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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】樹脂組成物および蓋材用フィルム
(51)【国際特許分類】
   C09J 123/08 20060101AFI20241016BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20241016BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20241016BHJP
   C09J 153/00 20060101ALI20241016BHJP
   C09J 7/30 20180101ALI20241016BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
C09J123/08
C09J11/08
C09J11/06
C09J153/00
C09J7/30
B65D65/40 D
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020164053
(22)【出願日】2020-09-29
(65)【公開番号】P2022056180
(43)【公開日】2022-04-08
【審査請求日】2023-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】森下 功
(72)【発明者】
【氏名】幸田 真吾
【審査官】仁科 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-143215(JP,A)
【文献】特開平06-328632(JP,A)
【文献】特開昭52-107043(JP,A)
【文献】特開2018-076398(JP,A)
【文献】特開2014-025047(JP,A)
【文献】特開2003-002923(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 23/08
C08K 5/06
C08K 5/17
C08K 5/42
C09J 123/08
C09J 11/08
C09J 11/06
C09J 153/00
C09J 7/30
B65D 65/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酢酸ビニル含量(VA)が3重量%以上13重量%以下であり、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比 Qwが1.5以上4.5以下であるエチレン-酢酸ビニル共重合体(A)を58重量部以上94.9重量部以下、粘着付与剤樹脂(B)を5重量部以上40重量部以下、防曇剤(C)を0.1重量%以上2重量%以下を含む(ここで、(A)と(B)と(C)の合計を100重量部とする)樹脂組成物を含むシーラント用接着剤。
【請求項2】
前記樹脂組成物100重量部に対し、さらにオレフィン又はジオレフィンとの少なくともいずれかを構成単位として含み、かつ、ビニル芳香族炭化水素を構成単位として含む熱可塑性ブロック共重合体(D)を0.5重量部以上5重量部以下含む請求項1に記載のシーラント用接着剤。
【請求項3】
前記樹脂組成物100重量部に対し、JIS K6922-1(1998年)で測定した密度が860kg/m 以上910kg/m 以下の範囲にあるエチレン・α-オレフィン共重合体(E)を5重量部以上100重量部以下含む請求項1に記載のシーラント用接着剤。
【請求項4】
前記樹脂組成物100重量部に対し、オレフィン又はジオレフィンとの少なくともいずれかを構成単位として含み、かつ、ビニル芳香族炭化水素を構成単位として含む熱可塑性ブロック共重合体(D)を0.5重量部以上5重量部以下含み、さらにJIS K6922-1(1998年)で測定した密度が860kg/m 以上910kg/m 以下の範囲にあるエチレン・α-オレフィン共重合体(E)を5重量部以上100重量部以下含む請求項1に記載のシーラント用接着剤。
【請求項5】
粘着付与剤樹脂(B)が、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂環族系水添石油樹脂、共重合系石油樹脂をより選ばれる群の少なくとも1種類である請求項1乃至4いずれか一項に記載のシーラント用接着剤。
【請求項6】
防曇剤(C)が、エチレンオキサイド付加物、アミン化合物又は有機スルホン酸塩からなる群の少なくとも1種である請求項1乃至5いずれか一項に記載のシーラント用接着剤。
【請求項7】
ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ乳酸からなる群の少なくとも1種の容器に使用される請求項1乃至6いずれか一項に記載のシーラント用接着剤。
【請求項8】
請求項1乃至6いずれか一項に記載のシーラント用接着剤を含む層と、支持基材層を備えた、少なくとも2層以上から構成される容器の蓋材用フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容器の蓋材に用いられる樹脂組成物に関し、より詳細には、成形加工性に優れ、容器との高い接着性、防曇性、及び適度なスリップ性を有し、蓋材のシーラントに好適に用いることのできる接着用樹脂組成物、及びこれをシーラント層として備えた蓋材用フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、飲食品、医薬品、工業用部品などの包装にはポリエチレンやポリプロピレン、ポリスチレンなどのプラスチック容器や紙を主体とした紙製容器が使用されており、その蓋材には内容物の保護性のための安定した接着性を有し、且つ剥離時には適度な強度にて開封可能な易剥離性を有する易剥離性フィルムが使用されている。
【0003】
これまで、ポリプロピレンやポリスチレンなどの容器に対しては既に多くの易剥離性フィルム用の材料が知られているが、近年安価で透明性と耐寒性に優れるために利用が増加している非晶性ポリエチレンテレフタレート(以下、「A-PET」という)製容器に対しては、実用上優れた易剥離性フィルムは見出されていない。従来の易剥離性フィルムはA-PET製容器の蓋材に用いた場合、接着強度が弱い為に輸送や保管時の振動や落下により蓋が開いてしまうという問題や、高い接着強度を得ようとしてヒートシール温度を高く設定した結果容器が変形して密封性が低下する問題があった。また、接着後に低温環境にて保管すると、シール強度が低下するという欠点もあり、実用上使用するには問題があった。また、従来の易剥離性フィルムは、特に5~l0℃程度の冷蔵設備等に商品が置かれた場合に、外の冷気と容器内の湿度と空気により蓋材が曇ってしまい、内部の食品が見えにくくなるといった商品価値の低下や蓋材内側に付着した水分が内部の食品に悪影響を及ぼす問題もあった。更に、従来の樹脂組成物は、押出ラミネートやキャスト成形の際に冷却ロールと密着し、成形不可となる場合やフィルムに剥離痕がついて商品価値を損なう問題があり、冷却ロールとの密着の改良にスリップ剤を配合すると、容器との接着強度が低下する問題があった。
【0004】
