(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】反応物質気化システムのための加熱ゾーン分離
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20241015BHJP
C23C 16/448 20060101ALI20241015BHJP
【FI】
H01L21/31 B
C23C16/448
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020149032
(22)【出願日】2020-09-04
【審査請求日】2023-08-15
(32)【優先日】2019-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100118256
【氏名又は名称】小野寺 隆
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト カール ルイス
(72)【発明者】
【氏名】シェロ エリック ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】フォンドゥルリア カイル
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】特表平10-500733(JP,A)
【文献】特開2003-031562(JP,A)
【文献】特開2009-149939(JP,A)
【文献】特開2016-208026(JP,A)
【文献】特開2016-027611(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
C23C 16/448
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度ゾーン制御システムであって、
少なくとも部分的に排気されるように構成される反応物質原料キャビネットと、
固体原料化学反応物質をその中に保持するよう構成される容器ベースであって、前記反応物質原料キャビネット内に配置されるように構成される、容器ベースと、
前記容器ベースの遠位部に連結するリッドであって、一つまたは複数のリッドバルブを備える、リッドと、
ガス源から前記容器
ベースへガスを送達するように構成される複数のガスパネルバルブと、
前記一つまたは複数のリッドバルブを加熱するように構成される第1の発熱体と、
熱シールドであって、その第1の部分は、前記一つまたは複数のリッドバルブと前記容器ベースとの間に配置され、その第2の部分は、前記第1の発熱体と前記複数のガスパネルバルブとの間に配置され、前記熱シールドは、前記リッドバルブから前記容器ベースへの熱伝達を妨げるように構成される、熱シールドと、を備えるシステム。
【請求項2】
前記容器ベースの近位部と熱連通する冷却体をさらに含み、前記容器ベースの前記近位部を優先的に冷却するように構成され、それにより、前記容器ベースの近位部から遠位部への温度勾配を確立する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記熱シールドの前記第1の部分は第1のプレートを備え、前記熱シールドの前記第2の部分は第2のプレートを備え、前記第1のプレートは前記第2のプレートに対してある角度で配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
第1のパネルは前記一つまたは複数のリッドバルブと前記容器ベースとの間に配置され、前記第2のプレートは前記容器ベースの軸とほぼ平行に配置される、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
第2の発熱体をさらに備え、前記第2の発熱体は第2のプレートが前記一つまたは複数のリッドバルブと前記複数のガスパネルバルブとの間に配置されるように配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1の発熱体から前記一つまたは複数のリッドバルブへの熱伝達率の、前記第1の発熱体から前記容器ベースへの熱伝達率に対する比が約5より大きいように、前記熱シールドは前記容器ベースへの熱伝達を妨げるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記熱シールドの部分が、前記一つまたは複数のリッドバルブと前記リッドの少なくとも一部との間に配置されるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1の発熱体は、前記容器ベースを第1の閾値温度よりも低い第2の閾値温度より上に上昇させることなく、前記一つまたは複数のリッドバルブを前記第1の閾値温度より上に維持するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1の発熱体と連結する冷却体は、前記容器ベースを第1の閾値温度よりも低い第2の閾値温度より上に上昇させることなく、前記一つまたは複数のリッドバルブを前記第1の閾値温度より上に維持する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記一つまたは複数のリッドバルブのそれぞれは、それを通る微粒子状物質の通過を妨げるように構成されるそれぞれのフィルターを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記複数のフィルターのうちの少なくとも一つの空隙率は、閾値温度未満で反応物質がそこを通過するのを妨げ、閾値温度超で反応物質がそこを通過することを可能にするように構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
反応物質原料キャビネット内の熱伝達を制御する方法であって、前記方法は、
容器
ベースのリッドの入口を通して容器ベース内にキャリアガスを連続的に流すことと、
前記反応物質原料キャビネットの発熱体から前記リッドの前記入口に熱を伝達することであって、前記入口と前記容器ベースとの間に配置される第1の部分を備える熱シールドは、発熱体から容器ベースへの熱の伝達を妨げ、前記入口は前記容器ベースより高い温度に維持される、伝達することと、
前記容器ベース内のキャリアガス中の化学前駆体を気化させることと、
前記気化させた化学反応物質を前記リッドの出口を通して反応チャンバーに流すことと、を含む、方法。
【請求項13】
前記反応物質原料
キャビネットは、前記キャリアガスを前記容器
ベースに流すように構成される複数のガスパネルバルブをさらに含み、前記方法は、前記複数のガスパネルバルブを加熱することをさらに含み、(i)第2の発熱体と複数のガスパネルバルブとを備える第1のゾーンと(ii)前記入口と出口とを備える第2のゾーンとの間に配置される前記熱シールドの第2の部分は、第2の発熱体から前記リッドの前記入口および出口への熱伝達を妨げる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
水冷を使用して容器ベースの一部を冷却することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記発熱体から前記容器ベースへの前記熱伝達を妨げることは、(a)第1の発熱体から前記入口への熱伝達率の(b)前記第1の発熱体から前記容器ベースへの熱伝達率に対する比が4より大きいことを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記発熱体から前記容器ベースへの前記熱伝達を妨げることは、前記容器ベースを第1の閾値温度よりも低い第2の閾値温度よりも上に上昇させることなく、前記リッドを前記第1の閾値温度より上に維持することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
第1の閾値温度の第2の閾値温度に対する比は、少なくとも約1.15である、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記入口、前記出口、または両方を通過する微粒子状物質を濾過することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記微粒子状物質を濾過することは、閾値温度未満で反応物質がそこを通過するのを妨げ、閾値温度超で前記反応物質がそこを通過することを可能にすることを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記反応物質原料キャビネットを少なくとも部分的に排気することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願とともに提出された出願データシートにおいて外国または国内における優先権主張が特定される任意のおよび全ての出願は、37 CFR 1.57の下で参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
