(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】排紙装置、画像読取装置、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 31/34 20060101AFI20241016BHJP
B65H 29/22 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
B65H31/34
B65H29/22 Z
(21)【出願番号】P 2020154820
(22)【出願日】2020-09-15
【審査請求日】2023-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】森崎 良平
【審査官】西藤 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-347691(JP,A)
【文献】特開平11-060026(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 29/22
B65H 31/00-31/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を積載する排紙トレイと、
前記排紙トレイに用紙を排紙する排紙手段と、
前記排紙手段の下流に位置し正逆転可能な揃え手段と、
前記用紙と前記揃え手段との間に圧をかけることで、前記揃え手段で用紙を正逆転搬送可能にさせる加圧手段と、
前記排紙トレイ上に排紙された用紙と接触し搬送を阻止する摩擦部材と、
前記摩擦部材の接触と離間とを切り替える切り替え手段と、
を備え
、
前記切り替え手段が用紙の搬送経路を切り替える分岐板を動かし、前記摩擦部材の接触と離間との切り替えにより、用紙の搬送経路を切り替える、
ことを特徴とする
排紙装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の
排紙装置を備えたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
請求項
1に記載の
排紙装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給紙装置、画像読取装置、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
機械全体のサイズを抑えつつ排紙用紙を揃えるために、排紙トレイの傾斜を緩やかにした代わりに可動式の排紙駆動コロを排紙トレイ上の用紙に接触させて排紙エンドフェンスに搬送させることでスタック性を改善する技術がある。例えば、特許文献1には、排紙スタック性を改善する目的で、可動する排紙コロで排紙用紙を排紙エンドフェンスまで引き戻す構成が開示されている。また、特許文献2には、排紙スタック性を改善する目的で、可動する用紙押さえ部材をスタック用紙に接触させる構成が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1では、可動する排紙コロで排紙用紙を排紙エンドフェンスまで引き戻しているが、排紙用紙とスタック紙が連れ送りされてしまいスタック性が悪化するという問題は解消できていない。また、特許文献2では、可動する用紙押さえ部材を傾斜トしたトレイのスタック用紙に接触させているが、スタック原稿をエンドフェンス側に滑り落とす力を確保するために排紙トレイに大きな傾斜を設けているため機械サイズが大きくなるという問題は解消できていない。
【0004】
このように、従来の排紙トレイでは、排紙トレイの傾斜を緩やかにした影響でスタック原稿をエンドフェンス側に滑り落とす力が弱くなるため、排紙用紙によりスタック用紙が連れ送りされてしまい、揃えた排紙用紙のスタック性(用紙の正しい位置、用紙のスタック量)が悪化してしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、機械全体のサイズを抑えつつ、排紙用紙とスタック用紙の連れ送りを阻止し、排紙用紙の排紙エンドフェンスへの突き当てを行い排紙用紙のスタック性を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる排紙装置は、用紙を積載する排紙トレイと、前記排紙トレイに用紙を排紙する排紙手段と、前記排紙手段の下流に位置し正逆転可能な揃え手段と、前記用紙と前記揃え手段との間に圧をかけることで、前記揃え手段で用紙を正逆転搬送可能にさせる加圧手段と、前記排紙トレイ上に排紙された用紙と接触し搬送を阻止する摩擦部材と、前記摩擦部材の接触と離間とを切り替える切り替え手段と、を備え、前記切り替え手段が用紙の搬送経路を切り替える分岐板を動かし、前記摩擦部材の接触と離間との切り替えにより、用紙の搬送経路を切り替える、ことを特徴とする排紙装置として構成される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、機械全体のサイズを抑えつつ、排紙用紙とスタック用紙の連れ送りを阻止し、排紙用紙の排紙エンドフェンスへの突き当てを行うので小サイズの機械で確実に排紙用紙のスタック性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る複写機の概略構成を示す構成図である。
【
図2】ADFの詳細な構成を示す構成図の例である。
【
図4】一態様におけるADFの概略構成を示す断面図である。
