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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】レーザー加工方法及びレーザー加工装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/02 20140101AFI20241015BHJP
   B23K 26/03 20060101ALI20241015BHJP
   B23K 26/08 20140101ALI20241015BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20241015BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20241015BHJP
【FI】
B23K26/02 A
B23K26/03
B23K26/08 D
B23K26/00 Q
H01L21/78 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021094561
(22)【出願日】2021-06-04
(65)【公開番号】P2022186378
(43)【公開日】2022-12-15
【審査請求日】2024-04-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100206553
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 崇廣
(74)【代理人】
【識別番号】100189773
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 英哲
(74)【代理人】
【識別番号】100184055
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 貴之
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(72)【発明者】
【氏名】向井 光紀
【審査官】黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-52153(JP,A)
【文献】特開2021-48269(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00 - 26/70
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の分割予定ラインが表面に格子状に設定されている被加工物の各分割予定ラインに沿って、該被加工物に吸収される波長を有するパルス状のレーザービームを照射して該被加工物を加工するレーザー加工方法であって、
該被加工物をチャックテーブルの保持面で保持する保持ステップと、
該チャックテーブルで保持された該被加工物を撮像して、該表面側に設けられているキーパターンと該複数の分割予定ラインのうち一の分割予定ラインとを含む基準画像と、該基準画像を取得するときの撮像視野に対応する該被加工物の撮像位置と、を登録する登録ステップと、
該レーザービームを該表面側に照射した状態で、該チャックテーブルと、レーザービーム照射ユニットと、を相対的に第1方向に沿って所定の移動速度で移動させることにより、該レーザービームで該被加工物を該一の分割予定ラインに沿って加工すると共に、該撮像位置に撮像視野が到達するタイミングで画像を取得することを目的として撮像ユニットに撮像指示を出して、該レーザービームの照射により該表面側に発生している発光領域と、該キーパターンと、を含む該表面の加工中画像を取得する撮像ステップと、
該撮像ステップで撮像された該加工中画像における該キーパターンと、該基準画像における該キーパターンとの、該第1方向でのずれ量に基づいて、該撮像指示のタイミングを補正する補正ステップと、を備えることを特徴とするレーザー加工方法。
【請求項2】
該撮像ステップで撮像された該第1方向と直交する第2方向における該発光領域の中心位置と、予め定められた該レーザービームの照射予定ラインとの、該第2方向のずれ量が、予め定められた閾値を超える場合には、警報を発報する警報発報ステップと、を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のレーザー加工方法。
【請求項3】
複数の分割予定ラインが表面に格子状に設定されている被加工物の各分割予定ラインに沿って、該被加工物に吸収される波長を有するパルス状のレーザービームを照射して該被加工物を加工するレーザー加工方法であって、
該被加工物をチャックテーブルの保持面で保持する保持ステップと、
該レーザービームを該表面側に照射した状態で、該チャックテーブルと、レーザービーム照射ユニットと、を相対的に第1方向に沿って所定の移動速度で移動させることにより、該レーザービームで該被加工物を第1の分割予定ラインに沿って加工すると共に、第1の撮像位置に撮像視野が到達するタイミングで画像を取得することを目的として撮像ユニットに撮像指示を出して、該レーザービームの照射により該表面側に発生している発光領域と、該表面側に設けられている第1のキーパターンと、を含む該表面の第1の加工中画像を取得する第1の撮像ステップと、
該レーザービームを該表面側に照射した状態で、該チャックテーブルと、レーザービーム照射ユニットと、を相対的に該第1方向に沿って該所定の移動速度で移動させることにより、該レーザービームで該被加工物を該第1方向と直交する第2方向で該第1の分割予定ラインから離れた第2の分割予定ラインに沿って加工すると共に、該第2方向で該第1の撮像位置から離れており且つ該第1方向で該第1の撮像位置と同じ第2の撮像位置に撮像視野が到達するタイミングで画像を取得することを目的として該撮像ユニットに該撮像指示を出して、該レーザービームの照射により該表面側に発生している発光領域と、該表面側に設けられている第2のキーパターンと、を含む該表面の第2の加工中画像を取得する第2の撮像ステップと、
該第1の加工中画像における該第1のキーパターンの所定位置と該第1の加工中画像を取得した際の撮像視野の中心との該第1方向での第1の距離と、該第2の加工中画像における該第1のキーパターンの該所定位置に対応する該第2のキーパターンの所定位置と該第2の加工中画像を取得した際の撮像視野の中心との該第1方向での第2の距離と、の平均値に基づいて、該撮像指示のタイミングを補正する補正ステップと、を備えることを特徴とするレーザー加工方法。
【請求項4】
レーザー加工装置であって、
複数の分割予定ラインが表面に格子状に設定されている被加工物を保持する保持面を有するチャックテーブルと、
レーザー発振器と、集光器と、を有し、該被加工物に吸収される波長を有するパルス状のレーザービームを、該チャックテーブルで該被加工物の裏面側が保持された該被加工物の該表面側に、該集光器で集光させた状態で照射する、レーザービーム照射ユニットと、
モータを有し、該チャックテーブルと、該レーザービーム照射ユニットと、を相対的に第1方向に沿って移動させる第1方向移動ユニットと、
撮像素子を有し、該保持面で保持された該被加工物を撮像する撮像ユニットと、
プロセッサ及び記憶装置を有し、該レーザービーム照射ユニット、該第1方向移動ユニット及び該撮像ユニットの動作を制御する制御ユニットと、を備え、
該制御ユニットは、
該表面側に設けられているキーパターンと該複数の分割予定ラインのうち一の分割予定ラインとを含む基準画像と、該基準画像を取得するときの撮像視野に対応する該被加工物の撮像位置と、が登録される登録部と、
該レーザービームによる該表面側の加工中において、該撮像位置に撮像視野が到達するタイミングで画像を取得することを目的として該撮像ユニットに撮像指示を出す撮像指示部と、
