IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.の特許一覧

<>
  • 特許-EUVペリクル 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】EUVペリクル
(51)【国際特許分類】
   G03F 1/62 20120101AFI20241016BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
G03F1/62
G03F7/20 503
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023060543
(22)【出願日】2023-04-04
(62)【分割の表示】P 2020522311の分割
【原出願日】2018-11-06
(65)【公開番号】P2023083319
(43)【公開日】2023-06-15
【審査請求日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】17201126.4
(32)【優先日】2017-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】18165122.5
(32)【優先日】2018-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ハウエリング,ゾマー,シルベスター
(72)【発明者】
【氏名】アンデ,チャイタニヤ クリシュナ
(72)【発明者】
【氏名】デ グラーフ,デニス
(72)【発明者】
【氏名】カーター,ティス
(72)【発明者】
【氏名】クイケン,マイケル,アルフレッド,ヨセフス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレフィ,マーディア
【審査官】藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-151622(JP,A)
【文献】特開2017-053893(JP,A)
【文献】特表2019-515322(JP,A)
【文献】特開2014-211474(JP,A)
【文献】特開2009-271262(JP,A)
【文献】特開2016-130789(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0088699(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0246179(US,A1)
【文献】国際公開第2017/102378(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 1/62
G03F 1/24
G03F 7/20
H01L 21/027
G02B 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィ装置用のスペクトル純度フィルタであって、シリコン層と、ルテニウム層と、前記ルテニウム層と前記シリコン層との間に配設されたモリブデン層とを備え、前記シリコン層は酸窒化シリコンキャッピング層を備える、スペクトル純度フィルタ。
【請求項2】
リソグラフィ装置用のスペクトル純度フィルタであって、シリコン層と、ルテニウム層と、前記ルテニウム層と前記シリコン層との間に配設されたモリブデン層と、酸ケイ化金属層とを備える、スペクトル純度フィルタ。
【請求項3】
前記ルテニウム層の厚さは約6nm以下である、請求項1又は2に記載のスペクトル純度フィルタ。
【請求項4】
前記モリブデン層と前記ルテニウム層とのうち一方又は両方が金属である、請求項1又は2に記載のスペクトル純度フィルタ。
【請求項5】
前記モリブデン層は前記ルテニウム層と前記酸窒化シリコンキャッピング層との間に配設される、請求項1に記載のスペクトル純度フィルタ。
【請求項6】
前記モリブデン層は前記ルテニウム層と前記酸窒化シリコンキャッピング層との界面に配設される、請求項1に記載のスペクトル純度フィルタ。
【請求項7】
前記酸ケイ化金属層は前記シリコン層と前記ルテニウム層との間に配設される、請求項2に記載のスペクトル純度フィルタ。
【請求項8】
リソグラフィ装置用のペリクルであって、シリコン層と、ルテニウム層と、前記ルテニウム層と前記シリコン層との間に配設されたモリブデン層とを備え、前記シリコン層は酸窒化シリコンキャッピング層を備える、ペリクル。
【請求項9】
リソグラフィ装置用のペリクルであって、シリコン層と、ルテニウム層と、前記ルテニウム層と前記シリコン層との間に配設されたモリブデン層と、酸ケイ化金属層とを備える、ペリクル。
【請求項10】
前記ルテニウム層の厚さは約6nm以下である、請求項8又は9に記載のペリクル。
【請求項11】
前記ルテニウム層の厚さは約4.5nm以下である、請求項8又は9に記載のペリクル。
