(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】台車及び基板処理装置の構成部材の支持方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20241016BHJP
B62B 3/04 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
H01L21/66 B
B62B3/04 A
(21)【出願番号】P 2020212802
(22)【出願日】2020-12-22
【審査請求日】2023-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002756
【氏名又は名称】弁理士法人弥生特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 裕人
(72)【発明者】
【氏名】藤原 潤
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-021967(JP,A)
【文献】特開2019-069737(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
B62B 3/04
G01R 31/26
G01R 31/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
横方向へスライドして外部へ引き出される基板処理装置の構成部材を、当該基板処理装置の外部にて支持する台車において、
車輪を備えて床上を移動自在であり、前記構成部材を支持する第1の支持部を含む台車本体と、
前記台車における前記横方向の幅が第1の長さとなる第1の位置と当該横方向の幅が第1の長さよりも大きい第2の長さとなる第2の位置との間で移動自在に前記台車本体に接続され、少なくとも前記第2の位置にて前記第1の支持部と共に前記構成部材を支持するための第2の支持部と、
を備え
、
前記構成部材が引き出される横方向を後方とすると、
前記構成部材の左右を各々支持するために、前記第1の支持部及び前記第2の支持部の組が、左右方向に離れて設けられ、
前記各組における第1の支持部と前記第2の支持部とは、前後方向に並んで設けられると共に当該前後方向の相対位置が変更可能であり、
互いに摺動可能な第1の摺動部材と第2の摺動部材とからなるスライド部が設けられ、
前記第1の支持部、前記第2の支持部に前記第1の摺動部材、前記第2の摺動部材が夫々設けられ、
前記第2の支持部は、前後方向において前記第1の支持部側に設けられる中間支持部と、当該中間支持部に対して前記第1の支持部とは逆側に設けられる端部側支持部と、からなり、
前記スライド部は複数設けられ、
前記第1の支持部、前記中間支持部には一の前記スライド部における前記第1の摺動部材、前記第2の摺動部材が夫々設けられ、当該第1の支持部及び当該中間支持部の前後方向の相対位置が変更可能であり、
前記端部側支持部、前記中間支持部には他の前記スライド部における前記第1の摺動部材、前記第2の摺動部材が夫々設けられ、当該端部側支持部及び当該中間支持部の前後方向の相対位置が変更可能である台車。
【請求項2】
横方向へスライドして外部へ引き出される基板処理装置の構成部材を、当該基板処理装置の外部にて支持する台車において、
車輪を備えて床上を移動自在であり、前記構成部材を支持する第1の支持部を含む台車本体と、
前記台車における前記横方向の幅が第1の長さとなる第1の位置と当該横方向の幅が第1の長さよりも大きい第2の長さとなる第2の位置との間で移動自在に前記台車本体に接続され、少なくとも前記第2の位置にて前記第1の支持部と共に前記構成部材を支持するための第2の支持部と、
を備え、
前記構成部材が引き出される横方向を後方とすると、
前記構成部材の左右を各々支持するために、前記第1の支持部及び前記第2の支持部の組が、左右方向に離れて設けられ、
前記第1の支持部に対して前後方向の相対位置が変更可能な基部が設けられ、
前記第2の支持部は前記基部において左右方向に移動可能に設けられ、
前記第1の位置における前記第2の支持部は、前記第1の支持部に対して左右方向に並び、
前記第2の位置における前記第2の支持部は前記第1の支持部に対して前後方向に
並ぶ台車。
【請求項3】
横方向へスライドして外部へ引き出される基板処理装置の構成部材を、当該基板処理装置の外部にて支持する台車において、
車輪を備えて床上を移動自在であり、前記構成部材を支持する第1の支持部を含む台車本体と、
前記台車における前記横方向の幅が第1の長さとなる第1の位置と当該横方向の幅が第1の長さよりも大きい第2の長さとなる第2の位置との間で移動自在に前記台車本体に接続され、少なくとも前記第2の位置にて前記第1の支持部と共に前記構成部材を支持するための第2の支持部と、
を備え、
前記構成部材が引き出される横方向を後方とすると、
前記構成部材の左右を各々支持するために、前記第1の支持部及び前記第2の支持部の組が、左右方向に離れて設けられ、
前記各組における前記第2の支持部は回動軸まわりに回動自在であり、
当該第2の支持部は、前記第2の位置において前記回動軸に対して前記第1の支持部側とは逆側に伸長す
る台車。
【請求項4】
前記回動軸は縦方向に沿った軸である請求項
3記載の台車。
【請求項5】
横方向へスライドして外部へ引き出される基板処理装置の構成部材を、当該基板処理装置の外部にて支持する台車において、
車輪を備えて床上を移動自在であり、前記構成部材を支持する第1の支持部を含む台車本体と、
前記台車における前記横方向の幅が第1の長さとなる第1の位置と当該横方向の幅が第1の長さよりも大きい第2の長さとなる第2の位置との間で移動自在に前記台車本体に接続され、少なくとも前記第2の位置にて前記第1の支持部と共に前記構成部材を支持するための第2の支持部と、
を備え、
前記第1の支持部及び前記第2の支持部は縦方向に複数段に設けられ
る台車。
【請求項6】
各段における前記第2の支持部は、一括して前記第1の位置と前記第2の位置との間で位置の変更が行えるように、互いに接続部材を介して互いに接続されている請求項
5記載の台車。
【請求項7】
前記接続部材には、前記床上を転動して移動するための車輪が設けられている請求項
6記載の台車。
【請求項8】
横方向へスライドして外部へ引き出される基板処理装置の構成部材を、当該基板処理装置の外部にて支持する台車において、
車輪を備えて床上を移動自在であり、前記構成部材を支持する第1の支持部を含む台車本体と、
前記台車における前記横方向の幅が第1の長さとなる第1の位置と当該横方向の幅が第1の長さよりも大きい第2の長さとなる第2の位置との間で移動自在に前記台車本体に接続され、少なくとも前記第2の位置にて前記第1の支持部と共に前記構成部材を支持するための第2の支持部と、
を備え、
前記構成部材における被支持部を下方から支持し、当該被支持部の移動に伴って転動する転動体が、前記第1の支持部及び前記第2の支持部に各々設けられ、
前記転動体は、前後方向に間隔を空けて設けられ、
前記第2の支持部が前記第1の位置に位置する状態、前記第2の位置に位置する状態の各々において、
前後方向に隣接する転動体の距離のうち最大の距離は、前後方向における前記被支持部の後端と前記構成部材の重心との距離以下で
ある台車。
【請求項9】
