(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】基板処理装置及び基板処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20241016BHJP
B05C 13/02 20060101ALI20241016BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
H01L21/30 562
H01L21/30 569A
H01L21/30 564
B05C13/02
H01L21/68 A
(21)【出願番号】P 2020195412
(22)【出願日】2020-11-25
【審査請求日】2023-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002756
【氏名又は名称】弁理士法人弥生特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 剛史
(72)【発明者】
【氏名】土山 正志
(72)【発明者】
【氏名】榎木田 卓
(72)【発明者】
【氏名】山本 太郎
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-258208(JP,A)
【文献】特開2008-258209(JP,A)
【文献】特開2009-135169(JP,A)
【文献】特開2016-178185(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
H01L 21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を格納するキャリアが載置されるキャリアブロックと、
前記基板を処理する処理モジュールを各々備えると共に互いに積層される複数の階層と、前記各階層に共用されて前記基板を搬送する主搬送機構と、を各々備え、前記キャリアブロックとの間で前記基板を受け渡すと共に互いに積層される第1の下側処理ブロック、第1の上側処理ブロックからなる第1の処理ブロックと、
前記複数の階層と、前記主搬送機構と、を各々備え、前記第1の下側処理ブロック、前記第1の上側処理ブロックに夫々左右方向に隣接すると共に、互いに積層される第2の下側処理ブロック、第2の上側処理ブロックからなる第2の処理ブロックと、
前記第2の下側処理ブロックと、前記第2の上側処理ブロックとの間で前記基板が受け渡されるように昇降搬送機構を備え、前記第2の処理ブロックに対して前記左右方向において前記第1の処理ブロックが隣接する側とは反対側に隣接する中継ブロックと、
前記第1の上側処理ブロック及び前記第2の上側処理ブロックからなる上側処理ブロックと、前記第1の下側処理ブロック及び前記第2の下側処理ブロックからなる下側処理ブロックと、のうちの一方が前記キャリアブロックから前記中継ブロックに向けて前記基板を搬送する往路を形成し、他方が前記中継ブロックから前記キャリアブロックに向けて前記基板を搬送する復路を形成するように前記各主搬送機構の動作を制御する制御部と、
前記第1の上側処理ブロック及び前記第2の上側処理ブロックの各々か、前記第1の下側処理ブロック及び前記第2の下側処理ブロックの各々であって、バイパス搬送機構が各々設けられるバイパス搬送路形成ブロックと、を備え、
前記バイパス搬送機構は、前記バイパス搬送路形成ブロックの前記主搬送機構と共に前記往路または前記復路を形成するように動作し、当該バイパス搬送路形成ブロックについては前記第1の処理ブロックの主搬送機構及び前記第2の処理ブロックの主搬送機構のうちの一方によって下流側のブロックへ向けて前記基板が搬送されるように
し、
前記第1の処理ブロック、前記第2の処理ブロックにおけるバイパス搬送機構を、夫々第1のバイパス搬送機構、第2のバイパス搬送機構とすると、
前記第1のバイパス搬送機構及び前記第2のバイパス搬送機構は、前記左右方向に沿って前記基板を各々搬送し、
前記第1のバイパス搬送機構による前記基板の搬送路である第1のバイパス搬送路は、第1の処理ブロックから前記第2の下側処理ブロック及び前記第2の上側処理ブロックのうちの前記バイパス搬送路形成ブロックをなすブロックへ突出し、
前記第2のバイパス搬送機構による前記基板の搬送路である第2のバイパス搬送路は、第2の処理ブロックから前記第1の下側処理ブロック及び前記第1の上側処理ブロックのうちの前記バイパス搬送路形成ブロックをなすブロックへ突出する基板処理装置。
【請求項2】
前記第1のバイパス搬送機構による前記基板の搬送路である前記第1のバイパス搬送路と、前記第2のバイパス搬送機構による前記基板の搬送路である前記第2のバイパス搬送路と、の高さが互いに異なる請求項
1記載の基板処理装置。
【請求項3】
平面視、前記第1のバイパス搬送路と前記第2のバイパス搬送路とが重なる請求項
2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記第1のバイパス搬送路の上流側、下流側に各々設けられ、前記第1のバイパス搬送機構との間で前記基板が受け渡される第1のバイパス用基板載置部と、
前記第2のバイパス搬送路の上流側、下流側で前記第1のバイパス用基板載置部とは異なる高さに各々設けられると共に、前記第2のバイパス搬送機構との間で前記基板が受け渡される第2のバイパス用基板載置部と、
が設けられる請求項
2または3記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記第1のバイパス用基板載置部及び前記第2のバイパス用基板載置部は、昇降する載置部本体と、当該載置部本体から上側に突出して前記基板の下面を支持する支持部と、を備える請求項
4記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記第1及び第2のバイパス搬送機構のうちの一方のバイパス搬送機構と、前記第1及び第2のバイパス搬送路のうちの当該一方のバイパス搬送機構のバイパス搬送路と、前記第1及び第2のバイパス載置部のうち当該一方のバイパス搬送機構に対して前記基板が受け渡されるバイパス用基板載置部とについて、
前記バイパス搬送路の下流側の前記バイパス用基板載置部に前記バイパス搬送機構が前記基板を受け渡す位置に
当該バイパス搬送機構に設けられる前記基板を支持する支持体が位置したときに、平面視で前記支持部に対する当該バイパス搬送路の上流側には、前記
支持体が位置しない請求項
5記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記第1のバイパス搬送機構または前記第2のバイパス搬送機構は、前記第1の処理ブロックまたは前記第2の処理ブロックに各々設けられる移動機構と、前記移動機構に対して前記左右方向に移動する移動体と、前記移動体に対して前記左右方向に移動し、前記基板を支持する支持体と、を備える請求項2ないし
6のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記移動体は前記移動機構に対して
当該移動機構の左端から左側に突出する位置と、
当該移動機構の右端から右側に突出する位置との間で移動し、
前記支持体は、前記移動体に対して
当該移動体の左端から左側に突出する位置と、
当該移動体の右端から右側に突出する位置との間で移動する請求項
7記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記第1の下側処理ブロック、前記第1の上側処理ブロック、前記第2の下側処理ブロック、前記第2の上側処理ブロックの各々において、
前記階層に対して前記主搬送機構により前記基板が搬送される主搬送路が前後の一方側に位置し、
前記第1の下側処理ブロック、前記第1の上側処理ブロック、前記第2の下側処理ブロック、前記第2の上側処理ブロックのうち、前記バイパス搬送路形成ブロックをなす各ブロックにおいては、前記主搬送領域の前後の一方側にバイパス搬送機構が設けられる請求項1ないし
8のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記階層には前記処理モジュールとして、前記基板に処理液を供給する液処理モジュールが設けられる請求項
9記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記バイパス搬送路形成ブロックを構成するブロックのうちの少なくとも1つには、前記主搬送路の前後の一方側に、前記基板に対して前記液処理モジュールとは別の種類の処理を行う複数の処理モジュールからなる積層体が設けられ、
前記第1のバイパス搬送機構及び前記第2のバイパス搬送機構は、前記処理モジュールの積層体に対して、前記上側処理ブロック及び前記下側処理ブロックのうち、当該バイパス搬送路形成ブロックに上方または下方から接続されるブロック側に設けられる請求項
10記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記第1の下側処理ブロック、前記第1の上側処理ブロック、前記第2の下側処理ブロック、前記第2の上側処理ブロックの各々に前記バイパス搬送機構が設けられ、
