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特許7571504情報処理装置、外観検査装置、プリント基板製造システムおよびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】情報処理装置、外観検査装置、プリント基板製造システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/956 20060101AFI20241016BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
G01N21/956 B
G06T1/00 305A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020198006
(22)【出願日】2020-11-30
(65)【公開番号】P2022086149
(43)【公開日】2022-06-09
【審査請求日】2023-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】高木 智史
(72)【発明者】
【氏名】村沢 義寛
【審査官】比嘉 翔一
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-141209(JP,A)
【文献】特開2006-293820(JP,A)
【文献】特開2020-140644(JP,A)
【文献】特開平08-110216(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N21/00-G01N21/958
G01N23/00-G01N23/2276
G01B 9/00-G01B11/30
H01L21/64-H01L21/66
G06T 1/00-G06T 1/40
G06T 3/00-G06T 7/90
G06V10/00-G06V20/90
G06V30/418
G06V40/16
G06V40/20
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDream3)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板の外観の撮像画像から機械学習を用いて画像特徴量の抽出を行う特徴抽出部と、
前記特徴抽出部で抽出した画像特徴量に基づき、良品/不良品を判定する判定部と、
経時での良品画像の画像特徴量の変化を検知する変化検知部と、
前記変化検知部での検知結果に基づき、不良品画像および特徴量の変化が発生した時の良品画像を用いて、良品/不良品が分離できるように前記判定部の判定条件を修正する再学習部と、
を備え
前記再学習部は、前記特徴抽出部の抽出条件を修正する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記再学習部は、外観検査の誤判定数または誤判定率に基づいて、前記判定部の判定条件を修正する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記再学習部は、外観検査の誤判定数または誤判定率に基づいて、前記特徴抽出部の抽出条件を修正する、
ことを特徴とする請求項に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記プリント基板の外観の撮像画像から、外観検査においてノイズとなる情報を除去する処理を実行するノイズ除去部を備える、
ことを特徴とする請求項1ないしの何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記撮像画像と、当該判定部における良品/不良品の判定結果と、検査員の目視による良品/不良品の判定結果とを機械学習にて分類付けする、
ことを特徴とする請求項1ないしの何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
撮像装置により得たプリント基板の外観の撮像画像に基づき、良品/不良品を判定する外観検査装置であって、
前記プリント基板の外観の撮像画像から機械学習を用いて画像特徴量の抽出を行う特徴抽出部と、
前記特徴抽出部で抽出した画像特徴量に基づき、良品/不良品を判定する判定部と、
経時での良品画像の画像特徴量の変化を検知する変化検知部と、
前記変化検知部での検知結果に基づき、不良品画像および特徴量の変化が発生した時の良品画像を用いて、良品/不良品が分離できるように前記判定部の判定条件を修正する再学習部と、
を備え
前記再学習部は、前記特徴抽出部の抽出条件を修正する、
ことを特徴とする外観検査装置。
【請求項7】
プリント基板の外観の撮像画像を得る撮像装置と、
