(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】造形システム
(51)【国際特許分類】
B29C 64/393 20170101AFI20241016BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20241016BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20241016BHJP
B29C 64/241 20170101ALI20241016BHJP
B29C 64/245 20170101ALI20241016BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20241016BHJP
B22F 7/08 20060101ALI20241016BHJP
B22F 10/25 20210101ALI20241016BHJP
B22F 10/38 20210101ALI20241016BHJP
B23K 26/34 20140101ALN20241016BHJP
B23K 26/21 20140101ALN20241016BHJP
【FI】
B29C64/393
B33Y30/00
B33Y50/02
B29C64/241
B29C64/245
B33Y80/00
B22F7/08 B
B22F10/25
B22F10/38
B23K26/34
B23K26/21 Z
(21)【出願番号】P 2022576904
(86)(22)【出願日】2021-01-22
(86)【国際出願番号】 JP2021002258
(87)【国際公開番号】W WO2022157931
(87)【国際公開日】2022-07-28
【審査請求日】2023-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【氏名又は名称】江上 達夫
(72)【発明者】
【氏名】上野 和樹
(72)【発明者】
【氏名】石川 元英
(72)【発明者】
【氏名】安葉 浩一
(72)【発明者】
【氏名】関口 慧
(72)【発明者】
【氏名】増田 アツコ
(72)【発明者】
【氏名】志岐 ふみ香
【審査官】田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/150481(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/017405(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/393
B33Y 30/00
B33Y 50/02
B29C 64/241
B29C 64/245
B33Y 80/00
B22F 7/08
B22F 10/25
B22F 10/38
B23K 26/34
B23K 26/21
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギビームを射出するエネルギビーム照射部と、前記エネルギビームが照射された部位に造形材料を供給する材料供給部とを備える造形装置
により造形物を造形する造形方法であって、
第1物体の上方に第2物体を造形
することを含み、
前記第2物体
を造形することは、第1傾斜部と第2傾斜部とを
含む前記第2物体を造形することを含み、
前記第1傾斜部と前記
第2傾斜部との下方には空間が形成され、前記空間の上方は閉じられ
、
前記第2物体を造形することは、前記第1傾斜部の造形工程を、前記第2傾斜部の造形工程を挟んで断続的に行うことを含む
造形
方法。
【請求項2】
前記第2物体を造形することは、前記第1傾斜部の一部の造形と前記第2傾斜部の一部の造形と
を順に行
うことを含む
請求項1に記載の造形
方法。
【請求項3】
前記第2物体を造形することは、前記第1傾斜部の造形工程の後に前記第2傾斜部の造形工程を行うことと、前記第2傾斜部の造形工程の後に前記第1傾斜部の造形工程を行うことと、を複数回行うことにより前記第1傾斜部及び前記第2傾斜部を造形することを含む
請求項1又は2に記載の造形方法。
【請求項4】
造形される造形物を含む構造物を
、支持装置を用いて支持する
ことを更に含み、
前記第2物体を造形することは、前記
造形装置と前記支持装置との相対的な位置関係が第1関係となるように前記位置関係を変更した後に前記第1傾斜部を造形
することと、前記位置関係が前記第1関係とは異なる第2関係となるように前記位置関係を変更した後に前記第2傾斜部を造形する
こととを含む
請求項1
から3のいずれか一項に記載の造形
方法。
【請求項5】
前記第2物体を造形する前に、前記位置関係が前記第1関係及び前記第2関係とは異なる第3関係となる状態において前記第1物体を造形する
ことを更に含む
請求項
4に記載の造形
方法。
【請求項6】
前記第2物体は、前記第1傾斜部に接続する第1支持部と、前記第2傾斜部に接続する第2支持部とを含み、
前記第2物体を造形することは、
前記位置関係が第1関係となるように前記位置関係を変更した後に、前記第1傾斜部の一部及び前記第1支持部の一部とを造形
することと、
前記位置関係が前記第1関係と異なる第2関係となるように前記位置関係を変更した後に、前記第2傾斜部の一部及び前記第2支持部の一部を造形
することと、
前記位置関係が前記第1関係及び前記第2関係と異なる第3関係となるように前記位置関係を変更した後に、前記第1支持部の一部と前記第2支持部の一部との間に第3支持部を造形する
ことと
を含む請求項
4又は5に記載の造形
方法。
【請求項7】
前記第2物体は、前記第1傾斜部の先端と前記第2傾斜部の先端とに接続する接続部を含み、
前記第2物体を造形することは、前記第1傾斜部の先端と前記第2傾斜部の先端に溶融部を形成し、前記溶融部に前記造形材料を供給することにより前記接続部を造形する
ことを含む
請求項1から
6のいずれか一項に記載の造形
方法。
【請求項8】
前記第2物体の周囲に第3物体を造形
することを更に含み、
前記第2物体と前記第3物体とを造形することは、前記第1傾斜部の一部の造形と、前記第2傾斜部の一部の造形と、前記第3物体の一部の造形とを順に行うことで、前記第2物体と前記第3物体とを造形する
請求項1から
7のいずれか一項に記載の造形
方法。
【請求項9】
前記第3物体は、前記第2物体の表面の少なくとも一部を覆うことで、前記第2物体を含む構造物の外形を所定形状にするための外壁部材を含む
請求項
8に記載の造形
方法。
【請求項10】
前記構造物の上方の外形は、水平形状となる
請求項
9に記載の造形
方法。
【請求項11】
前記第2物体は、前記第1傾斜部に接続する第1支持部と、前記第2傾斜部に接続する第2支持部とを含み、
前記第2物体を造形することは、前記第1傾斜部の一部及び前記第1支持部の一部の造形と、前記第2傾斜部の一部及び前記第2支持部の一部の造形と、前記第1支持部及び前記第2支持部の間の第3支持部の一部の造形とを順に行うことで、前記第2物体を造形する
ことを含む
請求項1から
10のいずれか一項に記載の
造形方法。
【請求項12】
前記第1傾斜部は第1方向に延び、
前記第2傾斜部は前記第1方向と交差する第2方向に延び、
前記第1方向及び前記第2方向は、重力方向と交差する方向である
請求項1から
11のいずれか一項に記載の
造形方法。
【請求項13】
前記第1傾斜部は第1方向に延び、
前記第2傾斜部は前記第1方向と交差する第2方向に延び、
前記第1方向及び前記第2方向は、前記エネルギビームの主軸と交差する方向である
請求項1から
12のいずれか一項に記載の
造形方法。
【請求項14】
造形される前記第2物体を含む構造物を
、支持装置を用いて支持する
ことを更に
含み、
前記第1傾斜部は第1方向に延び、
前記第2傾斜部は前記第1方向と交差する第2方向に延び、
前記第1方向及び前記第2方向は、前記支持装置の上面に対して交差する方向である
請求項1から13のいずれか一項に記載の
造形方法。
【請求項15】
前記造形装置と前記第1物体が載置された物体載置装置との相対的な位置関係を、前記物体載置装置を回転軸周りに動かすことで変更する
ことを含む
請求項
1から14
のいずれか一項に記載の
造形方法。
【請求項16】
前記第2物体は、前記第1物体の第1領域と前記第1物体の第2領域とに接続し、
前記第2物体を造形する
ことは、
前記位置関係が第1関係となるように前記位置関係を変更した後に、前記第1領域に前記エネルギビームを照射することで、前記第1領域上に、前記第1傾斜部を造形
することと、
前記位置関係が前記第1関係とは異なる第2関係となるように前記位置関係を変更した後に、前記第1
傾斜部に前記エネルギビームを照射することで、前記第1傾斜部上に、前記第1傾斜部と前記第2領域とを接続する前記第2傾斜部を造形する
ことと
を含む請求項15に記載の
造形方法。
【請求項17】
前記第1関係は、前記第1領域と前記第2領域とを結ぶ軸と前記エネルギビームの主軸とがなす角度が第1角度となる位置関係であり、
前記第2関係は、前記角度が、前記第1角度よりも小さい第2角度となる位置関係である
請求項16に記載の
造形方法。
【請求項18】
前記第2物体を造形することは、前記物体載置装置を基準位置から回転軸周りの第1方向に動かした第1状態で前記造形装置を用いて行われる第1造形動作と、前記物体載置装置を前記基準位置から前記回転軸周りの、前記第1方向とは逆の第2方向に動かした第2状態で前記造形装置を用いて行われる第2造形動作とを交互に行うことにより、前記第1造形動作で造形される第1傾斜部と前記第2造形動作で造形される第2傾斜部とを含む第2物体を前記第1物体上に造形する
ことを含む
請求項15に記載の
造形方法。
【請求項19】
前記第1造形
動作は、前記第1状態の前記物体載置装置と前記造形装置との、前記回転軸と平行な方向における前記位置関係を、変更することを含み、
前記第2造形
動作は、前記第2状態の前記物体載置装置と前記造形装置との、前記回転軸と平行な方向における前記位置関係を、変更することを含む
請求項18に記載の
造形方法。
【請求項20】
前記第1造形
動作は、前記第1状態の前記物体載置装置と前記造形装置との、前記回転軸と平行な方向における前記位置関係および前記回転軸と垂直な方向における前記位置関係を、同時に変更することを含み、
前記第2造形
動作は、前記第2状態の前記物体載置装置と前記造形装置との、前記回転軸と平行な方向における前記位置関係および前記回転軸と垂直な方向における前記位置関係を、同時に変更することを含む
請求項18又は19に記載の
造形方法。
【請求項21】
前記第2物体を造形することは、前記第1及び第2造形動作を終了した後、前記物体載置装置を前記基準位置に戻し、前記エネルギビームの照射により、前記第1傾斜部の先端部の一部と前記第1傾斜部の先端部の一部に隣接する前記第2傾斜部の先端部の一部とを含む溶融部を形成し、前記溶融部に前記造形材料を供給することにより前記第1傾斜部の先端部と前記第2傾斜部の先端部とを接続する接続部を、前記第2物体の一部として造形する
ことを含む
請求項18から20のいずれか一項に記載の
造形方法。
【請求項22】
前記第1物体は、前記回転軸と平行な方向に長手方向を有する
請求項18から21のいずれか一項に記載の
造形方法。
【請求項23】
前記造形装置は、前記第1物体に対して前記エネルギビームの照射位置を所定方向に沿って移動させながら、前記第1物体にエネルギビームを照射し、
前記第2物体の一部を造形するための第1期間における前記照射位置の移動方向は、前記第2物体の他の一部を造形するための第2期間における前記照射位置の移動方向と異なる
請求項1から22のいずれか一項に記載の
造形方法。
【請求項24】
前記第1期間における前記照射位置の移動方向は、前記第2期間における前記照射位置の移動方向とは逆方向である
請求項23に記載の
造形方法。
【請求項25】
前記第1期間は、前記
第2物体の一部を構成する第1造形物を造形するための期間を含み、
前記第2期間は、前記
第2物体の他の一部を構成し且つ前記第1造形物とは異なる第2造形物を造形するための期間を含む
請求項23又は24に記載の
造形方法。
【請求項26】
前記第2物体を造形することは、貫通孔が形成された前記第2物体を造形する
ことを含む
請求項1から25のいずれか一項に記載の
造形方法
【請求項27】
前記貫通孔は、第1貫通孔であり、
前記第2物体の周囲に、前記第2物体の表面の少なくとも一部を覆い且つ前記第1貫通孔に接続される第2貫通孔が形成された第3物体を造形
することを更に含み、
前記第2物体と前記第3物体との境界における前記第1貫通孔の形状は、前記第3物体の表面における前記第2貫通孔の形状とは異なる
請求項26に記載の
造形方法。
【請求項28】
前記造形装置と前記
第1物体が載置される物体載置装置との相対的な位置関係を変更する
ことを更に含み、
前記第3物体を図形することは、前記位置関係が、前記第2貫通孔が延びる方向と重力方向とが揃う所定関係となるように前記位置変更装置が前記位置関係を変更した後に、前記第3物体の一部を造形する
ことを含む
請求項27に記載の
造形方法。
【請求項29】
前記第2物体を造形することは、
前記第1物体の第1領域に前記エネルギビームを照射することで前記第1領域の少なくとも一部を溶融させ且つ溶融した前記第1領域の少なくとも一部が固化した後に、前記第1領域に前記エネルギビームを照射することで前記第1領域上に前記第2物体の一部を造形
することと、
前記第1物体の第2領域に前記エネルギビームを照射することで前記第2領域の少なくとも一部を溶融させ且つ溶融した前記第2領域の少なくとも一部が固化した後に、前記第2領域に前記エネルギビームを照射することで、前記第2領域上に前記第2物体の他の一部を造形する
ことと
を含む請求項1から28のいずれか一項に記載の
造形方法。
【請求項30】
前記第1物体を造形することを更に含み、
前記第2物体を造形することは、前記第1物体を造形した後に、前記第1物体上に前記第2物体を造形
することを含み、
前記第1物体を造形することは、前記第1物体の一部を、第1の造形精度で造形した後に、前記第2物体が造形される面を含む前記第1物体の残りの一部を、前記第1の造形精度よりも高い第2の造形精度で造形する
ことを含む
請求項1から29のいずれか一項に記載の
造形方法。
【請求項31】
前記造形装置は、LMD(Laser Metal Deposition)方式に基づく付加加工を行う
請求項1から30のいずれか一項に記載の
造形方法。
【請求項32】
前記第2物体を含む構造物は、タービンブレードである
請求項1から31のいずれか一項に記載の
造形方法。
【請求項33】
エネルギビームを射出するエネルギビーム照射部と、前記エネルギビームが照射された部位に造形材料を供給する材料供給部とを備える造形装置と、
前記造形装置を制御して造形物を造形する制御装置と
を備え、
前記制御装置は、第1物体の上方に第2物体を造形するように、前記造形装置を制御し、
前記制御装置は、前記第2物体が、第1傾斜部と第2傾斜部とを含むように、前記造形装置を制御し、
前記制御装置は、前記第1傾斜部と前記第2傾斜部との下方には空間が形成され、前記空間の上方が閉じられるように、前記造形装置を制御し、
前記制御装置は、前記第1傾斜部の造形工程を、前記第2傾斜部の造形工程を挟んで断続的に行うことで前記第2物体を造形するように、前記造形装置を制御する
造形システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、造形物を造形する造形システムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、造形物を造形する造形システムの一例が記載されている。このような造形システムでは、造形した造形物を用いて適切な構造物を形成することが技術的課題となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2014/0197576号明細書
【発明の概要】
【0004】
第1の態様によれば、エネルギビームを射出するエネルギビーム照射部と、前記エネルギビームが照射された部位に造形材料を供給する材料供給部とを備える造形装置と、前記造形装置を制御して造形物を造形する制御装置とを備え、第1空間を有する第1物体の上方に第2物体を造形し、前記第2物体は、前記第1物体に接続する第1傾斜部と、前記第1物体に接続する第2傾斜部と、前記第1傾斜部の先端及び前記第2傾斜部の先端に接続する接続部とを含み、前記第1傾斜部の一部の造形と前記第2傾斜部の一部の造形とを順に行うことで、前記第1傾斜部と前記第2傾斜部とを造形し、前記第1傾斜部と前記2傾斜部との下方の第2空間は、前記第1空間に繋がり、前記第2空間の上方は前記接続部によって閉じられる造形システムが提供される。
【0005】
第2の態様によれば、エネルギビームを射出するエネルギビーム照射部と、前記エネルギビームが照射された部位に造形材料を供給する材料供給部を備える造形装置により造形物を造形する造形方法であって、第1空間を有する第1物体の上方に第2物体を造形するために、前記第1物体に接続する第1傾斜部の一部の造形と前記第1物体に接続する第2傾斜部の一部の造形とを順に行うことと、前記第1傾斜部の先端と前記第2傾斜部の先端とに接続する接続部を造形することとを含み、前記第1傾斜部と前記2傾斜部との下方の第2空間は前記第1空間に繋がり、前記第2空間の上方は前記接続部によって閉じられる造形方法が提供される。
【0006】
第3の態様によれば、第1物体が載置される物体載置装置と、エネルギビームを射出するエネルギビーム照射部と、前記エネルギビームが照射された部位に造形材料を供給する材料供給部とを備え、前記第1物体上に造形を行う造形装置と、前記造形装置と前記物体載置装置との相対的な位置関係を変更する位置変更装置と、前記造形装置及び前記位置変更装置を制御する制御装置とを備え、前記位置変更装置は、前記物体載置装置を回転軸周りに動かす駆動装置を有し、前記物体載置装置を基準位置から前記回転軸周りの第1方向に動かした第1状態で前記造形装置を用いて行われる第1造形動作と、前記物体載置装置を前記基準位置から前記回転軸周りの、前記第1方向とは逆の第2方向に動かした第2状態で前記造形装置を用いて行われる第2造形動作とを交互に行うことにより、前記第1造形動作で造形される第1傾斜部と前記第2造形動作で造形される第2傾斜部とを含む第2物体を前記第1物体上に造形する造形システムが提供される。
【0007】
第4の態様によれば、第1物体が載置される物体載置装置と、エネルギビームを射出するエネルギビーム照射部と、前記エネルギビームが照射された部位に造形材料を供給する材料供給部とを備え、前記第1物体上に造形を行う造形装置と、前記造形装置と前記物体載置装置との相対的な位置関係を変更する位置変更装置と、前記造形装置及び前記位置変更装置を制御する制御装置とを備え、前記第1物体の第1領域と前記第1物体の第2領域とを接続する第2物体を造形し、前記第2物体を造形するために、前記位置関係が第1関係となるように前記位置変更装置が前記位置関係を変更した後に、前記第1領域に前記エネルギビームを照射することで、前記第1領域上に、前記第2物体の一部である第1造形物を造形し、前記位置関係が前記第1関係とは異なる第2関係となるように前記位置変更装置が前記位置関係を変更した後に、前記第1造形物に前記エネルギビームを照射することで、前記第1造形物上に、前記第2物体の一部を構成し且つ前記第1造形物と前記第2領域とを接続する第2造形物を造形する造形システムが提供される。