前記上側処理ブロック及び下側処理ブロックのうちの各々が前記バイパス搬送路形成ブロックをなす請求項1ないし
11のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項13】
基板を格納するキャリアが載置されるキャリアブロックと、
前記基板を処理する処理モジュールを各々備えると共に互いに積層される複数の階層と、前記各階層に共用されて前記基板を搬送する主搬送機構と、を各々備え、前記キャリアブロックとの間で前記基板を受け渡すと共に互いに積層される第1の下側処理ブロック、第1の上側処理ブロックからなる第1の処理ブロックと、
前記複数の階層と、前記主搬送機構と、を各々備え、前記第1の下側処理ブロック、前記第1の上側処理ブロックに夫々左右方向に隣接すると共に、互いに積層される第2の下側処理ブロック、第2の上側処理ブロックからなる第2の処理ブロックと、
前記第2の下側処理ブロックと、前記第2の上側処理ブロックとの間で前記基板が受け渡されるように昇降搬送機構を備え、前記第2の処理ブロックに対して前記左右方向において前記第1の処理ブロックが隣接する側とは反対側に隣接する中継ブロックと、
を備える基板処理装置を用いた基板処理方法において、
前記第1の上側処理ブロック及び前記第2の上側処理ブロックからなる上側処理ブロックと、前記第1の下側処理ブロック及び前記第2の下側処理ブロックからなる下側処理ブロックと、のうちの一方が前記キャリアブロックから前記中継ブロックに向けて前記基板を搬送する往路を形成し、他方が前記中継ブロックから前記キャリアブロックに向けて前記基板を搬送する復路を形成するように前記各主搬送機構により前記基板を搬送する工程と、
前記第1の上側処理ブロック及び前記第2の上側処理ブロックの各々か、前記第1の下側処理ブロック及び前記第2の下側処理ブロックの各々であって、バイパス搬送機構が各々設けられるバイパス搬送路形成ブロックにて、前記第1の処理ブロック、前記第2の処理ブロック毎に設けられるバイパス搬送機構により、当該バイパス搬送路形成ブロックの前記主搬送機構と共に前記往路または前記復路を形成するように前記基板を搬送する工程と、
当該バイパス搬送路形成ブロックについては、前記第1の処理ブロックの主搬送機構及び前記第2の処理ブロックの主搬送機構のうちの一方と、前記バイパス搬送機構とにより、下流側のブロックへ向けて前記基板を搬送する工程と、
を備え
、
前記第1の処理ブロック、前記第2の処理ブロックにおけるバイパス搬送機構を、夫々第1のバイパス搬送機構、第2のバイパス搬送機構とすると、
前記第1のバイパス搬送機構及び前記第2のバイパス搬送機構により、前記左右方向に沿って前記基板を各々搬送する工程を備え、
前記第1のバイパス搬送機構による前記基板の搬送路である第1のバイパス搬送路は、第1の処理ブロックから前記第2の下側処理ブロック及び前記第2の上側処理ブロックのうちの前記バイパス搬送路形成ブロックをなすブロックへ突出し、
前記第2のバイパス搬送機構による前記基板の搬送路である第2のバイパス搬送路は、第2の処理ブロックから前記第1の下側処理ブロック及び前記第1の上側処理ブロックのうちの前記バイパス搬送路形成ブロックをなすブロックへ突出する基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置及び基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程においては、半導体ウエハ(以下、ウエハと記載する)が、各種の処理モジュール間を搬送されることで液処理や加熱処理などの各処理が行われる。特許文献1には、複数の処理モジュールが各々設けられると共に互いに積層される複数の単位ブロックと、処理モジュール間でウエハを搬送するために単位ブロック毎に設けられるメインアームと、を各々備える処理ブロックS2、S4を含む塗布、現像装置について記載されている。処理ブロックS2、S4はキャリアブロックと露光装置とに挟まれると共に、処理ブロックS2、S4間にはウエハを昇降搬送するブロックS3が介在する。そして、各処理ブロックS2、S4の下側の単位ブロックにはメインアームとは別の搬送機構として、処理モジュールを介さずにウエハを搬送するシャトルアームが複数設けられている。
【0003】
処理ブロックS2のシャトルアームを利用してブロックS3に搬送されたウエハは処理ブロックS2、S4の上側の単位ブロックに振り分けられた後、ブロックS3に戻されて処理ブロックS4のシャトルアームを利用して露光装置に搬送される。その後、処理ブロックS2、S4の一方で処理を行うにあたり、シャトルアームを利用して処理を行わないブロックの処理モジュールについてバイパスされるようにキャリアブロック側へ搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、基板処理装置におけるスループットを高くすることができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の基板処理装置は、基板を格納するキャリアが載置されるキャリアブロックと、
前記基板を処理する処理モジュールを各々備えると共に互いに積層される複数の階層と、前記各階層に共用されて前記基板を搬送する主搬送機構と、を各々備え、前記キャリアブロックとの間で前記基板を受け渡すと共に互いに積層される第1の下側処理ブロック、第1の上側処理ブロックからなる第1の処理ブロックと、
前記複数の階層と、前記主搬送機構と、を各々備え、前記第1の下側処理ブロック、前記第1の上側処理ブロックに夫々左右方向に隣接すると共に、互いに積層される第2の下側処理ブロック、第2の上側処理ブロックからなる第2の処理ブロックと、
前記第2の下側処理ブロックと、前記第2の上側処理ブロックとの間で前記基板が受け渡されるように昇降搬送機構を備え、前記第2の処理ブロックに対して前記左右方向において前記第1の処理ブロックが隣接する側とは反対側に隣接する中継ブロックと、
前記第1の上側処理ブロック及び前記第2の上側処理ブロックからなる上側処理ブロックと、前記第1の下側処理ブロック及び前記第2の下側処理ブロックからなる下側処理ブロックと、のうちの一方が前記キャリアブロックから前記中継ブロックに向けて前記基板を搬送する往路を形成し、他方が前記中継ブロックから前記キャリアブロックに向けて前記基板を搬送する復路を形成するように前記各主搬送機構の動作を制御する制御部と、
前記第1の上側処理ブロック及び前記第2の上側処理ブロックの各々か、前記第1の下側処理ブロック及び前記第2の下側処理ブロックの各々であって、バイパス搬送機構が各々設けられるバイパス搬送路形成ブロックと、を備え、
前記バイパス搬送機構は、前記バイパス搬送路形成ブロックの前記主搬送機構と共に前記往路または前記復路を形成するように動作し、当該バイパス搬送路形成ブロックについては前記第1の処理ブロックの主搬送機構及び前記第2の処理ブロックの主搬送機構のうちの一方によって下流側のブロックへ向けて前記基板が搬送されるようにし、
前記第1の処理ブロック、前記第2の処理ブロックにおけるバイパス搬送機構を、夫々第1のバイパス搬送機構、第2のバイパス搬送機構とすると、
前記第1のバイパス搬送機構及び前記第2のバイパス搬送機構は、前記左右方向に沿って前記基板を各々搬送し、
前記第1のバイパス搬送機構による前記基板の搬送路である第1のバイパス搬送路は、第1の処理ブロックから前記第2の下側処理ブロック及び前記第2の上側処理ブロックのうちの前記バイパス搬送路形成ブロックをなすブロックへ突出し、
前記第2のバイパス搬送機構による前記基板の搬送路である第2のバイパス搬送路は、第2の処理ブロックから前記第1の下側処理ブロック及び前記第1の上側処理ブロックのうちの前記バイパス搬送路形成ブロックをなすブロックへ突出する。
【発明の効果】
【0007】
本開示は、基板処理装置におけるスループットを高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の第1の実施形態に係る基板処理装置の横断平面図である。
【
図6】前記基板処理装置に設けられる搬送機構の動作を示す説明図である。
【
図7】前記基板処理装置に設けられる搬送機構の動作を示す説明図である。
【
図8】前記基板処理装置に設けられる搬送機構の動作を示す説明図である。
【
図9】前記基板処理装置における搬送経路の概略図である。
【
図10】第2の実施形態に係る塗布、現像装置の横断平面図である。
【
図12】第3の実施形態に係る塗布、現像装置の横断平面図である。
【
図14】前記塗布、現像装置の右縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔第1の実施形態〕
本開示の第1の実施形態に係る基板処理装置1について、
図1の横断平面図、
図2、
図3の縦断正面図を夫々参照して説明する。
図2、
図3については装置の異なる位置の断面を示している。基板処理装置1は、キャリアブロックD1と、第1の処理ブロックD2と、第2の処理ブロックD3と、インターフェイスブロックD4と、がこの順で横方向に直線状に配列され、隣り合うブロック同士が互いに接続されている。これらのブロック(キャリアブロック、第1及び第2の処理ブロック、インターフェイスブロック)D1~D4は各々筐体を備えて互いに区画されており、各筐体の内部に基板であるウエハWの搬送領域が形成されている。