前記撮像装置により得たプリント基板の外観の撮像画像に基づき、良品/不良品を判定する外観検査装置と、
前記外観検査装置で不良品と判定された前記プリント基板の外観の撮像画像について、良品/不良品を判定する請求項1ないしの何れか一項に記載の情報処理装置と、
を備えることを特徴とするプリント基板製造システム。
【請求項8】
コンピュータを、
プリント基板の外観の撮像画像から機械学習を用いて画像特徴量の抽出を行う特徴抽出部と、
前記特徴抽出部で抽出した画像特徴量に基づき、良品/不良品を判定する判定部と、
経時での良品画像の画像特徴量の変化を検知する変化検知部と、
前記変化検知部での検知結果に基づき、不良品画像および特徴量の変化が発生した時の良品画像を用いて、良品/不良品が分離できるように前記判定部の判定条件を修正する再学習部と、
として機能させ
前記再学習部は、前記特徴抽出部の抽出条件を修正する、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、外観検査装置、プリント基板製造システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多数の実装部品が実装されるプリント基板製造において、実装部品の実装品質を検査する外観検査システムが提案されている。このような外観検査システムによれば、実装部品の電極部とプリント基板上のランド部とのはんだ付けが適切に行われているかを判断するために、はんだ接合部の形状を正確に捉える必要がある。そこで、鏡面反射をもつはんだ接合部の形状を取得する方法として、3色の光源を異なる入射角度で照射し、その反射光を撮像することで形状を色情報として取得する方法が知られている。そして、従来の外観検査システムは、このように色情報として取得したはんだ接合部の形状に対して、特定の色の領域の面積や長さなどのパラメータを用いて、品質を判定するようにしている。
【0003】
特許文献1には、判定ロジックのパラメータを自動生成する目的で、良品画像および不良品画像を用いて、それぞれの画像特徴量から良品/不良品を分離するための特徴量の閾値や検査領域および色範囲を用いてロジックのパラメータを設定する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の外観検査システムによれば、生産設備の経時変化や実装条件変更によってはんだ表面状態が変化することで撮像される画像の写りにばらつきが生じ、同じロジックを使った画像検査では経時で判定精度が低下するという問題がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、生産設備の経時変化や実装条件変更による画像検査の判定精度低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、プリント基板の外観の撮像画像から機械学習を用いて画像特徴量の抽出を行う特徴抽出部と、前記特徴抽出部で抽出した画像特徴量に基づき、良品/不良品を判定する判定部と、経時での良品画像の画像特徴量の変化を検知する変化検知部と、前記変化検知部での検知結果に基づき、不良品画像および特徴量の変化が発生した時の良品画像を用いて、良品/不良品が分離できるように前記判定部の判定条件を修正する再学習部と、を備え、前記再学習部は、前記特徴抽出部の抽出条件を修正する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、生産設備の経時変化や実装条件変更による判定精度の低下を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施の形態にかかるプリント基板製造システムの主要な装置を示す概略構成図である。
図2図2は、外観検査装置の概略構成図である。
図3図3は、良否判断処理の前提となる画像撮像処理を説明する図である。
図4図4は、検査対象画像の一例を示す図である。
図5図5は、良否判断方法の流れの一例を示すフローチャートである。
図6図6は、従来の外観検査を示す図である。
図7図7は、本実施形態の外観検査を示す図である。
図8図8は、情報処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図9図9は、外観検査処理にかかる機能を示す機能ブロック図である。
図10図10は、位置ばらつきの除去の一例を示す図である。
図11図11は、電極部の反射光の映り込みの除去の一例を示す図である。
図12図12は、変化検知部で用いる変化検知ロジック(散布図)の説明図である。
図13図13は、変化検知部で用いる変化検知ロジック(時間変化)の説明図である。
図14図14は、情報処理装置の学習処理の流れを示すフローチャートである。