横方向へスライドして外部へ引き出される基板処理装置の構成部材を、当該基板処理装置の外部にて支持する台車において、
車輪を備えて床上を移動自在であり、前記構成部材を支持する第1の支持部を含む台車本体と、
前記台車における前記横方向の幅が第1の長さとなる第1の位置と当該横方向の幅が第1の長さよりも大きい第2の長さとなる第2の位置との間で移動自在に前記台車本体に接続され、少なくとも前記第2の位置にて前記第1の支持部と共に前記構成部材を支持するための第2の支持部と、
を備え、
前記第2の支持部は、前記台車における前記横方向の幅が第1の長さとなる第1の位置と当該横方向の幅が第1の長さよりも大きい第2の長さとなる第2の位置との間で移動自在に前記台車本体に接続され、
前記第1の支持部は、前記第2の支持部が第1の位置に位置する状態で、前記基板処理装置から第1の引き出し量で当該基板処理装置の外部へ当該横方向に引き出した前記基板処理装置の構成部材を支持し、
前記第2の支持部は、少なくとも前記第2の位置にて前記第1の支持部と共に前記基板処理装置から前記第1の引き出し量よりも大きい第2の引き出し量で当該基板処理装置の外部へ当該横方向に引き出した前記構成部材を支持し、
前記第1の支持部に対して前記第2の支持部の位置を前記第1の位置、前記第2の位置の夫々で固定するための固定部を備える台車。
【請求項10】
前記第2の支持部が前記第1の位置に位置する状態で前記第1の引き出し量で引き出された前記構成部材を台車に対して固定し、前記第2の支持部が前記第2の位置に位置する状態で前記第2の引き出し量で引き出された前記構成部材を台車に対して固定するロック機構を備える請求項9記載の台車。
【請求項11】
車輪を備える台車本体によって構成される台車を床上にて移動させる工程と、
前記台車本体に接続される第2の支持部が第1の位置に位置して当該台車の横方向の幅が第1の長さである状態で、基板処理装置から第1の引き出し量で当該基板処理装置の外部へ当該横方向に引き出した前記基板処理装置の構成部材を前記台車本体に設けられる第1の支持部に支持する工程と、
前記第2の支持部の位置を第2の位置にし、前記台車の前記横方向の幅を前記第1の長さより大きい第2の長さとする工程と、
前記台車の横方向の幅が前記第2の長さの状態で、前記基板処理装置から前記第1の引き出し量よりも大きい第2の引き出し量で当該基板処理装置の外部へ当該横方向に引き出した前記構成部材を前記第1の支持部及び前記第2の支持部により支持する工程と、
固定部により前記第1の支持部に対して前記第2の支持部の位置を前記第1の位置、前記第2の位置の夫々で固定する工程と、
を備える基板処理装置の構成部材の支持方法。
【請求項12】
前記第2の支持部が前記第1の位置に位置する状態で前記第1の引き出し量で引き出された前記構成部材を、ロック機構により台車に対して固定する工程と、
前記第2の支持部が前記第2の位置に位置する状態で前記第2の引き出し量で引き出された前記構成部材を、前記ロック機構により台車に対して固定する工程と、
を備える請求項11記載の基板処理装置の構成部材の支持方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、台車及び基板処理装置の構成部材の支持方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板である半導体ウエハ(以下、ウエハと記載する)を処理する処理装置の一例として、当該ウエハに形成された半導体デバイスの電気的特性の検査を行うウエハ検査装置が挙げられる。特許文献1には、このウエハ検査装置について示されており、ウエハ検査装置のセルを構成する部材を当該セルから引き出して、台車に載せて整備を行うことが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、基板処理装置から当該装置の構成部材を装置の外部に引き出して台車に支持するにあたり、必要時以外には台車が占めるスペースを削減することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の台車は、横方向へスライドして外部へ引き出される基板処理装置の構成部材を、当該基板処理装置の外部にて支持する台車において、
車輪を備えて床上を移動自在であり、前記構成部材を支持する第1の支持部を含む台車本体と、
前記台車における前記横方向の幅が第1の長さとなる第1の位置と当該横方向の幅が第1の長さよりも大きい第2の長さとなる第2の位置との間で移動自在に前記台車本体に接続され、少なくとも前記第2の位置にて前記第1の支持部と共に前記構成部材を支持するための第2の支持部と、
を備え、
前記構成部材が引き出される横方向を後方とすると、
前記構成部材の左右を各々支持するために、前記第1の支持部及び前記第2の支持部の組が、左右方向に離れて設けられ、
前記各組における第1の支持部と前記第2の支持部とは、前後方向に並んで設けられると共に当該前後方向の相対位置が変更可能であり、
互いに摺動可能な第1の摺動部材と第2の摺動部材とからなるスライド部が設けられ、
前記第1の支持部、前記第2の支持部に前記第1の摺動部材、前記第2の摺動部材が夫々設けられ、
前記第2の支持部は、前後方向において前記第1の支持部側に設けられる中間支持部と、当該中間支持部に対して前記第1の支持部とは逆側に設けられる端部側支持部と、からなり、
前記スライド部は複数設けられ、
前記第1の支持部、前記中間支持部には一の前記スライド部における前記第1の摺動部材、前記第2の摺動部材が夫々設けられ、当該第1の支持部及び当該中間支持部の前後方向の相対位置が変更可能であり、
前記端部側支持部、前記中間支持部には他の前記スライド部における前記第1の摺動部材、前記第2の摺動部材が夫々設けられ、当該端部側支持部及び当該中間支持部の前後方向の相対位置が変更可能である。
本開示の台車は、横方向へスライドして外部へ引き出される基板処理装置の構成部材を、当該基板処理装置の外部にて支持する台車において、
車輪を備えて床上を移動自在であり、前記構成部材を支持する第1の支持部を含む台車本体と、
前記台車における前記横方向の幅が第1の長さとなる第1の位置と当該横方向の幅が第1の長さよりも大きい第2の長さとなる第2の位置との間で移動自在に前記台車本体に接続され、少なくとも前記第2の位置にて前記第1の支持部と共に前記構成部材を支持するための第2の支持部と、
を備え、
前記構成部材が引き出される横方向を後方とすると、
前記構成部材の左右を各々支持するために、前記第1の支持部及び前記第2の支持部の組が、左右方向に離れて設けられ、
前記第1の支持部に対して前後方向の相対位置が変更可能な基部が設けられ、
前記第2の支持部は前記基部において左右方向に移動可能に設けられ、
前記第1の位置における前記第2の支持部は、前記第1の支持部に対して左右方向に並び、
前記第2の位置における前記第2の支持部は前記第1の支持部に対して前後方向に並ぶ。
本開示の台車は、横方向へスライドして外部へ引き出される基板処理装置の構成部材を、当該基板処理装置の外部にて支持する台車において、
車輪を備えて床上を移動自在であり、前記構成部材を支持する第1の支持部を含む台車本体と、
前記台車における前記横方向の幅が第1の長さとなる第1の位置と当該横方向の幅が第1の長さよりも大きい第2の長さとなる第2の位置との間で移動自在に前記台車本体に接続され、少なくとも前記第2の位置にて前記第1の支持部と共に前記構成部材を支持するための第2の支持部と、
