(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】情報処理システム、プログラム及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20241016BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20241016BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
G06F3/12 343
G06F3/12 303
G06F3/12 359
G06F3/12 375
B41J29/38 601
B41J29/38 401
G05B19/418 Z
(21)【出願番号】P 2020218537
(22)【出願日】2020-12-28
【審査請求日】2023-10-11
(31)【優先権主張番号】P 2020046999
(32)【優先日】2020-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 哉
(72)【発明者】
【氏名】青木 誠
【審査官】小林 義晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-024658(JP,A)
【文献】特開2020-021181(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/12
B41J 29/38
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジョブを識別するための伝票を印刷し、前記伝票を利用して前記ジョブを管理する情報処理システムであって、
前記伝票の所定の領域を、前記伝票により識別されるジョブの最終成果物を構成する、1以上のパーツと対応付けられている所定の色にした第1の伝票の画像データ、及び前記第1の伝票から前記所定の領域の前記所定の色を引き継いだ第2の伝票の画像データ、を作成する作成手段と、
前記第1の伝票及び前記第2の伝票の画像データを用いて、前記第1の伝票及び前記第2の伝票の印刷を指示する指示手段と、
前記第1の伝票及び前記第2の伝票の画像データに基づき、前記第1の伝票及び前記第2の伝票を印刷する印刷手段と、
前記ジョブの1つ以上の作業工程に対応付いた場所に設置され、前記第1の伝票及び前記第2の伝票を撮影する1つ以上の撮影手段と、
撮影された前記第1の伝票及び前記第2の伝票の画像から前記所定の領域の前記所定の色を認識する認識手段と、
前記第1の伝票及び前記第2の伝票の前記所定の領域の前記所定の色を
ラベルとして利用して、前記第1の伝票及び前記第2の伝票により識別される前記ジョブ
の状態を管理する管理手段と、
を有
し、
前記管理手段は、前記第1の伝票及び前記第2の伝票を撮影した前記撮影手段と、撮影された前記第1の伝票及び前記第2の伝票の画像から認識された前記所定の領域の前記所定の色と、に基づき、前記撮影手段の撮影する場所での1以上の前記第1の伝票または前記第2の伝票それぞれを認識することによって、前記ジョブに含まれる1以上のパーツ夫々の位置を管理すること
を特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記作成手段は、
前記第1の伝票の画像データを、元の伝票の画像データの入力に応じて、事前に定めた所定のルールに基づいて処理することにより、前記1以上のパーツに応じた前記所定の色を用いて作成する第1の作成手段と、
前記第2の伝票の画像データを、前記第1の伝票の画像データに対応する前記所定の色を用いて1以上作成する第2の作成手段と、
を含む、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記第1の作成手段は、前記第1の伝票の画像データを、所定のフォルダに前記元の伝票の画像データを格納したことに応じて、所定のフォルダに設定された前記所定のルールに応じて作成し、
前記第2の作成手段は、前記第2の伝票の画像データを、前記第1の伝票の画像データまたは前記第1の伝票に対応するジョブを所定の方法で指定し、入力された数に応じて作成する、
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記第1の作成手段が用いる前記所定のルールは、
1以上の前記フォルダ毎に、
1以上の前記パーツそれぞれに対応する前記所定の色と、
前記所定の色を前記所定の領域に付与された前記第1の伝票の画像データを印刷するプリンタと、
を設定可能である請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記管理手段は、前記第1の伝票、及び前記第1の伝票から分割された前記第2の伝票が所定の前記場所にそろった場合に、その旨をユーザインタフェースに表示すること
を特徴とする請求項
1に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記管理手段は、前記第1の伝票、及び前記第1の伝票から分割された前記第2の伝票が存在する位置を、ユーザインタフェースに表示すること
を特徴とする請求項
1又は
5に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記伝票は、前記ジョブの最終成果物を構成する1以上のパーツ、又は作業対象物を運搬する運搬機材に付けて使用されること
を特徴とする請求項1乃至
6の何れか一項に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記所定の領域が、前記伝票を印刷する記録媒体の端部から所定の距離の領域であること
を特徴とする請求項1乃至
7の何れか一項に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記作成手段は、1つ以上のジョブを識別する為に利用されているコード画像を含んだ前記伝票の画像データを作成すること
を特徴とする請求項1乃至
8の何れか一項に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記コード画像が、カラーコード画像であること
を特徴とする請求項
9に記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記ジョブは印刷の工程を含み、
前記ジョブの最終成果物は冊子であり、
前記最終成果物を構成する1以上のパーツは、前記冊子を構成する1以上の印刷物であり、
前記伝票は、前記冊子を生産するための作業または機器が記載された作業指示書であり、
前記第1の伝票は、前記冊子を構成する1以上の印刷物の夫々と対応づけられた所定の色を、前記作業指示書に付与して作成され、
前記第2の伝票は、1つの前記印刷物を置く場所が複数に分けられる際に、前記所定の色を引き継いで、前記複数分作成される、
請求項1乃至
10の何れか一項に記載の情報処理システム。
【請求項12】
ジョブを識別するための伝票を印刷装置に印刷させ、前記伝票を利用して前記ジョブを管理する情報処理装置を、
前記伝票の所定の領域を、前記伝票により識別されるジョブの最終成果物を構成する、1以上のパーツと対応付けられている所定の色にした第1の伝票の画像データ、及び前記第1の伝票から前記所定の領域の前記所定の色を引き継いだ第2の伝票の画像データ、を作成する作成手段、
前記第1の伝票及び前記第2の伝票の画像データを用いて、前記第1の伝票及び前記第2の伝票の印刷を前記印刷装置に指示する指示手段、
前記ジョブの1つ以上の作業工程に対応付いた場所に設置され、前記第1の伝票及び前記第2の伝票を撮影する1つ以上の撮影手段により撮影された前記第1の伝票及び前記第2の伝票の画像から前記所定の領域の前記所定の色を認識する認識手段、
前記第1の伝票及び前記第2の伝票の前記所定の領域の前記所定の色を
ラベルとして利用して、前記第1の伝票及び前記第2の伝票により識別される前記ジョブ
の状態を管理する管理手段、
として機能させ
、
前記管理手段は、前記第1の伝票及び前記第2の伝票を撮影した前記撮影手段と、撮影された前記第1の伝票及び前記第2の伝票の画像から認識された前記所定の領域の前記所定の色と、に基づき、前記撮影手段の撮影する場所での1以上の前記第1の伝票または前記第2の伝票それぞれを認識することによって、前記ジョブに含まれる1以上のパーツ夫々の位置を管理すること
を特徴とするプログラム。
【請求項13】
ジョブを識別するための伝票を印刷装置に印刷させ、前記伝票を利用して前記ジョブを管理する情報処理装置であって、
前記伝票の所定の領域を、前記伝票により識別されるジョブの最終成果物を構成する、1以上のパーツと対応付けられている所定の色にした第1の伝票の画像データ、及び前記第1の伝票から前記所定の領域の前記所定の色を引き継いだ第2の伝票の画像データ、を作成する作成手段と、
前記第1の伝票及び前記第2の伝票の画像データを用いて、前記第1の伝票及び前記第2の伝票の印刷を前記印刷装置に指示する指示手段と、
前記ジョブの1つ以上の作業工程に対応付いた場所に設置され、前記第1の伝票及び前記第2の伝票を撮影する1つ以上の撮影手段により撮影された前記第1の伝票及び前記第2の伝票の画像から前記所定の領域の前記所定の色を認識する認識手段と、
前記第1の伝票及び前記第2の伝票の前記所定の領域の前記所定の色を
ラベルとして利用して、前記第1の伝票及び前記第2の伝票により識別される前記ジョブ
の状態を管理する管理手段と、
を有
し、
前記管理手段は、前記第1の伝票及び前記第2の伝票を撮影した前記撮影手段と、撮影された前記第1の伝票及び前記第2の伝票の画像から認識された前記所定の領域の前記所定の色と、に基づき、前記撮影手段の撮影する場所での1以上の前記第1の伝票または前記第2の伝票それぞれを認識することによって、前記ジョブに含まれる1以上のパーツ夫々の位置を管理すること
