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特許7572957イソシアネート基を含有する二量体脂肪酸-ポリエステルジオールをベースとするポリマー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】イソシアネート基を含有する二量体脂肪酸-ポリエステルジオールをベースとするポリマー
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/42 20060101AFI20241017BHJP
   C08L 75/08 20060101ALI20241017BHJP
   C08L 75/06 20060101ALI20241017BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20241017BHJP
   C09J 175/08 20060101ALI20241017BHJP
   C09J 175/06 20060101ALI20241017BHJP
   C09K 3/10 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
C08G18/42
C08L75/08
C08L75/06
C08K3/013
C09J175/08
C09J175/06
C09K3/10 D
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021545417
(86)(22)【出願日】2020-04-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-20
(86)【国際出願番号】 EP2020059393
(87)【国際公開番号】W WO2020201421
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-03-07
(31)【優先権主張番号】19167575.0
(32)【優先日】2019-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506416400
【氏名又は名称】シーカ テクノロジー アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(74)【代理人】
【識別番号】100116975
【弁理士】
【氏名又は名称】礒山 朝美
(72)【発明者】
【氏名】スベン ライマン
(72)【発明者】
【氏名】ニコル クーベ
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル シュランプフ
【審査官】武貞 亜弓
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-332241(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0305597(US,A1)
【文献】米国特許第06355317(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G、C08L、C08K
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソシアネート基を含有する室温で液体のポリエステルウレタンポリマーの製造方法であって、
少なくとも/1のNCO/OH比で、少なくとも一種のジイソシアネートモノマーと、28~120mg KOH/gの範囲のOH価を有する二量体脂肪酸をベースとするポリエステルジオールと反応させること、及び、それに続いて、
蒸留方法である分離方法によって前記ジイソシアネートモノマーの大部分除去すること
を含み、
前記ポリエステルウレタンポリマーが、1.5重量%~6重量%の範囲のNCO含量、及び0.5重量%以下のジイソシアネートモノマー含量を有することを特徴とする、
ポリエステルウレタンポリマーの製造方法
【請求項2】
前記ポリエステルウレタンポリマーは、前記二量体脂肪酸をベースとするポリエステルジオール以外のポリオールを用いずに製造される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ジイソシアネートモノマーが、ジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネートであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のポリエステルウレタンポリマーの製造方法
【請求項4】
二量体脂肪酸をベースとする前記ポリエステルジオールが、アモルファスであることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリエステルウレタンポリマーの製造方法
【請求項5】
前記NCO/OH比が、/1~10/1の範囲であることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載のポリエステルウレタンポリマーの製造方法
【請求項6】
コーン直径25mm、コーン角度1°、コーンチップ-プレート距離0.5mmを有するコーンプレート粘度計で、50s-1の剪断速度で測定して、20℃にて100~1,000Pa・sの範囲の粘度を有することを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載のポリエステルウレタンポリマーの製造方法
【請求項7】
湿気硬化性ポリウレタン組成物中の接着促進剤としての、請求項1~のいずれか一項に記載の方法によって製造されたポリエステルウレタンポリマーの使用。
【請求項8】
前記ポリエステルウレタンポリマーが、前記ポリウレタン組成物全体に基づき、0.5重量%~15重量%の範囲の量で使用されることを特徴とする、請求項に記載の使用。
【請求項9】
性接着剤及び/又はシーリング剤として適した湿気硬化性ポリウレタン組成物の製造方法であって
- イソシアネート基を含有する少なくとも一種のポリエーテルウレタンポリマー、及び
- 請求項1~のいずれか一項に記載の方法によって製造されたイソシアネート基を含有するポリエステルウレタンポリマー
を混合することを含み、
前記湿気硬化性ポリウレタン組成物は、23℃の温度で、液体であり、随意にペースト状であり、それにより、良好な室温での加工性を有するようになっている、
方法
【請求項10】
前記ポリエーテルウレタンポリマー中のポリエーテルセグメントが、少なくとも80%の1,2-プロピレンオキシ単位及び任意選択でさらに1,2-エチレンオキシ単位からなることを特徴とする、請求項に記載の湿気硬化性ポリウレタン組成物の製造方法
【請求項11】
前記ポリエーテルウレタンポリマーが、1重量%~5重量%の範囲のNCO含量を有することを特徴とする、請求項又は10に記載の湿気硬化性ポリウレタン組成物の製造方法
【請求項12】
溶融可能な構成要素、ブロックされたアミン、充填剤、可塑剤、ジイソシアネートオリゴマー、触媒、及び安定剤から選択される少なくとも一種のさらなる構成成分が前記組成物中に存在することを特徴とする、請求項11のいずれか一項に記載の湿気硬化性ポリウレタン組成物の製造方法
【請求項13】
求項12のいずれか一項に記載の湿気硬化性ポリウレタン組成物の製造方法であって
前記組成物が、
- 20重量%~60重量%の、イソシアネート基を含有するポリエーテルウレタンポリマー、
- 0.5重量%~10重量%の、イソシアネート基を含有する二量体脂肪酸をベースとする前記ポリエステルウレタンポリマー、
- 0重量%~5重量%の溶融可能な構成要素、
- 20重量%~60重量%の充填剤、及び
- 0重量%~35重量%の可塑剤
を含有することを特徴とする、方法
【請求項14】
前記組成物中に合計で0.1重量%未満のジイソシアネートモノマーが存在することを特徴とする、請求項13のいずれか一項に記載の湿気硬化性ポリウレタン組成物の製造方法
【請求項15】
以下の工程を含む、結合又はシーリングする方法:
(i)請求項14のいずれか一項に記載の方法によって製造されたポリウレタン組成物を、
- 第1の基材に適用し、前記組成物と第2の基材とを前記組成物のオープンタイム内に接触させること、又は
- 第1及び第2の基材に適用し、2つの前記基材を前記組成物のオープンタイム内に接合させること、又は
- 2つの基材の間に適用すること、
(ii)前記組成物を湿気との接触によって硬化させること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イソシアネート基を含有し、且つ低いモノマー含量を有するポリマーと、特に、自動車におけるガラスの交替のための接着剤としての使用のための湿気硬化性ポリウレタン組成物中のその使用とに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンをベースとする硬化性組成物は、例えば、自動車組立てにおける弾性ボンドのための接着剤として使用されることが多い。これは、特に、保存安定性、適用性、オープンタイム、硬化速度、接着、強度、弾性、耐候性及び有害物質分類に関して良好な特性を必要とする。
【0003】
1構成要素湿気硬化性系は、特に、それらの取扱いの容易さによって人気がある。一般に、これらの系は、良好な接着特性を示す。しかし、その上では良好な接着を達成することが困難であることを示す特定の基材上への適用がある。この一例は、自動車における交替ペインの結合であり、ここで、基材としての車体フランジは、曝された塗料を有する領域と、塗料にくっついており、完全に除去されていないか、又は結合基材として残されている古い接着剤の残留物を有する領域(「残留接着ビーズ」)との両方を有する。新しい接着剤が残留接着ビーズに完全に接着しない場合、その影響は望まれない水の進入若しくは風騒音である得るか、又はペインの剥離にまで及び得る。残留接着ビーズ上での適切な事前処理を伴わずに今利用可能である湿気硬化性接着剤は、特に、古い接着剤がかなり老化し、したがって、硬く又は脆くなっているとき、単に不適当な接着となることが多い。残留接着ビーズ上の接着の改善のために、公知の接着促進剤、例えば、ジイソシアネートオリゴマー又はその誘導体を使用することは可能である。しかし、これは硬化後の接着剤の弾性の喪失をもたらす。
【0004】
1構成要素ポリウレタン接着剤中の結合剤として存在し、且つ湿気による反応によって硬化するイソシアネート基を含有するポリマーは、ポリオールとジイソシアネートモノマーとの反応によって調製される。このようなポリマーは、鎖伸長反応によって、典型的には、0.5重量%~3重量%の範囲の残留ジイソシアネートモノマー含量を含有する。しかし、ジイソシアネートモノマーは、健康に対して潜在的に有害である。特に、0.1重量%の濃度超のジイソシアネートモノマーを含有する配合物は、ラベル上及びデータシートにおいてハザードシンボル及び警告メッセージと共に提供しなくてはならず、いくつかの国において、販売及び使用に関する規制を受け得る。
【0005】
二量体脂肪酸をベースとするポリエステルポリオールを含有するポリウレタンは公知である。これらは通常、例えば、欧州特許第2,144,944号明細書において、エラストマーの加水分解及び耐溶剤性を増加させるため、又は国際公開第2018/210568号パンフレットにおいて、高い強度とカップリングした高い伸長を得るために、2構成要素ポリウレタンのポリオール構成要素の構成成分として使用される。
【0006】
欧州特許第1,476,485号明細書は、微孔性ポリウレタンフォームの生成のための2構成要素ポリウレタンについて記載しており、ここで、イソシアネート構成要素は、二量体脂肪酸をベースとするポリエステルポリオール及び大過剰なジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネートの反応生成物を構成し、イソシアネート構成要素は、次いで、さらなる二量体脂肪酸をベースとするポリエステルポリオールから主になるポリオール構成要素と共に硬化する。ここで記載されている反応生成物は、その高いNCO含量のために、湿気硬化性ポリウレタン組成物中での使用に適さない。湿気によるこのような組成物の硬化において、ブリスターが形成し、このように得られた生成物の弾性及び伸展性は低すぎる。
