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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】太陽電池装置
(51)【国際特許分類】
   H02S 40/22 20140101AFI20241016BHJP
   H01L 31/054 20140101ALI20241016BHJP
【FI】
H02S40/22
H01L31/04 620
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020119970
(22)【出願日】2020-07-13
(65)【公開番号】P2022016956
(43)【公開日】2022-01-25
【審査請求日】2023-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(73)【特許権者】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡 真一郎
(72)【発明者】
【氏名】冨岡 安
(72)【発明者】
【氏名】小橋 淳二
(72)【発明者】
【氏名】吉田 浩之
【審査官】原 俊文
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/014539(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/011307(WO,A1)
【文献】特開2018-170311(JP,A)
【文献】国際公開第2013/180298(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/073586(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0150847(US,A1)
【文献】国際公開第2011/152132(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/070374(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0077244(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02-31/078
H02S 10/00-10/40
H02S 30/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面と、前記第1主面と対向する第2主面と、第1側面と、前記第1側面とは異なる第2側面と、を有する第1光導波部と、
第3主面と、前記第3主面と対向する第4主面と、前記第2側面と対向する第3側面と、前記第3側面とは異なる第4側面と、を有し、前記第1光導波部と並んで配置された第2光導波部と、
前記第2主面と対向し、コレステリック液晶を有し、前記第1主面から入射した光の少なくとも一部を前記第1光導波部に向けて反射する第1光学素子と、
前記第4主面と対向し、コレステリック液晶を有し、前記第3主面から入射した光の少なくとも一部を前記第2光導波部に向けて反射する第2光学素子と、
前記第1側面と対向する第1太陽電池と、
前記第1太陽電池を前記第1側面に接着する透明な第1接着層と、
前記第2側面と前記第3側面との間に位置し、前記第1光導波部及び前記第2光導波部を接着する透明な第2接着層と、
を備え、太陽電池装置。
【請求項2】
前記第1光学素子は、前記第2光学素子から離間している、請求項1に記載の太陽電池装置。
【請求項3】
前記第2接着層は、前記第1光導波部及び前記第2光導波部の厚さと同等の厚さと、前記第2側面及び前記第3側面の間隔と同等の幅と、を有し、
前記第2接着層の厚さは、前記第2接着層の幅より大きい、請求項に記載の太陽電池装置。
【請求項4】
前記第1光学素子及び前記第2光学素子は、前記第2接着層と対向する位置に配置されていない、請求項2に記載の太陽電池装置。
【請求項5】
第1主面と、前記第1主面と対向する第2主面と、第1側面と、前記第1側面とは異なる第2側面と、を有する第1光導波部と、
第3主面と、前記第3主面と対向する第4主面と、前記第2側面と対向する第3側面と、前記第3側面とは異なる第4側面と、を有し、前記第1光導波部と並んで配置された第2光導波部と、
前記第1側面と対向する第1太陽電池と、
前記第1太陽電池を前記第1側面に接着する透明な第1接着層と、
前記第2側面と前記第3側面との間に位置し、前記第1光導波部及び前記第2光導波部を接着する透明な第2接着層と、
前記第2主面、前記第4主面、及び、前記第2接着層と対向し、単一シートとして形成され、コレステリック液晶を有し、前記第1主面から入射した光の少なくとも一部を前記第1光導波部に向けて反射するとともに前記第3主面から入射した光の少なくとも一部を前記第2光導波部に向けて反射する光学素子と、
を備える、太陽電池装置。
【請求項6】
らに、前記第4側面に接着されている第2太陽電池を備える、請求項1または5に記載の太陽電池装置。
【請求項7】
