(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】半導体工程用組成物、その製造方法およびこれを用いた半導体素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
C09K 3/14 20060101AFI20241016BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20241016BHJP
B24B 37/00 20120101ALI20241016BHJP
【FI】
C09K3/14 550Z
C09K3/14 550D
H01L21/304 622B
H01L21/304 622D
B24B37/00 H
(21)【出願番号】P 2023006751
(22)【出願日】2023-01-19
【審査請求日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】10-2022-0008308
(32)【優先日】2022-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】505232852
【氏名又は名称】エスケー エンパルス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK enpulse Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1043,Gyeonggi-daero,Pyeongtaek-si,Gyeonggi-do 17784, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】ホン、スンチョル
(72)【発明者】
【氏名】ハン、ドクス
(72)【発明者】
【氏名】パク、ハンテ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ファンチョル
(72)【発明者】
【氏名】キム、キュフン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ウンソン
【審査官】小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-546214(JP,A)
【文献】特開2005-162533(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 3/14
C09G 1/02
H01L 21/304
H01L 21/463
B24B 3/00 - 3/60
B24B 21/00 - 39/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨粒子を含み、
前記研磨粒子は、pH6で、ゼータ電位が-50mV~-10mVであり、下記の式1で表されるゼータ電位変化率が14mV/pH~19mV/pHであり、下記の式2で表されるゼータ電位変化率が16.5mV/pH~40mV/pHである、
半導体工程用組成物:
[式1]
ゼータ電位変化率(mV/pH)=|(Z6-Z5)/(p6-p5)|
[式2]
ゼータ電位変化率=|(Z6-Z4)/(p6-p4)|
ここで、前記p6はpH6であり、前記p5はpH5であり、前記p4はpH4であり、
前記Z6は前記pH6でのゼータ電位であり、前記Z5は前記pH5でのゼータ電位であり、前記Z4は前記pH4でのゼータ電位である。
【請求項2】
前記研磨粒子は、pHがpH2~pH4の時、正(+)のゼータ電位値を有するように表面処理される、
請求項1に記載の半導体工程用組成物。
【請求項3】
前記研磨粒子は、ゼータ電位が10mV~50mVである、
請求項2に記載の半導体工程用組成物。
【請求項4】
前記研磨粒子は、シリカ(Silica、SiO
2)、セリア(Ceria、CeO
2)、アルミナ(Alumina、Al
2O
3)、ジルコニア(Zirconia、ZrO
2)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含む、
請求項1に記載の半導体工程用組成物。
【請求項5】
前記半導体工程用組成物は、有機酸、ポリオール、界面活性剤、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1種以上の添加剤を追加的に含む、
請求項1に記載の半導体工程用組成物。
【請求項6】
pHが6であり、ゼータ電位が-50mV~-10mVである研磨粒子に酸性溶液を添加してpH2~pH4に調整するステップと、
前記pHが調整された研磨粒子を撹拌し、前記研磨粒子に有機成分および有機酸を添加するステップとを含み、
前記研磨粒子は、下記の式1で表されるゼータ電位変化率が14mV/pH~19mV/pHであり、下記の式2で表されるゼータ電位変化率が16.5mV/pH~40mV/pHである、
半導体工程用組成物の製造方法:
[式1]
ゼータ電位変化率(mV/pH)=|(Z6-Z5)/(p6-p5)|
[式2]
ゼータ電位変化率=|(Z6-Z4)/(p6-p4)|
ここで、前記p6はpH6であり、前記p5はpH5であり、前記p4はpH4であり、
前記Z6は前記pH6でのゼータ電位であり、前記Z5は前記pH5でのゼータ電位であり、前記Z4は前記pH4でのゼータ電位である。
【請求項7】
前記
研磨粒子は、1,500rpm~2,000rpmで撹拌される、
請求項6に記載の半導体工程用組成物の製造方法。
【請求項8】
前記有機成分は、アミノシラン(Amino silane)、アルコキシシラン(Alkoxy silane)、エトキシシラン(Ethoxy silane)、エポキシシラン(Epoxy silane)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、
請求項6に記載の半導体工程用組成物の製造方法。
【請求項9】
前記有機酸は、硝酸(nitric acid)、酢酸(acetic acid)、ギ酸(formic acid)、安息香酸(benzoic acid)、ニコチン酸(nicotinic acid)、ピコリン酸(picolinic acid)、アラニン(alanine)、フェニルアラニン(phenylalanine)、バリン(valine)、ロイシン(leucine)、イソロイシン(isoleucine)、アルギニン(arginine)、アスパラギン酸(aspartic acid)、クエン酸(citric acid)、アジピン酸(adipic acid)、コハク酸(succinic acid)、シュウ酸(oxalic acid)、グリシン(glycine)、グルタミン酸(glutamic acid)、グルタル酸(glutaric acid)、フタル酸(phthalic acid)、ヒスチジン(histidine)、スレオニン(threonine)、セリン(serine)、システイン(cysteine)、メチオニン(methionine)、アスパラギン(asparagine)、チロシン(tyrosine)、ジヨードチロシン(diiodotyrosine)、トリプトファン(tryptophan)、プロリン(proline)、オキシプロリン(oxyproline)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ニトロトリ酢酸(NTA)、イミノジ酢酸(IDA)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、
請求項6に記載の半導体工程用組成物の製造方法。
【請求項10】
研磨面が備えられた研磨パッドが装着された定盤を用意するステップと、
研磨対象を収容したキャリアを用意するステップと、
前記定盤および前記キャリアを回転させかつ、前記研磨パッドの研磨面と前記研磨対象の被研磨面とが互いに当接するように配置した状態で回転させるステップと、
前記研磨面上に半導体工程用組成物を供給するステップと、を含み、
前記
半導体工程用組成物は、研磨粒子;および少なくとも1種の添加剤を含み、
前記研磨粒子は、pH6でゼータ電位が-50mV~-10mVであり、下記の式1で表されるゼータ電位変化率が14mV/pH~19mV/pHであり、下記の式2で表されるゼータ電位変化率が16.5mV/pH~40mV/pHである、
半導体素子の製造方法:
[式1]
ゼータ電位変化率(mV/pH)=|(Z6-Z5)/(p6-p5)|
[式2]
ゼータ電位変化率=|(Z6-Z4)/(p6-p4)|
ここで、前記p6はpH6であり、前記p5はpH5であり、前記p4はpH4であり、
前記Z6は前記pH6でのゼータ電位であり、前記Z5は前記pH5でのゼータ電位であり、前記Z4は前記pH4でのゼータ電位である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
半導体の製造および加工工程に適用可能な組成物およびその製造方法に関し、より具体的には、半導体の製造および加工中の研磨工程に適用可能な組成物およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing)は、研磨パッドと研磨対象の表面を摩擦させながら、研磨パッドと研磨対象の界面に研磨スラリーを注入して試料の表面を目的レベルに研磨する技術である。
