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特許7573076受動RF変調を使用した注射デバイスの使用に関連するデータの送信
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】受動RF変調を使用した注射デバイスの使用に関連するデータの送信
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/315 20060101AFI20241017BHJP
【FI】
A61M5/315 510
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023126015
(22)【出願日】2023-08-02
(62)【分割の表示】P 2020534326の分割
【原出願日】2018-12-17
(65)【公開番号】P2023139285
(43)【公開日】2023-10-03
【審査請求日】2023-08-02
(31)【優先権主張番号】17306866.9
(32)【優先日】2017-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504456798
【氏名又は名称】サノフイ
【氏名又は名称原語表記】SANOFI
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】マティーアス・フェルバー
(72)【発明者】
【氏名】ナターナエル・ヴェットシュタイン
(72)【発明者】
【氏名】フェリクス・クレーマー
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/024562(WO,A1)
【文献】国際公開第2007/116863(WO,A1)
【文献】特開2008-212665(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/00 - 5/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
注射デバイスであって:
近位端、遠位端、および側壁を画成する壁を含むリザーバと;
該リザーバ内で遠位端から近位端の方向に可動になるように構成されたプランジャロッドと;
該注射デバイスの長手方向軸に沿って位置合わせされた複数の共振器を含み、かつ該リザーバ内での該プランジャロッドの位置に依存する、好ましくは該リザーバ内での該プランジャロッドの位置に基づき偏移する共振周波数で共振するよう構成された共振アセンブリと
を含む前記注射デバイス。
【請求項2】
前記共振アセンブリは、前記プランジャロッドに取り付けられた磁石と、前記側壁に取り付けられ、該磁石に対する線形位置および角度位置のうちの少なくとも1つに基づいて、それらのそれぞれの共振周波数を変化させるように構成された複数の共振器とを含み、該複数の共振器は該プランジャロッドの距離に基づき異なる応答を提供する複数のメタマテリアルを含む、請求項1に記載の注射デバイス。
【請求項3】
前記共振アセンブリは、前記プランジャロッドに取り付けられた機械リンクと、前記側壁に取り付けられた感歪共振器とを含み、該感歪共振器は、該機械リンクに対する線形位置および角度位置のうちの少なくとも1つに基づいて、その共振周波数を変化させるように構成される、請求項1に記載の注射デバイス。
【請求項4】
前記機械リンクは、ばね、偏心要素、および偏心円板のうちの少なくとも1つを含む、請求項3に記載の注射デバイス。
【請求項5】
前記共振アセンブリは、前記プランジャロッドに取り付けられた機械リンクと、前記側壁に取り付けられた発振器とを含み、該発振器は、該機械リンクに対する線形位置および角度位置のうちの少なくとも1つに基づいて、その共振周波数を変化させるように構成される、請求項1に記載の注射デバイス。
【請求項6】
前記機械リンクは、膜を介して前記発振器のカンチレバーに取り付けられたビームを含む、請求項5に記載の注射デバイス。
【請求項7】
前記共振アセンブリは、前記注射デバイスの識別子および薬剤タイプのうちの少なくとも1つを含む信号を生成するよう構成されたマルチスロットパッチ共振器を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の注射デバイス。
【請求項8】
前記共振アセンブリの共振周波数に基づいて生成されたインタロゲーション信号を外部デバイスに送信するよう構成されたアンテナをさらに含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の注射デバイス。
【請求項9】
前記インタロゲーション信号が複数のインタロゲーション信号を含む、請求項8に記載の注射デバイス。
【請求項10】
前記複数のインタロゲーション信号は、規則的な時間間隔で受信される、請求項9に記載の注射デバイス。
【請求項11】
前記複数のインタロゲーション信号を受信したことに応答して、前記共振アセンブリが複数の検出信号を生成し、該複数の検出信号のうちの2つの間の周波数偏移が前記リザーバ内の薬剤の量に関連する、請求項9または10のいずれかに記載の注射デバイス。
【請求項12】
前記インタロゲーション信号は、注射デバイスによって送信されたトリガ信号に応答して生成される、請求項~11のいずれか1項に記載の注射デバイス。
【請求項13】
前記プランジャロッドの位置は、前記リザーバ内の薬剤の量を示す、請求項1~12のいずれか1項に記載の注射デバイス。
【請求項14】
薬剤注射システムであって:
外部デバイスであって:
インタロゲーション信号を生成するように構成された送信器、
複数の無線周波数(RF)信号を受信するように構成された受信器、および
該複数のRF信号を処理し、外部デバイスによって表示するための結果データを生成するように構成された1つまたはそれ以上のプロセッサを含む外部デバイスと;
請求項1~13のいずれか1項に記載の注射デバイスとを含む、前記薬剤注射システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
電子注射デバイスは、医療従事者による常時監督を必要とすることなく、患者が薬剤を安全に投与することを可能にしながら、医療従事者への治療データの送信を有効にする。電子注射デバイスは、カートリッジまたはシリンジのような薬剤リザーバと、電気構成要素と、駆動システムと、エネルギー供給とを含むことができる。電子構成要素は、電子注射デバイスの使用を検出し、データを送信するように構成することができる。使用の検出およびデータの送信は、相当量のエネルギー供給を必要とする可能性がある。エネルギー供給は、電池によって提供することができる。しかし、低電池状態は、電子注射デバイスの動作不能もしくは動作不良、投与量の誤り、投与量不足を招く可能性があり、またはさらには、電子構成要素の動作を停止させることによって、電子注射デバイスを使用不能にするおそれがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本開示の実装形態は、注射デバイスと、受動無線周波数(RF)信号を使用して注射デバイスデータを送信するシステムとを含む。いくつかの実装形態では、注射デバイスは、近位端、遠位端、および側壁を画成する壁を含むリザーバと、リザーバ内で遠位端から近位端の方向に可動になるように構成されたプランジャロッドであり、注射デバイスが、ハウジング構成要素、内側もしくは外側本体構成要素、または薬剤リザーバによって画成された筒面を有する、プランジャロッドと、筒面に取り付けられ、外部デバイスからインタロゲーション信号を受信するように構成された無線周波数(RF)アンテナと、RFアンテナからインタロゲーション信号を受信し、プランジャロッドの位置に関連する周波数を有する変調RF信号を生成するように構成された共振アセンブリとを含む。いくつかの実装形態では、共振アセンブリは、プランジャロッドに取り付けられた磁石と、筒面に取り付けられ、磁石に対する線形位置および角度位置のうちの少なくとも1つに基づいて、RF特性を変化させるように構成された1つまたはそれ以上の共振器とを含む。いくつかの実装形態では、共振アセンブリは、プランジャロッドに取り付けられた機械リンクと、筒面に取り付けられた感歪共振器とを含み、感歪共振器は、機械リンクに対する線形位置および角度位置のうちの少なくとも1つに基づいて、RF特性を変化させるように構成される。いくつかの実装形態では、機械リンクは、ばね、偏心要素、および偏心円板のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実装形態では、共振アセンブリは、プランジャロッドに取り付けられた機械リンクと、筒面に取り付けられた発振器とを含み、発振器は、機械リンクに対する線形位置および角度位置のうちの少なくとも1つに基づいて、RF特性を変化させるように構成される。いくつかの実装形態では、機械リンクは、膜を介して発振器のカンチレバーに取り付けられたビームを含む。いくつかの実装形態では、共振アセンブリは、RF信号は、注射デバイスの識別子および薬剤タイプのうちの少なくとも1つを含むようにマルチスロットパッチ共振器を含む。いくつかの実装形態では、インタロゲーション信号は、規則的な時間間隔で受信された複数のインタロゲーション信号を含む。いくつかの実装形態では、複数のインタロゲーション信号を受信したことに応答して、共振アセンブリは、複数のRF信号のうちの2つの間の周波数偏移がリザーバ内の薬剤の量に関連するように複数のRF信号を生成する。いくつかの実装形態では、インタロゲーション信号は、注射デバイスによって送信されたトリガ信号に応答して生成される。いくつかの実装形態では、プランジャロッドの位置は、リザーバ内の薬剤の量を示す。
