(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】検出装置及び検出方法
(51)【国際特許分類】
C25D 21/12 20060101AFI20241016BHJP
C25D 17/06 20060101ALI20241016BHJP
G01R 27/02 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
C25D21/12 C
C25D17/06 C
G01R27/02 R
(21)【出願番号】P 2024539822
(86)(22)【出願日】2024-03-28
(86)【国際出願番号】 JP2024012769
【審査請求日】2024-07-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【氏名又は名称】渡邊 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100163061
【氏名又は名称】山田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 直人
【審査官】祢屋 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-159131(JP,A)
【文献】特表2020-526660(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0256146(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第113122899(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 9/00-9/12
C25D 13/00-21/22
G01N 27/00-27/92
G01R 27/00-27/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
めっき装置のシール部材の抵抗を検出するための検出装置であって、
前記めっき装置は、アノードが配置されためっき槽と、カソードとしての基板にめっきを施すめっき処理時に前記基板の被めっき面が前記アノードに対向するように前記基板を保持するように構成されたホルダと、前記めっき処理時に前記基板の前記被めっき面に接触するように構成された接触部位を有する前記シール部材と、を備え、
前記検出装置は、
前記接触部位の抵抗を検出する抵抗検出時に、前記基板の代わりに前記ホルダに保持されるように構成されるとともに、前記抵抗検出時に前記ホルダに保持された場合に前記接触部位に対向する所定面を有する、プレート部材と、
前記プレート部材の前記所定面に配置されて、前記抵抗検出時に前記接触部位に接触するように構成された第1電極と、
前記プレート部材の前記所定面に配置されて、前記抵抗検出時に前記接触部位における前記第1電極が接触する部位とは異なる部位に接触するように構成された第2電極と、
前記第1電極及び前記第2電極と電気的に接続されるとともに、前記抵抗検出時に前記第1電極と前記第2電極との間の抵抗を検出することで前記接触部位の抵抗を検出するように構成された抵抗検出器と、を備える、検出装置。
【請求項2】
前記シール部材の前記接触部位は、環状に構成され、
前記第1電極は、環状に構成された第1環状部位を有し、
前記第2電極は、環状に構成された第2環状部位を有し、
前記第2環状部位は、前記第1環状部位の径方向で前記第1環状部位よりも中央の側に配置され、且つ、前記第1環状部位の径よりも小さい径を有する、請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記プレート部材の前記所定面には、環状に構成された溝が設けられ、
前記溝は、前記抵抗検出時に前記接触部位が前記溝に嵌るように構成されている、請求項2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記第1電極は、前記第1環状部位から前記第2環状部位に向かって延在する、複数の第1枝電極を有し、
前記第2電極は、前記第2環状部位から前記第1環状部位に向かって延在する、複数の第2枝電極を有し、
前記複数の第1枝電極は、前記溝に配置された部位を有し、
前記複数の第2枝電極は、前記溝に配置された部位を有する、請求項3に記載の検出装置。
【請求項5】
前記プレート部材は、前記めっき処理時においては、前記基板の前記被めっき面とは反対側にある背面に、前記所定面が接触するように、前記ホルダに保持される、請求項1に記載の検出装置。
【請求項6】
請求項1に記載の前記検出装置を用いた検出方法であって、
前記プレート部材が前記ホルダに保持された状態で、前記第1電極を前記シール部材の前記接触部位に接触させ、前記第2電極を前記シール部材の前記接触部位における前記第1電極が接触する部位とは異なる部位に接触させることと、
前記抵抗検出器に前記第1電極と前記第2電極との間の抵抗を検出させることで前記シール部材の前記接触部位の抵抗を検出させることと、を含む、検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は検出装置及び検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板にめっきを施すめっき装置が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。具体的には、このようなめっき装置は、アノードが配置されためっき槽と、カソードとしての基板にめっきを施すめっき処理時に、基板の被めっき面がアノードに対向するように基板を保持するように構成されたホルダと、めっき処理時に基板の被めっき面に接触するように構成された接触部位を有するシール部材と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6975650号公報
【文献】特許第7194305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したようなめっき装置において、シール部材の具体的には接触部位の周辺に、めっき成分を含む導電性被膜が形成されることがある。この場合、この導電性被膜にめっき成分が析出するおそれがある。そこで、導電性被膜が形成されたか否かを判定するために、シール部材の抵抗を検出することが可能な技術の開発が求められている。