該レーザービームによる該表面側の加工中に該撮像指示により撮像され、該レーザービームの照射により該表面側に発生している発光領域を含む加工中画像におけるキーパターンと、該基準画像におけるキーパターンとの、該第1方向でのずれ量に基づいて、該撮像指示部が該撮像指示を出すタイミングを補正する補正部と、
を有することを特徴とするレーザー加工装置。
【請求項5】
該制御ユニットは、
該第1方向と直交する第2方向における該発光領域の中心位置と、予め定められた該レーザービームの照射予定ラインとの、該第2方向のずれ量が、予め定められた閾値を超える場合には、表示装置、スピーカ及び発光装置の1つ以上に警報を発報させる警報発報部を更に有する請求項4に記載のレーザー加工装置。
【請求項6】
レーザー加工装置であって、
複数の分割予定ラインが表面に格子状に設定されている被加工物を保持する保持面を有するチャックテーブルと、
レーザー発振器と、集光器と、を有し、該被加工物に吸収される波長を有するパルス状のレーザービームを、該チャックテーブルで該被加工物の裏面側が保持された該被加工物の該表面側に、該集光器で集光させた状態で照射する、レーザービーム照射ユニットと、
モータを有し、該チャックテーブルと、該レーザービーム照射ユニットと、を相対的に第1方向に沿って移動させる第1方向移動ユニットと、
撮像素子を有し、該保持面で保持された該被加工物を撮像する撮像ユニットと、
プロセッサ及び記憶装置を有し、該レーザービーム照射ユニット、該第1方向移動ユニット及び該撮像ユニットの動作を制御する制御ユニットと、を備え、
該制御ユニットは、
該レーザービームによる該表面側の加工中において、第1の撮像位置に撮像視野が到達するタイミングで画像を取得することを目的として該撮像ユニットに撮像指示を出し、且つ、該第1方向と直交する第2方向で該第1の撮像位置から離れており且つ該第1方向で該第1の撮像位置と同じ第2の撮像位置に撮像視野が到達するタイミングで画像を取得することを目的として該撮像ユニットに該撮像指示を出す、撮像指示部と、
該レーザービームによる該表面側の加工中に該撮像指示により撮像され、該レーザービームの照射により該表面側に発生している発光領域を含む第1の加工中画像における第1のキーパターンの所定位置と該第1の加工中画像を取得した際の撮像視野の中心との該第1方向での第1の距離と、該レーザービームの照射により該表面側に発生している発光領域を含む第2の加工中画像における該第1のキーパターンの該所定位置に対応する第2のキーパターンの所定位置と該第2の加工中画像を取得した際の撮像視野の中心との該第1方向での第2の距離と、の平均値に基づいて、該撮像指示のタイミングを補正する補正部と、を有することを特徴とするレーザー加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工物に吸収される波長を有するパルス状のレーザービームを被加工物の各分割予定ラインに沿って照射して被加工物を加工するレーザー加工方法、及び、当該レーザー加工方法を行うためのレーザー加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の分割予定ライン(ストリート)が表面に格子状に設定され、複数の分割予定ラインで区画された各領域にIC(Integrated Circuit)等のデバイスが形成されている半導体ウェーハ等の被加工物に対してアブレーション加工を行うためには、例えば、レーザー加工装置が用いられる。
【0003】
レーザー加工装置は、例えば、被加工物を吸引保持するためのチャックテーブルを備える。チャックテーブルの上方には、レーザービームを集光する集光器が配置されている。集光器は、レーザー発振器からのレーザービームを、チャックテーブルの保持面で吸引保持された被加工物に集光させる。
【0004】
例えば、保持面で裏面側が吸引保持された被加工物の表面側にレーザービームの集光点を位置付けた状態で、チャックテーブルを加工送りすると、集光点の移動の経路に沿ってアブレーション加工が施され、レーザー加工溝が形成される。
【0005】
アブレーション加工時には、作業者により予め設定された照射予定ラインに沿ってレーザー加工溝を形成することが設計されている。そこで、アブレーション加工を進めながら、設計通りにレーザー加工溝が形成されているか否かが検査される(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
具体的には、レーザー加工装置の制御ユニットが、被加工物の表面側の画像に基づいて、分割予定ラインの幅方向の略中央に位置する仮想的な基準線と、実際に形成されたレーザー加工溝の幅方向の中心線とのずれ量が、所定の閾値を超えるか否かを判定する。
【0007】
レーザー加工溝の画像は、レーザー加工中に、レーザー加工装置に設けられたカメラユニットを用いて取得される。例えば、レーザービームの集光点は、カメラの撮像視野の中心に位置する様に設定されており、制御ユニットは、カメラユニットに対して撮像指示(トリガ)を発することで、集光点が予め定められた撮像位置に到達すると予測されるときに、レーザー加工溝を撮像する。
【0008】
しかし、レーザー加工時には、集光点とチャックテーブルとを所定の移動速度で相対的に移動させながら撮像が行われるので、撮像指示を出してから実際に撮像が行われるまでの僅かなタイムラグに起因して、実際に撮像された画像が、予め定められた撮像位置で得られるはずの画像から、分割予定ラインの長手方向でずれることがある。
【0009】
予め定められた撮像位置で撮像が行われない場合、分割予定ラインに設けられた金属製の所定パターン(例えば、TEG(Test Element Group))にレーザービームが照射されて発生したプラズマ光を、カメラユニットが撮像することがある。
【0010】
TEGで生じたプラズマ光の発光範囲及び明るさは、分割予定ラインにおけるTEG以外の領域で生じるプラズマ光よりも大きく且つ明るくなる。これにより、異常な加工が行われているとの誤認識を、制御ユニットが起こす場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2017-120820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、例えば、撮像指示から実際に撮像が行われるまでの時間遅延に起因した撮像位置のずれを無くすために、集光点が予め定められた撮像位置に到達する少し前のタイミングで制御ユニットがカメラユニットに撮像指示を出す様に、作業者が、レーザー加工装置に補正値を設定することも考えられる。
【0013】
しかし、補正値は、所定の移動速度が異なる毎に異なる値を設定する必要があり、しかも、複数のレーザー加工装置の各々において微妙に異なる可能性があるので、各補正値の特定及び設定が非常に手間であるという問題がある。
【0014】
本発明は係る問題点に鑑みてなされたものであり、レーザー加工装置において、集光点が予め定められた撮像位置に到達したタイミングで撮像を行うことができる様に、撮像指示のタイミングを補正することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一態様によれば、複数の分割予定ラインが表面に格子状に設定されている被加工物の各分割予定ラインに沿って、該被加工物に吸収される波長を有するパルス状のレーザービームを照射して該被加工物を加工するレーザー加工方法であって、該被加工物をチャックテーブルの保持面で保持する保持ステップと、該チャックテーブルで保持された該被加工物を撮像して、該表面側に設けられているキーパターンと該複数の分割予定ラインのうち一の分割予定ラインとを含む基準画像と、該基準画像を取得するときの撮像視野に対応する該被加工物の撮像位置と、を登録する登録ステップと、該レーザービームを該表面側に照射した状態で、該チャックテーブルと、レーザービーム照射ユニットと、を相対的に第1方向に沿って所定の移動速度で移動させることにより、該レーザービームで該被加工物を該一の分割予定ラインに沿って加工すると共に、該撮像位置に撮像視野が到達するタイミングで画像を取得することを目的として撮像ユニットに撮像指示を出して、該レーザービームの照射により該表面側に発生している発光領域と、該キーパターンと、を含む該表面の加工中画像を取得する撮像ステップと、該撮像ステップで撮像された該加工中画像における該キーパターンと、該基準画像における該キーパターンとの、該第1方向でのずれ量に基づいて、該撮像指示のタイミングを補正する補正ステップと、を備えるレーザー加工方法が提供される。
