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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】睡眠促進具
(51)【国際特許分類】
   A61F 7/03 20060101AFI20241015BHJP
   A61F 7/08 20060101ALI20241015BHJP
【FI】
A61F7/08 334S
A61F7/08 361D
A61F7/08 334B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020186135
(22)【出願日】2020-11-06
(65)【公開番号】P2022075388
(43)【公開日】2022-05-18
【審査請求日】2023-10-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(72)【発明者】
【氏名】浅野 良太
(72)【発明者】
【氏名】氏原 由博
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2006/028153(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第107714283(CN,A)
【文献】特表2010-535542(JP,A)
【文献】特開2006-320363(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 7/03
A61F 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
耳に装着可能であり、前記耳を温めて睡眠を促進する睡眠促進具であって、
前記耳のうち耳介の耳甲介に嵌め込み可能な嵌め込み部を備える耳装着具と、
前記嵌め込み部を通じて前記耳甲介の内面を加温する温熱体と、を備え、
前記温熱体は、
空気に触れると発熱を伴う化学反応を起こす発熱組成物と、
前記発熱組成物を相互間に挟み込んで収容し、周縁部同士が接合されている第1シート及び第2シートと、を備え、
前記温熱体は、前記第1シートが前記耳装着具に被覆され、前記第2シートが外部に露出した状態で、前記耳装着具に取り付けられており、
前記耳装着具には、前記第1シート側に空気を取り込み可能な通気溝が形成されており、
前記第1シートの通気性は、前記第2シートの通気性より高い、睡眠促進具。
【請求項2】
前記耳装着具は、前記嵌め込み部から突出し、外耳孔に挿入可能な挿入部を備える、請求項1に記載の睡眠促進具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は睡眠促進具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、耳に着用する温熱具が記載されている。特許文献1に記載の温熱具は、耳を入れる口を有する、耳のサイズに合わせた袋または袋状物である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-086202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者は、鋭意検討を重ねた結果、耳を温熱することにより、血行不良の改善に加えて、更なる効果があることを発見し、本発明を完成させるに至ったものである。
【0005】
本発明は、耳に装着することで睡眠を促進可能な睡眠促進具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様としての睡眠促進具は、耳に装着可能であり、前記耳を温めて睡眠を促進する。
【0007】
本発明の一側面としての睡眠促進具は、前記耳のうち耳介の耳甲介の内面を温めて睡眠を促進する。
【0008】
本発明の一側面としての睡眠促進具は、前記耳甲介に嵌め込み可能な嵌め込み部と、前記嵌め込み部を通じて前記耳甲介の内面を加温する温熱体と、を備える。
【0009】
本発明の一側面としての睡眠促進具は、前記嵌め込み部から突出し、外耳孔に挿入可能な挿入部を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、耳に装着することで睡眠を促進可能な睡眠促進具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態としての睡眠促進具の分解斜視図である。
図2図1に示す睡眠促進具の使用状態を示す斜視図である。
図3図2に示す使用状態の睡眠促進具が耳に装着された状態を示す図である。
図4】実験に用いたカイロ付き耳せんの耳介との接触点の発熱挙動を示すグラフである。
図5】カイロ付耳せんを利用した際の入眠潜時、及び、通常耳せんを利用した際の入眠潜時、それぞれについての被験者8名の平均値を示す棒グラフである。
図6】カイロ付耳せんを利用した際のリラックス度、及び、通常耳せんを利用した際のリラックス度、それぞれについての被験者8名の平均値を示す棒グラフである。
図7図1に示す睡眠促進具の温熱体の単体を示す図である。
図8図8(a)及び図8(b)は、図1に示す睡眠促進具の耳装着具の単体の上面図及び下面図である。