【0007】
国際公開第2017/103070号パンフレットは、高い早期強度を有する湿気硬化性ポリウレタン接着剤について記載しており、これは適用のために加熱され、イソシアネート基を含有するポリマーを含み、これは複数の段階において二量体脂肪酸をベースとするポリオールを含んだポリオール混合物から調製される反応生成物である。この反応生成物は非常に高い粘度を有し、その調製は複雑である。その乏しい圧出性によって、これは室温にて適用可能である接着剤には適さず、これは残留接着ビーズへの望ましい接着を可能としない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、室温にて加工可能である湿気硬化性弾性ポリウレタン接着剤のための接着促進剤を提供することにあり、これは、さらなる関連性のある生成物特性、特に、保存安定性、適用性、硬化速度、ブリスター形成、強度、伸展性、弾性及び有害物質分類における喪失を伴わずに、困難な基材、例えば、残留接着ビーズへの接着剤の接着を改善させる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、請求項1に記載のポリマーによって達成される。このポリマーは、ジイソシアネートモノマー、特に、ジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート、及び二量体脂肪酸をベースとするポリエステルジオールをベースとする。これは、1.5重量%~6重量%の範囲のNCO含量、及び0.5重量%以下のジイソシアネートモノマー含量を有する。本発明のポリマーは室温にて液体であり、狭い分子量分布及び事実上有用な粘度を有する。これは、湿気硬化性弾性ポリウレタン接着剤中の接着促進剤としての使用のために優れて適したものであり、ここで、これは驚くほど良好な適合性を有し、特に、硬化速度、強度、伸展性及び他の関連性のある生成物特性に悪影響を与えることなく、残留接着ビーズへの接着及びオープンタイムを明瞭に改善させる。イソシアネート基を含有し、且つ低いモノマー含量を有するポリマーは、良好な接着に対して有害である可能性が高いことが経験によって示されてきたため、接着特性及びオープンタイムに対するプラスの効果はここで驚くべきことである。低いモノマー含量によって、これはまた接着剤の有害物質分類に悪影響を与えることなく大量に使用することができる。さらに、これはポリウレタン組成物、特に、カーボンブラックを充填した接着剤の耐候性を改善させ、その結果として、これらはカーボンブラックが浸出するかなりより低い傾向を有し、したがって、長期の使用の後でさえ基材を汚さない。さらに、本発明のポリマーは、無光沢な接着剤の表面をもたらし、目に見える接着ボンドの場合、これは多くの使用者にとって非常に望ましい。
【0010】
驚いたことに、本発明の二量体脂肪酸をベースとするポリマーは、湿気硬化性ポリウレタン接着剤中で使用されるときさらなる予想外の利点をもたらす。特に驚くべきことであることは、適用特性に対するその好ましい影響である。このような接着剤は、低い含量の本発明のポリマーの場合でさえ、特に、変化しない良好なたるみ耐性及び短い糸形成を伴って、室温にて並びに低い周囲温度及び接着温度にて容器から容易に圧出可能である。
【0011】
初期の強度、たるみ耐性及び糸形成の改善のために、特に、自動車組立てのための湿気硬化性ポリウレタン接着剤は、溶融可能な構成要素、典型的には、結晶性ポリエステルポリオールをベースとする室温固体ポリウレタンポリマーを含むことが多い。しかし、室温にて及び低温条件下での接着剤についての圧出力は、溶融可能な構成要素によって増加し、たるみ耐性は、高度に剪断依存性であり、これは生成及び適用における問題をもたらし得る。本発明の二量体脂肪酸をベースとするポリマーの使用の結果として、溶融可能な構成要素を有するポリウレタン接着剤でさえ、室温にて低温条件下で驚いたことに明瞭により良好に圧出可能であり、それらのレオロジー特性はかなりより剪断依存性でない。より特定すると、本発明のポリマーは、溶融可能な構成要素を非常により少ない量で使用することができるか、又は完全に省略することができる接着剤を可能とする。
【0012】
本発明の二量体脂肪酸をベースとするポリエステルウレタンポリマーは、液体、場合によりペースト状、したがって、室温にて加工可能であり、且つ保存安定性、硬化速度、ブリスター形成、強度、伸展性、弾性及び有害物質分類に関して変化しない良好な特性と合わせて、特定の基材、特に、残留接着ビーズ上で改善された接着特性、改善された適用特性、特に、低温においてでさえ特に良好な圧出性(ここで、室温~5℃での圧出力の上昇は特に小さい)、長いオープンタイム、無光沢な表面、及びより良好な耐候性を有する湿気硬化性弾性ポリウレタン組成物を可能とする。
【0013】
本発明のさらなる態様は、さらなる独立請求項の対象である。本発明の特に好ましい実施形態は、従属請求項の対象である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、少なくとも3/1のNCO/OH比での、少なくとも一種のジイソシアネートモノマーと、28~120mg KOH/gの範囲のOH価を有する二量体脂肪酸をベースとするポリエステルジオールとの反応、それに続く、適切な分離方法を用いたジイソシアネートモノマーの大部分の除去から得られる、イソシアネート基を含有する室温液体ポリエステルウレタンポリマーを提供し、これは、1.5重量%~6重量%の範囲のNCO含量、及び0.5重量%以下のジイソシアネートモノマー含量を有することを特徴とする。
【0015】
「ジイソシアネートモノマー」は、4~15個の炭素原子を有する二価ヒドロカルビル基によって互いに分離している2個のイソシアネート基を有する有機化合物を指す。
【0016】
「ポリエステルウレタンポリマー」は、繰り返し単位としてエステル基を有し、且つウレタン基をさらに含有するポリマーを指す。
【0017】
「二量体脂肪酸をベースとするポリエステルジオール」は、二量体脂肪酸及び/又は二量体脂肪アルコールに由来して調製されたポリエステルジオールを指す。
【0018】
「NCO含量」は、全ポリマーをベースとした重量パーセントでのイソシアネート基の含量を指す。
【0019】
「分子量」は、分子又は分子残渣のモル質量(g/molでの)を指す。「平均分子量」は、オリゴマー又はポリマー分子又は分子残渣の多分散混合物の数平均分子量(M)を指す。これは標準物質としてポリスチレンに対するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定される。
【0020】
物質又は組成物は、貯蔵の結果としてその使用に関与するような程度までその適用特性若しくは使用特性における変化を伴わずに、適切な容器において室温にて長期間に亘り、典型的には、少なくとも3カ月から6カ月若しくはそれ超までに亘り貯蔵することができるとき、「貯蔵安定」又は「貯蔵性」と称される。
【0021】
「室温」は、23℃の温度を指す。
【0022】
本明細書において記述する全ての業界標準は、最初の出願の日付において有効であるバージョンに関する。
【0023】
重量による百分率(重量%)は、他に断りのない限り、組成物全体又は分子全体に基づく、組成物の構成成分又は分子の質量による割合を指す。用語「質量」及び「重量」は、本明細書において同意語として使用される。
【0024】
本発明のポリマーはまた、ポリウレタンプレポリマーと称し得る。
【0025】
本発明のポリマーは好ましくは、1.8重量%~5重量%、より好ましくは、2重量%~4重量%、特に、2.2重量%~3.4重量%の範囲のNCO含量を有する。このようなポリマーは、良好な圧出性、良好な接着特性及び高い強度の魅力的な組合せを有するポリウレタン組成物を可能とする。
【0026】
本発明のポリマーは好ましくは、0.3重量%以下、特に、0.2重量%以下のジイソシアネートモノマー含量を有する。このようなポリマーは特に、0.1重量%未満のジイソシアネートモノマーを有するポリウレタン組成物中の使用に適している。これらは、特別な安全性に関する注意を伴わずに取り扱うのに安全であり、有害物質分類を伴わずに多くの国において販売することができる。
【0027】
適切なジイソシアネートモノマーは、市販の芳香族、脂肪族若しくは脂環式のジイソシアネート、特に、ジフェニルメタン2,4’-及び/若しくは2,2’-ジイソシアネートの画分を任意選択で伴うジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート(MDI)、トリレン2,6-ジイソシアネートを伴うトリレン2,4-ジイソシアネート若しくはこれらの混合物(TDI)、フェニレン1,4-ジイソシアネート(PDI)、ナフタレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、ヘキサン1,6-ジイソシアネート(HDI)、2,2(4),4-トリメチルヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート(TMDI)、シクロヘキサン1,3-若しくは1,4-ジイソシアネート、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(ジイソシアン酸イソホロン若しくはIPDI)、ペルヒドロ(ジフェニルメタン2,4’-若しくは4,4’-ジイソシアネート)(HMDI)、1,3-若しくは1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、m-若しくはp-キシリレンジイソシアネート(XDI)、又はこれらの混合物である。
【0028】
反応のために使用されるジイソシアネートモノマーは好ましくは、ジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート(4,4’-MDI)、トリレン2,6-ジイソシアネートを伴うトリレン2,4-ジイソシアネート若しくはこれらの混合物(TDI)、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(IPDI)又はヘキサン1,6-ジイソシアネート(HDI)である。これらのジイソシアネートは容易に得ることができ安価であり、良好な機械的強度を可能とする。これらのジイソシアネートモノマーの2つ若しくはそれより多いものの組合せを使用することがまた可能である。
【0029】
IPDIが特に好ましい。このようなポリマーは特に、特に高い光安定性を有する湿気硬化性ポリウレタン組成物中で適している。
【0030】
ジイソシアネートモノマーとして最も好ましいのは、4,4’-MDIである。この4,4’-MDIは特にジフェニルメタン2,4’-及び/若しくは2,2’-ジイソシアネートの僅かに小さな画分を含有する質のものであり、室温にて固体である。このようなポリマーは特に急速に硬化し、特に高い強度を可能とする。
【0031】
反応のために使用される二量体脂肪酸をベースとするポリエステルジオールは典型的には室温にて液体である。これは、28~120mg KOH/gの範囲のOH価を有する。
【0032】
このような二量体脂肪酸をベースとするポリエステルジオールは、950~4,000g/molの範囲の平均分子量Mを有する。これらは、大部分は直鎖状構造及び約2の平均OH官能基を有する。
【0033】
二量体脂肪酸をベースとするポリエステルジオールは、好ましくは、アモルファス(非晶質)である。
【0034】