【0003】
近代的な化学機械研磨が大規模半導体集積回路の製造に応用されるにつれ、トランジスタなどの素子および多層配線の層間絶縁膜表面の平坦化、タングステンや銅配線形成などの必須の技術として用いられている。
【0004】
年々、半導体素子の集積度が増加し、チップ(Chip)の大きさが減少するに伴い、半導体素子の表面構造はさらに複雑になり、層間膜の段差もさらに大きくなっている。したがって、半導体素子の製造工程に適用される化学的機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing、CMP)工程に対して高分解能のリソグラフィ(Lithography)と原子レベルの平坦化技術が要求されている。
【0005】
このようなCMP工程は、物理的な摩擦力と化学的反応を同時に活用して膜質を平坦化する工程であって、これに活用される工程部品および/または工程液の微細な差によっても大いに異なる研磨結果を算出することができる。
【0006】
したがって、このような工程部品および/または工程液の製造および設計に要求される精密性がより高いレベルに向上しているのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、半導体工程用組成物、その製造方法およびこれを用いた半導体素子の製造方法を提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、半導体ウエハの研磨工程を伴う半導体工程に適用されて、優れた研磨性能を実現し、ディフェクト(Defect)などの欠陥を最小化し、平坦な研磨結果を実現できる半導体工程用組成物を提供しようとする。
【0009】
本発明の他の目的は、研磨粒子のpHショックを最小化して粒子間のかたまり現象を防止して、分散性に優れた半導体工程用組成物の製造方法を提供しようとする。
【0010】
本発明の他の目的は、半導体工程用組成物を半導体ウエハの研磨に適用することにより、不良率が極小化された半導体素子を製造する方法を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明の一実施形態に係る半導体工程用組成物は、研磨粒子を含み、前記研磨粒子は、pH6で、ゼータ電位が-50mV~-10mVであり、下記の式1で表されるゼータ電位変化率が6mV/pH~30mV/pHであってもよい:
【0012】
[式1]
ゼータ電位変化率(mV/pH)=|(Z6-Z5)/(p6-p5)|
【0013】
ここで、前記p6はpH6であり、前記p5はpH5であり、
前記Z6は前記pH6でのゼータ電位であり、前記Z5は前記pH5でのゼータ電位である。
【0014】
本発明の他の実施形態に係る半導体工程用組成物の製造方法は、pHが6であり、ゼータ電位が-50mV~-10mVである研磨粒子に酸性溶液を添加してpH2~pH4に調整するステップと、前記pHが調整された研磨粒子を撹拌し、前記研磨粒子に有機成分および有機酸を添加するステップとを含むことができる。
【0015】
本発明の他の実施形態に係る半導体素子の製造方法は、研磨面が備えられた研磨パッドが装着された定盤を用意するステップと、研磨対象を収容したキャリアを用意するステップと、前記定盤および前記キャリアを回転させかつ、前記研磨パッドの研磨面と前記研磨対象の被研磨面とが互いに当接するように配置した状態で回転させるステップと、前記研磨面上に半導体工程用組成物を供給するステップと、を含み、前記半導体工程用研磨組成物は、下記の式1で表されるゼータ電位変化率が6mV/pH~30mV/pHであってもよい:
【0016】
[式1]
ゼータ電位変化率(mV/pH)=|(Z6-Z5)/(p6-p5)|
【0017】
ここで、前記p6はpH6であり、前記p5はpH5であり、
【0018】
前記Z6は前記pH6でのゼータ電位であり、前記Z5は前記pH5でのゼータ電位である。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、半導体ウエハの研磨工程を伴う半導体工程に適用されて、優れた研磨性能を実現し、ディフェクト(Defect)などの欠陥を最小化し、平坦な研磨結果を実現することができる。
【0020】
また、研磨粒子のpHショックを最小化して粒子間のかたまり現象を防止して、分散性に優れた半導体工程用研磨組成物を用いた半導体素子の製造方法を適用した場合、不良率が極小化された半導体素子を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】半導体素子に対する構成を概略的に示す図である。
【
図2】前記半導体素子の製造方法に関する構成を概略的に示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る研磨粒子のpH変化によるゼータ電位変化に関する。
【
図5】前記研磨粒子の不安定な状態を示す図である。
【
図6】前記研磨粒子のゼータ電位および半導体ウエハのゼータ電位に対する関係を概略的に示す図である。
【
図7】前記研磨粒子のゼータ電位および半導体ウエハのゼータ電位に対する関係を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の利点および特徴、そしてそれらを達成する方法は後述する実施例を参照すれば明確になる。しかし、本発明は以下に開示される実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で実現され、単に本実施例は本発明の開示が完全となるようにし、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は請求項の範疇によって定義される。
【0023】
本明細書において、「含む」、「含有する」、または「備える」というのは、特別な記載がない限り、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0024】
図面において、様々な層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。そして、図面において、説明の便宜のために、一部の層および領域の厚さを誇張して示した。明細書全体にわたって同一の参照符号は同一の構成要素を指し示す。
【0025】
また、本明細書において、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」または「上部に」あるとする時、これは他の部分の「真上に」ある場合のみならず、その中間にさらに他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分の「真上に」あるとする時には、中間に他の部分がないことを意味する。これとともに、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「下に」または「下部に」あるとする時、これは他の部分の「真下に」ある場合のみならず、その中間にさらに他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分の「真下に」あるとする時には、中間に他の部分がないことを意味する。
【0026】
本発明において、研磨粒子は、無機粒子などを水などの溶媒に分散させたものと定義され、研磨粒子のpHは、前記水などの溶媒に分散した状態でのpHを意味する。
【0027】
本発明の一実施形態に係る半導体工程用組成物は、研磨粒子を含み、前記研磨粒子は、pH6で、ゼータ電位が-50mV~-10mVであり、下記の式1で表されるゼータ電位変化率が6mV/pH~30mV/pHであってもよい:
【0028】
[式1]
ゼータ電位変化率(mV/pH)=|(Z6-Z5)/(p6-p5)|
【0029】
ここで、前記p6はpH6であり、前記p5はpH5であり、
前記Z6は前記pH6でのゼータ電位であり、前記Z5は前記pH5でのゼータ電位である。
【0030】
前記半導体工程用組成物は、前記式1のようなゼータ電位変化率を有する研磨粒子を含むことにより、前記組成物中における研磨粒子間のかたまり現象を防止して、研磨工程上で発生するディフェクトなどの欠陥の発生を防止することができ、タングステン膜および金属バリア膜を研磨する半導体工程に適用されて、優れた研磨性能を実現することができる。
【0031】
前記本発明の半導体工程用組成物を用いて、研磨工程の対象になる半導体ウエハは、
図1の通りである。前記
図1に示すように、シリコン基板10上に層間絶縁膜であるSiO
2酸化膜20を形成し、前記SiO
2酸化膜20をエッチングしてコンタクトホールを形成することができる。
【0032】
次に、前記コンタクトホールを含む基板の全面にTi/TiN(接着層/拡散防止層)のような金属バリア膜30を形成し、上部にコンタクトホールが完全に埋め込まれるようにタングステン(W)膜40を蒸着することができる。以後、半導体工程用組成物を用いて、研磨(Chemical Mechanical polishing)工程で前記SiO2酸化膜20上のタングステン膜40および金属バリア膜30を研磨してタングステンプラグを形成することができる。
【0033】