【0008】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施形態の造形システムのシステム構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本実施形態の造形システムの構造を示す断面図である。
【
図3】
図3は、本実施形態の造形システムの構造を示す断面図である。
【
図4】
図4(a)から
図4(e)のそれぞれは、ワーク上のある領域に造形光を照射し且つ造形材料を供給した場合の様子を示す断面図である。
【
図5】
図5(a)から
図5(c)のそれぞれは、3次元構造物を造形する過程を示す断面図である。
【
図6】
図6は、第1物体の上方に造形された第2物体を含む3次元構造物の外観を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、第1物体の上方に造形された第2物体を含む3次元構造物の上面を示す平面図である。
【
図8】
図8は、第1物体の上方に造形された第2物体を含む3次元構造物の断面を示す断面図(特に、
図7のA-A’断面図)である。
【
図9】
図9は、第1物体の上方に造形された第2物体を含む3次元構造物の断面を示す断面図(特に、
図7のB-B’断面図)である。
【
図11】
図11は、側壁部材上に造形される予定の傾斜部材を示す断面図である。
【
図12】
図12は、側壁部材上に造形される傾斜部材を拡大して示す断面図である。
【
図13】
図13(a)及び
図13(b)のそれぞれは、傾斜部材を造形するためのステージの状態の一例に示す断面図である。
【
図14】
図14は、一の傾斜部材の全体を造形した後に他の傾斜部材を造形するために側壁部材に照射される造形光を示す断面図である。
【
図31】
図31は、スキャン動作による目標照射領域EAの移動方向を模式的に示す。
【
図32】
図32は、外壁部材を含む3次元構造物の、支持部材が造形されていない位置における断面を示す断面図である。
【
図33】
図33は、外壁部材を含む3次元構造物の、支持部材が造形されている位置における断面を示す断面図である。
【
図34】
図34は、貫通孔が形成された屋根部材を含む3次元構造物を示す断面図である。
【
図35】
図35は、貫通孔が形成された外壁部材を含む3次元構造物を示す断面図である。
【
図36】
図36は、貫通孔が形成された外壁部材を造形する過程を示す断面図である。
【
図37】
図37(a)及び
図37(c)のそれぞれは、屋根部材に形成された貫通孔の断面の形状の一例を示す断面図であり、
図37(b)は、外壁部材に形成された貫通孔の断面の形状の一例を示す断面図である。
【
図39】
図39は、第5変形例において3次元構造物を造形する過程を示す断面図である。
【
図40】
図40は、第5変形例において3次元構造物を造形する過程を示す断面図である。
【
図41】
図41は、第5変形例において3次元構造物を造形する過程を示す断面図である。
【
図42】
図42は、第5変形例において3次元構造物を造形する過程を示す断面図である。
【
図45】
図45は、部分配管を造形する過程を示す断面図である。
【
図46】
図46は、部分配管を造形する過程を示す断面図である。
【
図47】
図47は、部分配管を造形する過程を示す断面図である。
【
図48】
図48は、部分配管を造形する過程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、造形システムの実施形態について説明する。以下では、物体の一例であるワークWに付加加工を行うことで、ワークW上に造形物を造形する造形システムSYSを用いて、造形システムの実施形態を説明する。特に、以下では、レーザ肉盛溶接法(LMD:Laser Metal Deposition)に基づく付加加工を行う造形システムSYSを用いて、造形システムの実施形態を説明する。レーザ肉盛溶接法に基づく付加加工は、ワークWに供給した造形材料Mを造形光EL(つまり、光の形態を有するエネルギビーム)で溶融することで、ワークWと一体化された又はワークWから分離可能な造形物を造形する付加加工である。
【0011】
尚、レーザ肉盛溶接法(LMD)は、ダイレクト・メタル・デポジション、ディレクテッド・エナジー・デポジション、レーザクラッディング、レーザ・エンジニアード・ネット・シェイピング、ダイレクト・ライト・ファブリケーション、レーザ・コンソリデーション、シェイプ・デポジション・マニュファクチャリング、ワイヤ-フィード・レーザ・デポジション、ガス・スルー・ワイヤ、レーザ・パウダー・フージョン、レーザ・メタル・フォーミング、セレクティブ・レーザ・パウダー・リメルティング、レーザ・ダイレクト・キャスティング、レーザ・パウダー・デポジション、レーザ・アディティブ・マニュファクチャリング、レーザ・ラピッド・フォーミングと称してもよい。
【0012】
また、以下の説明では、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸から定義されるXYZ直交座標系を用いて、造形システムSYSを構成する各種構成要素の位置関係について説明する。尚、以下の説明では、説明の便宜上、X軸方向及びY軸方向のそれぞれが水平方向(つまり、水平面内の所定方向)であり、Z軸方向が鉛直方向(つまり、水平面に直交する方向であり、実質的には上下方向)であるものとする。また、X軸、Y軸及びZ軸周りの回転方向(言い換えれば、傾斜方向)を、それぞれ、θX方向、θY方向及びθZ方向と称する。ここで、Z軸方向を重力方向としてもよい。また、XY平面を水平方向としてもよい。
【0013】
(1)造形システムSYSの構造
初めに、
図1から
図3を参照しながら、本実施形態の造形システムSYSの構造について説明する。
図1は、本実施形態の造形システムSYSのシステム構成を示すシステム構成図である。
図2及び
図3のそれぞれは、本実施形態の造形システムSYSの構造を模式的に示す断面図である。
【0014】
造形システムSYSは、造形物を造形(言い換えれば、形成)可能である。尚、本実施形態における造形物は、造形システムSYSが造形する任意の物体を意味していてもよい。例えば、造形システムSYSは、造形物の一例として、3次元構造物(つまり、3次元方向のいずれの方向においても大きさを持つ3次元の物体であり、立体物、言い換えると、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向において大きさを持つ物体)STを造形可能である。造形システムSYSは、3次元構造物STを造形するための基礎(つまり、母材)となるワークW上に、3次元構造物STを造形可能である。つまり、造形システムSYSは、ワークW上に造形を行う。造形システムSYSは、ワークWに付加加工を行うことで、3次元構造物STを造形可能である。ワークWが後述するステージ31である場合には、造形システムSYSは、ステージ31上に、3次元構造物STを造形可能である。ワークWがステージ31に載置されている物体である載置物である場合には、造形システムSYSは、載置物上に、3次元構造物STを造形可能である。この場合、造形システムSYSは、載置物と一体化された3次元構造物STを造形してもよい。載置物と一体化された3次元構造物STを造形する動作は、載置物に新たな構造物を付加する動作と等価である。尚、既存構造物は例えば欠損箇所がある要修理品であってもよい。或いは、造形システムSYSは、載置物と分離可能な3次元構造物STを造形してもよい。ステージ31に載置される載置物は、造形システムSYSが造形した別の3次元構造物ST(つまり、既存構造物)であってもよい。尚、
図1は、ワークWが、ステージ31によって保持されている既存構造物である例を示している。また、以下でも、ワークWがステージ31によって保持されている既存構造物である例を用いて説明を進める。
【0015】
上述したように、造形システムSYSは、レーザ肉盛溶接法により3次元構造物STを造形可能である。つまり、造形システムSYSは、積層造形技術を用いて物体を造形する3Dプリンタであるとも言える。尚、積層造形技術は、ラピッドプロトタイピング(Rapid Prototyping)、ラピッドマニュファクチャリング(Rapid Manufacturing)、又は、アディティブマニュファクチャリング(Additive Manufacturing)とも称されてもよい。
【0016】
造形システムSYSは、造形光ELを用いて造形材料Mを加工することで3次元構造物STを造形する。造形材料Mは、所定強度以上の造形光ELの照射によって溶融可能な材料である。このような造形材料Mとして、例えば、金属性の材料及び樹脂性の材料の少なくとも一方が使用可能である。但し、造形材料Mとして、金属性の材料及び樹脂性の材料とは異なるその他の材料が用いられてもよい。造形材料Mは、粉状の又は粒状の材料である。つまり、造形材料Mは、粉粒体である。但し、造形材料Mは、粉粒体でなくてもよい。例えば、造形材料Mとして、ワイヤ状の造形材料及びガス状の造形材料の少なくとも一方が用いられてもよい。
【0017】
3次元構造物STを造形するために、造形システムSYSは、
図1から
図3に示すように、材料供給源1と、造形ユニット2と、ステージユニット3と、光源5と、気体供給源6と、制御装置7とを備える。造形ユニット2と、ステージユニット3とは、筐体8の内部空間に収容されていてもよい。
【0018】
材料供給源1は、造形ユニット2に造形材料Mを供給する。材料供給源1は、3次元構造物STを造形するために単位時間あたりに必要とする分量の造形材料Mが造形ユニット2に供給されるように、当該必要な分量に応じた所望量の造形材料Mを供給する。
【0019】
造形ユニット2は、材料供給源1から供給される造形材料Mを加工して3次元構造物STを造形する。3次元構造物を造形するために、造形ユニット2は、造形ヘッド21と、ヘッド駆動系22とを備える。更に、造形ヘッド21は、照射光学系211と、材料ノズル(つまり造形材料Mを供給する供給系)212とを備えている。尚、造形ヘッド21は、造形装置と称されてもよい。
【0020】
照射光学系211は、射出部213から造形光ELを射出するための光学系(例えば、集光光学系)である。具体的には、照射光学系211は、造形光ELを発する光源5と、光ファイバやライトパイプ等の光伝送部材51を介して光学的に接続されている。照射光学系211は、光伝送部材51を介して光源5から伝搬してくる造形光ELを射出する。照射光学系211は、照射光学系211から下方(つまり、-Z側)に向けて造形光ELを照射する。照射光学系211の下方には、ステージ31が配置されている。ステージ31にワークWが載置されている場合には、照射光学系211は、ワークWに向けて造形光ELを照射する。このため、照射光学系211は、エネルギビーム照射部と称されてもよい。具体的には、照射光学系211は、造形光ELが照射される(典型的には、集光される)領域としてワークW上に又はワークWの近傍に設定される目標照射領域EAに造形光ELを照射可能である。更に、照射光学系211の状態は、制御装置7の制御下で、目標照射領域EAに造形光ELを照射する状態と、目標照射領域EAに造形光ELを照射しない状態との間で切替可能である。尚、照射光学系211から射出される造形光ELの方向は真下(つまり、-Z軸方向と一致)には限定されず、例えば、Z軸に対して所定の角度だけ傾いた方向であってもよい。
【0021】
材料ノズル212には、供給アウトレット214が形成されている。材料ノズル212は、供給アウトレット214から造形材料Mを供給する(例えば、射出する、噴射する、噴出する、又は、吹き付ける)。このため、材料ノズル212は、材料供給部と称されてもよい。材料ノズル212は、供給管11及び混合装置12を介して造形材料Mの供給源である材料供給源1と物理的に接続されている。材料ノズル212は、供給管11及び混合装置12を介して材料供給源1から供給される造形材料Mを供給する。材料ノズル212は、供給管11を介して材料供給源1から供給される造形材料Mを圧送してもよい。即ち、材料供給源1からの造形材料Mと搬送用の気体(つまり、圧送ガスであり、例えば、窒素やアルゴン等の不活性ガス)とは、混合装置12で混合された後に供給管11を介して材料ノズル212に圧送されてもよい。その結果、材料ノズル212は、搬送用の気体と共に造形材料Mを供給する。搬送用の気体として、例えば、気体供給源6から供給されるパージガスが用いられる。但し、搬送用の気体として、気体供給源6とは異なる気体供給源から供給される気体が用いられてもよい。尚、
図1において材料ノズル212は、チューブ状に描かれているが、材料ノズル212の形状は、この形状に限定されない。材料ノズル212は、材料ノズル212から下方(つまり、-Z側)に向けて造形材料Mを供給する。材料ノズル212の下方には、ステージ31が配置されている。ステージ31にワークWが搭載されている場合には、材料ノズル212は、ワークW又はワークWの近傍に向けて造形材料Mを供給する。尚、材料ノズル212から供給される造形材料Mの進行方向はZ軸方向に対して所定の角度(一例として鋭角)だけ傾いた方向であるが、-Z側(つまり、真下)であってもよい。
【0022】
本実施形態では、材料ノズル212は、照射光学系211からの造形光ELが照射される部位に造形材料Mを供給する。つまり、材料ノズル212は、照射光学系211が造形光ELを照射する目標照射領域EAに造形材料Mを供給する。このため、材料ノズル212が造形材料Mを供給する領域としてワークW上に又はワークWの近傍に設定される目標供給領域MAが、目標照射領域EAと一致する(或いは、少なくとも部分的に重複する)ように、材料ノズル212と照射光学系211とが位置合わせされている。尚、材料ノズル212は、照射光学系211から射出された造形光ELによって形成される溶融池MP(後述する
図4等参照)に造形材料Mを供給してもよい。但し、材料ノズル212は、溶融池MPに材料を供給しなくてもよい。例えば、造形システムSYSは、材料ノズル212からの造形材料MがワークWに到達する前に当該造形材料Mを照射光学系211によって溶融させ、溶融した造形材料MをワークWに付着させてもよい。
【0023】
ヘッド駆動系22は、造形ヘッド21を移動させる。ヘッド駆動系22は、例えば、X軸、Y軸、Z軸、θX方向、θY方向及びθZ方向の少なくとも一つに沿って造形ヘッド21を移動させる。
図2から
図3に示す例では、ヘッド駆動系22は、X軸、Y軸及びZ軸のそれぞれに沿って造形ヘッド21を移動させる。この場合、ヘッド駆動系22は、ヘッド駆動系22Xと、ヘッド駆動系22Yと、ヘッド駆動系22Zとを備えていてもよい。ヘッド駆動系22Xは、X軸に沿って造形ヘッド21を移動させる。ヘッド駆動系22Yは、Y軸に沿って造形ヘッド21を移動させる。ヘッド駆動系22Zは、Z軸に沿って造形ヘッド21を移動させる。
【0024】
ヘッド駆動系22Yは、筐体8の底面(或いは、筐体8の底面に配置される定盤)に空気ばね等の防振装置を介して設置される支持フレーム224に接続され且つY軸に沿って延びるYガイド部材221Yと、Yガイド部材221Yに沿って移動可能なYスライド部材222Yと、Yスライド部材222Yを移動させる不図示のモータとを備える。ヘッド駆動系22Xは、Yスライド部材222Yに接続され且つX軸に沿って延びるXガイド部材221Xと、Xガイド部材221Xに沿って移動可能なXスライド部材222Xと、Xスライド部材222Xを移動させる不図示のモータとを備える。ヘッド駆動系22Zは、Xスライド部材222Xに接続され且つZ軸に沿って延びるZガイド部材221Zと、Zガイド部材221Zに沿って移動可能なZスライド部材222Zと、Zスライド部材222Zを移動させる不図示のモータとを備える。Zスライド部材222Zには、造形ヘッド21が接続されている。Yスライド部材222YがYガイド部材221Yに沿って移動すると、ヘッド駆動系22X及び22Zを介してYスライド部材222Yに接続されている造形ヘッド21がY軸に沿って移動する。Xスライド部材222XがXガイド部材221Xに沿って移動すると、ヘッド駆動系22Zを介してXスライド部材222Xに接続されている造形ヘッド21がX軸に沿って移動する。Zスライド部材222ZがZガイド部材221Zに沿って移動すると、Zスライド部材222Zに接続されている造形ヘッド21がZ軸に沿って移動する。
【0025】
ヘッド駆動系22が造形ヘッド21を移動させると、造形ヘッド21とステージ31及びステージ31に載置されたワークWのそれぞれとの相対位置が変わる。このため、ヘッド駆動系22は、造形ヘッド21とステージ31及びワークWのそれぞれとの相対的な位置関係を変更するための位置変更装置として機能してもよい。更に、造形ヘッド21とステージ31及びワークWのそれぞれとの相対位置が変わると、目標照射領域EA及び目標供給領域MA(更には、溶融池MP)がワークWに対して相対的に移動する。
【0026】
ステージユニット3は、ステージ31と、ステージ駆動系32とを備えている。
【0027】
ステージ31には、物体であるワークWが載置される。具体的には、ステージ31の上面の少なくとも一部である載置面311には、ワークWが載置される。ワークWに3次元構造物STが造形されている場合には、ステージ31には、ワークWを介して3次元構造物STが載置される。このため、ステージ31は、物体載置装置と称されてもよい。ステージ31は、ステージ31に載置されたワークWを支持可能である。ワークWに3次元構造物STが造形されている場合には、ステージ31は、ワークWを介して3次元構造物STを支持可能である。このため、ステージ31は、支持装置と称されてもよい。ステージ31は、ステージ31に載置されたワークWを保持可能であってもよい。この場合、ステージ31は、ワークWを保持するために、機械的なチャック、静電チャック及び真空吸着チャック等の少なくとも一つを備えていてもよい。或いは、ステージ31は、ステージ31に載置されたワークWを保持可能でなくてもよい。この場合、ワークWは、クランプレスでステージ31に載置されていてもよい。上述した照射光学系211は、ステージ31にワークWが載置されている期間の少なくとも一部において造形光ELを射出する。更に、上述した材料ノズル212は、ステージ31にワークWが載置されている期間の少なくとも一部において造形材料Mを供給する。
【0028】
