(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】基板処理方法及び基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20241016BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
(21)【出願番号】P 2021012453
(22)【出願日】2021-01-28
【審査請求日】2023-07-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】宮下 浩己
(72)【発明者】
【氏名】庄子 玲衣
【審査官】原島 啓一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-225437(JP,A)
【文献】特開2012-028431(JP,A)
【文献】特開2014-017406(JP,A)
【文献】特開2006-278436(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/302
H01L 21/461
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)シリコン含有膜と、前記シリコン含有膜上の有機膜のマスクとを有する基板をチャンバ内に提供する工程と、
(b)炭素及びフッ素含有ガスと、水素及び臭素含有ガスとを含む第1処理ガスから生成したプラズマにより前記シリコン含有膜をエッチングする工程と、
(c)炭素及びフッ素含有ガスを含む第2処理ガスから生成したプラズマにより前記シリコン含有膜をさらにエッチングする工程と、
を有し、
前記第1処理ガスに含まれる水素及び臭素含有ガスの流量は、前記炭素及びフッ素含有ガスの流量よりも少ない、
基板処理方法。
【請求項2】
前記水素及び臭素含有ガスは、臭化水素ガス、又は水素ガスと臭素ガスとの混合ガスである、
請求項
1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記(b)の工程と前記(c)の工程とを繰り返し実行する、
請求項1
または請求項2に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記(b)の工程と前記(c)の工程の合計時間に対する前記(b)の工程の時間の比は0.4~0.8である、
請求項1
乃至請求項3のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記シリコン含有膜は、シリコン酸化膜である、
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項6】
基板のエッチングが行われるチャンバと、制御部と、を有する基板処理装置であって、
前記制御部は、
(a)シリコン
含有膜と、前記シリコン
含有膜上の有機膜のマスクとを有する基板をチャンバ内に提供する工程と、
(b)
炭素及びフッ素含有ガスと
、水素
及び臭素含有ガスとを含む第1処理ガスから生成したプラズマにより前記シリコン
含有膜をエッチングする工程と、
(c)
炭素及びフッ素含有ガスを含む第2処理ガスから生成したプラズマにより前記シリコン
含有膜をさらにエッチングする工程と、
を制御し、
前記第1処理ガスに含まれる水素
及び臭素含有ガスの流量が、前記
炭素及びフッ素含有ガスの流量よりも少なくなるように制御する、
基板処理装置。
【請求項7】
前記水素及び臭素含有ガスは、臭化水素ガス、又は水素ガスと臭素ガスとの混合ガスである、
請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記(b)の工程と前記(c)の工程とを繰り返し実行する、
請求項6または請求項7に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記(b)の工程と前記(c)の工程の合計時間に対する前記(b)の工程の時間の比は0.4~0.8である、
請求項6乃至請求項8のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記シリコン含有膜は、シリコン酸化膜である、
請求項6乃至請求項9のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理方法及び基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1は、マスクを介して、シリコン酸化膜に、エッチング工程によってホールを形成するプラズマエッチング方法であって、フルオロカーボンガスを含むエッチングガスを使用してシリコン酸化膜をエッチングすることを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マスクが歪むと、マスクを介して下層膜をエッチングしたときに下層膜に形状異常が生じる。
【0005】
本開示は、エッチング工程における膜の形状異常を抑制することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一の態様によれば、(a)シリコン含有膜と、前記シリコン含有膜上の有機膜のマスクとを有する基板をチャンバ内に提供する工程と、(b)炭素及びフッ素含有ガスと、水素及び臭素含有ガスとを含む第1処理ガスから生成したプラズマにより前記シリコン含有膜をエッチングする工程と、(c)炭素及びフッ素含有ガスを含む第2処理ガスから生成したプラズマにより前記シリコン含有膜をさらにエッチングする工程と、を有し、前記第1処理ガスに含まれる水素及び臭素含有ガスの流量は、前記炭素及びフッ素含有ガスの流量よりも少ない、基板処理方法が提供される。
