(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】置局設計支援方法及び置局設計支援装置
(51)【国際特許分類】
H04W 16/18 20090101AFI20241017BHJP
【FI】
H04W16/18
(21)【出願番号】P 2023544997
(86)(22)【出願日】2021-09-06
(86)【国際出願番号】 JP2021032725
(87)【国際公開番号】W WO2023032223
(87)【国際公開日】2023-03-09
【審査請求日】2023-12-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坪井 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】北 直樹
(72)【発明者】
【氏名】後藤 和人
(72)【発明者】
【氏名】俊長 秀紀
(72)【発明者】
【氏名】鬼沢 武
【審査官】岡本 正紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-113826(JP,A)
【文献】特開2020-120161(JP,A)
【文献】特開2020-167631(JP,A)
【文献】特開平9-135475(JP,A)
【文献】国際公開第2021/130923(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象エリアにおける無線基地局の候補位置と、網目状に区切られた前記対象エリアの各網目において移動局が存在しうる位置を代表する代表点と、を取得する取得ステップと、
前記無線基地局の候補位置と前記代表点の各々との間の通信可否を、前記対象エリアに存在する物体の位置を示す第1情報に基づいて推定する第1推定ステップと、
前記第1推定ステップによって通信可能と推定された前記無線基地局の候補位置と前記代表点との組み合わせのうち、前記第1情報より情報量の多い第2情報に基づく通信可否の推定処理をさらに行う前記組み合わせを、指定された置局設計方法ごとに定められたルールに従って決定する決定ステップと、
前記決定ステップによって決定された前記組み合わせである前記無線基地局の候補位置と前記代表点の各々との間の通信可否を、前記第2情報に基づいて推定する第2推定ステップと、
を有する置局設計支援方法。
【請求項2】
前記置局設計方法は、前記第2情報に基づく前記通信可否の推定の対象となる前記組み合わせの数を最大化する方法である最大化方法と、前記第2情報に基づく前記通信可否の推定の対象となる前記組み合わせの割合を所定値以上にしつつ前記無線基地局の候補位置の数を削減する効率化方法と、を含む
請求項1に記載の置局設計支援方法。
【請求項3】
前記決定ステップは、前記最大化方法が指定された場合、前記第1推定ステップによって通信可能と推定された前記組み合わせに含まれる前記代表点のうち、1つの前記無線基地局の候補位置とのみ通信可能と推定された代表点が存在する場合には、当該代表点と通信可能と推定された前記無線基地局の候補位置を含む前記組み合わせを優先して決定する
請求項2に記載の置局設計支援方法。
【請求項4】
前記決定ステップは、前記代表点と通信可能と推定された前記無線基地局の候補位置を含む前記組み合わせを優先して決定した後は、前記第1推定ステップによって通信可能と推定された前記組み合わせに含まれる前記無線基地局の候補位置のうち、より多くの前記代表点と通信可能と推定された前記無線基地局の候補位置を含む前記組み合わせを優先して決定する
請求項3に記載の置局設計支援方法。
【請求項5】
前記決定ステップは、前記効率化方法が指定された場合、前記第1推定ステップによって通信可能と推定された前記組み合わせに含まれる前記代表点のうち、より多くの前記代表点と通信可能と推定された前記無線基地局の候補位置を含む前記組み合わせを優先して決定する
請求項2に記載の置局設計支援方法。
【請求項6】
前記決定ステップは、前記第1情報に基づいて通信可能であると推定された前記組み合わせに含まれる前記代表点のうち、前記第2情報に基づく通信可否の推定処理をさらに行う前記組み合わせとして決定された前記組み合わせに含まれる前記代表点の個数の割合が所定の割合に達した場合、前記第2情報に基づく通信可否の推定処理をさらに行う前記組み合わせを決定する処理を終了する
請求項5に記載の置局設計支援方法。
【請求項7】
前記置局設計方法は、前記第2情報に基づく前記通信可否の推定の対象となる前記組み合わせの数を、前記無線基地局の候補位置ごとに平均化する方法である平均化方法をさらに含む
請求項1に記載の置局設計支援方法。
【請求項8】
対象エリアにおける無線基地局の候補位置と、網目状に区切られた前記対象エリアの各網目において移動局が存在しうる位置を代表する代表点と、を取得する取得部と、
前記無線基地局の候補位置と前記代表点の各々との間の通信可否を、前記対象エリアに存在する物体の位置を示す第1情報に基づいて推定する第1推定部と、
前記第1推定部によって通信可能と推定された前記無線基地局の候補位置と前記代表点との組み合わせのうち、前記第1情報より情報量の多い第2情報に基づく通信可否の推定処理をさらに行う前記組み合わせを、指定された置局設計方法ごとに定められたルールに従って決定する決定部と、
前記決定部によって決定された前記組み合わせである前記無線基地局の候補位置と前記代表点の各々との間の通信可否を、前記第2情報に基づいて推定する第2推定部と、
を備える置局設計支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、置局設計支援方法及び置局設計支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、屋外でも利用可能なスマートフォンやタブレット型端末等の移動端末が広く普及している。このような移動端末による無線通信において、置局設計及びエリア設計を適切に行うことは、利便性及び通信効率等の面において大変重要な課題となっている。ここでいう置局設計とは、移動端末(以下、「端末局」という。)を収容する基地局の設置位置を決めることであり、エリア設計とは、設置された基地局によってカバーされる端末局の通信可能エリアを設計及び管理することである。
【0003】
置局設計及びエリア設計を行う手法として、空間を撮像することによって得られる3次元の点群データを用いる手法がある。この手法は、まず、例えばMMS(Mobile Mapping System)を搭載した車両等の移動体を住宅エリア等の評価対象エリアの周辺の道路に沿って走行させることによって、3次元の点群データを取得する。そして、この手法は、取得された点群データを活用して、基地局と端末局との間の無線通信の可否を評価する。
【0004】
例えば非特許文献1には、MMSによって収集された点群データを活用することで、どの地点にミリ波帯の基地局を設置すれば当該基地局と端末局との間の通信が可能になるかを確認することができるミリ波帯置局設計支援ツールが記載されている。また、例えば特許文献1には、評価対象エリア内に置局された複数の基地局の組み合わせの各々について、収容可能となる端末局の一覧表を生成することができる置局設計装置が記載されている。
【0005】
また、MMSによって収集された点群データを活用することで、屋外通信設備の点検作業が軽減される。例えば非特許文献2には、MMSにより屋外通信設備の3次元の点群データの取得を可能にし、取得されたデータから設備の劣化状況を集約センタで遠隔診断することによって、現地での精密検査を必要とする設備を絞り込み、設備点検に係る作業量を削減させる技術が記載されている。
【0006】
基地局と端末局との間の無線通信の可否の評価方法として、両局間の3次元での見通し判定を行う方法、及び遮蔽率を算出する方法等がある。ここでいう、「遮蔽率」とは、基地局と端末局との間に存在し、電波の往来を遮る物体(以下、「遮蔽物」という。)が、無線通信にどの程度影響するかを示す指標である。なお、この指標は、逆の視点から、「透過率」によって代替可能である。このような評価方法を用いて無線通信の可否の評価を行うためには、評価対象エリアに存在する物体についての点群データが揃っている必要がある。ここでいう評価対象エリアには、少なくとも、基地局の設置候補位置と端末局が存在しうる位置とが含まれる。
【0007】
基地局と端末局との間の無線通信の可否の遮蔽率による評価は、例えば、基地局と端末局との間に形成されるフレネルゾーンの範囲内に存在する、遮蔽物を示す点群データの量に基づいて行われる。例えば、従来、フレネルゾーンの範囲内に存在する点群データの量が予め定められた閾値より多いか否かに基づいて、基地局と端末局との間の通信可否を判定する技術がある。このような通信可否の判定の結果に基づいて置局設計が行われる。
【0008】
また、地図上の評価対象エリアの範囲は、例えば、細かな網目状に区切られる。そして、例えば、それぞれの網目の代表となる位置ごとに、上記の置局設計によって決定された位置に置局された基地局との通信可否が判定されることによって、エリア設計が行われる。これにより、基地局と端末局とが通信可能になる範囲を、地図上で視覚的に示すことが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【非特許文献】
【0010】
【文献】“H32 MMS for inspecting access network - Reduce on-site inspection work -”, NTT R&D FORUM 2019, Nippon Telegraph and Telephone East Communication, 2019, [令和3年8月13日検索], インターネット(URL: https://labevent.ecl.ntt.co.jp/forum2019/elements/pdf_eng/H32_e.pdf)
【文献】“TsuKuBa年史 ミリ波帯置局設計支援ツール”, NTTアクセスサービスシステム研究所, 2019年, [令和3年8月13日検索], インターネット(URL: https://www.rd.ntt/as/history/pdf/wireless/wi0212.pdf)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
例えば電柱等に設置された基地局と様々な場所へ移動しうる端末局とが通信接続することができる通信ネットワークによって都市等をカバーしようとする場合、無線通信事業者は、例えば数百メートル四方の広範なエリアを評価対象エリアとして置局設計及びエリア設計を行わなければならないことがある。このような広範囲の評価対象エリアが前述のような細かな網目状に区切られた場合、網目の総数は膨大になる。そして、これら全ての網目に対して、3次元の点群データを用いて基地局と端末局との間の通信可否の判定を行うとするならば、当該判定に必要な演算処理における計算量が膨大になる。そのため、通信可否の判定に必要な演算処理が現実的な計算時間内で完了するように、計算量を削減させる必要があるという課題があった。
【0012】
上記事情に鑑み、本発明は、通信可否判定における判定精度の低下を抑えつつ、通信可否判定に必要な演算処理の計算量を削減することができる技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様は、対象エリアにおける無線基地局の候補位置と、網目状に区切られた前記対象エリアの各網目において移動局が存在しうる位置を代表する代表点と、を取得する取得ステップと、前記無線基地局の候補位置と前記代表点の各々との間の通信可否を、前記対象エリアに存在する物体の位置を示す第1情報に基づいて推定する第1推定ステップと、前記第1推定ステップによって通信可能と推定された前記無線基地局の候補位置と前記代表点との組み合わせのうち、前記第1情報より情報量の多い第2情報に基づく通信可否の推定処理をさらに行う前記組み合わせを、指定された置局設計方法ごとに定められたルールに従って決定する決定ステップと、前記決定ステップによって決定された前記組み合わせである前記無線基地局の候補位置と前記代表点の各々との間の通信可否を、前記第2情報に基づいて推定する第2推定ステップと、を有する置局設計支援方法である。
【0014】
また、本発明の一態様は、対象エリアにおける無線基地局の候補位置と、網目状に区切られた前記対象エリアの各網目において移動局が存在しうる位置を代表する代表点と、を取得する取得部と、前記無線基地局の候補位置と前記代表点の各々との間の通信可否を、前記対象エリアに存在する物体の位置を示す第1情報に基づいて推定する第1推定部と、前記第1推定部によって通信可能と推定された前記無線基地局の候補位置と前記代表点との組み合わせのうち、前記第1情報より情報量の多い第2情報に基づく通信可否の推定処理をさらに行う前記組み合わせを、指定された推定方法ごとに定められたルールに従って決定する決定部と、前記決定部によって決定された前記組み合わせである前記無線基地局の候補位置と前記代表点の各々との間の通信可否を、前記第2情報に基づいて推定する第2推定部と、を備える置局設計支援装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、通信可否判定における判定精度の低下を抑えつつ、通信可否判定に必要な演算処理の計算量を削減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1の実施形態における置局・エリア設計支援装置1の機能構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態における置局・エリア設計支援装置1の動作を示すフローチャートである。
【
図3】評価対象エリア内の基地局設置候補位置及び網目ごとの見通し判定の結果の一例を示す図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態における置局・エリア設計支援装置1のエリア最大化における動作を示すフローチャートである。
【
図5】エリア最大化を図る置局・エリア設計を行う場合における判定可否リスト304の更新の一例を示す図である。
【
図6】エリア最大化を図る置局・エリア設計を行う場合における判定可否リスト304の更新の一例を示す図である。
【
図7】エリア最大化を図る置局・エリア設計を行う場合における判定可否リスト304の更新の一例を示す図である。
【
図8】エリア最大化を図る置局・エリア設計を行う場合における判定可否リスト304の更新の一例を示す図である。
【
図9】エリア最大化を図る置局・エリア設計を行う場合における判定可否リスト304の更新の一例を示す図である。
【
図10】エリア最大化を図る置局・エリア設計を行う場合における判定可否リスト304の更新の一例を示す図である。
【
図11】エリア最大化を図る置局・エリア設計を行う場合における判定可否リスト304の更新の一例を示す図である。
【
図12】収容効率化を図る置局・エリア設計を行う場合における判定可否リスト304の更新の一例を示す図である。
【
図13】収容効率化を図る置局・エリア設計を行う場合における判定可否リスト304の更新の一例を示す図である。
【
図14】収容効率化を図る置局・エリア設計を行う場合における判定可否リスト304の更新の一例を示す図である。
【
図15】収容効率化を図る置局・エリア設計を行う場合における判定可否リスト304の更新の一例を示す図である。
【
図16】収容効率化を図る置局・エリア設計を行う場合における判定可否リスト304の更新の一例を示す図である。
【
図17】収容効率化を図る置局・エリア設計を行う場合における判定可否リスト304の更新の一例を示す図である。
【
図18】本発明の第1の実施形態における置局・エリア設計支援装置1の見通し判定処理における動作を示すフローチャートである。
【
図19】フレネルゾーンfzを考慮した通信可否の判定の様子を示す図である。
【
図20】本発明の第2の実施形態における置局・エリア設計支援装置1の動作を示すフローチャートである。
【
図21】本発明の第2の実施形態における置局・エリア設計支援装置1の平均化における動作を示すフローチャートである。
【
図22】平均化を図る置局・エリア設計を行う場合における判定可否リスト304の更新の一例を示す図である。
【
図23】平均化を図る置局・エリア設計を行う場合における判定可否リスト304の更新の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施形態における置局・エリア設計支援方法及び置局・エリア設計支援装置について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
<第1の実施形態>