【0016】
好ましくは、レーザー加工方法は、該撮像ステップで撮像された該第1方向と直交する第2方向における該発光領域の中心位置と、予め定められた該レーザービームの照射予定ラインとの、該第2方向のずれ量が、予め定められた閾値を超える場合には、警報を発報する警報発報ステップと、を更に備える。
【0017】
本発明の他の態様によれば、複数の分割予定ラインが表面に格子状に設定されている被加工物の各分割予定ラインに沿って、該被加工物に吸収される波長を有するパルス状のレーザービームを照射して該被加工物を加工するレーザー加工方法であって、該被加工物をチャックテーブルの保持面で保持する保持ステップと、該レーザービームを該表面側に照射した状態で、該チャックテーブルと、レーザービーム照射ユニットと、を相対的に第1方向に沿って所定の移動速度で移動させることにより、該レーザービームで該被加工物を第1の分割予定ラインに沿って加工すると共に、第1の撮像位置に撮像視野が到達するタイミングで画像を取得することを目的として撮像ユニットに撮像指示を出して、該レーザービームの照射により該表面側に発生している発光領域と、該表面側に設けられている第1のキーパターンと、を含む該表面の第1の加工中画像を取得する第1の撮像ステップと、該レーザービームを該表面側に照射した状態で、該チャックテーブルと、レーザービーム照射ユニットと、を相対的に該第1方向に沿って該所定の移動速度で移動させることにより、該レーザービームで該被加工物を該第1方向と直交する第2方向で該第1の分割予定ラインから離れた第2の分割予定ラインに沿って加工すると共に、該第2方向で該第1の撮像位置から離れており且つ該第1方向で該第1の撮像位置と同じ第2の撮像位置に撮像視野が到達するタイミングで画像を取得することを目的として該撮像ユニットに該撮像指示を出して、該レーザービームの照射により該表面側に発生している発光領域と、該表面側に設けられている第2のキーパターンと、を含む該表面の第2の加工中画像を取得する第2の撮像ステップと、該第1の加工中画像における該第1のキーパターンの所定位置と該第1の加工中画像を取得した際の撮像視野の中心との該第1方向での第1の距離と、該第2の加工中画像における該第1のキーパターンの該所定位置に対応する該第2のキーパターンの所定位置と該第2の加工中画像を取得した際の撮像視野の中心との該第1方向での第2の距離と、の平均値に基づいて、該撮像指示のタイミングを補正する補正ステップと、を備えるレーザー加工方法が提供される。
【0018】
本発明の更なる他の態様によれば、レーザー加工装置であって、複数の分割予定ラインが表面に格子状に設定されている被加工物を保持する保持面を有するチャックテーブルと、レーザー発振器と、集光器と、を有し、該被加工物に吸収される波長を有するパルス状のレーザービームを、該チャックテーブルで該被加工物の裏面側が保持された該被加工物の該表面側に、該集光器で集光させた状態で照射する、レーザービーム照射ユニットと、モータを有し、該チャックテーブルと、該レーザービーム照射ユニットと、を相対的に第1方向に沿って移動させる第1方向移動ユニットと、撮像素子を有し、該保持面で保持された該被加工物を撮像する撮像ユニットと、プロセッサ及び記憶装置を有し、該レーザービーム照射ユニット、該第1方向移動ユニット及び該撮像ユニットの動作を制御する制御ユニットと、を備え、該制御ユニットは、該表面側に設けられているキーパターンと該複数の分割予定ラインのうち一の分割予定ラインとを含む基準画像と、該基準画像を取得するときの撮像視野に対応する該被加工物の撮像位置と、が登録される登録部と、該レーザービームによる該表面側の加工中において、該撮像位置に撮像視野が到達するタイミングで画像を取得することを目的として該撮像ユニットに撮像指示を出す撮像指示部と、該レーザービームによる該表面側の加工中に該撮像指示により撮像され、該レーザービームの照射により該表面側に発生している発光領域を含む加工中画像におけるキーパターンと、該基準画像におけるキーパターンとの、該第1方向でのずれ量に基づいて、該撮像指示部が該撮像指示を出すタイミングを補正する補正部と、を有するレーザー加工装置が提供される。
【0019】
好ましくは、該制御ユニットは、該第1方向と直交する第2方向における該発光領域の中心位置と、予め定められた該レーザービームの照射予定ラインとの、該第2方向のずれ量が、予め定められた閾値を超える場合には、表示装置、スピーカ及び発光装置の1つ以上に警報を発報させる警報発報部を更に有する。
【0020】
本発明の更なる他の態様によれば、レーザー加工装置であって、複数の分割予定ラインが表面に格子状に設定されている被加工物を保持する保持面を有するチャックテーブルと、レーザー発振器と、集光器と、を有し、該被加工物に吸収される波長を有するパルス状のレーザービームを、該チャックテーブルで該被加工物の裏面側が保持された該被加工物の該表面側に、該集光器で集光させた状態で照射する、レーザービーム照射ユニットと、モータを有し、該チャックテーブルと、該レーザービーム照射ユニットと、を相対的に第1方向に沿って移動させる第1方向移動ユニットと、撮像素子を有し、該保持面で保持された該被加工物を撮像する撮像ユニットと、プロセッサ及び記憶装置を有し、該レーザービーム照射ユニット、該第1方向移動ユニット及び該撮像ユニットの動作を制御する制御ユニットと、を備え、該制御ユニットは、該レーザービームによる該表面側の加工中において、第1の撮像位置に撮像視野が到達するタイミングで画像を取得することを目的として該撮像ユニットに撮像指示を出し、且つ、該第1方向と直交する第2方向で該第1の撮像位置から離れており且つ該第1方向で該第1の撮像位置と同じ第2の撮像位置に撮像視野が到達するタイミングで画像を取得することを目的として該撮像ユニットに該撮像指示を出す、撮像指示部と、該レーザービームによる該表面側の加工中に該撮像指示により撮像され、該レーザービームの照射により該表面側に発生している発光領域を含む第1の加工中画像における第1のキーパターンの所定位置と該第1の加工中画像を取得した際の撮像視野の中心との該第1方向での第1の距離と、該レーザービームの照射により該表面側に発生している発光領域を含む第2の加工中画像における該第1のキーパターンの該所定位置に対応する第2のキーパターンの所定位置と該第2の加工中画像を取得した際の撮像視野の中心との該第1方向での第2の距離と、の平均値に基づいて、該撮像指示のタイミングを補正する補正部と、を有するレーザー加工装置が提供される。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一態様に係るレーザー加工方法では、被加工物の表面側に設けられているキーパターンと一の分割予定ラインとを含む基準画像と、基準画像を撮像するときの撮像視野に対応する被加工物の撮像位置と、を登録する(登録ステップ)。
【0022】
そして、被加工物をレーザービームで該一の分割予定ラインに沿って加工すると共に、撮像位置に撮像視野が到達するタイミングで画像を取得することを目的として撮像ユニットに撮像指示を出して、レーザービームの照射により表面側に発生している発光領域と、キーパターンと、を含む加工中画像を撮像する(撮像ステップ)。
【0023】
更に、撮像ステップで撮像された加工中画像におけるキーパターンと、基準画像におけるキーパターンとの、第1方向でのずれ量に基づいて、撮像指示のタイミングを補正する(補正ステップ)。
