チュン・ワン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ブ・ゴン・シン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ホ・パク
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・ファン・ユン
(72)【発明者】
【氏名】ソ・ヨン・チュ
【審査官】今井 彰
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06379573(US,B1)
【文献】特開2015-093399(JP,A)
【文献】米国特許第04309267(US,A)
【文献】特開2001-352171(JP,A)
【文献】特開2017-162999(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 1/00-1/86
H01L 21/027、21/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ独立した領域に形成された第1開口および第2開口を含む第1マスクフィルムを用意するステップと、
モールド用基材の一面上に前記第1マスクフィルムを付着させ、前記第1開口のみを開放した後、前記第1マスクフィルムが付着したモールド用基材を、メッシュ部が上面に備えられたファラデーケージ内に位置させ、プラズマエッチングを用いて、前記第1開口によって露出した前記モールド用基材の一面の第1領域上に第1パターン部を形成するステップと、
前記第2開口のみを開放した後、プラズマエッチングを用いて、前記第2開口によって露出した前記モールド用基材の一面の第2領域上に第2パターン部を形成するステップと、
一領域に第3開口が形成された第2マスクフィルムを用意し、前記モールド用基材の一面上から前記第1マスクフィルムを除去するステップと、
前記モールド用基材の一面上に前記第2マスクフィルムを付着させ、プラズマエッチングを用いて、前記第3開口によって露出した前記モールド用基材の一面の第3領域上に第3パターン部を形成するステップと、を含み、
前記第1マスクフィルムは、第1基材と、前記第1基材の一面上に備えられる第1粘着層とを含み、前記第1基材のガラス転移温度は、70℃以上100℃以下であり、前記第1粘着層の粘着力は、30gf/in以上50gf/in以下であり、
前記第2マスクフィルムは、第2基材と、前記第2基材の一面上に備えられる第2粘着層とを含み、前記第2基材のガラス転移温度は、230℃以上350℃以下であり、前記第2粘着層の粘着力は、30gf/in以上80gf/in以下である、回折格子導光板用モールドの製造方法。
【請求項2】
前記第1マスクフィルムは、第4開口を追加的に含み、
前記第4開口のみを開放した後、プラズマエッチングを用いて、前記第4開口によって露出した前記モールド用基材の一面の第4領域上に第4パターン部を形成するステップをさらに含む、請求項1に記載の回折格子導光板用モールドの製造方法。
【請求項3】
前記第1パターン部を形成するステップは、
前記モールド用基材の一面を前記ファラデーケージの底面に傾斜して位置させ、プラズマエッチングを行って傾斜パターン部を形成することを含む、請求項1または2に記載の回折格子導光板用モールドの製造方法。
【請求項4】
前記第2パターン部を形成するステップは、
前記モールド用基材の一面を前記ファラデーケージの底面に傾斜して位置させ、前記メッシュ部の少なくとも一部をシャッタを用いて遮蔽した後、プラズマエッチングを行って深さ勾配を有する傾斜パターン部を形成することを含む、請求項1からのいずれか一項に記載の回折格子導光板用モールドの製造方法。
【請求項5】
前記第3パターン部を形成するステップは、
前記モールド用基材の一面を前記ファラデーケージの底面に平行に位置させ、前記メッシュ部の少なくとも一部をシャッタを用いて遮蔽した後、プラズマエッチングを行って深さ勾配を有するパターン部を形成することを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の回折格子導光板用モールドの製造方法。
【請求項6】
前記第4パターン部を形成するステップは、
前記モールド用基材の一面を前記ファラデーケージの底面に平行に位置させ、プラズマエッチングを行うことを含む、請求項に記載の回折格子導光板用モールドの製造方法。
【請求項7】
前記シャッタは、前記メッシュ部の20%以上80%以下の領域を遮蔽する、請求項またはに記載の回折格子導光板用モールドの製造方法。
【請求項8】
前記第1基材の厚さは、30μm以上50μm以下であり、
前記第1粘着層の厚さは、5μm以上20μm以下である、請求項1からのいずれか一項に記載の回折格子導光板用モールドの製造方法。
【請求項9】
前記第2基材の厚さは、30μm以上70μm以下であり、
前記第2粘着層の厚さは、5μm以上20μm以下である、請求項1から8のいずれか一項に記載の回折格子導光板用モールドの製造方法。
【請求項10】
前記メッシュ部は、0.5Ω/□以上の面抵抗を有する、請求項1からのいずれか一項に記載の回折格子導光板用モールドの製造方法。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の方法で製造された回折格子導光板用モールドを用意するステップと、
前記回折格子導光板用モールドのパターン部が形成された一面上に樹脂組成物を塗布するステップと、
前記樹脂組成物を硬化させるステップと、を含む回折格子導光板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、2018年6月20日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2018-0070583号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本発明に組み込まれる。
【0002】
本発明は、回折格子導光板用モールドを効率的に製造する方法および回折格子導光板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
最近、拡張現実(AR:Augmented Reality)、複合現実(MR:Mixed Reality)、または仮想現実(VR:Virtual Reality)を実現するディスプレイユニットへの関心が高まるにつれ、これを実現するディスプレイユニットに関する研究が活発に行われる傾向にある。拡張現実、複合現実、または仮想現実を実現するディスプレイユニットは、光の波動的性質に基づく回折現象を利用する回折格子導光板を備えている。回折格子導光板は、入射する光を内部反射または内部全反射させて、回折格子導光板に入射した光を一地点にガイドできる回折格子パターンを含んでいる。
【0004】
このような回折格子導光板は、回折格子導光板に光が入射する第1領域と、回折格子導光板に入射した光が抽出される第2領域とを含んでおり、第1領域および第2領域それぞれには回折格子パターンが備えられている。さらに、第1領域から第2領域に光を誘導する第3領域と、第3領域から第2領域により光を効果的に誘導できる第4領域とを含む回折格子導光板が開発されている。この時、第3領域および第4領域それぞれには回折格子パターンが備えられる。
【0005】
前記のような回折格子導光板を製造するために多様な方法が利用されており、一般的に、モールドを用いたインプリンティング方法により回折格子導光板を製造している。回折格子導光板用モールドを製造するために、マスクエッチング工程を用いることができる。この時、目的の回折格子パターンが備えられた回折格子導光板を製造するために用いられるモールド基材には、形態が異なる回折格子パターンが備えられる。ただし、形態が異なる回折格子パターンを形成するマスクエッチング条件は異なり、それぞれの回折格子パターンを形成する度にマスクフィルムを取り替えなければならない問題がある。