前記第1接着層の屈折率は、前記第1光導波部の屈折率と同等である、請求項1または5に記載の太陽電池装置。
【請求項8】
前記第2接着層の屈折率は、前記第1光導波部及び前記第2光導波部の屈折率と同等である、請求項1または5に記載の太陽電池装置。
【請求項9】
前記第1接着層の屈折率及び前記第2接着層の屈折率は同等である、請求項1または5に記載の太陽電池装置。
【請求項10】
さらに、前記第1光導波部及び前記第2光導波部を覆う透明な保護層を備え、
前記保護層の屈折率は、前記第1光導波部及び前記第2光導波部の屈折率と同等である、請求項1または5に記載の太陽電池装置。
【請求項11】
さらに、前記第1光導波部、前記第2光導波部、及び、前記光学素子を覆う透明な保護層を備え、
前記保護層の屈折率は、前記第1光導波部及び前記第2光導波部の屈折率と同等である、請求項に記載の太陽電池装置。
【請求項12】
前記第1接着層の屈折率と前記第1光導波部の屈折率との差は、0.1以下である、請求項1または5に記載の太陽電池装置。
【請求項13】
前記第2接着層の屈折率と前記第1光導波部の屈折率との差、及び、前記第2接着層の屈折率と前記第2光導波部の屈折率との差は、0.1以下である、請求項1または5に記載の太陽電池装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、太陽電池装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、透明な太陽電池が種々提案されている。例えば、透明な色素増感型太陽電池を表示装置の表面に配置した太陽電池付き表示装置が提案されている。このような太陽電池装置において、低コストで大型化を可能とする技術が要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-229472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態の目的は、低コストで大型化が可能な太陽電池装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態の太陽電池装置は、
第1主面と、前記第1主面と対向する第2主面と、第1側面と、を有する第1光導波部と、前記第2主面と対向し、コレステリック液晶を有し、前記第1主面から入射した光の少なくとも一部を前記第1光導波部に向けて反射する光学素子と、前記第1側面と対向する第1太陽電池と、を備え、前記第1太陽電池は、透明な第1接着層によって、前記第1側面に接着されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、実施形態1の太陽電池装置100を模式的に示す断面図である。
図2図2は、光学素子3の構造を模式的に示す断面図である。
図3図3は、太陽電池装置100を模式的に示す平面図である。
図4図4は、光学素子3の一例を模式的に示す断面図である。
図5図5は、実施形態1の変形例1に係る光学素子3を模式的に示す断面図である。
図6図6は、変形例2の太陽電池装置100を模式的に示す平面図である。
図7図7は、実施形態2の太陽電池装置100を模式的に示す平面図である。
図8図8は、図7に示した太陽電池装置100のA-B線に沿った断面図である。
図9図9は、実施形態2の変形例1に係る太陽電池装置100の断面図である。
図10図10は、実施形態2の変形例2に係る太陽電池装置100を模式的に示す平面図である。
図11図11は、実施形態2の変形例3に係る太陽電池装置100の断面図である。
図12図12は、実施形態2の変形例4に係る太陽電池装置100の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0008】
なお、図面には、必要に応じて理解を容易にするために、互いに直交するX軸、Y軸、及び、Z軸を記載する。Z軸に沿った方向を第1方向A1と称し、Y軸に沿った方向を第2方向A2と称し、X軸に沿った方向を第3方向A3と称する。第1方向A1、第2方向A2、及び、第3方向A3は互いに直交する。X軸及びY軸によって規定される面をX-Y平面と称し、X軸及びZ軸によって規定される面をX-Z平面と称し、Y軸及びZ軸によって規定される面をY-Z平面と称する。
【0009】
(実施形態1)
図1は、実施形態1の太陽電池装置100を模式的に示す断面図である。太陽電池装置100は、光導波部1と、光学素子3と、太陽電池5と、接着層(第1接着層)7と、を備えている。
【0010】
光導波部1は、光を透過する透明部材、例えば、透明なガラス板又は透明な合成樹脂板によって構成されている。光導波部1は、例えば、可撓性を有する透明な合成樹脂板によって構成されていてもよい。光導波部1は任意の形状を取り得る。例えば、光導波部1は、湾曲していてもよい。光導波部1の屈折率は、例えば、空気の屈折率よりも大きい。光導波部1は、例えば、窓ガラスとして機能する。
【0011】