本実施形態の置局・エリア設計支援装置1は、エリア内に存在する端末局を収容する基地局の設置位置を決定する置局設計を支援するための装置である。また、置局・エリア設計支援装置1は、置局設計によって導出された基地局の設置候補位置(以下、「基地局設置候補位置」という。)に基地局が設置された場合に、当該基地局との通信接続が可能な端末局の位置の範囲を示す通信可能エリアを設計・管理するエリア設計を支援するための装置である。本実施形態において、基地局は、例えば高層の建物や電柱等の屋外設備に設置される無線基地局であり、端末局は、例えば移動可能な無線端末である。基地局と端末局との間の通信には、例えばアンライセンス帯のミリ波無線が用いられる。
【0019】
置局・エリア設計支援装置1は、まず、地図情報に基づく2次元の地図を示す地図情報を取得する。置局・エリア設計支援装置1は、取得された地図情報に基づく地図を網目状に区切るエリア分割を行う。置局・エリア設計支援装置1は、網目状に区切られた地図の網目ごとに、当該網目に端末局が存在する場合における、基地局と端末局との間の通信可否に関する判定(推定)を行う。
【0020】
置局・エリア設計支援装置1は、少なくとも1つの基地局の設置候補位置と、当該設置候補位置に基地局が設置された場合の通信可能エリアと、を示す置局・エリア設計結果情報を出力する。
【0021】
なお、置局・エリア設計支援装置1から出力された置局・エリア設計結果情報は、後段の置局設計において用いられる。例えば、置局設計を行う置局設計装置(不図示)は、置局・エリア設計支援装置1から出力された置局・エリア設計結果情報が示す基地局の設置候補位置と通信可能エリアとに基づいて、基地局の設置位置を決定する。
【0022】
[置局・エリア設計支援装置の機能構成]
以下、置局・エリア設計支援装置1の機能構成について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態における置局・エリア設計支援装置1の機能構成を示すブロック図である。
【0023】
図1に示されるように、置局・エリア設計支援装置1は、設備情報取得部11と、基地局設置候補位置抽出部12と、地図情報取得部13と、エリア分割部14と、点群データ取得部15と、データ整合部16と、操作入力部20と、記憶部30と、地図見通し判定部41と、3次元見通し判定部42と、3次元判定可否評価部43と、出力部50と、を含んで構成される。置局・エリア設計支援装置1は、例えば汎用コンピュータ等の情報処理装置である。
【0024】
設備情報取得部11は、例えば外部の装置等から設備情報を取得する。ここでいう設備情報とは、例えば基地局を設置可能な高層の建物や電柱等の屋外設備の、平面位置を示す情報が少なくとも含まれる。なお、ここでいう「平面位置」とは、高さ方向(垂直方向)の座標を含まない、2次元の座標のことをいう。また、以下の説明では、平面位置を単に「位置」ということがある。
【0025】
なお、設備情報に、屋外設備の高さ、あるいは、屋外設備において基地局を設置可能な高さを示す情報等がさらに含まれていてもよい。設備情報取得部11は、取得された設備情報を基地局設置候補位置抽出部12へ出力する。
【0026】
なお、設備情報取得部11は、設備情報を、外部の記憶装置から取得してもよいし、外部の装置から通信ネットワークを介して取得してもよい。あるいは、設備情報が記憶部30に予め記憶されており、設備情報取得部11は、記憶部30から設備情報を取得する構成であってもよい。
【0027】
なお、後述される地図情報取得部13によって取得される地図情報から、基地局を設置可能な高層の建物等の屋外設備の平面位置を特定することが可能である場合には、上記の設備情報取得部11による設備情報の取得は省略されてもよい。
【0028】
基地局設置候補位置抽出部12は、設備情報取得部11から出力された設備情報を取得する。基地局設置候補位置抽出部12は、取得された設備情報に基づいて、基地局の設置候補位置を抽出する。例えば、基地局設置候補位置抽出部12は、取得された設備情報から、電柱の位置あるいは所定の高さ以上の建物の壁面の位置等を示す情報を抽出し、当該電柱の位置あるいは所定の高さ以上の建物の壁面の位置等を基地局の設置候補位置とする。基地局設置候補位置抽出部12は、抽出された基地局の設置候補位置を示す基地局設置候補位置情報301を、記憶部30に記憶させる。
【0029】
地図情報取得部13は、例えば外部の装置等から地図情報を取得する。ここでいう地図情報とは、例えば、2次元の地図を示す情報である。地図情報には、例えば住宅及びビル等の、建物の輪郭の平面位置を示す情報が少なくとも含まれている。なお、地図情報には、標高及び地図内に存在する物体の高さ等の高さ方向の位置を示す情報が含まれていてもよい。地図情報取得部13は、取得された地図情報を、エリア分割部14及びデータ整合部16へ出力する。
【0030】
なお、地図情報取得部13は、地図情報を、外部の記憶装置から取得してもよいし、外部の装置から通信ネットワークを介して取得してもよい。あるいは、地図情報が記憶部30に予め記憶されており、地図情報取得部13は、記憶部30から地図情報を取得する構成であってもよい。
【0031】
なお、本実施形態における地図情報は、例えば、MMS等によって得られた点群データに基づいて生成された地図ではなく、例えば地図制作業者によって(例えば測量等によって)制作された住宅地図等の一般的な2次元の地図に基づく情報である。したがって、本実施形態における地図情報には、例えば、建物の輪郭を示す情報は含まれているが、建物以外の物体の位置に関する情報は含まれていないことがある。建物以外の物体とは、例えば、道路標識及び看板等の工作物、街路樹及び庭木等の植物、住宅の塀及び高架道路等の構造物、及び隆起した地面等である。
【0032】
なお、本実施形態における地図情報は、MMS等によって得られた点群データに基づいて生成された地図であっても構わないが、この場合、地図情報は、後述される点群データ取得部15によって取得される3次元の点群データと比べて情報量がより少ないデータである必要がある。また、この場合、地図情報を用いて行われる、ある基地局と端末局との候補位置との間に対する見通し判定処理の計算量は、3次元の点群データを用いて行われる見通し判定処理及び遮蔽率判定処理の計算量と比べて少ない。
【0033】
なお、基地局設置候補位置は、地図情報に含まれる、例えば建物の外郭等の位置に基づいて抽出されるようにしてもよい。この場合、置局・エリア設計支援装置1の使用者(以下、「ユーザ」という。)が、地図情報に基づく地図を参照しながら、目視で基地局設置候補位置を抽出するような構成であってもよい。
【0034】
エリア分割部14は、地図情報取得部13から出力された地図情報を取得する。エリア分割部14は、取得された地図情報に基づく地図を所定の大きさの網目状に区切る。エリア分割部14は、取得された地図情報と、区切られた網目の大きさ及び位置とを対応付けて、記憶部30に記憶させる。この網目の各々は評価単位となる1画地であり、この網目ごとに基地局と端末局との通信可否の判定処理が行われる。
【0035】
なお、エリア分割部14は、地図情報取得部13から出力された地図情報を取得した場合、取得された地図情報をまずはそのまま記憶部30に記憶させるようにしてもよい。そして、エリア分割部14は、記憶部30に記憶された地図情報に基づく地図の全体範囲のうち、評価対象エリアとされる特定の範囲が(後述される評価エリア選択部201によって)選択された後に、評価対象エリアの範囲のみの地図を所定の大きさの網目状に区切るようにしてもよい。
【0036】
点群データ取得部15は、例えば外部の装置等から点群データを取得する。ここでいう点群データとは、空間を撮像することによって得られる3次元の点群データである。例えば、点群データは、MMSを搭載した車両等の移動体を評価対象の住宅エリア周辺の道路に沿って走行させることによって得られたものである。点群データ取得部15は、取得された点群データをデータ整合部16へ出力する。
【0037】
なお、点群データ取得部15は、点群データを、外部の記憶装置から取得してもよいし、外部の装置から通信ネットワークを介して取得してもよい。あるいは、点群データが記憶部30に予め記憶されており、点群データ取得部15は、記憶部30から点群データを取得する構成であってもよい。
【0038】
なお、点群データは、相対的に情報量の多いデータであり、本実施形態では前述の通り、例えばMMS等によって得られた3次元の点群データである。点群データには、建物だけでなく、前述の地図情報には含まれていない建物以外の物体(例えば、道路標識及び看板等の工作物、街路樹及び庭木等の植物等)を含んだ、遮蔽物となりうる全ての物体の3次元の位置を示す情報が含まれている。したがって、点群データは、上記の地図情報と比べて、はるかに情報量の多いデータである。点群データを用いた通信可否の判定では、判定精度は相対的に高いが、1件当たりの判定処理にかかる計算量は相対的に多い。
【0039】
データ整合部16は、地図情報取得部13から出力された地図情報を取得する。また、データ整合部16は、点群データ取得部15から出力された点群データを取得する。データ整合部16は、地図情報の座標系と点群データの座標系との間の整合を図り、必要に応じて、点群データに含まれる位置(座標)を、地図情報に含まれる位置(座標)に対して整合させるように補正する。データ整合部16は、地図情報との整合が図られた点群データ303を、記憶部30に記憶させる。
【0040】
なお、データ整合部16は、必要に応じて、記憶部30に記憶された基地局設置候補位置情報301に含まれる基地局の設置候補位置、及び、地図・エリア情報302に含まれる地図情報を、点群データの座標系に基づく位置となるように補正するようにしてもよい。なお、一般的には、地図情報の座標系及び点群データの座標系には、例えば世界測地系等の共通の座標系が用いられている場合が多いため、データ整合部16による座標の整合処理を必要としない場合が多いと考えられる。
【0041】
操作入力部20は、ユーザによる入力操作を受け付ける。操作入力部20は、例えば、入力ボタン、キーボード、マウス、及びタッチパネル等の入力インターフェースを含んで構成される。
図1に示されるように、操作入力部20は、評価エリア選択部201と、基地局候補位置選択部202と、設計方法指定部203と、処理モード指定部204と、を含んで構成される。
【0042】
評価エリア選択部201は、地図情報に基づく地図の全体範囲のうち、置局・エリア設計を行う対象とする評価対象エリアを指定するためのユーザによる入力操作を受け付ける。評価エリア選択部201は、受け付けた入力操作が示す評価対象エリアを示す情報を記憶部30に記憶させる。なお、評価エリア選択部201は、地図情報取得部13によって取得され、地図・エリア情報302として記憶部30に記憶された地図情報に対して評価対象エリアを指定する情報を付与するようにしてもよい。
【0043】
なお、ユーザは、評価対象エリアを指定する際に、例えば液晶ディスプレイ(LCD)又は有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ等の表示装置(不図示)に表示された地図を見ながら評価対象エリアを指定する。なお、ここでいう表示装置は、後述される出力部50を構成する部材の1つであってもよい。
【0044】
基地局候補位置選択部202は、評価対象エリアに含まれる、(基地局設置候補位置抽出部12によって抽出された)基地局設置候補位置の中から、評価対象とする少なくとも1つの特定の基地局設置候補位置を選択するためのユーザによる入力操作を受け付ける。基地局候補位置選択部202は、受け付けた入力操作が示す基地局設置候補位置を示す情報を記憶部30に記憶させる。
【0045】
なお、基地局候補位置選択部202は、基地局設置候補位置抽出部12によって抽出され、記憶部30に記憶された複数の基地局設置候補位置を示す情報である基地局設置候補位置情報301を更新するようにしてもよい。具体的には、基地局候補位置選択部202は、基地局設置候補位置情報301に含まれる複数の基地局設置候補位置において、ユーザによって選択された基地局設置候補位置を特定することができるフラグを付けるようにしてもよい。
【0046】
なお、ユーザは、基地局設置候補位置を選択する際に、例えば液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等の表示装置(不図示)に表示された、評価対象エリアの地図に含まれる複数の基地局設置候補位置を見ながら、少なくとも1つの特定の基地局設置候補位置を選択する。なお、ここでいう表示装置は、後述される出力部50を構成する部材の1つであってもよい。
【0047】
設計方法指定部203は、置局・エリア設計の方法(以下、「設計方法」という。)を指定するためのユーザによる入力操作を受け付ける。設計方法指定部203は、受け付けた入力操作が示す設計方法を示す情報を記憶部30に記憶させる。
【0048】
ここでいう設計方法には、少なくとも次の2つの方法が含まれる。1つ目の設計方法は、端末局を収容可能なエリア(通信可能エリア)を最大化させるように置局・エリア設計を行う方法(以下、「エリア最大化」という。)である。2つ目の設計方法は、より少ない基地局数でありながら端末局を収容可能なエリアを比較的広くさせることによって効率的な置局・エリア設計を行う方法(以下、「収容効率化」という。)である。なお、上記の2つの設計方法の詳細については、後述される。
【0049】
なお、ユーザは、設計方法を指定する際に、例えば液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等の表示装置(不図示)に表示された、少なくとも2つの設計方法をそれぞれ示す文言(例えば「エリア最大化」及び「収容効率化」)や画像を見て、1つの設計方法を選択する。なお、ここでいう表示装置は、後述される出力部50を構成する部材の1つであってもよい。
【0050】
処理モード指定部204は、置局・エリア設計処理を行う際の処理モードを指定するためのユーザによる入力操作を受け付ける。処理モード指定部204は、受け付けた入力操作が示す処理モードを示す情報を記憶部30に記憶させる。
【0051】
ここでいう処理モードには、少なくとも次の2つのモードが含まれる。1つ目の処理モードは、置局・エリア設計処理において処理速度を速くすることを優先させるモード(以下、「速度優先モード」という。)である。2つ目の処理モードは、置局・エリア設計処理において処理精度を高くすることを優先させるモード(以下、「精度優先モード」という。)である。なお、上記の2つの処理モードの詳細については、後述される。
【0052】
なお、ユーザは、処理モードを指定する際に、例えば液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等の表示装置(不図示)に表示された、少なくとも2つの処理モードをそれぞれ示す文言(例えば「速度優先モード」及び「精度優先モード」)又は画像を見て、1つの処理モードを選択する。なお、ここでいう表示装置は、後述される出力部50を構成する部材の1つであってもよい。
【0053】
記憶部30は、基地局設置候補位置情報301と、地図・エリア情報302と、点群データ303と、判定可否リスト304と、置局・エリア設計結果情報305とを記憶する。記憶部30は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、RAM(Random Access read/write Memory;読み書き可能なメモリ)、ROM(Read Only Memory;読み出し専用メモリ)等の記憶媒体、又は、これらの記憶媒体の任意の組み合わせによって構成される。
【0054】
基地局設置候補位置情報301は、基地局設置候補位置抽出部12によって抽出されて、記憶部30に格納された少なくとも1つの基地局設置候補位置を示す情報である。基地局設置候補位置情報301に含まれる基地局設置候補位置のうち、基地局候補位置選択部202によってユーザにより選択された基地局設置候補位置には、フラグ付けがなされる。または、基地局設置候補位置情報301に含まれる基地局設置候補位置のうち、基地局候補位置選択部202によってユーザにより選択されなかった基地局設置候補位置を示す情報は、削除されるようにしてもよい。
【0055】
地図・エリア情報302は、地図情報取得部13によって取得された地図情報と、エリア分割部14によって当該地図情報が網目状に区切られた際の網目の大きさ及び位置を示す情報とが、対応付けられた情報である。
【0056】
点群データ303は、点群データ取得部15によって取得された3次元の点群データに基づく情報である。点群データ303が示す地図上の範囲は、地図情報取得部13によって取得される地図情報に基づく地図の範囲と重複している。点群データ303は、データ整合部16によって地図情報の座標系と点群データの座標系との間の整合が図られ、必要に応じて地図情報に含まれる位置(座標)と整合するように補正された点群データである。
【0057】
なお、記憶部30は、評価対象エリア内の、全ての基地局設置候補位置情報301、及び、全ての点群データ303を記憶している必要はなく、評価エリア選択部201によって評価対象エリアとして選択されうる地図上の範囲内において、少なくとも置局・エリア設計処理に必要となる範囲を含む基地局設置候補位置情報301と点群データ303とを記憶していればよい。
