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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】洗浄装置及び加工装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20241015BHJP
【FI】
H01L21/304 644C
H01L21/304 621E
H01L21/304 622Q
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020186409
(22)【出願日】2020-11-09
(65)【公開番号】P2022076132
(43)【公開日】2022-05-19
【審査請求日】2023-09-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100206553
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 崇廣
(74)【代理人】
【識別番号】100189773
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 英哲
(74)【代理人】
【識別番号】100184055
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 貴之
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(72)【発明者】
【氏名】ポール ヴィンセント アテンディド
【審査官】平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-049131(JP,A)
【文献】特開2007-273607(JP,A)
【文献】特開平11-000625(JP,A)
【文献】特開2006-278592(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B08B 1/12
B08B 1/32
B08B 1/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハの周縁部を少なくとも3か所以上で保持しながら回転させる回転保持手段と、該回転保持手段で保持された該ウェーハを洗浄する洗浄手段と、を備えた洗浄装置であって、
該洗浄手段は、
該ウェーハの下面の中心部を含む領域に接触させて使用されるローラと該ローラを回転させる回転駆動源とを有する下面洗浄部と、
外周面に螺旋状の溝が形成され、回転させた該ウェーハの周縁部に接触させて使用される筒状の弾性部材を有する周縁洗浄部と、
を備え、
該弾性部材は、該ウェーハとは逆回転する洗浄装置。
【請求項2】
該弾性部材は、鉛直方向に沿って延在するとともに、該弾性部材と該ウェーハとの間に生じる摩擦力の作用によって該ウェーハとは逆回転しつつ、該ウェーハの周縁部の上面及び下面の一方を他方よりも集中的に洗浄する請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
該ウェーハの下面を吸引して保持するチャックテーブルと、
該チャックテーブルに保持された該ウェーハを加工する加工手段と、
該加工手段によって加工された該ウェーハを洗浄する請求項1又は2に記載の洗浄装置と、
を備える加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハを洗浄する洗浄装置及び洗浄装置を備える加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェーハ等のウェーハを薄化する装置として、ウェーハの一面を研削砥石で研削する研削装置が知られている。この研削装置によってウェーハを研削すると、ウェーハに研削痕が残存するとともに微細なクラックが形成されることがある。
【0003】
このような研削痕及びクラックを除去する装置として、ウェーハの一面をCMP(Chemical Mechanical Polishing)等により研磨する研磨装置も知られている。このように研削装置及び研磨装置等の加工装置を用いてウェーハを加工する場合、少なからず加工屑が発生し、この加工物がウェーハに付着することがある。
【0004】
