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  • 特許-クロマトグラフ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】クロマトグラフ
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/60 20060101AFI20241017BHJP
   G01N 30/46 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
G01N30/60 Q
G01N30/60 P
G01N30/46 E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023516294
(86)(22)【出願日】2022-02-02
(86)【国際出願番号】 JP2022004103
(87)【国際公開番号】W WO2022224539
(87)【国際公開日】2022-10-27
【審査請求日】2023-09-12
(31)【優先権主張番号】P 2021072572
(32)【優先日】2021-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】清水 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】飯島 夢生
(72)【発明者】
【氏名】山下 太一郎
(72)【発明者】
【氏名】増田 藍
(72)【発明者】
【氏名】古川 大地
【審査官】中村 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭50-150497(JP,A)
【文献】国際公開第2018/116432(WO,A1)
【文献】特開2007-078436(JP,A)
【文献】特開平03-004165(JP,A)
【文献】特開平07-239325(JP,A)
【文献】米国特許第08307541(US,B1)
【文献】国際公開第2014/142096(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/199335(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/00-33/46
G01N 30/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定相を内蔵した分離カラムと、
前記分離カラムを収容し、予め定めたカラム設置位置に対して着脱可能に設けられたカラムカートリッジと、
前記カラム設置位置に設置された状態の前記カラムカートリッジに対して着脱可能に設けられ、前記カラムカートリッジの前記分離カラムに移動相を供給する上流側配管と、
前記カラム設置位置に設置された状態の前記カラムカートリッジに対して着脱可能に設けられ、前記カラムカートリッジの前記分離カラムを通過した前記移動相を送出する下流側配管と、
前記上流側配管に設けられ、前記上流側配管を軸方向に移動させて前記カラム設置位置に設置された状態の前記カラムカートリッジに対して着脱させる上流側配管移動機構と、
前記下流側配管に設けられ、前記下流側配管を軸方向に移動させて前記カラム設置位置に設置された状態の前記カラムカートリッジに対して着脱させる下流側配管移動機構と、
前記カラム設置位置、前記上流側配管前記下流側配管、前記上流側配管移動機構及び前記下流側配管移動機構から離間して配置され、かつ、これらを一体的に覆って内側と外側とを隔てるカバーとを備え、
前記カバーは、前記カバーを貫通し、前記カバーの外側から前記カラム設置位置への前記カラムカートリッジの設置を許容する挿入孔を有することを特徴とするクロマトグラフ。
【請求項2】
請求項1記載のクロマトグラフにおいて、
前記カラムカートリッジをそれぞれ設置可能な複数のカラム設置位置と、
前記複数のカラム設置位置にそれぞれに設置された状態の前記カラムカートリッジに着脱可能に設けられた複数の上流側配管及び下流側配管と、
前記複数のカラム設置位置、前記複数の上流側配管及び前記下流側配管を一体的に覆って内側と外側とを隔てるカバーとを備え、
前記カバーは、前記カバーを貫通し、前記カバーの外側から前記複数のカラム設置位置のそれぞれへの前記カラムカートリッジの設置を許容する複数の挿入孔を有することを特徴とするクロマトグラフ。
【請求項3】
請求項1記載のクロマトグラフにおいて
記カラムカートリッジの前記挿入孔を介しての前記カラム設置位置への設置に伴って前記カラムカートリッジに前記下流側配管が接続され、
その後に前記上流側配管移動機構によって前記カラムカートリッジに前記上流側配管が接続されることを特徴とするクロマトグラフ。
【請求項4】
請求項1記載のクロマトグラフにおいて