【発明の効果】
【0007】
一の側面によれば、エッチング工程における膜の形状異常を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示に係る基板処理装置の一例を示す断面模式図である。
【
図2】
図2は、本開示に係るエッチング工程における膜構造とホール形状の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、本開示に係るHBrガスの添加の有無とホールの形状の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本開示に係る基板処理方法の第1実施形態を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、本開示に係る基板処理方法の第2実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
[プラズマ処理システム]
以下に、プラズマ処理システムの構成例について
図1を参照して説明する。プラズマ処理システムは、容量結合のプラズマ処理装置1及び制御部2を含む。プラズマ処理装置1は基板処理装置の一例である。容量結合のプラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、ガス供給部20、電源30及び排気システム40を含む。また、プラズマ処理装置1は、基板支持部11及びガス導入部を含む。ガス導入部は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に導入するように構成される。ガス導入部は、シャワーヘッド13を含む。基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10内に配置される。シャワーヘッド13は、基板支持部11の上方に配置される。本開示において、シャワーヘッド13は、プラズマ処理チャンバ10の天部(ceiling)の少なくとも一部を構成する。プラズマ処理チャンバ10は、シャワーヘッド13、プラズマ処理チャンバ10の側壁10a及び基板支持部11により規定されたプラズマ処理空間10sを有する。プラズマ処理チャンバ10は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10sに供給するための少なくとも1つのガス供給口と、プラズマ処理空間からガスを排出するための少なくとも1つのガス排出口とを有する。側壁10aは接地される。シャワーヘッド13及び基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10筐体とは電気的に絶縁される。
【0011】
基板支持部11は、本体部111及びリングアセンブリ112を含む。本体部111は、基板(ウェハ)Wを支持するための中央領域(基板支持面)111aと、リングアセンブリ112を支持するための環状領域(リング支持面)111bとを有する。本体部111の環状領域111bは、平面視で本体部111の中央領域111aを囲んでいる。基板Wは、本体部111の中央領域111a上に配置され、リングアセンブリ112は、本体部111の中央領域111a上の基板Wを囲むように本体部111の環状領域111b上に配置される。本開示において、本体部111は、基台及び静電チャックを含む。基台は、導電性部材を含む。基台の導電性部材は下部電極として機能する。静電チャックは、基台の上に配置される。静電チャックの上面は、基板支持面111aを有する。リングアセンブリ112は、1又は複数の環状部材を含む。1又は複数の環状部材のうち少なくとも1つはエッジリングである。また、図示は省略するが、基板支持部11は、静電チャック、リングアセンブリ112及び基板のうち少なくとも1つをターゲット温度に調節するように構成される温調モジュールを含んでもよい。温調モジュールは、ヒータ、伝熱媒体、流路、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。流路には、ブラインやガスのような伝熱流体が流れる。また、基板支持部11は、基板Wの裏面と基板支持面111aとの間に伝熱ガスを供給するように構成された伝熱ガス供給部を含んでもよい。
【0012】
シャワーヘッド13は、ガス供給部20からの少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10s内に導入するように構成される。シャワーヘッド13は、少なくとも1つのガス供給口13a、少なくとも1つのガス拡散室13b、及び複数のガス導入口13cを有する。ガス供給口13aに供給された処理ガスは、ガス拡散室13bを通過して複数のガス導入口13cからプラズマ処理空間10s内に導入される。また、シャワーヘッド13は、導電性部材を含む。シャワーヘッド13の導電性部材は上部電極として機能する。なお、ガス導入部は、シャワーヘッド13に加えて、側壁10aに形成された1又は複数の開口部に取り付けられる1又は複数のサイドガス注入部(SGI:Side Gas Injector)を含んでもよい。