そのため、ウェーハは、このような加工後に洗浄されることが多い。特に、シリコン貫通電極(TSV(Through-Silicon Via))及び裏面照射(BSI(Buck Side Illumination))型CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等の製造に用いられるウェーハに対しては、高い洗浄度が求められる。
【0005】
ウェーハの洗浄は、例えば、このウェーハの他面側がスピンナテーブルにおいて吸引保持された状態で、このスピンナテーブルが回転しながらウェーハの一面側に洗浄水を供給することによって行われる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2010-98093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のシリコン貫通電極及び裏面照射型CMOSセンサ等の製造工程においては、例えば、接着剤を介して2枚のウェーハが貼り合わせられる。そして、貼り合わせられた2枚のウェーハ(貼り合わせウェーハ)に対して各種の加工が行われる。例えば、貼り合わせウェーハのうち上側にあるウェーハ(上側ウェーハ)の周縁部が除去される(エッジトリムされる)ように貼り合わせウェーハを加工することがある。
【0008】
このように貼り合わせウェーハを加工すると、下側にあるウェーハ(下側ウェーハ)の周縁部の上面に設けられた接着剤が露出する。さらに、上側ウェーハの周縁部を切削する際に接着剤が伸ばされて加工後の上側ウェーハの周縁部の側面等に付着することもある。そのため、加工後の貼り合わせウェーハでは、周縁部(具体的には、下側ウェーハの周縁部の上面並びに加工後の上側ウェーハの周縁部の側面(外周面)等)に付着した接着剤を除去するための洗浄が必要になる。
【0009】
ウェーハの周縁部を洗浄するための洗浄装置としては、ウェーハを回転させながら、その周縁部を弾性部材に接触させて洗浄する洗浄装置が知られている。しかしながら、このような洗浄装置では、ウェーハの周縁部の側面(外周面)を洗浄できたとしてもウェーハの周縁部の上面又は下面を十分に洗浄することは困難である。
【0010】
この点に鑑み、本発明の目的は、ウェーハの周縁部の上面又は下面を強力に洗浄することが可能な洗浄装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一側面によれば、ウェーハの周縁部を少なくとも3か所以上で保持しながら回転させる回転保持手段と、該回転保持手段で保持された該ウェーハを洗浄する洗浄手段と、を備えた洗浄装置であって、該洗浄手段は、該ウェーハの下面の中心部を含む領域に接触させて使用されるローラと該ローラを回転させる回転駆動源とを有する下面洗浄部と、外周面に螺旋状の溝が形成され、回転させた該ウェーハの周縁部に接触させて使用される筒状の弾性部材を有する周縁洗浄部と、を備え、該弾性部材は、該ウェーハとは逆回転する洗浄装置が提供される。
【0012】
好ましくは、該弾性部材は、鉛直方向に沿って延在するとともに、該弾性部材と該ウェーハとの間に生じる摩擦力の作用によって該ウェーハとは逆回転しつつ、該ウェーハの周縁部の上面及び下面の一方を他方よりも集中的に洗浄する。
【0013】
本発明の他の側面によれば、該ウェーハの下面を吸引して保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された該ウェーハを加工する加工手段と、該加工手段によって加工された該ウェーハを洗浄する上記の洗浄装置と、を備える加工装置が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の洗浄装置においては、回転するウェーハの周縁部を弾性部材の螺旋状の溝(すなわち、それぞれが、貼り合わせウェーハからみて斜めに延在し、かつ、交互に配列された凹部及び凸部)が形成された外周面に接触させてウェーハの周縁部を洗浄することができる。
【0015】
この場合、弾性部材の外周面におけるウェーハの周縁部の上面又は下面との接触箇所が凹部から凸部に変化する際に、ウェーハの周縁部の上面又は下面が弾性部材によって強く擦られることになる。その結果、ウェーハの周縁部の上面又は下面を強力に洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1(A)は、ウェーハの一例を模式的に示す斜視図であり、図1(B)は、ウェーハの一例を模式的に示す断面図である。
図2図2は、ウェーハの周縁部を除去する様子を模式的に示す一部断面側面図である。