【0006】
また、マスクエッチング工程中に、モールド基材に備えられたマスクフィルムが熱変形するか、マスクフィルムとモールド基材との付着力が適切でない場合、モールド基材にダメージが発生する問題がある。
【0007】
そこで、モールド基材上に回折格子パターンを効果的に形成できる技術が必要なのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、回折格子導光板用モールドを効率的に製造する方法および回折格子導光板の製造方法を提供しようとする。
【0009】
ただし、本発明が解決しようとする課題は上述した課題に制限されず、言及されていないさらに他の課題は下記の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施態様は、それぞれ独立した領域に形成された第1開口および第2開口を含む第1マスクフィルムを用意するステップと、モールド用基材の一面上に前記第1マスクフィルムを付着させ、前記第1開口のみを開放した後、前記第1マスクフィルムが付着したモールド用基材を、メッシュ部が上面に備えられたファラデーケージ内に位置させ、プラズマエッチングを用いて、前記第1開口によって露出した前記モールド用基材の一面の第1領域上に第1パターン部を形成するステップと、前記第2開口のみを開放した後、プラズマエッチングを用いて、前記第2開口によって露出した前記モールド用基材の一面の第2領域上に第2パターン部を形成するステップと、を含み、前記第1マスクフィルムは、第1基材と、前記第1基材の一面上に備えられる第1粘着層とを含み、前記第1基材のガラス転移温度は、70℃以上100℃以下であり、前記第1粘着層の粘着力は、30gf/in以上50gf/in以下である回折格子導光板用モールドの製造方法を提供する。
【0011】
また、本発明の他の実施態様は、前記回折格子導光板用モールドの製造方法による方法で製造された回折格子導光板用モールドを用意するステップと、前記回折格子導光板用モールドのパターン部が形成された一面上に樹脂組成物を塗布するステップと、前記樹脂組成物を硬化させるステップと、を含む回折格子導光板の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一実施態様に係る回折格子導光板用モールドの製造方法は、一面上に多様な形態のパターン部を含む回折格子導光板用モールドを効率的に製造することができる。
【0013】
本発明の効果は上述した効果に限定されるものではなく、言及されていない効果は本願明細書および添付した図面から当業者に明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A】本発明の一実施態様に係る第1開口および第2開口が備えられた第1マスクフィルムを示すものである。
図1B】第3開口が備えられた第2マスクフィルムを示すものである。
図1C】第1開口、第2開口および第4開口が備えられた第1マスクフィルムを示すものである。
図2A】本発明の一実施態様に係る第1パターン部を形成するステップを示すものである。
図2B】第2パターン部を形成するステップを示すものである。
図2C】第3パターン部を形成するステップを示すものである。
図2D】第4パターン部を形成するステップを示すものである。
図3】本発明の一実施態様に係るファラデーケージを撮影した写真である。
図4】本発明の一実施態様に係る回折格子導光板用モールドの製造方法により製造された回折格子導光板用モールドの一面を示すものである。
図5】本発明の実施例1で製造されたマスクフィルムをプラズマエッチング処理後に撮影した写真である。
図6】比較例3で製造されたマスクフィルムをプラズマエッチング処理後に撮影した写真である。
図7】比較例5で製造されたマスクフィルムをプラズマエッチング処理後に撮影した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本願明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0016】
本願明細書全体において、ある部材が他の部材の「上に」位置しているとする時、これは、ある部材が他の部材に接している場合のみならず、2つの部材の間にさらに他の部材が存在する場合も含む。
【0017】
本願明細書全体において使用される用語「~(する)ステップ」または「~のステップ」は、「~のためのステップ」を意味しない。
【0018】
本発明におけるファラデーケージは、導体からなる密閉空間を意味し、プラズマ内にファラデーケージを設けると、ケージの外表面にシース(sheath)が形成されて内部は電場が一定の状態に維持される。この時、ファラデーケージの上面をメッシュ部で形成すると、シースがメッシュ部の表面に沿って形成される。そのため、ファラデーケージを用いたプラズマエッチングを行う場合、メッシュ部の表面に水平に形成されたシースと垂直な方向に加速されたイオンは、ファラデーケージの内部に入射した後、入射する時の方向性を維持しながら基材まで到達して基材をエッチングする。さらに、本発明におけるファラデーケージ内部のモールド用基材の表面はメッシュ面に対して水平または傾いた状態で固定され、イオンはメッシュ面に垂直な方向に入射するので、モールド用基材の表面に対して垂直または傾いた方向へのエッチングが可能である。また、ファラデーケージは、上面が導電性を有するメッシュ部から構成された導電体ケージであってもよい。
【0019】
ファラデーケージを用いたプラズマエッチングの場合、メッシュ部を通過したイオンは、基材に向けて移動する間、ファラデーケージの内部に存在する中性粒子と衝突して運動エネルギーを失い、これによって、イオンの密度はメッシュ部の距離に反比例する傾向を有する。すなわち、イオンが入射するメッシュ部に近いほど高いエッチング速度を示し、メッシュ部から遠くなるほど低いエッチング速度を示す。
【0020】
本発明者らは、前述した特性を有するファラデーケージを用いて回折格子導光板用モールドを製造する方法を研究し、独立した4つの領域上にパターン部が備えられた回折格子導光板用モールドを効果的に製造できる方法を具体的に研究して、下記のような発明を開発するに至った。
【0021】
以下、本明細書についてさらに詳細に説明する。
【0022】
本発明の一実施態様は、それぞれ独立した領域に形成された第1開口および第2開口を含む第1マスクフィルムを用意するステップと、モールド用基材の一面上に前記第1マスクフィルムを付着させ、前記第1開口のみを開放した後、前記第1マスクフィルムが付着したモールド用基材を、メッシュ部が上面に備えられたファラデーケージ内に位置させ、プラズマエッチングを用いて、前記第1開口によって露出した前記モールド用基材の一面の第1領域上に第1パターン部を形成するステップと、前記第2開口のみを開放した後、プラズマエッチングを用いて、前記第2開口によって露出した前記モールド用基材の一面の第2領域上に第2パターン部を形成するステップと、を含み、前記第1マスクフィルムは、第1基材と、前記第1基材の一面上に備えられる第1粘着層とを含み、前記第1基材のガラス転移温度は、70℃以上100℃以下であり、前記第1粘着層の粘着力は、30gf/in以上50gf/in以下である回折格子導光板用モールドの製造方法を提供する。
【0023】
本発明の一実施態様に係る回折格子導光板用モールドの製造方法は、一面上に多様な形態のパターン部を含む回折格子導光板用モールドを効率的に製造することができる。