【
図5】
図4に示したADFにおける用紙搬送をフローチャート化したものである。
【
図7】他の一態様におけるADFの概略構成を示す断面図である。
【
図8】
図7に示したADFの用紙搬送をフローチャート化したものである。
【
図9】他の一態様におけるADFの概略構成を示す断面図である。
【
図10】
図9に示したADFの用紙搬送をフローチャート化したものである。
【
図12】他の一態様におけるADFの概略構成を示す図である。
【
図13】他の一態様におけるADFの概略構成を示す断面図である。
【
図14】
図13に示したADFの用紙搬送をフローチャート化したものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る給紙装置、画像読取装置、および画像形成装置の実施の形態を詳細に説明する。本発明は、傾斜の小さい排紙トレイへの用紙排紙時に際して、例えば、以下の特徴を有する。1.排紙ローラから排紙された原稿が、正逆転可能な揃えローラと排紙トレイ間に排紙される。2.原稿後端が排紙ローラを抜けると、揃えローラが下降し加圧機構により加圧され、原稿が揃えローラにより搬送される。3.原稿後端が後端押さえを越えたタイミングで原稿の搬送を停止し、後端押さえを上昇させる。4.揃えローラを逆転させて原稿後端を排紙トレイのエンドフェンスに突き当てた位置で停止させ、後端押さえを下降させることで原稿を固定する。5.次原稿が排紙されるが、先行原稿は摩擦部材により固定されているため、連れ送りが発生しない。要するに、傾斜の小さい排紙トレイにおいて後端押さえと揃えローラにより排紙スタック性を改善させることが特徴になっている。上記記載の本発明の特徴について、以下の図面を用いて詳細に解説する。なお、以下に示す実施形態は、本発明を複写機に適用した例であるが、本発明は以下で例示する形態に限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において様々な形態での実施が可能である。
【0010】
図1は、実施形態に係る複写機の概略構成を示す構成図である。
図1に示すように、複写機1は、画像読取装置としての機能を有する自動原稿搬送装置(ADF:Auto Document Feeder)100と、給紙部2と、画像形成部3とを備えている。給紙部2は、用紙サイズの異なる記録紙を収納する給紙カセット21、22と、給紙カセット21、22に収納された記録紙を画像形成部3の画像形成位置まで搬送する各種ローラからなる給紙手段23とを有している。
【0011】
画像形成部3は、露光装置31と、感光体ドラム32と、現像装置33と、転写ベルト34と、定着装置35とを備えている。画像形成部3は、ADF100内部の画像読取部により読み取られた原稿の画像データに基づいて、露光装置31により感光体ドラム32を露光して感光体ドラム32に潜像を形成し、現像装置33により感光体ドラム32に異なる色のトナーを供給して現像するようになっている。そして、画像形成部3は、転写ベルト34により感光体ドラム32に現像された像を給紙部2から供給された記録紙に転写した後、定着装置35により記録紙に転写されたトナー画像のトナーを溶融して、記録紙にカラー画像を定着するようになっている。
【0012】
図2はADF100の詳細な構成を示す構成図の例であり、
図3はADF100の制御系のブロック図である。ADF100は、
図2に示すように、原稿束がセットされる原稿セット部Aと、セットされた原稿束から一枚ごとに原稿を分離して給送する分離給送部Bと、給送された原稿を一次突当整合するとともに整合後の原稿を引き出し搬送するレジスト部Cと、搬送される原稿をターンさせて、原稿面を第1原稿読取部131による読取り側(図中の下方)に向けて搬送するターン部Dと、原稿の表面画像をコンタクトガラスの下方から第1画像読取部131により読み取る第1読取搬送部Eと、表面画像が読み取られた後の原稿の裏面画像を第2画像読取部135により読み取る第2読取搬送部Fと、表裏の画像の読み取りが完了した原稿を機外に排出する排紙部Gと、排出された原稿を積載保持するスタック部Hとを備える。
【0013】
また、ADF100は、
図3に示すように、上記各部における駆動を行うモータ101~105と、一連の動作を制御するコントローラ150を備える。コントローラ150は、I/F107を介して複写機1の全体制御を行う本体制御部10に接続されている。また、本体制御部10には、I/F106を介して、ユーザが各種操作を行う操作部11が接続されている。
【0014】
原稿セット部Aには、読み取りを行う原稿束110がセットされる。原稿束110がセットされるのは、可動原稿テーブル111を含む原稿テーブル112上である。原稿テーブル112上には、原稿束110が原稿面を上向きの状態でセットされる。このとき、原稿束110の幅方向は、図示しないサイドガイドによって搬送方向と直交する方向に位置決めされる。また、原稿束110のセットは、セットフィラー113およびセットセンサ114によって検知され、原稿束110がセットされたことを示す情報が、コントローラ150からI/F107を介して本体制御部10に送信される。
【0015】
さらに、原稿テーブル面に設けられた原稿長さ検知センサ115、116により、原稿束110の搬送方向長さの概略が判定される。なお、原稿長さ検知センサ115、116としては、例えば、反射型センサまたは原稿1枚でも検知可能なアクチェータタイプのセンサが用いられる。また、原稿長さ検知センサ115、116の配置は、少なくとも同一原稿サイズの縦か横かを判断可能な配置としておく必要がある。
