(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】複合粒子、液体内包粒子形成用複合粒子、及び液体内包粒子
(51)【国際特許分類】
C09C 3/00 20060101AFI20241016BHJP
C09C 3/10 20060101ALI20241016BHJP
C09C 3/06 20060101ALI20241016BHJP
B01J 13/04 20060101ALI20241016BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20241016BHJP
A23L 29/00 20160101ALI20241016BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20241016BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20241016BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20241016BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20241016BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20241016BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20241016BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
C09C3/00
C09C3/10
C09C3/06
B01J13/04
A23L33/10
A23L29/00
A61K45/00
A61K9/14
A61K9/08
A61K47/38
A61K9/48
A61K47/04
A61K47/36
(21)【出願番号】P 2020131146
(22)【出願日】2020-07-31
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 航治
【審査官】井上 明子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-163866(JP,A)
【文献】特開2011-059586(JP,A)
【文献】特開2003-238656(JP,A)
【文献】特表2018-501242(JP,A)
【文献】特開2019-085368(JP,A)
【文献】特開2017-142390(JP,A)
【文献】国際公開第2019/039292(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0242165(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09C 3/00
C09C 3/10
C09C 3/06
B01J 13/04
A23L 33/10
A23L 29/00
A61K 45/00
A61K 9/14
A61K 9/08
A61K 47/38
A61K 9/48
A61K 47/04
A61K 47/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎水性固体粒子Aの表面上に固体粒子Cを有し、
前記疎水性固体粒子Aの表面上に更に疎水性固体粒子Bを有し、
前記疎水性固体粒子Aの水との接触角CAaが、110°以上180°以下であり、
前記固体粒子Cの水との接触角CAc1が、110°未満であり、
前記固体粒子Cのn-ヘキサンとの接触角CAc2が、110°未満であり、
前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと、前記固体粒子Cの個数平均粒径d50cとの比(d50a/d50c)が、10以上100以下であり、
下記式1で表される被覆率CR
1が、0.3%以上18%以下であ
り、
前記疎水性固体粒子Bの水との接触角CAbが、110°以上であり、
前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aが、0.1μm以上10μm以下であることを特徴とする複合粒子。
【数1】
ただし、式1中、Xaは、疎水性固体粒子Aの質量(g)を表し、Xcは、固体粒子Cの質量(g)を表し、Yaは、疎水性固体粒子Aの密度(g/μm
3)を表し、Ycは、固体粒子Cの密度(g/μm
3)を表し、Zaは、疎水性固体粒子Aの
単位粒子当たりの体積(μm
3)を表し、Zcは、固体粒子Cの
単位粒子当たりの体積(μm
3)を表す。
【請求項2】
前記疎水性固体粒子Bの水との接触角CAbが、110°以上180°以下であり、
前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと、前記疎水性固体粒子Bの個数平均粒径d50b及び前記固体粒子Cの個数平均粒径d50cの平均値との比(d50a/[(d50b+d50c)/2])が、10以上100以下であり、
下記式3で表される被覆率CR
3が、50%以上500%以下である請求項1に記載の複合粒子。
【数2】
ただし、式3中、被覆率CR
1は、前記式1により求められる値を表し、被覆率CR
2は、下記式2により求められる値を表す。
【数3】
ただし、式2中、Xaは、疎水性固体粒子Aの質量(g)を表し、Xbは、疎水性固体粒子Bの質量(g)を表し、Yaは、疎水性固体粒子Aの密度(g/μm
3)を表し、Ybは、疎水性固体粒子Bの密度(g/μm
3)を表し、Zaは、疎水性固体粒子Aの
単位粒子当たりの体積(μm
3)を表し、Zbは、疎水性固体粒子Bの
単位粒子当たりの体積(μm
3)を表す。
【請求項3】
前記疎水性固体粒子A及び前記疎水性固体粒子Bの少なくともいずれかが、フッ素樹脂、シリカ、ステアリン酸処理炭酸カルシウム、及び疎水化処理デンプンの少なくともいずれかである請求項2に記載の複合粒子。
【請求項4】
前記固体粒子Cが、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースの少なくともいずれかである請求項1から3のいずれかに記載の複合粒子。
【請求項5】
液滴と、
疎水性固体粒子Aの表面上に固体粒子Cを有し、
前記疎水性固体粒子Aの表面上に更に疎水性固体粒子Bを有し、
前記疎水性固体粒子Aの水との接触角CAaが、110°以上180°以下であり、
前記固体粒子Cの水との接触角CAc1が、110°未満であり、
前記固体粒子Cのn-ヘキサンとの接触角CAc2が、110°未満であり、
前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと、前記固体粒子Cの個数平均粒径d50cとの比(d50a/d50c)が、10以上100以下であり、
下記式1で表される被覆率CR
1が、0.3%以上18%以下であ
り、
前記疎水性固体粒子Bの水との接触角CAbが、110°以上であり、
前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aが、0.1μm以上10μm以下である複合粒子と、
を有し、
前記複合粒子を前記液滴の表面に被覆してなることを特徴とする液体内包粒子。
【数4】
ただし、式1中、Xaは、疎水性固体粒子Aの質量(g)を表し、Xcは、固体粒子Cの質量(g)を表し、Yaは、疎水性固体粒子Aの密度(g/μm
3)を表し、Ycは、固体粒子Cの密度(g/μm
3)を表し、Zaは、疎水性固体粒子Aの
単位粒子当たりの体積(μm
3)を表し、Zcは、固体粒子Cの
単位粒子当たりの体積(μm
3)を表す。
【請求項6】
水を15質量%以上含有する溶液からなる液滴と、
疎水性固体粒子Aの表面上に固体粒子Cを有し、
前記疎水性固体粒子Aの表面上に更に疎水性固体粒子Bを有し、
前記疎水性固体粒子Aの前記溶液との接触角CALaが、110°以上180°以下であり、
前記固体粒子Cの前記溶液との接触角CALc1が、110°未満であり、
前記固体粒子Cのn-ヘキサンとの接触角CAc2が、110°未満であり、
前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと、前記固体粒子Cの個数平均粒径d50cとの比(d50a/d50c)が、10以上100以下であり、
下記式1で表される被覆率CR
1が、0.3%以上18%以下であ
り、
前記疎水性固体粒子Bの水との接触角CAbが、110°以上であり、
前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aが、0.1μm以上10μm以下である複合粒子と、
を有し、
前記複合粒子を前記液滴の表面に被覆してなることを特徴とする液体内包粒子。
【数5】
ただし、式1中、Xaは、疎水性固体粒子Aの質量(g)を表し、Xcは、固体粒子Cの質量(g)を表し、Yaは、疎水性固体粒子Aの密度(g/μm
3)を表し、Ycは、固体粒子Cの密度(g/μm
3)を表し、Zaは、疎水性固体粒子Aの
単位粒子当たりの体積(μm
3)を表し、Zcは、固体粒子Cの
単位粒子当たりの体積(μm
3)を表す。
【請求項7】
前記液体内包粒子の個数平均粒径d50dが、15μm以上2.5mm以下である請求項5から6のいずれかに記載の液体内包粒子。
【請求項8】
前記液滴が、食品添加物及び生理活性物質の少なくともいずれかを含有する請求項5から7のいずれかに記載の液体内包粒子。
【請求項9】
請求項1から4のいずれかに記載の複合粒子からなることを特徴とする液体内包粒子形成用複合粒子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合粒子、液体内包粒子形成用複合粒子、及び液体内包粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
産業上用いられる材料は、圧力や温度を変えることで、気相、液相、及び固相のいずれかの相で安定的に取り扱うことができる。しかし、材料の運搬や搬送などの取り扱い性の観点では、気体は漏洩防止のための措置が必要であり、また密度が小さいことから効率よく取り扱うことが難しい。また、液体は、漏洩防止のための措置が必要であるとともに、搬送経路を汚染するため効率よく取り扱うことが難しい。そのため、材料の取り扱い上は固体であることが好ましい。そこで、従来技術では、例えば、気体や液体を冷却して固化したり、気体や液体を多孔質材料に吸着させたりすることにより、固体として取り扱う手法が知られているが、冷却するためのエネルギーが必要となり、産業上利用できる範囲が限定されてしまう。
【0003】
近年では、材料の相を変化させずに取り扱う技術として、例えば、アブラムシ類が作り出すリキッドマーブルが注目されている。アブラムシ類は体内から分泌した蜜の滴の表面に疎水性の粒子を被覆させて、巣の外に移動させることが知られており、液体を固体のように取り扱うことが知られている(例えば、非特許文献1参照)。このリキッドマーブルを模して産業上応用したリキッドマーブル形成技術としては、例えば、化粧水成分を液滴としてその液滴表面を、特定の濡れ性(水に対する接触角)を有する粒子でコーティングすることで液体を内包する微粒子とする技術が報告されている(例えば、非特許文献2参照)。更に、液滴化した接着剤組成物の表面を疎水性微粒子で被覆した粒状接着剤が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、種々の液体に対する、液滴の合一を抑制し、外力に対する耐久性に優れ、水中で使用可能である液体内包粒子を形成することができる複合粒子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
課題を解決するための手段としての本発明の複合粒子は、疎水性固体粒子Aの表面上に固体粒子Cを有し、
前記疎水性固体粒子Aの水との接触角CAaが、110°以上180°以下であり、
前記固体粒子Cの水との接触角CAc1が、110°未満であり、
前記固体粒子Cのn-ヘキサンとの接触角CAc2が、110°未満であり、
前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと、前記固体粒子Cの個数平均粒径d50cとの比(d50a/d50c)が、10以上100以下であり、
下記式1で表される被覆率CR
1が、0.3%以上18%以下である。
【数1】
ただし、式1中、Xaは、疎水性固体粒子Aの質量(g)を表し、Xcは、固体粒子Cの質量(g)を表し、Yaは、疎水性固体粒子Aの密度(g/μm
3)を表し、Ycは、固体粒子Cの密度(g/μm
3)を表し、Zaは、疎水性固体粒子Aの体積(μm
3)を表し、Zcは、固体粒子Cの体積(μm
3)を表す。
【発明の効果】
【0006】
本発明によると、種々の液体に対する、液滴の合一を抑制し、外力に対する耐久性に優れ、水中で使用可能である液体内包粒子を形成することができる複合粒子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】