を備え、
前記構成部材が引き出される横方向を後方とすると、
前記構成部材の左右を各々支持するために、前記第1の支持部及び前記第2の支持部の組が、左右方向に離れて設けられ、
前記各組における前記第2の支持部は回動軸まわりに回動自在であり、
当該第2の支持部は、前記第2の位置において前記回動軸に対して前記第1の支持部側とは逆側に伸長する台車。
本開示の台車は、横方向へスライドして外部へ引き出される基板処理装置の構成部材を、当該基板処理装置の外部にて支持する台車において、
車輪を備えて床上を移動自在であり、前記構成部材を支持する第1の支持部を含む台車本体と、
前記台車における前記横方向の幅が第1の長さとなる第1の位置と当該横方向の幅が第1の長さよりも大きい第2の長さとなる第2の位置との間で移動自在に前記台車本体に接続され、少なくとも前記第2の位置にて前記第1の支持部と共に前記構成部材を支持するための第2の支持部と、
を備え、
前記第1の支持部及び前記第2の支持部は縦方向に複数段に設けられる台車。
本開示の台車は、横方向へスライドして外部へ引き出される基板処理装置の構成部材を、当該基板処理装置の外部にて支持する台車において、
車輪を備えて床上を移動自在であり、前記構成部材を支持する第1の支持部を含む台車本体と、
前記台車における前記横方向の幅が第1の長さとなる第1の位置と当該横方向の幅が第1の長さよりも大きい第2の長さとなる第2の位置との間で移動自在に前記台車本体に接続され、少なくとも前記第2の位置にて前記第1の支持部と共に前記構成部材を支持するための第2の支持部と、
を備え、
前記構成部材における被支持部を下方から支持し、当該被支持部の移動に伴って転動する転動体が、前記第1の支持部及び前記第2の支持部に各々設けられ、
前記転動体は、前後方向に間隔を空けて設けられ、
前記第2の支持部が前記第1の位置に位置する状態、前記第2の位置に位置する状態の各々において、
前後方向に隣接する転動体の距離のうち最大の距離は、前後方向における前記被支持部の後端と前記構成部材の重心との距離以下である台車。
本開示の台車は、横方向へスライドして外部へ引き出される基板処理装置の構成部材を、当該基板処理装置の外部にて支持する台車において、
車輪を備えて床上を移動自在であり、前記構成部材を支持する第1の支持部を含む台車本体と、
前記台車における前記横方向の幅が第1の長さとなる第1の位置と当該横方向の幅が第1の長さよりも大きい第2の長さとなる第2の位置との間で移動自在に前記台車本体に接続され、少なくとも前記第2の位置にて前記第1の支持部と共に前記構成部材を支持するための第2の支持部と、
を備え、
前記第2の支持部は、前記台車における前記横方向の幅が第1の長さとなる第1の位置と当該横方向の幅が第1の長さよりも大きい第2の長さとなる第2の位置との間で移動自在に前記台車本体に接続され、
前記第1の支持部は、前記第2の支持部が第1の位置に位置する状態で、前記基板処理装置から第1の引き出し量で当該基板処理装置の外部へ当該横方向に引き出した前記基板処理装置の構成部材を支持し、
前記第2の支持部は、少なくとも前記第2の位置にて前記第1の支持部と共に前記基板処理装置から前記第1の引き出し量よりも大きい第2の引き出し量で当該基板処理装置の外部へ当該横方向に引き出した前記構成部材を支持し、
前記第1の支持部に対して前記第2の支持部の位置を前記第1の位置、前記第2の位置の夫々で固定するための固定部を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、基板処理装置から当該装置の構成部材を装置の外部に引き出して台車に支持するにあたり、必要時以外には当該台車が占めるスペースを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の第1の実施形態に係る台車が用いられるウエハ検査装置の平面図である。
【
図2】前記台車と、前記台車に支持されるテスタとを示す概略斜視図である。
【
図7】前記台車を構成する支持台の概略縦断側面図である。
【
図8】前記台車を構成する支持台の概略縦断側面図である。
【
図10】前記支持台に設けられるボールの位置を示すための側面図である。
【
図11】第2の実施形態に係る台車の平面図である。
【
図13】前記台車を構成する支持台の概略縦断側面図である。
【
図14】前記台車を構成する支持台の概略縦断側面図である。
【
図15】第3の実施形態に係る台車の斜視図である。
【
図18】前記台車を構成する支持台の概略側面図である。
【
図19】前記台車を構成する支持台の概略側面図である。
【
図20】第4の実施形態に係る台車の平面図である。
【
図22】前記台車を構成する支持台の概略側面図である。
【
図23】前記台車を構成する支持台の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施形態)
本開示の第1の実施形態に係る台車3は、工場のクリーンルーム内に設置された、基板処理装置であるウエハ検査装置1を整備するために用いられる。先にウエハ検査装置1について平面図である
図1を参照して詳しく説明すると、当該ウエハ検査装置1はローダー11及びセルタワー12を備えており、ローダー11とセルタワー12とは互いに横方向に接続されている。この例ではセルタワー12は12個のセル13によって構成されており、ローダー11とセルタワー12との接続方向に見て、セル13は4×3の行列状に配置されている。つまり縦方向においては、セル13が3段に設けられている。
【0009】
ローダー11には、ウエハWを格納するキャリアCを載置するステージ14と、当該ステージ14上のキャリアCと各セル13との間でウエハWを受け渡す搬送機構15と、が設けられる。各セル13においては搬送されたウエハWに対して、当該ウエハWに形成された電気回路における導通状態などの電気的特性についての検査が行われる。セル13についてさらに説明すると、セル13内には当該セル13の構成部材として、カード型部材(不図示)及びテスタ2が設けられる。カード型部材の下面はウエハWの表面に対向し、当該下面にはウエハWの表面に接触して上記の検査を行うための端子が設けられる。
【0010】
図2の斜視図も参照して説明すると、テスタ2は、上記の検査を行うための回路が形成された基板等が搭載される部材であり、カード型部材に上方から接続されて用いられる。そして当該テスタ2はカード型部材から分離された状態で、作業者によりセル13の外部へと水平に引き出され、引き出された部分について整備を行うことができるように構成されている。この引き出し方向は、ローダー11が接続される側とは逆側であり、以降はこの引き出し方向を後方として説明する。なお、以降の説明における左側、右側とは、後方から前方に向って見たときの左側、右側である。
【0011】
テスタ2の外形としては左右対称であり、前後に長尺な直方体である本体部21と、本体部21の左右の側面において夫々前後に伸長する突条部22と、により構成されている。セル13内においては被支持部である当該突条部22が、図示しない支持部によって下方から支持され、テスタ2が水平姿勢に保たれる。そして本体部21の上面側においては、部品23、24が前方側、後方側に夫々設けられている。
【0012】