記カラムカートリッジの前記挿入孔を介しての前記カラム設置位置への設置に伴って前記カラムカートリッジに前記上流側配管が接続され、
その後に前記下流側配管移動機構によって前記カラムカートリッジに前記下流側配管が接続されることを特徴とするクロマトグラフ。
【請求項5】
請求項1記載のクロマトグラフにおいて、
前記カラムカートリッジは、前記カラム設置位置に設置された状態で、前記カバーの挿入孔から外側に突出する取手を有することを特徴とするクロマトグラフ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロマトグラフに関する。
【背景技術】
【0002】
液体クロマトグラフ(LC:Liquid Chromatograph)や固相抽出(SPE:Solid Phase Extraction)などでは、充填剤を詰めた分離カラムにより試料を分離することで、夾雑物除去や高精度かつ高S/N分析を実現できる。分離カラムは測定対象試料に応じて交換したり、分離カラムの寿命によって交換したりする必要がある。
【0003】
分離カラムの交換に係る技術としては、例えば、特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1には、分離カラムを保持するカラムホルダと、前記分離カラムの上流側のシール部と連結するシール部を備え上流側の配管が接続された第1のフィッティングを搭載する第1のフィッティングホルダと、前記分離カラムの下流側のシール部と連結するシール部を備え下流側の配管が接続された第2のフィッティングを搭載する第2のフィッティングホルダと、前記第1のフィッティングホルダと前記第2のフィッティングホルダのいずれか一方が固定された本体部材と、前記本体部材に固定されていない前記第1のフィッティングホルダ又は前記第2のフィッティングホルダを前記本体部材に対して移動させる駆動部と、前記カラムホルダを前記駆動部による移動方向に案内するガイドと、前記カラムホルダと前記第2のフィッティングホルダとの間に設けられた弾性体と、を有する分離カラム接続装置が開示されている。

【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2017/199335号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、クロマトグラフのスループット向上を図る場合、分離カラムの着脱作業の簡易化が必要である。また、分離カラムの着脱に際しては、オペレータが配管内の流路に残る液体や、十分に冷却されていない分離カラム、分離カラムと配管とを接続させる機構などに接触することを抑制する必要がある。
【0006】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、オペレータの分離カラム関連構成への接触を抑制しつつ、分離カラムを容易に交換することができるクロマトグラフを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、固定相を内蔵した分離カラムと、前記分離カラムを収容し、予め定めたカラム設置位置に対して着脱可能に設けられたカラムカートリッジと、前記カラム設置位置に設置された状態の前記カラムカートリッジに対して着脱可能に設けられ、前記カラムカートリッジの前記分離カラムに移動相を供給する上流側配管と、前記カラム設置位置に設置された状態の前記カラムカートリッジに対して着脱可能に設けられ、前記カラムカートリッジの前記分離カラムを通過した前記移動相を送出する下流側配管と、前記カラム設置位置、前記上流側配管及び前記下流側配管を一体的に覆って内側と外側とを隔てるカバーとを備え、前記カバーは、前記カバーを貫通し、前記カバーの外側から前記カラム設置位置への前記カラムカートリッジの設置を許容する挿入孔を有するものとする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、オペレータの分離カラム関連構成への接触を抑制しつつ、分離カラムを容易に交換することができるクロマトグラフを提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】質量分析装置のうちクロマトグラフを関連構成とともに抜き出して概略的に示す図である。
図2】カラムカートリッジを抜き出して示す斜視図である。
図3】クロマトグラフにカラムカートリッジを設置した様子を示す斜視透視図である。
図4】クロマトグラフにカラムカートリッジを設置した様子を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0011】
本実施の形態においては、クロマトグラフの一例として、液体クロマトグラフ(LC:Liquid Chromatograph)を例示して説明するが、これに限られず、例えば、高速液体クロマトグラフ(HPLC:High Performance Liquid Chromatograph)、超高速液体クロマトグラフ(UHPLC:Ultra-High Performance Liquid Chromatograph)、ガスクロマトグラフ(GC:Gas Chromatograph)などの他のクロマトグラフにも本発明を適用することができる。