【0005】
本発明は、上記のことを鑑みてなされたものであり、めっき装置のシール部材の抵抗を検出することができる技術を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(態様1)
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る検出装置は、めっき装置のシール部材の抵抗を検出するための検出装置であって、前記めっき装置は、アノードが配置されためっき槽と、カソードとしての基板にめっきを施すめっき処理時に前記基板の被めっき面が前記アノードに対向するように前記基板を保持するように構成されたホルダと、前記めっき処理時に前記基板の前記被めっき面に接触するように構成された接触部位を有する前記シール部材と、を備え、前記検出装置は、前記接触部位の抵抗を検出する抵抗検出時に、前記基板の代わりに前記ホルダに保持されるように構成されるとともに、前記抵抗検出時に前記ホルダに保持された場合に前記接触部位に対向する所定面を有する、プレート部材と、前記プレート部材の前記所定面に配置されて、前記抵抗検出時に前記接触部位に接触するように構成された第1電極と、前記プレート部材の前記所定面に配置されて、前記抵抗検出時に前記接触部位における前記第1電極が接触する部位とは異なる部位に接触するように構成された第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極と電気的に接続されるとともに、前記抵抗検出時に前記第1電極と前記第2電極との間の抵抗を検出することで前記接触部位の抵抗を検出するように構成された抵抗検出器と、を備える。
【0007】
この態様によれば、抵抗検出器によって、第1電極及び第2電極が接触するシール部材の接触部位の抵抗を検出することができる。
【0008】
(態様2)
上記態様1において、前記シール部材の前記接触部位は、環状に構成され、前記第1電極は、環状に構成された第1環状部位を有し、前記第2電極は、環状に構成された第2環状部位を有し、前記第2環状部位は、前記第1環状部位の径方向で前記第1環状部位よりも中央の側に配置され、且つ、前記第1環状部位の径よりも小さい径を有していてもよい。
【0009】
この態様によれば、シール部材の環状の接触部位の抵抗を効果的に検出することができる。
【0010】
(態様3)
上記態様2において、前記プレート部材の前記所定面には、環状に構成された溝が設けられ、前記溝は、前記抵抗検出時に前記接触部位が前記溝に嵌るように構成されていてもよい。
【0011】
(態様4)
上記態様3において、前記第1電極は、前記第1環状部位から前記第2環状部位に向かって延在する、複数の第1枝電極を有し、前記第2電極は、前記第2環状部位から前記第1環状部位に向かって延在する、複数の第2枝電極を有し、前記複数の第1枝電極は、前記溝に配置された部位を有し、前記複数の第2枝電極は、前記溝に配置された部位を有していてもよい。
【0012】
この態様によれば、シール部材の接触部位と電極との接触面積を大きくすることが容易にできる。これにより、シール部材の接触部位の抵抗を効果的に検出することができる。
【0013】
(態様5)
上記態様1~4のいずれか1態様において、前記プレート部材は、前記めっき処理時においては、前記基板の前記被めっき面とは反対側にある背面に、前記所定面が接触するように、前記ホルダに保持されていてもよい。
【0014】
(態様6)
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る検出方法は、上記態様1~5のいずれか1態様に係る検出装置を用いた検出方法であって、前記プレート部材が前記ホルダに保持された状態で、前記第1電極を前記シール部材の前記接触部位に接触させ、前記第2電極を前記シール部材の前記接触部位における前記第1電極が接触する部位とは異なる部位に接触させることと、前記抵抗検出器に前記第1電極と前記第2電極との間の抵抗を検出させることで前記シール部材の前記接触部位の抵抗を検出させることと、を含む。
【0015】
この態様によれば、シール部材の接触部位の抵抗を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態に係るめっき装置の全体構成を示す斜視図である。
【
図2】実施形態に係るめっき装置の全体構成を示す平面図である。
【
図3】実施形態に係るめっきモジュールの構成を示す模式図である。
【
図4】実施形態に係る基板がめっき液に浸漬された状態を示す模式図である。
【
図5】
図5(A)は、実施形態に係る基板ホルダの一部分(
図3のA1部分)を拡大して模式的に示す断面図である。
図5(B)は、実施形態に係るシール部材の模式的な平面図である。
【
図6】導電性被膜の形成パターンの一例を説明するための模式的な断面図である。
【
図7】導電性被膜の形成パターンの一例を説明するための模式的な断面図である。
【
図8】導電性被膜の形成パターンの一例を説明するための模式的な断面図である。
【
図9】実施形態に係る検出装置を説明するための模式図である。
【
図10】実施形態に係る検出装置を説明するための模式図である。
【
図11】実施形態に係るプレート部材が基板ホルダに保持されている様子を示す模式図である。
【
図12】実施形態に係る検出方法を説明するためのフローチャートの一例である。
【
図13】
図13(A)は、変形例1に係る検出装置のプレート部材の模式的な下面図である。
図13(B)は、変形例1に係る第1電極及び第2電極の一部を拡大して示す模式図である。
【
図14】変形例1に係るプレート部材における溝の周辺構成を示す模式的な拡大断面図である。
【
図15】変形例2に係る検出装置を説明するための模式図である。
【
図16】変形例2に係る検出装置を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面は、構成要素の特徴の理解を容易にするために模式的に図示されており、各構成要素の寸法比率等は実際のものと同じであるとは限らない。また、いくつかの図面には、参考用として、X-Y-Zの直交座標が図示されている。この直交座標のうち、Z方向は上方に相当し、-Z方向は下方(重力が作用する方向)に相当する。