【0010】
以降の説明にあたり、これらブロックD1~D4の配列方向を左右方向とし、キャリアブロックD1側を左側、インターフェイスブロックD4を右側とする。また、装置の前後方向について、キャリアブロックD1を左に見たときの手前を前方、奥を後方とする。中継ブロックであるインターフェイスブロックD4には、右側から露光機20が接続されている。なお、このような配置であるため、第2の処理ブロックD3に対し、左右方向において第1の処理ブロックD2が隣接する側とは反対側に、インターフェイスブロックD4が隣接している。
【0011】
ブロックD1~D4の各々について詳細に説明する前に、基板処理装置1の概略構成を述べる。基板処理装置1には、例えばFOUP(Front Opening Unify Pod)と呼ばれるキャリアCに格納された状態でウエハWが搬送され、当該ウエハWの表面にはレジスト膜が形成されている。基板処理装置1は、液処理である洗浄処理及び現像処理、露光後で現像処理前のウエハWの加熱処理(PEB:Post Exposure Bake)などの各種の処理を行う処理モジュールを備え、また、PEBを行う前にレジスト膜を露光するために露光機20にウエハWを受け渡す。
【0012】
第1の処理ブロックD2及び第2の処理ブロックD3は、各々縦方向において2分割されるように区画されている。そのように互いに区画された第1の処理ブロックD2の下側、上側を夫々第1の下側処理ブロックD21、第1の上側処理ブロックD22とする。また、互いに区画された第2の処理ブロックD3の下側、上側を夫々第2の下側処理ブロックD31、第2の上側処理ブロックD32とする。従って、第1の下側処理ブロックD21及び第1の上側処理ブロックD22は互いに積層され、第2の下側処理ブロックD31及び第2の上側処理ブロックD32は互いに積層される。そして、第1の下側処理ブロックD21及び第1の上側処理ブロックD22が互いに隣接し、第2の下側処理ブロックD31及び第2の上側処理ブロックD32が互いに隣接する。
【0013】
これらの処理ブロック(D21、D22、D31、D32)の各々が上記の処理モジュールと、処理モジュールに対する受け渡しが可能な搬送機構(主搬送機構)と、を備える。さらに、第1の上側処理ブロックD22及び第2の上側処理ブロックD32には、そのように処理モジュールへ受け渡す搬送機構とは別の搬送機構が各々設けられる。当該別の搬送機構について、以降はシャトルとして記載する。このシャトルは、処理モジュールを経由しないようにウエハWを下流側のブロックに向けて搬送するバイパス搬送機構であり、当該シャトルが設けられる第1の上側処理ブロックD22及び第2の上側処理ブロックD32は、バイパス搬送路形成ブロックである。
【0014】
第1の下側処理ブロックD21及び第2の下側処理ブロックD31は、キャリアブロックD1からインターフェイスブロックD4へ向けてウエハWを搬送する往路を形成する。そして、第1の上側処理ブロックD22及び第2の上側処理ブロックD32については、露光機20にて露光済みのウエハWを、インターフェイスブロックD4からキャリアブロックD1へ向けて搬送する復路を形成し、互いに同じ処理を行えるように同じ種類の処理モジュールが設けられる。当該復路においてウエハWは、第1の上側処理ブロックD22及び第2の上側処理ブロックD32のうちの一方のブロックにおける搬送機構によって処理モジュールへ搬送されて処理を受け、他方のブロックではシャトルによって搬送される。
【0015】
上記の往路をなす第1の下側処理ブロックD21及び第2の下側処理ブロックD31についてまとめて下側処理ブロックG1、復路をなす第1の上側処理ブロックD22及び第2の上側処理ブロックD32についてまとめて上側処理ブロックG2として記載する場合がある。上記のようにシャトルが設けられることにより、上側処理ブロックG2ではウエハWは2つの搬送経路のうちのいずれかの経路で搬送される。なおモジュールとは搬送機構(シャトルを含む)以外でのウエハWが載置される場所である。ウエハWに処理を行うモジュールを、上記のように処理モジュールとして記載するが、この処理としては検査のために画像を取得することも含む。
【0016】
以下、キャリアブロックD1について、
図4の側面図も参照しながら説明する。基板処理装置1が設置されるクリーンルーム内に設けられる図示しないキャリア用の搬送機構(外部搬送機構)によって、当該キャリアブロックD1に対してキャリアCが搬入出される。キャリアブロックD1は当該キャリアCに対してウエハWの搬入出を行うブロックである。
【0017】
キャリアブロックD1を構成する既述の筐体を11とする。当該筐体11は角型に形成されており、その下部側は左方へと突出して支持台12を形成している。また支持台12の上側における筐体11の左側面について、縦方向に互いに離間した2箇所が左方に突出し、各々支持台13、14を形成している。下方側の支持台、上方側の支持台を夫々13、14とする。
【0018】
支持台12~14については例えば4つずつ、前後方向に間隔を空けてキャリアCを載置することが可能であり、そのように各々キャリアCを載置するステージが設けられており、当該ステージについては左方から見て、例えば3×4の行列状に配置される。なお、支持台12の左端部は支持台13、14よりも左方側に突出しており、支持台12におけるステージは当該支持台12の右側で、支持台13、14の下方位置に設けられている。支持台12の内部は、既述のように第1の処理ブロックD2及び第2の処理ブロックD3における液処理用の処理液が貯留されたボトルが格納される領域とされる。
【0019】
後述するキャリア移載機構21により、各ステージ間でのキャリアCの移載が可能である。この各ステージについて述べると、支持台13、14の各々の前方側の2つのステージは、装置に対してウエハWの搬入出を行うためにキャリアCが載置される移動ステージ15として構成されている。従って、移動ステージ15は左方から見て2×2の行列状に配置されている。当該移動ステージ15は、上記のウエハWの搬入出を行うための右方側のロード位置と、キャリア移載機構21との間でキャリアCの受け渡しを行うための左方側のアンロード位置との間で移動する。本例では、支持台12の移動ステージ15は装置内へ未処理のウエハWを払い出すためにキャリアCを載置するステージ(ローダー)、支持台13の移動ステージ15は装置にて処理済みのウエハWを格納するためにキャリアCを載置するステージ(アンローダー)として、用途が区別される。ただし一つの移動ステージ15が、ローダーとアンローダーとを兼用してもよい。
【0020】
他のステージについて述べると、支持台13、14における後側の2つのステージ及び支持台14における2つのステージは仮置きステージ16として構成されている。また、支持台14における他の2つのステージは搬入ステージ17、搬出ステージ18として構成されている。例えば、支持台14の後端側のステージ、前端側のステージが夫々、搬入ステージ17、搬出ステージ18である。これらの搬入ステージ17、搬出ステージ18は、既述した外部搬送機構が当該基板処理装置1に対してキャリアCを夫々搬入、搬出するにあたり、当該キャリアCを載置するステージである。
【0021】
キャリアCは、搬入ステージ17→支持台12の移動ステージ15→支持台13の移動ステージ15→搬出ステージ18の順で移載される。このように各ステージ間でキャリアCを移載するにあたり、移載先のステージが空いてなければ(他のキャリアCにより占有されていれば)、当該キャリアCは当該移載先のステージが空くまで、仮置きステージ16に載置されて待機する。
【0022】
支持台12の左側の上方には、キャリア移載機構21が設けられる。キャリア移載機構21は、キャリアCの上部に設けられた被保持部を保持することができる多関節アーム22と、当該多関節アーム22を昇降移動及び前後移動させることができる移動機構23と、を備え、既述したようにステージ間でキャリアCを移載することができる。
【0023】
筐体11の左側壁には、ウエハWの搬入出を行うための搬送口24が形成されており、上記の移動ステージ15の配置に合わせて2×2の行列状に形成されている。各搬送口24にはドア25が設けられている。当該ドア25は上記のロード位置における移動ステージ15上のキャリアCの蓋を保持可能であると共に、当該蓋を保持した状態で移動して搬送口24を開閉可能である。
【0024】
上記の搬送口24は、筐体11内に形成されるウエハWの搬送領域31に面しており、当該搬送領域31は、平面視、前後に長い直線状に形成されている。当該搬送領域31の前方側には、搬送機構32が設けられている。当該搬送機構32は前後移動自在、昇降自在、且つ鉛直軸まわりに回動自在な基台と、基台上を進退自在なウエハWの保持部と、を備える。当該搬送機構32は、既述のロード位置における移動ステージ15上のキャリアCと、後述のモジュール積層体T1及び処理前検査モジュール41と、にアクセスしてウエハWの受け渡しを行うことができる。
【0025】