【0016】
可動原稿テーブル111は、底板上昇モータ105により
図2中のa、b方向に上下動可能な構成となっている。原稿テーブル112上に原稿束110がセットされていないとき、可動原稿テーブル111は下降した状態であり、この状態は底板HPセンサ117により検知される。コントローラ150は、原稿テーブル112上に原稿束110がセットされたことが前記セットフィラー113およびセットセンサ114により検知されると、底板上昇モータ105を正転させて原稿束110の最上面が分離給送部Bのピックアップローラ118と接触するように、可動原稿テーブル111を上昇させる。ピックアップローラ118は、ピックアップモータ101によりカム機構の作用で
図2中のc、d方向に動作するとともに、可動原稿テーブル111が上昇して可動原稿テーブル111上の原稿束110上面によって押されることで
図2中のc方向に上昇し、給紙適正位置センサ119により上限を検知可能となっている。
【0017】
ユーザにより操作部11のプリントキーが押下され、本体制御部10からI/F107を介してコントローラ150に原稿給紙信号が送信されると、ピックアップローラ118は給紙モータ102の正転によりコロが回転駆動し、原稿テーブル112上の数枚(理想的には1枚)の原稿をピックアップする。回転方向は、最上位の原稿を給紙口に搬送する方向である。
【0018】
給紙ベルト120は、給紙モータ102の正転により給紙方向に駆動される。また、リバースローラ121は、給紙モータ102の正転により給紙と逆方向に回転駆動される。 これにより、最上位の原稿とその下の原稿とを分離して、最上位の原稿のみを給紙できる構成となっている。さらに詳しく説明すると、リバースローラ121は、給紙ベルト120と所定圧で接し、給紙ベルト120と直接または原稿1枚を介して接している状態では、給紙ベルト120の回転につられて反時計方向に連れ回りする。一方、原稿が2枚以上給紙ベルト120とリバースローラ121の間に進入したときは、連れ回り力がトルクリミッタのトルクよりも低くなるように設定されており、リバースローラ121は本来の駆動方向である時計方向に回転し、余分な原稿を押し戻す働きをする。これにより、原稿の重送が防止される。
【0019】
給紙ベルト120とリバースローラ121との作用により1枚に分離された原稿は、給紙ベルト120によってレジスト部C側へと送られ、突き当てセンサ122によって先端が検知された後、さらに進んで停止しているプルアウトローラ123に突き当たる。その後、原稿は、突き当てセンサ122の検知から所定量定められた距離送られ、プルアウトローラ123に所定量撓みを持って押し当てられた状態で給紙モータ102を停止させることによって、給紙ベルト120の駆動が停止する。このとき、ピックアップモータ101を回転させることでピックアップローラ118を原稿上面から退避させ、原稿を給紙ベルト120の搬送力のみで送ることにより、原稿先端は、プルアウトローラ123の上下ローラ対のニップに進入し、先端の整合(スキュー補正)が行われる。
【0020】
プルアウトローラ123は、前記スキュー補正機能を有するとともに、分離後にスキュー補正された原稿を中間ローラ124まで搬送するためのローラであり、給紙モータ102の逆転により駆動される。また、給紙モータ102の逆転時には、プルアウトローラ123と中間ローラ124は駆動されるが、ピックアップローラ118と給紙ベルト120は駆動されない。
【0021】
原稿幅センサ125は
図2の奥行き方向に複数個並べて設けられ、プルアウトローラ123により搬送された原稿の搬送方向と直交する幅方向のサイズを検知する。また、原稿の搬送方向の長さは、原稿の先端後端を突き当てセンサ122で読み取ることにより、モータパルスから原稿の長さが検知される。
【0022】
プルアウトローラ123及び中間ローラ124の駆動によりレジスト部Cからターン部Dに原稿が搬送される際には、レジスト部Cでの搬送速度を第1読取搬送部Eでの搬送速度よりも高速に設定して、原稿を画像読取部へ送り込む処理時間の短縮が図られている。 原稿の先端が読取入口センサ126により検出されると、読取入口ローラ127の上下ローラ対のニップに原稿の先端が進入する前に、原稿搬送速度を読取搬送速度と同速にするために減速を開始すると同時に、読取モータ103を正転駆動して読取入口ローラ127、読取出口ローラ128、CIS出口ローラ129を駆動する。コントローラ150は、原稿の先端をレジストセンサ130にて検知すると、所定の搬送距離をかけて原稿の搬送速度を減速し、第1画像読取部131の手前で原稿を一時停止させるとともに、本体制御部10にI/F107を介してレジスト停止信号を送信する。
【0023】
続いて、本体制御部10からI/F107を介してコントローラ150に読取開始信号が送信されると、コントローラ150は、レジスト停止していた原稿を、第1画像読取部131の位置に原稿先端が到達するまでに所定の搬送速度に立ち上がるように増速して搬送させる。このとき、読取モータ103のパルスカウントにより原稿先端の位置が検出され、原稿先端が第1画像読取部131に到達するタイミングで、本体制御部10に対して原稿の表面の副走査方向(原稿の搬送方向と同じ方向)の有効画像領域を示すゲート信号が送信される。このゲート信号は、原稿後端が第1画像読取部131を抜けるまで継続して送信される。そして、原稿が読取入口ローラ127および読取出口ローラ128の駆動により搬送される間に、第1画像読取部131によって原稿の表面画像が読み取られる。