一般に、蓋材シーラント用接着剤としては、ポリエチレンやエチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン・α-オレフィン共重合体等と粘着付与剤とからなる混合物が知られているが、このような材料では、ポリオレフィン製からA-PET製に至る幅広い材料の容器に対して十分な接着強度が得られない場合があり、接着強度が弱い為に輸送や保管時の振動や落下により蓋が開いてしまうという問題や、高い接着強度を得ようとしてヒートシール温度を高く設定した結果容器が変形して封緘性が低下するといった問題があった。また、エチレン・α-オレフィン共重合体とオレフィン系エラストマー及び/又はスチレン系エラストマーと粘着付与剤からなる樹脂組成物(例えば特許文献1参照)、エチレン・α-オレフィン共重合体とエチレン・極性モノマー共重合体、A-B-A型ブロック共重合体、粘着付与剤からなるシール材料(例えば特許文献2参照)、多価アルコール脂肪酸エステルなどの防曇剤を配合した組成物(例えば、特許文献3参照)、防曇効果を呈する必要最低量の界面活性剤を表面塗工する方法(例えば、特許文献4参照)が使用されているが、成形加工性、接着強度、防曇性、及び適度なスリップ性の全てを満足できるものではなかった。
【0005】
また近年、環境保全の意識の高まりから生分解性プラスチックの需要が増加しつつある。食品包装材料の分野においても容器の材質としてポリ乳酸(PLA)等の生分解性プラスチックの使用量が増えつつあるが、その蓋材に使用される従来のシーラント用接着性樹脂はPLA等に対して十分な接着性を有しているとは言えず、これらの用途に好適に使用できる接着性樹脂が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開1999-269319号公報
【文献】特許第4438108号
【文献】特開昭58-79044号公報
【文献】特開平4-103639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、成形加工性に優れ、プラスチック製容器、とりわけポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリスチレン、ポリプロピレンを材料とした容器に対する接着性、防曇性、及びスリップ性に優れ、容器の蓋材のシーラント層として好適に用いることのできる樹脂組成物及び蓋材用フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題に対し鋭意検討した結果、特定の性状を有するエチレン-酢酸ビニル共重合体と粘着付与剤と防曇剤を含む樹脂組成物が成形加工性に優れ、A-PETやポリ乳酸を含む各種のプラスチック製容器に対する接着性、防曇性、及びスリップ性に優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち本発明は、酢酸ビニル含量(VA)が3重量%以上13重量%以下であり、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比 Qwが1.5以上4.5以下であるエチレン-酢酸ビニル共重合体(A)を58重量部以上94.9重量部以下、粘着付与剤樹脂(B)を5重量部以上40重量部以下、防曇剤(C)が0.1重量%以上2重量%以下を含む(ここで、(A)と(B)と(C)の合計を100重量部とする)樹脂組成物に関するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、成形加工性に優れ、様々な種類のプラスチック製容器、とりわけポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリスチレン、ポリプロピレンを材料とした容器に対する接着性、防曇性、及びスリップ性に優れ、容器の蓋材のシーラント用接着剤層の作製に資する樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の一態様である樹脂組成物を詳細に説明する。
【0012】
本発明を構成するエチレン-酢酸ビニル共重合体(A)は、酢酸ビニル含量が3重量%以上15重量%以下、好ましくは3重量%以上13重量%以下、さらに好ましくは5重量%以上10重量%以下からなるものである。酢酸ビニル含量が3重量%未満の場合、得られる組成物は低温ヒートシール性に劣るため好ましくない。一方、酢酸ビニル含量が15重量%を超える場合、得られる組成物は成形加工性および接着強度に劣るため好ましくない。
【0013】
ここで、エチレン-酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニル含量は、JIS K 6924-1に準拠した方法により測定することができる。
【0014】
本発明を構成するエチレン-酢酸ビニル共重合体(A)は、その重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比 Mw/Mn(以下「Qw」とする)が1.5以上4.5以下であるものであり、好ましくは2.0以上4.5以下、より好ましくは2.5以上4.2以下である。Qwが1.5より小さい場合は成形加工時の押出負荷が高くなりエネルギー消費が大きくなるため好ましくない。またQwが4.5を超える場合は本発明の組成物の接着強度および封緘強度が低くなるため好ましくない。
【0015】
ここで、エチレン-酢酸ビニル共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、例えばゲル浸透クロマトグラフィを用いて、ユニバーサルな検量線を測定し、直鎖のポリエチレンの分子量として計算することができる。
【0016】
さらに本発明を構成するエチレン-酢酸ビニル共重合体(A)は、酢酸ビニル含量VA(単位:重量%)とQwが以下の関係式(1)を満たすと本発明の組成物の接着強度および封緘強度が高くなるため好ましい。
Qw<-1.9×lnVA+9.0 (1)
ここでlnVAは、酢酸ビニル含量VA(重量%)の自然対数を示す。
【0017】
本発明を構成するエチレン-酢酸ビニル共重合体(A)は、公知の製造方法により得ることができ、その製造方法に特に制約はないが、管状(チューブラー型)反応器を用いて高圧下でラジカル重合する方法が、本願の要件を満たす酢酸ビニル含量とQwを有するエチレン-酢酸ビニル共重合体を容易に得られるため好ましい。
【0018】
本発明におけるエチレン-酢酸ビニル共重合体(A)は、単成分であっても2種類以上の共重合体を含む組成物でのいずれであってもよい。共重合体(A)が組成物である場合、その組成物の酢酸ビニル含量として、組成物に対して、前述したJIS K 6924-1の方法を用いて測定した値を意味する。同様に、組成物のQwとして、組成物に対して、前述したゲル浸透クロマトグラフィによる方法を用いて測定した値を意味する。これら組成物に対して得られた酢酸ビニル含量及び重量平均分子量と数平均分子量の比 Qwが、エチレン-酢酸ビニル共重合体(A)の要件を満たせばよい。
【0019】