前記のような半導体素子の製造工程中、前記半導体工程用組成物は、一般的に研磨粒子およびその他の添加剤を含み、前記研磨粒子は、対象膜質の機械的な研磨のためのものであり、その他の添加剤は、半導体工程用組成物の性能を改善または補完するために含むことができる。
【0034】
前記半導体工程用組成物は、前記式1の値が前記範囲を満足することにより、研磨粒子が高いレベルの分散性を示すことができて、粒子の大きさが均一に分布された研磨組成物としての提供が可能になる。
【0035】
具体的には、前記本発明の半導体工程用組成物は、研磨粒子が、pHが6で、ゼータ電位が-50mV~-10mVであってもよい。前記のようなpH6で、ゼータ電位が-50mV~-10mVの値を有する研磨粒子を用いて研磨組成物に製造するもので、弱酸性の研磨粒子を用いて研磨組成物に製造することにより、別のエージング(Aging)工程を進行させなくても分散性に優れた研磨組成物に製造することができる。すなわち、後述のように、前記研磨粒子は、有機成分で表面処理される。前記のように研磨粒子を表面処理するために、弱酸性状態の研磨粒子を酸性状態にpHを調整し、有機成分と混合することができる。前記混合された有機成分が研磨粒子の表面に結合することにより、研磨粒子が表面処理される。前記表面処理過程で、弱酸性状態の研磨粒子を酸性状態にpHが変化しても、前記pH変化によってpHショック(shock)が発生せず、粒子間のかたまり現象が発生しない。
【0036】
従来、半導体工程用組成物中に含まれる研磨粒子は、強アルカリ溶液に分散した研磨粒子を用い、前記強アルカリ状態の研磨粒子は、半導体工程用組成物に製造時、酸性溶液と混合し撹拌する工程により、pHを強酸性状態に変化させることができる。前記酸性溶液と混合し撹拌する工程を進行させる時、研磨粒子は、急激なpH変化によって、pHショック(shock)が発生し、これによって粒子間でかたまり現象が発生しうる。
【0037】
前記酸性溶液は、具体的には、有機酸であり、例えば、前記有機酸は、硝酸(nitric acid)、酢酸(acetic acid)、ギ酸(formic acid)、安息香酸(benzoic acid)、ニコチン酸(nicotinic acid)、ピコリン酸(picolinic acid)、アラニン(alanine)、フェニルアラニン(phenylalanine)、バリン(valine)、ロイシン(leucine)、イソロイシン(isoleucine)、アルギニン(arginine)、アスパラギン酸(aspartic acid)、クエン酸(citric acid)、アジピン酸(adipic acid)、コハク酸(succinic acid)、シュウ酸(oxalic acid)、グリシン(glycine)、グルタミン酸(glutamic acid)、グルタル酸(glutaric acid)、フタル酸(phthalic acid)、ヒスチジン(histidine)、スレオニン(threonine)、セリン(serine)、システイン(cysteine)、メチオニン(methionine)、アスパラギン(asparagine)、チロシン(tyrosine)、ジヨードチロシン(diiodotyrosine)、トリプトファン(tryptophan)、プロリン(proline)、オキシプロリン(oxyproline)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ニトロトリ酢酸(NTA)、イミノジ酢酸(IDA)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。一実施形態において、前記有機酸は、硝酸または酢酸であってもよいが、前記例示に限らず、研磨粒子が溶液中に安定して分散した状態を維持し、強酸性にpHを調整できる有機酸は制限なくすべて使用可能である。
【0038】
具体的には、
図3は、本発明の一実施形態に係る研磨粒子のpH変化によるゼータ電位変化に関する。
図4は、研磨粒子が安定化状態の場合を示す図であり、
図5は、研磨粒子が不安定な状態で、粒子間のかたまり現象を示す図である。
【0039】
図3は、研磨粒子のpHによるゼータ電位変化に関し、研磨粒子200、300は、pH変化によってゼータ電位値が負の値から正の値に変化(210、220、310、320)し、研磨粒子の表面改質によってゼータ電位値が追加的に変化(230、330)することができる。
【0040】
より具体的には、弱酸性溶液に分散した研磨粒子200のゼータ電位変化についてみると、初期弱酸性溶液に分散した研磨粒子210は、負のゼータ電位値を示すことができ、酸性溶液と混合によって強酸性にpHが変化した溶液に分散した研磨粒子220は、ゼータ電位が正の値に変化できる。
【0041】
また、強アルカリ溶液に分散した研磨粒子300のゼータ電位値に対する変化をみると、初期強アルカリ溶液に分散した研磨粒子310は、負のゼータ電位値を示すことができ、研磨組成物に製造時、酸性溶液と混合によって強酸性にpHが変化した研磨粒子320は、ゼータ電位が正の値に変化できる。
【0042】
この時、強アルカリ溶液に分散した研磨粒子310は、酸性溶液と混合する時、pHショックで反応時間および研磨粒子の安定化に長時間費やされる。
【0043】
研磨粒子が安定化状態であるというのは、
図4のように、粒子間で反発力が作用して一定間隔を維持した状態を意味することができ、研磨粒子間の不安定な状態は、かたまり現象(aggregated)を意味することができる。
【0044】
強アルカリ溶液に分散した研磨粒子は、酸性溶液と混合する時、急激なpH変化によってpHショックが発生し、これによって
図5のようなかたまり現象が発生しうる。すなわち、研磨粒子に発生したpHショックによって研磨粒子の安定化のためのエージング工程が必要になり、これによって半導体工程用組成物の製造のために、追加的な工程を必要として、全体工程時間が増加しうる。
【0045】
これに対し、本発明のように、弱酸性環境下の研磨粒子200、210を使用すれば、半導体工程用組成物として製造工程上で酸性溶液と混合する時にもpH変化が少なく、これによって研磨粒子にpHショックが発生せず、研磨粒子間で安定化状態を維持することができる。
図4のように研磨粒子が安定化状態を維持した状態で研磨組成物を製造すれば、研磨粒子に対する別のエージング(aging)工程を省略することもできる。
【0046】
前記本発明の研磨粒子は、半導体工程用組成物に製造する時、研磨粒子間で安定化状態が維持されて、一定範囲で均一な大きさを有することを特徴とする。具体的には、accusizer Fx Nano(PSSA社)を用いて、初期濃度が4,000個/ml、最小サイズが0.56μm、最大サイズは20μmに希釈された半導体工程用組成物を15ml/min注入してLPC測定した結果、5μm超の粒子数は、約100個~約700個、約100個~約500個、約100個~約450個、約100個~約400個であってもよい。3μm超の粒子数は、約100個~約1,100個、約200個~約1,000個、約300個~約900個、約400個~約900個であってもよい。1μm超の粒子数は、約1,000個~約3,400個、約1,200個~約3,000個、約1,300個~約2,800個、約1,500個~約2,500個であってもよい。前記のように、LPC測定の結果、本発明の半導体工程用組成物は、直径の小さい研磨粒子を含んでいて、研磨工程に用いる時、半導体ウエハの表面にディフェクトなどの欠陥の発生を防止することができる。
【0047】
前記のように、本発明の研磨粒子は、pH変化による安定化に影響がなく、これは下記の式1で表されるゼータ電位変化率が6mV/pH~30mV/pHであることを特徴とする:
【0048】
[式1]
ゼータ電位変化率(mV/pH)=|(Z6-Z5)/(p6-p5)|
【0049】
ここで、前記p6はpH6であり、前記p5はpH5であり、
前記Z6は前記pH6でのゼータ電位であり、前記Z5は前記pH5でのゼータ電位である。
【0050】
前記式1によるゼータ電位変化率は、6mV/pH~30mV/pHであり、14mV/pH~24mV/pHであり、14mV/pH~19mV/pHであり、14.5mV/pH~18.5mV/pHであってもよい。前記範囲内のゼータ電位変化率を有する研磨粒子を用いて研磨組成物に製造する場合、酸性溶液と混合時、pH変化が少なく、これによって研磨粒子にpHショックが発生せず、研磨粒子間で安定化状態を維持可能で、研磨組成物の製造効率を上昇させることができる。また、研磨粒子間で安定化状態が維持されることにより、かたまり現象が発生せず、これによって研磨工程への適用時に欠陥の発生を防止することができる。
【0051】
前記ゼータ電位変化率は、pHが弱酸性の状態でのゼータ電位変化率を確認したもので、研磨組成物を製造するための研磨粒子が初期弱酸性溶液に分散した状態で酸性溶液と混合されることにより、pHを6から5に変化させた時、ゼータ電位変化率が約14mV/pH~約30mV/pHであってもよい。
【0052】