【0058】
判定可否リスト304は、基地局の設置候補位置と端末局の候補位置との組み合わせがリスト化されたものである。判定可否リスト304に含まれる基地局の設置候補位置と端末局の候補位置との組み合わせの各々には、地図見通し判定部41によって判定された地図情報に基づく(例えば2次元の)見通し判定の結果を示す情報、及び、3次元見通し判定部42によって判定された3次元の点群データに基づく、見通し判定の結果又は遮蔽率判定の結果を示す情報等が対応付けられる。
【0059】
置局・エリア設計結果情報305は、後述される地図見通し判定部41、及び3次元見通し判定部42による判定によって生成された、置局・エリア設計処理の結果を示す情報である。
【0060】
地図見通し判定部41は、記憶部30に記憶された地図・エリア情報302に基づく網目状に区切られた地図の評価対象エリアの範囲について、網目ごとに、地図情報に基づく見通し判定を行う。
【0061】
具体的には、地図見通し判定部41は、基地局設置候補位置抽出部12によって抽出され、基地局候補位置選択部202によって選択された基地局設置候補位置に基地局が設置された場合の各々の当該基地局と、各網目の代表となる位置(以下、「代表点」という。)に端末局が位置している場合の当該端末局との間について、地図情報に基づく見通し判定を行う。例えば、地図見通し判定部41は、地図情報に含まれる建造物等の物体の輪郭の位置に基づいて、基地局設置候補位置と代表点との間の見通し判定を行う。
【0062】
代表点は、例えば、網目の中央にあたる位置である。すなわち、地図見通し判定部41は、各網目について見通し判定を行う場合、網目の中央の位置に端末局が存在すると仮定して見通し判定を行う。
【0063】
なお、代表点の位置は、網目の中央の位置に限られるものではなく、例えば網目の角の位置等の他の位置であっても構わない。しかしながら、網目の角の位置が代表点である場合、網目の対角線上にある別の角の位置等、網目内に代表点から遠く離れた位置ができるため、通信可否の判定の誤差が大きくなることが予想される。したがって、代表点は、網目の中央の位置であることが望ましい。
【0064】
ここでいう見通しの有無とは、基地局の設置候補位置と各網目の代表点とにそれぞれ基地局と端末局とが位置しているとした場合に、基地局と端末局との間で送受信される電波の伝搬経路に当該電波の伝搬を遮る遮蔽物が存在するか否かを表す。基地局と端末局との間の電波の伝搬経路に当該電波を遮蔽する遮蔽物が存在しない場合には、「見通しが有る」といい、基地局と端末局との間の電波の伝搬経路に当該電波を遮蔽する遮蔽物が存在する場合には、「見通しが無い」という。
【0065】
なお、本実施形態においては、見通し判定と通信可否の推定とは、同等のことを表すものとする。すなわち、見通しが有ると判定されることは通信可能と推定されることと同等であり、見通しが無いと判定されることは通信不可能と推定されることと同等であるものとする。
【0066】
なお、ここでいう遮蔽物とは、基地局と端末局との間で送受信される電波の伝搬を遮る可能性がある物体である。遮蔽物には、例えば、住戸及びビル等の建物(建築物)、住宅の塀及び高架道路等の構造物、道路標識及び看板等の工作物、街路樹及び庭木等の植物、及び隆起した地面等の、電波の伝搬を遮断しうる全ての物体が含まれる。
【0067】
3次元見通し判定部42は、記憶部30に記憶された地図・エリア情報302に基づく網目状に区切られた地図の評価対象エリアの範囲について、網目ごとに、点群データ303に基づいて見通し判定を行う。
【0068】
具体的には、3次元見通し判定部42は、基地局候補位置選択部202によって選択され、地図見通し判定部41による地図情報に基づく見通し判定によって見通しが有ると判定された基地局設置候補位置に基地局が設置された場合の各々の当該基地局と、各網目の代表点に端末局が位置している場合の当該端末局との間について、3次元の点群データに基づく見通し判定を行う。
【0069】
前述の通り、見通しの有無とは、基地局の設置候補位置と各網目の代表点とにそれぞれ基地局と端末局とが位置している場合において、基地局と端末局との間で送受信される電波の伝搬経路に当該電波の伝搬を遮る遮蔽物が存在するか否かを表す。また、遮蔽物とは、基地局と端末局との間で送受信される電波の伝搬を遮る可能性がある物体である。
【0070】
3次元見通し判定部42は、地図見通し判定部41による地図情報に基づく見通し判定によって見通しが有ると判定された基地局の設置候補位置と各網目の代表点との組み合わせのうち、3次元点群データに基づく見通し判定をする必要があると判定された組み合わせについて、見通し判定を行う。地図見通し判定部41によってどの組み合わせが3次元点群データに基づく見通し判定をする必要があると判定されるかについては、設計方法指定部203によって指定される置局・エリア設計の設計方法によって異なる。各設計方法の詳細については、後述される。
【0071】
3次元見通し判定部42は、見通し判定の対象である基地局設置候補位置と代表点との間について、取得されている3次元点群データの個数が所定の閾値より多いか否かを判定する。3次元判定可否評価部43は、取得されている3次元点群データの個数が所定の閾値以下である場合には、見通しが有ると判定する。
【0072】
また、3次元判定可否評価部43は、取得されている3次元点群データの個数が所定の閾値より多い場合には、遮蔽率を考慮して3次元の点群データによる見通し判定を行う。言い換えると、3次元見通し判定部42は、基地局設置候補位置と代表点との間に多くの点群データが存在していたとしても(すなわち、遮蔽物が多い又は大きい場合であっても)、見通しが無いとすぐに判定を下すのではなく、さらに遮蔽率を考慮して見通し判定を行うことによって、より精度の高い見通し判定の結果を得る。
【0073】
なお、例えば、基地局設置候補位置抽出部12、エリア分割部14、データ整合部16、地図見通し判定部41、及び3次元見通し判定部42は、1つの制御部(不図示)の構成要素として構成されてもよい。この場合、制御部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。あるいは、制御部は、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現される構成であってもよい。CPUによって読み出されるプログラムは、例えば置局・エリア設計支援装置1が備える記憶部30等の記憶媒体に、予め格納されていてもよい。
【0074】
3次元判定可否評価部43は、判定可否リスト304に含まれる基地局設置候補位置を含む地図上の網目の範囲及びその近傍の範囲、及び、代表点の判定可否リスト304に含まれる代表点を含む地図上の網目の範囲及びその近傍の範囲について、収集されている3次元点群データの割合が見通し判定を可能にする割合に達しているかを確認する。
【0075】
3次元判定可否評価部43は、収集されている3次元点群データの割合が見通し判定を可能にする割合に達していない網目の範囲内に存在する基地局設置候補位置及び代表点を、点群データに基づく見通し判定処理の対象から除外する。なぜならば、3次元データが必要十分な程度に収集されていない領域については、3次元の点群データに基づく見通し判定が行われたとしても、十分な信頼度を有する見通し判定の結果を得ることができないからである。3次元判定可否評価部43は、例えば、判定可否リスト304を更新することにより、該当する基地局設置候補位置及び代表点を見通し判定処理の対象から除外する。
【0076】
出力部50は、置局・エリア設計結果情報305を記憶部30から取得する。出力部50は、置局・エリア設計結果情報305を、後段の処理を行う外部の装置(例えば置局設計装置等)へ出力する。
【0077】
出力部50は、例えば、置局・エリア設計結果情報305を外部の装置へ出力するための通信インターフェースを含んで構成される。なお、出力部50は、置局・エリア設計結果情報305を表示させる表示部として機能する機能部であってもよい。この場合、出力部50は、例えば液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等の表示装置を含んで構成される。なお、出力部50は、ユーザに対して提示する各種の情報を表示するようにしてもよい。
【0078】
なお、以下に説明する
図2のフローチャートに示される処理によれば、以下の2点が実現可能となる。
【0079】
・推奨される基地局候補位置の組み合わせを導出すること。
・通信可能エリアを信頼度に応じて導出すること。
【0080】
ここでいう信頼度には、例えば、建物の外郭の位置等の情報を含む2次元の地図情報を(優先的に)用いて評価された場合に相当する標準的な信頼度と、MMSによって収集された3次元の点群データを(優先的に)用いて評価された場合に相当するより高い信頼度とが含まれる。
【0081】
推奨される基地局の設置候補位置及び端末局の通信可能エリアを導出するために、2次元地図情報及び3次元の点群データのうち、どちらの情報(データ)を優先的に用いるかについての判断は、例えばMMSの走行ルート等によって影響される3次元の点群データの収集状況等に基づいて行われる。
【0082】
[置局・エリア設計支援装置の動作]
以下、置局・エリア設計支援装置1の動作の一例について説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態における置局・エリア設計支援装置1の動作を示すフローチャートである。
図2のフローチャートが示す置局・エリア設計支援装置1の動作は、例えば、置局・エリア設計支援装置1の電源がオンにされた際に開始する。
【0083】
まず、地図情報取得部13は、例えば外部の装置等から地図情報を取得する(ステップS01)。前述の通り、ここでいう地図情報とは、例えば、2次元の地図を示す情報である。地図情報には、例えば住宅及びビル等の、建物の外郭の平面位置を示す情報が少なくとも含まれる。地図情報は、3次元の点群データと比べて情報量がより少ないデータである。そのため、地図情報を用いて行われる見通し判定処理は、3次元の点群データを用いて行われる見通し判定処理と比べて、計算量はより少なくなる。
【0084】
次に、評価エリア選択部201は、地図情報に基づく地図の全体範囲のうち、置局・エリア設計の評価対象エリアを選択するためのユーザによる入力操作を受け付ける(ステップS02)。例えば、ユーザは、表示装置(不図示)に表示された地図に対して所望の範囲を囲む入力操作を行うことによって評価対象エリアを選択する。
【0085】
評価エリア選択部201は、受け付けた入力操作が示す評価対象エリアを示す情報を記憶部30に記憶させる。エリア分割部14は、地図情報取得部13から出力された地図情報と評価エリア選択部201によって選択された評価対象エリアを示す情報とに基づいて、評価対象エリアの範囲の地図を、所定の大きさの網目状に区切る。
【0086】
次に、設備情報取得部11は、例えば外部の装置等から設備情報を取得する(ステップS03)。前述の通り、ここでいう設備情報とは、例えば基地局を設置可能な高層の建物や電柱等の屋外設備の、平面位置を示す情報が少なくとも含まれる。基地局設置候補位置抽出部12は、取得された設備情報に基づいて、基地局の設置候補位置を抽出する(ステップS04)。基地局設置候補位置抽出部12は、抽出された基地局の設置候補位置を示す基地局設置候補位置情報301を、記憶部30に記憶させる。
【0087】
なお、地図情報に、標高及び地図内に存在する物体の高さ等の高さ方向の位置を示す情報が含まれている場合、所定の高さを超える地点及び所定の高さを超える建築物等の位置が、基地局設置候補位置として自動的に抽出される構成であってもよい。
【0088】
次に、基地局候補位置選択部202は、基地局設置候補位置抽出部12によって抽出された基地局設置候補位置の中から、評価対象とする少なくとも1つの特定の基地局設置候補位置を選択するためのユーザによる入力操作を受け付ける(ステップS05)。例えば、表示装置(不図示)等に評価対象エリアの地図が表示され、ユーザが、操作入力部20によって所望の位置を基地局設置候補位置として選択することができるような構成であってもよい。基地局候補位置選択部202は、受け付けた入力操作が示す評価対象エリアを示す情報を記憶部30に記憶させる。
【0089】
なお、基地局候補位置選択部202が、基地局設置候補位置のリスト(例えば、基地局設置候補位置ごとの緯度及び経度等)を示す、例えばCSV(Comma Separated Value)形式のデータファイル等を外部の装置から読み込むことによって、基地局設置候補位置の選択が行われるような構成であってもよい。
【0090】
次に、地図見通し判定部41は、記憶部30に記憶された地図・エリア情報302に基づく網目状に区切られた地図の評価対象エリアの範囲について、網目ごとに、地図情報に基づく見通し判定を行う(ステップS06)。地図見通し判定部41は、選択された基地局設置候補位置に基地局が設置された場合の各々の当該基地局と、各代表点に端末局が位置している場合の当該端末局との間について、地図情報に基づく見通し判定を行う。前述の通り、代表点は、例えば網目の中央の位置である。例えば、地図見通し判定部41は、地図情報に含まれる建造物等の物体の輪郭の位置に基づいて、見通しの判定を行う。
【0091】
次に、出力部50あるいは置局・エリア設計支援装置1が備える表示装置(不図示)は、地図見通し判定部41による、地図情報に基づく見通し判定の結果を示す情報をユーザによって参照可能に表示する(ステップS07)。
【0092】
次に、点群データ取得部15は、例えば外部の装置等から点群データを取得する(ステップS08)。前述の通り、点群データは、例えば、MMSを搭載した車両等の移動体を住宅エリア等の評価対象エリア周辺の道路に沿って走行させることによって得られたものである。
【0093】
なお、点群データ取得部15は、地図情報に基づく地図の全ての3次元の点群データを取得する代わりに、見通し判定に必要十分な範囲に限定して3次元の点群データを取得するようにしてもよい。具体的には、例えば点群データ取得部15は、地図見通し判定部41による地図情報に基づく見通し判定によって見通しが有ると判定された基地局の設置候補位置と代表点の位置との組み合わせについて見通し判定を行うために必要となる範囲の3次元点群データのみを取得するようにしてもよい。
【0094】
または、例えば点群データ取得部15は、指定された置局・エリア設計の設計方法に従って3次元の点群データに基づく見通し判定が必要であると判定とされた基地局の設置候補位置と代表点の位置との組み合わせについて見通し判定を行うために必要となる範囲の3次元点群データのみを取得するようにしてもよい。
【0095】
次に、データ整合部16は、地図・エリア情報302に含まれる、評価対象エリアの地図情報を取得する。また、データ整合部16は、点群データ取得部15から出力された点群データを取得する。データ整合部16は、地図情報の座標系と点群データの座標系との間の整合を図り、必要に応じて、点群データに含まれる位置(座標)を、地図情報に含まれる位置(座標)に対して整合させるように補正する(ステップS09)。データ整合部16は、地図情報との整合が図られた点群データ303を、記憶部30に記憶させる。なお、地図情報の座標系と点群データの座標系とが一致していることが既知である場合には、ステップS09の処理は省略可能である。
【0096】
次に、3次元見通し判定部42は、地図見通し判定部41による地図情報に基づく見通し判定の結果に基づいて、基地局設置候補位置ごとに、3次元の点群データに基づく見通し判定の必要があるか否かを示す判定可否リスト304を作成する(ステップS10)。
【0097】
次に、3次元見通し判定部42は、地図見通し判定部41による地図情報に基づく見通し判定の結果に基づいて、代表点ごとに、3次元の点群データに基づく見通し判定の必要があるか否かを示す判定可否リスト304を作成する(ステップS11)。前述の通り、代表点とは、網目状に区切られた地図の各網目を代表する位置(例えば、網目の中央の位置)である。地図情報に基づく見通し判定処理、及び3次元点群データに基づく見通し判定処理では、代表点に端末局が存在するものとして見通しの判定が行われる。
【0098】
次に、3次元判定可否評価部43は、判定可否リスト304に含まれる基地局設置候補位置を含む地図上の網目の範囲、及び、判定可否リスト304に含まれる代表点を含む地図上の網目の範囲について、収集されている3次元点群データの割合が見通し判定を可能にする割合に達しているかを確認する(ステップS12)。3次元判定可否評価部43は、収集されている3次元点群データの割合が見通し判定を可能にする割合に達していない網目の範囲内に存在する基地局設置候補位置及び代表点について、判定可否リスト304を更新することにより、見通し判定の対象から除外する。
【0099】