図1Aは、本発明の複合粒子の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(複合粒子)
本発明の複合粒子は、疎水性固体粒子Aと、固体粒子Cとを含有し、更に疎水性固体粒子Bを含有することが好ましく、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
【0009】
本発明の複合粒子は、疎水性固体粒子Aの表面上に固体粒子Cを有し、前記疎水性固体粒子Aの水との接触角CAaが、110°以上180°以下であり、前記固体粒子Cの水との接触角CAc1が、110°未満であり、前記固体粒子Cのn-ヘキサンとの接触角CAc2が、110°未満であり、前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと、前記固体粒子Cの個数平均粒径d50cとの比(d50a/d50c)(「粒径比(d50a/d50c)」とも称する)が、10以上100以下であり、下記式1で表される被覆率CR
1が、0.3%以上18%以下である。
【数2】
ただし、式1中、Xaは、疎水性固体粒子Aの質量(g)を表し、Xcは、固体粒子Cの質量(g)を表し、Yaは、疎水性固体粒子Aの密度(g/μm
3)を表し、Ycは、固体粒子Cの密度(g/μm
3)を表し、Zaは、疎水性固体粒子Aの体積(μm
3)を表し、Zcは、固体粒子Cの体積(μm
3)を表す。
【0010】
従来の化粧水を粒子化する技術では、肌に適量をのせ、こすりつけることで化粧水成分を粒子外に放出させる設計にすることができるが、その利便性と相反し、外力(例えば、輸送時の衝撃など)で簡単に崩壊してしまうという問題があった。
また、従来の接着剤組成物を粒子で被覆する技術では、輸送時の衝撃に対して耐久性があるが、液体成分特有の高粘度による寄与が大きく、種々の液体に対して使用できるものではないという問題があった。
更に、例えば、液滴を内包する粒子(「リキッドマーブル」、「液体内包粒子」などと称することがある)において、内包する液滴中で生体触媒を機能させることができれば、有用物質を産生させることができ、かつ、運搬や搬送などの取り扱い性に優れるという利点がある。このような用途を想定した場合、水中で前記液体内包粒子の形態を維持できることが必要である。しかしながら、従来の液体内包粒子は大気中でのみ使用可能なものであり、水中で使用することは困難であるという問題があった。
【0011】
そこで、本発明者が種々の液体に対する、液滴の合一を抑制し、外力に対する耐久性に優れ、水中で使用可能である粒子について検討したところ、以下の知見を得た。
粒径の大きな粒子だけで液体内包粒子を製造すると、液滴を被覆している粒子と液滴との接触面積が小さくなり、液滴が露出している箇所が生じてしまう。このことによって、外力に対し強度が非常に弱く、耐久性を向上させることが難しいということがわかった。
また、粒径の小さな粒子だけで液体内包粒子を製造すると、外力に対し耐久性は向上するが、変形が生じやすくなり、毛細管現象によって液体内包粒子同士が合一してしまうことがあるという問題があることがわかった。
また、前記従来技術のような疎水性材料からなる液体内包粒子を水中で使用すると、水面に浮いてしまい、更には液体内包粒子が破裂し、多くの液体内包粒子が破裂すると、これにより液体内包粒子同士の合一が進行し、液体内包粒子の形状を維持することができないことがわかった。
【0012】
そのため、本発明者は、液滴の合一を抑制するためには、特定の物性を有する粒径の異なる2種の固体粒子(粒径が大きい疎水性固体粒子A及び粒径が小さい固体粒子C)を含む複合粒子を用いることによって、液体内包粒子の合一を抑制することができることを見出した。
更に、本発明者は、前記疎水性固体粒子Aの表面上に前記固体粒子Cを配した複合粒子とすることにより、液体内包粒子同士の合一を抑制し、種々の液体の液滴の表面を被覆することができ、かつ耐久性に優れる液体内包粒子を形成できることを見出した。
更に、本発明者は、前記疎水性固体粒子Aの水との接触角(CAa)と、前記固体粒子Cの水との接触角CAc1と、前記固体粒子Cのn-ヘキサンとの接触角CAc2とを特定の範囲とすることにより、水中で使用可能な液体内包粒子を形成できることを見出した。
【0013】
<疎水性固体粒子A>
前記疎水性固体粒子Aの水との接触角CAaは、110°以上180°以下である。前記疎水性固体粒子Aの水との接触角CAaが、110°未満であると、液体内包粒子が形成しづらく、容易に合一してしまう。一方、前記疎水性固体粒子Aの水との接触角CAaが、110°以上180°以下であると、液体内包粒子の合一を抑制することができる。
本明細書において、「疎水性」とは、後述する接触角の測定方法により測定した水との接触角(CAa又はCAb)が、110°以上180°以下であることを意味する。
【0014】
前記疎水性固体粒子Aの水との接触角CAaは、従来公知の接触角の測定方法(θ/2法)に準じて測定することができる。具体的には、前記疎水性固体粒子Aの構成材料を熱プレスした板状体や、前記疎水性固体粒子Aの構成材料の分散液をキャスト法にて基板にキャストし板状体としたものを測定試料とし、前記板状体上にマイクロシリンジにて10μLの水を乗せた際の液面と前記板状体の表面とのなす角度を、前記水との接触角CAaとして測定することができる。
【0015】
なお、前記疎水性固体粒子Aの構成材料を熱プレスした板状体の作製における前記熱プレスの条件は以下の通りである。
[熱プレス条件]
・ 温度:200℃
・ 総加圧力:30kN
・ 時間:30kN到達時点から5分
・ 作業内容:試料(疎水性固体粒子Aの構成材料)粉末を内径(φ)10mmの粉末成形用金型(深さ:20mm)に、底部からの高さが10mmになるまで充填してプレス機(装置名:SA-302卓上型テストプレス、製造会社名:テスター産業株式会社)にセットする。金型が所定の温度(200℃)になったことを確認した後、プレスを開始し、所定の圧力(30kN)までプレスする。所定の圧力に到達した時点から5分間プレスを行って接触角の測定サンプル(板状体)を作成する。
【0016】
また、前記疎水性固体粒子Aの構成材料の分散液をキャスト法にて基板にキャストした板状体は、前記疎水性固体粒子Aの構成材料を熱プレスした板状体の作製において、まず直径10mmに打ち抜いたPTFE(ポリテトラフルオロエチレン、平均厚み:200μm)を前記粉末成形用金型に設置し、その上に試料(疎水性固体粒子Aの構成材料)粉末を略均一に撒き、前記熱プレスを行うことにより得ることができる。
【0017】
前記試料(疎水性固体粒子Aの構成材料)粉末を略均一に撒く方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、乾燥試料粉末を撒く方法、試料分散液を撒く方法などが挙げられる。
前記試料分散液に用いる溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エタノールなどが挙げられる。前記試料分散液を用いると、かさ密度の小さい試料を扱いやすくすることができる。
【0018】
前記複合粒子における構成材料としての前記疎水性固体粒子Aを測定試料とする場合には、前記複合粒子中の前記疎水性固体粒子Aの材質をガスクロマトグラフィー(GC-MS)、核磁気共鳴(NMR)、赤外分光法(IR)などにより特定してその材料を入手し、入手した材料を用いて前記水との接触角CAaを測定する、又は前記複合粒子から前記疎水性固体粒子Aを単離し、単離した前記疎水性固体粒子Aから前記板状体を作製して、その板状体と水との接触角CAaを測定することができる。
【0019】
前記複合粒子から前記疎水性固体粒子Aを単離する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記複合粒子にアルコールを加えて前記疎水性固体粒子Aを分散させた液を濾別することにより行う方法などが挙げられる。
前記アルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エタノール、イソプロパノールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、揮発性が高く、濾別後の乾燥を簡便に行うことができる点で、エタノールを用いることが特に好ましい。
【0020】
前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aとしては、本発明の効果を奏することができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1μm以上10μm以下が好ましく、0.5μm以上5μm以下がより好ましい。前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aが、0.1μm以上10μm以下であると、液体からなる液滴への前記疎水性固体粒子Aの吸着量を増やすことができるため、後述する液体内包粒子をより安定化することができる。
前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aは、上述した方法で単離した前記疎水性固体粒子Aを、バルクで観察した走査型電子顕微鏡画像において、任意に選択した10個の各粒子の最長径の平均値である。
【0021】
前記疎水性固体粒子Aの材質としては、前記疎水性固体粒子Aの水との接触角CAaが、110°以上180°以下を満たすものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機材料、無機材料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0022】
前記有機材料としては、例えば、ポリマー材料などが挙げられる。
前記ポリマー材料としては、例えば、樹脂などが挙げられる。
前記樹脂としては、例えば、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、セルロース、又はこれらから選択した少なくとも1種の樹脂を含む共重合体などが挙げられる。
前記フッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレンクロロトリフルオロエチレンコポリマー(ECTFE)などが挙げられる。
前記シリコーン樹脂としては、例えば、メチルシリコン樹脂、ウレタン変性シリコーン樹脂などが挙げられる。
【0023】
前記無機材料としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
前記シリカとしては、例えば、ヒュームドシリカ、シリカ球状微粒子(QSGシリーズ:信越化学工業株式会社製)などが挙げられる。
【0024】
前記有機材料及び前記無機材料は、更にその表面が疎水化処理されているものでもよい。前記有機材料及び前記無機材料としては、その材料の物性として疎水性を有していなくても、前記疎水化処理によって、表面に疎水性を付与したものを用いることができる。
【0025】
疎水化処理された前記有機材料としては、例えば、疎水化処理デンプンなどが挙げられる。前記疎水化処理デンプンとしては、例えば、オクテニルコハク酸トウモロコシデンプンエステルアルミニウム(商品名:オクティエ、日澱化学株式会社製)などが挙げられる。
前記有機材料が疎水化されていることは、接触角を測定することにより確認することができる。上述した方法で圧縮成形(熱プレスなど)した試料の接触角を測定して、水との接触角が110°以上であることを確認することにより前記有機材料が疎水化されていることを確認することができる。
【0026】
疎水化処理された前記無機材料としては、例えば、ステアリン酸処理炭酸カルシウムなどが挙げられる。前記ステアリン酸処理炭酸カルシウムとしては、例えば、炭酸カルシウム100gをステアリン酸10gとメタノール500mLとを混ぜた後、メタノールを減圧留去後に50℃で加熱乾燥したものなどが挙げられる。
前記無機材料が疎水化されていることは、接触角を測定することにより確認することができる。例えば、前記疎水化としてステアリン酸処理されている場合においては、圧縮成形(熱プレスなど)した試料の接触角を測定して、水との接触角が110°以上であることを確認することによりステアリン酸処理されていることを確認することができる。
【0027】
前記疎水性固体粒子Aの形状としては、本発明の効果を奏することができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、球形、真球、扁平、針状、柱状、不定形、直方体状などが挙げられる。
【0028】
前記疎水性固体粒子Aの構造としては、本発明の効果を奏することができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、多孔質、中空、層状などが挙げられる。
【0029】
<固体粒子C>
前記固体粒子Cは、前記疎水性固体粒子Aの表面上に存在し、前記疎水性固体粒子Aの表面を被覆する。