【0013】
ガス供給部20は、少なくとも1つのガスソース21及び少なくとも1つの流量制御器22を含んでもよい。本開示において、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスを、それぞれに対応のガスソース21からそれぞれに対応の流量制御器22を介してシャワーヘッド13に供給するように構成される。各流量制御器22は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を含んでもよい。さらに、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスの流量を変調又はパルス化する1又はそれ以上の流量変調デバイスを含んでもよい。
【0014】
電源30は、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介してプラズマ処理チャンバ10に結合されるRF電源31を含む。RF電源31は、ソースRF信号及びバイアスRF信号のような少なくとも1つのRF信号(RF電力)を、基板支持部11の導電性部材及び/又はシャワーヘッド13の導電性部材に供給するように構成される。これにより、プラズマ処理空間10sに供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマが形成される。従って、RF電源31は、プラズマ処理チャンバ10において1又はそれ以上の処理ガスからプラズマを生成するように構成されるプラズマ生成部の少なくとも一部として機能し得る。また、バイアスRF信号を基板支持部11の導電性部材に供給することにより、基板Wにバイアス電位が発生し、形成されたプラズマ中のイオン成分を基板Wに引き込むことができる。
【0015】
本開示において、RF電源31は、第1のRF生成部31a及び第2のRF生成部31bを含む。第1のRF生成部31aは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して基板支持部11の導電性部材及び/又はシャワーヘッド13の導電性部材に結合され、プラズマ生成用のソースRF信号(ソースRF電力)を生成するように構成される。本開示において、ソースRF信号は、13MHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。本開示において、第1のRF生成部31aは、異なる周波数を有する複数のソースRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のソースRF信号は、基板支持部11の導電性部材及び/又はシャワーヘッド13の導電性部材に供給される。第2のRF生成部31bは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して基板支持部11の導電性部材に結合され、バイアスRF信号(バイアスRF電力)を生成するように構成される。本開示において、バイアスRF信号は、ソースRF信号よりも低い周波数を有する。本開示において、バイアスRF信号は、400kHz~13.56MHzの範囲内の周波数を有する。本開示において、第2のRF生成部31bは、異なる周波数を有する複数のバイアスRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のバイアスRF信号は、基板支持部11の導電性部材に供給される。また、種々の実施形態において、ソースRF信号及びバイアスRF信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。
【0016】
また、電源30は、プラズマ処理チャンバ10に結合されるDC電源32を含んでもよい。DC電源32は、第1のDC生成部32a及び第2のDC生成部32bを含む。本開示において、第1のDC生成部32aは、基板支持部11の導電性部材に接続され、第1のDC信号を生成するように構成される。生成された第1のバイアスDC信号は、基板支持部11の導電性部材に印加される。本開示において、第1のDC信号が、静電チャック内の電極のような他の電極に印加されてもよい。本開示において、第2のDC生成部32bは、シャワーヘッド13の導電性部材に接続され、第2のDC信号を生成するように構成される。生成された第2のDC信号は、シャワーヘッド13の導電性部材に印加される。種々の実施形態において、第1及び第2のDC信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。なお、第1及び第2のDC生成部32a,32bは、RF電源31に加えて設けられてもよく、第1のDC生成部32aが第2のRF生成部31bに代えて設けられてもよい。
【0017】
排気システム40は、例えばプラズマ処理チャンバ10の底部に設けられたガス排出口10eに接続され得る。排気システム40は、圧力調整弁及び真空ポンプを含んでもよい。圧力調整弁によって、プラズマ処理空間10s内の圧力が調整される。真空ポンプは、ターボ分子ポンプ、ドライポンプ又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0018】