【請求項12】
前記モリブデン層と前記ルテニウム層とのうち一方又は両方が金属である、請求項8又は9に記載のペリクル。
【請求項13】
リソグラフィ装置用のスペクトル純度フィルタを製造する方法であって、シリコン層とルテニウム層との間にモリブデン層を提供することと、前記シリコン層に酸窒化シリコンキャッピング層を提供することとを備える方法。
【請求項14】
リソグラフィ装置用のスペクトル純度フィルタを製造する方法であって、シリコン層とルテニウム層との間にモリブデン層を提供することと、酸ケイ化金属層を提供することとを備える方法。
【請求項15】
リソグラフィ装置用のペリクルを製造する方法であって、シリコン層とルテニウム層との間にモリブデン層を提供することと、前記シリコン層に酸窒化シリコンキャッピング層を提供することとを備える方法。
【請求項16】
リソグラフィ装置用のペリクルを製造する方法であって、シリコン層とルテニウム層との間にモリブデン層を提供することと、酸ケイ化金属層を提供することとを備える方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
[0001] 本願は2017年11月10日に提出された欧州出願第17201126.4号及び2018年3月29日に提出された欧州出願第18165122.5号の優先権を主張するものであり、これらの出願は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本発明は、リソグラフィ装置用のペリクル、リソグラフィ装置用のペリクルの製造方法、並びにペリクルを備えるリソグラフィ装置及びその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、基板上に所望のパターンを適用するように構成された機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使用可能である。リソグラフィ装置は、例えば、パターニングデバイス(例えばマスク)から基板上に提供された放射感応性材料(レジスト)層にパターンを投影してもよい。
【0004】
[0004] パターンを基板上に投影するためにリソグラフィ装置によって使用される放射の波長は、その基板上に形成されることのできるフィーチャの最小寸法を決定する。(例えば193nmの波長を有する電磁放射を使用し得る)従来のリソグラフィ装置よりも小さなフィーチャを基板上に形成するためには、4~20nmの範囲内の波長を有する電磁放射であるEUV放射を使用するリソグラフィ装置が用いられ得る。
【0005】
[0005] リソグラフィ装置は、パターニングデバイス(例えばマスク又はレチクル)を含む。放射は、パターニングデバイスを通って又はパターニングデバイスから反射されて、基板上に画像を形成する。パターニングデバイスを浮遊粒子及び他の形態の汚染から保護するために、ペリクルが提供され得る。パターニングデバイスの表面上の汚染は、基板の製造不良を引き起こすおそれがある。
【0006】
[0006] ペリクルは、パターニングデバイス以外の光学コンポーネントを保護するためにも提供され得る。ペリクルは、リソグラフィ装置の相互に密封された区域の間にリソグラフィ放射用の通路を提供するためにも用いられ得る。ペリクルは、スペクトル純度フィルタのようなフィルタとしても用いられ得る。リソグラフィ装置、特にEUVリソグラフィ装置の内部の環境は時に過酷であるため、優れた化学的及び熱的安定性を発揮するためには、ペリクルが必要である。
【0007】
[0007] 既知のペリクルは、例えば、シリコン膜、窒化シリコン、グラフェンもしくはグラフェン誘導体、カーボンナノチューブ、又は他の膜材料などの自立膜を備え得る。マスクアセンブリは、パターニングデバイス(例えばマスク)を粒子汚染から保護するペリクルを含んでいてもよい。ペリクルは、ペリクルフレームによって支持されて、ペリクルアセンブリを形成してもよい。ペリクルは、例えばペリクル境界区域をフレームに接着することによって、フレームに取り付けられてもよい。フレームは、永久的に又は着脱可能に、パターニングデバイスに取り付けられ得る。
【0008】
[0008] 使用中、リソグラフィ装置内のペリクルの温度は、約500℃から1000℃又はそれ以上のどこかまで上昇する。こうした高い温度はペリクルを損傷するおそれがあり、したがって、ペリクルの動作温度を低下させてペリクル寿命を向上させるために、熱を放散させる手法を改良するのが望ましい。
【0009】
[0009] これを試みた1つの手法が、ペリクルに薄い金属膜(コーティング層)、例えばルテニウム膜を適用することによるものである。金属膜は、ペリクルの放射率を高めることによってペリクルから熱が放射される速度を上げ、それによって、ペリクルが熱を吸収するのと同じ速度で熱を放出する平衡温度を低下させる。
【0010】
