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特許7571365複数の荷電粒子ビームレットで試料を検査するための荷電粒子ビーム装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】複数の荷電粒子ビームレットで試料を検査するための荷電粒子ビーム装置
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/28 20060101AFI20241016BHJP
   H01J 37/153 20060101ALI20241016BHJP
   H01J 37/12 20060101ALI20241016BHJP
   H01J 37/09 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
H01J37/28 B
H01J37/153 B
H01J37/12
H01J37/09 A
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020027744
(22)【出願日】2020-02-21
(65)【公開番号】P2020140960
(43)【公開日】2020-09-03
【審査請求日】2023-02-08
(31)【優先権主張番号】19159590.9
(32)【優先日】2019-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501233536
【氏名又は名称】エフ イー アイ カンパニ
【氏名又は名称原語表記】FEI COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】アリ モハンマディ-ゲイダーリ
(72)【発明者】
【氏名】エリック レネー キーフト
(72)【発明者】
【氏名】ピーター クルート
【審査官】佐藤 海
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-111571(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0019649(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0224985(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/00-37/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の荷電粒子ビームレットで試料を検査するための荷電粒子ビーム装置であって、
試料を保持するための試料ホルダと、
荷電粒子のビームを生成するためのソースと、
前記荷電粒子のビームを複数の荷電粒子ビームレットに変換し、前記複数の荷電粒子ビームレットを前記試料の上に向けるための照明器であって、
対応する複数の荷電粒子ビームレットを規定するための複数の開口を有する多開口レンズプレート、ならびに
前記多開口レンズプレートの表面に電場を発生させるための少なくとも第1の電極を含む、照明器と、
前記複数の荷電粒子ビームレットによる照射に応答して試料から発する放射線束を検出するための検出器と、を備え、
前記多開口レンズプレートの前記開口は、非円形の断面形状を有し、
前記多開口レンズプレートは、隣接する開口間に設けられ、かつ前記多開口レンズプレートの前記表面で前記電場を局所的に修正するように配置された少なくとも1つのビームレット形状調整要素をさらに含み、
前記ビームレット形状調整要素は、前記多開口レンズプレート上の突起を含み、
前記突起は前記前記多開口レンズプレートのソース側の面に配置されている、
荷電粒子ビーム装置。
【請求項2】
前記開口は、形状および/または向きが実質的に同一である、請求項1に記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項3】
前記開口は、実質的に連続的に湾曲した外周を有する、請求項1または2に記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項4】
前記断面形状は、第1の方向に測定される第1の軸と、前記第1の方向に実質的に直交する第2の方向に測定される第2の軸とを有し、前記第2の軸が前記第1の軸よりも長い、請求項1~3のいずれか一項に記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項5】
前記断面形状は、少なくとも2つの対称軸を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項6】
前記断面形状は、少なくとも4つの対称軸を有する、請求項5に記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項7】
前記開口は、長円形、楕円形、丸みを帯びた正方形、または丸みを帯びた長方形の断面形状を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項8】