本実施形態では、ステージ31は、ステージ31θXと、ステージ31θZとを含む。ステージ31がステージ31θXとステージ31θZとを含む理由は、後に詳述するように、後述するステージ駆動系32によってステージ31をθX方向及びθZ方向のそれぞれに沿って移動させるためである。ワークWは、ステージ31θZに載置される。このため、ステージ31θZの上面の少なくとも一部が、ワークWが載置される載置面311として用いられる。ステージ31θXは、後述するように、ステージ駆動系32によってθX方向に沿って移動可能(つまり、X軸に沿った回転軸周りに回転可能)である。ステージ31θZは、ステージ31θXの回転に合わせてステージ31θXと共にX軸に沿った回転軸周りに回転可能となるように、ステージ31θXに形成された凹部に配置されている。ステージ31θZは、後述するように、ステージ31θXの回転とは無関係にステージ駆動系32によってθZ方向に沿って移動可能(つまり、Z軸に沿った回転軸周りに回転可能)となるように、ステージ31θXに形成された凹部に配置されている。尚、ステージ31の構成は、
図2及び
図3に示した構成には限定されない。一例として、ステージ31θZがステージ31θXに形成された凹部に配置されていなくてもよい。
【0029】
ステージ駆動系32は、ステージ31を移動させる。ステージ駆動系32は、例えば、X軸、Y軸、Z軸、θX方向、θY方向及びθZ方向の少なくとも一つに沿ってステージ31を移動させる。
図2から
図3に示す例では、ステージ駆動系32は、θX方向及びθZ方向のそれぞれに沿ってステージ31を移動させる。つまり、ステージ駆動系32は、X軸に沿った回転軸周りにステージ31を回転させ、Z軸に沿った回転軸周りにステージ31を回転させる。この場合、ステージ駆動系32は、ステージ駆動系32θXと、ステージ駆動系32θZとを備えていてもよい。ステージ駆動系32θXは、X軸に沿った回転軸周りにステージ31(特に、ステージ31θX)を回転させる。ステージ駆動系32θZは、Z軸に沿った回転軸周りにステージ31(特に、ステージ31θZ)を回転させる。ステージ駆動系32θXは、筐体8の底面(或いは、筐体8の底面に配置される定盤)に空気ばね等の防振装置を介して設置される一対の支持フレーム323にそれぞれ回転可能に接続される一対の回転シャフト321θXと、一対の回転シャフト321θXをX軸に沿った回転軸周りに回転させる駆動装置であるモータ322θXとを備える。一対の回転シャフト321θXは、X軸方向に沿って延びる。一対の回転シャフト321θXは、X軸方向に沿ってステージ31θXを挟み込むように、ステージ31θXに接続されている。ステージ駆動系32θZは、Z軸方向に沿って延び且つステージ31θZの底面(具体的には、ステージ31θXに対向する面)に接続される回転シャフト321θZと、回転シャフト321θZをZ軸に沿った回転軸周りに回転させるモータ322θZとを備える。一対の回転シャフト321θXが回転すると、ステージ31θXがX軸に沿った回転軸周りに回転する。その結果、ステージ31θXが支持するステージ31θZ(更には、ステージ31θZが支持するワークW)もまた、X軸に沿った回転軸周りに回転する。回転シャフト321θZが回転すると、ステージ31θZ(更には、ステージ31θZが支持するワークW)もまた、Z軸に沿った回転軸周りに回転する。尚、
図2及び
図3に示したステージ31は、ステージ31θXが支持フレーム323によって両側から支持される両持ち構造を有している。しかしながら、ステージ31は、ステージ31θXが支持フレーム323によって片側から支持される片持ち構造を有していてもよい。
【0030】
ステージ駆動系32がステージ31を移動させると、造形ヘッド21とステージ31及びステージ31に載置されたワークWのそれぞれとの相対位置が変わる。このため、ステージ駆動系32は、造形ヘッド21とステージ31及びワークWのそれぞれとの相対的な位置関係を変更するための位置変更装置として機能してもよい。更に、造形ヘッド21とステージ31及びワークWのそれぞれとの相対位置が変わると、目標照射領域EA及び目標供給領域MA(更には、溶融池MP)がワークWに対して相対的に移動する。
【0031】
ステージ31を回転軸周りに回転させる動作は、実質的には、ステージ31の姿勢を変更する(例えば、造形ヘッド21に対するステージ31の相対的な姿勢を変更する)動作と等価であるとみなしてもよい。このため、ステージ駆動系32は、造形ヘッド21に対するステージ31の相対的な姿勢を変更することで、造形ヘッド21とステージ31及びワークWのそれぞれとの相対的な位置関係を変更するための位置変更装置として機能してもよい。
【0032】
光源5は、例えば、赤外光、可視光及び紫外光のうちの少なくとも一つを、造形光ELとして射出する。但し、造形光ELとして、その他の種類の光が用いられてもよい。造形光ELは、複数のパルス光(つまり、複数のパルスビーム)を含んでいてもよい。造形光ELは、レーザ光であってもよい。この場合、光源5は、レーザ光源(例えば、レーザダイオード(LD:Laser Diode)等の半導体レーザを含んでいてもよい。レーザ光源としては、ファイバ・レーザやCO2レーザ、YAGレーザ、エキシマレーザ等であってもよい。但し、造形光ELはレーザ光でなくてもよい。光源5は、任意の光源(例えば、LED(Light Emitting Diode)及び放電ランプ等の少なくとも一つ)を含んでいてもよい。
【0033】
気体供給源6は、筐体8の内部空間をパージするためのパージガスの供給源である。パージガスは、不活性ガスを含む。不活性ガスの一例として、窒素ガス又はアルゴンガスがあげられる。気体供給源6は、気体供給源6と筐体8とを接続する供給管61を介して、筐体8の内部空間にパージガスを供給する。その結果、筐体8の内部空間は、パージガスによってパージされた空間となる。尚、気体供給源6は、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガスが格納されたボンベであってもよい。不活性ガスが窒素ガスである場合には、気体供給源6は、大気を原料として窒素ガスを発生する窒素ガス発生装置であってもよい。
【0034】
上述したように、材料ノズル212がパージガスと共に造形材料Mを供給する場合には、気体供給源6は、材料供給源1からの造形材料Mが供給される混合装置12にパージガスを供給してもよい。具体的には、気体供給源6は、気体供給源6と混合装置12とを接続する供給管62を介して混合装置12と接続されていてもよい。その結果、気体供給源6は、供給管62を介して、混合装置12にパージガスを供給する。この場合、材料供給源1からの造形材料Mは、供給管62を介して気体供給源6から供給されたパージガスによって、供給管11内を通って材料ノズル212に向けて供給(具体的には、圧送)されてもよい。つまり、気体供給源6は、供給管62、混合装置12及び供給管11を介して、材料ノズル212に接続されていてもよい。その場合、材料ノズル212は、供給アウトレット214から、造形材料Mを圧送するためのパージガスと共に造形材料Mを供給することになる。
【0035】
制御装置7は、造形システムSYSの動作を制御する。例えば、制御装置7は、造形システムSYSが備える造形ユニット2(例えば、造形ヘッド21及びヘッド駆動系22の少なくとも一方)を制御してもよい。例えば、制御装置7は、造形システムSYSが備えるステージユニット3(例えば、ステージ駆動系32)を制御してもよい。その結果、制御装置7は、造形ユニット2及びステージユニット3の少なくとも一方を制御して造形物(例えば、3次元構造物ST)を造形してもよい。
【0036】
制御装置7は、例えば、演算装置と、記憶装置とを備えていてもよい。演算装置は、例えば、CPU(Central Processing Unit)及びGPU(Graphics Processing Unit)の少なくとも一方を含んでいてもよい。記憶装置は、例えば、メモリを含んでいてもよい。制御装置7は、演算装置がコンピュータプログラムを実行することで、造形システムSYSの動作を制御する装置として機能する。このコンピュータプログラムは、制御装置7が行うべき後述する動作を演算装置に行わせる(つまり、実行させる)ためのコンピュータプログラムである。つまり、このコンピュータプログラムは、造形システムSYSに後述する動作を行わせるように制御装置7を機能させるためのコンピュータプログラムである。演算装置が実行するコンピュータプログラムは、制御装置7が備える記憶装置(つまり、記録媒体)に記録されていてもよいし、制御装置7に内蔵された又は制御装置7に外付け可能な任意の記憶媒体(例えば、ハードディスクや半導体メモリ)に記録されていてもよい。或いは、演算装置は、実行するべきコンピュータプログラムを、ネットワークインタフェースを介して、制御装置7の外部の装置からダウンロードしてもよい。
【0037】
制御装置7は、照射光学系211による造形光ELの射出態様を制御してもよい。射出態様は、例えば、造形光ELの強度及び造形光ELの射出タイミングの少なくとも一方を含んでいてもよい。造形光ELが複数のパルス光を含む場合には、射出態様は、例えば、パルス光の発光時間、パルス光の発光周期、及び、パルス光の発光時間の長さとパルス光の発光周期との比(いわゆる、デューティ比)の少なくとも一つを含んでいてもよい。更に、制御装置7は、ヘッド駆動系22による造形ヘッド21の移動態様を制御してもよい。制御装置7は、ステージ駆動系32によるステージ31の移動態様を制御してもよい。移動態様は、例えば、移動量、移動速度、移動方向及び移動タイミング(移動時期)の少なくとも一つを含んでいてもよい。更に、制御装置7は、材料ノズル212による造形材料Mの供給態様を制御してもよい。供給態様は、例えば、供給量(特に、単位時間当たりの供給量)及び供給タイミング(供給時期)の少なくとも一方を含んでいてもよい。
【0038】
制御装置7は、造形システムSYSの内部に設けられていなくてもよい。例えば、制御装置7は、造形システムSYS外にサーバ等として設けられていてもよい。この場合、制御装置7と造形システムSYSとは、有線及び/又は無線のネットワーク(或いは、データバス及び/又は通信回線)で接続されていてもよい。有線のネットワークとして、例えばIEEE1394、RS-232x、RS-422、RS-423、RS-485及びUSBの少なくとも一つに代表されるシリアルバス方式のインタフェースを用いるネットワークが用いられてもよい。有線のネットワークとして、パラレルバス方式のインタフェースを用いるネットワークが用いられてもよい。有線のネットワークとして、10BASE-T、100BASE-TX及び1000BASE-Tの少なくとも一つに代表されるイーサネット(登録商標)に準拠したインタフェースを用いるネットワークが用いられてもよい。無線のネットワークとして、電波を用いたネットワークが用いられてもよい。電波を用いたネットワークの一例として、IEEE802.1xに準拠したネットワーク(例えば、無線LAN及びBluetooth(登録商標)の少なくとも一方)があげられる。無線のネットワークとして、赤外線を用いたネットワークが用いられてもよい。無線のネットワークとして、光通信を用いたネットワークが用いられてもよい。この場合、制御装置7と造形システムSYSとはネットワークを介して各種の情報の送受信が可能となるように構成されていてもよい。また、制御装置7は、ネットワークを介して造形システムSYSにコマンドや制御パラメータ等の情報を送信可能であってもよい。造形システムSYSは、制御装置7からのコマンドや制御パラメータ等の情報を、上記ネットワークを介して受信する受信装置を備えていてもよい。造形システムSYSは、制御装置7に対してコマンドや制御パラメータ等の情報を、上記ネットワークを介して送信する送信装置(つまり、制御装置7に対して情報を出力する出力装置)を備えていてもよい。或いは、制御装置7が行う処理のうちの一部を行う第1制御装置が造形システムSYSの内部に設けられている一方で、制御装置7が行う処理のうちの他の一部を行う第2制御装置が造形システムSYSの外部に設けられていてもよい。
【0039】
尚、制御装置7が実行するコンピュータプログラムを記録する記録媒体としては、CD-ROM、CD-R、CD-RWやフレキシブルディスク、MO、DVD-ROM、DVD-RAM、DVD-R、DVD+R、DVD-RW、DVD+RW及びBlu-ray(登録商標)等の光ディスク、磁気テープ等の磁気媒体、光磁気ディスク、USBメモリ等の半導体メモリ、及び、その他プログラムを格納可能な任意の媒体の少なくとも一つが用いられてもよい。記録媒体には、コンピュータプログラムを記録可能な機器(例えば、コンピュータプログラムがソフトウェア及びファームウェア等の少なくとも一方の形態で実行可能な状態に実装された汎用機器又は専用機器)が含まれていてもよい。更に、コンピュータプログラムに含まれる各処理や機能は、制御装置7(つまり、コンピュータ)がコンピュータプログラムを実行することで制御装置7内に実現される論理的な処理ブロックによって実現されてもよいし、制御装置7が備える所定のゲートアレイ(FPGA、ASIC)等のハードウェアによって実現されてもよいし、論理的な処理ブロックとハードウェアの一部の要素を実現する部分的ハードウェアモジュールとが混在する形式で実現してもよい。
【0040】
(2)造形システムSYSの動作
続いて、造形システムSYSの動作について説明する。
【0041】
(2-1)造形動作
初めに、3次元構造物STを造形するための造形動作(本実施形態では、付加加工動作)について説明する。上述したように、造形システムSYSは、ワークWに対して付加加工を行うことで3次元構造物STを造形するための造形動作を行う。具体的には、造形システムSYSは、レーザ肉盛溶接法により3次元構造物STを造形する。このため、造形システムSYSは、レーザ肉盛溶接法に準拠した既存の付加加工動作を行うことで、3次元構造物STを造形してもよい。以下、レーザ肉盛溶接法を用いて3次元構造物STを造形する造形動作の一例について簡単に説明する。
【0042】
造形システムSYSは、造形するべき3次元構造物STの3次元モデルデータ(例えば、CAD(Computer Aided Design)データ)等に基づいて、ワークW上に3次元構造物STを造形する。3次元モデルデータとして、造形システムSYS内に設けられた不図示の計測装置及び造形システムSYSとは別に設けられた3次元形状計測機の少なくとも一方で計測された立体物の計測データが用いられてもよい。造形システムSYSは、3次元構造物STを造形するために、例えば、Z軸方向に沿って並ぶ複数の層状の部分構造物(以下、“構造層”と称する)SLを順に造形していく。例えば、造形システムSYSは、3次元構造物STのモデルをZ軸方向に沿って輪切りにすることで得られる複数の層のデータに基づいて複数の構造層SLを1層ずつ順に造形していく。その結果、複数の構造層SLが積層された積層構造体である3次元構造物STが造形される。以下、複数の構造層SLを1層ずつ順に造形していくことで3次元構造物STを造形する動作の流れについて説明する。
【0043】
まず、各構造層SLを造形する動作について
図4(a)から
図4(e)を参照して説明する。造形システムSYSは、制御装置7の制御下で、ワークWの表面又は造形済みの構造層SLの表面に相当する造形面MS上の所望領域に目標照射領域EAが設定されるように、造形ヘッド21及びステージ31の少なくとも一方を移動させる。その後、造形システムSYSは、目標照射領域EAに対して照射光学系211から造形光ELを照射する。この際、Z軸方向において造形光ELが集光される集光面は、造形面MSに一致していてもよい。或いは、Z軸方向において集光面は、造形面MSから外れていてもよい。その結果、
図4(a)に示すように、造形光ELが照射された造形面MS上に溶融池(つまり、造形光ELによって溶融した金属等のプール)MPが形成される。更に、造形システムSYSは、制御装置7の制御下で、材料ノズル212から造形材料Mを供給する。その結果、溶融池MPに造形材料Mが供給される。溶融池MPに供給された造形材料Mは、溶融池MPに照射されている造形光ELによって溶融する。或いは、材料ノズル212から供給された造形材料Mは、溶融池MPに到達する前に造形光ELによって溶融し、溶融した造形材料Mが溶融池MPに供給されてもよい。その後、造形ヘッド21及びステージ31の少なくとも一方の移動に伴って溶融池MPに造形光ELが照射されなくなると、溶融池MPにおいて溶融した造形材料Mは、冷却されて固化(つまり、凝固)する。その結果、
図4(c)に示すように、固化した造形材料Mから構成される造形物が造形面MS上に堆積される。
【0044】
造形システムSYSは、このような造形光ELの照射による溶融池MPの形成、溶融池MPへの造形材料Mの供給、供給された造形材料Mの溶融及び溶融した造形材料Mの固化を含む一連の造形処理を、
図4(d)に示すように、造形面MSに対して造形ヘッド21を、X軸方向及びY軸方向の少なくとも一方に沿って移動させながら繰り返す。典型的には、造形システムSYSは、所望のタイミングで造形面MSに造形光ELを照射しながら造形面MSに対して造形ヘッド21をX軸方向及びY軸方向のいずれか一方に沿って移動させるスキャン動作と、造形面MSに造形光ELを照射することなく造形面MSに対して造形ヘッド21をX軸方向及びY軸方向のいずれか他方に沿って移動させるステップ動作とを繰り返す。この際、造形システムSYSは、スキャン動作が行われている期間中に、造形面MS上において造形物を造形したい領域に造形光ELを照射する一方で、造形面MS上において造形物を造形したくない領域に造形光ELを照射しない。つまり、造形システムSYSは、造形面MS上を所定の移動軌跡に沿って目標照射領域EAを移動させながら、造形物を造形したい領域の分布の態様に応じたタイミングで造形光ELを造形面MSに照射する。典型的には、造形システムSYSは、所望のタイミングで目標照射領域EAに造形光ELを照射しながら造形面MSに対して目標照射領域EAをX軸方向及びY軸方向のいずれか一方に沿って移動させるスキャン動作と、目標照射領域EAに造形光ELを照射することなく造形面MSに対して目標照射領域EAをX軸方向及びY軸方向のいずれか他方に沿って移動させるステップ動作とを繰り返す。その結果、溶融池MPもまた、目標照射領域EAの移動軌跡に応じた移動軌跡に沿って造形面MS上を移動することになる。具体的には、溶融池MPは、造形面MS上において、目標照射領域EAの移動軌跡に沿った領域のうち造形光ELが照射された部分に順次形成される。その結果、
図4(e)に示すように、造形面MS上に、溶融した後に固化した造形材料Mの集合体である造形物に相当する構造層SLが造形される。つまり、溶融池MPの移動軌跡に応じたパターンで造形面MS上に造形された造形物の集合体に相当する構造層SL(つまり、平面視において、溶融池MPの移動軌跡に応じた形状を有する構造層SL)が造形される。尚、造形物を造形したくない領域に目標照射領域EAが設定されている場合、造形システムSYSは、造形光ELを目標照射領域EAに照射するとともに、造形材料Mの供給を停止してもよい。また、造形物を造形したくない領域に目標照射領域EAが設定されている場合に、造形システムSYSは、造形材料Mを目標照射領域EAに供給するとともに、溶融池MPができない強度の造形光ELを目標照射領域EAに照射してもよい。
【0045】