を特徴とする情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、プログラム、及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の作業工程からなるジョブの進捗を作業指示書に印刷されたバーコード等を活用することにより管理することは、従来から行われている。
【0003】
また、作業者と作業を行う対象(工場での材料、仕掛品、製品など)にRFIDタグを付与し、加工場入り口の入門ゲートと加工場出口の出門ゲートでRFIDタグを読み取ることで、作業者の作業時間と作業を行う対象の流れ(作業場への入りと出)を管理するシステムは従来から知られている(例えば特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の作業工程からなり最終成果物を生成するジョブの進捗を、作業指示書に印刷されたバーコード等を活用することによりジョブを識別して管理する従来の技術では、例えば最終成果物の生産のために、ある作業工程で生産される生産物やパーツの数量が増加して、ジョブを分割して管理しなければならなくなった場合に、分割元のジョブ(以下、親ジョブと呼ぶ)と分割先のジョブ(以下、子ジョブと呼ぶ)との正確な管理を行うことができなかった。例えば、ジョブの生産過程で分かれた、親ジョブや子ジョブ夫々に伴う生産物の、置き場の把握や、ジョブ全体に加えて複数の親ジョブや子ジョブ夫々の詳細な進捗把握を行える仕組みは無かった。
【0005】
本発明の実施の形態は、分割されたジョブの伝票による、ジョブの詳細な管理を行うことができる情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する為、本願請求項1は、ジョブを識別するための伝票を印刷し、前記伝票を利用して前記ジョブを管理する情報処理システムであって、前記伝票の所定の領域を、前記伝票により識別されるジョブの最終成果物を構築する、1以上のパーツと対応付けられている所定の色にした第1の伝票の画像データ、及び前記第1の伝票から前記所定の領域の前記所定の色を引き継いだ第2の伝票の画像データ、を作成する作成手段と、前記第1の伝票及び前記第2の伝票の画像データを用いて、前記第1の伝票及び前記第2の伝票の印刷を指示する指示手段と、前記第1の伝票及び前記第2の伝票の画像データに基づき、前記第1の伝票及び前記第2の伝票を印刷する印刷手段と、前記ジョブの1つ以上の作業工程に対応付いた場所に設置され、前記第1の伝票及び前記第2の伝票を撮影する1つ以上の撮影手段と、撮影された前記第1の伝票及び前記第2の伝票の画像から前記所定の領域の前記所定の色を認識する認識手段と、前記第1の伝票及び前記第2の伝票の前記所定の領域の前記所定の色をラベルとして利用して、前記第1の伝票及び前記第2の伝票により識別される前記ジョブの状態を管理する管理手段と、を有し、前記管理手段は、前記第1の伝票及び前記第2の伝票を撮影した前記撮影手段と、撮影された前記第1の伝票及び前記第2の伝票の画像から認識された前記所定の領域の前記所定の色と、に基づき、前記撮影手段の撮影する場所での1以上の前記第1の伝票または前記第2の伝票それぞれを認識することによって、前記ジョブに含まれる1以上のパーツ夫々の位置を管理することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施の形態によれば、分割されたジョブの伝票による、ジョブの詳細な管理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係るジョブ管理システムの一例の構成図である。
【
図2】本実施形態に係るジョブ管理システムで利用する作業指示書の一例のイメージ図である。
【
図3】コンピュータの一例のハードウェア構成図である。
【
図4】作業工程管理システムの一例の機能構成図である。
【
図5】印刷工場におけるジョブの作業工程の一例を示したイメージ図である。
【
図6】縁取り色で周辺部が縁取られたカラーコード付き作業指示書を作成する処理の一例のフローチャートである。
【
図7】カラーコード画像を生成する処理の一例のフローチャートである。
【
図8】3進数を表現可能なコード化ルールについて説明するための図である。
【
図9】光学シンボルにコード化するための情報の例を示す図である。
【
図10】光学シンボルの各セルに割り当てる色数を4色とした場合の光学シンボルの例を示す図である。
【
図11】縁取り色で周辺部が縁取られたカラーコード付き作業指示書を作成する処理イメージを示す図である。
【
図12】ラベル名に対応付いた縁取り色で周辺部が縁取られた情報処理システム用の作業指示書を作成する処理の一例の説明図である。
【
図13】ラベル設定画面の一例のイメージ図である。
【
図14】親ジョブ及び子ジョブの一例の説明図である。
【
図15】ゲート通過時のジョブステータス更新処理の一例のフローチャートである。
【
図16】作業工程管理システムが表示するUI画面の一例の遷移図である。
【
図17】工場全体を表示するマップ表示画面の一例のイメージ図である。
【
図18】保管エリアを表示するエリア表示画面の一例のイメージ図である。
【
図19】作業工程管理システムの他の例の機能構成図である。
【
図20】作業工程管理システムの他の例の機能構成図である。
【
図21】ジョブ管理テーブルが記憶しているジョブIDと、カラーコードIDと、ジョブ情報とを対応付けたテーブルT1の一例である。
【
図22】ジョブ管理テーブルが記憶しているカメラの識別情報、カメラの識別情報に対応付けられた工程の状態を示す状態情報と対応付けたテーブルT2の一例である。
【
図23】ジョブ一覧からジョブ分割を実行する画面遷移例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、本実施形態では印刷工場におけるジョブの作業工程の管理を、作業指示書(伝票)を利用した機能により実現するジョブ管理システムを例に説明する。なお印刷工場におけるジョブとは、印刷業者が、システム及びシステムに接続されるプリンタやその他の機器、器具等を用いて、印刷・断裁・折り・製本・検査などの各作業工程を通して、最終成果物を生産しクライアントに提供する一連の作業のことを指す。また最終成果物とは、例えば印刷業者が、印刷を依頼したクライアント(例えば出版社や商社等の様々な会社など)に提供する印刷物等であり、本や冊子、パンフレット、様々な印刷物の束など、複数のパーツを含んだ(複数のパーツで構成される)印刷物である。なおダイレクトメールや支払い帳票、ちらしなどの1つのパーツのみからなる印刷物もシステムの管理対象に含んでいても良い。またジョブは、印刷に関する作業のみに限定されるものではなく、その他の様々な物を生産する作業を含む。そのためジョブ管理システムも印刷工場におけるジョブの作業工程の管理に限定するものではない。様々な生産・製造における工程の管理システムに適用可能である。
【0010】
[第1の実施形態]
<システム構成>
図1は、本実施形態に係るジョブ管理システムの一例の構成図である。
図2は、本実施形態に係るジョブ管理システムで利用する作業指示書の一例のイメージ図である。
図1に示したジョブ管理システム1は、顧客システム10、作業工程管理システム14、プリンタ16、及び1台以上のカメラ18がインターネットやLANなどのネットワーク20を介してデータ通信可能に接続されている。
【0011】
顧客システム10は例えばプリンタや管理システムを提供する企業の顧客である、印刷業者等が導入して使用しているシステムの一例であって、ジョブIDが印刷されて表示された
図2(A)の顧客システム10用の作業指示書800を作成する。作業指示書800とは、複数の作業工程を含むジョブにおいて、最終成果物を生産する作業の内容を記載した文書であり、顧客システム10で電子ファイルとして作成されている。なお作業指示書800は印刷して用いてもよい。作業指示書800には、最終成果物を生産するためにどのようなパーツが必要で、各パーツをどのように作成し組み立てるか、といった各工程における作業や用いる機器が記入されている。パーツとは、例えば本のハードカバー、ハードカバーをさらに外装するカバー、本文、折込みページ、サイズの小さいページ、差し込むチラシなどであり、最終成果物である一部を構成する物(中間生成物)であると言ってもよい。そのため1つのジョブ(親ジョブ)には、パーツの作成のために分岐したジョブ、即ち親ジョブから分割した子ジョブが発生する。ジョブIDはジョブを識別する識別情報の一例であり、例えば顧客システム10において採番して発行される。また、
図2(A)の顧客システム10用の作業指示書800は、顧客システム10側で、ジョブIDに基づいて生成して作業指示書800の画像に付与して利用しているバーコード画像801が表示されている例を示している。なおジョブIDは、顧客システム10においてジョブ毎に作業指示書800と関連付けて管理される。例えば作業者(印刷業者など)が、端末装置を操作して顧客システム10に作業指示書800を新規作成した際に、自動的にジョブIDが発行されるとともに、ジョブIDを含むバーコード画像801が作業指示書800の画像に付与されてもよい。
【0012】
なお、ジョブIDは顧客システム10用の作業指示書800にバーコード画像801で表示されていてもよいし、テキストで表示されていてもよい。顧客システム10は、顧客システム10用の作業指示書800により実現される機能をユーザの一例である作業者(例えば印刷業者)に提供する。ここでの機能とは、例えば作業指示書800の作成、編集、印刷指示、ジョブIDの発行とバーコード付与等であり、この他作業指示書800で識別される1つのジョブのレベルで、ジョブが完了したかしていないかの状態管理が可能であってもよい。