【0003】
本開示の別の態様によれば、薬剤注射システムは:外部デバイスおよび注射デバイスを含む。外部デバイスは:インタロゲーション信号を生成するように構成された送信器と、無線周波数(RF)信号を受信するように構成された受信器と、RF信号を処理し、外部
デバイスによって表示するための結果データを生成するように構成された1つまたはそれ以上のプロセッサとを含む。注射デバイスは、近位端、遠位端、および筒面を画成する壁を含むリザーバと、リザーバ内で遠位端から近位端へ可動になるように構成されたプランジャロッドと、筒面に取り付けられ、外部デバイスからインタロゲーション信号を受信するように構成されたRFアンテナと、RFアンテナからインタロゲーション信号を受信し、プランジャロッドの位置に関連する周波数を有するRF信号を生成するように構成された共振アセンブリとを含む。
【0004】
いくつかの実装形態では、共振アセンブリは、プランジャロッドに取り付けられた磁石と、筒面に取り付けられ、磁石に対する線形位置および角度位置のうちの少なくとも1つに基づいて、RF特性を変化させるように構成された1つまたはそれ以上の共振器とを含む。いくつかの実装形態では、共振アセンブリは、プランジャロッドに取り付けられた機械リンクと、筒面に取り付けられた感歪共振器とを含み、感歪共振器は、機械リンクに対する線形位置および角度位置のうちの少なくとも1つに基づいて、RF特性を変化させるように構成される。いくつかの実装形態では、機械リンクは、ばね、偏心要素、および偏心円板のうちの少なくとも1つを含む。
【0005】
本開示によるシステムは、本明細書に記載する態様および構成の任意の組合せを含むことができることが理解されよう。すなわち、本開示による方法は、本明細書に具体的に記載されている態様および構成の組合せに限定されるものではなく、提供されている態様および構成のあらゆる組合せを含む。
【0006】
本開示の1つまたはそれ以上の実施形態の詳細について、添付の図面および以下の説明に示す。本開示の他の構成および利点は、説明および図面ならびに特許請求の範囲から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】本開示によるデバイスの例の分解図である。
図1B】本開示によるデバイスの例の分解図である。
図1C】本開示によるデバイスの例の分解図である。
図1D】本開示によるデバイスの例の分解図である。
図1E】本開示によるデバイスの例の分解図である。
図1F】本開示によるデバイスの例の分解図である。
図2】本開示の実装形態を実行することができる例示的なシステムアーキテクチャのブロック図である。
図3】本開示の動作を実行するために実行することができる例示的なプロセスを示す流れ図である。
図4】本開示の実装形態を実行するために使用することができる例示的なコンピュータシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
様々な図面における同様の参照記号は、同様の要素を示す。
【0009】
本開示の実装形態は、概して、注射デバイス内の薬剤の量を測定するように構成された機構およびシステムを対象とする。より詳細には、本開示の実装形態は、変調無線周波数(RF)信号の受動送信を使用して薬剤リザーバの体積を判定する技法を対象とする。
【0010】
とりわけ、本発明者らは、たとえば電池を使用することなく、注射デバイスに電力供給する技法について説明する。いくつかの注射デバイスでは、注射デバイスデータの送信は、高い電力消費を伴うことがあるBluetooth、ANT+、または受動RF識別子
/近距離通信などの技術に基づいている。本明細書にさらに詳細に記載するように、本開示の実装形態は、この問題に対処する。たとえば、実装形態によれば、注射デバイスは、RF回路に一体化された感知機能を有し、エネルギー供給のための電池または有線接続を必要とすることなく、アナログ手法によって感知情報を伝達する。注射デバイスは、注射デバイスまたは通信のためにエネルギーハーベスティングまたはエネルギー変換を必要とせず、メートル長の通信範囲を有効にする。この送信技術により、注射デバイス側で簡単なシステム構成が可能になる。注射デバイスの構成要素は、注射デバイスの使用者動作に影響を与えない。たとえば、患者は、電池の交換、またはRF信号送信のための注射デバイスへの差込みを行う必要がない。電池なしで動作するように構成された電子注射デバイスは、環境フットプリントが低く、使い捨ての物品として製造することができる。
【0011】
図1A図1Fは、例示的な薬剤送達システム100の分解図を示す。例示的な薬剤送達システム100は、受動RF送信を使用して、医療データの共用を容易にするように構成することができる。例示的な薬剤送達システム100は、1つまたはそれ以上の注射デバイス102、外部デバイス104、インタロゲータ106、ネットワーク108、およびサーバシステム110を含むことができる。
【0012】
いくつかの実装形態では、注射デバイス102は充填済みの使い捨て注射ペンであり、いくつかの実装形態では、注射デバイス102は再利用可能な注射ペンである。注射デバイス102は、インタロゲータ106と通信するように構成される。たとえば、注射デバイス102は、周波数ベースのインタロゲーションのために構成することができ、インタロゲータ106は、注射デバイス102から受信した周波数ベースの信号を外部デバイス104へ送信することができる。いくつかの実装形態では、周波数ベースの信号は、時間領域反射光測定(time-domain reflectometry)を使用して、注射デバイス102から外部デバイス104へ送信される。いくつかの実装形態では、識別子は外部デバイス104に固有であるため、注射デバイス102は、たとえば注射デバイス102を一意に識別するために外部デバイス104によって使用される識別子に関連付けることができる。
【0013】
注射デバイス102は、注射デバイス102内に収納されている薬剤の量に基づいて、インタロゲータ106から受信したRF信号を変調するように構成することができる。注射デバイス102は、充填済みの使い捨て注射ペンとすることができ、または注射デバイス102は、再利用可能な注射ペンとすることができる。注射デバイス102は、ハウジング112およびニードルアセンブリ115を含むことができる。注射デバイス102は、ハウジング112または薬剤リザーバ116などの薬剤容器など、注射デバイス102の構成要素の内壁または外壁のいずれかを画成する1つまたはそれ以上の筒面を含むことができる。ハウジング112は、RF変調システム114、薬剤リザーバ116、ストッパ117、プランジャロッド118、プランジャヘッド119、支承部120、投与量ノブ122、投与量窓124、および注射ボタン126を収容することができる。ハウジング112は、液晶ポリマーなどの医療グレードのプラスチック材料から成形することができる。
【0014】
RF変調システム114は、インタロゲータ106から受信したRF信号を変調し、変調RF信号をインタロゲータ106へ送信するように構成された1つまたはそれ以上の電子構成要素を含むことができる。たとえば、RF変調システム114は、アンテナ128、共振器130、可動要素132、およびセンサ134を含むことができる。
【0015】
アンテナ128は、通信フィールド136内に位置しながら変調RF信号を受信および送信することによって、インタロゲータ106と通信するように構成することができる。アンテナ128は、受動RF送信のために構成することができる。たとえば、アンテナ1