図15図15は、情報処理装置の学習処理の流れの変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、情報処理装置、外観検査装置、プリント基板製造システムおよびプログラムの実施の形態を詳細に説明する。以下においては、本発明を、プリント基板上に装着されたコンデンサチップ、ICなどの素子であるSMD(Surface Mount Device)のはんだ付けの良否を光学的に判定する外観検査装置を含むプリント基板製造システムに適用した実施形態について説明する。
【0010】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態にかかるプリント基板製造システム100の主要な装置を示す概略構成図である。図1に示すように、プリント基板製造システム100は、はんだ印刷機20、素子マウンタ30、リフロー炉40及び外観検査装置50を備える。
【0011】
プリント基板製造システム100は、部品が実装されていない状態のプリント基板をはんだ印刷機20内に搬送する。はんだ印刷機20は、部品が実装されていない状態のプリント基板上の所定位置に、はんだを印刷する。このようにしてはんだが印刷されたプリント基板は、素子マウンタ30に搬送される。素子マウンタ30は、いわゆるチップマウンタ及びQFP(Quad Fiat Package)マウンタである。素子マウンタ30は、コンデンサやIC等のSMDである実装部品をプリント基板上に載置する。その後、コンデンサやIC等の実装部品が載置されたプリント基板は、リフロー炉40内に搬送される。リフロー炉40は、コンデンサやIC等の実装部品が載置されたプリント基板を加熱処理し、はんだ印刷機20によって印刷されたプリント基板上のはんだを溶解する。溶解したプリント基板上のはんだは、冷却されることで実装部品をプリント基板上に固定する。
【0012】
以上のようにして実装部品が固定されて実装されたプリント基板は、その後、ベルトコンベア等の搬送手段によって、又はオペレータによる手作業によって、外観検査装置50内に搬入される。外観検査装置50は、後述する方法によってはんだ付けの良否を光学的に判定する、自動光学検査(Automated Optical Inspection;AOI)を実行する。そして、外観検査装置50で良品と判定されたプリント基板は、図示しない後段の処理工程に移送される。
【0013】
後段の処理工程を実施する装置としては、例えば、プリント基板上に更に部品をマウントする部品マウンタや、プリント基板を包装する包装装置などが挙げられる。また、後段の処理工程を実施する装置は、例えば、外観検査装置50による良否判定の結果に応じて、良品と不良品を分別する分別装置であってもよい。なお、プリント基板製造システム100では、外観検査装置50による良否判定後に処理工程を実施する装置が設置されているが、この装置は必ずしも必要であるわけではない。
【0014】
また、本実施形態では、外観検査装置50に、情報処理装置である修正端末60が接続されている。修正端末60は、その内部に、外観検査装置50から出力される判定結果データを書き込み及びその書き込まれたデータを読み出すデータ入出力手段を備えている。
【0015】
修正端末60は、外観検査装置50による良否判定結果が正しいか否かをオペレータが目視で再検査し、検査結果に誤りがあったときに検査結果データを修正するためのものである。本実施形態では、プリント基板上の個別のバーコードが形成されており、そのバーコード情報をバーコード自動読取装置で読み取る。このバーコード自動読取装置で読み取ったバーコード情報及び外観検査装置50の判定結果データは、シリアル通信ケーブルを通して修正端末60に送信され、保存される。
【0016】
詳細は後述するが、修正端末60は、外観検査装置50で不良品と判定された画像に対して、画像検査アルゴリズムを導入して良品/不良品の判定を実施し、目視検査工数を削減する。したがって、修正端末60は、保存された判定結果データについて、良品/不良品の判定をさらに実施した後、表示手段であるディスプレイ60aに不良と判定した判定結果を映し出す。そして、オペレータは、不良と判定された判定結果がディスプレイ60aに映し出されたら、実際のプリント基板を目視で確認し、本当に不良品であるかを確認する。その結果、不良品でないと判断したら、オペレータは、修正端末60の図示しないキーボード等のデータ修正入力手段によって修正入力を行う。
【0017】
なお、本実施形態の修正端末60は、外観検査装置50に接続されたスタンドアローン型のコンピュータで構成されているが、外観検査装置50に対してLAN等のネットワークで接続したものであってもよい。また、本実施形態の修正端末60は、外観検査装置50に一体的に備えられるものであってもよい。
【0018】
次に、外観検査装置50について説明する。
【0019】