また、前記本発明の研磨粒子に対するpHを5から4に変化させた時、ゼータ電位変化率は、約10mV/pH~約55mV/pHであり、約15mV/pH~約48mV/pHであり、約16mV/pH~約44mV/pHであってもよい。前記本発明の研磨粒子に対するpHを4から3に変化させた時、ゼータ電位変化率は、約0mV/pH~約10mV/pH、約0.5mV/pH~約6mV/pH、約0.5mV/pH~約5mV/pHであってもよい。前記本発明の研磨粒子に対するpHを3から2に変化させた時、ゼータ電位変化率は、約-5mV/pH~約10mV/pH、約-3mV/pH~約8mV/pH、約1mV/pH~約7mV/pHであってもよい。前記本発明の研磨粒子に対するpHを2から1に変化させた時、ゼータ電位変化率は、約-5mV/pH~約10mV/pH、約-3mV/pH~約8mV/pH、約-2mV/pH~約6mV/pHであってもよい。前記のようなゼータ電位変化率を満足すれば、半導体工程用組成物中の研磨粒子は、かたまり現象が発生せず、安定化状態で含まれて、研磨工程への適用時、優れた研磨性能を提供するだけでなく、研磨工程上での欠陥の発生を防止することができる。
【0053】
本発明の研磨粒子は、下記の式2で表されるゼータ電位変化率が14mV/pH~40mV/pHであることを特徴とする:
【0054】
[式2]
ゼータ電位変化率=|(Z6-Z4)/(p6-p4)|
【0055】
ここで、前記p6はpH6であり、前記p4はpH4であり、
前記Z6は前記pH6でのゼータ電位であり、前記Z4は前記pH4でのゼータ電位である。
【0056】
前記式2によるゼータ電位変化率は、約14mV/pH~約40mV/pHであり、約20mV/pH~38mV/pHであり、約22mV/pH~約35mV/pHであってもよい。前述のように、本発明の研磨粒子は、弱酸性の状態で提供されて、半導体工程用組成物に製造されることから、前記弱酸性状態で、有機酸の供給によってpHが変化すると、研磨粒子のゼータ電位も変化できる。
図3によれば、弱酸性の研磨粒子210は、pHが6であり、半導体工程用組成物に製造時、pHが4に変化(220)できる。前記のようなpH変化によって、研磨粒子は、ゼータ電位値に変化が現れ、ゼータ電位値の変化程度に応じて、pHショックの発生の有無が決定されるが、
図3に示すように、前記式2の範囲を満たす場合は、研磨粒子がpH変化によって別のpHショックが現れないことを意味することができる。また、前記範囲値を満足することにより、半導体工程用組成物中の研磨粒子は、かたまり現象が発生せず、安定化状態で含まれて、研磨工程への適用時、優れた研磨性能を提供するだけでなく、研磨工程上での欠陥の発生を防止することができる。
【0057】
前記のように、本発明の研磨粒子は、下記の式3で表されるゼータ電位変化率が8mV/pH~20mV/pHであることを特徴とする:
【0058】
[式3]
ゼータ電位変化率=|(Z6-Z1)/(p6-p1)|
【0059】
ここで、前記p6はpH6であり、前記p1はpH1であり、
前記Z6は前記pH6でのゼータ電位であり、前記Z1は前記pH1でのゼータ電位である。
【0060】
前記式3によるゼータ電位変化率は、約8mV/pH~約20mV/pHであり、約8mV/pH~18mV/pHであり、約8mV/pH~約16mV/pHであってもよい。前記式3は、弱酸性の研磨粒子が強酸性の研磨粒子に状態変化することによるゼータ電位変化率に関するもので、前記範囲内を満たす場合、弱酸性状態の研磨粒子および強酸性状態の研磨粒子がいずれも分散性に優れていることを意味することができる。前記範囲のように、弱酸性状態での研磨粒子に対するゼータ電位値と強酸性状態での研磨粒子に対するゼータ電位値の変化程度を示す場合、半導体工程用組成物中における研磨粒子の分散性に優れて、粒子間のかたまりが発生せず、先に説明したように研磨粒子間で安定化状態を維持して、一定範囲で均一な大きさを示すことができる。
【0061】
前記のように、本発明の研磨粒子は、下記の式4で表されるゼータ電位変化率が9.5mV/pH~20mV/pHであることを特徴とする:
【0062】
[式4]
ゼータ電位変化率=|(Z6-Z2)/(p6-p2)|
【0063】
ここで、前記p6はpH6であり、前記p2はpH2であり、
前記Z6は前記pH6でのゼータ電位であり、前記Z2は前記pH2でのゼータ電位である。
【0064】
前記式4によるゼータ電位変化率は、約9.5mV/pH~約20mV/pHであり、約9.5mV/pH~19mV/pHであり、約9.5mV/pH~約18mV/pHであってもよい。弱酸性状態の研磨粒子を研磨組成物に製造するために、強酸性状態の研磨粒子に製造した時、前記式4の範囲のゼータ電位変化を示す場合、pH変化によるショックが発生せず、粒子のかたまりを防止するための別の工程を必要とせず、製造工程を単純にして、生産効率を高めることができ、前記研磨粒子を含む半導体工程用組成物は、研磨工程に用いる時、対象膜質に対する研磨率に優れ、ディフェクトなどの欠陥を防止することができる。
【0065】
また、前記のように、本発明の研磨粒子は、工程上でのpH6からpH4にpH変化によるゼータ電位変化が約31mV~約75mVであり、約35mV~約68mVであり、約35mV~約65mVであってもよい。先に説明したように、本発明の研磨粒子は、pHが6の弱酸性状態の研磨粒子を用いて、pHが4の弱酸性状態にpHを変化させて半導体工程用組成物を製造するもので、前記pHの変化程度に応じて、ゼータ電位が変化し、これは前記範囲内で変化できる。これは半導体工程用組成物を製造するための工程上で研磨粒子のpH変化によるpHショックの発生を防止できるゼータ電位変化を意味するもので、前記範囲内でpHの変化によってゼータ電位が変化した時にも研磨粒子にショックが発生せず、半導体工程用組成物へ提供した時、優れた分散性を示すことができて、研磨工程への適用時、優れた研磨性能を提供するだけでなく、研磨工程上での欠陥の発生を防止することができる。
【0066】
具体的には、半導体ウエハの化学機械研磨に適用されて、研磨平坦性の面で優れた効果を実現するだけでなく、ディフェクトのような欠陥の発生を最小化することができる。前記半導体工程用組成物は、半導体ウエハに対する研磨工程に適用されて、タングステン膜および金属バリア膜に対して著しく向上した研磨性能を発揮することができる。
【0067】
すなわち、本発明の半導体工程用組成物は、タングステン膜および金属バリア膜を含む半導体ウエハに対して、ディフェクトのような欠陥の発生を防止すると同時に、研磨性能を目的レベルに達成することができる。
【0068】
本発明の一実施形態に係る研磨粒子は、前記半導体工程用組成物中の前記研磨粒子のゼータ電位値が正(+)の値を示すように表面処理された粒子を含むことができる。具体的には、前記研磨粒子は、pHが4の時、ゼータ電位が正(+)のゼータ電位値を有するように表面処理されるものであり、この時、ゼータ電位は、約10mV~約50mVであり、好ましくは、約15mV~約45mVであり、より好ましくは、約20mV~約40mVであってもよい。
【0069】
先に説明した本発明の半導体工程用組成物に含まれた研磨粒子は、ゼータ電位値が正(+)の値を有するように表面処理されたことを特徴とし、このような特徴によって、ディフェクトのような欠陥の発生を防止することができる。
【0070】
図5のように、ゼータ電位値が正(+)の値を有するように表面処理された研磨粒子を含む半導体工程用組成物は、半導体ウエハとの吸着効率に優れて、研磨性能を向上させることができる。具体的には、半導体ウエハの表面は、ゼータ電位値が負(-)の値を有する。前記のように、半導体ウエハの表面が負のゼータ電位を示していて、正のゼータ電位を有する研磨粒子を使用すれば、静電気的引力によって半導体ウエハおよび研磨粒子間の吸着効率が向上できる。前記のような吸着効率の向上により、化学的結合(Chemical bonding)が形成されやすく、機械的摩耗を容易に起こるようにして、対象膜質の除去を容易にできる。
【0071】
また、前記ゼータ電位値が正の値を有するように表面処理された研磨粒子は、負のゼータ電位を示す半導体ウエハと静電気的引力によって容易に結合できるが、前記のような結合は、半導体ウエハおよび研磨パッドの圧着および回転により離れやすくなりうる。
【0072】
これに対し、
図6のように、ゼータ電位値が負(-)の値を有する研磨粒子を含む半導体工程用組成物は、ゼータ電位が負の値を有する半導体ウエハと静電気的反発が発生しうる。したがって、
図6にて表現される研磨粒子は、半導体ウエハと吸着されず、これによって機械的摩耗が容易に起こらなかったり、対象膜質の除去が容易でないことがある。
【0073】
より具体的には、前記研磨粒子は、無機粒子を含むことができ、前記無機粒子は、少なくとも1種の有機成分で表面処理された粒子を含むことができる。
【0074】