28は、メアンダ状ダイポールアンテナ(meander-line dipole antenna)とすることができる。アンテナ128によって送信される変調RF信号は、薬剤リザーバ116内の薬剤の量、センサ134によって測定された値、および注射デバイス102の識別子の標示を含むことができる。
【0016】
共振器130(共振アセンブリ)は、アンテナ128によって受信したRF信号を変調するように構成することができる。共振器130は、ハウジング112の長手方向軸113に沿って位置合わせされた1つまたはそれ以上の共振器を含むことができる。共振器130は、機械タイプ、磁気タイプ、または微小電気機械タイプなどの複数のタイプの共振器のうちの1つを含むことができる。
【0017】
可動要素132は、プランジャロッド118に取り付けられるように構成することができ、プランジャロッド118は、特定の薬剤の量を投薬するために、微小なステップの増分で前進する。可動要素132は、プランジャロッド118に直接または間接的に取り付けられた1つまたはそれ以上の可動要素を含むことができる。可動要素132は、機械タイプ、磁気タイプ、または微小電気機械タイプなどの複数のタイプの可動要素のうちの1つまたはそれ以上を含むことができる。いくつかの実装形態では、共振器130のタイプは、可動要素132のタイプに依存することができる。
【0018】
図1Aに示す例示的なRF変調システム114は、ハウジング112の壁に取り付けられたメタマテリアルベースの共振器130と、プランジャロッド118に直接取り付けられまたは挿入された磁石を含む可動要素132とを含む。いくつかの実装形態では、磁石は、最終用量ナットに取り付けられる。メタマテリアルは、1組の特定の特性を有するように構成された一種の材料を含む。典型的には、これらの特性は基材には存在しないが、使用される材料の特有の微細構造または構造化された組合せから得られる。本明細書に記載する実装形態によれば、メタマテリアルは、物理的または化学的な刺激が加えられたときに固有の特性のうちの1つまたはそれ以上を変化させることによって、特有の応答を示すように構成された材料として画成される。外部刺激としては、歪み、磁界、温度、湿度、および圧力が挙げられる。図1Aの例の文脈の範囲内で、共振器130のメタマテリアルは、磁界の印加に応じてRF信号を変調するように構成された磁性薄膜または磁性複合物を含むことができる。共振器130の共振周波数は、共振器130に対する可動要素132(磁石)の角度位置、線形位置、または線形位置および角度位置の組合せに応じて偏移させることができる。可動要素132(磁石)の角度および/または線形変位は、周波数偏移に関連する。注射デバイス102内の薬剤の用量を判定するために、周波数偏移は、インタロゲータ106によって規則的な時間間隔で読み出される。
【0019】
図1Bに示す例示的なRF変調システム114は、ハウジング112の壁および可動要素132に取り付けられた感歪共振器130を含む。感歪共振器130は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの感歪メタマテリアルを含むことができる。可動要素132は、取付けベース132aと、取付けベース132aと可動要素132との間で伸縮するばねとを含む。取付けベース132aは、プランジャロッド118内に取り付けられまたは挿入される。感歪共振器130の共振周波数は、共振器130に対する可動要素132(取付けベース132a)の角度位置、線形位置、または線形位置および角度位置の組合せに関連する力に応じて偏移させることができる。可動要素132(取付けベース132a)の角度および/または線形変位は、ばね132bの弾性力の変動および周波数偏移に関連する。注射デバイス102内の薬剤の用量を判定するために、周波数偏移は、インタロゲータ106によって規則的な時間間隔(たとえば、数ミリ秒ごと)で読み出される。
【0020】
図1Cに示す例示的なRF変調システム114は、ハウジング112の壁および可動要
素132に取り付けられた感歪共振器130を含む。感歪共振器130は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの感歪メタマテリアルを含むことができる。可動要素132は、プランジャロッド118に取り付けられた偏心要素132cを有する円板を含むことができる。感歪共振器130の共振周波数は、共振器130に対する可動要素132の角度位置、線形位置、または線形位置および角度位置の組合せに関連する力に応じて偏移させることができる。たとえば、偏心要素132cの角度および/または線形位置に応じて、特定の圧力レベルを感歪共振器130にかけることができ、感歪共振器130は、この圧力を周波数偏移に変換する。注射デバイス102内の薬剤の用量を判定するために、周波数偏移は、インタロゲータ106によって規則的な時間間隔で読み出される。
【0021】
図1Dに示す例示的なRF変調システム114は、ハウジング112の壁および可動要素132に取り付けられた感歪共振器130を含む。感歪共振器130は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの感歪メタマテリアルを含むことができる。可動要素132は、プランジャロッド118に取り付けられた偏心ホイールを含むことができる。感歪共振器130の共振周波数は、共振器130に対する可動要素132の角度位置、線形位置、または線形位置および角度位置の組合せに関連する力に応じて偏移させることができる。たとえば、可動要素132(たとえば、偏心ホイールの縁部)の角度および/または線形位置に応じて、特定の圧力レベルを感歪共振器130にかけることができ、感歪共振器130は、この圧力を周波数偏移に変換する。注射デバイス102内の薬剤の用量を判定するために、周波数偏移は、インタロゲータ106によって規則的な時間間隔で読み出される。
【0022】
図1Eに示す例示的なRF変調システム114は、ハウジング112の壁および可動要素132に取り付けられた共振器130を含む。共振器130は、微小電気機械システム(MEMS)発振器130a、カンチレバー130b、および膜130cを含むことができる。可動要素132は、プランジャロッド118に取り付けられたビームを含み、ビームは、膜130cを介して共振器130に連結される。感歪共振器130の共振周波数は、発振器130aに対する可動要素132(ビーム)の角度位置、線形位置、または線形位置および角度位置の組合せに関連する力に応じて偏移させることができる。可動要素132(ビーム)の角度および/または線形変位は、カンチレバー130bの角度の変動に関連し、この変動により周波数偏移が誘起される。注射デバイス102内の薬剤の用量を判定するために、周波数偏移は、インタロゲータ106によって規則的な時間間隔で読み出される。
【0023】
図1Fに示す例示的なRF変調システム114は、ハウジング112の壁に取り付けられた電気回路を画成する共振器130と、プランジャロッド118に直接取り付けられた最終用量ナットを含む可動要素132とを含む。電気回路は、可動要素132の位置に基づいてその電気特性を変化させるように構成された印刷回路を含む薄箔とすることができる。可動要素132(最終用量ナット)は、電気導体132dおよび1対のブラシ132eを含む。いくつかの実装形態では、可動要素132(最終用量ナット)は、スマート回路または負荷などの電気要素132fを含む。電気導体132dは、共振器130および電気要素132fに接続するように構成することができる。電気導体132dは、共振器130を短絡させることができ、共振器130の負荷もしくはインピーダンスを追加もしくは変更することができ、または電気回路130d、130eのいくつかの部分を接続もしくは切断することができる。1対のブラシ132eは、可動要素132の位置変化中の機械的安定性を提供するように構成することができる。共振器130の電気特性は、共振器130に対する可動要素132(最終用量ナット)の角度位置、線形位置、または線形位置および角度位置の組合せに応じて変化することができる。可動要素132(最終用量ナット)の角度および/または線形変位は、電気特性(たとえば、負荷、インピーダンス、閉または開回路)の変化に関連する。注射デバイス102内の薬剤の用量を判定するた
めに、電気特性の変化は、インタロゲータ106によって読み出される。インタロゲータ106は、時間領域反射光測定または位相符号化送信の原理によって、電気特性に関連する信号を規則的な時間間隔で読み出すことができる。
【0024】
