(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】保持機構及び乗り物
(51)【国際特許分類】
B60R 11/02 20060101AFI20241016BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
B60R11/02 C
G09F9/00 362
G09F9/00 302
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023153884
(22)【出願日】2023-09-20
【審査請求日】2023-09-20
(32)【優先日】2022-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】522296653
【氏名又は名称】コンチネンタル・オートモーティヴ・テクノロジーズ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive Technologies GmbH
【住所又は居所原語表記】Continental-Plaza 1, 30175 Hannover, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ローレンティウ ポップ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェアナー ツァンジンガー
(72)【発明者】
【氏名】トビアス フート
(72)【発明者】
【氏名】イェルク トーマス
(72)【発明者】
【氏名】セルジュ リンジャ
(72)【発明者】
【氏名】カイウス ウングレアーヌ
(72)【発明者】
【氏名】マリウス パスカロー
【審査官】池田 晃一
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-123459(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03845435(EP,A1)
【文献】欧州特許第03145797(EP,B1)
【文献】独国特許出願公開第102018110548(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第102016004156(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/00 - 11/06
B60K 35/00 - 37/20
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インストルメントパネル(2)とディスプレイ手段とを含む保持機構(1)であって、前記インストルメントパネルに接続されており、ステアリングコラム(7)の上方に配置された支持デバイス(8)を有する、保持機構(1)において、
前記ステアリングコラム(7)に向かって開いた状態で配置された少なくとも1つのフック(11)が前記ディスプレイ手段に取り付けられており、前記支持デバイス(8)は、前記フック(11)に部分的に配置されて前記ディスプレイ手段との接続部を形成する
支持要素(12)を有し、
前記ディスプレイ手段は、前記支持要素(12)に対して、旋回軸の周りで旋回することができ、前記
支持要素(12)は、前記インストルメントパネル(2)に接続されており、前記ディスプレイ手段は、前記
支持要素(12)と着脱可能に接続されており、
閾値を下回る事故関連の力が印加された場合に、前記ディスプレイ手段の破壊のリスクを回避又は少なくとも低減するために、
前記ディスプレイ手段は、前記支持要素(12)に対して、最初に、ハウジングを形成するために前記旋回軸の周りで前記インストルメントパネル(2)の方向に回転可能であり、前記ディスプレイ手段の方向に押された前記ステアリングコラム(7)は、前記ハウジング内で移動可能である、
ことを特徴とする、保持機構(1)。
【請求項2】
旋回要素が設けられており、前記
支持要素(12)は、端部で前記旋回要素に接続されており、前記ディスプレイ手段
は、前記
支持要素(12)
に対して、前記ステアリングコラムの第1の変位のためにハウジングを形成するために、前記旋回要素を介して旋回可能に前記インストルメントパネル(2)に配置されている、請求項1に記載の保持機構(1)。
【請求項3】
前記旋回要素は、前記フック(11)内に旋回可能に配置されている、請求項2に記載の保持機構(1)。
【請求項4】
前記旋回要素は、概ね水平に配置されるように構成されている、請求項
3に記載の保持機構(1)。
【請求項5】
前記
支持要素(12)は、前記閾値まで、前記ステアリングコラム(7)に面する前記ディスプレイ手段の底部の、前記インストルメントパネル(2)の方向における旋回が確実となるように、前記フック(11)内に配置され得る、請求項1に記載の保持機構(1)。
