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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】着色硬化性樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/00 20060101AFI20241017BHJP
   C08F 2/44 20060101ALI20241017BHJP
   C08K 5/3475 20060101ALI20241017BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20241017BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
C08L101/00
C08F2/44 Z
C08K5/3475
G02B5/20 101
G03F7/004 505
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020165912
(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公開番号】P2021059721
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2023-07-13
(31)【優先権主張番号】P 2019184819
(32)【優先日】2019-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤坂 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】井上 勝治
(72)【発明者】
【氏名】青木 拓磨
(72)【発明者】
【氏名】河西 裕
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-169539(JP,A)
【文献】特開2019-152852(JP,A)
【文献】特開平09-171108(JP,A)
【文献】特開2003-161821(JP,A)
【文献】特開2014-019838(JP,A)
【文献】国際公開第2014/208514(WO,A1)
【文献】特開2013-108060(JP,A)
【文献】国際公開第2014/115692(WO,A1)
【文献】特開2010-160380(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
C08F 2/44
G02B 5/20
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤、樹脂、重合性化合物及び重合開始剤を含み、
着色剤が、式(I)又は式(II)で表される化合物を含む着色剤である着色硬化性樹脂組成物。
【化1】
[式(I)中、X1及びX2は、それぞれ独立に、水素原子、SR1又はNR23を表す(ただし、X 1 及びX 2 が同時に水素原子を表すことを含まない。)
1及びY2は、それぞれ独立に、水素原子、OR1、又はSR1を表す。
1は、炭素数6~20のアリール基又は炭素数3~20のヘテロアリール基を表し、
該アリール基及び該ヘテロアリール基に含まれる水素原子は、炭素数1~20のアルコキシ基で置換されていてもよい。
2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基を表し、該アルキル基に含まれるメチレン基は、酸素原子に置き換わってもよく、R2とR3とが結合して窒素原子を含む環を形成してもよい。
1分子中にX1、X2、Y1、Y2、R1、R2又はR3が複数ある場合、それらは同一でも、それぞれ異なっていてもよい。
1は、水素原子、1価の金属原子、2価の金属原子、3価の置換金属原子、4価の置換金属原子、又は酸化金属原子を表す。
1が水素原子又は1価の金属原子のとき、mは2であり、M1が2価の金属原子、3価の置換金属原子、4価の置換金属原子、又は酸化金属原子のとき、mは1である。
*a、*a1、*a2、*b、*b1、*b2、*c1、及び*c2はいずれも結合手を表し、2つの*aの一方が*a1と結合し、他方が*a2と結合する。2つの*bの一方が*b1と結合し、他方が*b2と結合する。*c1及び*c2は、M1と結合する。

【化2】
[式(II)中、Z1及びZ2は、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子又はNR4を表す。
4は、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基を表し、該アルキル基に含まれるメチレン基は、酸素原子に置き換わってもよい。
Ar1は、炭素数6~20のアリーレン基又は炭素数3~20のヘテロアリーレン基を表し、該アリーレン基及びヘテロアリーレン基に含まれる水素原子は、炭素数1~20のアルコキシ基で置換されていてもよい。
3及びZ4は、それぞれ独立に、水素原子、N(R62、OR5又はSR5を表す。
5は、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~20のアリール基又は炭素数3~20のヘテロアリール基を表し、該アルキル基に含まれるメチレン基は、酸素原子に置き換わってもよく、該アリール基及び該ヘテロアリール基に含まれる水素原子は、炭素数1~20のアルコキシ基で置換されていてもよい。
6は、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基(該アルキル基に含まれる水素原子は、炭素数6~10のアリール基で置換されていてもよく、該アルキル基に含まれるメチレン基は、酸素原子に置き換わってもよい)を表す。
1分子中にZ1、Z2、Z3、Z4、Ar1、R4、R5又はR6が複数ある場合、それらは同一でも、それぞれ異なっていてもよい。
2は、水素原子、1価の金属原子、2価の金属原子、3価の置換金属原子、4価の置換金属原子、又は酸化金属原子を表す。
2が水素原子又は1価の金属原子のとき、nは2であり、M2が2価の金属原子、3価の置換金属原子、4価の置換金属原子、又は酸化金属原子のとき、nは1である。
*d、*d1、*d2、*e、*e1、*e2、*f1、及び*f2はいずれも結合手を表し、2つの*dの一方が*d1と結合し、他方が*d2と結合する。2つの*eの一方が*e1と結合し、他方が*e2と結合する。*f1及び*f2は、M2と結合する。]
【請求項2】
樹脂が、不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種に由来する構造単位と、炭素数2~4の環状エーテル構造及びエチレン性不飽和結合を有する構造単位とを含む共重合体である請求項1記載の着色硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1又は2記載の着色硬化性樹脂組成物から形成される光学フィルタ。
【請求項4】
請求項3記載の光学フィルタを含む固体撮像素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色硬化性樹脂組成物、光学フィルタ、及び固体撮像素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置、エレクトロルミネッセンス表示装置及びプラズマディスプレイ等の表示装置やCCDやCMOSセンサなどの固体撮像素子に使用される光学フィルタは、着色硬化性樹脂組成物から製造される。かかる着色硬化性樹脂組成物として、着色剤のフタロシアニン化合物を含有する組成物が知られている(特許文献1)。特許文献1には、上記組成物は、近赤外線を吸収し、微細パターンを形成できることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-160380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、異物の発生の少ない光学フィルタを形成する着色硬化性樹脂組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の発明を含む。
[1]着色剤、樹脂、重合性化合物及び重合開始剤を含み、
着色剤が、式(I)又は式(II)で表される化合物を含む着色剤である着色硬化性樹脂組成物。
【化1】

[式(I)中、X1及びX2は、それぞれ独立に、水素原子、SR1又はNR23を表す。
1及びY2は、それぞれ独立に、水素原子、OR1、又はSR1を表す。
1は、炭素数6~20のアリール基又は炭素数3~20のヘテロアリール基を表し、該アリール基及び該ヘテロアリール基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子又は炭素数1~20のアルコキシ基で置換されていてもよい。
2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基を表し、該アルキル基に含まれるメチレン基は、酸素原子に置き換わってもよく、R2とR3とが結合して窒素原子を含む環を形成してもよい。
1分子中にX1、X2、Y1、Y2、R1、R2又はR3が複数ある場合、それらは同一でも、それぞれ異なっていてもよい。
1は、水素原子、1価の金属原子、2価の金属原子、3価の置換金属原子、4価の置換金属原子、又は酸化金属原子を表す。
1が水素原子又は1価の金属原子のとき、mは2であり、M1が2価の金属原子、3価の置換金属原子、4価の置換金属原子、又は酸化金属原子のとき、mは1である。
*a、*a1、*a2、*b、*b1、*b2、*c1、及び*c2はいずれも結合手を表し、2つの*aの一方が*a1と結合し、他方が*a2と結合する。2つの*bの一方が*b1と結合し、他方が*b2と結合する。*c1及び*c2は、M1と結合する。]
【化2】

[式(II)中、Z1及びZ2は、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子又はNR4を表す。
4は、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基を表し、該アルキル基に含まれるメチレン基は、酸素原子に置き換わってもよい。
Ar1は、炭素数6~20のアリーレン基又は炭素数3~20のヘテロアリーレン基を表し、該アリーレン基及びヘテロアリーレン基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子又は炭素数1~20のアルコキシ基で置換されていてもよい。
3及びZ4は、それぞれ独立に、水素原子、N(R62、OR5又はSR5を表す。
5は、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~20のアリール基又は炭素数3~20のヘテロアリール基を表し、該アルキル基に含まれる水素原子はハロゲン原子に置き換わってもよく、該アルキル基に含まれるメチレン基は、酸素原子に置き換わってもよく、該アリール基及び該ヘテロアリール基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子又は炭素数1~20のアルコキシ基で置換されていてもよい。
6は、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基(該アルキル基に含まれる水素原子は、炭素数6~10のアリール基で置換されていてもよく、該アルキル基に含まれるメチレン基は、酸素原子に置き換わってもよい)を表す。
1分子中にZ1、Z2、Z3、Z4、Ar1、R4、R5又はR6が複数ある場合、それらは同一でも、それぞれ異なっていてもよい。
2は、水素原子、1価の金属原子、2価の金属原子、3価の置換金属原子、4価の置換金属原子、又は酸化金属原子を表す。
2が水素原子又は1価の金属原子のとき、nは2であり、M2が2価の金属原子、3価の置換金属原子、4価の置換金属原子、又は酸化金属原子のとき、nは1である。
*d、*d1、*d2、*e、*e1、*e2、*f1、及び*f2はいずれも結合手を表し、2つの*dの一方が*d1と結合し、他方が*d2と結合する。2つの*eの一方が*e1と結合し、他方が*e2と結合する。*f1及び*f2は、M2と結合する。]
[2]樹脂が、不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種に由来する構造単位と、炭素数2~4の環状エーテル構造及びエチレン性不飽和結合を有する構造単位とを含む共重合体である[1]記載の着色硬化性樹脂組成物。[3][1]又は[2]記載の着色硬化性樹脂組成物から形成される光学フィルタ。
[4][3]記載の光学フィルタを含む固体撮像素子。
【発明の効果】
【0006】
本発明の着色硬化性樹脂組成物によれば、光学フィルタを形成する際、異物が発生しにくい。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、着色剤(以下、着色剤(A)という場合がある)、樹脂(以下、樹脂(B)という場合がある)、重合性化合物(以下、重合性化合物(C)という場合がある)、及び重合開始剤(以下、重合開始剤(D)という場合がある)を含む。
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、さらに溶剤(以下、溶剤(E)という場合がある。)を含むことが好ましい。
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、レベリング剤(以下、レベリング剤(F)という場合がある。)を含んでいてもよい。
本明細書において、各成分として例示する化合物は、特に断りのない限り、単独で又は複数種を組合せて使用することができる。
【0008】
着色剤(A)
着色剤(A)は、フタロシアニン化合物として式(I)又は(II)で表される化合物(着色剤(A1)ともいう)を含む。当該化合物は、近赤外線領域(波長700~2500nm、好ましくは700~1500nm、より好ましくは700~1300nm)に吸収極大波長を有する化合物であることが好ましい。式(I)で表される化合物は、以下の通りである。
【0009】
【化3】

[式(I)中、X1及びX2は、それぞれ独立に、水素原子、SR1又はNR23を表す。
1及びY2は、それぞれ独立に、水素原子、OR1、又はSR1を表す。
1は、炭素数6~20のアリール基又は炭素数3~20のヘテロアリール基を表し、該アリール基及び該ヘテロアリール基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子又は炭素数1~20のアルコキシ基で置換されていてもよい。
2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基を表し、該アルキル基に含まれるメチレン基は、酸素原子に置き換わってもよく、R2とR3とが結合して窒素原子を含む環を形成してもよい。
1分子中にX1、X2、Y1、Y2、R1、R2又はR3が複数ある場合、それらは同一でも、それぞれ異なっていてもよい。
1は、水素原子、1価の金属原子、2価の金属原子、3価の置換金属原子、4価の置換金属原子、又は酸化金属原子を表す。