キャリアブロックD1には処理前検査モジュール41が設けられており、当該処理前検査モジュール41は、基板処理装置1による処理前のウエハWの表面を撮像する。その撮像により得られた画像データが後述の制御部10に送信され、当該制御部10により当該画像データに基づいてウエハWの異常の有無の判定が行われる。処理前検査モジュール41は左右に細長で扁平な直方体形状に構成されており、右側が搬送領域31の前後の中央部に位置し、左側は筐体11の左側壁を貫き、当該筐体11の外側に突出している。
【0026】
処理前検査モジュール41は、当該モジュール内を左右で移動自在なステージ42と、ステージ42の移動路の上方に設けられたハーフミラー43と、ハーフミラー43を介して下方に光を照射する照明部44と、ハーフミラー43の左方に設けられたカメラ45と、を備える(
図3参照)。モジュール内の右側に位置するステージ42に対して搬送機構32によりウエハWが受け渡される。そのようにウエハWが受け渡されたステージ42が左側へ移動してハーフミラー43の下方を通過中に、照明部44により光が照射されると共に、カメラ45によるハーフミラー43に映ったウエハWの撮像が行われ、上記の画像データが取得される。
【0027】
そして、
図1に示すように搬送領域31において、平面視、処理前検査モジュール41の後方に位置するように搬送機構33が設けられている。当該搬送機構33は、昇降自在、且つ鉛直軸まわりに回動自在な基台と、基台上を進退自在なウエハWの保持部と、を備え、後述のモジュール積層体T1及び第1の上側処理ブロックD22のシャトル用のTRS12に対して、ウエハWを受け渡し可能である。
【0028】
続いて、モジュール積層体T1について説明する。このモジュール積層体T1は、ウエハWを仮置きする受け渡しモジュールTRSと、温度調整モジュールSCPLと、が縦方向に重なることで構成されており、搬送領域31の前後の中央部に設けられている。従って、当該モジュール積層体T1は平面視、搬送機構32、33によって前後方向に挟まれると共に、処理前検査モジュール41の右側に重なって配置される。また、既述したキャリア用のステージについて、移動ステージ15を含む前方側の縦2列のステージはモジュール積層体T1よりも前方側に配置されている。後方側の縦2列のステージについて、1つ列はモジュール積層体T1の左方に位置し、他の1つの列はモジュール積層体T1よりも後方に位置している。
【0029】
受け渡しモジュールTRSについては、例えば横方向に並んだ複数のピンを備え、搬送機構の昇降動作によって当該ピンに対してウエハWが受け渡される。SCPLについては例えばウエハWが載置されるプレートに冷媒流路が接続されることで載置されたウエハWが冷却される構成とされており、搬送機構の昇降動作によって当該プレートに対してウエハWが受け渡される。なお、SCPLはキャリアブロックD1以外のブロックにも設けられており、D1以外のブロックのSCPLについても、例えばキャリアブロックD1のSCPLと同様の構成である。そしてTRSについてもD1以外のブロックにも設けられている。それらのTRSについては、後述のシャトルとの間でウエハWを受け渡すシャトル用のTRS以外はキャリアブロックD1のTRSと同様の構成である。以降は各所のSCPL、TRSを互いに区別するために、SCPL、TRSの後に数字を付して示す。そして、各所のTRS、SCPLは例えば複数、積層されて設けられる。つまり同じ数字を付すTRS、SCPLについて各々複数ずつ設けられるが、図示の便宜上、一つのみ表示する。なお、本明細書においてモジュールの積層体とは平面視、重なって設けられるモジュールのことを意味するものであり、モジュール同士が互いに離れていてもよいし、接していてもよい。
【0030】
モジュール積層体T1を構成するモジュールの一部は、処理前検査モジュール41の下側に、他の一部は処理前検査モジュール41の上側に夫々設けられている。例えば下側から上側に向けてTRS1、TRS2、SCPL1、TRS3、SCPL2の順で設けられており、SCPL1とTRS3との間に処理前検査モジュール41が位置している(
図3参照)。そして、例えばTRS1、TRS2、SCPL1については、第1の下側処理ブロックD21の高さに各々位置し、TRS3、SCPL2については、第1の上側処理ブロックD22の高さに各々位置している。搬送機構33はこれらのモジュール積層体T1を構成する各モジュールにアクセスすることが可能であり、搬送機構32は、TRS1、TRS2にアクセスすることが可能である。
【0031】
TRS1、TRS2は、搬送機構32、33間でのウエハWの受け渡しに用いられる。SCPL1は、第1の下側処理ブロックD21とキャリアブロックD1との間でのウエハWの受け渡しに用いられる。従ってSCPL1には、後述する第1の下側処理ブロックD21の搬送機構6Aもアクセス可能である。また、TRS3は、第1の上側処理ブロックD22とキャリアブロックD1との間でのウエハWの受け渡しに用いられる。従ってTRS3には後述の第1の上側処理ブロックD22の搬送機構6Bもアクセス可能である。SCPL2については、第1の上側処理ブロックD22にて現像処理を受ける前のウエハWの温度調整を行うためのモジュールであり、搬送機構6Bがアクセスする。
【0032】
続いて、第1の処理ブロックD2について、縦断側面図である
図5も参照して説明する。第1の処理ブロックD2の前方側は縦方向において区画されることで8つの階層が形成されており、各階層について下側から上側に向けてE1~E8とする。下側のE1~E4の階層が第1の下側処理ブロックD21に、上側のE5~E8の階層が第1の上側処理ブロックD22に夫々含まれる。各階層は、液処理モジュールを設置可能な領域をなす。
【0033】
先ず、第1の上側処理ブロックD22について説明する。階層E5~E8には液処理モジュールとして、現像モジュール51が各々設けられている。現像モジュール51は、左右に並ぶと共にウエハWを各々収納する2つのカップ52と、ノズル(不図示)と、を備えており、図示しないポンプによって上記のボトルから供給される現像液をウエハWの表面に供給して処理を行う。
【0034】
階層E5~E8の後方側にはウエハWの搬送領域53が設けられており、上側処理ブロックD22の左端から右端に亘って、平面視直線状に形成されている。従って、搬送領域53の伸長方向は、キャリアブロックD1の搬送領域31の伸長方向に直交している。なお、搬送領域53は階層E5の高さから階層E8の高さに亘って形成されている。つまり、搬送領域53は、階層E5~E8毎に区画されていない。
【0035】
そして搬送領域53の後方には、処理モジュールが例えば縦方向に7段に積層されて設けられており、その処理モジュールの積層体が2つ、左右に並んで配列されている。即ち、この処理モジュールの積層体及び上記のカップ52の各々は、搬送領域53の伸長方向に沿って設けられている。
【0036】
上記の左右に並んだ処理モジュールの積層体を後部側処理部50とする。この後部側処理部50を構成する処理モジュールとして、複数の加熱モジュール54及び複数の処理後検査モジュール57が含まれる。加熱モジュール54は既述したPEBを行うモジュールであり、ウエハWを載置して加熱する熱板55と、ウエハWの温度調整を行う冷却プレート56と、を備えている。冷却プレート56は、後述の搬送機構6Bの昇降動作によりウエハWが受け渡される前方位置と、熱板55に重なる後方位置との間を移動可能である。熱板55が備える図示しないピンの昇降動作と、冷却プレート56の当該移動との協働により、熱板55と冷却プレート56との間でウエハWが受け渡される。
【0037】
処理後検査モジュール57は処理前検査モジュール41と同様の構成であり、撮像時におけるウエハWの移動方向が前後方向となるように配置される。この処理後検査モジュール57は、基板処理装置1により処理済みのウエハWの表面、より具体的には現像によりレジストパターンが形成されたウエハWの表面の画像データを取得して、制御部10に送信する。
【0038】
主搬送路である搬送領域53には既述した主搬送機構である搬送機構6Bが設けられており、搬送機構6Bは左右移動自在、昇降自在、且つ鉛直軸まわりに回動自在な基台61と、基台61上を進退自在なウエハWの保持部62と、を備える。なお、この搬送機構6Bを含む基板処理装置1内におけるシャトル以外の各搬送機構の保持部は2つずつ設けられ、基台上を互いに独立して進退可能である。
【0039】
上記の搬送機構6Bの基台61を左右移動させるための移動機構63が後部側処理部50の下方に設けられており、当該移動機構63と後部側処理部50との間には扁平なスペース71Aが形成されている。スペース71Aは第1の上側処理ブロックD22の左端から右端に亘って形成されている。そして、シャトル及び当該シャトル用のTRS12、TRS14が当該スペース71Aに設置されているが、これらについては後に詳述する。上記の搬送機構6Bは、第1の上側処理ブロックD22内の各処理モジュール、上記のキャリアブロックD1のTRS3及びSCPL2、シャトル用のTRS14に対してウエハWの受け渡しを行うことができる。つまり、積層された複数の階層に設けられる各液処理モジュールに対して、搬送機構6Bは共用される。
【0040】
