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特許7573125Liイオン電池又はその廃棄物からのニッケル及びコバルトの回収
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】Liイオン電池又はその廃棄物からのニッケル及びコバルトの回収
(51)【国際特許分類】
   C22B 7/00 20060101AFI20241017BHJP
   C22B 5/02 20060101ALI20241017BHJP
   C22B 23/02 20060101ALI20241017BHJP
   H01M 10/54 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
C22B7/00 C
C22B5/02
C22B23/02
H01M10/54
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2023572896
(86)(22)【出願日】2022-05-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(86)【国際出願番号】 EP2022063010
(87)【国際公開番号】W WO2022248245
(87)【国際公開日】2022-12-01
【審査請求日】2024-01-23
(31)【優先権主張番号】21176046.7
(32)【優先日】2021-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501094270
【氏名又は名称】ユミコア
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】八木 良平
(72)【発明者】
【氏名】レナート・ショイニス
【審査官】池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03269832(EP,A1)
【文献】特開2021-031760(JP,A)
【文献】特表2019-502826(JP,A)
【文献】特開2012-193424(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22B 7/00
C22B 5/02-5/20
C22B 23/02
C22B 26/12
H01M 10/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Liイオン電池又はその廃棄物からNi及びCoを回収するための方法であって、
- マグネシア含有耐火煉瓦で裏張りした炉を用意する工程と、
- スラグ形成剤及びLiイオン電池又はその廃棄物を含む装入物を用意する工程と、
- 還元条件で装入物を製錬し、それによりNi及びCoの大部分を含有する合金並びにスラグを得る工程と
を含み、スラグが、
10%<MnO<40%;
(CaO+1.5*LiO)/Al>0.3;
CaO+0.8*MnO+0.8*LiO<60%;
(CaO+2*LiO+0.4*MnO)/SiO≧2.0;
LiO≧1%;及び
Al+SiO+CaO+LiO+MnO+FeO+MgO>85%
に従った質量パーセント組成を有することを特徴とする、方法。
【請求項2】
スラグ中のMnOの含有量が30%以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
スラグ中のCaOの含有量が15%以上、又は20%以上であり、スラグ中のCaOの含有量が50%以下、又は30%以下である、請求項に記載の方法。
【請求項4】
スラグ中のAlの含有量が50%以下、又は40%以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
スラグ中のFeの含有量が25%以下、又は10%以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
Al、SiO、CaO、LiO、MnO、FeO、及びMgOの合計が90%以上、又は95%以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
(CaO+2*LiO+0.4*MnO)/(SiO+0.2*Al)が>1.5である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
装入物を製錬する工程を、少なくとも1400℃、且つスラグの液相点より最大300℃高い、又はスラグの液相点より最大100℃高い温度で行い、それにより過熱を回避する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
製錬する工程が、
- スラグをサンプリングする工程、
- スラグサンプルを冷却し、その色を評価する工程、及び
- スラグサンプルが緑色である場合、製錬工程を終了する工程、又は