適切な二量体脂肪酸をベースとするポリエステルジオールは特に、生成物が、アモルファスであり、室温にて液体であり、28~120mg KOH/gの範囲のOH価を有するようなこのような化学量論での、ジオール、例えば、エチレングリコール若しくはブタンジオール、及び/又はジカルボン酸、例えば、アジピン酸による、少なくとも一種の二量体脂肪酸及び/又は少なくとも一種の二量体脂肪アルコールのエステル化から得られる。
【0035】
二量体脂肪酸をベースとするポリエステルジオールは好ましくは、50%~100%、好ましくは、60%~95%、特に、70%~90%の範囲の総炭素含量をベースとして、ASTM D6866による再生可能源からの炭素原子の含量を含有する。このようなポリエステルジオールは、アモルファス及び疎水性であり、ポリウレタン接着剤中で特に良好な適合性を有する。
【0036】
二量体脂肪酸をベースとするポリエステルジオールは好ましくは、34~120mg KOH/g、特に、52~60mg KOH/gの範囲のOH価を有する。このような二量体脂肪酸をベースとするポリエステルジオールは、950~3,300g/molの範囲の、特に、1,900~2,200g/molの範囲の平均分子量Mを有する。このようなポリマーは、良好な圧出性、良好な接着特性及び高い強度の特に魅力的な組合せを有するポリウレタン組成物を可能とする。
【0037】
特に適切であるのは、市販のアモルファス二量体脂肪酸をベースとするポリエステルジオール、特に、商品名Priplast(登録商標):Priplast(登録商標)1837、1838、3187、3196、3197、3199若しくは3238(Crodaから)で得られるグレードである。これらのうち、Priplast(登録商標)1838が好ましい。
【0038】
本発明のポリマーは、少なくとも3/1のNCO/OH比での、少なくとも一種のジイソシアネートモノマーと二量体脂肪酸をベースとするポリエステルジオールとの反応から得られる。
【0039】
NCO/OH比は好ましくは、3/1~10/1、より好ましくは、3/1~8/1、特に、4/1~7/1、最も好ましくは、5/1~7/1の範囲である。
【0040】
反応は好ましくは、20~160℃、特に、40~140℃の範囲の温度にて、任意選択で適切な触媒の存在下で湿気を排除して行われる。
【0041】
反応の後、反応混合物中に残存するジイソシアネートモノマーは、適切な分離方法を用いて記載する残留含量まで除去される。
【0042】
好ましい分離方法は、蒸留方法、特に、好ましくは、減圧を加えた薄膜蒸留又は短経路蒸留である。
【0043】
ジイソシアネートモノマーを120~200℃の範囲のジャケット温度、及び0.001~0.5ミリバールの圧力を伴う短経路蒸発器において除去する多段階方法が特に好ましい。
【0044】
ジイソシアネートモノマーとして好ましい4,4’-MDIの場合、蒸留による除去は特に要求が厳しい。例えば、縮合物が凝固して、システムをブロックしないことを確実にすべきである。160~200℃の範囲のジャケット温度にて0.001~0.5ミリバールで作動し、40~60℃の範囲の温度で除去したモノマーを縮合することが好ましい。
【0045】
ジイソシアネートモノマーと二量体脂肪酸をベースとするポリエステルジオールとを反応させ、それに続いて、溶媒又は共留剤の使用を伴わずに、反応混合物中に残存するジイソシアネートモノマーの大部分を除去することが好ましい。
【0046】
反応の後に除去されたジイソシアネートモノマーをそれに続いて再使用すること、すなわち、イソシアネート基を含有するポリマーの調製のためにそれを再び使用することが好ましい。
【0047】
本発明のポリマーは好ましくは、20℃にて1,000Pa・s以下、特に、500Pa・s以下の粘度を有する。20℃での粘度は好ましくは、100~1,000Pa・s、特に、100~500Pa・sの範囲である。30℃での粘度は好ましくは、50~500Pa・s、特に、50~200Pa・sの範囲である。40℃での粘度は好ましくは、25~200Pa・s、特に、25~100Pa・sの範囲である。60℃での粘度は好ましくは、5~25Pa・s、特に、5~20Pa・sの範囲である。粘度は、ここで、コーン直径25mm、コーン角度1°、コーンチップ-プレート距離0.5mmを有するコーンプレート粘度計で、50s-1の剪断速度で測定する。
【0048】
反応において、二量体脂肪酸をベースとするポリエステルジオールのOH基は、ジイソシアネートモノマーのイソシアネート基と反応する。これはまた、ジオール及びジイソシアネートモノマーの間の反応生成物のOH基及び/又はイソシアネート基の反応が存在するという点で、いわゆる鎖伸長反応をもたらす。選択したNCO/OH比が高いほど、生じる鎖伸長反応のレベルはより低く、多分散性及びそれ故にまた得られるポリマーの粘度はより低い。鎖伸長反応の尺度は、ポリマーの平均分子量、又はGPC分析におけるピークの幅及び分布である。さらなる尺度は、ジイソシアネートモノマーとの全てのOH基の反応から計算される理論的なNCO含量に対する、モノマーを含まないポリマーの有効なNCO含量である。
【0049】
本発明のポリマー中のNCO含量は好ましくは、二量体脂肪酸をベースとするポリエステルジオールの1モルのOH基当たり1モルのジイソシアネートモノマーの添加から計算される理論的なNCO含量の少なくとも75%、特に、少なくとも80%である。このようなポリマーは低粘度のものであり、良好な適用特性を可能とする。
【0050】
特に好ましい本発明のポリエステルウレタンポリマーは、4/1~10/1の範囲のNCO/OH比での、4,4’-MDIと、34~120mg KOH/g、特に、52~60mg KOH/gの範囲のOH価を有するアモルファス二量体脂肪酸をベースとするポリエステルジオールとの反応、それに続く、蒸留を用いた4,4’-MDIの除去から得られ、最終的に、2重量%~5重量%、特に、2.2重量%~4重量%の範囲のNCO含量、0.3重量%以下のジイソシアネートモノマー含量、及び20℃にて100~1,000Pa・s、好ましくは、100~500Pa・sの範囲の粘度を有する。
【0051】
本発明のポリマーは室温にて液体であり、したがって、取り扱うことが容易であり、その低いモノマー含量によって、たとえあったとしても単に軽度の有害物質分類を有し、湿気硬化性弾性ポリウレタン接着剤中の接着促進剤として適しており、ここで、これはさらに、適用特性及び耐候性を改善させる。
【0052】
本発明はさらに、湿気硬化性ポリウレタン組成物中の接着促進剤としての本発明のポリエステルウレタンポリマーの使用を提供する。
【0053】
接着促進剤としての使用のために、本発明のポリエステルウレタンポリマーは、ポリウレタン組成物全体に基づき、0.5重量%~15重量%、好ましくは、1重量%~10重量%の範囲の量で使用される。
【0054】
接着促進剤としての使用は、湿気硬化性ポリウレタン組成物の接着特性を改善させる。特に、残留接着ビーズへの接着は改善される。この接着は、特に、新しいペインが湿気硬化性ポリウレタン接着剤によって結合されるとき、自動車におけるペインの交替において重要であり、この場合、基材はまた、交替されるペインが結合される古い接着ビーズの残留物を含む。残留接着ビーズへの非常に良好な接着は、基材上の少量のみのこのような残留物が存在するときでさえ重要である。それは、不完全な接着のスポットが乗り物の操作において水の進入又は厄介な風騒音を生じさせ得るからである。
【0055】
接着促進剤としての使用の場合、本発明のポリマーは、さらなる望ましい効果、例えば、保存安定性、硬化、機械的特性又は有害物質分類における喪失が起こることを伴わずに、良好な剪断に依存しないたるみ耐性及び短い糸形成とカップリングした組成物の圧出性における改善、低温条件下での圧出力の小さな上昇、組成物のより良好な耐候性及び無光沢な表面を示す。
【0056】
本発明はさらに、
-イソシアネート基を含有する少なくとも一種のポリエーテルウレタンポリマー、及び
-イソシアネート基を含有する記載するポリエステルウレタンポリマー
を含む、弾性接着剤及び/又はシーリング剤として適した湿気硬化性ポリウレタン組成物を提供する。
【0057】
湿気硬化性ポリウレタン組成物は好ましくは、室温にて液体、場合によりペースト状であり、したがって、良好な室温での加工性を有する。
【0058】
湿気硬化性ポリウレタン組成物は好ましくは、0.5重量%~15重量%、好ましくは、1重量%~10重量%のイソシアネート基を含有するポリエステルウレタンポリマーを含有する。
【0059】
イソシアネート基を含有する適切なポリエーテルウレタンポリマーは特に、大多数のポリオキシプロピレン構造単位を有するポリエーテルウレタンポリマーである。このようなポリマーは、高い伸展性を有する室温での加工可能な弾性接着剤及び/又はシーリング剤のための主要な結合剤として特に適している。
【0060】
ポリエーテルウレタンポリマー中のポリエーテルセグメントは好ましくは、少なくとも80%の1,2-プロピレンオキシ単位、及び任意選択でさらに1,2-エチレンオキシ単位からなる。
【0061】
イソシアネート基を含有するポリエーテルウレタンポリマーは好ましくは、2,000~20,000g/mol、好ましくは、3,000~15,000g/molの範囲の平均分子量Mを有する。
【0062】
これは、好ましくは、室温にて液体である。
【0063】
イソシアネート基を含有するポリエーテルウレタンポリマーは好ましくは、1重量%~5重量%、特に、1重量%~3重量%の範囲のNCO含量を有する。
【0064】
イソシアネート基を含有する適切なポリエーテルウレタンポリマーは特に、少なくとも一種のポリエーテルポリオールと、超化学量論量の少なくとも一種のジイソシアネートモノマーとの反応から得られる。反応は好ましくは、20~160℃、特に、40~140℃の範囲の温度にて、任意選択で適切な触媒の存在下で湿気を排除して行われる。
【0065】
NCO/OH比は好ましくは、1.3/1~10/1の範囲である。OH基の反応後に反応混合物中に残存するジイソシアネートモノマーは、特に、蒸留によって除去することができる。
【0066】
過剰なジイソシアネートモノマーが蒸留によって除去される場合、反応物中のNCO/OH比は好ましくは、3/1~10/1、特に、4/1~7/1の範囲であり、得られたイソシアネート基を含有するポリマーは、蒸留後に、好ましくは、0.5重量%以下、より好ましくは、0.3重量%以下のジイソシアネートモノマーを含有する。ジイソシアネートモノマーは特に、ここで減圧下での短経路蒸留によって除去される。
【0067】
過剰なジイソシアネートモノマーがポリマーから除去されない場合、反応物中のNCO/OH比は好ましくは、1.3/1~2.5/1の範囲である。このようなポリエーテルウレタンポリマーは特に、3重量%以下、好ましくは、2重量%以下のジイソシアネートモノマーを含有する。
【0068】
好ましいジイソシアネートモノマーは、既に記述した芳香族、脂肪族若しくは脂環式のジイソシアネート、特に、MDI、TDI、HDI若しくはIPDI、又はこれらの混合物である。
【0069】
最も好ましいのは、4,4’-MDIである。これは、高い伸展性とカップリングした特に高い強度を有する弾性接着剤及び/又はシーリング剤をもたらす。
【0070】
適切なポリエーテルポリオールは、市販のポリオール又はこれらの混合物、特に、エチレンオキシド又は1,2-プロピレンオキシド又は1,2-若しくは2,3-ブチレンオキシド又はオキセタン又はテトラヒドロフラン又はこれらの混合物の重合生成物であり、ここで、これらは、2個若しくは3個の活性水素原子を有するスターター分子、特に、スターター分子、例えば、水、アンモニア又は複数のOH若しくはNH基を有する化合物、例えば、エタン-1,2-ジオール、プロパン-1,2-若しくは-1,3-ジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、異性体のジプロピレングリコール又はトリプロピレングリコール、異性体のブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ウンデカンジオール、シクロヘキサン-1,3-若しくは-1,4-ジメタノール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、1,1,1-トリメチロールエタン、1,1,1-トリメチロールプロパン、グリセロール又はアニリン、又は上記の化合物の混合物の助けで重合し得る。同様に適切であるのは、その中に分散しているポリマー粒子を有するポリエーテルポリオール、特に、スチレン/アクリロニトリル(SAN)粒子又はポリ尿素又はポリヒドラゾジカーボンアミド(PHD)粒子を有するものである。