背景
典型的な固体または液体の原料反応物質送達システムは、一つまたは複数の発熱体および/または冷却体を備えるシステム内に配置される。容器は、気化される化学反応物質を含むことができる。キャリアガスは、反応物質蒸気をキャリアガスと共に容器の出口を通って、最終的に反応チャンバーに運ぶ。
【0003】
本出願は、概ね、半導体処理装置を含むシステムおよび方法に関し、具体的には、化学蒸気供給用の気化システムに関する。
【発明の概要】
【0004】
温度ゾーン制御システムのいくつかの実施形態は、少なくとも部分的に排気されるように構成される反応物質原料キャビネットを備えることができる。システムは、その中に固体原料化学反応物質を保持するように構成される容器ベースを備えることができる。容器ベースはまた、反応物質原料キャビネット内に配置されるように構成されてもよい。システムは、容器ベースの遠位部に連結するリッドを備えることができ、リッドは、一つまたは複数のリッドバルブを備えることができる。システムは、ガスをガス源から容器に送達するように構成される複数のガスパネルバルブを備えることができる。システムは、一つまたは複数のリッドバルブを加熱するように構成される第1の発熱体(例えば、ヒーター)を備えることができる。システムは、第1の部分および第2の部分を備える熱シールドを備えることができる。第1の部分は、一つまたは複数のリッドバルブと容器ベースとの間に配置されることができる。第2の部分は、第1の発熱体と複数のガスパネルバルブとの間に配置されることができる。熱シールドは、リッドバルブから容器ベースへの熱伝達を、例えば、リッドから容器ベースへの熱伝達を(熱シールドのない同等のシステムと比べて)防止、抑制、または低減することにより、妨げるように構成されることができる。
【0005】
本明細書で説明される主題の一つまたは複数の実施形態の詳細は、添付の図面および以下の説明に記載されている。他の特徴、態様、および利点は、説明、図面、および特許請求の範囲から明らかになるであろう。この発明の概要も以下の詳細な説明も、本発明の主題の範囲を定義または制限することを意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本開示のこれらの態様および他の態様は、以下の説明、添付の特許請求の範囲を考慮すれば、および本発明を例示するものであり限定するものではない図面から、当業者には容易に明らかになるであろう。
【0007】
【
図1】
図1は、いくつかの構成による、温度ゾーン制御システムの例である。
【
図2】
図2は、いくつかの構成による、温度ゾーン制御システムの別の例である。
【
図3】
図3は、いくつかの構成による、温度ゾーン制御システムの斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3の温度ゾーン制御システムの側面斜視図である。
【
図5】
図5は、
図3の温度ゾーン制御システムの後方斜視図である。
【
図6】
図6は、反応物質原料キャビネットを備える温度ゾーン制御システムの正面斜視図である。
【
図7】
図7は、いくつかの構成による、反応物質原料キャビネット内の熱シールドの斜視図である。
【
図8】
図8は、いくつかの構成による、熱シールドの斜視図である。
【
図9】
図9は、いくつかの実施形態による、反応物質原料キャビネット内の熱伝達を制御する方法である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書で提供される見出しがある場合、便宜上のものであり、請求項に係わる発明の範囲または意味に必ずしも影響を与えない。本明細書では、高容量堆積モジュール内に気化または昇華した反応物質を供給するためのシステムおよび関連する方法について説明する。
【0009】
以下の詳細な説明は、特許請求の範囲の理解を助けるために特定の実施形態を詳述している。しかし、特許請求の範囲によって定義され、適用を受けるように、多数の異なる実施形態および方法で本発明の主題を実施することができる。
【0010】
化学反応物質または固体原料供給システムは、固体または液体原料容器およびヒーター(例えば、放射加熱ランプ、抵抗ヒーターおよび/または同種のもの)を備えることができる。容器は、原料前駆体(「化学前駆体」と呼ばれる場合もある)を含み、これは固体(例えば、粉末形態)または液体であることができる。ヒーターは容器を加熱し、容器内での前駆体の化学反応物質への気化および/または昇華を促進させる。容器は、容器を通るキャリアガス(例えば、窒素)の流れのための入口および出口を備えることができる。一例として、入口および/または出口は、バルブを備えてもよい(このようなバルブは、本明細書では「リッドバルブ」と呼ばれる場合がある)。キャリアガスは不活性(例えば、窒素、アルゴン、またはヘリウム)であってもよい。一般的に、キャリアガスは反応物質の蒸気(例えば、気化または昇華した化学反応物質)をそれと一緒に容器の出口を通って、最終的に反応チャンバーへ運ぶ。反応チャンバーは、基材上に堆積するためであってもよい。典型的に、容器は容器の内容物を容器の外部から流体的に隔離するための隔離バルブを備える。一つの隔離バルブを容器の入口の上流に設け、別の隔離バルブを容器の出口の下流に設けることができる。いくつかの実施形態の原料容器は、昇華器を備える、それから本質的になる、または昇華器からなる。つまり、本明細書で「原料容器」が言及される場合は常に、昇華器(例えば、「固体原料化学物質昇華器」)も明確に意図される。
【0011】
化学気相堆積(CVD)は、基材、例えばシリコンウェーハ上に材料の薄膜を形成するための半導体産業において既知のプロセスである。CVDでは、異なる反応物質の化学物質の(「前駆体ガス」を含む)反応物質の蒸気が反応チャンバー内の一つまたは複数の基材に供給される。多くの場合、反応チャンバーは、基材ホルダー(例えば、サセプター)上に支持される単一の基材のみを備え、基材および基材ホルダーは所望のプロセス温度に維持される。典型的なCVDプロセスでは、相互反応性の反応物質の蒸気が互いに反応して基材上に薄膜を形成し、成長速度は温度と反応物質ガスの量に関係する。いくつかの変形例では、堆積反応を駆動するエネルギーは、全体または一部がプラズマによって供給される。
【0012】
いくつかの用途では、反応物質ガスは反応物質原料容器に気体の形態で保存される。このような用途では、反応物質は多くの場合、約1気圧および室温の標準圧力および温度で気体である。このようなガスの例としては、窒素、酸素、水素、およびアンモニアが挙げられる。ただし、場合によっては、標準圧力および温度で液体または固体(例えば、塩化ハフニウム、酸化ハフニウム、二酸化ジルコニウム等)である原料化学物質(「前駆体」)の蒸気が使用される。(本明細書で「固体原料前駆体」、「固体化学反応物質」、または「固体反応物質」と呼ばれる)一部の固体物質の場合、室温での蒸気圧は非常に低いため、通常は非常に低い圧力で加熱および/または保持され反応プロセスに十分な量の反応物質の蒸気を生成する。気化(例えば、昇華または気化)した後、気相反応物質を処理中ずっと気化温度以上に保持することで、バルブ、フィルター、導管、および気相反応物質の反応チャンバーへの送達に関連するその他の構成要素において望ましくない凝縮を防ぐことができる。このような天然の固体または液体物質からの気相反応物質は、様々な他の産業における化学反応に有用である。
【0013】
原子層堆積(ALD)は、基材上に薄膜を形成する別の既知のプロセスである。多くの用途では、ALDは本明細書に記載の固体および/または液体原料化学物質を使用する。ALDは、サイクルで実行される自己飽和反応によって膜を堆積させる蒸着の一種である。膜の厚さは、実行されるサイクルの数によって決定される。ALDプロセスでは、ガス状反応物質が順番におよび/または繰り返して基材またはウェーハに供給され、ウェーハ上に材料の薄膜が形成する。一つの反応物質は、ウェーハ上で自己制御的プロセスにより吸着する。続いて異なるパルス状の反応物質が吸着された材料と反応して、所望の材料の単一分子層しか形成しない。分解は、吸着種間での、および配位子交換またはゲッタリング反応などで適切に選択された試薬との、相互反応によって発生する場合がある。一部のALD反応では、サイクルごとに僅か1分子の単分子層が形成される。より厚い膜は、目標の厚さが達成されるまで繰り返し成長サイクルを経て生成される。
【0014】
いくつかのALD反応では、互いに反応性の反応物質は、異なる反応物質へ基材を暴露させる間に除去プロセスを介在させることにより、気相で別々に保持される。例えば、時分割ALDプロセスでは、反応物質がパルスで固定基材に供給され、通常はパージまたは排気フェーズにより分離される。空間分割ALDプロセスでは、基材は異なる反応物質の区域を移動する。一部のプロセスでは、空間分割ALDと時分割ALDの両方の態様を組み合わせることができる。当業者は、いくつかの変形またはハイブリッドプロセスが、通常のALDパラメータウィンドウ外の堆積条件の選択により、および/または基材への暴露中に互いに反応性の反応物質間である程度の重なり合いを可能にすることにより、のいずれかである程度のCVDのような反応を可能にすることを理解するであろう。