【0024】
それゆえ、所定の移動速度が異なる毎に、更には、複数のレーザー加工装置の各々において、作業者が補正値を特定及び設定すること無く、レーザー加工装置が自動的に撮像指示のタイミングを補正できる。
【0025】
本発明の他の態様に係るレーザー加工方法では、レーザービームで被加工物を第1の分割予定ラインに沿って加工すると共に、第1の撮像位置に撮像視野が到達するタイミングで画像を取得することを目的として撮像ユニットに撮像指示を出して、レーザービームの照射により表面側に発生している発光領域と、表面側に設けられている第1のキーパターンと、を含む表面の第1の加工中画像を取得する(第1の撮像ステップ)。
【0026】
更に、レーザービームで被加工物を第1方向と直交する第2方向で第1の分割予定ラインから離れた第2の分割予定ラインに沿って加工すると共に、第2方向で第1の撮像位置から離れており且つ第1方向で第1の撮像位置と同じ第2の撮像位置に撮像視野が到達するタイミングで画像を取得することを目的として撮像ユニットに撮像指示を出して、レーザービームの照射により表面側に発生している発光領域と、表面側に設けられている第2のキーパターンと、を含む表面の第2の加工中画像を取得する(第2の撮像ステップ)。
【0027】
そして、第1の加工中画像における第1のキーパターンの所定位置と第1の加工中画像を取得した際の撮像視野の中心との第1方向での第1の距離と、第2の加工中画像における第2のキーパターンの所定位置に対応する第2のキーパターンの所定位置と第2の加工中画像を取得した際の撮像視野の中心との第1方向での第2の距離と、の平均値に基づいて、撮像指示のタイミングを補正する(補正ステップ)。
【0028】
それゆえ、所定の移動速度が異なる毎に、更には、複数のレーザー加工装置の各々において、作業者が補正値を特定及び設定すること無く、レーザー加工装置が自動的に撮像指示のタイミングを補正できる。加えて、登録ステップを行う必要が無いので、その分だけ作業者の手間を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】レーザー加工装置の斜視図である。
図2】レーザービーム照射ユニット等の構成例を示す図である。
図3】撮像を説明するタイミングチャートである。
図4】レーザー加工方法のフロー図である。
図5】保持ステップを示すウェーハ等の一部断面側面図である。
図6図6(A)は登録ステップを示すウェーハ等の一部断面側面図であり、図6(B)は登録ステップにおけるウェーハの一部の上面拡大図である。
図7】基準画像を示す図である。
図8】レーザー加工を示す一部断面側面図である。
図9】加工中画像を示す図である。
図10】撮像指示のタイミングが補正された場合の加工中画像の一例を示す図である。
図11】Y軸方向のずれ量が生じた加工中画像の一例を示す図である。
図12】レーザー加工方法を示すフロー図である。
図13】ウェーハにレーザー加工を施す様子を示す図である。
図14図14(A)は第1の加工中画像の一例を示す図であり、図14(B)は第2の加工中画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
添付図面を参照して、本発明の一態様に係る実施形態について説明する。図1は、レーザー加工装置2の斜視図である。図1に示すX軸方向(加工送り方向)、Y軸方向(割り出し送り方向)、及び、Z軸方向(高さ方向)は、互いに直交する。
【0031】
図1では、レーザー加工装置2の構成要素の一部を機能ブロックで示す。レーザー加工装置2を用いることにより、例えば、シリコン等の半導体材料で主として形成されている円板状のウェーハ(被加工物)11に対してアブレーション加工が施される。
【0032】
なお、ウェーハ11の材質、形状、構造、大きさ等に制限はない。例えば、ウェーハ11は、ガリウムヒ素(GaAs)、炭化ケイ素(SiC)などシリコン以外の他の半導体材料や、ガラス、樹脂、セラミックス等で主として形成されていてもよい。
【0033】
図6(B)に拡大して示す様に、ウェーハ11の表面11aには、複数の分割予定ライン13が格子状に設定されている。1又は複数の分割予定ライン13上には、金属製の所定のパターン(TEG(Test Element Group)23)が形成されている。
【0034】
複数の分割予定ライン13で区画された表面11a側の各領域には、IC(Integrated Circuit)等のデバイス15が設けられている。各デバイス15の最外面には、キーパターン25(ターゲットパターン、アライメントマーク等とも称する)が形成されている。
【0035】
図6(B)に示すキーパターン25は、十字形状を有するが、キーパターン25の形状は、十字形状のみに限定されない。キーパターン25は、各デバイス15の最外面において視認可能な何らかのパターンの一部又は全部であってもよい。
【0036】
図1に示す様に、ウェーハ11の周囲には、ウェーハ11の径よりも大きな径の開口を有する金属製の環状のフレーム17が配置されている。フレーム17の一面とウェーハ11の裏面11bとには、フレーム17の開口よりも大きな径を有する略円形のテープ19が貼り付けられている。
【0037】
テープ19の粘着層側を、ウェーハ11の裏面11b側と、フレーム17の外周部とに貼り付けることで、ウェーハ11がテープ19を介してフレーム17に支持されたウェーハユニット21が形成される。
【0038】
レーザー加工装置2は、各構成要素が搭載される略直方体形状の基台4を備える。基台4の上面側には、テープ19を介してウェーハ11を吸引保持する円板状のチャックテーブル6が設けられている。
【0039】
チャックテーブル6は、金属製の円板状の枠体を有する。枠体の上部には、円板状の凹部(不図示)が形成されている。枠体には、所定の流路が形成されている。所定の流路の一端は、凹部に露出しており、その他端はエジェクタ等の吸引源(不図示)に接続されている。
【0040】
枠体の凹部には、多孔質セラミックスで形成された円板状の多孔質板が固定されている。多孔質板の上面と、枠体の上面とは、略面一となっており、チャックテーブル6の保持面6aを構成している。吸引源を動作させると、多孔質板の上面には負圧が発生する。
【0041】
チャックテーブル6の側部には、フレーム17を固定するための4個のクランプユニット6bが設けられている。また、チャックテーブル6の下部には、モータ等の回転駆動源6cが設けられている。
【0042】
回転駆動源6cは、チャックテーブル6をZ軸方向に略平行な回転軸の周りに回転させることができる。チャックテーブル6及び回転駆動源6cの間には、上面視で矩形状のカバー6dが設けられており、カバー6dのX軸方向の両側には、伸縮式カバー(不図示)が設けられている。
【0043】
回転駆動源6cは、水平移動機構により、X軸方向及びY軸方向に移動可能に支持されている。水平移動機構は、X軸方向移動ユニット(第1方向移動ユニット)8を有する。X軸方向移動ユニット8は、X軸方向に概ね平行に配置された一対のガイドレール10を有する。
【0044】
一対のガイドレール10は、基台4の上面に固定されている。一対のガイドレール10には、矩形板状の移動テーブル12がスライド可能に取り付けられている。移動テーブル12の下面側には、ナット部(不図示)が設けられている。
【0045】
ナット部には、X軸方向に略平行に配置されたボールネジ14が回転可能に結合されている。ボールネジ14の一端部には、パルスモータ(モータ)16が連結されている。パルスモータ16を動作させると、移動テーブル12はX軸方向に沿って移動する。
【0046】
移動テーブル12の上面には、Y軸方向移動ユニット18が設けられている。Y軸方向移動ユニット18は、Y軸方向に概ね平行に配置された一対のガイドレール20を有する。一対のガイドレール20は、移動テーブル12の上面に固定されている。
【0047】