制御部2は、本開示において述べられる種々の工程を、プラズマ処理装置1を一例とする基板処理装置に実行させるコンピュータ実行可能な命令を処理する。制御部2は、ここで述べられる種々の工程を実行するように基板処理装置の各要素を制御するように構成され得る。本開示において、制御部2の一部又は全てが基板処理装置に含まれてもよい。制御部2は、例えばコンピュータ2aを含んでもよい。コンピュータ2aは、例えば、処理部(CPU:Central Processing Unit)2a1、記憶部2a2、及び通信インターフェース2a3を含んでもよい。処理部2a1は、記憶部2a2に格納されたプログラムに基づいて種々の制御動作を行うように構成され得る。記憶部2a2は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。通信インターフェース2a3は、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介して基板処理装置との間で通信してもよい。
【0019】
[エッチング工程とホールの形状]
次に、本開示に係る基板処理方法において実行されるエッチング工程について、
図2を参照しながら説明する。
図2は、本開示に係るエッチング工程の対象となる膜構造と、このエッチング工程により形成されるエッチング形状の一例を示す図である。本開示に係るエッチング工程を含む基板処理方法は、プラズマ処理装置1を一例とする基板処理装置において実行される。なお、以下では、エッチング工程によりホールHが形成される場合について説明しているが、エッチング形状はこれに限らない。本開示にエッチング工程は、例えば、トレンチ等を形成する場合にも適用可能である。
【0020】
エッチング前の初期状態の膜構造の一例を
図2(a)の上段に示す。基板W上には、下から順にポリシリコン膜100、シリコン酸化膜101、有機膜102、Si-ARC(シリコン含有反射防止膜)103、及びレジスト膜104が積層されている。
図2(b)~(e)の上段は、エッチングの途中、エッチング完了時の膜構造の一例を示す。
【0021】
図2(a)~(e)の下段は、この膜構造を平面視したときのホールHのパターンを示す。
図2(a)の下段は、初期状態の膜構造を平面視したときのホールHのパターンを示す。レジスト膜104には、略真円のホールHのパターンが等間隔に形成され、ホールHの底部にはSi-ARC103が露出している。
【0022】
上記膜構造の基板Wに対して、レジスト膜104をマスクとしてSi-ARC103をエッチングする。このエッチング工程は、有機膜102が露出するまで行う。次に、Si-ARC103をマスクとして有機膜102をエッチングする。このエッチング工程は、シリコン酸化膜101が露出するまで行う。
【0023】
図2(b)は、有機膜102をシリコン酸化膜101が露出するまでエッチングしたときの膜構造とその膜構造を平面視したときのホールHを示す。有機膜102には、略真円のホールHが等間隔に形成される。
【0024】
次に、有機膜102をマスクとしてシリコン酸化膜101をエッチングする。このエッチング工程は、ポリシリコン膜100が露出するまで行う。
【0025】
図2(c)は、シリコン酸化膜101をポリシリコン膜100が露出するまでエッチングしたときの膜構造とその膜構造を平面視したときのホールHを示す。有機膜102に歪みがなく、有機膜102に略真円のホールHが等間隔に形成されている場合、
図2(c)の下段に示すように有機膜102を介してエッチングされたシリコン酸化膜101には、略真円のホールHが等間隔に形成される。
【0026】
上記エッチング工程を実行した後、シリコン酸化膜101上の有機膜102をアッシングにより除去する。
図2(d)は、アッシングした後の膜構造とその膜構造を平面視したときのホールHを示す。
図2(d)の下段に示すようにシリコン酸化膜101には、略真円のホールHが等間隔に形成されている。
【0027】
ところが、
図2(e)に示すように、有機膜102の大きさや形状に異常があり有機膜102に歪みが生じると、有機膜102をマスクとしてエッチングしたシリコン酸化膜101に形状異常が生じる。つまり、シリコン酸化膜101に形成されたホールHに、大きさや形状のばらつきや、隣接するホールH間の距離のはらつきが生じる。
【0028】
シリコン酸化膜101をエッチングするには、C4F8ガス、C4F6ガス等のフルオロカーボンガス(以下、「CxFyガス」ともいう。)が使用される。CxFyガスによりシリコン酸化膜101をエッチングしている間に有機膜102はダメージを受ける。その結果、有機膜102が削れてシリコン酸化膜101に対する有機膜102の選択比(以下、「マスク選択比」ともいう。)が不足したり、有機膜102に歪みが生じたりする。
【0029】
歪んだ有機膜102をマスクとしてシリコン酸化膜101をエッチングすると、
図2(e)に示すように、シリコン酸化膜101に形成されたホールHに形状異常が生じる。
【0030】
これに対して、CxFyガスやハイドロフルオロカーボンガス(以下、「CHzFyガス」ともいう)等のガス種を適正化してマスク選択比を改善したり、マスク上に保護膜を形成させたりすることが考えられる。しかし、この手法では、有機膜102のマスクのホールHが閉塞する課題が生じる場合がある。
【0031】