上記のテスタ2の整備として、具体的には部品23、24についての整備(点検や交換することを含む)が含まれ、部品23、24のうち整備対象の部品が露出するように、テスタ2をスライド移動させてセル13内から引き出す。そのようにテスタ2が引き出されることで、突条部22のセル13の外部に露出した部位を下方から支持するために、上記の台車3が用いられる。この台車3はクリーンルームの床上を移動自在であり、テスタ2の整備を行う際にセルタワー12の後方に配置されて使用される。
【0013】
ところで例えばクリーンルーム内にてウエハ検査装置1が複数設けられ、前後に配置される場合が有る。その一方で、上記のテスタ2について、比較的大型のものを用いることが検討されている。それに合わせてウエハ検査装置1が大型化してフットプリントが上昇すると、クリーンルーム内に配置されるウエハ検査装置1の数が変更されないとした場合、セルタワー12の後方のスペースの前後幅が比較的狭くなることが考えられる。そうなると、仮にセルタワー12の後方に配置される台車3の前後幅が比較的大きい場合には、テスタ2の整備中は常に装置間における人の通行が妨げられてしまうおそれが有るが、そのような状態の発生を抑制することが要請されている。
【0014】
上記したように部品23、24は、テスタ2の前後の互いに異なる位置に設けられるので、後部側の部品24の整備を行う際には、前部側の部品23の整備を行う際に比べてテスタ2の引き出し量は小さくてよい。従ってテスタ2を支持する台車3における引き出し方向の幅(横方向の幅)についても小さくてよい。そこで、台車3はテスタ2のセル13からの引き出し量に応じてその横幅を変更可能に構成されている。
【0015】
図2は台車3の概略斜視図であり、
図3、
図4は台車3の概略側面図である。部品24の整備の際には、その前後幅が
図3に示すように比較的小さい第1の長さとされた状態で台車3はセルタワー12の後方に配置され、当該テスタ2の後部側が台車3に、テスタ2の前部側がセル13に夫々支持される。そして部品23の整備の際には、その前後幅が
図4に示すように第1の長さよりも大きい第2の長さとされた状態で台車3はセルタワー12の後方に配置され、テスタ2全体がセル13から引き出されて台車3に支持される。つまり台車3は、比較的小さい第1の引き出し量で装置の外部へと引き出されたテスタ2を第1の長さの状態で支持し、第1の引き出し量よりも大きい第2の引き出し量で装置の外部へと引き出されたテスタ2を第2の長さの状態で支持する。
【0016】
台車3の構成について詳述する前に
図2~
図4を用いて概略構成を述べる。なお、台車3は既述したように移動自在であるが、以降の台車3についての説明において用いる前後左右とは特に記載無い限り、上記のようにテスタ2を支持するためにセルタワー12の後方に配置した状態における前後左右であるものとする。既述の縦方向に並ぶ3段のセル13から各々テスタ2を引き出して支持することができるように、当該台車3は各セル13の高さに応じて、支持台4を縦方向に3段に備えている。そして上記したテスタ2の突条部22の配置に合わせて、各段に支持台4は2つずつ、左右に離れて対をなして設けられている。従って支持台4は計6つ設けられており、左右の2つの支持台4によって1つのテスタ2が支持される。
【0017】
この支持台4は前後に伸縮可能であり、短縮状態と伸長状態とを切り替えることで、
図3、
図4に示すように台車3の前後幅が変更される。また、各支持台4上には転動体であるボール49が前後に多数設けられ(
図2では表示を省略している)、このボール49が引き出された突条部22を直接、下方から支持する。即ち、テスタ2の引き出し時において当該突条部22に接しているボール49が当該突条部22の移動に伴って転動するように構成されており、比較的小さい力で当該引き出しを行うことができるようになっている。なお、引き出したテスタ2をセル13に戻す際においてもボール49の転動によって、比較的小さい力で戻すことができる。
【0018】
以下、台車3の上面図である
図5、
図6、支持台4の概略縦断側面図である
図7、
図8を参照しながら説明する。なお、
図5、
図7は
図2、
図3と同じく台車3の前後幅が第1の長さである状態(従って、支持台4については短縮状態)を示し、
図6、
図8は
図4と同じく台車3の前後幅が第2の長さである状態(従って、支持台4については伸長状態)を示す。
【0019】
台車3は鉛直方向に伸びる4本の支柱を備えている。これらの支柱について、前方側の左右に配置されるものを31、後方側の左右に配置されるものを32とする。支柱31同士、支柱32同士は梁33によって各々接続されており、当該梁33は左右に伸びると共に上下に複数段に設けられている。前後に並ぶ支柱31、32は、支持台4により互いに接続されている。
【0020】
支柱31、32の下端にはキャスター34(
図3、
図4参照)が設けられており、各キャスター34は鉛直軸周りに回動して向きを変えることができる。従って、上記したように台車3はキャスター34を構成する車輪の転動により、床上を自在に移動させて所望の配置とすることができる。支柱31のキャスター34にはストッパ35が設けられており、当該キャスター34の車輪を固定することができる。
【0021】
各段の支持台4は同様に構成されている。また、同じ段における互いに対をなす左右の支持台4は、台車3の左右の中心に対して概ね鏡面対称に形成されており、ここでは左右の支持台4のうち、代表して右側の支持台4を説明する。上記のように支持台4は伸縮するが、短縮状態では扁平な直方体として構成されており、その前端部が支柱31に、その後端部が支柱32に夫々支持されている。そして当該支持台4は、上面視で長辺が前後方向に揃い、正面視で支柱31、32から台車3の左右の中央へ向けて張り出すように設けられている。
【0022】
図5~
図8に示すように、支持台4は、基部41、前部台42、中間台43、後部台44及びスライド部45により構成されている。スライド部45は4つ設けられ、伸長方向に互いに摺動可能に係合されたレール46及びレール47によって各々構成されている。前部台42、中間台43、後部台44は各々テスタ2の突条部22を支持するための部材であり、いずれも扁平な直方体として形成され、この順で前方から後方に向って設けられている。従って、前部台42が支柱31に接続される支持台4の前端部をなし、後部台44が支柱32に接続される支持台4の後端部をなす。前後の長さについては、前部台42>後部台44>中間台43となっている。
【0023】
基部41は前後に長尺で肉厚の板状体であり、中間台43についてはその下部側がこの基部41に貫かれると共に、当該基部41の長さ方向の中心部に固定されている。従って、見方によっては基部41の前側、後側が中間台43から突出するように構成されている。そして、前部台42の後方側の下部には凹部51が形成され、当該凹部51内に基部41の前側が進入し、左右対称に設けられる2つのスライド部45(一のスライド部)により当該凹部51と基部41の前側とが互いに接続されている。詳しく述べると、概略縦断背面図である
図9に示すように凹部51の左側壁、右側壁に各スライド部45のレール46(第1の摺動部材)が固定されて設けられ、基部41の前側の左側面、右側面に各スライド部45のレール47(第2の摺動部材)が固定されて設けられている。
【0024】