本明細書において、『光』は、可視光及び不可視光を含むものである。例えば、可視光域の下限の波長は360nm以上400nm以下であり、可視光域の上限の波長は760nm以上830nm以下である。可視光は、第1波長帯(例えば400nm~500nm)の第1成分(青成分)、第2波長帯(例えば500nm~600nm)の第2成分(緑成分)、及び、第3波長帯(例えば600nm~700nm)の第3成分(赤成分)を含んでいる。不可視光は、第1波長帯より短波長帯の紫外線、及び、第3波長帯より長波長帯の赤外線を含んでいる。
本明細書において、『透明』は、無色透明であることが好ましい。ただし、『透明』は、半透明又は有色透明であってもよい。
【0012】
光導波部1は、X-Y平面に沿った平板状に形成され、第1主面F1と、第2主面F2と、外側面F3と、を有している。第1主面F1及び第2主面F2は、X-Y平面に略平行な面であり、第1方向A1において、互いに対向している。外側面F3は、第1方向A1に沿って延びた面である。図1に示す例では、外側面F3は、X-Z平面と略平行な面であるが、外側面F3は、Y-Z平面と略平行な面を含んでいる。
【0013】
光学素子3は、第1方向A1において、光導波部1の第2主面F2に対向している。光学素子3は、第1主面F1から入射した光LTiの少なくとも一部を光導波部1に向けて反射するものである。一例では、光学素子3は、入射した光LTiのうち、第1円偏光及び第1円偏光とは逆回りの第2円偏光の少なくとも一方を反射する液晶層31を備えている。これらの第1円偏光及び第2円偏光の各々は、上述した第1成分、第2成分、及び、第3成分を含む可視光であってもよいし、不可視光であってもよい。なお、本明細書において、光学素子3における「反射」とは、光学素子3の内部における回折を伴うものである。
【0014】
なお、光学素子3は、例えば、可撓性を有していてもよい。また、光学素子3は、光導波部1の第2主面F2と接触していてもよいし、光学素子3と光導波部1との間に接着層等の透明な層が介在していてもよい。光学素子3と光導波部1との間に介在する層の屈折率は、光導波部1の屈折率とほぼ同等であることが好ましい。光学素子3は、例えば、フィルムとして構成される。
【0015】
太陽電池5は、第2方向A2において、光導波部1の外側面F3に対向している。太陽電池5は、光を受光して、受光した光のエネルギーを電力に変換するものである。つまり、太陽電池5は、受光した光によって発電する。太陽電池の種類は、特に限定されず、太陽電池5は、例えば、シリコン系太陽電池、化合物系太陽電池、有機物系太陽電池、ペロブスカイト型太陽電池、又は、量子ドット型太陽電池である。シリコン系太陽電池としては、アモルファスシリコンを備えた太陽電池や、多結晶シリコンを備えた太陽電池などが含まれる。
【0016】
接着層7は、透明であり、太陽電池5を外側面F3に接着する。接着層7の屈折率は、光導波部1の屈折率とほぼ同等である。なお、ここでのほぼ同等とは、接着層7の屈折率と光導波部1の屈折率との差が、反射回折する波長において0.1以下であり、さらに好ましくは0.05以下である場合に相当する。
【0017】
次に、図1に示す実施形態1において、太陽電池装置100の動作について説明する。
【0018】
光導波部1の第1主面F1に入射する光LTiは、例えば、太陽光である。
図1の例では、理解を容易にするために、光LTiは、光導波部1に対して略垂直に入射するものとする。なお、光導波部1に対する光LTiの入射角度は、特に限定されない。例えば、互いに異なる複数の入射角度をもって光導波部1に光LTiが入射してもよい。
【0019】
光LTiは、第1主面F1から光導波部1の内部に進入して、第2主面F2を介して光学素子3に入射する。そして、光学素子3は、光LTiのうち、一部の光LTrを光導波部1及び太陽電池5に向けて反射し、他の光LTtを透過する。ここでは、光導波部1及び光学素子3における吸収等の光損失は無視している。光学素子3で反射される光LTrは、例えば、所定波長の第1円偏光に相当する。また、光学素子3を透過する光LTtは、所定波長の第2円偏光と、所定波長とは異なる波長の光を含んでいる。なお、本明細書において、円偏光は、厳密な円偏光であってもよいし、楕円偏光に近似した円偏光であってもよい。
【0020】
光学素子3は、第1円偏光を、光導波部1における光導波条件を満足する進入角θで、光導波部1に向けて反射する。ここでの進入角θとは、光導波部1の内部で全反射を起こす臨界角θc以上の角度に相当する。進入角θは、光導波部1に直交する垂線に対する角度を示す。
【0021】
光LTrは、第2主面F2から光導波部1の内部に進入し、光導波部1において反射を繰り返しながら光導波部1の内部を伝搬する。
太陽電池5は、外側面F3から出射した光LTrを受光し、発電する。
【0022】
太陽電池5では、受光した光を効率よく発電に利用することが要求される。例えば、シリコン系の太陽電池5において、シリコンの表面での光反射を抑制する技術として、反射防止膜を形成したり、シリコンの表面に反射防止構造を形成したりする技術は、コストアップの要因となり得る。
【0023】