造形システムSYSは、このような構造層SLを造形するための動作を、制御装置7の制御下で、3次元モデルデータに基づいて繰り返し行う。具体的には、まず、制御装置7は、構造層SLを造形するための動作を行う前に、3次元モデルデータを積層ピッチでスライス処理してスライスデータを作成する。造形システムSYSは、ワークWの表面に相当する造形面MS上に1層目の構造層SL#1を造形するための動作を、構造層SL#1に対応するスライスデータに基づいて行う。その結果、造形面MS上には、
図5(a)に示すように、構造層SL#1が造形される。その後、造形システムSYSは、構造層SL#1の表面(つまり、上面)を新たな造形面MSに設定した上で、当該新たな造形面MS上に2層目の構造層SL#2を造形する。構造層SL#2を造形するために、制御装置7は、まず、ステージ31に対して造形ヘッド21がZ軸に沿って移動するように、ヘッド駆動系22及びステージ駆動系32の少なくとも一方を制御する。具体的には、制御装置7は、ヘッド駆動系22及びステージ駆動系32の少なくとも一方を制御して、目標照射領域EAが構造層SL#1の表面(つまり、新たな造形面MS)に設定されるように、+Z側に向かって造形ヘッド21を移動させる及び/又は-Z側に向かってステージ31を移動させる。その後、造形システムSYSは、制御装置7の制御下で、構造層SL#1を造形する動作と同様の動作で、構造層SL#2に対応するスライスデータに基づいて、構造層SL#1上に構造層SL#2を造形する。その結果、
図5(b)に示すように、構造層SL#2が造形される。以降、同様の動作が、ワークW上に造形するべき3次元構造物STを構成する全ての構造層SLが造形されるまで繰り返される。その結果、
図5(c)に示すように、複数の構造層SLが積層された積層構造物によって、3次元構造物STが造形される。
【0046】
(2-2)造形動作の具体例
本実施形態では、造形システムSYSは、上述した造形動作を行うことで、第1物体の上方に第2物体を造形してもよい。つまり、造形システムSYSは、第1物体の上方に造形された第2物体を含む3次元構造物STを造形してもよい。造形システムSYSは、第1物体と、第1物体の上方に造形された第2物体とを含む3次元構造物STを造形してもよい。
【0047】
本実施形態では、造形システムSYSは、第1物体の上方に第2物体を造形する際に、第2物体の下方に空間が形成され且つ当該空間の上方が閉じられる(例えば、ふさがれる)ように第2物体を造形してもよい。この際、造形システムSYSは、第1空間を有する第1物体(つまり、第1空間が形成された第1物体)の上方に、第2物体の下方に第2空間が形成され且つ当該第2空間の上方が閉じられるように、第2物体を造形してもよい。このとき、第1空間と第2空間とは繋がっていてもよい。なお、この際、造形システムSYSは、第1物体の上面(典型的には平面又は凸面)に第2物体を造形することで、第2物体の下方に第1空間を形成し且つ当該第1空間の上方を閉じてもよい。
【0048】
第1物体の上方に造形された第2物体を含む3次元構造物STの一例が、
図6から
図9に示されている。
図6は、第1物体の上方に造形された第2物体を含む3次元構造物STの外観を示す斜視図である。
図7は、第1物体の上方に造形された第2物体を含む3次元構造物STの上面を示す平面図である。
図8は、第1物体の上方に造形された第2物体を含む3次元構造物STの断面を示す断面図(特に、
図7のA-A’断面図)である。
図9は、第1物体の上方に造形された第2物体を含む3次元構造物STの断面を示す断面図(特に、
図7のB-B’断面図)である。
【0049】
図6から
図9は、第1物体の上方に造形された第2物体を含む3次元構造物STの一例として、第1物体の一例であるベース部材BMと、ベース部材BMの上方に造形された第2物体の一例である屋根部材RMとを含む3次元構造物STを示している。尚、
図6から
図9は、3次元構造物STが、タービンの羽根を構成するタービンブレードBLである例を示している。つまり、
図6から
図9は、タービンブレードBLとして利用可能な3次元構造物STを示している。言い換えれば、
図6から
図9は、3次元構造物STの形状が、タービンブレードBLに相当する形状となる例を示している。なお、タービンブレードBLは、動翼であってもよいし、静翼であってもよい。しかしながら、第1物体の上方に造形された第2物体を含む3次元構造物STが、タービンブレードBLに限定されることはない。第1物体の上方に造形された第2物体を含む3次元構造物STが、タービンブレードBLとは異なる物体(例えば、タービンに用いるという用途とは異なる用途に用いられる物体)であってもよい。
【0050】
図6から
図9に示すように、3次元構造物STは、長手方向(
図6から
図9に示す例では、X軸方向)に沿って延びる形状を有する。3次元構造物STがタービンブレードBLであるため、3次元構造物STは、平面視において弓型の形状を有するように湾曲していてもよい。
図6から
図9に示す例では、3次元構造物STは、XY平面に沿った面内において弓型の形状を有するように、XY平面に沿った面内において湾曲している。このため、ベース部材BM及び屋根部材RMのそれぞれもまた、X軸方向に沿って延びる形状を有し、且つ、XY平面に沿った面内において弓型の形状を有するようにXY平面に沿った面内において湾曲していてもよい。
【0051】
ベース部材BMは、底部材BMCと、側壁部材BMLと、側壁部材BMRとを含む。
【0052】
底部材BMCは、例えば、長手方向を有するように延びる(つまり、長手方向に沿って延びる)長板状の部材である。
図6から
図9に示す例では、底部材BMCは、X軸方向に沿った長手方向を有する(例えば、上述したステージ31θXの回転軸とほぼ平行な方向に長手方向を有する)。但し、3次元構造物STがタービンブレードであるため、底部材BMCは、平面視において弓型の形状を有するように湾曲していてもよい。
図6から
図9に示す例では、底部材BMCは、XY平面に沿った面内において弓型の形状を有するように、XY平面に沿った面内において湾曲していてもよい。
【0053】
側壁部材BMLと側壁部材BMRは、底部材BMC上に形成される。側壁部材BMLと側壁部材BMRは、底部材BMCの外縁に沿って形成されてもよい。このとき、側壁部材BMLと側壁部材BMRと底部材BMCとは一体の部材として(モノリシックな部材として)形成されていてもよい。具体的には、側壁部材BMLは、底部材BMCの一方側の外縁(例えば、-Y側の外縁)に沿って形成され、側壁部材BMRは、底部材BMCの一方側の外縁(例えば、+Y側の外縁)に沿って形成されてもよい。このため、側壁部材BML及びBMRのそれぞれは、平面視において弓型の形状を有するように湾曲していてもよい。
図6から
図9に示す例では、側壁部材BML及びBMRのそれぞれは、XY平面に沿った面内において弓型の形状を有するように、XY平面に沿った面内において湾曲していてもよい。
【0054】
側壁部材BML及びBMRのそれぞれは、底部材BMCから突き出るように上方に延びる。側壁部材BML及びBMRは、平面視において環状につながる(
図6から
図9に示す例では、XY平面に沿った面内において環状につながる)ように形成されていてもよい。その結果、側壁部材BML及びBMRは、底部材BMCと共に、第1空間の一例である空間BMsp(
図8参照)を形成してもよい。つまり、側壁部材BML及びBMRは、側壁部材BML及びBMRと底部材BMCとによって囲まれた(言い換えれば、側壁部材BML及びBMRと底部材BMCとに面する)空間BMspが形成されるように、底部材BMCから突き出ると共に、平面視において環状につながってもよい。
【0055】
屋根部材RMは、傾斜部材RMLと、傾斜部材RMRとを含む。
【0056】
傾斜部材RMLは、側壁部材BMLに接続される部材である。例えば、傾斜部材RMLは、側壁部材BML上に形成される。この際、傾斜部材RMLは、側壁部材BMLに沿って形成されてもよい。このため、傾斜部材RMLは、平面視において弓型の形状を有するように湾曲していてもよい。
図6から
図9に示す例では、傾斜部材RMLは、XY平面に沿った面内において弓型の形状を有するように、XY平面に沿った面内において湾曲していてもよい。
【0057】
傾斜部材RMLは、側壁部材BMLから延びる板状の部材であってもよい。傾斜部材RMLは、側壁部材BMLから、側壁部材BMLの上方に向かって延びる部材であってもよい。特に、傾斜部材RMLは、側壁部材BMLに対して傾斜する方向に向かって延びる部材であってもよい。例えば、傾斜部材RMLは、傾斜部材RMLが形成される側壁部材BMLの上面BMLusに対して傾斜する方向に向かって延びる部材であってもよい。
図6から
図9に示す例では、側壁部材BMLの上面BMLusは、XY平面に沿った面である。このため、傾斜部材RMLは、XY平面に対して傾斜する方向に向かって延びる部材であってもよい。例えば、傾斜部材RMLは、側壁部材BMLが延びる(つまり、突き出る)方向に対して傾斜する方向に向かって延びる部材であってもよい。
図6から
図9に示す例では、側壁部材BMLがZ軸方向に延びる(つまり、突き出る)部材である。このため、傾斜部材RMLは、Z軸に対して傾斜する方向に向かって延びる部材であってもよい。
【0058】
傾斜部材RMRは、側壁部材BMRに接続される部材である。例えば、傾斜部材RMRは、側壁部材BMR上に形成される。この際、傾斜部材RMRは、側壁部材BMRに沿って形成されてもよい。このため、傾斜部材RMRは、平面視において弓型の形状を有するように湾曲していてもよい。
図6から
図9に示す例では、傾斜部材RMRは、XY平面に沿った面内において弓型の形状を有するように、XY平面に沿った面内において湾曲していてもよい。
【0059】
傾斜部材RMRは、側壁部材BMRから延びる板状の部材であってもよい。傾斜部材RMRは、側壁部材BMRから、側壁部材BMRの上方に向かって延びる部材であってもよい。特に、傾斜部材RMRは、側壁部材BMRに対して傾斜する方向に向かって延びる部材であってもよい。例えば、傾斜部材RMRは、傾斜部材RMRが形成される側壁部材BMRの上面BMRusに対して傾斜する方向に向かって延びる部材であってもよい。
図6から
図9に示す例では、側壁部材BMRの上面BMRusは、XY平面に沿った面である。このため、傾斜部材RMRは、XY平面に対して傾斜する方向に向かって延びる部材であってもよい。例えば、傾斜部材RMRは、側壁部材BMRが延びる(つまり、突き出る)方向に対して傾斜する方向に向かって延びる部材であってもよい。
図6から
図9に示す例では、側壁部材BMRがZ軸方向に延びる(つまり、突き出る)部材である。このため、傾斜部材RMRは、Z軸に対して傾斜する方向に向かって延びる部材であってもよい。
【0060】
傾斜部材RMRと傾斜部材RMLの下方には、第2空間の一例である空間RMsp(
図8参照)が形成されていてもよい。つまり、傾斜部材RMRと傾斜部材RMLとは、傾斜部材RMR及びRMLの下方において傾斜部材RMR及びRMLによって部分的に取り囲まれる(言い換えれば、傾斜部材RMR及びRMLに面する)空間RMspが形成されるように、ベース部材BMの上方に形成されていてもよい。この場合、典型的には、傾斜部材RMRが延びる方向と傾斜部材RMLが延びる方向とは異なっていてもよい。例えば、傾斜部材RMRが延びる方向は、傾斜部材RMLが延びる方向に交差していてもよい。
【0061】
傾斜部材RMR及びRMLの下方に形成される空間RMspは、ベース部材BMに形成される空間BMspに接続されてもよい。つまり、3次元構造物STには、ベース部材BMと屋根部材RMとによって取り囲まれた、空間BMsp及び空間RMspを含む空間が形成されていてもよい
空間RMspの上方は、閉じられていてもよい(言い換えれば、ふさがれていてもよい又は覆われていてもよい)。具体的には、空間RMspの上方は、屋根部材RMが備える傾斜部材RML及びRMRによって閉じられていてもよい。尚、ここで言う「屋根部材RMによって閉じられた空間」は、「屋根部材RMによって取り囲まれた空間」を意味していてもよい。
【0062】
空間RMspの上方が屋根部材RMによって閉じられる場合には、傾斜部材RMLの先端と傾斜部材RMRの先端とが接続されていてもよい。尚、傾斜部材RMLの先端は、側壁部材BMLに接続される傾斜部材RMLの一方の端部(例えば、下端)とは反対側に位置する傾斜部材RMLの他方の端部(例えば、上端)を意味していてもよい。傾斜部材RMRの先端は、側壁部材BMRに接続される傾斜部材RMRの一方の端部(例えば、下端)とは反対側に位置する傾斜部材RMRの他方の端部(例えば、上端)を意味していてもよい。例えば、
図6から
図9に示すように、屋根部材RMは、傾斜部材RMLの先端及び傾斜部材RMRの先端に接続する接続部材RMCを含んでいてもよい。つまり、屋根部材RMは、空間RMspの上方が閉じられるように傾斜部材RMLの先端と傾斜部材RMRの先端とを接続する接続部材RMCを備えていてもよい。この場合、空間RMspの上方が接続部材RMCによって閉じられているとみなしてもよい。或いは、傾斜部材RMLの先端と傾斜部材RMRの先端とが直接的に接続されていてもよい。つまり、屋根部材RMは、必ずしも接続部材RMCを含んでいなくてもよい。
【0063】
屋根部材RMは更に、支持部材RMSを含んでいてもよい。支持部材RMSは、傾斜部RML及びRMRを支持するための部材である。支持部材RMSは、例えば、傾斜部RML及びRMRを下方から支持するための部材である。一例として、支持部材RMSは、例えば、傾斜部RML及びRMRを下方から支持するように下方から上方に向かって延びる板状の部材であってもよい。
【0064】
支持部材RMSは、ベース部材BMが備える支持部材BMS上に形成される。支持部材BMSは、支持部材RMSを支持する部材である。例えば、支持部材BMSは、支持部材RMSを下方から支持する部材であってもよい。この場合、支持部材RMSは、支持部材BMSから上方に向かって(つまり、支持部材BMSから支持部材BMSの上方に位置する傾斜部RML及びRMRに向かって)延びる部材であってもよい。支持部材RMSは、下方において支持部材BMSに接続され、且つ、上方において傾斜部材RML及びRMRに接続される部材であってもよい。
【0065】
屋根部材RMは、屋根部材RMの長手方向(つまり、屋根部材RMが延びる長手方向)に沿って離散的な複数の位置にそれぞれ複数の支持部材RMSを含んでいてもよい。この場合、ベース部材BMは、ベース部材BMの長手方向(つまり、ベース部材BMが延びる長手方向)に沿って離散的な複数の位置にそれぞれ複数の支持部材BMSを含んでいてもよい。尚、
図8は、支持部材BMS及びRMSが形成されていない位置における3次元構造物STの断面を示しており、
図9は、支持部材BMS及びRMSが形成されている位置における3次元構造物STの断面を示している。尚、
図6から
図7に示す例では、屋根部材RMが四個の支持部材RMSを備えているが、支持部材RMSの数が四個に限定されることはない。
【0066】
続いて、
図10から
図30を参照しながら、第1物体の上方に造形された第2物体を含む3次元構造物STを造形するための動作について更に説明する。尚、以下では、説明の便宜上、
図6から
図9に示す3次元構造物STを造形するための動作について説明する。但し、第1物体の上方に造形された第2物体を含む任意の3次元構造物STが、以下に説明する動作によって造形されてもよい。
【0067】
まず、
図10(a)及び
図10(b)に示すように、造形システムSYSは、上述した造形動作を行うことで、ワークW上にベース部材BMを造形する。具体的には、造形システムSYSは、複数の構造層SLを順に造形することで、複数の構造層SLから構成されるベース部材BMをワークW上に造形する。典型的には、造形システムSYSは、まず底部材BMCを造形し、その後、底部材BMC上に、側壁部材BML、側壁部材BMR及び支持部材BMSを造形する。この際、造形システムSYSは、所望のタイミングで目標照射領域EAに造形光ELを照射しながら、ベース部材BMの長手方向(例えば、X軸方向)に沿って目標照射領域EAを移動させるスキャン動作と、目標照射領域EAに造形光ELを照射することなくベース部材BMの長手方向に交差する方向(例えば、Y軸方向)に沿って移動させるステップ動作とを繰り返してもよい。尚、
図10(a)は、支持部材BMSが造形されていない位置におけるベース部材BMの断面を示しており、
図10(b)は、支持部材BMSが造形されている位置におけるベース部材BMの断面を示している。
【0068】
但し、既に造形済みのベース部材BMが用いられてもよい。この場合、造形システムSYは、ベース部材BMを造形しなくてもよい。造形済みのベース部材BMは、ワークWとしてステージ31に載置されてもよい。なお、造形済みのベース部材BMは、タービンブレードであってもよいし、補修が必要なタービンブレードであってもよい。
【0069】
ベース部材BMが造形された後、造形システムSYSは、上述した造形動作を行うことで、ベース部材BM上に屋根部材RMを造形する。具体的には、造形システムSYSは、複数の構造層SLを順に造形することで、複数の構造層SLから構成される屋根部材RMをベース部材BM上に造形する。つまり、造形システムSYSは、複数の構造層SLから構成される、傾斜部材RML、傾斜部材RMR及び支持部材RMSを含む屋根部材RMをベース部材BM上に造形する。
【0070】
ここで、上述したように、傾斜部材RMLは、側壁部材BMLに対して傾斜している。従って、仮に傾斜部材RMLが造形される側壁部材BMLの上面BMLusが水平面となる状態で傾斜部材RMLを造形するためには、造形システムSYSは、側壁部材BML上に造形される予定の傾斜部材RMLを示す
図11に示すように、上面BMLusから、重力方向に対して傾斜する方向(つまり、Z軸方向に相当する重力方向と交差する方向)に沿って延びる傾斜部RMLを造形する必要がある。別の見方をすれば、造形システムSYSは、造形光ELの主軸(具体的には、主光線に沿った軸であり、
図11に示す例では、Z軸に沿った軸)と交差する方向に沿って延びる傾斜部RMLを造形する必要がある。更に別の見方をすれば、造形システムSYSは、ベース部材BMが載置されているワークWの載置面311と交差する方向に沿って延びる傾斜部RMLを造形する必要がある。
【0071】
一方で、造形システムSYSが複数の構造層SLを順に造形することで3次元構造物STを造形するがゆえに、傾斜部材RMLが延びる方向と重力方向とがなす角度θLには限界がある。なぜならば、側壁部材BML上に造形される傾斜部材RMLを拡大して示す
図12に示すように、複数の構造層SLが積層される方向に交差する方向(