1が水素原子又は1価の金属原子のとき、mは2であり、M1が2価の金属原子、3価の置換金属原子、4価の置換金属原子、又は酸化金属原子のとき、mは1である。
*a、*a1、*a2、*b、*b1、*b2、*c1、及び*c2はいずれも結合手を表し、2つの*aの一方が*a1と結合し、他方が*a2と結合する。2つの*bの一方が*b1と結合し、他方が*b2と結合する。*c1及び*c2は、M1と結合する。]
【0010】
1で表されるアリール基としては、例えば、単環、多環(例えば、2環又は3環)のアリール基であればよく、具体的には、フェニル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、2-エチルフェニル基、3-エチルフェニル基、4-エチルフェニル基、2,3-ジメチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基、2,5-ジメチルフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、3,4-ジメチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、4-ビニルフェニル基、o-イソプロピルフェニル基、m-イソプロピルフェニル基、p-イソプロピルフェニル基、o-tert-ブチルフェニル基、m-tert-ブチルフェニル基、p-tert-ブチルフェニル基、3,5-ジ(tert-ブチル)フェニル基、3,5-ジ(tert-ブチル)-4-メチルフェニル基、4-ブチルフェニル基、4-ペンチルフェニル基、2,6-ビス(1-メチルエチル)フェニル基、2,4,6-トリス(1-メチルエチル)フェニル基、4-シクロヘキシルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、4-オクチルフェニル基、4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、6-メチル-2-ナフチル基、5,6,7,8-テトラヒドロ-1-ナフチル基、5,6,7,8-テトラヒドロ-2-ナフチル基、フルオレニル基、フェナントリル基、アントリル基、2-ドデシルフェニル基、3-ドデシルフェニル基、4-ドデシルフェニル基、フェナンスリル基、フルオレニル基、ビフェニル基等が挙げられる。アリール基の炭素数は、好ましくは6~18、より好ましくは6~15、さらに好ましくは6~12である。
【0011】
1で表されるヘテロアリール基としては、例えば、単環、多環(例えば、2環又は3環)のヘテロアリール基であればよく、具体的には、フラニル基、ベンゾフラニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、チエニル基、ベンゾチエニル基、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、インドリル基、カルバゾリル基、アクリジニル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、キノリル基、イソキノリル基等が挙げられる。ヘテロアリール基の炭素数は、好ましくは3~18、より好ましくは3~12、さらに好ましくは3~9である。
また、ヘテロアリール基は環を構成する元素数が5~10であることが好ましい。
【0012】
該アリール基及び該ヘテロアリール基に含まれる水素原子と置換されてもよいハロゲン原子は、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、又はヨウ素原子であることが好ましい。
【0013】
該アリール基及び該ヘテロアリール基に含まれる水素原子と置換されてもよいアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、s-ブトキシ基、t-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、t-オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基、トリデシルオキシ基、テトラデシルオキシ基、ペンタデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、ヘプタデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、ノナデシルオキシ基等が挙げられる。
アルコキシ基の炭素数は、好ましくは1~18、より好ましくは1~15、さらに好ましくは1~10、さらにより好ましくは1~8である。
【0014】
2及びR3で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の直鎖状アルキル基;
イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、2-エチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、1,1,3,3-テトラメチルブチル基、1-メチルブチル基、1-エチルプロピル基、3-メチルブチル基、ネオペンチル基、1,1-ジメチルプロピル基、2-メチルペンチル基、3-エチルペンチル基、1,3-ジメチルブチル基、2-プロピルペンチル基、1-エチル-1,2-ジメチルプロピル基、1-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、4-メチルヘキシル基、5-メチルヘキシル基、2-エチルヘキシル基、1-メチルヘキシル基、1-エチルペンチル基、1-プロピルブチル基、3-エチルヘプチル基、2,2-ジメチルヘプチル基、1-メチルヘプチル基、1-エチルヘキシル基、1-プロピルペンチル基、1-メチルオクチル基、1-エチルヘプチル基、1-プロピルヘキシル基、1-ブチルペンチル基、1-メチルノニル基、1-エチルオクチル基、1-プロピルヘプチル基及び1-ブチルヘキシル基等の分枝鎖状アルキル基;等が挙げられる。アルキル基の炭素数は、好ましくは1~8、より好ましくは1~6、さらに好ましくは1~5である。
【0015】
2及びR3で表されるアルキル基のメチレン基が、酸素原子に置き換わった基とは、アルキル基を構成するメチレン基が酸素原子に置き換わった基である。アルキル基のメチレン基が酸素原子に置き換わった基としては、炭素数1~10の基が好ましく、炭素数1~6の基がより好ましい(酸素原子に置き換わる前のメチレン基は炭素数に含めない。例えばエトキシ基の炭素数は2である)。R2及びR3で表されるアルキル基は、直鎖アルキル基が好ましい。当該基としては、下記式で表される基が挙げられる。下記式中、*は結合手を示す。
【0016】
【化4】
【0017】
2とR3とが結合して窒素原子を含む環としては、ピロリジン環、モルホリン環、ピペリジン環、ピペラジン環等の含窒素非芳香族4~7員環が挙げられる。
【0018】
1及びX2で表されるSR1は、炭素数6~20のアリールスルファニル基または炭素数3~20のヘテロアリールスルファニル基であることが好ましい。
【0019】
アリールスルファニル基としては、例えば、単環、多環(例えば、2環又は3環)のアリール基が硫黄原子に結合した基が挙げられる。具体的には、フェニルスルファニル基、ナフチルスルファニル基、アントリルスルファニル基、ピレニルスルファニル基、o-トリルスルファニル基、p-トリルスルファニル基、2,6-ジメチルフェニルスルファニル基、2,4,6-トリメチルフェニルスルファニル基等が挙げられる。特に単環又は2環のアリール基が硫黄原子に結合した基が好ましい。特に好ましくは、フェニルスルファニル基、ナフチルスルファニル基である。アリールスルファニル基の炭素数は、好ましくは6~18、より好ましくは6~15、さらに好ましくは6~12である。
【0020】
ヘテロアリールスルファニル基としては、例えば、単環、多環(例えば、2環又は3環)のヘテロアリール基が硫黄原子に結合した基が挙げられる。具体的には、ピリジル基、ピリミジン基、インドリル基、キノリン基、ベンズイミダゾール基、フラニル基、チエニル基、ベンゾフラン基、1,3,4-チアジアゾール基等が硫黄原子に結合した基が挙げられる。特に単環又は2環のヘテロアリール基が硫黄原子に結合した基が好ましい。ヘテロアリールスルファニル基の炭素数は、好ましくは3~18、より好ましくは3~12、さらに好ましくは3~9である。
【0021】
1及びX2で表されるNR23としては、例えば、2級又は3級のアミノ基が挙げられる。具体的には、n-プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n-ブチルアミノ基、n-ペンチルアミノ基、n-ヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、n-ヘプチルアミノ基、n-オクチルアミノ基、2-エチルヘキシルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基(ジ-n-ブチルアミノ基)、エチルブチルアミノ基、ジ(2-エチルヘキシル)アミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、4-メチルピペラジノ基、モルホリノ基等が挙げられる。好ましくは、炭素数1~8の直鎖又は炭素数3~8の分岐鎖状或いは炭素数3~8の環状アルキル基が置換した、2級又は3級アミノ基であり、特に好ましくは、n-ブチルアミノ基、2-エチルヘキシルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基である。
2及びR3としては、いずれか一方が水素原子であり、他方が炭素数1~10のアルキル基であることが好ましい。
【0022】
1及びY2で表されるOR1は、炭素数6~20のアリールオキシ基又は炭素数3~20のヘテロアリールオキシ基であることが好ましい。
【0023】
アリールオキシ基としては、例えば、単環、多環(例えば、2環又は3環)のアリール基が酸素原子に結合した基が挙げられる。具体的には、フェノキシ基、o-トリルオキシ基、p-トリルオキシ基、2,4,6-トリメチルフェノキシ基、ナフトキシ基、アントリルオキシ基、フェナントレニルオキシ基、フルオレニルオキシ基、ピレニルオキシ基等が挙げられる。特に単環又は2環のアリール基が酸素原子に結合した基が好ましい。特に好ましくは、フェノキシ基、o-トリルオキシ基、2,4,6-トリメチルフェノキシ基、1-ナフトキシ基(1-ナフチルオキシ基)、2-ナフトキシ基(2-ナフチルオキシ基)である。アリールオキシ基の炭素数は、好ましくは6~18、より好ましくは6~15、さらに好ましくは6~12である。
【0024】
ヘテロアリールオキシ基としては、例えば、単環、多環(例えば、2環又は3環)のヘテロアリール基が酸素原子に結合した基が挙げられる。具体的には、ピリジル基、ピリミジン基、インドリル基、キノリン基、ベンズイミダゾール基、フラニル基、チエニル基、ベンゾフラン基、1,3,4-チアジアゾール基等が酸素原子に結合した基が挙げられる。特に単環又は2環のヘテロアリール基が酸素原子に結合した基が好ましい。ヘテロアリールオキシ基の炭素数は、好ましくは3~18、より好ましくは3~12、さらに好ましくは3~9である。
【0025】
1及びY2で表されるSR1は、炭素数6~20のアリールスルファニル基または炭素数3~20のヘテロアリールスルファニル基であることが好ましく、X1及びX2で説明したアリールスルファニル基またはヘテロアリールスルファニル基と同様のものが挙げられる。
【0026】
1は、水素原子、1価の金属原子、2価の金属原子、3価の置換金属原子、4価の置換金属原子、又は酸化金属原子を表す。
【0027】
1価の金属原子としては、例えば、Na、K、Li等が挙げられる。
2価の金属原子、3価の置換金属原子、4価の置換金属原子、又は酸化金属原子に含まれる金属原子としては、例えば、周期律表第3族~第15族に属する金属原子が挙げられる。2価の金属原子としては、具体的には、Cu、Zn、Fe、Co、Ni、Ru、Pb、Rh、Pd、Pt、Mn、Sn、Pb等が挙げられる。
【0028】
3価の置換金属原子としては、例えばAl-F、Al-Cl、Al-Br、Al-I、Al-OH、Ga-F、Ga-Cl、Ga-Br、Ga-I、In-F、In-Cl、In-Br、In-I、Tl-F、Tl-Cl、Tl-Br、Tl-I、Al-C65、Al-C64(CH3)、In-C65、In-C64(CH3)、Mn(OH)、Mn(OC65) 、Mn[OSi(CH33]、Fe-Cl、Ru-Cl等が挙げられる。
4価の置換金属原子としては、例えばCrCl2、SiCl2、SiBr2、SiF2、SiI2、ZrCl2、ZrI2、GeCl2、GeBr2、GeF2、GeI2、SnCl2、SnF2、SnBr2、TiF2、TiCl2、TiBr2、Si(OH)2、Ge(OH)2、Zr(OH)2、Mn(OH)2、Sn(OH)2、Ti(R10)2、Cr(R10)2、Si(R10)2、Sn(R10)2、Ge(R10)2〔式中、R10はアルキル基、フェニル基、ナフチル基、あるいはその誘導体を表す〕、Si(OR20)2、Sn(OR20)2、Ge(OR20)2、Ti(OR20)2、Cr(OR20)2〔式中、R20は、アルキル基、フェニル基、ナフチル基、トリアルキルシリル基、ジアルキルアルコキシシリル基、あるいはその誘導体を表す〕、Sn(SR302、Ge(SR302〔式中、R30は、アルキル基、フェニル基、ナフチル基、あるいはその誘導体を表す〕等が挙げられる。
酸化金属原子としては、例えば、VO、MnO、TiO等が挙げられる。
1は、より好ましくはCu、Zn、Fe、Co、Ni、Pd、Mg、VO、TiOであり、さらに好ましくはCu、Zn、Ni、VOであり、特に好ましくはCu、VOである。
【0029】
式(I)において、M1が水素原子又は1価の金属原子のとき、mは2であり、M1が2価の金属原子、3価の置換金属原子、4価の置換金属原子、又は酸化金属原子のとき、mは1である。
*a、*a1、*a2、*b、*b1、*b2、*c1、及び*c2はいずれも結合手を表し、2つの*aの一方が*a1と結合し、他方が*a2と結合する。2つの*bの一方が*b1と結合し、他方が*b2と結合する。*c1及び*c2は、M1と結合する。
このように結合すると、式(I)で表される化合物は、後述する式(I-1)~(I-4)で表される化合物を表す。
【0030】
式(I)において、X1及びX2は、それぞれ独立に、水素原子、SR1又はNR23を表し、X1及びX2の組み合わせは、水素原子とSR1との組み合わせ又はSR1とNR23との組み合わせであることが好ましい。
1及びY2は、それぞれ独立に、水素原子又はSR1であることが好ましい。
1は、炭素数6~20のアリール基であることが好ましく、炭素数6~18のアリール基であることがより好ましく、フェニル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、又は2,4,6-トリメチルフェニル基であることがさらに好ましく、R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基であることが好ましく、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~8のアルキル基であることがより好ましく、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、又はペンチル基であることがさらに好ましい。