【0018】
(実施形態1)
図1は、本実施形態のめっき装置1000の全体構成を示す斜視図である。
図2は、本実施形態のめっき装置1000の全体構成を示す平面図(上面図)である。
図1及び
図2に示すように、めっき装置1000は、ロードポート100、搬送ロボット110、アライナ120、プリウェットモジュール200、プリソークモジュール300、めっきモジュール400、洗浄モジュール500、スピンリンスドライヤ600、搬送装置700、及び、制御モジュール800を備える。
【0019】
ロードポート100は、めっき装置1000に図示していないFOUPなどのカセットに収容された基板を搬入したり、めっき装置1000からカセットに基板を搬出するためのモジュールである。本実施形態では4台のロードポート100が水平方向に並べて配置されているが、ロードポート100の数及び配置は任意である。搬送ロボット110は、基板を搬送するためのロボットであり、ロードポート100、アライナ120、プリウェットモジュール200及びスピンリンスドライヤ600の間で基板を受け渡すように構成される。搬送ロボット110及び搬送装置700は、搬送ロボット110と搬送装置700との間で基板を受け渡す際には、仮置き台(図示せず)を介して基板の受け渡しを行うことができる。
【0020】
アライナ120は、基板のオリエンテーションフラットやノッチなどの位置を所定の方向に合わせるためのモジュールである。本実施形態では2台のアライナ120が水平方向に並べて配置されているが、アライナ120の数及び配置は任意である。プリウェットモジュール200は、めっき処理前の基板の被めっき面を純水または脱気水などの処理液で濡らすことで、基板表面に形成されたパターン内部の空気を処理液に置換する。プリウェットモジュール200は、めっき時にパターン内部の処理液をめっき液に置換することでパターン内部にめっき液を供給しやすくするプリウェット処理を施すように構成される。本実施形態では2台のプリウェットモジュール200が上下方向に並べて配置されているが、プリウェットモジュール200の数及び配置は任意である。
【0021】
プリソークモジュール300は、例えばめっき処理前の基板の被めっき面に形成したシード層表面等に存在する電気抵抗の大きい酸化膜を硫酸や塩酸等の処理液でエッチング除去してめっき下地表面を洗浄または活性化するプリソーク処理を施すように構成される。本実施形態では2台のプリソークモジュール300が上下方向に並べて配置されているが、プリソークモジュール300の数及び配置は任意である。めっきモジュール400は、基板にめっきを施す。本実施形態では、上下方向に3台かつ水平方向に4台並べて配置された12台のめっきモジュール400のセットが2つあり、合計24台のめっきモジュール400が設けられているが、めっきモジュール400の数及び配置は任意である。
【0022】
洗浄モジュール500は、めっき処理後の基板に残るめっき液等を除去するために基板に洗浄処理を施すように構成される。本実施形態では2台の洗浄モジュール500が上下方向に並べて配置されているが、洗浄モジュール500の数及び配置は任意である。スピンリンスドライヤ600は、洗浄処理後の基板を高速回転させて乾燥させるためのモジュールである。本実施形態では2台のスピンリンスドライヤ600が上下方向に並べて配置されているが、スピンリンスドライヤ600の数及び配置は任意である。搬送装置700は、めっき装置1000内の複数のモジュール間で基板を搬送するための装置である。制御モジュール800は、めっき装置1000の複数のモジュールを制御するように構成され、例えばオペレータとの間の入出力インターフェースを備える一般的なコンピュータまたは専用コンピュータから構成することができる。
【0023】
めっき装置1000による一連のめっき処理の一例を説明する。まず、ロードポート100にカセットに収容された基板が搬入される。続いて、搬送ロボット110は、ロードポート100のカセットから基板を取り出し、アライナ120に基板を搬送する。アライナ120は、基板のオリエンテーションフラットやノッチなどの位置を所定の方向に合わせる。搬送ロボット110は、アライナ120で方向を合わせた基板をプリウェットモジュール200へ受け渡す。
【0024】
プリウェットモジュール200は、基板にプリウェット処理を施す。搬送装置700は、プリウェット処理が施された基板をプリソークモジュール300へ搬送する。プリソークモジュール300は、基板にプリソーク処理を施す。搬送装置700は、プリソーク処理が施された基板をめっきモジュール400へ搬送する。めっきモジュール400は、基板にめっきを施す。
【0025】
搬送装置700は、めっき処理が施された基板を洗浄モジュール500へ搬送する。洗浄モジュール500は、基板に洗浄処理を施す。搬送装置700は、洗浄処理が施された基板をスピンリンスドライヤ600へ搬送する。スピンリンスドライヤ600は、基板に乾燥処理を施す。搬送ロボット110は、スピンリンスドライヤ600から基板を受け取り、乾燥処理を施した基板をロードポート100のカセットへ搬送する。最後に、ロードポート100から基板を収容したカセットが搬出される。
【0026】
なお、
図1や
図2で説明しためっき装置1000の構成は、一例に過ぎず、めっき装置1000の構成は、
図1や
図2の構成に限定されるものではない。
【0027】
続いて、めっきモジュール400について説明する。なお、本実施形態に係るめっき装置1000が有する複数のめっきモジュール400は同様の構成を有しているので、1つのめっきモジュール400について説明する。
【0028】
図3は、本実施形態に係るめっき装置1000のめっきモジュール400の構成の模式図である。
図4は、基板Wfがめっき液Psに浸漬された様子を示す模式図である。本実施形態に係るめっき装置1000は、一例として、カップ式のめっき装置である。めっき装置1000のめっきモジュール400は、主として、めっき槽10と、オーバーフロー槽15と、基板ホルダ20と、回転機構30と、傾斜機構35と、昇降機構36と、を備えている。なお、
図3において、めっきモジュール400の一部の構成(めっき槽10、オーバーフロー槽15、基板ホルダ20等)は、断面が模式的に図示されている。