【0013】
作業工程管理システム14、プリンタ16、及び1台以上のカメラ18は、作業指示書800に新たな機能を追加する情報処理システム12を構成している。作業工程管理システム14は、複数の作業工程からなるジョブの進捗を、
図2(B)のカラーコード画像811が付与された情報処理システム12用の作業指示書810を利用して後述のように管理する。
【0014】
図2(B)の情報処理システム12用の作業指示書810は、周辺部812が色で縁取りされている。以下では周辺部812の色を縁取り色と呼ぶ。作業指示書810は周辺部812が縁取り色で縁取られることにより、作業指示書810の下にあるもの(印刷物など)との境目が明確になり、作業指示書810の視認性が高まる。すなわち、例えば作業指示書810が、印刷物等よりもサイズが小さい場合などに、作業指示書810を印刷物やパーツの束等の上などに載せて用いたとき、作業指示書810が白地であると、白地の印刷物との色の見分けがつきにくいことがある。作業指示書810に縁取り色があることでカメラ18の撮影画像にもとづく作業指示書810の識別精度や、印刷物の積載場所における作業者の視認性が高まる。なお作業指示書810は、印刷物や最終成果物を構成する各パーツや印刷物の束の上や、側面、またはその付近などカメラ18で撮影可能な箇所に、透明なビニール等で包装されたり、あるいは紙のまま張り付けられて用いられる。例えば工場内にはパーツ等の中間生成物や印刷物が多数あり、それらが1つのジョブでも増減することに加え、保管場所を移動したり、最終生成物へと製本したりする必要があるため、パーツ等を目視で探す作業やジョブの管理に手間がかかっていた。縁取り色があることで、作業者が現場でパーツを探す作業が容易になったり、1つのジョブの最終成果物に必要な複数のパーツを他ジョブのパーツと見わけやすくなる効果、あるいは複数ジョブで共通する作業(断裁や折り、場所移動等)が必要な同じ種類のパーツを探しやすくなる効果もある。
【0015】
図2(B)では作業指示書810の周辺部812の全部が縁取り色で縁取りされている例を説明したが、周辺部812の一部(例えば一辺や二辺)が縁取り色で縁取りされてもよい。
図2(B)の周辺部812の形状、大きさは一例である。さらに、周辺部812が縁取り色で縁取りされている作業指示書810に替えて、例えば色の異なるマークなどの目印が表示された情報処理システム12用の作業指示書810であってもよい。周辺部812が縁取り色で縁取りされている作業指示書810に替えて、例えば異なる色で文字が表示された情報処理システム12用の作業指示書810であってもよい。
【0016】
なお、情報処理システム12は後述のようにカラーコード画像811からジョブID及び後述の枝番を特定できる。また、情報処理システム12は後述するように、作業指示書810の周辺部812を縁取り色(所定の色の一例)で縁取る機能に、縁取り色を、最終成果物に含まれるパーツを容易に識別処理及び視認できるラベルとして利用するラベル機能が付加されている。ラベルは1ジョブに含まれるパーツ毎に色を変える。なおパーツを親ジョブとして分岐した子ジョブ毎にラベルの色を変えてもよいし、1ジョブに含むパーツを全て同じ色のラベルにしてもよい。また情報処理システム12は作業指示書810の目印の色又は文字の色をラベルとして扱ってもよい。目印の色及び文字の色も所定の色の一例である。
【0017】
情報処理システム12は、作業指示書810の縁取り色、目印の色、又は文字の色をラベルとして扱い、その縁取り色、目印の色、又は文字の色とジョブの内容(ジョブの作業対象物の種類など)とを対応付けておくことで、作業者がジョブの内容を直感的に視認し易くしている。
【0018】
また、情報処理システム12は、作業指示書810の縁取り色、目印の色、又は文字の色をラベルとして利用することで、例えば「製本」のジョブに含まれている「カバー」のジョブ及び「本文」のジョブの作業指示書810をラベルの色で区別できる。例えば情報処理システム12は「カバー」のジョブの作業指示書810のラベルの色をオレンジに設定する。また、情報処理システム12は「本文」のジョブの作業指示書810のラベルの色を黄色に設定する。このようにジョブに含まれるパーツ間で、同系色の色を、RGB値を所定範囲内で制御することでラベルに付与してもよい。例えば黄色(R:255, G:255, B:0)#ffff00と、オレンジ(R:255 G:128 B:0)#ff8000などRGB値の何れかまたは複数の値を例えば所定範囲内(例えば150以内の任意の値)で変更して各パーツの色に設定することで同系色を付与し、1ジョブに含まれるパーツであることを分かりやすくしてもよい。
【0019】
情報処理システム12は、ジョブの途中で、作業対象物である印刷物の紙束やジョブのパーツ等を積載または運搬するパレットなどの積載手段や運搬機材を増やす必要が生じた場合などに、そのジョブ(親ジョブ)の作業指示書810のラベルの色を引き継いだジョブ(子ジョブ)の作業指示書810を発行する。親ジョブは第1の伝票の一例である。子ジョブは第2の伝票の一例である。パレットを増やす必要が生じた場合には、例えば、パーツの印刷枚数(生産数)が多いときや、パーツの断裁・折りにより嵩が増した際などに、1つのパレットにパーツを置ききれなくなり、同じ種類のパーツを複数のパレットに分けて載せる必要がある場合がある。また新しく別の種類のパーツを追加する必要が出た場合、例えば冊子に広告や別のページを差し込む必要がでるなど、ジョブで用いるパーツが増える場合などもある。子ジョブの作業指示書810には親ジョブの作業指示書810のジョブID、及びラベルの色が引き継がれる。引き継がれるとは、子ジョブの作業指示書810を作成・印刷する際に、自動的に親と同じジョブIDやラベルの色を用いて子ジョブの枝番を発行し、対応付けて記憶することである。また、親ジョブ及び子ジョブの作業指示書810は、1つのジョブID及び親ジョブ及び子ジョブ毎に異なる枝番により個別に管理される。
【0020】
親ジョブ及び子ジョブの作業指示書810は、ジョブID、ラベルの色、及び枝番を利用することで、ジョブID、ラベルの色及び枝番により識別される親ジョブ、及びその親ジョブから分割された子ジョブの管理が容易となることで、各親ジョブや子ジョブにより発生する個々のパーツが存在することの把握や、分けたパーツを置いた場所の把握、さらに、各パーツやジョブ全体の作業の進捗管理の容易化が可能になる。また例えば1ジョブで用いるパレットを増やしたことで、パーツを置いておく場所が分散したとしても、パーツの存在する場所を見つけやすくし、例えば作業者が次の作業を行いやすくなる。なお、以下では作業指示書810の縁取り色をラベルとして扱う例を説明するが、作業指示書810の目印の色や文字の色をラベルとして扱う場合も同様である。
【0021】
プリンタ16は情報処理システム12用の作業指示書810を印刷する。カメラ18は印刷工場内のジョブの作業工程に対応付いた場所を撮影可能に設置される。なお、ジョブの作業工程に対応付いた場所とは、作業工程間の移動で印刷物が通過する場所や、印刷物が一時的に保管される一時保管場所などである。
【0022】
カメラ18はPTZカメラやIPカメラを利用できる。PTZカメラは、PTZ(Pan Tilt Zoom)機能をネットワーク20経由で操作可能なカメラであって、撮影画像や撮影動画をネットワーク20経由で送信可能なカメラである。
【0023】
IPカメラはネットワーク20経由で操作可能なカメラであって、撮影画像や撮影動画をネットワーク20経由で送信可能なカメラである。カメラ18で撮影された撮影画像や撮影動画はネットワーク20経由で作業工程管理システム14に送信される。
【0024】
作業指示書800に新たな機能を追加した作業指示書810を作成・印刷する情報処理システム12では、情報処理システム12用の作業指示書810が、その作業指示書810に対応するジョブの作業対象(中間生成物やパーツ、材料の一例である印刷物)に置かれたり添付されたりする。また、情報処理システム12用の作業指示書810は、ジョブの作業対象物を載せるパレットなどの荷役台に置かれたり添付されたりしてもよい。作業指示書810は例えばカメラ18により撮影されやすい印刷物等の作業対象物の上、作業対象物を載せるパレットの上、などに置かれたり添付されたりする。
【0025】
作業工程管理システム14は作業指示書810を撮影したカメラ18に対応するジョブの作業工程、作業指示書810から特定されたジョブID、ラベルの色、及び枝番に基づいて、親ジョブ、及びその親ジョブから分割された子ジョブの作業工程の進捗(ジョブの状態)を管理する。また、作業工程管理システム14はジョブの作業工程の履歴や、作業指示書810を撮影したときの様子を表す撮影画像や撮影動画を管理する。
【0026】
なお、
図1に示すジョブ管理システム1の構成は一例である。例えばジョブ管理システム1は、他のシステムが含まれていてもよいし、作業工程管理システム14が別の名称であってもよい。作業工程管理システム14は一台のサーバ環境で実現してもよいし、複数台のサーバ環境で実現するようにしてもよい。
【0027】
<ハードウェア構成>
顧客システム10及び作業工程管理システム14は例えば
図3に示すハードウェア構成のコンピュータ500により実現される。なおコンピュータ500は、パーソナルコンピュータ等の端末装置であってもよいし、あるいは1以上のサーバ装置と操作手段を含む端末装置とを含むシステムで構成されてもよい。また工場内にオンプレミスで設置されるサーバでもよいし、本発明の機能をクラウドサービスとして提供するクラウドサーバでもよい。また顧客システム10及び作業工程管理システム14は、コンピュータ500にインストールされるアプリケーションやソフトウェアであってもよいし、もしくはコンピュータ500に対してネットワークを介して接続する1以上のサーバ装置が提供する機能やクラウドサービスであってもよい。