[00010] しかしながら、比較的低い温度で不活性基板上に堆積された金属膜はエネルギ的に好ましくない状態にあり、基板上の薄い金属膜の加熱又はアニーリングは、その金属膜の融点よりもずっと低い温度で熱的不安定性をもたらすことが知られている。したがって、金属膜が加熱されると、金属膜における穴の形成を引き起こすのに十分なエネルギが提供され、表面拡散法によって穴が形成される。穴は成長し、最終的には合体して不規則形状の島を形成する。この、膜を破断して、穴と、最終的には島又は液滴とを形成するための処理は、ディウェッティングとして知られている。この処理は、カーボンナノチューブの成長用の触媒粒子の形成のためなど、特定の状況においては有益であろうが、他の分野においては非常に好ましくない。例えば、マイクロエレクトロニクスの分野においては、ディウェッティングは電気的な相互接続を失敗させ、EUVペリクルのようなペリクルに対しては、ディウェッティングは放射金属層の機能性を変化させる。したがって、本発明の目的は、金属膜のディウェッティングを遅延させ又は防止することである。
【0011】
[00011] 金属層はペリクルの熱放射率を高めるので、ペリクルが熱くなるにつれ、金属膜はペリクルの温度を放射及び制御する。金属膜がディウェットして島を形成すると、放射率は無視できる値にまで非常に急激に落下して、有意な温度上昇及びそれに伴うペリクル不良をもたらす。
【0012】
[00012] 金属膜の熱ディウェッティングに関する文献から、ディウェッティング処理は、穴が既に存在しているのでなければ、常に金属膜における穴の形成で始まることがわかっている。穴の縁部を形成する材料には穴を拡張しようとする毛管力が作用するので、隣り合った穴の縁部は最終的には合体して材料ストランドを形成する。アニーリングが進み、十分なエネルギが与えられるにつれ、これらの材料ストランドは解体して島になる。金属膜の島の平均寸法は、金属膜の初期厚さに比例する。また、島の寸法はアニール持続時間につれて増大し、より大きな島が、より小さい島を犠牲にして、基板上での金属種の原子移動を通じて寸法を大きくする。ディウェッティングのこの説明は、不活性基板上の数百ナノメートルから約10nmまでの厚さの金属膜に概ね当てはまる。
【0013】
[00013] SiOキャッピング層を有するEUVペリクルをRuナノコーティングする場合には、Ru厚さが閾値厚さを下回るのであれば、Ru形態のこの変化も成立する。酸窒化シリコンキャッピング層は、化学エッチング遅延層として役立つ。したがって、閾値よりも下では、Ruが厚く及びアニールが長いと、Ru層は解体され、次第に大きな寸法を有する島となる。閾値厚さは普遍的ではなく、その正確な値はいくつかの要因によって決まるものであって、それらの要因のうち、Ru層の質量密度及びSiOキャップ層の原子組成が鍵となる。閾値厚さは0nm~10nmである。ある事例では、Ru閾値厚さは約4.5nmであることがわかったが、既に述べたように、これは適用される材料調製及びアニーリング条件に固有の値である。閾値を上回るRu厚さに関しては、ディウェッティング処理は、ペリクルの到達温度に応じて、穴の形成段階又は材料ストランドの形成段階で停止される。EUVペリクル上のRuは、穴の形成又は島化が起こるまで、文献が不活性基板上でのディウェッティングについて報告しているよりも有意に高い温度を許容する。これは、外部ペリクル表面上での金属種の原子移動が大きく弱められることを示している。この驚くべき現実化が本発明の中心である。
【0014】
[00014] 特定の閾値厚さを超える厚さのルテニウム膜は、EUVリソグラフィ装置の動作条件において安定的ではあるが、金属層の厚さはより多くの入射EUV放射をペリクルに吸収させ、したがってペリクルのEUV透過率は低減される。ペリクルを通過することのできるEUV放射の量の減少は、より長い露光時間が必要とされることから、リソグラフィ装置のスループットが低下することを意味する。当然ながら、ペリクルのEUV透過率は金属層の厚さを減少させることによって高めることが可能であるが、これは上述したように金属層の望ましくないディウェッティングを引き起こし、その結果、ペリクルの過熱及び最終的な不良につながる。
【0015】
[00015] したがって、リソグラフィ装置、特にEUVリソグラフィ装置の動作条件に耐えることができ、且つ高いスキャナ歩留まり、すなわち1時間当たり露光されるウェーハの数を可能にする十分なEUV透過率を有するペリクルの製造方法を提供するのが望ましい。また、熱的及び化学的に安定的であり、且つ許容可能なEUV透過率を示すペリクルを提供することも望ましい。
【0016】
[00016] 本願は概してリソグラフィ装置、特にEUVリソグラフィ装置の文脈でペリクルを参照するが、本発明はペリクル及びリソグラフィ装置のみに限定されるものではなく、本発明の主題は任意の他の適当な装置又は状況において用いられ得ることが理解される。
【0017】