【請求項6】
前記旋回要素は、前記インストルメントパネル(2)に旋回可能に取り付けられる
シャフト(13)又は前記
支持要素(12)が旋回可能に吊り掛けられるシャフト(13)として設計されている、請求項
4に記載の保持機構(1)。
【請求項7】
前記ディスプレイ手段及び前記支持デバイス(8)は、少なくとも1つのねじ接続部(6)によって前記支持デバイス(8)を前記ディスプレイ手段に締結するための対応する切欠き部を有する、請求項1に記載の保持機構(1)。
【請求項8】
前記支持デバイス(8)は、前記閾値を上回る偶発的な力が加えられると破断する所定の破断点(9)を有する、請求項7に記載の保持機構(1)。
【請求項9】
少なくとも1つの伸長するトラクションスプリング(10)は、前記ディスプレイ手段に垂直に配置されている、請求項8に記載の保持機構(1)。
【請求項10】
前記少なくとも1つのトラクションスプリング(10)は、通常の運転操作中に予荷重が加えられ、前記トラクションスプリング(10)は、破断した所定の破断点(9)によって前記閾値を上回る力が加えられると緩和し、それにより前記ディスプレイ手段の前記フック(11)を前記
支持要素(12)を越えて持ち上げ、前記ディスプレイ手段を前記支持デバイス(8)から切り離すことを可能にする、請求項9に記載の保持機構(1)。
【請求項11】
前記ねじ接続部(6)及び前記所定の破断点(9)は、前記少なくとも1つのトラクションスプリング(10)の垂直下方の領域内に配置されている、請求項9に記載の保持機構(1)。
【請求項12】
前記ディスプレイ手段の中心軸の周りに対称に配置された少なくとも2つのフック(11)が設けられている、請求項1に記載の保持機構(1)。
【請求項13】
前記ディスプレイ手段は、計器群又は電子視覚ディスプレイとして設計されている、請求項1に記載の保持機構(1)。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の保持機構(1)を有する乗り物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インストルメントパネルとディスプレイ手段とを含む保持機構であって、インストルメントパネルに接続されており、ステアリングコラムの上方に配置された支持デバイスを有する、保持機構に関する。更に、本発明は、そのような保持機構を有する乗り物に関する。
【背景技術】
【0002】
近頃、自動乗り物に大型のディスプレイ及び制御ユニット(ディスプレイ)が設置されることが多くなっている。これらは、パネル状のディスプレイである。多くの場合、これらは、ダッシュボードの中央付近に中央ディスプレイとして位置している。これらのディスプレイは、運転者及び助手席の乗員がディスプレイ上の情報を見ることができるように、乗り物の乗員室に面している。
【0003】
自動乗り物におけるディスプレイ及び制御ユニット(ディスプレイ)の領域の最近の動向は、古典的なディスプレイの代わりに自立型ディスプレイを使用する方に進んでいる。
【0004】
このようなディスプレイは、自動乗り物のステアリングコラムの上方に配置される。衝突の場合に、ディスプレイが飛散するのを防止するために、通常、ステアリングコラムを前方に押し出すようにすることが可能でなければならない。事故の場合に、ステアリングコラムは、ステアリングホイールとの強い衝撃から運転者を保護するために後退する。ステアリングコラムは後退中にディスプレイに衝突する可能性があり、これは、運転者が負傷する可能性があることから望ましくない。
【0005】
事故の場合に、ステアリングコラムがその最終位置まで後退し損ねた場合、運転者は、ステアリングホイール又は破損した部品によって負傷する可能性がある。また、ステアリングホイールエアバッグの機能にも影響する。ステアリングコラムが後退するとき、ディスプレイに当たり、以下の問題が発生する。最初に、ステアリングコラムの後退が停止する。
【0006】
第2に、ディスプレイのガラスが破損する可能性もあり、生じた破片が運転者のエリアに落下する。
【0007】
特許文献1は、自動乗り物内部のディスプレイデバイスのための保持機構を開示している。このディスプレイデバイスは、保持デバイスによって、乗り物内の、ステアリングコラムの垂直方向上方の領域内にあり、ディスプレイデバイスは、各保持要素の領域内において保持デバイスのステアリングコラムの変位による力が偶発的に印加された際に選択的に移動可能である。
【0008】