【0024】
図1Aは、本発明の一実施態様に係る第1開口および第2開口が備えられた第1マスクフィルムを示すものであり、図1Bは、第3開口が備えられた第2マスクフィルムを示すものであり、図1Cは、第1開口、第2開口、および追加的に第4開口が備えられた第1マスクフィルムを示すものである。具体的には、図1Aは、独立した領域上に第1開口H1および第2開口H2が形成された第1マスクフィルム200を示すものであり、図1Cは、独立した領域上に第1開口H1、第2開口H2および第4開口H4が形成された第1マスクフィルム200’を示すものである。また、図1Bは、一領域上に第3開口H3が形成された第2マスクフィルム300を示すものである。
【0025】
本発明の一実施態様によれば、前記第1マスクフィルムの領域上に第1開口および第2開口を形成する方法で、当業界で用いられる部材の裁断方法を制限なく利用可能である。例えば、目的の第1開口および第2開口の形状に沿って前記第1マスクフィルムをナイフで裁断するか、またはレーザを用いて裁断することができる。具体的には、裁断の効率および裁断の正確性を向上させるために、本発明では、レーザ裁断を用いて、前記第1マスクフィルム上に第1開口および第2開口を形成することができる。また、前述した方法と同様の方法により、前記第2マスクフィルムに第3開口を形成することができ、前記第1マスクフィルムに第4開口を追加的に形成することができる。
【0026】
本発明の一実施態様によれば、前記モールド用基材は、石英基板またはシリコンウエハであってもよい。プラズマエッチング、具体的には、誘導結合プラズマ反応性イオンエッチング装置(ICP-RIE)を用いたエッチング工程時、自己マスキング現象(self-masking mechanism)によってエッチング領域内に低い反射率を有する針状構造物が形成される問題が発生しうる。ただし、本発明の一実施態様によれば、前記モールド用基材として石英基板またはシリコンウエハを用いることにより、モールド用基材の一面上に第1パターン部から第4パターン部をエッチングする工程時に針状構造物が発生することを効果的に抑制することができる。
【0027】
本発明の一実施態様によれば、メッシュ部が上面に備えられたファラデーケージを用いて、前記モールド用基材の一面をプラズマエッチングすることにより、第1パターン部および第2パターン部を前記モールド用基材上に形成することができ、追加的に第3パターン部および第4パターン部を前記モールド用基材上に形成することができる。前記メッシュ部は、プラズマエッチング時、プラズマとの接触面で自由電子を引き寄せてシースを形成させることができる。また、前記メッシュ部は、導電性を有することができ、これによって正電荷を有するイオンを引き寄せて加速させることができる。さらに、前記メッシュ部は、前記ファラデーケージの一面に平坦に備えられ、屈曲部がある場合、屈曲部でのエッチング速度が局部的に異なり得る。
【0028】
本発明の一実施態様によれば、前記メッシュ部は、0.5Ω/□以上の面抵抗を有することができる。具体的には、前記メッシュ部の面抵抗は、0.5Ω/□以上100Ω/□以下であってもよい。既存のファラデーケージを用いて前記モールド用基材をプラズマエッチングする場合、ファラデーケージの位置ごとに高エッチング領域と低エッチング領域とが不規則に混在して、プラズマエッチングの正確度が低下する問題があった。これに対し、本発明の一実施態様によれば、前記メッシュ部の面抵抗を前述した範囲に調節することにより、プラズマエッチング時、ファラデーケージ内に高エッチング領域と低エッチング領域とを一定に形成することができる。すなわち、前記モールド用基材上に第1パターン部から第4パターン部を精密にエッチングすることができる。また、前記メッシュ部の面抵抗が前述した範囲内の場合、ファラデーケージの作製費用を節減しながらも、エッチング効率を向上させることができる。
【0029】
本発明の一実施態様によれば、前記メッシュ部は、金属メッシュ上にフッ化炭素ラジカルが吸着されたものであってもよい。具体的には、前記フッ化炭素ラジカルは、-CF、-CF、-CF、または-C(xは1~5の整数)であってもよい。より具体的には、前記ファラデーケージの前記メッシュ部は、プラズマエッチング時、Fラジカルによるエッチングおよび表面重合によってフッ化炭素ラジカルがメッシュ部に吸着される。また、前記メッシュ部は、金属のような導電性を有する物質上に前記フッ化炭素ラジカルが吸着されることにより、前記メッシュ部は、前述した範囲の面抵抗を保有することができる。
【0030】
本発明の一実施態様によれば、前記メッシュ部は、ステンレス材質のメッシュを用いることができる。具体的には、SUS304材質の#200(ピッチ125μm、ワイヤ径50μm、開口率36%)商用メッシュを用いることができる。ただし、メッシュ部の材質を限定するものではなく、前記メッシュ部は、Al、Cu、W、Ni、Fe、およびこれらの少なくとも2種を含む合金を材料とするものであってもよい。さらに、前記メッシュの孔隙率および格子の大きさは、エッチングの用途に応じて自由に調節可能である。
【0031】
図2Aは、本発明の一実施態様に係る第1パターン部を形成するステップを示すものであり、図2Bは、第2パターン部を形成するステップを示すものであり、図2Cは、第3パターン部を形成するステップを示すものであり、図2Dは、第4パターン部を形成するステップを示すものである。
【0032】
本発明の一実施態様によれば、前記第1パターン部を形成するステップは、第1マスクフィルムの第1開口のみを開放して、前記第1開口によって露出したモールド用基材の表面上に第1パターン部を形成することができる。第1開口および第2開口が形成された前記第1マスクフィルムにおいて、第1開口のみを開放させるために、第2開口を遮蔽させることができる。具体的には、第2開口上に重ね付けフィルムを付着させて、第2開口を遮蔽させることができる。前記重ね付けフィルムとして、前記第1マスクフィルムまたは第2マスクフィルムと同じものを適切な大きさに裁断して用いることができる。
【0033】
本発明の一実施態様によれば、前記第1パターン部を形成するステップは、前記モールド用基材の一面を前記ファラデーケージの底面に傾斜して位置させ、プラズマエッチングを行って傾斜パターン部を形成することを含むことができる。図2Aを参照すれば、前記第1パターン部を形成するステップは、傾斜面を有する支持台430上に前記モールド用基材100を位置させて、前記モールド用基材100の第1領域に対してプラズマ傾斜エッチングを行うことができる。これによって、前記モールド用基材の第1領域上に傾斜を有する第1パターン部を形成することができる。
【0034】
本発明の一実施態様によれば、前記ファラデーケージの底面に対する前記支持台の傾斜角は、0゜以上60゜以下、または35゜以上45゜以下であってもよい。前記支持台の傾斜角を調節することにより、前記第1パターン部の傾斜角を調節することができる。
【0035】
前記支持台の傾斜角を前述した範囲に調節することにより、前記第1パターン部の平均傾斜角を0゜~55゜、または30゜~40゜に調節することができる。例えば、前記支持台の傾斜角を35゜に調節する場合、前記第1パターン部の最小傾斜角は27゜、最大傾斜角は36゜、平均傾斜角は33゜に調節される。また、前記支持台の傾斜角を40゜に調節する場合、前記第1パターン部の最小傾斜角は32゜、最大傾斜角は40゜、平均傾斜角は36゜に調節される。
【0036】
本発明の一実施態様によれば、前記第2パターン部を形成するステップは、前記モールド用基材の一面を前記ファラデーケージの底面に傾斜して位置させ、前記メッシュ部の少なくとも一部をシャッタを用いて遮蔽した後、プラズマエッチングを行って深さ勾配を有する傾斜パターン部を形成することを含むことができる。
