(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】パネル状モジュール用のフレーム及びパネル状モジュール用のフレーム構造体
(51)【国際特許分類】
H02S 30/10 20140101AFI20241016BHJP
【FI】
H02S30/10
(21)【出願番号】P 2020563265
(86)(22)【出願日】2019-12-23
(86)【国際出願番号】 JP2019050410
(87)【国際公開番号】W WO2020137996
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-10-28
(31)【優先権主張番号】P 2018244196
(32)【優先日】2018-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000183646
【氏名又は名称】出光興産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100187218
【氏名又は名称】堀 宏光
(72)【発明者】
【氏名】柴 凌云
(72)【発明者】
【氏名】白井 哲之
【審査官】原 俊文
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102011104516(DE,A1)
【文献】国際公開第2009/119775(WO,A1)
【文献】特開2013-170351(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0170778(US,A1)
【文献】特開2015-149412(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102015103712(DE,A1)
【文献】特開2009-057757(JP,A)
【文献】特開2015-090967(JP,A)
【文献】国際公開第2013/061995(WO,A1)
【文献】特開2015-211553(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02-31/078
H02S 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルの第1縁辺に沿った第1方向に沿って延びる第1フレームと、
前記パネルの第2縁辺に沿った第2方向に沿って延びる第2フレームと、を有
する、パネル状モジュール用のフレーム構造体であって、
前記第1フレームは、
前記第1方向に沿って延び、前記パネルの前記第1縁辺の上面を覆う第1フランジと、
前記第1方向における端部おいて、前記第2フレームと当接するよう構成された第1当接部と、を有し、
前記第1当接部は、前記パネルに直交する方向から見て、前記第2方向において前記第1フランジの先端よりも前記第2フレームの方に突出し、
前記第1フレームと前記第2フレームを連結するための締結部材を挿通可能な孔部が、前記第1当接部に形成されており、
前記パネルの一部が、前記第1方向から見て前記フレーム構造体から露出するよう構成されて
おり、
前記第1フレームは、前記パネルに直交する方向において前記第1当接部に関して前記第1フランジと反対側に位置する第1脚部と、前記パネルの前記第1縁辺を受け入れる第1パネル受け入れ部を前記第1フランジと一緒に構成する第1保持部と、を有し、
前記第1脚部は、少なくとも前記第1当接部を構成する第1起立部から、前記第1パネル受け入れ部の開口方向と、前記開口方向とは反対の方向との両方に延びており、
前記第1脚部は、前記第1方向における端部おいて、前記第2フレームと干渉しないよう切り欠かれた切り欠き部を有する、パネル状モジュール用のフレーム構造体。
【請求項2】
パネルの第1縁辺に沿った第1方向に沿って延びる第1フレームと、
前記パネルの第2縁辺に沿った第2方向に沿って延びる第2フレームと、を有する、パネル状モジュール用のフレーム構造体であって、
前記第1フレームは、
前記第1方向に沿って延び、前記パネルの前記第1縁辺の上面を覆う第1フランジと、
前記第1方向における端部おいて、前記第2フレームと当接するよう構成された第1当接部と、を有し、
前記第1当接部は、前記パネルに直交する方向から見て、前記第2方向において前記第1フランジの先端よりも前記第2フレームの方に突出し、
前記第1フレームと前記第2フレームを連結するための締結部材を挿通可能な孔部が、前記第1当接部に形成されており、