本明細書において、前記固体粒子Cが前記疎水性固体粒子Aの表面を被覆するとは、本発明の効果を奏することができる程度に被覆することをいい、後述する被覆率CR1を満たす範囲で被覆することを意味する。
本明細書において、「疎水性固体粒子Aの表面」とは、疎水性固体粒子Aの露出面を意味する。
【0030】
前記固体粒子Cの水との接触角CAc1は、110°未満である。前記固体粒子Cの水との接触角CAc1が、110°以上であると、液体内包粒子が水面に浮いてしまうため水中で使用することができず、また液体内包粒子が合一してしまう。一方、前記固体粒子Cの水との接触角CAc1が、110°未満であると、液体内包粒子を水中で使用することができ、また液体内包粒子の合一を抑制することができる。
【0031】
前記固体粒子Cの水との接触角CAc1は、前記疎水性固体粒子Aの水との接触角CAaと同様に、従来公知の接触角の測定方法(θ/2法)に準じて測定することができる。具体的には、前記固体粒子Cの構成材料を熱プレスした板状体や、前記固体粒子Cの構成材料の分散液をキャスト法にて基板にキャストし板状体としたものを測定試料とし、前記板状体上にマイクロシリンジにて10μLの水を乗せた際の液面と前記板状体の表面とのなす角度を、前記水との接触角CAc1として測定することができる。
【0032】
前記固体粒子Cのn-ヘキサンとの接触角CAc2は、110°未満である。前記固体粒子Cのn-ヘキサンとの接触角CAc2が、110°以上であると、前記疎水性固体粒子Aとの親和性が失われるため、液体内包粒子が合一してしまう。一方、前記固体粒子Cのn-ヘキサンとの接触角CAc2が、110°未満であると、前記疎水性固体粒子Aとの親和性が確保できるため液体内包粒子の合一を抑制することができる。
【0033】
前記固体粒子Cのn-ヘキサンとの接触角CAc2は、前記疎水性固体粒子Aの水との接触角CAaと同様に、従来公知の接触角の測定方法(θ/2法)に準じて測定することができる。具体的には、前記固体粒子Cの構成材料を熱プレスした板状体や、前記固体粒子Cの構成材料の分散液をキャスト法にて基板にキャストし板状体としたものを測定試料とし、前記板状体上にマイクロシリンジにて10μLのn-ヘキサンを乗せた際の液面と前記板状体の表面とのなす角度を、前記水との接触角CAc2として測定することができる。
【0034】
前記固体粒子Cの構成材料を熱プレスした板状体、及び前記固体粒子Cの構成材料の分散液をキャスト法にて基板にキャストし板状体としたものの作製方法は、前記疎水性固体粒子Aの場合と同様である。
また、前記複合粒子における構成材料としての前記固体粒子Cを測定試料とする場合の接触角CAcの測定方法や、前記複合粒子から前記固体粒子Cを単離する方法も、前記疎水性固体粒子Aの場合と同様である。
【0035】
前記固体粒子Cの個数平均粒径d50cとしては、本発明の効果を奏することができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01μm以上5μm以下が好ましく、0.1μm以上1μm以下がより好ましい。前記固体粒子Cの個数平均粒径d50cが、0.01μm以上5μm以下であると、液体からなる液滴への前記固体粒子Cの吸着量を増やすことができ、かつ前記固体粒子Cが前記疎水性固体粒子Aとも吸着しやすくなるため、液体内包粒子をより安定化することができる。
前記固体粒子Cの個数平均粒径d50cは、上述した方法で単離した前記固体粒子Cを、バルクで観察した走査型電子顕微鏡画像において、任意に選択した10個の各粒子の最長径の平均値である。
【0036】
前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと、前記固体粒子Cの個数平均粒径d50cとの比(d50a/d50c)は、10以上100以下であるが、10以上50以下が好ましい。前記比(d50a/d50c)が、10未満であると、前記複合粒子を形成し難くなり、前記比(d50a/d50c)が、100を超えると、前記複合粒子は形成できるものの液体内包粒子を安定的に製造することが難しくなる。一方、前記比(d50a/d50c)が、10以上100以下であると、合一抑制性、及び外力に対する耐久性に優れ、水中で使用可能である液体内包粒子を形成することができる点で有利である。
【0037】
前記複合粒子における、前記疎水性固体粒子Aの含有量(質量%)及び前記固体粒子Cの含有量(質量%)の合計量に対する、前記固体粒子Cの含有率(質量%)(以下、「固体粒子Cの含有率1」と称することがある)としては、前記被覆率CR1を満たすことができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1質量%以上5.5質量%未満が好ましく、0.6質量%以上1.1質量%以下がより好ましい。前記固体粒子Cの含有率1は、前記複合粒子を製造する際の、前記疎水性固体粒子A及び前記固体粒子Cの添加量により調整することができる。
【0038】
また、前記複合粒子における、前記疎水性固体粒子Aの含有量(質量%)、前記固体粒子Cの含有量(質量%)、及び後述する疎水性固体粒子Bの含有量(質量%)の合計量に対する、前記固体粒子Cの含有率(質量%)(以下、「固体粒子Cの含有率2」と称することがある)としては、前記被覆率CR1を満たすことができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1質量%以上5質量%未満が好ましく、0.5質量%以上1.0質量%以下がより好ましい。前記固体粒子Cの含有率2は、前記複合粒子を製造する際の、前記疎水性固体粒子A、前記固体粒子C、及び前記疎水性固体粒子Bの添加量により調整することができる。
【0039】
前記固体粒子Cの材質としては、前記固体粒子Cの水との接触角CAc1が、110°未満であり、前記固体粒子Cのn-ヘキサンとの接触角CAc2が、110°未満であることを満たすものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機材料、無機材料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、両親媒性の性質を有する材料であることが好ましい。
【0040】
前記有機材料としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、リン脂質などが挙げられる。これらの中でも、前記有機材料としては、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースの少なくともいずれかであることが、生体触媒の機能を阻害しないという観点で好ましい。
前記無機材料としては、例えば、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
【0041】
前記有機材料及び前記無機材料は、更にその表面が、前記固体粒子Cの水との接触角CAc1が、110°未満であり、前記固体粒子Cのn-ヘキサンとの接触角CAc2が、110°未満となるような処理が施されているものでもよい。前記有機材料及び前記無機材料としては、その材料の物性として、前記接触角CAc1が110°未満であり、前記接触角CAc2が110°未満となるような物性を有していなくても、前記表面処理によって、その材料の表面に前記接触角CAc1が110°未満であり、前記接触角CAc2が110°未満となるような物性を付与したものを用いることができる。
【0042】
表面処理された前記有機材料としては、例えば、オゾン酸化処理されたポリカーボネート樹脂などが挙げられる。
【0043】
前記有機材料又は前記無機材料に、前記接触角CAc1が110°未満であり、前記接触角CAc2が110°未満となるような物性が付与されていることは、接触角を測定することにより確認することができる。上述した方法で圧縮成形(熱プレスなど)した試料の接触角を測定して、水との接触角が110°未満であり、n-ヘキサンとの接触角が110°未満であることを確認することにより前記有機材料又は前記無機材料が、前記接触角CAc1が110°未満であり、前記接触角CAc2が110°未満となるような物性が付与されていることを確認することができる。
【0044】
前記固体粒子Cの形状としては、本発明の効果を奏することができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、球形、真球、扁平、針状、柱状、不定形、直方体状などが挙げられる。
【0045】
前記固体粒子Cの構造としては、本発明の効果を奏することができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、多孔質、中空、層状などが挙げられる。
【0046】
前記複合粒子は、下記式1で表される被覆率CR
1が、0.3%以上18%以下であるが、0.3%以上10%以下が好ましい。前記被覆率CR
1が、0.3%未満であると、水への接触が、前記疎水性固体粒子Aが支配的となり、水中で使用した場合に水面に浮いてしまい水中で使用できず、また合一抑制効果が得られにくくなり、前記被覆率CR
1が18%を超えると、前記固体粒子Cが前記疎水性固体粒子Aの表面上で凝集し堆積した状態になり、水への接触が、前記固体粒子Cが支配的になるため、合一抑制効果が得られにくくなり、また水中で前記疎水性固体粒子Aと前記固体粒子Cとが分解してしまい、液体内包粒子の形状を維持することができない。一方、前記被覆率CR
1が、0.3%以上18%以下であると、合一抑制性、及び外力に対する耐久性に優れ、水中で使用可能である液体内包粒子を形成することができる点で有利である。
【数3】
ただし、式1中、Xaは、疎水性固体粒子Aの質量(g)を表し、Xcは、固体粒子Cの質量(g)を表し、Yaは、疎水性固体粒子Aの密度(g/μm
3)を表し、Ycは、固体粒子Cの密度(g/μm
3)を表し、Zaは、疎水性固体粒子Aの体積(μm
3)を表し、Zcは、固体粒子Cの体積(μm
3)を表す。
【0047】
前記質量(g)及び前記体積(μm3)は、単位粒子当たりであってもよいが、使用する複合粒子の質量と体積が同じ基準で得られる数値であればバルク当たりであってもよい。なお、各粒子の体積は、用いた各粒子の体積の平均値を用いてもよく、得られた個数平均粒径を直径とする真球と仮定した場合の体積を算出して用いてもよい。
前記被覆率CR1は、前記疎水性固体粒子Aの表面上に存在する前記固体粒子Cの存在率を意味する。
【0048】
前記被覆率CR1は、以下のようにして求める。
まず、複合粒子を真球(前記疎水性固体粒子A及び前記固体粒子Cも真球とする)とした場合、前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと前記固体粒子Cの個数平均粒径d50cとをそれぞれ2で除した数の和(d50a/2+d50c/2)を複合粒子の半径とし、前記複合粒子の表面積(4π(d50a/2+d50c/2)2)を算出する。
次に、前記疎水性固体粒子Aの表面を被覆する前記固体粒子Cの面積は、1つの前記疎水性固体粒子Aの中心と、前記固体粒子Cの中心とを結んだ線分と、に直交し、前記固体粒子Cの中心を含む前記固体粒子Cの断面の面積(以下、「断面積Sc」と称する)としたとき、1つの前記疎水性固体粒子Aに対して被覆する前記固体粒子Cの個数を掛け合わせることによって求める。なお、断面積Scは、前記固体粒子Cの個数平均粒径d50cを用いて、π(d50c/2)2と表される。また、1つの前記疎水性固体粒子Aに対して被覆する前記固体粒子Cの個数は、前記疎水性固体粒子Aの質量Xa、密度Ya、及び体積Zaと、前記固体粒子Cの質量Xc、密度Yc、及び体積Zcと、を用いて、{Xc(g)/Yc(g/μm3)/Zc(g/μm3)}/{Xa(g)/Ya(g/μm3)/Za(g/μm3)}と表すことができる。
【0049】
図1Aは、本発明の複合粒子の一例を示す模式図である。
図1Bは、
図1AにおけるX-Z平面における断面の一例を示す模式図である。
図1Aに示すように、本発明の複合粒子10は、疎水性固体粒子A11と固体粒子C12とを含有し、固体粒子C12が疎水性固体粒子A11の表面を被覆している。被覆率CR
1を算出する際には、疎水性固体粒子A11の個数平均粒径d50aと固体粒子C12の個数平均粒径d50cとから、複合粒子10の表面積を算出し、複合粒子10の表面積に対する固体粒子C12が占める面積の割合として算出する。なお、固体粒子C12が占める面積は、
図1Bに示すように、疎水性固体粒子A11の中心と、固体粒子C12の中心とを結んだ線分と、に直交し、固体粒子C12の中心を含む固体粒子C12の断面積Scに、1つの疎水性固体粒子A11に対して被覆する固体粒子C12の個数を掛け合わせることによって求める。
【0050】
<疎水性固体粒子B>
前記疎水性固体粒子Bは、前記疎水性固体粒子Aの表面上に前記固体粒子Cと共に存在し、前記疎水性固体粒子Aの表面を被覆する。