【0037】
従来のシャッタの備えられていないファラデーケージを用いてプラズマエッチングを実施する場合、ファラデーケージのメッシュ部からモールド用基材までの距離に応じてエッチング率が決定されて、エッチング率の変化幅を所望の水準に調節することができなかった。これに対し、本発明の一実施態様によれば、前記ファラデーケージのメッシュ部の一部をシャッタを用いて遮蔽することにより、シャッタで遮蔽された領域に隣接したエッチング領域において、メッシュ部からモールド用基材までの距離の増加に応じたエッチング率の変化幅を大きく調節することができる。すなわち、メッシュ部の一部をシャッタで遮蔽してエッチング率の変化幅を大きく調節することにより、深さ勾配を有する第2パターン部を前記モールド用基材の第2領域上に容易に形成することができる。
【0038】
具体的には、前記第2パターン部を形成するステップは、シャッタなしにプラズマエッチングを行って第2領域全体にパターンを形成し、メッシュ部の一部をシャッタで遮蔽しプラズマエッチングを行う方法により、目的とする水準の深さ勾配を有する第2パターン部を形成することができる。図2Bを参照すれば、第2パターン部を形成するステップは、傾斜面を有する支持台430上に前記モールド用基材100を位置させ、メッシュ部410の一部をシャッタ420で遮蔽した後、プラズマ傾斜エッチングを行う工程を含むことができる。これによって、前記モールド用基材の第2領域上に深さ勾配を有する傾斜パターン形態の第2パターン部を形成することができる。
【0039】
本発明の一実施態様によれば、前記回折格子導光板用モールドの製造方法は、一領域に第3開口が形成された第2マスクフィルムを用意し、前記モールド用基材の一面上から前記第1マスクフィルムを除去するステップと、前記モールド用基材の一面上に前記第2マスクフィルムを付着させ、プラズマエッチングを用いて、前記第3開口によって露出した前記モールド用基材の一面の第3領域上に第3パターン部を形成するステップと、をさらに含んでもよい。
【0040】
すなわち、第1開口および第2開口が備えられた第1マスクフィルムを用いて、前記モールド用基材の一面上に第1パターン部および第2パターン部を形成した後、第1マスクフィルムを前記モールド用基材の一面上から除去することができる。この後、第1パターン部および第2パターン部が備えられた前記モールド用基材の一面上に第2マスクフィルムを付着させ、プラズマエッチングを行って前記モールド用基材の一面上に第3パターン部を形成することができる。また、第1開口、第2開口および第4開口が備えられた第1マスクフィルムを用いて、前記モールド用基材の一面上に第1パターン部、第2パターン部および第4パターン部を形成した後、前記第2マスクフィルムを用いて前記モールド用基材の一面上に第3パターン部を形成することができる。
【0041】
本発明の一実施態様によれば、前記第3パターン部を形成するステップは、前記モールド用基材の一面を前記ファラデーケージの底面に平行に位置させ、前記メッシュ部の少なくとも一部をシャッタを用いて遮蔽した後、プラズマエッチングを行って深さ勾配を有するパターン部を形成することを含むことができる。具体的には、前記第3パターン部を形成するステップは、シャッタなしにプラズマエッチングを行って第3領域全体にパターンを形成し、メッシュ部の一部をシャッタで遮蔽し、プラズマエッチングを行う方法により、目的とする水準の深さ勾配を有する第3パターン部を形成することができる。図2Cを参照すれば、第3パターン部を形成するステップは、ファラデーケージ400の底面に平行に前記モールド用基材100を位置させ、メッシュ部410の一部をシャッタ420で遮蔽した後、プラズマ傾斜エッチングを行う工程を含むことができる。これによって、前記モールド用基材の第3領域上に深さ勾配を有する傾斜パターン形態の第3パターン部を形成することができる。
【0042】
本発明の一実施態様によれば、前記シャッタは、前記メッシュ部の20%以上80%以下の領域を遮蔽するものであってもよい。具体的には、前記シャッタは、前記メッシュ部の30%以上60%以下の領域、または40%以上60%以下の領域を遮蔽するものであってもよい。より具体的には、前記シャッタは、前記メッシュ部の50%領域を遮蔽するものであってもよい。また、前記シャッタは、前記メッシュ部の一定領域を連続的に遮蔽するものであってもよい。
【0043】
図3は、本発明の一実施態様に係るファラデーケージを撮影した写真である。具体的には、図3(a)は、シャッタが備えられていないファラデーケージのメッシュ部の面を撮影したイメージであり、図3(b)は、シャッタが備えられたファラデーケージのメッシュ部の面を撮影したイメージである。
【0044】
本発明の一実施態様によれば、前記シャッタは、アルミニウム酸化物材質であってもよいが、シャッタの材質を限定するものではなく、前記プラズマによってエッチングされない多様な材質のシャッタを用いることができる。
【0045】
本発明の一実施態様によれば、前記第1マスクフィルムは、第4開口を追加的に含み、前記回折格子導光板用モールドの製造方法は、前記第4開口のみを開放した後、プラズマエッチングを用いて、前記第4開口によって露出した前記モールド用基材の一面の第4領域上に第4パターン部を形成するステップをさらに含んでもよい。
【0046】
本発明の一実施態様によれば、前記第4パターン部を形成するステップは、前記モールド用基材の一面を前記ファラデーケージの底面に平行に位置させ、プラズマエッチングを行うことを含むことができる。図2Dを参照すれば、前記第4パターン部を形成するステップは、前記ファラデーケージ400の底面上に前記モールド用基材100を位置させ、プラズマエッチングして実質的に深さ勾配がない第4パターン部を形成する工程を含むことができる。本発明において、実質的に深さ勾配がないというのは、パターン部の深さ(高さ)が完全に同一であるか、またはパターン部が長さ5mmあたり20nm以下の深さ勾配を有し、パターン部全体において実質的に光学的物性が同一であることを意味することができる。
【0047】
図4は、本発明の一実施態様に係る回折格子導光板用モールドの製造方法により製造された回折格子導光板用モールドの一面を示すものである。図4を参照すれば、回折格子導光板用モールド1000の一面の第1領域上には深さ勾配を有さないものの傾斜した形態の第1パターン部P1が備えられ、第2領域上には深さ勾配を有し傾斜した形態の第2パターン部P2が備えられる。また、第3領域上には深さ勾配を有するものの傾斜しない第3パターン部P3が備えられ、第4領域上には深さ勾配を有さず傾斜しない形態の第4パターン部P4が備えられる。
【0048】
本発明の一実施態様によれば、前記第1パターン部の傾斜方向と前記第2パターン部の傾斜方向とは反対であってよい。前記第1パターン部と前記第2パターン部を形成する工程で、前記モールド用基材の一側と他側が位置する方向を調節して、前記パターン部の傾斜方向を変更することができる。また、前記第1パターン部と前記第2パターン部を形成する工程で、前記モールド用基材とファラデーケージの底面の傾斜方向を調節して、前記パターン部の傾斜方向を変更することができる。図2Aおよび図2Bを参照すれば、ファラデーケージのメッシュ部に隣接する位置にモールド用基材100の一側および他側を異なって位置させて、第1パターン部と第2パターン部の傾斜パターンの傾斜方向を互いに反対にすることができる。
【0049】
本発明の一実施態様によれば、前記第3パターン部の深さ勾配は、パターン部の長さ5mmあたり20nm超過40nm以下であってもよい。ただし、前記第3パターン部の深さ勾配を前述した範囲に限定するものではなく、回折格子導光板用モールドの設計事項によって前記深さ勾配を変更することができる。