図12に示す例では、Y軸方向)における一の構造層SLの端部と一の構造層SL上に造形される別の構造層SLの端部との距離dが許容上限距離dmaxを超えることができないがゆえに、許容上限距離dmaxに起因した角度θLの許容上限角度θmaxが定まるからである。つまり、造形システムSYSは、重力方向に対して許容上限角度θmaxを超える角度で交差する方向に沿って延びる傾斜部材RMLを造形することは困難である。このため、重力方向と上面BMLusから傾斜部材RMLが延びる方向との関係によっては、造形システムSYSは、傾斜部材RMLを適切に造形することが困難となる可能性がある。尚、ここで言う「傾斜部材RMLが延びる方向と重力方向とがなす角度θL」は、傾斜部材RMLが延びる方向に沿った軸と重力方向に沿った軸(
図12に示す例では、Z軸)とがなす二つの角度のうちの小さい方の角度(典型的には、鋭角となる角度)を意味していてもよい。
【0072】
また、詳細な説明は省略するものの、傾斜部材RMLが延びる方向に交差する方向に沿って延びる傾斜部材RMRについても同様のことが言える。
【0073】
そこで、本実施形態では、造形システムSYSは、必要に応じて、傾斜部材RMLを造形する前に、ステージ31を基準位置から回転軸周りの第1方向に回転させる(つまり、動かす)ことで、ステージ31の状態を、傾斜部材RMLが延びる方向と重力方向とがなす角度θLが許容上限角度θmax以下になる状態に設定してもよい。尚、ステージ31の基準位置として、載置面311が水平面となる状態にあるステージ31の位置が用いられてもよい。つまり、造形システムSYSは、傾斜部材RMLを造形する前に、ステージ31の状態を、ベース部材BMを造形するための第3状態とは異なり且つ傾斜部材RMLを造形するための第1状態へと変更してもよい。尚、上述したように、ステージ31が回転すると、造形ヘッド21とステージ31との相対的な位置関係が変わる。このため、造形システムSYSは、傾斜部材RMLを造形する前に、造形ヘッド21とステージ31との相対的な位置関係を、ベース部材BMを造形するための第3関係とは異なり且つ傾斜部材RMLを造形するための第1関係へと変更してもよい。その後、造形システムSYSは、傾斜部材RMLが延びる方向と重力方向とがなす角度θLが許容上限角度θmax以下になる状態において、傾斜部材RMLを造形してもよい。
【0074】
同様に、造形システムSYSは、必要に応じて、傾斜部材RMRを造形する前に、ステージ31を基準位置から回転軸周りの第2方向に回転させる(つまり、動かす)ことで、ステージ31の状態を、傾斜部材RMRが延びる方向と重力方向とがなす角度θRが許容上限角度θmax以下になる状態に設定してもよい。尚、傾斜部材RMRを造形する前のステージ31の回転方向である第2方向は、典型的には、傾斜部材RMLを造形する前のステージ31の回転方向である第1方向と逆方向であるが、同じ方向であってもよい。つまり、造形システムSYSは、傾斜部材RMRを造形する前に、ステージ31の状態を、ベース部材BMを造形するための第3状態及び傾斜部材RMLを造形するための第1状態とは異なり且つ傾斜部材RMRを造形するための第2状態へと変更してもよい。造形システムSYSは、傾斜部材RMRを造形する前に、造形ヘッド21とステージ31との相対的な位置関係を、ベース部材BMを造形するための第3関係及び傾斜部材RMLを造形するための第1関係とは異なり且つ傾斜部材RMRを造形するための第2関係へと変更してもよい。その後、造形システムSYSは、傾斜部材RMRが延びる方向と重力方向とがなす角度θRが許容上限角度θmax以下になる状態において、傾斜部材RMRを造形してもよい。
【0075】
一例として、許容上限角度θmaxが15度である状況下で、載置面311に対する傾斜角度θobが45度となる傾斜部材RML及びBMRを造形するためのステージ31の状態の一例について、
図13(a)及び
図13(b)を用いて説明する。尚、載置面311に対する傾斜部材RMLの傾斜角度θobは、載置面311の法線に沿った軸と傾斜部材RMLが延びる方向に沿った軸となす二つの角度のうちの小さい方の角度(典型的には、鋭角となる角度)を意味していてもよい。載置面311に対する傾斜部材RMRの傾斜角度θobは、載置面311の法線に沿った軸と傾斜部材RMRが延びる方向に沿った軸となす二つの角度のうちの小さい方の角度(典型的には、鋭角となる角度)を意味していてもよい。
【0076】
図13(a)は、傾斜部材RMLを造形するためのステージ31の状態の一例に示す断面図である。
図13(a)に示すように、造形システムSYSは、ベース部材BMの長手方向がX軸方向となるようにベース部材BMを造形した後に、ステージ31を、X軸周りに、基準位置から「90度-(許容上限角度θmax+傾斜角度θob)」だけ第1の回転方向に回転させてもよい。
図13(a)に示す例では、造形システムSYSは、ステージ31を、X軸周りに基準位置から「90度-(15度+45度)=30度」だけ反時計周りの方向に回転させてもよい。その後、造形システムSYSは、重力方向となす角度θLが許容上限角度θmaxと一致する(つまり、15度となる)方向に沿って傾斜部材RMLが延びるように、傾斜部材RMLを造形してもよい。この場合、造形システムSYSは、重力方向、造形光ELの主軸及び載置面311の少なくとも一つに交差する方向に沿って延びる傾斜部材RMLを造形しているとみなしてもよい。その結果、造形された傾斜部材RMLの載置面311に対する傾斜角度は、45度となる。
【0077】
尚、
図13(a)では、造形システムSYSは、角度θLがゼロ度よりも大きくなるように傾斜部材RMLを造形しているが、角度θLがゼロ度となる(つまり、重力方向に沿って傾斜部材RMLが延びる)ように傾斜部材RMLを造形してもよい。また、造形システムSYSは、ステージ31を、X軸周りに、基準位置から所望の第1回転角度だけ第1の回転方向に回転させ、重力方向に沿って傾斜部材RMLが延びるように傾斜部材RMLを造形することで、造形された傾斜部材RMLの載置面311に対する傾斜角度が所望の第1角度となるように、傾斜部材RMLを造形してもよい。
【0078】
図13(b)は、傾斜部材RMRを造形するためのステージ31の状態の一例に示す断面図である。
図13(b)に示すように、造形システムSYSは、ベース部材BMの長手方向がX軸方向となるようにベース部材BMを造形した後に、ステージ31を、X軸周りに、基準位置から「90度-(許容上限角度θmax+傾斜角度θob)」だけ、第1の回転方向とは反対側の第2回転方向に回転させてもよい。
図13(b)に示す例では、造形システムSYSは、ステージ31を、X軸周りに基準位置から「90度-(許容上限角度θmax+傾斜角度θob)」だけ時計周りの方向に回転させてもよい。その後、造形システムSYSは、重力方向となす角度θRが許容上限角度θmaxと一致する方向に沿って傾斜部材RMRが延びるように、傾斜部材RMRを造形してもよい。この場合、造形システムSYSは、重力方向、造形光ELの主軸及び載置面311の少なくとも一つに交差する方向に沿って延びる傾斜部材RMRを造形しているとみなしてもよい。その結果、造形された傾斜部材RMRの載置面311に対する傾斜角度は、45度となる。
【0079】
尚、
図13(b)では、造形システムSYSは、角度θRがゼロ度よりも大きくなるように傾斜部材RMRを造形しているが、角度θRがゼロ度となる(つまり、重力方向に沿って傾斜部材RMRが延びる)ように傾斜部材RMRを造形してもよい。また、造形システムSYSは、ステージ31を、X軸周りに、基準位置から所望の第2回転角度だけ第2の回転方向に回転させ、重力方向に沿って傾斜部材RMRが延びるように傾斜部材RMRを造形することで、造形された傾斜部材RMRの載置面311に対する傾斜角度が所望の第2角度となるように、傾斜部材RMRを造形してもよい。
【0080】
但し、造形システムSYSは、傾斜部材RMLを造形する前に、ステージ31を基準位置から回転軸周りの第1方向に回転させなくてもよい。例えば、ステージ31を回転させなくとも傾斜部材RMLが延びる方向と重力方向とがなす角度θLが許容上限角度θmax以下になる場合には、造形システムSYSは、傾斜部材RMLを造形する前に、ステージ31を基準位置から回転軸周りの第1方向に回転させなくてもよい。造形システムSYSは、基準位置にあるステージ31に載置されたベース部材BM上に傾斜部材RMLを造形してもよい。造形システムSYSは、ステージ31の状態が、ベース部材BMを造形するための第3状態となる状況下で、傾斜部材RMLを造形してもよい。造形システムSYSは、造形ヘッド21とステージ31との相対的な位置関係が、ベース部材BMを造形するための第3関係となる状況下で、傾斜部材RMLを造形してもよい。
【0081】
同様に、造形システムSYSは、傾斜部材RMRを造形する前に、ステージ31を基準位置から回転軸周りの第2方向に回転させなくてもよい。例えば、ステージ31を回転させなくとも傾斜部材RMRが延びる方向と重力方向とがなす角度θRが許容上限角度θmax以下になる場合には、造形システムSYSは、傾斜部材RMRを造形する前に、ステージ31を基準位置から回転軸周りの第2方向に回転させなくてもよい。造形システムSYSは、基準位置にあるステージ31に載置されたベース部材BM上に傾斜部材RMRを造形してもよい。造形システムSYSは、ステージ31の状態が、ベース部材BMを造形するための第3状態となる状況下で、傾斜部材RMRを造形してもよい。造形システムSYSは、造形ヘッド21とステージ31との相対的な位置関係が、ベース部材BMを造形するための第3関係となる状況下で、傾斜部材RMRを造形してもよい。
【0082】
加えて、本実施形態では、上述したように、傾斜部材RML及びRMRが互いに異なる方向に延びる。この場合、傾斜部材RML及びRMRのいずれか一方の全体(或いは、大部分)を造形した後に傾斜部材RML及びRMRのいずれか他方の造形を開始した場合には、傾斜部材RML及びRMRのいずれか一方によって、傾斜部材RML及びRMRのいずれか他方を造形するための造形光ELが遮られてしまう可能性がある。例えば、
図14は、傾斜部材RMLの全体を造形した後に傾斜部材RMRを造形するために側壁部材BMRに照射される造形光ELを示している。
図14に示すように、重力方向に対して許容上限角度θmaxを下回る角度で交差する方向に沿って延びる傾斜部材RMRを造形しようとすると、造形光ELが造形済みの傾斜部材RMLによって遮られてしまう可能性がある。その結果、造形システムSYSは、傾斜部材RMRを適切に造形することができない可能性がある。
【0083】
そこで、本実施形態では、傾斜部材RMLの一部を含む造形物と、傾斜部材RMRの一部を含む造形物とを交互に造形する動作を繰り返す。つまり、造形システムSYSは、傾斜部材RMLの一部の造形と、傾斜部材RMRの一部の造形とを順に行うことで、傾斜部材RML及びRMRを含む屋根部材RMを造形する。但し、造形システムSYSは、傾斜部材RMLの一部の造形と、傾斜部材RMRの一部の造形とを順に行うことなく、傾斜部材RML及びRMRを含む屋根部材RMを造形してもよい。例えば、造形システムSYSは、傾斜部材RML及びRMRのいずれか一方の全体(或いは、大部分)を造形した後に傾斜部材RML及びRMRのいずれか他方の造形を開始してもよい。例えば、造形光ELが造形済みの傾斜部材RML及びRMRによって遮られない場合には、造形システムSYSは、傾斜部材RML及びRMRのいずれか一方の全体(或いは、大部分)を造形した後に傾斜部材RML及びRMRのいずれか他方の造形を開始してもよい。
【0084】
以下、傾斜部材RML及びRMRのそれぞれを造形する前にステージ31を基準位置から回転させ、且つ、傾斜部材RMLの一部を含む造形物と傾斜部材RMRの一部を含む造形物とを交互に造形する動作の流れについて、
図15から
図30を参照しながら更に説明する。
【0085】
ベース部材BMが造形された後、造形システムSYSは、傾斜部材RMLの一部を造形する。この場合、
図15(a)及び
図15(b)に示すように、造形システムSYSは、傾斜部材RMLを造形する前に、ステージ31を基準位置から回転軸(例えば、X軸)周りの第1方向に回転させる。尚、
図15(a)は、支持部材BMSが造形されていない位置におけるベース部材BMの断面を示しており、
図15(b)は、支持部材BMSが造形されている位置におけるベース部材BMの断面を示している。その後、造形システムSYSは、
図15(a)に示すように、傾斜部材RMLの一部を造形するために、側壁部材BMLのうち傾斜部材RMLの一部が造形される領域に造形光ELを照射する。また、支持部材BMSが造形されている位置においては、造形システムSYSは、
図15(b)に示すように、傾斜部材RMLの一部と支持部材RMSの一部とを造形するために、側壁部材BMLのうち傾斜部材RMLが造形される領域及び支持部材BMSのうち支持部材RMSが造形される領域に造形光ELを照射する。
【0086】
屋根部材RMを造形する場合においても、造形システムSYSは、所望のタイミングで目標照射領域EAに造形光ELを照射しながら、第1方向(例えば、ベース部材BMの長手方向(例えば、X軸方向))に沿って目標照射領域EAを移動させるスキャン動作と、目標照射領域EAに造形光ELを照射することなく第2方向(例えば、ベース部材BMの長手方向に交差する方向(例えば、Y軸方向))に沿って移動させるステップ動作とを繰り返してもよい。例えば、スキャン動作における目標照射領域EAの移動方向がステージ31の回転軸(例えば、X軸)と平行な方向と一致する場合には、造形システムSYSは、ステージ31の回転軸と平行な方向(例えば、X軸方向)における造形ヘッド21とステージ31との相対的な位置関係を変更しながら、側壁部材BML及び支持部材BMSに造形光ELを照射するスキャン動作を行ってもよい。或いは、例えば、スキャン動作における目標照射領域EAの移動方向がステージ31の回転軸(例えば、X軸)と平行な方向と交差する場合に、造形システムSYSは、ステージ31の回転軸と平行な方向(例えば、X軸方向)における造形ヘッド21とステージ31との相対的な位置関係及びステージ31の回転軸と垂直な方向(例えば、Y軸方向)における造形ヘッド21とステージ31との相対的な位置関係を同時に変更しながら、側壁部材BML及び支持部材BMSに造形光ELを照射するスキャン動作を行ってもよい。
【0087】
その結果、
図16(a)に示すように、支持部材BMSが造形されていない位置(つまり、支持部材RMSを造形しなくてもよい位置)においては、側壁部材BML上に、傾斜部材RMLの一部である部分傾斜部材RMLp#1が造形される。また、
図16(b)に示すように、支持部材BMSが造形されている位置(つまり、支持部材RMSを造形する位置)においては、側壁部材BML上に部分傾斜部材RMLp#1が造形され、且つ、支持部材BMS上に、支持部材RMSの一部であって且つ部分傾斜部材RMLp#1に接続される部分支持部材RMSp#11が造形される。
【0088】
部分傾斜部材RMLp#1は、単一の構造層SLから構成される部材であってもよい。部分傾斜部材RMLp#1と共に造形される部分支持部材RMSp#11もまた、単一の構造層SLから構成される部材であってもよい。この場合、造形システムSYSは、単一の造形層SLを造形する造形動作を行うことで、部分傾斜部材RMLp#1及び部分支持部材RMSp#11を造形する。或いは、部分傾斜部材RMLp#1は、複数の構造層SLから構成される部材であってもよい。部分傾斜部材RMLp#1と共に造形される部分支持部材RMSp#11もまた、複数の構造層SLから構成される部材であってもよい。この場合、造形システムSYSは、複数の造形層SLを造形する造形動作を行うことで、部分傾斜部材RMLp#1及び部分支持部材RMSp#11を造形する。尚、
図16(a)及び
図16(b)は、部分傾斜部材RMLp#1及び部分支持部材RMSp#11のそれぞれが複数の構造層SLから構成される例を示している。
【0089】
部分傾斜部材RMLp#1及び部分支持部材RMSp#11が複数の構造層SLから構成される場合には、一の構造層SLを造形するために行うスキャン動作の回数と、一の構造層SL上に別の構造層SLを造形するために行うスキャン動作の回数とが異なっていてもよい。例えば、
図17(a)から
図17(d)は、部分傾斜部材RMLp#1を構成する二つの構造層SLを造形する過程を示す断面図である。
図17(a)に示すように、側壁部材BMLの上面BMLus上に1層目の構造層SL#1を造形する場合には、造形システムSYSは、上面BMLusの一部を造形面MSに設定した上で、造形面MSに造形光ELを照射するスキャン動作を行ってもよい。上面BMLusの全体ではなく上面BMLusの一部を造形面MSに設定する理由は、造形される構造層SLの上面及び下面が原則として水平面に沿った面となる一方で、造形面MSが設定される上面BMLusが水平面に交差する面となるからである。その結果、
図17(b)に示すように、上面BMLusの一部に1層目の構造層SL#1が造形される。その後、
図17(c)に示すように、造形システムSYSは、2層目の構造層SL#2を造形するために、1層目の構造層SL#1の上面と上面BMLusの他の一部とを造形面MSに設定した上で、造形面MSに造形光ELを照射するスキャン動作を行ってもよい。その結果、
図17(d)に示すように、1層目の構造層SL#1の上面と上面BMLusの他の一部に2層目の構造層SL#2が造形される。
【0090】
ここで、1層目の構造層SL#1を造形する場合と比較して、2層目の構造層SL#2を造形する場合には、スキャン動作における目標照射領域EAの移動方向(
図17(c)に示す例では、X軸方向)に交差する方向(
図17(c)に示す例では、Y軸方向)において造形面MSが広くなる。このため、1層目の構造層SL#1を造形する場合と比較して、2層目の構造層SL#2を造形する場合には、スキャン動作の回数が多くなる。
図17(a)及び
図17(c)に示す例では、1層目の構造層SL#1を造形する場合には、スキャン動作が1回行われ、2層目の構造層SL#2を造形する場合には、スキャン動作が2回行われている。このように、スキャン動作が行われる回数が調整されれば、水平面に対して交差する面に造形面MSが設定されたとしても、構造層SLが適切に造形される。
【0091】
或いは、構造層SLが造形される側壁部材BMLの上面BMLusが水平面に対して交差する面になる理由は、ベース部材BMを造形した後に傾斜部材RMLを造形する前に、ステージ31が基準位置から回転している(つまり、動いている)からである。そこで、
図18に示すように、造形システムSYSは、傾斜部材RMLを造形するためにステージ31を基準位置から回転させた状態において側壁部材BMLの上面BMLusが水平面に平行な面となるように、ベース部材BMを造形してもよい。例えば、造形システムSYSは、ベース部材BMを造形している段階では、側壁部材BMLの上面BMLusが水平面に交差する面となるように、ベース部材BMを造形してもよい。この場合、造形システムSYSは、上述した造形動作を行うことで、上面BMLusが水平面に交差する面となる側壁部材BMLを造形してもよい。或いは、造形システムSYSは、上述した造形動作を行うことで上面BMLusが水平面に平行な面となる側壁部材BMLを造形した後に、側壁部材BMLの一部を除去加工することで、上面BMLusが水平面に交差する面となる側壁部材BMLを造形してもよい。例えば、造形システムSYSは、側壁部材BMLの一部に造形光ELを照射することで、側壁部材BMLの一部を除去加工してもよい。