- スラグサンプルが緑色でない場合、pOレベルを調節してより還元的な条件を達成した後に製錬工程を続け、それによりNi及びCoの大部分を含有する合金並びにスラグを得る工程
の更なる工程を含み、
緑色は、ASTM D1535-14(2018)規格による以下の範囲:
- 5GYから5BGの色相;
- 明度:≧3;及び
- 彩度:≧3
の色相、明度、彩度を有する色として定義される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
pOレベルを10-7>pO>10-12又はpO<10-8又はpO<10-8.5又はpO<10-9に調節する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
スラグサンプルの色が緑色になるまで装入物が製錬される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
炉が電気炉である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
10%<MnO<40%;
(CaO+1.5*LiO)/Al>0.3;
CaO+0.8*MnO+0.8*LiO<60%;
(CaO+2*LiO+0.4*MnO)/SiO≧2.0;
LiO≧1%;及び
Al+SiO+CaO+LiO+MnO+FeO+MgO>85%
に従った質量パーセント組成を有する、Li含有冶金スラグ。
【請求項14】
緑色を有する、請求項13に記載のLi含有冶金スラグ。
【請求項15】
スラグ中のMnOの含有量が30%以下である、請求項13に記載のLi含有冶金スラグ。
【請求項16】
スラグ中のCaOの含有量が15%以上、又は20%以上であり、スラグ中のCaOの含有量が50%以下、又は30%以下である、請求項13に記載のLi含有冶金スラグ。
【請求項17】
スラグ中のAlの含有量が50%以下、又は40%以下である、請求項13に記載のLi含有冶金スラグ。
【請求項18】
スラグ中のFeの含有量が25%以下、又は10%以下である、請求項13に記載のLi含有冶金スラグ。
【請求項19】
請求項13に記載のLi含有冶金スラグの、Liイオン電池の乾式冶金リサイクル方法におけるスラグ形成剤としての使用。
【請求項20】
請求項13から18のいずれか一項に記載のLi含有冶金スラグの、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法におけるスラグ形成剤としての使用であって、それによりスラグ形成剤を含む装入物を用意する工程におけるスラグ形成剤を部分的又は完全に置き換える、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は乾式冶金の分野にあり、より詳細には、Liイオン電池又はその廃棄物からのNi及びCoの回収に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車は近年、特に欧州及び中国における新しい法律制定に推進されて先例のない成長を遂げており、車両全体のCOフットプリントを徐々に削減し、都市における大気汚染を制限するように設計されている。この成長は、今後数十年の間、継続すると予想されている。電気自動車の採用は、電気エネルギーを貯蔵するのに使用される電池の性能に大きく依存する。コストを抑えながら最も高いエネルギー密度を得るためには、現在、充電可能なLiイオン電池が好ましい選択である。これらの電池の多くは、遷移金属のNi、Mn、及びCoをベースとするカソードを含有し、したがってNMC電池としても公知である。電気モビリティ市場の成長と共に、これらの金属の需要も著しく増加すると予想されている。
【0003】
Ni及びCoの需要は、世界の生産能力を超える可能性さえある。Coは、今はNi及びCu産業の副産物として製造されているのみであるため、特に重要である。ニッケル市場はコバルト市場よりも著しく大きい。Niの大半はステンレス鋼の製造に用いられ、ここでNiの純度は重要性が低い。しかしながら、高純度のNi及び高純度のCo金属又は化合物は、すでに供給不足である。したがって、以上の点から、使用済みLiイオン電池又はその廃棄物からNi及びCoを回収することは魅力的な提案である。
【0004】
Liイオン電池をリサイクルするための公知の方法はいくつかあり、そこではニッケル、コバルト、及び銅の酸化物を高温で金属に還元し、合金相に濃縮する。
【0005】