続いて、第1の下側処理ブロックD21について説明する。当該第1の下側処理ブロックD21は、既述の第1の上側処理ブロックD22と概ね同様の構成であり、以下、第1の上側処理ブロックD22との差異点を中心に説明する。階層E1には処理モジュールは設けられておらず、階層E2~E4に液処理モジュールとして裏面洗浄モジュール47が設けられている。裏面洗浄モジュール47は、ウエハWの表面に現像液を供給するノズルが設けられる代わりにウエハWの裏面に洗浄液を供給するノズルが設けられることを除いて、現像モジュール51と同様の構成である。
【0041】
そして後部側処理部50をなす処理モジュールとしては、現像字にウエハWの周縁部の不要なレジスト膜が除去されるようにするための周縁露光モジュール48が含まれている。搬送領域53に設けられる主搬送機構については搬送機構6Aとして示しており、既述の搬送機構6Bと同様の構成である。当該搬送機構6Aは、第1の下側処理ブロックD21の各処理モジュール、上記のモジュール積層体T1のSCPL1、後述するモジュール積層体T2に対してウエハWを受け渡す。なお、第1の下側処理ブロックD21にはシャトル及びシャトル用のTRSが設けられていない。
【0042】
続いて、第2の処理ブロックD3について説明する。当該第2の処理ブロックD3は、第1の処理ブロックD2と略同様の構成であり、以下、第1の処理ブロックD2との差異点を中心に説明する。先ず、第2の上側処理ブロックD32について、第1の上側処理ブロックD22との差異点を述べると、搬送領域53における左端部に、モジュール積層体T2をなすSCPL3が設けられることが挙げられる(
図3参照)。当該SCPL3は、第2の上側処理ブロックD32における現像処理前のウエハWの温度調整用のモジュールである。
【0043】
また、この第2の上側処理ブロックD32における主搬送機構を6Dとする。この搬送機構6Dを移動させる移動機構63と後部側処理部50との間にも、第1の上側処理ブロックD22のスペース71Aと同様のスペース71Bが形成されている。スペース71Bはスペース71Aと同じ高さに位置し、当該スペース71Aに連通している。スペース71Bには、シャトル及びシャトル用のTRS11、TRS13が設置されているが、これらについては後述する。上記の搬送機構6Dは、上側処理ブロックD22内の各処理モジュール、後述のインターフェイスブロックD4のモジュール積層体T3、シャトル用のTRS11に対してウエハWの受け渡しを行う。
【0044】
第2の上側処理ブロックD32におけるモジュールのレイアウトについて補足しておくと、後部側処理部50、現像モジュール51のカップ52の各々については、搬送機構6Dによる受け渡しが可能であるように、モジュール積層体T2よりも右側に位置する。液処理モジュール及び後部側処理部50のレイアウトについては、第1及び第2の下側処理ブロックD21、D31、第1及び第2の上側処理ブロックD22、D32間で共通である。従って、既述した第1の下側処理ブロックD21及び第1の上側処理ブロックD22についても、後部側処理部50及び液処理モジュールのカップ52は、ブロックの左端部から離れた位置に設けられている。
【0045】
続いて、第2の下側処理ブロックD31について説明すると、搬送領域53における左端部には、上記のSCPL2と共にモジュール積層体T2をなすTRS4が設けられている(
図3参照)。階層E1、E2には液処理モジュールが設けられておらず、階層E3、E4には、露光機20による露光後にウエハWの表面を洗浄する露光後洗浄モジュール49が設けられている。当該露光後洗浄モジュール49は、ウエハWに供給する処理液が現像液の代わりに洗浄液であることを除いて、現像モジュール51と同様の構成である。また、第2の下側処理ブロックD31では当該洗浄以外の処理は行われず、搬送領域53の後方に後部側処理部50が設けられていない。
【0046】
第2の下側処理ブロックD31における主搬送機構を搬送機構6Cとする。当該搬送機構6Cは、下側処理ブロックD21内の各処理モジュール、後述のインターフェイスブロックD4のモジュール積層体T3に対してウエハWの受け渡しを行う。
【0047】
以降はインターフェイスブロックD4について説明する。インターフェイスブロックD4は、前後の中央部にモジュール積層体T3を備える。このモジュール積層体T3は、互いに積層されたTRS5~TRS8、温度調整モジュールICPLにより構成されている。なお、これらの他に例えばウエハWを一時待機させるバッファモジュールなどが設けられるが、説明は省略する。ICPLは露光機20による露光の直前にウエハWが搬送されるモジュールであり、SCPLと同様に、載置されたウエハWの温度を調整する。TRS5~TRS7は下側処理ブロックG1の高さに、TRS8は上側処理ブロックG2の高さに夫々設けられている。モジュール積層体T3の前方、後方には夫々搬送機構36、37が設けられている。
【0048】
搬送機構36はキャリアブロックD1の搬送機構32と同様に構成されており、露光機20とTRS5とモジュール積層体T3の下方寄りに位置するICPLとの間でウエハWを受け渡す。昇降搬送機構である搬送機構37はキャリアブロックD1の搬送機構38と同様に構成され、モジュール積層体T3を構成する各モジュールと、第2の上側処理ブロックD32のシャトル用のTRS13と、に対してウエハWの受け渡しを行う。
【0049】
続いて、第1の上側処理ブロックD22、第2の上側処理ブロックD32に設けられるシャトルについて、夫々7A、7Bとして説明する。第1のバイパス搬送機構であるシャトル7Aは、移動機構72Aと、移動体73Aと、支持体74Aと、を備えている。移動機構72Aは左右に伸びる長尺な部材として構成されると共に、既述した第1の上側処理ブロックD22のスペース71Aに収まるように設けられている。移動体73Aは移動機構72Aに対して前方側に接続されており、左右に伸長している。支持体74Aは移動体73Aに対して前方側に接続されており、左右に細長の直方体状に形成されている。この支持体74A上にウエハWが支持されて、水平な直線状且つ左右方向に沿って搬送される。
【0050】
移動機構72Aにより、移動体73Aが当該移動機構72Aに対して左右に移動自在である。そして、この移動機構72Aに対する移動体73Aの移動に応じて、移動体73Aに対して支持体74Aが左右に移動する(
図6~
図8参照)。移動体73Aは、その右端が移動機構72Aの右端よりも右側(インターフェイスブロックD4側)に位置する右位置と、その左端が移動機構72Aの左端よりも左側(キャリアブロックD1側)に位置する左位置と、の間で移動する。移動体73Aが上記の右位置に位置するとき、支持体74Aの右端が移動体73Aの右端よりも右側に位置する状態(
図6に示す状態)となる。当該状態の支持体74Aの位置を右搬送位置とする。移動体73Aが上記の左位置に位置するとき、支持体74Aの左端が移動体73Aの左端よりも左側に位置する状態(
図8に示す状態)となる。当該状態の支持体74Aの位置を左搬送位置とする。
【0051】
シャトル7Aは、第2の上側処理ブロックD32に設けられるTRS11から第1の上側処理ブロックD22に設けられるTRS12に向けてウエハWを搬送する。TRS11について説明すると、当該TRS11は、平面視左側が開放される凹部をなすように形成された載置部本体をなす支持板75と、当該支持板75から上側に突出する3本のピン76と、支持板75を昇降させる昇降機構(不図示)と、を備える。昇降機構は、例えばシリンダーやモーター等のアクチュエータでよく、各支持板75の裏側(下側)に接続され、移動体73Aや支持体74Aの移動軌道と干渉しない位置に設けられている。支持板75の昇降により、ピン76は上昇位置と下降位置との間で移動し、ウエハWの下面を支持する。上記の右搬送位置における支持体74Aの右端部は、平面視、支持板75がなす上記の凹部に収まった状態となり、ピン76の昇降により、支持体74AとTRS11との間でウエハWを受け渡すことができる。このTRS11は、搬送機構6Bとの間でもウエハWを受け渡せるように、モジュール積層体T2よりも右側に設けられる(
図1参照)。
【0052】
TRS12については、支持板75が平面視右側が開放される凹部をなすように形成されることを除き、TRS11と同様の構成である。そして、上記の左搬送位置における支持体74Aの左端部は、平面視、支持板75がなす上記の凹部に収まった状態となり、支持体74AとTRS12との間でウエハWを受け渡すことができる。TRS12は、キャリアブロックD1の搬送機構33との間でもウエハWを受け渡せるように、第1の上側処理ブロックD22の左端部に設けられる。支持体74に支持された基板(ウエハW)の搬送は、前に述べたことから、移動体73Aと支持体74Aのように前後方向に設けられた複数の部材が、互いの相対的な左右方向の位置を変えながら行われると言える。そのように基板が搬送されることで、支持体74Aに対して左右方向夫々に位置するTRS11、TRS12は移動体73Aと干渉し難くなり、基板を容易に支持可能な3箇所以上の位置にピン76を配置することが可能になっている。
【0053】