【0028】
図3はコンピュータの一例のハードウェア構成図である。
図3のコンピュータ500は入力装置501、表示装置502、外部I/F503、RAM504、ROM505、CPU506、通信I/F507及びHDD508などを備え、それぞれがバスBで相互に接続されている。なお、入力装置501及び表示装置502は必要なときに接続して利用する形態であってもよい。
【0029】
入力装置501はキーボードやマウス、タッチパネルなどを含み、ユーザが各操作信号を入力するのに用いられる。表示装置502はディスプレイ等を含み、コンピュータ500による処理結果を表示する。
【0030】
通信I/F507はコンピュータ500を各種ネットワークに接続するインタフェースである。これにより、コンピュータ500は通信I/F507を介してデータ通信を行うことができる。
【0031】
また、HDD508は、プログラムやデータを格納している不揮発性の記憶装置の一例である。格納されるプログラムやデータには、コンピュータ500全体を制御する基本ソフトウェアであるOS、及びOS上において各種機能を提供するアプリケーションソフトウェア(以下、単にアプリケーションと呼ぶ)などがある。なお、コンピュータ500はHDD508に替え、記憶媒体としてフラッシュメモリを用いるドライブ装置(例えばソリッドステートドライブ:SSD)を利用するものであってもよい。
【0032】
外部I/F503は、外部装置とのインタフェースである。外部装置には、記録媒体503aなどがある。これにより、コンピュータ500は外部I/F503を介して記録媒体503aの読み取り及び/又は書き込みを行うことができる。記録媒体503aにはフレキシブルディスク、CD、DVD、SDメモリカード、USBメモリなどがある。
【0033】
ROM505は、電源を切ってもプログラムやデータを保持することができる不揮発性の半導体メモリ(記憶装置)の一例である。ROM505にはコンピュータ500の起動時に実行されるBIOS、OS設定、及びネットワーク設定などのプログラムやデータが格納されている。RAM504はプログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリ(記憶装置)の一例である。
【0034】
CPU506は、ROM505やHDD508などの記憶装置からプログラムやデータをRAM504上に読み出し、処理を実行することで、コンピュータ500全体の制御や機能を実現する演算装置である。顧客システム10及び作業工程管理システム14は例えば
図3に示すようなコンピュータ500のハードウェア構成により、後述する各種処理を実現できる。なお、プリンタ16及びカメラ18のハードウェア構成についての説明は省略する。
【0035】
<ソフトウェア構成>
図4は作業工程管理システムの一例の機能構成図である。なお、
図4の機能構成は本実施形態の説明に不要な構成について適宜省略している。
図4の作業工程管理システム14は、UI部30、ジョブID検出部32、ジョブ管理部34、カラーコード画像生成部36、カラーコード付き作業指示書作成部38、印刷指示部40、撮影画像取得部42、認識部44、カラーコード管理テーブル記憶部46、ジョブ管理テーブル記憶部48、設定部50、ホットフォルダ設定テーブル記憶部52、ラベル設定テーブル記憶部54、及び縁取り色設定テーブル記憶部56を有する構成である。また、認識部44はカラーコード認識部102及びラベル色認識部104を有する構成である。
【0036】
UI(User Interface)部30は、作業者から必要な各種設定を受け付ける画面、後述のラベル設定画面やジョブステータス一覧画面などの各種画面の表示を制御する。ジョブID検出部32は例えば
図2(A)の顧客システム10用の作業指示書800にバーコード画像801やテキストで表示されているジョブIDを検出する。UI部30は、コンピュータ500の表示装置502等で表示する画面情報や画面部品を作成または送信する手段であってもよい。
【0037】
ジョブ管理部34は、利用可能なカラーコードIDをカラーコード管理テーブル記憶部46に記憶して管理している。
【0038】
ジョブ管理部34は、利用していないカラーコードIDがカラーコード管理テーブル記憶部46に残っていなければ、カラーコード管理テーブル記憶部46から最終更新の古いカラーコードIDを選択して再利用する。ジョブ管理部34は、ジョブID検出部32が検出したジョブIDと枝番と選択したカラーコードIDとを対応付けてカラーコード管理テーブル記憶部46で管理する。
【0039】
また、ジョブ管理部34は、ジョブIDと、カラーコードIDと、ジョブ情報とをジョブ管理テーブル記憶部48に対応付けて記憶させる。ジョブ情報には、ジョブの工程の状態を示す状態情報が含まれる。
図21は、ジョブ管理テーブル記憶部48が記憶しているジョブIDと、カラーコードIDと、ジョブ情報とを対応付けたテーブルT1の一例である。
【0040】
また、ジョブ管理テーブル記憶部48は、カメラ18の識別情報、カメラ18の識別情報に対応付けられた工程の状態を示す状態情報と対応付けて記憶している。
図22は、ジョブ管理テーブル記憶部48が記憶しているカメラの識別情報、カメラ18の識別情報に対応付けられた工程の状態を示す状態情報と対応付けたテーブルT2の一例である。
【0041】
なお、ジョブ管理テーブル記憶部48は、ジョブ(親ジョブ、子ジョブなど)の作業工程の進捗情報や履歴情報、作業指示書810を撮影したときの様子を表す撮影画像ファイルや撮影動画ファイルなどをさらに対応付けてジョブ管理テーブル記憶部48に記憶させ、ジョブステータス一覧画面等を表示するために利用される。
【0042】
カラーコード画像生成部36はジョブ管理部34から提供されたカラーコードIDから後述するカラーコード画像811を生成する。カラーコード付き作業指示書作成部38は
図2(A)の顧客システム10用の作業指示書800から
図2(B)のカラーコード画像811が付与されると共に、縁取り色で周辺部812が縁取られた情報処理システム12用の作業指示書810を作成する。印刷指示部40は
図2(B)のカラーコード画像811が付与されると共に、縁取り色で周辺部812が縁取られた情報処理システム12用の作業指示書810の印刷をプリンタ16に指示する。
【0043】
撮影画像取得部42はカメラ18から撮影画像や撮影動画を取得する。認識部44のカラーコード認識部102は、撮影画像や撮影動画に写っていた情報処理システム12用の作業指示書810のカラーコード画像811からカラーコードIDをデコードする。認識部44のラベル色認識部104は、撮影画像や撮影動画に写っていた作業指示書810の周辺部812の縁取り色を認識する。
【0044】
認識部44は、例えばカラーコード画像811を撮影したカメラ18又はジョブの作業工程を識別する識別情報と、デコードしたカラーコードIDと、認識した周辺部812の縁取り色と、をジョブ管理部34に提供する。
【0045】
ジョブ管理部34はデコードしたカラーコードIDに対応するジョブID及び枝番を、ジョブ管理テーブル記憶部48を参照して特定できると共に、認識した周辺部812の縁取り色に対応する後述のラベル名を、縁取り色設定テーブル記憶部56を参照して特定できる。
【0046】
これにより、ジョブ管理部34はカラーコード画像811を撮影したカメラ18に対応するジョブの作業工程と、デコードしたカラーコードIDに対応するジョブID及び枝番と、認識した周辺部812の縁取り色に対応するラベル名とに基づいて、ジョブ管理テーブル記憶部48で管理されるジョブの作業工程の進捗情報(ジョブステータス)を更新できる。
【0047】
このように、本実施形態では縁取り色をラベルとして利用するラベル機能が付加されたことにより、例えば「製本」のジョブに含まれている「カバー」のジョブ及び「本文」のジョブといったジョブIDから認識できない情報、例えばジョブから派生したジョブ中の詳細情報を管理できる。
【0048】
設定部50は後述するラベル設定画面から設定された内容をホットフォルダ設定テーブル記憶部52、ラベル設定テーブル記憶部54、及び縁取り色設定テーブル記憶部56に記憶させる。ホットフォルダ設定テーブル記憶部52は後述のホットフォルダ設定テーブルを記憶している。ラベル設定テーブル記憶部54は後述のラベル設定テーブルを記憶している。また、縁取り色設定テーブル記憶部56は後述の縁取り色設定テーブルを記憶している。
【0049】
<処理>
図5は印刷工場におけるジョブの作業工程の一例を示したイメージ図である。
図5の作業工程は「印刷」と「断裁」と「折り」と「製本」と「検査」と「一時保管1」と「一時保管2」とを含んでいる。カメラ18a1~18a5は作業工程「印刷」と「断裁」と「折り」と「製本」と「検査」とを行う場所の手前のゲートに設置されている。また、カメラ18b1及び18b2は作業工程「一時保管1」と「一時保管2」とを行う場所に設置されている。
【0050】
情報処理システム12用の作業指示書810は作業工程間を移動する過程や一時保管場所に保管されている状態で、カメラ18a1~18a5やカメラ18b1~18b2により撮影される。なお、
図5に示すように印刷工場では作業工程間の移動が一定でなく、ジョブによって情報処理システム12用の作業指示書810が撮影されず、検知や記録がされない作業工程が含まれる場合がある。
図5では全ての作業工程を行うジョブの移動を表す矢印と、作業工程の一部をスキップするジョブの移動を表す矢印と、を表している。