前記パネルの一部が、前記第1方向から見て前記フレーム構造体から露出するよう構成されており、
前記第2フレームは、
前記パネルの前記第2縁辺の上面を覆う第2フランジと、
前記パネルの前記第2縁辺を下から支え、前記パネルを受け入れる第2パネル受け入れ部を前記第2フランジと一緒に構成する第2保持部と、を有し、
前記第2フランジと前記第2保持部の夫々は、前記第2方向における一端から他端までの任意の位置において、前記第2方向に直交する断面で同じ形状を有する、パネル状モジュール用のフレーム構造体。
【請求項3】
パネルの第1縁辺に沿った第1方向に沿って延びる第1フレームと、
前記パネルの第2縁辺に沿った第2方向に沿って延びる第2フレームと、を有する、パネル状モジュール用のフレーム構造体であって、
前記第1フレームは、
前記第1方向に沿って延び、前記パネルの前記第1縁辺の上面を覆う第1フランジと、
前記第1方向における端部おいて、前記第2フレームと当接するよう構成された第1当接部と、を有し、
前記第1当接部は、前記パネルに直交する方向から見て、前記第2方向において前記第1フランジの先端よりも前記第2フレームの方に突出し、
前記第1フレームと前記第2フレームを連結するための締結部材を挿通可能な孔部が、前記第1当接部に形成されており、
前記パネルの一部が、前記第1方向から見て前記フレーム構造体から露出するよう構成されており、
前記第2フレームは、
前記締結部材を挿通可能な第3孔部と、
前記第3孔部を取り囲む断面視でC字型の構造と、
を有し、
前記C字型の構造は、前記第2フレームの延在方向に沿って延びている、パネル状モジュール用のフレーム構造体。
【請求項4】
前記第1フレームは、前記パネルに直交する方向において前記第1当接部に関して前記第1フランジと反対側に位置する第1脚部と、前記パネルの前記第1縁辺を受け入れる第1パネル受け入れ部を前記第1フランジと一緒に構成する第1保持部と、を有し、
前記第1脚部は、少なくとも前記第1当接部を構成す
る第1起立部から、前記第1パネル受け入れ部の開口方向とは反対の方向のみに延びている、請求項
2又は3に記載のパネル状モジュール用のフレーム構造体。
【請求項5】
前記第1フランジと前記第1保持部と前記第1脚部の夫々は、前記第1方向における一端から他端までの任意の位置において、前記第1方向に直交する断面で同じ形状を有する、請求項4に記載のパネル状モジュール用のフレーム構造体。
【請求項6】
前記第1フランジと前記第1保持部の夫々は、前記第1方向における一端から他端までの任意の位置において、前記第1方向に直交する断面で同じ形状を有する、請求項1又は4に記載のパネル状モジュール用のフレーム構造体。
【請求項7】
前記第1当接部の、前記孔部が形成された部分は、前記第2方向から見て、前記第1フレームを構成する部材に覆われていない、請求項1から6のいずれか1項に記載のパネル状モジュール用のフレーム構造体。
【請求項8】
前記第2フレームは、前記第1フレームの前記第1当接部と当接する第2当接部と、前記パネルの前記第2縁辺の上面を覆う第2フランジと、を有し、
前記第2フランジは、前記第2方向において前記第2当接部と同じ位置で終端する、請求項1
又は3に記載のパネル状モジュール用のフレーム構造体。
【請求項9】
前記第2フレームは、前記第1フレームの前記第1当接部と当接する第2当接部を有し、
前記第2フランジは、前記第2方向において前記第2当接部と同じ位置で終端する、請求項2に記載のパネル状モジュール用のフレーム構造体。
【請求項10】
前記第1フレームと前記第2フレームの少なくとも一方のフレームの、前記パネルに直交する方向の長さは、前記パネルに沿った面内での前記フレームの短手方向における前記フレームの長さよりも長い、請求項1から9のいずれか1項に記載のパネル状モジュール用のフレーム構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュールのようなパネル状モジュール用のフレームと、当該フレームを含むフレーム構造体と、に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池モジュールのようなパネル状モジュールは、長期にわたって、屋外に設置される。そのため、パネル状モジュールの表面に注いだ雨が適切に排水されないと、溜まった雨水によって、パネルに汚れが生じてしまう。パネル状モジュールが太陽電池モジュールである場合には、溜まった雨水やそれに起因する汚れによって、発電効率が低下することもある。
【0003】
