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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】エポキシ樹脂組成物、及び電子部品装置
(51)【国際特許分類】
   C08L 63/00 20060101AFI20241016BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20241016BHJP
   C08K 5/5425 20060101ALI20241016BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20241016BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20241016BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
C08L63/00 C
C08K3/22
C08K5/5425
C08K3/36
H01L23/30 R
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023048622
(22)【出願日】2023-03-24
(62)【分割の表示】P 2020506510の分割
【原出願日】2019-03-11
(65)【公開番号】P2023076548
(43)【公開日】2023-06-01
【審査請求日】2023-03-24
(31)【優先権主張番号】P 2018049153
(32)【優先日】2018-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】姜 東哲
(72)【発明者】
【氏名】山浦 格
(72)【発明者】
【氏名】石橋 健太
(72)【発明者】
【氏名】児玉 拓也
(72)【発明者】
【氏名】堀 慧地
(72)【発明者】
【氏名】田中 実佳
【審査官】佐藤 貴浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-165892(JP,A)
【文献】特開2013-023661(JP,A)
【文献】特開2005-200533(JP,A)
【文献】特開2008-297530(JP,A)
【文献】特開2017-057268(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00- 13/08
H01L23/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ樹脂、
トリフェニルメタン型フェノール樹脂を含む硬化剤、
アルミナ粒子、及び、
エポキシ基と反応する官能基を有さない一方で、エポキシ基と反応しない官能基を有し、前記エポキシ基と反応しない官能基がケイ素原子に結合しているか、炭素数1~5の鎖状炭化水素基を介してケイ素原子に結合している構造を有するシラン化合物
を含有し、
前記アルミナ粒子の含有率が、エポキシ樹脂組成物の全量に対して50体積%以上であり、
前記エポキシ基と反応しない官能基が(メタ)アクリロイルオキシ基を含み、
EMMI-1-66に準拠したスパイラルフロー測定用金型を用いて、エポキシ樹脂組成物を、プランジャー底部圧力換算値の油圧70kgf/cm で注入し、175℃、120secの条件で成形したときの成形物の長さとして測定される流動距離が、191cm以上であり、
低圧トランスファー成形法、インジェクション成形法、又は圧縮成形法により電子部品装置の素子を封止するための、25℃、大気圧下で固体の組成物である、エポキシ樹脂組成物。
【請求項2】
前記シラン化合物の含有率が、前記エポキシ樹脂の総量に対して0.01質量%~20質量%である、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項3】
前記シラン化合物が、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを含む、請求項1又は請求項2に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項4】
さらにシリカ粒子を含有する、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項5】
さらに硬化促進剤を含有する、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項6】
前記エポキシ樹脂組成物を、175℃、120sec、圧力7MPaの条件下で成形して、1mm厚み、10mm四方に加工した試験片において、25℃でキセノンフラッシュ法により算出される測定される熱伝導率が、4.0W/(m/k)以上である、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1~請求項のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物によって封止された素子を備える電子部品装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エポキシ樹脂組成物、及び電子部品装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、トランジスタ、IC等の素子がエポキシ樹脂等の樹脂で封止されたパッケージ(電子部品装置)が電子機器に広く用いられている。
【0003】
近年、電子部品装置の小型化及び高密度化に伴って発熱量が増大する傾向にあり、いかに熱を放散させるかが重要な課題となっている。そこで、封止材に熱伝導率の高い無機充填材を混合して熱伝導性を高めることが行われている。
【0004】
封止材に無機充填材を混合する場合、その量が増加するに従って封止材の粘度が上昇し、流動性が低下して、充填不良、ワイヤ流れ等の問題を生じるおそれがある。そこで、特定のリン化合物を硬化促進剤として用いることで、封止材の流動性を高める方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平9-157497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、電子部品装置の小型化及び高密度化のいっそうの進展に伴い、より高いレベルで熱伝導性を維持しつつ、粘度の上昇が抑えられる封止材として使用可能な樹脂組成物の提供が望まれている。また、樹脂組成物の粘度の上昇を抑えつつも、成形するときの硬化性を損なわないことも要求される。
かかる状況に鑑み、本開示は、熱伝導性に優れつつ、低粘度であり、かつ良好な硬化性が維持されているエポキシ樹脂組成物、及びこれを用いて封止された素子を備える電子部品装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための手段には以下の態様が含まれる。
<1> エポキシ樹脂、硬化剤、アルミナ粒子、及び、エポキシ基と反応する官能基を有さない一方で、エポキシ基と反応しない官能基を有し、前記エポキシ基と反応しない官能基がケイ素原子に結合しているか、炭素数1~5の鎖状炭化水素基を介してケイ素原子に結合している構造を有するシラン化合物を含有する、エポキシ樹脂組成物。
<2> 前記シラン化合物の含有率が、前記エポキシ樹脂の総量に対して0.01質量%~20質量%である、<1>に記載のエポキシ樹脂組成物。