前記ビームレット形状調整要素は、前記多開口レンズプレート内の凹部を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項9】
前記凹部は、止まり穴である、請求項8に記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項10】
前記ビームレット形状調整要素は、前記隣接する開口の間のほぼ中間に設けられている、請求項1~9のいずれか一項に記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項11】
前記ビームレット形状調整要素の直径は、前記開口の直径の0.25から0.75の間にあ、請求項1~10のいずれか一項に記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項12】
前記多開口レンズプレートは、前記荷電粒子ビーム装置の使用時に対応する複数の荷電粒子ビームレットを規定するように配置された複数の開口を有し、前記多開口レンズプレートの前記開口が非円形断面形状を有することを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の荷電粒子ビーム装置用の多開口レンズプレート。
【請求項13】
前記多開口レンズプレートが、請求項2~11のいずれか一項によって規定される、請求項12に記載の多開口レンズプレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
詳細な説明
本発明は、複数の荷電粒子ビームレットで試料を検査するための荷電粒子ビーム装置であって、
-試料を保持するための試料ホルダと、
-荷電粒子のビームを生成するためのソースと、
-当該荷電粒子のビームを複数の荷電粒子ビームレットに変換し、当該複数の荷電粒子ビームレットを当該試料の上に向けるための照明器と、を備える、荷電粒子ビーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
既知のシステムでは、照明器は、対応する複数の荷電粒子ビームレットを規定するための複数の開口を有する多開口レンズプレート、ならびに多開口レンズプレートの表面に電場を発生させるための少なくとも第1の電極を含む。マルチビーム荷電粒子システムでは、開口のアレイ(通常、丸い穴の規則的な正方形パターン)を備えた導電性材料の薄いプレートが使用される。開口アレイは通常、二重の役割を果たす。第一に、開口は、個々のビームレットを、それらが(例えば)電界放出器ガンによって放出される単一の大きなビームから切り取られるときに規定する。したがって、それらは個々のビームレットのためのビーム制限開口として機能する。第二に、プレートの少なくとも一方側に電場があり、他方側に異なる場がある場合、個々の開口はビームレットのための(マイクロ)レンズとして機能する。したがって、ビーム全体についての一般的な交差点とは異なる平面のビームレットに対して(仮想)交差点が生成される。これにより、(例えば)ビームレットをプローブとして規則的なパターンで試料上に焦点合わせすることができる。あるいは、レンズには、ビーム規定に使用されるものとは異なる開口アレイを使用することができる。
【0003】
上述のマルチビームレット装置は満足のいく結果を提供するが、マルチビームレット装置の画像解像度はある程度不足していることが分かった。これは、シングルビーム装置と比較して特に当てはまる。
【0004】
上記を念頭において、複数の荷電粒子ビームレットを有する改善された荷電粒子装置を提供することが目的である。
【発明の概要】
【0005】
この目的のために、請求項1に記載の荷電粒子ビーム装置が提供される。荷電粒子ビーム装置は、対応する複数の荷電粒子ビームレットを規定するための複数の開口を有する多開口レンズプレートを備える。装置全体の画像解像度を改善するために、当該多開口レンズプレートの開口は、非円形断面形状を有する。非円形断面形状のそれぞれは、隣接する開口から生じる収差を低減するために配置される。アレイ内の異なる開口が共に十分に近接している場合(すなわち、周囲の物質に対する穴の比率が十分に高い場合)、隣接する開口レンズの場が重なり合う傾向があることが分かった。これにより、様々な種類のレンズ収差が発生し、このことは、それぞれのビームレットのスポットサイズを増大させ、画像解像度を低下させる。当該多開口レンズプレートの複数の開口に非円形断面形状を提供することにより、これらの収差が低減され、これにより、それぞれのビームレットのスポットサイズもまた改善される。特に、スポットをより丸くかつ小さくすることができ、これは、それぞれのビームレットのそれぞれの画像解像度を改善させる。したがって、本明細書で定義されるような目的が達成される。
【0006】
有利な実施形態を以下に説明する。
【0007】