WO2017121663には、工業プロセスで製造されるスラグ組成物が記載されており、スラグ粘度及びコバルト回収率に及ぼすMnOの効果が開示されている。そこで記載されている主なスラグ成分は、CaO、SiO、Al、LiO、及びMnO(MnO)である。それらのスラグ中の開示されたMnO濃度は非常に低く、上記の教示はスラグ中のMnOの量を制限することである。Elwertら(Phase composition of high lithium slags from the recycling of lithium-ion batteries: World of Metallurgy-ERZMETALL、65巻(3)、2012年、163~171頁)は、リチウム回収のための可能性のあるスラグ選鉱方法を開発する目的で、3つの異なるスラグの相組成を分析している。Huら(Recovery of Co, Ni, Mn, and Li from Li-ion batteries by smelting reduction-Part II: A pilot-scale demonstration: Journal of Power Sources、483巻、2021年、229089頁)は、Liイオン電池をフラックス剤と共に1500℃を超える温度で製錬し、スラグ並びにNi、Co、及びMnを含有する合金を得ることによる、Liイオン電池のリサイクル方法を提案している。ElwertとHuの両者は、10%をはるかに下回るMnO濃度を有するスラグ組成物を記載している。
【0006】
一方、最近のLiイオン電池では典型的にMnの含有量が高まっている。これにより少量のMnを含むスラグの形成がより困難になり、なぜなら、大量のフラックス剤を添加することによってMnを希釈するか、又はより多くのMnをスラグ相ではなく合金相に送るためにこのようなプロセスでより還元的な条件を選択することが必要とされると考えられるからである。前者の選択肢は、フラックス剤の消費量及び得られるスラグの総量を増加させ、後者の選択肢は、そのより高いMn含有量に起因して、合金のその後のあらゆる湿式冶金処理の複雑さを増加させる。どちらの選択肢も、プロセスの経済性を著しく低下させると考えられる。
【0007】
WO12140951、WO13080266、及びWO20013294では、スラグ相中に不純物、例えばFe及びPを固定しながらLiイオン電池スクラップをリサイクルしてNi及びCoを回収する方法が提案されている。Mnは得られたスラグの主成分でありうると述べられているが、そのようなスラグ中のMnOの好ましい範囲又は特定の効果は明記されていない。更に、WO12140951及びWO13080266の焦点は、低融点でFeに富むスラグである。
【0008】
Vestら(Friedrich Slag design for lithium recovery from spent batteries: Int. Work. Met. Interact.、9巻(93)、2010年、93~106頁)は、MnOに富むスラグの理論計算を記載している。Wittkowskiら(Speciation of Manganese in a Synthetic Recycling Slag Relevant for Lithium Recycling from Lithium-Ion Batteries: Metals、11巻(2)、2021年、188頁)は、Liイオン電池のリサイクルからの種々のLi含有スラグの相組成を分析している。
【0009】
CN103924088及びEP3269832では、Co及び/又はNiを含有する合金並びにSiO及びMnOに富むスラグを製造する、廃電池の浴中製錬方法が記載されている。
【0010】
上記の先行技術はいずれも、本発明によるスラグ組成物を教示していない。
【0011】
比較的より高いMnOの含有量を有するスラグを開示している場合であっても、上記の文献は全て、本方法の条件を教示しておらず、得られるMnOに富むスラグ組成物の、炉の壁に及ぼすいずれの影響についても未だ言及していない。典型的に、炉壁は耐火煉瓦で作製されている。このような煉瓦の主成分はマグネシアである。例は、マグネシア煉瓦(通常90%を超えるマグネシアの含有量)又はマグネシア-クロム煉瓦(通常50~70%のマグネシアの含有量)である。壁のマグネシアは、炉の作動中に一般的なスラグに溶解し、結果として経時的な炉壁の損耗又は腐食につながることが観察されている。これは何度も繰り返す問題であり、炉を停止する必要があり、且つ耐火煉瓦を定期的に取り替える必要があるため、高い維持費につながる。この問題は、例えば1550℃超等のより高い作動温度において、更により顕著である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】WO2017121663
【文献】WO12140951
【文献】WO13080266
【文献】WO20013294
【文献】CN103924088
【文献】EP3269832
【非特許文献】
【0013】
【文献】Elwertら、Phase composition of high lithium slags from the recycling of lithium-ion batteries: World of Metallurgy-ERZMETALL、65巻(3)、2012年、163~171頁
【文献】Huら、Recovery of Co, Ni, Mn, and Li from Li-ion batteries by smelting reduction-Part II: A pilot-scale demonstration: Journal of Power Sources、483巻、2021年、229089頁