【0050】
本発明の一実施態様によれば、前記第2パターン部は、パターンの始まる一側に位置したパターンの深さが約40nmであり、パターンの終わる他側に位置したパターンの深さが約350nmである深さ勾配を有することができる。ただし、前記第2パターン部の深さ勾配を前述した範囲に限定するものではなく、回折格子導光板用モールドの設計事項によって前記深さ勾配を変更することができる。
【0051】
本発明の一実施態様によれば、前記プラズマエッチングは、誘導結合プラズマ反応性イオンエッチング装置(ICP-RIE)を用いることができる。具体的には、前記プラズマエッチング工程は、誘導結合プラズマ反応性イオンエッチング装置の内部に、前記ファラデーケージを備えて行われるものであってもよい。また、前記プラズマエッチングは、ヘリコンプラズマ方式、ヘリカル共振プラズマ方式、電子共振プラズマ方式も適用可能である。
【0052】
本発明の一実施態様によれば、前記プラズマエッチングは、プラズマエッチング装置の出力を0.75kW以上4kW以下に調節することを含むことができる。具体的には、前記プラズマエッチング装置の出力は、0.75kW以上3kW以下、0.75kW以上1.5kW以下、または0.75kW以上1kW以下に調節される。前記プラズマエッチング装置の出力を前述した範囲に調節することにより、前記モールド用基材上に第1パターン部から第4パターン部をより精密に形成することができる。また、前記プラズマエッチング装置の出力が前述した範囲内の場合、前記モールド用基材のエッチング時に発生する針状構造物の形成をより抑制し、発生する針状構造物の大きさを著しく減少させることができる。
【0053】
本発明の一実施態様によれば、前記プラズマエッチングは、プラズマエッチング装置に反応性ガスおよび酸素ガスを含む混合ガスを10sccm以上75sccm以下で供給することを含むことができる。具体的には、プラズマエッチング装置に前記混合ガスを15sccm以上75sccm以下、25sccm以上70sccm以下、30sccm以上70sccm以下、40sccm以上60sccm以下、または45sccm以上55sccm以下で供給することができる。前記混合ガスの供給流量を前述した範囲に調節する場合、前記モールド用基材上に第1パターン部から第4パターン部を安定的に形成することができる。また、前記混合ガスの供給流量を前述した範囲に調節することにより、前記モールド用基材のエッチング時に発生する針状構造物の形成をより抑制し、発生する針状構造物の大きさを著しく減少させることができる。
【0054】
本発明の一実施態様によれば、前記反応性ガスは、プラズマエッチング時に用いる一般的な反応性ガスを使用することができる。例えば、SF、CHF、C、CF、およびClなどのガスを用いることができる。
【0055】
本発明の一実施態様によれば、前記混合ガスの総流量中の酸素ガス流量の含有量は、1%以上20%以下であってもよい。具体的には、前記混合ガスの総流量中の酸素ガス流量の含有量は、1%以上15%以下、1%以上10%以下、または1%以上5%以下であってもよい。前記混合ガス流量中の酸素流量の含有量が前記範囲内の場合、前記モールド用基材のエッチング時に発生する針状構造物の形成をより抑制し、発生する針状構造物の大きさを著しく減少させることができる。
【0056】
本発明の一実施態様によれば、前記モールド用基材上に第1パターン部を形成した後に第2パターン部から第4パターン部を形成するか、または前記モールド用基材上に第2パターン部から第4パターン部を形成した後に第1パターン部を形成することができる。
【0057】
以下、第1開口、第2開口および第4開口が備えられた第1マスクフィルムを中心に説明する。
【0058】
本発明の一実施態様によれば、前記第1マスクフィルムは、第1基材と、前記第1基材の一面上に備えられる第1粘着層とを含み、前記第1基材のガラス転移温度は、70℃以上100℃以下であり、前記第1粘着層の粘着力は、30gf/in以上50gf/in以下であってもよい。具体的には、前記第1基材のガラス転移温度は、80℃以上90℃以下、または85℃以上90℃以下であってもよい。また、前記第1基材の融点は、250℃以上300℃以下、または265℃以上290℃以下であってもよい。さらに、前記第1粘着層の粘着力は、25℃で、ステンレススチール304基材に対して、30gf/in以上50gf/in以下、35gf/in以上40gf/in以下、30gf/in以上37gf/in以下、または38gf/in以上45gf/in以下であってもよい。
【0059】
本発明の一実施態様によれば、前記第1基材として、前述したガラス転移温度および/または融点を保有するポリエチレンテレフタレート基材を用いることができる。また、前記第1粘着層として、前述した粘着力を保有するシリコーン系粘着層を用いることができる。
【0060】
本発明の一実施態様によれば、前記第1パターン部を形成するステップにおいて、前記モールド用基材の表面温度は、155℃以上165℃以下であってもよい。また、前記第4パターン部を形成するステップにおいて、前記モールド用基材の表面温度は、150℃以上160℃以下であってもよい。
【0061】
また、前記第2パターン部を形成するステップにおいて、前記モールド用基材の表面温度は、100℃以上150℃以下であってもよい。前記第2パターン部を形成するステップは、2回のプラズマエッチングにより行われる。シャッタが備えられていない状態で前記第2領域全体にパターン部を形成することができ、この時のモールド用基材の表面温度は、100℃以上115℃以下であってもよい。また、第2領域全体にパターンを形成した後、メッシュ部の一部をシャッタで遮蔽してプラズマエッチングを行うことができ、この時、シャッタによって遮蔽されないモールド用基材の表面温度は、130℃以上150℃以下であってもよい。
【0062】
したがって、前述したガラス転移温度および/または融点を保有する第1基材を含む第1マスクフィルムは、第1パターン部、第2パターン部および第4パターン部を形成するプラズマエッチング過程での熱衝撃に効果的に耐えることができる。また、前記第1粘着層の粘着力を前述した範囲に調節することにより、第1パターン部、第2パターン部および第4パターン部を形成するプラズマエッチング過程で、前記第1マスクフィルムがモールド用基材の一面から剥離されるのを防止することができる。さらに、前記第1粘着層の粘着力が前述した範囲内の場合、第1パターン部、第2パターン部および第4パターン部を形成する過程で、第1粘着層とモールド用基材との間に反応性ガスが浸透することを効果的に抑制することができ、第1粘着層とモールド用基材との間に気泡が発生することを抑制することができる。これによって、前記モールド用基材の一面にダメージが発生するのを効果的に防止することができる。また、前記第1粘着層の粘着力が前述した範囲内の場合、第1パターン部、第2パターン部および第4パターン部を形成する過程の完了後、第1マスクフィルムを剥離することが容易であり、熱衝撃を受けた第1マスクフィルムの剥離後にも、モールド用基材の一面上に粘着層の残留物が残ることを効果的に抑制することができる。
【0063】
本発明の一実施態様によれば、前記第1基材の厚さは、30μm以上50μm以下であり、前記第1粘着層の厚さは、5μm以上20μm以下であってもよい。具体的には、前記第1基材の厚さは35μm以上40μm以下、前記第1粘着層の厚さは10μm以上15μm以下であってもよい。前記第1基材の厚さを前述した範囲に調節することにより、第1マスクフィルムのハンドリングを容易に行うことができる。さらに、前記第1基材の厚さが前述した範囲の場合、第1パターン部、第2パターン部および第4パターン部を形成する過程で、前記第1マスクフィルムは、優れた熱衝撃性を維持することができる。