【0015】
反応物質原料容器には、通常、容器入口および容器出口から延在するガスライン、ライン上の隔離バルブ、ならびにバルブ上のフィッティングが付属し、フィッティングは残りの基材処理装置のガスフローラインに連結するように構成されている。多くの場合、反応物質原料容器と反応チャンバーとの間の様々なバルブおよびガスフローラインを加熱するために一つまたは複数の追加のヒーターを設けて、反応物質の蒸気がこのような構成要素上に凝縮して堆積するのを防ぐことが望ましい。したがって、原料容器と反応チャンバーとの間のガス搬送構成要素は、温度が通常反応物質の気化/凝縮/昇華温度より高く保持されるので、「ホット」と呼ばれる場合がある。
【0016】
本明細書に記載のように、様々な容器は反応物質原料容器を原料前駆体で充填するために備えられてもよい。従来、原料容器は、充填のために反応器システムから取り外されるが、反応器システム内に配置されている間に再充填される容器も本明細書の実施形態に好適である。反応器システム内のキャビネットは、例えば真空条件での一つまたは複数の容器を備えることができる。さらに、本明細書のいくつかの実施形態による容器は、反応器システムの近くに、隣接して、またはその中に配置されることができる。容器を反応器システムに近接させることで、長いパイプの必要性を減らし、パイプ内での凝縮の可能性を減らし、およびまたは不要な流体要素の必要性を減らすことができる。様々な構成に関して別の特徴を本明細書に記載する。
【0017】
いくつかの実施形態の化学反応物質または固体原料送達システムでは様々な発熱体および/または冷却体を備えることができるので、システムを二つ以上の熱ゾーンに分離することは、どの要素がどのゾーンで追加の加熱または冷却を受けることを制御するのに有利であることができる。熱ゾーン間で分離が維持されない場合、発熱体および/または冷却体間で熱クロストークのリスクがあり、これは低いまたは不正確な温度制御をもたらす場合がある。さらに、熱ゾーン間または熱ゾーンの間で熱伝達(例えば、放射)の制御が不十分である場合、一部のシステム構成要素が必要以上に加熱または冷却され、反応物質の望ましくない分解または凝縮を引き起こし、システムに損傷を与える可能性がある。下流構成要素(例えば、ガスライン、バルブ、フィルター等)は、上記のように、昇華化学物質の凝縮を防止するために高温に制御されてもよい。加熱システムはまた、分解が起こるように昇華化学物質を過熱しないようにする必要がある。
【0018】
複数の加熱源および/または冷却源を正確にかつ高精度に制御することは、例えば、異なる放射ゾーンにある可能性がある様々な反応器および/または容器構成要素間のまたはそれらの間の熱クロストークのために一般的に困難である。これにより、各ゾーンの制御が競合する可能性がある。さらに、ある熱ゾーンの温度を監視および/または制御するための温度センサー、例えば熱電対は、別の熱ゾーンから放射される熱の影響を受ける場合がある。例えば、固体前駆体送達システムの様々な構成要素の正確な温度制御なしでは、ホットスポットおよびコールドスポットが蒸気送達システムに存在する可能性があり、これは(例えば、バルブ、パイプ、フィルター等内で)反応物質の凝縮および/または分解を引き起こす可能性がある。
【0019】
システムに一つまたは複数の熱シールドを配置することにより、熱放射を目的の構成要素に向けながら、同時に他の構成要素を別の熱ゾーンに分離することができる。したがって、優れた温度制御を達成することができる。熱シールドは、様々な形態、例えば熱ゾーン間に配置される反射パネル、例えばより詳細に本明細書に記載の反射パネル、を取ることができる。反射パネルは、一つまたは複数の発熱体からの放射熱を反射するように構成されるシートメタル(例えば、ステンレス鋼)を備えることができる。
【0020】
一般的に、化学前駆体は、固体状態で容器内に収容され(例えば、保存され)、昇華または気化されて、別の場所(例えば、堆積モジュールまたは反応チャンバー)に送られる。いくつかの構成では、キャリアガスを使用して、気化した化学前駆体を容器から別の場所へ(例えば、堆積モジュールまたは反応チャンバーへ)運ぶことができる。したがって、容器のベースは(例えば、前駆体を固体として維持するため)好ましくは比較的低温であることができ、容器のリッドは、好ましくは比較的高温であることができる(その結果、例えば、バルブおよび下流での流路における凝縮を最小化または防止しながら、前駆体が容易に気相に入り、別の場所、例えば堆積モジュールまたは反応チャンバーに流れることを可能にする)。
【0021】
図1はいくつかの構成による、例示の温度ゾーン制御システム100を示す。温度ゾーン制御システム100は、反応物質原料キャビネット110、反応物質原料容器120、および熱シールド150を備えることができる。反応物質原料キャビネット110内で、温度ゾーン制御システム100は、第1の発熱体(例えばヒーター)142および第2の発熱体(例えばヒーター)144を備えることができる。第1の発熱体142は、一つまたは複数のリッドバルブ132に熱を伝達するように構成されることができる。第2の発熱体144は、一つまたは複数のガスパネルバルブ134を加熱するように構成されることができる。温度ゾーン制御システム100は、本明細書に記載の一つまたは複数の別の要素を備えることができる。熱シールド150は、第1の部分150aおよび第2の部分150bを備えることができる。第2の部分150bは、リッドバルブ132から容器ベース124への熱伝達を妨げる(例えば、熱シールド150のない同等のシステムと比べて抑制、防止、または低減する)ことができる。温度ゾーン制御システム100は、反応器システム(図示せず)を備えてもよい。
【0022】
反応物質原料キャビネット110は、近位方向104および遠位方向108に延在するキャビネット軸を画定することができる。反応物質原料容器120は、熱シールド150の少なくとも一部分の近位に配置されてもよい。第1の発熱体142および/または第2の発熱体144のうちの少なくとも一つは、反応物質原料容器120の遠位に配置されてもよい。第1の部分150aは、キャビネット軸にほぼ平行に配置されてもよい。第2の部分150bは、第1の部分150aに対して横断方向に(例えば直角に)配置されてもよい。第1の部分150aおよび/または第2の部分150bは、対応するプレートを備えてもよく、その他の構造体(例えば、ブロック、カーテン、ネット等)を使用してもよい。
【0023】
熱シールド150は、二つ以上の熱ゾーンを形成するように構成されることができる。
図1に示すように、温度ゾーン制御システム100は、第1の熱ゾーン160、第2の熱ゾーン164、および第3の熱ゾーン168を備えることができる。第1の熱ゾーン160および/または第2の熱ゾーン164は、第2の部分150bおよび/または第3の熱ゾーン168の遠位に配置されてもよい。第1の熱ゾーン160は、第1の部分150aを挟んで第2の熱ゾーン164と横方向に反対側に配置されてもよい。熱シールド150の第2の部分150bは、一つまたは複数のリッドバルブ132が通過できるように構成されるギャップを備えてもよい。それにより、いくつかの構成では、一つまたは複数のリッドバルブ132の遠位部は、第2の熱ゾーン164内に少なくとも部分的に配置されてもよい。ガスパネルバルブ134は、反応物質原料キャビネット110の内部表面に連結してもよい。示すように、ガスパネルバルブ134は、第1の熱ゾーン160内に少なくとも部分的に配置されてもよい。したがって、いくつかの実施例では、リッドバルブ132およびガスパネルバルブ134の一部は、異なる熱ゾーンに配置されてもよい。ガスパネルバルブ134は、出口(および出口を通るガスの流れを調整する任意のリッドバルブ132)の下流ならびに反応チャンバーの上流に配置されてもよい。ガスパネルバルブ134は、反応チャンバーへの反応物質の流れを制御することができる。
【0024】
反応物質原料容器120は、容器ベース124およびそれに連結する容器リッド128を備えることができる。容器リッド128は、一つまたは複数のリッドバルブ132、例えば入口バルブおよび/または出口バルブを備えることができる。容器リッド128および/または容器ベース124は、熱シールド150の第2の部分150bの近位に配置されてもよい。したがって、いくつかの実施例では、反応物質原料容器120(例えば、容器ベース124、容器リッド128)の少なくとも一部は、第3の熱ゾーン168内に配置される。したがって、リッドバルブ132、ガスパネルバルブ134、および反応物質原料容器120の一部は、異なる熱ゾーンに配置されてもよい。
【0025】