そこで、本開示に係る基板処理方法に含まれるエッチング工程では、有機膜102の形状を改善するために水素(H)含有ガスをCxFyガスに添加してシリコン酸化膜101をエッチングする。具体的には、シリコン酸化膜101のエッチングを2工程に分け、第1エッチング工程では、CxFyガスとH含有ガスとを含む第1処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に供給する。そして、第1処理ガスからプラズマを生成してシリコン酸化膜101をエッチングする。第1エッチング工程では、第1処理ガスに含まれるH含有ガスの流量を、CxFyガスの流量よりも少なくする。
【0032】
第1エッチング工程を実行した後の第2エッチング工程では、CxFyガスを含む第2処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に供給する。そして、第2処理ガスからプラズマを生成してシリコン酸化膜101をさらにエッチングし、ポリシリコン膜100が露出するまでエッチングする。
【0033】
図3は、第1エッチング工程において、H含有ガスとして臭化水素ガス(HBr)を添加した場合の効果の一例を示す図である。
【0034】
図3の上段は、比較例(HBrガスの添加なし)に係るエッチング結果の一例を示す。比較例では、第1エッチング工程においてCxFyガスにHBrガスを添加していない。比較例の第2エッチング工程は本実施形態の第2エッチング工程と同じエッチング条件である。つまり、比較例では、第1エッチング工程及び2エッチング工程においてC
4F
8ガス、C
4F
6ガス、アルゴン(Ar)ガス、酸素(O
2)ガスを供給し、これらのガスから生成したプラズマによって有機膜102をマスクとしてシリコン酸化膜101をエッチングした。
【0035】
この結果、
図3の上段左図に示すように、シリコン酸化膜101のエッチング後、アッシング前の有機膜102は、シリコン酸化膜101のエッチング中にCxFyガスによりダメージを受けて歪み、ホールHの大きさや形状にばらつきが見られた。その結果、有機膜102をアッシングした後の上段右図では、シリコン酸化膜101のホールHに形状異常が生じ、ホールHの大きさや形状のばらつき及び隣接するホールH間の距離のはらつきが大きくなった。
【0036】
これに対して、本実施形態では、第1エッチング工程にて、第1処理ガスの一例としてC4F8ガス、C4F6ガス、Arガス、O2ガス、HBrガスを供給し、これらのガスのプラズマによって有機膜102をマスクとしてシリコン酸化膜101を途中までエッチングした。また、第2エッチング工程にて、第2処理ガスの一例としてC4F8ガス、C4F6ガス、Arガス、O2ガスを供給し、これらのガスのプラズマによって有機膜102をマスクとしてシリコン酸化膜101をポリシリコン膜100が露出するまでエッチングした。
【0037】
この結果、
図3の下段左図に示すように、シリコン酸化膜101のエッチング後、アッシング前の有機膜102は、HBrガスの作用により保護され、エッチング中のダメージを抑制できており、ほとんど歪んでいなかった。このため、有機膜102をアッシングした後の下段右図では、シリコン酸化膜101のホールHの形状異常が改善され、シリコン酸化膜101に略真円のホールHが等間隔に形成された。
【0038】
なお、
図2(d)に示すように、有機膜102をアッシングにより除去した後のシリコン酸化膜101のトップのホールHのCD(Critical Dimension)を、以下、「Hole CD」という。また、有機膜102をアッシングにより除去した後のシリコン酸化膜101のトップの隣接するホールHとホールHの間の距離を、以下、「Bar CD」という。
【0039】
[ガス種]
上記の例では、第1処理ガスとしてC4F8ガス、C4F6ガス、Arガス、O2ガス、HBrガスを供給した。しかし、第1処理ガスとしては、少なくともCxFyガスと、H含有ガスとを含んでいればよい。CxFyガスとしては、C4F8ガス及びC4F6ガスの少なくともいずれかであってよく、その他のCxFyガスであってもよい。CxFyガスは、主にシリコン酸化膜101のエッチングに寄与する。
【0040】
HBrガスは、H含有ガスの一例であり、これに限らない。H含有ガスは、水素(H2)ガス、HとBrとを含有するガス、HとCとを含有するガス、HとCとFとを含有するガス、及びHと塩素(Cl)とを含有するガスの少なくともいずれかであってよい。HとBrとを含有するガスは、上述したHBrガスのほか、H2ガスとBr2ガスとの混合ガスであってよい。
【0041】
また、HとCとを含有するガスの一例としてCH4ガス、HとCとFとを含有するガスの一例としてCH3Fガス、HとClとを含有するガスの一例としてHClガスが挙げられる。Hを含有するガスは、主に有機膜102のマスクの保護及び形状改善に寄与する。
【0042】
また、上記の基板処理方法では、第2処理ガスとしてC4F8ガス、C4F6ガス、Arガス、O2ガスを供給した。しかし、第2処理ガスとしては、少なくともCxFyガスを含んでいればよい。CxFyガスとしては、C4F8ガス及びC4F6ガスの少なくともいずれかであってよく、その他のCxFyガスであってもよい。また、第2処理ガスのCxFyガスは、第1処理ガスのCxFyガスと同じCxFyガスであってもよく、異なるCxFyガスであってもよい。
【0043】
上述のように、第1処理ガス及び第2処理ガスは、Arガス及び/又はO2ガスをさらに含んでもよい。Arガスは希釈ガスの一例であり、プラズマの着火等に寄与する。Arガスに代えてHeガス、N2ガス等の不活性ガスを供給してもよい。
【0044】