図9図8(a)及び図8(b)のI-I断面図である。
図10図8(a)及び図8(b)のII-II断面図である。
図11図8(a)及び図8(b)のIII-III断面図である。
図12図2に示す使用状態の睡眠促進具の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る睡眠促進具の実施形態について、図面を参照して例示説明する。各図において共通する構成には同一の符号を付している。
【0013】
図1図2は、本発明に係る睡眠促進具の一実施形態としての睡眠促進具100を示す斜視図である。図1図2に示すように、睡眠促進具100は、温熱体2と、カバー部材3と、耳装着具4と、を備える。図1は、睡眠促進具100の分解斜視図である。図2は、睡眠促進具100の使用状態での斜視図である。睡眠促進具100は、温熱体2、カバー部材3及び耳装着具4が別々に分解されている状態(図1参照)で市場に流通してもよく、耳装着具4に対して温熱体2及びカバー部材3が取り付けれた使用状態(図2参照)で市場に流通してもよい。更に、睡眠促進具100を構成する、温熱体2、カバー部材3及び耳装着具4それぞれが別々に市場に流通してもよい。
【0014】
図3は、図2に示す使用状態の睡眠促進具100が、使用者の耳に装着されている状態を示す図である。図3に示すように、本実施形態の睡眠促進具100は、耳に装着されることにより使用される。睡眠促進具100によれば、使用者の耳に装着されている状態で、温熱体2により耳を温めることができる。
【0015】
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、睡眠促進具100により耳を温めることで、血行不良の改善に加えて、睡眠が誘発されるという新たな知見を得るに至った。以下、この知見を確認するために行なった実験の概要、及び、この実験の結果、について説明する。
【0016】
まず、本実験の概要について説明する。本実験では、遮音効果のある耳せんと一体となった耳装着具としてのカイロ保持具に、直径22mm(0.70g)の温熱体としての錠剤型カイロを設置したもの(以下、単に「カイロ付き耳せん」と呼ぶ。)を用意した。また、本実験では、8名の被験者に対して、カイロ付き耳せんと、温熱体を有さない遮音効果のある通常の耳せん(以下、単に「通常耳せん」と呼ぶ。)と、の両方をそれぞれ使用してもらい、それぞれの効果を確認した。なお、本実験では、カイロ付き耳せんの錠剤型カイロとして、鉄の酸化により発熱するものを利用した。
【0017】
図4は、カイロ付き耳せんのうち耳介と接する点(以下、「接触点」と記載する。)の発熱挙動を示すグラフである。図4に示すように、カイロ付き耳せんの接触点は、利用開始から約5分後に40℃に達し、その後に最高温度46℃に達したのち、40℃以上の状態を約30分間、維持する。
【0018】
(脳波解析)
具体的には、本実験では、8名の被験者にカイロ付き耳せんを就寝前に両耳に装着させ、4電極方式の携帯型脳波測定器(株式会社プロアシスト社製の「脳波センサZA-X(ten)」を用いて、被験者の就寝中における脳波を測定した。また同様にして、同じ被験者8名に通常耳せんを就寝前に両耳に装着させ、4電極方式の携帯型脳波測定器(株式会社プロアシスト社製の「脳波センサZA-X(ten)」を用いて、被験者の就寝中における脳波を測定した。
【0019】
また、この実験では、被験者が電極を頭部に設置し脳波データを記録し始めた時点を就寝開始とし、入眠までにかかる時間を入眠潜時(min)と定義して算出した。入眠潜時は人それぞれであり、かつ、同じ人でも各就寝で異なる。そのため、この実験では、平日の2晩以上の入眠潜時を測定し平均値を算出した。但し、錠剤型カイロの有無による効果を確認できるようにするため、測定する脳波データは、各被験者の通常の就寝中のデータのみとした。換言すれば、就寝時間が極端に遅く、総睡眠時間が4時間に満たない睡眠の脳波データについては除外した。また、カイロ付耳せんを利用した際の入眠潜時、及び、通常耳せんを利用した際の入眠潜時、それぞれについて被験者8名の平均値を算出し、比較した。
【0020】
(リラックスの自覚評価)
更に、この実験では、上述の脳波測定と同様に、8名の被験者にカイロ付耳せんを両耳に装着させて就寝してもらい、起床後に前夜の就寝中のリラックス度合いをVAS(Visual Analogue Scale)法により回答してもらった。また同様にして、同じ被験者8名に対して、通常耳せんを両耳に装着させて就寝してもらい、起床後に前夜の就寝中のリラックス度合いをVAS法により回答してもらった。具体的には、10cmの目盛のない評価用直線を準備し、左端を「リラックスしなかった」、右端を「リラックスした」として、被験者自身の主観評価でどの程度のリラックス度だったかを評価用直線上にマーキングしてもらうことで定量化した。左端から直線上にマーキングされた点までの距離(cm)を計測し、10cmで除算することで、100%を満点とするリラックス度とした。また、カイロ付耳せんを利用した際のリラックス度、及び、通常耳せんを利用した際のリラックス度、それぞれについて被験者8名の平均値を算出し、比較した。
【0021】
次に、上述の脳波解析の結果と、上述のリラックスの自覚評価の結果と、を説明する。