第2のバイパス搬送機構であるシャトル7Bについては、シャトル7Aとは異なる高さに設けられ、例えばシャトル7Aよりも下方に位置している。シャトル7Bは、シャトル7Aと同様に構成されており、シャトル7Bの構成部材である移動機構、移動体、支持体の各符号は、シャトル7Aの構成部材と区別するために、数字の後のAの代わりにBを付して示す。具体的には、例えばシャトル7Bの移動機構は72Bとして示す。そして、この移動機構72Bは、第2の上側処理ブロックD32のスペース71Bに収まるように設けられる。
【0054】
シャトル7Bは、第2の上側処理ブロックD32に設けられるTRS13から第1の上側処理ブロックD22に設けられるTRS14に向けてウエハWを搬送する。TRS13はTRS11と同様の構成であり、インターフェイスブロックD4との間でもウエハWを受け渡せるように、第2の上側処理ブロックD32の右端部に設けられている。TRS14はTRS12と同様の構成であり、搬送機構6Bとの間でウエハWの受け渡しが行えればよく、例えば第1の上側処理ブロックD22の右端部に設けられている。
【0055】
上記のようにシャトル7Bはシャトル7Aの下方に設けられているので、第2のバイパス用基板載置部であるTRS13及びTRS14が位置する高さは、第1のバイパス用基板載置部であるTRS11及びTRS12が位置する高さよりも低い。つまり、
図2に示すように、シャトル7A、TRS11及びTRS12の組、シャトル7B、TRS13、TRS14の組は、縦方向(垂直方向)において互いにずれた位置に設けられている。
【0056】
そして、シャトル7AによるウエハWの搬送路(第1のバイパス搬送路)、シャトル7BによるウエハWの搬送路(第2のバイパス搬送路)を夫々77A、77Bとすると、これらの搬送路77A、77Bの前後の位置は互いに同じである。既述のTRS11~TRS14の位置に対応して、搬送路77Aは第2の上側処理ブロックD32へ突出すると共に、搬送路77Bは第1の上側処理ブロックD22へ突出している。そのように突出することで搬送路77Aの右側と搬送路77Bの左側とが平面視、互いに重なっている。なお搬送路77A、77Bは、例えば平面視、加熱モジュール54の熱板55から外れ、冷却プレート56の待機位置と重なる位置としてもよい。そのように熱板55から比較的離れて搬送路を配置することで、搬送されるウエハWが熱の影響を受けることを、より確実に抑えることができる。
【0057】
シャトル7AによるウエハWの搬送について、
図6~
図8を参照しながら順を追って説明する。第2の上側処理ブロックD32の搬送機構6Dは、を第2の上側処理ブロックD32内の各処理モジュールで処理されたウエハWを、TRS11の上昇位置におけるピン76上に受け渡す。ピン76が下降位置へと移動し、既述の右搬送位置における支持体74AにウエハWが受け渡される(
図6)。移動体73A及び支持体74Aが各々左側へ移動する一方で、TRS11のピン76は上昇位置に戻る(
図7)。
【0058】
支持体74Aが既述の左搬送位置に移動すると、TRS12の下降位置におけるピン76が上昇位置に移動してウエハWを支持する(
図8)。支持体74Aが右搬送位置へ向けて移動すると、ピン76が下降位置に戻る。以降は、キャリアブロックD1の搬送機構33がウエハWを受け取る。このように、シャトル7Aは下流側のブロックであるキャリアブロックD1に向けてウエハWを搬送する。シャトル7B、TRS13、TRS14についてもシャトル7A、TRS11、TRS12と夫々同様に動作し、TRS13からTRS14へウエハWが搬送される。つまり、シャトル7Bは下流側のブロックである第1の上側処理ブロックD22に向けてウエハWを搬送する。
【0059】
また、基板処理装置1は、制御部10を備えている(
図1参照)。この制御部10はコンピュータにより構成されており、プログラム、メモリ、CPUを備えている。プログラムには、基板処理装置1における一連の動作を実施することができるようにステップ群が組み込まれている。そして、当該プログラムによって制御部10は基板処理装置1の各部に制御信号を出力し、当該各部の動作が制御される。具体的に搬送機構6A~6D、シャトル7A、7B、各処理モジュールの動作が制御される。それにより、後述のウエハWの搬送、ウエハWの処理、ウエハWの異常判定が行われる。上記のプログラムは、例えばコンパクトディスク、ハードディスク、DVDなどの記憶媒体に格納されて、制御部10にインストールされる。
【0060】
続いて、基板処理装置1におけるウエハWの処理及び搬送について、搬送経路の概略を示した
図9を参照して説明する。
図9では、モジュール間でのウエハWの搬送を表す一部の矢印上あるいは矢印の近傍に、当該搬送に用いる搬送機構を表示している。先ず、支持台12の移動ステージ15に載置されたキャリアCから、搬送機構32によりウエハWが搬出される。そして、当該搬送機構32によりウエハWは処理前検査モジュール41に搬送され、画像データが取得されて異常の有無が判定される。
【0061】
その後、ウエハWは搬送機構32によりTRS1に搬送され、搬送機構33によりSCPL1に搬送される。続いて当該ウエハWは、搬送機構6Aにより第1の下側処理ブロックD21に取り込まれ、裏面洗浄モジュール47、周縁露光モジュール48の順で搬送されて処理を受けた後、第2の下側処理ブロックD31のTRS4に搬送される。
【0062】
続いてウエハWは搬送機構6Cにより、インターフェイスブロックD4のTRS5に搬送され、搬送機構37によりICPLに搬送された後、搬送機構36により露光機20に搬送され、所定のパターンに沿って当該ウエハWの表面のレジスト膜が露光される。露光後のウエハWは、搬送機構36によりTRS6に搬送され、その後、搬送機構37によりTRS7に搬送され、搬送機構6Cにより再度、下側処理ブロックD31に取り込まれ、露光後洗浄モジュール49に搬送された後、インターフェイスブロックD4のTRS7に搬送され、搬送機構37がウエハWを受け取る。
【0063】
その後のウエハWの搬送経路は、上記したように第1の上側処理ブロックD22で処理を行う経路(第1の経路とする)と、第2の上側処理ブロックD32で処理を行う経路(第2の経路とする)と、に分かれる。第2の経路について説明すると、搬送機構38はモジュール積層体T3のTRS8にウエハWを搬送し、搬送機構6Dによって当該ウエハWが第2の上側処理ブロックD32に取り込まれる。そしてウエハWは、加熱モジュール54→SCPL3→現像モジュール51→処理後検査モジュール57の順で搬送されることで、レジストパターンが形成された後に画像データが取得されて、異常の有無が判定される。
【0064】
その後、ウエハWは
図6~
図8で説明したように搬送機構6D→TRS11→シャトル7A→TRS12の順で搬送された後、キャリアブロックD1の搬送機構33が当該ウエハWを受け取り、TRS2に搬送する。このようにバイパス搬送路形成ブロックである第1の上側処理ブロックD22及び第2の上側処理ブロックD22の主搬送機構である搬送機構6B,6Dのうち6Dと、シャトル7Aと、によってウエハWが下流側のブロックへ向けて搬送される。その後、ウエハWは搬送機構32により、支持台13の移動ステージ15上のキャリアCに格納される。
【0065】
続いて上記の第1の経路について説明すると、ウエハWは搬送機構38→TRS13→シャトル7B→TRS14→搬送機構6Bの順で搬送されて、第1の上側処理ブロックD22にウエハWが取り込まれる。そして、当該ウエハWは搬送機構6Bにより、加熱モジュール54→SCPL5→現像モジュール51→処理後検査モジュール57の順で搬送され、第2の経路のウエハWと同様に処理を受けた後、キャリアブロックD1のTRS3に搬送される。このようにバイパス搬送路形成ブロックである第1の上側処理ブロックD22及び第2の上側処理ブロックD22の主搬送機構である搬送機構6B,6Dのうち6Bと、シャトル7Bと、によってウエハWが下流側のブロックへ向けて搬送される。続いてウエハWは、搬送機構33によりTRS2に搬送され、以降は第2の経路のウエハWと同様、搬送機構32により支持台13の移動ステージ15上のキャリアCへ搬送される。
【0066】
以上に述べたように基板処理装置1が構成されると共に搬送が行われることで、第1の上側処理ブロックD22の搬送機構6B、第2の上側処理ブロックD32の搬送機構6Dは、夫々搬送機構6B、6Dが設けられるブロックにて処理を受けないウエハWをキャリアブロックD1側へ向けて搬送する必要が無い。つまり、搬送機構6B、6Dの各々の負荷、より具体的にはブロック内で必要な搬送工程の数が低減される。第1の上側処理ブロックD22、第2の上側処理ブロックD32の各々には既述したようにモジュールが多数設けられるが、そのように負荷が低減されることで搬送機構6B、6Dは、各モジュールへ速やかにアクセスしてウエハWを受け取り、下流側のモジュールへと当該ウエハWを搬送することができる。即ち、基板処理装置1については、多数の処理モジュールでウエハWを処理し、且つモジュール間でウエハWを速やかに搬送することができる。従って、当該基板処理装置1によれば、スループットを高くすることができる。
【0067】