本発明を構成するエチレン-酢酸ビニル共重合体(A)の配合割合は、58重量部以上94.9重量部以下であり、好ましくは70重量部以上90重量部以下、より好ましくは75重量部以上90重量部以下である。(A)の配合割合が58重量部未満の場合は得られる樹脂組成物の成形加工安定性が劣るため好ましくない。一方、94.9重量部を超える場合は、得られる樹脂組成物の接着性が不十分となるため好ましくない。(A)の配合割合は、81重量部以上90重量部以下であることが好ましい。これにより、粘着付与剤(B)の配合量を少なくしても、本願の樹脂組成物が十分な接着強度を維持することができる。
【0020】
本発明を構成する粘着付与剤樹脂(B)は、粘着付与剤樹脂の範疇に属するものであれば如何なるものを用いることも可能である。粘着付与剤樹脂(B)として、例えば合成石油樹脂系粘着付与剤である石油樹脂系、クマロン樹脂系、スチレン系などや、天然樹脂系粘着付与剤であるロジン系樹脂、メチルエステル系樹脂、グリセリンエステル系樹脂、ペンタエリストールエステル系樹脂、テルペン系樹脂及びそれらの変性物、などが挙げられる。これらの粘着付与剤樹脂のうち、合成石油樹脂系粘着付与剤には脂肪族系石油樹脂、脂肪族系水添石油樹脂、芳香族系石油樹脂、芳香族系水添石油樹脂、脂環族系石油樹脂、脂環族系水添石油樹脂、共重合系水添石油樹脂などがある。これらの中では、芳香族系水添石油樹脂または脂環族系水添石油樹脂のいずれかを使用が好ましい。特に、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂環族系水添石油樹脂及び共重合系石油樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種類からなる粘着付与剤樹脂が、接着性に優れるために好ましい。これらの粘着付与剤は、単独、又は2種以上を併用して使用できる。
【0021】
本発明を構成する粘着付与剤樹脂(B)は、環球法で測定した軟化点が90℃以上140℃以下の範囲にあるものが好ましく、100℃以上135℃以下であることがより好ましく、105℃以上130℃以下であればさらに好ましい。軟化点が前記範囲にある場合は、成形後のフィルムのブロッキングが少なく、また低温環境下での接着強度保持性が好適となる。
【0022】
本発明を構成する粘着付与剤樹脂(B)は、市販されているものが用いることができる。具体的には、石油樹脂系としては(商品名) アルコンP100、アルコンP125、アルコンP140、アルコンM90、アルコンM115、アルコンM135(以上荒川化学工業株式会社製)、アイマーブS110、アイマーブP125(以上出光興産株式会社製)、T-REZ RC115、T-REZ HA125(以上JXTGエネルギー株式会社製)等を例示することができる。ロジン系樹脂としては、パインクリスタルKE-311(荒川化学工業株式会社製)等を例示することができる。テルペン系樹脂としては、YSレジンPX1150、YSレジンPX1150N(以上ヤスハラケミカル株式会社製)等を例示することができる。
【0023】
本発明を構成する粘着付与剤樹脂(B)の配合割合は、5重量部以上40重量部以下であり、好ましくは10重量部以上30重量部以下、より好ましくは10重量部以上25重量部以下である。(B)の配合割合が5重量部未満の場合は、得られる樹脂組成物の接着性が不十分となるため好ましくない。一方、40重量部を超える場合は、フィルム状に成形した際にフィルム同士のブロッキングが強くなって二次加工に悪影響を及ぼす恐れがあるため好ましくない。(B)の配合割合は、10重量部以上19重量部以下であることが好ましい。これにより、粘着付与剤(B)の配合量を少なくしても、本願の樹脂組成物が十分な接着強度を維持することができる。
【0024】
本発明を構成する防曇剤(C)は、防曇剤の範疇に属するものであれば如何なるものを用いることも可能である。防曇剤(C)として、例えば、防曇剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルやポリオキシエチレン脂肪酸エステルなどのエチレンオキサイド付加物、アルキルアミンやアルキルジエタノールアミンなどのアミン化合物、ジアルキルスルホコハク酸塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、及び、アルキルスルホン酸塩などの有機スルホン酸塩等が挙げられる。防曇剤(C)は、エチレンオキサイド付加物、アミン化合物又は有機スルホン酸塩からなる群の少なくとも1種が好ましい。これらの中では、グリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、アミン化合物のいずれかの使用が好ましい。これらの防曇剤は、単独、又は2種以上を併用して使用できる。
【0025】
グリセリン脂肪酸エステルは、脂肪酸とグリセリンのエステル化反応により得られる化合物である。脂肪酸としては一般に直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基であり、炭素数が8~22である場合、十分な防曇性能が得られるので好ましい。該化合物としては、例えばラウリン酸モノグリセリド、パルミチン酸モノグリセリド、ステアリン酸モノグリセリド、オレイン酸モノグリセリド、リノール酸モノグリセリド、ジグリセリンステアレート等が挙げられる、ステアリン酸モノグリセリドやジグリセリンステアレートが好ましい。これらの化合物は単独又は混合物のいずれにおいても使用できる。
【0026】
グリセリン脂肪酸エステルの市販品の具体例としては、リケマールP-100、リケマールS-100、リケマールS-71D、リケマールO-71D、リケマールL-71D、ポエムM-200、ポエムM-300(理研ビタミン製)、レオドールMS-50(花王製)、モノグリD、M、I(日本油脂製)等を例示することができる。
【0027】
ソルビタン脂肪酸エステルは、ソルビタンと脂肪酸のエステル化反応により得られる化合物である。ソルビタン脂肪酸エステルは、例えば、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等が挙げられ、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノラウレートが好ましい。なおこれらソルビタン脂肪酸エステルは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0028】
ソルビタン脂肪酸エステルの市販品の具体例としては、リケマールL-250A、リケマールP-300、リケマールS-300W(理研ビタミン製)等を例示することができる。
【0029】
エチレンオキサイド付加物は、アルコールや脂肪酸やそれらのエステル類、油脂などにエチレンオキサイドを付加させた化合物であり、一般に、非イオン系界面活性剤として知られている。エチレンオキサイドの重合部分の鎖長を調整することにより、所望のHLBに調整される。エチレンオキサイド付加物の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルなどが挙げられる。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、およびポリオキシエチレン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸の具体例は、上記モノグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸の例として列挙されたものと同様であり、中でも炭素原子数が12~20の飽和もしくは不飽和脂肪酸が好ましく用いられる。なおこれら脂肪酸は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0030】