本明細書において、前記疎水性固体粒子Bが前記固体粒子Cと共に前記疎水性固体粒子Aの表面を被覆するとは、本発明の効果を奏することができる程度に被覆することができれば特に制限はなく、後述する被覆率CR2を満たす範囲で被覆することが好ましい。
【0051】
前記疎水性固体粒子Bの水との接触角CAbとしては、110°以上である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、110°以上180°以下が好ましい。前記疎水性固体粒子Bの水との接触角CAbが、110°未満であると、液体内包粒子が形成しづらく、合一してしまうことがある。一方、前記疎水性固体粒子Bの水との接触角CAbが、110°以上180°以下であると、液体内包粒子の合一をより良好に抑制することができる。
【0052】
前記疎水性固体粒子Bの水との接触角CAbは、前記疎水性固体粒子Aの水との接触角CAaと同様に、従来公知の接触角の測定方法(θ/2法)に準じて測定することができる。具体的には、前記疎水性固体粒子Bの構成材料を熱プレスした板状体や、前記疎水性固体粒子Bの構成材料の分散液をキャスト法にて基板にキャストし板状体としたものを測定試料とし、前記板状体上にマイクロシリンジにて10μLの水を乗せた際の液面と前記板状体の表面とのなす角度を、前記水との接触角CAbとして測定することができる。
【0053】
前記疎水性固体粒子Bの構成材料を熱プレスした板状体、及び前記疎水性固体粒子Bの構成材料の分散液をキャスト法にて基板にキャストし板状体としたものの作製方法は、前記疎水性固体粒子Aの場合と同様である。
また、前記複合粒子における構成材料としての前記疎水性固体粒子Bを測定試料とする場合の接触角CAbの測定方法や、前記複合粒子から前記疎水性固体粒子Bを単離する方法も、前記疎水性固体粒子Aの場合と同様である。
【0054】
前記疎水性固体粒子Bの個数平均粒径d50bとしては、本発明の効果を奏することができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01μm以上0.5μm以下が好ましく、0.01μm以上0.05μm以下がより好ましい。前記疎水性固体粒子Bの個数平均粒径d50bが、0.01μm以上0.5μm以下であると、液体からなる液滴への前記疎水性固体粒子Bの吸着量を増やすことができるため、後述する液体内包粒子をより安定化することができる。
前記疎水性固体粒子Bの個数平均粒径d50bは、上述した方法で単離した前記疎水性固体粒子Bを、バルクで観察した走査型電子顕微鏡画像において、任意に選択した10個の各粒子の最長径の平均値である。
【0055】
前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと、前記疎水性固体粒子Bの個数平均粒径d50bとの比(d50a/d50b)(「粒径比(d50a/d50b)」とも称する)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10以上100以下が好ましく、30以上50以下がより好ましい。前記比(d50a/d50b)が、10未満であると、複合粒子を形成し難くなることがあり、前記比(d50a/d50b)が、100を超えると、複合粒子は形成できるものの液体内包粒子を安定的に製造することが難くなることがある。一方、前記比(d50a/d50b)が、10以上100以下であると、合一抑制性、及び外力に対する耐久性に優れる液体内包粒子を形成することができる点で有利である。
【0056】
前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと、前記疎水性固体粒子Bの個数平均粒径d50b及び前記固体粒子Cの個数平均粒径d50cの平均値との比(d50a/[(d50b+d50c)/2])(「粒径比(d50a/[(d50b+d50c)/2)」とも称する)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10以上100以下が好ましく、10以上30以下がより好ましい。前記比(d50a/[(d50b+d50c)/2])が、10未満であると、複合粒子を形成し難くなることがあり、前記比(d50a/[(d50b+d50c)/2])が、100を超えると、複合粒子は形成できるものの液体内包粒子を安定的に製造することが難くなることがある。一方、前記比(d50a/[(d50b+d50c)/2])が、10以上100以下であると、合一抑制性、及び外力に対する耐久性に優れる液体内包粒子を形成することができる点で有利である。
【0057】
前記固体粒子Cの含有率2(質量%)と、前記疎水性固体粒子Bの含有率(質量%)との比(固体粒子Cの含有率2/疎水性固体粒子Bの含有率)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1.8超え96.0以下が好ましく9.5以上96.0以下がより好ましい。前記比(固体粒子Cの含有率2/疎水性固体粒子Bの含有率)が、1.8超え96.0以下であると、液体内包粒子が水面に浮かばず水中で好適に使用することができる。一方、96.0を超えると、水中で前記疎水性固体粒子Aと前記固体粒子Cとが分解してしまい、液体内包粒子の形状を維持することができないことがあり、1.8以下であると、液体内包粒子が水面に浮かんでしまい、液体内包粒子を水中で使用できないことがある。
【0058】
前記疎水性固体粒子Bの材質としては、前記疎水性固体粒子Bの水との接触角CAbが、110°以上180°以下を満たすものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機材料、無機材料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0059】
前記有機材料としては、例えば、ポリマー材料などが挙げられる。
前記ポリマー材料としては、例えば、樹脂などが挙げられる。
前記樹脂としては、例えば、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、セルロース、又はこれらから選択した少なくとも1種の樹脂を含む共重合体などが挙げられる。
前記フッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレンクロロトリフルオロエチレンコポリマー(ECTFE)などが挙げられる。
前記シリコーン樹脂としては、例えば、メチルシリコン樹脂、ウレタン変性シリコーン樹脂などが挙げられる。
【0060】
前記無機材料としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
前記シリカとしては、例えば、ヒュームドシリカ、シリカ球状微粒子(QSGシリーズ:信越化学工業株式会社製)などが挙げられる。
【0061】
前記有機材料及び前記無機材料は、更にその表面が疎水化処理されているものでもよい。前記有機材料及び前記無機材料としては、その材料の物性として疎水性を有していなくても、前記疎水化処理によって、表面に疎水性を付与したものを用いることができる。
疎水化処理された前記有機材料及び疎水化処理された前記無機材料としては、前記疎水性固体粒子Aで挙げたものと同様のものを用いることができ、前記有機材料が疎水化されていること及び前記無機材料が疎水化されていることを確認する方法も、前記疎水性固体粒子Aで挙げた方法と同様の方法を用いることができる。
【0062】
前記疎水性固体粒子Bの形状としては、本発明の効果を奏することができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、球形、真球、扁平、針状、柱状、不定形、直方体状などが挙げられる。
【0063】
前記疎水性固体粒子Bの構造としては、本発明の効果を奏することができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、多孔質、中空、層状などが挙げられる。
【0064】
前記疎水性固体粒子Bの材質、形状、又は構造としては、本発明の効果を奏する限り、前記疎水性固体粒子Aと同様の材質、形状、又は構造であってもよく、異なっていてもよいが、前記疎水性固体粒子A及び前記疎水性固体粒子Bの少なくともいずれかが、フッ素樹脂、シリカ、ステアリン酸処理炭酸カルシウム、及び疎水化処理デンプンの少なくともいずれかであることが好ましい。
【0065】
前記複合粒子の下記式2で表される被覆率CR
2としては、特に制限はなく、本発明の効果を奏することができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50%以上500%以下が好ましく、100%以上200%以下がより好ましい。前記被覆率CR
2が、50%未満であると、水への接触が、前記疎水性固体粒子Aが支配的となり合一抑制効果が得られにくくなることがあり、前記被覆率CR
2が500%を超えると、前記疎水性固体粒子Bが前記疎水性固体粒子Aの表面上で凝集し堆積した状態になり、水への接触が、前記疎水性固体粒子Bが支配的になるため、合一抑制効果が得られにくくなることがある。一方、前記被覆率CR
2が、50%以上500%以下であると、合一抑制性、及び外力に対する耐久性に優れる液体内包粒子を形成することができる点で好ましい。
【数4】
ただし、式2中、Xaは、疎水性固体粒子Aの質量(g)を表し、Xbは、疎水性固体粒子Bの質量(g)を表し、Yaは、疎水性固体粒子Aの密度(g/μm
3)を表し、Ybは、疎水性固体粒子Bの密度(g/μm
3)を表し、Zaは、疎水性固体粒子Aの体積(μm
3)を表し、Zbは、疎水性固体粒子Bの体積(μm
3)を表す。
【0066】
前記質量(g)及び前記体積(μm3)は、単位粒子当たりであってもよいが、使用する複合粒子の質量と体積が同じ基準で得られる数値であればバルク当たりであってもよい。なお、各粒子の体積は、用いた各粒子の体積の平均値を用いてもよく、得られた個数平均粒径を直径とする真球と仮定した場合の体積を算出して用いてもよい。
前記被覆率CR2は、前記疎水性固体粒子Aの表面上に存在する前記疎水性固体粒子Bの存在率を意味する。
【0067】
前記被覆率CR2は、前記被覆率CR1と同様に、以下のようにして求める。
まず、複合粒子を真球(前記疎水性固体粒子A及び前記疎水性固体粒子Bも真球とする)とした場合、前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと前記疎水性固体粒子Bの個数平均粒径d50bとをそれぞれ2で除した数の和(d50a/2+d50b/2)を複合粒子の半径とし、前記複合粒子の表面積(4π(d50a/2+d50b/2)2)を算出する。
次に、前記疎水性固体粒子Aの表面を被覆する前記疎水性固体粒子Bの面積は、1つの前記疎水性固体粒子Aの中心と、前記疎水性固体粒子Bの中心とを結んだ線分と、に直交し、前記疎水性固体粒子Bの中心を含む前記疎水性固体粒子Bの断面の面積(以下、断面積Sbと称する)としたとき、1つの前記疎水性固体粒子Aに対して被覆する前記疎水性固体粒子Bの個数を掛け合わせることによって求める。なお、断面積Sbは、前記疎水性固体粒子Bの個数平均粒径d50bを用いて、π(d50b/2)2と表される。また、1つの前記疎水性固体粒子Aに対して被覆する前記疎水性固体粒子Bの個数は、前記疎水性固体粒子Aの質量Xa、密度Ya、及び体積Zaと、前記疎水性固体粒子Bの質量Xb、密度Yb、及び体積Zbと、を用いて、{Xb(g)/Yb(g/μm3)/Zb(g/μm3)}/{Xa(g)/Ya(g/μm3)/Za(g/μm3)}と表すことができる。
【0068】
前記複合粒子の下記式3で表される被覆率CR
3としては、特に制限はなく、本発明の効果を奏することができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50%以上518%以下が好ましく、100%以上210%以下がより好ましい。前記被覆率CR
3が、50%未満であると、水への接触が、前記疎水性固体粒子Aが支配的となり合一抑制効果が得られにくくなることがあり、前記被覆率CR
3が518%を超えると、前記固体粒子C及び前記疎水性固体粒子Bが前記疎水性固体粒子Aの表面上で凝集し堆積した状態になり、水への接触が、前記固体粒子C及び前記疎水性固体粒子Bが支配的になるため、合一抑制効果が得られにくくなることがある。一方、前記被覆率CR
3が、50%以上518%以下であると、合一抑制性、及び外力に対する耐久性に優れる液体内包粒子を形成することができる点で好ましい。
前記被覆率CR
3とは、前記疎水性固体粒子Aの表面上に存在する前記固体粒子C及び前記疎水性固体粒子Bの存在率を意味する。
【数5】
ただし、式3中、被覆率CR
1は、前記式1により求められる値を表し、被覆率CR
2は、前記式2により求められる値を表す。
【0069】