また、O2ガスは、酸素(O)含有ガスの一例であり、主に有機膜102のマスク等に付着した反応生成物の除去に寄与し、マスク等の閉塞を回避するために使用される。O含有ガスとしては、O2ガスのほか、COガス又はCO2ガスを用いることができる。
【0045】
なお、第2処理ガスは、第1処理ガスと同様に、H含有ガスを含んでもよい。第2処理ガスがH含有ガスを含む場合、第2処理ガスにおけるCxFyガスの流量に対するH含有スの流量の比(流量比)は、第1処理ガスにおけるCxFyガスの流量に対するH含有ガスの流量の比よりも小さくてよい。または、H含有ガスの流量に応じて、第2処理ガスにO含有ガスを添加してもよい。第1処理ガス及び第2処理ガスがいずれもH含有ガス及びO含有ガスを含む場合には、第2処理ガスにおけるO含有ガスに対するH含有ガスの比を、第1処理ガスにおけるO含有ガスに対するH含有ガスの比よりも大きくしてもよい。このように、第2処理ガスにおけるH含有ガス、又はH含有ガスとO含有ガスの流量比を調整することにより、H含有ガスの添加に伴うホールHの閉塞を抑制することができる。
【0046】
[第1エッチングと第2エッチングの時間]
第1エッチングの時間と第2エッチングの時間は、シリコン酸化膜101に形成するホールHの深さ(又はアスペクト比)や、RF電力の大きさ等のエッチング条件によって適宜調整される。一例では、第1エッチング工程と第2エッチング工程の合計時間に対する第1エッチング工程の時間の比は、0.4~0.8又は0.5~0.8の範囲に設定される。第1エッチング工程の比が大きいと、H含有ガスの添加に伴うホールHの閉塞が生じやすくなる。このような場合、O含有ガスの流量を調整して、ホールHの閉塞を抑制してもよい。
【0047】
[基板処理方法]
(第1実施形態)
次に、本開示に係る基板処理方法の第1実施形態について、
図4を参照しながら説明する。
図4は、本開示に係る基板処理方法の第1実施形態を示すフローチャートである。第1実施形態の基板処理方法は、制御部2により制御される。
【0048】
本処理が開始されると、まず、シリコン酸化膜101と有機膜102のマスクとを含む
図2(a)の膜構造の基板Wをプラズマ処理チャンバ10内に提供する(ステップS10)。次に、レジスト膜104をマスクとしてSi-ARC103を有機膜102が露出するまでエッチングする(ステップS11)。次に、Si-ARC103をマスクとして有機膜102をシリコン酸化膜101が露出するまでエッチングする(ステップS12)。
【0049】
次に、CxFyガスにH含有ガスを添加した第1処理ガスから生成したプラズマによりシリコン酸化膜101を途中までエッチングする(ステップS13:第1エッチング工程)。第1エッチング工程において、第1処理ガスに含まれるH含有ガスの流量は、CxFyガスの流量よりも少ない量に制御する。
【0050】
次に、CxFyガスでシリコン酸化膜101をポリシリコン膜100が露出するまでエッチングする(ステップS14:第2エッチング工程)。次に、CxFyガスでシリコン酸化膜101の底部の残渣を除去するためにポリシリコン膜100をオーバーエッチングする(ステップS15)。なお、ステップS15で実行するオーバーエッチングの処理は、オーバーエッチングによりポリシリコン膜100の表面に若干の凹み(リセス)を形成し、露出したポリシリコン膜100上にシリコン酸化膜101の残渣が残らないようにするための処理であり、省略できる。
【0051】
次に、有機膜102をアッシングにより除去し(ステップS16)、基板Wをプラズマ処理チャンバ10から搬出し(ステップS17)、本処理を終了する。
【0052】
(第2実施形態)
次に、本開示に係る基板処理方法の第2実施形態について、
図5を参照しながら説明する。
図5は、本開示に係る基板処理方法の第2実施形態を示すフローチャートである。第1実施形態の基板処理方法は、制御部2により制御される。
図4の基板処理方法の第1実施形態と同じ処理については同一のステップ番号を付している。
【0053】
本処理が開始されると、まず、基板Wをプラズマ処理チャンバ10内に提供し(ステップS10)、Si-ARC103をエッチングし(ステップS11)、次に有機膜102をエッチングする(ステップS12)。
【0054】
次に、CxFyガスにH含有ガスを添加してシリコン酸化膜101を予め定められた時間(以下、所定時間1とする。)エッチングする(ステップS20:第1エッチング工程)。第1エッチング工程において、第1処理ガスに含まれるH含有ガスの流量は、CxFyガスの流量よりも少ない量に制御する。次に、CxFyガスでシリコン酸化膜101を予め定められた時間(以下、所定時間2とする。)エッチングする(ステップS21:第2エッチング工程)。
【0055】
次に、ステップS20及びステップS21の処理を予め定められた回数(以下、所定回数とする。)行ったかを判定する(ステップS22)。ステップS22において所定回数行っていないと判定されている間ステップS20~S22の処理を繰り返し実行する。ステップS22において所定回数行ったと判定された場合、CxFyガスでシリコン酸化膜101の底部の残渣を除去するためにポリシリコン膜100をオーバーエッチングする(ステップS15)。ステップS15で実行するオーバーエッチングの処理は、省略できる。
【0056】