[00017] 例えば、本発明の方法は、ペリクルの一種であるスペクトル純度フィルタにも等しく適用され得る。プラズマを用いてEUV放射を生成するもののようなEUV放射源は、実用では、所望の「帯域内」EUV放射ばかりでなく、望ましくない(帯域外)放射も放出する。この帯域外放射は、特に深UV(DUV)放射範囲(100nmから400nm)にある。更に、例えばレーザ生成プラズマEUV放射源など、EUV放射源によっては、通常は10.6ミクロンであるレーザからの放射は、望ましくない(帯域外)赤外(IR)放射の重大な放射源も形成し得る。
【0018】
[00018] リソグラフィ装置においては、いくつかの理由によりスペクトル純度が所望されるであろう。1つの理由は、レジストが放射の帯域外波長に感応性を有しており、したがって、レジストがそのような帯域外放射に曝露されると、レジストに適用される露光パターンの画質が劣化し得るというものである。また、帯域外赤外線、例えばいくつかのレーザ生成プラズマ放射源における10.6ミクロン放射は、リソグラフィ装置内のパターニングデバイス、基板、及び光学部品の望まれない不要な加熱をもたらす。そのような加熱は、これらの素子の損傷、寿命の低下、及び/又はレジストコートされた基板に投影及び適用されるパターンの欠陥もしくは歪みにつながり得る。
【0019】
[00019] スペクトル純度フィルタは、例えば、モリブデン又はルテニウムなどの反射金属でコートされたシリコン膜から形成され得る。使用時、典型的なスペクトル純度フィルタは、例えば入射する赤外及びEUV放射からの高い熱負荷に曝されるであろう。この熱負荷によって、スペクトル純度フィルタの温度は800℃を上回ることになり、その結果、やがてコーティングのデラミネーション又はディウェッティングが生じる。シリコン膜のデラミネーション及び劣化は、水素の存在によって加速され得る。水素は、デブリ(例えばレジストからの分子アウトガス、又は粒子デブリなど)がリソグラフィ装置の特定の部分に出入りするのを抑えるためにスペクトル純度フィルタが用いられる環境においてガスとして用いられることが多い。このように、スペクトル純度フィルタはペリクルとして用いられ得るものであり、逆も同様である。したがって、本願において「ペリクル」を参照するときには、「スペクトル純度フィルタ」も参照される。本願においては主にペリクルを参照するが、その特徴の全てはスペクトル純度フィルタにも等しく適用され得る。スペクトル純度フィルタはペリクルの一種であると理解される。
【0020】
[00020] リソグラフィ装置(及び/又は方法)においては、レジストコートされた基板にパターンを適用するために使用されている放射の強度の損失を最小化するのが望ましい。その1つの理由は、例えば露光時間を短縮するとともにスループットを向上させるべく、理想的には、可能な限り多くの放射が基板にパターンを適用するために利用可能であるべきであるというものである。同時に、リソグラフィ装置を通過して基板上に入射する望ましくない放射(例えば帯域外放射)の量を最小化するのが望ましい。更に、リソグラフィ方法又は装置において用いられるペリクルが、十分な寿命を有すること、並びにペリクルが曝露され得る高い熱負荷及び/又はペリクルが曝露され得る水素(又は、H*及びHO*を含むフリーラジカル種など、同様のもの)の結果として経時的に急激に劣化しないことを保証するのが望ましい。したがって、改良された(又は代替的な)ペリクル、及び例えばリソグラフィ装置及び/又は方法における使用に適したペリクルを提供するのが望ましい。
【発明の概要】
【0021】
[00021] 本発明は、既知のペリクル及び既知のペリクル製造方法が有している上述の課題を考慮してなされたものである。
【0022】
[00022] 本発明の第1の態様によれば、リソグラフィ装置用のペリクルが提供され、ペリクルは酸ケイ化金属層(metal oxysilicide layer)を備える。酸ケイ化金属層は、外部表面原子移動アテニュエータの役割を果たし得る。
【0023】
[00023] ペリクルはシリコン層又はシリコン基板を備えていてもよい。シリコン層又はシリコン基板は、機械的な予張力及びロバスト性を提供するコア層の役割を果たし得る。自己支持することのできるシリコンウェーハを既知の技術を用いて製造することが可能であるため、シリコンが基板として用いられ得る。ペリクルとして用いられるのに十分なほど大きいシリコンウェーハを製造することも可能である。EUVリソグラフィ装置においてシリコンを用いることの利点は、シリコンはペリクルを通過するEUV放射をほとんど吸収しないということである。とはいえ、シリコンの放射率は他の材料よりも低いので、シリコンは、EUV放射を高度には吸収しないが、比較的ゆっくりと熱を放射し、したがってEUV放射が通過すると熱くなる。
【0024】
[00024] ペリクルは金属層を備えていてもよい。金属層は、熱放射率向上層の役割を果たし得る。金属層はシリコンよりも高い放射率を有し、したがって、ペリクルから熱が放射される速度を高めることによってシリコンを冷却するのに役立つ。
【0025】