一対のガイドレール20には、矩形板状の移動テーブル22がスライド可能に取り付けられている。移動テーブル22の下面側には、ナット部(不図示)が設けられている。ナット部には、Y軸方向に略平行に配置されたボールネジ24が回転可能に結合されている。
【0048】
ボールネジ24の一端部には、パルスモータ26が連結されている。パルスモータ26を動作させると、移動テーブル22はY軸方向に沿って移動する。移動テーブル22の上面には、上述の回転駆動源6cが固定されている。
【0049】
基台4の上面の後方側(Y軸方向の一方側)には、支持構造30が設けられている。支持構造30は、Z軸方向に沿って延伸する柱部30aを有する。柱部30aの上端には、前方側(Y軸方向の他方側)に突き出す様に延伸するアーム部30bが設けられている。
【0050】
アーム部30bには、レーザービーム照射ユニット32が設けられている。レーザービーム照射ユニット32は、アーム部30bの先端側に配置された集光器34を有する。集光器34からは、ウェーハ11に吸収される波長を有するパルス状のレーザービームLが保持面6aに向けて照射される。
【0051】
ここで、図2を参照し、レーザービーム照射ユニット32について説明する。図2は、レーザービーム照射ユニット32等の構成例を示す図である。なお、図2では、構成要素の一部を機能ブロックで示す。また、フレーム17及びテープ19を便宜上省略している。
【0052】
レーザービーム照射ユニット32は、レーザービーム生成部36を有する。レーザービーム生成部36は、パルス状のレーザービームを出射するレーザー発振器38を有する。レーザー発振器38は、Nd:YAG、Nd:YVO等のレーザー媒質を含む。
【0053】
レーザー発振器38は、所定の波長(例えば、1064nm)を有するパルス状のレーザービームを出射する。レーザー発振器38から出射されたレーザービームは、非線形結晶を含む波長変換器(不図示)を経てウェーハ11に吸収される波長(例えば、355nm)に変換される。
【0054】
レーザー発振器38には、パルスの繰り返し周波数を設定する繰り返し周波数設定部40が接続されている。繰り返し周波数設定部40は、レーザービームの繰り返し周波数を、所定値(例えば、50kHz)に設定する。
【0055】
なお、レーザービーム生成部36は、パルス幅を調整するパルス幅調整部、パワー調整部等(いずれも不図示)も有する。レーザービームの平均出力は、所定の値(例えば3.0W)に調整される。
【0056】
レーザービーム生成部36から出射されたレーザービームLは、ダイクロイックミラー42により反射され、集光器34に入射する。ダイクロイックミラー42は、レーザービームLの波長(例えば、355nm)の光を反射するが、その他の波長帯域の光を透過させる。
【0057】
ダイクロイックミラー42から集光器34に入射したレーザービームLは、集光器34内に配置されている集光レンズ34aにより、保持面6aで裏面11b側が保持されたウェーハ11の表面11a近傍に集光される。
【0058】
レーザービーム照射ユニット32には、ストロボ光照射部50が接続されている。ストロボ光照射部50は、白色のストロボ光を瞬間的に発光するキセノンフラッシュランプ等のストロボ光源52を有する。
【0059】
ストロボ光は、絞り54を通り、コリメートレンズ56に入射する。コリメートレンズ56に対して絞り54とは反対側には、ミラー58が設けられている。ミラー58で反射された光は、ダイクロイックミラー42へ進行する。
【0060】
ミラー58と、ダイクロイックミラー42との間には、ビームスプリッター60が設けられている。ビームスプリッター60は、ミラー58で反射された光の一部をダイクロイックミラー42へ透過させる。
【0061】
ダイクロイックミラー42を透過した光は、集光レンズ34aを経て、保持面6aで保持されたウェーハ11の表面11a側へ照射される。そして、表面11a側から反射された光は、その少なくとも一部が、ダイクロイックミラー42及びビームスプリッター60を経て、撮像ユニット62へ導かれる。
【0062】
撮像ユニット62は、収差補正レンズ64a及び結像レンズ64bを含む組レンズ64と、撮像素子66と、を有する。組レンズ64は、ビームスプリッター60からの入射光を、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサやCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ等を有する撮像素子66へ導く。
【0063】
なお、撮像ユニット62で撮像された表面11a側の画像は、後述する制御ユニット80(図1参照)へ出力される。次に、撮像ユニット62での撮像について、図3を用いて更に説明する。
【0064】
図3は、ウェーハ11の撮像を説明するタイミングチャートである。横軸は時間(μs)である。レーザービームLの繰り返し周波数が50kHzである場合、1つのパルスLsが20μs毎にウェーハ11に照射される。
【0065】
ストロボ光源52からのストロボ光Stは、パルスLsの照射タイミングとは異なるタイミングで、ウェーハ11へ照射される。図3に示す例では、ストロボ光Stは、時間50μsでウェーハ11へ照射された後、100μs毎に照射される。
【0066】
撮像ユニット62にはシャッタ(不図示)が設けられており、シャッタの開閉タイミングを制御することにより、撮像のタイミング、撮像時間等が調整される。本例では、ストロボ光Stの発光前にシャッタを開き、所定の撮像時間tの間、シャッタを開状態とした後、シャッタを閉じる。
【0067】
撮像時間t内には、複数(例えば、3つ)のパルスLs及び1つのストロボ光Stがウェーハ11に照射され、レーザービームLによるウェーハ11のアブレーション加工で生じた光(プラズマ光)を含む画像が取得される。
【0068】
なお、取得される画像には、ストロボ光Stで照らされた分割予定ライン13及びその周囲に位置する他の構成物(例えば、キーパターン25)も含まれる。ここで、図1に戻り、レーザー加工装置2の他の構成要素について説明する。
【0069】
アーム部30bの先端側において集光器34にX軸方向で隣接する位置には、アライメントカメラユニット68が設けられている。アライメントカメラユニット68は、レンズ、撮像素子等(いずれも不図示)を有する顕微鏡カメラユニットである。
【0070】
アライメントカメラユニット68は、保持面6aで吸引保持されたウェーハ11の分割予定ライン13をX軸方向と略平行にする際に利用される。基台4の上部には筐体(不図示)が設けられており、この筐体の前方側面には、タッチパネル70が設けられている。
【0071】
タッチパネル70は、撮像ユニット62及びアライメントカメラユニット68で撮像された画像を表示する表示装置として機能する。なお、タッチパネル70は、レーザー加工装置2の異常発生時に警報を表示することもできる。
【0072】
タッチパネル70には、画像に加えて、所定のGUI(Graphical User Interface)が表示される。それゆえ、タッチパネル70は、加工条件等を設定するための入力装置としても機能する。作業者は、GUIに触れることで、制御ユニット80に対して所望の指令を入力できる。
【0073】
レーザー加工装置2の筐体の側面には、異常発生時に所定の警報音を発するスピーカ72が設けられている。また、レーザー加工装置2の筐体の上面には、円柱状のランプユニット(発光装置)74が設けられている。ランプユニット74は、例えば、1以上のLEDランプを有する。
【0074】
ランプユニット74は、例えば、レーザー加工装置2の稼働時に緑色で点灯し、異常発生時に赤色で点灯又は点滅する。タッチパネル70、スピーカ72、ランプユニット74等は、文字、記号、音、光等を用いて、レーザー加工装置2の異常を作業者等に知らせる警報ユニット76として機能する。
【0075】