【0022】
図5は、カイロ付耳せんを利用した際の入眠潜時、及び、通常耳せんを利用した際の入眠潜時、それぞれについての被験者8名の平均値を示す棒グラフである。
【0023】
図5に示すように、被験者にカイロ付耳せんを装着させた場合では、被験者に通常耳せんを装着させた場合と比較して、入眠潜時(min)が小さくなる傾向があることがわかる。このことは、カイロ付耳せんが、通常耳せんと比較して、睡眠を促進する効果があることを示しており、カイロ付耳せんにより、良好な自然睡眠を誘発できることがわかる。
【0024】
図6は、カイロ付耳せんを利用した際のリラックス度、及び、通常耳せんを利用した際のリラックス度、それぞれについての被験者8名の平均値を示す棒グラフである。
【0025】
図6に示すように、被験者にカイロ付耳せんを装着させた場合では、被験者に通常耳せんを装着させた場合と比較して、就寝時のリラックス度が上昇する傾向があることがわかる。このことは、カイロ付耳せんが、通常耳せんと比較して、入眠にポジティブな影響を与える可能性を示唆している。
【0026】
以上のことから、睡眠促進具100を用いることで、耳を温め、その結果、睡眠を促進できることがわかる。
【0027】
以下、本実施形態の睡眠促進具100の更なる詳細について説明する。
【0028】
図3に示すように、本実施形態の睡眠促進具100は、カバー部材3がいわゆる耳の穴である外耳孔EAに挿入され、かつ、耳装着具4が耳介AUの耳甲介CAに嵌め込まれることで、耳に固定可能である。本実施形態の睡眠促進具100は、このように耳に固定されることにより、耳への装着が完了した状態となる。但し、睡眠促進具100は、耳に装着可能であればよく、その固定方法は特に限定されない。睡眠促進具100は、例えば、外耳孔EAに挿入され、外耳孔EAの内面に密着して嵌合することのみで、耳に固定されてもよい。また、睡眠促進具100は、耳甲介CAに嵌め込まれ、耳甲介CAの内側面に密着して嵌合することのみで、耳に固定されてもよい。更に、睡眠促進具100は、耳甲介CA以外の耳介AUのいずれかの部位を挟持等することで、耳に固定されてもよい。
【0029】
以下、睡眠促進具100の温熱体2、カバー部材3及び耳装着具4それぞれの詳細について説明する。
【0030】
[温熱体2]
図7は、温熱体2の単体を示す図である。本実施形態の温熱体2は、使い捨てされるカイロである。温熱体2は、使用前には空気を遮断するフィルム袋内に密封されている。使用前の温熱体2は、温熱体2単体でフィルム袋内に密封されていてもよく、予め耳装着具4に取り付けられた状態で、耳装着具4と共にフィルム袋内に密封されていてもよい。
【0031】
本実施形態の温熱体2は、空気に触れると発熱を伴う化学反応を起こす発熱組成物5と、この発熱組成物5を内部に収容する収容体6と、を備える。発熱組成物5は、例えば、被酸化性金属(鉄粉など)、活性炭、カーボンブラック、保水剤(木粉、バーミキュライト、珪藻土、パーライト、シリカゲル、アルミナ、吸水性樹脂など)、金属塩(食塩など)、水などをそれぞれ適宜の含有量含む。本実施形態の収容体6は、発熱組成物5を相互間に挟み込んで収容する第1シート6a及び第2シート6bを備える。第1シート6a及び第2シート6bは、相互間に発熱組成物5を挟み込んだ状態で、例えば接着、溶着等により周縁部同士が接合されている。
【0032】
発熱組成物5は、第1シート6aがハット状となり、第2シート6bが円形扁平状となるように、第1シート6a及び第2シート6bの相互間に挟み込まれている。詳細は後述するが、本実施形態の温熱体2は、第1シート6aが耳装着具4に被覆されるようにして、耳装着具4に取り付けられる(図12参照)。その一方で、本実施形態の温熱体2は、第2シート6bが外部に露出した状態で、耳装着具4に取り付けられる(図3図12参照)。
【0033】
本実施形態において、第1シート6aの通気性は、第2シート6bの通気性より高い。このようにすることで、温熱体2が耳装着具4に取り付けられた状態で、外部に露出する第2シート6bを通じた放熱を抑制できる。特に、本実施形態において、第1シート6aは透湿性シートであることが好ましく、第2シート6bは非透湿性シートであることが好ましい。
【0034】
第1シート6aは、例えば、通気性の高い材料から構成されてよく、通気孔が適宜形成されている材料から構成されてもよい。第1シート6aを構成する材料の例としては、織布、不織布、合成樹脂、ゴム、エラストマー、などが挙げられる。第2シート6bは、例えば、通気性の低い材料から構成されてよい。第2シート6bを構成する材料の例としては、合成樹脂、合成樹脂と織布又は不織布との積層体、などが挙げられる。
【0035】
通気性の高い織布又は不織布を構成する繊維材料としては、例えば、ナイロン、ビニロン、ポリエステル、レーヨン、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、アセテート、ポリ塩化ビニル、ポリブチレンテレフタレートなどの合成繊維、綿、麻、絹、紙などの天然繊維、合成繊維と天然繊維との混合繊維など、が挙げられる。これらの繊維材料は単独で使用されてもよく、2種以上を組み合わせて使用されてもよい。
【0036】