搬送機構6B、6Dが左右のブロックを跨いで移動する必要が無いように、シャトル7Aの搬送路77Aは第2の上側処理ブロックD32へ、シャトル7Bの搬送路77Bは第1の上側処理ブロックD22へ夫々突出している。そして、そのように左右のブロックに亘るように設けられた搬送路77A、77Bについては、高さが互いにずれており、互いに交差しないので、シャトル7Aの搬送及びシャトル7Bの搬送を互いに独立して行うことができる。より詳しくは、7A、7Bのうちの一方のシャトルによる搬送中、当該一方のシャトルとの干渉を回避するために他方のシャトルによる搬送を停止させる必要が無い。従って、より確実に基板処理装置1のスループットを高くすることができる。また、そのように高さがずれた搬送路77A、77Bは平面視重なって設けられるため、基板処理装置1の前後幅の拡大を防止し、装置のフットプリントを低減させることができる。
【0068】
ところでクリーンルームの天井に干渉しないように、基板処理装置1の高さを設定する必要が有る。その一方で、現像モジュール51等の液処理モジュールはウエハWを格納するカップ52を備えるので比較的高さが大きくなる。しかし基板処理装置1においては、上記のように液処理とは異なる種類の処理を行う後部側処理部50に重なって、シャトル7A、7Bが設けられている。そのために限られた装置の高さにおいて、液処理モジュールが設けられる階層の数を多くし、且つ各階層にウエハWを受け渡すことができるように、搬送領域53の高さを十分に確保することができる。従って、基板処理装置1によれば、より確実にウエハWのスループットを高くすることができる。
【0069】
さらにシャトル7A、7Bは、上側処理ブロックG2における後部側処理部50に対して下方、即ち、下側処理ブロックG1側の高さに位置している。つまり、後部側処理部50をなす処理モジュールの積層体に対して、前記上側処理ブロックG2及び前記下側処理ブロックG1のうち、バイパス搬送路形成ブロックであるG2に下方から接続されるブロックG1側にシャトル7A、7Bが設けられている。仮に、シャトル7A、7Bが上側処理ブロックG2における比較的高い位置に設けられ、シャトル用のTRS11~TRS14についても比較的高い位置に設けられるとする。その場合には、TRS12、TRS13に対して夫々ウエハWを受け渡す搬送機構33、38について、モジュール積層体T1、T3を構成する各モジュールの位置よりも上方の位置への移動が必要になることが考えられる。即ち、上記のようにシャトル7A、7Bを、後部側処理部50に対して下側処理ブロックG1側の高さに設けることは、搬送機構33、38の昇降量を抑えることになる。従って、当該シャトル7A、7Bの配置は、スループットをより確実に高くすることに寄与する。
【0070】
またシャトル7Aの搬送路77Aの下流側に設けられるTRS12について、
図8に示すようにシャトル7Aの支持体74AがウエハWを受け渡す左搬送位置に位置したとき、平面視でTRS12のピン76に対する搬送路77Aの上流側には支持体74Aが位置しない。そのようなレイアウトとなるようにTRS12及び支持体74Aが構成されることにより、当該TRS12のピン76にウエハWが支持されたままの状態で、支持体74Aは当該TRS12のピン76に干渉せずにTRS11に向い、後続のウエハWを受け取ることができる。シャトル7B、TRS14についてもシャトル7A、TRS12と夫々同様の構成であるため、当該TRS14のピン76にウエハWが支持されたままの状態で、シャトル7Bの支持体74Aは当該ピン76に干渉せずにTRS13に向うことができる。従って、シャトル7A、7Bにより、ウエハWを連続して速やかに搬送することができるので、より確実にスループットを高くすることができる。
【0071】
なお、シャトル7A、7Bの支持体74A、74Bについては既述の構成とすることには限られない。例えば比較的大きな円板として支持体74A、74Bを形成し、搬送路の上流側のTRS、下流側のTRSの各ピン76との干渉が避けられるように、右端から左側へ向けて形成されるスリット、左端から右側へ向けて形成されるスリットが当該円板を設けるような構造としてもよい。
【0072】
また、シャトル7Aは、移動機構72Aに対して、移動体73A及び支持体74Aが各々左右にスライド移動する。そのような構成により、第1の処理ブロックD2にこれらの各部材が収まった状態とすることができる。従って、装置の製造工場で第1の処理ブロックD2を組み立て後、装置を設置するクリーンルームへ輸送するにあたり、第1の処理ブロックD2の左右の幅を小さくすることができる。そのためこの輸送時の手間や輸送用の設備を簡素化することができる。シャトル7Bもシャトル7Aと同様の構成であるため、第2の処理ブロックD3についても第1の処理ブロックD2と同様に、輸送時の手間や輸送用の設備を簡素化することができる。また、そのように第1の処理ブロックD2、第2の処理ブロックD3にシャトル7A、7Bを夫々収めて輸送することは、輸送先で速やかに装置を組み上げて稼働可能とすることに寄与する。
【0073】
ところで、この第1の実施形態の基板処理装置1において、第1の下側処理ブロックD21及び第2の下側処理ブロックD31における液処理モジュールとしては、洗浄を行うものには限られず、例えば洗浄の前段階の処理を行う液処理モジュールを搭載してもよい。以下、そのように洗浄モジュール以外の液処理モジュールを搭載した基板処理装置1の変形例である塗布、現像装置について、具体的に説明する。
【0074】
この塗布、現像装置において、第1の下側処理ブロックD21の液処理モジュールとして反射防止膜形成モジュール81が設けられ、第2の下側処理ブロックD31の液処理モジュールとしてレジスト膜形成モジュール82が設けられる。反射防止膜形成モジュール81、レジスト膜形成モジュール82はウエハWに供給される処理液が夫々反射防止膜形成用の塗布液、レジスト液であることを除いて、現像モジュール51と同様の構成である。なおウエハWは、これらの反射防止膜及びレジスト膜が形成されない状態で、当該塗布、現像装置に搬送されるものとする。
【0075】
そしてこの塗布、現像装置では、第1の下側処理ブロックD21及び第2の下側処理ブロックD31の後部側処理部50として、加熱モジュール54が含まれるようにする。これらの加熱モジュール54は、形成された膜中に残留する溶剤の除去用である。なお、当該塗布、現像装置及び後述の各装置におけるモジュール積層体T1~T3には、ブロック間で適切にウエハWを搬送できるように、TRS、SCPLが適切な高さ、且つ適切な数に配置されるものとする。
【0076】
この塗布、現像装置についてはウエハWを、モジュール積層体T1のSCPL→反射防止膜形成モジュール81→第1の下側処理ブロックD21の加熱モジュール54の順で搬送する。さらに、モジュール積層体T2のSCPL→レジスト膜形成モジュール82→第2の下側処理ブロックD31の加熱モジュール54→インターフェイスブロックD4のモジュール積層体T3→露光機20の順で搬送する。露光後のウエハWは、基板処理装置1と同様の経路で搬送する。なお、裏面洗浄モジュール47、露光後洗浄モジュール49については、例えばインターフェイスブロックD4に設けて搬送機構38による搬送を行ってもよいし、これらのモジュールによる処理を省略してもよい。
【0077】
〔第2の実施形態〕
第2の実施形態の基板処理装置である塗布、現像装置8について、既述した基板処理装置1の変形例である塗布、現像装置との差異点を中心に、
図10の平面図、
図11の正面図を参照して説明する。塗布、現像装置8は、第2の処理ブロックD3とインターフェイスブロックD4との間に、これらのブロックに隣接する第3の処理ブロックD5を備えている。第3の処理ブロックD5は、第2の処理ブロックD3と略同様に構成されており、第3の下側処理ブロックD51、第3の上側処理ブロックD52に区画されている。従って、この塗布、現像装置8では下側処理ブロックG1はD21、D31、D51により構成され、上側処理ブロックG2はD22、D32、D52により構成されている。また、第3の処理ブロックD5は、モジュール積層体T2と同様にSCPLとTRSとが積層されて構成されるモジュール積層体T4を備える。
【0078】
第3の下側処理ブロックD51について述べると、階層E2~E4に液処理モジュールとして保護膜形成モジュール83が設けられており、保護膜形成用の薬液を供給する他は、レジスト膜形成モジュール82と同様に構成される。また、後部側処理部50を構成するモジュールとしては、保護膜からの溶剤除去用の加熱モジュール54及び周縁露光モジュール48が含まれる。そして、当該第3の下側処理ブロックD51の主搬送機構を搬送機構6Eとする。
【0079】
第3の上側処理ブロックD52について述べると、階層E6、E7に裏面洗浄モジュール47が、階層E8に露光後洗浄モジュール49が夫々設けられており、後部側処理部50が設けられていない。そして、TRS13が第2の上側処理ブロックD32に設けられる代りに、この第3の上側処理ブロックD52の搬送領域53の後方に設けられている。また、当該第3の上側処理ブロックD52の主搬送機構を搬送機構6Fとする。
【0080】