図3図3は、周縁部が除去されたウェーハを模式的に示す断面図である。
図4図4は、洗浄装置の一例を模式的に示す平面図である。
図5図5(A)は、保持ユニットの構成例を模式的に示す側面図であり、図5(B)は、下面洗浄部の構成例を模式的に示す図である。
図6図6は、周縁洗浄部の構成例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。図1(A)は、本実施形態の洗浄装置によって洗浄されるウェーハ(接着剤を介して貼り合わせられる2枚のウェーハ(貼り合わせウェーハ))の一例を模式的に示す斜視図であり、図1(B)は、このウェーハの一例を模式的に示す断面図である。
【0018】
図1(A)及び図1(B)に示される貼り合わせウェーハ1は、ウェーハ(下側ウェーハ)3と、下側ウェーハ3の上面に設けられる接着剤5と、接着剤5を介して下側ウェーハ3に貼り付けられるウェーハ(上側ウェーハ)7とを有する。
【0019】
下側ウェーハ3及び上側ウェーハ7は、例えば、シリコウェーハである。また、接着剤5は、例えば、アクリル系接着剤又はエポキシ系接着剤である。さらに、貼り合わせウェーハ1の表面(上側ウェーハ7の上面)側には、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Integration)又はCMOSセンサ等のデバイスが形成されていてもよい。
【0020】
また、貼り合わせウェーハ1には、シリコン貫通電極等の配線が設けられる開口又は溝が形成されていてもよい。また、貼り合わせウェーハ1においては、3つ以上のウェーハが接着剤を介して貼り合わせられていてもよい。
【0021】
なお、下側ウェーハ3及び上側ウェーハ7の材質、形状、構造及び大きさ等に制限はない。下側ウェーハ3及び上側ウェーハ7は、例えば、炭化シリコン等の他の半導体、セラミックス、樹脂又は金属等の材料でなっていてもよい。また、下側ウェーハ3の周縁部及び上側ウェーハ7の周縁部には、結晶方位を示すV形状の切り欠き(ノッチ)又は平部(オリエンテーションフラット)が形成されていてもよい。
【0022】
図2は、貼り合わせウェーハ1から上側ウェーハ7の周縁部を除去する(エッジトリムする)様子を模式的に示す一部断面側面図である。具体的には、図2は、下側ウェーハ3の下面に貼付されたテープ9を介して貼り合わせウェーハ1を保持する切削装置が上側ウェーハ7の周縁部を切削して除去する様子を示す一部断面側面図である。なお、図2に示されるZ軸方向は、鉛直方向と概ね平行である。
【0023】
図2に示される切削装置2は、円柱状のθテーブル4を有する。θテーブル4の上部には、下側ウェーハ3の下面に貼付されたテープ9を介して貼り合わせウェーハ1が載置される円盤状のチャックテーブル6が設けられている。
【0024】
また、θテーブル4は、モータ等の回転駆動源(不図示)に連結されている。この回転駆動源を動作させると、チャックテーブル6の中心を通るZ軸方向に沿った直線を回転軸としてθテーブル4及びチャックテーブル6が回転する。
【0025】
チャックテーブル6は、ステンレス鋼等の金属で形成された枠体6aを有する。枠体6aは、円盤状の底壁と、この底壁の周縁部から上方に向かって設けられている円環状の側壁とを有し、この側壁によって凹部が画定されている。この凹部には、多孔質セラミックスで形成され、凹部の内径と概ね同じ径を有する円盤状のポーラス板(不図示)が固定されている。
【0026】
チャックテーブル6のポーラス板は、枠体6aに形成されている流路を介して真空ポンプ等の吸引源(不図示)に連結されている。この吸引源を動作させると、ポーラス板の上面(チャックテーブル6の保持面)には負圧が発生する。この負圧が生じることによって、貼り合わせウェーハ1がテープ9を介してチャックテーブル6に吸引保持される。
【0027】
さらに、θテーブル4及びチャックテーブル6は、X軸方向移動機構(不図示)に連結されている。このX軸方向移動機構を動作させると、Z軸方向と直交する方向(X軸方向)にθテーブル4及びチャックテーブル6が移動する。
【0028】
チャックテーブル6の上方には、切削ユニット(加工手段)8が設けられている。切削ユニット8は、Y軸方向移動機構(不図示)及びZ軸方向移動機構(不図示)に連結されている。このY軸方向移動機構を動作させると、Z軸方向と直交し、かつ、X軸方向と直交する方向(Y軸方向)に切削ユニット8が移動する。また、このZ軸方向移動機構を動作させると、Z軸方向に切削ユニット8が移動する、すなわち、切削ユニット8が昇降する。