通気性の低い合成樹脂を構成する材料としては、例えば、上述の繊維材料で例示した樹脂材料と同様の材料を用いることができる。したがって、第2シート6bは、例えば、上述の繊維材料で例示した樹脂材料から構成される樹脂フィルムとすればよい。また、第1シート6aを、通気孔が適宜形成されている、第2シート6bと同様の樹脂フィルムとしてもよい。
【0037】
上述したように、本実施形態の温熱体2は、空気に触れると発熱を伴う化学反応を起こす発熱組成物5を含む構成であるが、この構成に限られない。温熱体2は、所定時間の間、蓄熱可能な構成であればよく、例えば、電子レンジで温めて使用するものであってもよい。また、温熱体2は、例えば、常温で過冷却状態にある酢酸ナトリウム水溶液の凝固熱を利用したものであってもよい。
【0038】
また、本実施形態の温熱体2において、発熱組成物5を包み込む収容体6は、第1シート6a及び第2シート6bにより構成されているが、この構成に限られない。収容体6は、耳装着具4の構成に対応するように、発熱組成物5を収容し保持する構成であれば、その構成は特に限定されない。
【0039】
以下、本実施形態の温熱体2のうち発熱組成物5が収容されている部分を、温熱体2の本体部2aと呼ぶ。本実施形態の本体部2aは、略円錐台形状の外形を有するが、その外形は特に限定されない。また、以下、本実施形態の温熱体2のうち本体部2aから突出する部分を被保持部2bと呼ぶ。本実施形態の被保持部2bは、円錐台形状の本体部2aの大径側の端部から径方向外側に向かって突出するフランジ部である。また、本実施形態の被保持部2bは、第1シート6a及び第2シート6bの周縁部により構成されている。
【0040】
[カバー部材3]
図1図2に示すように、カバー部材3は、耳装着具4の後述する挿入部12に取り付け可能に構成されている。より具体的には、本実施形態のカバー部材3は、耳装着具4の挿入部12が内嵌めされる取付筒部3a(図12参照)と、この取付筒部3aの先端から折り返されるように連続する外装筒部3bと、を備える。
【0041】
耳装着具4の挿入部12は、カバー部材3の取付筒部3aの基端側の開口から内部に挿入される。挿入部12は、取付筒部3aの内面と密着することで、取付筒部3aを保持することができる。詳細は後述するが、本実施形態の耳装着具4の挿入部12は、環状凸部12b1を備える。挿入部12の環状凸部12b1は、取付筒部3aの内面に設けられた環状凹部3a1(図12参照)に嵌り込む。これにより、挿入部12によるカバー部材3の保持性を高めることができる。
【0042】
外装筒部3bは、取付筒部3aの径方向外側を覆っている。取付筒部3aと外装筒部3bとの間には環状空間が区画されている。そのため、外装筒部3bは、図3に示すように外耳孔EAに挿入されると、外耳孔EAの内面に押圧されることで、取付筒部3aの外面に近づくように径方向内側に向かって弾性変形しながら、外耳孔EAの内面と密着する。このように、耳装着具4にカバー部材3を取り付けることで、カバー部材3が外耳孔EAの内面に密着するように外耳孔EAに嵌合し、睡眠促進具100の外耳孔EAによる固定性を高めることができる。また、カバー部材3を用いることで、外耳孔EAを閉塞し、遮音性を高めることができる。これにより、外部の騒音等を遮断でき、睡眠促進具100を装着した使用者が、リラックスし易い状態を実現できる。
【0043】
カバー部材3を構成する材料は特に限定されないが、例えば、ゴム、エラストマー、軟質樹脂及び硬質樹脂を含む合成樹脂等、が挙げられる。合成樹脂としては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等を用いることができる。本実施形態のカバー部材3は、取付筒部3a及び外装筒部3bが同一材料により一体で形成されているが、別々の材料から形成されていてもよい。また、カバー部材3は、ゴム、エラストマー、合成樹脂等の基材に金属又はカーボン等の材料が混合された構成であってもよい。更に、カバー部材3は、熱伝導性樹脂により構成されてもよい。
【0044】
[耳装着具4]
耳装着具4は、上述した温熱体2及びカバー部材3が取り付け可能に構成されている。また、耳装着具4は、取り付けられた温熱体2及びカバー部材3と共に耳に装着可能に構成されている。なお、「耳装着具4が耳に装着可能」とは、耳装着具4自体が直接的に耳に固定されることのみならず、耳装着具4が、耳に固定される例えばカバー部材3などの別部材を介して間接的に、耳に固定されることをも含む意味である。
【0045】
図8(a)は、耳装着具4単体を上面側から見た上面図である。図8(b)は、耳装着具4単体を下面側から見た下面図である。ここで、耳装着具4の「上面」とは、耳装着具4が耳に装着された状態で、耳介AU(図3参照)側に位置する面を意味する。また、耳装着具4の「下面」とは、上面と反対側の面を意味する。図9は、図8(a)及び図8(b)に示すI-I線の位置での耳装着具4の断面図である。図10は、図8(a)及び図8(b)に示すII-II線の位置での耳装着具4の断面図である。図11は、図8(a)及び図8(b)に示すIII-III線の位置での耳装着具4の断面図である。図12は、耳装着具4に対して温熱体2及びカバー部材3が取り付けられた使用状態の睡眠促進具100の断面図である。図12では、耳装着具4に対して温熱体2及びカバー部材3が取り付けられた状態での、図8(a)及び図8(b)のI-I線の位置と同位置での断面を示している。以下、図1図3及び図8図12を参照して、耳装着具4の詳細について説明する。