【0012】
図1は、本実施の形態に係る質量分析装置のうちクロマトグラフを関連構成とともに抜き出して概略的に示す図である。
【0013】
本実施の形態においては、クロマトグラフの一例として液体クロマトグラフ(LC:Liquid Chromatograph)を例示し、図示しない前処理部で精製/濃縮などの前処理が実施された試料(移動相)が図示しないシッパーや送液機構(シリンジ、送液ポンプ、インジェクタなど)によってクロマトグラフに送液されるものとする。
【0014】
図1に示すように、質量分析装置100は、クロマトグラフ110と、切換装置120と、検出器130と、制御装置140とを備えている。
【0015】
クロマトグラフ110は、例えば、液体クロマトグラフであり、後述する分離カラム115a(図4参照)をそれぞれ内蔵する複数のカラムカートリッジ110a~110cが配置されている。
【0016】
切換装置120は、複数のカラムカートリッジ110a~110cと検出器130との接続を選択的に切り換えるストリームセレクトバルブであり、複数のカラムカートリッジ110a~110cのうち切換装置120によって選択されたカラムカートリッジ110a~110cを介した試料(移動相)が検出器130に送液される。各カラムカートリッジ110a~110cに係る流路は同一の構成からなり、並列に配置されている。
【0017】
検出器130は質量分析計であり、例えば、三連四重極質量分析計が用いられる。三連四重極質量分析計は、定量性にすぐれているという特徴を備えている。なお、質量分析計は、三連四重極質量分析計(Triple Q-MS)でなくともよく、イオントラップ型質量分析計(Iontrap-MS)や飛行時間型質量分析(TOF-MS)であってもよい。また、検出器130は、質量分析計でなくとも、ダイオードアレイ検出器、UV検出器、蛍光検出器であってもよい。
【0018】
制御装置140は、質量分析装置100の全体の動作を制御するものであり、例えば、PC(Personal Computer)や質量分析装置用ドライバなどである。制御装置140は、プログラムや各種設定、その他の分析に必要な情報(例えば、試料の物性情報(粘性など))などを記憶する記憶部、記憶部に記憶されたプログラムなどを用いて制御信号などの演算を行う制御部、及び、制御信号を自動分析装置の各部に出力して駆動させる信号出力部などの各機能部を有しており、図示しない入力装置からの指示や情報に基づいて質量分析装置100の動作を制御する。制御装置140は、分析カラムの平衡化工程、溶離工程、洗浄工程のおよびインジェクタ等の洗浄工程の時間を調整して、クロマトグラフ110を介した試料(移動相)が複数のカラムカートリッジ110a~110cの何れかから途切れることなく検出器130に導入されるようにすることで、検出器130の待機時間(分析を行わない時間)を削減することができる。
【0019】
ここで、クロマトグラフ110について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本実施の形態では、複数のカラムカートリッジ110a~110cのうち、カラムカートリッジ110aについて代表して説明するが、他のカラムカートリッジ110b~110cについても同様である。
【0020】
図2は、カラムカートリッジを抜き出して示す斜視図である。また、図3は、クロマトグラフにカラムカートリッジを設置した様子を示す斜視透視図であり、図4はクロマトグラフにカラムカートリッジを設置した様子を模式的に示す側面図である。
【0021】
図2に示すように、カラムカートリッジ110aは、分離カラム115aを収容した本体111aと、111aの上部に突出して設けられた取手114aと、後述する上流側配管160a(図3図4参照)が内部の分離カラム115aと接続される上流側接続部112aと、後述する下流側配管170a(図3図4参照)が内部の分離カラム115aと接続される下流側接続部113aとから概略構成されている。
【0022】
分離カラム115aには、例えば、内径1.0mm、長さ50mm、粒子径2.6mmの充填剤が固定相として充填・内蔵されている。分離カラム115aの分離モードには、逆相モード、順相モード、分子量分画モード、HILICモード、抗原抗体反応モードなどを用いてもよい。
【0023】
図3及び図4に示すように、カラムカートリッジ110aは、クロマトグラフ110のカラム設置位置150aに対して着脱可能に設けられている。
【0024】