一実施形態では、多開口レンズプレートは、開口の規則的なグリッドを含む。規則的なグリッドの開口には、同じ形状および/または向きを与えることができる。当該開口の規則的なグリッドは、開口の長方形または正方形パターンを備えてもよい。例として、そのようなグリッドの特定の中心開口は、4つの隣接する開口(すなわち、1つは上、1つは下、1つは左、1つは右)によって直接囲まれ、これらの隣接する開口のそれぞれは、当該中心開口から実質的に同じ距離に設けられる。このような中心開口には、直接隣接する4つの開口と比べてさらに離れた位置にある、斜めに隣接する開口もあることに留意する。中心開口の非円形形状は、主に、4つの直接隣接する開口によって引き起こされる収差を補正するために提供され、斜めに隣接する開口を補正するためにも使用することができる。一実施形態では、隣接する開口レンズの場によって引き起こされる収差を低減するために、隣接する開口に同様の形状、特に同様の向きがまた与えられる。
【0008】
n×m個の開口の規則的なグリッドにおいて、n≧3であり、m≧4である場合、複数の前述の中心開口が設けられていることに留意されたい。一実施形態では、これらの中心開口のそれぞれには、それぞれの4つの隣接する開口によって引き起こされる収差を低減するための同様の非円形断面形状が与えられる。中心開口にも同じ寸法を与えてもよい。このように、本実施形態の中心開口は同一であり、これにより、多開口レンズプレートの生産を効果的な手法で行うことが可能になる。
【0009】
規則的なグリッドでは、側面開口には3つの開口のみが直接隣接していることに留意されたい。これらの側面開口には、多少異なる形状が使用されてもよい。しかしながら、一実施形態では、当該多開口レンズプレートのすべての開口の形状は同一である。これは、これらの開口のそれぞれの断面形状および寸法が実質的に同一であることを意味する。開口の向きも同じにすることができ、異なる開口が同様に位置合わせされ、方向付けられることを意味する。これにより、多開口レンズプレートの迅速かつ効果的な製造が可能になる。
【0010】
一実施形態では、多開口レンズプレートは、規則的な正方形パターンの開口を有する。このようなグリッドでは、4倍の非点収差が支配的な収差であることが分かった。当該多開口レンズプレートの開口に非円形断面形状を提供することにより、この4倍の非点収差、および一般化により他の非軸対称収差を最小化することが可能である。
【0011】
非円形断面形状の非限定的な例として、以下の形状、すなわち、長円形、楕円形、丸みを帯びた正方形、または丸みを帯びた長方形の断面を使用してもよい。他の形状もまた考えられる。
【0012】
一実施形態では、開口は、実質的に連続的に湾曲した外周を有する。これは、角などの外周に鋭いエッジがないことを意味する。連続的に湾曲した外周は、予測可能な収差補正を提供し、製造が比較的簡単である。
【0013】
一実施形態では、断面形状は、第1の方向に測定される第1の軸と、第1の方向に実質的に直交する第2の方向に測定される第2の軸とを有し、第2の軸は、第1の直径よりも大きい。この場合、形状は、例えば、長円形、楕円形、または丸みを帯びた長方形にすることができる。
【0014】
一実施形態では、断面形状は、少なくとも2つの対称軸を有する。この場合、形状は、例えば、長円形、楕円形、または丸みを帯びた長方形にすることができる。
【0015】
更なる実施形態では、断面形状は、少なくとも4つの対称軸を有する。この実施形態では、形状は、例えば、丸みを帯びた正方形であってもよい。
【0016】
隣接する開口によって誘発された収差を補正する能力をさらに強化するために、開口プレートは、一実施形態では、隣接する開口間に設けられ、かつ多開口レンズプレートの当該表面における電場を局所的に修正するために配置された少なくとも1つのビームレット形状調整要素をさらに含む。
【0017】
一態様によれば、このビームレット形状調整要素は、非円形断面形状とは別に使用されてもよい。この態様によれば、複数の荷電粒子ビームレットで試料を検査するための荷電粒子ビーム装置が提供され、当該荷電粒子ビーム装置は、
-試料を保持するための試料ホルダと、
-荷電粒子のビームを生成するためのソースと、
-当該荷電粒子のビームを複数の荷電粒子ビームレットに変換し、当該複数の荷電粒子ビームレットを当該試料の上に向けるための照明器であって、
○対応する複数の荷電粒子ビームレットを規定するための複数の開口を有する多開口レンズプレート、ならびに
○多開口レンズプレートの表面に電場を発生させるための少なくとも第1の電極を含む、照明器と、
-当該複数の荷電粒子ビームレットによる当該照射に応答して試料から発する放射線束を検出するための検出器と、を備える。
【0018】
開口プレートは、隣接する開口間に設けられ、かつ多開口レンズプレートの当該表面で電場を局所的に修正するように配置された少なくとも1つのビームレット形状調整要素をさらに含む。
【0019】
ビームレット形状調整要素の実施形態を以下に説明する。
【0020】
一実施形態では、当該ビームレット形状調整要素は、当該多開口レンズプレート内の凹部を含む。特に、当該凹部は、止まり穴である。
【0021】
更なる実施形態では、当該ビームレット形状調整要素は、当該多開口レンズプレート上の突起を含む。
【0022】
当該ビームレット形状調整要素は、開口の周囲に設けられた壁要素であってもよい。特に、当該ビームレット形状調整要素は、開口プレートから延び、かつ開口の縁の周りに設けられた円周方向の突起であってもよい。
【0023】