なお、収集されている3次元点群データの割合が見通し判定を可能にする割合に達しているかについての確認は、ユーザによる目視によって行われるようにしてもよい。例えば、置局・エリア設計支援装置1が備える表示装置(不図示)に網目ごとの収集されている3次元点群データの割合が表示されるようにしてもよい。そして、ユーザが、当該割合を確認して、網目ごとに見通し判定の対象から除外するか否かを判断して、入力操作により指定するようにしてもよい。
【0100】
次に、設計方法指定部203は、設計方法を指定するためのユーザによる入力操作を受け付ける(ステップS13)。前述の通り、設計方法には、「エリア最大化」及び「収容効率化」の2つの設計方法が含まれる。エリア最大化は、端末局を収容可能なエリアを最大化させるように置局・エリア設計を行う方法である。収容効率化は、より少ない基地局数でありながら端末局を収容可能なエリアを比較的広くさせることによって効率的な置局・エリア設計を行う方法である。
【0101】
次に、設計方法指定部203によって「エリア最大化」が指定された場合(ステップS13・YES)、地図見通し判定部41は、以下のステップS14の処理を実行する。一方、設計方法指定部203によって「収容効率化」が指定された場合(ステップS13・NO)、地図見通し判定部41は、以下のステップS14の処理の実行を省略する。
【0102】
次に、地図見通し判定部41は、上記のステップS05において選択された各基地局設置候補位置に基地局が設置された場合について、網目状に区分けされた評価対象エリアの地図上の網目ごとに、地図情報に基づく見通し判定を行う。
【0103】
地図見通し判定部41は、地図情報に基づく見通し判定によって、ある基地局設置候補位置に設置された基地局によって通信可能エリアとしてカバーされると判定された(すなわち、見通しが有ると判定された)代表点(網目)の中に、他のどの基地局設置候補位置に設置された基地局によっても通信可能エリアとしてカバーされないと判定された(すなわち、見通しが無いと判定された)代表点(網目)を特定する。地図見通し判定部41は、上記特定された代表点(網目)を通信可能エリアとしてカバーする基地局設置候補位置を選択する(ステップS14)。なお、このステップS14の詳細については、後に具体例を挙げながら詳しく説明する。
【0104】
次に、処理モード指定部204は、置局・エリア設計処理を行う際の処理モードを指定するためのユーザによる入力操作を受け付ける(ステップS15)。前述の通り、処理モードには、「速度優先モード」及び「精度優先モード」の2つのモードが含まれる。速度優先モードは、置局・エリア設計処理において処理速度を速くすることを優先させるモードである。精度優先モードは、置局・エリア設計処理において処理精度を高くすることを優先させるモードである。
【0105】
次に、処理モード指定部204によって「速度優先モード」が指定された場合(ステップS15・YES)、地図見通し判定部41及び3次元見通し判定部42は、処理速度を速くすることを優先して見通し判定を行う(ステップS16)。一方、処理モード指定部204によって「精度優先モード」が指定された場合(ステップS15・NO)、地図見通し判定部41及び3次元見通し判定部42は、処理精度を高くすることを優先して見通し判定を行う(ステップS17)。
【0106】
ここで、処理速度を速くすることを優先した見通し判定とは、例えば、(例えば2次元の)地図情報に基づく見通し判定の結果を優先して最終的な見通し判定の結果を決定する判定方法である。この判定方法によれば、判定精度を高くすることを優先した見通し判定と比べて、より早く見通し判定の結果を得ることが可能になる。
【0107】
一方、判定精度を高くすることを優先した見通し判定とは、(例えば3次元の)点群データに基づく見通し判定の結果を優先して最終的な見通し判定の結果を決定する判定方法である。この判定方法によれば、処理速度を速くすることを優先した見通し判定と比べて、より精度の高い見通し判定の結果を得ることが可能になる。
【0108】
次に、出力部50は、指定された設計方法(すなわち、「エリア最大化」又は「収容効率化」)及び指定された処理モード(すなわち、「速度優先モード」又は「精度優先モード」)に従って(地図見通し判定部41及び3次元見通し判定部42により)行われた見通し判定の結果を示す、置局・エリア設計結果情報305を表示する(ステップS18)。以上で、
図2のフローチャートが示す置局・エリア設計支援装置1の動作が終了する。
【0109】
[点群データに基づく見通し判定の実行可否]
以下、点群データに基づく見通し判定の実行可否を決定する方法について、具体例を挙げながら詳細に説明する。
【0110】
図3は、評価対象エリア内の基地局設置候補位置及び網目ごとの見通し判定の結果の一例を示す図である。
図3には7行×8列の格子が描かれているが、これは網目状に区切られた地図情報に基づく地図の評価対象エリアの一部を表している。また、
図3において、「A」から「E」までの符号がそれぞれ付与された黒点は、基地局候補位置選択部202によって選択された基地局設置候補位置を表す。
【0111】
図3において、太字の実線によって囲まれている6つの網目(すなわち、(1),(2),(3),(4),(5)及び(6)の数字がそれぞれ付された網目)は、地図見通し判定部41による地図情報に基づく見通し判定によって基地局設置候補位置Aとの間で見通しが有ると判定された網目である。すなわち、基地局設置候補位置Aに設置される基地局は、(1),(2),(3),(4),(5)及び(6)の数字がそれぞれ付された6つの網目の範囲内に存在する端末局との通信が可能であることを意味する。
【0112】
また、
図3において、点線によって囲まれている5つの網目(すなわち、(2),(3),(4),(5)及び(7)の数字がそれぞれ付された網目)は、地図見通し判定部41による地図情報に基づく見通し判定によって基地局設置候補位置Bとの間で見通しが有ると判定された網目である。すなわち、基地局設置候補位置Bに設置される基地局は、(2),(3),(4),(5)及び(7)の数字がそれぞれ付された5つの網目の範囲内に存在する端末局との通信が可能であることを意味する。
【0113】
また、
図3において、一点鎖線によって囲まれている4つの網目(すなわち、(6),(8),(10)及び(12)の数字がそれぞれ付された網目)は、地図見通し判定部41による地図情報に基づく見通し判定によって基地局設置候補位置Cとの間で見通しが有ると判定された網目である。すなわち、基地局設置候補位置Cに設置される基地局は、(6),(8),(10)及び(12)の数字がそれぞれ付された4つの網目の範囲内に存在する端末局との通信が可能であることを意味する。
【0114】
また、
図3において、破線によって囲まれている5つの網目(すなわち、(8),(9),(10),(11)及び(13)の数字がそれぞれ付された網目)は、地図見通し判定部41による地図情報に基づく見通し判定によって基地局設置候補位置Dとの間で見通しが有ると判定された網目である。すなわち、基地局設置候補位置Dに設置される基地局は、(8),(9),(10),(11)及び(13)の数字がそれぞれ付された5つの網目の範囲内に存在する端末局との通信が可能であることを意味する。
【0115】
また、
図3において、二点鎖線によって囲まれている2つの網目(すなわち、(13)及び(14)の数字がそれぞれ付された網目)は、地図見通し判定部41による地図情報に基づく見通し判定によって基地局設置候補位置Eとの間で見通しが有ると判定された網目である。すなわち、基地局設置候補位置Eに設置される基地局は、(13)及び(14)の数字がそれぞれ付された2つの網目の範囲内に存在する端末局との通信が可能であることを意味する。
【0116】
図3において、「(1)」~「(14)」等の符号が記載されていない空白の網目は、地図情報に基づく見通し判定によって、A~Eまでのどの基地局設置候補位置とも見通しが無いと判定された代表点を有する網目である。すなわち、基地局がA~Eまでのどの基地局設置候補位置に設置されたとしても、当該基地局は空白の網目の範囲内に存在する端末局との通信は不可能であることを意味する。そのため、このような空白の網目の代表点については、後段の3次元見通し判定部42による点群データに基づく見通し判定処理を行う必要がない。
【0117】
なお、地図情報に基づく見通し判定は、例えば、地図上において基地局設置候補位置と網目の代表点とを結ぶ直線上に建造物等の遮蔽物が存在するか否かに基づいて行われる。なお、地図情報に基づく見通し判定には、任意の従来技術を用いることが可能である。
【0118】
以下、設計方法として「エリア最大化」が指定された場合における置局・エリア設計について説明する。前述の通り、エリア最大化は、端末局を収容可能なエリアを最大化させるように置局・エリア設計を行う方法である。
【0119】
エリア最大化を図る置局・エリア設計を行う場合、地図見通し判定部41は、地図情報に基づく見通し判定によって少なくとも1つの基地局設置候補位置との間で見通しが有ると判定された代表点のうち、ただ1つの基地局設置候補位置との間のみで見通しが有ると判定された代表点を特定する。
【0120】
図3に示される例においては、地図情報に基づく見通し判定によって、ただ1つの基地局設置候補位置との間のみで見通しが有ると判定された代表点は、(1),(7),(9),(11),(12)及び(14)の符号が記載された代表点である。
【0121】
図3に示されるように、(1)の符号が記載された代表点は、地図情報に基づく見通し判定によって、基地局設置候補位置Aとの間のみ見通しが有ると判定された代表点である。以下同様に、(7)の符号が記載された代表点は、地図情報に基づく見通し判定によって、基地局設置候補位置Bとの間のみ見通しが有ると判定された代表点である。(9)及び(11)の符号が記載された代表点は、地図情報に基づく見通し判定によって、基地局設置候補位置Dとの間のみ見通しが有ると判定された代表点である。(12)の符号が記載された代表点は、地図情報に基づく見通し判定によって、基地局設置候補位置Cとの間のみ見通しが有ると判定された代表点である。(14)の符号が記載された代表点は、地図情報に基づく見通し判定によって、基地局設置候補位置Eとの間のみ見通しが有ると判定された代表点である。
【0122】
エリア最大化を図る置局・エリア設計を行う場合、地図見通し判定部41は、上記特定された代表点との間で見通しが有ると判定された基地局設置候補位置を、後段の3次元の点群データに基づく見通し判定処理において用いられる基地局設置候補位置として優先して(まず始めに)選択する。なお、上記特定された代表点とは、前述の通り、ただ1つの基地局設置候補位置との間のみで見通しが有ると判定された代表点である。
【0123】
言い換えると、エリア最大化を図る置局・エリア設計を行う場合、地図見通し判定部41は、地図情報に基づく見通し判定によって、ある基地局設置候補位置に設置された基地局によって通信可能エリアとしてカバーされると判定された(すなわち、見通しが有ると判定された)代表点(網目)の中に、他のどの基地局設置候補位置に設置された基地局によっても通信可能エリアとしてカバーされないと判定された(すなわち、見通しが無いと判定された)代表点(網目)を特定する。地図見通し判定部41は、上記特定された代表点(網目)を通信可能エリアとしてカバーする基地局設置候補位置を優先して(まず始めに)選択する。
【0124】
端末局を収容可能なエリアを最大化させるように置局・エリア設計を行うためには、このように、地図情報に基づく見通し判定によって、ただ1つの基地局設置候補位置との間のみで見通しが有ると判定された代表点を特定し、当該代表点との間で見通しが有ると判定された基地局設置候補位置を、後段の3次元の点群データに基づく見通し判定処理において用いられる基地局設置候補位置として優先して選択していくことが必要である。
【0125】
これに対し、以下、設計方法として「収容効率化」が指定された場合における置局・エリア設計について説明する。前述の通り、収容効率化は、より少ない基地局数でありながら端末局を収容可能なエリアを比較的広くさせることによって効率的な置局・エリア設計を行う方法である。
【0126】
収容効率化を図る置局・エリア設計を行う場合、地図見通し判定部41は、地図情報に基づく見通し判定によって、見通しが有ると判定された代表点をより多く有する基地局設置候補位置から順に、後段の3次元の点群データに基づく見通し判定処理において用いられる基地局設置候補位置として優先して選択していく。
【0127】
そして、収容効率化を図る置局・エリア設計を行う場合、地図見通し判定部41は、地図情報に基づく見通し判定によって、少なくとも1つの基地局設置候補位置との間で見通しが有ると判定された代表点(網目)のうち、選択された代表点の割合が、予め定められた割合に達した際に、後段の3次元の点群データに基づく見通し判定処理において用いられる基地局設置候補位置を選択する上記の処理を終了する。所定の割合とは、例えば、80[%]等である。このような構成によって、より少ない基地局数でありながら端末局を収容可能なエリアを比較的広くさせる収容効率化が図られる。
【0128】
例えば、
図3においては、基地局設置候補位置Aが、地図情報に基づく見通し判定によって見通しが有ると判定された代表点を最も多く有する。基地局設置候補位置Aは、(1),(2),(3),(4),(5)及び(6)の符号が記載された6つの代表点との間でそれぞれ見通しが有る。次に、基地局設置候補位置B及びDが、地図情報に基づく見通し判定によって見通しが有ると判定された代表点を2番目に多く有する。基地局設置候補位置Bは、(2),(3),(4),(5)及び(7)の符号が記載された5つの代表点との間でそれぞれ見通しが有り、基地局設置候補位置Dは、(8),(9),(10),(11)及び(13)の符号が記載された5つの代表点との間でそれぞれ見通しが有る。次に、基地局設置候補位置Cが、地図情報に基づく見通し判定によって見通しが有ると判定された代表点を3番目に多く有する。基地局設置候補位置Cは、(6),(8),(10)及び(12)の符号が記載された4つの代表点との間でそれぞれ見通しが有る。最後に、基地局設置候補位置Eが、地図情報に基づく見通し判定によって見通しが有ると判定された代表点を最も少なく有する。基地局設置候補位置Eは、(13)及び(14)の符号が記載された2つの代表点との間でそれぞれ見通しが有る。
【0129】
収容効率化を図る置局・エリア設計を行う場合、地図見通し判定部41は、まず初めに、地図情報に基づく見通し判定によって見通しが有ると判定された代表点を最も多く有する基地局設置候補位置Aを、後段の3次元の点群データに基づく見通し判定処理において用いられる基地局設置候補位置として選択する。
【0130】
次に、地図情報に基づく見通し判定によって見通しが有ると判定された代表点を2番目に多く有するのは、当初、基地局設置候補位置B及びDであった。しかしながら、例えば、基地局設置候補位置Bは、(2),(3),(4),(5)及び(7)の符号がそれぞれ記載された5つの代表点との間で見通しが有ると判定されており、このうち、(2),(3),(4)及び(5)の符号がそれぞれ記載された4つの代表点は、上記選択された基地局設置候補位置Aとの間についても同様に見通しが有ると判定されている。
【0131】
したがって、基地局設置候補位置Aが選択された後に基地局設置候補位置Bが選択されたとしても、いずれかの基地局設置候補位置との間で見通しがある代表点として新たに追加されるのは、(7)の符号が記載された代表点のみである。そのため、基地局設置候補位置Aが選択された後に基地局設置候補位置Bが選択されると、収容効率化を図るという目的にそぐわなくなる。
【0132】
そこで、地図見通し判定部41は、地図情報に基づく見通し判定によって、既に選択された基地局設置候補位置との間で見通しが有ると判定された代表点を除外した上で、見通しが有ると判定された代表点を最も多く有する基地局設置候補位置を、後段の3次元の点群データに基づく見通し判定処理において用いられる基地局設置候補位置として選択していく。
【0133】
そのため、基地局設置候補位置Aが選択され、当該基地局設置候補位置Aとの間で見通しが有ると判定された代表点が除かれた時点においては、基地局設置候補位置Bは、(7)の符号が記載された1つの代表点との間で見通しが有り、基地局設置候補位置Cは、(8),(10),及び(12)の符号がそれぞれ記載された3つの代表点との間でそれぞれ見通しが有り、基地局設置候補位置Dは、(8),(9),(10),(11)及び(13)の符号がそれぞれ記載された5つの代表点との間でそれぞれ見通しが有り、基地局設置候補位置Eは、(13)及び(14)の符号がそれぞれ記載された2つの代表点との間でそれぞれ見通しが有るという状態となる。
【0134】
以上の結果から、基地局設置候補位置Aが選択された後の時点では、地図情報に基づく見通し判定によって見通しが有ると判定された代表点を最も多く有するのは、5つの代表点との間で見通しが有る基地局設置候補位置Dとなる。地図見通し判定部41は、基地局設置候補位置Aの次には基地局設置候補位置Dを、後段の3次元の点群データに基づく見通し判定処理において用いられる基地局設置候補位置として追加選択する。