【0092】
部分傾斜部材RMLp#1及び部分支持部材RMSp#11を造形した後、造形システムSYSは、傾斜部材RMRの一部を造形する。この場合、
図19(a)及び
図19(b)に示すように、造形システムSYSは、傾斜部材RMRを造形する前に、ステージ31を基準位置から回転軸(例えば、X軸)周りの第2方向に回転させる。尚、
図19(a)は、支持部材BMSが造形されていない位置におけるベース部材BMの断面を示しており、
図19(b)は、支持部材BMSが造形されている位置におけるベース部材BMの断面を示している。その後、造形システムSYSは、
図19(a)に示すように、傾斜部材RMRの一部を造形するために、側壁部材BMRのうち傾斜部材RMRの一部が造形される領域に造形光ELを照射する。また、支持部材BMSが造形されている位置においては、造形システムSYSは、
図19(b)に示すように、傾斜部材RMRの一部と支持部材RMSの一部とを造形するために、側壁部材BMRのうち傾斜部材RMRが造形される領域及び支持部材BMSのうち支持部材RMSが造形される領域に造形光ELを照射する。
【0093】
その結果、
図20(a)に示すように、支持部材BMSが造形されていない位置(つまり、支持部材RMSを造形しなくてもよい位置)においては、側壁部材BMR上に、傾斜部材RMRの一部である部分傾斜部材RMRp#1が造形される。また、
図20(b)に示すように、支持部材BMSが造形されている位置(つまり、支持部材RMSを造形する位置)においては、側壁部材BMR上に部分傾斜部材RMRp#1が造形され、且つ、支持部材BMS上に、支持部材RMSの一部であって且つ部分傾斜部材RMRp#1に接続される部分支持部材RMSp#12が造形される。
【0094】
尚、部分傾斜部材RMRp#1を造形する動作は、部分傾斜部材RMLp#1を造形する動作と同様であってもよい。このため、上述した部分傾斜部材RMLp#1に関する説明は、「部分傾斜部材RMLp#1」という文言を「部分傾斜部材RMRp#1」という文言に置き換えることで、部分傾斜部材RMRp#1に関する説明に関する説明として流用可能である。このため、部分傾斜部材RMRp#1に関する説明は省略する。
【0095】
また、部分支持部材RMSp#12を造形する動作は、部分支持部材RMSp#11を造形する動作と同様であってもよい。このため、上述した部分支持部材RMSp#11に関する説明は、「部分支持部材RMSp#11」という文言を「部分支持部材RMSp#12」という文言に置き換えることで、部分支持部材RMSp#12に関する説明に関する説明として流用可能である。このため、部分支持部材RMSp#12に関する説明は省略する。
【0096】
部分傾斜部材RMRp#1及び部分支持部材RMSp#12を造形した後、造形システムSYSは、部分支持部材RMSp#11と部分支持部材RMSp#12との間に支持部材RMSの一部を造形する。この場合、
図21に示すように、造形システムSYSは、支持部材RMSを造形する前に、ステージ31を基準位置に戻すようにステージ31を回転軸(例えば、X軸)周りに回転させる。その後、造形システムSYSは、
図21に示すように、支持部材RMSの一部を造形するために、支持部材BMSのうち支持部材RMSが造形される領域に造形光ELを照射する。その結果、
図22に示すように、支持部材BMS上に、支持部材RMSのうちの一部である部分支持部材RMSp#13が造形される。つまり、支持部材BMS上に、部分支持部材RMSp#11と部分支持部材RMSp#12との間に位置する部分支持部材RMSp#13が造形される。部分支持部材RMSp#13は、典型的には、部分支持部材RMSp#11と部分支持部材RMSp#12とを接続する部材である。尚、部分支持部材RMSp#13の少なくとも一部は、部分支持部材RMSp#11及び#12の少なくとも一方の上に形成されていてもよい。この場合、造形システムSYSは、部分支持部材RMSp#13を造形するために、部分支持部材RMSp#11及び#12の少なくとも一部に造形光ELを照射してもよい。
【0097】
その後、造形システムSYSは、傾斜部材RMLの一部を部分傾斜部材RMLp#1の上に造形する。この場合、
図23(a)及び
図23(b)に示すように、造形システムSYSは、傾斜部材RMLの一部を造形する前に、ステージ31を基準位置から回転軸(例えば、X軸)周りの第1方向に回転させる。尚、
図23(a)は、支持部材BMSが造形されていない位置におけるベース部材BMの断面を示しており、
図23(b)は、支持部材BMSが造形されている位置におけるベース部材BMの断面を示している。その後、造形システムSYSは、
図23(a)に示すように、傾斜部材RMLの一部を造形するために、部分傾斜部材RMLp#1のうち傾斜部材RMLの一部が造形される領域に造形光ELを照射する。また、支持部材BMSが造形されている位置においては、造形システムSYSは、
図23(b)に示すように、支持部材RMSの一部を部分支持部材RMSp#11から#13の上に造形するために、部分支持部材RMSp#11から#13のうち支持部材RMSの一部が造形される領域にも造形光ELを照射する。
【0098】
その結果、
図24(a)に示すように、支持部材BMSが造形されていない位置(つまり、支持部材RMSを造形しなくてもよい位置)においては、部分傾斜部材RMLp#1上に、傾斜部材RMLの一部である部分傾斜部材RMLp#2が造形される。また、
図24(b)に示すように、支持部材BMSが造形されている位置(つまり、支持部材RMSを造形する位置)においては、部分支持部材RMSp#11から#13のうちの少なくとも一部の上に、支持部材RMSの一部であって且つ部分傾斜部材RMLp#2に接続される部分支持部材RMSp#21が造形される。
【0099】
尚、部分傾斜部材RMLp#2を造形する動作は、部分傾斜部材RMLp#1を造形する動作と同様であってもよい。このため、上述した部分傾斜部材RMLp#1に関する説明は、「部分傾斜部材RMLp#1」という文言を「部分傾斜部材RMLp#2」という文言に置き換えることで、部分傾斜部材RMLp#2に関する説明に関する説明として流用可能である。このため、部分傾斜部材RMLp#2に関する説明は省略する。尚、部分傾斜部材RMLp#2を造形する場合におけるステージ31の基準位置からの移動量(典型的には、回転角度)は、部分傾斜部材RMLp#1を造形する場合におけるステージ31の基準位置からの移動量(典型的には、回転角度)と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0100】
また、部分支持部材RMSp#21を造形する動作は、部分支持部材RMSp#11を造形する動作と同様であってもよい。このため、上述した部分支持部材RMSp#11に関する説明は、「部分支持部材RMSp#11」という文言を「部分支持部材RMSp#21」という文言に置き換えることで、部分支持部材RMSp#21に関する説明に関する説明として流用可能である。このため、部分支持部材RMSp#21に関する説明は省略する。
【0101】
部分傾斜部材RMLp#2及び部分支持部材RMSp#21を造形した後、造形システムSYSは、傾斜部材RMRの一部を造形する。この場合、
図25(a)及び
図25(b)に示すように、造形システムSYSは、傾斜部材RMRを造形する前に、ステージ31を基準位置から回転軸(例えば、X軸)周りの第2方向に回転させる。尚、
図25(a)は、支持部材BMSが造形されていない位置におけるベース部材BMの断面を示しており、
図25(b)は、支持部材BMSが造形されている位置におけるベース部材BMの断面を示している。その後、造形システムSYSは、
図25(a)に示すように、傾斜部材RMRの一部を造形するために、部分傾斜部材RMRp#1のうち傾斜部材RMRの一部が造形される領域に造形光ELを照射する。また、支持部材BMSが造形されている位置においては、造形システムSYSは、
図25(b)に示すように、支持部材RMSの一部を部分支持部材RMSp#11から#13の上に造形するために、部分支持部材RMSp#11から#13のうち支持部材RMSの一部が造形される領域にも造形光ELを照射する。
【0102】
その結果、
図26(a)に示すように、支持部材BMSが造形されていない位置(つまり、支持部材RMSを造形しなくてもよい位置)においては、部分傾斜部材RMRp#1上に、傾斜部材RMRの一部である部分傾斜部材RMRp#2が造形される。また、
図26(b)に示すように、支持部材BMSが造形されている位置(つまり、支持部材RMSを造形する位置)においては、部分支持部材RMSp#11から#13のうちの少なくとも一部の上に、支持部材RMSの一部であって且つ部分傾斜部材RMRp#2に接続される部分支持部材RMSp#22が造形される。
【0103】
尚、部分傾斜部材RMRp#2を造形する動作は、部分傾斜部材RMRp#1を造形する動作と同様であってもよい。このため、上述した部分傾斜部材RMRp#1に関する説明は、「部分傾斜部材RMRp#1」という文言を「部分傾斜部材RMRp#2」という文言に置き換えることで、部分傾斜部材RMRp#2に関する説明に関する説明として流用可能である。このため、部分傾斜部材RMRp#2に関する説明は省略する。尚、部分傾斜部材RMRp#2を造形する場合におけるステージ31の基準位置からの移動量(典型的には、回転角度)は、部分傾斜部材RMRp#1を造形する場合におけるステージ31の基準位置からの移動量(典型的には、回転角度)と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0104】
また、部分支持部材RMSp#22を造形する動作は、部分支持部材RMSp#12を造形する動作と同様であってもよい。このため、上述した部分支持部材RMSp#12に関する説明は、「部分支持部材RMSp#12」という文言を「部分支持部材RMSp#22」という文言に置き換えることで、部分支持部材RMSp#22に関する説明に関する説明として流用可能である。このため、部分支持部材RMSp#22に関する説明は省略する。
【0105】
部分傾斜部材RMRp#2及び部分支持部材RMSp#22を造形した後、造形システムSYSは、部分支持部材RMSp#21と部分支持部材RMSp#22との間に支持部材RMSの一部を造形する。この場合、
図27に示すように、造形システムSYSは、支持部材RMSを造形する前に、ステージ31を基準位置に戻すようにステージ31を回転軸(例えば、X軸)周りに回転させる。その後、造形システムSYSは、
図28に示すように、支持部材RMSの一部を造形するために、支持部材RMSが造形される領域に造形光ELを照射する。その結果、
図28に示すように、支持部材RMSのうちの一部である部分支持部材RMSp#23が造形される。つまり、部分支持部材RMSp#21と部分支持部材RMSp#22との間に位置する部分支持部材RMSp#23が造形される。部分支持部材RMSp#23は、典型的には、部分支持部材RMSp#21と部分支持部材RMSp#22とを接続する部材である。
【0106】
尚、部分支持部材RMSp#23を造形する動作は、部分支持部材RMSp#13を造形する動作と同様であってもよい。このため、上述した部分支持部材RMSp#13に関する説明は、「部分支持部材RMSp#13」という文言を「部分支持部材RMSp#23」という文言に置き換えることで、部分支持部材RMSp#23に関する説明に関する説明として流用可能である。このため、部分支持部材RMSp#23に関する説明は省略する。
【0107】
以上、同様の動作が、傾斜部材RML、傾斜部材RMR及び支持部材RMSの造形が完了するまで繰り返される。その結果、
図29(a)及び
図29(b)に示すように、傾斜部材RML、傾斜部材RMR及び支持部材RMSがベース部材BM上に造形される。尚、
図29(a)は、支持部材BMS及びRMSが造形されていない位置における傾斜部材RML及び傾斜部材RMRの断面を示しており、
図29(b)は、支持部材BMS及びRMSが造形されている位置における傾斜部材RML、傾斜部材RMR及び支持部材RMSの断面を示している。
【0108】
傾斜部材RML、傾斜部材RMR及び支持部材RMSの造形が完了した後、造形システムSYSは、上述した造形動作を行うことで、傾斜部材RMLと傾斜部材RMRとを接続する接続部材RMCを造形してもよい。この場合、造形システムSYSは、接続部材RMCを造形する前に、ステージ31を基準位置に戻すようにステージ31を回転軸(例えば、X軸)周りに回転させてもよい。但し、既にステージ31が基準位置に位置している場合には、造形システムSYSは、ステージ31を回転させなくてもよい。その後、造形システムSYSは、
図29(a)及び
図29(b)に示すように、接続部材RMCを造形するために、傾斜部材RMLの先端RMLtの少なくとも一部に造形光ELを順に照射する。その結果、傾斜部材RMLの先端RMLtの少なくとも一部に溶融池MPが形成される。更に、造形システムSYSは、傾斜部材RMRの先端RMRtの少なくとも一部に造形光ELを順に照射する。その結果、傾斜部材RMRの先端RMRtの少なくとも一部に溶融池MPが形成される。この際、傾斜部材RMLの先端RMLtの少なくとも一部と傾斜部材RMRの先端RMRtの少なくとも一部とにまたがる溶融池MPが形成されてもよい。或いは、傾斜部材RMLの先端RMLt及び傾斜部材RMRの先端RMRtのいずれかい一方の少なくとも一部に溶融池MPが形成された後に、傾斜部材RMLの先端RMLt及び傾斜部材RMRの先端RMRtのいずれか他方の少なくとも一部に溶融池MPが形成されてもよい。
【0109】
その結果、
図30(a)及び
図30(b)に示すように、傾斜部材RMLと傾斜部材RMRとを接続する接続部材RMCが、傾斜部材RML及びRMRの上に造形される。その結果、
図6から
図9に示す3次元構造物ST(例えば、タービンブレードBL)の造形が完了する。尚、
図30(a)は、支持部材BMS及びRMSが造形されていない位置における3次元構造物STの断面を示しており、
図30(b)は、支持部材BMS及びRMSが造形されている位置における3次元構造物STの断面を示している。
【0110】
なお、本例では、レーザ肉盛溶接法を用いているため、各部材は一体の部材(モノリシックな部材)となる。従って、各部材を各部分と称してもよい。
【0111】
(3)技術的効果
以上説明したように、本実施形態の造形システムSYSは、傾斜部材RML及びRMRと支持部材RMSとを含む屋根部材RMをベース部材BM上に造形する際に、傾斜部材RMLの一部である部分傾斜部材RMLp及び支持部材RMSの一部である第1の部分支持部材RMSpの造形と、傾斜部材RMRの一部である部分傾斜部材RMRp及び支持部材RMSの一部である第2の部分支持部材RMSpの造形と、支持部材RMSの一部であって且つ第1の部分支持部材RMSpと第2の部分支持部材RMSpとの間に位置する第3の部分支持部材RMSpの造形とを順に行う。このため、造形システムSYSは、造形光ELが造形済みの3次元構造物STの一部によって遮られるという技術的問題(
図14参照)が生ずる可能性を低減することができる。
【0112】
また、造形システムSYSは、傾斜部材RMLを造形する前に、ステージ31を基準位置から回転軸周りの第1方向に回転させ、その後、傾斜部材RMLの造形を開始する。このため、造形システムSYSは、傾斜部材RMLが延びる方向と重力方向とがなす角度θLが許容上限角度θmax以下になる状態において、傾斜部材RMLを造形することができる。つまり、造形システムSYSは、許容上限角度θmaxの制約に起因して傾斜部材RMLが造形できなくなるという技術的問題(
図12参照)が生ずる可能性を低減することができる。
【0113】
尚、上述した説明では、造形システムSYSは、部分傾斜部材RMLp及び第1の部分支持部材RMSpの造形と、部分傾斜部材RMRp及び第2の部分支持部材RMSpの造形と、第1の部分支持部材RMSpと第2の部分支持部材RMSpとの間に位置する第3の部分支持部材RMSpの造形とを順に行っている。しかしながら、造形システムSYSは、第1の部分支持部材RMSpと第2の部分支持部材RMSpとの間に位置する第3の部分支持部材RMSpの造形を行わなくてもよい。この場合、第3の部分支持部材RMSpの少なくとも一部は、第1の部分支持部材RMSp又は第2の部分支持部材RMSpの一部として造形されてもよい。或いは、造形システムSYSは、部分傾斜部材RMLp及びRMRpのいずれか一方並びに部分支持部材RMSpの造形と、部分傾斜部材RMLp及びRMRpのいずれか他方の造形とを順に行ってもよい。つまり、造形システムSYSは、部分傾斜部材RMLp及びRMRpのいずれか他方と共に部分支持部材RMSpを造形しなくてもよい。つまり、造形システムSYSは、支持部材RMSの全体を、傾斜部材RML及びRMRのいずれか一方と共に造形してもよい。
【0114】
また、上述した説明では、3次元構造物STは、支持部材RMSを備えている。しかしながら、3次元構造物STは、支持部材RMSを備えていなくてもよい。この場合、造形システムSYSは、部分傾斜部材RMLpの造形と、部分傾斜部材RMRpの造形とを順に行ってもよい。
【0115】
(4)変形例
続いて、造形システムSYSの変形例について説明する。
【0116】
(4-1)第1変形例
上述したように、造形システムSYSは、3次元構造物STを造形するために、所望のタイミングで目標照射領域EAに造形光ELを照射しながら造形面MSに対して目標照射領域EAをX軸方向及びY軸方向のいずれか一方に沿って移動させるスキャン動作と、目標照射領域EAに造形光ELを照射することなく造形面MSに対して目標照射領域EAをX軸方向及びY軸方向のいずれか他方に沿って移動させるステップ動作とを繰り返す。
【0117】
第2変形例では、造形システムSYSは、スキャン動作による目標照射領域EAの移動方向を変更してもよい。つまり、造形システムSYSは、スキャン動作による目標照射領域EAの移動方向を、第1の移動方向から、第1の移動方向とは異なる第2の移動方向に変更してもよい。
【0118】
第1の移動方向は、第2の移動方向とは逆方向であってもよい。一例として、スキャン動作によって目標照射領域EAがX軸方向に沿って移動する場合には、
図31に示すように、造形システムSYSは、所望のタイミングで、スキャン動作による目標照射領域EAの移動方向を、-X側から+X側に向かう第1の移動方向から、+X側から-X側に向かう第2の移動方向に変更してもよい。或いは、造形システムSYSは、所望のタイミングで、スキャン動作による目標照射領域EAの移動方向を、+X側から-X側に向かう第2の移動方向から、-X側から+X側に向かう第1の移動方向に変更してもよい。
【0119】
造形システムSYSは、第1期間中にスキャン動作によって目標照射領域EAが第1の移動方向に沿って移動し、且つ、第1期間とは異なる第2期間中にスキャン動作によって目標照射領域EAが第2の移動方向に沿って移動するように、スキャン動作による目標照射領域EAの移動方向を変更してもよい。