【0024】
片面原稿読取りの場合には、第1読取搬送部Eの第1画像読取部131による表面画像の読み取りが終了した原稿は、第2読取搬送部Fをそのまま通過して排紙部Gへと搬送される。この際、コントローラ150は、排紙センサ132により原稿の先端を検知すると、排紙モータ104を正転駆動して排紙ローラ133を反時計方向に回転させる。また、コントローラ150は、排紙センサ132による原稿の先端検知からの排紙モータ104のパルスカウントにより、原稿後端が排紙ローラ133の上下ローラ対のニップから抜ける直前に、排紙モータ駆動速度を減速させて、スタック部Hの排紙トレイ134上に排出される原稿が飛び出さないように制御する。
【0025】
一方、両面原稿読取りの場合には、排紙センサ132にて原稿先端を検知してから読取モータ103のパルスカウントにより搬送中の原稿先端の位置が検出され、第2読取搬送部Fの第2画像読取部135の位置に原稿先端が到達するタイミングで、コントローラ150から第2画像読取部135に対して、原稿の裏面の副走査方向の有効画像領域を示すゲート信号が送信される。このゲート信号は、原稿後端が第2画像読取部135を抜けるまで継続して送信される。そして、原稿が読取出口ローラ128およびCIS出口ローラ129の駆動により搬送される間に、原稿流し読み方式(シートスルー読取)で、第2画像読取部135によって原稿の裏面画像が読み取られる。なお、第2画像読取部135と対向配置される第2読取ローラ136は、第2画像読取部135における原稿の浮きを抑えると同時に、第2画像読取部135におけるシェーディングデータを取得するための基準白部を兼ねるものである。
【0026】
図4は実施例1のADF100の概略構成を示す断面図、
図5は実施例1のADF100における用紙搬送をフローチャート化したものである。ADF100では、排紙ローラ133(排紙手段)から排紙された原稿401が、正逆転可能な揃えローラ141(揃え手段)と排紙トレイ134間に排紙される。このとき揃えローラ141は加圧手段142(例えば、ばね等の弾性部材。以下同様)により加圧されており、原稿搬送方向へ回転することで原稿へ搬送力を与えている(
図4-1)。
【0027】
原稿401の後端が排紙センサ132を抜けたタイミングを元に、原稿後端が後端押さえ143を越えるタイミングになったら、揃えローラ141を停止し、後端押さえ143を切り替え手段144により上昇させる(
図4-2)。
【0028】
後端押さえ143が上昇したら、揃えローラ141で原稿を排紙エンドフェンス145方向へ搬送開始し、原稿後端が排紙センサ132を抜けたタイミングを元に、原稿後端を排紙エンドフェンス145に突き当てた位置で停止させる。原稿後端の突き当て後に後端押さえ143を切り替え手段144により下降させることで原稿を固定する(
図4-3)。
【0029】
これにより次原稿401’が排紙された際には、排紙完了した原稿が後端押さえ143により固定されているため、排紙ローラ133による次原稿の排紙、揃えローラ141による次原稿の揃え動作による排紙完了した原稿への連れ送りを抑えられるようになる(
図4-4)。また、次原稿の排紙のスタックを防止するため、揃えローラ141は排紙ローラ133(ニップ部)よりも小さい摩擦力を有した部材により構成される。
【0030】
図4では加圧手段142が揃えローラ141を加圧しているが、加圧手段142が排紙トレイ134側からPOMなどの摺動部材を介して原稿に加圧を行う構成になっていても良い。また、
図4以降において、搬送されてくる複数の原稿(例えば、原稿401、401’)を用いて説明する場合があるが、これらの原稿のサイズは異なるサイズであってもよい。
【0031】
より具体的には、
図5に示すように、コントローラ150は、排紙ローラ133および揃えローラ141を順送り方向に回転させ(S501)、排紙センサ132が原稿401の後端を検知したことを確認する(S502)。そして、コントローラ150は、原稿401の後端が後端押さえ143を越えるまで搬送されたか否かを判定する(S503)。コントローラ150は、原稿401の後端が後端押さえ143を越えるまで搬送されていないと判定した場合(S503;No)、排紙ローラ133および揃えローラ141による原稿401の搬送を継続する(S504)。一方、コントローラ150は、原稿401の後端が後端押さえ143を越えるまで搬送されたと判定した場合(S503;Yes)、排紙ローラ133および揃えローラ141を停止させ、後端押さえ143を切り替え手段144により上昇させる(S505)。
【0032】
コントローラ150は、後端押さえ143を上昇させると、揃えローラ141を逆回転させ、原稿401を排紙エンドフェンス145の方向へ搬送開始する(S506)。コントローラ150は、原稿後端が排紙センサ132を抜けたタイミングを元に、原稿後端が排紙エンドフェンス145まで搬送されたか否かを判定し(S507)、原稿後端が排紙エンドフェンス145まで搬送されていないと判定した場合(S507;No)、揃えローラ141による原稿401の搬送を継続する(S508)。一方、コントローラ150は、原稿後端が排紙エンドフェンス145まで搬送されたと判定した場合(S507;Yes)、揃えローラ141を停止させ、後端押さえ143を切り替え手段144により下降させる(S509)。なお、揃えローラ141の個数と配置は排紙ローラ133と同じになるように配置することが望ましい。