mは1であり、M1は、2価の金属原子又は酸化金属原子であることが好ましい。
1は、周期律表第5族に属する酸化金属原子、又は周期律表第9族~第12族に属する2価の金属原子であることが好ましく、VO、Ni、Pd、Co、Zn又はCuであることがより好ましい。
【0031】
本願において、式(I)は、式(Ia)として略記する場合があり、式(Ia)で表される化合物は、式(I)で表される化合物と同じである。
【0032】
【化5】
【0033】
式(II)で表される化合物は、以下の通りである。
【0034】
【化6】

[式(II)中、Z1及びZ2は、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子又はNR4を表す。
4は、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基を表し、該アルキル基に含まれるメチレン基は、酸素原子に置き換わってもよい。
Ar1は、炭素数6~20のアリーレン基又は炭素数3~20のヘテロアリーレン基を表し、該アリーレン基及びヘテロアリーレン基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子又は炭素数1~20のアルコキシ基に置換されていてもよい。
3及びZ4は、それぞれ独立に、水素原子、N(R62、OR5又はSR5を表す。
5は、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~20のアリール基又は炭素数3~20のヘテロアリール基を表し、該アルキル基に含まれる水素原子はハロゲン原子に置き換わってもよく、該アルキル基に含まれるメチレン基は、酸素原子に置き換わってもよく、該アリール基及び該ヘテロアリール基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子又は炭素数1~20のアルコキシ基に置換されていてもよい。
6は、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基(該アルキル基に含まれる水素原子は、炭素数6~10のアリール基で置換されていてもよく、該アルキル基に含まれるメチレン基は、酸素原子に置き換わってもよい)を表す。
1分子中にZ1、Z2、Z3、Z4、Ar1、R4、R5又はR6が複数ある場合、それらは同一でも、それぞれ異なっていてもよい。
2は、水素原子、1価の金属原子、2価の金属原子、3価の置換金属原子、4価の置換金属原子、又は酸化金属原子を表す。
2が水素原子又は1価の金属原子のとき、nは2であり、M2が2価の金属原子、3価の置換金属原子、4価の置換金属原子、又は酸化金属原子のとき、nは1である。
*d、*d1、*d2、*e、*e1、*e2、*f1、及び*f2はいずれも結合手を表し、2つの*dの一方が*d1と結合し、他方が*d2と結合する。2つの*eの一方が*e1と結合し、他方が*e2と結合する。*f1及び*f2は、M2と結合する。]
【0035】
4で表されるアルキル基は、R2及びR3で説明したアルキル基と同様のものが挙げられる。R4で表されるアルキル基に含まれる水素原子は、炭素数6~20のアリール基で置換されていてもよい。
【0036】
5で表されるアルキル基としては、上記R4で表されるアルキル基に加え、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等が挙げられる。アルキル基の炭素数は、好ましくは1~18、より好ましくは1~15、さらに好ましくは1~12、さらにより好ましくは1~10、特に好ましくは2~8である。
【0037】
4、R5及びR6で表されるアルキル基のメチレン基が、酸素原子に置き換わった基とは、アルキル基を構成するメチレン基が酸素原子に置き換わった基である。アルキル基のメチレン基が酸素原子に置き換わった基としては、炭素数1~10の基が好ましく、炭素数1~6の基がより好ましい(酸素原子に置き換わる前のメチレン基は炭素数に含めない。例えばエトキシ基の炭素数は2である)。R4、R5及びR6で表されるアルキル基は、直鎖アルキル基が好ましい。当該基としては、下記式で表される基が挙げられる。下記式中、*は結合手を示す。
【0038】
【化7】
【0039】
5で表される炭素数6~20のアリール基又は炭素数3~20のヘテロアリール基は、上述のR1で説明したアリール基又はヘテロアリール基と同様のものが挙げられる。
【0040】
6で表される炭素数1~10のアルキル基は、R2~R4で説明したアルキル基と同様のものが挙げられる。該アルキル基に含まれる水素原子は、炭素数6~10のアリール基で置換されていてもよく、前記アリール基は、R1及びR5で説明したアリール基と同様のものが挙げられる。
【0041】
Ar1で表される炭素数6~20のアリーレン基又は炭素数3~20のヘテロアリーレン基としては、R1で説明したアリール基又はヘテロアリール基に含まれる水素原子を除去して単結合に置き換えた2価の基が挙げられる。アリーレン基又はヘテロアリーレン基の炭素数は、好ましくは3~18、より好ましくは3~12、さらに好ましくは3~9である。
中でも、アリーレン基が好ましく、フェニルジイル基、ジフェニルジイル基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、フルオレンジイル基、ビフェニレン基(例えばビフェニル-2,2’-ジイル基)等がより好ましい。
【0042】
5で表されるアルキル基に含まれる水素原子と置換されてもよいハロゲン原子、及びAr1で表されるアリーレン基及びヘテロアリーレン基に含まれる水素原子と置換されてもよいハロゲン原子は、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、ヨウ素原子であることが好ましい。
【0043】
5で表されるアリール基及びヘテロアリール基に含まれる、水素原子と置換されてもよい炭素数1~20のアルコキシ基、並びにAr1で表されるアリーレン基及びヘテロアリーレン基に含まれる、水素原子と置換されてもよい炭素数1~20のアルコキシ基は、R1で説明したアリール基及びヘテロアリール基に含まれる水素原子と置換されてもよいアルコキシ基と同様のものが挙げられる。
【0044】
1及びZ2で表されるNR4(-N(R4)-)としては、-N(CH3)-、-N(CH2CH3)-、-N(CH2CH2CH3)-、-N(CH2(CH3)CH3)-、-N(CH2CH2CH2CH3)-、-N(CH2CH2(CH3)CH3)-、-N(CH2CH2CH2CH2CH3)-、-N(CH2CH2CH2CH2CH2CH3)-、-N(CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH3)-、-N(CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH3)-、-N(CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH3)-、-N(CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH3)-等が挙げられる。
【0045】
3及びZ4で表されるN(R62としては、アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、2-エチルヘキシルアミノ基、N,N-ジメチルアミノ基、N-エチル-N-メチルアミノ基、N,N-ジエチルアミノ基、N-プロピル-N-メチルアミノ基、N,N-ジプロピルアミノ基、N-イソプロピル-N-メチルアミノ基、N,N-ジイソプロピルアミノ基、N,N-ジイソブチルアミノ基、N,N-ジ(sec-ブチル)アミノ基、N-(tert-ブチル)-N-メチルアミノ基、N,N-ジ(tert-ブチル)アミノ基、N-ブチル-N-メチルアミノ基、N,N-ジブチルアミノ基等が挙げられる。
【0046】
3及びZ4で表されるOR5は、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数6~20のアリールオキシ基、又は炭素数3~20のヘテロアリールオキシ基であることが好ましく、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数6~20のアリールオキシ基、又は炭素数3~20のヘテロアリールオキシ基はそれぞれ、R5で説明したアリール基及びヘテロアリール基に含まれる、水素原子と置換されてもよい炭素数1~20のアルコキシ基、Y1及びY2で説明したアリールオキシ基又はヘテロアリールオキシ基と同様のものが挙げられる。
【0047】
3及びZ4で表されるSR5は、炭素数1~20のアルキルスルファニル基、炭素数6~20のアリールスルファニル基、又は炭素数3~20のヘテロアリールスルファニル基であることが好ましい。
炭素数6~20のアリールスルファニル基、又は炭素数3~20のヘテロアリールスルファニル基は、X1及びX2で表されるアリールスルファニル基又はヘテロアリールスルファニル基と同様のものが挙げられる。
炭素数1~20のアルキルスルファニル基としては、R5で表されるアリール基及びヘテロアリール基に含まれる、水素原子と置換されてもよい炭素数1~20のアルコキシ基のうち、酸素原子を硫黄原子に置き換えたものが挙げられる。
【0048】
2は、水素原子、1価の金属原子、2価の金属原子、3価の置換金属原子、4価の置換金属原子、又は酸化金属原子を表す。
1価の金属原子としては、例えば、Na、K、Li等が挙げられる。
2価の金属原子、3価の置換金属原子、4価の置換金属原子、又は酸化金属原子に含まれる金属原子としては、例えば、周期律表第3族~第15族に属する金属原子が挙げられる。
2価の金属原子としては、具体的には、Cu、Zn、Fe、Co、Ni、Ru、Pb、Rh、Pd、Pt、Mn、Sn、Pb等が挙げられる。
3価の置換金属原子としては、例えばAl-F、Al-Cl、Al-Br、Al-I、Al-OH、Ga-F、Ga-Cl、Ga-Br、Ga-I、In-F、In-Cl、In-Br、In-I、Tl-F、Tl-Cl、Tl-Br、Tl-I、Al-C65、Al-C64(CH3)、In-C65、In-C64(CH3)、Mn(OH)、Mn(OC65) 、Mn[OSi(CH33]、Fe-Cl、Ru-Cl等が挙げられる。
4価の置換金属原子としては、例えばCrCl2、SiCl2、SiBr2、SiF2、SiI2、ZrCl2、ZrI2、GeCl2、GeBr2、GeF2、GeI2、SnCl2、SnF2、SnBr2、TiF2、TiCl2、TiBr2、Si(OH)2、Ge(OH)2、Zr(OH)2、Mn(OH)2、Sn(OH)2、Ti(R10)2、Cr(R10)2、Si(R10)2、Sn(R10)2、Ge(R10)2〔式中、R10はアルキル基、フェニル基、ナフチル基、あるいはその誘導体を表す〕、Si(OR20)2、Sn(OR20)2、Ge(OR20)2、Ti(OR20)2、Cr(OR20)2〔式中、R20は、アルキル基、フェニル基、ナフチル基、トリアルキルシリル基、ジアルキルアルコキシシリル基、あるいはその誘導体を表す〕、Sn(SR302、Ge(SR302〔式中、R30は、アルキル基、フェニル基、ナフチル基、あるいはその誘導体を表す〕等が挙げられる。
酸化金属原子としては、例えば、VO、MnO、TiO等が挙げられる。
2は、より好ましくはCu、Zn、Fe、Co、Ni、Pd、Mg、VO、TiOであり、さらに好ましくはCu、Zn、Ni、VOであり、特に好ましくは、Cu、VOである。
【0049】
2が水素原子又は1価の金属原子のとき、nは2であり、M2が2価の金属原子、3価の置換金属原子、4価の置換金属原子、又は酸化金属原子のとき、nは1である。
*d、*d1、*d2、*e、*e1、*e2、*f1、及び*f2はいずれも結合手を表し、2つの*dの一方が*d1と結合し、他方が*d2と結合する。2つの*eの一方が*e1と結合し、他方が*e2と結合する。*f1及び*f2は、M2と結合する。
このように結合すると、式(II)で表される化合物は、後述する式(II-1)~(II-4)で表される化合物を表す。
【0050】
式(II)において、Z1及びZ2は、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子又はNR4を表す。
1及びZ2の組み合わせは、酸素原子と酸素原子との組み合わせ又は硫黄原子とNR4との組み合わせであることが好ましい。R4は、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基であることが好ましく、水素原子又は炭素数1~8のアルキル基であることがより好ましく、水素原子又はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、又は1-フェニルメチル基であることがさらに好ましい。
Ar1は、炭素数6~20のアリーレン基であることが好ましく、炭素数6~18のアリーレン基であることがより好ましく、ビフェニル-2,2’-ジイル基、又はフェニル-1,2-ジイル基であることがさらに好ましい。
3及びZ4は、それぞれ独立に、SR5、OR5又はN(R62であることが好ましい。
3及びZ4の組み合わせは、OR5とN(R62との組み合わせ、OR5とOR5との組み合わせ、又はOR5とSR5との組み合わせであることがより好ましい。
5は、炭素数1~20のアルキル基、又は炭素数6~20のアリール基であることが好ましく、炭素数6~20のアリール基であることがより好ましく、1-ナフチル基、2-ナフチル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、又は(1,1-ジメチル-3,3-ジメチルブチル)フェニル基であることがさらに好ましく、R6は水素原子又は炭素数1~8のアルキル基であることが好ましく、M2は、周期律表第5族に属する酸化金属原子、又は周期律表第9族~第12族に属する2価の金属原子であることが好ましく、VO、Ni、Pd、Co、Zn又はCuであることがより好ましい。
【0051】
本願において、式(II)は、式(IIa)として略記する場合があり、式(IIa)で表される化合物は、式(II)で表される化合物と同じである。
【0052】
【化8】
【0053】
着色剤(A)は、式(I-1)~(I-4)で表される化合物の1種以上、又は式(II-1)~(II-4)で表される化合物の1種以上を含むことが好ましい。
【0054】
【化9】

(式中、X1、X2、Y1、Y2、M1は、前記と同義である。)
【0055】
【化10】

(式中、Z1、Z2、Ar1、Z3、Z4、M2は前記と同義である。)
【0056】
式(I)又は(II)で表される化合物(着色剤(A1))の含有率は、着色剤(A)の総量中、好ましくは20~100質量%であり、より好ましくは30~100質量%であり、さらに好ましくは40~100質量%である。
【0057】