前記被覆率CR1と、前記被覆率CR2との比(CR2/CR1)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5超え300以下が好ましく20以上290以下がより好ましい。前記比(CR2/CR1)が、5超え300以下であると、液体内包粒子が水面に浮かばず水中で好適に使用することができる。一方、5以下であると、水中で前記疎水性固体粒子Aと前記固体粒子Cとが分解してしまい、液体内包粒子の形状を維持することができないことがあり、300を超えると、液体内包粒子が水面に浮かんでしまい、液体内包粒子を水中で使用できないことがある。
【0070】
<その他の成分>
前記複合粒子における前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記複合粒子を形成する前記疎水性固体粒子A及び前記疎水性固体粒子B以外の疎水性固体粒子、添加物などが挙げられる。
【0071】
前記複合粒子を形成する前記疎水性固体粒子A及び前記疎水性固体粒子B以外の疎水性固体粒子としては、前記複合粒子を形成する前記疎水性固体粒子A及び前記疎水性固体粒子B以外の疎水性固体粒子であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0072】
前記添加物としては、本発明の効果を奏することができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステアリン酸亜鉛などが挙げられる。
【0073】
前記複合粒子における前記その他の成分の含有量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0074】
-複合粒子の製造方法-
前記複合粒子の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記疎水性固体粒子Aと、前記固体粒子Cと、更に必要に応じて、前記疎水性固体粒子Bと、前記その他の成分とを不活性ガス下で混合機に加え、10rpmで12時間撹拌する方法などが挙げられる。
【0075】
前記複合粒子の性状を分析する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、以下の方法などが挙げられる。
得られた前記複合粒子をアルコール(例えば、エタノール、イソプロパノールなど)を加えて分散処理して前記疎水性固体粒子A、前記固体粒子C、及び前記疎水性固体粒子Bを分離後、濾別することにより単離し、前記疎水性固体粒子A、前記固体粒子C、及び前記疎水性固体粒子Bの質量(g)、密度(g/μm3)、及び体積(μm3)を、それぞれ以下の方法で測定する。
前記疎水性固体粒子A、前記固体粒子C、及び前記疎水性固体粒子Bの質量(g)は、精密天秤により測定することができる。
前記疎水性固体粒子A、前記固体粒子C、及び前記疎水性固体粒子Bの密度(g/μm3)は、真密度の測定値であって、ゲーリュサック型比重瓶(ピクノメータ法)により測定することができる。前記疎水性固体粒子A、前記固体粒子C、及び前記疎水性固体粒子Bの密度(g/μm3)は、使用する固体粒子のカタログ値や文献値を用いることもできる。
前記疎水性固体粒子A、前記固体粒子C、及び前記疎水性固体粒子Bの体積(μm3)は、各個体粒子の個数平均粒径から算出することができる。
【0076】
単離した前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50a、前記固体粒子Cの個数平均粒径d50c、及び前記疎水性固体粒子Bの個数平均粒径d50bは、単離した前記疎水性固体粒子A、前記固体粒子C、及び前記疎水性固体粒子Bを、それぞれ電子顕微鏡を用いて撮影し、得られた電子顕微鏡画像における任意に選択した10個の最長径の平均値を算出することで求めることができる。
【0077】
単離した前記疎水性固体粒子Aの接触角CAa、単離した前記固体粒子Cの接触角CAc1及び接触角CAc2、並びに、単離した前記疎水性固体粒子Bの接触角CAbは、前記複合粒子の構成材料である、単離した前記疎水性固体粒子A、前記固体粒子C、及び前記疎水性固体粒子Bをそれぞれ熱プレスした板状体や分散液のキャスト法にて基板にキャストし板状体としたものを測定試料とし、マイクロシリンジにて10μLの水又はn-ヘキサンを乗せた際の、水又はn-ヘキサンと前記測定試料の平滑面とのなす角度から測定することができる。前記熱プレス及び前記キャスト法は上述したものと同様の方法である。
【0078】
(液体内包粒子)
本発明の液体内包粒子は、液滴と、複合粒子とを含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
前記液体内包粒子は、前記液滴の表面を前記複合粒子により被覆した状態の粒子を意味する。本明細書において、「液滴の表面を複合粒子により被覆した状態」とは、本発明の効果を奏することができる程度に被覆してあれば特に制限はなく、前記液滴の表面が前記複合粒子により完全に被覆された状態であってもよく、部分的に被覆された状態であってもよい。
本発明の液体内包粒子は、以下の第1の態様と、第2の態様とに分けられる。
【0079】
<第1の態様の液体内包粒子>
本発明の第1の態様としての液体内包粒子は、液滴と、疎水性固体粒子Aの表面上に固体粒子Cを有し、前記疎水性固体粒子Aの水との接触角CAaが、110°以上180°以下であり、前記固体粒子Cの水との接触角CAc1が、110°未満であり、前記固体粒子Cのn-ヘキサンとの接触角CAc2が、110°未満であり、前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと、前記固体粒子Cの個数平均粒径d50cとの比(d50a/d50c)が、10以上100以下であり、下記式1で表される被覆率CR1が、0.3%以上18%以下である複合粒子と、を有し、前記複合粒子を前記液滴の表面に被覆してなる。
【0080】
<<液滴>>
前記液滴は、少なくとも液体を含むものである。
前記第1の態様における前記液滴を構成する液体の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、生理食塩水、細胞培養培地、グルコース溶液などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0081】
<<複合粒子>>
前記複合粒子は、前述の本発明の複合粒子であり、疎水性固体粒子Aと、固体粒子Cとを有し、更に疎水性固体粒子Bを有することが好ましく、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
前記疎水性固体粒子A、前記固体粒子C、及び前記疎水性固体粒子Bの性状は、前記「(複合粒子)」の項目に記載の通りである。なお、前記疎水性固体粒子A、前記固体粒子C、及び前記疎水性固体粒子Bは、前記「(複合粒子)」の項目に記載の水を、前記溶液に置き換えても、水の場合と同様の性状を有する。
【0082】
<<その他の成分>>
前記液体内包粒子における前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0083】
前記液滴中の前記その他の成分としては、例えば、水溶性化合物、水不溶性化合物、食品添加物、生理活性物質などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0084】
前記水溶性化合物としては、例えば、グルコース、アスコルビン酸、日本薬局方ハチミツ、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート([EMIM][CF3SO3])、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート([BMIM][CF3SO3])、(1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム=クロリド([BMIM][Cl])、グリセリン、ポリグリセリン、乳糖などが挙げられる。
【0085】
前記水不溶性化合物としては、例えば、酸化チタン、活性炭、ゼオライト、シリカ等の無機フィラーなどが挙げられる。
【0086】
前記食品添加物としては、例えば、L-アスコルビン酸ナトリウム等の酸化防止剤、防かび剤などが挙げられる。
【0087】
前記生理活性物質としては、例えば、ビタミンB1、葉酸等のビタミン類;アルギニン、アラニン等のアミノ酸などが挙げられる。
【0088】
前記液滴中の前記その他の成分の含有量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0089】
前記複合粒子中の前記その他の成分としては、前記「(複合粒子)」の項目に記載の通りである。
【0090】
<第2の態様の液体内包粒子>
本発明の第2の態様としての液体内包粒子は、水を15質量%以上含有する溶液からなる液滴と、疎水性固体粒子Aの表面上に固体粒子Cを有し、前記疎水性固体粒子Aの前記溶液との接触角CALaが、110°以上180°以下であり、前記固体粒子Cの前記溶液との接触角CALc1が、110°未満であり、前記固体粒子Cのn-ヘキサンとの接触角CAc2が、110°未満であり、前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと、前記固体粒子Cの個数平均粒径d50cとの比(d50a/d50c)が、10以上100以下であり、下記式1で表される被覆率CR
1が、0.3%以上18%以下である複合粒子と、を有し、前記複合粒子を前記液滴の表面に被覆してなる。
【数6】
ただし、式1中、Xaは、疎水性固体粒子Aの質量(g)を表し、Xcは、固体粒子Cの質量(g)を表し、Yaは、疎水性固体粒子Aの密度(g/μm
3)を表し、Ycは、固体粒子Cの密度(g/μm
3)を表し、Zaは、疎水性固体粒子Aの体積(μm
3)を表し、Zcは、固体粒子Cの体積(μm
3)を表す。
【0091】
<<液滴>>
前記液滴としては、水を15質量%以上含有する溶液である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、生理食塩水、細胞培養培地、グルコース溶液などが挙げられる。
【0092】
<<複合粒子>>
前記複合粒子は、前述の本発明の複合粒子であり、疎水性固体粒子Aと、固体粒子Cとを含有し、更に疎水性固体粒子Bを有することが好ましく、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
前記疎水性固体粒子A、前記固体粒子C、及び前記疎水性固体粒子Bの性状は、前記「(複合粒子)」の項目に記載の通りである。なお、前記疎水性固体粒子A、前記固体粒子C、及び前記疎水性固体粒子Bは、前記「(複合粒子)」の項目に記載の水を、前記水を15質量%以上含有する溶液に置き換えても、水の場合と同様の性状を有する。
【0093】
前記疎水性固体粒子Aの前記水を15質量%以上含有する溶液との接触角CALaは、110°以上180°以下である。前記疎水性固体粒子Aの前記溶液との接触角CALaが、110°未満であると、液体内包粒子が形成しづらく、容易に合一してしまう。一方、前記疎水性固体粒子Aの前記溶液との接触角CALaが、110°以上180°以下であると、前記液体内包粒子の合一を抑制することができる。
【0094】
前記固体粒子Cの前記水を15質量%以上含有する溶液との接触角CALc1は、110°未満である。前記固体粒子Cの前記水を15質量%以上含有する溶液との接触角CALc1が、110°以上であると、内包液(前記水を15質量%以上含有する溶液)との親和性に乏しく水中での取り扱いが難しくなる。一方、前記固体粒子Cの前記水を15質量%以上含有する溶液との接触角CALc1が、110°未満であると、前記液体内包粒子の合一を抑制することができる。
【0095】
前記疎水性固体粒子Bの前記水を15質量%以上含有する溶液との接触角CALbとしては、110°以上である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、110°以上180°以下が好ましい。前記疎水性固体粒子Bの前記水を15質量%以上含有する溶液との接触角CALbが、110°未満であると、液体内包粒子が形成しづらく、容易に合一してしまう。一方、前記疎水性固体粒子Bの前記水を15質量%以上含有する溶液との接触角CALbが、110°以上180°以下であると、前記液体内包粒子の合一をより良好に抑制することができる。
【0096】
前記疎水性固体粒子Aの前記水を15質量%以上含有する溶液との接触角CALa、前記固体粒子Cの前記水を15質量%以上含有する溶液との接触角CALc1、及び前記疎水性固体粒子Bの前記水を15質量%以上含有する溶液との接触角CALbは、前記「(複合粒子)」の項目に記載の前記接触角CAa、前記接触角CAc1、及び前記接触角CAbの測定方法において、水を、前記水を15質量%以上含有する溶液に置き換えることで測定することができる。
【0097】
<<その他の成分>>
前記液体内包粒子における前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記第1の態様におけるその他の成分と同様のものなどが挙げられる。