【文献】Vestら、Friedrich Slag design for lithium recovery from spent batteries: Int. Work. Met. Interact.、9巻(93)、2010年、93~106頁
【文献】Wittkowskiら、Speciation of Manganese in a Synthetic Recycling Slag Relevant for Lithium Recycling from Lithium-Ion Batteries: Metals、11巻(2)、2021年、188頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、本発明の目的は、マグネシア含有耐火煉瓦の作動中の腐食がより少なくなるように構成された専用のMnO及びLiOに富むスラグ系を用いて作動させることにより、炉の寿命を同時に向上させる、Liイオン電池からNi及びCoを回収するための方法を提供することである。達成された損耗の低減は、本発明の方法の全体的な経済性に良好に寄与する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
第1の実施形態によれば、Liイオン電池又はその廃棄物からNi及びCoを回収するための方法は、
- マグネシア含有耐火煉瓦で裏張りした炉を用意する工程と、
- スラグ形成剤及びLiイオン電池又はその廃棄物を含む装入物を用意する工程と、
- 還元条件で装入物を製錬し、それによりNi及びCoの大部分を含有する合金並びにスラグを得る工程と
を含み、スラグが、
10%<MnO<40%;
(CaO+1.5*LiO)/Al>0.3;
CaO+0.8*MnO+0.8*LiO<60%;
(CaO+2*LiO+0.4*MnO)/SiO≧2.0;
LiO≧1%;及び
Al+SiO+CaO+LiO+MnO+FeO+MgO>85%
に従った質量パーセント組成を有することを特徴とする。
【0016】
「スラグ形成剤」とは、例えばCaO、Al、及びSiOのうちの1種又は複数を意味する。当業者に周知の他のスラグ形成剤も存在してもよい。スラグ形成化合物をそれ自体で添加してもよく、又は装入物に存在する容易に酸化される金属、例えばアルミニウムからin situで得てもよい。
【0017】
「Liイオン電池又はその廃棄物」とは、例えば、新しい又は廃棄物のLiイオン電池、使用済み又は寿命末期の電池、製造時の又は電池のスクラップ、例えば細断又は選別後の、いわゆる「ブラックマス」を含む、電極材料又は前処理された電池材料を意味する。しかしながら、これらはかなりの量のCo及び/又はNiを依然として含有すべきである。
【0018】
元素又は化合物の「大部分」とは、装入物中に存在する対応する量の50質量%超を意味する。これは、55%、60%、65%、70%、及び75%から選択される下値と、80%、85%、90%、95%、及び100%から選択される上値とを有する範囲も含みうる。
【0019】
スラグ中のMnOの含有量は、本発明で重要な役割を果たす。炉を裏張りするマグネシア含有耐火煉瓦からスラグへのMgOの溶解を抑制する効果を見るためには、スラグ中最低限約10%が必要とされる。少なくとも15%のMnOを有することが好ましい。更に、スラグの体積の減少がMgO溶解の抑制を助けるため、比較的少量のスラグ中に10~40%のMnO含有量を有することが有益である。一方、より多くのフラックス剤を添加し、これによりスラグの全体の体積が増加し、MnOの割合が希釈されると、耐火煉瓦から溶解するMgOの量が増加し、したがって負の影響がある。
【0020】
また、スラグ中のMnOの上限は、スラグの溶融温度を十分に低く保つのに役立つため、重要である。本発明による最大40%のMnOを含有するスラグは、1500℃未満で溶融する。より低い温度は、MnO量と組み合わせて、マグネシア含有耐火煉瓦からのMgOの溶解を抑制するのに有益である。40%を超えるMnOの量は、スラグの融点を1500℃超に増加させるので、特にスラグが比較的より多量のAl、例えば50%超のAlも含有する場合は、あまり好ましくない。
【0021】
更なる実施形態によれば、スラグ中のMnOの含有量は30%以下である。
【0022】
スラグ中のMnの割合は、「MnOのパーセント」として標準化される。しかしながら、このようなスラグにおいて、Mnの正確な酸化状態は必ずしも明確ではない。したがって、酸化マンガン(「MnO」)は、一酸化種MnOと二酸化マンガンMnOとの混合物も表しうる。しかしながら、特に選択された還元反応条件下では、一酸化種MnOの占有率は95%をはるかに上回ると想定される。
【0023】
MnOは典型的に緑色を有する一方で、MnOは典型的に黒褐色又は黒灰色を有し、結果としてその名称「マンガンブラック」となっている。一酸化種の含有量が十分に高い場合のみ、緑色が見えることになる。
【0024】