特許文献1は、太陽電池パネルの縁に設けられたフレームに切り欠き部を形成することによって、太陽電池パネルの表面から太陽電池パネルを囲むフレームの外側へ連通する雨水の排水路を形成することを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示す排水路の場合、太陽電池パネルを保持するフレームの一部、具体的には太陽電池パネルの端部の表面を覆うフランジの一部を切除する必要がある。そのため、排水路を形成するために、フレームを製造する工程が増えることになる。
【0006】
したがって、より簡便に排水路を形成できるパネル状モジュール用のフレーム及びパネル状モジュール用のフレーム構造体が望まれる。
【0007】
一態様に係るパネル状モジュール用のフレームは、パネルの第1縁辺に沿った第1方向に沿って延び、前記パネルの前記第1縁辺の上面を覆う第1フランジと、前記第1方向における端部おいて、前記パネルの第2縁辺に沿った第2方向に沿って延びる別のフレームと当接するよう構成された第1当接部と、を有し、前記第1当接部は、前記パネルに直交する方向から見て、前記第2方向において前記第1フランジの先端よりも外側に位置する。
【0008】
一態様に係るパネル状モジュール構造体は、上記のパネル状モジュール用のフレームである第1フレームと、前記パネルの前記第2縁辺に沿った前記第2方向に沿って延びる第2フレームと、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態に係るパネル状モジュールの平面図である。
【
図2】
図1とは反対側から見たパネル状モジュールの裏面図である。
【
図4】パネル状モジュールの第1フレームの斜視図である。
【
図6】パネル状モジュールの第2フレームの斜視図である。
【
図7】
図1の領域7Rを矢印7Aの方向から見た平面図である。
【
図8】
図2の領域8A-8A線に沿った断面図である。
【
図12】第1変形例に係る第1フレームの斜視図である。
【
図13】第2変形例に係る第1フレームの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。以下の図面において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることがあることに留意すべきである。
【0011】
図1は、パネル状モジュール20の平面図である。
図2は、
図1とは反対側から見たパネル状モジュールの裏面図である。パネル状モジュール20は、屋外用のモジュールであってよい。パネル状モジュール20は、例えば太陽電池モジュールであることが好ましい。なお、パネル状モジュール20が太陽電池モジュールである場合、
図1は、太陽電池モジュールの受光面側から見た平面図に相当する。
【0012】
パネル状モジュール20は、パネルの主面が水平方向に対して傾斜するように設置されていてよい。この代わりに、パネル状モジュール20は、パネル状モジュール20の主面が実質的に水平面に沿うように設置されてもよい。
【0013】
パネル状モジュール20は、パネル210と、第1フレーム220と、第2フレーム230と、を有していてよい。パネル状モジュール20が太陽電池モジュールである場合、パネル210は、光を電気に変換する光電変換素子によって構成される。この場合、パネル210の表面が光を受ける受光面であり、パネル210の裏面は非受光面である。パネル210は、平板状であってよい。本実施形態では、パネル210は、パネル210の厚み方向から見て、略四角形状である。
【0014】
第1フレーム220及び第2フレーム230は、それぞれパネル210の外縁に沿って設けられている。本実施形態では、第1フレーム220は、パネル210の第1縁辺に沿った第1方向(以下、「横方向」と称することもある。)に沿って延びている。第2フレーム230は、パネル210の第2縁辺に沿った第2方向(以下、「縦方向」と称することもある。)に沿って延びていてよい。ここで、第1方向(横方向)と第2方向(縦方向)は、互いに交差する方向であればよく、好ましくは互いに直交する方向であってよい。
【0015】
具体的一例では、第1フレーム220は、1230mm~1280mmの長さを有していてよい。また、第2フレーム230は、900mm~1000mmの長さを有していてよい。
【0016】
図3は、
図1の3A-3A線に沿った断面図であり、第1フレーム220の断面構造を示している。
図4は、パネル状モジュール20の第1フレーム220の斜視図である。
図5は、
図1の5A-5A線に沿った断面図であり、第2フレーム230の断面構造を示している。