【0051】
図5では作業工程「印刷」により印刷物が出力されたあと、その印刷物の上に作業指示書810を置いたり添付したりする。これにより、
図5の例では印刷物がゲートを通過する過程や、一時保管場所に保管されている状態で、印刷物の上に置かれたり添付されたりした作業指示書810がカメラ18a1~18a5やカメラ18b1~18b2により撮影される。
【0052】
《縁取り色で周辺部が縁取られたカラーコード付き作業指示書の作成》
図6は縁取り色で周辺部が縁取られたカラーコード付き作業指示書を作成する処理の一例のフローチャートである。ステップS11において作業工程管理システム14のジョブID検出部32は、顧客システム10用の作業指示書800にバーコード画像801やテキストで表示されているジョブIDを検出する。例えば、顧客システム10で作成された作業指示書800の電子データ(例えばPDFファイル等)に含まれる、特定位置のバーコード画像801やテキストデータ等を、電子データの画像の画素値や、文字認識等に基づいて、コンピュータ500(作業工程管理システム14)で検出する。なお、作業指示書800からジョブIDを検出する検出枠はオペレータにより予め設定しておいてもよいし、OCR等を利用して自動で設定してもよい。
【0053】
ステップS12に進み、ジョブ管理部34は、検出したジョブIDが新規のジョブIDである場合は、利用するカラーコードIDであって、他のジョブIDで使用されていないカラーコードIDをカラーコード管理テーブル記憶部46から選択し、選択したカラーコードID、ジョブID検出部32が検出したジョブID、及び枝番を対応付けて記憶することにより管理する。なお、検出したジョブIDが新規ではなく、すでにカラーコード管理テーブル記憶部46に存在する場合は、すでにそのジョブIDと対応付いて記憶されているカラーコードIDを用いてステップS13に進む。あるいは、カラーコード付き作業指示書810が印刷済みである旨の表示や、エラー表示をコンピュータ500に表示したり、さらに印刷済みのカラーコード付き作業指示書810の現在の位置を後述するエリア表示画面1300において表示してもよい。
【0054】
ステップS13に進み、カラーコード画像生成部36はジョブID及び枝番と対応付けられたカラーコードIDから
図7に示す手順でカラーコード画像811を生成する。
図7に示す手順は例えば特開2017-199306号公報に記載されている技術を利用するものである。なおカラーコードIDは、ジョブID及び枝番ごとに異なる新しいIDを採番して生成する方法や、カラーコードIDの中にジョブIDと枝番と識別する情報を含んで作成する方法でもよい。
【0055】
図7はカラーコード画像を生成する処理の一例のフローチャートである。カラーコード画像生成部36はステップS21においてカラーコード化対象のカラーコードIDの入力を受け付ける。ステップS22に進み、カラーコード画像生成部36はカラーコードIDの文字列を、各桁の値に分解する。ステップS23に進み、カラーコード画像生成部36は分解された各桁の値を、特開2017-199306号公報に記載されている光学シンボルの各セルに割り当てる色数に応じた値に変換する。例えばカラーコード画像生成部36は各セルに割り当てる色数が4色であれば、各桁の値を例えば
図8に示すようなコード化ルールに従って3進数による値に変換する。
【0056】
図8は、3進数を表現可能なコード化ルールについて説明するための図である。
図8はR色(赤色)と、G色(緑色)と、B色(青色)とK色(黒色)との4色を用いた場合のコード化ルールの例を示している。4色を用いる場合は、3値すなわち3進数での表現が可能である。
【0057】
例えば、
図8(a)に例示されるように、時計回り、すなわち、R色からK色、K色からB色、B色からG色、G色からR色への各遷移は値「0」を表現する。また、反時計回り、すなわち、R色からG色、G色からB色、B色からK色、K色からR色への各遷移は値「1」を表現する。さらに、対角線上、すなわち、R色とB色との間の双方向の遷移、および、K色とG色との間の双方向の遷移は、それぞれ値「2」を表現する。
【0058】
例えば、
図8(b)に示されるように、G色、R色、B色、K色、G色の順に各セルが順次接続されたセル列において、図中で左から右に向けて各セルの色遷移を見た場合について考える。この場合は、G色からR色への遷移が値「0」を表し、R色からB色への遷移が値「2」を表し、B色からK色への遷移が値「1」を表し、K色からG色への遷移が値「2」をそれぞれ表す。したがって、
図8(b)の配列は値「3d2120」、すなわち10進数の値「69」を表す。なお、値の表記において先頭の「3d」は、続く数字が3進数による値であることを示している。
【0059】
4色の色遷移を用いたコード化ルールは、
図8(a)に示した例に限定されず、例えば
図8(d)に示した例であってもよい。
図8(e)は
図8(d)に示したコード化ルールに従った色遷移と値とを関連付ける変換テーブルの例を示す。
図8(e)において、例えば遷移元のセルの色がR色で値「2」を表現したい場合、遷移元のセルに隣接する遷移先のセルの色をB色とする。同様に、遷移元のセルの色がK色で値「1」を表現したい場合は遷移先のセルの色をG色とする。
【0060】
図7のステップS23に続いてステップS24に進み、カラーコード画像生成部36は遷移元のセルの色と、ステップS23で変換された3進数の値と、
図8(a)に示したようなコード化ルールの変換テーブルとに従い、光学シンボルの各セルに色を割り当てる。なお、カラーコード画像生成部36は光学シンボルの主コードのセル列における各セルの色の配列を予め記憶しているものとする。
【0061】
図9および
図10を用いて、光学シンボルの各セルに割り当てる色数を4色とした場合のより具体的な例について説明する。
図9は光学シンボルにコード化するための情報の例を示す図である。
図10は光学シンボルの各セルに割り当てる色数を4色とした場合の光学シンボルの例を示す図である。
【0062】
図9は主コード部300の各セル「d1」、「d2」、「d3」及び「d4」に接続される副コード部301の各セル列が値「3d1」、「3d1」、「3d0」及び「3d1」の例である。
【0063】
図10は
図9に例示した情報を、
図8を用いて説明したコード化ルールに従いコード化した光学シンボルの例を示す。この例では主コード部300のセル列は、偶数個のセルを含み、先端のセルをK色として、K色およびR色が交互に配置されて構成されている。
【0064】
また、副コード部301は例えば左端のセルにおいて、当該セルが接続される主コード部300のセルのK色を最初の遷移元の色として、セルの色が割り当てられる。
図10の例では、遷移元のセルである主コード部300のセルのK色、副コード部301のセルの値「3d1」に従い、
図8(a)のコード化ルールの変換テーブルを参照して、光学シンボルの一番左側の副コード部301のセルにR色が割り当てられている。
【0065】
図6のステップS13に続いてステップS14に進み、カラーコード付き作業指示書作成部38はステップS13で生成したカラーコード画像811、及びラベル名と対応付いた縁取り色を利用して、周辺部812が縁取り色で縁取られた情報処理システム12用の作業指示書810を作成する。縁取り色は、所定の座標や用紙端部からの距離(mm)等に基づく縁撮り部分の領域を指定する情報と、その領域内に適用するRGBやCMYKの値等の色情報からなる作業指示書810印刷時のパラメータによって、作業指示書810に付与される。
【0066】
図11は縁取り色で周辺部が縁取られたカラーコード付き作業指示書を作成する処理イメージを示す図である。用紙サイズやレイアウト枠はオペレータにより予め設定しておいてもよい。例えば、周辺部812(所定の領域の一例)は、情報処理システム12を利用するユーザが予め設定した大きさや形状でもよい。具体的には、ユーザが、周辺部812を作業指示書810の端部から5cmの領域と設定してもよいし、作業指示書810の端部から10cmの領域と設定してもよいし、長方形や楕円形のレイアウト領域の外側の領域と設定してもよい。
【0067】
図2(A)の顧客システム10用の作業指示書800は画像処理により変倍縮小されることで空きスペースが生成される。また、
図2(B)の情報処理システム12用の作業指示書810は、顧客システム10用の作業指示書800の電子データを画像処理により変倍縮小することで生成された空きスペースにカラーコード画像811を貼付すると共に、作業指示書810の周辺部812がラベル名と対応付いた縁取り色で縁取られたものである。
【0068】
なお、
図2(A)の顧客システム10用の作業指示書800には、顧客システム10側で利用しているバーコード画像801が表示されている。従って、単純に顧客システム10用の作業指示書800を縮小すると、バーコード画像801が機能しなくなる(認識できなくなる)可能性がある。
【0069】
そこで、カラーコード付き作業指示書作成部38はバーコード画像801の機能を損なうことなく空きスペースを生成するため、バーコード画像801の機能を損なわない方向へ変倍縮小を行うようにしてもよい。
【0070】
図6のステップS14に続いてステップS15に進み、印刷指示部40はステップS14で作成された情報処理システム12用の作業指示書810(カラーコード付き作業指示書)の印刷をプリンタ16に指示する。プリンタ16は印刷指示部40からの指示により例えば
図2(B)に示すような縁取り色で周辺部812が縁取られたカラーコード付き作業指示書810(情報処理システム12用の作業指示書810)を印刷する。
【0071】
ラベル名に対応付いた縁取り色で周辺部812が縁取られた情報処理システム12用の作業指示書810を作成する処理は、例えば