<3> 前記エポキシ基と反応しない官能基が、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、及びビニル基からなる群より選択される少なくとも1つである、<1>又は<2>に記載のエポキシ樹脂組成物。
<4> 前記シラン化合物が、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを含む、<1>~<3>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
<5> 前記アルミナ粒子の含有率が50体積%以上である、<1>~<4>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
<6> さらにシリカ粒子を含有する、<1>~<5>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
<7> <1>~<6>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物によって封止された素子を備える電子部品装置。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、熱伝導性に優れつつ、低粘度であり、かつ良好な硬化性が維持されているエポキシ樹脂組成物、及びこれを用いて封止された素子を備える電子部品装置が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本開示において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、各成分の含有率又は含有量は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
本開示において各成分に該当する粒子は複数種含まれていてもよい。組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、各成分の粒子径は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本開示において、(メタ)アクリロイル基とはアクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方を意味し、(メタ)アクリロイルオキシ基((メタ)アクリロキシ基ともいう)とはアクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基の少なくとも一方を意味する。
【0010】
<エポキシ樹脂組成物>
本開示のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂、硬化剤、アルミナ粒子、及び、エポキシ基と反応する官能基を有さない一方で、エポキシ基と反応しない官能基を有し、前記エポキシ基と反応しない官能基がケイ素原子に結合しているか、炭素数1~5の鎖状炭化水素基を介してケイ素原子に結合している構造を有するシラン化合物を含有する。本開示において、「エポキシ基と反応する官能基を有さない一方で、エポキシ基と反応しない官能基を有し、前記エポキシ基と反応しない官能基がケイ素原子に結合しているか、炭素数1~5の鎖状炭化水素基を介してケイ素原子に結合している構造を有するシラン化合物」を「特定シラン化合物」ともいう。エポキシ樹脂組成物は必要に応じてその他の成分を含有してもよい。
【0011】
上記構成により、熱伝導性に優れつつ、粘度の上昇が抑制され、かつ良好な硬化性が維持されているエポキシ樹脂組成物を得ることができる。本開示のエポキシ樹脂組成物が上記効果を奏する詳細な理由は必ずしも明らかではないが、以下のように推測される。
一般的に、エポキシ樹脂組成物においてカップリング剤としてシラン化合物を用いる場合、エポキシ樹脂と反応性を有する官能基を有するシラン化合物が用いられることが多い。これは、シラン化合物のシラノール基と無機充填材との化学結合、及びシラン化合物の当該官能基とエポキシ樹脂との化学結合によって、エポキシ樹脂中での無機充填材の分散性を高め、組成物の流動性を高めることを主な目的としている。
一方、本開示のエポキシ樹脂組成物における特定シラン化合物は、エポキシ基と反応しない官能基を有し、エポキシ基と反応する官能基を有さないため、エポキシ樹脂と結合せずにアルミナ粒子の表面に存在していると考えられる。アルミナ粒子は、その表面状態の性質上、一般的に樹脂組成物の流動性を低下させやすい。しかし、特定シラン化合物がアルミナ粒子の表面に存在すると、当該特定シラン化合物が潤滑剤として機能することで、アルミナ粒子の樹脂に対する相溶性が向上すると考えられる。これにより、アルミナ粒子同士の摩擦抵抗が低減され、溶融粘度が低下すると推測される。さらに、エポキシ樹脂組成物の粘度の上昇が抑えられることから、アルミナ粒子の配合量を増やすことが可能となり、より熱伝導率を向上させることが可能になると考えられる。
一方、一般的に、硬化に寄与しない成分が増えると硬化性が低下するおそれがあるが、特定シラン化合物を用いると、エポキシ樹脂組成物の硬化性を大きく低下させることがない。この理由は明らかではないが、特定シラン化合物は、エポキシ基と反応しない官能基がケイ素原子に結合しているか、炭素数5以下の鎖長の炭化水素基を介してケイ素原子に結合する構造をとっていることから、ケイ素と官能基の距離が比較的短く、エポキシ樹脂組成物の硬化反応を妨げにくいためであると推測される。
【0012】
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂を含有する。エポキシ樹脂は、分子中にエポキシ基を有するものであればその種類は特に制限されない。
エポキシ樹脂として具体的には、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール化合物及びα-ナフトール、β-ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のフェノール性化合物と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド等の脂肪族アルデヒド化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したものであるノボラック型エポキシ樹脂(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等);上記フェノール性化合物と、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等の芳香族アルデヒド化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるトリフェニルメタン型フェノール樹脂をエポキシ化したものであるトリフェニルメタン型エポキシ樹脂;上記フェノール化合物及びナフトール化合物と、アルデヒド化合物とを酸性触媒下で共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したものである共重合型エポキシ樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールF等のジグリシジルエーテルであるジフェニルメタン型エポキシ樹脂;アルキル置換又は非置換のビフェノールのジグリシジルエーテルであるビフェニル型エポキシ樹脂;スチルベン系フェノール化合物のジグリシジルエーテルであるスチルベン型エポキシ樹脂;ビスフェノールS等のジグリシジルエーテルである硫黄原子含有エポキシ樹脂;ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