[00025] 酸ケイ化金属層は、シリコン基板と金属層との間に配設され得る。科学的理論によって制約されることは望まないが、Ruコートされたペリクルに対する専用レーザアニーリング実験の観察は、界面酸ケイ化金属層の存在が、金属種をシリコン基板に固定させ、金属層のディウェッティングを防止するのに役立つことを示している。
【0026】
[00026] 酸ケイ化金属界面層の金属は、金属層の金属と同一であってもよい。酸ケイ化金属界面層と金属層との間の相互作用及び金属層の固定の度合いを最大化するためには、これら二層の両方で同一の金属を用いるのが好適である。
【0027】
[00027] 金属は任意の適当な金属であり得る。適当な金属とは、高い放射率を有し、低いEUV吸収特性を有し、容易に酸化せず、そして酸化するのであれば容易に還元して金属状態に戻り、又は酸化するが容易には還元して金属状態に戻らないのであれば少なくとも放射率を提供する酸化物を有する金属である。金属は、ルテニウム、ジルコニウム、ハフニウム、及び/又はこれらの組み合わせから選択され得る。好適には、金属はルテニウムである。なぜなら、ルテニウムは金属態においても酸化態においても熱伝導性であるからである。ペリクルが操作される環境は減圧状態であり、水素ガスを主に含むが、ペリクルが高温であることに起因して、使用時、金属層は存在する酸素と反応し得る。ほとんどの金属に関して、酸化物は金属態よりもずっと低い放射率を有しており、したがって金属の酸化はペリクルの性能を低下させるおそれがある。しかしながら、ルテニウム酸化物は熱伝導性であり良好な放射率を有するので、依然として熱を放射することができ、ペリクルの性能は維持される。
【0028】
[00028] 金属層の厚さは、約6nm以下、好適には約5nm以下、より好適には約4.5nm以下、そして更に好適には約3.5nm以下であってもよい。約4.5nmよりも大きい厚さの金属層は、ディウェッティングには強いが、より低いEUV透過率を呈することがテストされている。ペリクルの寿命を延ばすべく金属層の厚さが増大されることを許すためには、透過率の低下は許容可能であろうが、その一方で、ディウェッティングへの耐性を維持しつつより薄い金属層を有するのが望ましい。金属層を安定化させる酸ケイ化金属界面層によれば、驚くべきことに、これまでよりも薄い金属層がディウェッティングなしで、すなわち4.5nm未満の厚さを有する膜についても用いられ得ることが実現されている。
【0029】
[00029] 金属層は、シリコン基板の片面にあってもよい。許容可能なEUV透過率を維持しながらペリクルの放射率を高めるには、シリコン基板の片面に金属層を提供すれば十分であることがわかっている。
【0030】
[00030] シリコン基板は、酸窒化シリコンキャッピング層を備えていてもよい。酸窒化シリコンキャッピング層は、酸ケイ化金属層を形成するために、金属層と反応することが可能であってもよい。したがって、酸窒化シリコン層は、完全に反応して酸ケイ化金属層を形成してもよいし、又は部分的にのみ反応してもよい。
【0031】
[00031] 一実施形態においては、ペリクルはモリブデンを含んでいてもよい。モリブデンは、好適には、金属ルテニウム層とシリコン基板との間に配設される。好適には、モリブデンは、金属ルテニウム層と酸窒化シリコン層との界面に配設される。酸窒化シリコン層は、好適には、シリコン基板の表面上に配設される。モリブデンは層として提供されてもよい。モリブデンは、ペリクルの片面又は両面に提供されてもよい。具体的には、シリコン基板は2つの面を有する中央コアを形成してもよく、各面が酸窒化シリコン層を備え得る。モリブデン層は酸窒化シリコン層上に提供されてもよい。モリブデンは、酸窒化シリコン層のうち一方又は両方に提供されてもよい。モリブデンが酸窒化シリコン層のうち一方のみに提供される場合、使用時には、ペリクルは、モリブデンを含む面がレチクルに面するように配向される。逆の配向も考えられることは理解されるであろう。
【0032】
[00032] 驚くべきことに、モリブデンの存在は、ペリクルの反射率を向上させるだけではなく、ルテニウム層と酸窒化シリコン層との界面におけるバリアとして作用するとともに操作温度でのペリクルの酸化及びインターミキシングも防止することがわかった。ルテニウム層と酸窒化シリコン層との間の界面にモリブデンを備えるペリクルは、500℃を超える温度までの露光後でさえディウェッティングを示さない。また、モリブデンは少なくとも部分的に酸化されてもよく、これによりルテニウムがシリコンと反応してルテニウムケイ化物(RuSi)を形成することが回避される。スキャナ条件に類似した条件でのテストにあたり、本発明によるペリクルには、10,000枚よりも多くのウェーハの撮像に用いられた後で、1%未満の透過率の低下があることがわかった。
【0033】
[00033] したがって、一実施形態においては、リソグラフィ装置用のペリクルが提供され、ペリクルは、酸窒化シリコン層と、モリブデン層と、ルテニウム層とを備える。ルテニウム層及び/又はモリブデン層は金属であってもよい。