図2は、外観検査装置50の概略構成図である。図2に示すように、外観検査装置50は、SMDを装着したプリント基板であるPCB4に光を照射する3つの光源1R,1G,1Bそれぞれの円環状の光源を備えている。よって、外観検査装置50では、合計6つの光源を備えている。なお、各光源1R,1G,1Bには、カラーフィルタを張り付けたインバータ制御のリング状の蛍光灯や、各色の光を発する発光ダイオード(LED)などを利用することができる。
【0020】
また、外観検査装置50は、これらの光源1R,1G,1Bから照射された光を受光して撮像する撮像装置としての高速カメラ2を備えている。高速カメラ2は、10万分の1秒程度の高速シャッタで撮像可能なものである。高速カメラ2は、例えばCCDなどの撮像素子で構成されたものを用いることができる。本実施形態では、高速カメラ2として、分解能が13μm、15μm、20μm、25μm、30μm、35μm、50μm、70μmの間で変更可能なCCDカメラを使用する。高速カメラ2は、図2に示すように、検査領域の真上に配置される。
【0021】
外観検査装置50は、高速カメラ2に対して相対移動するように載置台に載置したPCB4を水平方向に2次元的に移動させる駆動手段としてのXYステージ3、制御手段としての制御部10なども備えている。XYステージ3は、PCB4を水平に支持している。
【0022】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)、記憶部、インターフェース部などを備える。制御部10は、高速カメラ2のシャッタを制御したり、ステージ駆動部3aを介してXYステージ3を駆動制御したり、良否判断処理を行ったりする。
【0023】
次に、良否判断処理の前提となる画像撮像処理について説明する。
【0024】
図3は、良否判断処理の前提となる画像撮像処理を説明する図である。図3に示す図は、SMDの一例であるコンデンサ5の電極5aをPCB4上のパッド4aに接続するはんだ接合部であるはんだフィレット6に光を照射した様子を示す図である。図3に示すように、光源1Rは、鉛直方向に対して一番小さな照射角度で光(赤色光R)を照射する赤色光源である。光源1Bは、一番大きな照射角度で光(青色光B)を照射する青色光源である。光源1Gは、光源1Rと光源1Bとの中間の照射角度で光(緑色光G)を照射する緑色光源である。
【0025】
図3に示すように、高速カメラ2は、光源1R、1G、1Bからの赤色光R、緑色光G、青色光Bが照射されたPCB4を撮像する。この場合、高速カメラ2は、R、G、Bの3色に色分けされた検査対象画像を撮像する。この3色の色分布により、はんだ付け状態、すなわちはんだフィレット6の外形を観察することができる。
【0026】
高速カメラ2の撮像領域(検査領域)は、PCB4に比べて狭い。そのため、高速カメラ2によってPCB4を撮像する際には、XYステージ3上のPCB4は、水平方向に滑らかに連続して移動する。具体的には、高速カメラ2は、撮像領域内に収まる1又は2以上のSMDごとに、順次、PCB4を撮像する。こうすることにより、各SMDの一例であるコンデンサ5の電極5aに対するはんだフィレット6の外形を把握することができる。
【0027】
ここで、図4は検査対象画像の一例を示す図である。図4に示すように、検査対象画像は、上記のように、はんだ接合部であるはんだフィレット6の外形を色分布として観察できるように撮像した画像を用いる。
【0028】
次に、外観検査装置50の制御部10における良否判断処理について説明する。
【0029】
図5は、良否判断方法の流れの一例を示すフローチャートである。図5に示すように、外観検査装置50の制御部10は、まず、XYテーブル3を駆動制御して、高速カメラ2の撮像領域内にPCB4上のコンデンサ5を移動させる(ステップS1)。
【0030】
次に、制御部10は、光源1R、1G、1BからPCB4に対して照射される各色の光の反射光を高速カメラ2によって撮像する(ステップS2)。これにより、その撮像データに基づいて、図4に示したような画像を得ることができる。このとき、パッド4aに対して正常にはんだフィレット6が形成されていれば、図4に示したように、そのはんだフィレット6の領域(位置、大きさ)は青色で示されることになる。正常にはんだフィレット6が形成されていれば、図4に示したように、はんだフィレット6では青色の色相の領域が大きくなる。これに対し、不良品のはんだフィレット6では青色以外の色相の領域が大きくなる。
【0031】
次に、制御部10は、高速カメラ2によって撮像した撮像データから、単一のコンデンサ5の電極5aの両側に存在する青色領域の画素数の和Sを算出する(ステップS3)。そして、制御部10は、算出した画素数の和Sが所定画素数(例えば、8画素)よりも大きいか否かを判断する(ステップS4)。この判断の結果、制御部10は、和Sが8画素よりも大きい場合には、そのコンデンサ5は良品であると判定し(ステップS5)、和Slが8画素以下である場合には、そのコンデンサ5は不良品であると判定する(ステップS6)。これにより、コンデンサ5ごとに、はんだ付けの良否を判定することができる。