【0120】
第1期間は、第1の構造層SLを造形する期間を含んでおり、第2期間は、第1の構造層SLとは異なる第2の構造層SLを造形する期間を含んでいてもよい。この場合、造形システムSYSは、第1の構造層SLを造形する第1期間中に、スキャン動作によって目標照射領域EAが第1の移動方向に沿って移動し、且つ、第2の構造層SLを造形する第2期間中にスキャン動作によって目標照射領域EAが第2の移動方向に沿って移動するように、スキャン動作による目標照射領域EAの移動方向を変更してもよい。一具体例として、造形システムSYSは、第1から第N(但し、Nは2以上の整数)の構造層SLを造形するために、第i(但し、iは、1以上且つN以下の奇数)の構造層SLを造形する第1期間中に、スキャン動作によって目標照射領域EAが第1の移動方向に沿って移動し、且つ、第j(但し、jは、1以上且つN以下の偶数)の構造層SLを造形する第2期間中にスキャン動作によって目標照射領域EAが第2の移動方向に沿って移動するように、スキャン動作による目標照射領域EAの移動方向を変更してもよい。
【0121】
第1期間は、第1の部分傾斜部材RMLpを造形する期間を含んでおり、第2期間は、第1の部分傾斜部材RMLpとは異なる第2の部分傾斜部材RMLpを造形する期間を含んでいてもよい。この場合、造形システムSYSは、第1の部分傾斜部材RMLpを造形する第1期間中に、スキャン動作によって目標照射領域EAが第1の移動方向に沿って移動し、且つ、第2の部分傾斜部材RMLpを造形する第2期間中にスキャン動作によって目標照射領域EAが第2の移動方向に沿って移動するように、スキャン動作による目標照射領域EAの移動方向を変更してもよい。一具体例として、造形システムSYSは、第1から第M(但し、Mは2以上の整数)の部分傾斜部材RMLpを造形するために、第i(但し、iは、1以上且つM以下の奇数)の部分傾斜部材RMLpを造形する第1期間中に、スキャン動作によって目標照射領域EAが第1の移動方向に沿って移動し、且つ、第j(但し、jは、1以上且つM以下の偶数)の部分傾斜部材RMLpを造形する第2期間中にスキャン動作によって目標照射領域EAが第2の移動方向に沿って移動するように、スキャン動作による目標照射領域EAの移動方向を変更してもよい。
【0122】
第1期間は、第1の部分傾斜部材RMRpを造形する期間を含んでおり、第2期間は、第1の部分傾斜部材RMRpとは異なる第2の部分傾斜部材RMRpを造形する期間を含んでいてもよい。この場合、造形システムSYSは、第1の部分傾斜部材RMRpを造形する第1期間中に、スキャン動作によって目標照射領域EAが第1の移動方向に沿って移動し、且つ、第2の部分傾斜部材RMRpを造形する第2期間中にスキャン動作によって目標照射領域EAが第2の移動方向に沿って移動するように、スキャン動作による目標照射領域EAの移動方向を変更してもよい。一具体例として、造形システムSYSは、第1から第L(但し、Lは2以上の整数)の部分傾斜部材RMRpを造形するために、第i(但し、iは、1以上且つL以下の奇数)の部分傾斜部材RMRpを造形する第1期間中に、スキャン動作によって目標照射領域EAが第1の移動方向に沿って移動し、且つ、第j(但し、jは、1以上且つL以下の偶数)の部分傾斜部材RMRpを造形する第2期間中にスキャン動作によって目標照射領域EAが第2の移動方向に沿って移動するように、スキャン動作による目標照射領域EAの移動方向を変更してもよい。
【0123】
第1期間は、第1の部分支持部材RMSpを造形する期間を含んでおり、第2期間は、第1の部分傾支持部材RMSpとは異なる第2の部分支持部材RMSpを造形する期間を含んでいてもよい。この場合、造形システムSYSは、第1の部分支持部材RMSpを造形する第1期間中に、スキャン動作によって目標照射領域EAが第1の移動方向に沿って移動し、且つ、第2の部分支持部材RMSpを造形する第2期間中にスキャン動作によって目標照射領域EAが第2の移動方向に沿って移動するように、スキャン動作による目標照射領域EAの移動方向を変更してもよい。一具体例として、造形システムSYSは、第1から第O(但し、Oは2以上の整数)の部分支持部材RMSpを造形するために、第i(但し、iは、1以上且つO以下の奇数)の部分支持部材RMSpを造形する第1期間中に、スキャン動作によって目標照射領域EAが第1の移動方向に沿って移動し、且つ、第j(但し、jは、1以上且つO以下の偶数)の部分支持部材RMSpを造形する第2期間中にスキャン動作によって目標照射領域EAが第2の移動方向に沿って移動するように、スキャン動作による目標照射領域EAの移動方向を変更してもよい。
【0124】
このように目標照射領域EAの移動方向が変更可能である場合には、目標照射領域EAの移動方向が変更可能でない場合と比較して、支持部材RMSと傾斜部材RML及びRMRとの間に隙間ができる可能性が低くなる。つまり、屋根部材RMの造形精度が向上する。従って、第1変形例では、造形システムSYSは、上述した効果を供述しつつ、屋根部材RMの造形精度を向上させることができる。
【0125】
(4-2)第2変形例
上述した説明では、造形システムSYSは、第1物体の上方に第2物体を造形することで、第1物体の上方に造形された第2物体を含む3次元構造物STを造形している。第2変形例では、造形システムSYSは、第1物体の上方に第2物体を造形し且つ第2物体の周囲に第3物体を造形することで、第1物体の上方に造形された第2物体と第2物体の周囲に造形された第3物体とを含む3次元構造物STを造形してもよい。
【0126】
上述したように、造形システムSYSは、第1物体の一例であるベース部材BMと、ベース部材BMの上方に造形された第2物体の一例である屋根部材RMとを含む3次元構造物ST(例えば、タービンブレードBL)を造形している。第2変形例では、ベース部材BMと、屋根部材RMと、屋根部材RMの周囲に造形された第3物体の一例である外壁部材OMとを含む3次元構造物ST(例えば、タービンブレードBL)を造形してもよい。この外壁部材OAが造形された3次元構造物STでは、外壁部材OAと屋根部材RMとが一体の部材となっていてもよい。
【0127】
外壁部材OMを含む3次元構造物STの一例が
図32及び
図33に示されている。
図32は、外壁部材OMを含む3次元構造物STの、支持部材RMSが造形されていない位置における断面を示す断面図である。
図33は、外壁部材OMを含む3次元構造物STの、支持部材RMSが造形されている位置における断面を示す断面図である。
【0128】
図32及び
図33に示すように、外壁部材OMは、屋根部材RMの少なくとも一部を覆うように造形されてもよい。つまり、外壁部材OMは、屋根部材RMを構成し且つ外部に露出している傾斜部材RML、傾斜部材RMR及び接続部材RMCの少なくとも一部を覆うように造形されてもよい。
【0129】
外壁部材OMは、3次元構造物STの外形を所定形状にするための部材であってもよい。一例として、
図32及び
図33に示す例では、外壁部材OMは、3次元構造物STの上方の外形(つまり、3次元構造物STの上面の形状)を、水平形状(つまり、水平面)にするための部材である。
【0130】
外壁部材OMを造形する場合には、造形システムSYSは、傾斜部材RMLの一部である部分傾斜部材RMLpの造形と、傾斜部材RMRの一部である部分傾斜部材RMRpの造形と、外壁部材OMの一部である部分外壁部材の造形とを順に行ってもよい。つまり、造形システムSYSは、部分傾斜部材RMLpと、部分傾斜部材RMRpと、部分外壁部材とを交互に造形する動作を繰り返してもよい。この場合、上述したように、3次元構造物STを造形している期間中に、造形光ELが造形済みの3次元構造物STの一部によって遮られるという技術的問題(
図14参照)が生ずる可能性を低減することができる。
【0131】
但し、造形システムSYSは、傾斜部材RMLの一部の造形と、傾斜部材RMRの一部の造形と、外壁部材OMの一部の造形とを順に行うことなく、傾斜部材RML及びRMR並びに外壁部材OMを造形してもよい。例えば、造形システムSYSは、傾斜部材RML及びRMRの全体(或いは、大部分)を造形した後に外壁部材OMの造形を開始してもよい。
【0132】
(4-3)第3変形例
第3変形例では、造形システムSYSは、貫通孔HAが形成された屋根部材RMを含む3次元構造物ST(例えば、タービンブレードBL)を造形してもよい。
【0133】
貫通孔HAが形成された屋根部材RMを含む3次元構造物STの一例が、
図34に示されている。
図34に示すように、貫通孔HAは、傾斜部材RML及びRMRの少なくとも一方に形成されていてもよい。
図34に示す例では、貫通孔HAは、傾斜部材RMRに形成されている。貫通孔HAは、屋根部材RM(
図34に示す例では、傾斜部材RMR)を貫通する孔である。貫通孔HAは、屋根部材RMの外部の空間(つまり、3次元構造物STの外部の空間)と屋根部材RMの内部の空間RMspとを接続する孔であってもよい。
【0134】
第2変形例で説明した外壁部材OMが、貫通孔HAが形成された屋根部材RMの周囲に形成される場合には、
図35に示すように、外壁部材OMにも貫通孔HBが形成されていてもよい。貫通孔HBは、外壁部材OMを貫通する孔である。貫通孔HBは、貫通孔HAに接続されていてもよい。その結果、屋根部材RMの外部の空間(つまり、3次元構造物STの外部の空間)と屋根部材RMの内部の空間RMspとが、貫通孔HA及びHBを介して接続されていてもよい。
【0135】
貫通孔HBが形成された外壁部材OMが造形される場合には、造形システムSYSは、
図36に示すように、外壁部材OMを造形する前に、貫通孔HBが延びる方向が重力方向と揃うように、ステージ31を回転させてもよい。その後、造形システムSYSは、貫通孔HBが延びる方向が重力方向と揃う(例えば、平行になる)状態で、貫通孔HBが形成された外壁部材OM(特に、貫通孔HBを取り囲む外壁部材OMの一部)を造形してもよい。このように貫通孔HBが延びる方向が重力方向と揃う状態で外壁部材OMが造形される場合には、造形システムSYSは、貫通孔HBの断面(具体的には、貫通孔HBが延びる方向に交差する断面)の形状が所望形状となるように、外壁部材OMを造形することができる。
【0136】
貫通孔HAが形成された屋根部材RMが造形される場合においても、造形システムSYSは、貫通孔HAが延びる方向が重力方向と揃う(例えば、平行になる)状態で、貫通孔HAが形成された屋根部材RM(特に、貫通孔HAを取り囲む屋根部材RMの一部)を造形してもよい。但し、屋根部材RMが傾斜部材RML及びRMRを含むがゆえに、傾斜部材RMLが延びる方向と重力方向とがなす角度θL及び傾斜部材RMRが延びる方向と重力方向とがなす角度θRが許容上限角度θmax以下になることが望まれることは上述したとおりである。このため、傾斜部材RML及びRMRが延びる方向によっては、造形システムSYSは、貫通孔HAが延びる方向が重力方向と揃う状態で、貫通孔HAが形成された屋根部材RMを造形することができない可能性がある。この場合、造形システムSYSは、貫通孔HAが延びる方向が重力方向と揃わない(例えば、交差する)状態で、貫通孔HAが形成された屋根部材RMを造形してもよい。一方で、このように、貫通孔HAが延びる方向が重力方向と揃わない状態で屋根部材RMが造形される場合には、造形システムSYSは、貫通孔HAの断面(具体的には、貫通孔HAが延びる方向に交差する断面)の形状が所望形状となるように、屋根部材RMを造形することができない可能性がある。なぜならば、貫通孔HAに面する(つまり、貫通孔HAを形成する)屋根部材RMの面RMha(
図36参照)が重力方向に対して傾斜するがゆえに、当該面RMhaを造形するために形成される溶融池MPから溶融した金属等が重力によって垂れ下がり、結果として、貫通孔HAの形状が乱れてしまう可能性があるからである。
【0137】
このように屋根部材RMに形成される貫通孔HAの断面の形状が所望形状とならない場合であっても、造形システムSYSは、屋根部材RMを覆う外壁部材OMに形成される貫通孔HBの形状が所望形状となるように、外壁部材OMを造形することができる。具体的には、造形システムSYSは、貫通孔HAの断面形状(
図37(a)参照)とは異なる断面形状を有する貫通孔HB(
図37(b)参照)が形成された外壁部材OMを造形することができる。つまり、造形システムSYSは、屋根部材RMの表面(具体的には、屋根部材RMと外壁部材OMとの境界面)における貫通孔HAの断面形状と、外壁部材OMの表面(具体的には、外面)における貫通孔HBの断面形状とが異なるものとなるように、外壁部材OMを造形することができる。その結果、3次元構造物STを見る者にとって、3次元構造物STの外面に現れる貫通孔HBの形状に違和感を抱く可能性は低い。従って、造形システムSYSは、貫通孔HBの断面の形状が所望形状となるように外壁部材OMを造形することで、所望の外観を有する3次元構造物STを造形することができる。尚、
図37(a)に示す貫通孔HAの断面形状(例えば、多角形となる断面形状)は一例であり、例えば、
図37(c)に示す断面形状(例えば、一部の外形が円弧となる断面形状)を有する貫通孔HAが形成されてもよい。
【0138】
(4-4)第4変形例
第4変形例では、造形システムSYSは、ベース部材BMを造形した後であって且つ屋根部材RMを造形する前に、屋根部材RMが造形されるベース部材BMの表面を平坦化するための処理を行ってもよい。例えば、ベース部材BMの側壁部材BML上に傾斜部材RMLが形成されるため、造形システムSYSは、傾斜部材RMLを造形する前に、傾斜部材RMLが造形される側壁部材BMLの上面BMLus(
図38(a)及び
図38(b)参照)を平坦化するための処理を行ってもよい。例えば、ベース部材BMの側壁部材BMr上に傾斜部材RMRが形成されるため、造形システムSYSは、傾斜部材RMRを造形する前に、傾斜部材RMRが造形される側壁部材BMRの上面BMRus(
図38(a)及び
図38(b)参照)を平坦化するための処理を行ってもよい。例えば、ベース部材BMの支持部材BMS上に支持部材RMSが形成されるため、造形システムSYSは、支持部材RMSを造形する前に、支持部材RMSが造形される支持部材BMSの上面BMSus(
図38(b)参照)を平坦化するための処理を行ってもよい。
【0139】
造形システムSYSは、ベース部材BMの表面に対して造形光ELを照射することで、ベース部材BMの表面を平坦化するための処理を行ってもよい。例えば、
図38(a)及び
図38(b)に示すように、造形システムSYSは、側壁部材BMLの上面BMLusに対して造形光ELを照射することで、側壁部材BMLの上面BMLusを平坦化するための処理を行ってもよい。例えば、
図38(a)及び
図38(b)に示すように、造形システムSYSは、側壁部材BMRの上面BMRusに対して造形光ELを照射することで、側壁部材BMRの上面BMRusを平坦化するための処理を行ってもよい。例えば、
図38(b)に示すように、造形システムSYSは、支持部材BMSの上面BMSusに対して造形光ELを照射することで、支持部材BMSの上面BMSusを平坦化するための処理を行ってもよい。
【0140】
ベース部材BMの表面に対して造形光ELが照射されると、ベース部材BMの表面を構成する金属等が少なくとも部分的に溶融し、その後、固化する。その結果、ベース部材BMの表面に存在していた微小な凹凸が、ベース部材BMの表面の溶融及び固化に起因してなくなる可能性がある。或いは、ベース部材BMの表面に存在していた微小な凹凸の高さが、ベース部材BMの表面の溶融及び固化に起因して小さくなる可能性がある。このため、造形光ELが照射されたベース部材BMの表面は、造形光ELが照射される前のベース部材BMの表面と比較して、より平坦になっている。
【0141】
或いは、造形システムSYSは、ベース部材BMを造形した後にベース部材BMの表面を平坦化するための処理を行うことに加えて又は代えて、相対的に高い造形精度でベース部材BMを造形することでベース部材BMの表面を平坦化するための処理を行ってもよい。例えば、造形システムSYSは、ベース部材BMの表面に微小な凹凸が存在しなくなる状態を実現可能なほどに高い造形精度でベース部材BMを造形してもよい。例えば、造形システムSYSは、ベース部材BMの表面に存在する微小な凹凸の高さが上限値を超えなくなる状態を実現可能なほどに高い造形精度でベース部材BMを造形してもよい。
【0142】
一方で、ベース部材BMの造形精度が高くなると、ベース部材BMの造形に要する時間が増える。このため、3次元構造物STの造形に関するスループットが悪化する。そこで、造形システムSYSは、ベース部材BMのうち屋根部材RMが造形される面を含む第1部分BM1を、ベース部材BMのうち第1部分BM1とは異なる第2部分BM2を造形する場合の造形精度よりも高い造形精度で造形してもよい。言い換えれば、造形システムSYSは、ベース部材BMのうち屋根部材RMが造形される面を含まない第2部分BM2の造形精度を、ベース部材BMのうち屋根部材RMが造形される面を含む第1部分BM1の造形精度よりも低くしてもよい。その結果、造形システムSYSは、ベース部材BMの造形に要する時間の増大を抑制しつつ、ベース部材BMのうち屋根部材RMが造形される面を平坦にすることができる。尚、
図38(a)及び
図38(b)に示すように、ベース部材BMのうち屋根部材RMが造形される面を含む第1部分BM1は、典型的には、ベース部材BMのうち屋根部材RMが造形される面を含まない第2部分BM2の上に造形される部分である。
【0143】
このようにベース部材BMの表面を平坦にするための処理が行われる場合には、ベース部材BMの表面を平坦にするための処理が行われない場合と比較して、ベース部材BMの上に造形される屋根部材RMの実際の位置と、屋根部材RMの設計上の位置との間のずれが少なくなる。その結果、屋根部材RMを構成する傾斜部材RML及びRMRが、その上方において接続されやすくなる。なぜならば、上方において接続される傾斜部材RML及びRMRの位置ずれが相対的に少なくなるからである。
【0144】
(4-5)第5変形例
上述した説明では、屋根部材RMの下方の空間RMspが閉じられている3次元構造物STを造形するために、上方で接続される二つの傾斜部材RML及びRMRをそれぞれ側壁部材BML及びBMRの上に造形している。一方で、第5変形例では、屋根部材RMの下方の空間RMspが閉じられている3次元構造物STを造形するために、以下の方法を採用してもよい。
【0145】
具体的には、まず、
図39に示すように、造形システムSYSは、ベース部材BMの側壁部材BMLに造形光ELを照射することで、側壁部材BML上に造形物を造形する造形動作を行ってもよい。その結果、
図40に示すように、側壁部材BMLの上に、造形物が造形される。この造形物は、第5変形例における屋根部材RMの一部である屋根部材RM#1を構成する。尚、以下の説明では、第5変形例における屋根部材RMを、“屋根部材RM’”と称することで、傾斜部材RML及びRMRを含む上述した屋根部材RMと区別するものとする。
【0146】