【0071】
好ましいポリエーテルポリオールは、ポリオキシプロピレンジオール若しくはポリオキシプロピレントリオール、又はいわゆるエチレンオキシド末端(EOキャップされた若しくはEO先端の)ポリオキシプロピレンジオール若しくはトリオールである。後者は、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンコポリオールであり、これは特に、ポリオキシプロピレンジオール若しくはトリオールが、ポリプロポキシル化反応の結果、エチレンオキシドによってさらにアルコキシル化されることによって得られ、これらが第一級ヒドロキシル基を有するという結果となる。
【0072】
6~280mg KOH/g、特に、7.5~112mg KOH/gの範囲のOH価を有するポリエーテルポリオールが好ましい。
【0073】
400~20,000g/mol、特に、1,000~15,000g/molの範囲の平均分子量Mを有するポリエーテルポリオールが好ましい。
【0074】
1.6~3の範囲の平均OH官能基を有するポリエーテルポリオールが好ましい。
【0075】
イソシアネート基を含有するポリエーテルウレタンポリマーの調製において、ある割合の二官能性若しくは多官能性アルコールを含むこともまた可能である。
【0076】
本発明の好ましい実施形態では、イソシアネート基を含有するポリエーテルウレタンポリマーは、僅かに少ない含量のジイソシアネートモノマーを含有する。これは好ましくは、0.5重量%以下、より好ましくは、0.3重量%以下、特に、0.2重量%以下のジイソシアネートモノマーを含有する。このようなポリマーは、特に魅力的な有害物質分類を有するポリウレタン組成物を可能とする。
【0077】
イソシアネート基を含有し、且つ1重量%~2.5重量%、特に、1.3重量%~2.1重量%の範囲のNCO含量、及び0.3重量%以下のジイソシアネートモノマー含量を有するポリエーテルウレタンポリマーが特に好ましく、これは、少なくとも3/1のNCO/OH比での、少なくとも一種のジイソシアネートモノマーと、2.2~3の範囲の平均OH官能基、及び20~42mg KOH/gの範囲のOH価を有するポリエーテルトリオールとの反応、それに続く、適切な分離方法を用いたジイソシアネートモノマーの大部分の除去によって得られる。好ましいジイソシアネートモノマーは、IPDI又は4,4’-MDI、特に、4,4’-MDIである。
【0078】
少なくとも3/1のNCO/OH比での、少なくとも一種のジイソシアネートモノマーと、13~38mg KOH/g、特に、22~32mg KOH/gの範囲のOH価を有するポリオキシプロピレンジオールとの反応、及びそれに続く、適切な分離方法を用いたジイソシアネートモノマーの大部分の除去から得られる、イソシアネート基を含有し、且つ1重量%~2.5重量%、特に、1.3重量%~2.1重量%の範囲のNCO含量、及び0.3重量%以下のジイソシアネートモノマー含量を有する直鎖状ポリエーテルウレタンポリマーがさらに特に好ましい。好ましいジイソシアネートモノマーは、IPDI又は4,4’-MDI、特に、4,4’-MDIである。
【0079】
これらの2つの特に好ましいポリエーテルウレタンポリマーの混合物がさらに特に好ましい。
【0080】
湿気硬化性ポリウレタン組成物は好ましくは、溶融可能な構成要素、ブロックされたアミン、充填剤、可塑剤、ジイソシアネートオリゴマー、触媒及び安定剤から選択される少なくとも一つのさらなる構成成分をさらに含む。
【0081】
本発明の一実施形態では、湿気硬化性ポリウレタン組成物は好ましくは、少なくとも一種の溶融可能な構成要素をさらに含む。
【0082】
適切な溶融可能な構成要素は特に、少なくとも一種のジイソシアネートモノマー、特に、4,4’-MDIと、少なくとも一種の結晶性ポリエステルジオール又はポリカーボネートジオールとの反応から得られるイソシアネート基を含有する室温固体ポリエステルウレタンポリマーである。
【0083】
適切なポリエステルジオールは特に、ブタン-1,4-ジオール又はヘキサン-1,6-ジオールを伴うアジピン酸又はセバシン酸又はドデカンジカルボン酸のOH官能性ポリエステルである。
【0084】
適切なポリカーボネートジオールは特に、ヘキサン-1,6-ジオールのOH官能性ポリカーボネートである。
【0085】
このようなポリマーは典型的には、室温にて固体であり、少なくとも部分的に結晶性の特徴を有する。
【0086】
このような溶融可能な構成要素は、第一に加熱した状態において、例えば、約60℃の温度にて塗布される接着剤に適しており、結合されたパーツは自己支持形であり、固定する必要がないように、適用の後非常に急速に高い初期強度を有する。溶融可能な構成要素はここで、適用によって加熱された接着剤中で溶融形態であり、適用された接着剤が冷却するにつれ結晶化する。さらに、このような溶融可能な構成要素は、周囲温度にて適用される接着剤に適しており、ここで、溶融可能な構成要素は結晶化した形態であり、たるみ耐性の増加をもたらす。しかし、溶融可能な構成要素は取り扱うのが困難であり、これによって得られるたるみ耐性は高度に剪断依存性であり、これは生成及び適用における問題をもたらし得る。さらに、溶融可能な構成要素は、室温にて及び低温周囲温度若しくは接着温度にて接着剤を圧出することを困難とする。
【0087】
本発明の二量体脂肪酸をベースとするポリエステルウレタンポリマーは、特定の割合の溶融可能な構成要素を有し、且つ室温にて及び低温条件下でより良好な圧出性を有する接着剤を可能とする。
【0088】
さらに、本発明の二量体脂肪酸をベースとするポリエステルウレタンポリマーは、非常に良好なたるみ耐性を有する接着剤を可能とし、ここで、溶融可能な構成要素は、非常により少ない量で使用されるか、又は溶融可能な構成要素を完全に非含有である。
【0089】
本発明のさらなる実施形態では、湿気硬化性ポリウレタン組成物は好ましくは、少なくとも一種のブロックされたアミンをさらに含む。
【0090】
適切なブロックされたアミンは好ましくは、少なくとも1個のアルジミノ(aldimino)基又はオキサゾリジノ基を有する。湿気との接触によって、これは、アミノ基の放出と共に加水分解され、利用可能なイソシアネート基と反応し、急速なブリスターを伴わない硬化、特に非粘着性の表面及び/又は特に良好な機械的特性を促進することができる。
【0091】
好ましいオキサゾリジンは、モノオキサゾリジン又はビスオキサゾリジン、特に、イソブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド又は置換ベンズアルデヒド、特に、パラ位において10~14個の炭素原子を有する任意選択で、分岐状アルキル基で置換されているベンズアルデヒドに由来するものである。
【0092】
N-アルキルエタノールアミン、例えば、N-n-ブチルエタノールアミンに由来するモノオキサゾリジン、又はジエタノールアミンに由来するOH官能性モノオキサゾリジンと、ジイソシアネート、特に、ヘキサン1,6-ジイソシアネートとの反応からのビスオキサゾリジンが特に好ましい。
【0093】
適切なアルジミンは特に、市販の第一級ジ若しくはトリアミンとエノール化可能でないアルデヒドとの反応からのジ若しくはトリアルジミンである。これらは、アルデヒド基の炭素原子に対してアルファ位において水素原子を有さないアルデヒドである。
【0094】
好ましいブロックされたアミンは、式(I)及び(II)のアルジミン
【化1】
から選択され、式中、
nは、2又は3であり、
Aは、エーテル酸素を任意選択で含み、且つ28~6,000g/molの範囲の分子量を有するn価のヒドロカルビル基であり、
及びRは、それぞれ独立に、1~12個の炭素原子を有する一価ヒドロカルビル基であるか、又は一緒に、4~12個の炭素原子を有する二価ヒドロカルビル基であり、これは、5~8個、好ましくは、6個の炭素原子を有する任意選択で置換されている炭素環式環の部分であり、
は、水素、又は1~12個の炭素原子を有する直鎖状若しくは分岐状のアルキル、アリールアルキル又はアルコキシカルボニル基であり、
は、水素、又は1~20個の炭素原子を有する一価ヒドロカルビル基であり、
は、6~20個の炭素原子を有するアルキル又はアルコキシ基である。
【0095】
Aは好ましくは、特に、28~500g/molの範囲の分子量を有する脂肪族、脂環式若しくはアリール脂肪族基、特に、1,6-ヘキシレン、(1,5,5-トリメチルシクロヘキサン-1-イル)メタン-1,3,4(2)-メチル-1,3-シクロへキシレン、1,3-シクロヘキシレンビス(メチレン)、1,4-シクロヘキシレンビス(メチレン)、1,3-フェニレンビス(メチレン)、1,2-シクロへキシレン、1,3-シクロへキシレン、1,4-シクロへキシレン、メチレンビス(2-メチルシクロヘキサン-4-イル)、(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,5(2,6)-ジイル)ジメチレン、(トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-3(4),8(9)-ジイル)ジメチレン、170~500g/molの範囲の平均分子量Mを有するα,ω-ポリオキシプロピレン、及び330~500g/molの範囲の平均分子量Mを有するトリメチロールプロパン若しくはグリセロール開始トリス(ω-ポリオキシプロピレン)からなる群から選択される基である。
【0096】
好ましくは、R及びRは、それぞれメチルである。
【0097】
好ましくは、Rは、水素である。
【0098】
好ましくは、Rは、メチル又はウンデシルである。
【0099】
好ましくは、Rは、10~14個の炭素原子を有するパラ位における任意選択で分岐状のアルキル基である。
【0100】
特に好ましいブロックされたアミンは、N,N’-ビス(2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロピリデン)ヘキシレン-1,6-ジアミン、N,N’-ビス(2,2-ジメチル-3-アセトキシプロピリデン)-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルアミン、N,N’-ビス(2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロピリデン)-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルアミン、N,N’-ビス(4-C10~14-アルキルベンジリデン)-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルアミン、450~880g/molの範囲の平均分子量Mを有するN,N’-ビス(2,2-ジメチル-3-アセトキシプロピリデン)ポリオキシプロピレンジアミン、750~1,050g/molの範囲の平均分子量Mを有するN,N’-ビス(2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロピリデン)ポリオキシプロピレンジアミン、680~1,100g/molの範囲の平均分子量Mを有するN,N’-ビス(4-C10~14-アルキルベンジリデン)ポリオキシプロピレンジアミン、730~880g/molの範囲の平均分子量Mを有するN,N’,N’’-トリス(2,2-ジメチル-3-アセトキシプロピリデン)ポリオキシプロピレントリアミン、1,150~1,300g/molの範囲の平均分子量Mを有するN,N’,N’’-トリス(2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロピリデン)ポリオキシプロピレントリアミン、及び1,000~1,350g/molの範囲の平均分子量Mを有するN,N’,N’’-トリス(4-C10~14-アルキルベンジリデン)ポリオキシプロピレントリアミンからなる群から選択される。