実施形態1によれば、太陽電池5は、透明な接着層7によって光導波部1の外側面F3に接着されており、光学素子3で反射した光を、光導波部1を介して受光する。光学素子3は、光導波部1に向けて光を反射するときに、後述する螺旋状構造体311によって反射する方向を制御することができる。このため、光導波部1において太陽電池5への光の入射角度を制御することができ、シリコン表面での反射を抑制することができる。
【0024】
また、実施形態1によれば、太陽電池5は透明な接着層7によって光導波部1の外側面F3に接着されており、また、接着層7の屈折率は光導波部1の屈折率とほぼ同等である。このため、たとえ太陽電池5において光が反射されたとしても、ほとんど損失することなく、光導波部1に再び導くことができ、発電に再利用することができる。つまり、接着層7は、太陽電池5を光導波部1に固定するとともに、光導波部1と太陽電池5との間に低損失の光路を形成している。
【0025】
したがって、反射防止膜を形成したり、反射防止構造を形成したりする技術を適用する場合と比較して、太陽電池5を光導波部1に固定するための部品を別途必要とせず、低コストで、低損失の太陽電池装置100を提供することができる。
【0026】
図2は、光学素子3の構造を模式的に示す断面図である。なお、光導波部1は二点鎖線で示している。
光学素子3は、複数の螺旋状構造体311を有している。複数の螺旋状構造体311の各々は、第1方向A1に沿って延びている。つまり、複数の螺旋状構造体311の各々の螺旋軸AXは、光導波部1の第2主面F2に対して略垂直である。螺旋軸AXは、第1方向A1に略平行である。複数の螺旋状構造体311の各々は、螺旋ピッチPを有している。螺旋ピッチPは、螺旋の1周期(360度)を示す。複数の螺旋状構造体311の各々は、複数の要素315を含んでいる。複数の要素315は、旋回しながら第1方向A1に沿って螺旋状に積み重ねられている。
【0027】
光学素子3は、第2主面F2に対向する第1境界面317と、第1境界面317の反対側の第2境界面319と、第1境界面317と第2境界面319との間の複数の反射面321と、を有している。第1境界面317は、光導波部1を透過し第2主面F2から出射した光LTiが入射する面である。第1境界面317及び第2境界面319の各々は、螺旋状構造体311の螺旋軸AXに対して略垂直である。第1境界面317及び第2境界面319の各々は、光導波部1(あるいは第2主面F2)に略平行である。
【0028】
第1境界面317は、螺旋状構造体311の両端部のうちの一端部e1に位置する要素315を含んでいる。第1境界面317は、光導波部1と光学素子3との境界に位置している。第2境界面319は、螺旋状構造体311の両端部のうちの他端部e2に位置する要素315を含んでいる。第2境界面319は、光学素子3と空気層との境界に位置している。
【0029】
実施形態1では、複数の反射面321は、互いに略平行である。反射面321は、第1境界面317及び光導波部1(あるいは第2主面F2)に対して傾斜しており、一定方向に延びる略平面形状を有している。反射面321は、ブラッグの法則に従って、第1境界面317から入射した光LTiのうちの光LTrを選択反射する。具体的には、反射面321は、光LTrの波面WFが反射面321と略平行になるように、光LTrを反射する。更に具体的には、反射面321は、第1境界面317に対する反射面321の傾斜角度φに応じて光LTrを反射する。
【0030】
反射面321は、次のように定義できる。すなわち、光学素子3において選択的に反射される所定波長の光(例えば円偏光)が感じる屈折率は、光が光学素子3の内部を進行するのに伴って徐々に変化する。このため、光学素子3においてフレネル反射が徐々に起こる。そして、複数の螺旋状構造体311において光が感じる屈折率が最も大きく変化する位置で、フレネル反射が最も強く起こる。つまり、反射面321は、光学素子3においてフレネル反射が最も強く起こる面に相当する。
【0031】
複数の螺旋状構造体311のうち、第2方向A2に隣接する螺旋状構造体311の各々の要素315の配向方向は互いに異なっている。また、複数の螺旋状構造体311のうち、第2方向A2に隣接する螺旋状構造体311の各々の空間位相は互いに異なっている。反射面321は、要素315の配向方向が揃った面、あるいは、空間位相が揃った面に相当する。つまり、複数の反射面321の各々は、第1境界面317あるいは光導波部1に対して傾斜している。
【0032】
なお、反射面321の形状は、図2に示したような平面形状に限らず、凹状や凸状の曲面形状であってもよく、特に限定されるものではない。また、反射面321の一部に凸凹を有していたり、反射面321の傾斜角度φが均一でなかったり、複数の反射面321が、規則的に整列していなかったりしてもよい。複数の螺旋状構造体311の空間位相分布に応じて、任意の形状の反射面321を構成することができる。
【0033】
本実施形態では、螺旋状構造体311は、コレステリック液晶である。要素315の各々は、液晶分子に相当する。図2では、図面の簡略化のため、1つの要素315は、X-Y平面内に位置する複数の液晶分子のうち、平均的配向方向を向いている液晶分子を代表して示している。
【0034】