【0135】
そして、基地局設置候補位置A及びDが選択され、当該基地局設置候補位置A又はDとの間で見通しが有ると判定された代表点が除かれた時点においては、基地局設置候補位置Bは、(7)の符号が記載された1つの代表点との間で見通しが有り、基地局設置候補位置Cは、(12)の符号が記載された1つの代表点との間で見通しが有り、基地局設置候補位置Eは、(14)の符号が記載された1つの代表点との間で見通しが有るという状態となる。
【0136】
このとき、基地局設置候補位置B,C及びEのいずれも、地図情報に基づく見通し判定によって見通しが有ると判定された代表点を1つずつ有することから、地図見通し判定部41は、基地局設置候補位置Dの次には、残りの基地局設置候補位置の1つ(ここでは、例えば基地局設置候補位置Bとする。)を、後段の3次元の点群データに基づく見通し判定処理において用いられる基地局設置候補位置として追加選択する。
【0137】
基地局設置候補位置A,D及びBが選択されることにより、(1),(2),(3),(4),(5),(6),(7),(8),(9),(10),(11)及び(13)の符号がそれぞれ記載された12個の代表点が、選択済みのいずれかの基地局設置候補位置(すなわち、基地局設置候補位置A,D及びCのいずれか)との間で見通しが有ると判定された代表点となる。
【0138】
ここで、
図3に例示された評価対象エリアにおいて、地図情報に基づく見通し判定によって当該評価対象エリアに存在する基地局設置候補位置A~Eのいずれかとの間で見通しが有ると判定された代表点(網目)は、(1)~(14)の符号が記載された14個の代表点であり、その総数は14個である。よって、基地局設置候補位置A,D及びBが選択されることによって、14個中12個の代表点が通信可能エリアとしてカバーされる。
【0139】
14個中の12個という割合は、およそ86[%]であり、例えば予め定められた割合である80[%]に達していることから、地図見通し判定部41は、基地局設置候補位置A,D及びCの順に3つの基地局設置候補位置を選択した時点で、後段の3次元の点群データに基づく見通し判定処理において用いられる基地局設置候補位置を選択する上記の処理を終了する。このような構成によって、より少ない基地局数でありながら端末局を収容可能なエリアを比較的広くさせる収容効率化が図られる。
【0140】
前述の「エリア最大化」が指定された場合における置局・エリア設計では、まず初めに、地図見通し判定部41は、地図情報に基づく見通し判定によって、ある基地局設置候補位置に設置された基地局によって通信可能エリアとしてカバーされると判定された(すなわち、見通しが有ると判定された)代表点(網目)の中に、他のどの基地局設置候補位置に設置された基地局によっても通信可能エリアとしてカバーされないと判定された(すなわち、見通しが無いと判定された)代表点(網目)を特定し、特定された代表点(網目)を通信可能エリアとしてカバーする基地局設置候補位置を優先して選択する構成であった。「エリア最大化」が指定された場合における置局・エリア設計においても、それ以降の基地局設置候補位置の選択においては、地図見通し判定部41は、上記の「収容効率化」が指定された場合における置局・エリア設計と同様の処理を行えばよい。
【0141】
すなわち、地図見通し判定部41は、まず初めに、地図情報に基づく見通し判定によって、ただ1つの基地局設置候補位置との間のみで見通しが有ると判定された代表点を特定し、当該代表点との間で見通しが有ると判定された基地局設置候補位置を、後段の3次元の点群データに基づく見通し判定処理において用いられる基地局設置候補位置として全て選択する。そして、それ以降は、地図見通し判定部41は、地図情報に基づく見通し判定によって、見通しが有ると判定された代表点をより多く有する基地局設置候補位置から順に、後段の3次元の点群データに基づく見通し判定処理において用いられる基地局設置候補位置として優先して選択していく。
【0142】
ここで、地図見通し判定部41は、地図情報に基づく見通し判定によって、いずれかの少なくとも1つの基地局設置候補位置との間で見通しが有ると判定された代表点のうち、点群データに基づく見通し判定の対象となった代表点の割合が、予め定められた割合に達した際に、後段の3次元の点群データに基づく見通し判定処理において用いられる基地局設置候補位置を選択する上記の処理を終了するようにしてもよい。
【0143】
以下、エリア最大化における処理の流れについて説明する。
図4は、本発明の第1の実施形態における置局・エリア設計支援装置1のエリア最大化における動作を示すフローチャートである。
図4のフローチャートが示す置局・エリア設計支援装置1の動作は、前述の
図2に示されるステップS14の動作を詳細化したものである。
【0144】
なお、収容効率化における処理の場合には、
図4のフローチャートが示す置局・エリア設計支援装置1の動作は省略される。収容効率化における処理の場合とは、
図2のステップS13の分岐においてNOとなる場合に相当し、この場合にはステップS14の処理が省略される動作となることからも分かる。
【0145】
図4に示されるように、ステップS142からステップS144までの処理は、地図情報に基づく見通し判定によって見通しが有ると判定された組み合わせの個数に相当する回数だけ繰り返し行われる(ステップS141)。
【0146】
まず、地図見通し判定部41は、地図情報に基づく見通し判定によって見通しが有ると判定された基地局の設置候補位置と網目の代表点との組み合わせに含まれる代表点のうち、ある代表点について、見通しが有ると判定された基地局の設置候補位置が複数あるか否かを確認する(ステップS142)。
【0147】
ある代表点について、見通しが有ると判定された基地局の設置候補位置が複数ある場合(ステップS142・YES)、地図見通し判定部41は、以降のステップS143及びステップS144の処理を行わず、次の代表点について上記のステップS142の処理を行う。
【0148】
一方、ある代表点について、見通しが有ると判定された基地局の設置候補位置が1つのみである場合(ステップS142・NO)、3次元見通し判定部42は、当該代表点と見通しが有ると判定された唯一の基地局設置候補位置と、当該基地局と、の間について、点群データに基づく見通し判定処理を行う(ステップS143)。
【0149】
次に、3次元見通し判定部42は、点群データに基づく見通し判定の判定結果を、記憶部30に記憶された判定可否リスト304を更新することによって記録する(ステップS144)。なお、3次元見通し判定部42は、点群データに基づく見通し判定の判定結果を記録した基地局設置候補位置と代表点との組み合わせを、地図情報に基づく見通し判定によって見通しが有ると判定された組み合わせのリストから削除するようにしてもよい。
【0150】
そして、地図情報に基づく見通し判定によって見通しが有ると判定された、基地局設置候補位置と代表点との組み合わせの個数に相当する回数だけ上記ステップS142~ステップS144の処理が繰り返された場合、
図4のフローチャートが示す置局・エリア設計支援装置1の動作が終了する。
【0151】
以下、エリア最大化を図る置局・エリア設計を行う場合における判定可否リスト304の更新の一例について説明する。
図5~11は、エリア最大化を図る置局・エリア設計を行う場合における判定可否リスト304の更新の一例を示す図である。
【0152】
以下、前述の
図3に例示される評価対象エリア内の基地局設置候補位置及び網目ごとの見通し判定の結果を用いて説明する。
【0153】
図5には、地図情報に基づく見通し判定によって見通しが有ると判定された基地局設置候補位置と代表点との組み合わせのリストが示されている。
図3及び
図5に示されるように、地図情報に基づく見通し判定によって、基地局設置候補位置Aと見通しが有ると判定された代表点は、(1),(2),(3),(4),(5)及び(6)の符号がそれぞれ記載された6つの代表点である。また、地図情報に基づく見通し判定によって、基地局設置候補位置Bと見通しが有ると判定された代表点は、(2),(3),(4),(5)及び(7)の符号がそれぞれ記載された5つの代表点である。また、地図情報に基づく見通し判定によって、基地局設置候補位置Cと見通しが有ると判定された代表点は、(6),(8),(10)及び(12)の符号がそれぞれ記載された4つの代表点である。また、地図情報に基づく見通し判定によって、基地局設置候補位置Dと見通しが有ると判定された代表点は、(8),(9),(10),(11)及び(13)の符号がそれぞれ記載された5つの代表点である。また、地図情報に基づく見通し判定によって、基地局設置候補位置Eと見通しが有ると判定された代表点は、(13)及び(14)の符号がそれぞれ記載された2つの代表点である。
【0154】
前述の通り、エリア最大化を図る置局・エリア設計を行う場合、地図見通し判定部41は、地図情報に基づく見通し判定によって少なくとも1つの基地局設置候補位置との間で見通しが有ると判定された代表点のうち、ただ1つの基地局設置候補位置との間のみで見通しが有ると判定された代表点を特定する。
【0155】
図3に示される例においては、地図情報に基づく見通し判定によって、ただ1つの基地局設置候補位置との間のみで見通しが有ると判定された代表点は、(1),(7),(9),(11),(12)及び(14)の符号が記載された代表点である。
【0156】
地図見通し判定部41は、これら6つの代表点と、それぞれの代表点と(地図情報に基づく見通し判定によって)見通しが有ると判定された基地局設置候補位置と、の組み合わせをリストに記録する。そして、3次元見通し判定部42は、当該リストに追加された基地局設置候補位置と代表点との組み合わせについて、点群データに基づく見通し判定を行う。3次元見通し判定部42は、点群データに基づく見通し判定の結果をリストに記録する。
【0157】
図6には、エリア最大化を図る置局・エリア設計において、ただ1つの基地局設置候補位置との間のみで見通しが有ると判定された代表点と、それぞれの代表点と(地図情報に基づく見通し判定によって)見通しが有ると判定された基地局設置候補位置と、の組み合わせのリストが示されている。
【0158】
図6に示されるように、エリア最大化を図る置局・エリア設計において、リストには、まず、(1)の符号が記載された代表点と基地局設置候補位置Aとの組み合わせ、(7)の符号が記載された代表点と基地局設置候補位置Bとの組み合わせ、(9)の符号が記載された代表点と基地局設置候補位置Dとの組み合わせ、(11)の符号が記載された代表点と基地局設置候補位置Dとの組み合わせ、(12)の符号が記載された代表点と基地局設置候補位置Cとの組み合わせ、及び(14)の符号が記載された代表点と基地局設置候補位置Eとの組み合わせが記録される。
【0159】
更に、
図6に例示されるリストには、上記組み合わせについて行われた、点群データに基づく見通し判定の結果がそれぞれ示されている。
図6に示されるように、(1)の符号が記載された代表点と基地局設置候補位置Aとの組み合わせ、(9)の符号が記載された代表点と基地局設置候補位置Dとの組み合わせ、及び(11)の符号が記載された代表点と基地局設置候補位置Dとの組み合わせについてそれぞれ行われた、点群データに基づく見通し判定の結果は「見通し有り」である。一方、(7)の符号が記載された代表点と基地局設置候補位置Bとの組み合わせ、(12)の符号が記載された代表点と基地局設置候補位置Cとの組み合わせ、及び(14)の符号が記載された代表点と基地局設置候補位置Eとの組み合わせについてそれぞれ行われた、点群データに基づく見通し判定の結果は「見通し無し」である。
【0160】
地図見通し判定部41は、点群データに基づく見通し判定が完了した基地局設置候補位置と代表点との組み合わせを、前述の
図5に示される地図情報に基づく見通し判定によって見通しが有ると判定された基地局設置候補位置と代表点との組み合わせのリストから削除する。
【0161】
図7には、点群データに基づく見通し判定が完了した基地局設置候補位置と代表点との組み合わせが削除された後の、地図情報に基づく見通し判定によって見通しが有ると判定された基地局設置候補位置と代表点との組み合わせのリストが示されている。すなわち、
図5に示されるリストが、
図7に示されるリストのように更新される。
【0162】
図7に示されるように、更新後のリストでは、地図情報に基づく見通し判定によって、ただ1つの基地局設置候補位置との間のみで見通しが有ると判定された、(1),(7),(9),(11),(12)及び(14)の符号が記載された代表点が削除されている。更新後のリストにおいては、地図情報に基づく見通し判定によって、基地局設置候補位置Aと見通しが有ると判定された代表点は、(2),(3),(4),(5)及び(6)の符号がそれぞれ記載された5つの代表点である。また、地図情報に基づく見通し判定によって、基地局設置候補位置Bと見通しが有ると判定された代表点は、(2),(3),(4)及び(5)の符号がそれぞれ記載された4つの代表点である。また、地図情報に基づく見通し判定によって、基地局設置候補位置Cと見通しが有ると判定された代表点は、(6),(8)及び(10)の符号がそれぞれ記載された3つの代表点である。また、地図情報に基づく見通し判定によって、基地局設置候補位置Dと見通しが有ると判定された代表点は、(8),(10)及び(13)の符号がそれぞれ記載された3つの代表点である。また、地図情報に基づく見通し判定によって、基地局設置候補位置Eと見通しが有ると判定された代表点は、(13)の符号が記載された1つの代表点である。
【0163】
前述の通り、エリア最大化を図る置局・エリア設計においては、地図見通し判定部41は、まず初めに、上記のように、地図情報に基づく見通し判定によって、ただ1つの基地局設置候補位置との間のみで見通しが有ると判定された代表点を特定する。3次元見通し判定部42は、当該基地局設置候補位置と特定された代表点との間について、点群データに基づく見通し判定処理を行う。そして、それ以降については、地図見通し判定部41は、地図情報に基づく見通し判定によって見通しが有ると判定された代表点をより多く有する基地局設置候補位置から順に選択していく。
【0164】
3次元見通し判定部42は、選択された基地局設置候補位置と、当該基地局設置候補位置との間で(地図情報に基づく見通し判定によって)見通しが有ると判定された代表点との間について、点群データに基づく見通し判定処理を行う。
【0165】
図7に示されるように、地図情報に基づく見通し判定によって見通しが有ると判定された代表点をより多く有する基地局設置候補位置は、5つの代表点との間で見通しが有ると判定された基地局設置候補位置Aである。したがって、地図見通し判定部41は、基地局設置候補位置Aを選択する。
【0166】
地図見通し判定部41は、選択された基地局設置候補位置Aと上記5つの代表点との組み合わせを示す情報を、
図6に示されるリストに追加する。そして、3次元見通し判定部42は、当該リストに追加された基地局設置候補位置と代表点との組み合わせについて、点群データに基づく見通し判定を行う。3次元見通し判定部42は、点群データに基づく見通し判定の結果をリストに記録する。
【0167】
図8には、基地局設置候補位置Aと上記5つの代表点との組み合わせを示す情報、及び当該組み合わせごとの点群データに基づく見通し判定の結果を示す情報が新たに追加されたリストが示されている。
【0168】
図8に示されるように、新たに追加された、(2)の符号が記載された代表点と基地局設置候補位置Aとの組み合わせ、(3)の符号が記載された代表点と基地局設置候補位置Aとの組み合わせ、(5)の符号が記載された代表点と基地局設置候補位置Aとの組み合わせ、及び(6)の符号が記載された代表点と基地局設置候補位置Aとの組み合わせについてそれぞれ行われた、点群データに基づく見通し判定の結果は「見通し有り」である。一方、(4)の符号が記載された代表点と基地局設置候補位置Aとの組み合わせについて行われた、点群データに基づく見通し判定の結果は「見通し無し」である。
【0169】
地図見通し判定部41は、点群データに基づく見通し判定が完了した基地局設置候補位置Aと各代表点との組み合わせを、前述の
図7に示される地図情報に基づく見通し判定によって見通しが有ると判定された基地局設置候補位置と代表点との組み合わせのリストから削除する。
【0170】
図9には、点群データに基づく見通し判定が完了した基地局設置候補位置Aと代表点との組み合わせが削除された後の、地図情報に基づく見通し判定によって見通しが有ると判定された基地局設置候補位置と代表点との組み合わせのリストが示されている。すなわち、
図7に示されるリストが、
図9に示されるリストのように更新される。
【0171】