図6は、パネル状モジュールの第2フレーム230の斜視図である。
図7は、
図1の領域7Rを矢印7Aの方向から見た平面図である。
【0017】
第1フレーム220は、第1保持部221、第1脚部222、第1起立部223、第1フランジ224及び第1パネル受け入れ部225を有していてよい。第1フランジ224は、パネル210の第1縁辺に沿った横方向に沿って延び、パネル210の第1縁辺の上面を覆っている。
【0018】
第1パネル受け入れ部225は、パネル210の外縁を受け入れ可能に構成されている。また、第1保持部221は、パネル210の第1縁辺を下から支えるよう構成されており、第1フランジ224と対向している。この場合、第1保持部221は、パネル210を受け入れる第1パネル受け入れ部225を第1フランジ224と一緒に構成する。具体的な一例として、第1パネル受け入れ部225を構成する壁部は、第1フレーム220の延在方向(横方向)に直交する断面において、横向きの略「U」の字型の形状を有する。
【0019】
第1パネル受け入れ部225の内部には、第1封止材229が充填されていてよい。これにより、第1パネル受け入れ部225は、パネル210の端部を受け入れた状態で、パネル210を保持することができる。第1封止材229は、横方向において第1パネル受け入れ部225全体に設けられていてもよく、横方向における第1パネル受け入れ部225の一部の領域のみに設けられていてもよい。
【0020】
第1脚部222は、パネル210に直交する方向において、第1起立部223及び後述する第1当接部223aに関して、第1フランジ224と反対側に位置する。第1脚部222は、パネル210と概ね平行な方向に延びている。具体的には、第1脚部222は、少なくとも第1起立部223から、第1パネル受け入れ部225の開口方向とは反対の方向へ延びていてよい。
【0021】
第1起立部223は、パネル210の裏面において、パネル210と交差する方向に延びている。具体的には、第1起立部223は、第1脚部222から第1保持部221まで延びている。より具体的には、第1起立部223は、第1保持部221のパネル210側の端部と、第1脚部222のパネル210側の端部と、を連結している。これにより、第1フレーム220は、第1フレーム220の延在方向から見た側面視で、略S字型の形状を有する(
図3参照)。
【0022】
第1脚部222、第1起立部223、第1保持部221及び第1フランジ224は、それぞれ第1フレーム220の延在方向に延びていてよい。第1脚部222、第1起立部223、第1保持部221及び第1フランジ224は、一体に形成されていてよい。
【0023】
第1起立部223は、横方向における第1フレーム220の両端部のところで、第2フレーム230の側面と当接する(
図7も参照)。したがって、第1起立部223の側面は、第2フレーム230と当接する第1当接部223aを構成する。
【0024】
本実施形態では、第1脚部222は、少なくとも第1起立部223から、第1パネル受け入れ部225の開口方向とは反対の方向のみに延びている。これにより、第1フレーム220の第1当接部223aに第2フレーム230が当接した状態で、第1脚部222が第2フレーム230に干渉しないようになっている。
【0025】
好ましくは、第1フランジ224と第1保持部221の夫々は、横方向における一端から他端までの任意の位置において、横方向に直交する断面で同じ形状を有する。より好ましくは、第1フランジ224と第1保持部221と第1脚部222の夫々は、横方向における一端から他端までの任意の位置において、横方向に直交する断面で同じ形状を有する。これは、第1フランジ224と第1保持部221と第1脚部222の横方向における長さがすべて等しいことを意味する。さらに好ましくは、第1フレーム220は、第1起立部223に形成された孔部を除き、横方向における一端から他端までの任意の位置において、同じ断面形状を有する。このような形状を有する第1フレーム220は、例えば押出成形によって容易に製造できる。
【0026】
縦方向における第1フランジ224の長さL21は、例えば10mm~16mmであってよい(
図3参照)。また、第1脚部222の下端から第1フランジ224の上端までの距離L22は、32mm~38mmであってよい。縦方向における第1脚部222の長さL23は、例えば10.5mm~16.5mmであってよい。また、第1保持部221と第1フランジ224との間の間隔L25は、例えば3~9mm程度であってよい。
【0027】