螺旋状構造体311であるコレステリック液晶は、選択反射帯域Δλに含まれる所定波長λを有する光であって、コレステリック液晶の螺旋の旋回方向と同じ旋回方向の円偏光を反射する。例えば、コレステリック液晶の旋回方向が右回りの場合、所定波長λの光のうち、右回りの円偏光を反射し、左回りの円偏光を透過する。同様に、コレステリック液晶の旋回方向が左回りの場合、所定波長λの光のうち、左回りの円偏光を反射し、右回りの円偏光を透過する。
【0035】
コレステリック液晶の螺旋のピッチをP、液晶分子の異常光に対する屈折率をne、液晶分子の常光に対する屈折率をnoと記載すると、一般的に、垂直入射した光に対するコレステリック液晶の選択反射帯域Δλは、「no*P~ne*P」で示される。なお、詳細には、コレステリック液晶の選択反射帯域Δλは、「no*P~ne*P」の範囲に対して、反射面321の傾斜角度φや、第1境界面317への入射角度などに応じて変化する。
【0036】
光学素子3がコレステリック液晶によって構成される場合、例えば、光学素子3はフィルムとして形成される。フィルムとしての光学素子3は、例えば、複数の螺旋状構造体311を重合させることによって形成される。具体的には、フィルムとしての光学素子3は、光学素子3に含まれる複数の要素(液晶分子)315を重合させることによって形成される。例えば、複数の液晶分子に光を照射することによって、複数の液晶分子を重合させる。
【0037】
又は、フィルムとしての光学素子3は、例えば、所定の温度又は所定の濃度において液晶状態を示す高分子液晶材料を、液晶状態において複数の螺旋状構造体311を形成するように配向制御し、その後、配向を維持したまま固体に転移させることで形成される。
【0038】
重合又は固体への転移によって、フィルムとしての光学素子3では、隣り合う螺旋状構造体311は、螺旋状構造体311の配向を維持したまま、つまり、螺旋状構造体311の空間位相を維持したまま、互いに結合している。その結果、フィルムとしての光学素子3では、各液晶分子の配向方向が固定されている。
【0039】
図3は、太陽電池装置100を模式的に示す平面図である。
図3には、螺旋状構造体311の空間位相の一例が示されている。ここに示す空間位相は、螺旋状構造体311に含まれる要素315のうち、第1境界面317に位置する要素315の配向方向として示している。
【0040】
第2方向A2に沿って並んだ螺旋状構造体311の各々について、第1境界面317に位置する要素315の配向方向は互いに異なる。つまり、第1境界面317における螺旋状構造体311の空間位相は、第2方向A2に沿って異なる。
一方、第3方向A3に沿って並んだ螺旋状構造体311の各々について、第1境界面317に位置する要素315の配向方向は略一致する。つまり、第1境界面317における螺旋状構造体311の空間位相は、第3方向A3において略一致する。
【0041】
特に、第2方向A2に並んだ螺旋状構造体311に着目すると、各要素315の配向方向は、一定角度ずつ異なっている。つまり、第1境界面317において、第2方向A2に沿って並んだ複数の要素315の配向方向は、線形に変化している。したがって、第2方向A2に沿って並んだ複数の螺旋状構造体311の空間位相は、第2方向A2に沿って線形に変化している。その結果、図2に示した光学素子3のように、第1境界面317及び光導波部1に対して傾斜する反射面321が形成される。ここでの「線形に変化」は、例えば、要素315の配向方向の変化量が1次関数で表されることを示す。
【0042】
ここで、図3に示すように、第1境界面317において、第2方向A2に沿って要素315の配向方向が180度だけ変化するときの2つの螺旋状構造体311の間隔を螺旋状構造体311の周期Tと定義する。なお、図3においてDPは要素の旋回方向を示している。図2に示した反射面321の傾斜角度φは、周期T及び螺旋ピッチPによって適宜設定される。
【0043】
図4は、光学素子3の一例を模式的に示す断面図である。図4に示す例では、光学素子3は、主として第1成分LT1を反射する第1層L1と、主として第2成分LT2を反射する第2層L2と、主として第3成分LT3を反射する第3層L3と、を備えている。第1層L1、第2層L2、及び、第3層L3は、第1方向A1においてこの順に積層されている。第1層L1は、第2主面F2と対向している。なお、第1層L1、第2層L2、及び、第3層L3の積層順は、図4に示す例に限らない。
【0044】
図4には、第1層L1、第2層L2、及び、第3層L3の各々における螺旋状構造体311として、一方向に旋回したコレステリック液晶を模式的に示している。第1層L1、第2層L2、及び、第3層L3の各々の螺旋状構造体311は、同一方向に旋回しており、例えば第1円偏光を反射するように構成されている。
【0045】
第1層L1においては、螺旋状構造体311は、第1円偏光の第1成分LT11を反射するべく、第1螺旋ピッチP1を有している。
第2層L2においては、螺旋状構造体311は、第1円偏光の第2成分LT21を反射するべく、第2螺旋ピッチP2を有している。第2螺旋ピッチP2は、第1螺旋ピッチP1とは異なる。