X軸方向移動ユニット8、Y軸方向移動ユニット18、レーザービーム照射ユニット32、ストロボ光照射部50、撮像ユニット62、アライメントカメラユニット68、警報ユニット76等の動作は、制御ユニット80により制御される。
【0076】
制御ユニット80は、例えば、CPU(Central Processing Unit)に代表されるプロセッサ(処理装置)と、記憶装置と、を含むコンピュータによって構成されている。記憶装置は、主記憶装置と、補助記憶装置と、を有する。
【0077】
主記憶装置は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を有し、補助記憶装置は、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等を有する。
【0078】
補助記憶装置には、所定のプログラムを含むソフトウェアが記憶されている。このソフトウェアに従い処理装置等を動作させることによって、制御ユニット80の機能が実現される。
【0079】
制御ユニット80は、登録部82を有する。登録部82は、例えば、補助記憶装置の一部に設けられた記憶領域に対応する。登録部82には、レーザー加工前に静止状態のウェーハ11の一部を撮像することで取得された基準画像31(図7参照)が登録される。
【0080】
基準画像31は、上述のキーパターン25と、複数の分割予定ライン13のうち作業者により指定された分割予定ライン13a(図7参照)と、を含む表面11a側の画像である。なお、分割予定ライン13aは、長手方向が所定方向(例えば、X軸方向)に配置された複数の分割予定ライン13のうち、当該キーパターン25に最も近接している。
【0081】
本例では、基準画像31を取得するときに、撮像ユニット62の撮像視野62aの中心62b(図7参照)が、表面11a側の任意の撮像位置11c(図7参照)に位置している。
【0082】
撮像位置11cは、基準画像31と共に、登録部82に登録される。なお、撮像位置11cは、例えば、保持面6aの中心を原点とするXY座標で規定されるが、原点位置は保持面6aの中心に限定されず、任意の位置としてもよい。
【0083】
制御ユニット80は、登録部82に加えて、撮像ユニット62に撮像指示を出す撮像指示部84を有する。撮像指示部84は、例えば、補助記憶装置に記憶された所定のプログラムである。
【0084】
撮像指示部84は、レーザービームLによる表面11a側の加工中に撮像ユニット62に撮像指示(トリガ)を出し、これに従い、撮像ユニット62はウェーハ11を撮像する。撮像指示部84は、撮像視野62aの中心62bが撮像位置11cに到達するタイミングで画像を取得することを目的として、撮像ユニット62に撮像指示を出す。
【0085】
なお、撮像視野62aの中心62bが、加工中において撮像位置11cに到達するタイミングは、チャックテーブル6とレーザービーム照射ユニット32とのX軸方向(第1方向)に沿う相対的な所定の移動速度V(図8参照)に基づいて算出される。
【0086】
しかし、撮像指示を出してから実際に撮像が行われるまでには、タイムラグ(時間遅延)が生じることがある。タイムラグは、レーザー加工装置2における電気的な処理に起因して生じると推測されている。
【0087】
このタイムラグに起因して、実際に撮像された加工中画像33(図9参照)が、本来ならば撮像位置11cで得られるはずの基準画像31(図7参照)からX軸方向でずれることがある。
【0088】
図7に示す基準画像31では、撮像視野62aの中心62bがX軸座標Aにある。キーパターン25の左端は、X軸座標Aにあり、中心62bから第1の距離B(=A-A)だけX軸方向の負側にずれている。
【0089】
なお、本実施形態で用いられるA,A,A等も、撮像位置11cと同様に、保持面6aの中心を原点とする座標である。但し、どこを原点とするかは、任意であり、適宜定めてよい。
【0090】
図9に示す加工中画像33では、中心62bが撮像位置11c(X軸座標A)を通り過ぎており、キーパターン25の左端は、中心62bから、第1の距離Bとは異なる第2の距離B(=A-A)だけX軸方向の正側にずれている。
【0091】
図9に示す例では、加工中画像33が基準画像31に対してX軸方向に第3の距離B(=A-A)だけずれている。そこで、本例では、加工中画像33のずれを補正部86が判定し、ずれが生じていれば、撮像指示を出すタイミングを補正する。
【0092】
第3の距離B(=A-A)がゼロでない場合、撮像指示部84が撮像指示を出すタイミングを補正部86が補正する。本例の補正部86は、補助記憶装置に記憶された所定のプログラムである。補正部86は、加工中画像33及び基準画像31における各キーパターン25のX軸方向でのずれ量に基づいて、撮像指示を出すタイミングを補正する。
【0093】
図9に示す例では、補正部86は、第3の距離Bを、所定の移動速度Vで除算して得られた時間(B/V)だけ、撮像指示を出すタイミングを早める。例えば、(A-A)が12.5μmであり、所定の移動速度Vが500mm/sである場合、補正部86は、撮像指示部84が撮像指示を出すタイミングを25μsだけ早める。
【0094】
この様に、本実施形態のレーザー加工装置2では、所定の移動速度Vが異なる毎に、更には、複数のレーザー加工装置2の各々において、作業者が補正値を特定及び設定すること無く、レーザー加工装置2が自動的に撮像指示のタイミングを補正できる。
【0095】
ところで、レーザー加工時には、作業者により予め設定された照射予定ライン13bに沿ってレーザービームLが照射される。例えば、分割予定ライン13のY軸方向(第2方向)の中心位置に照射予定ライン13bが設定されている場合、レーザービームLの集光点を照射予定ライン13bに位置付けた状態で、集光器34に対してチャックテーブル6を加工送りする。
【0096】
しかし、レーザー加工装置2で生じている振動等に起因して、レーザービームLの集光点の位置が、Y軸方向において照射予定ライン13bからずれることがある。そこで、レーザー加工中には、加工領域のY軸方向のずれをチェックするために、加工領域を少なくとも1回撮像する。
【0097】
レーザー加工中に加工領域を撮像して得られる画像(例えば、加工中画像39)は、レーザービームLが照射された結果表面11a側に発生している発光領域35(図11参照)を含む。
【0098】
レーザー加工中に得られる加工領域を撮像して得られる画像において、発光領域35のY軸方向の中心位置35aと照射予定ライン13bとのずれ量C(図11参照)が、予め定められた閾値(例えば、3μm)を超える場合には、警報ユニット76から警報が発報される。
【0099】
警報発報部88は、例えば、補助記憶装置に記憶された所定のプログラムである。警報発報部88は、ずれ量Cを閾値と比較し、ずれ量Cが閾値を超える場合に、適切な加工が行われていないとしてタッチパネル70、スピーカ72及びランプユニット74のうち1つ以上に警報を発報させる。
【0100】
次に、レーザー加工装置2を用いてウェーハ11をアブレーション加工するレーザー加工方法について説明する。図4は、1つのウェーハ11をレーザー加工する際におけるレーザー加工方法のフロー図である。
【0101】
まず、保持面6aにウェーハユニット21を搬送し、負圧及びクランプユニット6bを利用して、保持面6aでウェーハ11を保持する(保持ステップS10)。図5は、保持ステップS10を示すウェーハ11等の一部断面側面図である。なお、ウェーハ11の表面11a側には水溶性樹脂等を含む保護膜(不図示)が形成されていてもよい。
【0102】
次いで、作業者が、アライメントカメラユニット68を利用して表面11a側の画像を見ながら、アライメント用のキーパターン25を決定して制御ユニット80に設定する。次いで、このキーパターン25からX軸方向で離れた位置にある他のキーパターン25をアライメントカメラユニット68で撮像する。
【0103】