また、後部台44の前方側の下部には凹部52が形成され、当該凹部52内に基部41の後側が進入し、2つのスライド部45(他のスライド部)により当該凹部52と基部41の後側とが互いに接続されている。詳しく述べると、凹部52の左側壁、右側壁に各スライド部45のレール46(第1の摺動部材)が固定されて設けられ、基部41の後側の左側面、右側面に各スライド部45のレール47(第2の摺動部材)が固定されて設けられている。従って、中間台43については基部41を介してその前方側、後方側の夫々にレール47が設けられている。上記の構成により、基部41に対して前部台42、後部台44の各々がスライド移動可能であり、支持台4の短縮状態では中間台43の前後に各々前部台42、後部台44が接し、支持台4の伸長状態では中間台43に対して前部台42及び後部台44が離れる。
【0025】
前部台42は第1の支持部、中間台43及び後部台44は第2の支持部に相当する。また、中間台43は中間支持部に相当し、後部台44は前後方向において中間台43に対して前部台42とは逆側に設けられる端部側支持部に相当する。そして、上記の短縮状態の前部台42に対する中間台43及び後部台44の各位置が第1の位置、伸長状態の前部台42に対する中間台43及び後部台の各位置が第2の位置である。なお、上記のように支持台4は左右に設けられるので、前部台42、中間台43及び後部台44からなる組が左右に設けられていることになる。
【0026】
前部台42の上面、後部台44の上面には、凹部51、凹部52に夫々開口するように小径の貫通孔53が設けられている。また、基部41の上面において中間台43よりも前側に2つの凹部が前後に離れて設けられ、中間台43よりも後側に2つの凹部が前後に離れて設けられている。そのように中間台43に対して前側、後側に夫々形成された2つの凹部のうち、中間台43寄りのものを凹部54、中間台43からより離れたものを凹部55とする。凹部54、55の左右の位置と貫通孔53の左右の位置とは互いに揃っており、支持台4の伸縮により、貫通孔53を凹部54及び凹部55のうちの一方に重ねることができる。
【0027】
前部台42の上方から各貫通孔53にピン56を挿入し、当該ピン56の下端を凹部54または凹部55に進入させることで、前部台42と中間台43との前後方向における相対位置を固定することができる。また、後部台44の上方から貫通孔53にピン56を挿入し、当該ピン56の下端を凹部54または凹部55に進入させることで、後部台44と中間台43との前後方向における相対位置を固定することができる。短縮状態で支持台4を固定する際には、凹部54にピン56を進入させ、伸長状態で支持台4を固定する場合には各凹部55にピン56を進入させる。
【0028】
前部台42、後部台44の各々の上面には、前後に伸びる突条部である位置規制部57が設けられている。当該位置規制部57は、台車3の左右の中心寄りの位置に配置され、引き出されたテスタ2の突条部22に当接することで、当該テスタ2の左右の位置を規制する。また、後部台44の上面においては位置規制部57よりも後方に、左右に伸びる突条部であるストッパ58が設けられている。ストッパ58は、引き出されたテスタ2の突条部22の後端に当接することで、当該テスタ2の前後の位置を規制する。
【0029】
前部台42、中間台43、後部台44の各々の上面には、既述したボール49が設けられており、多数の当該ボール49が、位置規制部57よりも台車3の左右の中心寄りの位置にて互いに間隔を空けて前後に一列に配置されている。なお
図7、
図8に示すように各ボール49は台座40を介して、前部台42、中間台43、後部台44上に設けられている。なお図の煩雑化を避けるために、第1の実施形態を説明する図では、
図7、
図8及び後述の
図10以外の各図では台座40の表示を省略している。本例ではボール49は前部台42、後部台44の各々に複数、中間台43に1つ設けられている。
【0030】
また、前部台42の後端側にはロック機構36が設けられている。ロック機構36は前部台42に固定される本体部37と、本体部37から台車3の左右の中心側へ向けて突出する先端部38とを備えており、当該先端部38の突出量は調整自在である。この突出量の調整により、先端部38は台車3に引き出されたテスタ2の本体部21の側面に形成される図示しない孔部に進入する。それにより台車3にテスタ2を固定することができる。なお、既述したように右側の支持台4と、左側の支持台4とは概ね鏡面対称の関係であるが、このロック機構36は右側の支持台4のみに設けられている。以上のように構成される台車3において、前部台42、支柱31及びその下方のキャスター34については、台車本体を構成する。
【0031】
続いて、テスタ2の前方側の部品23を整備するにあたり、当該テスタ2を台車3に支持させる手順を説明する。支持台4が短縮状態で固定されることで台車3については
図3、
図5等に示した第1の長さになっており、当該台車3はセルタワー12の後方のテスタ2の引き出しが行われる領域から外れた位置にて待機しているものとする。作業者は支持台4の長さ方向が前後に揃うように台車3の向きを調整すると共に、台車3を整備対象のテスタ2を含むセル13の後方に近接させた後、前方側のキャスター34のストッパ35により当該キャスター34の車輪を固定することで、台車3の前方側の支柱31の位置を固定する。
【0032】
続いて作業者は支持台4から各ピン56を取り外して、支持台4の長さ変更が可能な状態とした後、台車3の後方側の支柱32を後方へと引っ張り、当該支柱32に接続される後方側のキャスター34を利用して当該支柱32の位置をずらす。それにより、上下3段の支持台4を一括して伸長状態とすると共に台車3の前後幅を拡大させ、当該台車3の長さが、
図4、
図6等で述べた第2の長さとされる。その後、作業者は取り外したピン56を支持台4に挿入して、当該支持台4を伸長状態で固定する。
【0033】
そして、作業者は整備対象のテスタ2が含まれるセル13から当該テスタ2を後方に水平に移動させて引き出す。それにより、テスタ2の本体部21が左右に並ぶ支持台4間に進入すると共に、テスタ2の突条部22の後端が、当該セル13に対応する高さの段の支持台4における前方側のボール49に乗り上げ、セル13と台車3との各々がテスタ2を支持した状態となる。作業者はテスタ2をさらに後方へと引き出し、突条部22がボール49の列上を移動する。既述したように突条部22を支持するボール49は、当該突条部22の移動によって転動する。
【0034】
そして突条部22の後端がストッパ58に当接し、テスタ2の全体が台車3に引き出されて支持されると、作業者はロック機構36によりテスタ2を台車3に固定する。なお、
図6、
図8ではこのように引き出しが完了した状態におけるテスタ2、テスタ2の突条部22を夫々示している。部品23がセル13の外部に露出した状態になっているので、作業者は当該部品23の整備を行うことができる。整備後は以上に述べた手順とは逆の手順で台車3からセル13へテスタ2を戻し、台車3をセルタワー12の後方から退避させる。
【0035】
テスタ2の前側の部品23を整備する場合について説明したが、テスタ2の後側の部品24を整備する場合には、ピン56の着脱を行わず、支持台4が短縮状態のまま(即ち台車3が第1の長さのまま)テスタ2を引き出すことを除いて、部品23を整備する場合と同様の手順で作業を行う。なお、
図5、