着色剤(A1)の含有率は、着色硬化性樹脂組成物の固形分の総量中、好ましくは2~60質量%、より好ましくは4~55質量%、さらに好ましくは6~50質量%である。
なお、本明細書において「固形分の総量」とは、本発明の着色硬化性樹脂組成物から溶剤を除いた成分の合計量をいう。固形分の総量及びこれに対する各成分の含有量は、例えば、液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー等の公知の分析手段により測定することができる。
【0058】
着色剤(A)は、着色剤(A1)とは異なる着色剤(以下、着色剤(A2)ともいう)をさらに含むことが好ましい。
【0059】
着色剤(A2)は、染料でも顔料のいずれであってもよい。
染料としては、例えば、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)において顔料以外で色相を有するものに分類されている化合物や、染色ノート(色染社)に記載されている公知の染料が挙げられる。特にキサンテン染料が好ましい。
【0060】
キサンテン染料は、分子内にキサンテン骨格を有する化合物を含む染料である。キサンテン染料としては、例えば、C.I.アシッドレッド51(以下、C.I.アシッドレッドの記載を省略し、番号のみの記載とする。他も同様である。)、52、87、92、94、289、388、C.I.アシッドバイオレット9、30、102、C.I.ベーシックレッド1(ローダミン6G)、2、3、4、8、10、11、C.I.ベーシックバイオレット10(ローダミンB)、11、C.I.ソルベントレッド218、C.I.モーダントレッド27、C.I.リアクティブレッド36(ローズベンガルB)、スルホローダミンG、特開2010-32999号公報に記載のキサンテン染料及び特許第4492760号公報に記載のキサンテン染料等が挙げられる。有機溶剤に溶解するものが好ましい。
【0061】
キサンテン染料は、市販されているキサンテン染料(例えば、中外化成(株)製の「Chugai Aminol Fast Pink R-H/C」、田岡化学工業(株)製の「Rhodamin 6G」)を用いることができる。また、市販されているキサンテン染料を出発原料として、特開2010-32999号公報を参考に合成することもできる。
【0062】
この他の染料として、アゾ染料、シアニン染料、トリフェニルメタン染料、チアゾール染料、オキサジン染料、フタロシアニン染料、キノフタロン染料、アントラキノン染料、ナフトキノン染料、キノンイミン染料、メチン染料、アゾメチン染料、スクアリリウム染料、アクリジン染料、スチリル染料、クマリン染料、キノリン染料及びニトロ染料等を使用してもよくそれぞれ公知の染料が使用される。
このような染料としては、具体的には、C.I.ソルベントイエロー4(以下、C.I.ソルベントイエローの記載を省略し、番号のみの記載とする。)、14、15、23、24、38、62、63、68、82、94、98、99、117、162、163、167、189;
C.I.ソルベントレッド45、49、111、125、130、143、145、146、150、151、155、168、169、172、175、181、207、222、227、230、245、247;
C.I.ソルベントオレンジ2、7、11、15、26、56、77、86;
C.I.ソルベントバイオレット11、13、14、26、31、36、37、38、45、47、48、51、59、60;
C.I.ソルベントブルー4、5、14、18、35、36、37、45、58、59、59:1、63、67、68、69、70、78、79、83、90、94、97、98、100、101、102、104、105、111、112、122、128、132、136、139;
C.I.ソルベントグリーン1、3、4、5、7、28、29、32、33、34、35等のC.I.ソルベント染料、
C.I.アシッドイエロー1、3、7、9、11、17、23、25、29、34、36、38、40、42、54、65、72、73、76、79、98、99、111、112、113、114、116、119、123、128、134、135、138、139、140、144、150、155、157、160、161、163、168、169、172、177、178、179、184、190、193、196、197、199、202、203、204、205、207、212、214、220、221、228、230、232、235、238、240、242、243、251;
C.I.アシッドレッド1、4、8、14、17、18、26、27、29、31、33、34、35、37、40、42、44、50、57、66、73、76、80、88、91、95、97、98、103、106、111、114、129、133、134、138、143、145、150、151、155、158、160、172、176、182、183、195、198、206、211、215、216、217、227、228、249、252、257、258、260、261、266、268、270、274、277、280、281、308、312、315、316、339、341、345、346、349、382、383、394、401、412、417、418、422、426;
C.I.アシッドオレンジ6、7、8、10、12、26、50、51、52、56、62、63、64、74、75、94、95、107、108、169、173;
C.I.アシッドバイオレット6B、7、15、16、17、19、21、23、24、25、34、38、49、72;
C.I.アシッドブルー1、3、5、7、9、11、13、15、17、18、22、23、24、25、26、27、29、34、38、40、41、42、43、45、48、51、54、59、60、62、70、72、74、75、78、80、82、83、86、87、88、90、90:1、91、92、93、93:1、96、99、100、102、103、104、108、109、110、112、113、117、119、120、123、126、127、129、130、131、138、140、142、143、147、150、151、154、158、161、166、167、168、170、171、175、182、183、184、187、192、199、203、204、205、210、213、229、234、236、242、243、256、259、267、269、278、280、285、290、296、315、324:1、335、340;
C.I.アシッドグリーン1、3、5、6、7、8、9、11、13、14、15、16、22、25、27、28、41、50、50:1、58、63、65、80、104、105、106、109等のC.I.アシッド染料、
C.I.ダイレクトイエロー2、33、34、35、38、39、43、47、50、54、58、68、69、70、71、86、93、94、95、98、102、108、109、129、136、138、141;
C.I.ダイレクトレッド79、82、83、84、91、92、96、97、98、99、105、106、107、172、173、176、177、179、181、182、184、204、207、211、213、218、220、221、222、232、233、234、241、243、246、250;
C.I.ダイレクトオレンジ26、34、39、41、46、50、52、56、57、61、64、65、68、70、96、97、106、107;
C.I.ダイレクトバイオレット47、52、54、59、60、65、66、79、80、81、82、84、89、90、93、95、96、103、104;
C.I.ダイレクトブルー1、2、3、6、8、15、22、25、28、29、40、41、42、47、52、55、57、71、76、77、78、80、81、84、85、86、90、93、94、95、97、98、99、100、101、106、107、108、109、113、114、115、117、119、120、137、149、150、153、155、156、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、170、171、172、173、188、189、190、192、193、194、195、196、198、199、200、201、202、203、207、209、210、212、213、214、222、225、226、228、229、236、237、238、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、256、257、259、260、268、274、275、293;
C.I.ダイレクトグリーン25、27、31、32、34、37、63、65、66、67、68、69、72、77、79、82等のC.I.ダイレクト染料、
C.I.ディスパースイエロー51、54,76;
C.I.ディスパースバイオレット26、27;
C.I.ディスパースブルー1、14、56、60等のC.I.ディスパース染料、
C.I.ベーシックブルー1、3、5、7、9、19、21、22、24、25、26、28、29、40、41、45、47、54、58、59、60、64、65、66、67、68、81、83、88、89;
C.I.ベーシックバイオレット2;
C.I.ベーシックレッド9;
C.I.ベーシックグリーン1;等のC.I.ベーシック染料、
C.I.リアクティブイエロー2,76,116;
C.I.リアクティブオレンジ16;
C.I.リアクティブレッド36;等のC.I.リアクティブ染料、
C.I.モーダントイエロー5、8、10、16、20、26、30、31、33、42、43、45、56、61、62、65;
C.I.モーダントレッド1、2、3、4、9、11、12、14、17、18、19、22、23、24、25、26、29、30、32、33、36、37、38、39、41、42、43、45、46、48、52、53、56、62、63、71、74、76、78、85、86、88、90、94、95;
C.I.モーダントオレンジ3、4、5、8、12、13、14、20、21、23、24、28、29、32、34、35、36、37、42、43、47、48;
C.I.モーダントバイオレット1、1:1、2、3、4、5、6、7、8、10、11、14、15、16、17、18、19、21、22、23、24、27、28、30、31、32、33、36、37、39、40、41、44、45、47、48、49、53、58;
C.I.モーダントブルー1、2、3、7、8、9、12、13、15、16、19、20、21、22、23、24、26、30、31、32、39、40、41、43、44、48、49、53、61、74、77、83、84;
C.I.モーダントグリーン1、3、4、5、10、13、15、19、21、23、26、29、31、33、34、35、41、43、53等のC.I.モーダント染料、
C.I.バットグリーン1等のC.I.バット染料等が挙げられる。
【0063】
顔料としては、例えば、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)でピグメントに分類されている顔料が挙げられ、以下の顔料を例示できる。
【0064】
緑色顔料:C.I.ピグメントグリーン7、36、58等
黄色顔料:C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、83、86、93、94、109、110、117、125、128、129、137、138、139、147、148、150、153、154、166、173、185、194、214等
オレンジ色顔料:C.I.ピグメントオレンジ13、31、36、38、40、42、43、51、55、59、61、64、65、71、73等
赤色顔料:C.I.ピグメントレッド9、97、105、122、123、144、149、166、168、176、177、180、192、209、215、216、224、242、254、255、264、265等
青色顔料:C.I.ピグメントブルー15、15:3、15:4、15:6、60等
紫色顔料:C.I.ピグメントバイオレット1、19、23、29、32、36、38等
これらの顔料は、各色について1種の顔料又は複数の顔料を使用してもよく、各色の顔料を組み合わせてもよい。
【0065】
顔料は、必要に応じて、ロジン処理、酸性基または塩基性基が導入された顔料誘導体等を用いた表面処理、高分子化合物等による顔料表面へのグラフト処理、硫酸微粒化法等による微粒化処理、不純物を除去するための有機溶剤や水等による洗浄処理、イオン性不純物のイオン交換法等による除去処理等が施されていてもよい。顔料の粒径は、略均一であることが好ましい。顔料は、顔料分散剤を含有させて分散処理を行うことで、顔料分散剤溶液の中で均一に分散した状態の顔料分散液とすることができる。顔料は、それぞれ単独で分散処理してもよいし、複数種を混合して分散処理してもよい。
【0066】
顔料分散剤としては、前記と同様のものが挙げられる。
【0067】
顔料分散剤を用いる場合、その使用量は、顔料100質量部に対して、好ましくは10質量部以上200質量部以下であり、より好ましくは15質量部以上180質量部以下、さらに好ましくは20質量部以上160質量部以下である。顔料分散剤の使用量が前記の範囲にあると、2種以上の顔料を使用する場合により均一な分散状態の顔料分散液が得られる傾向がある。
【0068】
着色剤(A)が着色剤(A2)を含む場合、着色剤(A2)の含有率は、着色剤(A)の総量中、好ましくは1~80質量%、より好ましくは1~70質量%、さらに好ましくは1~60質量%である。
【0069】
着色硬化性樹脂組成物中の着色剤(A)の含有率は、固形分の総量に対して、通常1質量%以上70質量%以下であり、好ましくは2質量%以上65質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上60質量%以下であり、特に好ましくは7質量%以上55質量%以下である。前記化合物の含有率が前記の範囲内であると、所望とする分光や色濃度をより得やすくなる。
【0070】
<樹脂(B)>
樹脂(B)は、特に限定されないが、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。樹脂(B)としては、以下の樹脂[K1]~[K6]等が挙げられる。
樹脂[K1];不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種(a)(以下「(a)」という場合がある)に由来する構造単位と、炭素数2~4の環状エーテル構造及びエチレン性不飽和結合を有する単量体(b)(以下「(b)」という場合がある)に由来する構造単位とを有する共重合体;
樹脂[K2];(a)に由来する構造単位と(b)に由来する構造単位と、(a)と共重合可能な単量体(c)(ただし、(a)及び(b)とは異なる。)(以下「(c)」という場合がある)に由来する構造単位とを有する共重合体;
樹脂[K3];(a)に由来する構造単位と(c)に由来する構造単位とを有する共重合体;
樹脂[K4];(a)に由来する構造単位に(b)を付加させた構造単位と(c)に由来する構造単位とを有する共重合体;
樹脂[K5];(b)に由来する構造単位に(a)を付加させた構造単位と(c)に由来する構造単位とを有する共重合体;