図9に示されるように、更新後のリストでは、基地局設置候補位置Aと代表点との組み合わせが削除されている。また、更新後のリストでは、地図情報に基づく見通し判定によって、基地局設置候補位置Aとの間で見通しが有ると判定された、(2),(3),(4),(5)及び(6)の符号が記載された代表点が削除されている。これにより、更新後のリストにおいては、地図情報に基づく見通し判定によって、基地局設置候補位置Bと見通しが有ると判定された代表点は、全て無くなっている。また、地図情報に基づく見通し判定によって、基地局設置候補位置Cと見通しが有ると判定された代表点は、(8)及び(10)の符号がそれぞれ記載された2つの代表点である。また、地図情報に基づく見通し判定によって、基地局設置候補位置Dと見通しが有ると判定された代表点は、(8),(10)及び(13)の符号がそれぞれ記載された3つの代表点のままである。また、地図情報に基づく見通し判定によって、基地局設置候補位置Eと見通しが有ると判定された代表点は、(13)の符号が記載された1つの代表点のままである。
【0172】
図9に示されるように、地図情報に基づく見通し判定によって見通しが有ると判定された代表点をより多く有する基地局設置候補位置は、3つの代表点と見通しが有ると判定された基地局設置候補位置Dである。したがって、次に、地図見通し判定部41は、基地局設置候補位置Dを選択する。
【0173】
地図見通し判定部41は、選択された基地局設置候補位置Dと上記3つの代表点との組み合わせを示す情報を、
図8に示されるリストに追加する。そして、3次元見通し判定部42は、当該リストに追加された基地局設置候補位置と代表点との組み合わせについて、点群データに基づく見通し判定を行う。3次元見通し判定部42は、点群データに基づく見通し判定の結果をリストに記録する。
【0174】
図10には、基地局設置候補位置Dと上記3つの代表点との組み合わせを示す情報、及び当該組み合わせごとの点群データに基づく見通し判定の結果を示す情報が新たに追加されたリストが示されている。
【0175】
図10に示されるように、新たに追加された、(8)の符号が記載された代表点と基地局設置候補位置Dとの組み合わせ、(10)の符号が記載された代表点と基地局設置候補位置Dとの組み合わせ、及び(13)の符号が記載された代表点と基地局設置候補位置Dとの組み合わせについて行われた、点群データに基づく見通し判定の結果は「見通し有り」である。
【0176】
地図見通し判定部41は、点群データに基づく見通し判定が完了した基地局設置候補位置Dと各代表点との組み合わせを、前述の
図9に示される地図情報に基づく見通し判定によって見通しが有ると判定された基地局設置候補位置と代表点との組み合わせのリストから削除する。
【0177】
図11には、点群データに基づく見通し判定が完了した基地局設置候補位置Dと代表点との組み合わせが削除された後の、地図情報に基づく見通し判定によって見通しが有ると判定された基地局設置候補位置と代表点との組み合わせのリストが示されている。すなわち、
図9に示されるリストが、
図11に示されるリストのように更新される。
【0178】
図11に示されるように、更新後のリストでは、基地局設置候補位置Dと代表点との組み合わせが削除されている。また、更新後のリストでは、地図情報に基づく見通し判定によって、基地局設置候補位置Dとの間で見通しが有ると判定された、(8),(10)及び(13)の符号が記載された代表点が削除されている。これにより、更新後のリストにおいては、地図情報に基づく見通し判定によって、基地局設置候補位置Cと見通しが有ると判定された代表点は、全て無くなっている。また、地図情報に基づく見通し判定によって、基地局設置候補位置Eと見通しが有ると判定された代表点も同様に、全て無くなっている。
【0179】
図11に示されるように、更新後のリストにおいては、基地局設置候補位置と代表点との全ての組み合わせが削除されている。すなわち、地図情報に基づく見通し判定により少なくとも1つの基地局候補位置との間で見通しが有ると判定された代表点の全てについて、点群データに基づく見通し判定処理が行われたことになる。
【0180】
このように、
図3に例示された評価対象エリアに対してエリア最大化を図る置局・エリア設計を行った場合、基地局設置候補位置A~Eの全てに基地局を設置することで、
図10に示されるように、(1),(2),(3),(5),(6),(8),(9),(10),(11)及び(13)の符号がそれぞれ記載された10個の代表点をそれぞれ有する網目の範囲を端末局の通信可能エリアとすることができる、という置局・エリア設計結果情報305が得られる。
【0181】
ここまで、エリア最大化を目的とした置局・エリア設計の具体例について、
図5~
図11を挙げ、基地局候補位置と代表点との組み合わせの一部に対して、3次元の点群データを活用した見通し判定までを実施した状況の一例を示した(
図6,
図8及び
図10)。しかしながら、前述の
図2に示されるフローチャートにおける速度優先の見通し判定(ステップS16)や精度優先の見通し判定(ステップS17)において、3次元の点群データを活用した見通し判定を全ての組合せに対して実行することもできる。この場合、
図6,
図8及び
図10における3次元の点群データに基づく見通し判定結果の欄を無くしても(地図情報に基づく見通し判定のみで)対処することができる。
【0182】
以下、収容効率化を図る置局・エリア設計を行う場合における判定可否リスト304の更新の一例について説明する。
図12~17は、収容効率化を図る置局・エリア設計を行う場合における判定可否リスト304の更新の一例を示す図である。
【0183】
以下、前述の
図3に例示される評価対象エリア内の基地局設置候補位置及び網目ごとの見通し判定の結果を用いて説明する。
【0184】
前述の通り、
図5には、地図情報に基づく見通し判定によって見通しが有ると判定された基地局設置候補位置と代表点との組み合わせのリストが示されている。また、収容効率化を図る置局・エリア設計においては、地図見通し判定部41は、地図情報に基づく見通し判定によって見通しが有ると判定された代表点をより多く有する基地局設置候補位置から順に選択していく。3次元見通し判定部42は、選択された基地局設置候補位置と、当該基地局設置候補位置との間で(地図情報に基づく見通し判定によって)見通しが有ると判定された代表点との間について、点群データに基づく見通し判定処理を行う。
【0185】
そして、地図見通し判定部41は、地図情報に基づく見通し判定によって、少なくとも1つの基地局設置候補位置との間で見通しが有ると判定された代表点のうち、点群データに基づく見通し判定の対象として選択された代表点の割合が、予め定められた割合に達した際に、後段の3次元の点群データに基づく見通し判定処理において用いられる基地局設置候補位置を選択する上記の処理を終了する。
【0186】
図5に示されるように、地図情報に基づく見通し判定によって見通しが有ると判定された代表点をより多く有する基地局設置候補位置は、6つの代表点と見通しが有ると判定された基地局設置候補位置Aである。したがって、地図見通し判定部41は、基地局設置候補位置Aを選択する。
【0187】
地図見通し判定部41は、基地局設置候補位置Aと上記6つの代表点との組み合わせを示す情報をリストに記録する。そして、3次元見通し判定部42は、当該リストに記録された基地局設置候補位置と代表点との組み合わせについて、点群データに基づく見通し判定を行う。3次元見通し判定部42は、点群データに基づく見通し判定の結果をリストに記録する。
【0188】
図12には、基地局設置候補位置Aと上記6つの代表点との組み合わせを示す情報、及び当該組み合わせごとの点群データに基づく見通し判定の結果を示す情報が記録されたリストが示されている。
【0189】
図12に示されるように、(1)の符号が記載された代表点と基地局設置候補位置Aとの組み合わせ、(2)の符号が記載された代表点と基地局設置候補位置Aとの組み合わせ、(3)の符号が記載された代表点と基地局設置候補位置Aとの組み合わせ、(5)の符号が記載された代表点と基地局設置候補位置Aとの組み合わせ、及び(6)の符号が記載された代表点と基地局設置候補位置Aとの組み合わせについてそれぞれ行われた、点群データに基づく見通し判定の結果は「見通し有り」である。一方、(4)の符号が記載された代表点と基地局設置候補位置Aとの組み合わせについて行われた、点群データに基づく見通し判定の結果は「見通し無し」である。
【0190】
地図見通し判定部41は、点群データに基づく見通し判定が完了した基地局設置候補位置Aと各代表点との組み合わせを、前述の
図5に示される地図情報に基づく見通し判定によって見通しが有ると判定された基地局設置候補位置と代表点との組み合わせのリストから削除する。
【0191】
図13には、点群データに基づく見通し判定が完了した基地局設置候補位置Aと代表点との組み合わせが削除された後の、地図情報に基づく見通し判定によって見通しが有ると判定された基地局設置候補位置と代表点との組み合わせのリストが示されている。すなわち、
図5に示されるリストが、
図13に示されるリストのように更新される。
【0192】
図13に示されるように、更新後のリストでは、基地局設置候補位置Aと代表点との組み合わせが削除されている。また、更新後のリストでは、地図情報に基づく見通し判定によって、基地局設置候補位置Aとの間で見通しが有ると判定された、(1),(2),(3),(4),(5)及び(6)の符号が記載された代表点が削除されている。これにより、更新後のリストにおいては、地図情報に基づく見通し判定によって、基地局設置候補位置Bと見通しが有ると判定された代表点は、(7)の符号が記載された1つの代表点である。また、地図情報に基づく見通し判定によって、基地局設置候補位置Cと見通しが有ると判定された代表点は、(8),(10)及び(12)の符号がそれぞれ記載された3つの代表点である。また、地図情報に基づく見通し判定によって、基地局設置候補位置Dと見通しが有ると判定された代表点は、(8),(9),(10),(11)及び(13)の符号がそれぞれ記載された5つの代表点のままである。また、地図情報に基づく見通し判定によって、基地局設置候補位置Eと見通しが有ると判定された代表点は、(13)及び(14)の符号がそれぞれ記載された2つの代表点のままである。
【0193】
図13に示されるように、地図情報に基づく見通し判定によって見通しが有ると判定された代表点をより多く有する基地局設置候補位置は、5つの代表点と見通しが有ると判定された基地局設置候補位置Dである。したがって、地図見通し判定部41は、基地局設置候補位置Dを選択する。
【0194】
地図見通し判定部41は、選択された基地局設置候補位置Dと上記5つの代表点との組み合わせを示す情報を、
図12に示されるリストに追加する。そして、3次元見通し判定部42は、当該リストに追加された基地局設置候補位置と代表点との組み合わせについて、点群データに基づく見通し判定を行う。3次元見通し判定部42は、点群データに基づく見通し判定の結果をリストに記録する。
【0195】
図14には、基地局設置候補位置Dと上記5つの代表点との組み合わせを示す情報、及び当該組み合わせごとの点群データに基づく見通し判定の結果を示す情報が新たに追加されたリストが示されている。
【0196】
図14に示されるように、新たに追加された、(8)の符号が記載された代表点と基地局設置候補位置Dとの組み合わせ、(9)の符号が記載された代表点と基地局設置候補位置Dとの組み合わせ、(10)の符号が記載された代表点と基地局設置候補位置Dとの組み合わせ、(11)の符号が記載された代表点と基地局設置候補位置Dとの組み合わせ、及び(13)の符号が記載された代表点と基地局設置候補位置Dとの組み合わせについてそれぞれ行われた、点群データに基づく見通し判定の結果は「見通し有り」である。
【0197】
地図見通し判定部41は、点群データに基づく見通し判定が完了した基地局設置候補位置Dと各代表点との組み合わせを、前述の
図13に示される地図情報に基づく見通し判定によって見通しが有ると判定された基地局設置候補位置と代表点との組み合わせのリストから削除する。
【0198】
図15には、点群データに基づく見通し判定が完了した基地局設置候補位置Dと代表点との組み合わせが削除された後の、地図情報に基づく見通し判定によって見通しが有ると判定された基地局設置候補位置と代表点との組み合わせのリストが示されている。すなわち、
図13に示されるリストが、
図15に示されるリストのように更新される。
【0199】
図15に示されるように、更新後のリストでは、基地局設置候補位置Dと代表点との組み合わせが削除されている。また、更新後のリストでは、地図情報に基づく見通し判定によって、基地局設置候補位置Dとの間で見通しが有ると判定された、(8),(9),(10),(11)及び(13)の符号が記載された代表点が削除されている。これにより、更新後のリストにおいては、地図情報に基づく見通し判定によって、基地局設置候補位置Bと見通しが有ると判定された代表点は、(7)の符号が記載された1つの代表点である。また、地図情報に基づく見通し判定によって、基地局設置候補位置Cと見通しが有ると判定された代表点は、(12)の符号が記載された1つの代表点である。地図情報に基づく見通し判定によって、基地局設置候補位置Eと見通しが有ると判定された代表点は、(14)の符号が記載された1つの代表点である。
【0200】
図15に示されるように、地図情報に基づく見通し判定によって見通しが有ると判定された代表点をより多く有する基地局設置候補位置は、いずれも1つの代表点と見通しが有ると判定された基地局設置候補位置B,C及びEである。したがって、地図見通し判定部41は、任意に基地局設置候補位置を1つ選択する。ここでは、地図見通し判定部41は、基地局設置候補位置Bを選択するものとする。なお、地図見通し判定部41は、基地局設置候補位置C又はEを選択してもよい。
【0201】
地図見通し判定部41は、選択された基地局設置候補位置Bと上記1つの代表点との組み合わせを示す情報を、
図14に示されるリストに追加する。そして、3次元見通し判定部42は、当該リストに追加された基地局設置候補位置と代表点との組み合わせについて、点群データに基づく見通し判定を行う。3次元見通し判定部42は、点群データに基づく見通し判定の結果をリストに記録する。
【0202】
図16には、基地局設置候補位置Bと上記1つの代表点との組み合わせを示す情報、及び当該組み合わせごとの点群データに基づく見通し判定の結果を示す情報が新たに追加されたリストが示されている。
【0203】
図16に示されるように、新たに追加された、(7)の符号が記載された代表点と基地局設置候補位置Bとの組み合わせについて行われた、点群データに基づく見通し判定の結果は「見通し無し」である。
【0204】
地図見通し判定部41は、点群データに基づく見通し判定が完了した基地局設置候補位置Bと(7)の符号が記載された代表点との組み合わせを、前述の
図15に示される地図情報に基づく見通し判定によって見通しが有ると判定された基地局設置候補位置と代表点との組み合わせのリストから削除する。
【0205】
図17には、点群データに基づく見通し判定が完了した基地局設置候補位置Bと(7)の符号が記載された代表点との組み合わせが削除された後の、地図情報に基づく見通し判定によって見通しが有ると判定された基地局設置候補位置と代表点との組み合わせのリストが示されている。すなわち、
図15に示されるリストが、
図17に示されるリストのように更新される。
【0206】
図17に示されるように、更新後のリストでは、基地局設置候補位置Bと(7)の符号が記載された代表点との組み合わせが削除されている。更新後のリストにおいては、地図情報に基づく見通し判定によって、基地局設置候補位置Cと見通しが有ると判定された代表点は、(12)の符号が記載された1つの代表点のままである。また、地図情報に基づく見通し判定によって、基地局設置候補位置Eと見通しが有ると判定された代表点は、(14)の符号が記載された1つの代表点のままである。
【0207】
基地局設置候補位置A,D及びBが選択された時点において、いずれかの基地局候補位置との間で点群データに基づく見通し判定がなされた代表点は、
図16に示されるように(1),(2),(3),(4),(5),(6),(7),(8),(9),(10),(11)及び(13)の符号がそれぞれ記載された代表点であり、その個数は12個である。また、地図情報に基づく見通し判定によって、評価対象エリア内の全ての基地局設置候補位置(すなわち、基地局設置候補位置A~E)のうち少なくとも1つとの間で見通しが有ると判定された代表点の総数は、
図3に示されるように14個である。
【0208】
したがって、この総数に対する、基地局設置候補位置A,D及びBのうち、いずれかの基地局候補位置との間で点群データに基づく見通し判定がなされた代表点の個数が占める割合は、およそ86[%](=12/14)となる。ここで、予め定められた割合が80[%]であるとした場合、上記の割合は予め定められた割合に達していることから、地図見通し判定部41は、基地局設置候補位置A,D及びBの3つが選択された時点で、3次元の点群データに基づく見通し判定処理において用いられる基地局設置候補位置を選択する上記の処理を終了する。
【0209】
このように、