【0032】
ところで、外観検査装置50における検査対象画像の検査においては、上述のように、検査対象画像の色特徴に対してルールベースの検査を実施している。しかしながら、検査対象画像のような生産系データの場合、経時で生産条件がわずかに変わることで、取得できるデータの傾向も変化するため、一度決めた判定基準で継続的に検査できない。そのため、外観検査装置50で良品を不良品と判定する虚報(過検出)が多くなる。図6は、従来の外観検査を示す図である。図6に示すように、従来においては、外観検査装置50と目視検査との2段階で検査を実施する。そのため、外観検査装置50で良品を不良品と判定する虚報(過検出)が多くなると、目視検査に工数がかかってしまう、という問題がある。
【0033】
図7は、本実施形態の外観検査を示す図である。図7に示すように、本実施形態の修正端末60においては、詳細は後述するが、外観検査装置50で不良品と判定された画像に対して、画像検査アルゴリズムを導入して良品/不良品の判定を実施し、目視検査工数を削減するようにしたものである。画像検査アルゴリズムは、運用の中で、データを蓄積して追加学習しながら検査対象画像の検査を行う追加学習型画像検査アルゴリズムであり、機械学習を用いる。画像検査アルゴリズムによれば、判定結果を利用し、事前構築した判定器の精度を向上させることができる。
【0034】
ここで、図8は修正端末60のハードウェア構成を示すブロック図である。図8に示すように、修正端末60は、コンピュータによって構築されている。図8に示されているように、修正端末60は、CPU601、ROM602、RAM603、HD604、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ605、ディスプレイ606、外部機器接続I/F(Interface)608、ネットワークI/F609、データバス610、キーボード611、ポインティングデバイス612、DVD-RW(Digital Versatile Disc Rewritable)ドライブ614、メディアI/F616を備えている。
【0035】
これらのうち、CPU601は、修正端末60全体の動作を制御する。ROM602は、IPL等のCPU601の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM603は、CPU601のワークエリアとして使用される。HD604は、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ605は、CPU601の制御にしたがってHD604に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。ディスプレイ606は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示する。外部機器接続I/F608は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、例えば、外観検査装置50、USB(Universal Serial Bus)メモリやプリンタ等である。外部機器接続I/F608は、受信部61および出力部62(図9参照)として機能する。ネットワークI/F609は、通信ネットワークを利用してデータ通信をするためのインターフェースである。バスライン610は、図8に示されているCPU601等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0036】
また、キーボード611は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えた入力手段の一種である。ポインティングデバイス612は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力手段の一種である。DVD-RWドライブ614は、着脱可能な記録媒体の一例としてのDVD-RW613に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。なお、DVD-RWに限らず、DVD-R等であってもよい。メディアI/F616は、フラッシュメモリ等の記録メディア615に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。
【0037】
本実施形態の修正端末60で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0038】