一実施形態において、前記無機粒子の表面処理のための前記少なくとも1種の有機成分は、例えば、アミノシラン(Amino silane)、アルコキシシラン(Alkoxy silane)、エトキシシラン(Ethoxy silane)、エポキシシラン(Epoxy silane)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。前記有機成分は、アミノシランであってもよいし、前記アミノシランは、より具体的には、3-アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS)、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS)、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン(GPDMS)、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン(APDES)、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MrPTMS)、3-メルカプトプロピルトリメチルジメトキシシラン(MrPDMS)、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MPTMS)、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン(MPDMS)、およびこれらの混合からなる群より選択されてもよい。
【0075】
一実施形態において、前記無機粒子は、シリカ(Silica、SiO2)を含み、前記無機粒子の表面処理に適用された少なくとも1種の有機成分は、アミノシランまたはエポキシシランを含むことができる。酸性溶液に分散した研磨粒子は、正のゼータ電位値を有することを特徴とする。その結果、前記表面が負のゼータ電位を示す半導体ウエハの表面に吸着が容易であり、機械的摩耗が容易で対象膜質に対する研磨率を高めることができる。
【0076】
前記本発明の研磨粒子は、有機成分で表面処理するために、研磨粒子100重量部に対して、有機成分約0.01重量部~約1重量部および有機酸約0.01重量部~約1重量部を含み、好ましくは、有機成分約0.05重量部~約0.8重量部および有機酸約0.05重量部~約0.8重量部を含み、より好ましくは、有機成分約0.1重量部~約0.8重量部および有機酸約0.05重量部~約0.5重量部を含むことができる。前記範囲に含むことにより、研磨粒子のpH調整時に分散性が向上し、前記研磨粒子が正のゼータ電位を示すことが可能で、半導体工程用組成物に製造した後、半導体素子の製造工程への適用時、研磨性能を向上させることができ、ディフェクトなどのような欠陥の発生を防止することができる。
【0077】
他の実施形態において、前記研磨粒子は、有無機複合粒子を含むことができ、前記有無機複合粒子は、例えば、高分子樹脂を含むコア;および前記コアの表面に配置された無機成分を含むシェルからなるコア-シェル構造の粒子であってもよい。
【0078】
前記有無機複合粒子のコアは、高分子樹脂として、例えば、ポリメチルメタクリレート(Polymethylmethacrylate、PMMA)樹脂、ポリスチレン(Polystyrene、PS)樹脂などを含むことができる。前記シェルの無機成分は、例えば、シリカ、シリカ(Silica、SiO2)、セリア(Ceria、CeO2)、アルミナ(Alumina、Al2O3)、チタニア(Titania、TiO2)、ジルコニア(Zirconia、ZrO2)、ゲルマニア(GeO2)などを含むことができる。
【0079】
前記研磨粒子に含まれた粒子は、例えば、平均粒径(D50)が約5nm~約150nmであってもよく、例えば、約5nm~約100nmであってもよく、例えば、約5nm~約80nmであってもよく、例えば、約10nm~約80nmであってもよく、例えば、約30nm~約50nm、例えば、約30nm~約45nm、例えば、約34nm~約44nmであってもよい。このような大きさの研磨粒子を適用することにより、前記半導体工程用組成物が前記式1の条件を満足するのにより有利であり得る。
【0080】
例えば、前記研磨粒子は、その粒子分布において、10%累積質量粒子サイズ分布径(D10)が約5nm~約50nm、例えば、約5nm~約35nm、例えば、約10nm~約35nm、例えば、約20nm~約35nm、例えば、約23nm~約33nmであってもよい。
【0081】
例えば、前記研磨粒子は、その粒子分布において、90%累積質量粒子サイズ分布径(D90)が約40nm~約150nm、例えば、約40nm~約100nm、例えば、約45nm~約80nm、例えば、約45nm~約65nm、例えば、50nm~約60nmであってもよい。
【0082】
例えば、前記研磨粒子は、その粒子分布において、10%累積質量粒子サイズ分布径(D10)が約23nm~約33nmであってもよく、50%累積質量粒子サイズ分布径(D50)が約34nm~約44nmであってもよく、90%累積質量粒子サイズ分布径(D90)が約50nm~約60nmであってもよい。
【0083】
前記研磨粒子は、その粒子分布において、1.10≦D90/D50≦1.80、例えば、1.50≦D90/D10≦2.70、例えば、1.00≦D50/D10≦2.00の条件を満足することができる。このような粒子分布を有する研磨粒子を適用することにより、前記半導体工程用組成物が前記式1の値を所定の範囲で満足させるのにより有利であり得、これに相応する優れた研磨結果を算出するのにより有利であり得る。
【0084】
前記研磨粒子の粒度分布を測定する方法は特に限定されず、当該技術分野にてナノ(nm)サイズレベルの粒子パウダーに対する粒度分析のために用いられる任意の汎用的な装置を用いて導出することができる。
【0085】
前記半導体工程用組成物は、先に説明した研磨粒子のほか、少なくとも1種の添加剤を含むことができる。前記少なくとも1種の添加剤は、主に化学的な反応により研磨対象の表面状態を研磨に好適に調整する役割を果たすことができる。
【0086】
前記少なくとも1種の添加剤は、例えば、有機酸を含むことができる。前記有機酸は、タングステンイオンなどの金属イオンをトラップ(trap)する錯化剤として機能することができる。前記錯化剤は、酸化剤によって酸化された金属酸化物をキレートする役割を果たす。すなわち、金属酸化物とのキレート反応で酸化された金属酸化物が被研磨層の金属膜層に再吸着されることを抑制して、金属膜に対する研磨速度を増加させ、表面欠陥(defect)を減少させることができる。例えば、前記有機酸は、酢酸(acetic acid)、ギ酸(formic acid)、安息香酸(benzoic acid)、ニコチン酸(nicotinic acid)、ピコリン酸(picolinic acid)、アラニン(alanine)、フェニルアラニン(phenylalanine)、バリン(valine)、ロイシン(leucine)、イソロイシン(isoleucine)、アルギニン(arginine)、アスパラギン酸(aspartic acid)、クエン酸(citric acid)、アジピン酸(adipic acid)、コハク酸(succinic acid)、シュウ酸(oxalic acid)、グリシン(glycine)、グルタミン酸(glutamic acid)、グルタル酸(glutaric acid)、フタル酸(phthalic acid)、ヒスチジン(histidine)、スレオニン(threonine)、セリン(serine)、システイン(cysteine)、メチオニン(methionine)、アスパラギン(asparagine)、チロシン(tyrosine)、ジヨードチロシン(diiodotyrosine)、トリプトファン(tryptophan)、プロリン(proline)、オキシプロリン(oxyproline)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ニトロトリ酢酸(NTA)、イミノジ酢酸(IDA)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。一実施形態において、前記有機酸は、グリシンを含むことができる。
【0087】
前記少なくとも1種の添加剤は、例えば、ポリオールを含むことができる。前記ポリオールは、被研磨面に研磨粒子が吸着されたり、スクラッチなどのような欠陥の発生を抑制することができ、半導体工程用組成物中における分散性を向上させることができる。例えば、前記ポリオールは、ポリビニルアルコール、セルロース、ソルビトール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、グリセリンモノメチルエーテル、グリセリンジメチルエーテル、グリセリンジエチルエーテル、グリセリントリエチルエーテル、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。一実施形態において、前記ポリオールは、ソルビトールを含むことができる。
【0088】
前記少なくとも1種の添加剤は、フッ素系界面活性剤であってもよい。前記フッ素系界面活性剤を含むことにより、前記半導体工程用組成物が研磨工程に適用される前;および/または前記研磨工程への適用中に前記研磨粒子の研磨対象表面に対する過度な吸着を効果的に防止することができる。また、フッ素を含むことにより、前記半導体工程用組成物中の細菌およびカビの繁殖などを防止して、長期間保管安定性を向上させるという利点を得ることができる。
【0089】
前記本発明の界面活性剤は、具体的には、BNOCHEM社のBNO-BS-BOH、Chemourstm社のFS-30、FS-31、FS-34、ET-3015、ET-3150、ET-3050、Capstone FS-3100、およびこれらの混合からなる群より選択されてもよいが、研磨工程で炭素残留物が半導体基板の表面に過度に吸着されるのを防止する役割を果たす物質であれば特に限定されない。
【0090】