【0029】
本実施形態に係るめっき槽10は、上方に開口を有する有底の容器によって構成されている。具体的には、めっき槽10は、底壁10aと、この底壁10aの外周縁から上方に延在する外周壁10bとを有しており、この外周壁10bの上部が開口している。なお、めっき槽10の外周壁10bの形状は特に限定されるものではないが、本実施形態に係る外周壁10bは、一例として円筒形状を有している。
【0030】
めっき槽10の内部には、めっき液Psが貯留されている。めっき槽10には、めっき槽10にめっき液Psを供給するための供給口(図示せず)が設けられている。めっき液Psとしては、めっき被膜を構成する金属元素のイオンを含む溶液であればよく、その具体例は特に限定されるものではないが、本実施形態に係るめっき液Psは一例として、錫(Sn)のイオンを含んでおり、銀(Ag)のイオンをさらに含んでいる。すなわち、本実施形態で実行されるめっき処理は一例として「錫-銀めっき処理」である。但し、めっき液Psの具体的な成分はこれに限定されるものではなく、めっき被膜の種類に応じて適宜設定すればよい。
【0031】
めっき槽10のめっき液Psの内部には、アノード11が配置されている。アノード11の具体的な種類は特に限定されるものではなく、溶解アノードや不溶解アノードを用いることができる。本実施形態においては、アノード11として不溶解アノードを用いている。この不溶解アノードの具体的な種類は特に限定されるものではなく、白金や酸化イリジウム等を用いることができる。
【0032】
オーバーフロー槽15は、めっき槽10の径方向で外側の領域に配置された、有底の容器によって構成されている。オーバーフロー槽15は、めっき槽10の外周壁10bの上端を超えためっき液Ps(すなわち、めっき槽10からオーバーフローしためっき液Ps)を一時的に貯留するために設けられた槽である。オーバーフロー槽15には、オーバーフロー槽15のめっき液Psをオーバーフロー槽15から排出するための排出口(図示せず)が設けられている。排出口から排出されためっき液Psは、その後、リザーバータンク(図示せず)に一時的に貯留された後に、供給口からめっき槽10に再び供給される。
【0033】
めっき槽10の内部におけるアノード11よりも上方には、多孔質のイオン抵抗体12が配置されていてもよい。イオン抵抗体12は、複数の孔(細孔)を有する多孔性の板部材によって構成されている。イオン抵抗体12よりも下方側のめっき液Psは、イオン抵抗体12を通過して、イオン抵抗体12よりも上方側に流動することができる。このイオン抵抗体12は、アノード11と基板Wfとの間に形成される電場の均一化を図るために設けられている部材である。このように、めっき装置1000がイオン抵抗体12を有することで、基板Wfに形成されるめっき被膜(めっき層)の膜厚の均一化を容易に図ることができる。
【0034】
基板ホルダ20は、カソードとしての基板Wfにめっきを施す「めっき処理時」において、基板Wfの被めっき面Wfaがアノード11に対向するように基板Wfを保持するように構成されている。本実施形態において、基板Wfはアノード11よりも上方に配置されている。なお、本実施形態に係る基板ホルダ20は、後述する「抵抗検出時」においては、基板Wfに代えて、後述する検出装置1のプレート部材60を保持する。本実施形態に係る基板ホルダ20は、「ホルダ」の一例である。
【0035】
基板ホルダ20の具体的な構成は、基板Wfを保持できるものであれば、特に限定されるものではなく、公知の基板ホルダを用いることができる。一例として、本実施形態に係る基板ホルダ20は、第1保持部材21と、第2保持部材22とを備えている。第2保持部材22は、一例として、第1保持部材21に接続されている。
【0036】
第1保持部材21は、基板Wfの背面Wfb(被めっき面Wfaとは反対側になる面)を保持するように構成されている。具体的には、本実施形態に係る第1保持部材21は、一例として、後述するバックプレート23及び押圧部材24を介して、基板Wfの背面Wfbを保持している。第2保持部材22は、後述するシール部材50を介して、基板Wfの被めっき面Wfaの外周縁を保持するように構成されている。基板ホルダ20は、第1保持部材21及び第2保持部材22によって基板Wfを挟持するように、基板Wfを保持している。
【0037】
なお、第2保持部材22は、後述するシール部材50を下方側から保持(支持)する機能も有している。この第2保持部材22は、一般に、「シールリングホルダ(SRH)」と称されることのある部材である。本実施形態に係る第1保持部材21は、円板形状を有している。本実施形態に係る第2保持部材22は、環状の形状を有している。
【0038】
図3に例示するように、めっき装置1000のめっきモジュール400は、バックプレート23と、押圧部材24と、をさらに備えていてもよい。バックプレート23は、基板Wfの背面Wfbに接触するように配置されたプレート部材によって構成されている。バックプレート23は、主として、基板Wfに対して押圧を付与するために設けられている。
【0039】
押圧部材24は、バックプレート23と基板ホルダ20の第1保持部材21との間に配置されて、バックプレート23を基板Wfの側(下方側)に押圧するための部材である。押圧部材24の配置個数は、特に限定されるものではないが、本実施形態に係る押圧部材24は、一例として、複数個配置されている。具体的には、本実施形態に係る押圧部材24は、基板ホルダ20の周方向に複数個配置されている。
【0040】
押圧部材24の具体的な構成は特に限定されるものではなく、公知技術を適用することができる。押圧部材24の具体例を挙げると、押圧部材24として、例えば、エア(空気)を利用して伸縮するエアシリンダやエアバック等を用いることができる。あるいは、押圧部材24として、ばね等を用いることもできる。なお、押圧部材24としてエアシリンダやエアバック等を用いる場合、めっきモジュール400は、この押圧部材24に空気を供給するためのコンプレッサ(図示せず)を、めっき槽10の外部に備えていてもよい。
【0041】
めっきモジュール400が押圧部材24及びバックプレート23を備えることで、基板Wfを後述するシール部材50に効果的に接触させることができる。なお、めっきモジュール400は、バックプレート23や押圧部材24を備えていない構成とすることもできる。