図7ではそのように台車3が第1の長さのままで、引き出しが完了した状態のテスタ2、テスタ2の突条部22を夫々示している。この状態において、テスタ2の前端側はセル13に、テスタ2の後端側は台車3に夫々支持されており、部品23、24のうち部品24のみがセル13の外部に露出しており、当該部品24を整備可能である。
【0036】
ところでボール49の配置とテスタ2との位置関係について、既述したように支持台4を伸長状態として引き出しを行う際の側面図である
図10を参照しながら説明する。点Pは側面視のテスタ2の重心を示している。前後に並ぶ多数のボール49について、隣接するボール49間の各距離のうち最大のものについてL1とする。具体的に、前部台42で最も後端側に配置されるボール49と中間台43のボール49との距離、及び後部台44で最も前端側に配置されるボール49と中間台43のボール49との距離がL1である。そして、テスタ2の突条部22の後端(引き出し方向の端)と重心Pとの前後の距離をL2とすると、距離L2≧距離L1である。
【0037】
仮に距離L2<距離L1であるものとして、テスタ2を引き出す際の距離L1を形成する2つのボール49上での突条部22の動きを見ると、当該突条部22の後端が後方側のボール49に到達する前に、テスタ2の重心Pが前方側のボール49を越えて後方側に位置してしまう。そうなると当該2つのボール49間でテスタ2の後端が下がるようにテスタ2が傾いてしまう。つまり距離L2≧距離L1とすることで、前後方向においてボール49間に重心Pが位置したときに、突条部22の後端側がボール49に支持されるように当該ボール49は配置されており、安定して少ない力でテスタ2の引き出しが可能である。なお、支持台4を短縮状態にした場合は、距離L1は伸長状態の距離L1よりも小さいため、短縮状態にした場合と同様に距離L2≧距離L1となり、テスタ2を安定して引き出すことができる。
【0038】
このように台車3については、整備に必要なテスタ2の引き出し量に合わせて、支持台4を伸縮させることにより横幅が変更可能であるように構成されている。それにより、上記の引き出し量が大きくてもテスタ2の支持を可能にしつつ、当該引き出し量が少なくて済む場合には、台車3の横幅を小さく抑え、当該台車3の後方側において比較的大きなスペースの確保ができる。従って、台車3でテスタ2を支持するにあたり、台車3による人の通行の妨げが抑制される。
【0039】
また、各段の支持台4は接続部材である支柱32により互いに接続されているため、上記のように当該支柱32を移動させることで、各段の支持台4を一括で伸縮させることができる。従って、部品23の整備のために台車3をセルタワー12の後方に配置した後、速やかに台車3の長さを変更し、テスタ2の引き出しを行うことができる。また、そのように各段の支持台4が一括で伸縮するため、テスタ2をセル13に戻した後、速やかに台車3の長さを変更してセルタワー12の後方から別の場所に退避させることができる。なお、左右の支持台4も梁33及び支柱32を介して互いに接続され、一括で伸縮するのでこの台車3の長さの変更をより速やかに行うことができる。そして、支柱32の下端には床上を転動するキャスター34が設けられるため、作業者はこの支持台4の伸縮による台車3の長さ変更を、比較的少ない力で行うことができる。
【0040】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の台車3Aについて、上面図である
図11、
図12、概略側面図である
図13、
図14を参照して、台車3との差異点を中心に説明する。なお、この第2の実施形態以降の各台車についての説明で用いる前後左右についても、テスタ2を支持するために台車をセル13の後方に配置したときの前後左右であるものとする。
【0041】
この台車3Aは支持台4の代わりに支持台4Aを備える。支持台4Aについても支持台4と同様に伸縮し、それにより台車3Aの長さが変更される。ただし、支持台4Aには中間台43が設けられず、従って当該伸縮にあたり、前部台42と後部台44との相対位置が変更される。つまり既述した台車3の支持台4は2段に伸縮する構成であったが、この台車3Aの支持台4Aの伸縮は1段であり、スライド部45は1つの支持台4Aにおいて、2つのみ設けられる。
【0042】
支持台4Aにおける基部41の後端は後部台44に固定されている。そして当該基部41の前側は、支持台4の基部41と同様、前部台42に設けられる凹部51内に進入し、当該凹部51の左右の側壁と、基部41の前側の左右の側面とがスライド部45によって接続されている。そのような構成により、既述したように前部台42と後部台44との相対位置を変更して支持台4Aの長さを変更することが可能であり、支持台4Aの短縮状態では前部台42と後部台44とが接する。
【0043】
上記のようにこの支持台4Aは1段の伸縮であるため、
図13、
図14に示すように、支持台4の長さを固定するためのピン56は1つの支持台4に1つのみ設けられており、ピン56が挿入される貫通孔53も前部台42の凹部51にのみ開口する。また短縮状態で支持台4Aを固定するためにピン56が差し込まれる凹部54、伸長状態で支持台4Aを固定するためにピン56が差し込まれる凹部55についても基部41の後側、前側に1つずつ設けられる。
【0044】
なお支持台4Aには中間台43が設けられないため、支持台4Aの伸長状態においては、既述した前後に隣接するボール49間の距離の最大値L1が比較的大きくなる。具体的には後部台44の最前端のボール49と前部台42の最後端のボール49との距離が比較的長くなるが、既述した距離L2≧距離L1の関係となるように各々配置される。なお、以降の各実施形態でもこの関係となるように、ボール49が設けられるものとする。
【0045】
この台車3Aについては台車3と同様の手順で使用され、引き出したテスタ2を支持する。この台車3Aについても台車3と同様、テスタ2の引き出し量を大きくする必要がある場合を除いて、横幅を短くしておくことができるので、台車3と同様の効果が得られる。また当該台車3Aについては構成部品の数が比較的少ないため、製造コストを抑制する観点から有利である。
【0046】
(第3の実施形態)
第3の実施形態の台車6について、概略斜視図である
図15、上面図である
図16、
図17、及び当該台車6を構成する支持台4B及び延長台61の概略側面図である
図18、
図19を参照して、台車3との差異点を中心に説明する。先に台車6の概略構成を説明すると、この台車6は、台車3における短縮状態の支持台4と概ね同様の構成の支持台4Bを備え、支持台4Bは支持台4と同じく、台車6に上下3段、且つ左右に設けられる。
【0047】
ただし支持台4Bは伸長せず、代わりに台車6においては各支持台4Bの後方に、水平な延長台61が当該支持台4Bと同じ高さに設けられる。従って、延長台61についても支持台4Bと同じく、上下3段且つ左右に設けられている。そして、左右に並んだ延長台61は対となって、テスタ2の後方側の左右を支持するために用いられる。なお、この第3の実施形態では支持台4Bが第1の支持部、延長台61が第2の支持部である。
【0048】
そして、この延長台61は鉛直軸周りに回動してその向きを変更可能であり、この向き変更(位置変更)によって台車6の横幅が変更される。当該台車6の横幅について、比較的短い第1の長さであるときには支持台4及び延長台61のうち支持台4のみがテスタ2の支持に用いられ、台車3を用いる場合と同じく、部品24の整備のためにテスタ2の一部のみが台車6に支持される。そして、第1の長さよりも大きい第2の長さであるときには支持台4及び延長台61がテスタ2の支持に用いられ、台車3を用いる場合と同じく、部品23の整備のためにテスタ2全体が台車6に支持される。なお、