また、本実施形態の修正端末60で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の修正端末60で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。また、本実施形態の修正端末60で実行されるプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0039】
次に、外観検査処理にかかる機能について説明する。
【0040】
図9は、外観検査処理にかかる機能を示す機能ブロック図である。図9に示すように、修正端末60は、受信部61、前処理部63、特徴抽出部64、判定部65、変化検知部66、再学習部67、出力部62を備える。受信部61および出力部62は、上述したように、外部機器接続I/F608である。また、本実施の形態の修正端末60で実行されるプログラムは、各部(前処理部63、特徴抽出部64、判定部65、変化検知部66、再学習部67)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、前処理部63、特徴抽出部64、判定部65、変化検知部66、再学習部67が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0041】
受信部61は、外観検査装置50において不良と判定された画像、すなわち高速カメラ2にて撮像されたプリント基板の外観情報を外観検査装置50から受信する。
【0042】
前処理部63は、受信部61で受信した画像に対し、検査内容によって適した前処理を実行する。具体的には、前処理部63は、指定色の抽出(例えば、Bのみなど)を行い、画像から判定に必要な領域のみを抽出する抽出処理を実行する。
【0043】
また、前処理部63は、ルールベースの画像処理に基づき、はんだ接合部の品質検査においてノイズとなる情報を除去する処理を実行するノイズ除去部として機能する。品質検査においてノイズとなる情報としては、位置ばらつき、電極部の反射光の映り込み、などが挙げられる。
【0044】
図10は、位置ばらつきの除去の一例を示す図である。図10に示すように、位置ばらつきの除去は、検出ズレを考慮してはんだ接合部を検出する。
【0045】
図11は、電極部の反射光の映り込みの除去の一例を示す図である。図11に示すように、電極部の反射光の映り込みの除去は、元画像に対してマスキングを施して、不良箇所の近傍をトリミングすることで、はんだ接合部を検出する。
【0046】
特徴抽出部64は、機械学習を用いて画像特徴量の抽出を行う。
【0047】
判定部65は、特徴抽出部64で抽出した画像特徴量を、良品/不良品を示す指標値に変換する。そして、判定部65は、良品/不良品を示す指標値に基づき、閾値により良品/不良品を判定する。
【0048】
出力部62は、判定部65における判定結果を出力する。
【0049】
変化検知部66は、特徴抽出部64あるいは判定部65の出力を用いて、良品画像の特徴量の変化を検知する。以下において、変化検知部66で用いる変化検知ロジックについて説明する。
【0050】
ここで、図12は変化検知部66で用いる変化検知ロジック(散布図)の説明図である。図12は、画像特徴量の分布に基づいた画像特徴量の変動検知方法を示している。変化検知部66は、取得済みの良品画像の画像特徴量の分布9aに対して、特徴抽出部64および判定部65から出力されたロット変更等の製造条件変更後や所定の生産数または経過期間後の良品画像の画像特徴量の分布10aを比較する。なお、図12において、符号9bまたは10bは、画像1枚の画像特徴量を示している。変化検知部66は、各画像特徴量群の平均や分散などの統計量を用いて、比較を行う。
【0051】
なお、図12では2次元の画像特徴量空間を示しているが、変化検知部66は、より高次または低次の画像特徴量空間で評価してもよい。また、変化検知部66は、画像特徴量ではなく、判定部65で用いる良品/不良品を示す指標値を用いて変化検知を実施してもよい。
【0052】
ここで、図13は変化検知部66で用いる変化検知ロジック(時間変化)の説明図である。図13は、画像特徴量の時系列変化に基づいた画像特徴量の変動検知方法を示すものである。図13は、良品画像の画像特徴量の分布を時系列データとして表現している。変化検知部66は、取得済みの良品画像の画像特徴量の分布9cに対する、特徴抽出部64および判定部65から出力されたロット変更等の製造条件変更後や所定の生産数または経過期間後の良品画像の画像特徴量の分布10cの変化を、時系列データの異常検知手法を用いて実施する。すなわち、変化検知部66は、ロット変更等の製造条件変更後や所定数の生産または所定期間後のデータ間を比較することで、画像の変化の有無を調べる。なお、図13においては、時系列での画像特徴量の変化を示したが、これに限るものではなく、生産数の変化に応じた画像特徴量の変化であってもよい。