センサ134は、環境条件および/または薬剤タイプを含むパラメータを示すRF信号変調を生成するように構成することができる。環境条件は、温度、湿度、および光度を含むことができる。環境条件を検出するように構成されたセンサ134は、メタマテリアルベースの共振器またはMEMS共振器を含むことができる。たとえば、フェナントレン(温度閾値感知)、イオンプラスチック結晶、金属酸化物(たとえば、ZnO)のうちの1つまたはそれ以上を含むメタマテリアルは、注射デバイス102の温度を検出するように構成することができる。特に、フェナントレンは、温度閾値を検出するように構成することができる。カプトンおよびポリビニルアルコール(PVA)のうちの1つまたはそれ以上を含むメタマテリアルは、注射デバイス102の周囲の環境の湿度を検出するように構成することができる。薬剤タイプは、マルチスロットパッチ共振器を使用してコード化することができる。マルチスロットパッチ共振器の共振周波数は、スロットの数、スロットの幾何形状、スロットの幅、スロットの高さ、およびスロットの長さに依存する。注射デバイス102の識別子もまた、マルチスロットパッチ共振器によってコード化することができる。注射デバイス102の識別子は、使用中の注射デバイス102の識別を有効にする一意の識別子とすることができる。必要とされるビット数を低減させるために、識別子はまた、十分に大きい数とすることができ、これと他の情報(薬剤タイプ、日付、地理位置など)とを組み合わせて、現在インタロゲータ106の通信フィールド136内にある注射デバイス102を識別することができる。いくつかの実装形態では、いかなるときでも同じ通信フィールドを共用する2つの注射デバイス102に同じ「一意」の識別子が発行されることを防止する1つまたはそれ以上の規則に基づいて、複数の注射デバイス102に同じ「一意」の識別子が発行される。たとえば、同じ「一意」の識別子が発行された注射デバイス102は、欧州連合およびアメリカ合衆国などの世界の異なる地域で販売される。別の例として、注射デバイス102の識別子は、注射デバイス102内に含まれている医薬品の有効期間などの特定の時間間隔後に繰り返すことができる。
【0025】
いくつかの実装形態では、RF変調システム114の構成要素は、ハウジング112内の単一の位置または複数の位置に一体化することができる(たとえば、支承部120、プランジャロッド118、およびプランジャヘッド119内の空洞内に位置し、または取り付けられる)。共振器130および/または可動要素132などのRF変調システム114の1つまたはそれ以上の電子構成要素の位置は、RF信号変調の効率を最大にするように選択することができる。RF変調システム114の構成要素は、注射デバイス102の特定の構成要素(たとえば、ハウジング112またはプランジャロッド118)に成形、嵌合、または溶接することができる。
【0026】
薬剤リザーバ116は、流体薬剤を収容するように構成することができる。薬剤リザーバ116は、薬剤、麻酔薬などの調製された流体を包装するために使用されるカートリッジまたはシリンジのような従来の略円筒形の使い捨て容器とすることができる。薬剤リザーバ116は、内壁および外壁ならびに2つの端部を有する筒面を有する。一端(近位端)は、針138の内方端を封止係合で受け取る穿孔可能な膜を有する。他端(遠位端)は、ストッパ117の挿入を有効にするように構成することができる。
【0027】
投与量ノブ122を回すことによって、収容されている薬剤の用量を注射デバイス102から排出することができ、次いで、選択された用量は、投与量窓124を介して、たとえばいわゆる国際単位(IU)の倍数で表示され、1IUは純結晶薬剤の約45.5マイクログラム(1/22mg)に生物学的に同等である。投与量窓124内に表示される選択済み用量の一例は、図1Aに示すように、たとえば30IUとすることができる。いく
つかの実装形態では、選択済み用量を異なる形で、たとえば電子ディスプレイによって表示することができる(たとえば、投与量窓124が電子ディスプレイの形態をとることができる)。投与量ノブ122を回すことで、機械クリック音が音響フィードバックを使用者へ提供することができる。投与量窓124内に表示される数字は、ハウジング112内に収容されているスリーブ上に印刷することができ、スリーブは、プランジャロッド118の端部に固定されたプランジャヘッド119と機械的に相互作用し、薬剤リザーバ116内でストッパ117を押す。支承部120は、プランジャロッド118の一端または両端への堅固な取付けを提供することができる。
【0028】
プランジャヘッド119(たとえば、プランジャの後端)は、薬剤リザーバ116内に収容されているストッパ117を変位させることによって、流体の一部分を排出するように構成することができ、したがって最終用量ナット、プランジャロッド118、およびストッパ117の位置が、注射デバイス102内の流体の量に関連する。ストッパ117は、ゴムストッパなどの可撓性のストッパとすることができる。ストッパ117は、プランジャヘッド119によって係合されたときにストッパ117が裂けたり捩れたりしないように十分な長さとすることができる。
【0029】
ニードルアセンブリ115は、ハウジング110に取り付けることができる針138を含む。針138は、内側ニードルキャップ140および外側ニードルキャップ142によって覆うことができ、外側ニードルキャップ142は、外部キャップ144によって覆うことができる。針138が患者の皮膚部分に刺され、次いで注射ボタン126が押されると、表示窓124内に表示されている薬剤用量を注射デバイス102から排出することができる。注射ボタン126が押された後、注射デバイス102の針138が特定の時間にわたって皮膚部分内に留まったとき、用量の大部分(たとえば、95%超)が実際に患者の体内へ注射される。薬剤用量の排出により、機械クリック音を生成することができ、この機械クリック音は、投与量ノブ122を使用したときに生じる音とは異なることができる。
【0030】
注射デバイス102は、薬剤リザーバ116が空になるまで、または注射デバイス102の有効期日(たとえば、最初の使用から28日後)に到達するまで、数回の注射プロセスに対して使用することができる。注射デバイス102を初めて使用する前に、薬剤リザーバ116および針138から空気を除去するために、プライミング動作の実行が必要になることがある。たとえば、プライミング動作は、薬剤の2単位を選択し、針138を上向きにして注射デバイス102を保持しながら注射ボタン126を押下することを含むことができる。薬剤の2単位の選択または注射ボタン126の押下によって生成されるインパルスにより、RF変調システム114によるRF信号の変調をトリガすることができる。
【0031】
いくつかの実装形態では、外部デバイス104は、インタロゲータ106を含むことができ、いくつかの実装形態では、外部デバイス104は、インタロゲータ106に取外し可能に取り付けることができる。インタロゲータ106は、注射デバイス102へ信号を送信し、注射デバイス102から信号を受信するように構成することができる。インタロゲータ106は、事前設定された時間間隔中(たとえば、スケジュールされた治療時間間隔中、または起動信号の受信後、2つの連続するRF変調信号が同一になるまで)に、事前設定された周波数(たとえば、0.1Hz~1Hz)で注射デバイス102へ信号を自発的に送信するように構成することができる。外部デバイス104は、注射デバイス102によって送信される変調RF信号を処理し、ネットワーク108を介してサーバデバイス110へ送信するように構成することができる。
【0032】
いくつかの実装形態では、サーバデバイス110は、少なくとも1つのサーバ146お
よび少なくとも1つのデータ記憶装置148を含む。図1の例では、サーバデバイス110は、それだけに限定されるものではないが、ウェブサーバ、アプリケーションサーバ、プロキシサーバ、ネットワークサーバ、および/またはサーバプールを含む様々な形態のサーバを代表することが意図される。概して、サーバシステムは、注射デバイス102の使用の監視を支持するために、ネットワーク108を介して、アプリケーションサービスに対する要求を受け取り、そのようなサービスを任意の数のクライアントデバイス(たとえば、外部デバイス104)へ提供する。いくつかの実装形態では、使用者(患者または医療提供者など)は、注射デバイス102の使用に関連する過去および現在のデータを分析するために、アプリケーションサービスにアクセスすることができる。注射デバイス102の使用に関連する過去および現在のデータは、薬剤注射日、1日当たりの排出用量、および注射デバイス102内の薬剤の残量を含むことができる。
【0033】