反応物質原料容器120は、化学反応物質、例えば固体または液体原料前駆体を含むことができる。「固体原料前駆体」は、本開示を考慮して、当技術分野における慣習的かつ通常の意味を有する。これは、標準的な条件(例えば、室温および大気圧)下で固体である原料化学物質を指す。反応物質原料容器120は、近位方向104および遠位方向108に延在する容器軸を画定してもよい(例えば、キャビネット軸に平行であってもよい)。
図1を参照すると、容器軸は「上」および「下」向きに方向付けられることができる。示すように、容器ベース124は容器リッド128の近位に配置される。本明細書に記載のように、
図1は、反応物質原料容器120が含むことができる要素の数を制限するものとみなされるべきではない。いくつかの実施形態では、容器リッド128は、容器ベース124に機械的に取り付けられるように構成される。これは、取付け装置(例えば、ボルト、ネジ等)のうちの一つまたは複数を使用して実行されることができる。特定の実施形態では、容器リッド128および容器ベース124は、気密式で機械的に取り付けられる。いくつかの実施形態では、容器リッド128は、容器ベース124上に取り外し可能に固定される。本明細書に記載の反応物質原料キャビネット110は、その内容物を真空状態に維持するように構成されることができる。いくつかの実施形態に従って反応物質原料容器120を真空中に配置することは、反応物質原料容器120内の温度勾配の維持を容易にすることができ、例えばそのため熱が容器軸に沿って遠位108から近位104部分に主に伝導されると考えられる。
【0026】
反応物質源容器120は、一つまたは複数の冷却体(図示せず)および/または発熱体(例えば、ヒーター、例えば加熱ロッド、加熱フィラメント、加熱プレート等)、例えば、第1の発熱体142および第2の発熱体144を備えることができる。冷却体(例えば、水冷却器または冷却プレート)は、容器ベース124の近位部に、またはその近傍に配置されてもよい。示すように、一つまたは複数の発熱体142、144(例えば、加熱ロッド、加熱フィラメント、加熱プレート等)は、容器リッド128の遠位部に、またはその近傍に配置されてもよい。発熱体および/または冷却体の使用は、温度勾配および/または温度のより正確な制御をもたらすことができる。いくつかの実施例では、冷却体は容器ベース124の近位に配置される。一つまたは複数の冷却体は、容器ベース124に隣接して(例えば、接触して)配置されてもよい。したがって、一つまたは複数の冷却体は、容器リッド蓋128と比べて容器ベース124を優先的に冷却し、それにより容器120の近位部から容器の遠位部へ温度勾配を形成することができる。追加的にまたは代替的に、一つまたは複数の発熱体は、容器リッド128の遠位に配置されてもよい。冷却体は、流体冷却要素(例えば、水冷、空冷等)を備えてもよく、または流体冷却要素からなってもよい。発熱体は、ヒーターを備えてもよく、またはヒーターからなっていてもよい。一つまたは複数の発熱体142、144は、温度ゾーン制御システム100のそれぞれの要素、例えば、(例えば第2の発熱体144によって加熱されてもよい)容器リッド128の一つまたは複数のリッドバルブ132、および/または(例えば第2の発熱体144によって加熱されてもよい)一つまたは複数のガスパネルバルブ134を、放射によって加熱するように構成されることができる。いくつかの実施例では、発熱体は、容器リッド128および/もしくは一つまたは複数のリッドバルブ132、ガスパネルバルブ134、ならびに/または温度ゾーン制御システム100の他の要素を、伝導によって加熱することができる。
【0027】
容器ベース124の容器リッド128に対する高さの比は、温度勾配が容器バルブ128の一つまたは複数のリッドバルブ132内または間に有利に形成されるような比であることができ、例えば、容器リッド128のリッドバルブ132内の凝縮を最小化または防止するために、これらのバルブを十分に高い温度(例えば第2の閾値温度以上)に保ち、一方、容器ベース124は液体または固体の原料前駆体を内部に収納するのに十分に低温のままである。容器ベース124の高さの容器リッド128の高さに対する比は、約1より大きい、約1.5より大きい、約2より大きい、約3より大きい、約4より大きい、約5より大きい、約6より大きい、約8より大きい、約10より大きい、約12より大きい、約15より大きい、その間の任意の値よりも大きい、またはエンドポイントがその中にある任意の範囲内、例えば1~2、1~5、1~10、1~15、2~5、2~10、2~15、5~10、5~15、もしくは10~15に入る、とすることができる。容器ベース124および/または容器リッド128は、セラミック、金属、またはその他の構造材料を含むことができる。
【0028】
例えば、温度ゾーン制御システム100内に配置されることができるように、反応物質原料容器120が必要とするであろう体積または設置面積を最小化することは有利であることができる。コンパクトな容器アセンブリは、このような設置面積を削減できる。特定の実施形態では、各反応物質原料容器120は、約40cm2~150cm2の(例えば、反応物質原料容器120が配置される)面積を有することができる。
【0029】
容器リッド128は、一つまたは複数の入口ならびに/または出口(図示せず)を備えることができる。入口および/または出口はそれぞれ、対応するリッドバルブ132を備えることができる。容器リッド128は、一つまたは複数の入口、例えば、化学物質入口および/またはキャリアガス入口、ならびに出口を備えることができる。化学物質入口は、それを通る原料前駆体を受け入れるように構成されることができる。原料前駆体は、(例えば、大きいバルク充填容器から)反応物質原料容器120に入る際に、固体、液体、(例えば、キャリアガスと結合する)昇華形態または気化形態であってもよい。キャリアガス出口は、キャリアガスを容器内に受け入れるように構成されてもよい。キャリアガスおよび気相反応物質は、出口を通って容器から流出することができる。いくつかの実施形態では、化学物質入口およびキャリアガス入口は同一の入口である。
【0030】
キャリアガス入口は、キャリアガスがそれを通って流れることを可能にすることができる。キャリアガス入口は、反応物質原料容器120のキャリアガス入口に連結する対応するバルブを備えることができる。バルブは、キャリアガス入口を通るガスの流れを調整するように構成されることができる。キャリアガスは、反応物質原料容器120内で昇華または気化した化学物質と結合することができる。次に、反応物質原料容器120からの流出物は、キャリアガスおよび反応物質原料容器120の内部から気化した反応物質ガスを含む。いくつかの実施形態では、反応物質原料容器120の内部は、化学反応物質で満たされた後、ヘッドスペースを収納するように構成される。ヘッドスペースは、化学物質入口、キャリアガス入口、および/または化学物質出口と流体連通することができ、ならびに、ヘッドスペース内の流体(例えば、キャリアガス)による化学反応物質の昇華のために構成されることができる。したがって、ヘッドスペースは、入口/出口のうちの一つまたは複数が詰まっている場合であっても、化学反応物質が引き続き昇華または気化し続けることができるように、フェイルセーフを設けることができる。
【0031】
気化した前駆体のキャリアガスとして、非活性または不活性ガスを用いることが好ましい。キャリアガス(例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム等)は、キャリアガス入口を通って反応物質原料容器120に供給されてもよい。いくつかの実施形態では、様々なプロセスおよび本明細書に記載の様々なシステムに異なる不活性ガスを用いることができる。図示されていない別のバルブおよび/または他の流体制御要素を備えうることが理解されよう。
【0032】
流出物(例えば、キャリアガス+気化した化学物質)は、出口を通過することができる。出口は、反応チャンバーまたは堆積モジュールおよび/もしくは別の充填容器と連通することができる。いくつかの構成では、出口は、例えば、下流の化学反応に備えて、気化した化学物質を(例えば、キャリアガスを用いて)反応チャンバーまたは堆積モジュールに送るように構成される。化学物質入口、キャリアガス入口、および化学物質出口のうちの一つまたは複数は、それを通るガスの流れを制御するように構成される対応する(例えば、リッドバルブ132の)バルブを備えることができる。固体原料化学物質昇華器および/またはその流体工学に関する別の情報は、2012年3月20日に発行され、「PRECURSOR DELIVERY SYSTEM」と題する米国特許第8,137,462号に記載され、当該出願の全内容は、あらゆる目的のために引用することにより本明細書に組み込まれている。図示されていない別のバルブおよび/または他の流体要素を備えうることが理解されよう。特定の構成では図示されていない別のバルブおよび他の流体要素を備えることができる。