のアルコール類のグリシジルエーテルであるエポキシ樹脂;フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸等の多価カルボン酸化合物のグリシジルエステルであるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;アニリン、ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等の窒素原子に結合した活性水素をグリシジル基で置換したものであるグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエンとフェノール化合物の共縮合樹脂をエポキシ化したものであるジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;分子内のオレフィン結合をエポキシ化したものであるビニルシクロヘキセンジエポキシド、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2-(3,4-エポキシ)シクロヘキシル-5,5-スピロ(3,4-エポキシ)シクロヘキサン-m-ジオキサン等の脂環型エポキシ樹脂;パラキシリレン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるパラキシリレン変性エポキシ樹脂;メタキシリレン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるメタキシリレン変性エポキシ樹脂;テルペン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるテルペン変性エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるジシクロペンタジエン変性エポキシ樹脂;シクロペンタジエン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるシクロペンタジエン変性エポキシ樹脂;多環芳香環変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルである多環芳香環変性エポキシ樹脂;ナフタレン環含有フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるナフタレン型エポキシ樹脂;ハロゲン化フェノールノボラック型エポキシ樹脂;ハイドロキノン型エポキシ樹脂;トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂;オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂;フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂をエポキシ化したものであるアラルキル型エポキシ樹脂;などが挙げられる。さらにはシリコーン樹脂のエポキシ化物、アクリル樹脂のエポキシ化物等もエポキシ樹脂として挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0013】
エポキシ樹脂のエポキシ当量(分子量/エポキシ基数)は、特に制限されない。成形性、耐リフロー性及び電気的信頼性等の各種特性バランスの観点からは、100g/eq~1000g/eqであることが好ましく、150g/eq~500g/eqであることがより好ましい。
【0014】
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、JIS K 7236:2009に準じた方法で測定される値とする。
【0015】
エポキシ樹脂が固体である場合、エポキシ樹脂の軟化点又は融点は特に制限されない。成形性と耐リフロー性の観点からは40℃~180℃であることが好ましく、エポキシ樹脂組成物の調製の際の取扱い性の観点からは50℃~130℃であることがより好ましい。
【0016】
エポキシ樹脂の融点は示差走査熱量測定(DSC)で測定される値とし、エポキシ樹脂の軟化点はJIS K 7234:1986に準じた方法(環球法)で測定される値とする。
【0017】
エポキシ樹脂組成物中のエポキシ樹脂の含有率は、強度、流動性、耐熱性、成形性等の観点から0.5質量%~50質量%であることが好ましく、2質量%~30質量%であることがより好ましく、2質量%~20質量%であることがさらに好ましい。
【0018】
(硬化剤)
エポキシ樹脂組成物は、硬化剤を含有する。硬化剤の種類は特に制限されず、樹脂の種類、エポキシ樹脂組成物の所望の特性等に応じて選択できる。
硬化剤としては、フェノール硬化剤、アミン硬化剤、酸無水物硬化剤、ポリメルカプタン硬化剤、ポリアミノアミド硬化剤、イソシアネート硬化剤、ブロックイソシアネート硬化剤等が挙げられる。耐熱性向上の観点からは、硬化剤は、フェノール性水酸基を分子中に有するもの(フェノール硬化剤)が好ましい。
【0019】
フェノール硬化剤として具体的には、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、置換又は非置換のビフェノール等の多価フェノール化合物;フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール化合物及びα-ナフトール、β-ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種のフェノール性化合物と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック型フェノール樹脂;上記フェノール性化合物と、ジメトキシパラキシレン、ビス(メトキシメチル)ビフェニル等とから合成されるフェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂;パラキシリレン及び/又はメタキシリレン変性フェノール樹脂;メラミン変性フェノール樹脂;テルペン変性フェノール樹脂;上記フェノール性化合物と、ジシクロペンタジエンとから共重合により合成されるジシクロペンタジエン型フェノール樹脂及びジシクロペンタジエン型ナフトール樹脂;シクロペンタジエン変性フェノール樹脂;多環芳香環変性フェノール樹脂;ビフェニル型フェノール樹脂;上記フェノール性化合物と、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等の芳香族アルデヒド化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるトリフェニルメタン型フェノール樹脂;これら2種以上を共重合して得たフェノール樹脂などが挙げられる。これらのフェノール硬化剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0020】
なかでも、難燃性の観点からは、ビフェニル型フェノール樹脂が好ましく、耐リフロー性及び硬化性の観点からは、アラルキル型フェノール樹脂が好ましく、低吸湿性の観点からは、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂が好ましく、耐熱性、低膨張率及び低そり性の観点からは、トリフェニルメタン型フェノール樹脂が好ましく、硬化性の観点からは、ノボラック型フェノール樹脂が好ましい。エポキシ樹脂組成物は、これらのフェノール樹脂の少なくとも1種を含有していることが好ましい。
【0021】