図2は、本開示の実装形態を実行することができる例示的なシステム200のブロック図である。システム200は、注射デバイス102と外部デバイス104との間のRF信号の送信を有効にする。注射デバイス102は、アンテナ128および共振器130を含むことができる。アンテナ128は、外部デバイス104からRF信号を受信するように構成される。共振器130は、図1A図1Eを参照して詳細に説明したように、RF信号を受動的に変調するように構成される。外部デバイス104は、制御モジュール202、インタロゲータ204、および入出力モジュール206を含む。制御モジュール202は、外部デバイス104の1つまたはそれ以上の動作を制御するように構成されたサーバからダウンロード可能なアプリケーションとすることができる。たとえば、外部デバイス104の動作は、制御モジュール202によって実行されるプログラムによって制御される。制御モジュール202は、起動構成要素208、検出構成要素210、および分析構成要素212を含む。
【0034】
起動構成要素208は、図3を参照して説明したように、注射デバイス102とのRF通信プロセスを開始することができる起動信号を生成するように構成することができる。RF通信プロセスの起動は、外部デバイス104のエネルギー消費、外部デバイス104の近傍における検出の有用性および信頼性に寄与する重要な要因である。いくつかの実装形態では、起動信号は、ウェイク信号を受信したことに応答して生成される。ウェイク信号は、外部デバイス104の使用者が発した単語、または注射デバイス102の動作によって生成された特有のノイズ(たとえば、プライミング動作に関連するノイズ、用量ダイヤル設定クリック、または投薬クリック)を含むことができる。いくつかの実装形態では、起動信号は、注射デバイス102とのRF通信プロセスを開始するための要求を含むユーザ入力を入出力モジュール206から受信したことに応答して生成される。いくつかの実装形態では、起動信号は、事前設定された頻度(たとえば、1日1回または複数回)で生成され、この頻度は、治療スケジュールに対応するように、外部デバイス104の使用者によって更新することができる。起動信号は、RF通信プロセスを開始するためにインタロゲータ204へ送信されるトリガ信号を含むことができる。起動信号は、インタロゲータ204に電力供給してRF通信プロセスを開始するためにエネルギー源(たとえば、外部デバイスの電池)へ送信されるトリガ信号を含むことができる。いくつかの実装形態では、RF通信プロセスを起動する前に、起動構成要素208は、入出力モジュール206を介して、注射デバイス102とのRF通信プロセスを開始するための承認を要求するメッセージを外部デバイス104の使用者に提供する。
【0035】
検出構成要素210は、インタロゲータ204を使用した変調RF信号の検出を制御するための検出信号を生成するように構成することができる。いくつかの実装形態では、検出プロセスは、起動プロセスの1つまたはそれ以上のパラメータに基づいて制御することができる。たとえば、検出構成要素210は、起動構成要素208がトリガ信号を生成してから特定の時間後に検出動作を開始するために、起動構成要素208と通信するように
構成することができる。検出動作は、前処理段階(たとえば、エコー消去および/またはノイズ抑制)および実際の検出段階を含むことができる。いくつかの実装形態では、検出構成要素210は、変調されたRF信号の検出中に、外部デバイス104内に含まれているフィルタ(たとえば、帯域通過および/または帯域除去フィルタ)を起動する。
【0036】
分析構成要素212は、インタロゲータ204によって検出された変調RF信号の分析を制御するための分析信号を生成するように構成することができる。たとえば、分析構成要素212は、信号処理アルゴリズムの選択を制御することができる。信号処理アルゴリズムは、基本的な信号処理方法(たとえば、離散フーリエ変換、短時間フーリエ変換、離散コサイン変換、離散時間ウェーブレット変換)、短期および中期特徴抽出、分類子(たとえば、k近傍分類子、決定木、サポートベクターマシン、人工ニューラルネットワーク、ディープニューラルネットワーク)、アルゴリズムを「訓練」するための期待信号の事前知識に基づくアルゴリズム、および受信信号と期待信号を相関させて関心領域を判定するための期待信号の事前知識に基づくアルゴリズムのうちの1つまたは組合せを含むことができる。
【0037】
インタロゲータ204は、外部デバイス104内に一体化されまたは取り付けられた構成要素とすることができる。インタロゲータ204は、RFモジュール214、CPU216、送信器218、および受信器220を含む。RFモジュール214は、RF信号を生成するように構成される。いくつかの実装形態では、RF信号の1つまたはそれ以上の特性が、注射デバイス102の共振器130に基づいて選択される。たとえば、時間領域反射光測定には、パルス信号を生成することができ、周波数変調をもたらすように構成された共振器130には、広い周波数範囲を有する信号を生成することができ、位相変調をもたらすように構成された共振器130には、帯域限定パルス信号を生成することができ、または相互変調(たとえば、高調波周波数n*f±m*f)をもたらすように構成された共振器130には、複数の密接した周波数(たとえば、2つの周波数fおよびf)を有する信号を生成することができる。CPU216は、制御モジュール202から受信した制御信号(たとえば、起動信号、検出信号、および/または処理信号)を解釈および実行し、分析構成要素212によって選択されたアルゴリズムに応じて変調RF信号を処理するように構成される。送信器218は、RFモジュール214によって生成されたRF信号を送信するように構成される。受信器220は、注射デバイス102によって生成された変調RF信号を受信するように構成される。
【0038】
出力モジュール206は、注射デバイスとのRF通信および変調RF信号の処理を支持するように制御モジュール202によって制御される外部デバイス104の標準的な構成要素とすることができる。出力モジュール206は、ディスプレイ222、ハードウェアドライバ224、およびメモリ226を含む。ディスプレイ222は、ユーザ入力を提供し、注射デバイス102および注射デバイス102を使用して実行された治療に関連する標示を受信することによって、外部デバイス104の使用者が外部デバイス104と対話することを有効にするように構成することができる。ハードウェアドライバ224は、ディスプレイ222を制御するプログラムを含む。メモリ226は、インタロゲータ204によって受信した変調RF信号および変調RF信号を処理した結果を含むデータを記憶するように構成されたコンピュータ可読媒体とすることができる。
【0039】
図3は、図1および図2を参照して説明したデバイスおよびシステムによって実行することができる例示的なプロセス300を示す流れ図である。たとえば、プロセス300は、図1A図1Eのシステム100または図2のシステム200によって実行することができる。プロセス300は、ウェイク信号を受信することによって始まる(302)。ウェイク信号は、外部デバイスと注射デバイス102との間のRF通信プロセスを開始するための要求を示すユーザ入力を含むことができる。ウェイク信号は、言葉によるコマンド
(たとえば、外部デバイスの使用者が話した語句)、使用者選択(たとえば、関連するアプリケーションの起動)、または注射デバイス102の動作によって生成された特有のノイズ(たとえば、プライミング動作、用量ダイヤル設定クリック、または投薬クリックに関連するノイズ)とすることができる。注射デバイスによって実行されるプライミング動作の一例は、薬剤の特定の数(たとえば、1または2)の単位を選択し、針を上向きにして注射デバイスを保持しながら注射ボタンを押下することを含むことができる。注射デバイスによって実行されるプライミング動作の別の例は、ウェイク信号を生成するように構成された注射デバイスのプライミングボタンを押下することを含むことができる。注射デバイスによって実行されるプライミング動作の別の例は、外部デバイスにインタロゲータを取り付けることを含むことができる。
【0040】
ウェイク信号を受信したことに応答して、起動信号が生成され(304)。起動信号は、外部デバイスの1つまたはそれ以上の構成要素(たとえば、インタロゲータ、エネルギー源、および入出力モジュール)へ送信される1つまたはそれ以上のトリガ信号を含むことができる。たとえば、起動信号は、注射デバイスとのRF通信プロセスを開始するために、外部デバイス内に一体化されまたは取り付けられたインタロゲータへ送信されるトリガ信号を含むことができる。起動信号は、インタロゲータに電力供給してRF通信プロセスを開始するためにエネルギー源(たとえば、外部デバイスの電池)へ送信されるトリガ信号を含むことができる。さらに、起動信号は、使用者承認を取り出して注射デバイスとのRF通信プロセスを開始するために入出力モジュールへ送信されるトリガ信号を含むことができる。
【0041】