【0042】
基板ホルダ20は、回転機構30の回転軸31に接続されている。回転機構30は、基板ホルダ20を回転させるための機構である。回転機構30としては、モータ等の公知の機構を用いることができる。
【0043】
傾斜機構35は、回転機構30及び基板ホルダ20を傾斜させるための機構である。傾斜機構35としては、ピストン・シリンダ等の公知の傾斜機構を用いることができる。昇降機構36は、上下方向に延在する支軸37によって支持されている。昇降機構36は、基板ホルダ20、回転機構30、及び、傾斜機構35を上下方向に昇降させるための機構である。昇降機構36としては、直動式のアクチュエータ等の公知の昇降機構を用いることができる。
【0044】
図4に例示するように、基板Wfの被めっき面Wfaにめっきを施す際には、昇降機構36が基板ホルダ20を下方に移動させて、基板Wfをめっき槽10のめっき液Psに浸漬させる。また、回転機構30は基板ホルダ20を回転させる。なお、基板Wfをめっき液Psに浸漬させる際、傾斜機構35は、必要に応じて基板ホルダ20を傾斜させてもよい。基板Wfがめっき液Psに浸漬された後に、通電装置(図示せず)によって、アノード11と基板Wfとの間に電気が流れる。これにより、基板Wfの被めっき面Wfaに、めっき被膜が形成される。
【0045】
めっきモジュール400の動作は、制御モジュール800によって制御されている。制御モジュール800は、マイクロコンピュータを備えており、このマイクロコンピュータは、プロセッサ801や、非一時的な記憶媒体としての記憶装置802等を備えている。制御モジュール800は、記憶装置802に記憶されたプログラムの指令に基づいて、プロセッサ801が作動することで、めっきモジュール400の被制御部を制御する。
【0046】
図5(A)は、基板ホルダ20の一部分(
図3のA1部分)を拡大して模式的に示す断面図である。本実施形態に係るめっき装置1000のめっきモジュール400は、コンタクト部材40を備えている。コンタクト部材40は、基板Wfの被めっき面Wfaの外周縁に接触して基板Wfに電気を給電するための部材である。本実施形態に係るコンタクト部材40は、一例として、基板ホルダ20の第2保持部材22に配置されている。コンタクト部材40は、基板ホルダ20の周方向に複数個配置されていてもよい。なお、コンタクト部材40の具体的な構成は、例えば特許文献2に開示されているような公知のコンタクト部材と同様であるので、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0047】
また、めっきモジュール400は、シール部材50を備えている。
図5(B)は、シール部材50の模式的な平面図である。
図5(A)及び
図5(B)を参照して、本実施形態に係るシール部材50は、主として、基板Wfがめっき液Psに浸漬された場合に、めっき液Psがコンタクト部材40に接触することを抑制するために設けられている。具体的には、本実施形態に係るシール部材50は、一例として、基板ホルダ20の第2保持部材22に配置されている。
【0048】
本実施形態に係るシール部材50は、本体部位52と接触部位51とを有している。本実施形態に係る本体部位52は、一例として、環状に構成されている。
【0049】
接触部位51は、めっき処理時に基板Wfの被めっき面Wfaに接触するように構成されている。具体的には、本実施形態に係る接触部位51は、一例として、本体部位52の径方向中央側にある縁部(内周縁部)を起点として、上方側に突出するよう構成されている。
【0050】
本実施形態に係る接触部位51は、環状に構成されている(すなわち、環状の形状を有している)。すなわち、本実施形態に係る接触部位51は、環状の突起によって構成されている。但し、これは接触部位51の構成の一例であり、接触部位51の具体的な構成はこれに限定されるものではない。
【0051】
シール部材50の材質は特に限定されるものではないが、本実施形態に係るシール部材50は、非導電性材料によって構成されている。
【0052】
なお、シール部材50の構成は、例えば特許文献2に開示されているような公知のシール部材と同様であるので、これ以上の詳細な説明は省略する。また、
図5(A)に例示するように、めっきモジュール400は、シール部材50を第2保持部材22に効果的に保持するための部材として、インナーリング55を備えていてもよい。
【0053】
ここで、シール部材50の例えば接触部位51の周辺に、導電性被膜90が形成されることがある。この一例をあげると、めっき液Psに含まれる金属成分(一例としてSn(2価))が酸化されて、導電性の金属イオン(一例として、Sn(4価))、及び/又は、導電性の非晶質酸化物(一例として、Snの非晶質酸化物(SnOx(OH)y))が、導電性被膜90として接触部位51の周辺に析出することがある。このような導電性被膜90が形成された場合、この導電性被膜90がめっき電流の給電パスとして機能する結果、この導電性被膜90にめっき成分(一例として、SnやAg)が析出するおそれがある。
【0054】
図6、
図7及び
図8は、導電性被膜90の形成パターンの一例を説明するための模式的な断面図である。例えば、
図6に例示するように、シール部材50の接触部位51の一部に欠損した箇所(Df)等が発生した場合に、この接触部位51の欠損した箇所(Df)を起点として導電性被膜90が形成されるおそれがある。そして、導電性被膜90にめっき成分が析出することで、析出部位91が形成されるおそれがある。
【0055】
また、
図7に例示するように、シール部材50の接触部位51と基板Wfとの接触箇所の近傍にめっき被膜92が形成されることがある。この場合においても、このめっき被膜92を起因として、導電性被膜90が形成されるおそれがある。
【0056】
また、
図8に例示するように、導電性被膜90は、シール部材50の接触部位51からインナーリング55の側にかけて、さらに形成されることもある。
【0057】
上述したように、シール部材50の接触部位51の周辺に導電性被膜90が形成され、この導電性被膜90にめっき成分が析出した場合、本来、基板Wfに形成されるべきめっき成分が導電性被膜90への析出に取られてしまうため、基板Wfに形成されるめっき被膜の膜厚の均一性が悪化するおそれがある。この問題に対応するために、本実施形態に係るめっき装置1000のめっきモジュール400は、以下に説明する検出装置1を備えている。