【0033】
特定の構成では、容器ベース124は、固体原料前駆体を保持するように構成される。容器ベース124は、原料前駆体を保持するための実質的に平坦な面を備えてもよいが、他の形状および変形が可能である。反応物質原料容器120は、内部、例えば、反応物質原料容器120の壁および天井の内側、ならびに容器ベース124の床によって表される空間、を画定することができる。いくつかの実施形態では、内部は、化学反応物質、例えば固体原料化学物質を収納するように構成される。反応物質原料容器120またはその一部は、様々な方法で配置されてもよい。例えば、反応物質原料容器120は、単一のセクションを備えてもよく、または互いに積み重ねられるおよび/もしくは互いに取り付けられる二つ以上の横方向のセクション(例えば、原料前駆体を収納するトレイ)を備えてもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、反応物質原料容器120のアセンブリの高さは、約25cm~120cmの範囲とすることができる。いくつかの実施形態では、高さは約50cm~100cmの範囲とすることができ、いくつかの実施形態では、例えば約60cm(約24インチ)であることができる。いくつかの実施形態では、反応物質原料容器120の幅(例えば、直径)は、約20cm~50cmの範囲とすることができる。いくつかの実施形態では、反応物質原料容器120の幅は、約30cm~40cmの範囲とすることができ、特定の実施形態では、例えば約38cm(約15インチ)であることができる。いくつかの実施形態では、反応物質原料容器120は、約1~4の範囲の高さ:直径のアスペクト比を有することができる。いくつかの実施形態では、容器は円柱に近い形状であるが、別の形状も可能である。つまり、いくつかの実施形態では、反応物質原料容器120は、円筒形状を備える、円筒形状から本質的になる、または円筒形状からなる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の様々な実施形態における(未充填の)反応物質原料容器120の質量は、約10kg~50kgの範囲とすることができる。いくつかの実施形態では、充填された反応物質原料容器120の質量は、約35kg~85kgの範囲とすることができる。容器の質量が小さいほどより容易に輸送することができるが、質量が大きいほど反応物質の体積が増え、再充填がより少なくて済み、昇華器の充填をより長くすることができる。
【0035】
熱シールド150は、容器ベース124と一つまたは複数のリッドバルブ132の遠位部との間の温度勾配を維持するように構成されることができ、その結果、容器ベース124は第1の閾値温度以下を維持することができ、一つまたは複数のリッドバルブ132の遠位部は第1の閾値温度よりも高い第2の閾値温度以下を維持することがでる。例えば、容器ベース124および一つまたは複数のリッドバルブ132の遠位部は、温度の差(例えば、第2の閾値温度と第1の閾値温度との間の差)で維持されることができる。例えば、ベースとリッドとの間の温度の差は、少なくとも約1℃、約2℃、約3℃、約4℃、約5℃、約6℃、約7℃、約8℃、約9℃、約10℃、約11℃、約12℃、約13℃、約14℃、約15℃、約18℃、約20℃、約25℃、約30℃、その間の任意の値、またはエンドポイントがその中にある任意の範囲内、例えば約1℃~約5℃、約1℃~約10℃、約1℃~約15℃、約1℃~約20℃、約1℃~約25℃、約5℃~約10℃、約5℃~約15℃、約5℃~約20℃、約5℃~約25℃、約10℃~約15℃、約10℃~約20℃、または約10℃~約25℃に入る、とすることができる。勾配は、約1インチ、約2インチ、約3インチ、約6インチ、約9インチ、約12インチ、約15インチ、約18インチ、約21インチ、約24インチ、約27インチ、約30インチ、約33インチ、約36インチ、その間の任意の値、またはエンドポイントがその中にある任意の範囲内、例えば約3~約9インチ、約3~約12インチ、約3~約24インチ、約3~約36インチ、約9~約12インチ、約9~約24インチ、約9~約36インチ、約12~約24インチ、約12~約36インチ、または約24~約36インチ、に入る距離(例えば、軸方向距離)にわたって配置されることができる。
【0036】
熱シールド150は、様々な形状を備えることができる。熱シールド150は、
図1に示すように、いくつかの構成では「T」形状を形成してもよい。その他の構成では、熱シールド150は、「L」形状または「I」形状を形成してもよい。いくつかの構成では、熱シールドは、(i)第1の発熱体142と(ii)第2の発熱体144およびガスパネルバルブ134との間のゾーンに適合する。熱シールド150は、熱放射を反射するように構成される金属(例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、チタン等)を含むことができる。第1の部分150aは実質的に平面であってもよく、実質的に穴がなくてもよい。第2の部分150bは追加的にまたは代替的に、実質的に平面であってもよい。いくつかの構成では、第2の部分150bは、それを通る温度ゾーン制御システム100の一つまたは複数の要素(例えば、リッドバルブ132)を受け入れるように構成される受け入れ部(例えば、スロット、穴、ギャップ等)を備える。熱シールド150は、その他の要素(例えば、第1の発熱体142、第2の発熱体144)がそれを通過するための連結機構を有することを可能にする機構を備えることができる。例えば、発熱体142、144の支持部は、熱シールド150の一部を通過することができる。熱シールド150は、反応物質原料キャビネット110のうちの一つまたは複数の部分(例えば、天井、壁)の上に固定される(例えば、連結される)ことができる。
【0037】
図2は、いくつかの構成による、温度ゾーン制御システム100の別の例を示す。示すように、熱シールド150の第1の部分150aは、第1の発熱体142と第2の発熱体144との間に配置されることができる。示すように、いくつかの構成では、第2の部分150bは、容器リッド128の一部の下に配置されることができる。第2の発熱体144は、第1の発熱体142よりも多くの熱(例えば、放射熱)をリッドバルブ132にもたらすように構成されるように配置されることができる。いくつかの構成では、
図2に示すように、リッドバルブ132およびガスパネルバルブ134は、同一の熱ゾーン内に実質的に配置されることができる。第1の部分150aは、リッドバルブ132のうちの一つまたは複数を収容するように成形されることができる。
【0038】
図3~6は、いくつかの実施形態による、例示の温度ゾーン制御システム200の様々な態様を示す。
図3は、温度ゾーン制御システム200の斜視図を示す。示すように、温度ゾーン制御システム200は、反応物質原料容器220、熱シールド250(例えば、第1および第2の部分250a、250b)、第1の発熱体242、第2の発熱体244、冷却体238、一つまたは複数の容器ベース発熱体246、および/または本明細書に開示のその他の要素を備えることができる。温度ゾーン制御システム200は、本明細書に記載の温度ゾーン制御システム100の一つまたは複数の機構を備えることができる。
【0039】
反応物質原料容器220は、容器ベース224、容器リッド228、一つまたは複数のリッドバルブ232、および/または他の要素を備えることができる。反応物質原料容器220は、反応物質原料容器120と比べて本明細書に記載の一つまたは複数の要素および/または機能性を備えることができる。容器ベース224は、本明細書に記載のように冷却体238上に置かれてもよい。例えば、容器ベース224は、冷却体238に隣接して配置されてもよい。冷却体238は、本明細書に記載の閾値温度以下で容器ベース224を維持するように構成されることができる。
【0040】
反応物質原料容器220は、(図示のように)容器ベース224の別個の容器リッド228および側壁を備えることができ、またはそれらは一体型(例えば、単一構造で形成される)であってもよい。容器リッド228は、円形または長方形の断面形状を有してもよいが、その他の形状も好適である。化学反応物質を、反応物質原料容器220の内部に収容することができる。
【0041】
例示の反応物質原料容器220は、一つまたは複数の気相反応チャンバーで使用される気相反応物質の送達に特に好適な堆積モジュールに(直接的または間接的に)連結してもよい。気相反応物質を、化学堆積(CVD)または原子層堆積(ALD)に使用することができる。いくつかの実施形態では、コンピュータ可読媒体に格納される制御プロセッサおよびプログラミングが含まれ、本明細書で開示の実施形態のシステムおよび方法は、反応システムにALDを実行するように指示するように構成される。反応器システムは、温度ゾーン制御システムを備えることができる。特定の実施形態では、コンピュータ可読媒体に格納される制御プロセッサおよびプログラミングが含まれ、本明細書で開示の実施形態は反応システムにCVDを実行するように指示するように構成される。反応器システムは、温度ゾーン制御システムを備えることができる。