塗布、現像装置8のキャリアブロックD1には、搬送機構33の後方側にウエハWに処理ガスを供給して、疎水化処理を行う疎水化処理モジュール84が設けられている。既述のように処理前検査モジュール41にて画像が取得されたウエハWは、搬送機構32によりモジュール積層体T1に既述したTRS1~TRS3とは別に設けられたTRSに搬送され、搬送機構33→疎水化処理モジュール84→搬送機構33→SCPL1の順で搬送されて、第1の下側処理ブロックD21に取り込まれる。
【0081】
そして第1の実施形態の変形例の装置と同様に、第1の下側処理ブロックD21及び第2の下側処理ブロックD31にて処理を受けて、反射防止膜及びレジスト膜が形成されたウエハWは、モジュール積層体T4に搬送される。そして、第3の下側処理ブロックD51の搬送機構6Eにより、保護膜形成モジュール83→加熱モジュール54→周縁露光モジュール48の順で搬送され、モジュール積層体T3に搬送される。その後、ウエハWは、モジュール積層体T3のTRS間を搬送された後、搬送機構6Fにより第3の上側処理ブロックD52に取り込まれ、裏面洗浄モジュール47に搬送される。然る後、ウエハWはモジュール積層体T3、露光機20を経由して、再度、第3の上側処理ブロックD52に取り込まれ、露光後洗浄モジュール49に搬送される。
【0082】
その後の経路は、基板処理装置1と同様、第1の上側処理ブロックD22で処理を行う第1の経路と、第2の上側処理ブロックD32で処理を行う第2の経路と、に分かれる。つまり、第1の経路としてウエハWは搬送機構6Fによりシャトル用のTRS13に搬送されて第1の上側処理ブロックD22に搬送されるか、あるいは第2の経路としてウエハWはモジュール積層体T4を介して第2の上側処理ブロックD32に搬送される。このように装置の構成として、左右に接続される処理ブロックの数は2つであることに限られない。そして、シャトル用のTRSの位置としては、その処理ブロックの構成に応じて適宜設定すればよい。
【0083】
〔第3の実施形態〕
第3の実施形態である塗布、現像装置9について、既述した第1の実施形態の変形例における塗布、現像装置との差異点を中心に、
図12の平面図、
図13の縦断正面図、
図14の縦断側面図を参照して説明する。塗布、現像装置9においては、反射防止膜の形成が行われず、第1の下側処理ブロックD21及び第2の下側処理ブロックD31の階層E1~E4に、レジスト膜形成モジュール82が各々設けられる。従って、第1の下側処理ブロックD21、第2の下側処理ブロックD31はウエハWに同様の処理を行う。そして、第1の下側処理ブロックD21、第2の下側処理ブロックD31に夫々、シャトル7C、7Dが設けられている。
【0084】
シャトル7C、7Dは、シャトル7A、7Bと異なり、キャリアブロックD1側からインターフェイスブロックD4側へウエハWを搬送する。具体的に、シャトル7Cは、搬送機構6AによらずウエハWを第2の下側処理ブロックD31に搬送して処理を行うために用いられ、シャトル7Dは、第1の下側処理ブロックD21で処理されたウエハWを搬送機構6CによらずインターフェイスブロックD4へ向けて搬送するために用いられる。シャトル7C、7Dはシャトル7A、7Bと同様に移動機構72、移動体73及び支持体74により構成されており、これらの構成部材の符号についてシャトルを表す英字と同じ英字を数字の後に付して示す。従って例えば、シャトル7Cの支持体の符号は74Cとして示す。
【0085】
第1の下側処理ブロックD21、第2の下側処理ブロックD31の夫々における後部側処理部50の上方側には、既述のスペース71A、71Bに相当するスペース85A、85Bが形成されており、スペース85Aにシャトル7Cが、スペース85Bにシャトル7Dが夫々設けられる。シャトル7C用のTRSをTRS15、TRS16とし、シャトル7D用のTRSをTRS17、18とする。TRS15、TRS17はシャトルの搬送路の上流側に設けられるTRSであり、TRS12と同様の構成である。そして、TRS16、TRS18はシャトルの搬送路の下流側に設けられるTRSであり、TRS11と同様の構成である。
【0086】
シャトル7C用のTRS15、TRS16について、TRS15が第1の下側処理ブロックD21の左端部に設けられ、TRS16は第2の下側処理ブロックD31におけるモジュール積層体T2よりも左側の位置に設けられている。シャトル7D用のTRS17、TRS18について、夫々第1の下側処理ブロックD21の右端部、第2の下側処理ブロックD31の右端部に設けられている。シャトル7A、7Bと同じく、シャトル7C、7Dも互いに異なる高さに設けられており、例えばシャトル7Cの方がシャトル7Dよりも上方に位置する。従って、TRS15、TRS16もTRS17、TRS18よりも上方に位置する。
【0087】
なお塗布、現像装置9のインターフェイスブロックD4には、モジュール積層体T2の右側に搬送機構38と同様の構成の搬送機構38が設けられ、搬送機構38の後方にはバッファモジュール86が、搬送機構37、38によるアクセス可能に設けられている。搬送機構38の前方には周縁露光モジュール48が当該搬送機構38によるアクセスが可能に設けられており、モジュール積層体T3を介して周縁露光モジュール48→バッファモジュール86→ICPL→露光機20の順に搬送可能となっている。
【0088】
第2の実施形態で述べたように疎水化処理モジュール84で処理され、モジュール積層体T1のSCPL1に搬送されたウエハWは、搬送機構6Aにより第1の下側処理ブロックD21に取り込まれるか、搬送機構33によりシャトル用のTRS15に搬送される。当該TRS15に搬送されたウエハWは、シャトル7C→TRS16→搬送機構6Cの順で受け渡されて第2の下側処理ブロックD31にて処理を受け、モジュール積層体T3へ、即ちインターフェイスブロックD4へ搬送される。一方、第1の下側処理ブロックD21に取り込まれて処理されたウエハWは、TRS17→シャトル7D→TRS18の順で搬送され、搬送機構37によりインターフェイスブロックD4へ搬送されて露光される。露光後のウエハWは基板処理装置1と同様に、シャトル7A、7Bを夫々用いる第1の経路、第2の経路により搬送されて、キャリアブロックD1に戻される。
【0089】
このように塗布、現像装置9では、キャリアブロックD1側からインターフェイスブロックD4側へ搬送するシャトル7C、7D、インターフェイスブロックD4側からキャリアブロックD1側へ搬送するシャトル7A、7Bが共に設けられる。それにより、スループットをより高くすることができる。シャトル7A、7Bにより、搬送機構6A、6Bの負荷が夫々低減されるので、より高いスループットを得ることができる。また、シャトル7C、7Dについては、後部側処理部50に対して上側処理ブロックG2側に設けられている。従って、既述したシャトル7A、7Bの配置と同様に、キャリアブロックD1の搬送機構33、インターフェイスブロックの搬送機構37の昇降量を抑制して、スループットを向上させることができる。
【0090】
なお塗布、現像装置9において、シャトル7C、7Dのみを設け、シャトル7A、7Bを設けない、即ち上側処理ブロックG2をなすブロックD22、D23間の搬送は、搬送機構6B、6Dのみによって行ってもよい。つまり、基板処理装置については、キャリアブロックD1側からインターフェイスブロックD4側に向かう往路用のシャトル、インターフェイスブロックD4側からキャリアブロックD1側に向かう復路用のシャトルのいずれか一方のみが設けられる構成であってもよい。また、上側処理ブロックG2を往路、下側処理ブロックG1を復路とする代わりに、上側処理ブロックG2を複路、下側処理ブロックG1を往路としてもよい。
【0091】
シャトルと、処理ブロックの主搬送機構である搬送機構6A~6Dとの間のウエハWの受け渡しにはTRSが介在するが、シャトルと搬送機構6A~6Dとの間でウエハWを受け渡してもよい。ただし、シャトルからウエハWが受け取られるまで、シャトルの動きが制限されることになってしまうので、既述したようにTRSが介在することが好ましい。また、液処理モジュールが前方、後部側処理部50をなす処理モジュールが後方に位置するが、このレイアウトは前後逆であってもよい。また、例えば基板処理装置1において、シャトル7A用のTRS12がキャリアブロックD1に配置され、シャトル7B用のTRS13がインターフェイスブロックD4に配置される構成であってもよい。そのようなシャトル用のTRSの配置に合わせて、搬送機構33、37について適宜移動可能とすればよい。つまり、シャトル用のTRSについて処理ブロックに設けられる構成とすることには限られない。
【0092】
装置で行う液処理としては上記した例に限られず、薬液の塗布による絶縁膜の形成や、ウエハWを互いに貼り合わせるための接着剤の塗布処理などが含まれていてもよい。なお、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更及び組み合わせがなされてもよい。
【符号の説明】
【0093】
C キャリア
D1 キャリアブロック
D2 第1の処理ブロック
D21 第1の下側処理ブロック
D22 第1の上側処理ブロック
D3 第2の処理ブロック
D31 第2の下側処理ブロック
D32 第2の上側処理ブロック
D4 インターフェイスブロック
E1~E8 階層
W ウエハ
37 搬送機構
6A、6B、6C、6D 搬送機構
7A、7B シャトル