カラム設置位置150aには、カラム設置位置150aに設置された状態のカラムカートリッジ110aの上流側接続部112aに対して着脱可能に設けられ、カラムカートリッジ110aに収容された分離カラム115aに移動相を供給する上流側配管160aと、カラム設置位置150aに設置された状態のカラムカートリッジ110aの下流側接続部113aに対して着脱可能に設けられ、カラムカートリッジ110aに収容された分離カラム115aを通過した試料(移動相)を送出する下流側配管170aと、分析カラムを温調するカラムオーブン151aとが配置されている。
【0025】
上流側配管160aは、上流側配管160aを軸方向に移動させてカラム設置位置150aに設置された状態のカラムカートリッジ110aの上流側接続部112aに対して着脱させる上流側配管移動機構161aを備えている。また、下流側配管170aは、下流側配管170aを軸方向に移動させてカラム設置位置150aに設置された状態のカラムカートリッジ110aに対して着脱させる下流側配管移動機構171aを備えている。上流側配管移動機構161a及び下流側配管移動機構171aは、例えば、制御装置140によって制御される電動モータ(ラック・アンド・ピニオンシステムなどを含む)などの電動アクチュエータである。
【0026】
また、クロマトグラフ110は、カラム設置位置150a、上流側配管160a及び下流側配管170aを一体的に覆って内側と外側とを隔てるカバー180を備えている。カバー180には、カバー180を貫通し、カバー180の外側からカラム設置位置150aへのカラムカートリッジ110aの設置を許容する挿入孔181aが設けられている。
【0027】
カラムカートリッジ110aは、例えば、オペレータが取手114aを把持した状態でカバー180の挿入孔181aに挿入されることで、クロマトグラフ110のカラム設置位置150aに対して配置される。カラムカートリッジ110aのカラム設置位置150aへの配置をセンサ等で検知した場合、或いは、設置完了を示す操作をオペレータが行うことで、上流側配管移動機構161a及び下流側配管移動機構171aによって上流側配管160a及び下流側配管170aがカラムカートリッジ110aに接続され、カラムカートリッジ110aのカラム設置位置150a(すなわち、クロマトグラフ110、)への設置が完了する。
【0028】
また、カラムカートリッジ110aがカラム設置位置150a(すなわち、クロマトグラフ110)に設置されているとき、例えば、オペレータがカラムカートリッジ110aの取り出し開始操作を行うことで、上流側配管移動機構161a及び下流側配管移動機構171aによって上流側配管160a及び下流側配管170aがカラムカートリッジ110aから切り離される。そして、この状態で、例えば、オペレータが取手114aを把持した状態でカラムカートリッジ110aをカバー180の挿入孔181aを介して抜き出すことで、カラムカートリッジ110aはカラム設置位置150a(すなわち、クロマトグラフ110)から取り出される。
【0029】
なお、本実施の形態においては、挿入孔181aが開放状態で構成される場合を例示して説明したが、これに限られない。例えば、挿入孔181aを下方(内側)から覆い、かつ、下方に回動して挿入孔181aから退避可能に設けた蓋部材を用意し、蓋部材をバネ等によって挿入孔181aを覆う姿勢に保持するように構成しても良い。このように構成することで、カラム設置位置150aにカラムカートリッジ110aが設置されていない場合には、蓋部材が挿入孔181aを覆うことで、挿入孔181aを介して埃などがカバー180の内部に入ることや、カバー180の内部の構成に対するオペレータの接触を抑制することができる。また、蓋部材へのバネ等の付勢力に対して挿入孔181aへのカラムカートリッジ110aの挿入による力が大きくなることにより、カラムカートリッジ110aの挿入孔181aへの挿入に伴って蓋部材が挿入孔181aを覆う位置から退避するので、カラムカートリッジ110aのカラム設置位置150aへの設置を妨げることがない。
【0030】
また、本実施の形態においては、カラムカートリッジ110aの取手114aをオペレータが把持して引き抜くことで、カラムカートリッジ110aをカラム設置位置150aからの取り出す場合を例示して説明したが、これに限られない。例えば、カラムカートリッジ110aから上流側配管160a及び下流側配管170aが分離された状態において、カバー180の外部に設けたボタンの押下操作によって、カラムカートリッジ110aがカラム設置位置150aから挿入孔181aを介して上方に押し出されるように構成しても良い。
【0031】
また、本実施の形態においては、上流側配管移動機構161a及び下流側配管移動機構171aが電動アクチュエータなどである場合を例示して説明したが、これに限られない。例えば、カバー180の外部に設けたレバーの傾倒操作やハンドルの回動操作などによって、上流側配管160a及び下流側配管170aのカラムカートリッジ110aへの着脱が行われるように上流側配管移動機構161a及び下流側配管移動機構171aを構成しても良い。