【0046】
図1等に示すように、本実施形態の耳装着具4は、接触部11と、挿入部12と、保持部13と、連結鍔部20と、を備える。
【0047】
<接触部11>
接触部11は、耳装着具4が耳に装着された状態(図3参照)で、耳介AUの所定部位に接触する。耳装着具4が耳に装着された状態(図3参照)で、接触部11が接触する耳介AUの所定部位は、特に限定されない。接触部11を通じて温熱体2により耳介AUの任意の部位を温めることで、血行不良を改善でき、めまい等の症状の改善が期待できる。また、内部の副交感神経が加温により刺激され、リラックス効果を得ることができる。更に、上述したように睡眠を促進することができる。
【0048】
本実施形態の接触部11は、図3に示すように、耳介AUの耳甲介CAに嵌め込み可能な嵌め込み部14により構成されている。嵌め込み部14は、耳甲介CAに嵌め込まれることにより、耳介AUの所定部位としての耳甲介CAの内面に接触するように構成されている。より具体的には、本実施形態の接触部11としての嵌め込み部14は、耳甲介CAに嵌め込まれることにより、耳甲介CAの内面のうち、耳甲介腔の内面に接触するように構成されている。上述したように、接触部11が接触する耳介AUの所定部位は特に限定されないが、接触部11は、本実施形態のように、耳甲介CAに嵌め込まれることにより、耳甲介CAの内面に接触する嵌め込み部14とされることが好ましく、耳甲介腔の内面に接触する嵌め込み部14とされることが特に好ましい。接触部11としての嵌め込み部14を通じて温熱体2により耳甲介CAの内面を加温することで、内部の副交感神経を効率的に加温できる。これにより、上述のリラックス効果を、より高めることができる。また、リラックス効果が高まることで、更なる睡眠促進効果が期待できる。
【0049】
以下、説明の便宜上、嵌め込み部14の延在方向を「嵌め込み部14の高さ方向A」又は単に「高さ方向A」と記載する。本実施形態の嵌め込み部14は、略円錐台形状の外形を有する。したがって、本実施形態の嵌め込み部14の高さ方向Aは、後述する環状側壁部15(図1等参照)の中心軸方向である。また、以下、説明の便宜上、嵌め込み部14の高さ方向Aのうち、嵌め込み部14の基端側から先端側に向かう方向を、単に「上側」と記載する場合がある。また、嵌め込み部14の高さ方向Aのうち、嵌め込み部14の先端側から基端側に向かう方向を、単に「下側」と記載する場合がある。本実施形態の上側は、環状側壁部15(図1等参照)において、後述する天板部16(図1等参照)が連なる一端側を意味する。本実施形態の下側は、環状側壁部15において、天板部16が連なる一端側とは反対の他端側を意味する。
【0050】
図8図12に示すように、本実施形態の嵌め込み部14は、嵌め込み部14を通じて耳甲介CAの内面を加温する温熱体2を収容可能な収容空間15aを内部に区画している。本実施形態の嵌め込み部14は、耳甲介CAの内面に接触する凸面と、この凸面の裏側で収容空間15aを区画する凹面と、を備える。具体的には、本実施形態の嵌め込み部14は、環状側壁部15と、天板部16と、を備える。環状側壁部15は、耳甲介CAに嵌合可能に構成されている。特に、本実施形態の環状側壁部15は、耳甲介CAの内側面に挟み込まれるようにして嵌合可能である。より具体的には、本実施形態の環状側壁部15は、耳甲介CAの内側面のうち、耳甲介腔の内側面に挟み込まれるようにして嵌合可能である。環状側壁部15は、内部に温熱体2の本体部2a(図7参照)を収容可能な収容空間15aを区画している。天板部16は、環状側壁部15の上側の一端(以下、「上端」と記載する。)に連なる。環状側壁部15の収容空間15aの上端は、天板部16により閉鎖されている。換言すれば、本実施形態の収容空間15aは、環状側壁部15及び天板部16により区画された円錐台形状の空間である。天板部16は、環状側壁部15が耳甲介CAに嵌合する状態で、耳甲介CAの底面に接触可能な接触面としての底接触面16aを有する。より具体的には、本実施形態の底接触面16aは、耳甲介CAの底面のうち、耳甲介腔の底面に接触可能に構成されている。本実施形態の天板部16の底接触面16aは、天板部16のうち収容空間15aに面する天板下面17bと反対側の天板上面17aにより構成されている。なお、本実施形態の嵌め込み部14は、耳甲介CAの内側面に接触可能な接触面としての側方接触面を備える。本実施形態の側方接触面は、環状側壁部15の外面15cにより構成されている。
【0051】
上述した温熱体2は、その本体部2aが収容空間15aに収容されることで、耳装着具4に取り付けられる。具体的には、温熱体2の本体部2aは、環状側壁部15の天板部16と連なる上端とは反対側の下側の一端(以下、「下端」と記載する。)である開口端から、収容空間15a内に収容可能である。
【0052】