樹脂[K6];(b)に由来する構造単位に(a)を付加させ、カルボン酸無水物をさらに付加させた構造単位と(c)に由来する構造単位とを有する共重合体。
【0071】
(a)としては、具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、o-、m-、p-ビニル安息香酸等の不飽和モノカルボン酸類;
マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、3-ビニルフタル酸、4-ビニルフタル酸、3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸、ジメチルテトラヒドロフタル酸、1,4-シクロヘキセンジカルボン酸等の不飽和ジカルボン酸類;
メチル-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸、5-カルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-カルボキシ-5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-カルボキシ-5-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-カルボキシ-6-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-カルボキシ-6-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン等のカルボキシ基を含有するビシクロ不飽和化合物類;
無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、3-ビニルフタル酸無水物、4-ビニルフタル酸無水物、3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸無水物、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物、ジメチルテトラヒドロフタル酸無水物、5,6-ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン無水物等の不飽和ジカルボン酸類無水物;
こはく酸モノ〔2-(メタ)アクリロイルオキシエチル〕、フタル酸モノ〔2-(メタ)アクリロイルオキシエチル〕等の2価以上の多価カルボン酸の不飽和モノ〔(メタ)アクリロイルオキシアルキル〕エステル類;
α-(ヒドロキシメチル)アクリル酸のような、同一分子中にヒドロキシ基及びカルボキシ基を含有する不飽和アクリレート類等が挙げられる。
これらのうち、共重合反応性の点や得られる樹脂のアルカリ水溶液への溶解性の点から、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等が好ましい。
【0072】
(b)は、例えば、炭素数2~4の環状エーテル構造(例えば、オキシラン環、オキセタン環及びテトラヒドロフラン環からなる群から選ばれる少なくとも1種)とエチレン性不飽和結合とを有する重合性化合物をいう。(b)は、炭素数2~4の環状エーテルと(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体が好ましい。
尚、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。「(メタ)アクリロイル」及び「(メタ)アクリレート」等の表記も、同様の意味を有する。
【0073】
(b)としては、例えば、オキシラニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b1)(以下「(b1)」という場合がある)、オキセタニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b2)(以下「(b2)」という場合がある)、テトラヒドロフリル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b3)(以下「(b3)」という場合がある)等が挙げられる。
【0074】
(b1)としては、例えば、直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族不飽和炭化水素がエポキシ化された構造を有する単量体(b1-1)(以下「(b1-1)」という場合がある)、脂環式不飽和炭化水素がエポキシ化された構造を有する単量体(b1-2)(以下「(b1-2)」という場合がある)が挙げられる。
【0075】
(b1-1)としては、グリシジル(メタ)アクリレート、β-メチルグリシジル(メタ)アクリレート、β-エチルグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテル、o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、α-メチル-o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、α-メチル-m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、α-メチル-p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、2,3-ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,4-ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,5-ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,6-ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,4-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,5-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,6-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、3,4,5-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,4,6-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン等が挙げられる。
【0076】
(b1-2)としては、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド、1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサン(例えば、セロキサイド2000;(株)ダイセル製)、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート(例えば、サイクロマーA400;(株)ダイセル製)、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート(例えば、サイクロマーM100;(株)ダイセル製)、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルオキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0077】
(b2)としては、オキセタニル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体がより好ましい。(b2)としては、3-メチル-3-メタクリルロイルオキシメチルオキセタン、3-メチル-3-アクリロイルオキシメチルオキセタン、3-エチル-3-メタクリロイルオキシメチルオキセタン、3-エチル-3-アクリロイルオキシメチルオキセタン、3-メチル-3-メタクリロイルオキシエチルオキセタン、3-メチル-3-アクリロイルオキシエチルオキセタン、3-エチル-3-メタクリロイルオキシエチルオキセタン、3-エチル-3-アクリロイルオキシエチルオキセタン等が挙げられる。
【0078】
(b3)としては、テトラヒドロフリル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体がより好ましい。(b3)としては、具体的には、テトラヒドロフルフリルアクリレート(例えば、ビスコートV#150、大阪有機化学工業(株)製)、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等が挙げられる。
【0079】
(b)としては、得られる光学フィルタの耐熱性、耐薬品性等の信頼性をより高くすることができる点で、(b1)であることが好ましい。さらに、着色硬化性樹脂組成物の保存安定性が優れるという点で、(b1-2)がより好ましい。
【0080】
(c)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イル(メタ)アクリレート(当該技術分野では、慣用名として「ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート」といわれている。また、「トリシクロデシル(メタ)アクリレート」という場合がある。)、トリシクロ[5.2.1.02,6]デセン-8-イル(メタ)アクリレート(当該技術分野では、慣用名として「ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート」といわれている。)、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、プロパルギル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;
2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル類;
マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等のジカルボン酸ジエステル;
ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-(2’-ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-メトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-エトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジ(ヒドロキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジ(2’-ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジエトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシ-5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシ-5-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシメチル-5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-tert-ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-シクロヘキシルオキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ビス(tert-ブトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ビス(シクロヘキシルオキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン等のビシクロ不飽和化合物類;
N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-スクシンイミジル-3-マレイミドベンゾエート、N-スクシンイミジル-4-マレイミドブチレート、N-スクシンイミジル-6-マレイミドカプロエート、N-スクシンイミジル-3-マレイミドプロピオネート、N-(9-アクリジニル)マレイミド等のジカルボニルイミド誘導体類;
スチレン、α-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ビニルトルエン、p-メトキシスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン等が挙げられる。
これらのうち、共重合反応性及び耐熱性の点から、スチレン、ビニルトルエン、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-ベンジルマレイミド、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン等が好ましい。
【0081】
樹脂[K1]において、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K1]を構成する全構造単位中、
(a)に由来する構造単位;2~60モル%
(b)に由来する構造単位;40~98モル%
であることが好ましく、
(a)に由来する構造単位;10~50モル%
(b)に由来する構造単位;50~90モル%
であることがより好ましい。
樹脂[K1]の構造単位の比率が、上記の範囲にあると、着色硬化性樹脂組成物の保存安定性、着色パターンを形成する際の現像性、及び得られる光学フィルタの耐溶剤性に優れる傾向がある。
【0082】
樹脂[K1]は、例えば、文献「高分子合成の実験法」(大津隆行著 発行所(株)化学同人 第1版第1刷 1972年3月1日発行)に記載された方法及び当該文献に記載された引用文献を参考にして製造することができる。
【0083】
具体的には、(a)及び(b)の所定量、重合開始剤及び溶剤等を反応容器中に入れて、例えば、窒素により酸素を置換することにより、脱酸素雰囲気にし、撹拌しながら、加熱及び保温する方法が挙げられる。なお、ここで用いられる重合開始剤及び溶剤等は、特に限定されず、当該分野で通常使用されているものを使用することができる。例えば、重合開始剤としては、アゾ化合物(2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等)や有機過酸化物(ベンゾイルペルオキシド等)が挙げられ、溶剤としては、各モノマーを溶解するものであればよく、本発明の着色硬化性樹脂組成物の溶剤(E)として後述する溶剤等が挙げられる。
【0084】
なお、得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿等の方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。特に、この重合の際に溶剤として、本発明の着色硬化性樹脂組成物に含まれる溶剤を使用することにより、反応後の溶液をそのまま本発明の着色硬化性樹脂組成物の調製に使用することができるため、本発明の着色硬化性樹脂組成物の製造工程を簡略化することができる。