【0034】
[00034] モリブデン層は、酸窒化シリコン層とルテニウム層との間に位置している。酸窒化シリコン層は、部分的に又は完全に反応して、酸ケイ化ルテニウム層を提供する。したがって、酸窒化シリコン層は少なくとも部分的に酸ケイ化ルテニウム層に変換されたかもしれず、ペリクルは、酸窒化シリコン層に代えて又は加えて、酸ケイ化ルテニウム層を備えていてもよい。酸窒化シリコン層はシリコン基板上に提供されてもよく、このシリコン基板は多結晶シリコン基板であってもよい。要約すると、本発明のペリクルは、シリコン基板と金属ルテニウム層との間に位置する酸ケイ化ルテニウム界面層を備え得る。酸ケイ化ルテニウム界面層は、金属ルテニウム層のディウェッティングを防止するのに役立ち、それによって、より薄いルテニウム層が適用されることを可能にする。その結果、既知のペリクルと比較してEUV透過率を高めた、より安定的なペリクルがもたらされる。また、モリブデン層を備えるペリクルは更に、使用時にペリクルが曝される条件に曝露されたときに、ディウェッティングに耐える。
【0035】
[00035] 本発明の第2の態様によれば、リソグラフィ装置用のペリクルを製造する方法が提供され、その方法は、酸ケイ化金属層を提供することを備える。
【0036】
[00036] 驚くべきことに、酸ケイ化金属層は、上に配された金属層のディウェッティングを防止できることがわかった。これは、金属層及びペリクルの早期不良を防止するとともに、より薄い金属層が用いられること、ひいては入射するEUV放射のうちより大きな割合がペリクルを通過することを可能にする。
【0037】
[00037] 酸ケイ化金属層は、任意の適当な手段によって提供され得る。例えば、ペリクルがシリコン基板及び金属層を備える場合には、酸ケイ化金属は、ディウェッティングが発生する温度よりも低い温度まで、第1の期間にわたってペリクルを加熱することによって提供され得る。シリコン基板は、好適には、酸窒化シリコンキャッピング層を備える。
【0038】
[00038] ディウェッティングが発生する温度よりも高い温度までペリクルが加熱される場合には、金属層は、シリコン基板及び/又は酸窒化シリコンキャッピング層と反応する前にディウェットするであろう。したがって、ディウェッティングが発生する温度よりも低い温度までペリクルを加熱することによって、酸ケイ化金属層の形成が可能になる。一旦酸ケイ化金属層が形成されると、酸ケイ化金属層が金属層を安定化するので、それまでであればディウェッティングを引き起こしたであろう温度よりも高い温度までペリクルを加熱することが可能である。使用時には、ペリクルは非常に急激に熱くなり、EUV放射がオンになってから間もなくディウェッティング温度を超える。
【0039】
[00039] ディウェッティングが発生する温度は、金属層の厚さ並びに金属層が取り付けられる基板の性質に応じて決まるであろう。当業者であれば、ディウェッティングが観察されるまでペリクルを加熱することによって、金属層と基板との任意の所与の組み合わせのディウェッティング温度を決定することができるであろう。
【0040】
[00040] ペリクルは、好適には、酸ケイ化金属層を形成させるのに十分な時間にわたって、ディウェッティング温度よりも低い温度まで加熱される。酸ケイ化金属層は形成するのに時間がかかるので、ペリクルは、酸ケイ化金属層を形成させるのに十分な期間にわたって、所要の温度に保持される必要がある。
【0041】
[00041] 加熱は、任意の適当な手段によって行われ得る。加熱は、ペリクルを加熱チャンバに入れることによって行われてもよいが、好適には、ペリクルをレーザ放射に曝露することによって行われる。好適には、使用される電力は約125Weq以下である。ここでは、125Weqは、後述するように、125Wで中間焦点で動作するリソグラフィ装置内のペリクルに入射する電力と等価の電力と定義される。
【0042】
[00042] 酸ケイ化金属を形成するための反応に続いて、反応して酸ケイ化金属層を形成した金属を考慮して又はその金属に置き換わるように、追加的な金属がペリクルに適用されてもよい。このようにすれば、金属層の所要の厚さを達成することができる。
【0043】
[00043] 代替的な一実施形態においては、酸ケイ化金属層はスパッタリングによって形成される。金属ターゲットは、シリコン基板上に堆積されるように、既知の技術を用いてスパッタリングされ得る。スパッタリングにおいて用いられるプラズマの組成は、膜の特性を変化させるように変更されてもよい。例えば、プラズマは、金属及びシリコンと反応して酸ケイ化金属層を形成する酸素を含んでいてもよい。
【0044】
[00044] 一旦酸ケイ化金属層が形成されると、その酸ケイ化金属層上に金属層が形成され得る。金属層はルテニウムを含んでいてもよい。モリブデンを含む金属層が酸窒化シリコン層とルテニウム層との間に提供されてもよい。
【0045】