【0058】
まず、シール部材50の接触部位51の周辺に導電性被膜90が形成された場合、接触部位51の周辺の抵抗は低下する。したがって、このシール部材50の接触部位51の抵抗を検出することで、導電性被膜90の形成を検出することができる。そこで、本実施形態に係る検出装置1は、以下に説明する構成を備えることで、このシール部材50の接触部位51の抵抗を検出している。
【0059】
図9及び
図10は、本実施形態に係る検出装置1を説明するための模式図である。具体的には、
図9は、検出装置1を下方から視認した模式的な下面図であり、
図10は、検出装置1を正面から視認した模式的な正面図である。
図11は、後述するプレート部材60が基板ホルダ20に保持されている様子を示す模式図である。
【0060】
図9及び
図10を参照して、本実施形態係る検出装置1は、プレート部材60と、第1電極70と、第2電極71と、抵抗検出器80と、を主として備えている。
【0061】
プレート部材60は、シール部材50の接触部位51の抵抗を検出する「抵抗検出時」において、基板Wfの代わりに基板ホルダ20に保持されるように構成されている(
図11を参照)。
【0062】
具体的には、本実施形態に係るプレート部材60は、抵抗検出時において、基板ホルダ20に保持されるとともに、バックプレート23及び押圧部材24からの押圧も受けている。なお、めっき装置1000がバックプレート23及び押圧部材24を備えていない場合には、プレート部材60は、プレート部材60の後述する所定面61とは反対側の面(すなわち、背面(上面))が基板ホルダ20の第1保持部材21に接触するようにして、基板ホルダ20に保持される。また、本実施形態に係るプレート部材60は、「めっき処理時」においては、基板ホルダ20には保持されておらず、例えば、めっき装置1000の所定の保管箇所に保管されている。
【0063】
図9及び
図10を参照して、プレート部材60は、基板ホルダ20に保持された場合に、シール部材50の接触部位51に対向する所定面61を有している。具体的には、本実施形態に係る「所定面61」は、プレート部材60の下面によって構成されている。
【0064】
なお、
図9に例示されている「領域Rg」は、プレート部材60の所定面61において、「シール部材50の接触部位51に対向する領域」を例示したものである。すなわち、この領域Rgの幅(プレート部材60の径方向の長さ)は、接触部位51の幅に相当する。
【0065】
第1電極70は、プレート部材60の所定面61に配置されている。また、第1電極70は、抵抗検出時において、シール部材50の接触部位51の所定部位(第1部位)に接触するように構成されている(
図10参照)。具体的には、第1電極70は、抵抗検出時においてプレート部材60が基板ホルダ20に保持された場合に、第1電極70が接触部位51の所定部位に接触するように、その形状や配置位置等が設定されている。
【0066】
第2電極71は、プレート部材60の所定面61に配置されている。また、第2電極71は、抵抗検出時において、シール部材50の接触部位51における第1電極70が接触している部位(第1部位)とは異なる部位(第2部位)に、接触するように構成されている(
図10参照)。具体的には、第2電極71は、抵抗検出時においてプレート部材60が基板ホルダ20に保持された場合に、第2電極71が接触部位51の所定部位(第2部位)に接触するように、その形状や配置位置等が設定されている。
【0067】
なお、第1電極70及び第2電極71は、シール部材50の接触部位51の抵抗を検出するための電極である。このため、第1電極70と第2電極71とは、互いに電気的に絶縁されている(すなわち、一対の電極間の絶縁が確保されている)。具体的には、本実施形態に係る第1電極70及び第2電極71は、互いに接触しないように構成されている(すなわち、第1電極70と第2電極71との間には隙間が設けられている)。
【0068】
プレート部材60の具体的な材質は、特に限定されるものではないが、例えば、セラミックスや金属等の種々の材質を用いることができる。なお、プレート部材60が導電性材質によって構成される場合、プレート部材60に配置された第1電極70と第2電極71とがプレート部材60を介して互いに電気的に接続されることを抑制するために、例えばプレート部材60における第1電極70及び第2電極71の配置箇所を絶縁材料によって被覆する等の対策を講じることが好ましい。
【0069】
また、第1電極70及び第2電極71の具体的な構成(形状)は、特に限定されるものではなく、環状に構成されていてもよく、あるいは、非環状に構成されていてもよい。
【0070】
図9を参照して、本実施形態に係る第1電極70は、一例として、環状に構成された第1環状部位72を有している。同様に、本実施形態に係る第2電極71は、一例として、環状に構成された第2環状部位73を有している。具体的には、本実施形態では、第1電極70は全体的に第1環状部位72によって構成されており、第2電極71も全体的に第2環状部位73によって構成されている。
【0071】
本実施形態に係る第2環状部位73は、第1環状部位72の径方向で第1環状部位72よりも中央の側に配置されている。また、第2環状部位73の径(具体的には直径;D2)は、第1環状部位72の径(具体的には直径;D1)よりも小さい。なお、「環状部位の径」とは、特段の断りがない限り、「環状部位の外周縁部の径」を意味している。
【0072】
また、
図10に例示するように、第1環状部位72は、抵抗検出時にシール部材50の接触部位51に接触するように構成され、第2環状部位73は、接触部位51における第1環状部位72が接触する部位(第1部位)とは異なる部位(第2部位)に接触するように構成されている。
【0073】
具体的には、本実施形態に係る第1環状部位72の径(D1)、及び、第2環状部位73の径(D2)は、抵抗検出時に第1環状部位72及び第2環状部位73が全体的にシール部材50の環状の接触部位51に接触するように、その値が設定されている。より具体的には、本実施形態に係る第1環状部位72の径(D1)、及び、第2環状部位73の径(D2)は、接触部位51の外周縁部の径(d1)よりも小さく、且つ、接触部位51の内周縁部の径(d2)よりも大きい値になっている(d1、d2は、前述した