【0064】
また、前記第1粘着層の厚さを前述した範囲に調節することにより、第1マスクフィルムの剥離後にも、モールド用基材の一面上に粘着層の残留物が残ることを効果的に抑制することができる。さらに、前記第1基材および第1粘着層の厚さを前述した範囲に調節することにより、第1マスクフィルムの耐久性を向上させることができ、第1マスクフィルムの厚さによるシャドーイング現象が発生する程度を効果的に抑制することができる。
【0065】
本発明の一実施態様によれば、前記第2マスクフィルムは、第2基材と、前記第2基材の一面上に備えられる第2粘着層とを含み、前記第2基材のガラス転移温度は、230℃以上350℃以下であり、前記第2粘着層の粘着力は、30gf/in以上80gf/in以下であってもよい。具体的には、前記第2基材のガラス転移温度は、250℃以上320℃以下、280℃以上310℃以下、または285℃以上300℃以下であってもよい。また、前記第2基材の融点は、350℃以上450℃以下であってもよいし、具体的には、前記第2基材の融点は、370℃以上430℃以下、または390℃以上410℃以下であってもよい。さらに、前記第2粘着層の粘着力は、25℃で、ステンレススチール304基材に対して、30gf/in以上80gf/in以下、55gf/in以上65gf/in以下、50gf/in以上60gf/in以下、または65gf/in以上70gf/in以下であってもよい。
【0066】
本発明の一実施態様によれば、前記第2基材として、前述したガラス転移温度を保有するポリイミド基材を用いることができる。また、前記第2粘着層として、前述した粘着力を保有するシリコーン系粘着層を用いることができる。
【0067】
本発明の一実施態様によれば、前記第1基材および第2基材のガラス転移温度は、当業界で一般的に用いられる方法および装置を用いて測定することができる。
【0068】
本発明の一実施態様によれば、前記第3パターン部を形成するステップにおいて、前記モールド用基材の表面温度は、110℃以上200℃以下であってもよい。前記第3パターン部を形成するステップは、2回のプラズマエッチングにより行われる。シャッタが備えられていない状態で前記第3領域全体にパターン部を形成することができ、この時のモールド用基材の表面温度は、110℃以上130℃以下であってもよい。また、第3領域全体にパターンを形成した後、メッシュ部の一部をシャッタで遮蔽してプラズマエッチングを行うことができ、この時、シャッタによって遮蔽されないモールド用基材の表面温度は、180℃以上190℃以下であってもよい。
【0069】
したがって、前述したガラス転移温度および/または融点を有する第2基材を含む第2マスクフィルムは、第3パターン部を形成するプラズマエッチング過程での熱衝撃に耐えることができる。具体的には、前記第2基材のガラス転移温度および/または融点が前述した範囲内の場合、第2マスクフィルムによって保護される領域、すなわち第3領域以外の領域で前記モールド用基材がプラズマエッチングによってダメージを受けることを効果的に抑制することができる。
【0070】
また、前記第2粘着層の粘着力を前述した範囲に調節することにより、第3パターン部を形成するプラズマエッチング過程で、前記第2マスクフィルムがモールド用基材の一面から剥離されるのを防止することができる。さらに、前記第2粘着層の粘着力が前述した範囲内の場合、第3パターン部を形成する過程で、第2粘着層とモールド用基材との間に反応性ガスが浸透することを効果的に抑制することができ、第2粘着層とモールド用基材との間に気泡が発生することを抑制することができる。これによって、前記モールド用基材の一面にダメージが発生するのを効果的に防止することができる。また、前記第2粘着層の粘着力が前述した範囲内の場合、第3パターン部を形成する過程の完了後、第2マスクフィルムを剥離することが容易であり、熱衝撃を受けた第2マスクフィルムの剥離後にも、モールド用基材の一面上に粘着層の残留物が残ることを効果的に抑制することができる。
【0071】
本発明の一実施態様によれば、前記第2基材の厚さは、30μm以上70μm以下であり、前記第2粘着層の厚さは、5μm以上20μm以下であってもよい。具体的には、前記第2基材の厚さは45μm以上55μm以下、前記第2粘着層の厚さは5μm以上8μm以下であってもよい。前記第2基材の厚さを前述した範囲に調節することにより、第2マスクフィルムのハンドリングを容易に行うことができる。さらに、前記第2基材の厚さが前述した範囲の場合、第3パターン部の形成過程で、前記第2マスクフィルムは、優れた熱衝撃性を維持することができる。
【0072】
また、前記第2粘着層の厚さを前述した範囲に調節することにより、第2マスクフィルムの剥離後にも、モールド用基材の一面上に粘着層の残留物が残ることを効果的に抑制することができる。さらに、前記第2基材および第2粘着層の厚さを前述した範囲に調節することにより、第2マスクフィルムの耐久性を向上させることができ、第2マスクフィルムの厚さによるシャドーイング現象が発生する程度を効果的に抑制することができる。
【0073】
本発明において、プラズマエッチング工程におけるモールド用基材の表面温度は、温度検知テープを用いて測定することができる。例えば、モールド用基材の表面に温度検知テープを付着させた後、第1パターン部から第4パターン部を形成するプラズマエッチング工程条件でのモールド用基材の表面温度を測定することができる。
【0074】
本発明の一実施態様に係る回折格子導光板用モールドの製造方法は、パターン部の形成効率を向上させることができる最適な第1マスクフィルムおよび第2マスクフィルムを用いて、回折格子導光板用モールドの作製時間および費用を効果的に節減することができる。また、前記回折格子導光板用モールドの製造方法は、第1マスクフィルムおよび第2マスクフィルムである2つのマスクフィルムを用い、たった1回の取り替え過程により回折格子導光板用モールドを製造できるという工程上の利点がある。
【0075】
さらに、本発明の一実施態様によれば、第2開口と第3開口がそれぞれ独立した領域に形成された第3マスクフィルム、および第1開口と第4開口がそれぞれ独立した領域に形成された第4マスクフィルムを用いて、前記回折格子導光板用モールドを製造することもできる。
【0076】
この時、第3マスクフィルムの第2開口および第3開口と第4マスクフィルムの第1開口および第4開口は、前記第1マスクフィルムおよび第2マスクフィルムの第1開口から第4開口が形成された位置と対応する位置に形成されるものであってもよい。また、前記第3マスクフィルムは、前記第1マスクフィルムと同じ種類を用いることができ、前記第4マスクフィルムは、前記第2マスクフィルムと同じ種類を用いることができる。
【0077】
本発明の他の実施態様は、前記回折格子導光板用モールドの製造方法による方法で製造された回折格子導光板用モールドを用意するステップと、前記回折格子導光板用モールドのパターン部が形成された一面上に樹脂組成物を塗布するステップと、前記樹脂組成物を硬化させるステップと、を含む回折格子導光板の製造方法を提供する。
【0078】
本発明の一実施態様によれば、前記樹脂組成物は、当業界で一般的に用いられる樹脂組成物であれば制限なく使用可能である。さらに、前記樹脂組成物を塗布するステップは、スピンコーティング、ディップコーティング、ドロップキャスティングなどの当業界で一般的に用いられるコーティング方法を利用して行われる。また、前記樹脂組成物を硬化させる方法は、当業界で一般的に用いられる硬化方法を制限なく使用可能である。一例として、光硬化性樹脂組成物を用いる場合には、光硬化方法を利用することができ、熱硬化性樹脂組成物を用いる場合には、熱硬化方法を利用することができる。