硬化剤の官能基当量(フェノール硬化剤の場合は水酸基当量)は、特に制限されない。成形性、耐リフロー性、電気的信頼性等の各種特性バランスの観点からは、70g/eq~1000g/eqであることが好ましく、80g/eq~500g/eqであることがより好ましい。
【0022】
硬化剤の官能基当量(フェノール硬化剤の場合は水酸基当量)は、JIS K 0070:1992に準じた方法により測定される値とする。
【0023】
硬化剤が固体である場合、硬化剤の軟化点又は融点は、特に制限されない。成形性と耐リフロー性の観点からは、40℃~180℃であることが好ましく、エポキシ樹脂組成物の製造時における取扱い性の観点からは、50℃~130℃であることがより好ましい。
【0024】
硬化剤の融点又は軟化点は、エポキシ樹脂の融点又は軟化点と同様にして測定される値とする。
【0025】
エポキシ樹脂と硬化剤との当量比、すなわちエポキシ樹脂中のエポキシ基数に対する硬化剤中の官能基数の比(硬化剤中の官能基数/エポキシ樹脂中のエポキシ基数)は、特に制限されない。それぞれの未反応分を少なく抑える観点からは、エポキシ樹脂と硬化剤との当量比は0.5~2.0の範囲に設定されることが好ましく、0.6~1.3の範囲に設定されることがより好ましい。成形性と耐リフロー性の観点からは、エポキシ樹脂と硬化剤との当量比は0.8~1.2の範囲に設定されることがさらに好ましい。
【0026】
(アルミナ粒子)
エポキシ樹脂組成物は、無機充填材としてアルミナ粒子を含有する。エポキシ樹脂組成物は、アルミナ粒子以外の無機充填材を含有していてもよい。
【0027】
エポキシ樹脂組成物中のアルミナ粒子の含有率は特に制限されない。硬化物の熱伝導性の観点からは、アルミナ粒子の含有率はエポキシ樹脂組成物の全量に対して30体積%以上であることが好ましく、35体積%以上であることがより好ましく、40体積%以上であることがさらに好ましく、45体積%以上であることが特に好ましく、50体積%以上であることが極めて好ましい。アルミナ粒子の含有率の上限は特に制限されず、流動性の向上、粘度の低下等の観点からは、100体積%未満であることが好ましく、99体積%以下であることがより好ましく、98体積%以下であることがさらに好ましい。エポキシ樹脂組成物中のアルミナ粒子の含有率は30体積%以上100体積%未満であることが好ましく、35体積%~99体積%であることがより好ましく、40体積%~98体積%であることがさらに好ましく、45体積%~98体積%であることが特に好ましく、50体積%~98体積%であることが極めて好ましい。エポキシ樹脂組成物中のアルミナ粒子の含有率は、例えば、後述の無機充填材の含有率の測定方法によって測定することができる。
【0028】
アルミナ粒子の体積平均粒子径は特に制限されない。アルミナ粒子の体積平均粒子径は、0.1μm以上が好ましく、0.3μm以上がより好ましい。また、アルミナ粒子の体積平均粒子径は、80μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましい。アルミナ粒子の体積平均粒子径が0.1μm以上であると、エポキシ樹脂組成物の粘度の上昇が抑えられやすい。また、アルミナ粒子の体積平均粒子径が80μm以下であると、エポキシ樹脂組成物中のアルミナ粒子の混合性が向上し、アルミナ粒子の偏在が抑制され、硬化物における熱伝導性のばらつきが抑えられる傾向にある。また、狭い領域の封止に用いたとしても、アルミナ粒子の充填性に優れる傾向にある。アルミナ粒子の体積平均粒子径は、例えば、レーザー散乱回折法粒度分布測定装置により測定することができる。本開示において、体積平均粒子径は、レーザー散乱回折法粒度分布測定装置により測定される体積基準の粒度分布において、小径側からの累積が50%となるときの粒子径(D50)として測定することができる。
【0029】
アルミナ粒子の形状は制限されず、球状、角形が挙げられる。流動性の観点からは、アルミナ粒子の粒子形状は球形が好ましく、アルミナ粒子の粒度分布は広範囲に分布したものが好ましい。例えば、アルミナ粒子をエポキシ樹脂組成物に対して75体積%以上配合する場合、アルミナ粒子全量の70質量%以上を球状粒子とし、球状粒子の粒子径は0.1μm~80μmという広範囲に分布したものが好ましい。このようなアルミナ粒子は最密充填構造をとりやすいため配合量を増加させても材料の粘度上昇が少なく、流動性に優れたエポキシ樹脂組成物を得ることができる傾向にある。
【0030】
エポキシ樹脂組成物は、アルミナ粒子以外の無機充填材を含有してもよい。アルミナ粒子以外の無機充填材は特に制限されず、溶融シリカ、結晶シリカ、ガラス、炭酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸カルシウム、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化マグネシウム、炭化ケイ素、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア、タルク、クレー、マイカ等の粒子の無機材料が挙げられる。難燃効果を有する無機充填材を用いてもよい。難燃効果を有する無機充填材としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、マグネシウムと亜鉛の複合水酸化物等の複合金属水酸化物、硼酸亜鉛などが挙げられる。無機充填材は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。特に、硬化物の熱伝導率、熱膨張係数等の各種特性のバランスの観点から、アルミナ粒子とシリカ粒子を併用することが好ましい。また、熱伝導率の観点から、酸化マグネシウムを併用することも好ましい。
【0031】
アルミナ粒子以外の無機充填材は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。なお、「無機充填材を2種以上併用する」とは、例えば、同じ成分で体積平均粒子径が異なる無機充填材を2種類以上用いる場合、体積平均粒子径が同じで成分の異なる無機充填材を2種類以上用いる場合並びに体積平均粒子径及び種類の異なる無機充填材を2種類以上用いる場合が挙げられる。
【0032】
エポキシ樹脂組成物の総質量中の無機充填材の含有率は特に制限されない。硬化物の熱伝導性の観点からは、無機充填材の含有率はエポキシ樹脂組成物の全量に対して30体積%以上であることが好ましく、35体積%以上であることがより好ましく、40体積%以上であることがさらに好ましく、45体積%以上であることが特に好ましく、50体積%以上であることが極めて好ましい。無機充填材の含有率の上限は特に制限されず、流動性の向上、粘度の低下等の観点からは、100体積%未満であることが好ましく、99体積%以下であることがより好ましく、98体積%以下であることがさらに好ましい。エポキシ樹脂組成物中の無機充填材の含有率は30体積%以上100体積%未満であることが好ましく、35体積%~99体積%であることがより好ましく、40体積%~98体積%であることがさらに好ましく、45体積%~98体積%であることが特に好ましく、50体積%~98体積%であることが極めて好ましい。
【0033】
エポキシ樹脂組成物の総質量中の無機充填材の含有率は、次のようにして測定される。まず、エポキシ樹脂組成物の硬化物(エポキシ樹脂成形物ともいう)の総質量を測定し、該エポキシ樹脂成形物を400℃で2時間、次いで700℃で3時間焼成し、樹脂成分を蒸発させ、残存した無機充填材の質量を測定する。得られた質量、及び比重から体積を算出し、エポキシ樹脂組成物の硬化物(エポキシ樹脂成形物)の総体積に対する無機充填材の体積の割合を得て、無機充填材の含有率とする。
【0034】