第1当接部223aは、パネル210に直交する方向から見て、縦方向において第1フランジ224の先端よりも外側に位置する。これにより、第1フランジ224は第2フレーム230と当接せず、第1フランジ224の先端と第1起立部223(第1当接部223a)との間には、縦方向において、間隔L24が存在する(
図7参照)。この間隔L24は、例えば0.1mm~2.0mm程度であってよい。
【0028】
第1フレーム220の第1起立部223は、ボルトのような締結部材が挿通可能な複数の孔部226,227を有していてよい。本実施形態では、第1孔部226は、高さ方向に2つ並んでいる。この代わりに、第1孔部226は、高さ方向に1つだけ設けられていても良い。
【0029】
第1孔部226の中心は、横方向における第1フレーム220の端から例えば7.5mm~13.5mmの位置に設けられていてよい。また、第1孔部226の中心は、それぞれ第1フレーム220の下端から例えば6mm~12mm、及び16mm~21mmの高さに設けられていてよい。
【0030】
第1孔部226は、第2フレーム230を第1フレーム220に連結するために設けられる。一方、第2穴部227は、後述する補強部材240を第1フレーム220に連結するために設けられる。なお、第1フレーム220の第2穴部227は、荷重により第1フレーム220にかかる応力が低くなる位置に設けられることが好ましい。これにより、第1フレーム220の耐荷重性が低下することを抑制することができる。
【0031】
第2フレーム230は、第2保持部231、第2脚部232、第2起立部233、第2フランジ234及び第2パネル受け入れ部235を有していてよい。第2フランジ234は、パネル210の第2縁辺に沿った縦方向に沿って延び、パネル210の第2縁辺の上面を覆っている。
【0032】
第2パネル受け入れ部235は、パネル210の外縁を受け入れ可能に構成されている。また、第2保持部231は、パネル210の第2縁辺を下から支えるよう構成されており、第2フランジ234と対向している。この場合、第2保持部231は、パネル210を受け入れる第2パネル受け入れ部235を第1フランジ234と一緒に構成する。具体的一例として、第2パネル受け入れ部235を構成する壁部は、第2フレーム230の延在方向(縦方向)に直交する断面において、横向きの略「U」の字型の形状を有する。
【0033】
第2パネル受け入れ部235の内部には、第2封止材239が充填されていてよい。これにより、第2パネル受け入れ部235は、パネル210の端部を受け入れた状態で、パネル210を保持することができる。第2封止材239は、縦方向において第2パネル受け入れ部235全体に設けられていてもよく、縦方向における第2パネル受け入れ部235の一部の領域のみに設けられていてもよい。
【0034】
第2脚部232は、パネル210に直交する方向において、第2起立部233に関して第2フランジ234と反対側に位置する。第2脚部232は、パネル210と概ね平行な方向に延びている。具体的には、第2脚部232は、少なくとも第2起立部233から、第2パネル受け入れ部235の開口方向とは反対の方向へ延びていてよい。本実施形態では、第2脚部232は、第2起立部233から、第2パネル受け入れ部235の開口方向と、第2パネル受け入れ部235の開口方向とは反対の方向との両方向へ延びている(
図5参照)。
【0035】
第2起立部233は、パネル210の裏面において、パネル210と交差する方向に延びている。具体的には、第2起立部233は、第2脚部232から第2保持部231まで延びている。より具体的には、第2保持部231と第2起立部233と第2脚部232とによって、断面視で略Iの字型の形状が形成される(
図5参照)。
【0036】
第2脚部232、第2起立部233、第2保持部231及び第2フランジ234は、それぞれ第2フレーム230の延在方向に延びていてよい。第2脚部232、第2起立部233、第2保持部231及び第2フランジ234は、一体に形成されていてよい。
【0037】
縦方向における第2フレーム230の側面は、第1フレーム220の両端部のところで、第1フレーム220の第1当接部223aと当接する第2当接部238を構成する(
図7参照)。より具体的には、第2フレーム230の第2起立部233の側面が、第2当接部238を構成していてよい。この場合、第2フレーム230の第2フランジ234は、縦方向において第2当接部238と同じ位置で終端していてよい。
【0038】