屋根部材RM#1は、単一の構造層SLから構成される部材であってもよい。或いは、屋根部材RM#1は、複数の構造層SLから構成される部材であってもよい。
図40に示す例では、屋根部材RM#1は、複数の構造層SLから構成されている。
【0147】
屋根部材RM#1を造形する場合には、ステージ31は基準位置に位置していてもよい。つまり、屋根部材RM#1を造形する場合ステージ31の位置(典型的には、回転軸周りの回転角度)は、ベース部材BMを造形する場合のステージ31の位置と同一であってもよい。但し、屋根部材RM#1を造形する場合に、ステージ31は基準位置から回転軸(例えば、X軸)周りに回転していてもよい。
【0148】
その後、造形システムSYSは、屋根部材RM’のうちの造形済みの屋根部材RM#1以外の残りの屋根部材RM#2を造形する。具体的には、
図41に示すように、造形システムSYSは、ステージ31を基準位置から回転軸(例えば、X軸に沿った回転軸)周りに回転させる。つまり、造形システムSYSは、ステージ31を回転させることで、造形ヘッド21とステージ31との相対的な位置関係を、屋根部材RM#1を造形するための第1関係から、屋根部材RM#2を造形するための第2関係へと変更する。この場合、例えば、造形システムSYSは、側壁部材BMLから側壁部材BMRに向かう方向が重力方向に揃うように、ステージ31を回転させてもよい。例えば、造形システムSYSは、側壁部材BMLに造形された屋根部材RM#1から側壁部材BMRに向かう方向が重力方向に揃うように、ステージ31を回転させてもよい。例えば、造形システムSYSは、ステージ31を基準位置から回転軸(例えば、X軸に沿った回転軸)周りに90度だけ回転させてもよい。
【0149】
その後、
図41に示すように、造形システムSYSは、屋根部材RM#1に造形光ELを照射することで、屋根部材RM#1上に造形物を造形する造形動作を行う。その結果、
図42に示すように、屋根部材RM#1の上に、屋根部材RM#2に相当する造形物が造形される。この際、造形システムSYSは、屋根部材RM#2が側壁部材BMRに接続されるまで、屋根部材RM#1上に造形物を造形する造形動作を繰り返す。つまり、造形システムSYSは、屋根部材RM#2が屋根部材RM#1と側壁部材BMRとを接続するまで、屋根部材RM#1上に造形物を造形する造形動作を繰り返す。この際、造形システムSYSは、ステージ31の位置を変更してもよいし、変更しなくてもよい。つまり、造形システムSYSは、ステージ31を回転軸(例えば、X軸に沿った回転軸)周りに回転させてもよいし、回転させなくてもよい。
【0150】
図39及び
図41から分かるように、屋根部材RM#2を造形する場合の造形光ELの主軸と側壁部材BMLから側壁部材BMRに向かう方向に沿った軸(つまり、側壁部材BMLと側壁部材BMRとを結ぶ軸であり、
図41では、Z軸)とがなす角度は、屋根部材RM#1を造形する場合の造形光ELの主軸と側壁部材BMLから側壁部材BMRに向かう方向に沿った軸(
図39では、Y軸)とがなす角度よりも小さくなってもよい。つまり、造形システムSYSは、屋根部材RM#2を造形する場合の造形光ELの主軸と側壁部材BMLから側壁部材BMRに向かう方向に沿った軸とがなす角度が、屋根部材RM#1を造形する場合の造形光ELの主軸と側壁部材BMLから側壁部材BMRに向かう方向に沿った軸とがなす角度よりも小さくなるように、ステージ31を回転させてもよい。
【0151】
その結果、
図42に示すように、側壁部材BML上に造形された屋根部材RM#1と側壁部材BMRとを接続する屋根部材RM#2が造形される。つまり、側壁部材BMLと側壁部材BMRとを接続する屋根部材RM’が造形される。このように屋根部材RM’が形成される場合においても、屋根部材RM’の下方の空間RMspが屋根部材RM’によって閉じられる。従って、造形システムSYSは、第5変形例で説明した方法を用いて、屋根部材RM’の下方の空間RMspが閉じられている3次元構造物STを造形することができる。
【0152】
尚、
図42に示す例では、造形システムSYSは、重力方向に沿って延びる屋根部材RM#2を造形している。但し、造形システムSYSは、少なくとも一部が重力方向に対して傾斜する方向に沿って延びる屋根部材RM#2を造形してもよい。この場合、造形システムSYSは、造形システムSYSは、屋根部材RM#2が延びる方向と重力方向とがなす角度が許容上限角度θmax以下になる状態において、屋根部材RM#2を造形してもよい。造形システムSYSは、屋根部材RM#2が延びる方向と重力方向とがなす角度が許容上限角度θmax以下になるようにステージ31を回転軸周りに回転させた後に、屋根部材RM#2を造形してもよい。
【0153】
(4-6)第6変形例
上述したように、本実施形態では、造形システムSYSは、ステージ31を回転軸(例えば、水平方向に相当するX軸に沿った回転軸)周りに回転させることができる。この場合、造形システムSYSは、3次元構造物STの一例を示す
図43に示すように、異なる方向に延びる少なくとも二つの配管PPを含むパイプPを造形してもよい。
図43に示す例では、パイプPは、Y軸方向に沿って直線状に延びる配管PP#1と、X軸方向に沿って直線状に延びる配管PP#2と、Y軸方向に沿って直線状に延びる配管PP#3と、XY軸方向に沿って直線状に延びる配管PP#4とを含む。この場合、造形システムSYSは、例えば、各配管PPが延びる方向と重力方向とが揃う(或いは、各配管PPが延びる方向と重力方向とがなす角度が許容上限角度θmax以下になる)ようにステージ31を回転させ、その後、各配管PPを造形してもよい。
【0154】
異なる方向に沿って延びる二つの配管PPは、異なる方向に沿って延びる二つの配管PPを接続するための湾曲した配管PCによって接続されていてもよい。
図43に示す例では、配管PP#1と配管PP#2とが配管PC#1によって接続されており、配管PP#2と配管PP#3とが配管PC#2によって接続されており、配管PP#3と配管PP#4とが配管PC#3によって接続されている。
【0155】
湾曲した配管PCを造形するために、造形システムSYSは、それぞれが配管PCを構成する複数の部分配管PCpを順に造形してもよい。例えば、
図44に示すように、造形システムSYSは、扇形の形状を有する配管PCを、更に小さな扇形の形状を有する複数の部分配管PCpに細分化し、複数の部分配管PCpを順に造形してもよい。
【0156】
各部分配管PCpを造形するために、造形システムSYSは、複数の構造層SLを順に造形する上述した造形動作を行ってもよい。例えば、
図45に示すように、造形システムSYSは、複数の構造層SLのXY平面に沿ったサイズ(
図45に示す例では、Y軸に沿ったサイズ)が徐々に小さくなるように、複数の構造層SLを造形面MS上に造形することで、複数の構造層SLから構成される部分配管PCpを造形してもよい。その後、
図46に示すように、造形システムSYSは、造形した部分配管PCpの表面に新たな造形面MSを設定し、造形した部分配管PCpの上に新たな部分配管PCpを造形してもよい。この際、造形システムSYSは、新たな造形面MSが水平面となるように、ステージ31を回転させてもよい。
【0157】
或いは、各部分配管PCpを造形するために、例えば、
図47に示すように、造形システムSYSは、複数の構造層SLのXY平面に沿ったサイズ(
図47に示す例では、Y軸に沿ったサイズ)が徐々に大きくなった後に徐々に小さくなるように、複数の構造層SLを造形面MS上に造形することで、複数の構造層SLから構成される部分配管PCpを造形してもよい。この場合、部分配管PCpが形成する扇形状の中心線CL(例えば、内側の円弧の中点と外側の円弧の中点とを結ぶ線)が水平となるように、ステージ31を回転させてもよい。その後、
図48に示すように、造形システムSYSは、造形した部分配管PCpの表面に新たな造形面MSを設定し、造形した部分配管PCpの上に新たな部分配管PCpを造形してもよい。この場合、
図46から
図47に示す方法で配管PCを造形する場合と比較して、造形システムSYSは、配管PCを精度よく造形することができる。
【0158】
(4-7)その他の変形例
上述した説明では、造形システムSYSは、造形光ELをワークWに照射することでワークWを加工している。しかしながら、造形システムSYSは、任意のエネルギビームをワークWに照射することで、ワークWを加工してもよい。この場合、造形システムSYSは、光源5及び照射光学系211に加えて又は代えて、任意のエネルギビームを照射可能なビーム照射装置を備えていてもよい。任意のエネルギビームの一例として、荷電粒子ビーム及び電磁波等の少なくとも一方があげられる。荷電粒子ビームの一例として、電子ビーム及びイオンビーム等の少なくとも一方があげられる。
【0159】
(5)付記
以上説明した実施形態に関して、更に以下の付記を開示する。
[付記1]
エネルギビームを射出するエネルギビーム照射部と、前記エネルギビームが照射された部位に造形材料を供給する材料供給部とを備える造形装置と、
前記造形装置を制御して造形物を造形する制御装置と
を備え、
第1物体の上方に第2物体を造形し、
前記第2物体は、前記第1物体に接続する第1傾斜部と、前記第1物体に接続する第2傾斜部と、前記第1傾斜部の先端及び前記第2傾斜部の先端に接続する接続部とを含み、
前記第1傾斜部の一部の造形と前記第2傾斜部の一部の造形とを順に行うことで、前記第1傾斜部と前記第2傾斜部とを造形し、
前記第1傾斜部と前記2傾斜部との下方の空間は、前記第1物体に面しており、
前記空間の上方は前記接続部によって閉じられる
造形システム。
[付記2]
前記第1傾斜部の先端と前記第2傾斜部の先端に溶融部を形成し、前記溶融部に前記造形材料を供給することにより前記接続部を造形する
付記2に記載の造形システム。
[付記3]
前記第2物体の周囲に第3物体を造形し、
前記第1傾斜部の一部の造形と、前記第2傾斜部の一部の造形と、前記第3物体の一部の造形とを順に行うことで、前記第2物体と前記第3物体とを造形する
付記1又は2に記載の造形システム。
[付記4]
前記第3物体は、前記第2物体の表面の少なくとも一部を覆うことで、前記第2物体を含む構造物の外形を所定形状にするための外壁部材を含む
付記3に記載の造形システム。
[付記5]
前記構造物の上方の外形は、水平形状となる
付記4に記載の造形システム。
[付記6]
前記第2物体は、前記第1傾斜部に接続する第1支持部と、前記第2傾斜部に接続する第2支持部とを含み、
前記第1傾斜部の一部及び前記第1支持部の一部の造形と、前記第2傾斜部の一部及び前記第2支持部の一部の造形と、前記第1支持部及び前記第2支持部の間の第3支持部の一部の造形とを順に行うことで、前記第2物体を造形する
付記1から5のいずれかに記載の造形システム。
[付記7]
前記第1傾斜部は第1方向に延び、
前記第2傾斜部は前記第1方向と交わる第2方向に延び、
前記第1方向及び前記第2方向は、重力方向と交差する方向である
付記1から6のいずれかに記載の造形システム。
[付記8]
前記第1傾斜部は第1方向に延び、
前記第2傾斜部は前記第1方向と交差する第2方向に延び、
前記第1方向及び前記第2方向は、前記エネルギビームの主軸と交差する方向である
付記1から7のいずれかに記載の造形システム。
[付記9]
前記造形装置によって造形される前記第2物体を含む構造物を支持する支持装置を更に備え、
前記第1傾斜部は第1方向に延び、
前記第2傾斜部は前記第1方向と交差する第2方向に延び、
前記第1方向及び前記第2方向は、前記支持装置の上面に対して交差する方向である
付記1から8のいずれかに記載の造形システム。
[付記10]
前記第2物体を含む構造物は、タービンブレードである
付記1から9のいずれかに記載の造形システム。
[付記11]
エネルギビームを射出するエネルギビーム照射部と、前記エネルギビームが照射された部位に造形材料を供給する材料供給部を備える造形装置により造形物を造形する造形方法であって、
第1物体の上方に第2物体を造形するために、前記第1物体に接続する第1傾斜部の一部の造形と前記第1物体に接続する第2傾斜部の一部の造形とを順に行うことと、
前記第1傾斜部の先端と前記第2傾斜部の先端とに接続する接続部を造形することと
を含み、
前記第1傾斜部と前記2傾斜部との下方の空間は前記第1物体に面しており、
前記空間の上方は前記接続部によって閉じられる
造形方法。
[付記12]
エネルギビームを射出するエネルギビーム照射部と、前記エネルギビームが照射された部位に造形材料を供給する材料供給部とを備える造形装置によって造形されるタービンブレードであって、
第1物体に接続する第1傾斜部と、
前記第1物体に接続する第2傾斜部と、
前記第1傾斜部の先端と前記第2傾斜部の先端とに接続する接続部と、
前記第1傾斜部、前記第2傾斜部及び前記接続部の一部を覆うことで外形を所定形状にするための外壁部材を備え、
前記第1傾斜部と前記2傾斜部の下方の空間は前記第1物体に面しており、
前記空間の上方は前記接続部によって閉じられている
タービンブレード。
[付記13]
エネルギビームを射出するエネルギビーム照射部と、前記エネルギビームが照射された部位に造形材料を供給する材料供給部とを備える造形装置と、
前記造形装置を制御して造形物を造形する制御装置と
を備え、
第1物体の上方に第2物体を造形し、
前記第2物体は、前記第1物体に接続する第1傾斜部と、前記第1物体に接続する第2傾斜部とを含み、
前記制御装置は、前記第1傾斜部の一部の造形と前記第2傾斜部の一部の造形とを順に行うことで前記第1傾斜部と前記第2傾斜部とを造形するように前記造形装置を制御し、
前記第1傾斜部と前記2傾斜部の下方の空間は前記第1物体に面しており、前記空間の上方は閉じられる
造形システム。
[付記14]
エネルギビームを射出するエネルギビーム照射部と、前記エネルギビームが照射された部位に造形材料を供給する材料供給部とを備える造形装置により造形物を造形する造形方法であって、
第1物体の上方に第2物体を造形することを含み、
前記第2物体を造形することは、前記第1物体に接続する第1傾斜部の一部の造形と、前記第1物体に接続する第2傾斜部の一部の造形とを順に行うことを含み、
前記第1傾斜部と前記2傾斜部の下方の第2空間は前記第1物体に面しており、前記第2空間の上方は閉じられる
造形方法。
[付記15]
エネルギビームを射出するエネルギビーム照射部と、前記エネルギビームが照射された部位に造形材料を供給する材料供給部とを備える造形装置によって造形されるタービンブレードであって、
第1物体に接続する第1傾斜部と、
前記第1物体に接続する第2傾斜部と、
前記第1傾斜部及び前記第2傾斜部の一部を覆うことで外形を所定形状にするための外壁部材と
を備え、
前記第1傾斜部と前記2傾斜部の下方の空間は、前記第1物体に面しており、
前記空間の上方は閉じられている
タービンブレード。
[付記16]
エネルギビームを射出するエネルギビーム照射部と、前記エネルギビームが照射された部位に造形材料を供給する材料供給部を備える造形装置により造形物を造形する造形方法であって、
第1空間を有する第1物体の上方に第2物体を造形するために、前記第1物体に接続する第1傾斜部の一部の造形と前記第1物体に接続する第2傾斜部の一部の造形とを順に行うことと、
前記第1傾斜部の先端と前記第2傾斜部の先端とに接続する接続部を造形することと
を含み、
前記第1傾斜部と前記2傾斜部との下方の第2空間は前記第1空間に繋がり、
前記第2空間の上方は前記接続部によって閉じられる
造形方法。
[付記17]
エネルギビームを射出するエネルギビーム照射部と、前記エネルギビームが照射された部位に造形材料を供給する材料供給部とを備える造形装置によって造形されるタービンブレードであって、
第1空間を有する第1物体に接続する第1傾斜部と、
前記第1物体に接続する第2傾斜部と、
前記第1傾斜部の先端と前記第2傾斜部の先端とに接続する接続部と、
前記第1傾斜部、前記第2傾斜部及び前記接続部の一部を覆うことで外形を所定形状にするための外壁部材を備え、
前記第1傾斜部と前記2傾斜部の下方の第2空間は前記第1空間に繋がり、
前記第2空間の上方は前記接続部によって閉じられている
タービンブレード。
[付記18]
エネルギビームを射出するエネルギビーム照射部と、前記エネルギビームが照射された部位に造形材料を供給する材料供給部とを備える造形装置と、
前記造形装置を制御して造形物を造形する制御装置と
を備え、
第1空間を有する第1物体の上方に第2物体を造形し、
前記第2物体は、前記第1物体に接続する第1傾斜部と、前記第1物体に接続する第2傾斜部とを含み、
前記制御装置は、前記第1傾斜部の一部の造形と前記第2傾斜部の一部の造形とを順に行うことで前記第1傾斜部と前記第2傾斜部とを造形するように前記造形装置を制御し、
前記第1傾斜部と前記2傾斜部の下方の第2空間は前記第1空間に繋がり、前記第2空間の上方は閉じられる
造形システム。
[付記19]
エネルギビームを射出するエネルギビーム照射部と、前記エネルギビームが照射された部位に造形材料を供給する材料供給部とを備える造形装置により造形物を造形する造形方法であって、
第1空間を有する第1物体の上方に第2物体を造形することを含み、
前記第2物体を造形することは、前記第1物体に接続する第1傾斜部の一部の造形と、前記第1物体に接続する第2傾斜部の一部の造形とを順に行うことを含み、
前記第1傾斜部と前記2傾斜部の下方の第2空間は前記第1空間に繋がり、前記第2空間の上方は閉じられる
造形方法。
[付記20]
エネルギビームを射出するエネルギビーム照射部と、前記エネルギビームが照射された部位に造形材料を供給する材料供給部とを備える造形装置によって造形されるタービンブレードであって、
第1空間を有する第1物体に接続する第1傾斜部と、
前記第1物体に接続する第2傾斜部と、
前記第1傾斜部及び前記第2傾斜部の一部を覆うことで外形を所定形状にするための外壁部材と
を備え、
前記第1傾斜部と前記2傾斜部の下方の第2空間は、前記第1空間に繋がり、
前記第2空間の上方は閉じられている
タービンブレード。
【0160】
上述の各実施形態の構成要件の少なくとも一部は、上述の各実施形態の構成要件の少なくとも他の一部と適宜組み合わせることができる。上述の各実施形態の構成要件のうちの一部が用いられなくてもよい。また、法令で許容される限りにおいて、上述の各実施形態で引用した全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。
【0161】
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う造形システムもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0162】
2 造形装置
21 造形ヘッド
22 ヘッド駆動系
3 ステージ装置
31、31θX、31θZ ステージ
32 ステージ駆動系
7 制御装置
W ワーク
EL 造形光
ST 3次元構造物
BL タービンブレード
BM ベース部材
BML、BMR 側壁部材
BMS 支持部材
RM 屋根部材
RML、RMR 傾斜部材
RMS 支持部材
RMC 接続部材