本実施形態の嵌め込み部14の外形は円錐台形状であるが、その外形は特に限定されない。嵌め込み部14の外形は、例えば、円柱形状であってもよい。また、嵌め込み部14の外形は、例えば、耳甲介CAの内面に対応した形状であってもよい。したがって、嵌め込み部14における環状側壁部15についても、本実施形態のテーパ筒形状に限られない。環状側壁部15は、中心軸方向の位置によらず一様な内径及び外径を有する円筒形状であってもよい。但し、環状側壁部15の外面は、本実施形態のように、天板部16が連なる上端とは反対側の下端から、天板部16が連なる上端に向かって、先細りするテーパ形状であることが好ましい。このようにすることで、嵌め込み部14を耳甲介CAへ嵌め込み易くなる。また、環状側壁部15は、高さ方向Aに直交する断面外形が円形状でなくてもよく、上記断面外形が、耳甲介CAの内側面に対応した無端形状であってもよい。更に、本実施形態の天板部16は、テーパ筒形状の環状側壁部15の上端を閉鎖する円形扁平状の平板部により構成されているが、この構成に限られない。天板部16は、底接触面16aが耳甲介CAの底面に接触する面積を大きくできるように構成されていることが好ましい。従って、天板部16は、例えば、底接触面16aが凸面となるようにドーム状に湾曲した湾曲板部により構成されてもよい。更に、本実施形態の収容空間15aは、略円錐台形状の空間であるが、収容空間15aの形状は特に限定されない。本実施形態の収容空間15aは、温熱体2の少なくとも一部が収容可能であり、嵌め込み部14を通じて耳介AUを加温できるように構成されていればよい。本実施形態では、図12に示すように、温熱体2の本体部2aは、収容空間15aに収容されることで、環状側壁部15及び天板部16により被覆された状態となる。
【0053】
<挿入部12>
図8図9等に示すように、挿入部12は、接触部11としての嵌め込み部14から突出している。挿入部12は、取り付けられるカバー部材3と共に、外耳孔EA(図3参照)に挿入可能に構成されている。具体的には、本実施形態の挿入部12は、嵌め込み部14の高さ方向Aで見た平面視(図8(a)参照)において、嵌め込み部14から外側に向かって突出している。より具体的には、本実施形態の挿入部12は、嵌め込み部14の環状側壁部15から、環状側壁部15の径方向Bの外側に突設されている。以下、説明の便宜上、環状側壁部15の径方向Bを、単に「径方向B」と記載する場合がある。
【0054】
本実施形態の挿入部12は、環状側壁部15に連なる基端部12aと、この基端部12aに連なり、カバー部材3の取付筒部3a(図12参照)内に挿入される先端部12bと、を備える。先端部12bは、略円柱状の外形を有する。先端部12bの延在方向である中心軸方向Cは、嵌め込み部14の高さ方向Aに対して傾斜している。先端部12bは、カバー部材3の取付筒部3a内に、取付筒部3aを径方向外側に押し広げるように挿入可能である。これにより、先端部12bの外面は、取付筒部3aの内面に密着する。その結果、カバー部材3は、耳装着具4の挿入部12により保持される。また、外装筒部3bと外耳孔EAの内面との密着に加えて、先端部12bの外面と取付筒部3aの内面との密着により、外耳孔EAをより閉塞でき、睡眠促進具100による遮音性を、より高めることができる。
【0055】
更に、本実施形態の先端部12bは、径方向外側に突出する環状凸部12b1を備える。挿入部12の先端部12bがカバー部材3の取付筒部3a内に挿入されると、先端部12bの環状凸部12b1が、取付筒部3aの内面に設けられた環状凹部3a1(図12参照)に嵌り込む。これにより、先端部12bから取付筒部3aが外れ難くなる。そのため、挿入部12によるカバー部材3の保持性を高めることができる。
【0056】
本実施形態の挿入部12は、上述したカバー部材3を取り付け可能に、カバー部材3とは別体で形成されているが、一体で形成されていてもよい。したがって、本実施形態の挿入部12の先端部12bは、例えば、カバー部材3の取付筒部3aと一体で連なるように形成されてもよい。
【0057】
また、本実施形態の耳装着具4は、挿入部12を備えるが、この構成に限られない。本実施形態の耳装着具4は、外耳孔EAの内面に密着することで耳に固定される構成であるが、例えば、耳介AUのみに固定される耳装着具4とすれば、その耳装着具4は、挿入部12は備えなくてもよい。但し、遮音性によるリラックス効果、及び、このリラックス効果により更に促進され得る睡眠促進効果の観点で、睡眠促進具100は、外耳孔EAに挿入可能な挿入部12を備えることが好ましい。挿入部12自体が外耳孔EAの内面に密着可能な構成であれば、上述したカバー部材3は無くてもよい。但し、使用者それぞれの外耳孔EAの内径に対応できるように、上述したカバー部材3を用いることが好ましい。なお、本実施形態の挿入部12は、嵌め込み部14と一体で形成されているが、嵌め込み部14と別体で形成されて、嵌め込み部14に着脱可能に取り付けられていてもよい。
【0058】
<保持部13>
保持部13は、接触部11を通じて耳介AUの所定部位を加温する温熱体2を保持可能である。換言すれば、本実施形態の保持部13に保持される温熱体2は、接触部11としての嵌め込み部14を通じて、耳介AUの所定部位としての耳甲介CAの内面を加温することができる。
【0059】
保持部13は、嵌め込み部14から空隙Xを隔てて離間した状態で温熱体2を保持してもよい(図12参照)。空隙Xを設けることで、空隙Xが無く嵌め込み部14及び温熱体2が接触している構成と比較して、温熱体2による嵌め込み部14の急激な温度上昇を抑制できる。そのため、嵌め込み部14と接触する耳甲介CAの内面の熱傷を抑制できる。