更なる実施形態によれば、スラグ中のCaOの含有量は15%以上、好ましくは20%以上である。
【0025】
更なる実施形態によれば、スラグ中のCaOの含有量は50%以下、好ましくは30%以下である。
【0026】
最低限15%のCaOは、スラグの十分な流動性を維持し、容易に取り扱えることを確実にする。Ca及びMgはスラグ中で類似の化学的部位を共有するため、CaOは、マグネシア含有耐火煉瓦からのMgの溶解を抑制するのに役立つので、より多量の、例えば20%以上のCaOが好ましい。好ましい30%の上限のCaOを用いて方法を作動させることは、スラグの溶融温度を1600℃未満に維持するのに役立つ。多すぎる量、例えば50%超のCaOは、スラグの溶融温度を著しく上昇させるので、避けるべきである。
【0027】
MnO及びCaOに加えて、LiOもマグネシア含有耐火煉瓦からのMgの溶解を抑制するが、SiOの量が増加すると負の効果があることが更に観察された。これは式(CaO+2*LiO+0.4*MnO)/SiO≧2.0に反映されている。Liイオン電池をリサイクルする場合、スラグ中のLiO量が重要であると予想される。
【0028】
更なる実施形態によれば、多すぎる量のAlはスラグの融点を増加させるため、スラグ中のAlの含有量は<50%、好ましくは<40%である。
【0029】
更なる実施形態によれば、スラグ中のFeの含有量は25%以下、好ましくは10%以下である。
【0030】
更なる実施形態によれば、Al、SiO、CaO、LiO、MnO、FeO、及びMgOの合計は90%以上、好ましくは95%以上である。
【0031】
更なる実施形態によれば、(CaO+2*LiO+0.4*MnO)/(SiO+0.2*Al)は>1.5である。
【0032】
スラグの組成及び作動温度は、本明細書に記載される方法に重要な考慮すべき点である。本発明は、炉壁を保護する化合物(例えば、MnO、CaO、LiO)と、炉壁に負の影響を及ぼすが不可避である(例えば、供給材料中のAlからのAl)か、又はそうでなければ必要である(例えば、スラグの融点を低下させるのに必要なSiO)化合物との間のバランスを達成する。更に、スラグ組成領域は、所望の作動温度におけるスラグの好適な流動性及びスラグの最小限の過熱を可能にする。合金の融点超を維持しながらも、できるだけ低い温度が好ましい。
【0033】
このバランスは、スラグ自体の組成と同様に、提示された方法の条件に反映されている。
【0034】
更なる実施形態によれば、装入物を製錬する工程は、冶金装入物の完全な溶融を確保するための少なくとも1400℃の温度、且つスラグの液相点より最大300℃高い、好ましくはスラグの液相点より最大100℃高い温度で行う。下限は、製造された合金及びスラグの部分的な凝固でさえも避けるために好ましい。上限は、スラグの過熱を避けるために好ましい。より高い温度により、マグネシア含有耐火煉瓦からのMgの溶解が促進される。したがって、エネルギー節約だけでなく損耗低減のために、より低い温度が一般に好ましい。スラグを過熱することは、スラグによるマグネシア含有耐火煉瓦の溶解に負の影響を及ぼす。
【0035】
記載されたスラグ中のCaOとLiOのAlに対する比は、スラグの融点を十分に低く、好ましくは1700℃未満、より好ましくは1650℃未満、更により好ましくは1600℃未満、最も好ましくは1550℃未満に維持するのに役立つ。
【0036】
マグネシア含有耐火煉瓦の寿命に対し有益な効果があるにもかかわらず、スラグ中のCaO、MnO、及びLiOの組合せ量を制限することが同様に関係し、その理由は、CaO+0.8*MnO+0.8*LiOが60%を超えるとスラグの融点が高くなりすぎると考えられるからである。
【0037】
更なる実施形態によれば、製錬する工程は、
- スラグをサンプリングする工程、
- スラグサンプルを冷却し、その色を評価する工程、及び
- スラグサンプルが緑色である場合、製錬工程を終了する工程、又は
- スラグサンプルが緑色でない場合、pOレベルを調節してより還元的な条件を達成した後に製錬工程を続ける工程
の更なる工程を含む。
【0038】
「スラグをサンプリングすること」とは、選択された条件下で方法が継続している間に、スラグの少量のサンプルを取り、その色を評価することを意味する。
【0039】
色の評価は視覚的に容易に行うことができる。スラグの化学分析と比較して、色の変化をモニタリングすることは、スラグがある特定の最小限の割合のMnOを含有するという指標を迅速且つ効率的にもたらす。以下でより詳細に記載するように、スラグの緑色は、供給材料中に含有されたCoの大部分が還元されて合金に移動していることも示すことが更に観察された。理論に束縛されるものではないが、緑色への色の変化は、MnOのMnOへの還元から生じるが、例えばNi及びCoの典型的により暗色の酸化物の還元からも生じると実際に考えられている。
【0040】
目視検査は、方法の条件を調節、最適化、及び/又は終了するべきかどうかを知るための迅速且つ容易な手法であり、時間及び作動コストを節約することができる。したがって、色の確認は冶金作業の進捗の信頼性の高い指標である。