前記その他の成分の含有量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0098】
前記第1の態様の液体内包粒子又は前記第2の態様の液体内包粒子の個数平均粒径d50d(以下、「液体内包粒子の個数平均粒径d50d」と称することがある)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、15μm以上2.5mm以下が好ましく、15μm以上1.0mm以下がより好ましい。前記液体内包粒子の個数平均粒径d50dが、15μm以上であると、液滴加工中の液体内包粒子の乾燥を制御でき、前記液体内包粒子の製造を効率よく行うことができる。また、前記液体内包粒子の個数平均粒径d50dが、2.5mm以下であると、重力の影響により、前記液体内包粒子同士の自発的な同一や破裂を抑制することができる。
前記液体内包粒子の個数平均粒径d50dは、前記液体内包粒子を、バルクで観察した光学顕微鏡像において、任意に選択した10個の各液体内包粒子の最長径の平均値である。
【0099】
前記液体内包粒子が含有する前記液滴の成分の分析方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記液体内包粒子をエタノール蒸気に曝し、濾別して前記液体(液滴)と、前記複合粒子とに分け、前記液体を分析する方法などが挙げられる。
【0100】
前記液体を分析する方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、液体クロマトグラフィーなどが挙げられる。
【0101】
(液体内包粒子形成用複合粒子)
本発明の液体内包粒子形成用複合粒子は、本発明の複合粒子からなり、必要に応じてその他の成分を有する。
本発明の液体内包粒子形成用複合粒子は、本発明の複合粒子と同様のものである。
本発明の液体内包粒子形成用複合粒子は、例えば、本発明の液体内包粒子の形成に専ら好適に用いることができる。
【0102】
(液体内包粒子の製造方法及び液体内包粒子の製造装置)
本発明の液体内包粒子の製造方法は、液滴形成工程と、表面被覆工程とを含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
本発明の液体内包粒子の製造装置は、液滴形成手段と、表面被覆手段とを含み、更に必要に応じて、その他の手段を含む。
前記液体内包粒子の製造方法は、前記液体内包粒子の製造装置により好適に行われる。
以下に、本発明の液体内包粒子の製造方法の説明と併せて、本発明の液体内包粒子の製造装置について説明する。
本発明の液体内包粒子の製造方法及び液体内包粒子の製造装置は、以下の第1の態様と、第2の態様とに分けられる。
【0103】
<第1の態様の液体内包粒子の製造方法及び液体内包粒子の製造装置>
本発明の第1の態様としての液体内包粒子の製造方法は、液体から液滴を形成する液滴形成工程と、疎水性固体粒子Aの表面上に固体粒子Cを有し、前記疎水性固体粒子Aの水との接触角CAaが、110°以上180°以下であり、前記固体粒子Cの水との接触角CAc1が、110°未満であり、前記固体粒子Cのn-ヘキサンとの接触角CAc2が、110°未満であり、前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと、前記固体粒子Cの個数平均粒径d50cとの比(d50a/d50c)が、10以上100以下であり、下記式1で表される被覆率CR
1が、0.3%以上18%以下である複合粒子で、前記液滴を表面被覆させる表面被覆工程と、を含む。
【数7】
ただし、式1中、Xaは、疎水性固体粒子Aの質量(g)を表し、Xcは、固体粒子Cの質量(g)を表し、Yaは、疎水性固体粒子Aの密度(g/μm
3)を表し、Ycは、固体粒子Cの密度(g/μm
3)を表し、Zaは、疎水性固体粒子Aの体積(μm
3)を表し、Zcは、固体粒子Cの体積(μm
3)を表す。
【0104】
本発明の第1の態様としての液体内包粒子の製造装置は、液体から液滴を形成する液滴形成手段と、疎水性固体粒子Aの表面上に固体粒子Cを有し、前記疎水性固体粒子Aの水との接触角CAaが、110°以上180°以下であり、前記固体粒子Cの水との接触角CAc1が、110°未満であり、前記固体粒子Cのn-ヘキサンとの接触角CAc2が、110°未満であり、前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと、前記固体粒子Cの個数平均粒径d50cとの比(d50a/d50c)が、10以上100以下であり、下記式1で表される被覆率CR
1が、0.3%以上18%以下である複合粒子で、前記液滴を表面被覆させる表面被覆手段と、を有する。
【数8】
ただし、式1中、Xaは、疎水性固体粒子Aの質量(g)を表し、Xcは、固体粒子Cの質量(g)を表し、Yaは、疎水性固体粒子Aの密度(g/μm
3)を表し、Ycは、固体粒子Cの密度(g/μm
3)を表し、Zaは、疎水性固体粒子Aの体積(μm
3)を表し、Zcは、固体粒子Cの体積(μm
3)を表す。
【0105】
<<液滴形成工程及び液滴形成手段>>
前記液滴形成工程は、液体から液滴を形成する工程である。
前記液滴形成手段は、液体から液滴を形成する手段である。
前記液滴形成工程は前記液滴形成手段により好適に実施することができる。
【0106】
前記液滴は、少なくとも液体を含むものである。
前記第1の態様における前記液滴を構成する液体の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、生理食塩水、細胞培養培地、グルコース溶液などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0107】
また、前記液体は、その他の成分を含有していてもよい。前記液体における前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水溶性化合物、水不溶性化合物、食品添加物、生理活性物質などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記その他の成分の具体例としては、前記「(液体内包粒子)」の「<<その他の成分>>」項目に記載したものと同様のものなどが挙げられる。
【0108】
前記液滴形成手段としては、液体から液滴を形成することができれば特に制限はなく、公知の液滴形成手段の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、インクジェット方式、ディスペンサー方式、スプレードライ方式などが挙げられる。これらの中でも、液滴化可能な特性範囲が広く、汎用的であり、ヘッドの孔径の大きさ、及び充填液の押し出し圧力によって、液滴の大きさを制御することができるディスペンサー方式が好ましい。
【0109】
<<表面被覆工程及び表面被覆手段>>
前記表面被覆工程は、複合粒子で、前記液滴を表面被覆させる工程である。これにより、前記複合粒子を前記液滴の表面に被覆してなる液体内包粒子を得ることができる。
前記表面被覆手段は、複合粒子で、前記液滴を表面被覆させる手段である。
前記表面被覆工程は前記表面被覆手段により好適に実施することができる。
本明細書において、「表面被覆」とは、本発明の効果を奏することができる程度に被覆してあれば特に制限はなく、前記液滴の表面が前記複合粒子により完全に被覆された状態であってもよく、部分的に被覆された状態であってもよい。
【0110】
-複合粒子-
前記複合粒子としては、前述の本発明の複合粒子である。
具体例には、前記複合粒子は、疎水性固体粒子Aの表面上に固体粒子Cを有し、前記疎水性固体粒子Aの水との接触角CAaが、110°以上180°以下であり、前記固体粒子Cの水との接触角CAc1が、110°未満であり、前記固体粒子Cのn-ヘキサンとの接触角CAc2が、110°未満であり、前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと、前記固体粒子Cの個数平均粒径d50cとの比(d50a/d50c)が、10以上100以下であり、下記式1で表される被覆率CR
1が、0.3%以上18%以下である。
【数9】
ただし、式1中、Xaは、疎水性固体粒子Aの質量(g)を表し、Xcは、固体粒子Cの質量(g)を表し、Yaは、疎水性固体粒子Aの密度(g/μm
3)を表し、Ycは、固体粒子Cの密度(g/μm
3)を表し、Zaは、疎水性固体粒子Aの体積(μm
3)を表し、Zcは、固体粒子Cの体積(μm
3)を表す。
【0111】
前記複合粒子で、前記液滴を表面被覆させる方法としては、前記液滴と前記複合粒子を接触させることができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、飛翔中の前記液滴に前記複合粒子を吹き付ける方法、前記複合粒子を敷き詰めた容器に前記液滴を配する方法などが挙げられる。これらの中でも、装置の制御の簡便性に優れる点から、前記複合粒子を敷き詰めた容器に前記液滴を配する方法が好ましい。
【0112】
なお、前記複合粒子を敷き詰めた容器に前記液滴を配する方法の場合においては、前記複合粒子を敷き詰めた容器に前記液滴を配した後に、前記液滴の全表面に前記複合粒子を被覆させるために前記複合粒子を前記容器に供給しながら、前記容器を振盪させる工程、前記容器を傾けて前記液滴を転動させる工程などを含んでいることが好ましい。これらの工程は単独で行ってもよく、いずれかの工程を行った後に他の工程を行ってもよい。
【0113】
前記複合粒子を前記容器に供給する手段としては、市販の粉体供給装置を用いることができ、前記粉体供給装置の機構や種類は、前記複合粒子の性状に応じて適宜選択することができる。
【0114】
-液体内包粒子-
前記表面被覆工程及び前記表面被覆手段により得られた前記液体内包粒子としては、前述の本発明の液体内包粒子と同様である。
【0115】
<<その他の工程及びその他の手段>>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、分離工程、回収工程などが挙げられる。
前記その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、分離手段、回収手段などが挙げられる。
前記その他の工程は前記その他の工程により好適に実施することができ、前記分離工程は前記分離手段により好適に実施することができ、前記回収工程は前記回収手段により好適に実施することができる。
これらの中でも、前記液体内包粒子の製造方法は、前記分離工程を含むことが好ましく、前記液体内包粒子の製造装置は、前記分離手段を含むことが好ましい。
【0116】
-分離工程及び分離手段-
前記分離工程は、前記表面被覆工程において、前記表面被覆に供しなかった前記複合粒子を、前記液体内包粒子と分離する工程である。
前記分離手段は、前記表面被覆手段によって、前記表面被覆に供しなかった前記複合粒子を、前記液体内包粒子と分離する手段である。
前記分離工程は前記分離手段により好適に実施することができる。
【0117】
前記表面被覆工程において、前記表面被覆に供しなかった前記複合粒子と、前記液体内包粒子とを分離する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記液体内包粒子を拾い上げる方法、比重差を利用して前記液体内包粒子と前記複合粒子との混合物を分離し前記複合粒子を除去する方法などが挙げられる。これらの方法は単独で行ってもよく、いずれかの方法を行った後に他の工程を行ってもよい。これらの中でも、生産性の観点から、比重差を利用する方法が好ましい。
【0118】
前記比重差を利用して前記液体内包粒子と前記複合粒子との混合物を分離し前記複合粒子を除去する方法としては、例えば、プッシュプル型の集塵システム内を通過させる方法などが挙げられる。
【0119】
-回収工程及び回収手段-
前記回収工程は、前記分離工程で分離した前記液体内包粒子を回収する工程である。
前記回収手段は、前記分離手段によって分離した前記液体内包粒子を回収する手段である。
【0120】
前記分離した前記液体内包粒子を回収する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記容器から前記液体内包粒子を落下させて捕集容器に回収する方法などが挙げられる。落下の衝撃を和らげるために前記捕集容器は前記容器から200mm以内に設置することが好ましく、また、前記捕集容器は傾けておくことが好ましい。また、前記捕集容器として波、その内壁は疎水化処理されていることが好ましく、又はその材質が疎水性材料からなることが好ましい。
【0121】
<第2の態様の液体内包粒子の製造方法及び液体内包粒子の製造装置>
本発明の第2の態様としての液体内包粒子の製造方法は、水を15質量%以上含有する溶液から液滴を形成する液滴形成工程と、疎水性固体粒子Aの表面上に固体粒子Cを有し、前記疎水性固体粒子Aの前記溶液との接触角CALaが、100°以上180°以下であり、前記固体粒子Cの前記溶液との接触角CALc1が、110°未満であり、前記固体粒子Cのn-ヘキサンとの接触角CAc2が、110°未満であり、前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと、前記固体粒子Cの個数平均粒径d50cとの比(d50a/d50c)が、10以上100以下であり、下記式1で表される被覆率CR