【0033】
図6は、後端押さえ143の構成例を示す図である。後端押さえ143の原稿接触部は、ゴムなどの摩擦係数の高い摩擦部材で構成することが望ましい。当該摩擦部材は、排紙完了した原稿の連れ送りを防止するため、揃えローラ141や排紙ローラ133(ニップ部)よりも大きい摩擦力を有した部材により構成される。また、
図6に示すように、切り替え手段144は、後端押さえ143を、回転軸X1を中心とした回転運動(
図6-1)、押え方向である上下方向に支え軸X2を移動させた直線運動(
図6-2)など、どのような動き方で原稿との切離を切り替えても良い。これらの後端押さえ143を移動させる切り替え手段144の機構については、従来から知られている様々な回転機構や昇降機構を用いてよい。また、後端押さえ143は、上昇時に排紙トレイや排紙エンドフェンスの内側に隠れるような構成になっていても良い。
【0034】
このように、
図4~6で説明したADF100では、用紙(例えば、原稿401)を積載する排紙トレイ134と、上記排紙トレイに用紙を排紙する排紙手段(例えば、排紙ローラ133)と、上記排紙手段の下流に位置し正逆転可能な揃え手段(例えば、揃えローラ141)と、上記用紙と上記揃え手段との間に圧をかけることで、上記揃え手段で用紙を正逆転搬送可能にさせる加圧手段142と、上記排紙トレイ上に排紙された用紙と接触し搬送を阻止する摩擦部材(例えば、後端押さえ143)と、上記摩擦部材の接触と離間とを切り替える切り替え手段144と、を備えるので、機械全体のサイズ(高さ方向)を抑えつつ、排紙用紙とスタック用紙の連れ送りを阻止し、小サイズの機械で確実に排紙用紙のスタック性を改善することができる。
【0035】
図7は実施例2の概略構成を示す断面図、
図8は実施例2の用紙搬送をフローチャート化したものである。実施例2のADF100では、実施例1の構成において、揃え手段(例えば、揃えローラ141)への加圧手段142による加圧のON/OFF(圧力伝達の有無)を切り替えられる退避手段146(例えば、アクチュエータ。以降同様)を備えた構成となっている。以下に説明するように、実施例2のADF100では、退避手段により揃え手段への加圧状態が解除されるため揃え手段と排紙トレイ間に排紙用紙が侵入可能になるので、揃え手段による排紙用紙の揃え動作が確実に行えるようになる。
【0036】
図7において、排紙ローラ133から原稿後端が排紙されるまで、加圧手段142による加圧はOFFになっている(
図7-1)。
【0037】
原稿後端がセンサ132を抜けたタイミングを元に、排紙ローラ133から原稿後端が排紙されたタイミングになったら加圧手段142の加圧をONにして、揃えローラ141から排紙原稿へ搬送力が伝わるように制御する(
図7-2)。
【0038】
原稿後端を排紙エンドフェンス145に突き当てたタイミングで加圧をOFFに切り替える(
図7-3)。
【0039】
この切り替えにより、排紙原稿の揃え動作中に余計な搬送力が排紙原稿に伝わらなくなるため、より排紙原稿とスタック原稿の連れ送りの発生を抑えられるようになる(
図7-4)。
【0040】
図7において、上記構成に原稿401の幅方向を揃えるためのジョガー機構を追加し、揃えローラ141が原稿後端を突き当てた後、ジョガー機構による原稿401の幅揃えを行い、その後、後端押さえ143を下降させる順序で制御を行い、原稿401の幅方向揃えを実施できるようにしても良い。また、次原稿の排紙のスタックを防止するため、揃えローラ141は排紙ローラ133(ニップ部)よりも小さい摩擦力を有した部材により構成される。また、後端押さえ143の摩擦部材は、排紙完了した原稿の連れ送りを防止するため、揃えローラ141や排紙ローラ133(ニップ部)よりも大きい摩擦力を有した部材により構成される。
【0041】
より具体的には、
図8に示すように、コントローラ150は、排紙ローラ133および揃えローラ141を順送り方向に回転させ(S801)、排紙センサ132が原稿401の後端を検知したことを確認する(S802)。そして、コントローラ150は、原稿401の後端が排紙ローラ133を越えるまで搬送されたか否かを判定する(S803)。コントローラ150は、原稿401の後端が排紙ローラ133を越えるまで搬送されていないと判定した場合(S803;No)、排紙ローラ133および揃えローラ141による原稿401の搬送を継続する(S804)。一方、コントローラ150は、原稿401の後端が排紙ローラ133を越えるまで搬送されたと判定した場合(S803;Yes)、排紙ローラ133を停止させ、退避手段146により揃えローラ141への加圧を開始させる(S805)。
【0042】
そして、コントローラ150は、原稿401の後端が後端押さえ143を越えるまで搬送されたか否かを判定する(S806)。コントローラ150は、原稿401の後端が後端押さえ143を越えるまで搬送されていないと判定した場合(S806;No)、揃えローラ141による原稿401の搬送を継続する(S807)。一方、コントローラ150は、原稿401の後端が後端押さえ143を越えるまで搬送されたと判定した場合(S806;Yes)、揃えローラ141を停止させ、後端押さえ143を切り替え手段144により上昇させる(S808)。
【0043】