前記本発明の界面活性剤は、非イオン性界面活性剤として、非イオン性フッ素系高分子化合物を含む界面活性剤を単独で使用してもよいし、他の非イオン性界面活性剤と混合して使用することも可能である。
【0091】
前記非イオン性界面活性剤は、ポリエチレングリコール(polyethylen glycol)、ポリプロピレングリコール(polypropylene glycol)、ポリエチレン-プロピレン共重合体(polyethylene-propylene copolymer)、ポリアルキルオキシド(polyalkyl oxide)、ポリオキシエチレンオキシド(polyoxyethylene oxide;PEO)、ポリエチレンオキシド(polyethylene oxide)、ポリプロピレンオキシド(polypropylene oxide)、フッ素系界面活性剤は、スルホン酸ナトリウムフッ素系界面活性剤(sodium sulfonate fluorosurfactant)、リン酸エステルフッ素系界面活性剤(phosphate ester fluorosurfactant)、酸化アミンフッ素系界面活性剤(amine oxide fluorosurfactant)、ベタインフッ素系界面活性剤(betaine fluorosurfactant)、カルボン酸アンモニウムフッ素系界面活性剤(ammonium carboxylate fluorosurfactant)、ステアリン酸エステルフッ素系界面活性剤(stearate ester fluorosurfactant)、4級アンモニウムフッ素系界面活性剤(quaternary ammonium fluorosurfactant)、エチレンオキシド/プロピレンオキシドフッ素系界面活性剤(ethylene oxide/propylene oxide fluorosurfactant)およびポリオキシエチレンフッ素系界面活性剤(polyoxyethylene fluorosurfactant)からなる群より選択されてもよい。
【0092】
前記少なくとも1種の添加剤は、pH調整剤をさらに含むことができる。前記pH調整剤は、例えば、塩酸(HCl)、リン酸(H3PO4)、硫酸(H2SO4)、硝酸(HNO3)、水酸化アンモニウム(NH4OH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。前記少なくとも1種の添加剤がpH調整剤を含む場合、前記全体半導体工程用組成物の重量対比約0.01重量%~約5重量%含むことができる。
【0093】
前記半導体工程用組成物は、前述した各成分以外の溶媒を含むことができる。前記溶媒は、例えば、水(H2O)であってもよく、具体的には、超純水が適用可能である。
【0094】
前記半導体工程用組成物は、研磨粒子約1重量%~10重量%、ポリオール約0.5重量%~約5重量%、有機酸約0.01重量%~1重量%、および残りの溶媒を含み、好ましくは、研磨粒子約1重量%~8重量%、ポリオール約0.5重量%~約4重量%、有機酸約0.01重量%~0.8重量%、および残りの溶媒を含み、より好ましくは、研磨粒子約1重量%~5重量%、ポリオール約1重量%~約4重量%、有機酸約0.05重量%~0.8重量%、および残りの溶媒を含むことができる。前記範囲内に含む場合、被研磨面に研磨粒子が吸着されるのを防止することができ、欠陥の発生を防止することができ、研磨速度、半導体工程用組成物の分散安定性および被研磨面に対して優れた平坦性を実現するのにより有利であり得る。
【0095】
前記半導体工程用組成物は、固形分含有量が約5重量%~約20重量%であってもよい。前記固形分含有量が過度に少ない場合、シリコン酸化膜に対する研磨率が十分に確保されない恐れがあり、過度に多い場合、前記研磨粒子の凝集などによる欠陥発生の恐れがある。すなわち、前記半導体工程用組成物が前述した各成分と前記溶媒を含みかつ、前記範囲の固形分含有量を満足する場合、前記半導体工程用組成物を研磨工程に適用する時、均一な流量で注入するのに有利であり得、また、前記半導体工程用組成物の流通および保存過程で均一な分散性および保存安定性を確保するのに有利であり得る。
【0096】
本発明の他の実施形態において、半導体工程用組成物の製造方法は、pHが6であり、ゼータ電位が-50mV~-10mVである研磨粒子に酸性溶液を添加してpH2~pH4に調整するステップと、前記pHが調整された研磨粒子を撹拌し、前記研磨粒子に有機成分および有機酸を添加するステップとを含むことができる。前記研磨粒子は、下記の式1で表されるゼータ電位変化率が6mV/pH~30mV/pHであってもよい:
【0097】
[式1]
【0098】
ゼータ電位変化率(mV/pH)=|(Z6-Z5)/(p6-p5)|
【0099】
ここで、前記p6はpH6であり、前記p5はpH5であり、
【0100】
前記Z6は前記pH6でのゼータ電位であり、前記Z5は前記pH5でのゼータ電位である。
【0101】
前記本発明の半導体工程用組成物を製造するためには、先に説明したように、弱酸性の溶液に分散した研磨粒子を用いる。前記研磨粒子は、弱酸性のpH6で、ゼータ電位が約-50mV~約-10mVであり、約-40mV~約-12mVであり、約-35mV~約-19mVであり、約-20.5mV~約-30mVであってもよい。前記範囲内のゼータ電位値を有する研磨粒子は、酸性溶液の混合によってpHが変化しても、研磨粒子のpHショックが発生せず、安定化された状態で研磨組成物に製造可能である。
【0102】
具体的には、前記式1によるゼータ電位変化率は、6mV/pH~30mV/pHであり、14mV/pH~24mV/pHであり、14mV/pH~19mV/pHであり、14.5mV/pH~18.5mV/pHであってもよい。前記のように、式1の値が本発明の範囲を満足することは、酸性溶液との混合によっても研磨粒子間の安定化状態を維持することを意味することであり、前記範囲内に含む時、研磨組成物への製造工程上で酸性溶液と混合時にもpH変化が少なく、これによって研磨粒子にpHショックが発生せず、研磨粒子間で安定化状態を維持可能で、研磨組成物の製造効率を上昇させることができる。また、研磨粒子間で安定化状態が維持されることにより、かたまり現象が発生せず、これによって、研磨工程への適用時、欠陥の発生を防止することができる。
【0103】
前記研磨粒子は、撹拌工程を進行させ、同時に、有機酸を添加して2~4の強酸性にpHを低くする。以後、撹拌工程を進行させ、有機成分および有機酸を添加して、研磨粒子の表面に有機成分が結合できるようにする。
【0104】
前記研磨粒子間で安定化状態を維持し、粒子の表面に有機成分を結合させるためには、前記撹拌工程を進行させる時、1,500rpm~2,000rpmの速度で進行させ、好ましくは、1,600rpm~1,900rpmであり、より好ましくは、1,600rpm~1,800rpmであってもよい。前記範囲内で迅速に撹拌工程を進行させることにより、研磨粒子のゼータ電位によって、粒子間の安定化状態を維持し、粒子の表面に有機成分を容易に結合させることができる。また、先に説明したように、研磨粒子間で安定化状態が維持されることにより、優れた分散特性を示すことができる。
【0105】
前記アミン系表面結合剤が結合した研磨粒子は、イオン交換膜を通して分離し、分離されたアミン系表面結合剤が結合した研磨粒子は、半導体工程用組成物に製造できる。
【0106】
前記研磨粒子は、少なくとも1種の添加剤と混合により半導体工程用組成物に製造できる。前記少なくとも1種の添加剤は、主に化学的な反応により研磨対象の表面状態を研磨に好適に調整する役割を果たすことができる。
【0107】
前記1種以上の添加剤は、先に説明したように、有機酸、ポリオール、フッ素系界面活性剤、および溶媒を含むことができる。また、前記添加剤は、pH調整剤、アゾール類化合物、リン酸系化合物などを追加的に含むことができる。
【0108】
前記添加剤に関する説明は、先に前述した事項が半導体工程用組成物の製造方法にも同一に統合解釈適用可能である。
【0109】
本発明の他の実施形態において、半導体素子の製造方法は、研磨面が備えられた研磨パッドが装着された定盤を用意するステップと、研磨対象を収容したキャリアを用意するステップと、前記定盤および前記キャリアを回転させかつ、前記研磨パッドの研磨面と前記研磨対象の被研磨面とが互いに当接するように配置した状態で回転させるステップと、前記研磨面上に半導体工程用組成物を供給するステップと、を含み、前記半導体工程用研磨組成物は、研磨粒子;および少なくとも1種の添加剤を含み、前記研磨粒子は、下記の式1で表されるゼータ電位変化率が6mV/pH~30mV/pHであってもよい:
【0110】
[式1]
ゼータ電位変化率(mV/pH)=|(Z6-Z5)/(p6-p5)|
【0111】
ここで、前記p6はpH6であり、前記p5はpH5であり、
前記Z6は前記pH6でのゼータ電位であり、前記Z5は前記pH5でのゼータ電位である。
【0112】
前記半導体工程用組成物および前記式1に関連づけられた事項は、すべて前記半導体工程用組成物に関して前述したものと同一である。
【0113】
図2は、本発明の一実施形態に係る前記半導体素子の製造方法に関する構成を概略的に示す図である。