【0042】
本明細書に開示の一つまたは複数の発熱体は部分ループを備えることができ、フィラメントを備えてもよい。冷却体238は、冷却プレートであってもよい。温度ゾーン制御システム200は、別の要素、例えば、バルブ、入口、出口、発熱体、冷却体、支持構造、および/またはその他の要素を備えることができる。本明細書でより詳細に説明するように、例えば、いくつかの実施形態では、反応物質原料容器220は、システム(例えば、反応器システム)にALDを実行するように指示するように構成されることができる一つまたは複数のコントローラ(図示せず)と関連付けられことができる。いくつかの実施形態では、一つまたは複数のコントローラはシステム(例えば、反応器システム)にALDを実行するように指示するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリーを備える。一つまたは複数のコントローラは、堆積モジュール内の全てのヒーター、ポンプ、圧力制御用のポンプへのバルブ、基材ハンドリング用のロボット制御装置、ならびに/または反応物質原料容器220へキャリアガスの流れおよび反応物質原料容器220からの気相反応物質の流れ含むガス流れを制御するバルブ、を制御するように構成されることができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、反応物質原料容器220は、本明細書に記載の一つまたは複数の発熱体を備えることができる。いくつかの実施形態では、発熱体のうちの一つまたは複数は、反応物質原料容器220に垂直に隣接するかまたは垂直に近接して配置されることができる。いくつかの実施形態では、一つまたは複数の発熱体は、伝導により反応物質原料容器220を加熱するように構成される。特定の実施形態では、発熱体は、容器リッド228から横方向に間隔を空けて配置されるヒータープレートを備える。特定の実施形態では、発熱体(例えば、ヒーター)は、反応物質原料容器220の遠位に配置されることができる。いくつかの実施形態では、一つまたは複数のバルブは、伝導的におよび/または放射的に加熱されてもよい。反応物質原料容器220は、低圧、例えば0.1Torr~20Torr、例えば約5Torrに排気できるように気密であるように構成されるキャビネット(例えば、反応物質原料キャビネット210)内に配置されることができ、したがって、キャビネット内の大気への伝導損失または対流損失を最小限に抑える効率的な放射加熱を促進する。いくつかの構成では、反応物質原料容器220はより高い圧力内、例えば100Torr、200Torr、300Torr、500Torr、または大気圧内、に配置されることができる。その他の圧力も可能である。いくつかの実施形態では、(本明細書で開示の)固体原料アセンブリは、目標真空圧力で動作することができる。いくつかの実施形態では、目標真空圧は、約0.5Torr~350Torrの範囲、例えば50Torrとすることができる。特定の実施形態では、固体原料アセンブリ内の真空圧は、一つまたは複数の圧力コントローラを用いて調整されることができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、温度ゾーン制御システム200(例えば、反応物質原料キャビネット210、反応物質原料容器220)の制御要素で使用するための電子機器および/またはコンピュータ要素は、システム内の他の場所で見つけることができる。例えば、中央コントローラは、一つまたは複数のチャンバー自体の装置を制御するだけでなく、様々な容器および任意の関連するヒーターに接続するバルブを制御することができる。一つまたは複数のバルブを使用して、反応物質原料容器220全体を通るガスの流れを制御することができる。
【0045】
一つまたは複数の容器ベース発熱体246は、容器ベース224から横方向に配置されることができる。例えば、一つまたは複数の容器ベース発熱体246は、例えば容器軸に平行に延在する、対応する一つまたは複数の平面に沿って配置されてもよい。一つまたは複数の容器ベース発熱体246は、例えば対応する一つまたは複数の平面内でコイル状であってもよい。一つまたは複数の容器ベース発熱体246は、反応物質原料容器220の近位部よりも反応物質原料容器220遠位部(例えば、容器ベース224の遠位部)のより近くに配置されてもよい。
【0046】
図4は、
図3の温度ゾーン制御システム200の側面斜視図を示す。
図5は、
図3の温度ゾーン制御システム200の後方斜視図を示す。
図5に示すように、温度ゾーン制御システム200は、一つまたは複数のガスパネルバルブ234を備えることができる。第2の発熱体244は、例えば放射熱によって、ガスパネルバルブ234を加熱するように構成されることができる。第2の発熱体244は、加熱コイルを備えてもよい。他の開示の発熱体は、加熱コイルを備えてもよい。
【0047】
図6は反応物質原料キャビネット210を備える温度ゾーン制御システム200の正面斜視図を示す。反応物質原料キャビネット210は、反応物質原料キャビネット110の機能を備えることができ、例えば、真空中に容器ベース224および容器リッド228を備える反応物質原料容器を収容してもよい。温度ゾーン制御システム200はまた、容器リッド発熱体248を備えてもよい。示すように、いくつかの実施例では、容器リッド発熱体248は、容器リッド228を加熱するように構成されてもよく、第2の部分250bと容器リッド228との間に配置されてもよい。従って、いくつかの実施形態では、容器リッド発熱体248は、一つまたは複数のリッドバルブ232を加熱するよりも容器リッド228を加熱するように構成されることができる。容器ベース224は、反応物質原料キャビネット210内で床面空間の30%を超えて占めるようにサイズ設定されることができる。温度制御システムは、反応器システムに備えられてもよい。
【0048】
図7~8は、いくつかの構成による熱シールド250の実施例を示す。
図7は、反応物質原料キャビネット210内の熱シールド250の斜視図を示す。示すように、熱シールド250は、反応物質原料キャビネット210のトップ部(例えば、天井)および/または側部(例えば、壁)に連結(例えば、取り付け、固定)されてもよい。第1の部分250aは、第2の部分250bと直交するように配置されることができる。
【0049】
図8はいくつかの構成による、熱シールド250の斜視図を示す。熱シールド250は、一つまたは複数の受け入れ部を備えることができ、温度ゾーン制御システム200の一つまたは複数の要素がそれを通過することを可能にする。例えば、第2の部分250bは受け入れ部260を備えることができ、受け入れ部はそれを通る一つまたは複数のリッドバルブ232を収容するように構成される。受け入れ部260は、リッドバルブ232を収容するように成形されることができる。
【0050】
図9は、いくつかの実施形態の反応物質原料キャビネット内の熱伝達を制御する例示の方法300を示す。方法300は、本明細書に記載の温度ゾーン制御システム(例えば、温度ゾーン制御システム100、および/または温度ゾーン制御システム200)を使用して実行されることができる。温度ゾーン制御システムは、反応器、例えば堆積反応器によって構成されることができる。以下に記載の様々な要素は、
図1~8に関して本明細書に記載の要素に対応する場合がある。
【0051】
ブロック304で、方法300は、キャリアガスを容器のリッドの入口を通して容器ベース内に連続的に流すことを含むことができる。ブロック308で、方法300は、反応物質原料キャビネットの発熱体からリッドの入口へ熱を伝達することをさらに含むことができる。
【0052】
入口と容器ベースとの間に配置される第1の部分を備える熱シールド(例えば、熱シールド150、熱シールド250)は、入口が容器ベースより高い温度に維持されるように発熱体から容器ベースへの熱伝達を妨げることができる。発熱体から容器ベースへの熱伝達を妨げることは、(a)第1の発熱体から入口への熱伝達率の、(b)第1の発熱体から容器ベースへの熱伝達率に対する比(つまり、(a)の(b)に対する比)が閾値比よりも大きいことを含む。閾値比は、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10で、その間の任意の値よりも大きい、またはエンドポイントがその中にある任意の範囲内、例えば1~2、1~5、1~10、2~5、2~10、3~8、または5~10に入る、とすることができる。発熱体から容器ベースへの熱伝達を妨げることは、容器ベースを第2の閾値温度よりも低い第1の閾値温度より上に上昇させることなく、リッドを第2の閾値温度以上に維持することを含むことができる。様々な第1および第2の閾値温度が、