好ましくは、第2フランジ234と第2保持部231の夫々は、縦方向における一端から他端までの任意の位置において、縦方向に直交する断面で同じ形状を有する。より好ましくは、第2フランジ234と第2保持部231と第2脚部232の夫々は、縦方向における一端から他端までの任意の位置において、縦方向に直交する断面で同じ形状を有する。さらに好ましくは、第2フランジ234と第2保持部231と第2脚部232と第2起立部233の夫々は、縦方向における一端から他端までの任意の位置において、縦方向に直交する断面で同じ形状を有する。これは、第2フランジ234と第2保持部231と第2起立部233と第2脚部232の縦方向における長さがすべて等しいことを意味する。もっとも好ましくは、第2フレーム230は、第2フレーム230の延在方向の任意の位置において、同一の断面形状を有する。このような形状を有する第2フレーム230は、例えば押出成形によって容易に製造できる。
【0039】
横方向における第2フランジ234の長さL41は、例えば10.5mm~16.5mmであってよい(
図5参照)。また、第2脚部232の下端から第2フランジ234の上端までの距離L42は、例えば32mm~38mmであってよい。横方向における第2脚部232の長さL43は、例えば10.0mm~16.0mmであってよい。また、第2保持部231と第2フランジ234との間の間隔L45は、例えば3~9mm程度であってよい。
【0040】
第2起立部233には、ボルトのような締結部材が挿通可能な第3孔部236が形成されている。第3孔部236は、断面視でC字型の構造237によって囲まれている。本実施形態では、C字型の構造237は、第2起立部233に設けられており、第2フレーム230の延在方向に沿って延びている。したがって、C字型の構造237は、略円筒状の形状を有する。
【0041】
第2フレーム230の第3孔部236は、第1フレーム220の第1孔部226と位置合わせされている。ボルトのような締結部材250が、第1フレーム220の第1孔部226と第2フレーム230の第3孔部236の両方を通っている(
図7参照)。これにより、第1フレーム220の第1当接部223aと、第2フレーム230の第2当接部238とが互いに当接した状態で、第1フレーム220と第2フレーム230が互いに締結される。
【0042】
第2フレーム230の第3孔部236の中心は、横方向における第2フレーム230の外端から例えば7.5mm~13.5mmの位置に設けられていてよい。また、第2フレーム230の第3孔部236の中心は、それぞれ第2フレーム230の下端から例えば6mm~12mm、及び16mm~21mmの高さに設けられていてよい。
【0043】
図7に示すように、第1フレーム220と第2フレーム230が互いに締結されている状態において、第2フレーム230の側面である第2当接部238は、第1フレーム220の第1当接部223aに当接する。ここで、前述したように、第1フレーム220の第1フランジ224は、第2フレーム230に当接せず、第1当接部223aは、パネル210に直交する方向から見て、縦方向において第1フランジ224の先端よりも外側に位置する。これにより、パネル210の上面において、第1フレーム220と第2フレーム230との間に間隙SPが形成されることになる(
図7)。この間隙SPは、パネル210の表面に注がれた水、例えば雨水を、パネル210の外部へ逃がす排水路の役割を有する。
【0044】
本実施形態では、第1フレーム220と第2フレーム230を互いに締結させるだけで排水用の間隙SPが形成される。この場合、第1フレーム220や第2フレーム230に排水路を形成する目的で、孔や切り欠きや溝を形成する工程を導入する必要がない。そのため、第1フレーム220や第2フレーム230の製造工程を増やすことなく、簡便に排水路を形成できる。
【0045】
本実施形態では、パネル210の一部が、横方向から見てフレーム構造体から露出するよう構成されている(
図7参照)。具体的には、第1封止材229が横方向における第1パネル受け入れ部225の端部には設けられておらず、これにより、第2フレーム230の端部よりも外側のところで、パネル210が露出している(
図7の符号EP参照)。この露出部EPから雨水のような水がより排水され易くなっている。
【0046】
この態様の代わりに、第1封止材229は、横方向における第1パネル受け入れ部225の端部に設けられていてもよい。この場合、パネル210は、第1封止材229に覆われるため、第1フレーム220と第2フレーム230の外側に露出しない。
【0047】
パネル状モジュール20は、パネル210の裏面に設けられた補強部材240を有していてよい(