エチレンオキサイド付加物の市販品の具体例としては、理研ビタミン株式会社製のリケマールO-852(ポリオキシエチレンソルビタントリオレート)や、リケマールB-205(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)、花王株式会社製のレオドールTWシリーズ(ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル)やエマノーンシリーズ(ポリオキシエチレン脂肪酸エステル)など等を例示することができる。
【0031】
アミン化合物は、脂肪族アミンや脂肪族アミン誘導体、スルホン酸アミン塩などがあり、防曇性に優れることから、脂肪族アミンや脂肪族アミン誘導体が好ましい。脂肪族アミンとして、炭素数6~30の飽和脂肪族アミン、不飽和脂肪族アミンなどがあり、第一級脂肪族アミン又は第二級脂肪族アミンであることが好ましく、例えば、ヘキシルアミン、オクチルアミン、イソオクチルアミン、カプリルアミン、カプロレイルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、ミリストレイルアミン、ヘプタデシルアミン、パルミチリルアミン、イソパルミチリルアミン、パルミトレイルアミン、ステアリルアミン、イソステアリルアミン、アラキルアミン、リシノレイルアミン、リノレイルアミン、ベヘニルアミン、オレイルアミン、リグノセイルアミンなどの第一級脂肪族アミン、N,N-ジカプリルアミン、N,N-ジオクチルアミン、N,N-ジカプリルアミン、N,N-ジカプロレイルアミン、N,N-ジラウリルアミン、N,N-ジミリスチルアミンなどの第二級脂肪族アミンを挙げることができる。脂肪族アミン誘導体として例えば、ポリオキシエチレンアルキルアミン、デシルエタノールアミン、ドデシルジエタノールアミン、テトラデシルジエタノールアミン、ヘキサデシルジエタノールアミン、オクタデシルジエタノールアミン、エイコシルジエタノールアミンなどがあり、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンステアリルアミン、ドデシルジエタノールアミン、テトラデシルジエタノールアミン、ヘキサデシルジエタノールアミン、オクタデシルジエタノールアミンが好ましく、特に、ポリオキシエチレンアルキルアミンが好ましい。これらの化合物は単独又は混合物のいずれにおいても使用できる。
【0032】
アミン化合物の市販品の具体例としては、アーモスタット310(ライオン(株)製)等を例示することができる。
【0033】
有機スルホン酸塩は、有機スルホン酸と塩基とから構成されている。有機スルホン酸塩を構成する有機スルホン酸としては、1)オクチルスルホン酸、ドデシルスルホン酸、テトラデシルスルホン酸、ステアリルスルホン酸、テトラコシルスルホン酸、2-エチルヘキシルスルホン酸等の、アルキル基の炭素数8~24のアルキルスルホン酸、2)ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等の芳香族スルホン酸、3)ヘキシルベンゼンスルホン酸、オクチルベンゼンスルホン酸、ノニルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、オクタデシルベンゼンスルホン酸等の、アルキル基の炭素数6~18のアルキルベンゼンスルホン酸、4)ジブチルベンゼンスルホン酸、ジオクチルベンゼンスルホン酸、ジドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルベンゼンスルホン酸、ジオクタデシルベンゼンスルホン酸等の、アルキル基の炭素数4~18のジアルキルベンゼンスルホン酸、5)メチルナフタレンスルホン酸、イソプロピルナフタレンスルホン酸、ブチルナフタレンスルホン酸等の、アルキル基の炭素数1~18のアルキルナフタレンスルホン酸、6)ジメチルナフタレンスルホン酸、ジイソプロピルナフタレンスルホン酸、ジブチルナフタレンスルホン酸、ジオクタデシルナフタレンスルホン酸等、アルキル基の炭素数1~18のジアルキルナフタレンスルホン酸等、アルキル基の炭素数10~18のアルキル鎖アルカンスルホン酸、ヒドロキシアルカンスルホン酸等が挙げられる。また有機スルホン酸塩を構成する塩基としては、1)ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属、2)テトラブチルホスホニウム、トリブチルベンジルホスホニウム、トリエチルヘキサデシルホスホニウム、テトラフェニルホスホニウム等のホスホニウム、3)テトラブチルアンモニウム、トリブチルベンジルアンモニウム、トリフェニルベンジルアンモニウム等のアンモニウム等が挙げられる。有機スルホン酸塩としては、以上説明したスルホン酸と塩基とを適宜に組合わせたものを適用できるが、なかでも有機スルホン酸塩としては、アルキル基の炭素数8~24のアルキルスルホン酸塩、アルキル基の炭素数6~18のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル基の炭素数1~18のアルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキル基の炭素数10~18のアルキル鎖アルカンスルホン酸塩、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩が好ましく、炭素数8~20のアルキルスルホン酸のナトリウム、カリウム、アンモニウム、炭素数10~18のアルカンスルホン酸塩のナトリウム、カリウム、アンモニウムなどの塩がより好ましい。
【0034】
有機スルホン酸塩の市販品の具体例としては、ダスパー802D(ミヨシ油脂(株)社製)等を例示することができる。
【0035】
本発明を構成する防曇剤(C)の配合割合は、0.1重量部以上2重量部以下であり、好ましくは0.2重量部以上1重量部以下、より好ましくは0.2重量部以上0.8重量部以下である。(C)の配合割合が0.1重量部未満の場合は、得られる樹脂組成物の成形加工性、防曇性、スリップ性が不十分となるため好ましくない。一方、2重量部を超える場合は、接着強度が不十分となるため好ましくない。
【0036】
防曇剤(C)は、2種以上を併用することができる。この場合、グリセリン脂肪酸エステルとアミン化合物を併用することが好ましい。グリセリン脂肪酸エステルとアミン化合物を併用する場合の配合割合は、重量比で1/3~3/1が好ましい。
【0037】
本発明の樹脂組成物は、オレフィン又はジオレフィンとの少なくともいずれかを構成単位として含み、かつ、ビニル芳香族炭化水素を構成単位として含む熱可塑性ブロック共重合体(D)を配合してもよい。熱可塑性ブロック共重合体(D)は以下の式で表される。
(A-B)n
(A-B)n-A´
または
(A-B)m-X