第3層L3においては、螺旋状構造体311は、第1円偏光の第3成分LT31を反射するべく、第3螺旋ピッチP3を有している。第3螺旋ピッチP3は、第1螺旋ピッチP1及び第2螺旋ピッチP2とは異なる。
第2螺旋ピッチP2は第1螺旋ピッチP1より大きく、第3螺旋ピッチP3は第2螺旋ピッチP2より大きい(P1<P2<P3)。
【0046】
ここで、光導波部1を介して入射する光LTiが第1成分LT1、第2成分LT2、及び、第3成分LT3を含んでいる場合について説明する。
第1層L1の反射面321では、第1円偏光の第1成分LT11が反射され、第2円偏光の第1成分LT12の他に、第2成分LT2及び第3成分LT3が透過される。
第2層L2の反射面321では、第1円偏光の第2成分LT21が反射され、第2円偏光の第1成分LT12及び第2成分LT22の他に、第3成分LT3が透過される。
第3層L3の反射面321では、第1円偏光の第3成分LT31が反射され、第2円偏光の第1成分LT12、第2成分LT22、及び、第3成分LT32が透過される。
つまり、光学素子3において反射される光LTrは、第1円偏光の第1成分LT11、第2成分LT21、及び、第3成分LT31を含み、光学素子3を透過する光LTtは、第2円偏光の第1成分LT12、第2成分LT22、及び、第3成分LT32を含んでいる。
【0047】
なお、各層の螺旋状構造体311のうちの1つの層の螺旋状構造体311が他の層の螺旋状構造体311とは異なる方向に旋回していてもよい。この場合、互いに逆方向の円偏光が反射される。
【0048】
図4に示す例では、第1層L1、第2層L2、及び、第3層L3は、個別に形成されている。第1層L1においては、螺旋状構造体311の第1螺旋ピッチP1はほとんど変化することなく一定である。第2層L2においても第2螺旋ピッチP2はほぼ一定であり、第3層L3においても第3螺旋ピッチP3はほぼ一定である。
【0049】
なお、光学素子3が単層体の液晶層であって、螺旋ピッチPが第1方向A1に沿って連続的に変化するものであってもよい。
【0050】
また、光学素子3は、不可視光を反射する層を含んでいてもよい。
【0051】
(変形例1)
図5は、実施形態1の変形例1に係る光学素子3を模式的に示す断面図である。
図5に示す変形例1は、上記の実施形態1と比較して、螺旋状構造体311の螺旋軸AXが光導波部1あるいは第2主面F2に対して傾斜している点で相違している。また、ここでの変形例1では、第1境界面317あるいはX-Y平面内での螺旋状構造体311の空間位相は略一致している。その他、変形例1に係る螺旋状構造体311は、上記した実施形態1に係る螺旋状構造体311と同様の特性を有している。
このような変形例1では、光学素子3は、光導波部1を介して入射した光LTiのうち、一部の光LTrを螺旋軸AXの傾斜に応じた反射角で反射し、その他の光LTtを透過する。
【0052】
このような変形例1においても、上記の実施形態1と同様の効果が得られる。
【0053】
(変形例2)
図6は、変形例2の太陽電池装置100を模式的に示す平面図である。変形例2は、上記の実施形態や変形例1と比較して、光学素子3が太陽電池5に向かって集光するように構成された点で相違している。図6には、光学素子3で反射された光LTrの伝搬の理解を容易にするために、光LTrの波面WFが示されている。
【0054】
図6において、IIIa-IIIa線に沿った太陽電池装置100の断面、IIIb-IIIb線に沿った太陽電池装置100の断面、及び、IIIc-IIIc線に沿った太陽電池装置100の断面は、図1に示した太陽電池装置100の断面と同様である。
また、IIIa-IIIa線に沿った光学素子3の断面、IIIb-IIIb線に沿った光学素子3の断面、及び、IIIc-IIIc線に沿った光学素子3の断面は、例えば、図2に示した光学素子3の断面、あるいは、図5に示した光学素子3の断面と同様である。
【0055】
つまり、図2あるいは図5を参照して説明したように、光学素子3の反射面321は、X-Y平面内の各位置で、光を太陽電池5に向けて反射するように傾斜している。光学素子3で反射された光LTrは、太陽電池5に向かって光導波部1の内部を伝搬する。
【0056】
このような変形例2においても、上記の実施形態1と同様の効果が得られる。
さらに、変形例2によれば、光学素子3が太陽電池5に向かって集光するように傾斜した反射面321を有し、反射された光LTrが光導波部1において太陽電池5に向かって伝搬するため、太陽電池5の単位時間当たりの受光量を増加することができる。したがって、太陽電池5を小型化でき、さらに、太陽電池5の発電量を増加できる。
【0057】
(実施形態2)
図7は、実施形態2の太陽電池装置100を模式的に示す平面図である。ここでは、光学素子3の図示を省略している。実施形態2は、実施形態1と比較して、太陽電池装置100が第2方向A2に並んだ複数の光導波部1を接着することによって構成された点で相違している。図7に示す例では、太陽電池装置100は、光導波部1として、光導波部(第1光導波部)1Aと、光導波部(第2光導波部)1Bと、を備えている。光導波部1A及び光導波部1Bは、接着層(第2接着層)8によって接着されている。光導波部1A及び光導波部1Bは、第2方向A2に並んでいるが、第3方向A3に並んでいてもよい。