【0101】
適切な充填剤は特に、脂肪酸、特に、ステアリン酸で、任意選択でコーティングされている粉末状若しくは沈降炭酸カルシウム、バライト、石英粉、石英砂、ドロマイト、珪灰石、焼成カオリン、シート状ケイ酸塩、例えば、雲母若しくはタルク、ゼオライト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、熱分解プロセスからの微粉化シリカを含めたシリカ、セメント、ギプス、フライアッシュ、産業的に生産されたカーボンブラック、黒鉛、例えば、アルミニウム、銅、鉄、銀若しくは鋼の金属粉末、PVC粉末又は軽量充填剤、例えば、中空ガラスビーズ又はガスが充填されたプラスチック球(ミクロスフィア)、特に、ブランド名Expancel(登録商標)(Akzo Nobelから)で得られるタイプである。
【0102】
脂肪酸、特に、ステアリン酸で、任意選択でコーティングされている炭酸カルシウム、焼成カオリン、微粉化シリカ又は産業的に生産されたカーボンブラックが好ましい。
【0103】
適切な可塑剤は、特に、カルボキシルエステル、例えば、フタレート、特に、フタル酸ジイソノニル(DINP)、フタル酸ジイソデシル(DIDP)又はジ(2-プロピルヘプチル)フタレート(DPHP)、水素化フタレート又はシクロヘキサン-1,2-ジカルボキシレート、特に、水素化フタル酸ジイソノニル又はジイソノニルシクロヘキサン-1,2-ジカルボキシレート(DINCH)、テレフタレート、特に、ビス(2-エチルヘキシル)テレフタレート(DOTP)又はジイソノニルテレフタレート(DINT)、水素化テレフタレート又はシクロヘキサン-1,4-ジカルボキシレート、特に、水素化ビス(2-エチルヘキシル)テレフタレート又はビス(2-エチルヘキシル)シクロヘキサン-1,4-ジカルボキシレート、又は水素化ジイソノニルテレフタレート又はジイソノニルシクロヘキサン-1,4-ジカルボキシレート、イソフタレート、トリメリテート、アジペート、特に、アジピン酸ジオクチル、アゼレート、セバケート、ベンゾエート、グリコールエーテル、グリコールエステル、ポリエーテル構造を有する可塑剤、特に、アセテート基の形態でブロックされたヒドロキシル基を有するポリプロピレンオキシドモノオール、ジオール若しくはトリオール、有機リン酸エステル若しくはスルホン酸エステル、ポリブテン、ポリイソブテン、又は天然脂肪若しくは油、特に、エポキシド化ダイズ油若しくは亜麻仁油に由来する可塑剤である。
【0104】
好ましい可塑剤は、フタレート、又はポリエーテル構造を有する可塑剤である。
【0105】
適切なジイソシアネートオリゴマーは、特に、HDIビウレット、例えば、Desmodur(登録商標)N100若しくはN3200(Covestroから)、Tolonate(登録商標)HDB若しくはHDB-LV(Vencorexから)又はDuranate(登録商標)24A-100(旭化成から);HDIイソシアヌレート、例えば、Desmodur(登録商標)N3300、N3600若しくはN3790BA(全てCovestroから)、Tolonate(登録商標)HDT、HDT-LV若しくはHDT-LV2(Vencorexから)、Duranate(登録商標)TPA-100若しくはTHA-100(旭化成から)又はCoronate(登録商標)HX(Tosoh Corp.から);HDIウレトジオン、例えば、Desmodur(登録商標)N3400(Covestroから);HDIイミノオキサジアジンジオン、例えば、Desmodur(登録商標)XP2410(Covestroから);HDIアロファネート、例えば、Desmodur(登録商標)VP LS2102(Covestroから);IPDIイソシアヌレート、例えば、Desmodur(登録商標)Z4470(Covestroから)のような溶液中、若しくはVestanat(登録商標)T1890/100(Evonik Industriesから)のような固体形態;TDIオリゴマー、例えば、Desmodur(登録商標)IL(Covestroから);又はTDI/HDIをベースとする混合イソシアヌレート、例えば、Desmodur(登録商標)HL(Covestroから)である。
【0106】
適切な触媒は、イソシアネート基の反応の加速のための触媒、特に、有機スズ(IV)化合物、例えば、特に、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジクロリド、ジブチルスズジアセチルアセトネート、ジメチルスズジラウレート、ジオクチルスズジアセテート、ジオクチルスズジラウレート又はジオクチルスズジアセチルアセトネート、特に、アルコキシド、カルボキシレート、1,3-ジケトネート、オキシネート、1,3-ケトエステレート及び1,3-ケトアミデートから選択される配位子を有するビスマス(III)若しくはジルコニウム(IV)の錯体、又は第三級アミノ基を含有する化合物、例えば、特に、2,2’-ジモルホリノジエチルエーテル(DMDEE)である。
【0107】
湿気硬化性ポリウレタン組成物がブロックされたアミンを含有する場合、適切な触媒はまた、ブロックされたアミノ基の加水分解のための触媒、特に、有機酸、特に、カルボン酸、例えば、2-エチルヘキサン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ネオデカン酸、安息香酸、サリチル酸又は2-ニトロ安息香酸、有機カルボン酸無水物、例えば、フタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物若しくはメチルヘキサヒドロフタル酸無水物、カルボン酸、有機スルホン酸、例えば、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸又は4-ドデシルベンゼンスルホン酸のシリルエステル、スルホン酸エステル、他の有機酸若しくは無機酸、又は上記の酸及び酸エステルの混合物である。カルボン酸、特に、芳香族カルボン酸、例えば、安息香酸、2-ニトロ安息香酸又は特に、サリチル酸が特に好ましい。
【0108】
また特に適切であるのは、異なる触媒の組合せである。
【0109】
適切な安定剤は特に、酸化、熱、光又は紫外線に対する安定剤、特に、二酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール基を有する化合物(例えば、商品名Irganox(登録商標)(BASFから)で公知のもの)、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン基を有する化合物(HALS(ヒンダードアミン光安定剤)と称される、例えば、商品名Tinuvin(登録商標)(BASFから)で公知のもの)、又はリン含有化合物(例えば、商品名Irgafos(登録商標)(BASFから)で公知のもの)である。
【0110】
湿気硬化性ポリウレタン組成物は、さらなる付加物、特に、
- 無機若しくは有機顔料、特に、二酸化チタン、酸化クロム又は酸化鉄;
- 繊維、特に、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、セラミック繊維、ポリマー繊維、例えば、ポリアミド繊維若しくはポリエチレン繊維、又は天然繊維、例えば、ウール、セルロース、ヘンプ若しくはサイザル;
- ナノ充填剤、例えば、グラフェン又はカーボンナノチューブ;
- 染料;
- デシカント、特に、分子篩粉末、酸化カルシウム、高度に反応性のイソシアネート、例えば、p-トシルイソシアネート、モノオキサゾリジン、例えば、Incozol(登録商標)2(Incorezから)又はオルトギ酸エステル;
- 接着促進剤、特に、オルガノアルコキシシラン、特に、エポキシシラン、例えば、特に、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン若しくは3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロシラン(acrylosilane)、アンヒドリドシラン(anhydridosilane)、カルバマトシラン(carbamatosilane)、アルキルシラン若しくはイミノシラン、又はこれらのシランのオリゴマー形態、又はチタネート;
- イソシアネート基の反応を促進するさらなる触媒;
- レオロジーモディファイヤー、特に、増粘剤、特に、シート状ケイ酸塩、例えば、ベントナイト、ヒマシ油の誘導体、水添ヒマシ油、ポリアミド、ポリアミドワックス、ポリウレタン、尿素化合物、ヒュームドシリカ、セルロースエーテル又は疎水的に修飾したポリオキシエチレン;
- 溶媒、特に、アセトン、酢酸メチル、tert-ブチルアセテート、1-メトキシ-2-プロピルアセテート、エチル3-エトキシプロピオネート、ジイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル、アセタール、例えば、プロピラール(propylal)、ブチラール(butylal)、2-エチルヘキシラール(2-ethylhexylal)、ジオキソラン、グリセロールホルマール又は2,5,7,10-テトラオキサウンデカン(TOU)、トルエン、キシレン、ヘプタン、オクタン、ナフサ、ホワイトスピリット、石油エーテル又はガソリン、特に、Solvesso(商標)グレード(Exxonから)、及び炭酸プロピレン、炭酸ジメチル、ブチロラクトン、N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン、p-クロロベンゾトリフルオリド又はベンゾトリフルオリド;
- 天然樹脂、脂肪若しくは油、例えば、ロジン、セラック、亜麻仁油、ヒマシ油又はダイズ油;
- 非反応性ポリマー、特に、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、イソプレン、酢酸ビニル又は(メタ)アクリル酸アルキルを含む群からの不飽和モノマーのホモ若しくはコポリマー、特に、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリイソブチレン、エチレン/酢酸ビニルコポリマー(EVA)又はアタクチックポリ-α-オレフィン(APAO);
- 難燃性物質、特に、既に記述した水酸化アルミニウム若しくは水酸化マグネシウム充填剤、及びまた特に、有機リン酸エステル、例えば、特に、リン酸トリエチル、リン酸トリクレシル、リン酸トリフェニル、リン酸ジフェニルクレシル、イソデシルジフェニルホスフェート、トリス(1,3-ジクロロ-2-プロピル)ホスフェート、トリス(2-クロロエチル)ホスフェート、トリス(2-エチルヘキシル)ホスフェート、トリス(クロロイソプロピル)ホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェート、イソプロピル化リン酸トリフェニル、異なる程度のイソプロピル化のモノ、ビス若しくはトリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、レソルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)又はポリリン酸アンモニウム;
- 添加物、特に、湿潤剤、レベリング剤、脱泡剤、脱泡剤又は殺生物剤;
或いは湿気硬化性ポリウレタン組成物中で通例使用されるさらなる物質
を含有し得る。
【0111】
特定の物質は、それらを組成物中へと混合する前に、化学的又は物理的に乾燥させることが賢明であり得る