[00045] 本発明の第3の態様によれば、本発明の第1又は第2の態様によるペリクルと、ペリクルを支持するフレームと、フレームに取り付けられたパターニングデバイスとを備えるリソグラフィ装置のためのアセンブリが提供される。
【0046】
[00046] 本発明の第4の態様によれば、リソグラフィ装置における、本発明の第1又は第2の態様によるペリクルの使用が提供される。
【0047】
[00047] これらの態様のうちいずれかに関して記載される特徴は、本発明の他の態様のうちいずれかに関して記載される特徴と組み合わせられてもよい。例えば、本発明の第1の態様によるペリクルの特徴は本発明の第2の態様によるいずれの特徴と組み合わされてもよく、逆もまた同様である。
【0048】
[00048] 次に本発明を、EUVリソグラフィ装置を参照して説明する。もっとも、本発明はペリクルに限定されるものではなく、スペクトル純度フィルタにも等しく適用可能であることは理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0049】
[00049] 本発明の実施形態を、単なる例として添付の概略図を参照して説明する。
【0050】
図1】本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置及び放射源を備えるリソグラフィシステムを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0051】
[00050] 図1は、本発明の第1の態様による、又は本発明の第2の態様による方法に従って製造された、本発明の一実施形態によるペリクル15を含むリソグラフィシステムを示す。リソグラフィシステムは、放射源SO及びリソグラフィ装置LAを備える。放射源SOは、極端紫外線(EUV)放射ビームBを生成するように構成されている。リソグラフィ装置LAは、照明システムILと、パターニングデバイスMA(例えばマスク)を支持するように構成された支持構造MTと、投影システムPSと、基板Wを支持するように構成された基板テーブルWTとを備える。照明システムILは、パターニングデバイスMAに入射する前に放射ビームBを調整するように構成されている。投影システムは、(今やマスクMAによってパターニングされている)放射ビームBを基板W上に投影するように構成されている。基板Wは先に形成されたパターンを含んでいてもよい。その場合、リソグラフィ装置は、パターニングされた放射ビームBを先に基板W上に形成されたパターンと整列させる。本実施形態においては、ペリクル15は、放射の経路内に図示されており、パターニングデバイスMAを保護している。ペリクル15は、任意の所要の位置にあってもよく、リソグラフィ装置内のミラーのうちいずれかを保護するために用いられてもよいことが理解されるであろう。
【0052】
[00051] 放射源SO、照明システムIL、及び投影システムPSはすべて、外部環境から隔離され得るように構築及び配置されていてもよい。放射源SOにおいては大気圧を下回る圧力のガス(例えば水素)が提供されてもよい。照明システムIL及び/又は投影システムPSにおいては真空が提供されてもよい。照明システムIL及び/又は投影システムPSにおいては大気圧を大きく下回る圧力の少量のガス(例えば水素)が提供されてもよい。
【0053】
[00052] 図1に示される放射源SOは、レーザ生成プラズマ(LPP)源と称され得る種類のものである。例えばCOレーザであり得るレーザ1は、レーザビーム2を介して、エネルギを、燃料放出器3から提供されるスズ(Sn)などの燃料に付与する(deposit)ように配置される。以下の説明においてはスズを参照するが、任意の適当な燃料が使用されてもよい。燃料は、例えば液体の形態であってもよく、例えば金属又は合金であってもよい。燃料放出器3は、例えば液滴の形態のスズを、プラズマ形成領域4に向かう軌道に沿って導くように構成されたノズルを備えていてもよい。レーザビーム2は、プラズマ形成領域4においてスズに入射する。スズへのレーザエネルギの付与(deposition)は、プラズマ形成領域4においてプラズマ7を発生させる。EUV放射を含む放射は、プラズマのイオンの脱励起及び再結合の間にプラズマ7から放出される。
【0054】
[00053] EUV放射は、近垂直入射放射コレクタ5(より一般的に垂直入射放射コレクタと称されることもある)によって収集され集束される。コレクタ5は、EUV放射(例えば13.5nmなど所望の波長を有するEUV放射)を反射するように配置された多層構造を有していてもよい。コレクタ5は、楕円の形状を有していてもよく、2つの楕円焦点を有する。第1の焦点はプラズマ形成領域4にあってもよく、第2の焦点は、後述するように、中間焦点6にあってもよい。
【0055】