図16、
図18は延長台61が第1の位置となることで台車6が第1の長さである状態を示し、
図15、
図17、
図19は延長台61が第2の位置となることで台車6の横幅が第2の長さである状態を示している。
【0049】
以下、台車6の各部について詳しく説明するが、以降の説明では左右方向における台車の中心側を左右方向中心側、その反対側を左右方向外側と記載する。支持台4Bについて支持台4との差異点を述べると、前後に並ぶボール49の列の後方に位置するストッパ58が、着脱自在であることが挙げられる。これは後述するように台車6の長さを変更するにあたり、支持台4の上記の位置と延長台61との間でストッパ58を付け替えることで、第1の長さの状態、第2の長さの状態の夫々において、引き出されるテスタ2の前後の位置を適切にするためである。
【0050】
延長台61の回動を妨げないように、各支柱32は支持台4Bを貫通せず、支持台4Bを後方側から支持している。そして、各支柱32の後方側に、鉛直方向に伸びる支柱62が設けられており、これら支柱32の後方側の側面と、支柱62の前方側の側面とが蝶番63によって接続されている。そして、蝶番63を構成する軸64は縦方向、より詳しくは鉛直方向に沿っている。従って、当該軸64の周りを支柱62は旋回自在であると共に、支柱62は、当該支柱32に対して前後に並ぶ一の位置(
図17の位置)と、当該一の位置から台車3の左右の中央側にずれた他の位置(
図16の位置)との間を移動することができる。以降、説明の便宜上、特に記載無い限り、支柱62が上記の一の位置に位置しているものとして説明する。なおこの一の位置は、台車6の横幅が第2の長さ、延長台61については第2の位置となる位置であり、蝶番63については閉じている。そして軸64の左右方向の位置が、支柱32、62における左右方向中心側の側面の位置と揃っている。
【0051】
そして、支柱62から後方に離れた位置に鉛直方向に伸びる支柱65が設けられており、支柱62、65間が延長台61と、前後に伸びる梁66とにより互いに接続されている(
図15参照)。そして、梁66は支柱62の下端と支柱65の下端とを接続し、その下方にはキャスター67が設けられている。
【0052】
続いて延長台61について説明する。左右に各々設けられる延長台61は、台車6Aの左右の中心に対して鏡面対称に形成されている。
図17に示すように、延長台61は平面視、長辺が前後方向に沿った矩形板状に構成されており、その前端部、その後端部が夫々支柱62、65に固定されている。従って、第2の位置における支持台61は回動軸である軸64から支柱62を介して、第1の支持部である支持台4Bとは逆側に向けて伸長している。また、延長台61は、支柱62、65から左右方向中心側に張り出すように設けられており、延長台61における左右方向中心側の縁と、当該延長台61の前方に並ぶ支持台4Bにおける左右方向中心側の縁との左右における位置は互いに揃っている。
【0053】
延長台61において上記のように支柱62、65から張り出した部位の上面には、支持台4Bに設けられるものと同様の位置規制部57が前後方向に伸長して設けられており、この位置規制部57の左右の位置は、当該延長台61の前方に並ぶ支持台4Bの位置規制部57の左右の位置と同じである。また、延長台61の上面において当該位置規制部57が設けられる位置よりも左右方向中心側には、複数のボール49が前後方向に並んで設けられる。これらのボール49の左右の位置は、当該延長台61の前方に並ぶ支持台4Bのボール49の左右の位置と同じである。そして、延長台61において各ボール49の後方側の位置にて、ストッパ58が着脱自在とされている。
【0054】
また、支柱32、支柱62の各々の長さ方向の中央部の左右方向外側において、接続用部材71が設けられている(
図15参照)。当該接続用部材71は支柱32の側部、支柱62の側部から後方、前方に夫々伸びるように形成されている。
図17に示すように、これらの接続用部材71には鉛直方向に貫通孔72が穿孔されると共に各貫通孔72は互いに重なり、ピン56がこれらの貫通孔72に差し込まれている。それにより支柱32、62が互いに固定されると共に、台車6の前後の長さが第2の長さで固定される。ピン56を接続用部材71から取り外すことで、上記した支柱62の旋回が可能になり、台車6の前後の長さを変更することができる。
【0055】
また、各支柱65の長さ方向の中央部の左右方向外側において、当該支柱65の側部から後方に向けて伸びる接続用部材73が設けられており、当該接続用部材73には貫通孔74が鉛直方向に設けられている。台車6の前後の長さを比較的短い第1の長さとする場合には、各支柱65を台車6の左右の中央に寄せるように旋回させて、左右に並んだ状態とする。この状態における延長台61の位置が第1の位置であり、当該第1の位置では、平面視、延長台61の長辺は左右方向に揃うと共に短辺が前後方向に揃う。従って、延長台61は回動軸である軸64から支柱62を介して台車6の左右の中心側へ向って伸びた状態となっている(
図16参照)。
【0056】
このように延長台61については、台車6が第1の長さであるときと第2の長さであるときとで、向きが90°変化するように回動する。そして、上記のように台車6が第1の長さとなり、支柱65が左右に並んだ状態では、各接続用部材73の貫通孔74が上下に重なった状態となる。ピン56をこれらの貫通孔に差し込むことで、支柱65同士が互いに固定され、台車6は当該第1の長さで固定された状態となる。
【0057】
続いて、テスタ2の前方側の部品23を整備するにあたり、当該テスタ2を台車6に支持させる手順を、台車3に支持させるときの手順との差異点を中心に説明する。先ず、台車6は
図16に示した第1の長さの状態で固定されていると共に、ストッパ58が支持台4Bに設けられた状態になっているものとする。作業者はこの台車6を、セル13の後方へと移動させた後、台車3による作業時と同様に支柱31の下方のキャスター34のストッパ35により、当該キャスター34の車輪を固定する。続いて作業者は接続用部材73に差し込まれているピン56を取り外し、
図16に矢印で示すように支柱65を互いに離すように旋回させて延長台61の向きを変更し、当該延長台61の長さ方向が前後方向に揃うようにすることで、台車6の横幅を第2の長さとする。
【0058】
そして作業者は取り外したピン56について、支柱65を旋回させたことで互いに重なった各接続用部材71に差し込み、延長台61の向きを固定させた後、ストッパ58を支持台4から取り外して、延長台61に付け替える。然る後、作業者はセル13からテスタ2を後方に引き出し、突条部22が支持台4及び延長台61の各ボール49に乗り上げるようにする。突条部22がストッパ58に当接するまで引き出しを行った後、作業者はロック機構36によりテスタ2を台車6に固定する。なお、
図17、
図19ではこのように引き出しが完了した状態におけるテスタ2、テスタ2の突条部22を夫々示している。
【0059】
テスタ2の後方側の部品24を整備する場合については、ピン56の着脱、支柱65の旋回及びストッパ58の付け替えを行わず、台車6が第1の長さのままテスタ2を引き出すことを除いて、部品23を整備する場合の手順と同じである。