【0112】
好ましくは、本発明のポリウレタン組成物は、殆ど溶媒を含有しない。これは特に、5重量%未満、好ましくは、2.5重量%未満の溶媒を含有する。最も好ましくは、本発明のポリウレタン組成物は、本質的に溶媒を非含有である。
【0113】
湿気硬化性ポリウレタン組成物は、好ましくは、
- 20重量%~60重量%の、イソシアネート基を含有するポリエーテルウレタンポリマー、
- 0.5重量%~10重量%の、イソシアネート基を含有する本発明の二量体脂肪酸をベースとするポリエステルウレタンポリマー、
- 0重量%~5重量%の溶融可能な構成要素、
- 20重量%~60重量%の充填剤、
- 0重量%~35重量%の可塑剤、及び
任意選択でさらなる構成成分、特に、ブロックされたアミン、ジイソシアネートオリゴマー、触媒又は安定剤
を含有する。
【0114】
本発明の湿気硬化性ポリウレタン組成物は好ましくは、合計で0.1重量%未満のジイソシアネートモノマーを含有する。このような組成物は、多くの国において有害物質分類を伴わずに輸送及び販売することができる。
【0115】
湿気硬化性ポリウレタン組成物は特に、湿気を排除して生成され、周囲温度にて湿密容器において貯蔵される。適切な湿密容器は、特に、任意選択でコーティングされている金属及び/又はプラスチックからなり、特に、ドラム、輸送ボックス、ホボック(hobbock)、バケツ、キャニスター、缶、バッグ、チューブ状バッグ、カートリッジ又はチューブである。
【0116】
湿気硬化性ポリウレタン組成物は、一構成要素組成物の形態、又は多構成要素、特に、二構成要素組成物の形態であり得る。
【0117】
「一構成要素」組成物と称される組成物は、組成物の全ての構成成分が同じ容器中にあり、且つそれ自体が貯蔵安定であるものである。
【0118】
「二構成要素」組成物と称される組成物は、組成物の構成成分が、別々の容器中に貯蔵される2つの異なる構成要素中にあり、組成物の適用の直前又は間まで互いに混合されないものである。
【0119】
湿気硬化性ポリウレタン組成物は好ましくは、一構成要素組成物である。適切なパッケージング及び貯蔵を考えれば、これは典型的には数カ月に亘り、1年又はそれ超まで貯蔵安定である。
【0120】
湿気硬化性ポリウレタン組成物の適用によって、硬化のプロセスが開始する。これによって、硬化された組成物がもたらされる。
【0121】
一構成要素組成物の場合、これはそれ自体として適用され、次いで、湿気又は水の影響下で硬化し始める。硬化を加速させるために、水並びに任意選択で触媒及び/又は硬化剤を含有する促進剤構成要素を、適用によって組成物中に混合することができるか、又は組成物は、その適用の後に、このような促進剤構成要素と接触させることができる。
【0122】
硬化の過程において、イソシアネート基は、湿気の影響下で互いに反応する。湿気硬化性ポリウレタン組成物がブロックされたアミンを含有する場合、イソシアネート基は、ブロックされたアミノ基が加水分解されるにつれ、ブロックされたアミノ基とさらに反応する。組成物の硬化をもたらすイソシアネート基のこれらの反応全体はまた、架橋と称される。
【0123】
湿気硬化性ポリウレタン組成物の硬化のために必要とされる湿気は好ましくは、空気からの拡散によって組成物中に入る(大気中の水分)。このプロセスにおいて、硬化した組成物の固体層(「スキン」)が組成物の表面上で形成され、これは空気と接触する。硬化は拡散の方向で外側から内向きに継続し、スキンはますます厚くなって、最終的に適用された組成物全体を取り囲む。湿気はまた、組成物が適用された一つ若しくは複数の基材から付加的若しくは全体的に組成物中に入り得、且つ/或いは適用時に組成物中に混合されるか、又は適用の後に、例えば、塗装若しくは噴霧によって組成物と接触する促進剤構成要素に由来し得る。
【0124】
湿気硬化性ポリウレタン組成物は、好ましくは、特に、約-10~50℃の範囲の、好ましくは、-5~45℃、特に、0~40℃の範囲の周囲温度にて適用される。
【0125】
必要に応じて、湿気硬化性ポリウレタン組成物はまた、加熱された状態で、例えば、約60℃の温度にて適用することができる。
【0126】
湿気硬化性ポリウレタン組成物は好ましくは、周囲温度にて硬化する。
【0127】
湿気硬化性ポリウレタン組成物は、長い加工時間(オープンタイム)及び急速な硬化を有する。
【0128】
「オープンタイム」は、機能するその能力の喪失を伴わずに、組成物を適用後に加工又は再加工することができる期間を指す。組成物が接着剤として使用される場合、オープンタイムは特にまた、十分な接着が進展するために、その期間以内でその適用の後で結合を行わなければならない期間を指す。1構成要素組成物の場合、スキンが形成されたとき、又は基材への接着の十分な進行がもはや存在しないとき、どんなに遅くてもオープンタイムを超えている。
【0129】
湿気硬化性ポリウレタン組成物は好ましくは、特に、建設業及び製造業における結合若しくはシーリング用途のため、又は自動車組立てにおいて、特に、寄木の結合、アセンブリ、設置可能な構成要素の結合、モジュール結合、ペイン結合、接合シーリング、車体シーリング、シームシーリング若しくはキャビティシーリングのための、弾性接着剤及び/又はシーリング剤として使用される。
【0130】
自動車組立てにおける弾性結合は、例えば、パーツ、例えば、プラスチックカバー、トリムストリップ、フランジ、フェンダー、運転室、若しくは自動車の塗装されたボディーへの他の設置可能な構成要素の結合付着、又は車体へのペインの結合であり、前記自動車は特に、自動車、トラック、バス、鉄道車両又は船である。自動車におけるガラスの交替のための接着剤としての使用が特に好ましい。
【0131】
湿気硬化性ポリウレタン組成物は好ましくは、構造的に粘性特性を伴うペースト状のコンシステンシーを有するように配合される。この種類の組成物は、適切な装置を用いて、例えば、市販のカートリッジ又はドラム又はホボックから、特に、本質的に円形又は三角形の断面積を有し得るビーズの形態で適用(塗布)される。
【0132】
湿気硬化性ポリウレタン組成物で結合及び/又はシールすることができる適切な基材は、特に、
- ガラス、ガラスセラミック又はスクリーン印刷されセラミックコーティングされたガラス若しくはポリカーボネート;
- 表面仕上げ金属又は合金、例えば、亜鉛めっき金属若しくはクロムめっき金属を含めた金属又は合金、例えば、アルミニウム、銅、鉄、鋼、非鉄金属;
- コーティング若しくは塗装された基材、特に、粉体コーティングされた金属若しくは合金又は塗装された金属シート;
- 塗料又はニス、特に、自動車のトップコート;
- 特に、ポリウレタン、シラン修飾ポリマー又はポリスルフィドをベースとする硬化した接着剤、特に、老化した接着剤(残留接着ビーズ)、又は残留接着ビーズを至る所若しくは所々に有する車体フランジ;
- いずれの場合にも、未処理であるか、又は例えば、プラズマ、コロナ若しくは火炎を用いて表面処理された、プラスチック、例えば、剛性若しくは可撓性のPVC、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、PMMA、ABS、SAN、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、PUR、POM、TPO、PE、PP、EPM又はEPDM;
- 繊維強化プラスチック、例えば、炭素繊維強化プラスチック(CFP)、ガラス繊維強化プラスチック(GFP)及びシート成形化合物(SMC);
- PCC(ポリマー修飾セメントモルタル)又はECC(エポキシ樹脂修飾セメントモルタル)をベースとする修復若しくはレベリング化合物;
- 特に、EPS、XPS、PUR、PIR、ロックウール、グラスウール又は発砲ガラスでできている絶縁フォーム;
- コンクリート、モルタル、セメントスクリード、繊維セメント、特に、繊維セメントボード、れんが、タイル、石膏、特に、石膏ボード若しくは無水スクリード、又は天然石、例えば、花崗岩若しくは大理石、塗装されたタイル若しくは塗装されたコンクリート、アスファルト又はビチューメン;
- 革、織物、紙、木、樹脂、例えば、フェノール樹脂、メラミン樹脂若しくはエポキシ樹脂によって結合した木質材料、樹脂/織物複合材料、又はポリマー複合材料と称されるさらなる材料
である。
【0133】
必要に応じて、基材は、特に、物理的及び/若しくは化学的クリーニング方法又は活性剤若しくはプライマー塗布によって、適用の前に事前処理することができる。
【0134】
2つの同一又は2つの異なる基材を結合及び/又はシールすることが可能である。
【0135】
本発明はさらに、以下を含む、結合又はシーリングの方法を提供する:
(i)記載した湿気硬化性ポリウレタン組成物を、
- 第1の基材に適用し、組成物と第2の基材とを組成物のオープンタイム内に接触させること、又は
- 第1及び第2の基材に適用し、2つの基材を組成物のオープンタイム内に接合させること、又は
- 2つの基材の間に適用すること、
(ii)湿気と接触させることによって組成物を硬化させること。
【0136】
基材の少なくとも一つは好ましくは、ガラス、ガラスセラミック、スクリーン印刷されセラミックコーティングされたガラス若しくはポリカーボネート、金属、合金、粉体コーティングされた金属若しくは合金、塗料及びニス及び硬化した接着剤、特に、残留接着ビーズ、及び/又は自動車トップコートで塗装された金属シートからなる群から選択される。
【0137】
湿気硬化性ポリウレタン組成物の適用及び硬化、又は結合若しくはシーリングの方法によって、組成物で結合若しくはシールされた物品が得られる。この物品は、建てられた構造又はその部分、特に、土木における地面の上若しくは下の建てられた構造、橋、屋根、階段又はファサードであり得るか、又はこれは、工業用品又は消費財、特に、窓、パイプ、風力タービンの回転羽根、屋内電気器具若しくは交通機関、例えば、特に、自動車、バス、トラック、鉄道車両、船、飛行機若しくはヘリコプター、又はその設置可能な構成要素であり得る。
【0138】
このように、本発明はさらに、結合若しくはシーリングの記載されている方法から得られる物品を提供する。
【0139】
自動車へのペインの弾性結合のための、特に、ガラスの交替のための結合の方法を使用することが特に好ましい。
【0140】
湿気硬化性ポリウレタン組成物は、有利な特性を有する。これは、長いオープンタイムとカップリングした特に良好な結合特性、特に、残留接着ビーズのとき、特に、高いたるみ耐性及び短い糸形成とカップリングした良好な適用特性、特に、良好な圧出性、変化しない良好な硬化、強度、伸展性、弾性及び有害物質分類とカップリングした硬化の後の無光沢な表面、及び特に良好な耐候性を有する。このように、組成物は特に、自動車組立てにおいて、特に、自動車の欠陥のある弾力的に結合された風防ガラスの交替のための弾性接着剤として適している。
【実施例
【0141】
記載した本発明を明らかにすることを意図する実施例を本明細書の下記で提示する。本発明は、当然ながらこれらの記載する実施例に制限されない。
【0142】
「標準的な気候条件」(「SCC」)は、23±1℃の温度及び50±5%の相対的空気湿度を指す。
【0143】
他に記述しない限り、使用した化学薬品は、Sigma-Aldrich Chemie GmbHからであった。
【0144】
使用するポリオール:
Priplast(登録商標)1837:二量体脂肪酸をベースとするアモルファスポリエステルジオール、OH価110mg KOH/g、室温にて液体(Crodaから)
Priplast(登録商標)1838:二量体脂肪酸をベースとするアモルファスポリエステルジオール、OH価56mg KOH/g、室温にて液体(Crodaから)
Priplast(登録商標)3196:二量体脂肪酸をベースとするアモルファスポリエステルジオール、OH価37mg KOH/g、室温にて液体(Crodaから)