図2を参照する時、前記半導体素子の製造方法は、研磨面が備えられた研磨パッド110が装着された定盤120を用意するステップと、研磨対象130を収容したキャリア160を用意するステップとを含むことができる。
【0114】
前記半導体素子の製造方法において、前記研磨対象130は、
図1のような構造を有する半導体ウエハであってもよい。具体的には、シリコン基板上に層間絶縁膜であるSiO
2酸化膜を形成し、前記SiO
2酸化膜をエッチングしてコンタクトホールを形成する。
【0115】
次に、前記コンタクトホールを含む基板の全面にTi/TiN(接着層/拡散防止層)のような金属バリア膜を形成し、上部にコンタクトホールが完全に埋め込まれるようにタングステン(W)膜を蒸着する。以後、半導体工程用組成物を用いて、研磨(Chemical Mechanical polishing)工程で前記SiO2酸化膜上のタングステン膜および金属バリア膜を研磨してタングステンプラグを形成する。
【0116】
前記本発明の半導体工程用組成物は、前記研磨工程に適用されて、前記SiO2酸化膜上のタングステン膜および金属バリア膜を研磨してタングステンプラグを形成するためのものであり、タングステン膜および金属バリア膜に対する研磨性能に優れ、ディフェクトなどのような欠陥の発生を最小化することができる。
【0117】
図1および
図2を参照する時、前記研磨対象130は、タングステン膜40および金属バリア膜30を有する半導体ウエハであってもよく、前記半導体ウエハは、基板10と、SiO
2酸化膜20と、前記SiO
2酸化膜上にTi/TiN(接着層/拡散防止層)のような金属バリア膜30と、前記金属バリア膜上にタングステン膜40とを含むことができる。前記SiO
2酸化膜20は、基板10上に1,000~2,000Åの厚さに形成され、前記SiO
2酸化膜20をエッチングしてコンタクトホールを形成する。
【0118】
図2を参照する時、前記半導体素子の製造方法は、前記定盤120および前記キャリア160を回転させかつ、前記研磨パッド110の研磨面と前記研磨対象130の被研磨面とが互いに当接するように配置した状態で回転させるステップを含むことができる。
【0119】
前記研磨パッド110は、その研磨面が最上部面となるように前記定盤120上に装着され、前記研磨対象130は、その被研磨面が最下部面となるように前記キャリア160に収容されることにより、前記研磨面と前記被研磨面とが互いに当接するように配置される。前記研磨面と前記被研磨面とが互いに当接するというのは、直接的に物理的接触する場合のみならず、前記半導体工程用組成物中の前記研磨粒子などを介在させて間接的に接触する場合も含まれると解釈される。
【0120】
前記定盤120が回転するに伴い、前記研磨パッド110も、実質的に同一の軌跡および速度で回転し、前記キャリア160が回転するに伴い、前記研磨対象130も実質的に同一の軌跡および速度で回転する。前記定盤120および前記キャリア160は、互いに同一の方向に回転してもよく、異なる方向に回転してもよい。
【0121】
本発明の一実施形態において、前記定盤120および前記キャリア160の回転速度はそれぞれ、約10rpm~約500rpmであってもよく、例えば、約30rpm~約200rpmであってもよい。前記定盤120および前記キャリア160がそれぞれ前記範囲の回転速度で回転する場合、その遠心力による前記研磨面および前記被研磨面の摩擦挙動が前記研磨面上に供給される前記半導体工程用組成物と相互連携されて、前記被研磨面に対して研磨平坦性の確保効果を得るようにする。
【0122】
本発明の一実施形態において、前記キャリア160の回転速度が前記定盤120の回転速度より大きい。前記キャリア160を前記定盤120に比べて高い速度で回転させることにより、研磨安定性を確保すると同時に、前記研磨対象130の被研磨面が欠陥(Defect)なく研磨されるのに有利であり得る。
【0123】
本発明の一実施形態において、前記半導体素子の製造方法は、前記定盤120および前記キャリア160を回転させかつ、前記キャリア160の前記研磨面に対する加圧条件下で回転させることができる。前記キャリア160が所定の圧力条件下で前記研磨面に対して加圧されることにより、前記研磨対象130の被研磨面が前記研磨パッド110の研磨面と直接接触研磨される時;および前記半導体工程用組成物150を介在させて間接接触研磨される時;とも、優れた研磨性能を実現することができる。例えば、前記キャリア160が前記研磨面に加圧される荷重は、約0.01psi~約20psiであってもよく、例えば、約0.1psi~約15psiであってもよい。
【0124】
図2を参照する時、前記半導体素子の製造方法は、前記研磨面上に半導体工程用組成物150を供給するステップをさらに含むことができる。より具体的には、前記半導体工程用組成物150は、供給ノズル140を通して前記研磨面上に供給される。
【0125】
本発明の一実施形態において、前記供給ノズル140を通して噴射される前記半導体工程用組成物150の流量は、約10mL/min~約1,000mL/minであってもよく、例えば、約10mL/min~約800mL/minであってもよく、例えば、約50mL/min~約500mL/minであってもよい。前記半導体工程用組成物150が前記範囲の流量で前記研磨面上に供給される場合、これを介在させた前記研磨面と前記被研磨面との間の摩擦挙動が前記被研磨面の研磨性能を向上させるのにより有利であり得る。より具体的には、前記半導体ウエハの構造によってタングステン膜および金属バリア膜を含む研磨面に対する研磨結果において研磨性能に優れ、ディフェクトなどのような欠陥の発生を防止することができる。
【0126】
前記半導体工程用組成物は、研磨粒子;および少なくとも1種の添加剤を含むことができ、前記研磨粒子および前記少なくとも1種の添加剤に関する事項は、前記半導体工程用組成物について説明したものと同一である。すなわち、前記半導体工程用組成物に関して上述した前記研磨粒子および前記少なくとも1種の添加剤に対するすべての具体例とこれらの技術的利点は、前記半導体の製造方法に適用される前記半導体工程用組成物に統合されて適用可能であり、前記半導体の製造方法の他の構成、例えば、前記定盤および前記キャリアなどの構造および駆動に関連して技術的目的の達成の面で有利な相互作用をなすことができる。
【0127】
図2を参照する時、一実施形態において、前記半導体素子の製造方法は、前記研磨パッド110の研磨面をコンディショナ170を介して加工するステップをさらに含むことができる。前記研磨パッド110の研磨面は、前記半導体工程用組成物150が持続的に供給されながら化学的な影響を受け、これと同時に、前記研磨対象130の被研磨面との物理的接触によって物理的な影響を受ける。このような化学的/物理的影響によって前記研磨面の状態が変形されると、前記被研磨面に対する研磨性能を均一に維持しにくいことがある。前記コンディショナ170を介して前記研磨面を加工するステップは、前記研磨面が研磨に適した状態を一定に維持するのに寄与することができる。
【0128】
例えば、前記コンディショナ170は、所定の速度で回転しながら前記研磨面を粗面化する役割を果たすことができる。前記コンディショナ170の回転速度は、例えば、約10rpm~約500rpm、例えば、約50rpm~約500rpm、例えば、約100rpm~約500rpm、例えば、約200rpm~約500rpm、例えば、約200rpm超過、約400rpm未満であってもよい。
【0129】
前記コンディショナ170は、前記研磨パッド110の研磨面に対して所定の圧力で加圧されながら回転することができる。例えば、前記コンディショナ170の前記研磨面に対する加圧圧力は、約1psi~約20psi、例えば、約1psi~約15psi、例えば、約5psi~約15psi、例えば、約5psi~約10psiであってもよい。
【0130】
前記コンディショナ170を介して前述した工程条件下で表面処理することにより、前記研磨面が研磨工程全体にわたって最適な表面状態を維持することができ、前記半導体工程用組成物150の印加条件下で研磨寿命が長期化される効果を得ることができる。
【0131】
以下、本発明の具体的な実施例を提示する。ただし、下記に記載の実施例は本発明を具体的に例示または説明するためのものに過ぎず、これによって本発明の権利範囲が制限解釈されず、本発明の権利範囲は特許請求の範囲によって定められる。
【0132】
製造例1
研磨粒子の製造(実施例1)
弱酸性コロイダルシリカは、前駆体として水ガラスを用い、触媒としてKOHを用いて製造することができる。具体的には、水ガラスにKOHを添加してpHを10の塩基条件に調整した。前記塩基条件下で、SiOが形成され、シードを形成し、以後、粒子に成長した。以後、硝酸を少量添加し、イオン交換樹脂としてdeionizationを用いて不必要な金属イオンを除去して弱酸性コロイダルシリカを製造した。前記弱酸性コロイダルシリカはpH6であり、ゼータ電位(zeta potential)が-24mVであり、平均粒径(D50)が41nmである。
【0133】
前記弱酸性コロイダルシリカを1,700rpmで撹拌しながら、酢酸およびアミノシランである3-アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)を100ml/minの速度で少しずつ添加同時投下して、pHが3.8の弱酸性表面改質コロイダルシリカを製造した。