図1~8を参照して本明細書に開示される。例えば、第2の閾値温度の第1の閾値温度に対する比は、少なくとも約1、少なくとも約1.1、少なくとも約1.2、少なくとも約1.3、少なくとも約1.4、少なくとも約1.5、少なくとも約1.6、少なくとも約1.7、少なくとも約1.8、少なくとも約1.9、少なくとも約2、少なくとも約その間の任意の値であることができ、またはエンドポイントがその中にある任意の範囲内、例えば1~1.4、1~1.7、1.2~1.5、1.3~1.7、1.5~2、または1.8~2に入ることができる。温度の比(および/または温度値自体)は、摂氏(
℃)またはケルビン(K)に基づく場合がある。例えば、第1および/または第2の閾値温度は、約135℃であってもよい。
【0053】
方法300は、容器ベースを冷却体上に配置することを含むことができる。例えば、容器ベースは冷却体に接触してもよい。例えば、容器ベースは、冷却体に隣接して配置されてもよい。冷却体は、本明細書に記載の閾値温度以下で容器ベースを維持するように構成されることができる。したがって、方法300は、化学反応物質の少なくとも一部を容器ベース内で固体形態で維持することを含むことができる。追加的にまたは代替的に、方法300は、気相反応物質を気化温度以上に維持することを含むことができる。したがって、方法300は、気相反応物質を反応チャンバーに送達することに関連するバルブ、フィルター、導管、および他の構成要素における望ましくない凝縮を防止することを含むことができる。方法300は、追加的にまたは代替的に、反応プロセスに対して十分な量の反応物質蒸気を生成するために非常に低い圧力で蒸気圧を維持することを含むことができる。
【0054】
ブロック312で、方法300は、例えば昇華または気化によって、容器ベース内のキャリアガス中の化学前駆体を気化させることをさらに含むことができる。ブロック316で、方法300は、気化された化学反応物質をリッドの出口を通ってリッドの反応チャンバーに流すことをさらに含むことができる。本明細書に記載のように、キャリアガスは入口を通って容器に入ることができることに留意されたい。一例として、入口を通る反応物質の流れは、入口とガス連通するリッドバルブ132によって制御されてもよい。一例として、出口を通る反応物質の流れは、出口と気体連通するリッドバルブ132によって制御されてもよい。
【0055】
温度ゾーン制御システムは、容器から反応チャンバーへの気相反応物質の流れを調節するように構成される複数のガスパネルバルブを備えることができる。方法は、複数のガスパネルバルブを加熱することをさらに含むことができる。熱シールドの第2の部分は、第2の発熱体からリッドの入口および/または出口への熱伝達を妨げることができる。第2の部分は、(i)第2の発熱体および複数のガスパネルバルブを含む第1のゾーンと(ii)入口および出口を備える第2のゾーンとの間に配置されることができる。第1のゾーンは、第1の熱ゾーン160に対応することができ、および/または第2のゾーンは、第2の熱ゾーン164を指すことができ、それぞれ
図1を参照して上で説明した。そのため、ガスパネルバルブは、容器ベースより高温で維持されることができる。この温度勾配を維持することにより、(高温の)ガスパネルバルブにおける反応物質の凝縮を阻止または防止することができ、(より低い温度の)容器ベースに原料前駆体を安定して保存することができる。
【0056】
方法300は、容器ベースの一部分を冷却することをさらに含むことができる。本明細書で使用する場合、「冷却」は、熱の除去(removal)または除去(withdrawal)を指し、したがって、容器ベースを比較的低温で維持すること、および/または容器ベースの温度の上昇を妨げること、ならびに容器ベースの温度を数値的に下げることを指すことができる。容器ベースの一部を冷却することは、容器ベースの一部を水冷することを含むことができる。方法300は、入口、出口、または両方を通過する微粒子状物質を濾過することをさらに含むことができる。微粒子状物質の濾過することは、閾値温度未満で反応物質がそこを通過するのを防止または妨げることを含み、また閾値温度超で反応物質がそこを通過することを可能にする。閾値温度は、本明細書に記載の任意の閾値温度、例えば、約120℃と160℃との間の温度であってもよい。フィルターは、セラミックまたは金属のうちの少なくとも一つを含むことができる。方法300は、反応物質原料キャビネットを少なくとも部分的に排気することを含むことができる。方法300の他の特徴および/または工程は、本明細書の
図1~8の考察から引き出され得る。
【実施例】
【0057】
以下は、上記のいくつかの実施形態の非限定的な例のリストである。
【0058】
第1の実施例では、温度ゾーン制御システムは、少なくとも部分的に排出されるように構成される反応物質原料キャビネットと、固体原料化学反応物質をその中に保持するように構成される容器ベースであって、容器ベースは反応物質原料キャビネット内に配置されるように構成される、容器ベースと、容器ベースの遠位部に連結するリッドであって、リッドは一つまたは複数のリッドバルブを備える、リッドと、ガスをガス源から容器へ送達するように構成される複数のガスパネルバルブと、一つまたは複数のリッドバルブを加熱するように構成される第1の発熱体と、熱シールドであって、その第1の部分は一つまたは複数のリッドバルブと容器ベースとの間に配置され、その第2の部分は第1の発熱体と複数のガスパネルバルブとの間に配置され、熱シールドはリッドバルブから容器ベースへの熱伝達を妨げるように構成される、熱シールドと、を備える。
【0059】
第2の実施例では、容器ベースの近位部と熱連通する冷却体をさらに備え、容器ベースの近位部を優先的に冷却するように構成され、それによって容器ベースの近位部から遠位部への温度勾配を確立する、実施例1に記載のシステム。
【0060】
第3の実施例では、冷却体は、容器ベースに熱的に連結する水冷要素を備える、実施例2に記載のシステム。
【0061】
第4の実施例では、熱シールドの第1の部分は第1のプレートを備え、熱シールドの第2の部分は第2のプレートを備え、第1のプレートは第2のプレートに対してある角度で配置される、実施例1~3のいずれか一つに記載のシステム。
【0062】
第5の実施例では、第1および第2のプレートは互いにほぼ直角に配置される、実施例4に記載のシステム。
【0063】
第6の実施例では、第1のパネルは一つまたは複数のリッドバルブと容器ベースとの間に配置され、第2のプレートは容器ベースの軸とほぼ平行に配置される、実施例4~5のいずれかに記載のシステム。
【0064】
第7の実施例では、第2の発熱体をさらに備え、第2の発熱体は第2のプレートが一つまたは複数のリッドバルブと複数のガスパネルバルブとの間に配置されるように配置される、実施例1~6のいずれか一つに記載のシステム。
【0065】
第8の実施例では、第1の発熱体から一つまたは複数のリッドバルブへの熱伝達率の、第1の発熱体から容器ベースへの熱伝達率に対する比が約5より大きいように、熱シールドは容器ベースへの熱伝達を妨げるように構成される、実施例1~7のいずれか一つに記載のシステム。
【0066】
第9の実施例では、熱シールドの部分が、一つまたは複数のリッドバルブとリッドの少なくとも一部分との間に配置されるように構成される、実施例1~8のいずれか一つに記載のシステム。
【0067】
第10の実施例では、第1の発熱体は、容器ベースを第1の閾値温度よりも低い第2の閾値温度より上に上昇させることなく、一つまたは複数のリッドバルブを第1の閾値温度より上に維持するように構成される、実施例1~9のいずれか一つに記載のシステム。
【0068】
第11の実施例では、第1の発熱体と連結する冷却体は、容器ベースを第1の閾値温度よりも低い第2の閾値温度より上に上昇させることなく、一つまたは複数のリッドバルブを第1の閾値温度より上に維持する、実施例10に記載のシステム。
【0069】
第12の実施例では、第1の閾値温度の第2の閾値温度に対する比は少なくとも約1.15である、実施例10または11のいずれかに記載のシステム。
【0070】
第13の実施例では、第1の閾値温度が約135℃未満である、実施例10~12のいずれか一つに記載のシステム。
【0071】
第14の実施例では、第2の閾値温度が約135℃より上である、実施例10~13のいずれか一つに記載のシステム。
【0072】
第15の実施例では、一つまたは複数のリッドバルブのそれぞれは、それを通るガスの流れを制御するように構成されるそれぞれの入口または出口を備える、実施例1~14のいずれか一つに記載のシステム。
【0073】
第16の実施例では、一つまたは複数のリッドバルブのそれぞれは、それを通る微粒子状物質の通過を妨げるように構成されるそれぞれのフィルターを備える、実施例1~15のいずれか一つに記載のシステム。
【0074】
第17の実施例では、複数のフィルターのうちの少なくとも一つの空隙率は、閾値温度未満で反応物質がそこを通過するのを妨げ、閾値温度超で反応物質がそこを通過することを可能にするように構成される、実施例16に記載のシステム。