【0085】
樹脂[K2]において、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K2]を構成する全構造単位中、
(a)に由来する構造単位;2~45モル%
(b)に由来する構造単位;2~95モル%
(c)に由来する構造単位;1~65モル%
であることが好ましく、
(a)に由来する構造単位;5~40モル%
(b)に由来する構造単位;5~80モル%
(c)に由来する構造単位;5~60モル%
であることがより好ましい。
樹脂[K2]の構造単位の比率が、上記の範囲にあると、着色硬化性樹脂組成物の保存安定性、着色パターンを形成する際の現像性、並びに、得られる光学フィルタの耐溶剤性、耐熱性及び機械強度に優れる傾向がある。
【0086】
樹脂[K2]は、例えば、樹脂[K1]の製造方法として記載した方法と同様に製造することができる。
【0087】
樹脂[K3]において、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K3]を構成する全構造単位中、
(a)に由来する構造単位;2~60モル%
(c)に由来する構造単位;40~98モル%
であることが好ましく、
(a)に由来する構造単位;10~50モル%
(c)に由来する構造単位;50~90モル%
であることがより好ましい。
樹脂[K3]は、例えば、樹脂[K1]の製造方法として記載した方法と同様に製造することができる。
【0088】
樹脂[K4]は、(a)と(c)との共重合体を得て、(b)が有する炭素数2~4の環状エーテルを(a)が有するカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物に付加させることにより製造することができる。
まず(a)と(c)との共重合体を、樹脂[K1]の製造方法として記載した方法と同様に製造する。この場合、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K3]で挙げたもの同じ比率であることが好ましい。
【0089】
次に、前記共重合体中の(a)に由来するカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物の一部に、(b)が有する炭素数2~4の環状エーテルを反応させる。
(a)と(c)との共重合体の製造に引き続き、フラスコ内雰囲気を窒素から空気に置換し、(b)、カルボン酸又はカルボン酸無水物と環状エーテルとの反応触媒(例えばトリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等)及び重合禁止剤(例えばハイドロキノン等)等をフラスコ内に入れて、例えば、60~130℃で、1~10時間反応することにより、樹脂[K4]を製造することができる。
(b)の使用量は、(a)100モルに対して、5~80モルが好ましく、より好ましくは10~75モルである。この範囲にすることにより、着色硬化性樹脂組成物の保存安定性、パターンを形成する際の現像性、並びに、得られるパターンの耐溶剤性、耐熱性、機械強度及び感度のバランスが良好になる傾向がある。環状エーテルの反応性が高く、未反応の(b)が残存しにくいことから、樹脂[K4]に用いる(b)としては(b1)が好ましく、さらに(b1-1)が好ましい。
前記反応触媒の使用量は、(a)、(b)及び(c)の合計量100質量部に対して0.001~5質量部が好ましい。前記重合禁止剤の使用量は、(a)、(b)及び(c)の合計量100質量部に対して0.001~5質量部が好ましい。
仕込方法、反応温度及び時間等の反応条件は、製造設備や重合による発熱量等を考慮して適宜調整することができる。なお、重合条件と同様に、製造設備や重合による発熱量等を考慮し、仕込方法や反応温度を適宜調整することができる。
【0090】
樹脂[K5]は、第一段階として、上述した樹脂[K1]の製造方法と同様にして、(b)と(c)との共重合体を得る。上記と同様に、得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿等の方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。
(b)及び(c)に由来する構造単位の比率は、前記の共重合体を構成する全構造単位の合計モル数に対して、それぞれ、
(b)に由来する構造単位;5~95モル%
(c)に由来する構造単位;5~95モル%
であることが好ましく、
(b)に由来する構造単位;10~90モル%
(c)に由来する構造単位;10~90モル%
であることがより好ましい。
【0091】
さらに、樹脂[K4]の製造方法と同様の条件で、(b)と(c)との共重合体が有する(b)に由来する環状エーテルに、(a)が有するカルボン酸又はカルボン酸無水物を反応させることにより、樹脂[K5]を得ることができる。
前記の共重合体に反応させる(a)の使用量は、(b)100モルに対して、5~80モルが好ましい。環状エーテルの反応性が高く、未反応の(b)が残存しにくいことから、樹脂[K5]に用いる(b)としては(b1)が好ましく、さらに(b1-1)が好ましい。
【0092】
樹脂[K6]は、樹脂[K5]に、さらにカルボン酸無水物を反応させた樹脂である。環状エーテルとカルボン酸又はカルボン酸無水物との反応により発生するヒドロキシ基に、カルボン酸無水物を反応させる。
カルボン酸無水物としては、無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、3-ビニルフタル酸無水物、4-ビニルフタル酸無水物、3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸無水物、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物、ジメチルテトラヒドロフタル酸無水物、5,6-ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン無水物等が挙げられる。カルボン酸無水物の使用量は、(a)の使用量1モルに対して、0.5~1モルが好ましい。
【0093】
具体的な樹脂(B)としては、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体等の樹脂[K1];グリシジル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、グリシジル(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸/N-シクロヘキシルマレイミド共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸/N-シクロヘキシルマレイミド/2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、3-メチル-3-(メタ)アクリルロイルオキシメチルオキセタン/(メタ)アクリル酸/スチレン共重合体等の樹脂[K2];ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体等の樹脂[K3];ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂等の樹脂[K4];トリシクロデシル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/スチレン/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂等の樹脂[K5];トリシクロデシル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂にさらにテトラヒドロフタル酸無水物を反応させた樹脂等の樹脂[K6]等が挙げられる。
【0094】
樹脂(B)は、不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種に由来する構造単位と、炭素数2~4の環状エーテル構造及びエチレン性不飽和結合を有する構造単位とを含む共重合体(樹脂[K1]又は樹脂[K2])であることが好ましく、樹脂[K2]であることがより好ましい。
【0095】
樹脂(B)のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは3,000~100,000であり、より好ましくは5,000~50,000であり、さらに好ましくは5,000~30,000である。分子量が前記の範囲内にあると、光学フィルタの硬度が向上し、残膜率が高く、未露光部の現像液に対する溶解性が良好で、着色パターンの解像度が向上する傾向がある。
【0096】
樹脂(B)の分散度[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]は、好ましくは1.1~6であり、より好ましくは1.2~4である。
【0097】
樹脂(B)の酸価は、固形分換算で、好ましくは50~170mg-KOH/gであり、より好ましくは60~150mg-KOH/g、さらに好ましくは70~135mg-KOH/gである。ここで酸価は樹脂(B)1gを中和するために必要な水酸化カリウムの量(mg)として測定される値であり、例えば水酸化カリウム水溶液を用いて滴定することにより求めることができる。
【0098】
樹脂(B)の含有率は、固形分の総量に対して、好ましくは7~65質量%であり、より好ましくは13~60質量%であり、さらに好ましくは17~55質量%である。樹脂(B)の含有率が、前記の範囲内にあると、着色パターンが形成でき、また着色パターンの解像度及び残膜率が向上する傾向がある。
【0099】
<重合性化合物(C)>
重合性化合物(C)は、重合開始剤(D)から発生した活性ラジカル及び/又は酸によって重合しうる化合物であり、例えば、重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物等が挙げられ、好ましくは(メタ)アクリル酸エステル化合物である。
【0100】
中でも、重合性化合物(C)は、エチレン性不飽和結合を3つ以上有する重合性化合物であることが好ましい。このような重合性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールノナ(メタ)アクリレート、トリス(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、エチレングリコール変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレングリコール変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
中でも、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0101】
重合性化合物(C)の重量平均分子量は、好ましくは150以上2,900以下、より好ましくは250以上1,500以下である。
【0102】
重合性化合物(C)の含有率は、固形分の総量に対して、7~65質量%であることが好ましく、より好ましくは13~60質量%であり、さらに好ましくは17~55質量%である。重合性化合物(C)の含有率が、前記の範囲内にあると、着色パターン形成時の残膜率及び光学フィルタの耐薬品性が向上する傾向がある。
【0103】
<重合開始剤(D)>
重合開始剤(D)は、光や熱の作用により活性ラジカル、酸等を発生し、重合を開始しうる化合物であれば特に限定されることなく、公知の重合開始剤を用いることができる。活性ラジカルを発生する重合開始剤としては、例えば、アルキルフェノン化合物、トリアジン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、O-アシルオキシム化合物及びビイミダゾール化合物が挙げられる。
【0104】
前記O-アシルオキシム化合物は、式(d1)で表される部分構造を有する化合物である。以下、*は結合手を表す。
【0105】
【化11】
【0106】
前記O-アシルオキシム化合物としては、例えば、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)ブタン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロペンチルプロパン-1-オン-2-イミン、N-アセトキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタン-1-イミン、N-アセトキシ-1-[9-エチル-6-{2-メチル-4-(3,3-ジメチル-2,4-ジオキサシクロペンタニルメチルオキシ)ベンゾイル}-9H-カルバゾール-3-イル]エタン-1-イミン、N-アセトキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-3-シクロペンチルプロパン-1-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-3-シクロペンチルプロパン-1-オン-2-イミン、N-アセチルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロヘキシルプロパン-1-オン-2-イミン等が挙げられる。イルガキュアOXE01、OXE02(以上、BASF製)、N-1919(ADEKA製)等の市販品を用いてもよい。中でも、O-アシルオキシム化合物は、N-アセチルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロヘキシルプロパン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)ブタン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミン及びN-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロペンチルプロパン-1-オン-2-イミンからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、N-アセチルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロヘキシルプロパン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミンがより好ましい。これらのO-アシルオキシム化合物であると、高明度な光学フィルタが得られる傾向にある。
【0107】
前記アルキルフェノン化合物は、式(d2)で表される部分構造又は式(d3)で表される部分構造を有する化合物である。これらの部分構造中、ベンゼン環は置換基を有していてもよい。
【0108】
【化12】
【0109】