【0079】
本発明の一実施態様によれば、前記製造された回折格子導光板は、光が入射する第1領域DOE1上に備えられたパターン部と、入射した光が拡散しながら移動する第2領域DOE2上に備えられたパターン部と、移動した光が抽出される第3領域DOE3上に備えられたパターン部と、前記第2領域から移動する光を第3領域に誘導する第4領域DOE2-2上に備えられたパターン部とを含むことができる。図4を参照すれば、前記製造された回折格子導光板のDOE1上に備えられたパターン部は、前記回折格子導光板用モールド1000の第1パターン部P1に対応することができる。また、前記回折格子導光板のDOE2上に備えられたパターン部は、前記回折格子導光板用モールド1000の第3パターン部P3に対応することができ、前記回折格子導光板のDOE2-2上に備えられたパターン部は、前記回折格子導光板用モールド1000の第4パターン部P4に対応することができる。さらに、前記回折格子導光板のDOE3上に備えられたパターン部は、前記回折格子導光板用モールド1000の第2パターン部P2に対応することができる。
【0080】
本発明の一実施態様によれば、前記回折格子導光板は、直接回折格子導光板として使用できる。また、前記回折格子導光板を中間モールドとして用いて、これを複製する方法で最終生産品を製造することもできる。具体的には、前記製造された回折格子導光板を中間モールドとしてさらに回折格子導光板を製造する場合、中間モールドとして用いられた回折格子導光板の格子パターンの傾きが反転したものを得ることができる。さらに、格子パターンの傾きが反転した回折格子導光板を中間モールドとして用いて回折格子導光板用モールドを製造した後、回折格子導光板を製造する場合、最初の回折格子導光板と同じ方向の格子パターンを実現することができる。
【0081】
[実施例]
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて詳細に説明する。しかし、本発明に係る実施例は種々の異なる形態に変形可能であり、本発明の範囲が以下に述べる実施例に限定されると解釈されない。本明細書の実施例は、当業界における平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0082】
マスクフィルムの用意
実施例1_第2マスクフィルム
基材として、ガラス転移温度が約280℃、融点が約390℃、厚さが約50μmのポリイミド(polyimide、PI)フィルムを用意した。また、粘着層として、厚さが約6μmのシリコーン系粘着フィルムを用意した。この後、PIフィルムの一面に粘着フィルムを付着させて、マスクフィルムを製造した。製造されたマスクフィルムを横2.54cm、縦30cmに裁断してサンプルを製造し、サンプルをステンレススチール304の一面に付着させた。この後、サンプルをASTM D3330の評価方法に基づいてステンレススチール304から剥離する時の力を測定し、約60gf/inであった。
【0083】
実施例2_第1マスクフィルム
基材として、ガラス転移温度が約85℃、融点が約280℃、厚さが約38μmのポリエチレンテレフタレート(polyethyleneterephthalate、PET)フィルムを用意した。また、粘着層として、厚さが約10μmのシリコーン系粘着フィルムを用意した。この後、PETフィルムの一面に粘着フィルムを付着させて、マスクフィルムを製造した。この後、前記実施例1と同様の方法で粘着層の粘着力を測定し、粘着層の粘着力は約40gf/inであった。
【0084】
比較例1
基材として、厚さが約25μmである前記実施例2のPETフィルムを用意し、粘着層として、厚さが約8μmのシリコーン系粘着フィルムを用意した。この後、PETフィルムの一面に粘着フィルムを付着させて、マスクフィルムを製造した。この後、前記実施例1と同様の方法で粘着層の粘着力を測定し、粘着層の粘着力は約25gf/inであった。
【0085】
比較例2
基材として、厚さが約25μmである前記実施例1のPIフィルムを用意し、粘着層として、厚さが約25μmのアクリレート系粘着フィルムを用意した。この後、PIフィルムの一面に粘着フィルムを付着させて、マスクフィルムを製造した。この後、前記実施例1と同様の方法で粘着層の粘着力を測定し、粘着層の粘着力は約70gf/inであった。
【0086】
比較例3
基材として、厚さが約25μmである前記実施例1のPIフィルムを用意し、粘着層として、厚さが約10μmのシリコーン系粘着フィルムを用意した。この後、PIフィルムの一面に粘着フィルムを付着させて、マスクフィルムを製造した。この後、前記実施例1と同様の方法で粘着層の粘着力を測定し、粘着層の粘着力は約10gf/inであった。
【0087】
比較例4
基材として、厚さが約25μmである前記実施例1のPIフィルムを用意し、粘着層として、厚さが約10μmのシリコーン系粘着フィルムを用意した。この後、PIフィルムの一面に粘着フィルムを付着させて、マスクフィルムを製造した。この後、前記実施例1と同様の方法で粘着層の粘着力を測定し、粘着層の粘着力は約80gf/inであった。
【0088】
比較例5
基材として、厚さが約50μmである前記実施例1のPIフィルムを用意し、粘着層として、厚さが約10μmのシリコーン系粘着フィルムを用意した。この後、PIフィルムの一面に粘着フィルムを付着させて、マスクフィルムを製造した。この後、前記実施例1と同様の方法で粘着層の粘着力を測定し、粘着層の粘着力は約10gf/inであった。
【0089】
プラズマエッチング工程での基材用モールドの表面温度の測定
メッシュ部の面抵抗が0.5605Ω/□、底面がステンレス(SUS304)プレートであるファラデーケージを用意した。そして、誘導結合プラズマ反応性イオンエッチング装置(ICP-RIE)(Oxford社のplasmaLab system100)内に前記ファラデーケージを備えた。
【0090】
モールド用基材として石英基板を用意し、石英基板の一面に温度検知テープを付着させた。
【0091】
第1パターン部形成ステップ
ファラデーケージ内に40゜の傾斜を有するアルミニウム材質の支持台を設けた後、支持台上に温度検知テープ付き石英基板を位置させた。この時、別途のシャッタを用いたメッシュ部の遮断はなかった。
【0092】
この後、ICP-RIE(Oxford社のplasmaLab system100)を用いてプラズマエッチングを行い、反応性ガスとして、OおよびCを5:45の比率で混合して50sccmの流速で供給した。また、エッチング条件として、ICP power2kW、RF power150W、作動圧力7~10mTorrにして4分間エッチングした。この時、温度検知テープで測定した石英基板の表面温度のうち最高温度は約160℃であった。
【0093】
第2パターン部形成ステップ
ファラデーケージ内に40゜の傾斜を有するアルミニウム材質の支持台を設けた後、支持台上に温度検知テープ付き石英基板を位置させた。この時、別途のシャッタを用いたメッシュ部の遮断はなかった。
【0094】
この後、前記第1パターン部形成ステップと同じ条件で反応性ガスを供給し、ICP power2kW、RF power150W、作動圧力7~10mTorrにして4分間エッチングした。この時、温度検知テープで測定した石英基板の表面温度のうち最高温度は約110℃であった。
【0095】
この後、石英基材の半分の領域がシャッタで遮蔽されるように、シャッタをメッシュ部に位置させた。前記第1パターン部形成ステップと同じ条件で反応性ガスを供給し、ICP power2kW、RF power150W、作動圧力7~10mTorrにして5分間エッチングした。この時、シャッタによって遮蔽されない石英基材の領域の表面温度のうち最高温度は約140℃であった。