[00054] レーザ1は放射源SOから分離していてもよい。その場合、レーザビーム2は、例えば適当な誘導ミラー及び/又はビームエキスパンダを備えたビーム送出システム(図示しない)及び/又は他の光学部品の助けを借りて、レーザ1から放射源SOへと渡されてもよい。レーザ1及び放射源SOは、併せて放射システムと見なされ得る。
【0056】
[00055] コレクタ5によって反射された放射は放射ビームBを形成する。放射ビームBは点6で集束されてプラズマ形成領域4の画像を形成し、これは照明システムILのための仮想放射源として作用する。放射ビームBが集束される点6は、中間焦点と称されてもよい。放射源SOは、中間焦点6が放射源の内包構造体9の開口8に又はその付近に位置するように配置される。
【0057】
[00056] 放射ビームBは、放射源SOから、放射ビームを調整するように構成された照明システムIL内に進入する。照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11を含んでいてもよい。ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11は併せて、所望の断面形状及び所望の角度分布を有する放射ビームBを提供する。放射ビームBは照明システムILを通過し、支持構造MTによって保持されるパターニングデバイスMAに入射する。パターニングデバイスMAは放射ビームBを反射しパターニングする。照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11に加えて又は代えて、他のミラー又はデバイスを含んでいてもよい。
【0058】
[00057] パターニングデバイスMAからの反射に続き、パターニングされた放射ビームBは、投影システムPSに進入する。投影システムは、基板テーブルWTによって保持される基板Wに放射ビームBを投影するように構成された複数のミラー13,14を備える。投影システムPSはある縮小係数を放射ビームに適用してもよく、パターニングデバイスMA上の対応するフィーチャよりも小さなフィーチャを有する画像を形成する。例えば、4という縮小係数が適用され得る。図1では投影システムPSは2つのミラー13,14を有しているが、投影システムは任意の数のミラー(例えば6つのミラー)を含んでいてもよい。
【0059】
[00058] 図1に示される放射源SOは、図示されていない構成要素を含んでいてもよい。例えば、放射源にはスペクトルフィルタが提供されていてもよい。スペクトルフィルタは、EUV放射については実質的に透過性であるが赤外放射など他の波長の放射については実質的に遮断性であってもよい。実際には、スペクトルフィルタは、本発明のいずれかの態様によるペリクルであってもよい。
【0060】
[00059] 「EUV放射」という用語は、4~20nmの範囲内、例えば13~14nmの範囲内の波長を有する電磁放射を包含するものと考えられてもよい。EUV放射は、10nm未満、例えば、6.7nm又は6.8nmなど、4~10nmの範囲内の波長を有していてもよい。
【0061】
[00060] 本発明の一態様による例示的なペリクルは、シリコン基板と、酸ケイ化ルテニウム界面層と、金属ルテニウム層とを備える。別の例示的なペリクルにおいては、シリコン基板上の酸窒化シリコンの層と金属ルテニウム層との間にモリブデン層が提供されてもよい。シリコン基板がペリクルへの支持及び強度を提供する一方で、金属ルテニウム層はペリクルの放射率を高めるのに役立ち、それによってペリクルの寿命を延長するとともにペリクルが既知のペリクルよりも高い電力で動作することを可能にする。酸ケイ化ルテニウム層は、金属ルテニウムを固定するのに役立ち、且つルテニウム金属がディウェットする傾向を止めるか又は少なくとも低減させる。モリブデン層もペリクルの放射率を高めるとともに、高温でのルテニウムのディウェッティングを更に抑えるためのバリアとしても作用し、それによってペリクルの寿命を長くする。これもまた、ペリクルが、性能の劣化なしに高い電力で使用されることを可能にする。
【0062】
[00061] 本文ではリソグラフィ装置の文脈で本発明の実施形態を特に参照しているかもしれないが、本発明の実施形態は他の装置において用いられてもよい。本発明の実施形態は、マスク検査装置、メトロロジ装置、あるいはウェーハ(もしくは他の基板)又はマスク(もしくは他のパターニングデバイス)などの物体を測定又は加工する任意の装置の一部を形成してもよい。これらの装置は概してリソグラフィツールと称され得る。そのようなリソグラフィツールは、真空状態又は大気(非真空)状態を利用し得る。
【0063】
[00062] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、本発明は説明したものとは異なる方法でも実践できることは理解されよう。上記の記載は、例示的であることを意図されたものであって、限定的であることは意図されていない。したがって、当業者には、記載された本発明の変更が、下記の特許請求の範囲を逸脱することなく行われ得ることが明らかであろう。
図1