(ここで、AおよびA′はそれぞれ独立して、ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックを表す。Bはオレフィン又はジオレフィンのいずれかの重合体ブロックを表す。nは1~5の整数、mは2~7の整数を表す、Xはm価の多官能性化合物を表す)
【0038】
熱可塑性ブロック共重合体(D)は直鎖構造、放射構造または分岐構造からなる群の少なくとも一種であり、かつ、少なくとも片末端がビニル芳香族炭化水素重合体ブロックであるブロック構造を有する重合体である。熱可塑性ブロック共重合体(D)はその水添物であっても良い。
【0039】
ここで用いられるビニル芳香族炭化水素の例として、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、p-tert-ブチルスチレン、ビニルキシレン、エチルビニルキシレン、ビニルナフタレンおよびこれらの混合物等が挙げられる。これらのうちではスチレンが特に好ましい。
【0040】
用いられるオレフィンの例として、エチレン、プロピレン、1-ブテン等のα-オレフィン等、ジオレフィンの例としては、ブタジエン、イソプレン等の共役ジオレフィンが挙げられる。
【0041】
熱可塑性ブロック共重合体(D)として、ブロックBはオレフィン単位が優勢である限り、オレフィンまたは共役ジオレフィンのいずれかと、ビニル芳香族炭化水素との共重合体を用いることが好ましく、共役ジオレフィンを重合した重合体ブロックに水素添加したものを用いることがさらに好ましい。また、本発明においては両末端にビニル芳香族炭化水素重合体ブロックを有するビニル芳香族炭化水素とオレフィン又はジオレフィンとの熱可塑性ブロック共重合体が好ましく、とくにポリスチレン-ポリブタジエン-ポリスチレンブロック共重合体の水素添加物(スチレン-エチレン/ブチレン-スチレントリブロック共重合体、以下「水添SEBS」という)が熱安定性の向上の点から特に好ましく用いることができる。
【0042】
本発明の樹脂組成物を構成する熱可塑性ブロック共重合体(D)は、単独の成分からなる共重合体でも、少なくとも2種以上の共重合体を含む組成物であってもよい。とくに成形加工性と接着強度に優れたシーラント用接着剤となることから、水素添加スチレン-ブタジエン-ジブロック共重合体と水素添加スチレン-ブタジエン-スチレン-トリブロック共重合体の組成混合物であることが好ましく、その混合比は、ジブロック体/トリブロック体で換算して、5/5~9/1であることが好ましい。また、当該混合物におけるスチレン含量は、熱可塑性ブロック共重合体(D)の合計量に対して10重量%以上50重量%以下であることが好ましい。
【0043】
スチレン含量の測定方法としては、スチレン含量既知の標準サンプルについて赤外吸収スペクトルを測定し、700cm-1付近のベンゼン環に由来する吸収の強度を用いて検量線を作成した後、含量未知サンプルのベンゼン環由来の吸収強度からスチレン含量を求める方法を例示することができる。
【0044】
本発明を構成するビニル芳香族炭化水素とオレフィン又はジオレフィンとの熱可塑性ブロック共重合体(D)の配合割合は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(A)と粘着付与剤樹脂(B)と防曇剤(C)の混合物の合計を100重量部とした場合、その100重量部に対して0.5重量部以上5重量部以下であることが好ましく、1重量部以上5重量部以下がより好ましく、2重量部以上4重量部以下がさらに好ましい。
【0045】
本発明を構成するビニル芳香族炭化水素とオレフィン又はジオレフィンとの熱可塑性ブロック共重合体(D)は、市販されているものを用いてもよい。具体的には、例えば(商品名)クレイトンG1726VS、クレイトンG1657VS、クレイトンG1730VS(以上クレイトンポリマー株式会社製)等を例示することができる。
【0046】
本発明の樹脂組成物は、エチレン・α-オレフィン共重合体(E)を配合してもよい。エチレン・α-オレフィン共重合体(E)としては、一般にエチレン・α-オレフィン共重合体と称される範疇に属するものであれば如何なるものを用いることも可能である。α-オレフィンとしては特に限定はないものの、炭素数3~12のプロペン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデカン等が例示できる。これらのエチレン・α-オレフィン共重合体(E)はチーグラー系触媒またはクロム系触媒、メタロセン触媒を使用して、エチレンとα-オレフィンを共重合することにより、好適に製造することができる。重合方法としては、溶液重合法、高圧重合法、気相重合法等が挙げられる。
【0047】
本発明を構成するエチレン・α-オレフィン共重合体(E)は、低温シール性と封緘強度に優れるものとなることから、JIS K6922-1(1998年)で測定した密度が860kg/m以上910kg/m以下の範囲であることが好ましい。
【0048】
本発明を構成するエチレン・α-オレフィン共重合体(E)の配合割合は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(A)と粘着付与剤樹脂(B)と防曇剤(C)の混合物の合計を100重量部とした場合、その100重量部に対して5重量部以上100重量部以下であることが好ましく、10重量部以上50重量部以下がより好ましく、18重量部以上40重量部以下がさらに好ましい。
【0049】
本発明の樹脂組成物は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(A)と粘着付与剤樹脂(B)と防曇剤(C)を含み、さらに(A)と(B)と防曇剤(C)の合計100重量部に対し、オレフィン又はジオレフィンとの少なくともいずれかを構成単位として含み、かつ、ビニル芳香族炭化水素を構成単位として含む熱可塑性ブロック共重合体(D)を0.5部以上5重量部以下含み、さらにJIS K6922-1(1998年)で測定した密度が860kg/m以上910kg/m以下の範囲にあるエチレン・α-オレフィン共重合体(E)を5重量部以上100重量部以下含んでもよい。
【0050】
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の熱可塑性樹脂やゴム、及び光安定剤、紫外線吸収剤、造核剤、滑剤、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、流動性改良剤、離型剤、難燃剤、着色剤、無機系中和剤、塩酸吸収剤、充填剤導電剤等を配合してもよい。
【0051】
本発明の樹脂組成物の調製方法については特に制約はなく、例えばエチレン-酢酸ビニル共重合体(A)、粘着付与剤樹脂(B)、防曇剤(C)およびこれらに配合する材料を同時にヘンシェルミキサー又はタンブラー等の混合機により予備ブレンドしておき、単軸又は二軸の押出機で溶融混練する方法が挙げられる。
【0052】
以下に本発明の一態様であるシーラント用接着剤を詳細に説明する。
【0053】
本発明の樹脂組成物は接着剤として使用することができる。特に、該樹脂組成物は、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ乳酸等を主成分とする樹脂、その他様々な樹脂を主成分とするプラスチック容器のシーラント用接着剤、特に蓋材シーラント用接着剤として好適に使用することができる。ここでシーラントとは容器の封をする用途で使用することを意味する。本発明の蓋材シーラント用接着剤を用いることで、蓋材と容器を密封することができる。