無機充填材は、エポキシ樹脂組成物をモールドアンダーフィル用に使用する場合等における、狭い隙間への充填性の向上の観点から、最大粒子径(カットポイントともいう)が制御されていてもよい。無機充填材の最大粒子径は適宜調整してよく、充填性の観点からは、105μm以下であることが好ましく、75μm以下であることがより好ましく、60μm以下であってもよく、40μm以下であってもよい。最大粒子径はレーザー回折粒度分布計(株式会社堀場製作所製、商品名:LA920)により測定することができる。
【0035】
エポキシ樹脂組成物が、無機充填材として、アルミナ粒子と、アルミナ粒子以外の無機充填材とを含有する場合、無機充填材の全量に対するアルミナ粒子の含有率は、30質量%以上であることが好ましく、35質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることがさらに好ましい。無機充填材の全量に対するアルミナ粒子の含有率の上限は、特に制限されず、100質量%以下であってもよく、90質量%以下であってもよく、85質量%以下であってもよい。
【0036】
(特定シラン化合物)
エポキシ樹脂組成物は、特定シラン化合物を含有する。特定シラン化合物は、エポキシ基と反応する官能基を有さない一方で、エポキシ基と反応しない官能基を有し、前記エポキシ基と反応しない官能基がケイ素原子に結合しているか、炭素数1~5の鎖状炭化水素基を介してケイ素原子に結合している構造を有する。以下、特定シラン化合物における、エポキシ基と反応しない官能基を「特定官能基」ともいう。
【0037】
「エポキシ基と反応しない官能基」とは、エポキシ基との間で化学反応を起こさないか、反応速度が極めて遅いため当該反応によるエポキシ樹脂組成物の特性の変化が実用上無視できる程度である官能基をいう。「エポキシ基と反応する官能基」とは、エポキシ基と反応しない官能基以外の官能基をいう。シラン化合物の「官能基」とは、シラン化合物の分子内に存在し、当該シラン化合物の反応性の原因となる原子又は原子団をいう。シラン化合物の官能基がエポキシ基と反応しないことは、例えば、示差熱走査熱量計(DSC)によって確認することができる。
上述の「エポキシ基と反応しない官能基がケイ素原子に結合しているか、炭素数1~5の鎖状炭化水素基を介してケイ素原子に結合している構造」において、「エポキシ基と反応しない官能基がケイ素原子に結合している」構造とは、特定官能基とケイ素原子が直接結合している構造をさす。
【0038】
特定官能基としては、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニル基、スチリル基等が挙げられる。
一方、「エポキシ基と反応する官能基」としては、アミノ基、フェニルアミノ基等のアミン構造を有する基、エポキシ基、チオール基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ウレイド基などが挙げられる。
特定官能基は、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、及びビニル基からなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましく、(メタ)アクリロイルオキシ基であることがより好ましい。
【0039】
特定シラン化合物は、1分子に特定官能基を1つ有していてもよく、複数有していてもよい。特定シラン化合物1分子あたりの特定官能基の数は、1~4であることが好ましく、1~3であることがより好ましく、1又は2であることがさらに好ましく、1であることが特に好ましい。
【0040】
特定シラン化合物において、特定官能基は、ケイ素原子に結合しているか、炭素数1~5の鎖状炭化水素基を介してケイ素原子に結合している。特定官能基が炭素数1~5の鎖状炭化水素基を介してケイ素原子に結合している場合、粘度低下及び成形性の観点から、鎖状炭化水素基の炭素数は、2~4であることが好ましく、3であることがより好ましい。なお、本開示において、鎖状炭化水素基の炭素数とは、分岐又は置換基の炭素を含まない炭素数を意味する。
特定官能基が炭素数1~5の鎖状炭化水素基を介してケイ素原子に結合している場合、特定官能基は、鎖状炭化水素基の末端に存在していてもよく、鎖状炭化水素基の側鎖に存在していてもよい。粘度を抑える観点からは、特定官能基は鎖状炭化水素基の末端に存在していることが好ましい。
【0041】
鎖状炭化水素基は、分岐鎖を有していてもよい。鎖状炭化水素基が分岐鎖を有する場合、分岐鎖の炭素数は1又は2であることが好ましい。鎖状炭化水素基は分岐鎖を有しないことが好ましい。
鎖状炭化水素基は、特定官能基の他に置換基を有していてもよい。鎖状炭化水素基が置換基を有する場合、置換基は特に限定されず、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基等であってよい。鎖状炭化水素基は、特定官能基の他に置換基を有しないことが好ましい。
鎖状炭化水素基は、不飽和結合を含んでいても含んでいなくてもよく、不飽和結合を含まないことが好ましい。
【0042】
以下、ケイ素原子に直接結合している特定官能基、又は、ケイ素原子に結合しており前記炭素数1~5の鎖状炭化水素基と特定官能基とを有する基を、「特定官能基を含む基」と称する。
特定シラン化合物における、特定官能基を含む基の数は1~4であってよく、1~3であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、1であることがさらに好ましい。特定官能基を含む基の数が1~3である場合、ケイ素原子に結合するその他の基は特に制限されず、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基等であってもよく、炭素数1~5のアルキル基又は炭素数1~5のアルコキシ基であることが好ましく、メチル基、エチル基、メトキシ基、又はエトキシ基であることがより好ましい。なかでも、ケイ素原子に特定官能基を含む基が1つ結合しており、その他の3つの結合手に、それぞれ独立に、炭素数1~5のアルキル基又は炭素数1~5のアルコキシ基が結合していることが好ましい。ケイ素原子に特定官能基を含む基が1つ結合しており、その他の3つの結合手に、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、メトキシ基、又はエトキシ基が結合していることがより好ましい。
【0043】
特定シラン化合物としては、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン等が挙げられる。なかでも、エポキシ樹脂組成物の粘度の上昇抑制及び硬化性の観点から、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。特定シラン化合物は1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0044】
特定シラン化合物は合成しても、市販されているものを用いてもよい。市販されている特定シラン化合物としては、信越化学工業株式会社製の、KBM-502(3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン)、KBM-503(3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)、KBE-502(3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン)、KBE-503(3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン)、KBM-5103(3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン)等が挙げられる。