アライメントカメラユニット68で得られた他のキーパターン25の画像に対して、制御ユニット80の画像処理部(不図示)がパターンマッチングを行った後、他のキーパターン25の位置が特定され、更には、X軸方向に対する一の分割予定ライン13の傾きが特定される。
【0104】
なお、画像処理部は、例えば、制御ユニット80の補助記憶装置に記憶された所定のプログラムである。一の分割予定ライン13の傾き特定の後、制御ユニット80は、一の分割予定ライン13がX軸方向と略平行になる様に、ウェーハ11の向きを調整する(向き調整ステップS20)。
【0105】
向き調整ステップS20の後、作業者が、タッチパネル70を介してチャックテーブル6、撮像ユニット62等を操作して、表面11a側の任意の領域を撮像し、基準画像31を取得する。図6(A)は、登録ステップS30におけるウェーハ11等の一部断面側面図である。
【0106】
本例では、基準画像31を取得する際における撮像視野62aの中心62bが、撮像位置11cとなる(図6(B)参照)。図6(B)は、登録ステップS30におけるウェーハ11の一部の上面拡大図である。
【0107】
なお、図6(B)等では、説明の便宜上、撮像位置11cを黒点で示すが、レーザー加工装置2において実際に取得される画像には、撮像位置11cを示す黒点は表示されない。
【0108】
作業者は、タッチパネル70を介して、所定の入力を行い、基準画像31が取得された撮像位置11cと、基準画像31とを、登録部82に登録する(登録ステップS30)。図7は、基準画像31の一例を示す図である。
【0109】
なお、本実施形態の登録ステップS30では、TEG23が設けられている分割予定ライン13aの一部を含む画像を基準画像31とするが、撮像位置11cは、分割予定ライン13aにおいてTEG23が形成されていない位置とする。
【0110】
基準画像31及び撮像位置11cの登録後、制御ユニット80が、チャックテーブル6の加工送り速度(相対的な所定の移動速度V)に基づいて、ストロボ光源52の発光タイミングや、撮像ユニット62のシャッタの開閉タイミングを決定する。
【0111】
これにより、撮像視野62aの中心62bが撮像位置11cに到達するタイミングで、撮像ユニット62が表面11a側の画像を取得する様に、撮像指示部84のオペレーションが設定される。設定完了後、ウェーハ11のレーザー加工を開始する。
【0112】
具体的には、レーザービームLの集光点を一の分割予定ライン13の長手方向の端に位置付けた状態で、X軸方向移動ユニット8が集光器34に対してX軸方向の一方側にチャックテーブル6を所定の移動速度Vで移動させる。
【0113】
図8は、ウェーハ11をレーザー加工する様子を示す一部断面側面図である。一の分割予定ライン13に沿って集光点を走査することで、レーザー加工溝35b(例えば、図9参照)が形成される。
【0114】
その後、チャックテーブル6を所定のインデックス量だけ割り出し送りし、Y軸方向において一の分割予定ライン13に隣接する他の分割予定ライン13の長手方向の端に、集光点を位置付ける。
【0115】
次いで、集光器34に対してX軸方向の他方側にチャックテーブル6を所定の移動速度Vで移動させることで、他の分割予定ライン13に沿ってレーザー加工溝35bを形成する。この様にして、分割予定ライン13に沿って、順次、レーザー加工溝35bを形成する。
【0116】
但し、分割予定ライン13aの加工中には、上述の様に、ウェーハ11を加工すると共に、撮像位置11cに撮像視野62aの中心62bが到達するタイミングで加工中画像33を取得することを目的として、撮像指示部84が撮像ユニット62に撮像指示を出す(撮像ステップS40)。
【0117】
図9は、撮像ステップS40で得られた加工中画像33の一例を示す図である。図9に示す例では、撮像指示部84が撮像指示を出してから実際に撮像ユニット62によって撮像が行われるまでのタイムラグに起因して、加工中画像33が基準画像31からずれ、発光領域35がTEG23上に位置している。
【0118】
なお、基準画像31と加工中画像33とのX軸方向のずれ量は、TEG23ではなく、キーパターン25を利用して算出するので、キーパターン25が撮像されていれば、発光領域35がTEG23上にあってもずれ量の算出に特段支障はない。
【0119】
本例では、加工中画像33と基準画像31とがX軸方向でずれているか否かを、補正部86が判定する(判定ステップS50)。X軸方向のずれ量が非ゼロである場合(S50でYES)、補正部86は、撮像指示部84が撮像指示を出すタイミングを補正する(補正ステップS60)。
【0120】
図9に示す例では、第3の距離Bが12.5μmであり、所定の移動速度Vが500mm/sであるので、補正部86は、撮像指示部84が撮像指示を出すタイミングを25μsだけ早める。
【0121】
本実施形態のレーザー加工方法では、レーザー加工装置2が自動的に撮像指示のタイミングを補正できる。特に、所定の移動速度Vが異なる毎に、更には、複数のレーザー加工装置2の各々において、作業者が補正値を特定及び設定すること無く、レーザー加工装置2が自動的に撮像指示のタイミングを補正できる。
【0122】
なお、第3の距離Bがゼロである場合(S50でNO)、補正ステップS60は省略される。例えば、1つのカセット(不図示)に収容された複数のウェーハ11に対して同じ加工条件でレーザー加工を施す場合、1枚目のウェーハ11の加工時に補正ステップS60が行われていれば、2枚目以降のウェーハ11では補正ステップS60を省略できる。
【0123】
図10は、撮像指示のタイミングが補正された後の加工中画像37の一例を示す図である。図10では、撮像視野62aの中心62bが、登録ステップS30で登録された撮像位置11cと、一致する。
【0124】
ところで、レーザー加工中には、タイミング補正前の加工中画像33(図9参照)、又は、タイミング補正後の加工中画像37(図10参照)を用いて、発光領域35のY軸方向の中心位置35aと、照射予定ライン13bとの、Y軸方向のずれ量C(図11参照)が、閾値と比較される(比較ステップS70)。
【0125】
図11は、Y軸方向のずれ量Cが生じた加工中画像39の一例を示す図である。図11に示す加工中画像39は、タイミング補正後の加工中画像37に対応しており、発光領域35がTEG23から離れた位置にある。この場合、発光領域35の中心位置35aの特定が困難になるという事態を確実に回避できる。
【0126】
但し、Y軸方向のずれ量を検出するための加工中画像39は、タイミング補正前の加工中画像33に対応してもよい。この場合、撮像指示のタイミングの補正と、発光領域35のY軸方向のずれの検出とを、1回の撮像で行うことができるという利点がある。
【0127】
ずれ量Cが予め定められた閾値を超える場合(S70でYES)、警報発報部88は、警報ユニット76に警報を発報させる(警報発報ステップS80)。なお、ずれ量Cが閾値以下である場合(S70でNO)、警報発報ステップS80は省略される。
【0128】
警報発報ステップS80で警報が発報された場合、レーザー加工を中断し、加工条件の修正、レーザー加工装置2の点検等を行うことが望ましい。
【0129】
X軸方向に略平行に配置された各分割予定ライン13に沿ってウェーハ11をレーザー加工した後、回転駆動源6cを動作させてチャックテーブル6を90度回転させ、未加工の分割予定ライン13をX軸方向と略平行に位置付ける。そして、未加工の各分割予定ライン13をレーザービームLで加工する。
【0130】
本実施形態では、所定の移動速度Vが異なる毎に、更には、複数のレーザー加工装置2の各々において、作業者が補正値を特定及び設定すること無く、レーザー加工装置2が自動的に撮像指示のタイミングを補正できる。
【0131】
なお、登録ステップS30では、想定されるX軸方向のずれ量よりもTEG23から離れた位置に、撮像位置11cを設定する。それゆえ、1つのカセットに収容された複数のウェーハ11に対して同じ加工条件でレーザー加工を施す場合、2枚目以降のウェーハ11の撮像ステップS40では、発光領域35がTEG23上に無い加工中画像39(図11参照)が得られる。