別の実施形態では、当該ビームレット形状調整要素は、同様の手法で両方の隣接する開口に影響を及ぼすように、当該隣接する開口のほぼ中間に設けられる。
【0024】
ビームレット形状調整要素が円形の断面形状を有し、当該ビームレット形状調整要素の直径が当該開口の直径の0.25から0.75の間にあり、特に0.5に等しいと考えられる。
【0025】
一態様によれば、本明細書に開示されるような荷電粒子ビーム装置用の多開口レンズプレートが提供され、当該多開口レンズプレートは、当該荷電粒子ビーム装置の使用時に対応する複数の荷電粒子ビームレットを規定するために配置された複数の開口を有し、当該多開口レンズプレートの当該開口は、非円形断面形状を有する。
【0026】
そのような荷電粒子ビーム装置の利点は上記で説明された。荷電粒子ビーム装置の実施形態は、本明細書に記載されているような多開口レンズプレートの実施形態を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、マルチビーム走査電子顕微鏡の形態で、荷電粒子ビーム装置の例を示す図である。
図2図2は、多開口プレートに形成された開口の例を示す図である。
図3図3a~3dは、多開口プレートに形成された開口の別の例をそれぞれ示す図である。
図4図4は、一実施形態による多開口レンズプレートを示す図である。
図5図5は、多開口レンズプレートの第1例を概略的に示す図である。
図6図6は、多開口レンズプレートの第1例を概略的に示す図である。
図7図7は、多開口レンズプレートの第2例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本明細書に開示されるような荷電粒子ビーム装置の実施形態は、次に添付図面を参照して説明される。
図1は、荷電粒子ビーム装置を概略的に描写する。
【0029】
図1は、マルチビーム走査電子顕微鏡(MBSEM)の形態で、荷電粒子ビーム装置の例を示す。MBSEM1は、一次荷電粒子ビーム3のアレイ、この場合では、一次電子ビーム3のアレイを発生させるためのマルチビーム荷電粒子発生器2aを備える。マルチビーム電子発生器2aは、発散電子ビーム5を発生させるための少なくとも1つの電子ソース4を備える。発散電子ビーム5は、開口レンズアレイ6によって、集束された一次電子ビーム3のアレイに分割される。続いて、一次電子ビーム3は、矢印Pによって概略的に示されるように、サンプル15の方に向けられる。
【0030】
ソース4の複数の像は、加速器レンズ7の物体主平面上に位置付けられる。加速器レンズ7は、一次電子ビーム3を光軸8の方に向け、すべての一次電子ビーム3の第1の共通交差点9を生成する。
【0031】
第1の共通交差点9は、磁気集束レンズ10によって、電流制限開口として機能する可変開口11の上に結像される。可変開口11では、すべての一次電子ビーム3の第2の共通交差点が生成される。
【0032】
MBSEMは、一次荷電粒子ビームを可変開口11における共通交差点からサンプル表面15の方に向けて、すべての一次荷電粒子ビーム3をサンプル表面15上の個々のスポットのアレイに集束させるためのレンズシステム13、14を備える。レンズシステムは、可変開口11を対物レンズ14のコマフリー平面上に結像するための中間磁気レンズ13を備え、その対物レンズ14は、サンプル表面15上に集束された一次電子ビームのアレイを生成する。
【0033】
さらに、MBSEMには、サンプル表面15上で集束された一次電子ビームのアレイを走査するための走査コイル16が設けられている。
【0034】
この実施形態に示されるMBSEMにはさらに、共通交差点を含む平面内に少なくとも実質的にまたはその近くに、この場合では可変開口11の真下に、位置付けられた位置感知二次電子検出器12が設けられている。この二次電子検出システム12は、サンプル表面15上の各単一の一次電子ビームスポットの個々の二次電子像を取得するように配置される。これは、このMBSEM1でサンプル表面15が走査されるとき、複数の像を単一走査期間内に同時に取得できることを意味する。
【0035】
図1に示されるような荷電粒子ビーム装置1は、複数の荷電粒子ビームレット3で試料15を検査するために配置される。荷電粒子ビーム装置は、試料を保持するための試料ホルダ15と、荷電粒子のビーム5を生成するためのソース4と、当該荷電粒子のビーム5を複数の荷電粒子ビームレット3に変換し、当該複数の荷電粒子ビームレット3を当該試料15の上に向けるための照明器2bと、を備える。照明器2bは、対応する複数の荷電粒子ビームレットを規定するための複数の開口を有する多開口レンズプレート6と、加えて、多開口レンズプレート6の表面に電場を発生させるための少なくとも第1の電極61と、当該複数の荷電粒子ビームレットによる照射に応答して試料15から発せられる放射束を検出するための検出器12と、を備える。ここで図1に示されるような一般的なセットアップは、例えばEP2864997B1から当業者に知られており、このセットアップへの修正もまた当業者に知られていることに留意されたい。
【0036】
本明細書に開示されるような荷電粒子装置1は、多開口レンズプレート6を備え、当該多開口レンズプレート6の開口は、非円形断面形状を有する。これは、図2から図7に示されるようないくつかの実施形態に関してより詳細に議論される。多開口レンズプレートを使用すると、画像解像度が改善される。