【0041】
本文脈において、「緑色」とは、ASTM D1535-14(2018)規格による以下の範囲:
- 5GYから5BGの色相;
- 明度:≧3;及び
- 彩度:≧3
の色相、明度、彩度を有する色として定義される。
【0042】
緑色の例は、2009年にMunsell Color社により作成された「Geological Rock-Color Chart with Genuine Munsell Color Chips」に示されている。
【0043】
作動条件は、Mnの大部分をスラグに酸化し、Co及びNiの大部分を合金に還元するように選択する。好ましくはCo及びNiの>90%、より好ましくは>95%、最も好ましくは>98%を合金に収集して、方法を最も経済的にする。本方法のpOレベルは、これらの好都合な収率に達するように容易に調節される。
【0044】
更なる実施形態によれば、pOレベルは10-7>pO>10-12、好ましくはpO<10-8、より好ましくはpO<10-8.5、最も好ましくはpO<10-9に調節する。
【0045】
したがって、10-8、10-8.5、及び10-9の好ましいpOレベル、並びに10-12の限界値は、10-7のpOレベルと比較して、より還元的な条件を示す。
【0046】
更なる実施形態によれば、スラグの色は緑色である。還元条件で装入物を製錬する間、方法が進行するにつれて、スラグの色は典型的に黒灰色又は黒褐色から緑色に変化する。
【0047】
更なる実施形態によれば、炉は電気炉である。電気炉又は電気アーク炉(EAF)を使用することにより、より高い作動温度が所望される又は必要とされる場合に、より高い柔軟性がある。別の利点は、オフピーク電力価格から利益を得ること、又は環境に優しいグリーンな供給源、例えば地域の風力発電所により作られた電力が可能となることである。
【0048】
更なる実施形態によれば、Li含有冶金スラグは、
10%<MnO<40%;
(CaO+1.5*LiO)/Al>0.3;
CaO+0.8*MnO+0.8*LiO<60%;
(CaO+2*LiO+0.4*MnO)/SiO≧2.0;
LiO≧1%;及び
Al+SiO+CaO+LiO+MnO+FeO+MgO>85%
に従った質量パーセント組成を含む。
【0049】
更なる実施形態によれば、Li含有冶金スラグは緑色を有する。
【0050】
更なる実施形態によれば、Li含有冶金スラグ中のMnOの含有量は30%以下である。
【0051】
更なる実施形態によれば、Li含有冶金スラグ中のCaOの含有量は15%以上、好ましくは20%以上である。
【0052】
更なる実施形態によれば、Li含有冶金スラグ中のCaOの含有量は50%以下、好ましくは30%以下である。
【0053】
更なる実施形態によれば、Li含有冶金スラグ中のAlの含有量は50%以下、好ましくは40%以下である。
【0054】
更なる実施形態によれば、Li含有冶金スラグ中のFeの含有量は25%以下、好ましくは10%以下である。10%超のFeOを含有する、更には20%超のFeOをそれぞれ含有するFeOに富むスラグにおいて、比較的多量の金属Feも合金相に移動させることなく、CoOを金属Coに還元することはできない。これは得られた合金のあらゆる湿式冶金後処理のコストを著しく増加させるため、あまり望ましくない。
【0055】
更なる実施形態によれば、Li含有冶金スラグは、乾式冶金リサイクル方法におけるスラグ形成剤として使用される。得られた冶金スラグは、CaO及びSiOを含有するので、新しい作業でのスラグ形成剤として使用することができる。
【0056】
更なる実施形態によれば、Li含有冶金スラグは、第1の実施形態による方法におけるスラグ形成剤として使用され、これによりスラグ形成剤を含む装入物を用意する工程におけるスラグ形成剤を部分的又は完全に置き換える。
【0057】
生成した冶金スラグを新たな作業で再利用することにより、方法の作動条件、例えばpOレベルの選択におけるより高い柔軟性が可能になる。例えば、より酸化的な条件を使用し、それによってより多くのCo及び/又はNiをスラグに送った場合、これらの有価金属が失われず、むしろ新しい作業サイクルで回収されると考えられ、そこではおそらくより還元的な条件を使用してCo及び/又はNiのより多くを回収することが考えられる。
【0058】
この冶金スラグを新しいプロセスにおけるスラグ形成剤として、又は同じプロセスの出発スラグとして再利用する場合、流入する電池又はその廃棄物は、追加の量の化合物、例えばAl、Mn、又はLiを含有することがあり、これはその酸化後にスラグ中に存在することになることを考慮すべきである。その結果、スラグ中のAl、MnO、又はLiOのそれぞれの量が増加することになる。LiOの量はあまり重要ではないと考えられるが、Al及びMnOの量は、溶融温度により直接的な影響がある。更なる実施形態において、MnOの好ましい上限は、新しい装入物から流入する新たなMnOに対する余裕を持たせるように30%である。
【0059】