次に、有機膜102をアッシングにより除去し(ステップS16)、基板Wをプラズマ処理チャンバ10から搬出し(ステップS17)、本処理を終了する。なお、ステップS22では繰り返し回数の判定が行われたが、ポリシリコン膜100が十分に露出したかどうかで判定し、ポリシリコン膜100が十分に露出したら次のステップS15に進むようにしてもよい。
【0057】
以上に説明した基板処理方法の第1実施形態及び第2実施形態では、第1エッチング工程にてCxFyガスにH含有ガスを添加することで有機膜102を保護し、有機膜102の形状を改善できる。例えばHBrガスを添加した場合、有機膜102のマスクにC-Br及び/又はSi-Brが保護膜として形成されていると推測される。第1エッチング工程において有機膜102に保護膜が形成されているため、第2エッチング工程では、CxFyガスにH含有ガスを添加せずにシリコン酸化膜101をエッチングしても有機膜102に形状異常は生じない。これにより、シリコン酸化膜101の形状異常を改善できる。ただし、第2エッチング工程においても、第1エッチング工程に引き続きCxFyガスにH含有ガスを添加してもよい。
【0058】
[基板処理方法の実施例]
次に、本開示に係る基板処理方法によるエッチング処理結果の例について、説明する。
【0059】
(実施例1:HBr添加による有機膜の形状改善)
最初に本開示に係る基板処理方法の実施例1を参照しながら、HBrガスの添加による有機膜102の形状改善について説明する。実施例1では、第1エッチング工程において、第1処理ガスの一例としてC4F8ガス、C4F6ガス、Arガス、O2ガス、HBrガスを供給し、これらのガスのプラズマによって有機膜102をマスクとしてシリコン酸化膜101をエッチングした。
【0060】
次に、第2エッチング工程において、第2処理ガスの一例としてC4F8ガス、C4F6ガス、Arガス、O2ガスを供給し、これらのガスのプラズマによって有機膜102をマスクとしてシリコン酸化膜101をエッチングした。
【0061】
第1エッチング工程において、CxFyガスの流量(C4F8ガスとC4F6ガスとの総流量)に対するHBrガスの流量の比(HBr/CxFy)を1/3に制御し、O2ガスの流量に対するHBrガスの流量の比(HBr/O2)を1/2に制御した。この結果、有機膜102をアッシング後のシリコン酸化膜101のトップのHole CDのばらつき(Hole CDの3σ)は2.4nmであり、Bar CDのばらつき(Bar CDの3σ)は3.1nmであった。なお、Hole CDの3σ及びBar CDの3σは、有機膜102のマスク形状が歪むと大きくなる。一方、第1エッチング工程において第1処理ガスにHBrガスを添加しない場合、Hole CDの3σは2.8nmであり、Bar CDの3σは、5.1nmであった。
【0062】
以上から、第1処理ガスにH含有ガスを添加し、かつ、その流量をCxFyガスの流量よりも少なくした場合に、Hole CDの3σ及びBar CDの3σを改善でき、有機膜102の歪みを抑制できることが分かった。のこの結果、ホールHの大きさや形状のばらつきを抑制でき、シリコン酸化膜101に略真円のホールHを等間隔に形成できた。
【0063】
(実施例2:HBr添加量)
次に、本開示に係る基板処理方法の実施例2を参照しながら、HBrガスの添加量と有機膜102の形状改善について説明する。第1エッチング工程及び第2エッチング工程において供給する第1処理ガス及び第2処理ガスのガス種は、実施例1で説明したガス種と同じである。
【0064】
第1エッチング工程において、HBr/CxFyを、1/3、2/5、1/2に制御した。また、HBr/O2を、1/2、1/3、4/5にそれぞれ制御した。この条件で第1エッチング工程及び第2エッチング工程を実行した結果、エッチング後のシリコン酸化膜101のHole CDの3σは2.4~2.7nmであり、Bar CDの3σは3.6~4.1nmであった。
【0065】
以上より、HBr/CxHyを1/2以下に制御した場合に、Hole CDの3σ及びBar CDの3σを改善でき、有機膜102の歪みを抑制できることが分かった。この結果、ホールHの大きさや形状のばらつきを抑制でき、シリコン酸化膜101に略真円のホールHを等間隔に形成できた。ただし、HBr/CxFyが1/2の場合、有機膜102のホールHが閉塞する傾向が見られた。このため、O2ガスの流量を微調整することで、この傾向を改善した。
【0066】
(実施例3:HBr添加時間)
次に、本開示に係る基板処理方法の実施例3を参照しながら、HBrガスの添加時間と有機膜102の形状改善について説明する。第1エッチング工程及び第2エッチング工程において供給する第1処理ガス及び第2処理ガスのガス種は、実施例1で説明したガス種と同じである。
【0067】
第1エッチング工程において、HBr/CxFyの流量比を1/3に制御し、HBr/O2の流量比を1/2に制御し、第1エッチング工程の時間、すなわち、HBrガスの添加時間を徐々に増やした。この条件で第1エッチング工程及び第2エッチング工程を実行した。この結果、エッチング時間全体(第1エッチング工程の時間と第2エッチング工程の時間の合計)に対する第1エッチング工程の時間の比が0.4~0.8の範囲にある場合、Hole CDの3σは2.3~2.4nmであり、Bar CDの3σは2.9~4.1nmであった。これらの値から有機膜102の形状が改善されたことが分かる。これは、HBrガスの添加によりエッチング中に有機膜102をカーボン系又はシリコン系の保護膜により保護できたためと推測される。ただし、エッチング時間全体に対する第1エッチング工程の時間の比が大きくなると有機膜102のホールHに閉塞が生じるおそれがある。この場合、O2ガスの流量を微調整することでホールHの閉塞を抑制することができる。