【0029】
切削ユニット8は、Y軸方向に延在する円柱状のスピンドル10を有する。スピンドル10の一端部には、円環状の切刃を有する切削ブレード12が装着されている。切削ブレード12は、例えば、金属等からなる円環状の基台と、基台の外周縁に沿う円環状の切刃とが一体となって構成された、ハブタイプの切削ブレードである。
【0030】
ハブタイプの切削ブレードの切刃は、ダイヤモンド又は立方晶窒化ホウ素(cBN:cubic Boron Nitride)等からなる砥粒がニッケル等の結合材によって固定された電鋳砥石によって構成される。また、切削ブレード12として、金属、セラミックス又は樹脂等からなる結合材によって砥粒が固定された円環状の切刃によって構成される、ワッシャータイプの切削ブレードを用いてもよい。
【0031】
また、スピンドルの他端部は、モータ等の回転駆動源(不図示)に連結されている。この回転駆動源が動作すると、スピンドル10の中心を通るY軸方向に沿った直線を回転軸として、スピンドル10とともに切削ブレード12が回転する。
【0032】
上側ウェーハ7の周縁部を切削装置2が切削して除去する際には、まず、貼り合わせウェーハ1の周縁部の直上に切削ブレード12の下端が配置されるようにチャックテーブル6及び/又は切削ユニット8を位置付ける。
【0033】
次いで、切削ブレード12が回転した状態で切削ブレード12が接着剤5に切り込むまで切削ユニット8を下降させる。次いで、切削ブレード12を回転させたままチャックテーブル6を少なくとも1周分回転させる。その結果、上側ウェーハ7の周縁部が除去される。図3は、このように周縁部が除去された上側ウェーハ7を含む貼り合わせウェーハ1を模式的に示す断面図である。
【0034】
貼り合わせウェーハ1から上側ウェーハ7の周縁部が除去されるように加工すると、図3に示されるように、下側ウェーハ3の周縁部の上面に設けられた接着剤5が露出する。さらに、切削装置2によって上側ウェーハ7の周縁部を切削する際に接着剤が伸ばされて加工後の上側ウェーハ7の周縁部の側面等にも接着剤が付着することがある。
【0035】
図4は、図3に示される貼り合わせウェーハ1を洗浄するための洗浄装置の一例を模式的に示す平面図である。図4に示される洗浄装置14は、貼り合わせウェーハ1を保持しながら回転させる回転保持機構(回転保持手段)16を備えている。回転保持機構16は、水平方向に離隔された一対の保持ユニット16a,16bを含む。
【0036】
図5(A)は、保持ユニット16aの構成例を模式的に示す側面図である。なお、図5(A)においては、上側ウェーハ7を上にして貼り合わせウェーハ1が保持ユニット16aによって保持される状態が示されている。また、保持ユニット16bの構成は保持ユニット16aの構成と同様であるため、ここでは、保持ユニット16aの構成についてのみ説明する。
【0037】
保持ユニット16aは、各構造を支持する直方体状の基台18を備えている。基台18の長手方向における両端部上には、可動プレート20a,20bがそれぞれ設けられている。可動プレート20a,20bは、基台18の上面に配置された連結具22a,22bを介して基台18に接続されており、この連結具22a,22bの中心を通る鉛直方向に沿った直線を回転軸として回転可能である。
【0038】
保持ユニット16aの基台18の外側の領域(保持ユニット16bからみて遠い側の領域)には、エアアクチュエータ(エアシリンダ)24が配置されている。エアシリンダ24は、基端側に底のある有底円筒状のシリンダ24aと、基端側をシリンダ24aの先端側に挿入されたピストンロッド24bとを含む。
【0039】
シリンダ24aの基端側には、連結具26aを介して可動プレート20aが連結されている。ピストンロッド24bの先端側には、連結具26bを介して可動プレート20bが連結されている。そのため、シリンダ24aの内圧を変化させてエアシリンダ24を伸縮させれば、連結具22a,22bを中心として可動プレート20a,20bを回転させることができる。
【0040】
可動プレート20a,20bの上面には、貼り合わせウェーハ1の周縁部に当接する保持ローラ28がそれぞれ配置されている。保持ローラ28は、その中心を通る鉛直方向に沿った直線を回転軸として回転する。上述のように可動プレート20a,20bを回転させれば、貼り合わせウェーハ1の大きさに合わせて複数の保持ローラ28を移動させることができる。これにより、複数の保持ローラ28が貼り合わせウェーハ1を挟み込んで、その周縁部が複数の保持ローラ28によって保持される。