流入する新たな化合物に起因し、本発明による冶金スラグは、限られた数のサイクルでのみ再利用することができる。スラグを引き続き再利用することができるかどうかを決定するため、スラグ組成を分析し、本明細書に記載される組成の明細と比較するべきである。冶金スラグの少なくとも一部をブリードし、新たなスラグ形成剤でそれを希釈して再利用することは、実行可能な長期の選択肢として利用可能である。
【0060】
上記のように、本発明のスラグは、耐火煉瓦からのMgOの溶解を著しく抑制するのに役立つ。しかしながら、これを完全に回避することはできない。これは、スラグをリサイクルする際に、別の良い副作用につながる。耐火煉瓦から溶解したMgO(前の製錬プロセス中のMgOの少量の溶解によってもたらされる)はスラグ中に蓄積し、これはMnO、LiO、及びCaOと組み合わさって耐火煉瓦の更なる腐食を抑制する傾向がある。これにより、得られたスラグの再利用は特に魅力的となる。
【0061】
以下の実施例は、本発明の実施形態を更に例示するために提供される。
【発明を実施するための形態】
【実施例
【0062】
(実施例1)
数種の異なるスラグ組成物を使用した際の、マグネシア含有るつぼの壁からのMgOの溶解を測定した。Liイオン電池又はその廃棄物中に含有される様々な化合物、それぞれそれらの酸化物、例えばFeO、Al、LiO、及びMnOを、フラックス剤としてのCaO及びSiOと一緒に1LのMgOるつぼ中で溶融させた。添加した酸化物の総質量は1000gであった。FeO、Al、LiO、及びMnOの比は、既存のLiイオン電池の典型的な組成を表すように選択した。
【0063】
誘導炉を使用して、るつぼを150℃/hの加熱速度で徐々に加熱した。スラグが完全に溶融したときに、るつぼを1400、1450、又は1500℃の温度で維持した。2時間の加熱後、溶融スラグをるつぼから取り出し、水で急冷した。Table 1(表1)に、この実施例で得られたスラグの組成を載せる。
【0064】
【表1】
【0065】
上記のスラグ中のMgO濃度は、比較的低かった(0.9%~3.9%)。この結果は、選択した条件下で、るつぼの壁からのMgOの溶解が十分に抑制されたことを示している。
【0066】
実験は、NiもCoもCuも有しないスラグ組成物で行ったが、その理由は、最終スラグ中のこれらの金属の量は典型的に非常に少なく、したがってスラグ特性に本質的に影響しないからである。
【0067】
(比較例2)
異なるスラグ組成物を使用した際の、マグネシア含有るつぼの壁からのMgOの溶解を測定した。Liイオン電池又はその廃棄物中に含有される様々な化合物、それぞれそれらの酸化物、例えばFeO、Al、及びMnOを、フラックス剤としてのCaO及びSiOと一緒に1LのMgOるつぼ中で溶融させた。添加した酸化物の総質量は1000gであった。
【0068】
誘導炉を使用して、るつぼを150℃/hの加熱速度で徐々に加熱した。スラグが完全に溶融したときに、るつぼを1400又は1450℃の温度で2時間維持した。2時間の加熱後、溶融スラグをるつぼから取り出し、水で急冷した。Table 2(表2)に、この実施例で得られたスラグの組成を載せる。
【0069】
【表2】
【0070】
実施例1で使用したスラグ1-1~1-3と比較して、ここではスラグ中のSiO含有量がより多くなるように調節し、CaO、LiO、及び/又はMnOの含有量はより少なくなるように調節した。上記スラグ中の測定されたMgO濃度は比較的高く(8.7%~13.2%)、これは、比較的多量のMgOがるつぼから各スラグ中に溶解したことを示している。
【0071】
実施例1と同様に、スラグはNiもCoもCuも含有しなかった。
【0072】
実施例1及び例2の考察
実施例1で得られたスラグは、比較例2で得られたスラグよりも少ないMgOを含有した。実施例1の条件下で、MgOるつぼの目に見える劣化は観察されなかったのに対し、実施例2の条件下では、るつぼの壁はより薄くなった。実施例1で示されたように、比較的低い濃度のSiO、並びに比較的高い組合せ濃度のLiO、CaO、及び/又はMnOを含有するスラグは、MgOの溶解を抑制した。より詳細には、MgOのスラグ中への溶解は、(CaO+2LiO+0.4MnO)/SiOの比が2以上であったときに、効率的に抑制された。
【0073】
(実施例3)
使用済み充電可能Liイオン電池500kgを、200mmのクロム-マグネシア耐火煉瓦で新たに裏張りした直径1mの炉に供給した。石灰岩80kg及び砂20kgをLiイオン電池と一緒に添加した。浴温1450~1500℃を維持し、これは、スラグと合金の両方を、容易な出湯及び取扱いのために十分流動性のあるものとして保つのに好適である。液中O注入を用いて、電池中のAl及びCの酸化により熱を供給した。注入速度は、強い還元条件、すなわち10-9のpOを確保するように選択した。炉内の熱損失を補うために天然ガスを添加した。1時間の加熱後、生成した合金とスラグを出湯により分離した。Table 3(表3)は、方法の投入相及び生産相の分析を示している。
【0074】
【表3】
【0075】