式(d2)で表される部分構造を有する化合物としては、例えば、2-メチル-2-モルホリノ-1-(4-メチルスルファニルフェニル)プロパン-1-オン、2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-2-ベンジルブタン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]ブタン-1-オン等が挙げられる。イルガキュア369、907、379(以上、BASF製)等の市販品を用いてもよい。
【0110】
式(d3)で表される部分構造を有する化合物としては、例えば、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-イソプロペニルフェニル)プロパン-1-オンのオリゴマー、α,α-ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
感度の点で、アルキルフェノン化合物としては、式(d2)で表される部分構造を有する化合物が好ましい。
【0111】
前記トリアジン化合物としては、例えば、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシナフチル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-ピペロニル-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシスチリル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(5-メチルフラン-2-イル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(フラン-2-イル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(3,4-ジメトキシフェニル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。
【0112】
前記アシルホスフィンオキサイド化合物としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。イルガキュア(登録商標)819(BASF製)等の市販品を用いてもよい。
【0113】
前記ビイミダゾール化合物としては、例えば、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール、2,2’-ビス(2,3-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール(例えば、特開平6-75372号公報、特開平6-75373号公報等参照。)、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラ(アルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラ(ジアルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラ(トリアルコキシフェニル)ビイミダゾール(例えば、特公昭48-38403号公報、特開昭62-174204号公報等参照。)、4,4’5,5’-位のフェニル基がカルボアルコキシ基により置換されているビイミダゾール化合物(例えば、特開平7-10913号公報等参照。)等が挙げられる。
【0114】
さらに重合開始剤(D)としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物;ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’-テトラ(tert-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;9,10-フェナンスレンキノン、2-エチルアントラキノン、カンファーキノン等のキノン化合物;10-ブチル-2-クロロアクリドン、ベンジル、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物等が挙げられる。これらは、後述の重合開始助剤(D1)(特にアミン類)と組み合わせて用いることが好ましい。
【0115】
酸を発生する重合開始剤としては、例えば、4-ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムp-トルエンスルホナート、4-ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4-アセトキシフェニルジメチルスルホニウムp-トルエンスルホナート、4-アセトキシフェニルメチルベンジルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムp-トルエンスルホナート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムp-トルエンスルホナート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート等のオニウム塩類や、ニトロベンジルトシレート類、ベンゾイントシレート類等が挙げられる。
【0116】
重合開始剤(D)としては、アルキルフェノン化合物、トリアジン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、O-アシルオキシム化合物及びビイミダゾール化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む重合開始剤が好ましく、O-アシルオキシム化合物を含む重合開始剤がより好ましい。
【0117】
重合開始剤(D)の含有量は、樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1~30質量部であり、より好ましくは1~20質量部である。重合開始剤(D)の含有量が、前記の範囲内にあると、高感度化して露光時間が短縮される傾向があるため光学フィルタの生産性が向上する。
【0118】
<重合開始助剤(D1)>
重合開始助剤(D1)は、重合開始剤によって重合が開始された重合性化合物の重合を促進するために用いられる化合物、もしくは増感剤である。重合開始助剤(D1)を含む場合、通常、重合開始剤(D)と組み合わせて用いられる。
重合開始助剤(D1)としては、アミン化合物、アルコキシアントラセン化合物、チオキサントン化合物及びカルボン酸化合物等が挙げられる。
【0119】
前記アミン化合物としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2-ジメチルアミノエチル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、N,N-ジメチルパラトルイジン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称ミヒラーズケトン)、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられ、中でも4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。EAB-F(保土谷化学工業(株)製)等の市販品を用いてもよい。
【0120】
前記アルコキシアントラセン化合物としては、9,10-ジメトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジメトキシアントラセン、9,10-ジエトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジエトキシアントラセン、9,10-ジブトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジブトキシアントラセン等が挙げられる。
【0121】
前記チオキサントン化合物としては、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン等が挙げられる。
【0122】
前記カルボン酸化合物としては、フェニルスルファニル酢酸、メチルフェニルスルファニル酢酸、エチルフェニルスルファニル酢酸、メチルエチルフェニルスルファニル酢酸、ジメチルフェニルスルファニル酢酸、メトキシフェニルスルファニル酢酸、ジメトキシフェニルスルファニル酢酸、クロロフェニルスルファニル酢酸、ジクロロフェニルスルファニル酢酸、N-フェニルグリシン、フェノキシ酢酸、ナフチルチオ酢酸、N-ナフチルグリシン、ナフトキシ酢酸等が挙げられる。
【0123】
これらの重合開始助剤(D1)を用いる場合、その含有量は、樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1~30質量部、より好ましくは1~20質量部である。重合開始助剤(D1)の量がこの範囲内にあると、さらに高感度で着色パターンを形成することができ、光学フィルタの生産性が向上する傾向にある。
【0124】
<溶剤(E)>
溶剤(E)は、特に限定されず、当該分野で通常使用される溶剤を用いることができる。例えば、エステル溶剤(分子内に-COO-を含み、-O-を含まない溶剤)、エーテル溶剤(分子内に-O-を含み、-COO-を含まない溶剤)、エーテルエステル溶剤(分子内に-COO-と-O-とを含む溶剤)、ケトン溶剤(分子内に-CO-を含み、-COO-を含まない溶剤)、アルコール溶剤(分子内にOHを含み、-O-、-CO-及び-COO-を含まない溶剤)、芳香族炭化水素溶剤、アミド溶剤、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0125】
エステル溶剤としては、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、2-ヒドロキシイソブタン酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、シクロヘキサノールアセテート及びγ-ブチロラクトンなどが挙げられる。
【0126】
エーテル溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、3-メトキシ-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチルブタノール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4-ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アニソール、フェネトール及びメチルアニソールなどが挙げられる。
【0127】
エーテルエステル溶剤としては、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸プロピル、2-エトキシプロピオン酸メチル、2-エトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート及びジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどが挙げられる。
【0128】
ケトン溶剤としては、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、アセトン、2-ブタノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、4-メチル-2-ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン及びイソホロンなどが挙げられる。
【0129】
アルコール溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール及びグリセリンなどが挙げられる。
【0130】
芳香族炭化水素溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン及びメシチレンなどが挙げられる。
【0131】
アミド溶剤としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド及びN-メチルピロリドンなどが挙げられる。
【0132】
溶剤は、エーテル溶剤、エーテルエステル溶剤及びアミド溶剤からなる群より選択される1種以上であることが好ましく、エーテル溶剤、エーテルエステル溶剤及びアミド溶剤を含むことがより好ましく、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、及びN-メチルピロリドンを含むことがさらに好ましい。かかる溶剤であれば、着色剤の溶解性が高くなり光学フィルタの異物が発生しにくくなる。
【0133】
溶剤(E)の含有率は、本発明の着色硬化性樹脂組成物の総量に対して、好ましくは70~95質量%であり、より好ましくは75~92質量%である。言い換えると、着色硬化性樹脂組成物の固形分は、好ましくは5~30質量%、より好ましくは8~25質量%である。溶剤(E)の含有率が前記の範囲内にあると、塗布時の平坦性が良好になり、また光学フィルタを形成した際に色濃度が不足しないために表示特性が良好となる傾向がある。
【0134】
エーテル溶剤の含有率は、溶剤の総量に対して、好ましくは1~55質量%、より好ましくは2~53質量%、さらに好ましくは3~50質量%である。
エーテルエステル溶剤の含有率は、溶剤の総量に対して、好ましくは1~30質量%、より好ましくは2~25質量%、さらに好ましくは3~20質量%である。
アミド溶剤の含有率は、溶剤の総量に対して、好ましくは1~50質量%、より好ましくは2~47質量%、さらに好ましくは3~45質量%である。
【0135】
<レベリング剤(F)>
レベリング剤(F)としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤及びフッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。これらは、側鎖に重合性基を有していてもよい。
シリコーン系界面活性剤としては、分子内にシロキサン結合を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、トーレシリコーンDC3PA、同SH7PA、同DC11PA、同SH21PA、同SH28PA、同SH29PA、同SH30PA、同SH8400(商品名:東レ・ダウコーニング(株)製)、KP321、KP322、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341(信越化学工業(株)製)、TSF400、TSF401、TSF410、TSF4300、TSF4440、TSF4445、TSF4446、TSF4452及びTSF4460(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)等が挙げられる。
【0136】
前記のフッ素系界面活性剤としては、分子内にフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、フロラード(登録商標)FC430、同FC431(住友スリーエム(株)製)、メガファック(登録商標)F142D、同F171、同F172、同F173、同F177、同F183、同F554、同R30、同RS-718-K(DIC(株)製)、エフトップ(登録商標)EF301、同EF303、同EF351、同EF352(三菱マテリアル電子化成(株)製)、サーフロン(登録商標)S381、同S382、同SC101、同SC105(AGC(株)(旧旭硝子(株))製)及びE5844((株)ダイキンファインケミカル研究所製)等が挙げられる。