1が、0.3%以上18%以下である複合粒子で、前記液滴を表面被覆させる表面被覆工程と、を含む。
【数10】
ただし、式1中、Xaは、疎水性固体粒子Aの質量(g)を表し、Xcは、固体粒子Cの質量(g)を表し、Yaは、疎水性固体粒子Aの密度(g/μm
3)を表し、Ycは、固体粒子Cの密度(g/μm
3)を表し、Zaは、疎水性固体粒子Aの体積(μm
3)を表し、Zcは、固体粒子Cの体積(μm
3)を表す。
【0122】
本発明の第2の態様としての液体内包粒子の製造装置は、水を15質量%以上含有する溶液から液滴を形成する液滴形成手段と、疎水性固体粒子Aの表面上に固体粒子Cを有し、前記疎水性固体粒子Aの前記溶液との接触角CALaが、100°以上180°以下であり、前記固体粒子Cの前記溶液との接触角CALc1が、110°未満であり、前記固体粒子Cのn-ヘキサンとの接触角CAc2が、110°未満であり、前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと、前記固体粒子Cの個数平均粒径d50cとの比(d50a/d50c)が、10以上100以下であり、下記式1で表される被覆率CR
1が、0.3%以上18%以下である複合粒子で、前記液滴を表面被覆させる表面被覆手段と、を有する。
【数11】
ただし、式1中、Xaは、疎水性固体粒子Aの質量(g)を表し、Xcは、固体粒子Cの質量(g)を表し、Yaは、疎水性固体粒子Aの密度(g/μm
3)を表し、Ycは、固体粒子Cの密度(g/μm
3)を表し、Zaは、疎水性固体粒子Aの体積(μm
3)を表し、Zcは、固体粒子Cの体積(μm
3)を表す。
【0123】
<<液滴形成工程及び液滴形成手段>>
前記液滴形成工程は、水を15質量%以上含有する溶液から液滴を形成する工程である。
前記液滴形成手段は、水を15質量%以上含有する溶液から液滴を形成する手段である。
前記液滴形成工程は前記液滴形成手段により好適に実施することができる。
【0124】
前記液滴としては、水を15質量%以上含有する溶液である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、生理食塩水、細胞培養培地、グルコース溶液などが挙げられる。
【0125】
また、前記溶液は、その他の成分を含有していてもよい。前記溶液における前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水溶性化合物、水不溶性化合物、食品添加物、生理活性物質などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記その他の成分の具体例としては、前記「(液体内包粒子)」の「<<その他の成分>>」項目に記載したものと同様のものなどが挙げられる。
【0126】
前記液滴形成手段としては、水を15質量%以上含有する溶液から液滴を形成することができれば特に制限はなく、公知の液滴形成手段の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記第1の態様における液滴形成手段と同様のものなどが挙げられる。
【0127】
<<表面被覆工程及び表面被覆手段>>
前記表面被覆工程は、複合粒子で、前記液滴を表面被覆させる工程である。これにより、前記複合粒子を前記液滴の表面に被覆してなる液体内包粒子を得ることができる。
前記表面被覆手段は、複合粒子で、前記液滴を表面被覆させる手段である。
前記表面被覆工程は前記表面被覆手段により好適に実施することができる。
前記表面被覆工程及び前記表面被覆手段における前記複合粒子及び記液体内包粒子は、前記第1の態様における前記表面被覆工程及び前記表面被覆手段における前記複合粒子及び記液体内包粒子と同様である。
【0128】
<<その他の工程及びその他の手段>>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、分離工程、回収工程などが挙げられる。
前記その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、分離手段、回収手段などが挙げられる。
前記その他の工程は前記その他の工程により好適に実施することができ、前記分離工程は前記分離手段により好適に実施することができ、前記回収工程は前記回収手段により好適に実施することができる。
これらの中でも、前記液体内包粒子の製造方法は、前記分離工程を含むことが好ましく、前記液体内包粒子の製造装置は、前記分離手段を含むことが好ましい。
前記分離工程及び前記分離手段、並びに、前記回収工程及び前記回収手段は、前記第1の態様における前記分離工程及び前記分離手段、並びに、前記回収工程及び前記回収手段と同様である。
【実施例】
【0129】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0130】
(実施例1)
-複合粒子1の製造-
疎水性固体粒子Aとして、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE、個数平均粒径d50a:1.0μm、接触角CAa:120°、質量Xa:100.0g、密度Ya:2.20×10-12g/μm3、体積Za:0.52μm3、Sigma-Aldrich社製、商品名:430935-100G)、疎水性固体粒子Bとして、疎水性シリカ(個数平均粒径d50b:0.030μm、接触角CAb:170°、質量Xb:10.6g、密度Yb:1.80×10-12g/μm3、体積Zb:1.4×10-5μm3、信越化学工業株式会社製、商品名:QSG-30)、及び固体粒子Cとして、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)(Sigma-Aldrich社製、商品名:19884-100G)を微細化したもの(個数平均粒径d50c:0.1μm、接触角CAc1:75°、接触角CAc2:50°、質量Xc:0.11g、密度Yc:1.3×10-12g/μm3、体積Zc:5.2×10-4μm3)を用いて、不活性ガス(窒素、25℃)下でV型容器回転式混合機(株式会社西村機械製作所製、装置名:NV-5)に加え、10rpmで12時間撹拌することにより、複合粒子1を得た。なお、各粒子の体積は、個数平均粒径を直径とする真球と仮定した場合の体積を算出して用いた。
【0131】
-液体内包粒子1の製造-
次に、20質量%となるようにD-グルコース(東京化成工業株式会社製、商品名:G0048)を水に溶解した溶液を32Gのシリンジ針を備えるシリンジを用いて、大気圧下、室温(25℃)、1秒間毎に1滴の速度の条件で液滴を形成し、前記複合粒子1を敷き詰めた容器(PTFE製)に、形成した前記液滴を配して液体内包粒子1を製造した。
【0132】
(実施例2~6及び比較例1及び2)
実施例1において、表1-1、表1-2、及び表2に示した組成及び含有量に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、複合粒子2~8及び液体内包粒子2~8を製造した。
【0133】
(比較例3)
実施例1において、固体粒子Cを添加せず、表1-1、表1-2、及び表2に示した組成及び含有量に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、複合粒子9及び液体内包粒子9を製造した。
【0134】
【0135】
【表1-2】
なお、表1-2において、「疎水性固体粒子Bの含有率(質量%)」は、下記式4より算出した値であり、「固体粒子Cの含有率1(質量%)」は、下記式5より算出した値であり、「固体粒子Cの含有率2(質量%)」は、下記式6より算出した値である。
疎水性固体粒子Bの含有率(質量%)=Xa/(Xa+Xb+Xc)×100 ・・・ 式4
固体粒子Cの含有率1(質量%)=Xc/(Xa+Xc)×100 ・・・ 式5
固体粒子Cの含有率2(質量%)=Xc/(Xa+Xb+Xc)×100 ・・・ 式6
ただし、式4、式5、及び式6中、Xaは、前記複合粒子の製造において添加した疎水性固体粒子Aの質量(g)を表し、Xbは、前記複合粒子の製造において添加した疎水性固体粒子Bの質量(g)を表し、Xcは、前記複合粒子の製造において添加した固体粒子Cの質量(g)を表す。
【0136】
【0137】
なお、実施例及び比較例で用いた材料の詳細は以下のとおりである。
【0138】
-疎水性固体粒子A-
・ポリテトラフルオロエチレン(PTFE、個数平均粒径d50a:1.0μm、接触角CAa:120°、密度Ya:2.20×10-12g/μm3、Sigma-Aldrich社製、商品名:430935-100G)
【0139】
-疎水性固体粒子B-
・疎水性シリカ(個数平均粒径d50b:0.030μm、接触角CAb:170°、密度Yb:1.80×10-12g/μm3、信越化学工業株式会社製、商品名:QSG-30)
・疎水性シリカ(個数平均粒径d50b:0.010μm、接触角CAb:170°、密度Yb:1.80×10-12g/μm3、信越化学工業株式会社製、商品名:QSG-10)
【0140】
-固体粒子C-
・微細化したヒドロキシプロピルセルロース(HPC)(個数平均粒径d50c:0.1μm、接触角CAc1:75°、接触角CAc2:50°、質量Xc:0.11g、密度Yc:1.3×10-12g/μm3、体積Zc:5.2×10-4μm3)は、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)(Sigma-Aldrich社製、商品名:19884-100G)を、液体窒素に10分間浸漬して凍結させた後、冷凍粉砕装置(JFC-400、日本分析工業株式会社製)を用いて、15分間粉砕した。これを都度、少量採取して顕微鏡で測定して個数平均粒径を算出し、所定の粒径が得られるまで繰り返すことで調製した(表1-1において、微細化したヒドロキシプロピルセルロースは「HPC」と示す)。
・微細化したヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)(個数平均粒径d50c:0.1μm、接触角CAc1:70°、接触角CAc2:55°、密度Yc:1.4×10-12g/μm3、体積Zc:5.2×10-4μm3)は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)(Sigma-Aldrich社製、商品名:423173-100G)を、液体窒素に10分間浸漬して凍結させた後、冷凍粉砕装置(JFC-400、日本分析工業株式会社製)を用いて、15分間粉砕した。これを都度、少量採取して顕微鏡で測定して個数平均粒径を算出し、所定の粒径が得られるまで繰り返すことで調製した(表1-1において、微細化したヒドロキシプロピルメチルセルロースは「HPMC」と示す)。
【0141】
-液体-
・D-グルコース(東京化成工業株式会社製、商品名:G0048)
【0142】
次に、実施例2~6及び比較例1~3で得られた液体内包粒子1~9について、以下のようにして、「合一抑制性」、「耐久性」、及び「水への親和性」を測定及び評価した。結果を表3に示す。
【0143】
<合一抑制性評価>
-評価1-
直径(φ)30mmのガラスシャーレを中性洗剤で洗浄後、飽和水酸化ナトリウム水溶液に8時間以上浸漬後、純水でリンスして洗浄した。十分乾燥させた後、ヘキサメチレンジシラザン蒸気で満たした密閉容器内に12時間静置したものを評価1用ガラスシャーレとした。
この評価1用ガラスシャーレ内に、底面から約2mm程度の厚みになるよう複合粒子を加え、旋回シェーカー(コーニング社製)にて20rpmで旋回振盪させながら、液体をマイクロシリンジにて10μL滴下した。1分間後、更に液体を10μL滴下した。更に1分間旋回振盪後、2つの液体内包粒子が合一して1粒子になっていた場合に、評価結果を「E」とし、合一していなかった場合には、評価2を行った。
【0144】
-評価2-
直径(φ)72mm×高さ(H)89mmのPTFE製の容器内に、底面から約50mm程度の厚みになるように複合粒子を加え、旋回シェーカー(コーニング社製)にて200rpmで旋回振盪させながら、液体を、ディスペンサー(ムサシエンジニアリング社製)を用いて直径1mm大の液滴として、1滴/1秒間の速度で吐出した。
1,000滴吐出後、容器内を目視にて観察し、液体内包粒子が合一破裂し、水面に複合粒子の膜が形成されている場合を「D」とし、水面に複合粒子の膜が形成されなかったものは、更に液滴を吐出した。
累計4,000滴吐出後、容器内を目視にて観察し、液体内包粒子が合一破裂し、水面に複合粒子の膜が形成されている場合を「C」とし、水面に複合粒子が形成されなかったものは、更に液滴を吐出した。
累計6,000滴吐出後、容器内を目視観察し、液体内包粒子が合一破裂し、水面に複合粒子の膜が形成されている場合を「B」とし、水面に複合粒子の膜が形成されなかったものは、「A」とした。