【0054】
具体的なプラスチック容器の材質として、ポリオレフィン系樹脂、アクリル酸系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン-アクリロニトリル共重合体、ポリ塩化ビニル樹脂などを例示することができる。
【0055】
ポリオレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン・α-オレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレンなどが挙げられる。
【0056】
アクリル酸系樹脂としては、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリアクリル酸オクチル、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリメタクリル酸オクチルなどが挙げられる。
【0057】
ポリアミド系樹脂としては、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン11、ナイロン12などが挙げられる。
【0058】
ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸(ポリ-L-乳酸、ポリ-D-乳酸、L-乳酸とD-乳酸の共重合体、ポリL-乳酸とポリD-乳酸のステレオコンプレックスを含む)、ポリブチレンサクシネート、ポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)、ポリエチレンサクシネート、ポリ(ブチレンサクシネート/テレフタレート)、ポリ(ブチレンアジペート/テレフタレート)、ポリ(ヒドロキシブチレート/ヒドロキシヘキサノエート)、ポリグリコール酸、ポリ3-ヒドロキシブチレート、ポリカプロラクトンなどが挙げられる。
【0059】
これらの材料を含有するプラスチック容器を接着するための接着剤として、本発明の樹脂組成物を使用する場合、該プラスチック容器の主成分は単独の成分であってもよく、複数の樹脂の組成物であってもよい。また該容器は、複数の材料を積層した多層構成の積層体であってもよい。
【0060】
本発明の樹脂組成物は、とりわけ、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリスチレン、ポリプロピレンを材料とした容器に好適に使用することができる。
【0061】
以下に本発明の一態様である蓋材用フィルムを詳細に説明する。
【0062】
本発明の樹脂組成物を接着剤として使用する場合、組成物を含む接着層(以下、「シーラント用接着剤層」という)として使用することが好ましい、またさらには、支持基材層とシーラント用接着剤層の少なくとも2層を含み、シーラント用接着剤層を最外層とする構成からなる蓋材用フィルムとして好適に使用することができる。
【0063】
支持基材層を構成する支持基材としては、自己支持性を有するものであれば特に制約はなく、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・α-オレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物などのオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸(ポリ-L-乳酸、ポリ-D-乳酸、L-乳酸とD-乳酸の共重合体、ポリL-乳酸とポリD-乳酸のステレオコンプレックスを含む)、ポリブチレンサクシネート、ポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)、ポリエチレンサクシネート、ポリ(ブチレンサクシネート/テレフタレート)、ポリ(ブチレンアジペート/テレフタレート)、ポリ(ヒドロキシブチレート/ヒドロキシヘキサノエート)、ポリグリコール酸、ポリ3-ヒドロキシブチレート、ポリカプロラクトンなどのポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン11、ナイロン12などのポリアミド系樹脂等の熱可塑性樹脂で構成されたプラスチックフィルム、和紙、複合紙などの紙、アルミニウムなどの金属で構成された金属箔、ポリエステル系樹脂フィルムなどの表面にアルミニウムやシリカ等を蒸着させた蒸着フィルム、これらの単独又は積層体などが例示できる。支持基材層の厚みは、機械的強度、作業性などが損なわれない範囲で用途に応じて選択できるが、一般的には5~100μm程度、好ましくは10~50μmである。
【0064】
蓋材用フィルムとして使用する場合、シーラント用接着剤層の厚みは、接着性、作業性などが損なわれない範囲で用途に応じて選択できるが、一般的には5~50μm程度であり、好ましくは10μm~40μm、さらに好ましくは15~30μmである。
【0065】
本発明では、前記支持基材層とシーラント用接着剤層との間に、両層の密着性を高めるため、中間層を設けることもできる。この中間層は、ポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマーなどの成分で構成でき、これらの成分は単独又は2種以上混合して使用できる。例えば、ポリオレフィンとしては、ポリエチレンやエチレン共重合体(エチレン・α-オレフィン共重合体、プロピレン-エチレン共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸メチル共重合体など)やその変性物などが挙げられる。中間層には、本発明の効果を損なわない範囲で、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、導電剤、アンチブロッキング剤、粘着付与剤等が配合されていてもよい。
【0066】
中間層の厚みは、作業性などが損なわれない範囲で用途に応じて選択できるが、一般的には5~30μm程度である。
【0067】
本発明では、前記支持基材層とシーラント用接着剤層との間、又は上記支持基材層と中間層との間に、両層の密着性を高めるためポリウレタン等のアンカーコート層を設けることもできる。
【0068】
本発明のシーラント用接着剤層を最外層とする蓋材用フィルムは、A-PET(アモルファスポリエチレンテレフタレート)、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ乳酸他、様々な種類のプラスチック製容器の蓋材として好適であり、高い封緘強度と易剥離性を有する。
【0069】
蓋材用フィルムの製造方法としては、特に制約はないが、シーラント用接着剤と支持基材層をラミネートする方法、シーラント用接着剤と支持基材層を共押出する方法などが挙げられる。
【0070】