図5(B)を参照)。
【0074】
図9及び
図10を参照して、抵抗検出器80は、第1電極70及び第2電極71と電気的に接続されている。具体的には、抵抗検出器80は、第1配線74を介して第1電極70と接続され、且つ、第2配線75を介して第2電極71と接続されている。
【0075】
抵抗検出器80は、抵抗検出時において第1電極70と第2電極71との間の抵抗を検出することで、シール部材50の接触部位51の抵抗を検出するように構成されている。具体的には、本実施形態に係る抵抗検出器80は、いわゆる抵抗センサによって構成されている。本実施形態に係る抵抗検出器80は、一例として、制御モジュール800と電気的に接続されている。本実施形態に係る抵抗検出器80の動作は、一例として、制御モジュール800が制御している。
【0076】
抵抗検出器80の具体的な配置箇所は、特に限定されるものではないが、本実施形態に係る抵抗検出器80は、一例として、プレート部材60に配置されている。具体的には、本実施形態に係る抵抗検出器80は、一例として、プレート部材60の所定面61(下面)に配置されている。
【0077】
本実施形態に係る第1配線74は、一例として、その一部はプレート部材60を貫通するように配置され、その一部は、プレート部材60における所定面61とは反対側の背面(具体的には、上面62)に配置され、その一部は、プレート部材60の所定面61に配置されている。また、本実施形態に係る第2配線75は、全体的に、プレート部材60の所定面61に配置されている。但し、これは、第1配線74や第2配線75の配置態様の一例に過ぎず、第1配線74や第2配線75の具体的な配置態様は、これに限定されるものではない。
【0078】
図12は、本実施形態に係る「検出方法」を説明するためのフローチャートの一例である。具体的には、
図12のフローチャートは、前述した「抵抗検出時」に実行される。なお、この
図12のフローチャートの実行時において、基板ホルダ20は、めっき槽10の上方に位置しており、これにより、基板ホルダ20はめっき液Psに浸漬されていない。
【0079】
まず、基板ホルダ20にプレート部材60を保持させて、電極(第1電極70及び第2電極71)をシール部材50の接触部位51に接触させる(ステップS10)。
【0080】
具体的には、本実施形態では、第1電極70(具体的には第1環状部位72)をシール部材50に接触させ、第2電極71(具体的には第2環状部位73)を、シール部材50の接触部位51における第1環状部位72とは異なる箇所に接触させる。
【0081】
次いで、抵抗検出器80が第1電極70と第2電極71との間の抵抗(Ω)を検出することで、接触部位51の抵抗を検出する(ステップS20)。具体的には、抵抗検出器80は、第1電極70と第2電極71との間の抵抗を検出することで、接触部位51における第1電極70の接触部位と第2電極71の接触部位との間の抵抗を検出する。抵抗検出器80が検出した抵抗は、例えば制御モジュール800に伝えられる。
【0082】
制御モジュール800は、ステップS20で検出された抵抗に基づいて、接触部位51の周辺に導電性被膜90が形成されたか否かを判定してもよい(ステップS30)。具体的には、制御モジュール800は、ステップS20で検出された抵抗が予め設定された基準値(Ω)以下である場合に、接触部位51の周辺に導電性被膜90が形成していると判定し、検出された抵抗が基準値より大きい場合には、導電性被膜90が形成されていないと判定してもよい。
【0083】
あるいは、制御モジュール800に代えてユーザが、抵抗検出器80が検出した抵抗を取得し、この取得された抵抗に基づいて接触部位51の周辺に導電性被膜90が形成したか否かを判定してもよい(ステップS30)。
【0084】
以上説明したような本実施形態によれば、シール部材50の抵抗、具体的には接触部位51の抵抗を検出することができる。
【0085】
これにより、本実施形態によれば、この検出された抵抗に基づいて、接触部位51の周辺に導電性被膜90が形成されたか否かを判定することができる(すなわち、導電性被膜90の形成を検出することができる)。
【0086】
特に、本実施形態によれば、基板ホルダ20を分解したり、シール部材50を基板ホルダ20から外したりすることなく、シール部材50の接触部位51の抵抗を検出することができるので、接触部位51の抵抗を容易に検出することができる。
【0087】
また、本実施形態によれば、第1電極70が第1環状部位72を備え、第2電極71が第2環状部位73を備えており、この第1環状部位72及び第2環状部位73がシール部材50の環状の接触部位51に接触しているので、環状の接触部位51の抵抗を効果的に検出することができる。
【0088】
(変形例1)
続いて、実施形態の変形例1について説明する。
図13(A)は、本変形例に係る検出装置1のプレート部材60の模式的な下面図である。なお、
図13(A)において、第1電極70や第2電極71や抵抗検出器80等の図示は省略されている。
図13(B)は、本変形例に係る第1電極70及び第2電極71の一部を拡大して示す模式図である。具体的には、
図13(B)は、前述した
図9の「A2」部分と同様の箇所を模式的に拡大図示している。
図14は、プレート部材60における溝63の周辺構成を示す模式的な拡大断面図である。具体的には、
図14は、
図13(B)のA4付近の断面を模式的に拡大図示している。
【0089】
図13(A)及び
図14を参照して、本変形例に係るプレート部材60は、環状に構成された溝63を所定面61に有する点で、前述した実施形態に係るプレート部材60と異なっている。本変形例に係る溝63は、所定面61におけるシール部材50の接触部位51に対向する領域Rg(すなわち、所定面61における接触部位51が接触する領域)に設けられている。
【0090】
具体的には、
図14に例示するように、本変形例に係る溝63は、抵抗検出時に接触部位51が溝63に嵌るように構成されている。本変形例に係る溝63の溝幅Gwは、接触部位51の径方向の幅(これは、領域Rgの幅と同じである)と同じ値になっている。但し、接触部位51が溝63に嵌ることが可能であれば、溝63の構成はこれに限定されるものではなく、例えば、溝63の溝幅Gwは接触部位51の幅よりも大きくてもよい。