Priplast(登録商標)3197:二量体脂肪酸をベースとするアモルファスポリエステルジオール、OH価56mg KOH/g、室温にて液体(Crodaから)
Desmophen(登録商標)5031 BT:グリセロール開始エチレンオキシド末端ポリオキシプロピレントリオール、OH価28mg KOH/g(Covestroから)
Acclaim(登録商標)4200:ポリオキシプロピレンジオール、OH価28mg KOH/g(Covestroから)
Dynacoll(登録商標)7360 室温固体半結晶質のポリエステルジオール、OH価34mg KOH/g(Evonikから)
【0145】
イソシアネート基を含有するポリマーの調製:
粘度は、サーモスタットを備えたRheotec RC30コーンプレート粘度計で測定した(コーン直径25mm、コーン角度1°、コーンチップ-プレート距離0.5mm、剪断速度50s-1)。
【0146】
ジイソシアネートモノマー含量は、N-プロピル-4-ニトロベンジルアミンを用いた従前の誘導体化の後、HPLC(フォトダイオードアレイによる検出;移動相として0.04Mの酢酸ナトリウム/アセトニトリル)を用いて決定した。
【0147】
ポリマーDP-1:
597.5gのPriplast(登録商標)1838及び402.5gのジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート(Desmodur(登録商標)44MC L、Covestroから)を80℃にて反応させ、11.0重量%のNCO含量、20℃にて36Pa・sの粘度、及び約26重量%のジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート含量を有するポリエステルウレタンポリマーを得た。
【0148】
それに続いて、揮発性構成成分、特に、ジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネートの大部分を、短経路蒸発器(ジャケット温度180℃、圧力0.1~0.005ミリバール、縮合温度47℃)において蒸留によって除去した。このように得たポリエステルウレタンポリマーは、僅かに濁っており、室温にて液体、粘性コンシステンシーのものであった。これは2.8重量%のNCO含量、20℃にて312Pa・s、30℃にて119Pa・s、40℃にて48Pa・s及び60℃にて11.5Pa・sの粘度、並びに0.09重量%のジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート含量を有した。
【0149】
ポリマーDP-2:
445.0gのPriplast(登録商標)1837及び555.0gのジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート(Desmodur(登録商標)44MC L、Covestroから)を80℃にて反応させ、14.8重量%のNCO含量、20℃にて6.5Pa・sの粘度、及び約35重量%のジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート含量を有するポリエステルウレタンポリマーを得た。
【0150】
それに続いて、揮発性構成成分、特に、ジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネートの大部分を、ポリマーDP-1について記載したように除去した。このように得たポリエステルウレタンポリマーは、僅かに濁っており、室温にて液体、粘性コンシステンシーのものであった。これは4.8重量%のNCO含量、60℃にて11Pa・sの粘度、及び0.06重量%のジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート含量を有した。
【0151】
ポリマーDP-3:
663.0gのPriplast(登録商標)3196及び337.0gのジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート(Desmodur(登録商標)44MC L、Covestroから)を80℃にて反応させ、9.4重量%のNCO含量、20℃にて57Pa・sの粘度、及び約23重量%のジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート含量を有するポリエステルウレタンポリマーを得た。
【0152】
それに続いて、揮発性構成成分、特に、ジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネートの大部分を、ポリマーDP-1について記載したように除去した。このように得たポリエステルウレタンポリマーは、僅かに濁っており、室温にて液体、粘性コンシステンシーのものであった。これは2.2重量%のNCO含量、60℃にて17Pa・sの粘度、及び0.06重量%のジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート含量を有した。
【0153】
ポリマーDP-4:
600.0gのPriplast(登録商標)3197及び400.0gのジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート(Desmodur(登録商標)44MC L、Covestroから)を、80℃にて反応させ、10.7重量%のNCO含量、20℃にて28Pa・sの粘度、及び約25重量%のジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート含量を有するポリエステルウレタンポリマーを得た。
【0154】
それに続いて、揮発性構成成分、特に、ジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネートの大部分を、ポリマーDP-1について記載したように除去した。このように得たポリエステルウレタンポリマーは、僅かに濁っており、室温にて液体、粘性コンシステンシーのものであった。これは2.8重量%のNCO含量、60℃にて16Pa・sの粘度、及び0.08重量%のジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート含量を有した。
【0155】
ポリマーDP-5:
620.0gのPriplast(登録商標)1838及び379.9gの1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(Vestanat(登録商標)IPDI、Evonikから)を、0.01gのジブチルスズジラウレートの存在下で80℃にて反応させ、11.8重量%のNCO含量、20℃にて17Pa・sの粘度、及び約20重量%の1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン含量を有するポリエステルウレタンポリマーを得た。
【0156】
それに続いて、揮発性構成成分、特に、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサンの大部分を、短経路蒸発器(ジャケット温度160℃、圧力0.1~0.005ミリバール)における蒸留によって除去した。このように得たポリエステルウレタンポリマーは、僅かに濁っており、室温にて液体、粘性コンシステンシーのものであった。これは、3.1重量%のNCO含量、20℃にて153Pa・sの粘度、及び0.23重量%の1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン含量を有した。
【0157】
ポリマーPP-1:
725.0gのDesmophen(登録商標)5031BT及び275.0gのジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート(Desmodur(登録商標)44MC L、Covestroから)を公知の方法によって反応させ、7.6重量%のNCO含量、20℃にて6.5Pa・sの粘度、及び約20重量%のジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート含量を有するポリエーテルウレタンポリマーを得た。
【0158】
それに続いて、揮発性構成成分、特に、ジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネートの大部分を、ポリマーDP-1について記載したように除去した。このように得たポリエーテルウレタンポリマーは、1.7重量%のNCO含量、20℃にて19Pa・sの粘度、及び0.04重量%のジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート含量を有した。
【0159】
ポリマーPP-2:
727.0gのAcclaim(登録商標)4200及び273.0gのジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート(Desmodur(登録商標)44MC L、Covestroから)を公知の方法によって反応させ、7.6重量%のNCO含量、20℃にて5.2Pa・sの粘度、及び約18重量%のジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート含量を有するポリエーテルウレタンポリマーを得た。
【0160】
それに続いて、揮発性構成成分、特に、ジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネートの大部分を、ポリマーDP-1について記載したように除去した。このように得たポリエーテルウレタンポリマーは、1.8重量%のNCO含量、20℃にて15.2Pa・sの粘度、及び0.08重量%のジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート含量を有した。
【0161】
ポリマーM:
1000gのDynacoll(登録商標)7360及び142gのジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート(Desmodur(登録商標)44MC L、Covestroから)を80℃にて反応させ、2.0重量%のNCO含量、及び2.3重量%のジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート含量を有する室温固体ポリマーを得た。
【0162】
ポリマーDP-1~DP-5は、二量体脂肪酸をベースとするポリエステルウレタンポリマーである。ポリマーPP-1及びPP-2は、ポリエーテルウレタンポリマーである。ポリマーMは、溶融可能な構成要素として使用した室温固体ポリマーである。
【0163】
湿気硬化性ポリウレタン組成物:
組成物Z1~Z5:
各組成物について、表1において特定の成分を、減圧下で湿気を排除して遊星形ミキサーを用いて特定の量で(重量部で)よく混合し、組成物を気密性のあるシールを有するチューブ状バッグ中に分注し、室温にて貯蔵した。
【0164】
急速な硬化のために、水含有促進剤構成要素を、適用時に組成物に加えた。この目的のために、組成物を、圧出による組成物中への2重量%の水含有ペーストの定量添加、及びダイナミックミキサーを用いた混入を伴って、PowerCureディスペンサー(Sika Schweiz AGから入手可能)から塗布した。
【0165】
残留接着ビーズへの接着は、硬化させ老化させた接着剤層上で決定した。この目的のために、ペインの結合のための市販のポリウレタン接着剤(Sikaflex(登録商標)-250SV-3、Sika Automotive Hamburg GmbHから)を、幅約8mm及び高さ約10mmの三角形のビーズの形態でガラス本体へと塗布し、シリコーンコーティングした剥離紙でカバーし、約5mmの層厚さにプレスし、標準的な気候条件下で7日間硬化させ、剥離紙を除去し、圧縮させた接着ビーズを80℃にて14日間老化させた。それに続いて、硬化させ老化させた接着ビーズをガラス本体から約1mmの層厚さまで切り取った。