特許文献2は、乗り物のxz平面に関して互いに対向する2つの柱に接続するために設けられたクロスメンバーと、クロスメンバーに接続され、クロスメンバーから半径方向に突出し、端子接続手段を有するブラケットと、その上端部から離れたところでホルダの接続手段に接続され、このようにして、そのユーザインタフェースが乗り物の乗員室にx方向に向くように保持されるパネル状の計器とを含む乗り物の組み立てを開示している。上ベルトと下ベルトとを有する中空チャンバ形材から形成された支持構造ホルダとしてホルダが実施され、2つのベルトは、フレーム構造によって互いに接続され、互いに対して傾斜して配置されており、そのため、これらの1つの計器接続側は、クロスメンバーに面するその端部よりも互いに離れており、2つのベルトの少なくとも1つは、その2つの接続点の間に、その幾何学的形状によって設けられた少なくとも1つの所定のキンクを有し、ここでこのベルトはz方向に座屈する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】独国特許出願公開第102016004156号明細書
【文献】独国特許第102020112132号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、衝突の場合により安全な改良された保持機構を提供することである。また、本発明の更なる目的は、そのような保持機構を有する乗り物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による目的は、請求項1に記載の特徴を有する保持機構によって達成される。本発明による目的は、また、請求項14に記載の特徴を有する乗り物によって達成される。
【0012】
本発明による保持機構の有利な実施形態は、従属請求項の主題である。本明細書中に開示される更なる実施形態、実施例、及び態様は、本発明の一部を形成するものではなく、例示的な目的のみのためのものである。
【0013】
目的は、インストルメントパネルとディスプレイ手段とを含む保持機構であって、インストルメントパネルに接続されており、ステアリングコラムの上方に配置された支持デバイスを有する、保持機構であって、
ステアリングコラムに向かって開いた状態で配置された少なくとも1つのフックがディスプレイ手段に取り付けられており、支持デバイスは、フックに部分的に配置されてディスプレイ手段との接続部を形成する支持要素を有し、支持要素は、ディスプレイ手段とともに旋回軸の周りで旋回することができ、支持要素は、また、インストルメントパネルに接続されており、ディスプレイ手段は、支持要素と着脱可能に接続されており、
閾値を下回る事故関連の力が印加された場合に、ディスプレイ手段の破壊のリスクを回避又は少なくとも低減するために、支持要素はディスプレイ手段とともに、最初に、ハウジングを形成するために旋回軸の周りでインストルメントパネルの方向に回転可能であり、ディスプレイ手段の方向に押されたステアリングコラムは、ハウジング内で移動可能である、保持機構によって達成される。
【0014】
特に、支持要素は、フック内に回転可能に配置されており、これにより、ディスプレイ手段もインストルメントパネルに向かって回転することができる。
【0015】
本発明により、保持機構は、事故の場合にステアリングコラムを収容するように構成されている。
【0016】
保持機構は、ディスプレイユニットの破壊のリスクを回避又は少なくとも低減する。これにより、例えば、ガラス、プラスチック部品など、運転者を傷つける可能性のある部品の破損のリスクを低減する。更に、運転者は、事故の際に保護される。
【0017】
また、ステアリングホイールエアバッグも正しく作動する。更に、ディスプレイのスタイルをステアリングコラムに近づけることができる。これは、現在の多くの自動車のように、大きな隙間がないことを意味する。
【0018】
これにより、従来技術よりもよりコンパクトな設計が可能になる。
【0019】
本発明は、そのようなディスプレイ及びステアリングコラムを有する全ての乗り物などに適用することができる。
【0020】
一実施形態において、旋回要素が設けられており、支持要素は、端部で旋回要素に接続されており、ディスプレイ手段と支持要素は、ステアリングコラムの第1の変位のためにハウジングを形成するために、旋回要素を介して旋回可能にインストルメントパネルに配置されている。
【0021】
旋回要素はシャフトであり得る。支持要素は、ディスプレイ手段が移動してステアリングコラム用のハウジングを形成することができるように、旋回要素に旋回可能に取り付けられ得る、又はシャフト自体が回転することができる。
【0022】
或いは、旋回要素、この場合、例えばシャフト自体は、インストルメントパネルに旋回可能に取り付けられ得る。
【0023】
更なる実施形態において、旋回要素は、概ね水平に配置されるように構成されている。
【0024】
更に、支持要素は、閾値まで、ステアリングコラムに面するディスプレイ手段の底部の、インストルメントパネルに向けた旋回が確実となるように、フック内に配置され得る。
【0025】
更なる実施形態において、旋回要素は、インストルメントパネルに旋回可能に取り付けられ得る、又は支持要素が旋回可能に吊り掛けられるシャフトとして設計され得る。