【0041】
保持ローラ28には、モータ等の回転駆動源(不図示)が連結されている。貼り合わせウェーハ1を複数の保持ローラ28で挟み込むように保持した後に、回転駆動源で保持ローラ28を回転させれば、貼り合わせウェーハ1の中心を通る鉛直方向に平行な直線を回転軸として貼り合わせウェーハ1を回転させることができる。
【0042】
なお、図4及び図5(A)においては、貼り合わせウェーハ1を4つの保持ローラ28で保持して回転させる回転保持機構16について示したが、回転保持機構16における保持ローラ28の個数は4つに限定されない。例えば、洗浄装置14は、貼り合わせウェーハ1を3つ又は5つ以上の保持ローラ28で貼り合わせウェーハ1の3か所又は5か所以上を保持しながら回転させる回転保持機構を備えていてもよい。
【0043】
一対の保持ユニット16a,16bの間には、貼り合わせウェーハ1の下面(ここでは、下側ウェーハ3の下面)側を洗浄する下面洗浄部(洗浄手段)30の構成要素の一部が設けられている。図5(B)は、下面洗浄部30の構成例を模式的に示す図である。
【0044】
下面洗浄部30は、スポンジ等の弾性部材で所定の厚みに形成された円筒状の洗浄ローラ32を含む。洗浄ローラ32は、貼り合わせウェーハ1の半径以上の長さに形成されており、シャフト34の周囲に固定される。
【0045】
シャフト34の一端部は、洗浄ローラ32を回転させる回転駆動源36に接続され、他端部は、軸受け部材38に支持されている。シャフト34の内部には、洗浄ローラ32に純水等の洗浄液を供給するための洗浄液供給路40が設けられている。
【0046】
洗浄液供給路40は、洗浄液を供給する洗浄液供給源42に接続されている。洗浄液供給源42から洗浄ローラ32に洗浄液を供給しつつ、回転駆動源36で洗浄ローラ32を回転させて貼り合わせウェーハ1の下面の中心部を含む領域に接触させることで、貼り合わせウェーハ1の下面側を擦るように洗浄できる。
【0047】
なお、洗浄装置14においては、図4に示されるように、貼り合わせウェーハ1の回転方向A1が貼り合わせウェーハ1と洗浄ローラ32とが接触する箇所における洗浄ローラ32の回転方向A2の概ね逆向きになるように保持ローラ28及び洗浄ローラ32の回転が制御される。
【0048】
軸受け部材38の保持ユニット16b側には、貼り合わせウェーハ1の周縁部を洗浄する周縁洗浄部(洗浄手段)44が設けられている。図6は、周縁洗浄部44の構成例を模式的に示す図である。
【0049】
周縁洗浄部44は、スポンジ等からなり、かつ、鉛直方向に沿って延在する筒状の弾性部材46を含む。弾性部材46の外周面には、螺旋状の溝(すなわち、それぞれが、貼り合わせウェーハ1からみて斜めに延在し、かつ、交互に配列された凹部46a及び凸部46b)が形成されている。
【0050】
また、弾性部材46は、筒形状の径方向と直交する高さ方向の長さが貼り合わせウェーハ1の厚さ以上となるように形成されている。また、弾性部材46は、シャフト48の周囲に固定される。
【0051】
シャフト48の一端部(上端部)及び他端部(下端部)は、シャフト48の中心を通る鉛直方向に平行な直線を回転軸として回転可能な状態で一対のエアアクチュエータ(エアシリンダ)50,52にそれぞれ接続されている。
【0052】
エアシリンダ50は、基端側に底のある有底円筒状のシリンダ50aと、基端側をシリンダ50aの先端側に挿入されたピストンロッド50bとを含む。また、エアシリンダ52は、基端側に底のある有底円筒状のシリンダ52aと、基端側をシリンダ52aの先端側に挿入されたピストンロッド52bとを含む。
【0053】
そして、シャフト48の上端部は、ピストンロッド50bの先端側の下部に接続され、下端部は、ピストンロッド52bの先端側の上部に接続されている。そのため、シリンダ50a,52aの内圧を変化させてエアシリンダ50,52を伸縮させれば、エアシリンダ50,52が伸縮する方向に沿って弾性部材46を進退させることができる。
【0054】
このようにエアシリンダ50,52を伸縮させて、貼り合わせウェーハ1の大きさに合わせて弾性部材46を進退させることで、貼り合わせウェーハ1の周縁部と弾性部材46の外周面とを接触させることができる。
【0055】