コントローラ150は、後端押さえ143を上昇させると、揃えローラ141を逆回転させ、原稿401を排紙エンドフェンス145の方向へ搬送開始する(S809)。コントローラ150は、原稿後端が排紙センサ132を抜けたタイミングを元に、原稿後端が排紙エンドフェンス145まで搬送されたか否かを判定し(S810)、原稿後端が排紙エンドフェンス145まで搬送されていないと判定した場合(S810;No)、揃えローラ141による原稿401の搬送を継続する(S811)。一方、コントローラ150は、原稿後端が排紙エンドフェンス145まで搬送されたと判定した場合(S810;Yes)、揃えローラ141を停止させ、退避手段146による揃えローラ141への加圧を解除した後、後端押さえ143を切り替え手段144により下降させる(S812)。なお、揃えローラ141の個数と配置は排紙ローラ133と同じになるように配置することが望ましい。
【0044】
実施例3のADF100では、後端押さえ143の摩擦係数μ1、押し圧P1、揃えローラ141の摩擦係数P2、加圧手段142の加圧力P2の関係が、μ1×P1 > μ2×P2となっている。排紙原稿がスタック原稿を連れ送ろうとする力は、原稿の摩擦係数、密着状態、静電気などにより変動するが、揃えローラ141が排紙原稿を搬送する力μ2×P2以上にはならないため、確実に摩擦部材による用紙の搬送阻止力>揃えローラに搬送される用紙が排紙トレイ上に積載された用紙へ与える搬送力、となり連れ送りを阻止できるようになる。また、排紙ローラ133の原稿搬送力F3との関係が、μ1×P1 >F3であると連れ送り阻止に対して有利な構成となる。このように、実施例3のADF100では、摩擦部材(例えば、後端押さえ143)による用紙の搬送阻止力は、揃え手段(例えば、揃えローラ141)に搬送される用紙が排紙トレイ134上に積載された用紙へ与える搬送力よりも大きいため、スタック紙が排紙用紙に連れ送られることを確実に阻止することが可能となる。
【0045】
図9は実施例4の概略構成を示す断面図、
図10は実施例4の用紙搬送をフローチャート化したものである。実施例4のADF100では、実施例2または3の構成において、退避手段146により加圧ON時には揃えローラ141と排紙原稿が接触(
図9-2)、加圧OFF時には揃えローラ141と排紙原稿が離間した状態(
図9-1)となるように構成されている。この構成により揃えローラ141と排紙トレイ134間により多くの原稿をスタックすることが可能となる。すなわち、実施例4のADF100では、退避手段により揃え手段と用紙間に隙間を設けることができるので、用紙のスタック枚数を増加させることが可能になる。また、次原稿の排紙のスタックを防止するため、揃えローラ141は排紙ローラ133(ニップ部)よりも小さい摩擦力を有した部材により構成される。また、後端押さえ143の摩擦部材は、排紙完了した原稿の連れ送りを防止するため、揃えローラ141や排紙ローラ133(ニップ部)よりも大きい摩擦力を有した部材により構成される。
【0046】
より具体的には、
図10に示すように、コントローラ150は、排紙ローラ133および揃えローラ141を順送り方向に回転中に、退避手段146による加圧をOFFして揃えローラ141を非接触位置に移動させ(S1001)、排紙センサ132が原稿401の後端を検知したことを確認する(S1002)。そして、コントローラ150は、原稿401の後端が排紙ローラ133を越えるまで搬送されたか否かを判定する(S1003)。コントローラ150は、原稿401の後端が排紙ローラ133を越えるまで搬送されていないと判定した場合(S1003;No)、排紙ローラ133による原稿401の搬送を継続する(S1004)。一方、コントローラ150は、原稿401の後端が排紙ローラ133を越えるまで搬送されたと判定した場合(S1003;Yes)、排紙ローラ133を停止させ、退避手段146による加圧をONして揃えローラ141を接触位置に移動させる(S1005)。
【0047】
そして、コントローラ150は、原稿401の後端が後端押さえ143を越えるまで搬送されたか否かを判定する(S1006)。コントローラ150は、原稿401の後端が後端押さえ143を越えるまで搬送されていないと判定した場合(S1006;No)、揃えローラ141による原稿401の搬送を継続する(S1007)。一方、コントローラ150は、原稿401の後端が後端押さえ143を越えるまで搬送されたと判定した場合(S1006;Yes)、揃えローラ141を停止させ、後端押さえ143を切り替え手段144により上昇させる(S1008)。
【0048】
コントローラ150は、後端押さえ143を上昇させると、揃えローラ141を逆回転させ、原稿401を排紙エンドフェンス145の方向へ搬送開始する(S1009)。コントローラ150は、原稿後端が排紙センサ132を抜けたタイミングを元に、原稿後端が排紙エンドフェンス145まで搬送されたか否かを判定し(S1010)、原稿後端が排紙エンドフェンス145まで搬送されていないと判定した場合(S1010;No)、揃えローラ141による原稿401の搬送を継続する(S1011)。一方、コントローラ150は、原稿後端が排紙エンドフェンス145まで搬送されたと判定した場合(S1010;Yes)、揃えローラ141を停止させ、退避手段146による加圧をOFFして揃えローラ141を非接触位置に移動させた後、後端押さえ143を切り替え手段144により下降させる(S1012)。なお、揃えローラ141の個数と配置は排紙ローラ133と同じになるように配置することが望ましい。