【0075】
第18の実施例では、閾値温度は約120℃~約160℃である、実施例16に記載のシステム。
【0076】
第19の実施例では、フィルターはセラミックまたは金属のうちの少なくとも一つを含む、実施例16~18のいずれか一つに記載のシステム。
【0077】
第20の実施例では、容器ベースの高さの容器ベースの幅に対する比は約2よりも大きい、実施例1~19のいずれか一つに記載のシステム。
【0078】
第21の実施例では、容器ベースの断面は少なくとも二つの平坦な端を備える、実施例1~20のいずれか一つに記載のシステム。
【0079】
第22の実施例では、容器ベースはセラミックまたは金属からなる、実施例1~21のいずれか一つに記載のシステム。
【0080】
第23の実施例では、容器のリッドの入口を通して容器ベース内に連続的にキャリアガスを流すことと、反応物質原料キャビネットの発熱体からリッドの入口へ熱伝達することであって、入口と容器ベースとの間に配置される第1の部分を備える熱シールドは、入口が容器ベースよりも高い温度に維持されるように発熱体から容器ベースへの熱伝達を妨げる、熱伝達することと、容器ベース内のキャリアガス中の化学前駆体を気化させることと、気化させた化学反応物質をリッドの出口を通して反応チャンバーに流すことと、を含む反応物質原料キャビネット内の熱伝達を制御する方法。
【0081】
第24の実施例では、反応物質原料は、キャリアガスを容器に流すように構成される複数のガスパネルバルブをさらに含み、本方法は、複数のガスパネルバルブを加熱することをさらに含み、(i)第2の発熱体と複数のガスパネルバルブとを備える第1のゾーンと(ii)入口と出口とを備える第2のゾーンとの間に配置される熱シールドの第2の部分は、第2の発熱体からリッドの入口および出口への熱伝達を妨げる、実施例23に記載の方法。
【0082】
第25の実施例では、容器ベースの一部を冷却することをさらに含む、実施例23~24のいずれかに記載の方法。
【0083】
第26の実施例では、容器ベースの一部を冷却することは、容器ベースの一部を水冷することを含む、実施例25に記載の方法。
【0084】
第27の実施例では、発熱体から容器ベースへの熱伝達を妨げることは、(a)第1の発熱体から入口への熱伝達率の(b)第1の発熱体から容器ベースへの熱伝達率に対する比が4より大きいことを含む、実施例24~26のいずれか一つに記載の方法。
【0085】
第28の実施例では、発熱体から容器ベースへの熱伝達を妨げることは、容器ベースを第1の閾値温度よりも低い第2の閾値温度よりも上に上昇させることなく、リッドを第1の閾値温度より上に維持することを含む、実施例24~27のいずれか一つに記載の方法。
【0086】
第29の実施例では、第1の閾値温度の第2の閾値温度に対する比は、少なくとも約1.15である、実施例28に記載の方法。
【0087】
第30の実施例では、第1の閾値温度が約135℃未満である、実施例28~29のいずれか一つに記載の方法。
【0088】
第31の実施例では、第2の閾値温度が約135℃より高い、実施例28~30のいずれか一つに記載の方法。
【0089】
第32の実施例では、入口、出口、またはその両方を通過する微粒子状物質を濾過することをさらに含む、実施例23~31のいずれか一つに記載の方法。
【0090】
第33の実施例では、微粒子状物質を濾過することは、閾値温度未満で反応物質がそこを通過するのを妨げ、閾値温度超で反応物質がそこを通過することを可能にすることを含む、実施例32に記載の方法。
【0091】
第34の実施例では、閾値温度は約120℃~約160℃である、実施例32に記載の方法。
【0092】
第35の実施例では、フィルターはセラミックまたは金属のうちの少なくとも一つを含む、実施例32~33のいずれかに記載の方法。
【0093】
第36の実施例では、反応物質のキャビネットを少なくとも部分的に排気することをさらに含む、実施例23~35のいずれか一つに記載の方法。
【0094】
他の考察
前述の明細書では、その特定の実施形態を参照して本発明を説明した。しかし、本発明の広い趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更がそれになされうることは明らかであろう。したがって、明細書と図面は、制限的な意味ではなく、例示的な意味でみなされるべきである。
【0095】
実際、本開示のシステムおよび方法はそれぞれいくつかの革新的な態様を有し、そのうちの単一の態様が本明細書に開示された望ましい属性に対して単独で責任を負うまたは必要とされるものではないことが理解されよう。本明細書に記載の様々な特徴およびプロセスは、互いに独立して使用されることができ、または様々な方法で組み合わされることができる。全ての可能な組み合わせおよび部分的組み合わせは、本開示の範囲内に含まれることが意図される。
【0096】
別々の実施形態に関連して本明細書に記載されている特定の特徴はまた、単一の実施形態に組み合わせて実施されてもよい。逆に、単一の実施形態に関連して説明される様々な特徴も、別々に、または任意の好適な部分的組合せで複数の実施形態で実施されてもよい。更に、特徴は特定の組み合わせで機能するものとして本明細書で説明され、最初はそのように特許請求される場合があるが、特許請求される組み合わせからの一つまたは複数の特徴は、場合により組み合わせから削除されることができ、特許請求される組み合わせは、部分的組合せまたは部分的組み合わせの変形を対象としてもよい。単一の特徴も特徴の群も、あらゆる実施形態に必要でも不可欠でもない。
【0097】
本明細書で使用される条件付き言語、例えば特に「できる(can)」、「できるであろう(could)」、「かもしれない(might)」、「してもよい(may)」、「例えば」等は、特に記載のない限り、または使用中の文脈内で理解されている場合を除き、特定の実施形態は特定の特徴、要素および/または工程を含むが、他の実施形態は含まないことを伝えることを一般的に意図していることが理解されよう。したがって、このような条件付き言語は、特徴、要素、および/もしくは工程が一つもしくは複数の実施形態になんらかの形で必要とされること、または一つもしくは複数の実施形態は、著者の入力もしくは指示の有無にかかわらず、これらの特徴、要素および/もしくは工程が任意の特定の実施形態に含まれるか実行されるかを決定するためのロジックを必ず含むことを示唆することを一般的に意図していない。用語「備える」、「含む」、「有する」等は同義語であり、包括的に、オープンエンド様式で使用され、追加の要素、特徴、工程、操作等を除外しない。また、用語「または」は包括的な意味で使用され(および排他的な意味で使用されない)ため、例えば要素のリストを連結するために使用される場合、用語「または」はリスト内の要素の一つ、いくつか、または全てを意味する。更に、本出願および添付の特許請求の範囲で使用される冠詞「a」、「an」、および「the」は、特に明記しない限り、「一つまたは複数」または「少なくとも一つ」を意味すると解釈されるべきである。同様に、操作は特定の順序で図面に描かれてもよいが、このような操作は、示されている特定の順序または連続した順序で実行される必要がない、または望ましい結果を達成するために例示される全ての操作が実行されることを認識されるべきである。更に、図面は、フローチャートの形式でもう一つの例示的なプロセスを概略的に示すことができる。しかし、図示されていない他の操作は、概略的に例示されている例示的な方法およびプロセスに組み込まれてもよい。例えば、一つまたは複数の追加の操作が、例示される操作のいずれかの前、後、同時、または間に実行されてもよい。更に、別の実施形態では、操作を再編成または並べ替えることができる。特定の状況では、マルチタスクと並列処理が有利な場合がある。更に、本明細書に記載の実施形態における様々なシステムの構成要素の分離は、全ての実施形態においてこのような分離を必要とするものとして理解されるべきではなく、記載された構成要素およびシステムは、一般的に、単一の製品に一緒に統合されるか、または複数の製品にパッケージ化されてもよい(例えば、ハウジングおよび基部を備えるフィルターインサートならびに原料容器)ことは言うまでもない。更に、他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内にある。場合によっては、特許請求の範囲に記載されている工程を異なる順序で実行してもよく、更に望ましい結果を得ることができる。
【0098】
したがって、特許請求の範囲は、本明細書に示される実施形態に限定されることを意図されるものではなく、本開示、本明細書に開示される原理および特徴と一致する最も広い範囲に一致する。例えば、本開示内の多くの例は、半導体製造のための堆積チャンバーに供給するための固体原料から蒸気を供給することに関して提供されているが、本明細書で説明される特定の実施形態は、多種多様な他の用途および/または多数の他の状況で実施されることができる。