【0166】
その後、標準的な気候条件下で、加速組成物を、PowerCureディスペンサーから幅約8mm及び高さ約10mmの三角形のビーズの形態でシリコーンコーティングした剥離紙のストリップに塗布した。いずれの場合にも、表1に特定した待ち時間の後、剥離紙に塗布した三角形のビーズをひっくり返し、剥離紙が上であり、組成物が残留接着ビーズと接触するようにガラス本体上に残存する残留接着ビーズ上へと置いた。それに続いて、組成物を約5mmの層厚さまでプレスし、標準的な気候条件下で7日間硬化させ、次いで、剥離紙を除去し、残留接着ビーズ上の硬化した組成物の接着を、結合表面の真上の狭い端部において硬化した組成物中に切り込みを作り、組成物の切り込んだ端部を丸みを帯びたピンセットで保持し、組成物を基材(=残留接着ビーズ)から引き離すことを試みることによって試験した。次いで、組成物を基材まで再び切り込みを入れ、切り取られた部分を、丸みを帯びたピンセットで巻き上げ、組成物を基材から再び引き離すことを試みた。このようにして、組成物を引き離すことによって基材から切り取った。それに続いて、下記のスケールを使用して破損プロファイルに関して結合をアセスメントした。
「非常に良好」は、95%超の凝集性破損を表し、
「良好」は、75%~95%の凝集性破損を表し、
「中程度」は、50%~75%の凝集性破損を表し、
「乏しい」は、50%未満の凝集性破損を表し、
「接着なし」は、0%の凝集性破損又は100%の接着性破損を表す。
【0167】
結果を表1において報告する。
【0168】
「(参照)」と標識された組成物は、比較例である。
【0169】
【表1】
【0170】
組成物Z6及びZ7:
各組成物を、表2において特定した成分を特定した量(重量部での)で使用して、組成物Z1について記載したように生成し、気密性のあるシールを有するアルミニウムカートリッジ中に分注し、室温にて貯蔵した。
【0171】
各組成物を2つのシリコーンコーティングした剥離紙の間に塗布し、厚さ2mmのフィルムへとプレスし、標準的な気候条件下で14日間貯蔵した。剥離紙を除去した後、四角形の試験検体(75×150mm)を硬化したフィルムから切り取り、QUV風化装置において表2において特定した時間試験し、次いで、風化した表面を、最初に透明な接着テープを表面上へと手でプレスし、次いで、これを白色のプリンター紙に貼り付けることによって、カーボンブラック汚染について試験した。カーボンブラック汚染は、薄い灰色の汚れが目に見える場合、「いいえ」としてレーティングし、カーボンブラック汚染が濃い灰色の汚れの場合、「中程度」としてレーティングし、カーボンブラック汚染が黒色の汚れの場合、「厳しい」としてレーティングした。
【0172】
結果を表2において報告する。
【0173】
「(参照)」と標識された組成物は、比較例である。
【0174】
【表2】
【0175】
組成物Z8~Z16:
各組成物は、表3及び4において特定した成分を特定した量(重量部での)で使用して、組成物Z1について記載したように生成し、気密性のあるシールを有するアルミニウムカートリッジ中に分注し、室温にて貯蔵した。
【0176】
各組成物を、下記のように試験した:
組成物の加工性又は適用性のために決定した尺度は、圧出力、たるみ耐性及び糸形成である。低い圧出力、高いたるみ耐性及び短い糸形成は、良好な加工性又は適用性の代表的なものである。
【0177】
圧出力は、23℃及び5℃にて決定した。第1の閉じられたカートリッジは23℃にて7日間貯蔵し、第2のものは23℃にて6日間、次いで、5℃にて24時間貯蔵した。次いで、いずれの場合にも圧出装置(Zwick/Roell Z005)を用いて、内径5mmのノズルをカートリッジの上へとねじ込み、次いで、60mm/分の圧出速度でノズルを通して組成物を圧出するのに必要とされる力を測定することによって圧出力を測定した。報告した値は、22mm、24mm、26mm及び28mmの圧縮距離の後で測定した力の平均である。
【0178】
各組成物のたるみ耐性は、標準的な気候条件下で、三角形のビーズを、20mmの突出する高さ(=先端)を伴う幅8mmの水平ストリップとして配置するような方法で、幅約8mm及び高さ約20mmの三角形のビーズを垂直の段ボール紙表面へと塗布することによって決定した。標準的な気候条件下で硬化させた後、塗布したビーズの位置が変わったかどうか、及びどのように変わったかについてアセスメントを行った。より特定すると、先端が、水平位置から測定して、下向きにたるんだ程度を決定した。1mm未満のたるみは、「非常に良好」と、1~3mm未満は「良好」と、4~7mmは「平均」と、8mm若しくはそれ超は「乏しい」とレーティングした。「液体」組成物は、塗布した三角形のビーズの先端におけるだけでなく、底部においても、塗布した材料が下向きに動き、すなわち、下向きに垂れるものと定義する。
【0179】
糸形成は、塗布カートリッジをたるみ耐性の決定のために塗布された三角形のビーズから離れて動かすことによって形成される糸の長さを測定することによって、いくつかの組成物について決定した。
【0180】
加工時間(オープンタイム)について決定した尺度は、スキン時間であった。この目的のために、標準的な気候条件下で数グラムの組成物をボール紙に約2mmの層厚さで塗布し、その後で組成物の表面を穏やかにたたくために使用するLDPEピペット上で残留物がもはや残存しない最初の期間を決定した。
【0181】
機械的特性の決定のために、各組成物を2つのシリコーンコーティングした剥離紙の間にプレスし、厚さ2mmのフィルムを得て、標準的な気候条件下で14日間貯蔵した。剥離紙を除去した後、いくつかの試験検体を型抜きし、下記に記載するように試験した。
【0182】
引張強度(「TS」)、破断伸び(EaB)及び0.5~5%の伸長での弾性率の決定のために、30mmのバー長さ及び4mmのバー幅を伴う75mmの長さを有するダンベルでフィルムを型抜きし、これらをDIN EN53504によって200mm/分のひずみ速度で試験した。
【0183】
いくつかの試験検体をまた引裂耐性の決定のために型抜きし、DIN ISO34によって500mm/分のひずみ速度で試験した。
【0184】
外観及び光沢は、機械的特性の生成されたフィルムの決定のために視覚的に決定した。「満足のいく」は、ブリスターを伴わない非粘着性の平らなフィルムを説明するために使用した。
【0185】
接着ボンドの強度を決定するために、いくつかの組成物についての重なり剪断強度(LSS)をガラス上で決定した。この目的のために、重複する接着ボンドが12×25mmの寸法及び4mmの厚さを有し、ガラスプレートが先端において突出するような方法で、イソプロパノールで脱脂し、且つSika(登録商標)Aktivator100(Sika Schweizから)で事前処理した2つのガラスプレートを結合させることによって複合検体を生成した。複合検体を標準的な気候条件下で14日間貯蔵した後、重なり剪断強度を、DIN EN1465によって20mm/分のひずみ速度で試験した。結合の熱及び加水分解安定性の尺度として、さらなる試験検体を空気循環オーブン中で100℃にて7日間又は70℃/100%相対湿度にて7日間さらに貯蔵し、標準的な気候条件下で冷却し、同様に試験した。結果を追加「14d SCC」又は「7d 100℃」又は「7d 70/100」と共に示す。
【0186】
結果を表3及び4において報告する。
【0187】
「(参照)」と標識された組成物は、比較例である。
【0188】
【表3】
【0189】
【表4】
本開示は下記の態様を含む。
<態様1>
少なくとも3/1のNCO/OH比での、少なくとも一種のジイソシアネートモノマーと、28~120mg KOH/gの範囲のOH価を有する二量体脂肪酸をベースとするポリエステルジオールとの反応、それに続く適切な分離方法による前記ジイソシアネートモノマーの大部分の除去から得られる、イソシアネート基を含有する室温で液体のポリエステルウレタンポリマーであって、
1.5重量%~6重量%の範囲のNCO含量、及び0.5重量%以下のジイソシアネートモノマー含量を有することを特徴とする、
ポリエステルウレタンポリマー。
<態様2>
前記ジイソシアネートモノマーが、ジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネートであることを特徴とする、態様1に記載のポリエステルウレタンポリマー。
<態様3>
二量体脂肪酸をベースとする前記ポリエステルジオールが、アモルファスであることを特徴とする、態様1又は2に記載のポリエステルウレタンポリマー。
<態様4>
前記NCO/OH比が、3/1~10/1、より好ましくは3/1~8/1、特に4/1~7/1の範囲であることを特徴とする、態様1~3のいずれか一項に記載のポリエステルウレタンポリマー。
<態様5>
コーン直径25mm、コーン角度1°、コーンチップ-プレート距離0.5mmを有するコーンプレート粘度計で、50s -1 の剪断速度で測定して、20℃にて100~1,000Pa・s、特に100~500Pa・sの範囲の粘度を有することを特徴とする、態様1~4のいずれか一項に記載のポリエステルウレタンポリマー。
<態様6>
湿気硬化性ポリウレタン組成物中の接着促進剤としての、態様1~5のいずれか一項に記載のポリエステルウレタンポリマーの使用。
<態様7>
前記ポリエステルウレタンポリマーが、前記ポリウレタン組成物全体に基づき、0.5重量%~15重量%、好ましくは1重量%~10重量%、特に2重量%~6重量%の範囲の量で使用されることを特徴とする、態様6に記載の使用。
<態様8>
以下を含む、弾性接着剤及び/又はシーリング剤として適した湿気硬化性ポリウレタン組成物:
- イソシアネート基を含有する少なくとも一種のポリエーテルウレタンポリマー、及び
- 態様1~5のいずれか一項に記載のイソシアネート基を含有するポリエステルウレタンポリマー。
<態様9>
前記ポリエーテルウレタンポリマー中のポリエーテルセグメントが、少なくとも80%の1,2-プロピレンオキシ単位及び任意選択でさらに1,2-エチレンオキシ単位からなることを特徴とする、態様8に記載の湿気硬化性ポリウレタン組成物。
<態様10>
前記ポリエーテルウレタンポリマーが、1重量%~5重量%、特に1重量%~3重量%の範囲のNCO含量を有することを特徴とする、態様8又は9に記載の湿気硬化性ポリウレタン組成物。
<態様11>
溶融可能な構成要素、ブロックされたアミン、充填剤、可塑剤、ジイソシアネートオリゴマー、触媒、及び安定剤から選択される少なくとも一種のさらなる構成成分が存在することを特徴とする、態様8~10のいずれか一項に記載の湿気硬化性ポリウレタン組成物。
<態様12>
以下を含むことを特徴とする、態様8~11のいずれか一項に記載の湿気硬化性ポリウレタン組成物:
- 20重量%~60重量%の、イソシアネート基を含有するポリエーテルウレタンポリマー、
- 0.5重量%~10重量%の、イソシアネート基を含有する二量体脂肪酸をベースとする前記ポリエステルウレタンポリマー、
- 0重量%~5重量%の溶融可能な構成要素、
- 20重量%~60重量%の充填剤、
- 0重量%~35重量%の可塑剤、及び
任意選択でさらなる構成成分、特に、ブロックされたアミン、ジイソシアネートオリゴマー、触媒、又は安定剤。
<態様13>
合計で0.1重量%未満のジイソシアネートモノマーが存在することを特徴とする、態様8~12のいずれか一項に記載の湿気硬化性ポリウレタン組成物。
<態様14>
以下の工程を含む、結合又はシーリングする方法:
(i)態様8~13のいずれか一項に記載のポリウレタン組成物を、
- 第1の基材に適用し、前記組成物と第2の基材とを前記組成物のオープンタイム内に接触させること、又は
- 第1及び第2の基材に適用し、2つの前記基材を前記組成物のオープンタイム内に接合させること、又は
- 2つの基材の間に適用すること、
(ii)前記組成物を湿気との接触によって硬化させること。
<態様15>
態様14に記載の方法から得られる物品。