図3に例示された評価対象エリアに対して収容効率化を図る置局・エリア設計を行った場合、基地局設置候補位置A,D及びBの3箇所に基地局を設置することで、地図情報に基づく見通し判定により見通しが有ると判定された代表点を含む網目の範囲のうち、予め定められた割合である80[%]以上の範囲を点群データに基づく見通し判定の対象エリアとすることができる、という置局・エリア設計結果情報305が得られる。すなわち、エリア最大化を図る置局・エリア設計を行った場合と比べて、収容効率化を図る置局・エリア設計を行った場合には、設置される基地局数の増大を抑えつつ、通信可能エリアを比較的広くすることができる。
【0210】
ここまで、収容効率化を目的とした置局・エリア設計の具体例について、
図12~
図17を挙げ、基地局候補位置と代表点の組み合わせについて、3次元の点群データを活用した見通し判定までを実施した状況の一例を示した。しかしながら、エリア最大化を目的とした置局・エリア設計の説明において述べたことと同様に、
図12,
図14及び
図16における3次元の点群データに基づく見通し判定結果が無くても(地図情報による見通し判定のみで)対処することができる。その際は、置局・エリア設計支援装置1の動作全体のフローチャート(
図2)における後段の処理にて、3次元の点群データに基づく見通し判定がなされる。
【0211】
以下、
図4に示されるフローチャートのステップS143の見通し判定処理を、さらに詳しく説明する。
図18は、本発明の第1の実施形態における置局・エリア設計支援装置1の見通し判定処理における動作の一例を示すフローチャートである。
【0212】
まず、3次元見通し判定部42は、点群データに基づく見通し判定の対象とされる基地局設置候補位置と代表点との間において取得されている点群データの個数を取得する(ステップS1431)。
【0213】
ステップS1431において取得された点群データの個数が所定の閾値以下である場合(ステップS1432・YES)、基地局設置候補位置と代表点との間に存在する遮蔽物が存在しないと考えられることから、3次元見通し判定部42は、点群データに基づく見通し判定の結果を「見通し有り」とする(ステップS1436)。
【0214】
一方、ステップS1431において取得された点群データの個数が所定の閾値より多い場合(ステップS1432・NO)、3次元見通し判定部42は、基地局設置候補位置と代表点との間について、さらに遮蔽率を考慮した見通し判定を行う(ステップS1433)。
【0215】
ここでいう遮蔽率を考慮した見通し判定とは、例えば、基地局候補位置に基地局が設置され、代表点に移動局が存在する場合に、両局の間で形成されるフレネルゾーンの遮蔽率に基づく見通し判定である。フレネルゾーンの遮蔽率の算出方法については、後述される。
【0216】
ステップS1434の遮蔽率を考慮した見通し判定において算出された遮蔽率が所定の閾値以下である場合(ステップS1434・YES)、基地局設置候補位置と代表点との間に存在する遮蔽物は少ない(あるいは小さい)と考えられることから、3次元見通し判定部42は、点群データに基づく見通し判定の結果を「見通し有り」とする(ステップS1436)。
【0217】
一方、ステップS1433の遮蔽率を考慮した見通し判定において算出された遮蔽率が所定の閾値より高い場合(ステップS1434・NO)、3次元見通し判定部42は、点群データに基づく見通し判定の結果を「見通し無し」とする(ステップS1435)。以上で、
図18のフローチャートが示す置局・エリア設計支援装置1の動作が終了する。
【0218】
なお、本実施形態では、MMS等によって収集される3次元の点群データにより見通し判定が行われるものとしたが、これに限られるものではない。地図情報より情報量が多いデータであるならば、遮蔽物の位置を示すその他のデータが用いられてもよい。この場合、MMSの車両等の走行軌跡がない市中データでも、遮蔽率を考慮した見通し判定が可能である。
【0219】
[フレネルゾーンの遮蔽率の算出方法]
以下、フレネルゾーンの遮蔽率の算出方法の一例について説明する。3次元見通し判定部42は、基地局と端末局との間で形成されるフレネルゾーンの(すなわち、基地局設置候補位置と各網目の代表点との間にフレネルゾーンが形成された場合における)遮蔽率を算出するため、点群データ303を活用して実行し、通信可否を判定する。3次元見通し判定部42は、例えば、遮蔽率が所定の閾値より高ければ通信が不可能であると判定し、遮蔽率が所定の閾値以下であるならば通信が可能であると判定する。
【0220】
実際の電磁波は、対向する2つの無線局間を結ぶ直線的な経路のみを伝搬していくのではなく、フレネルゾーンと呼ばれる楕円形の経路領域内を伝搬していく。そのため、対向する2つの無線局間の見通しの有無の判定をより精度高く行うためには、フレネルゾーン内に存在する遮蔽物による影響を考慮した上で、見通しの有無を判定する必要がある。ミリ波帯におけるフレネルゾーンのフレネルゾーン半径は、例えば60[GHz]帯の電磁波を用いて50[m]の距離を伝送する場合において、最大で25[cm]程度である。
【0221】
基地局設置候補位置と代表点とを結ぶ一直線上の見通しが無い場合であっても、さらにフレネルゾーンの遮蔽率を考慮して見通しの有無を判定することによって、より正確に見通し判定を行うことができる。これにより、置局・エリア設計支援装置1は、より広い通信可能エリアを提示することができる。
【0222】
図19は、フレネルゾーンfzを考慮した通信可否の判定の様子を示す図である。
図19には、電柱pに設置された基地局bsと、端末局tsとが示されている。また、
図19には、基地局bsと端末局tsとの間で形成されるフレネルゾーンfzが示されている。また、
図19には、フレネルゾーンfzの3つの断面(断面cs1、断面cs2、及び断面cs3)が示されている。断面cs1、断面cs2、及び断面cs3は、基地局bsと端末局tsとを結ぶ直線に対して直交する面である。この場合、
図19に示されるように、断面cs1、断面cs2、及び断面cs3の形状は、円形となる。断面cs1、断面cs2、及び断面cs3の半径は、それぞれr
1、r
2、及びr
3である。
【0223】
フレネルゾーンfzの範囲内に遮蔽物が存在する場合、フレネルゾーンfzの断面には点群データが存在する。例えば、
図19に示されるように、断面cs1には、点群データの領域である領域sh1-1が存在する。また、断面cs2には、前述した領域sh1-1が投影された領域sh1-2、及び点群データの領域である領域sh2-2が存在する。また、断面cs3には、前述した領域sh1-2が更に投影された領域sh1-3、同様に前述した領域sh2-2が更に投影された領域sh2-3、及び点群データの領域である領域sh3-3が存在する。
【0224】
以上の点から、
図19に示されるフレネルゾーンfzの範囲内には、例えば、住戸及びビル等の建物(建築物)、住宅の塀及び高架道路等の構造物、道路標識及び看板等の工作物、街路樹及び庭木等の植物、及び隆起した地面等の、電波の伝搬を遮断しうる遮蔽物が存在する可能性がある。なお、端末局tsは、
図19においては建物に設置されているが、本実施形態のように端末局が移動端末であっても同様である。
【0225】
3次元見通し判定部42は、例えば、フレネルゾーンfzの複数の断面を重ね合わせる。そして、3次元見通し判定部42は、重ね合わされた断面の面積のうち、点群データの領域が示す割合を遮蔽率として算出する。3次元見通し判定部42は、算出された遮蔽率を所定の閾値と比較することにより、基地局bsと端末局tsとの間の通信可否を判定する。あるいは、3次元見通し判定部42は、重ね合わされた断面に基づいて、基地局bsと端末局tsとの間の見通しの有無を判定することにより、基地局bsと端末局tsとの間の通信可否を判定する。
【0226】
なお、上記の実施形態において、基地局と端末局とが行う無線通信として、ミリ波無線を一例として示していたが、ミリ波無線通信以外の地上波デジタル通信、衛星電波による通信、UHF(Ultra High Frequency)を用いた通信であってもよい。
【0227】
以上説明したように、本実施形態における置局・エリア設計支援装置1によれば、エリア最大化を図る置局・エリア設計と収容効率化を図る置局・エリア設計とを、使い分けることが可能になる。
【0228】
本実施形態における置局・エリア設計支援装置1は、主にミリ波を用いて市街地をサービスエリアとしてカバーする無線通信システム(とくに移動通信システム)の置局設計に適用可能である。従来のミリ波帯置局設計方法においては、距離減衰及び遮蔽減衰が激しいミリ波帯の特性を考慮し、一般的に、市街地で通信を成立させることが可能な位置に基地局を設置するという考え方がとられてきた。
【0229】
しかしながら、基地局を設置する主体となる事業者やユーザのニーズは1つではなく、端末局を収容可能なエリアを最大化させるように置局・エリア設計を行う方法であるエリア最大化と、より少ない基地局数でありながら端末局を収容可能なエリアを比較的広くさせることによって効率的な置局・エリア設計を行う収容効率化が考えられる。
【0230】
例えば、市街地においては端末局を収容可能なエリアを最大化させたいというニーズがあったり、郊外や地方においてはより少ない基地局数でありながら端末局を収容可能なエリアを比較的広くさせたというニーズがあったりする。この2種類のニーズは類似しているものの、厳密には得るべき置局結果が異なる場合がある。そのため、ニーズと異なる置局・エリア設計の方法が用いられた場合には、基地局を設置する主体となる事業者やユーザのニーズに応えていないことになる。
【0231】
本実施形態における置局・エリア設計支援装置1は、
図3及び
図4に示されるように、エリア最大化を図る置局・エリア設計を行う場合には、「地図情報に基づく見通し判定によって、ただ1つの基地局設置候補位置との間のみで見通しが有ると判定された代表点を特定し、当該基地局設置候補位置と当該代表点との組み合わせを、後段の3次元の点群データに基づく見通し判定処理の対象とする」処理を優先して行い、収容効率化を図る置局・エリア設計を行う場合には当該処理を省略する、という軽微なアルゴリズムの切り替えのみで、ユーザニーズに合わせて置局・エリア設計を行うようにすることができる。
【0232】
<第2の実施形態>
前述の第1の実施形態おける置局・エリア設計支援装置1では、置局・エリア設計における設計方法として、「エリア最大化」又は「収容効率化」を選択する構成であった。前述の通り、エリア最大化は、端末局を収容可能なエリア(通信可能エリア)を最大化させるように置局・エリア設計を行う方法であり、収容効率化は、より少ない基地局数でありながら端末局を収容可能なエリアを比較的広くさせることによって効率的な置局・エリア設計を行う方法である。
【0233】
以下に説明する第2の実施形態おける置局・エリア設計支援装置1では、置局・エリア設計における設計方法として、上記の「エリア最大化」,「収容効率化」の他、「平均化」も含めた、3つの設計方法のうちいずれかを選択可能な構成である。
【0234】
平均化とは、評価対象エリアを複数の基地局でカバーする際に、1つの基地局が端末局を収容可能な範囲の広さ(すなわち、各々の基地局設置候補位置に対応する代表点の数)をなるべく等しくするように置局・エリア設計を行う方法である。
【0235】
本実施形態における置局・エリア設計支援装置1の機能構成は、前述の
図1にブロック図で示されている第1の実施形態における置局・エリア設計支援装置1の機能構成と基本的に同様であるため、説明を省略する。
【0236】
[置局・エリア設計支援装置の動作]
以下、置局・エリア設計支援装置1の動作の一例について説明する。
図20は、本発明の第2の実施形態における置局・エリア設計支援装置1の動作を示すフローチャートである。
【0237】
図20に示されるフローチャートが、前述の
図2に示される第1の実施形態における置局・エリア設計支援装置1の動作を示すフローチャートと異なる点は、ステップS13及びステップS14の動作と平行して、更に、平均化処理を行うか否かを判定する動作であるステップS23の動作及び平均化処理を実行する動作であるステップS24の動作が追加されている点である。以下、
図2に示されるフローチャートと異なる点のみについて説明する。
【0238】
設計方法指定部203によって「エリア最大化」が指定されていない場合(ステップS13・NO)、すなわち「収容効率化」又は「平均化」が指定されている場合、ステップS23の動作に移る。
【0239】
設計方法指定部203によって「平均化」が指定された場合(ステップS23・YES)、地図見通し判定部41は、以下のステップS24の処理を実行する。一方、設計方法指定部203によって「平均化」が指定されていない場合(ステップS23・NO)、すなわち「収容効率化」が指定されている場合、地図見通し判定部41は、以下のステップS24の処理の実行を省略する。
【0240】
地図見通し判定部41は、1つの基地局設置候補位置がカバーする代表点の個数をなるべく等しくするように置局・エリア設計を行う平均化処理を行う(ステップS24)。なお、このステップS24の詳細については、以下に具体例を挙げながら詳しく説明する。
【0241】
以下、平均化における処理の流れについて説明する。
図21は、本発明の第2の実施形態における置局・エリア設計支援装置1の平均化における動作を示すフローチャートである。
図21のフローチャートが示す置局・エリア設計支援装置1の動作は、前述の
図20に示されるステップS24の動作を詳細化したものである。
【0242】
図21に示されるように、ステップS242からステップS243までの処理は、地図情報に基づく見通し判定によって見通しが有ると判定された組み合わせの個数に相当する回数だけ繰り返し行われる(ステップS241)。
【0243】
まず、地図見通し判定部41は、地図情報に基づく見通し判定によって見通しが有ると判定された基地局の設置候補位置と網目の代表点との組み合わせに含まれる代表点のうち、ある代表点について、見通しが有ると判定された基地局の設置候補位置が複数あるか否かを確認する(ステップS242)。
【0244】
ある代表点について、見通しが有ると判定された基地局の設置候補位置が複数ある場合(ステップS242・YES)、地図見通し判定部41は、以降のステップS243の処理を行わず、次の代表点について上記のステップS242の処理を行う。
【0245】
一方、ある代表点について、見通しが有ると判定された基地局の設置候補位置が1つのみである場合(ステップS242・NO)、3次元見通し判定部42は、当該代表点と見通しが有ると判定された唯一の基地局設置候補位置と、当該基地局と、の間について、点群データに基づく見通し判定処理を行う。3次元見通し判定部42は、点群データに基づく見通し判定の判定結果を、記憶部30に記憶された判定可否リスト304を更新することによって記録する(ステップS243)。また、3次元見通し判定部42は、点群データに基づく見通し判定の判定結果を記録した基地局設置候補位置と代表点との組み合わせを、地図情報に基づく見通し判定によって見通しが有ると判定された組み合わせのリストから削除する。
【0246】
そして、地図情報に基づく見通し判定によって見通しが有ると判定された、基地局設置候補位置と代表点との組み合わせの個数に相当する回数だけ上記ステップS242~ステップS243の処理が繰り返された場合、以下のステップS244以降の動作に進む。
【0247】
図21に示されるように、ステップS245の処理は、基地局設置候補位置の個数に相当する回数だけ繰り返し行われる(ステップS244)。
【0248】
地図見通し判定部41は、判定可否リストに含まれる基地局設置候補位置ごとの代表点の個数が、1つの基地局設置候補位置に対応する代表点の個数の所定の上限値である目標数を超過している場合に、当該目標数を超えないように基地局設置候補位置ごとに代表点を割り当てる(ステップS245)。
【0249】
基地局設置候補位置の個数に相当する回数だけ上記ステップS245の処理が繰り返された場合、
図21のフローチャートが示す置局・エリア設計支援装置1の動作が終了する。
【0250】
この
図21に挙げた平均化処理における置局・エリア設計支援装置1の動作を示すフローチャートでは、先の
図4に挙げた最大化処理におけるフローチャート(但し、ステップS143の見通し判定処理を除く)を前段にして、後段にステップS245にある目標数を超えないよう代表点を割り当てる処理が行われる。したがって、第1の実施形態でのエリア最大化を図る置局・エリア設計におけるフローチャートに若干の処理を追加することで、この平均化処理を実現することができる。
【0251】
以下、平均化を図る置局・エリア設計を行う場合における判定可否リスト304の更新の一例について説明する。
図22~23は、平均化を図る置局・エリア設計を行う場合における判定可否リスト304の更新の一例を示す図である。
【0252】
以下、前述の
図3に例示される評価対象エリア内の基地局設置候補位置及び網目ごとの見通し判定の結果を用いて説明する。
【0253】
図5には、地図情報に基づく見通し判定によって見通しが有ると判定された基地局設置候補位置と代表点との組み合わせのリストが示されている。