【0049】
図11は実施例5の検知手段1501の概略図である。検知手段1501は、検知アーム151、加圧検知センサ152、加圧検知フィラー153、検知アーム止め154、ステッピングモータ155、トーションスプリング156、イニシャルセンサ157、支持軸158により構成されている。検知手段1501はコントローラ150により制御される。以下に説明するように、実施例5の検知手段では、加圧手段による加圧力が一定の値になるように退避手段による接触状態を制御可能としているため、スタック紙の積載枚数が変化しても揃え手段による用紙の搬送を常に最適な状態に保つことが可能となる。
検知アーム151、加圧検知フィラー153は支持軸158に回転自在に取り付けられており、加圧検知フィラー153はギヤを介してステッピングモータ軸と繋がっている。加圧検知センサ152、イニシャルセンサ157は透過型センサであり、加圧検知フィラー153を検知する。
【0050】
イニシャル状態では、イニシャルセンサ157に対し加圧検知フィラー153が特定の検知位置になっている(
図11-1)。
【0051】
ステッピングモータ155の回転により加圧検知フィラー153が回転すると、トーションスプリング156により検知アーム151も回転する(
図11-2)。
【0052】
ステッピングモータ155の回転中に検知アーム151が排紙トレイ134やスタック原稿に接触すると、検知アーム151はそこで回転を停止するが、加圧検知フィラー153は回転を続ける(
図11-3)。
【0053】
透過型センサ152で加圧検知フィラー153を検知するとステッピングモータ155は回転を停止する(
図11-4)。
この構成では、検知アーム151が回転停止してから透過型センサ152で加圧検知フィラー153を検知するまでのステッピングモータ155のステップ数は常に一定である。したがって、コントローラ150は、イニシャル状態から透過型センサ152で加圧検知フィラーを検知するまでのステッピングモータ155のステップ数から検知アーム151の接地面の角度が算出でき、さらにその角度からスタック紙の積載高さを算出することが可能になる。
【0054】
上記のような検知手段1501によりスタック紙の積載高さが検出できるため、その積載高さの情報から退避手段146を適切な角度だけ回転させることで加圧手段142による加圧力が一定の値になるように制御が可能となる。なお、スタック紙の積載高さを正しく計測するために、検知手段1501はスタック紙を押さえている後端押さえ143付近に設置することが望ましい。
【0055】
図12は実施例6の概略図である。実施例6のADF100では、実施例5の構成において検知アーム151が後端押さえ143の役割を持っており、検知アームの先端部がゴムなどの一定の値以上の摩擦係数の高い摩擦部材1201となっている。実施例6のADF100では、摩擦部材のスタック用紙への接触高さにより揃え手段の高さを制御可能になるので、スタック紙の積載高さを検知する検知手段を別に用意する必要がなくなり、低コスト化が可能となる。
【0056】
図13は実施例7の概略構成を示す断面図、
図14は実施例7の用紙搬送をフローチャート化したものである。実施例7のADF100では、以下に説明するように、例えば、実施例1~6の切り替え手段144が後端押さえ143に替えて(あるいは後端押さえ143とともに)分岐板160をスタック用紙後端側全体が排紙トレイ側へ押さえつけるため、スタック用紙の後端側のカールが排紙用紙先端と接触しジャムとなることを防ぐことが可能となる。例えば、切り替え手段144が用紙の搬送経路を切り替える分岐板160を動かし、摩擦部材161の接触と離間との切り替えとともに、用紙の搬送経路を切り替える。
【0057】
実施例7のADF100では、排紙ローラ133から排紙された原稿401が、分岐板160の上側経路を通って正逆転可能な揃えローラ141と加圧手段142間に排紙される(
図13-1)。
【0058】
揃えローラ141の個数と配置は排紙ローラ133と同じであり、ツバ付きのローラやローラ径よりも大きいスポンジ材を用いることで原稿401にコシを与え排紙原稿がスタック原稿に接触しづらくなる構成にすることで、更なるスタック性の改善が見込める。また、分岐板160の上流側端部P1は排紙ローラ133のニップ部より低く、下流側端部P2は加圧手段142より高くなるような形状、構成になっていることが望ましい。
【0059】
原稿後端が排紙センサ132を抜けたタイミングを元に、原稿後端が排紙ローラ133を越えるタイミングになったら、
図7に示した退避手段146と同様の退避手段により加圧手段142を上昇させ、揃えローラ141で排紙原稿を搬送する(
図13-2)。加圧手段142の上昇制御は、実施例5の検知手段1501のような構成を用いることでスタック紙が増えても特定の搬送力を維持できるような構成になっていても良い。
【0060】
原稿後端が排紙センサ132を抜けたタイミングを元に、原稿後端が分岐板160の下流端部P2を越えるタイミングになったら、揃えローラ141の搬送を停止し、分岐板160が上昇する(
図13-3)。このとき、分岐板160の下流側端部P2は加圧手段142より高くなるような形状、構成になっていることが望ましい。
【0061】
分岐板160の上昇が完了したら、原稿後端が排紙センサ132を抜けたタイミングを元に、排紙原稿が、分岐板160の下側経路を通って揃えローラ141で搬送され、原稿後端が排紙エンドフェンス145に突き当たるタイミングで揃えローラ141を停止する(