【0137】
前記のフッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤としては、分子内にシロキサン結合及びフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、メガファック(登録商標)R08、同BL20、同F475、同F477及び同F443(DIC(株)製)等が挙げられる。
【0138】
レベリング剤(F)の含有率は、着色硬化性樹脂組成物の総量に対して、好ましくは0.001質量%以上0.2質量%以下であり、より好ましくは0.002質量%以上0.1質量%以下、さらに好ましくは0.01質量%以上0.05質量%以下である。尚、この含有率に、前記顔料分散剤の含有率は含まれない。レベリング剤(F)の含有率が前記の範囲内にあると、光学フィルタの平坦性を良好にすることができる。
【0139】
<その他の成分>
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、充填剤、他の高分子化合物、密着促進剤、酸化防止剤、光安定剤、連鎖移動剤等、当該技術分野で公知の添加剤を含んでもよい。
【0140】
<着色硬化性樹脂組成物の製造方法>
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、例えば、着色剤(A)、樹脂(B)、重合性化合物(C)、重合開始剤(D)、並びに必要に応じて用いられる溶剤(E)、レベリング剤(F)、重合開始助剤(D1)及びその他の成分を混合することにより調製できる。
着色剤(A)は、上述の着色分散液や顔料分散液を用いて調製してもよい。着色分散液や顔料分散液に、残りの成分を、所定の濃度となるように混合することにより、目的の着色硬化性樹脂組成物を調製できる。
染料を含む場合の染料は、予め溶剤(E)の一部又は全部にそれぞれ溶解させて溶液を調製してもよい。該溶液を、孔径0.01~1μm程度のフィルタでろ過することが好ましい。
混合後の着色硬化性樹脂組成物を、孔径0.01~10μm程度のフィルタでろ過することが好ましい。
【0141】
<光学フィルタの製造方法>
本発明の着色硬化性樹脂組成物から着色パターンを製造する方法としては、フォトリソグラフ法、インクジェット法、印刷法等が挙げられる。中でも、フォトリソグラフ法が好ましい。フォトリソグラフ法は、前記着色硬化性樹脂組成物を基板に塗布し、乾燥させて着色組成物層を形成し、フォトマスクを介して該着色組成物層を露光して、現像する方法である。フォトリソグラフ法において、露光の際にフォトマスクを用いないこと、及び/又は現像しないことにより、上記着色組成物層の硬化物である着色塗膜を形成することができる。このように形成した着色パターンや着色塗膜が本発明の光学フィルタである。
作製する光学フィルタの膜厚は、特に限定されず、目的や用途等に応じて適宜調整することができ、例えば、0.1~30μm、好ましくは0.1~20μm、さらに好ましくは0.5~6μmである。
【0142】
基板としては、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミナケイ酸塩ガラス、表面をシリカコートしたソーダライムガラスなどのガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂板、シリコン、前記基板上にアルミニウム、銀、銀/銅/パラジウム合金薄膜などを形成したものが用いられる。これらの基板上には、別の光学フィルタ層、樹脂層、トランジスタ、回路等が形成されていてもよい。
【0143】
フォトリソグラフ法による各色画素の形成は、公知又は慣用の装置や条件で行うことができる。例えば、下記のようにして作製することができる。
まず、着色硬化性樹脂組成物を基板上に塗布し、加熱乾燥(プリベーク)及び/又は減圧乾燥することにより溶剤等の揮発成分を除去して乾燥させ、平滑な着色組成物層を得る。
塗布方法としては、スピンコート法、スリットコート法、スリット アンド スピンコート法等が挙げられる。
加熱乾燥を行う場合の温度は、30~120℃が好ましく、50~110℃がより好ましい。また加熱時間としては、10秒間~60分間であることが好ましく、30秒間~30分間であることがより好ましい。
減圧乾燥を行う場合は、50~150Paの圧力下、20~25℃の温度範囲で行うことが好ましい。
着色組成物層の膜厚は、特に限定されず、目的とする光学フィルタの膜厚に応じて適宜選択すればよい。
【0144】
次に、着色組成物層は、目的の着色パターンを形成するためのフォトマスクを介して露光される。該フォトマスク上のパターンは特に限定されず、目的とする用途に応じたパターンが用いられる。
露光に用いられる光源としては、250~450nmの波長の光を発生する光源が好ましい。例えば、350nm未満の光を、この波長域をカットするフィルタを用いてカットしたり、436nm付近、408nm付近、365nm付近の光を、これらの波長域を取り出すバンドパスフィルタを用いて選択的に取り出したりしてもよい。具体的には、水銀灯、発光ダイオード、メタルハライドランプ、ハロゲンランプ等が挙げられる。
露光面全体に均一に平行光線を照射したり、フォトマスクと着色組成物層が形成された基板との正確な位置合わせを行うことができるため、マスクアライナ及びステッパ等の露光装置を使用することが好ましい。
【0145】
露光後の着色組成物層を現像液に接触させて現像することにより、基板上に着色パターンが形成される。現像により、着色組成物層の未露光部が現像液に溶解して除去される。現像液としては、例えば、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム等のアルカリ性化合物の水溶液が好ましい。これらのアルカリ性化合物の水溶液中の濃度は、好ましくは0.01~10質量%であり、より好ましくは0.03~5質量%である。さらに、現像液は、界面活性剤を含んでいてもよい。
現像方法は、パドル法、ディッピング法及びスプレー法等のいずれでもよい。さらに現像時に基板を任意の角度に傾けてもよい。
現像後は、水洗することが好ましい。
【0146】
さらに、得られた着色パターンに、ポストベークを行うことが好ましい。ポストベーク温度は、150~250℃が好ましく、160~250℃がより好ましい。ポストベーク時間は、1~120分間が好ましく、5~60分間がより好ましい。
【0147】
本発明の着色硬化性樹脂組成物によれば、異物が発生しにくい光学フィルタを作製することができる。該光学フィルタは、表示装置(例えば、液晶表示装置、有機EL装置、電子ペーパー等)及び固体撮像素子に用いられる膜として有用である。
【実施例
【0148】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、以下においては、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
【0149】
合成例1
還流冷却器、滴下ロート及び攪拌機を備えたフラスコ内に窒素を適量流し窒素雰囲気に置換し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート340部を入れ、攪拌しながら80℃まで加熱した。次いで、アクリル酸57部、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イルアクリレート及び3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-9-イルアクリレートの混合物(含有比はモル比で1:1)54部、ベンジルメタクリレート239部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート73部の混合溶液を5時間かけて滴下した。一方、重合開始剤2,2-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)40部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート197部に溶解した溶液を6時間かけて滴下した。開始剤溶液の滴下終了後、80℃で3時間保持した後、室温まで冷却して、B型粘度計(23℃)で測定した粘度127mPas、固形分37.0%の共重合体(樹脂B-1)溶液を得た。生成した共重合体の重量平均分子量Mwは9.4×103、分散度は1.89、固形分換算の酸価は114mg-KOH/gであった。樹脂B-1は、以下の構造単位を有する。
【0150】
【化13】
【0151】
実施例1
〔着色硬化性樹脂組成物1の調製〕
下記の成分を混合することにより、着色硬化性樹脂組成物1を得た。
着色剤(A):特開2014-19838号公報の材料実施例1に記載のフタロシアニン化合物Pc-02(化合物1) 4.50部
樹脂(B):合成例1で得られた樹脂(B-1) 23.6部(固形換算)重合性化合物(C):(C-1)(ジペンタエリスリトールポリアクリレート:商品名A-9550、新中村化学工業(株)製) 7.86部(固形換算)
(C-2)(トリメチロールプロパントリアクリレート:商品名A-TMPT、新中村化学工業(株)製) 7.86部
重合開始剤(D):(D-1)N-アセチルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロヘキシルプロパン-1-オン-2-イミン:商品名TR-PBG327(常州強力電子新材料製)) 1.18部
溶剤(E):(E-1)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
52.4部
溶剤(E):(E-2)ジエチレングリコールエチルメチルエーテル
111部
溶剤(E):(E-3)N-メチルピロリドン
91.6部
レベリング剤(F):ポリエーテル変性シリコーンオイル(トーレシリコーンSH8400;東レダウコーニング(株)製) 0.045部
【0152】
【化14】
【0153】
実施例2~10
〔着色硬化性樹脂組成物2~10の調製〕
実施例1の着色剤(A)を下記のフタロシアニン化合物(化合物2~10)に代える以外は同様の方法で、着色硬化性樹脂組成物2~10を得た。
【0154】
実施例2:WO2014/208514の実施例5に記載のフタロシアニン化合物(1-5)(化合物2)
【0155】
【化15】
【0156】
実施例3:WO2014/208514の実施例3に記載のフタロシアニン化合物(1-3)(化合物3)
【0157】
【化16】
【0158】
実施例4:WO2014/208514の実施例8に記載のフタロシアニン化合物(1-8)(化合物4)
【0159】
【化17】
【0160】
実施例5:WO2014/208514の実施例2に記載のフタロシアニン化合物(1-2)(化合物5)
【0161】
【化18】
【0162】
実施例6:特開2013-108060号公報の合成実施例8に記載の化学式11に示した化合物例93のフタロシアニン化合物(化合物6)
【0163】
【化19】
【0164】
実施例7:WO2014/115692の実施例6に記載のフタロシアニン化合物(1-6)(化合物7)
【0165】
【化20】
【0166】
実施例8:WO2014/115692の実施例2に記載のフタロシアニン化合物(1-2)(化合物8)
【0167】
【化21】
【0168】
実施例9:WO2014/115692の実施例3に記載のフタロシアニン化合物(1-3)(化合物9)
【0169】
【化22】
【0170】
実施例10:WO2014/115692の実施例4に記載のフタロシアニン化合物(1-4)(化合物10)
【0171】
【化23】
【0172】
[光学フィルタの形成(方法1)]
実施例1~10で得られた着色硬化性樹脂組成物1~10を1週間、40℃で保管した。保管後の各着色硬化性樹脂組成物を、5cm角のガラス基板(イーグル2000;コーニング製)上にスピンコート法で塗布したのち、100℃で3分間プリベークして光学フィルタを得た。その後、オーブン中、230℃で20分間ポストベークを行い、光学フィルタを得た。
【0173】
実施例1~10で得られた着色硬化性樹脂組成物1~10では光学フィルタに異物が観測されなかった。
【0174】
比較例1~3
〔着色硬化性樹脂組成物1’~3’の調製〕
実施例1の着色剤(A)を下記のフタロシアニン化合物(化合物11~13)に変える以外は同様の方法で、着色硬化性樹脂組成物1’~3’を得た。
【0175】
比較例1:特開2010-160380の実施例1に記載のフタロシアニン化合物(化合物11)
【0176】
【化24】
【0177】
比較例2:特開2010-160380の実施例2に記載のフタロシアニン化合物(化合物12)
【0178】
【化25】
【0179】
比較例3:特開2010-160380の実施例3に記載のフタロシアニン化合物(化合物13)
【0180】
【化26】
【0181】
参考例1
[着色硬化性樹脂組成物11の調製]
下記に示す組成となるように各成分を混合して参考例1の着色硬化性樹脂組成物11を得た。下記に示す組成は、溶剤(E)以外は固形分換算量である。
【0182】
着色剤(A):実施例1で使用した化合物1 5部樹脂(B):合成例1で得られた樹脂(B-1) 15部溶剤(E):(E-1)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 20部
(E-2)ジエチレングリコールエチルメチルエーテル 110部
(E-3)N-メチルピロリドン 100部レベリング剤(F):メガファック(登録商標)F554(DIC(株)製) 0.1部
【0183】
参考例2~10及び参考例1’~3’
[着色硬化性樹脂組成物12~20及び着色硬化性樹脂組成物4’~6’の調製]
参考例1における着色剤(A)を、実施例2~10で使用した化合物2~10および比較例1~3で使用した化合物11~13に代える以外は参考例1と同様にして、参考例2~10の着色硬化性樹脂組成物12~20および参考例1’~3’の着色硬化性樹脂組成物4’~6’を得た。
【0184】
[光学フィルタの形成(方法2)]
参考例1~10及び参考例1’~3’で得られた着色硬化性樹脂組成物11~20及び着色硬化性樹脂組成物4’~6’を1週間、40℃で保管した。保管後の各着色硬化性樹脂組成物を、5cm角のガラス基板(イーグルXG;コーニング製)上に、ポストベーク後の膜厚が0.5μmになるように、スピンコート法で、塗布したのち、ホットプレート上、70℃で1分間プリベークして光学フィルタを得た。その後、ホットプレート上、240℃で9分間ポストベークを行うことにより、光学フィルタを得た。
【0185】
得られた光学フィルタを光学顕微鏡にて観察し、10μm以上の大きさの異物が観測されるかを確認した。
その結果、参考例1~10で得られた着色硬化性樹脂組成物11~20では光学フィルタに異物が観測されず、参考例1~3で得られた着色硬化性樹脂組成物4~6では光学フィルタに異物が観測された。