【0068】
また、
図5に示す基板処理方法の第2実施形態に対しても、有機膜102の形状の改善効果を確認した。具体的には、第1エッチング工程を実行した後、第2エッチング工程を第1エッチング工程と同時間実行するサイクルを4回繰り返した。この結果、Hole CDの3σは2.3nmであり、Bar CDの3σは3.4nmであった。これらの値から、第2実施形態によっても有機膜102の形状異常を抑制し、シリコン酸化膜101のホールHの形状を改善できることが分かる。
【0069】
以上に説明したように、本実施形態に係る基板処理方法は、フルオロカーボンガスとH含有ガスとを含む第1処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に供給し、第1処理ガスからプラズマを生成してシリコン酸化膜101をエッチングする第1エッチング工程と、フルオロカーボンガスを含む第2処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に供給し、第2処理ガスからプラズマを生成してシリコン酸化膜101をさらにエッチングする工程と、を有する。第1エッチング工程において、第1処理ガスに含まれるH含有ガスの流量は、フルオロカーボンガスの流量よりも少なく制御する。
【0070】
これにより、シリコン酸化膜101のエッチング中に有機膜102のマスクをカーボン系又はシリコン系の保護膜により保護できる。この結果、有機膜102の歪みを是正することで、シリコン酸化膜101に形成されたホールHの大きさや形状のばらつきを抑制でき、また、隣接するホールH間の距離のばらつきを抑制できる。この結果、シリコン酸化膜101に略真円のホールHを等間隔に形成できる。
【0071】
以上に説明した実施形態では、有機膜102をマスクとしてシリコン酸化膜101をエッチングしたが、これに限らない。本実施形態に係る基板処理方法の変形例としては、C及びF含有ガスにH及びBr含有ガスを添加し、有機膜102のマスクを介してシリコン含有膜をエッチングするエッチング工程に適用できる。
【0072】
上記実施形態に係る基板処理方法の変形例では、シリコン含有膜と、シリコン含有膜上の有機膜のマスクとを有する基板をプラズマ処理チャンバ10内に提供する工程と、C及びF含有ガスとH及びBr含有ガスとを含む第1処理ガスから生成したプラズマによりシリコン含有膜をエッチングする第1エッチング工程と、C及びF含有ガスを含む第2処理ガスガスから生成したプラズマによりシリコン含有膜をさらにエッチングする第2エッチング工程とを有する。第1エッチング工程において、第1処理ガスに含まれるH及びBr含有ガスの流量は、C及びF含有ガスの流量よりも少なくなるように制御される。
【0073】
シリコン含有膜としては、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜のいずれかであってもよく、これらの2種以上を含む積層膜であってよい。C及びF含有ガスは、フルオロカーボンガス又はハイドロフルオロカーボンガスであってよい。H及びBrと含有ガスは、HBrガス又はH2ガスとBr2ガスとの混合ガスであってよい。
【0074】
なお、上記実施形態に係る基板処理方法及びその変形例では、第1エッチング工程及び第2エッチング工程によりシリコン酸化膜及びシリコン含有膜に形成される形状のアスペクト比は、5~20である。
【0075】
今回開示された実施形態に係る基板処理方法及び基板処理装置は、すべての点において例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で変形及び改良が可能である。上記複数の実施形態に記載された事項は、矛盾しない範囲で他の構成も取り得ることができ、また、矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
【0076】
本開示の基板処理装置は、Atomic Layer Deposition(ALD)装置、Capacitively Coupled Plasma(CCP)、Inductively Coupled Plasma(ICP)、Radial Line Slot Antenna(RLSA)、Electron Cyclotron Resonance Plasma(ECR)、Helicon Wave Plasma(HWP)のいずれのタイプの装置でも適用可能である。本開示の基板処理装置は、プラズマを用いて基板を処理する装置であってもよいし、プラズマを用いずに基板を処理する装置であってもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 プラズマ処理装置
2 制御部
2a コンピュータ
2a1 処理部
2a2 記憶部
2a3 通信インターフェース
10 プラズマ処理チャンバ
11 基板支持部
13 シャワーヘッド
21 ガスソース
20 ガス供給部
30 電源
31 RF電源
31a 第1のRF生成部
31b 第2のRF生成部
32a 第1のDC生成部
32b 第2のDC生成部
40 排気システム
100 ポリシリコン膜
101 シリコン酸化膜
102 有機膜
103 Si-ARC
104 レジスト膜
111 本体部
112 リングアセンブリ