以下の評価基準に基づいて、評価点を算出した。
【0145】
[評価基準]
A:10点
B:8点
C:6点
D:4点
E:0点
【0146】
<耐久性評価>
製造した液体内包粒子500mgを1mLバイアル瓶に充填し、蓋を閉めて測定試料とした。前記測定試料を200mmの高さから木版上に自由落下させ、目視にて内部を確認し、全ての液体内包粒子が破裂し、粒子形状を取らなくなるまで繰り返した。全ての液体内包粒子が破裂した状態になった回数を測定値として、以下の評価基準に基づいて、評価点を算出した。
【0147】
[評価基準]
11回以上:10点
9回以上10回以下:8点
7回以上8回以下:6点
5回以上6回以下:4点
2回以上4回以下:2点
1回以下:0点
【0148】
<水への親和性評価>
直径(φ)139mm×高さ(H)24mmのガラスシャーレ内に、純水を底面から20mmの高さまで入れた。製造した液体内包粒子の中から任意に選択した10粒を、前記純水の表面に浮かべ、10分間目視にて、純水中に沈んだ液体内包粒子の数及び破裂の有無について観察し、以下の評価基準に基づいて、評価点を算出した。なお、表3において、水への親和性評価の「評価」として、0点の場合は、「破裂」と示し、5点以上の場合は、純水中に沈んだ液体内包粒子の「粒の数」を示す。
【0149】
[評価基準]
純水中に沈んだ液体内包粒子が3粒以上、かつ破裂した液体内包粒子が0粒:10点
純水中に沈んだ液体内包粒子が2粒、かつ破裂した液体内包粒子が0粒:7点
純水中に沈んだ液体内包粒子が1粒、かつ破裂した液体内包粒子が0粒:5点
10分間経過中に液体内包粒子の1粒以上が破裂してなくなった:0点
【0150】
<総合評価>
「合一抑制性」、「耐久性」、及び「水への親和性」の評価点の合計値を以下の評価基準に基づき評価した。なお、いずれかの評価で0点のものは「×」とし、最低評価とした。「E」及び「×」は産業上利用することができない。
【0151】
[評価基準]
A:25点以上30点以下
B:23点以上24点以下
C:18点以上22点以下
D:9点以上17点以下
E:8点以下
【0152】
【0153】
本発明の態様としては、例えば、以下のものなどが挙げられる。
<1> 疎水性固体粒子Aの表面上に固体粒子Cを有し、
前記疎水性固体粒子Aの水との接触角CAaが、110°以上180°以下であり、
前記固体粒子Cの水との接触角CAc1が、110°未満であり、
前記固体粒子Cのn-ヘキサンとの接触角CAc2が、110°未満であり、
前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと、前記固体粒子Cの個数平均粒径d50cとの比(d50a/d50c)が、10以上100以下であり、
下記式1で表される被覆率CR
1が、0.3%以上18%以下であることを特徴とする複合粒子である。
【数12】
ただし、式1中、Xaは、疎水性固体粒子Aの質量(g)を表し、Xcは、固体粒子Cの質量(g)を表し、Yaは、疎水性固体粒子Aの密度(g/μm
3)を表し、Ycは、固体粒子Cの密度(g/μm
3)を表し、Zaは、疎水性固体粒子Aの体積(μm
3)を表し、Zcは、固体粒子Cの体積(μm
3)を表す。
<2> 前記疎水性固体粒子Aの表面上に更に疎水性固体粒子Bを有し、
前記疎水性固体粒子Bの水との接触角CAbが、110°以上180°以下であり、
前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと、前記疎水性固体粒子Bの個数平均粒径d50b及び前記固体粒子Cの個数平均粒径d50cの平均値との比(d50a/[(d50b+d50c)/2])が、10以上100以下であり、
下記式3で表される被覆率CR
3が、50%以上500%以下である前記<1>に記載の複合粒子である。
【数13】
ただし、式3中、被覆率CR
1は、前記式1により求められる値を表し、被覆率CR
2は、下記式2により求められる値を表す。
【数14】
ただし、式2中、Xaは、疎水性固体粒子Aの質量(g)を表し、Xbは、疎水性固体粒子Bの質量(g)を表し、Yaは、疎水性固体粒子Aの密度(g/μm
3)を表し、Ybは、疎水性固体粒子Bの密度(g/μm
3)を表し、Zaは、疎水性固体粒子Aの体積(μm
3)を表し、Zbは、疎水性固体粒子Bの体積(μm
3)を表す。
<3> 前記疎水性固体粒子A及び前記疎水性固体粒子Bの少なくともいずれかが、フッ素樹脂、シリカ、ステアリン酸処理炭酸カルシウム、及び疎水化処理デンプンの少なくともいずれかである前記<2>に記載の複合粒子である。
<4> 前記固体粒子Cが、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースの少なくともいずれかである前記<1>から<3>のいずれかに記載の複合粒子である。
<5> 液滴と、
疎水性固体粒子Aの表面上に固体粒子Cを有し、
前記疎水性固体粒子Aの水との接触角CAaが、110°以上180°以下であり、
前記固体粒子Cの水との接触角CAc1が、110°未満であり、
前記固体粒子Cのn-ヘキサンとの接触角CAc2が、110°未満であり、
前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと、前記固体粒子Cの個数平均粒径d50cとの比(d50a/d50c)が、10以上100以下であり、
下記式1で表される被覆率CR
1が、0.3%以上18%以下である複合粒子と、
を有し、
前記複合粒子を前記液滴の表面に被覆してなることを特徴とする液体内包粒子である。
【数15】
ただし、式1中、Xaは、疎水性固体粒子Aの質量(g)を表し、Xcは、固体粒子Cの質量(g)を表し、Yaは、疎水性固体粒子Aの密度(g/μm
3)を表し、Ycは、固体粒子Cの密度(g/μm
3)を表し、Zaは、疎水性固体粒子Aの体積(μm
3)を表し、Zcは、固体粒子Cの体積(μm
3)を表す。
<6> 水を15質量%以上含有する溶液からなる液滴と、
疎水性固体粒子Aの表面上に固体粒子Cを有し、
前記疎水性固体粒子Aの前記溶液との接触角CALaが、110°以上180°以下であり、
前記固体粒子Cの前記溶液との接触角CALc1が、110°未満であり、
前記固体粒子Cのn-ヘキサンとの接触角CAc2が、110°未満であり、
前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと、前記固体粒子Cの個数平均粒径d50cとの比(d50a/d50c)が、10以上100以下であり、
下記式1で表される被覆率CR
1が、0.3%以上18%以下である複合粒子と、
を有し、
前記複合粒子を前記液滴の表面に被覆してなることを特徴とする液体内包粒子である。
【数16】
ただし、式1中、Xaは、疎水性固体粒子Aの質量(g)を表し、Xcは、固体粒子Cの質量(g)を表し、Yaは、疎水性固体粒子Aの密度(g/μm
3)を表し、Ycは、固体粒子Cの密度(g/μm
3)を表し、Zaは、疎水性固体粒子Aの体積(μm
3)を表し、Zcは、固体粒子Cの体積(μm
3)を表す。
<7> 前記液体内包粒子の個数平均粒径d50dが、15μm以上2.5mm以下である前記<5>から<6>のいずれかに記載の液体内包粒子である。
<8> 前記液滴が、食品添加物及び生理活性物質の少なくともいずれかを含有する前記<5>から<7>のいずれかに記載の液体内包粒子である。
<9> 前記<1>から<4>のいずれかに記載の複合粒子からなることを特徴とする液体内包粒子形成用複合粒子である。
<10> 液体から液滴を形成する液滴形成工程と、
疎水性固体粒子Aの表面上に固体粒子Cを有し、
前記疎水性固体粒子Aの水との接触角CAaが、110°以上180°以下であり、
前記固体粒子Cの水との接触角CAc1が、110°未満であり、
前記固体粒子Cのn-ヘキサンとの接触角CAc2が、110°未満であり、
前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと、前記固体粒子Cの個数平均粒径d50cとの比(d50a/d50c)が、10以上100以下であり、
下記式1で表される被覆率CR
1が、0.3%以上18%以下である複合粒子で、前記液滴を表面被覆させる表面被覆工程と、
を含むことを特徴とする液体内包粒子の製造方法である。
【数17】
ただし、式1中、Xaは、疎水性固体粒子Aの質量(g)を表し、Xcは、固体粒子Cの質量(g)を表し、Yaは、疎水性固体粒子Aの密度(g/μm
3)を表し、Ycは、固体粒子Cの密度(g/μm
3)を表し、Zaは、疎水性固体粒子Aの体積(μm
3)を表し、Zcは、固体粒子Cの体積(μm
3)を表す。
<11> 水を15質量%以上含有する溶液から液滴を形成する液滴形成工程と、
疎水性固体粒子Aの表面上に固体粒子Cを有し、
前記疎水性固体粒子Aの前記溶液との接触角CALaが、100°以上180°以下であり、
前記固体粒子Cの前記溶液との接触角CALc1が、110°未満であり、
前記固体粒子Cのn-ヘキサンとの接触角CAc2が、110°未満であり、
前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと、前記固体粒子Cの個数平均粒径d50cとの比(d50a/d50c)が、10以上100以下であり、
下記式1で表される被覆率CR
1が、0.3%以上18%以下である複合粒子で、前記液滴を表面被覆させる表面被覆工程と、
を含むことを特徴とする液体内包粒子の製造方法である。
【数18】
ただし、式1中、Xaは、疎水性固体粒子Aの質量(g)を表し、Xcは、固体粒子Cの質量(g)を表し、Yaは、疎水性固体粒子Aの密度(g/μm
3)を表し、Ycは、固体粒子Cの密度(g/μm
3)を表し、Zaは、疎水性固体粒子Aの体積(μm
3)を表し、Zcは、固体粒子Cの体積(μm
3)を表す。
<12> 更に、前記表面被覆工程において、前記表面被覆に供しなかった前記複合粒子を、前記液体内包粒子と分離する分離工程を含む、前記<10>から<11>のいずれかに記載の液体内包粒子の製造方法である。
<13> 液体から液滴を形成する液滴形成手段と、
疎水性固体粒子Aの表面上に固体粒子Cを有し、
前記疎水性固体粒子Aの水との接触角CAaが、110°以上180°以下であり、
前記固体粒子Cの水との接触角CAc1が、110°未満であり、
前記固体粒子Cのn-ヘキサンとの接触角CAc2が、110°未満であり、
前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと、前記固体粒子Cの個数平均粒径d50cとの比(d50a/d50c)が、10以上100以下であり、
下記式1で表される被覆率CR
1が、0.3%以上18%以下である複合粒子で、前記液滴を表面被覆させる表面被覆手段と、
を有することを特徴とする液体内包粒子の製造装置である。
【数19】
ただし、式1中、Xaは、疎水性固体粒子Aの質量(g)を表し、Xcは、固体粒子Cの質量(g)を表し、Yaは、疎水性固体粒子Aの密度(g/μm
3)を表し、Ycは、固体粒子Cの密度(g/μm
3)を表し、Zaは、疎水性固体粒子Aの体積(μm
3)を表し、Zcは、固体粒子Cの体積(μm
3)を表す。
<14> 水を15質量%以上含有する溶液から液滴を形成する液滴形成手段と、
疎水性固体粒子Aの表面上に固体粒子Cを有し、
前記疎水性固体粒子Aの前記溶液との接触角CALaが、100°以上180°以下であり、
前記固体粒子Cの前記溶液との接触角CALc1が、110°未満であり、
前記固体粒子Cのn-ヘキサンとの接触角CAc2が、110°未満であり、
前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと、前記固体粒子Cの個数平均粒径d50cとの比(d50a/d50c)が、10以上100以下であり、
下記式1で表される被覆率CR
1が、0.3%以上18%以下である複合粒子で、前記液滴を表面被覆させる表面被覆手段と、
を有することを特徴とする液体内包粒子の製造装置である。
【数20】
ただし、式1中、Xaは、疎水性固体粒子Aの質量(g)を表し、Xcは、固体粒子Cの質量(g)を表し、Yaは、疎水性固体粒子Aの密度(g/μm
3)を表し、Ycは、固体粒子Cの密度(g/μm
3)を表し、Zaは、疎水性固体粒子Aの体積(μm
3)を表し、Zcは、固体粒子Cの体積(μm
3)を表す。
<15> 更に、前記表面被覆手段によって、前記表面被覆に供しなかった前記複合粒子を、前記液体内包粒子と分離する分離手段を有する、前記<13>から14>のいずれかに記載の液体内包粒子の製造装置である。
【符号の説明】
【0154】
10 複合粒子
11 疎水性固体粒子A
12 固体粒子C
【先行技術文献】
【特許文献】
【0155】
【非特許文献】
【0156】
【文献】N.Pike et al., Proc. R. Soc. Lond. B, 2002, 269, 1211-1215
【文献】五十嵐 啓二ら、J.Soc.Cosmet.Chem.Jpn., 報文42(4),2008, 313-318