【0032】
また、本実施の形態においては、カラム設置位置150aに配置されたカラムカートリッジ110aに対して上流側配管移動機構161a及び下流側配管移動機構171aによって上流側配管160a及び下流側配管170aが着脱される場合を例示して説明したが、これに限られない。例えば、上流側配管160aを固定とし、カラムカートリッジ110aがカラム設置位置150aに配置されるのに伴ってカラムカートリッジ110aと上流側配管160aが接続されるように構成し、カラムカートリッジ110aのカラム設置位置150aへの設置後に、下流側配管移動機構171aによってカラムカートリッジ110aに下流側配管170aが接続されるようにしても良い。上流側と下流側の構成を入れ替えても良い。また、カラムカートリッジ110aのカラム設置位置150aからの取り出しについても同様である。
【0033】
カラム設置位置150aに対するカラムカートリッジ110aの設置態様としては種々のものが考えられるが、例えば、上方に凸形状となるようにカラムオーブン151aを形成し、底部(取手114aと反対側の部分)にカラムオーブン151aと係合する凹形状を形成したカラムカートリッジ110aをカラム設置位置150aに配置することで、カラムカートリッジ110aがカラム設置位置150aの所定の位置に精度良く配置される。また、カラムカートリッジ110aとカラムオーブン151aとがより密接するので、カラムカートリッジ110aに収容された分離カラム115aの温調をより精度良く行うことができる。
【0034】
他のカラムカートリッジ110b~110cについても、同様のカラム設置位置の構成を有している。すなわち、各カラムカートリッジ110a~110cに係る流路は同一の構成からなり、また、並列に配置されている。カラムカートリッジ110a~110cにそれぞれ対応するカラム設置位置、上流側配管及び下流側配管は、内側と外側とを隔てるカバー180により一体的に覆われている。カバー180は、カバー180を貫通し、カバー180の外側から各カラムカートリッジ110a~110cに対応するカラム設置位置のそれぞれへのカラムカートリッジ110a~110cの設置を許容する複数の挿入孔を有している。
【0035】
以上のように構成した本実施の形態の効果を説明する。
【0036】
クロマトグラフのスループット向上を図る場合、分離カラムの着脱作業の簡易化が必要である。また、分離カラムの着脱に際しては、オペレータが配管内の流路に残る液体や、十分に冷却されていない分離カラム、分離カラムと配管とを接続させる機構などに接触することを抑制する必要がある。
【0037】
これに対して本実施の形態においては、固定相を内蔵した分離カラム115aと、分離カラム115aを収容し、予め定めたカラム設置位置150aに対して着脱可能に設けられたカラムカートリッジ110aと、カラム設置位置150aに設置された状態のカラムカートリッジ110aに対して着脱可能に設けられ、カラムカートリッジ110aの分離カラム115aに移動相を供給する上流側配管160aと、カラム設置位置150aに設置された状態のカラムカートリッジ110aに対して着脱可能に設けられ、カラムカートリッジ110aの分離カラム115aを通過した移動相を送出する下流側配管170aと、カラム設置位置150a、上流側配管160a及び下流側配管170aを一体的に覆って内側と外側とを隔てるカバー180とを備え、カバー180は、カバー180を貫通し、カバー180の外側からカラム設置位置150aへのカラムカートリッジ110aの設置を許容する挿入孔181aを有するように構成したので、オペレータの分離カラム関連構成への接触を抑制しつつ、分離カラムを容易に交換することができる。
【0038】
<付記>
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内の様々な変形例や組み合わせが含まれる。また、本発明は、上記の実施の形態で説明した全ての構成を備えるものに限定されず、その構成の一部を削除したものも含まれる。また、上記の各構成、機能等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等により実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。
【符号の説明】
【0039】
100…質量分析装置、110…クロマトグラフ、110a…カラムカートリッジ、110b…カラムカートリッジ、110c…カラムカートリッジ、111a…本体、112a…上流側接続部、113a…下流側接続部、114a…取手、115a…分離カラム、120…切換装置、130…検出器、140…制御装置、150a…カラム設置位置、151a…カラムオーブン、160a…上流側配管、161a…上流側配管移動機構、170a…下流側配管、171a…下流側配管移動機構、180…カバー、181a…挿入孔
図1
図2
図3
図4