【0096】
第3パターン部形成ステップ
ファラデーケージ内に温度検知テープ付き石英基板をファラデーケージの底面に位置させ、別途のシャッタを用いたメッシュ部の遮断はなかった。
【0097】
この後、前記第1パターン部形成ステップと同じ条件で反応性ガスを供給し、ICP power2kW、RF power150W、作動圧力7~10mTorrにして3分間エッチングした。この時、温度検知テープで測定した石英基板の表面温度のうち最高温度は約125℃であった。
【0098】
この後、石英基材の半分の領域がシャッタで遮蔽されるように、シャッタをメッシュ部に位置させた。前述した条件と同一に反応性ガスを供給し、ICP power2kW、RF power150W、作動圧力7~10mTorrにして7分間エッチングした。この時、シャッタによって遮蔽されない石英基材の領域の表面温度のうち最高温度は約190℃であった。
【0099】
第4パターン部形成ステップ
ファラデーケージ内に温度検知テープ付き石英基板をファラデーケージの底面に位置させ、別途のシャッタを用いたメッシュ部の遮断はなかった。
【0100】
この後、前記第1パターン部形成ステップと同じ条件で反応性ガスを供給し、ICP power2kW、RF power150W、作動圧力7~10mTorrにして4分間エッチングした。この時、温度検知テープで測定した石英基板の表面温度のうち最高温度は約155℃であった。
【0101】
マスクフィルムテスト(一般のICP-RIE)
誘導結合プラズマ反応性イオンエッチング装置(ICP-RIE)(Oxford社のplasmaLab system100)内に、温度検知テープ付き石英基材を位置させた。この後、反応性ガスとして、OおよびCを5:45の比率で混合して50sccmの流速で供給した。また、エッチング条件として、ICP power2kW、RF power150W、作動圧力7~10mTorrにして4分間エッチングした。この時、温度検知テープで測定した石英基板の平均表面温度は約235℃であることを確認した。
【0102】
実施例1~実施例2および比較例1~比較例5のマスクフィルムを用意し、マスクフィルムの所定領域に開口を形成した。この後、前記実施例1~実施例2および比較例1~比較例5のマスクフィルムがそれぞれ付着した石英基材サンプルを誘導結合プラズマ反応性イオンエッチング装置内に位置させ、前述した条件と同一にプラズマエッチング処理した。
【0103】
図5は、本発明の実施例1で製造されたマスクフィルムをプラズマエッチング処理後に撮影した写真である。具体的には、図5(a)は、プラズマエッチング処理後に実施例1で製造されたマスクフィルムを撮影した写真であり、図5(b)は、マスクフィルムを剥離した後の石英基材を撮影した写真である。図5(a)を参照すれば、実施例1で製造されたマスクフィルムの場合、プラズマエッチングによる基材の熱変形がなく、開口によって露出した石英基材付近に糊残り現象が発生しないことを確認した。また、図5(b)を参照すれば、プラズマエッチング処理後、実施例1のマスクフィルムが剥離された石英基材の表面に粘着層の残留物が残らないことを確認した。
【0104】
図6は、比較例3で製造されたマスクフィルムをプラズマエッチング処理後に撮影した写真である。図6を参照すれば、PI基材の厚さが約25μm、粘着層の粘着力が約10gf/inである比較例3で製造されたマスクフィルムの場合、基材に熱変形が生じてシワおよび気泡が発生したことを確認し、開口によって露出した石英基材の表面に糊残り現象が発生したことを確認した。
【0105】
図7は、比較例5で製造されたマスクフィルムをプラズマエッチング処理後に撮影した写真である。具体的には、図7(a)は、プラズマエッチング処理後に比較例5で製造されたマスクフィルムを撮影した写真であり、図7(b)は、マスクフィルムを剥離した後の石英基材を撮影した写真である。図7を参照すれば、粘着層の粘着力が約10gf/inである比較例5で製造されたマスクフィルムの場合、粘着層の粘着力に劣り、粘着層と石英基材との間にガスが浸透して石英基材にダメージが発生したことを確認し、マスクフィルムの角部分で糊残り現象が発生したことを確認した。
【0106】
また、本発明の実施例2、比較例1、比較例3および比較例4で製造されたマスクフィルムの場合、マスクフィルムに熱変形が発生したことを確認した。特に、アクリレート系粘着フィルムを用いた比較例2の場合には、粘着層が変性して、糊残り現象が多数発生したことを確認した。
【0107】
マスクフィルムテスト(ファラデーケージが備えられたICP-RIE)
メッシュ部の面抵抗が0.5605Ω/□、底面がステンレス(SUS304)プレートであるファラデーケージを用意した。そして、誘導結合プラズマ反応性イオンエッチング装置(ICP-RIE)(Oxford社のplasmaLab system100)内に前記ファラデーケージを備えた。
【0108】
実施例1のマスクフィルムテスト
実施例1のマスクフィルムを用意し、マスクフィルムの所定領域に開口を形成した。この後、前記実施例1のマスクフィルムを石英基材に付着させ、図2Aのようにファラデーケージ内に位置させた。
【0109】
この後、石英基材の半分の領域がシャッタで遮蔽されるように、シャッタをメッシュ部に位置させた。反応性ガスとして、OおよびCを5:45の比率で混合して50sccmの流速で供給し、ICP power2kW、RF power150W、作動圧力7~10mTorrにして7分間エッチングした。
【0110】
実施例1で製造されたマスクフィルムは、プラズマエッチングによる基材の熱変形がなく、開口によって露出した石英基材付近に糊残り現象が発生しないことを確認した。また、プラズマエッチング処理後、実施例1のマスクフィルムが剥離された石英基材の表面に粘着層の残留物が残らないことを確認した。
【0111】
実施例2のマスクフィルムテスト
実施例2のマスクフィルムを用意し、マスクフィルムの所定領域に開口を形成した。この後、前記実施例2のマスクフィルムを石英基材に付着させ、図2Dのようにファラデーケージ内に位置させた。
【0112】
この後、石英基材の半分の領域がシャッタで遮蔽されるように、シャッタをメッシュ部に位置させた。反応性ガスとして、OおよびCを5:45の比率で混合して50sccmの流速で供給し、ICP power2kW、RF power150W、作動圧力7~10mTorrにして5分間エッチングした。
【0113】
実施例2で製造されたマスクフィルムは、プラズマエッチングによる基材の熱変形がほとんどなく、開口によって露出した石英基材付近に糊残り現象が発生しないことを確認した。また、プラズマエッチング処理後、実施例2のマスクフィルムが剥離された石英基材の表面に粘着層の残留物が残らないことを確認した。
【0114】
したがって、実施例1のマスクフィルムを本発明の一実施態様に係る第2マスクフィルムとして用い、実施例2のマスクフィルムを本発明の一実施態様に係る第1マスクフィルムとして用いて、モールド用基材上に第1パターン部から第4パターン部を容易に形成できることが分かる。
【符号の説明】
【0115】
100:モールド用基材
200、200’:第1マスクフィルム
300:第2マスクフィルム
H1:第1開口
H2:第2開口
H3:第3開口
H4:第4開口
400:ファラデーケージ
410:メッシュ部
420:シャッタ
430:支持台
P1:第1パターン部
P2:第2パターン部
P3:第3パターン部
P4:第4パターン部
1000:回折格子導光板用モールド
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5
図6
図7