【0045】
エポキシ樹脂組成物中の特定シラン化合物の含有率は特に制限されない。特定シラン化合物の含有率は、エポキシ樹脂の総量に対して0.01質量%~20質量%であることが好ましい。例えば、組成物の粘度と硬化性のバランスの観点から、特定シラン化合物の含有率は、エポキシ樹脂の総量に対して、0.01質量%~10質量%であってもよい。また、より粘度の上昇を抑える観点からは、特定シラン化合物の含有率は、エポキシ樹脂の総量に対して、10質量%~20質量%であってもよく、15質量%~20質量%であってもよい。
【0046】
エポキシ樹脂組成物は、特定シラン化合物に加えて、他のシラン化合物をさらに含有してもよい。他のシラン化合物としては、エポキシ樹脂組成物に一般に使用されているものであれば特に制限はなく、エポキシ基と反応するシラン化合物であっても、エポキシ基と反応しないシラン化合物であってもよい。他のシラン化合物としては、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、(メタ)アクリルシラン(特定シラン化合物を除く)、ビニルシラン(特定シラン化合物を除く)等が挙げられる。他のシラン化合物は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0047】
特定シラン化合物の作用を良好に発揮する観点から、特定シラン化合物及び他のシラン化合物の合計量に対する他のシラン化合物の含有率は30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。
【0048】
エポキシ樹脂組成物は、シラン化合物以外のカップリング剤を含有してもよい。シラン化合物以外のカップリング剤としては、チタン系化合物、アルミニウムキレート化合物、アルミニウム/ジルコニウム系化合物等の公知のカップリング剤が挙げられる。他のカップリング剤は1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0049】
(硬化促進剤)
エポキシ樹脂組成物は、硬化促進剤を含有してもよい。硬化促進剤の種類は特に制限されず、エポキシ樹脂の種類、エポキシ樹脂組成物の所望の特性等に応じて選択できる。
硬化促進剤としては、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン-5(DBN)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7(DBU)等のジアザビシクロアルケン、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール等の環状アミジン化合物;前記環状アミジン化合物の誘導体;前記環状アミジン化合物又はその誘導体のフェノールノボラック塩;これらの化合物に無水マレイン酸、1,4-ベンゾキノン、2,5-トルキノン、1,4-ナフトキノン、2,3-ジメチルベンゾキノン、2,6-ジメチルベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-5-メチル-1,4-ベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-1,4-ベンゾキノン、フェニル-1,4-ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタンなどの、π結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物;DBUのテトラフェニルボレート塩、DBNのテトラフェニルボレート塩、2-エチル-4-メチルイミダゾールのテトラフェニルボレート塩、N-メチルモルホリンのテトラフェニルボレート塩等の環状アミジニウム化合物;ピリジン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の三級アミン化合物;前記三級アミン化合物の誘導体;酢酸テトラ-n-ブチルアンモニウム、リン酸テトラ-n-ブチルアンモニウム、酢酸テトラエチルアンモニウム、安息香酸テトラ-n-ヘキシルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム等のアンモニウム塩化合物;トリフェニルホスフィン、ジフェニル(p-トリル)ホスフィン、トリス(アルキルフェニル)ホスフィン、トリス(アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(アルキル・アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルコキシフェニル)ホスフィン、トリアルキルホスフィン、ジアルキルアリールホスフィン、アルキルジアリールホスフィン等の三級ホスフィン;前記三級ホスフィンと有機ボロン類との錯体等のホスフィン化合物;前記三級ホスフィン又は前記ホスフィン化合物と無水マレイン酸、1,4-ベンゾキノン、2,5-トルキノン、1,4-ナフトキノン、2,3-ジメチルベンゾキノン、2,6-ジメチルベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-5-メチル-1,4-ベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-1,4-ベンゾキノン、フェニル-1,4-ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタンなどの、π結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物;前記三級ホスフィン又は前記ホスフィン化合物と4-ブロモフェノール、3-ブロモフェノール、2-ブロモフェノール、4-クロロフェノール、3-クロロフェノール、2-クロロフェノール、4-ヨウ化フェノール、3-ヨウ化フェノール、2-ヨウ化フェノール、4-ブロモ-2-メチルフェノール、4-ブロモ-3-メチルフェノール、4-ブロモ-2,6-ジメチルフェノール、4-ブロモ-3,5-ジメチルフェノール、4-ブロモ-2,6-ジ-t-ブチルフェノール、4-クロロ-1-ナフトール、1-ブロモ-2-ナフトール、6-ブロモ-2-ナフトール、4-ブロモ-4’-ヒドロキシビフェニル等のハロゲン化フェノール化合物を反応させた後に、脱ハロゲン化水素の工程を経て得られる、分子内分極を有する化合物;テトラフェニルホスホニウム等のテトラ置換ホスホニウム、テトラ-p-トリルボレート等のホウ素原子に結合したフェニル基がないテトラ置換ホスホニウム及びテトラ置換ボレート;テトラフェニルホスホニウムとフェノール化合物との塩などが挙げられる。硬化促進剤は1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0050】
エポキシ樹脂組成物が硬化促進剤を含有する場合、その含有量は、樹脂成分(すなわち、樹脂と硬化剤の合計)100質量部に対して0.1質量部~30質量部であることが好ましく、1質量部~15質量部であることがより好ましい。硬化促進剤の量が樹脂成分100質量部に対して0.1質量部以上であると、短時間で良好に硬化する傾向にある。硬化促進剤の量が樹脂成分100質量部に対して30質量部以下であると、硬化速度が速すぎず良好な成形品が得られる傾向にある。
【0051】
[各種添加剤]