電池の処理中、マグネシア含有耐火煉瓦の目に見える劣化は観察されなかった。得られたスラグ中のMgOの濃度はわずか1.2%であり、耐火煉瓦からの2.3kgのMgOの損失に相当し、これは低いと考えられる。(CaO+2LiO+0.4MnO)/SiOの比は4.3であった。したがって、このスラグは炉壁の損耗を効率的に抑制した。
【0076】
(比較例4)
使用済み充電可能Liイオン電池500kgを、200mmのクロム-マグネシア耐火煉瓦で新たに裏張りした直径1mの炉に供給した。石灰岩50kg及び砂50kgをLiイオン電池と一緒に添加した。浴温1450~1500℃を維持し、これは、スラグと合金の両方を、容易な出湯及び取扱いのために十分流動性のあるものとして保つのに好適である。液中O注入を用いて、電池中のAl及びCの酸化により熱を供給した。注入速度は、強い還元条件、すなわち10-9のpOを確保するように選択した。炉内の熱損失を補うために天然ガスを添加した。1時間の加熱後、生成した合金とスラグを出湯により分離した。Table 4(表4)は、方法の投入相及び生産相の分析を示している。
【0077】
【表4】
【0078】
得られたスラグ中のMgOの濃度は9.0%であり、耐火煉瓦からの19.8kgのMgOの損失に相当し、したがって炉壁の著しい損耗である。
【0079】
(CaO+2LiO+0.4MnO)/SiOの比は1.7であった。
【0080】
(実施例5)
使用済み充電可能Liイオン電池500kgを、200mmのクロム-マグネシア耐火煉瓦で新たに裏張りした直径1mの炉に供給した。石灰岩50kg及び砂50kgをLiイオン電池と一緒に添加した。浴温1450~1500℃を維持し、これは、スラグと合金の両方を、容易な出湯及び取扱いのために十分流動性のあるものとして保つのに好適である。液中O注入を用いて、電池中のAl及びCの酸化により熱を供給した。注入速度は、強い還元条件、すなわち10-9のpOを確保するように選択した。炉内の熱損失を補うために天然ガスを添加した。1時間の加熱後、生成した合金とスラグを出湯により分離した。Table 5(表5)は、方法の投入相及び生産相の分析を示している。
【0081】
【表5】
【0082】
得られたスラグ中のMgOの濃度は2.8%であり、耐火煉瓦からの7.4kgのMgOの損失に相当する。(CaO+2LiO+0.4MnO)/SiOの比は2.8であった。
【0083】
実施例3、例4、実施例5の考察
実施例3及び比較例4において、同じ量及び組成の電池を炉に投入したが、異なる比の石灰岩及び砂を用いた。得られたスラグ3は、スラグ4よりも高い濃度のCaO及び低い濃度のSiOを含有した。
【0084】
(CaO+2LiO+0.4MnO)/SiOの比は、それぞれスラグ3で4.3、スラグ4で1.7であった。スラグ3にはわずか2.3kgのMgOが溶解したが、スラグ4には著しくより多い量の19.8kgのMgOが溶解した。
【0085】
実施例5において、比較例4と同じ石灰岩と砂の比を保ちながら、より高濃度のMn及びLiを含む電池を炉に供給した。得られたスラグ5は、スラグ4よりも高い濃度のMnO及びLiOを含有した。
【0086】
スラグ5において、(CaO+2LiO+0.4MnO)/SiOの比は2.8であり、7.4kgのMgOが溶解した。したがって、この実施例は、他の全ての反応条件を同じに保つ中で、組み合わせたMnOとLiOの有益な効果を示している。
【0087】
実施例3及び実施例5で示されたように、より低い濃度のSiO、並びにより高い組合せ濃度のLiO、CaO、及びMnOを含有するスラグは、MgOの溶解を抑制するのにより好適である。
【0088】
(実施例6)
使用済み充電可能Liイオン電池500kgを、200mmのクロム-マグネシア耐火煉瓦で新たに裏張りした直径1mの炉に供給した。実施例3で生成したスラグ189kgをLiイオン電池と一緒に添加した。浴温1450~1500℃を維持し、これは、スラグと合金の両方を、容易な出湯及び取扱いのために十分流動性のあるものとして保つのに好適である。液中O注入を用いて、電池中のAl及びCの酸化により熱を供給した。注入速度は、強い還元条件、すなわち10-9のpOを確保するように選択した。炉内の熱損失を補うために天然ガスを添加した。1時間の加熱後、生成した合金とスラグを出湯により分離した。Table 6(表6)は、方法の投入相及び生産相の分析を示している。
【0089】
【表6】
【0090】
電池の処理中、マグネシア含有耐火煉瓦の目に見える劣化は観察されなかった。生成したスラグ中のMgOの濃度はわずか1.2%であり、耐火煉瓦からの1.4kgのMgOの損失に相当し、これは実施例3よりも更に小さい劣化である。(CaO+2LiO+0.4MnO)/SiOの比は6.8であった。したがって、このスラグは、マグネシア含有耐火煉瓦で作製された炉壁の損耗を効率的に抑制した。
【0091】
全体的な結論
本発明による冶金スラグは、炉のマグネシア含有耐火煉瓦の劣化を最小限にしながら、Liイオン電池又はその廃棄物から有価金属、例えばNi及びCoを回収するのに好適である。