【0060】
図8(b)に示すように、本実施形態の保持部13は、温熱体2を下側から支持する支持部18と、温熱体2が高さ方向Aと直交する方向に移動することを規制する規制壁部19と、を備える。
【0061】
より具体的には、図9図12に示すように、本実施形態の支持部18は、嵌め込み部14の下端よりも下側で、高さ方向Aと直交する方向に延在する平板状の支持板部18aと、規制壁部19から径方向Bの内側に向かって突出する支持突起部18bと、を備える。温熱体2の被保持部2bは、本体部2aが収容空間15aに収容された状態で、支持板部18a及び支持突起部18bにより、下側から支持される。したがって、支持板部18a及び支持突起部18bは、高さ方向Aで収容空間15aと重ならない位置に、設けられている。より具体的には、本実施形態の支持部18の支持板部18a及び支持突起部18bは、収容空間15aより径方向B外側の位置に設けられている。
【0062】
また、規制壁部19は、支持部18の径方向B外側に連なり、高さ方向Aの上側に向かって延在している。より具体的には、図9図12に示すように、本実施形態の規制壁部19は、支持板部18aの径方向B外側に連なり、高さ方向Aの上側に向かって延在する第1規制壁部19aと、支持突起部18bの径方向B外側に連なり、高さ方向Aの上側に向かって延在する第2規制壁部19bと、を備える。温熱体2の被保持部2bが、支持板部18a及び支持突起部18bにより下側から支持されている状態で、第1規制壁部19a及び第2規制壁部19bは、被保持部2bの径方向B外側に位置する。そのため、本体部2aが収容空間15aに収容され、かつ、被保持部2bが支持板部18a及び支持突起部18bにより下側から支持されている状態で、温熱体2の被保持部2bは、第1規制壁部19a及び第2規制壁部19bにより、高さ方向Aと直交する方向の移動が規制される。
【0063】
保持部13は、温熱体2が耳装着具4から離間しないように、温熱体2の耳装着具4に対する移動を所定範囲内に制限すればよい。つまり、保持部13の構成は、温熱体2が耳装着具4に対して全く移動しないように保持する構成に限られない。
【0064】
図12に示すように、本実施形態の保持部13は、温熱体2の被保持部2bを高さ方向Aに所定範囲内で移動可能に保持している。具体的には、本実施形態の保持部13は、被保持部2bの上面が嵌め込み部14の下端及び後述する連結鍔部20の下面に接触する位置から、被保持部2bの下面が支持板部18a及び支持突起部18bに接触して支持される位置まで、の範囲で温熱体2が高さ方向Aに移動可能に、温熱体2を保持している。なお、図12では、温熱体2の被保持部2bの上面が、嵌め込み部14の下端及び連結鍔部20の下面に接触している、温熱体2の最も上側の保持位置を示している。
【0065】
更に、図12に示すように、本実施形態の保持部13は、温熱体2の被保持部2bを、高さ方向Aと直交する方向で移動できない状態で保持している。具体的には、本実施形態では、温熱体2の被保持部2bの、高さ方向Aと直交する方向の周囲に、規制壁部19の第1規制壁部19a及び第2規制壁部19bが位置する。そのため、規制壁部19の第1規制壁部19a及び第2規制壁部19bは、温熱体2の被保持部2bの外縁に接触することで、高さ方向Aと直交する方向での温熱体2の移動を規制している。但し、上述したように、保持部13は、温熱体2の被保持部2bを、高さ方向Aと直交する方向に所定範囲内で移動可能に保持してもよい。
【0066】
以上のように、本実施形態の保持部13は、支持部18及び規制壁部19により、温熱体2の被保持部2bの高さ方向Aの下側、及び、高さ方向Aと直交する方向の移動を規制することで、温熱体2を保持ことができる。
【0067】
本実施形態の耳装着具4では、嵌め込み部14は、後述する連結鍔部20を介して、第2規制壁部19bに連なる。この第2規制壁部19bから径方向Bの内側に、支持突起部18bが突出している。また、第2規制壁部19bは、支持板部18aに連なっている。そして、支持板部18aの外縁に、第1規制壁部19aが連なっている。このように、本実施形態の耳装着具4では、接触部11としての嵌め込み部14と、保持部13とが、連結鍔部20を介して連なっている。本実施形態では、嵌め込み部14及び保持部13が、連結鍔部20を介して一体に形成されているが、保持部13、嵌め込み部14及び連結鍔部20の少なくとも1つが別体で形成され、接着、溶着等により接合されていてもよい。
【0068】
図9及び図12に示すように、本実施形態の支持板部18aは、上述した挿入部12の基端部12aの下面と、高さ方向Aに間隙を隔てて対向している。挿入部12の基端部12aの下面と支持板部18aの上面との間には、温熱体2の被保持部2bが、径方向Bの内側から外側に向かって挿入可能である。なお、図9及び図12に示すように、第1規制壁部19aは、支持板部18aの径方向B外側の外縁部から上側に延在し、挿入部12の基端部12aに連なっている。
【0069】
<連結鍔部20>