【0037】
図2は、多開口プレート6に形成された開口315の規則的なグリッド319を示す。各非外周開口、または中心開口「a」は、4つの直接隣接する開口「b」、「c」、「d」、および「e」を有し、2番目に最も近い4つの隣接する開口、または斜めに隣接する「f」、「g」、「h」、「i」を有する。図2は、開口315が最も近い隣接ピッチで配列された基本アレイベクトル[10]を示し、図2は、開口315が2番目に最も近い隣接ピッチで配列された基本アレイベクトル[11]を示す。本明細書に開示されるように、当該多開口レンズプレート6の開口315は、図3a~dの様々な実施形態によりよく示されるように、非円形断面形状を有する。
【0038】
図3a~3dに示される開口315の各々は、断面形状が非円形であり、(直接)隣接する開口から生じる収差を低減するために配置される。図3aにおいて、および図3cにより明確に示されるように、開口315の外周は、互いに対してオフセットを有する4つの円によって規定され、直線縁部によって相互接続されている。図3b、および図3dにより明確に示されるように、開口315の外周は、互いに対してオフセットを有する4つの楕円または長円形状によって規定される。すべての図において、開口315の外周は連続的に湾曲しており、外周の異なる部分間に滑らかな移行があることを意味している。言い換えれば、その全外周に沿って、曲線は、曲線の実質的に任意の位置で微分可能である。
【0039】
図2に示すような多開口レンズプレート6の少なくとも中心開口「e」、「a」、「h」、「d」にこれらの開口315を使用すると、隣接する開口によって誘発された収差の低減につながり、試料上の各ビームレット3のスポットサイズを減少させる。全体として、これは、本明細書で開示されるような荷電粒子装置の画像解像度を高める。好ましくは、すべての開口が、同一の断面形状を使用する。
【0040】
図3a~dから、開口315は、所与の開口315の中心317の周りに4倍の対称性を含むことが分かる。このようにして、開口315の規則的な正方形グリッドを有する多開口レンズプレート6に関連する4倍の非点収差を最小化することが可能である。
【0041】
丸みを帯びた角を有する「正方形」の作成(図3aおよび3c)、4つの楕円の結合(図3bおよび3d)を含む、非円形開口を導入する複数の手法があることに留意されたい。最初の場合では、例えば、25ミクロン間隔のグリッド上の(約)18ミクロンの穴径の場合、円形区分が全側面上のわずか0.4ミクロンの直線区分によって接合されるように、各角において約8.8ミクロンの曲率半径で良好な結果が得られた。楕円の場合、例えば、楕円の長軸と短軸の比率(アスペクト比)が約1.08である場合、良好な結果が得られた。上記の両方の変形は、(4倍の非点収差を引き起こす)隣接する穴の8極子場を補正することができるが、それらが引き起こす高次収差(主に8倍の非点収差)の程度が、それらではわずかに異なる。この点で、楕円を用いるバージョンが、より良い結果を提供した。
【0042】
図4は、一実施形態による多開口レンズプレート6を示し、これは、斜めに隣接する開口315の間に設けられ、かつ多開口レンズプレート6の当該表面で電場を局所的に修正するように配置されたビームレット形状調整要素401を含む。ビームレット形状調整要素401の使用は、隣接する開口によって誘発された収差をさらに補正するのに役立ち得る。前述のように、ビームレット形状調整要素401の使用は、非円形開口315に追加されてもよいが、ビームレット形状調整要素401は、円形開口とともに使用されてもよい。
【0043】
図5は、開口315のグリッドを有し、かつビームレット形状調整要素401が設けられた多開口レンズプレート6の第1の例を概略的に示す。この例では、ビームレット形状調整要素401は、多開口レンズプレート6に設けられた止まり穴である。
【0044】
図6は、開口315のグリッドを有する多開口レンズプレート6の第2の例を概略的に示し、ビームレット形状調整要素401は、多開口レンズプレート6上の突起として設けられている。
【0045】
図7は、開口315のグリッドを有する多開口レンズプレート6の第3の実施形態を概略的に示し、ビームレット形状調整要素401a、401bは、それぞれの開口315の周囲を囲む突起壁要素として設けられている。特に、壁要素401a、401bは、開口315の全外周に沿って設けられている。図5~7に示されている実施形態は、隣接する開口によって誘発された収差の制御において改善された結果を提供することが分かった。
【0046】
図5図7に示す実施形態では、開口315は、本明細書で開示するような(図では見えない)非円形断面形状を有することに留意されたい。しかしながら、ビームレット形状調整要素401、401a、401bは、独立した特徴として、すなわち円形の断面形状を有する開口315とともに使用することもできる。
【0047】
所望の保護は、添付の特許請求の範囲によって付与される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7