図13-4)。
【0062】
揃えローラ141が停止したら、
図7に示した退避手段146と同様の退避手段により加圧手段142が下降するとともに分岐板160が下降し、摩擦部材161により排紙原稿が固定される(
図13-5)。分岐板160の上昇制御、下降制御は、実施例5の検知手段1501のような構成を用いることでスタック紙が増えても特定の加圧力を維持できるような構成になっていても良い。あるいは、
図6の(2)で示した切り替え手段144のように直線運動させる昇降機構が用紙の搬送経路を切り替える分岐板160を動かし、摩擦部材161の接触/離間の切り替えとともに、用紙の搬送経路を切り替える。
【0063】
これにより次原稿401’が排紙された際には、スタック原稿後端側は分岐板160の下側経路に収納され、摩擦部材161により固定されているため、次原稿先端とスタック原稿後端の接触回避や排紙ローラ133による次原稿の排紙、揃えローラ141による次原稿の揃え動作による排紙完了した原稿への連れ送りを抑えられるようになる(
図13-6)。すなわち、分岐板160によりスタック用紙後端側全体が排紙トレイ側へ押さえつけられるため、スタック用紙の後端側のカールが排紙用紙先端と接触しジャムとなることを防ぐことが可能となる。なお、次原稿の排紙のスタックを防止するため、揃えローラ141(揃えローラ141と加圧手段142との間のニップ部)は排紙ローラ133(ニップ部)よりも小さい摩擦力を有した部材により構成される。また、摩擦部材161は、排紙完了した原稿の連れ送りを防止するため、加圧手段142や排紙ローラ133(ニップ部)よりも大きい摩擦力を有した部材により構成される。
【0064】
より具体的には、
図14に示すように、コントローラ150は、排紙ローラ133を順送り方向に回転中に、退避手段146と同様の退避手段による加圧をOFFして加圧手段142を非接触位置に移動させ、検知手段1501と同様の検知手段により分岐板160を下降位置まで下降させる(S1401)。コントローラ150は、排紙センサ132が原稿401の後端を検知したことを確認する(S1402)。そして、コントローラ150は、原稿401の後端が排紙ローラ133を越えるまで搬送されたか否かを判定する(S1403)。コントローラ150は、原稿401の後端が排紙ローラ133を越えるまで搬送されていないと判定した場合(S1403;No)、排紙ローラ133による原稿401の搬送を継続する(S1004)。一方、コントローラ150は、原稿401の後端が排紙ローラ133を越えるまで搬送されたと判定した場合(S1403;Yes)、排紙ローラ133を停止させ、退避手段146と同様の退避手段による加圧をONして加圧手段142を接触位置に移動させる(S1405)。
【0065】
そして、コントローラ150は、原稿401の後端が分岐板160の下流側端部P2を越えるまで搬送されたか否かを判定する(S1406)。コントローラ150は、原稿401の後端が分岐板160の下流側端部P2を越えるまで搬送されていないと判定した場合(S1406;No)、揃えローラ141による原稿401の搬送を継続する(S1407)。一方、コントローラ150は、原稿401の後端が分岐板160の下流側端部P2を越えるまで搬送されたと判定した場合(S1406;Yes)、揃えローラ141を停止させ、分岐板160を検知手段1501と同様の機構により上昇位置まで上昇させる(S1408)。
【0066】
コントローラ150は、分岐板160を上昇させると、揃えローラ141を逆回転させ、原稿401を排紙エンドフェンス145の方向へ搬送開始する(S1409)。コントローラ150は、原稿後端が排紙センサ132を抜けたタイミングを元に、原稿後端が排紙エンドフェンス145まで搬送されたか否かを判定し(S1410)、原稿後端が排紙エンドフェンス145まで搬送されていないと判定した場合(S1410;No)、揃えローラ141による原稿401の搬送を継続する(S1411)。一方、コントローラ150は、原稿後端が排紙エンドフェンス145まで搬送されたと判定した場合(S1410;Yes)、揃えローラ141を停止させ、退避手段146と同様の退避手段による加圧をOFFして揃え加圧手段142を非接触位置に移動させた後、分岐板160を検知手段1501と同様の機構によりにより下降させる(S1412)。なお、揃えローラ141の個数と配置は排紙ローラ133と同じになるように配置することが望ましい。
なお、上記実施例1~7の排紙トレイ構成は、複写機本体に内蔵される後処理装置の排紙トレイに適用されても良い。
【符号の説明】
【0067】
100 自動原稿搬送装置(ADF)
2 給紙部
3 画像形成部
21、22 給紙カセット
23 給紙手段
401、401’ 原稿
132 排紙センサ
133 排紙ローラ
134 排紙トレイ
141 揃えローラ
142 加圧手段
143 後端押さえ
144 切り替え手段
145 排紙エンドフェンス
146 退避手段
1501 検知手段
151 検知アーム
152 加圧検知センサ
153 加圧検知フィラー
154 検知アーム止め
155 ステッピングモータ
156 トーションスプリング
157 イニシャルセンサ
158 支持軸
1201 摩擦部材
160 分岐板
161 摩擦部材
X1 回転軸
X2 支え軸
【先行技術文献】
【特許文献】
【0068】
【文献】特開2006‐248717号公報
【文献】特開平07-300270号公報