【0026】
これにより、ディスプレイ手段の簡単な可逆的旋回が可能になる。旋回プロセスは、閾値まで小さな角度にわたって可逆である。これにより、ステアリングコラムの変位を伴う軽微な事故においても、ディスプレイ手段の不可逆的な損傷がないことが可能になる。
【0027】
更なる実施形態において、ディスプレイ手段及び支持デバイスは、少なくとも1つのねじ接続部によって支持デバイスをディスプレイ手段に締結するための対応する切欠き部を有する。これにより、支持デバイスがディスプレイ手段に確実に締結されることを可能にする。
【0028】
更なる実施形態において、支持デバイスは、第1の変位よりも大きいステアリングコラムの第2の変位が可能であるように、閾値を上回る偶発的な力が加えられると破断する所定の破断点を有する。特に、所定の破断点は、ねじ接続部に位置する。
【0029】
これにより、支持デバイスから解放される前に、ディスプレイ手段が可逆的に移動することを可能にする。所定の破断点により、衝突の場合に解放力が低減される。
【0030】
所定の破断点を破断することにより、ディスプレイ手段は、支持デバイスから切り離され、ディスプレイ手段は、衝突時に、ステアリングコラムが移動する方向と同じ方向に移動するので、ステアリングコラムのためにより広くハウジングが空けられる。支持デバイスからディスプレイ手段を切り離すことにより、ステアリングコラムのためのより広いハウジングが作られ、ステアリングコラムによるディスプレイ手段の破壊を回避することができる。
【0031】
更なる実施形態において、少なくとも1つの伸長するトラクションスプリングは、ディスプレイ手段に垂直に配置されている。垂直は、ステアリングコラムから離れる方に向けられる引張力に対応する。
【0032】
更なる実施形態において、少なくとも1つのトラクションスプリングは、通常の運転操作中に予荷重が加えられ、トラクションスプリングは、破断した所定の破断点によって閾値を上回る力が加えられると緩和し、それによりディスプレイ手段のフックを支持要素を越えて持ち上げ、ディスプレイ手段を支持デバイスから切り離すことを可能にする。
【0033】
トラクションスプリングが解放されると、ディスプレイ手段は、ステアリングコラムが衝突の際に移動する方向に押される。トラクションスプリングをこのように解放することにより、ディスプレイ手段を支持デバイスから素早く切り離すことができる。
【0034】
更に、予荷重が加えられた2つのトラクションスプリングが好ましくは設けられ得る。これらは、支持デバイスの中央に対称に配置される。
【0035】
更なる実施形態において、ねじ接続部及び所定の破断点は、少なくとも1つのトラクションスプリングの垂直下方の領域内に配置されている。
これにより、所定の破断点の破断の際に、ディスプレイ手段を支持デバイスから素早く切り離すことが可能になる。
【0036】
更なる実施形態において、ディスプレイ手段の中心軸の周りに対称に配置された少なくとも2つのフックが設けられている。これにより、支持デバイスに対するディスプレイ手段の確実な締結を確かにする。
【0037】
更なる実施形態において、ディスプレイ手段は、計器群又は電子視覚ディスプレイとして設計されている。
【0038】
更に、目的は、上述したような保持機構を有する乗り物によって解決される。特に、そのような計器群又は電子視覚ディスプレイが操縦席に配置されている。更に、この保持機構は、また、ステアリングコラムが使用される場所であればどこでも使用することができる。
【0039】
以下、図面に示す実施形態を参照して本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図4】旋回していない
支持要素及び旋回していないディスプレイの詳細図である。
【
図5】閾値を下回る偶発的な力の印加を伴う衝突時の保持機構の概略図である。
【
図6】閾値を上回る偶発的な力の印加を伴う衝突時の保持機構の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
【0042】
保持機構1は、(装飾的な)フレーム3(
図2)内のステアリングシステムの上方に配置されている。保持機構1は、ここではディスプレイ4(
図3)として設計されているディスプレイ手段を支持している。ディスプレイ4(
図3)は、運転者に面して配置され得る。更に、ディスプレイ4は、運転者に面する正面と、正面の反対側の背面5とを有する。
【0043】
ステアリングシステムは、ステアリングコラム7(
図3)を含み、ステアリングコラム7上に、ステアリングホイール(図示せず)が運転者に面した状態で配置されている。
【0044】
更に、保持機構1は、支持デバイス8及びインストルメントパネル2(
図2)を有する。
【0045】