エポキシ樹脂組成物は、上述の成分に加えて、以下に例示するイオン交換体、離型剤、難燃剤、着色剤、応力緩和剤等の各種添加剤を含有してもよい。エポキシ樹脂組成物は、以下に例示する添加剤以外にも必要に応じて当技術分野で周知の各種添加剤を含有してもよい。
【0052】
(イオン交換体)
エポキシ樹脂組成物は、イオン交換体を含有してもよい。特に、エポキシ樹脂組成物を封止用成形材料として用いる場合には、封止される素子を備える電子部品装置の耐湿性及び高温放置特性を向上させる観点から、イオン交換体を含有することが好ましい。イオン交換体は特に制限されず、従来公知のものを用いることができる。具体的には、ハイドロタルサイト化合物、並びにマグネシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム及びビスマスからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の含水酸化物等が挙げられる。イオン交換体は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、下記一般式(A)で表されるハイドロタルサイトが好ましい。
【0053】
Mg(1-X)Al(OH)(COX/2・mHO ……(A)
(0<X≦0.5、mは正の数)
【0054】
エポキシ樹脂組成物がイオン交換体を含有する場合、その含有量は、ハロゲンイオン等のイオンを捕捉するのに充分な量であれば特に制限はない。例えば、樹脂成分100質量部に対して0.1質量部~30質量部であることが好ましく、1質量部~10質量部であることがより好ましい。
【0055】
(離型剤)
エポキシ樹脂組成物は、成形時における金型との良好な離型性を得る観点から、離型剤を含有してもよい。離型剤は特に制限されず、従来公知のものを用いることができる。具体的には、カルナバワックス、モンタン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス、酸化ポリエチレン、非酸化ポリエチレン等のポリオレフィン系ワックスなどが挙げられる。離型剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0056】
エポキシ樹脂組成物が離型剤を含有する場合、その含有量は樹脂成分100質量部に対して0.01質量部~10質量部が好ましく、0.1質量部~5質量部がより好ましい。離型剤の量が樹脂成分100質量部に対して0.01質量部以上であると、離型性が充分に得られる傾向にある。10質量部以下であると、より良好な接着性及び硬化性が得られる傾向にある。
【0057】
(難燃剤)
エポキシ樹脂組成物は、難燃剤を含有してもよい。難燃剤は特に制限されず、従来公知のものを用いることができる。具体的には、ハロゲン原子、アンチモン原子、窒素原子又はリン原子を含む有機又は無機の化合物、金属水酸化物等が挙げられる。難燃剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0058】
エポキシ樹脂組成物が難燃剤を含有する場合、その含有量は、所望の難燃効果を得るのに充分な量であれば特に制限されない。例えば、樹脂成分100質量部に対して1質量部~30質量部であることが好ましく、2質量部~20質量部であることがより好ましい。
【0059】
(着色剤)
エポキシ樹脂組成物は、着色剤をさらに含有してもよい。着色剤としてはカーボンブラック、有機染料、有機顔料、酸化チタン、鉛丹、ベンガラ等の公知の着色剤を挙げることができる。着色剤の含有量は目的等に応じて適宜選択できる。着色剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0060】
(応力緩和剤)
エポキシ樹脂組成物は、シリコーンオイル、シリコーンゴム粒子等の応力緩和剤を含有してもよい。応力緩和剤を使用することにより、パッケージの反り変形及びパッケージクラックの発生をより低減させることができる。応力緩和剤としては、一般に使用されている公知の応力緩和剤(可とう剤ともいう)が挙げられる。具体的には、シリコーン系、スチレン系、オレフィン系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系等の熱可塑性エラストマー、NR(天然ゴム)、NBR(アクリロニトリル-ブタジエンゴム)、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンパウダー等のゴム粒子、メタクリル酸メチル-スチレン-ブタジエン共重合体(MBS)、メタクリル酸メチル-シリコーン共重合体、メタクリル酸メチル-アクリル酸ブチル共重合体等のコア-シェル構造を有するゴム粒子などが挙げられる。応力緩和剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0061】
[エポキシ樹脂組成物の物性]
(エポキシ樹脂組成物の粘度)
エポキシ樹脂組成物の粘度は、特に制限されない。成形方法、エポキシ樹脂組成物の組成等に応じて所望の粘度となるよう調整することが好ましい。
例えば、圧縮成形法によりエポキシ樹脂組成物を成形する場合、ワイヤ流れの低減の観点から、エポキシ樹脂組成物の粘度は、175℃で200Pa・s以下であることが好ましく、150Pa・s以下であることがより好ましく、100Pa・s以下であることがさらに好ましい。粘度の下限値は特に限定されず、例えば、10Pa・s以上であってもよい。
また、例えば、トランスファー成形法によりエポキシ樹脂組成物を成形する場合、ワイヤ流れの低減の観点から、エポキシ樹脂組成物の粘度は、175℃で200Pa・s以下であることが好ましく、150Pa・s以下であることがより好ましく、100Pa・s以下であることがさらに好ましい。粘度の下限値は特に限定されず、例えば、10Pa・s以上であってもよい。
エポキシ樹脂組成物の粘度は、高化式フローテスター(例えば、島津製作所社製)によって測定することができる。
【0062】
また、エポキシ樹脂組成物の粘度は、スパイラルフローによって確認してもよい。例えば、粘度は、規格(EMMI-1-66)に準拠したスパイラルフロー測定用金型を用いて、エポキシ樹脂組成物を、プランジャー底部圧力換算値の油圧70kgf/cm(約6.86MPa)で注入し、175℃、120secの条件で成形したときの成形物の長さとして測定される流動距離により評価することができる。上記の条件で測定される流動距離は、67インチ(170cm)以上であることが好ましく、70インチ(178cm)以上であることがより好ましく、75インチ(191cm)以上であることがさらに好ましく、80インチ(203cm)以上であることが特に好ましく、85インチ(216cm)以上であることが極めて好ましい。なお、括弧内の数値(cm)は換算値を表す。
【0063】
(硬化物としたときの熱伝導率)
エポキシ樹脂組成物を硬化物としたときの熱伝導率は、特に制限されない。所望の放熱性を得る観点からは、熱伝導率は、室温(25℃)で、3.0W/(m・K)以上であってもよく、4.0W/(m・K)以上であってもよく、5.0W/(m・K)以上であってもよく、6.0W/(m・K)以上であってもよく、7.0W/(m・K)以上であってもよく、8.0W/(m・K)以上であってもよい。熱伝導率の上限は特に制限されず、9.0W/(m・K)であってもよい。硬化物の熱伝導率は、キセノンフラッシュ(Xe-flash)法(例えば、NETZSCH社製、商品名:LFA467型 Hyper Flash装置)によって測定することができる。
【0064】
(硬化物としたときの熱時硬度)