図2参照)。本実施形態では、補強部材240は、第2フレーム230と同じ方向に延びている。補強部材240は、例えば横方向に960mm~1000mmの長さを有していてよい。この態様の代わりに、補強部材240は、第1フレーム220と同じ方向に延びていてもよい。
【0048】
図8は、
図2の領域8A-8A線に沿った断面図であり、補強部材240の断面構造を示している。
図9は、一実施形態に係る補強部材240の斜視図である。
【0049】
補強部材240は、パネル210に面する上部244と、パネル210から離れる方向に延びた起立部243と、パネル210から最も離れたところに位置する脚部242と、を有していてよい。脚部242、起立部243及び上部244は、一体に形成されていてよい。
【0050】
補強部材240の上部244とパネル210との間には、緩衝材260が設けられていてよい。この場合、補強部材240の上部244は、パネル210に接着されていなくてもよい。この代わりに、補強部材240の上部244は、接合材によってパネル210に接合されていてもよい。この場合、接合材の種類は、特に限定されない。例えば、そのような接合材は、シリコーン系の接着剤であってもよい。
【0051】
脚部242及び上部244は、パネル210と概ね平行に延びている。起立部243は、パネル210と交差する方向において、脚部242から上部244まで延びている。より具体的には、補強部材240の上部244と起立部243と脚部242とによって、断面視で略Iの字型の形状が形成されていてよい(
図8参照)。
【0052】
補強部材240は、起立部243に、ボルトのような締結部材が挿通可能な孔部246を有する。孔部246は、断面視でC字型の構造247によって囲まれている。補強部材240の孔部246は、第1フレーム220の第2孔部227と位置合わせされている。第1フレーム220と第2フレーム230の締結と同様に、ボルトのような締結部材が、第1フレーム220の第2孔部227と補強部材240の孔部236の両方を通っている。これにより、第1フレーム220と補強部材240が互いに締結される。補強部材240は、その両側の端部において、第1フレーム220に締結されていてよい。
【0053】
図8及び
図9に示す態様では、第1フレーム220に形成される第2孔部227は、補強部材240の数、本例では1つであってよい。この場合、第1フレーム220に形成される第2孔部227の数をなるべく少なくすることができるため、孔部に起因する第1フレーム220の強度の低下を抑制することができる。
【0054】
補強部材240の形状は、上記の形状に限定されない。例えば、
図10及び
図11は、補強部材の変形例を示している。
図10は、変形例に係る補強部材の断面図である。
図11は、変形例に係る補強部材の斜視図である。
【0055】
変形例に係る補強部材240は、
図8及び
図9に示す補強部材の形状とほぼ同様である。そのため、以下では、変形例に係る補強部材240の異なる形状についてのみ詳細に説明する。
【0056】
変形例に係る補強部材240は、ボルトのような締結部材が挿通可能な孔部246が2つ設けられている。具体的には、起立部243の両側に断面視でC字型の構造247が形成されており、これにより、横方向に2つの孔部246が並んでいる。この場合、第1フレーム220は、補強部材240の2つの孔部246の位置に合わせて、横方向に並んだ2つの第2孔部227を有していてよい。これにより、補強部材240は、2つの締結部材によって、第1フレーム220に締結される。したがって、本変形例では、補強部材240が、第1フレーム220にしっかりと締結されるとともに、第1フレーム220に対する補強部材240の回転方向のずれを抑制することができる。
【0057】
(第1変形例)
図12は、第1変形例に係る第1フレーム220の斜視図である。第1変形例に係る第1フレームは、
図4に示す第1フレーム220の形状とほぼ同様である。そのため、以下では、第1変形例に係る第1フレーム220の異なる形状についてのみ詳細に説明する。
【0058】
第1変形例に係る第1フレーム220は、前述したように、第1パネル受け入れ部225、第1起立部223及び第1脚部222を有している。第1変形例では、第1脚部222は、第1起立部223から、第1パネル受け入れ部225の開口方向と、第1パネル受け入れ部225の開口方向とは反対の方向との両方に延びている。すなわち、第1脚部222は、パネル210の外側だけでなく、パネル210の内側へも延びている。この場合、パネル状モジュール20を、不図示のサポート部材上に積載したときに、第1脚部222がより安定し易くなる。