【0134】
実施例2~3
前記製造例1に基づいて製造し、前記弱酸性コロイダルシリカ、アミノシランおよび酢酸の投入量は、下記表1のように含むように弱酸性表面改質コロイダルシリカを製造した。
【0135】
比較例1
pHが9であり、ゼータ電位が-52mVである強塩基コロイダルシリカを用意した。前記強塩基コロイダルシリカを1,700rpmで撹拌し、硝酸を添加して、pHが2.3の強酸性コロイダルシリカを製造した。前記酢酸は50ml/secで迅速に投入した。
【0136】
前記強酸性コロイダルシリカを1,700rpmで撹拌し、アミノシランである3-アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)および硝酸を少しずつ添加して、表面改質されたコロイダルシリカに製造した。
【0137】
比較例2
強塩基コロイダルシリカに酢酸を添加する時、1ml/secの投入速度を維持したことを除き、比較例1と同様に製造した。
【0138】
比較例3
pHが6で、ゼータ電位が-12mVである中性溶液に分散したコロイダルシリカを用意した。前記中性コロイダルシリカは高速で撹拌され、その状態で、前記中性コロイダルシリカに硝酸を添加して、pHが2.3の強酸性コロイダルシリカを製造した。
【0139】
前記強酸性コロイダルシリカは高速で撹拌され、高速で撹拌される状態で、前記強酸性コロイダルシリカにアミノシランである3-アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)および硝酸を少しずつ添加して、表面改質されたコロイダルシリカを製造した。
【0140】
比較例4
pHが9であり、ゼータ電位が-52mVである強塩基溶液に分散したコロイダルシリカを用意した。前記中性コロイダルシリカを1,700rpmで撹拌し、硝酸を添加して、pHが2.3の強酸性コロイダルシリカを製造した。
【0141】
前記強酸性コロイダルシリカを1,700rpmで撹拌し、アミノシランである3-アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)および硝酸を少しずつ添加して、表面改質されたコロイダルシリカに製造した。
【0142】
前記実施例および比較例の表面改質されたコロイダルシリカを製造するための構成成分の含有量およびpHによるゼータ電位値は、下記表1の通りである。測定されたゼータ電位値により、下記式1による値も導出した。
【0143】
[式1]
ゼータ電位変化率(mV/pH)=|(Z6-Z5)/(p6-p5)|
【0144】
ここで、前記p6はpH6であり、前記p5はpH5であり、
前記Z6は前記pH6でのゼータ電位であり、前記Z5は前記pH5でのゼータ電位である。
【0145】
前記式1と同一の方式を用いて、下記のように式2~4に対する値も導出した。
【0146】
[式2]
ゼータ電位変化率=|(Z6-Z4)/(p6-p4)|
【0147】
ここで、前記p6はpH6であり、前記p4はpH4であり、
前記Z6は前記pH6でのゼータ電位であり、前記Z4は前記pH4でのゼータ電位である。
【0148】
[式3]
ゼータ電位変化率=|(Z6-Z1)/(p6-p1)|
【0149】
ここで、前記p6はpH6であり、前記p1はpH1であり、
前記Z6は前記pH6でのゼータ電位であり、前記Z1は前記pH1でのゼータ電位である。
【0150】
[式4]
ゼータ電位変化率=|(Z6-Z2)/(p6-p2)|
【0151】
ここで、前記p6はpH6であり、前記p2はpH2であり、
前記Z6は前記pH6でのゼータ電位であり、前記Z2は前記pH2でのゼータ電位である。
【0152】
下記のゼータ電位変化率は前記式1のような方式で計算し、具体的には、1~2の変化率は(pH1でのゼータ電位-pH2でのゼータ電位)/(pH2-pH1)で計算し、他の値も同一の方式を用いて計算した。
【0153】
【0154】
製造例2
半導体工程用組成物の製造
前記実施例1~比較例6で製造された研磨粒子を用い、前記研磨粒子にグリシン(Glycine、Yunwoo Chemical社、A3-10)、ソルビトール(Sorbitol、Yunwoo Chemical社、GC-30)およびフッ素系界面活性剤(Chemours、FS-30)を混合した。具体的には、前記研磨粒子3重量%、グリシン0.1重量%、ソルビトール溶液2重量%およびフッ素系界面活性剤0.0025重量%、および残りの超純水溶媒を混合して、半導体工程用組成物を製造した。
【0155】
実験方法
(1)LPC測定
各サンプルを100mlずつ用意し、泡除去のために2時間エージングした。サンプルの測定前に装置のline全体を超純水で洗浄した。下記の装置および条件で、希釈されたサンプルを5回以上測定進行させて平均値を計算した。
【0156】
装置名:accusizer Fx Nano(PSSA社)
flow rate:15ml/min
チャネル数:32
Light Extinction collection time:60秒
初期濃度:4000個/ml
最小サイズ:0.56μm
最大サイズ:20μm
【0157】
(2)Defect測定
図1を参照する時、シリコン基板10上に層間絶縁膜であるSiO
2酸化膜を含み、前記層間絶縁膜をエッチングして形成されたコンタクトホールを含み、前記コンタクトホールを含む基板の全面にTi/TiN(接着層/拡散防止層)のような金属バリア膜30を含み、上部にコンタクトホールが完全に埋め込まれるように形成されたタングステン(W)膜を含むウエハを用意した。
図2に示されるように、研磨対象130として前記パターンウエハを被研磨面が下部を向くようにキャリア160に収容させた。研磨面が上部を向くように研磨パッド110が装着された定盤120に対して前記被研磨面と前記研磨面とが当接するように前記キャリア160を位置させた後、60秒間前記キャリア160の前記研磨面に対する加圧圧力3.0psi、前記キャリア160の回転速度93rpm、前記定盤120の回転速度87rpmで各構成を動作させ、前記研磨面に対して、前記実施例および前記比較例それぞれの半導体工程用組成物を流速300ml/minの条件で印加しながら研磨を行った。研磨完了後、ブラシ(Brush)の回転速度500rpmで60秒間2,000cc/minの噴射条件で洗浄液を噴射しながらクリーニング(cleaning)工程を進行させた。クリーニング工程が完了したパターンウエハは、ウエハフープ(foup)に密閉された状態で、SKC社保有のAIT-XP+装置を用いて総欠陥数(total defect)を測定した。前記研磨条件下で研磨後の厚さを測定して研磨率(Å/min)を算出した。
【0158】
【0159】
前記のような欠陥数において大きな差を示すことは、LPC分析の結果によって比較可能である。実施例1は、5μm超の粒子が284個であり、3μm超の粒子は630個であり、実施例2は、5μm超の粒子が143個であり、3μm超の粒子は423個であり、実施例3は、5μm超の粒子が344個であり、3μm超の粒子は821個であるのに対し、比較例1は、5μm超の粒子が724個であり、3μm超の粒子は2,423個であり、比較例2は、5μm超の粒子が435個であり、3μm超の粒子は1,872個であり、比較例3は、5μm超の粒子が921個であり、3μm超の粒子は3,114個であり、比較例4は、5μm超の粒子が587個であり、3μm超の粒子は1,142個であって、粒子サイズにおいて大きな差を示した。
【0160】
また、酸化膜に対する研磨率を測定した結果によれば、実施例1は1,824Å/minであり、実施例2は1,632Å/minであり、実施例3は1,845Å/minであり、比較例1~4の場合にも、1,823Å/min、1,722Å/min、1,813Å/minおよび1,532Å/minであって、大きな差を示さないことを確認した。
【0161】
これは、従来の半導体工程用組成物に含まれる研磨粒子と比較して、本発明の研磨粒子を含む半導体工程用組成物は、研磨性能は同等またはそれ以上であり、ディフェクトなどの欠陥の発生は低下させることが可能であることを意味することができる。
【0162】
以上、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0163】
10:基板
20:SiO2酸化膜
30:金属バリア膜
40:タングステン膜
D1:ビアの直径
D2:導体充電電極の直径
T1:第2シリコン窒化膜の厚さ
21:第1シリコン窒化膜
22:第2シリコン窒化膜
110:研磨パッド
120:定盤
130:研磨対象
140:供給ノズル
150:半導体工程用組成物
160:キャリア
170:コンディショナ
200:弱酸性溶液に分散したコロイダルシリカのゼータ電位変化
210:弱酸性溶液に分散したコロイダルシリカ
220:強酸性溶液に分散したコロイダルシリカ
230:強酸性溶液に分散した表面改質コロイダルシリカ
300:強塩基溶液に分散したコロイダルシリカのゼータ電位変化
310:強塩基溶液に分散したコロイダルシリカ
320:強酸性溶液に分散したコロイダルシリカ
330:強酸性溶液に分散した表面改質コロイダルシリカ
400:ゼータ電位値が正(+)の値を示すように表面処理された研磨粒子
410:ゼータ電位値が負(-)の値を示すように表面処理された研磨粒子