この支持デバイス8は、インストルメントパネル2に取り付けられている。支持デバイス8は、インストルメントパネル2とディスプレイ4との間に実質的に平行に延びる。
【0046】
更に、支持デバイス8は、2つのねじ接続部6によってディスプレイ4に取り付けられている。この目的のために、ディスプレイ4の背面5は、対応する切欠き部、例えばねじ穴を有する。
【0047】
図2は、ねじ接続部6を詳細に示す。このねじ接続部6は、単純なねじと、ディスプレイ4の背面5の対応する切欠き部とからなり得る。
支持デバイス8には、ねじ接続部6の隣に所定の破断点9が配置されている。
【0048】
更に、予荷重が加えられた2つのトラクションスプリング10が設けられている。これらは、支持デバイス8の中央に対称に配置されている。
【0049】
【0050】
この実施形態において、保持機構1は、ステアリングコラム7に向かって開いた状態で配置された2つのフック11と、旋回軸S(
図1)の周りで旋回することができる
支持要素12と、旋回可能なディスプレイ4とを有する。
【0051】
更に、旋回要素が設けられており、この旋回要素はシャフト13として設計することができ、これに支持要素12が旋回可能に取り付けられる、又は旋回要素自体がインストルメントパネル2に旋回可能に取り付けられる。
【0052】
図4は、旋回していない
支持要素12及び旋回していないディスプレイ4を詳細に示す。
支持要素12は、例えば、インストルメントパネル2に取り付けられ、更に、フック11によってディスプレイ4に取り付けられたシャフト13によって、インストルメントパネル2に接続されている。
【0053】
トラクションスプリング10には、通常動作中、予荷重が加えられ、所定の破断点9は破断しない。
【0054】
図5は、閾値を下回る偶発的な力の印加を伴う衝突時の保持機構1を概略的に示す。
【0055】
ステアリングコラム7がディスプレイ4の方向に押されたときにハウジング内に移動することができるように、閾値を下回る事故関連の力が印加された場合に、支持要素12は、最初に、ハウジングを形成するために旋回軸Sの周りでインストルメントパネル2の方向に回転する(旋回V)。
これは、ディスプレイ4の破壊のリスクを回避又は少なくとも低減するための可逆的旋回Vである。
【0056】
トラクションスプリング10には、閾値を下回る偶発的な力の印加を伴う衝突時には予荷重が加えられ、所定の破断点9は破断しない。
【0057】
図6は、閾値を上回る偶発的な力の印加を伴う衝突時の保持機構1を概略的に示す。
【0058】
閾値を上回る衝突の場合、破断点9は破壊する。これにより、トラクションスプリング10が解放され、ディスプレイ4のフック11が支持要素12を越えて押されることにより、ディスプレイ4が支持デバイス8から切り離される。これにより、ディスプレイ4をインストルメントパネル2から切り離すことが可能になる。
これにより、ステアリングコラム7のためのより広いハウジングが作られる(変位V1)。
【0059】
したがって、衝突が起こった場合、ステアリングコラム7は、インストルメントパネル2に組み込まれたトリガーに接触するまで、ステアリングコラム7の軸に沿って移動する。したがって、キャリアの所定の破断特徴(破断点9)が破壊し、インストルメントパネル2が解放されるまで、ステアリングコラム7の力により、フック11内でインストルメントパネル2を回転させる。トラクションスプリング10は、破断点9が破壊すると作動する。ステアリングコラム7は、その最終位置まで停止せず、運転者は保護される。
【0060】
これにより、最初に、ディスプレイの可逆的変位を可能にし、次いで、保持デバイス8からの切り離しを可能にする。
【0061】
所定の破断点7を破断することにより、ディスプレイ4は、支持デバイス8から切り離され、ディスプレイ4は、衝突時に、ステアリングコラム7が移動する方向と同じ方向に移動するので、ステアリングコラム7のためにより広くハウジングが解放される。
【0062】
したがって、支持デバイス8からディスプレイ4を切り離すことにより、ステアリングコラム7のためのより広いハウジングが作られ、ステアリングコラム7によるディスプレイ4の破壊を回避することができる。
【0063】
本発明による保持機構1によって、運転者は事故時に保護される。更に、ステアリングホイールエアバッグは正しく作動する。また、本発明による保持機構1によって、運転者を傷つける可能性のある部品(ガラス、プラスチック部品)の破損のリスクが低減される。例えば大きな隙間なく、ディスプレイ4のスタイルをステアリングコラム7に近づけることができる。
【符号の説明】
【0064】
1 保持機構
2 インストルメントパネル
3 フレーム
4 ディスプレイ
5 背面
6 ねじ接続部
7 ステアリングコラム
8 支持デバイス
9 所定の破断点
10 トラクションスプリング
11 フック
12 支持要素
13 シャフト