図16、
図18では、そのように台車6が第1の長さのままで引き出しが完了した状態におけるテスタ2、テスタ2の突条部22を夫々示している。なお、引き出したテスタ2をセル13に戻す場合は、台車6を第1の長さとして引き出した場合、台車6を第2の長さとして引き出した場合のいずれも、引き出したときとは逆の手順の作業を行う
【0060】
この台車6についても台車3、3Aと同様、部品23の整備を行うためにテスタ2を支持する場合以外にはその前後幅を小さくしておくことができ、そのように前後幅が小さい状態において台車6の後方側に十分なスペースを確保することができる。また、当該台車6はスライド部25を含まず、構成が簡素であるため製造コストをより抑えることができるため好ましい。ただし、この台車6においては第1の長さにしたときに延長台61はテスタ2を支持しない構成である。そのため第1の長さの台車の横幅をより小さくする観点からは台車3、3Aのように後部台44がスライドし、第1の長さであるときにその後部台44によってもテスタ2の支持が行われる構成とすることが好ましい。なお、この台車6について支柱32と延長台61とは支柱62を介して接続されているが、蝶番63を延長台61と同じ高さに配置し、支柱62を設けずに延長台61と支柱32とが直接、蝶番63により接続された構成であってもよい。そのように支柱62を設けない場合は、支柱62と支柱65とを接続する梁66に設けていたキャスター67は、例えば支柱65の下端に設ければよい。
【0061】
(第4の実施形態)
第4の実施形態の台車6Aについて、上面図である
図20、
図21及び当該台車6Aを構成する支持台4C及び延長台61の概略側面図である
図22、
図23を参照して、台車6との差異点を中心に説明する。台車6Aについても台車6と同様に延長台61の回動によって、台車6Aの横幅が第1の長さと第2の長さとの間で変更される。
図20、
図22は第1の長さの状態を示し、
図21、
図23は第2の長さの状態を示している。ただし、後に詳しく示すように、台車6Aではそのように台車6Aの長さ変更を行う際における延長台61が回動する経路について台車3と異なる。
【0062】
先に台車6Aが第2の長さとされた状態、延長台61について見れば第2の位置に位置する状態を説明する。
図21に示すように台車6Aは支持台4Bの代わりに支持台4Cを備えている。この支持台4Cは台車6の支持台4Bと概ね同様の構成であるが、支持台4Bとの差異点として左右方向外側の後部が切り欠かれていることが挙げられる。この切り欠きを76とすると、当該切り欠き76は平面視矩形状であり、前後に細長に形成されている。従って、支持台4Cはこの切り欠き76が形成されることにより、左右方向中心側が後方に突出するように形成され、当該突出部を77とする。支柱32は、当該突出部77の後端における左右方向外側を貫通して、支持台4Cを支持するように配置されている。
【0063】
台車6Aに設けられる延長台61については左右方向の幅が比較的小さく形成されており、上記の突出部77から後方へ伸びるように配置されている。この台車6Aには支柱62が設けられておらず、延長台61の前端面と支柱32の後側の側面とが蝶番63によって接続されている。なお、この台車6Aが第2の長さであるときの蝶番63は閉じた状態となっており、蝶番63の軸64の左右の位置は、支柱32及び延長台61の各々における左右方向外側の側面の位置と揃っている。延長台61の後端部は台車6と同様に支柱65に貫通され、当該支柱65により支持されている。
【0064】
以上に述べたように構成されることで、延長台61は突出部77に対する左右方向外側の位置を通過するように、軸64を回動軸として回動可能である。続いて台車6Aが第1の長さである状態、即ち延長台61について見れば第1の位置に位置する状態を説明する。台車6Aが第1の長さであるときの延長台61の向きは、台車6Aが第2の長さであるときの延長台61の向きと180°異なり、
図20に示すように延長台61は支柱65と共に平面視、切り欠き73に収まる位置に位置する。つまり、延長台61は回動軸である軸64から、前後方向における支持台4C(第1の支持部)が位置する側へ向けて伸び出した状態となっている。なお、切り欠き73に収まった状態の当該延長台61及び支柱65と、支持台4Cとは平面視、矩形をなす。
【0065】
台車6の説明で述べた、第1の長さ、第2の長さで各々台車を固定するためにピン56が挿通される接続用部材71、73については、延長台61が支持台4Cに対して既述した各状態で固定されるように任意の位置に設ければよい。この台車6Aについても、台車6と同様の手順で使用されて作業が行われる。その際に横幅が変更できるので、既述した各台車と同様、テスタ2を支持するにあたり、その後方のスペースが常時狭くなってしまうことを防ぐことができる。
【0066】
また、台車6Aが第1の長さであるときに、延長台61は上記のように支持台4Cの切り欠き73に収まることで、支持台4Cと延長台61とが左右に並ぶ状態となる。そのように各台が左右に並ぶことで、第1の長さであるときの台車6Aの横幅がより抑えられるので好ましい。ただしそのように構成されることで、台車6Aではその横幅を変更する際に延長台61は支持台4Cの左右方向外側を移動するので、台車6Aの左右には比較的大きなスペースが必要になる。従って、当該台車の左右に必要なスペースを小さくする観点からは、上記の台車6のように延長台61が回動するために必要な領域が、支持台4Bの後方に限られる構成とすることが好ましい。
【0067】
既述の各実施形態ではテスタ2の突条部22を支持するための転動体をボール49として構成しているが、転がることで突条部22を移動させることができればよく、例えばローラーであってもよい。なお、支持台4及び延長台61について、突条部22との間の摩擦が比較的低いものであれば、テスタ2を移動させることができるので、転動体が設けられない構成であってもよい。
【0068】
また、既述の各実施形態では3段に積層されたセル13から各々テスタ2を引き出して支持することができるように、支持台4も3段にしているが、支持台4の段数としてはセル13の積層数に合わせて適宜設定すればよく、3段であることに限られない。そして、当該支持台4の段数について複数段とすることにも限られず、1段のみ備えるように台車を構成してもよい。
【0069】
さらに台車に支持される基板処理装置の構成部材としては、装置から横方向に移動させて支持できるものであればよい。従って当該台車の適用はウエハ検査装置1に限られず、横方向に移動して外部への引き出し量が調整される構成部材を有する基板処理装置であれば適用することが可能である。また、当該構成部材を支持する位置は、その構成部材の形状や構成によって適宜変更可能であり、例えば構成部材の左右の中央部を台車が支持する構成であってもよい。つまり、左右に対となるように支持部を備えるように台車を構成することには限られない。
【0070】
今回開示された実施形態については、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更または組み合わせが行われてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 ウエハ検査装置
2 テスタ
3 台車
31 支柱
34 キャスター
42 前部台
44 後部台