図3及び
図5に示されるように、地図情報に基づく見通し判定によって、基地局設置候補位置Aと見通しが有ると判定された代表点は、(1),(2),(3),(4),(5)及び(6)の符号がそれぞれ記載された6つの代表点である。また、地図情報に基づく見通し判定によって、基地局設置候補位置Bと見通しが有ると判定された代表点は、(2),(3),(4),(5)及び(7)の符号がそれぞれ記載された5つの代表点である。また、地図情報に基づく見通し判定によって、基地局設置候補位置Cと見通しが有ると判定された代表点は、(6),(8),(10)及び(12)の符号がそれぞれ記載された4つの代表点である。また、地図情報に基づく見通し判定によって、基地局設置候補位置Dと見通しが有ると判定された代表点は、(8),(9),(10),(11)及び(13)の符号がそれぞれ記載された5つの代表点である。また、地図情報に基づく見通し判定によって、基地局設置候補位置Eと見通しが有ると判定された代表点は、(13)及び(14)の符号がそれぞれ記載された2つの代表点である。
【0254】
エリア最大化を図る置局・エリア設計と同様に、平均化を図る置局・エリア設計を行う場合、地図見通し判定部41は、地図情報に基づく見通し判定によって少なくとも1つの基地局設置候補位置との間で見通しが有ると判定された代表点のうち、ただ1つの基地局設置候補位置との間のみで見通しが有ると判定された代表点を特定する。
【0255】
図3に示される例においては、地図情報に基づく見通し判定によって、ただ1つの基地局設置候補位置との間のみで見通しが有ると判定された代表点は、(1),(7),(9),(11),(12)及び(14)の符号が記載された代表点である。
【0256】
地図見通し判定部41は、これら6つの代表点と、それぞれの代表点と(地図情報に基づく見通し判定によって)見通しが有ると判定された基地局設置候補位置と、の組み合わせをリストに記録する。
【0257】
図22には、平均化を図る置局・エリア設計において、ただ1つの基地局設置候補位置との間のみで見通しが有ると判定された代表点と、それぞれの代表点と(地図情報に基づく見通し判定によって)見通しが有ると判定された基地局設置候補位置と、の組み合わせのリストが示されている。
【0258】
図22に示されるように、エリア最大化を図る置局・エリア設計において、リストには、まず、(1)の符号が記載された代表点と基地局設置候補位置Aとの組み合わせ、(7)の符号が記載された代表点と基地局設置候補位置Bとの組み合わせ、(9)の符号が記載された代表点と基地局設置候補位置Dとの組み合わせ、(11)の符号が記載された代表点と基地局設置候補位置Dとの組み合わせ、(12)の符号が記載された代表点と基地局設置候補位置Cとの組み合わせ、及び(14)の符号が記載された代表点と基地局設置候補位置Eとの組み合わせが記録される。
【0259】
次に、地図見通し判定部41は、上記において記録されていない代表点を、基地局設置候補位置の各々に対して、なるべく等しい個数となるように割り当てる。具体的には、地図見通し判定部41は、各基地局設置候補位置に対して、目標値として予め設定された個数の代表点を割り当てるようにする。
【0260】
目標値は、例えば、評価対象エリアにおける、地図情報に基づく見通し判定によって見通しがあると判定された代表点の総数を基地局設置候補位置の個数で除算した値であってもよい。
図3に示される例においては、代表点の総数は14であり、基地局設置候補位置の個数は5である。したがって、14÷5=2.8(≒3)であることから、目標値は、例えば3として決定される。
【0261】
あるいは、目標値は、例えば、評価対象エリアにおける、地図情報に基づく見通し判定によって見通しがあると判定された代表点の総数を基地局設置候補位置の個数で除算した値を2倍した値であってもよい。すなわち、2.8×2=5.6(≒6)であることから、目標値は、例えば6として決定されてもよい。これは、1つの代表点に対して2つの基地局がカバーするように置局・エリア設計がなされることを意図した目標値である。
【0262】
以下、目標値は3として決定されている場合を一例として説明する。地図見通し判定部41は、例えば、まず基地局設置候補位置Aに割り当てる代表点を決定する。
図22に示されるように、基地局設置候補位置Aには、既に1つの代表点(すなわち、(1)の符号が付された代表点)が割り当てられている。したがって、目標値が3であることから3-1=2であり、
図23に示されるように、基地局設置候補位置Aには、さらに2つの代表点の割り当てが可能である。
【0263】
図7に示されるように、(1)の符号が付された代表点が基地局設置候補位置Aに割り当てられた時点では、地図情報に基づく見通し判定によって基地局設置候補位置Aとの間で見通しが有ると判定された、残る代表点は、(2),(3),(4),(5)及び(6)の符号がそれぞれ付された代表点である。
【0264】
なお、ここでの
図7は、前述の第1の実施形態でのエリア最大化を図る置局・エリア設計において、地図情報に基づく見通し判定によって、ただ1つの基地局設置候補位置との間のみで見通しが有ると判定された代表点が削除された後の、更新後のリストである。
【0265】
地図見通し判定部41は、例えば、
図23に示されるように、このうち(2)及び(3)の符号がそれぞれ付された2つ代表点を基地局設置候補位置Aに割り当て、残りの(4),(5)及び(6)の符号がそれぞれ付された代表点を、リストの基地局設置候補位置Aの欄から削除する。これにより、基地局設置候補位置Aには、目標数と同数の3つの代表点(すなわち、(1),(2)及び(3)の符号がそれぞれ付された代表点)が割り当てられたことになる。
【0266】
地図見通し判定部41は、例えば、次に基地局設置候補位置Bに割り当てる代表点を決定する。
図22に示されるように、基地局設置候補位置Bには、既に1つの代表点(すなわち、(7)の符号が付された代表点)が割り当てられている。したがって、目標値が3であることから3-1=2であり、
図23に示されるように、基地局設置候補位置Bには、さらに2つの代表点の割り当てが可能である。
【0267】
図7に示されるように、(7)の符号が付された代表点が基地局設置候補位置Bに割り当てられた時点では、地図情報に基づく見通し判定によって基地局設置候補位置Bとの間で見通しが有ると判定された、残る代表点は、(2),(3),(4)及び(5)の符号がそれぞれ付された代表点である。但し、(2)及び(3)の符号がそれぞれ付された代表点は、既に基地局設置候補位置Aに割り当てられているため、残る代表点は、(4)及び(5)の符号がそれぞれ付された代表点である。
【0268】
地図見通し判定部41は、例えば、
図23に示されるように、このうち(4)及び(5)の符号がそれぞれ付された2つ代表点を基地局設置候補位置Bに割り当て、残りの(2)及び(3)の符号がそれぞれ付された代表点を、リストの基地局設置候補位置Bの欄から削除する。これにより、基地局設置候補位置Bには、目標数と同数の3つの代表点(すなわち、(4),(5)及び(7)の符号がそれぞれ付された代表点)が割り当てられたことになる。
【0269】
地図見通し判定部41は、例えば、次に基地局設置候補位置Cに割り当てる代表点を決定する。
図22に示されるように、基地局設置候補位置Bには、既に1つの代表点(すなわち、(12)の符号が付された代表点)が割り当てられている。したがって、目標値が3であることから3-1=2であり、
図23に示されるように、基地局設置候補位置Cには、さらに2つの代表点の割り当てが可能である。
【0270】
図7に示されるように、(12)の符号が付された代表点が基地局設置候補位置Cに割り当てられた時点では、地図情報に基づく見通し判定によって基地局設置候補位置Cとの間で見通しが有ると判定された、残る代表点は、(6),(8)及び(10)の符号がそれぞれ付された代表点である。
【0271】
地図見通し判定部41は、例えば、
図23に示されるように、このうち(6)及び(8)の符号がそれぞれ付された2つ代表点を基地局設置候補位置Cに割り当て、残りの(10)の符号が付された代表点を、リストの基地局設置候補位置Cの欄から削除する。これにより、基地局設置候補位置Cには、目標数と同数の3つの代表点(すなわち、(6),(8)及び(12)の符号がそれぞれ付された代表点)が割り当てられたことになる。
【0272】
地図見通し判定部41は、例えば、次に基地局設置候補位置Dに割り当てる代表点を決定する。
図22に示されるように、基地局設置候補位置Dには、既に2つの代表点(すなわち、(9)及び(11)の符号がそれぞれ付された代表点)が割り当てられている。したがって、目標値が3であることから3-2=1であり、
図23に示されるように、基地局設置候補位置Dには、さらに1つの代表点の割り当てが可能である。
【0273】
図7に示されるように、(9)及び(11)の符号がそれぞれ付された代表点が基地局設置候補位置Dに割り当てられた時点では、地図情報に基づく見通し判定によって基地局設置候補位置Dとの間で見通しが有ると判定された、残る代表点は、(8),(10)及び(13)の符号がそれぞれ付された代表点である。但し、(8)の符号が付された代表点は、既に基地局設置候補位置Cに割り当てられているため、残る代表点は、(10)及び(13)の符号がそれぞれ付された代表点である。
【0274】
地図見通し判定部41は、例えば、
図23に示されるように、このうち(10)の符号が付された1つ代表点を基地局設置候補位置Dに割り当て、残りの(8)及び(13)の符号がそれぞれ付された代表点を、リストの基地局設置候補位置Dの欄から削除する。これにより、基地局設置候補位置Dには、目標数と同数の3つの代表点(すなわち、(9),(10)及び(11)の符号がそれぞれ付された代表点)が割り当てられたことになる。
【0275】
地図見通し判定部41は、例えば、次に基地局設置候補位置Eに割り当てる代表点を決定する。
図22に示されるように、基地局設置候補位置Eには、既に1つの代表点(すなわち、(14)の符号が付された代表点)が割り当てられている。したがって、目標値が3であることから3-1=2であり、
図23に示されるように、基地局設置候補位置Bには、さらに2つの代表点の割り当てが可能である。
【0276】
図7に示されるように、(14)の符号が付された代表点が基地局設置候補位置Eに割り当てられた時点では、地図情報に基づく見通し判定によって基地局設置候補位置Eとの間で見通しが有ると判定された、残る代表点は、(13)の符号が付された代表点である。
【0277】
地図見通し判定部41は、例えば、
図23に示されるように、(13)の符号が付された1つ代表点を基地局設置候補位置Eに割り当てる。これにより、基地局設置候補位置Eには、目標数より1つ少ない2つの代表点(すなわち、(13)及び(14)の符号がそれぞれ付された代表点)が割り当てられたことになる。このように、基地局設置候補位置Eに対しては、割り当て可能な代表点が残り1つであったため、目標数より少ない個数の代表点が割り当てられる。
【0278】
なお、ここで説明した目標数は、代表点の総数を基地局設置候補位置の個数で除算した値に基づいて“3”と設定している。前述の目標数の他の設定例、すなわち、その除算した値の2倍の値を目標値として設定する例の場合においては、各段階での処理におけるリストから、必要とされる数(すなわち、上述した目標数“3”の2倍当たる“6”)の代表点を、各基地局設置候補位置に対して割り当てるようにすればよい。
【0279】
以上説明したように、第2の実施形態における置局・エリア設計支援装置1は、平均化処理によって、評価対象エリアを複数の基地局でカバーする際に、1つの基地局が端末局を収容可能な範囲の広さ(すなわち、各々の基地局設置候補位置に対応する代表点の数)をなるべく等しくするように置局・エリア設計を行うことができる。これにより、置局・エリア設計支援装置1は、例えば、各基地局における負荷を平均化することができ、各端末局における通信品質の悪化を抑制することができる。
【0280】
上述した実施形態によれば、置局設計支援装置は、取得部と、第1推定部と、決定部と、第2推定部とを備える。例えば、置局設計支援装置は、実施形態における置局・エリア設計支援装置1であり、取得部は、実施形態における基地局候補位置選択部202及びエリア分割部14であり、第1推定部及び決定部は、実施形態における地図見通し判定部41であり、第2推定部は、実施形態における3次元見通し判定部42である。
【0281】
取得部は、対象エリアにおける無線基地局の候補位置と、網目状に区切られた対象エリアの各網目において移動局が存在しうる位置を代表する代表点とを取得する。例えば、対象エリアは、実施形態における評価対象エリアであり、無線基地局は、実施形態における基地局であり、移動局は、実施形態における端末局である。
【0282】
第1推定部は、無線基地局の候補位置と代表点の各々との間の通信可否を、対象エリアに存在する物体の位置を示す第1情報に基づいて推定する。例えば、候補位置は、実施形態における基地局設置候補位置であり、物体の位置は、実施形態における地図内の建造物等の遮蔽物(の例えば外郭)であり、第1情報は、実施形態における地図・エリア情報302である。
【0283】
決定部は、第1推定部によって通信可能と推定された無線基地局の候補位置と代表点との組み合わせのうち、第1情報より情報量の多い第2情報に基づく通信可否の推定処理をさらに行う組み合わせを、指定された置局設計方法ごとに定められたルールに従って決定する。例えば、第2情報量は、実施形態における点群データであり、通信可否の推定処理は、実施形態における点群データに基づく見通し判定処理であり、置局設計方法は実施形態における置局・エリア設計の設計方法であり、置局設計方法ごとに定められたルールとは、エリア最大化及び収容効率化ごとに定められた点群データに基づく見通し判定の対象とする組み合わせを選択するルールである。
【0284】
第2推定部は、決定部によって決定された組み合わせである無線基地局の候補位置と代表点の各々との間の通信可否を、第2情報に基づいて推定する。
【0285】
なお、置局設計方法は、第2情報に基づく通信可否の推定の対象となる組み合わせの数を最大化する方法である最大化方法と、第2情報に基づく通信可否の推定の対象となる組み合わせの割合を所定値以上にしつつ無線基地局の候補位置の数を削減する効率化方法とを含んでいてもよい。
【0286】
なお、決定部は、最大化方法が指定された場合、第1推定部によって通信可能と推定された組み合わせに含まれる代表点のうち、1つの無線基地局の候補位置とのみ通信可能と推定された代表点が存在する場合には、当該代表点と通信可能と推定された無線基地局の候補位置を含む組み合わせを優先して決定するようにしてもよい。
【0287】
なお、決定部は、代表点と通信可能と推定された無線基地局の候補位置を含む組み合わせを優先して決定した後は、第1推定部によって通信可能と推定された組み合わせに含まれる無線基地局の候補位置のうち、より多くの代表点と通信可能と推定された無線基地局の候補位置を含む組み合わせを優先して決定するようにしてもよい。
【0288】
なお、前記決定部は、効率化方法が指定された場合、第1推定部によって通信可能と推定された組み合わせに含まれる代表点のうち、より多くの代表点と通信可能と推定された無線基地局の候補位置を含む組み合わせを優先して決定するようにしてもよい。
【0289】
なお、決定部は、第1情報に基づいて通信可能であると推定された組み合わせに含まれる代表点のうち、第2情報に基づく通信可否の推定処理をさらに行う組み合わせとして決定された当該組み合わせに含まれる代表点の個数の割合が所定の割合に達した場合、第2情報に基づく通信可否の推定処理をさらに行う組み合わせを決定する処理を終了するようにしてもよい。
【0290】
なお、置局設計方法は、第2情報に基づく通信可否の推定の対象となる組み合わせの数を、無線基地局の候補位置ごとに平均化する方法である平均化方法をさらに含んでいてもよい。
【0291】
なお、第1情報は、2次元の地図を示す地図情報であってもよく、第2情報は地図内に存在する物体の表面の位置を示す3次元の点群データであってもよい。
【0292】
上述した各実施形態における置局・エリア設計支援装置1をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0293】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0294】
1…置局・エリア設計支援装置、11…設備情報取得部、12…基地局設置候補位置抽出部、13…地図情報取得部、14…エリア分割部、15…点群データ取得部、16…データ整合部、20…操作入力部、30…記憶部、41…地図見通し判定部、42…3次元見通し判定部、43…3次元判定可否評価部、50…出力部、201…評価エリア選択部、202…基地局候補位置選択部、203…設計方法指定部、204…処理モード指定部、301…基地局設置候補位置情報、302…地図・エリア情報、303…点群データ、304…判定可否リスト、305…置局・エリア設計結果情報