図12に示すように行われる。
図12はラベル名に対応付いた縁取り色で周辺部が縁取られた情報処理システム用の作業指示書を作成する処理の一例の説明図である。
【0072】
本実施形態に係る情報処理システム12は、ジョブの内容(ジョブの作業対象の種類など)と対応付けられたホットフォルダ900が設けられている。なお、ホットフォルダ900はジョブの作業対象の種類ごとに設けられており、例えばジョブの作業対象の種類名がホットフォルダ名として設定されている。作業対象の種類とは、例えば最終成果物の種類や、中間生成物であるパーツ等の種類であり、例えば、最終生成物としては製本処理がされた本や冊子、パーツとしては本に挟み込むちらし等の広告やダイレクトメール、本のハードカバーや外装カバー等がある。なおホットフォルダ900は、コンピュータ500(作業工程管理システム14)の有する、作業指示書800などの電子ファイルの入力(格納)操作を、作業者から受け付け可能なフォルダであり、表示装置502にフォルダのアイコン等で表示される。ホットフォルダ900はコンピュータ500で操作可能な作業工程管理システム14のソフトウェアの機能であってもよいし、もしくは、作業工程管理システム14で設定可能な、コンピュータ500等で作成したフォルダに割り当てられる機能であってもよい。コンピュータ500は、ホットフォルダ900に作業指示書800の電子ファイルが格納される操作を受け付けると、後述のように、作業工程管理システム14により1以上の作業指示書810の電子ファイルを作成し、作成した1以上の作業指示書810の電子ファイルを対応するプリンタ16へ印刷指示する処理が連続して実行される。
【0073】
図12では、作業者が「無線綴じ製本」のジョブと対応付けられたホットフォルダ900に、顧客システム10用の作業指示書800の電子ファイルを投入する。作業工程管理システム14のジョブID検出部32は、ホットフォルダ900に投入された顧客システム10用の作業指示書800から、前述のようにバーコード画像801やテキスト等で記載されているジョブID「ABCDE」を検出する。ジョブ管理部34はジョブID検出部32により検出されたジョブID「ABCDE」のジョブをジョブ管理テーブルに登録する。
図12のジョブ管理テーブルは項目としてジョブID、枝番(区別情報の一例)、及びラベル名が対応付けられている。ラベル名に加えてそれぞれラベルIDがテーブルに記憶されてもよい。ラベル名やラベルIDはラベル識別情報の例である。
【0074】
なお、枝番には、番号のみではなく、アルファベット等の文字や記号等、検出した第2ジョブIDを区別することができる情報が含まれる。
【0075】
また、ジョブ管理部34は顧客システム10用の作業指示書800が投入されたホットフォルダ900のホットフォルダ設定テーブルを参照し、そのホットフォルダ900と対応付けられたラベル設定「設定1」を読み出す。
図12のホットフォルダ設定テーブルは項目としてホットフォルダ名及びラベル設定が対応付けられている。
【0076】
また、ジョブ管理部34はホットフォルダ設定テーブルから読み出したラベル設定「設定1」に対応付けられたラベル名「カバー」及び「本文」を、ラベル設定テーブルから読み出す。
図12のラベル設定テーブルは項目としてラベル設定及びラベル名が対応付けられている。
図12のホットフォルダ設定テーブル及びラベル設定テーブルによれば、顧客システム10用の作業指示書800が投入されたホットフォルダ900と対応付けられているラベル名「カバー」及び「本文」を特定できる。
【0077】
ジョブ管理部34は、ホットフォルダ900に投入された顧客システム10用の作業指示書800から検出したジョブID、及び顧客システム10用の作業指示書800が投入されたホットフォルダ900から特定したラベル名に基づき、特定したラベル名のジョブをジョブ管理テーブルに追加する。
【0078】
例えば
図12では特定したラベル名が「カバー」及び「本文」の2つであるため、枝番が「00」のラベル名「カバー」及び「本文」の2つのジョブ(親ジョブ)がジョブ管理テーブルに登録される。
【0079】
カラーコード付き作業指示書作成部38はジョブIDが同一でラベル名の異なるジョブの情報をジョブ管理テーブルから読み出し、それぞれの作業指示書810の画像データを作成する。なお、作成される作業指示書810の縁取り色はジョブの情報に含まれるラベル名「カバー」及び「本文」と対応付けられた縁取り色を縁取り色設定テーブルから読み出す。
図12の縁取り色設定テーブルは項目としてラベル名と縁取り色とが対応付けられている。
【0080】
例えば
図12ではラベル名「カバー」に縁取り色「オレンジ」が対応付けられ、ラベル名「本文」に縁取り色「黄色」が対応付けられている。したがって、
図12では縁取り色が「オレンジ」の作業指示書810の画像データと、縁取り色が「黄色」の作業指示書810の画像データと、が作成される。
【0081】
なお、
図12のホットフォルダ設定テーブル、ラベル設定テーブル、及び縁取り色設定テーブルは例えば
図13に示すようなラベル設定画面1000から設定する。
図13はラベル設定画面の一例のイメージ図である。
【0082】
図13のラベル設定画面1000はタブ1002によりホットフォルダ毎のラベル設定の表示が切り替わり、各ホットフォルダのラベル設定ごとにホットフォルダ名の入力欄1004と、縁取り色設定テーブルの入力欄1006と、が設けられている。縁取り色設定テーブルの入力欄1006はラベル名と縁取り色とを対応付けて設定できる。なおタブ1002毎に、各ラベル設定を割り当てるフォルダを選択及び指定するボタンや、作成されたパーツ(ラベル)毎の作業指示書810を印刷する特定のプリンタ16を選択及び指定するボタンを有してもよい。
【0083】
なお、ラベル名は例えば「パーツの種類」を示す名称や、「発送先」を示す名称である。発送先は例えばパーツや印刷物の保管場所(パーツに張り付けるために印刷した作業指示書810を、作業者が持っていく場所が分かる情報)を示す名前などである。ラベル名は、テキスト入力や選択により設定することが可能で、工程でまとまって管理されるパーツ等の単位で付与する。ラベル名が設定・追加されると対応するラベルIDが発行される。また、縁取り色設定テーブルの入力欄1006はカラーコード画像811を付与しない作業指示書も印刷できるように、カラーコード画像811を付与するか否かを設定するチェックボックス1008が含まれていてもよい。
【0084】
また、作業工程管理システム14はジョブの途中で例えばパーツの折りや断裁等にともなう増量やパーツ追加に伴い、パーツや印刷物を置くパレットを分けたり増やしたりすることで、分割する必要が生じた場合など、ジョブの途中でユーザから子ジョブを生成する操作等を受け付けるようにしてもよい。子ジョブを生成する操作等を受け付けると、作業工程管理システム14は親ジョブの作業指示書810のジョブID及びラベル名を、親ジョブのものと同じ情報を用いることで引き継ぎ、枝番で管理される子ジョブの作業指示書810を発行する。なお、子ジョブを生成する操作とは、例えば、
図16のジョブステータス一覧画面1100等に示す、各ジョブIDとパーツを示すラベル名及び枝番で特定されるジョブ、親ジョブ、あるいは子ジョブの行を選択してジョブの分割を指示し、さらに分割する数の入力、出力プリンタの選択、生成されるジョブの作業指示書810のファイル保存先フォルダの選択を行うとともに、印刷指示を行う操作などであり、
図23のUI画面で操作可能である。なお、選択したジョブ・親ジョブ・子ジョブを削除するボタンや、詳細表示を行うボタンも有している。なお
図17のマップ表示画面1200、
図18のエリア表示画面1300に表示される印刷物やパーツ、パレットを選択することにより同様のジョブの分割の処理を行ってもよい。もしくは作成済みの親ジョブの作業指示書810の電子ファイルを、子ジョブ作成用のホットフォルダに格納することで、所定数の子ジョブを生成してもよい。またはコンピュータ500等に接続したバーコードリーダやカラーコードリーダ、スキャナや、プリンタ16の搬送経路上に有するインラインセンサ―による作業指示書810のコードの読取り、あるいは子ジョブ作成用の所定のカメラ18での作業指示書810の撮影により、読取った内容であるジョブID・枝番・パーツをコンピュータ500等で表示するとともに、子ジョブの生成指示、分割する数の入力、印刷指示を受け付ける画面を介して作業者に操作させて、生成してもよい。
【0085】
図14は親ジョブ及び子ジョブの一例の説明図である。
図14では顧客システム10用の作業指示書800から2種類の情報処理システム12用の作業指示書810(例えばラベル名「カバー」及び「本文」の作業指示書810)が発行されている。
【0086】
また、
図14の上段は、一の種類の情報処理システム12用の作業指示書810(例えばラベル名「カバー」の作業指示書810)を親ジョブとする子ジョブが1つ発行されている例を示している。作業工程管理システム14は親ジョブを枝番「00」で管理し、子ジョブを枝番「00」以外の枝番(例えば「01」から連続する枝番)で管理する。ここでの管理とは、
図12に示すジョブID「ABCDE」の、ラベル名「カバー」で枝番「00」が示す、親ジョブを基づいて、子ジョブのために新たな枝番「01」を発行するとともに、ジョブID「ABCDE」及びラベル名「カバー」とに対して枝番「01」を関連付けて、子ジョブを記憶することである。
【0087】
また、
図14の下段は、他の種類の情報処理システム12用の作業指示書810(例えばラベル名「本文」の作業指示書810)を親ジョブとする子ジョブが3つ発行されている例を示している。作業工程管理システム14は親ジョブを枝番「00」で管理し、子ジョブを枝番「00」以外の枝番「01」~「03」で管理する。ここでの管理とは、