【0058】
光導波部1A及び光導波部1Bの各々は、X-Y平面に沿った平板状に形成されている。また、光導波部1A及び光導波部1Bは、透明な同一材料によって形成され、同一の屈折率を有している。
【0059】
光導波部1Aは、外側面(第1側面)F3Aと、外側面F3Aとは異なる側面(第2側面)F31と、を有している。光導波部1Bは、外側面F3Bと、外側面(第4側面)F3Bとは異なる側面(第3側面)F32と、を有している。側面F31及び側面F32は、第3方向A3に沿って延びた面である。側面F31は、第2方向A2において側面F32と対向している。
【0060】
接着層8は、透明であり、側面F31と側面F32との間で光導波部1A及び光導波部1Bを接着している。接着層8の屈折率は、光導波部1A及び光導波部1Bの屈折率とほぼ同等である。例えば、接着層8の屈折率と光導波部1Aの屈折率との差、及び、接着層8の屈折率と光導波部1Bの屈折率との差は、反射回折する波長において0.1以下であり、さらに好ましくは0.05以下である。
【0061】
図7に示す太陽電池装置100は、複数の太陽電池5A及び5Bを備えている。太陽電池(第1太陽電池)5Aは、接着層7Aにより光導波部1Aの外側面F3Aに接着されている。太陽電池(第2太陽電池)5Bは、接着層7Bにより光導波部1Bの外側面F3Bに接着されている。接着層7A及び7Bの屈折率は、接着層8の屈折率と同等である。例えば、接着層7A及び7Bは、接着層8と同一材料によって形成されている。但し、接着層7A及び7B、及び、接着層8は、透明且つ同等の屈折率を有する材料であれば、互いに異なる材料によって形成されてもよい。
【0062】
太陽電池装置100は、太陽電池5A及び5Bのいずれか一方のみを備えていてもよいし、3個以上の太陽電池5を備えていてもよい。
【0063】
図8は、図7に示した太陽電池装置100のA-B線に沿った断面図である。接着層8は、光導波部1A及び1Bの厚さと同等の厚さTと、側面F31及び側面F32の間隔と同等の幅Wを有している。厚さTは、幅Wより大きい(T>W)。なお、厚さTは第1方向A1に沿った長さであり、幅Wは第2方向A2に沿った長さである。接着層8は、第1主面F1の一部、及び、第2主面F2の一部を形成している。換言すると、第1主面F1及び第2主面F2の各々は、光導波部1A、光導波部1B、及び、接着層8によって形成された面である。
【0064】
光学素子3は、光導波部1Aと対向する第1素子3Aと、光導波部1Bと対向する第2素子3Bと、を備えている。第1素子3Aは、第2素子3Bから離間している。図8に示す例では、第1方向A1において接着層8と対向する位置には、第1素子3A及び第2素子3Bのいずれも配置されていない。
【0065】
第1素子3Aの反射面321Aは、第2素子3Bの反射面321Bとは異なる傾斜面である。すなわち、反射面321Aは、光導波部1を介して入射した光LTiを太陽電池5Aに向けて反射するように傾斜している。反射面321Bは、光導波部1を介して入射した光LTiを太陽電池5Bに向けて反射するように傾斜している。
【0066】
このような実施形態2においても、上記の実施形態1と同様の効果が得られる。加えて、複数の光導波部1が接着されることにより、容易に大型の太陽電池装置100を提供することができる。
【0067】
また、光導波部1A及び光導波部1Bを接着する接着層8が各光導波部と同等の屈折率を有しているため、接着層8は、光導波部1Aと光導波部1Bとの間に低損失の光路を形成する。このため、例えば、光導波部1Aの内部を伝搬する光を接着層8及び光導波部1Bに伝搬することができ、また、光導波部1Bの内部を伝搬する光を接着層8及び光導波部1Aに伝搬することができる。
【0068】
また、接着層8において、厚さTが幅Wより大きいため、接着層8に対向する光学素子3が設けられていなくても、接着層8での光漏れが抑制される。
【0069】
実施形態2においては、光学素子3の詳細についての説明を省略したが、実施形態1において図2を参照しながら説明したように、空間位相を調整することで傾斜した反射面321A及び321Bを形成してもよいし、図5を参照しながら説明したように、螺旋軸AXを傾斜させることで傾斜した反射面321A及び321Bを形成してもよい。
【0070】
(変形例1)
図9は、実施形態2の変形例1に係る太陽電池装置100の断面図である。
図9に示す変形例1は、図8に示した実施形態2と比較して、光学素子3が接着層8を越えて、光導波部1A及び光導波部1Bに亘って対向している点で相違している。つまり、光学素子3は、単一シートとして形成され、第2主面F2のほぼ全面に亘って配置されている。
【0071】
このような変形例1でも、上記の実施形態2と同様の効果が得られる。加えて、部品点数を削減することができる。
【0072】
(変形例2)
図10は、実施形態2の変形例2に係る太陽電池装置100を模式的に示す平面図である。ここでは、光学素子3の図示を省略している。図10に示す変形例2は、図7に示した実施形態2と比較して、第2方向A2及び第3方向A3に並んだ複数の光導波部が接着された点で相違している。