【0059】
第1脚部222は、横方向における端部おいて、第2フレーム230と干渉しないよう切り欠かれた切り欠き部228を有することが好ましい。具体的には、切り欠き部228は、第1脚部222の、パネル210の内側へ向かって延びた部分の横方向における端部に設けられていてよい。切り欠き部228は、第1フレーム220の第1当接部223aと第2フレーム230の第2当接部238とが互いに当接した状態で、第2フレーム230が第1フレーム220の第1脚部222に干渉することを防止する。なお、このような第1フレーム220は、押出成形した後に、前述の切り欠き部228のところを除去することによって製造できる。
【0060】
第1フレーム220の第1フランジ224は、第2フレーム230に当接せず、第1当接部223aは、パネル210に直交する方向から見て、縦方向において第1フランジ224の先端よりも外側に位置する。したがって、第1フレーム220と第2フレーム230を互いに締結させるだけで排水用の間隙SPが形成される。この場合であっても、第1フレーム220や第2フレーム230に排水路を形成する目的で、孔や切り欠きや溝を形成する工程を導入する必要はない。
【0061】
図13は、第2変形例に係る第1フレーム220の側面図である。
図13に示す第2変形例にかかる第1フレーム220は、
図4に示す第1フレーム220の形状とほぼ同様である。そのため、以下では、異なる形状についてのみ詳細に説明する。
【0062】
第1フレーム220の第1受け入れ部225は、前述したように横向きの「U」の字型の形状を有している。第2変形例では、この横向きの「U」の字型の形状のうちの2つの曲部225a、225bのうちの上側の曲部225aは、肉厚に構成されている。これにより、強度が低下しやすい曲部225aの強度を維持することができる。本実施形態では、曲部225aの内壁、すなわち第1受け入れ部225に面する壁面225a1は、丸みを帯びることなく、平面状に形成されていてよい。
【0063】
なお、
図13では、2つの曲部225a、225bのうちの上側の曲部225aのみが肉厚に構成されている。この代わりに、2つの曲部225a、225bのうちの下側の曲部225bのみが肉厚に構成されていてもよい。さらには、2つの曲部225a、225bのうちの両方が肉厚に構成されていてもよい。また、このように肉厚に構成された曲部は、第2フレーム230に適用することもできることに留意されたい。
【0064】
上述したように、実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替の実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【0065】
例えば、上記実施形態では、第1フレーム220が横方向に沿って配置され、第2フレーム230が縦方向に沿って配置されている。この代わりに、第1フレーム220が縦方向に沿って配置され、第2フレーム230が横方向に沿って配置されていてもよい。この場合、第1フレーム220の延在方向の長さと、第2フレーム230の延在方向の長さは、パネルの縁辺の長さに応じてそれぞれ変更すればよい。また、第1フレーム220及び第2フレーム230の各部分のサイズに関する上述の具体的数値は、一例であり、適宜変更可能であることに留意されたい。
【0066】
また、上述した複数の実施形態及び変形例で説明した特徴は、可能な限り交換及び/又は組み合わせ可能である。
【0067】
また、第1フレーム220及び/又は第2フレーム230は、不図示のアース用の孔部を有していてもよい。この場合、アース用の孔部は、例えば第1起立部223及び/又は第2起立部233に形成されていてよい。さらに、アース用の孔部は、荷重により第1フレーム220及び/又は第2フレーム230にかかる応力が比較的低くなる位置に設けられることが好ましい。これにより、孔部に起因する第1フレーム220及び/又は第2フレーム230の耐荷重性の低下を抑制することができる。第1フレーム220及び/又は第2フレーム230にかかる応力が比較的低くなる位置は、例えば、第1起立部223及び第2起立部233の高さ方向における中央部付近である。
【0068】
本出願は2018年12月27日に出願された日本国特許出願2018-244196号に基づく優先権を主張するものであり、当該特許出願の全内容がここに参照により援用される。
【産業上の利用可能性】
【0069】
より簡便に排水路を形成できるパネル状モジュール用のフレーム及びパネル状モジュール用のフレーム構造体を提供することができる。