図12に示すジョブID「ABCDE」の、ラベル名「本文」で枝番「00」が示す親ジョブに基づいて、子ジョブのために新たな枝番「01」~「03」を発行するとともに、ジョブID「ABCDE」及びラベル名「本文」とに対して枝番「01」~「03」をそれぞれ関連付けて、複数の子ジョブを記憶することである。
【0088】
図14の例では、作業工程管理システム14が顧客システム10用の作業指示書800により発行された2種類の親ジョブの他、上段の親ジョブから分割された1つの子ジョブ及び下段の親ジョブから分割された3つの子ジョブが存在していることが分かる。
図14の例では、親ジョブと、親ジョブから派生した子ジョブとを関連付けて記憶し管理することで、顧客システム10用の作業指示書800に連なる親ジョブ及び子ジョブの数を管理できる。
【0089】
このような管理により、作業工程管理システム14は顧客システム10用の作業指示書800に連なる親ジョブ及び子ジョブが、1以上のカメラ18で撮影した画像から検出した情報に基づいて、全て検出されて揃うことや、一の親ジョブから分割された子ジョブが同様に全て揃うこと、などを条件としたトリガーを実現できる。また、このような管理により、作業工程管理システム14は顧客システム10用の作業指示書800に連なる親ジョブ及び子ジョブの位置を検出することができる。
【0090】
例えば作業工程管理システム14はジョブの途中で子ジョブを生成してパレットを増やしたり分割した場合であっても、特定の場所に全てのパレットが揃った状態をトリガーとして検出することや、一の親ジョブから分割された子ジョブのパレットの位置を検出すること、ができる。
【0091】
《ゲート通過時のジョブステータスの更新》
本実施形態に係るジョブ管理システム1では、ラベル名に対応付いた縁取り色で周辺部812が縁取られ、カラーコード画像811が付与された情報処理システム12用の作業指示書810がカメラ18a又は18bにより撮影されることで、ジョブ管理テーブル記憶部48のジョブステータスが以下のように更新される。
【0092】
図15はゲート通過時のジョブステータス更新処理の一例のフローチャートである。作業工程管理システム14の撮影画像取得部42はカメラ18a又は18bから撮影画像や撮影動画を取得すると、ステップS52に進む。
【0093】
ステップS52において、認識部44のカラーコード認識部102は撮影画像取得部42が取得した撮影画像や撮影動画からのカラーコード画像811の切り出しを試みる。ステップS53に進み、カラーコード認識部102は例えば特開2017-199306号公報に記載されている手順でカラーコード画像811の認識処理を行う。
【0094】
カラーコード認識部102はカラーコード画像811が認識されると、カラーコード画像811から各セルの画像を検出する。ステップS54に進み、カラーコード認識部102はステップS53で検出した各セルの色情報、及び、各セルの接続情報、をシンボル情報として認識する。
【0095】
カラーコード認識部102は、例えば
図8(A)に示したコード化ルールに従ってシンボル情報をデコードすることで、カラーコード画像811にコード化されていたカラーコードIDを復元する。また、認識部44のラベル色認識部104はステップS55に進み、撮影画像取得部42が取得した撮影画像や撮影動画から、作業指示書810の周辺部812の縁取り色を認識する。
【0096】
ステップS56に進み、カラーコード認識部102は例えばカラーコード画像811を撮影したカメラ18aの識別情報及びデコードにより復元したカラーコードIDをジョブ管理部34に提供する。また、ラベル色認識部104は例えばカラーコード画像811を撮影したカメラ18aの識別情報及び認識した作業指示書810の周辺部812の縁取り色をジョブ管理部34に提供する。ジョブ管理部34は、ジョブ管理テーブル記憶部48を参照してカラーコードIDに対応するジョブID及び枝番を特定する。
【0097】
ジョブ管理部34は、例えばカラーコード画像811を撮影したカメラ18aの識別情報と、カラーコード画像811から復元したカラーコードIDに対応するジョブID及び枝番とに基づき、ジョブ管理テーブルで管理されているジョブステータスを「未検出」から「通過済み」などに更新できる。また、ジョブ管理部34は例えばカラーコード画像811を撮影したカメラ18aの識別情報と、カラーコード画像811から復元したカラーコードIDに対応するジョブID及び枝番と、認識した作業指示書810の周辺部812の縁取り色とに基づき、同一のカラーコード画像811の作業指示書810を、ラベル名ごとに区別して管理できる。なお、カラーコードIDがジョブID・枝番・ラベル名(ラベル識別情報)全てと対応づいていて、カラーコードIDのみによって親ジョブ・子ジョブ・パーツが全て特定できてもよいし、カラーコードの中にジョブID・枝番・ラベル名(ラベル識別情報)が直接含まれていてもよい。
【0098】
《ジョブの照会》
ジョブ管理システム1のオペレータや作業者は作業工程管理システム14が提供する各種のUI画面により印刷工場におけるジョブの作業工程の進捗情報や履歴情報、作業指示書810を撮影したときの様子を表す撮影画像ファイルや撮影動画ファイル、マップビューやエリアビューなどを照会できる。UI画面はコンピュータ500の表示装置502に表示される。なおプリンタ16の操作画面や、プリンタ16と接続しコンピュータ500から受け付けたジョブ情報を処理してプリンタに送信するDFE(DigitalFrontEnd)装置の操作画面などに表示してもよい。もしくはジョブ管理システム1に接続する携帯端末のタッチパネル等で表示してもよい。UI画面を表示するための画面情報や画面部品は、作業工程管理システム14や顧客システム10等で作成され各機器に送信される。UI画面は機器のソフトウェアに表示する画面情報や、機器のWebブラウザに表示するWebページ情報であってもよい。
【0099】
図16は作業工程管理システムが表示するUI画面の一例の遷移図である。作業工程管理システム14のUI部30は、例えばジョブステータス一覧画面1100を表示装置502に表示させる。
図16のジョブステータス一覧画面1100は、ジョブID、ラベル名、枝番、最終更新の時刻、及び、1つ以上の作業工程の進捗情報を含むジョブ情報を一覧表示する。なお更新は、全てのカメラ18夫々による撮影と、撮影画像からの作業指示書810のカラーコード及び縁取り色の認識を、例えば30秒毎、5分毎等の所定時間ごとに行う。なお工場稼働時のみ更新を行ったり、主な稼働時かそれ以外かなどの時間帯によって更新時間の間隔を変更したりしてもよい。
【0100】
1つ以上の作業工程の進捗情報は、作業工程の進捗が「未検出」「通過済み」「現プロセス」又は「アラート」の何れであるかを例えば「○:未検出」「●:通過済み」「◎:現プロセス」又は「×:アラート」で示している。作業工程の進捗「未検出」は、その作業工程に対応するカメラ18で情報処理システム12用の作業指示書810を撮影していないことを表す。作業工程の進捗「通過済み」は、その作業工程に対応するカメラ18で情報処理システム12用の作業指示書810を最終更新より前の更新の際に撮影した画像で認識していたことを表している。作業工程の進捗「現プロセス」は、その作業工程に対応するカメラ18で情報処理システム12用の作業指示書810を最終更新で撮影した画像で認識したことを表している。また、作業工程の進捗「アラート」は、例えば所定時間以上作業指示書810が同じ場所に滞在している、または所定時間以上認識できない等を知らせる滞在アラートなどのアラートが生じていることを表す。
【0101】
なお、ジョブステータス一覧画面1100のラベル名は、認識した作業指示書810の周辺部812の縁取り色を検索キーとして、例えば
図12の縁取り色設定テーブルから読み出されるラベル名と同一である。
【0102】
オペレータや作業者はジョブステータス一覧画面1100から一つのジョブIDを選択することによりジョブ詳細履歴画面を表示させることができる。ジョブ詳細履歴画面は選択された一つのジョブID「ABCDE」のラベル名ごとの親ジョブ及び子ジョブの枝番、最終更新で認識された時刻、及び所在する場所などが表示されていてもよい。また、ジョブ詳細履歴画面1110はジョブに含まれるパーツを示すラベル名ごとの親ジョブ及び子ジョブの撮影画像や撮影動画を表示する画面に遷移するためのカメラやビデオを模したボタンが表示されていてもよい。
【0103】
なお、ジョブのマップ表示画面1200に遷移するためのボタン1102が押下されると、UI部30は例えば
図17に示すマップ表示画面1200に遷移する。
図17は工場全体を表示するマップ表示画面の一例のイメージ図である。UI部30は例えば工場全体の撮影画像を背景に表示した上で、印刷物の所在を「●」などのマークで識別できるように表示を行う。なお、印刷物の所在を表すマーク「●」の色で、そのマークが表すジョブの作業工程の進捗を表してもよい。なお作業指示書810の認識結果に基づき、対応する印刷物を「●」などのマークで表示してもよい。また「●」マークの色は、パーツを示すラベルの色と同じ色や類似する色になるよう、ラベルの色情報を用いて設定してもよい。
【0104】
図17のマップ表示画面1200は、複数の保管エリア(準備エリア)が識別可能に表示されている。ユーザは
図17のマップ表示画面1200から例えば保管エリア1202を選択することで、選択した保管エリア1202の
図18に示すエリア表示画面1300に遷移させることができる。エリア表示画面1300は、選択された保管エリア1202をマップ化し、その保管エリア1202で発生した事象を表示する画面の一例である。
【0105】