エポキシ樹脂組成物を硬化物としたときの熱時硬度は、特に制限されない。例えば、エポキシ樹脂組成物を175℃、120sec、圧力7MPaの条件で成形したときの、ショアD硬度計を用いて測定される熱時硬度は、60以上であることが好ましく、65以上であることがより好ましく、70以上であることがさらに好ましい。
【0065】
[エポキシ樹脂組成物の調製方法]
エポキシ樹脂組成物の調製方法は、特に制限されない。一般的な手法としては、各成分をミキサー等によって充分混合した後、ミキシングロール、押出機等によって溶融混練し、冷却し、粉砕する方法を挙げることができる。より具体的には、例えば、上述した成分を混合して撹拌し、予め70℃~140℃に加熱してあるニーダー、ロール、エクストルーダー等で混練し、冷却し、粉砕する方法を挙げることができる。
【0066】
エポキシ樹脂組成物は、常温常圧下(例えば、25℃、大気圧下)において固体であっても液状であってもよく、固体であることが好ましい。エポキシ樹脂組成物が固体である場合の形状は特に制限されず、粉状、粒状、タブレット状等が挙げられる。エポキシ樹脂組成物がタブレット状である場合の寸法及び質量は、パッケージの成形条件に合うような寸法及び質量となるようにすることが取り扱い性の観点から好ましい。
【0067】
<電子部品装置>
本開示の一実施形態である電子部品装置は、上述のエポキシ樹脂組成物によって封止された素子を備える。
電子部品装置としては、リードフレーム、配線済みのテープキャリア、配線板、ガラス、シリコンウエハ、有機基板等の支持部材に、素子(半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子、コンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子など)を搭載して得られた素子部をエポキシ樹脂組成物で封止したものが挙げられる。
より具体的には、リードフレーム上に素子を固定し、ボンディングパッド等の素子の端子部とリード部とをワイヤボンディング、バンプ等で接続した後、エポキシ樹脂組成物を用いてトランスファー成形等によって封止した構造を有するDIP(Dual Inline Package)、PLCC(Plastic Leaded Chip Carrier)、QFP(Quad Flat Package)、SOP(Small Outline Package)、SOJ(Small Outline J-lead package)、TSOP(Thin Small Outline Package)、TQFP(Thin Quad Flat Package)等の一般的な樹脂封止型IC;テープキャリアにバンプで接続した素子をエポキシ樹脂組成物で封止した構造を有するTCP(Tape Carrier Package);支持部材上に形成した配線に、ワイヤボンディング、フリップチップボンディング、はんだ等で接続した素子を、エポキシ樹脂組成物で封止した構造を有するCOB(Chip On Board)モジュール、ハイブリッドIC、マルチチップモジュール等;裏面に配線板接続用の端子を形成した支持部材の表面に素子を搭載し、バンプ又はワイヤボンディングにより素子と支持部材に形成された配線とを接続した後、エポキシ樹脂組成物で素子を封止した構造を有するBGA(Ball Grid Array)、CSP(Chip Size Package)、MCP(Multi Chip Package)などが挙げられる。また、プリント配線板においてもエポキシ樹脂組成物を好適に使用することができる。
【0068】
エポキシ樹脂組成物を用いて電子部品装置を封止する方法としては、低圧トランスファー成形法、インジェクション成形法、圧縮成形法等が挙げられる。
【実施例
【0069】
以下、上記実施形態を実施例により具体的に説明するが、上記実施形態の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0070】
<エポキシ樹脂組成物の作製>
まず、下記に示す各成分を準備した。
【0071】
〔エポキシ樹脂〕
・エポキシ樹脂A:エポキシ当量187g/eq~197g/eq、融点61℃~71℃のビスフェノールF型エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製、商品名:YSLV-80XY)
・エポキシ樹脂B:エポキシ当量192g/eq、融点106℃のエポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製、商品名:YX-4000)
【0072】
〔硬化剤〕
・水酸基当量102g/eq、軟化点70℃のトリフェニルメタン型フェノール樹脂(エア・ウォーター株式会社、商品名:HE910)
【0073】
〔硬化促進剤〕
・リン系硬化促進剤
【0074】
〔シラン化合物〕
・シラン化合物A:3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、商品名:KBM-503)
・シラン化合物B:N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、商品名:KBM-573)
・シラン化合物C:3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、商品名:KBM-803)
【0075】
〔無機充填材〕
・シリカ粒子:体積平均粒子径0.2μm
・アルミナ粒子A:体積平均粒子径10μm、カットポイント55μm
・アルミナ粒子B:体積平均粒子径1μm、カットポイント25μm
・酸化マグネシウム:体積平均粒子径約2μm
【0076】
〔添加剤〕
・離型剤:ヘキストワックス(クラリアント社製、商品名:HW-E)
・顔料:カーボンブラック(三菱ケミカル株式会社製、商品名:MA-600MJ-S)
・イオン交換体:ハイドロタルサイト(堺化学工業株式会社製、商品名:STABIACE HT-P)
【0077】
表1に示す各成分を同表に示す量で配合して混練し、冷却し、粉砕することにより、エポキシ樹脂組成物を作製した。表中、別段の記載がない場合、成分の配合量の単位は質量部を表す。表中、「-」は成分が配合されていないことを表す。
【0078】
<粘度の評価(スパイラルフローの評価)>
規格(EMMI-1-66)に準拠したスパイラルフロー測定用金型を用いて、エポキシ樹脂組成物を、プランジャー底部圧力換算値の油圧70kgf/cm(約6.86MPa)にて注入し、175℃、120secの条件で成形したときの成形物の長さを流動距離として評価した。
【0079】
<熱伝導率の評価>
上記エポキシ樹脂組成物を、高温真空成型機にて、175℃、120sec、圧力7MPaの条件下で成形し、1mm厚み、10mm四方に加工したものを試験片とした。上記試験片を、NETZSCH社製、商品名:LFA467型 Hyper Flash装置を用いて室温(25℃)条件で測定し、キセノンフラッシュ法により算出した値を熱伝導率とした。
【0080】
<熱時硬度の評価>
上記エポキシ樹脂組成物を、高温真空成型機にて、175℃、120sec、圧力7MPaの条件下で成形し、ショアD硬度計を用いて測定した値を硬度とした。
【0081】
【表1】
【0082】
評価の結果、シラン化合物Aを配合した実施例1及び実施例2では、粘度が低下しており、硬化物の熱伝導率は良好であった。また、熱時硬度は比較例と比べて大きく低下しておらず、良好な硬化性が維持されていた。
【0083】
日本国特許出願第2018-049153号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に援用されて取り込まれる。