ラミネートする方法としては、例えば、(1)支持基材層にアンカーコート剤を塗布し、接着剤層を溶融押出する押出ラミネート方法、(2)支持基材層にアンカーコート剤を塗布し、中間層を溶融押出した後、その上にシーラント用接着剤層を溶融押出する押出ラミネート方法、(3)支持基材層に、支持基材との接着性に優れたエチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体などからなる中間層を溶融押出した後、その上にシーラント用接着剤層を溶融押出する押出ラミネート方法、(4)支持基材層にアンカーコート剤を塗布し、中間層と接着剤層を同時に溶融押出する共押出ラミネート方法、(5)支持基材層に、支持基材との接着性に優れたエチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体などからなる中間層とシーラント用接着剤層を同時に溶融押出する共押出ラミネート方法、(6)予めインフレーション成形法やキャスト成形法によりシーラント接着剤を少なくとも1層含むフィルムを成形し、アンカーコート剤を塗布した支持基材層と貼り合わせるドライラミネート法、(7)アンカーコート剤を塗布した支持基材層とシーラント接着剤を少なくとも1層含むフィルムの間に押出ラミネートを用いて中間層を溶融押出しすることにより積層するサンドイッチ押出ラミネート方法などが挙げられる。一方、シーラント用接着剤と支持基材層を共押出する方法としては、共押出インフレーション法や共押出Tダイ法などを例示することができる。
【実施例
【0071】
以下、実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0072】
(エチレン-酢酸ビニル共重合体(A)の分子量の測定)
エチレン-酢酸ビニル共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィを用いて、以下に示す条件下で、単分散ポリスチレンでユニバーサルな検量線を測定し、直鎖のポリエチレンの分子量として計算した。
機種:ウォーターズ社製 150C ALC/GPC
溶媒:1,2,4-トリクロロベンゼン
流速:1ml/min
温度:140℃
測定濃度:30mg/30ml
注入量:100μl
カラム:東ソー(株)製 TSKgel GMH HR-H 3本
得られた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)からQwを計算した。
【0073】
実施例により得られた樹脂組成物の成形加工性、蓋材用フィルムについて、以下に示す方法にて接着強度、防曇性、スリップ性を測定した。
【0074】
(成形加工性の評価)
樹脂組成物ペレットを押出ラミネーター(プラコー(株)社製 スクリュー径25mmφ)を用いて、樹脂組成物ペレットを加工温度250℃で押出ラミネーションした際のラミロールとのリリース性(ロールとの剥離性、フィルムへの剥離痕の有無)を評価した。
同試験の判定の基準は、〇リリース性良好、×剥離困難、又はフィルムに剥離痕が発生、とした。
【0075】
(接着強度の測定)
蓋材用フィルムの接着剤面と、厚み0.35mmのA-PETシート(ミネロン化成工業社製)とを重ね合わせ、ヒートシールテスター(テスター産業社製、TP-701型)を用いて170℃、0.2MPa、1秒の条件で加圧加熱接着した。放冷後に、剥離角度180度、剥離速度300mm/分の条件にてシール強度を測定した。また、後述のシート厚みのPS、PP、ポリ乳酸(PLA)も同様の条件で測定した。
【0076】
(防曇性の測定)
200ml容量のポリプロピレン製容器に80℃のお湯20mlを注入し、この容器の口を蓋材用フィルムにて覆い、蓋材表面の曇り具合や水滴の状態を観察した。
同試験の判定の基準は、〇(水滴なく、透明)、△(一部水滴あるが、ほぼ透明)、×(全面曇り又は水滴付着で不透明)、とした。判定〇及び△を良好とした。
【0077】
(スリップ性の測定)
蓋材用フィルムの二軸延伸ポリエステルフィルム面と接着層面を重ねて手でこすり合わせてスリップ性を評価した。
同試験の判定の基準は、〇抵抗なく滑る、△一部抵抗感があるが滑る、×全く滑らない、とした。判定〇及び△を良好とした。
【0078】
実施例1
エチレン-酢酸ビニル共重合体(A)として、酢酸ビニル含量5.0%、メルトマスフローレイトが1.0g/10分、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Qwが3.8である樹脂(A-1)84.9重量部と、粘着付与剤樹脂(B)として、完全水添石油樹脂(B-1)(荒川化学工業(株)社製 商品名アルコンP125; 軟化温度125℃)15重量部、防曇剤(C)として、脂肪酸残基が飽和脂肪酸であり炭素数18であるステアリン酸とグリセリンを重合したポリグリセリンをエステル化反応させたジグリセリン脂肪酸エステル(C-1)(理研ビタミン((株)社製 商品名リケマールS-71D)0.1重量部をタンブラー混合機で予備ブレンドした後、二軸押出機を用い180℃で溶融混練し樹脂組成物のペレットを得た。なお、樹脂組成物には、熱安定性を考慮し、フェノール系酸化防止剤(BASF(株)社製、商品名イルガノックス1010)をシーラント用接着剤100重量部に対し0.05重量部添加した。
その後、あらかじめ支持基材層である二軸延伸ポリエステルフィルム(12μm厚み)に中間層である低密度ポリエチレン(25μm厚み、東ソー(株)社製 商品名ペトロセン203)を押出ラミネートした2層フィルムの低密度ポリエチレン表面に、押出ラミネーター(プラコー(株)社製 スクリュー径25mmφ)を用いて、樹脂組成物ペレットを加工温度250℃で押出ラミネーションし、樹脂組成物層厚み25μmの蓋材用フィルムを得た。
得られた樹脂組成物、及び蓋材用フィルムの評価結果を表1に示す。
【0079】
実施例2
エチレン-酢酸ビニル共重合体(A-1)の配合比率を84.9重量部から84.7重量部に変更し、防曇剤(C-1)の配合比率を0.1重量部から0.3重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物及び蓋材用フィルムを得た。
得られた樹脂組成物及び蓋材用フィルムの評価結果を表1に示す。
【0080】
実施例3
実施例2のエチレン-酢酸ビニル共重合体(A-1)、粘着付与樹脂(B-1)配合、防曇剤(C-1)の樹脂組成物に対し、さらに熱可塑性ブロック共重合体(D)として、水素添加スチレン-ブタジエン-ジブロック共重合体と水素添加スチレン-ブタジエン-スチレン-トリブロック共重合体の混合比が7/3であり、スチレン含量が30重量%であるビニル芳香族炭化水素とジオレフィンとの熱可塑性ブロック共重合体(D-1)(クレイトンG1726VS)3重量部を配合した以外は、実施例2と同様にして樹脂組成物及び蓋材用フィルムを得た。
得られた樹脂組成物、及び蓋材用フィルムの評価結果を表1に示す。
【0081】
実施例4
防曇剤(C-1)0.3重量部の代わりに、脂肪酸残基が飽和脂肪酸であり炭素数が18であるステアリン酸とモノグリセリンをエステル化反応させたグリセリン脂肪酸エステル(C-2)(理研ビタミン((株)社製 商品名リケマールS-100)0.3重量部を配合した以外は、実施例3と同様にして樹脂組成物及び蓋材用フィルムを得た。
得られた樹脂組成物及び蓋材用フィルムの評価結果を表1に示す。
【0082】
実施例5
エチレン-酢酸ビニル共重合体(A-1)の配合比率を84.7重量部から84.5重量部に変更し、防曇剤(C-1)0.3重量部の代わりに、ポリオキシエチレンアルキルアミンであるアミン化合物(C-3)(ライオン(株)製 商品名アーモスタット310)0.5重量部に変更した以外は、実施例3と同様にして樹脂組成物及び蓋材用フィルムを得た。