図18は保管エリアを表示するエリア表示画面の一例のイメージ図である。UI部30は例えば選択された保管エリア1202を、詳細なエリア1302に区分し、印刷物の所在を「●」などのマークで識別できるように表示する。
図18のエリア表示画面1300では情報処理システム12用の作業指示書810を利用して検出された例えばジョブ作業対象物である印刷物や、その印刷物を運搬するパレットの所在に「●」などのマークが表示される。
【0106】
また、
図18のエリア表示画面1300では、例えばジョブIDごとに「●」などのマークに識別用の色を付与してもよい。例えば
図18の例ではマークのデフォルトの色を例えばグレーで表示し、ボタン1304又は1306を押下されることで、押下されたボタン1304又は1306に対応するジョブIDのマークごとに例えば青や赤などの識別用の色を付与してもよい。あるいは「●」マークの色はパーツを示すラベルの色と同じ色や類似する色になるよう、ラベルの色情報を用いて設定してもよい。
【0107】
エリア表示画面1300には、選択された保管エリア1202で発生したイベントをログとして表示するログ表示欄1308が表示されている。ログ表示欄1308には例えばジョブIDにより識別されるパレット等の保管エリア1202への出入り、エラーの発生などのイベントが表示される。
【0108】
また、
図18のエリア表示画面1300の右側には、ユーザへのお知らせ情報1310が表示されている。ユーザへのお知らせ情報1310には、ジョブIDに連なる全ての親ジョブ及び子ジョブが揃った(次の作業工程への準備が完了した)状態や、複数の親ジョブ(パーツ)のうち、1つの親ジョブに連なる複数の子ジョブが揃った状態、あるいは、アラートが出ている状態などが表示される。
【0109】
なお、
図18のユーザへのお知らせ情報1310には、色付きのボタン1304又は1306が容易されている。例えば
図18のエリア表示画面1300では、青の色付きボタン1304を押下することで、その青の色付きボタン1304に対応するジョブID「123456」のマークを青色に変化させる。また、例えば
図18のエリア表示画面1300では、赤の色付きボタン1306を押下することで、その赤の色付きボタン1306に対応するジョブID「874632」のマークを赤色に変化させる。
【0110】
オペレータや作業者は、
図18のエリア表示画面1300を確認することで、親ジョブから分割された子ジョブがある場合であっても、次の作業工程で必要な親ジョブ、及びその親ジョブから分割された全ての子ジョブが揃い、次の作業工程への準備が完了した状態であることを容易に認識できる。また、オペレータや作業者は、
図18のエリア表示画面1300を確認することで、アラートが出ている状態であることを容易に認識できる。
【0111】
以上、本実施形態に係る作業工程管理システム14によれば、縁取り色で周辺部812が縁取られた情報処理システム用の作業指示書810を印刷できると共に、作業指示書810の縁取り色をジョブの内容と対応付けられたラベルとして利用できる。作業指示書810の縁取り色をジョブの内容と対応付けられたラベルとして利用することで、作業工程管理システム14は、分割されたジョブの作業指示書810による管理を容易に行うことができる。
【0112】
また、本実施形態に係る作業工程管理システム14では、縁取り色により縁取られた作業指示書810により視認性が上がる。これにより、作業者は意図した作業指示書810を探しやすくなり、作業効率が上がる。また、作業指示書810の視認性が上がることにより、作業者による作業指示書810の置き忘れや添付し忘れを防止できる。
【0113】
なお、本実施形態に係る作業工程管理システム14では、色紙によりジョブの内容を表した作業指示書でなく白の用紙に印刷した作業指示書810を利用することで、色紙の影響を受けやすいカラーコード画像811などの色でコードを表現する技術を作業指示書810で利用できる。このように、本実施形態に係る作業工程管理システム14ではジョブの内容を作業指示書810の縁取り色で表すことで、ジョブの内容を直感的に視認させる効果と、カラーコード画像811などの色でコードを表現する技術による効果と、を両立することができる。
【0114】
[第2の実施形態]
第1の実施形態は作業工程管理システム14で情報処理システム12用の作業指示書810を作成していた。第2の実施形態は顧客システム10で情報処理システム12用の作業指示書810を作成するものである。なお、第2の実施形態は一部を除いて第1の実施形態と同一である。したがって、第1の実施形態と同一の部分については適宜説明を省略する。
【0115】
<システム構成>
図19は作業工程管理システムの他の例の機能構成図である。
図19の作業工程管理システム14aは
図4の作業工程管理システム14からカラーコード付き作業指示書作成部38及び印刷指示部40を除いた構成である。一方、顧客システム10aはカラーコード付き作業指示書作成部60及び印刷指示部62が追加されている。
【0116】
第2の実施形態に係るジョブ管理システム1ではカラーコード画像811の生成までを第1の実施形態と同様に作業工程管理システム14aで行い、
図6のステップS14及びS15を顧客システム10aのカラーコード付き作業指示書作成部60及び印刷指示部62で行う。
【0117】
第2の実施形態に係るジョブ管理システム1においても第1の実施形態に係るジョブ管理システム1と同様な効果を得ることができる。
【0118】
[第3の実施形態]
上記した第1及び第2の実施形態は、情報処理システム12用の作業指示書810をプリンタ16で紙などの印刷媒体に印刷する例を説明したが、電子ペーパやLCD(Liquid Crystal Display)などの表示媒体(表示デバイス)に表示するようにしてもよい。
【0119】
図20は作業工程管理システムの他の例の機能構成図である。
図20の作業工程管理システム14は
図4の作業工程管理システム14の印刷指示部40を表示指示部140に置き換えた構成である。表示指示部140は、
図2(B)のカラーコード画像811が付与されると共に、縁取り色で周辺部812が縁取られた情報処理システム12用の作業指示書810の表示を表示デバイスに表示させるように指示する。
【0120】
表示デバイスは表示指示部140からの指示により例えば
図2(B)に示すような縁取り色で周辺部812が縁取られたカラーコード付き作業指示書810(情報処理システム12用の作業指示書810)を表示する。
【0121】
[第4の実施形態]
上記した第1~第3の実施形態は、印刷工場におけるジョブの作業工程の管理について説明したが、例えばベルトコンベアに流れている物品の作業工程の管理にも適用が可能である。例えばベルトコンベアに流れている物品の作業工程の管理に本実施形態の技術を提供すれば、ベルトコンベアに流れている物品のトラッキングが可能となり、ベルトコンベアの分岐の制御も可能である。
【0122】
また、上記した第1~第3の実施形態は、例えばAGV(無人搬送車)に代表される搬送システムの技術への応用が可能である。例えば物品を搬送する搬送システムでは、その物品に、カラーコード画像811が付与されると共に、縁取り色で周辺部812が縁取られた情報処理システム12用の作業指示書810を添付し、搬送中の物品をカメラ18により撮影することで、搬送装置により搬送中の物品の作業工程を管理できる。また、物品を搬送中の搬送装置の位置、及び、物品の搬送先を特定できるので、搬送システムは物品を搬送する搬送装置の移動も制御できる。
【0123】
[変形例]
上記では、作業指示書810の縁取り色をラベルとして扱ったが、マークなどの目印の色や文字の色をラベルとして扱う場合、例えば
図12の縁取り色設定テーブルを、目印色設定テーブルや文字色設定テーブルに置き換えればよい。目印色設定テーブルは項目としてラベル名と目印の色とが対応付けられている。また、文字色設定テーブルは項目としてラベル名と文字色とが対応付けられている。したがって、作業指示書810の目印又は文字の色は、ジョブの情報に含まれるラベル名と対応付けられた目印色又は文字色となる。
【0124】
本発明は、具体的に開示された上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。カラーコード付き作業指示書作成部38は作成手段の一例である。印刷指示部40は指示手段の一例である。プリンタ16は印刷手段及び印刷装置の一例である。
【0125】
ジョブ管理部34は管理手段の一例である。カメラ18a及び18bは撮影手段の一例である。認識部44は認識手段の一例である。作業工程管理システム14は情報処理装置の一例である。親伝票は第1の伝票の一例である。子伝票は第2の伝票の一例である。エリア表示画面1300はユーザインタフェースの一例である。
【符号の説明】
【0126】
1 ジョブ管理システム
10 顧客システム
12 情報処理システム
14 作業工程管理システム
16 プリンタ
18、18a、18b カメラ
20 ネットワーク
30 UI部
32 ジョブID検出部
34 ジョブ管理部
36 カラーコード画像生成部
38、60 カラーコード付き作業指示書作成部
40、62 印刷指示部
42 撮影画像取得部
44 認識部
46 カラーコード管理テーブル記憶部
48 ジョブ管理テーブル記憶部
50 設定部
52 ホットフォルダ設定テーブル記憶部
54 ラベル設定テーブル記憶部
56 縁取り色設定テーブル記憶部
102 カラーコード認識部
104 ラベル色認識部
140 表示指示部
800 顧客システム用の作業指示書
801 バーコード画像
810 情報処理システム用の作業指示書
811 カラーコード画像
812 周辺部
1100 ジョブステータス一覧画面
1200 マップ表示画面
1300 エリア表示画面
【先行技術文献】
【特許文献】
【0127】