上述したように、本実施形態の耳装着具4は、接触部11、挿入部12及び保持部13に加えて、連結鍔部20を備える。本実施形態の連結鍔部20は、接触部11としての嵌め込み部14に連なる。より具体的には、本実施形態の連結鍔部20は、嵌め込み部14の下端から径方向Bの外側に突出し、嵌め込み部14と保持部13の第2規制壁部19bとを連ねている。また、図8(b)、図9図12に示すように、本実施形態の連結鍔部20は、径方向Bの外縁部が保持部13の第2規制壁部19bに連なっていない自由端部20aを備える。図8(b)、図9図10図12に示すように、自由端部20aの下面には、嵌め込み部14の下端に設けられた凹部まで連なり、収容空間15aに連通する通気溝21が形成されている。そのため、温熱体2の本体部2aが収容空間15aに収容された状態で、嵌め込み部14の下端及び連結鍔部20に温熱体2の被保持部2bが接触した状態となっても、通気溝21を通じて、収容空間15a内に空気を取り込むことができる。したがって、空気と触れることで発熱する発熱組成物5(図7参照)を含む本体部2aが収容空間15aに収容される場合であっても、通気溝21を通じて収容空間15aに空気を取り込むことで、発熱させることができる。
【0070】
なお、図2に示すように、本実施形態では、温熱体2が耳装着具4に取り付けられた状態で、温熱体2の被保持部2bの一部は、自由端部20aの径方向B外側の外縁よりも更に外側に露出する。そのため、耳装着具4から温熱体2を取り外す際は、温熱体2の被保持部2bのうち自由端部20aの外縁から露出する部分を把持し、操作すればよい。このようにすることで、温熱体2を耳装着具4から容易に取り外すことができる。
【0071】
また、図8(a)に示すように、本実施形態の連結鍔部20は、嵌め込み部14の周方向D(本実施形態では環状側壁部15の周方向と同じであり、以下、単に「周方向D」と記載する。)において、挿入部12の両側の位置に設けられていない。そのため、本実施形態の耳装着具4は、図8(a)に示す上面視で支持板部18aの上面が視認可能に構成されている。本実施形態の温熱体2は、被保持部2bが挿入部12の基端部12aの下面と支持板部18aの上面との間に径方向Bの内側から外側に向かって挿入されることで、耳装着具4に取り付けられる。したがって、周方向Dの挿入部12の両側に連結鍔部20が設けられていないことで、温熱体2の被保持部2bが、挿入部12の基端部12aの下面と支持板部18aの上面との間に適切に挿入されているか否かを、外部から視認することができる。
【0072】
本実施形態の耳装着具4は、接触部11としての嵌め込み部14と、保持部13と、を連結するため、嵌め込み部14の下端から径方向B外側に突出する連結鍔部20を備えるが、嵌め込み部14及び保持部13を連ねる構成であれば、本実施形態の連結鍔部20の構成に限定されない。但し、本実施形態のように、嵌め込み部14の下端と高さ方向Aの位置が等しい下面を有する連結鍔部20を用いることが好ましい。このようにすることで、温熱体2の本体部2aが収容空間15aに収容された状態で、温熱体2のフランジ状の被保持部2bが高さ方向Aに対して傾くように移動することを抑制できる。その結果、温熱体2の本体部2aが収容空間15aから外れ難くなる。そのため、温熱体2の被保持部2bが保持部13に保持されている状態での温熱体2の位置安定性を、より高めることができる。
【0073】
なお、耳装着具4を構成する材料は、特に限定されないが、例えば、ゴム、エラストマー、軟質樹脂及び硬質樹脂を含む合成樹脂等が挙げられる。より具体的には、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、エラストマー等が挙げられる。温熱体2の熱を効率よく耳介AU(図3参照)に伝えるという点では、耳装着具4を構成する材料は、熱伝導率が高い材料であってもよい。このような材料の例としては、ゴム、エラストマー、合成樹脂等の基材に、金属、カーボン等の熱伝導率の高い材料を混合することで、熱伝導率を高めたものが挙げられる。また、熱伝導率が高い熱伝導性樹脂を用いてもよい。
【0074】
本発明に係る睡眠促進具は、上述した実施形態に示す具体的な構成に限られず、特許請求の範囲を逸脱しない限り、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0075】
2:温熱体
2a:本体部
2b:被保持部
3:カバー部材
3a:取付筒部
3a1:環状凹部
3b:外装筒部
4:耳装着具
5:発熱組成物
6:収容体
6a:第1シート
6b:第2シート
11:接触部
12:挿入部
12a:基端部
12b:先端部
12b1:環状凸部
13:保持部
14:嵌め込み部
15:環状側壁部
15a:収容空間
15c:環状側壁部の外面
16:天板部
16a:底接触面
17a:天板上面
17b:天板下面
18:支持部
18a:支持板部
18b:支持突起部
19:規制壁部
19a:第1規制壁部
19b:第2規制壁部
20:連結鍔部
20a:自由端部
21:通気溝
100:睡眠促進具
X:空隙
AU:耳介
CA:耳甲介
EA:外耳孔
A:嵌め込み部の高さ方向
B:嵌め込み部の環状側壁部の径方向
C:挿入部の中心軸方向
D:嵌め込み部の周方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12