得られた樹脂組成物及び蓋材用フィルムの評価結果を表1に示す。
【0083】
実施例6
エチレン-酢酸ビニル共重合体(A-1)の配合比率を84.7重量部から84.5重量部に変更し、防曇剤(C-1)0.3重量部の代わりに、脂肪酸残基が飽和脂肪酸であり炭素数18であるステアリン酸とソルビタンをエステル化反応させたソルビタン脂肪酸エステル(C-4)(理研ビタミン((株)社製 商品名リケマールS-300)0.5重量部に変更した以外は、実施例3と同様にして樹脂組成物及び蓋材用フィルムを得た。
【0084】
実施例7
エチレン-酢酸ビニル共重合体(A-1)の配合比率を84.7重量部から84.5重量部に変更し、防曇剤(C-1)0.3重量部の代わりに、アルカンスルホン酸塩である有機スルホン酸塩(C-5)(ミヨシ油脂(株)社製 商品名ダスパー802D)0.5重量部に変更した以外は、実施例3と同様にして樹脂組成物及び蓋材用フィルムを得た。
得られた樹脂組成物及び蓋材用フィルムの評価結果を表1に示す。
【0085】
実施例8
防曇剤(C)として、防曇剤(C-1)の配合比率を0.1重量部から0.15重量部に変更し、かつ、さらにアミン化合物(C-3)を0.15重量部配合した以外は、実施例3と同様にして樹脂組成物及び蓋材用フィルムを得た。
得られた樹脂組成物及び蓋材用フィルムの評価結果を表1に示す。
【0086】
実施例9
エチレン-酢酸ビニル共重合体(A-1)84.7重量部の代わりに、酢酸ビニル含量7.5%、メルトマスフローレイトが2.0g/10分、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Qwが4.2である樹脂(A-2)84.7重量部を配合した以外は、実施例3と同様にして樹脂組成物及び蓋材用フィルムを得た。
得られた樹脂組成物及び蓋材用フィルムの評価結果を表2に示す。
【0087】
実施例10
実施例2の樹脂組成物に対し、熱可塑性ブロック共重合体(D-1)3重量部、エチレン・α-オレフィン共重合体(E)として、エチレンとプロピレンのランダム共重合体であり、密度が860kg/mであるエチレン・α-オレフィン共重合体(E-1)(三井化学(株)社製、商品名タフマーP-0375)20重量部を配合した以外は、実施例2と同様にして樹脂組成物及び蓋材用フィルムを得た。
得られた樹脂組成物及び蓋材用フィルムの評価結果を表2に示す。
【0088】
実施例11
実施例2の方法で得られた樹脂組成物及び蓋材用フィルムを用いて、A-PETシートの代わりに厚み0.4mmのPSシートを用いた以外は(接着強度の測定)に記載の方法と同様の方法で接着強度を測定した。
得られた樹脂組成物及び蓋材用フィルムの評価結果を表2に示す。
【0089】
実施例12
実施例3の方法で得られた蓋材用フィルムを用いて、実施例11と同様の方法で接着強度を測定した。
得られた樹脂組成物及び蓋材用フィルムの評価結果を表2に示す。
【0090】
実施例13
実施例2の方法で得られた樹脂組成物及び蓋材用フィルムを用いて、A-PETシートの代わりに0.3mmのPPシートを用いた以外は(接着強度の測定)に記載の方法と同様の方法で接着強度を測定した。
蓋材用フィルムの評価結果を表2に示す。
【0091】
実施例14
実施例3の方法で得られた蓋材用フィルムを用いて、実施例13と同様の方法で接着強度を測定した。
蓋材用フィルムの評価結果を表2に示す。
【0092】
実施例15
実施例2の方法で得られた樹脂組成物及び蓋材用フィルムを用いて、A-PETシートの代わりに0.3mmのPLAシートを用いた以外は(接着強度の測定)に記載の方法と同様の方法で接着強度を測定した。
蓋材用フィルムの評価結果を表2に示す。
【0093】
実施例16
実施例3の方法で得られた蓋材用フィルムを用いて、実施例15と同様の方法で接着強度を測定した。
蓋材用フィルムの評価結果を表2に示す。
【0094】
比較例1
エチレン-酢酸ビニル共重合体(A-1)の配合比率を84.9重量部から85重量部に変更し、防曇剤(C-1)の配合比率を0.1重量部から0重量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてシーラント用接着剤、及び蓋材用フィルムを得た。
得られた樹脂組成物及び蓋材用フィルムの評価結果を表3に示す。得られた樹脂組成物及び蓋材用フィルムは、成形加工性、防曇性、スリップ性に劣るものであった。
【0095】
比較例2
エチレン-酢酸ビニル共重合体(A-1)の配合比率を84.9重量部から84.95重量部に変更し、防曇剤(C-1)の配合比率を0.1重量部から0.05重量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてシーラント用接着剤、及び蓋材用フィルムを得た。
得られた樹脂組成物及び蓋材用フィルムの評価結果を表3に示す。得られた樹脂組成物及び蓋材用フィルムは、成形加工性、防曇性、スリップ性に劣るものであった。
【0096】
比較例3
エチレン-酢酸ビニル共重合体(A-1)の配合比率を84.9重量部から82重量部に変更し、防曇剤(C-1)の配合比率を0.1重量部から3重量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてシーラント用接着剤、及び蓋材用フィルムを得た。
得られた樹脂組成物及び蓋材用フィルムの評価結果を表3に示す。得られた樹脂組成物及び蓋材用フィルムは、接着強度に劣るものであった。
【0097】
比較例4
エチレン-酢酸ビニル共重合体(A-1)84.7重量部の代わりに、酢酸ビニル含量7.5%、メルトマスフローレイトが2.0g/10分、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Qwが6.4である樹脂(A-3)84.7重量部を配合した以外は、実施例2と同様にしてシーラント用接着剤、及び蓋材用フィルムを得た。
得られた樹脂組成物及び蓋材用フィルムの評価結果を表3に示す。得られた樹脂組成物及び蓋材用フィルムは、接着強度に劣るものであった。
【0098】
比較例5
エチレン-酢酸ビニル共重合体(A-1)84.7重量部の代わりに、酢酸ビニル含量5.5%、メルトマスフローレイトが8.5g/10分、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Qwが5.8であるエチレン-酢酸ビニル共重合体(A-4)(東ソー(株)製、商品名ウルトラセン537)84.7重量部を配合した以外は、実施例2と同様にしてシーラント用接着剤、及び蓋材用フィルムを得た。
得られた樹脂組成物及び蓋材用フィルムの評価結果を表3に示す。得られた樹脂組成物及び蓋材用フィルムは、接着強度に劣るものであった。
【0099】
本発明の実施例と比較例を比較することで、本発明のVAとQwを兼ね備えたエチレン―酢酸ビニル共重合体を配合した樹脂組成物は、VAとQwを兼ね備えていないエチレン―酢酸ビニル共重合体単成分または複数成分を含む組成物を同じ量を配合した組成物に比べて高い接着強度と防曇性に優れることは明らかである。
【0100】
【表1】
【0101】
【表2】
【0102】
【表3】