【0053】
変化検知部66は、変化を検知した場合、特徴抽出部64および判定部65のロジックを修正する。変化検知部66は、不良品画像および変動発生時の良品画像を用いて、良品/不良品が最も分離できるように特徴抽出部64の抽出条件および判定部65の判定条件を修正する。
【0054】
再学習部67は、変化検知部66での検知結果により、特徴抽出部64の抽出条件および判定部65の判定条件の再学習を行う。再学習部67は、再学習結果を特徴抽出部64および判定部65に送り、ロジックを修正する。なお、変化検知部66および再学習部67は、変化を検知した場合、判定部65のみのロジックを修正するようにしてもよい。
【0055】
次に、修正端末60の学習処理について説明する。
【0056】
ここで、図14は修正端末60の学習処理の流れを示すフローチャートである。図14に示すように、特徴抽出部64は、前回学習後から所定の生産数または所定の期間経過したと判定すると、変化検知の実施要と判定し(ステップS11のYes)、ステップS12に進む。
【0057】
特徴抽出部64は、学習済み画像の画像特徴量の抽出を行う(ステップS12)。更に、特徴抽出部64は、所定生産数または所定期間後の画像の画像特徴量の抽出を行う(ステップS13)。
【0058】
続いて、変化検知部66は、ステップS12およびS13でそれぞれ抽出した画像特徴量から図12または図13に示した変化検知ロジックにて変化量を抽出し(ステップS14)、閾値判定を行う(ステップS15)。
【0059】
変化検知部66において変化量が閾値以上であるとして、変化が認められた場合(ステップS15のYes)、再学習部67は、変化後の画像を用いて、特徴抽出部64の抽出条件を更新し(ステップS16)、判定部65の判定条件を更新することで(ステップS17)、再学習する。
【0060】
一方、変化検知部66において変化量が閾値以上でなく、変化が認められなかった場合(ステップS15のNo)、再学習部67は、そのまま処理を終了する。
【0061】
このように本実施形態によれば、経時での良品画像の画像特徴量を分析し、画像特徴量の変化を検知したとき、変化後の良品画像の画像特徴量を再学習し、良品/不良品を分離できるようにロジックを修正するので、生産設備の経時変化や実装条件変更によるロジックの判定精度の低下を抑制することができ、安定した画像検査を実施することができる。
【0062】
なお、判定部65は、受信部61で受信した画像と、当該判定部65における判定結果と、検査員の目視による良品/不良品の判定結果とを、機械学習にて分類付けするようにしてもよい。このようにすることで、検査員の判定結果に近い検査を実現することができる。すなわち、検査員の目視判定を初期のみの実行とし、精度向上が図られた後は、検査員による目視判定の工程をカットすることができるようになる。
【0063】
なお、本実施形態においては、再学習部67は、変化検知部66において変化量が閾値以上であって、変化が認められた場合に(ステップS15のYes)、再学習するようにしたが、これに限るものではない。
【0064】
ここで、図15は、修正端末60の学習処理の流れの変形例を示すフローチャートである。図15に示すように、再学習部67は、外観検査の誤判定数または誤判定率が閾値以上である場合に(ステップS21のYes)、変化後の画像を用いて、特徴抽出部64の抽出条件を修正し(ステップS22)、判定部65の判定条件を修正することで(ステップS23)、再学習するようにしてもよい。誤判定率の閾値としては、例えば、10~20%である。
【0065】
なお、機械学習とは、コンピュータに人のような学習能力を獲得させるための技術であり、コンピュータが、データ識別等の判断に必要なアルゴリズムを、事前に取り込まれる学習データから自律的に生成し、新たなデータについてこれを適用して予測を行う技術のことをいう。機械学習のための学習方法は、教師あり学習、教師なし学習、半教師学習、強化学習、深層学習のいずれかの方法でもよく、さらに、これらの学習方法を組み合わせた学習方法でもよく、機械学習のための学習方法は問わない。
【符号の説明】
【0066】
2 撮像装置
4 プリント基板
50 外観検査装置
60 情報処理装置
63 ノイズ除去部
64 特徴抽出部
65 判定部
66 変化検知部
67 再学習部
100 プリント基板製造システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0067】
【文献】特許第4492356号公報
図1
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