起動信号を受信したことに応答して、1つまたはそれ以上のインタロゲーション信号がインタロゲータのRFモジュールによって生成される(306)。インタロゲーション信号は、特定の特性を有するRF信号を含むことができる。いくつかの実装形態では、インタロゲーション信号の1つまたはそれ以上の周波数特性は、標的注射デバイスの共振器タイプに基づいて選択される。たとえば、インタロゲーション信号は、パルスRF信号、広い周波数範囲のRF信号、帯域限定パルスRF信号、または複数の密接した周波数を有するRF信号を含むことができる。いくつかの実装形態では、注射デバイスによって分散された薬剤の量の検出を有効にするために、複数のインタロゲーション信号が生成される。
【0042】
インタロゲーション信号は、送信器によって注射デバイスへ送信される(308)。各インタロゲーション信号に応答して、注射デバイスの共振器によって生成された変調RF信号が受信される(310)。たとえば、複数のインタロゲーション信号が送信された場合、複数の変調RF信号が受信される。変調RF信号は、時間領域変調、周波数変調、位相変調、または相互変調を含むことができる。変調RF信号の変調は、薬剤リザーバ内の薬剤の量に関連する注射デバイスの別の(機械)構成要素(たとえば、最終用量ナット、プランジャロッド、プランジャヘッド、およびストッパ)に対する共振器の位置を示す。いくつかの実装形態では、複数の変調RF信号が受信された場合、2つの(連続する)RF信号間の周波数偏移が、リザーバ内の薬剤の量に関連する。変調RF信号の変調は、環境パラメータ(たとえば、湿度および温度)の1つまたはそれ以上の測定値を示すことができる。
【0043】
変調RF信号は、外部デバイスのプロセッサによって処理される(312)。変調RF信号の処理は、薬剤の投与(たとえば、注射デバイス内に残っている薬剤の体積および/または投薬された薬剤の体積)および注射デバイスの動作条件に関連する1つまたはそれ以上のパラメータなどの注射デバイスデータを判定することを含む。変調RF信号の処理は、基本的な信号処理方法(たとえば、離散フーリエ変換、短時間フーリエ変換、離散コサイン変換、離散時間ウェーブレット変換)、短期および中期特徴抽出、分類子(たとえば、k近傍分類子、決定木、サポートベクターマシン、人工ニューラルネットワーク、デ
ィープニューラルネットワーク)、アルゴリズムを「訓練」するための期待信号の事前知識に基づくアルゴリズム、および受信信号と期待信号を相関させて、注射デバイス内で一体化された複数の共振器を区別する関心領域を判定するための期待信号の事前知識に基づくアルゴリズムのうちの1つまたは組合せを含むことができる。注射デバイスデータは、記憶することができ、別のシステムへ送信することができ、または外部デバイスの使用者へ表示することができる(314)。いくつかの実装形態では、使用者が外部デバイスのディスプレイと対話することで、注射デバイスと外部デバイスとの間の通信の終了または別のウェイク信号の生成によるプロセス300の繰返しを選択することができる。
【0044】
図4は、例示的な演算システム400の概略図を示す。システム400は、本明細書に記載する実装形態に関連して説明する動作のために使用することができる。たとえば、システム400は、本明細書に論じるサーバ構成要素のいずれかまたはすべてに含むことができる。システム400は、プロセッサ410、メモリ420、記憶デバイス430、および入出力デバイス440を含む。構成要素410、420、430、および440の各々は、システムバス450を使用して相互接続される。プロセッサ410は、システム400内で実行するための命令を処理することが可能である。一実装形態では、プロセッサ410はシングルスレッドプロセッサである。別の実装形態では、プロセッサ410はマルチスレッドプロセッサである。プロセッサ410は、入出力デバイス440上のユーザインターフェースのためにグラフィカル情報を表示するように、メモリ420内または記憶デバイス430上に記憶されている命令を処理することが可能である。
【0045】
メモリ420は、システム400内の情報を記憶する。一実装形態では、メモリ420はコンピュータ可読媒体である。一実装形態では、メモリ420は揮発性メモリユニットである。別の実装形態では、メモリ420は不揮発性メモリユニットである。記憶デバイス430は、システム400に対する大容量記憶を提供することが可能である。一実装形態では、記憶デバイス430はコンピュータ可読媒体である。様々な異なる実装形態では、記憶デバイス430は、フロッピーディスクデバイス、ハードディスクデバイス、光ディスクデバイス、またはテープデバイスとすることができる。入出力デバイス440は、システム400に対する入出力動作を提供する。一実装形態では、入出力デバイス440は、キーボードおよび/またはポインティングデバイスを含む。別の実装形態では、入出力デバイス440は、図1図3を参照して説明したように収集、記憶、および照会された項目に関係するデータに使用者がアクセスすることを有効にするグラフィカルユーザインターフェースを表示するためのディスプレイユニットを含む。
【0046】
記載する構成は、デジタル電子回路、またはコンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、もしくはこれらの組合せで実施することができる。装置は、プログラマブルプロセッサによる実行のために情報キャリア内、たとえば機械可読記憶デバイス内で有形に実施されるコンピュータプログラム製品内で実施することができ;方法工程は、入力データ上の動作および出力の生成によって、記載する実装形態の機能を実行するための命令プログラムをプログラマブルプロセッサが実行することによって実行することができる。記載する構成は、有利には、データ記憶システムからデータおよび命令を受信し、データ記憶システムへデータおよび命令を送信するように連結された少なくとも1つのプログラマブルプロセッサと、少なくとも1つの入力デバイスと、少なくとも1つの出力デバイスとを含むプログラマブルシステム上で実行可能な1つまたはそれ以上のコンピュータプログラム内で実施することができる。コンピュータプログラムは、特定の動作を実行しまたは特定の結果をもたらすためにコンピュータ内で直接または間接的に使用することができる命令セットである。コンピュータプログラムは、コンパイル済みまたは解釈済みの言語を含む任意の形式のプログラミング言語で書き込むことができ、独立型プログラムを含む任意の形式で、またはモジュール、構成要素、サブルーチン、もしくは演算環境での使用に好適な他のユニットとして導入することができる。
【0047】
命令プログラムの実行に好適なプロセッサには、例として、汎用および特別目的両方のマイクロプロセッサ、ならびに任意の種類のコンピュータの単独のプロセッサまたは複数のプロセッサのうちの1つが含まれる。概して、プロセッサは、読出し専用メモリもしくはランダムアクセスメモリ、またはこれらの両方から、命令およびデータを受信する。コンピュータの必須要素は、命令を実行するためのプロセッサ、ならびに命令およびデータを記憶するための1つまたはそれ以上のメモリである。概して、コンピュータはまた、データファイルを記憶するための1つまたはそれ以上の大容量記憶デバイスを含み、またはそのようなデバイスと通信するように動作可能に連結され;そのようなデバイスは、内部ハードディスクおよび取外し可能ディスクなどの磁気ディスク;光磁気ディスク;ならびに光ディスクを含む。コンピュータプログラム命令およびデータを有形に実施するのに好適な記憶デバイスは、例として、EPROM、EEPROM、およびフラッシュ記憶デバイスなどの半導体記憶デバイス;内部ハードディスクおよび取外し可能ディスクなどの磁気ディスク;光磁気ディスク;ならびにCD-ROMおよびDVD-ROMディスクを含むあらゆる形式の不揮発性メモリを含む。プロセッサおよびメモリは、ASIC(特定用途向け集積回路)によって補足することができ、またはASIC内に組み込むことができる。
【0048】
使用者との対話を提供するために、これらの構成は、使用者に情報を表示するためのCRT(ブラウン管)またはLCD(液晶ディスプレイ)モニタなどのディスプレイデバイスと、使用者がコンピュータへ入力を提供することができるキーボードおよびマウスまたはトラックボールなどのポインティングデバイスとを有するコンピュータ上で実施することができる。
【0049】
これらの構成は、データサーバなどのバックエンド構成要素、アプリケーションサーバもしくはインターネットサーバなどのミドルウェア構成要素、もしくはグラフィカルユーザインターフェースもしくはインターネットブラウザを有するクライアントコンピュータなどのフロントエンド構成要素、またはこれらの任意の組合せを含むコンピュータシステム内で実施することができる。システムの構成要素は、通信ネットワークなどの任意の形式または媒体のデジタルデータ通信によって接続することができる。通信ネットワークの例には、たとえばLAN、WAN、ならびにインターネットを形成するコンピュータおよびネットワークが含まれる。