なお、周囲に弾性部材46が固定されたシャフト48は、上述のとおり、回転可能な状態で一対のエアシリンダ50,52に接続されている。そのため、弾性部材46と接触する貼り合わせウェーハ1が回転する場合には、両者間に生じる摩擦力の作用によって弾性部材46がウェーハとは逆回転する(例えば、貼り合わせウェーハ1が時計回りに回転する場合には弾性部材46が反時計回りに回転する)ことになる。
【0056】
また、図6においては、2つのエアシリンダ50,52を備える周縁洗浄部44を示したが、周縁洗浄部44に設けられるエアシリンダは1つ(エアシリンダ50,52のいずれか一方)であってもよい。また、周縁洗浄部44は、2つのエアシリンダ50,52に換えて、2つのピストンロッド50b,52bを1つのシリンダによって移動させるエアシリンダを備えていてもよい。
【0057】
さらに、シャフト48及びエアシリンダ50,52の内部には、弾性部材46に純水等の洗浄液を供給するための洗浄液供給路54が設けられている。洗浄液供給路54は、洗浄液を供給する洗浄液供給源56と接続されている。
【0058】
そして、洗浄液供給源56から弾性部材46に洗浄液を供給しつつ、回転する貼り合わせウェーハ1の周縁部を弾性部材46の外周面に接触させることで、貼り合わせウェーハ1の周縁部を擦るように洗浄できる。
【0059】
洗浄装置14においては、図4に示される回転方向A1に沿って回転する貼り合わせウェーハ1の周縁部を弾性部材46の螺旋状の溝(すなわち、それぞれが、貼り合わせウェーハ1からみて斜めに延在し、かつ、交互に配列された凹部46a及び凸部46b)が形成された外周面に接触させて貼り合わせウェーハ1の周縁部を洗浄することができる。
【0060】
この時、弾性部材46は、図4に示される回転方向A3に沿って回転する。具体的には、弾性部材46は、弾性部材46と貼り合わせウェーハ1との間に生じる摩擦力の作用によって貼り合わせウェーハ1とは逆回転する。そのため、貼り合わせウェーハ1の周縁部は、その上面側から図6に示される凹部46a及び凸部46bとの接触を繰り返すように弾性部材46と接触する。
【0061】
換言すると、貼り合わせウェーハ1の周縁部からみて、弾性部材46の外周面に形成された螺旋状の溝(凹部46a及び凸部46b)が下方向に向かって移動するように弾性部材46が回転する。
【0062】
この場合、弾性部材46の外周面における貼り合わせウェーハ1の周縁部の上面との接触箇所が凹部46aから凸部46bに変化する際に、貼り合わせウェーハ1の周縁部の上面が弾性部材46によって強く擦られることになる。その結果、貼り合わせウェーハ1の周縁部の上面を強力に洗浄することができる。
【0063】
なお、洗浄装置14においては、貼り合わせウェーハ1又はその他のウェーハの周縁部の下面を強力に洗浄することもできる。この場合には、例えば、貼り合わせウェーハ1又はその他のウェーハの回転方向を図4に示される回転方向A1とは逆にすればよい。
【0064】
また、洗浄装置14は、独立した装置であってもよいし、他の装置に組み込まれていてもよい。洗浄装置14が組み込まれた装置としては、例えば、図2に示される切削装置2及びその他の加工装置(例えば、シリコン貫通電極又は裏面照射型CMOSセンサの製造工程において用いられる研削装置又は研磨装置等)が挙げられる。
【0065】
その他、上述した実施形態及び変形例にかかる構造及び方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0066】
1 :ウェーハ(貼り合わせウェーハ)
3 :ウェーハ(下側ウェーハ)
5 :接着剤
7 :ウェーハ(上側ウェーハ)
9 :テープ
2 :切削装置
4 :θテーブル
6 :チャックテーブル(6a:枠体)
8 :切削ユニット(加工手段)
10 :スピンドル
12 :切削ブレード
14 :洗浄装置
16 :回転保持機構(回転保持手段)
16a,16b:保持ユニット
18 :基台
20a,20b:可動プレート
22a,22b:連結具
24 :エアアクチュエータ(エアシリンダ)
24a:シリンダ
24b:ピストンロッド
26a,26b:連結具
28 :保持ローラ
30 :下面洗浄部
32 :洗浄ローラ
34 :シャフト
36 :回転駆動源
38 :軸受け部材
40 :洗浄液供給路
42 :洗浄液供給源
44 :周縁洗浄部
46 :弾性部材
46a:凹部
46b:凸部
48 :シャフト
50,52:エアアクチュエータ(エアシリンダ)
50a,52a:シリンダ
50b,52b:ピストンロッド
54 :洗浄液供給路
56 :洗浄液供給源
図1
図2
図3
図4
図5
図6