【0132】
この様に、本実施形態では、TEG23が無い分割予定ライン13に限定されず、TEG23が形成されている分割予定ライン13でも、レーザー加工中における表面11a側の撮像を行うことができる。従って、レーザー加工装置2においてカーフチェックを行う際の分割予定ライン13の選択の自由度が向上する。
【0133】
次に、図12から図14(B)を参照し、第2の実施形態について説明する。まず、第2の実施形態において、レーザー加工装置2の制御ユニット80は、登録部82を使用しない又は登録部82を有しない。係る点が、第1の実施形態と異なる。
【0134】
図12は、第2の実施形態に係るレーザー加工方法を示すフロー図である。第2の実施形態では、保持ステップS10及び向き調整ステップS20の後、登録ステップS30を行わず、ウェーハ11のレーザー加工を行う。
【0135】
図13は、第2の実施形態においてウェーハ11にレーザー加工を施す様子を示す図である。なお、図13では、説明の便宜上、キーパターン25を大きく誇張し、その凡その位置を示している。
【0136】
特に、レーザー加工時には、第1の分割予定ライン13-1上の第1の撮像位置11d(図13参照)に撮像視野62aが到達するタイミングで画像を取得することを目的として、撮像指示部84が撮像ユニット62に撮像指示を出す。
【0137】
これにより、発光領域35と、第1のキーパターン25-1(図14(A)参照)と、を含む第1の加工中画像43が、自動的に取得される(第1の撮像ステップS42)。図14(A)は、第1の加工中画像43の一例を示す図である。
【0138】
また、レーザー加工時には、第1の分割予定ライン13-1とはY軸方向で離れている第2の分割予定ライン13-2を、第1の分割予定ライン13-1の加工時とはX軸方向で反対方向に集光点を走査しながら加工する。
【0139】
このとき、第2の分割予定ライン13-2上、且つ、X軸方向で第1の撮像位置11dと同じ位置にある第2の撮像位置11e(図13参照)に、撮像視野62aが到達するタイミングで画像を取得することを目的として、撮像指示部84が撮像ユニット62に撮像指示を出す。
【0140】
これにより、発光領域35と、第1のキーパターン25-1と同一の形状を有する第2のキーパターン25-2(図14(B)参照)と、を含む第2の加工中画像45が、自動的に取得される(第2の撮像ステップS44)。図14(B)は、第2の加工中画像45の一例を示す図である。
【0141】
なお、第1の撮像位置11d及び第2の撮像位置11eは、作業者により登録されるのではなく、制御ユニット80により適切に決定される。また、第1の撮像位置11d又は第2の撮像位置11eに到達するタイミングは、第1の実施形態と同様に、所定の移動速度Vに基づいて算出される。
【0142】
しかし、上述の様にタイムラグに起因して、第1の加工中画像43は、本来ならば第1の撮像位置11dで取得される画像に対して、X軸方向において(図14(A)に示す例では、X軸方向の負側に)、所定量だけずれている可能性がある。
【0143】
また、第2の加工中画像45も同様に、本来ならば第2の撮像位置11eで取得される画像に対して、X軸方向において(図14(B)に示す例では、X軸方向の正側に)、所定量だけずれている可能性がある。
【0144】
第1の加工中画像43及び第2の加工中画像45における個別のずれ量は定かではないが、第1の加工中画像43及び第2の加工中画像45では、互いに逆向きに同じ量だけずれが生じていると推定される。
【0145】
そこで、本実施形態では、第1の加工中画像43における第1のキーパターン25-1の左端(所定位置)から撮像視野62aの中心62bまでの第1の距離Dと、第2の加工中画像45における第2のキーパターン25-2の左端(所定位置)から中心62bまでの第2の距離Dと、の平均値に基づいて撮像指示を出すタイミングを補正する(補正ステップS60)。
【0146】
より具体的には、補正部86が、第1の距離D及び第2の距離Dの平均値を所定の移動速度Vで除算して得られた時間((D+D)/(2V))を算出し、算出された時間だけ撮像指示を出すタイミングを早める様に、撮像指示部84の動作を修正する。
【0147】
なお、第1の距離D及び第2の距離Dを算出する際の基準となる第1のキーパターン25-1及び第2のキーパターン25-2の各所定位置は、左端に限定されず、中心、右端等他の位置としてもよい。
【0148】
第1の加工中画像43における第1のキーパターン25-1の所定位置は、向き調整ステップS20で使用した制御ユニット80の画像処理部(不図示)が行うパターンマッチング等を利用して特定される。第2のキーパターン25-2も同様である。
【0149】
第2の実施形態においても、所定の移動速度Vが異なる毎に、更には、複数のレーザー加工装置2の各々において、作業者が補正値を特定及び設定すること無く、レーザー加工装置2が自動的に撮像指示のタイミングを補正できる。
【0150】
更に、第2の実施形態では、第1の実施形態の様に登録ステップS30を行う必要が無いので、その分だけ作業者の手間を省くことができ、それゆえ、レーザー加工装置2の操作が容易になる。
【0151】
その他、上述の実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。例えば、第1の実施形態の登録ステップS30において、作業者は、任意の場所にある2以上の撮像位置を登録できる。また、第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、比較ステップS70及び警報発報ステップS80を行うことができる。
【符号の説明】
【0152】
2:レーザー加工装置、4:基台、6:チャックテーブル、6a:保持面
6b:クランプユニット、6c:回転駆動源、6d:カバー
8:X軸方向移動ユニット(第1方向移動ユニット)、10:ガイドレール
12:移動テーブル、14:ボールネジ、16:パルスモータ(モータ)
11:ウェーハ(被加工物)、11a:表面、11b:裏面
11c:撮像位置、11d:第1の撮像位置、11e:第2の撮像位置
13,13a:分割予定ライン、13b: 照射予定ライン
13-1:第1の分割予定ライン、13-2:第2の分割予定ライン
15:デバイス、17:フレーム、19:テープ、21:ウェーハユニット
18:Y軸方向移動ユニット
20:ガイドレール、22:移動テーブル、24:ボールネジ、26:パルスモータ
23:TEG、25:キーパターン
25-1:第1のキーパターン、25-2:第2のキーパターン、
30:支持構造、30a:柱部、30b:アーム部
31:基準画像、33,37,39:加工中画像
32:レーザービーム照射ユニット、34:集光器、34a:集光レンズ
35:発光領域、35a:中心位置、35b:レーザー加工溝
36:レーザービーム生成部、38:レーザー発振器、40:繰り返し周波数設定部
42:ダイクロイックミラー、50:ストロボ光照射部
43:第1の加工中画像、45:第2の加工中画像
52:ストロボ光源、54:絞り、56:コリメートレンズ、58:ミラー
60:ビームスプリッター、62:撮像ユニット、62a:撮像視野、62b:中心
64:組レンズ、64a:収差補正レンズ、64b:結像レンズ、66:撮像素子
68:アライメントカメラユニット、70:タッチパネル(表示装置)、72:スピーカ
74:ランプユニット(発光装置)、76:警報ユニット、80:制御ユニット
82:登録部、84:撮像指示部、86:補正部、88:警報発報部
,A,A:X軸座標
:第1の距離、B:第2の距離、B:第3の距離
C:ずれ量、D:第1の距離、D:第2の距離
L:レーザービーム、Ls:パルス、St:ストロボ光、V:移動速度、t:撮像時間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
図13
図14