【0050】
コンピュータシステムは、クライアントおよびサーバを含むことができる。クライアントおよびサーバは、概して互いに遠隔に位置し、典型的には記載したものなどのネットワークを介して相互作用する。クライアントおよびサーバの関係は、コンピュータプログラムがそれぞれのコンピュータ上で実行され、互いにクライアントとサーバの関係を有することによって生じる。
【0051】
加えて、図に示した論理の流れは、望ましい結果を実現するために、図示の特定の順序または連続する順序を必要としない。加えて、他の工程を提供することができ、または記載した流れから工程を削除することができ、記載したシステムに他の構成要素を追加することができ、記載したシステムから他の構成要素を除去することができる。したがって、他の実装形態も以下の特許請求の範囲の範囲内である。
【0052】
「薬物」または「薬剤」という用語は、本明細書では同義的に用いられ、1つもしくはそれ以上の活性医薬成分またはそれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物と、場合により薬学的に許容可能な担体と、を含む医薬製剤を記述する。活性医薬成分(「API」)とは、最広義には、ヒトまたは動物に対して生物学的効果を有する化学構造体のことである。薬理学では、薬剤または医薬は、疾患の治療、治癒、予防、または診断に使用さ
れるか、さもなければ身体的または精神的なウェルビーイングを向上させるために使用される。薬物または薬剤は、限定された継続期間で、または慢性障害では定期的に使用可能である。
【0053】
以下に記載されるように、薬物または薬剤は、1つもしくはそれ以上の疾患の治療のために各種タイプの製剤中に少なくとも1つのAPIまたはその組合せを含みうる。APIの例としては、500Da以下の分子量を有する低分子、ポリペプチド、ペプチド、およびタンパク質(たとえば、ホルモン、成長因子、抗体、抗体フラグメント、および酵素)、炭水化物および多糖、ならびに核酸、二本鎖または一本鎖DNA(ネイキッドおよびcDNAを含む)、RNA、アンチセンス核酸たとえばアンチセンスDNAおよびRNA、低分子干渉RNA(siRNA)、リボザイム、遺伝子、およびオリゴヌクレオチドが挙げられうる。核酸は、ベクター、プラスミド、またはリポソームなどの分子送達システムに取り込み可能である。1つまたはそれ以上の薬物の混合物も企図される。
【0054】
薬物または薬剤は、薬物送達デバイスでの使用に適合化された一次パッケージまたは「薬物容器」に包含可能である。薬物容器は、たとえば、1つもしくはそれ以上の薬物の収納(たとえば、短期または長期の収納)に好適なチャンバを提供するように構成されたカートリッジ、シリンジ、リザーバ、または他の硬性もしくは可撓性のベッセルでありうる。たとえば、いくつかの場合には、チャンバは、少なくとも1日間(たとえば、1日間~少なくとも30日間)にわたり薬物を収納するように設計可能である。いくつかの場合には、チャンバは、約1カ月~約2年間にわたり薬物を収納するように設計可能である。収納は、室温(たとえば、約20℃)または冷蔵温度(たとえば、約-4℃~約4℃)で行うことが可能である。いくつかの場合には、薬物容器は、投与される医薬製剤の2つ以上の成分(たとえば、APIと希釈剤、または2つの異なる薬物)を各チャンバに1つずつ個別に収納するように構成されたデュアルチャンバカートリッジでありうるか、またはそれを含みうる。かかる場合には、デュアルチャンバカートリッジの2つのチャンバは、人体もしくは動物体への投薬前および/または投薬中に2つ以上の成分間の混合が可能になるように構成可能である。たとえば、2つのチャンバは、互いに流体連通するように(たとえば、2つのチャンバ間の導管を介して)かつ所望により投薬前にユーザによる2つの成分の混合が可能になるように構成可能である。代替的または追加的に、2つのチャンバは、人体または動物体への成分の投薬時に混合が可能になるように構成可能である。
【0055】
本明細書に記載の薬物送達デバイスに含まれる薬物または薬剤は、多くの異なるタイプの医学的障害の治療および/または予防のために使用可能である。障害の例としては、たとえば、糖尿病または糖尿病に伴う合併症たとえば糖尿病性網膜症、血栓塞栓障害たとえば深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症が挙げられる。障害のさらなる例は、急性冠症候群(ACS)、アンギナ、心筋梗塞、癌、黄斑変性、炎症、枯草熱、アテローム硬化症および/または関節リウマチである。APIおよび薬物の例は、ローテリステ2014年(Rote Liste 2014)(たとえば、限定されるものではないがメイングループ12(抗糖尿病薬剤)または86(オンコロジー薬剤))やメルク・インデックス第15版(Merck Index,15th edition)などのハンドブックに記載されているものである。
【0056】
1型もしくは2型糖尿病または1型もしくは2型糖尿病に伴う合併症の治療および/または予防のためのAPIの例としては、インスリン、たとえば、ヒトインスリン、もしくはヒトインスリンアナログもしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)、GLP-1アナログもしくはGLP-1レセプターアゴニスト、はそのアナログもしくは誘導体、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP4)阻害剤、またはそれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、またはそれらのいずれかの混合物が挙げられる。本明細書で用いられる場合、「アナログ」および「誘導体」という用語は、天然に存在するペプチドに
存在する少なくとも1つのアミノ酸残基の欠失および/または交換によりおよび/または少なくとも1つのアミノ酸残基の付加により天然に存在するペプチドの構造たとえばヒトインスリンの構造から形式的に誘導可能な分子構造を有するポリペプチドを指す。付加および/または交換アミノ酸残基は、コード可能アミノ酸残基または他の天然に存在する残基または純合成アミノ酸残基のどれかでありうる。インスリンアナログは、「インスリンレセプターリガンド」とも呼ばれる。特に、「誘導体」という用語は、天然に存在するペプチドの構造から形式的に誘導可能な分子構造、たとえば、1つまたはそれ以上の有機置換基(たとえば脂肪酸)がアミノ酸の1つまたはそれ以上に結合したヒトインスリンの分子構造を有するポリペプチドを指す。場合により、天然に存在するペプチドに存在する1つまたはそれ以上のアミノ酸が、欠失し、および/または非コード可能アミノ酸を含めて他のアミノ酸によって置き換えられ、または天然に存在するペプチドに非コード可能なものを含めてアミノ酸が付加される。
【0057】
インスリンアナログの例は、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン(インスリングラルギン);Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン(インスリングルリジン);Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン(インスリンリスプロ);Asp(B28)ヒトインスリン(インスリンアスパルト);位置B28のプロリンがAsp、Lys、Leu、ValまたはAlaに置き換えられたうえに位置B29のLysがProに置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28~B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリンおよびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0058】