【0073】
太陽電池装置100は、光導波部1Aと、光導波部1Bと、光導波部1Cと、光導波部1Dと、接着層(第2接着層)8と、を備えている。光導波部1A及び光導波部1Bは第2方向A2に並び、光導波部1C及び光導波部1Dは第2方向A2に並び、光導波部1A及び光導波部1Cは第3方向A3に並び、光導波部1B及び光導波部1Dは第3方向A3に並んでいる。
【0074】
光導波部1A、光導波部1B、光導波部1C、及び、光導波部1Dの各々は、X-Y平面に沿った平板状に形成されている。また、光導波部1A、光導波部1B、光導波部1C、及び、光導波部1Dは、透明な同一材料によって形成され、同一の屈折率を有している。
【0075】
光導波部1Aは、外側面F3Aとは異なる側面F31を有している。光導波部1Bは、外側面F3Bとは異なる側面F32を有している。光導波部1Cは、外側面F3Cとは異なる側面F33を有している。光導波部1Dは、外側面F3Dとは異なる側面F34を有している。側面F31、側面F32、側面F33、及び、側面F34は、X-Y平面においてL字状の面である。
【0076】
接着層8は、透明であり、側面F31、側面F32、側面F33、及び、側面F34において、光導波部1A、光導波部1B、光導波部1C、及び、光導波部1Dを互いに接着している。接着層8の屈折率は、光導波部1A等の屈折率とほぼ同等である。
【0077】
太陽電池5Aは、接着層7Aにより光導波部1Aの外側面F3Aに接着されている。太陽電池5Bは、接着層7Bにより光導波部1Bの外側面F3Bに接着されている。太陽電池5Cは、接着層7Cにより光導波部1Cの外側面F3Cに接着されている。太陽電池5Dは、接着層7Dにより光導波部1Dの外側面F3Dに接着されている。
【0078】
このような変形例2でも、上記の実施形態2と同様の効果が得られる。
【0079】
(変形例3)
図11は、実施形態2の変形例3に係る太陽電池装置100の断面図である。
図11に示す変形例3は、上記の実施形態2と比較して、太陽電池装置100がさらに光導波部1A及び光導波部1Bを覆う透明な保護層9を備えた点で相違している。保護層9は、第1主面F1及び第2主面F2の各々のほぼ全面を覆っている。換言すると、第1主面F1及び第2主面F2にそれぞれ接触している。また、保護層9は、接着層8にも接触している。光導波部1A及び光導波部1Bの第2主面F2の側においては、光導波部1Aと光学素子3との間、及び、光導波部1Bと光学素子3との間に保護層9が配置されている。
【0080】
保護層9は、例えば接着層8と同一材料によって形成される。保護層9の屈折率は、光導波部1の屈折率(あるいは光導波部1A及び光導波部1Bの屈折率)とほぼ同等である。
【0081】
このような変形例3でも、上記の実施形態2と同様の効果が得らえる。加えて、光導波部1の損傷を抑制することができる。
【0082】
(変形例4)
図12は、実施形態2の変形例4に係る太陽電池装置100の断面図である。
図12に示す変形例4は、図11に示した変形例3と比較して、透明な保護層9が光導波部1A、光導波部1B、及び、光学素子3を覆っている点で相違している。保護層9は、第1主面F1及び光学素子3の各々のほぼ全面を覆っている。光導波部1A及び光導波部1Bの第2主面F2の側においては、光導波部1Aと保護層9の間、及び、光導波部1Bと保護層9との間に光学素子3が配置されている。換言すると、保護層9は、第1主面F1、及び、光学素子3の第2境界面319にそれぞれ接触している。
【0083】
このような変形例4でも、上記の変形例3と同様の効果が得らえる。
【0084】
なお、変形例3及び変形例4において、光学素子3は、図8に示したように互いに離間した第1素子3A及び第2素子3Bを備えていてもよいし、図9に示したように単一シートとして形成されてもよい。
【0085】
また、保護層9は、さらに、外側面F3A及びF3Bを覆っていてもよい。この場合、保護層9が接着層7A及び7Bと置換されてもよい。つまり、太陽電池5A及び5Bは、それぞれ保護層9によって接着されてもよい。また、太陽電池5Aと外側面F3Aとの間に保護層9及び接着層7Aが介在してもよいし、太陽電池5Bと外側面F3Bとの間に保護層9及び接着層7Bが介在してもよい。
【0086】
上述した実施形態1及び2は、互いに組み合わせることができる。
【0087】
以上説明したように、本実施形態によれば、低コストで低損失の太陽電池装置を提供することができる。
【0088】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0089】
100…太陽電池装置
1…光導波部 F1…第1主面 F2…第2主面 F3…外側面
3…光学素子 311…螺旋状構造体(コレステリック液晶) 321…反射面
5…太陽電池 7…接着層
1A、1B…光導波部 F3A、F3B…外側面 F31、F32…側面
3A…第1素子 3B…第2素子
5A、5B…太陽電池 7A、7B…接着層 8…接着層 9…保護層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12