【0091】
また、
図14に例示するように、接触部位51の先端部近傍領域が、先端に向かうほど、その断面積が小さくなるような形状(山形の断面形状)を有する場合、溝63も、接触部位51の先端部近傍の形状に沿った形状(谷形の断面形状)を有していてもよい。
【0092】
図13(B)を参照して、本変形例に係る第1電極70は、第1環状部位72から第2環状部位73に向かって延在する、複数の第1枝電極76を有している。また、本変形例に係る第2電極71は、第2環状部位73から第1環状部位72に向かって延在する、複数の第2枝電極77を有している。
【0093】
本変形例に係る複数の第1枝電極76は、第1環状部位72の周方向に配列している。また、本変形例に係る複数の第2枝電極77は、第2環状部位73の周方向に配列している。また、第1枝電極76と第2枝電極77とが交互に配列している。すなわち、互いに隣接する2つの第1枝電極76の間に、第2枝電極77が配置されるように(又は、互いに隣接する2つの第2枝電極77の間に第1枝電極76が配置されるように)、複数の第1枝電極76及び第2枝電極77は配列している。
【0094】
なお、本変形例の場合、抵抗検出時において、複数の第1枝電極76及び複数の第2枝電極77がシール部材50の接触部位51に接触する。
【0095】
図13(B)及び
図14を参照して、複数の第1枝電極76は、溝63に配置された部位を有していてもよい。同様に、複数の第2枝電極77も、溝63に配置された部位を有していてもよい。
【0096】
この構成によれば、シール部材50の接触部位51と、溝63に配置された第1枝電極76及び第2枝電極77と、の接触面積を大きくすることが容易にできる。すなわち、シール部材50の接触部位51と電極との接触面積を大きくすることが容易にできる。これにより、シール部材50の接触部位51の抵抗を効果的に検出することができる。
【0097】
(変形例2)
続いて、実施形態の変形例2について説明する。
図15及び
図16は、本変形例に係る検出装置1を説明するための模式図である。具体的には、
図15は、「めっき処理時」において、本変形例に係る検出装置1のプレート部材60が基板ホルダ20に保持された状態を模式的に図示している。
図16は、「抵抗測定時」において、検出装置1がシール部材50の接触部位51の抵抗を測定している様子を模式的に図示している。なお、
図16において、基板ホルダ20の第2保持部材22の図示は省略されている。
【0098】
図15を参照して、本変形例に係るプレート部材60は、「めっき処理時」において、基板Wfの被めっき面Wfaとは反対側にある背面Wfbに、プレート部材60の所定面61が接触するように、基板ホルダ20に保持されている。本変形例に係るプレート部材60の他の構成は、前述した実施形態と同様である。
【0099】
すなわち、本変形例に係るプレート部材60は、「めっき処理時」においては、前述したバックプレート23としての機能を有している。このため、本変形例に係るめっき装置1000は、プレート部材60の他にバックプレート23を別途備えていない。
【0100】
一方、本変形例に係るプレート部材60は、「抵抗測定時」においては、前述した実施形態の場合と同様に、基板ホルダ20に保持されて、プレート部材60に配置された電極(第1電極70及び第2電極71)をシール部材50の接触部位51に接触させる(
図16参照)。また、変形例に係るめっき装置1000は、前述した実施形態と同様に押圧部材24を備えているので、プレート部材60は、この押圧部材24からの押圧を受けて、シール部材50の接触部位51に電極を効果的に接触させることができる。
【0101】
なお、めっき装置1000が押圧部材24を備えていない場合には、プレート部材60は、プレート部材60の所定面61とは反対側の背面(上面)が基板ホルダ20の第1保持部材21に接触するようにして、基板ホルダ20に保持される。
【0102】
本変形例に係る抵抗検出器80は、めっき処理時にめっき液Psに浸漬されないような箇所(例えば、めっき装置1000におけるめっき槽10の外部であって、基板ホルダ20の外部の箇所等)に配置されていることが好ましい。また、この場合、抵抗検出器80と電極(第1電極70、第2電極71)とを電気的に接続する配線(第1配線74、第2配線75)の途中箇所には、例えば、基板ホルダ20の回転軸31に配置されたロータリコネクタ78が配置されていてもよい。
【0103】
本変形例においても、前述した実施形態と同様に作用効果を奏することができる。
【0104】
なお、前述した変形例1に係る検出装置1が、本変形例に係る構成を有していてもよい。
【0105】
以上、本発明の実施形態や変形例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態や変形例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内において、さらなる種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0106】
1 検出装置
10 めっき槽
11 アノード
20 基板ホルダ(「ホルダ」)
50 シール部材
51 接触部位
60 プレート部材
61 所定面
63 溝
70 第1電極
71 第2電極
72 第1環状部位
73 第2環状部位
76 第1枝電極
77 第2枝電極
80 抵抗検出器
1000 :めっき装置
Ps めっき液
Rg 領域
Wf 基板
Wfa 被めっき面
Wfb 背面
【要約】
めっき装置のシール部材の接触部位の抵抗を検出することができる技術を提供する。
検出装置1は、シール部材50の接触部位51の抵抗を検出する抵抗検出時に、ホルダに保持されるように構成されるとともに、抵抗検出時にホルダに保持された場合に接触部位に対向する所定面61を有する、プレート部材60と、プレート部材の所定面に配置されて、抵抗検出時に接触部位に接触するように構成された第1電極70と、プレート部材の所定面に配置されて、抵抗検出時に接触部位における第1電極が接触する部位とは異なる部位に接触するように構成された第2電極71と、第1電極及び第2電極と電気的に接続されるとともに、抵抗検出時に第1電極と第2電極との間の抵抗を検出することで接触部位の抵抗を検出するように構成された抵抗検出器80と、を備える。