インスリン誘導体の例は、たとえば、B29-N-ミリストイル-des(B30)ヒトインスリン、Lys(B29)(N-テトラデカノイル)-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデテミル、レベミル(Levemir)(登録商標));B29-N-パルミトイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-ミリストイルヒトインスリン;B29-N-パルミトイルヒトインスリン;B28-N-ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28-N-パルミトイル-LysB28ProB29ヒトインスリン;B30-N-ミリストイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30-N-パルミトイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29-N-(N-パルミトイル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン、B29-N-オメガ-カルボキシペンタデカノイル-ガンマ-L-グルタミル-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデグルデク、トレシーバ(Tresiba)(登録商標));B29-N-(N-リトコリル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)-des(B30)ヒトインスリンおよびB29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0059】
GLP-1、GLP-1アナログおよびGLP-1レセプターアゴニストの例は、たとえば、リキシセナチド(リキスミア(Lyxumia)(登録商標))、エキセナチド(エキセンジン-4、バイエッタ(Byetta)(登録商標)、ビデュリオン(Bydureon)(登録商標)、ヒラモンスターの唾液腺により産生される39アミノ酸ペプチド)、リラグルチド(ビクトーザ(Victoza)(登録商標))、セマグルチド、タスポグルチド、アルビグルチド(シンクリア(Syncria)(登録商標))、デュラグルチド(トルリシティ(Trulicity)(登録商標))、rエキセンジン-4、CJC-1134-PC、PB-1023、TTP-054、ラングレナチド/HM-11260C、CM-3、GLP-1エリゲン、ORMD-0901、NN-9924、NN-9926、NN-9927、ノデキセン、ビアドール-GLP-1、CVX-096、ZYOG-1、ZYD-1、GSK-2374697、DA-3091、MAR-701、MAR709、ZP-2929、ZP-3022、TT-401、BHM-034、
MOD-6030、CAM-2036、DA-15864、ARI-2651、ARI-2255、エキセナチド-XTENおよびグルカゴン-Xtenである。
【0060】
オリゴヌクレオチドの例は、たとえば、家族性高コレステロール血症の治療のためのコレステロール低下アンチセンス治療剤ミポメルセンナトリウム(キナムロ(Kynamro)(登録商標))である。
【0061】
DPP4阻害剤の例は、ビダグリプチン、シタグリプチン、デナグリプチン、サキサグリプチン、ベルベリンである。
【0062】
ホルモンの例としては、脳下垂体ホルモンもしくは視床下部ホルモンまたはレギュラトリー活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニスト、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(Somatropine)(ソマトロピン(Somatropin))、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、リュープロレリン、ブセレリン、ナファレリン、およびゴセレリンが挙げられる。
【0063】
多糖の例としては、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリンもしくは超低分子量ヘパリンもしくはそれらの誘導体、もしくは硫酸化多糖たとえばポリ硫酸化形の上述した多糖、および/またはそれらの薬学的に許容可能な塩が挙げられる。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容可能な塩の例は、エノキサパリンナトリウムである。ヒアルロン酸誘導体の例は、ハイランG-F20(シンビスク(Synvisc)(登録商標))、ヒアルロン酸ナトリウムである。
【0064】
本明細書で用いられる「抗体」という用語は、イムノグロブリン分子またはその抗原結合部分を指す。イムノグロブリン分子の抗原結合部分の例としては、抗原への結合能を保持するF(ab)およびF(ab’)2フラグメントが挙げられる。抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、組換え抗体、キメラ抗体、脱免疫化もしくはヒト化抗体、完全ヒト抗体、非ヒト(たとえばネズミ)抗体、または一本鎖抗体でありうる。いくつかの実施形態では、抗体は、エフェクター機能を有するとともに補体を固定可能である。いくつかの実施形態では、抗体は、Fcレセプターへの結合能が低減されているか、または結合能がない。たとえば、抗体は、Fcレセプターへの結合を支援しない、たとえば、Fcレセプター結合領域の突然変異もしくは欠失を有するアイソタイプもしくはサブタイプ、抗体フラグメントまたは突然変異体でありうる。抗体という用語は、4価二重特異的タンデムイムノグロブリン(TBTI)および/またはクロスオーバー結合領域配向を有する二重可変領域抗体様結合タンパク質(CODV)に基づく抗原結合分子も含む。
【0065】
「フラグメント」または「抗体フラグメント」という用語は、完全長抗体ポリペプチドを含まないが依然として抗原に結合可能な完全長抗体ポリペプチドの少なくとも一部分を含む抗体ポリペプチド分子由来のポリペプチド(たとえば、抗体重鎖および/または軽鎖ポリペプチド)を指す。抗体フラグメントは、完全長抗体ポリペプチドの切断部分を含みうるが、この用語は、かかる切断フラグメントに限定されるものではない。本開示に有用な抗体フラグメントとしては、たとえば、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv(一本鎖Fv)フラグメント、線状抗体、単一特異的または多重特異的な抗体フラグメント、たとえば、二重特異的、三重特異的、四重特異的および多重特異的抗体(たとえば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)、1価または多価抗体フラグメント、たとえば、2価、3価、4価および多価の抗体、ミニボディ、キレート化組換え抗体、トリボディまたはビボディ、イントラボディ、ナノボディ、小モジュール免疫医薬(SMIP)、結合ドメインイムノグロブリン融合タンパク質、ラクダ化抗体、およびVHH含有抗体が挙げられる。抗原結合抗体フラグメントの追加の例は当技術分野で公知
である。
【0066】
「相補性決定領域」または「CDR」という用語は、特異的抗原認識を媒介する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内の短いポリペプチド配列を指す。「フレームワーク領域」という用語は、CDR配列でないかつ抗原結合が可能になるようにCDR配列の適正配置を維持する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内のアミノ酸配列を指す。フレームワーク領域自体は、典型的には抗原結合に直接関与しないが、当技術分野で公知のように、ある特定の抗体のフレームワーク領域内のある特定の残基は、抗原結合に直接関与しうるか、またはCDR内の1つもしくはそれ以上のアミノ酸と抗原との相互作用能に影響を及ぼしうる。
【0067】
抗体の例は、抗PCSK-9 mAb(たとえば、アリロクマブ)、抗IL-6 mAb(たとえば、サリルマブ)、および抗IL-4 mAb(たとえば、デュピルマブ)である。
【0068】
本明細書に記載のいずれのAPIの薬学的に許容可能な塩も、薬物送達デバイスで薬物または薬剤に使用することが企図される。薬学的に許容可能な塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。
【0069】
本開示の完全な範囲および精神から逸脱することなく、本明細書に記載するAPI、構成、装置、方法、システム、および実施形態の様々な構成要素に修正(追加および/または削除)を加えることができ、本開示は、そのような修正およびそのあらゆる均等物を包含することが、当業者には理解されよう。
【0070】
本開示の複数の実装形態について説明した。それにもかかわらず、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、様々な修正を加えることができることが理解されよう。したがって、他の実装形態も以下の特許請求の範囲の範囲内である。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2
図3
図4