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特許7573668金属含有材料の高圧アニーリングプロセス
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  • 特許-金属含有材料の高圧アニーリングプロセス 図1
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  • 特許-金属含有材料の高圧アニーリングプロセス 図6A-6D
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】金属含有材料の高圧アニーリングプロセス
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20241018BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20241018BHJP
   H01L 21/20 20060101ALI20241018BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20241018BHJP
   H01L 21/477 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
H01L29/78 627F
H01L21/20
H01L21/28 B
H01L21/28 301B
H01L21/28 301R
H01L21/477
H01L29/78 616V
H01L29/78 617M
H01L29/78 618B
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023031560
(22)【出願日】2023-03-02
(62)【分割の表示】P 2020547132の分割
【原出願日】2019-01-28
(65)【公開番号】P2023063338
(43)【公開日】2023-05-09
【審査請求日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】62/641,110
(32)【優先日】2018-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100176418
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 嘉晃
(72)【発明者】
【氏名】スィング コーシャル ケー
(72)【発明者】
【氏名】シェック メイイー
(72)【発明者】
【氏名】ネマニ シュリーニバス ディー
(72)【発明者】
【氏名】イェ エリー ワイ
【審査官】田付 徳雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0239292(US,A1)
【文献】特開2016-115914(JP,A)
【文献】特開2014-179597(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0083826(KR,A)
【文献】特開2004-241784(JP,A)
【文献】特開2018-016495(JP,A)
【文献】特開2011-209539(JP,A)
【文献】特開2011-108739(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336
H01L 21/20
H01L 21/28
H01L 21/477
H01L 29/786
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理チャンバであって、
前記処理チャンバの内部容積部の中に配置され、処理中に光学的に透明な基板を支持するように構成された基板支持体であって、金属含有層が前記光学的に透明な基板に配置されている、基板支持体と、
前記処理チャンバの前記内部容積部に酸素含有混合ガスを供給するように構成されたガスパネルと、
前記金属含有層を前記酸素含有混合ガスの存在下で熱アニールする間、2バールから50バールの間のプロセス圧力で、前記内部容積部内の前記酸素含有混合ガスを維持するように前記ガスパネルを制御するように構成されたコントローラと
を含み、
前記金属含有層がTFTデバイス構造体の電極であり、
前記ガスパネルが前記酸素含有混合ガスを前記内部容積部に供給する前に、前記金属含有層にインジウムまたはモリブデンを含むドーパントを注入し、
前記金属含有層に注入される前記ドーパントが前記金属含有層の結晶化度を高め、
前記高めた結晶化度は、ドープされた金属含有層が利用されると、膜特性の電子移動度を増大させ、前記TFTデバイス構造体の電気性能を向上させる、処理チャンバ。
【請求項2】
前記酸素含有混合ガスが前記内部容積部に供給されている間、基板温度を400℃未満に維持するようにさらに構成された、請求項1に記載の処理チャンバ。
【請求項3】
前記酸素含有混合ガスが、O3ガス、O2ガス、H2O、H22、N2O、NO2、CO2、CO、空気、乾燥蒸気からなる群から選択された少なくとも1つの酸素含有ガスを含む、請求項1に記載の処理チャンバ。
【請求項4】
前記酸素含有混合ガスが乾燥蒸気または空気を含む、請求項1に記載の処理チャンバ。
【請求項5】
前記コントローラが約5バールから100バールの間で前記プロセス圧力を維持するように構成された、請求項1に記載の処理チャンバ。
【請求項6】
前記金属含有層が金属酸化物層である、請求項1に記載の処理チャンバ。
【請求項7】
前記金属酸化物層が、a-IGZO(アモルファスインジウムガリウム亜鉛酸化物)、ドープされたIGZO、InGaZnON、ZnO、ZnON、ZnSnO、CdSnO、GaSnO、TiSnO、CuBO2、CuAlO2、CuGaO2、SrCuO、LaCuOS、GaN、InGaN、AlGaNおよびInGaAlNからなる群から選択される、請求項6に記載の処理チャンバ。
【請求項8】
前記金属含有層が薄膜トランジスタ(TFT)デバイス構造体の活性層である、請求項1に記載の処理チャンバ。
【請求項9】
前記金属含有層がInGaZnONである、請求項1に記載の処理チャンバ。
【請求項10】
前記金属含有層を熱アニールした後、前記金属含有層がより高い移動度を有する、請求項1に記載の処理チャンバ。
【請求項11】
前記金属含有層を熱アニールした後、前記金属含有層がより高い膜密度を有する、請求項1に記載の処理チャンバ。
【請求項12】
処理チャンバであって、
前記処理チャンバの内部容積部の中に配置され、処理中に光学的に透明な基板を支持するように構成された基板支持体であって、金属含有層が前記光学的に透明な基板に配置され、前記金属含有層が、a-IGZO(アモルファスインジウムガリウム亜鉛酸化物)、ドープされたIGZO、InGaZnON、ZnO、ZnON、ZnSnO、CdSnO、GaSnO、TiSnO、CuBO2、CuAlO2、CuGaO2、SrCuO、LaCuOS、GaN、InGaN、AlGaNおよびInGaAlNからなる群から選択される、基板支持体と、
前記処理チャンバの前記内部容積部に処理ガスを供給するように構成されたガスパネルと、
前記ガスパネルを制御して、プロセス圧力を2バールから50バールの間に維持することにより、前記金属含有層を熱処理し、
前記金属含有層を熱処理する間、前記光学的に透明な基板の基板温度を500℃未満に維持するように構成されたコントローラと
を含み、
前記金属含有層がTFTデバイス構造体の電極であり、
前記ガスパネルが前記処理ガスを前記内部容積部に供給する前に、前記金属含有層にインジウムまたはモリブデンを含むドーパントを注入し、
前記金属含有層に注入される前記ドーパントが前記金属含有層の結晶化度を高め、
前記高めた結晶化度は、ドープされた金属含有層が利用されると、膜特性の電子移動度を増大させ、前記TFTデバイス構造体の電気性能を向上させる、処理チャンバ。
【請求項13】
前記ガスパネルが、前記金属含有層を熱処理する間に前記処理ガスを供給し、前記処理ガスは乾燥蒸気、空気、カルコゲン蒸気、またはテルル蒸気である、請求項12に記載の処理チャンバ。
【請求項14】
前記金属含有層を熱処理した後、前記金属含有層がより高い移動度を有する、請求項12に記載の処理チャンバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は一般に、TFTデバイス構造体、半導体、またはメモリ用途に利用できる膜スタックの金属含有層を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示デバイスは、テレビ、モニタ、携帯電話、MP3プレーヤ、電子ブックリーダ、および携帯情報端末(PAD)などの広範囲の電子応用分野で広く使用されている。表示デバイスは一般に、液晶に電界を加えることによって所望の画像を生成するように設計され、この液晶は、2枚の基板間のギャップを埋めており、誘電場の強度を制御する異方性の誘電率を有する。基板を通過させる光の量を調整することによって、光強度および画像強度、画質および消費電力を効率的に制御することができる。
【0003】
アクティブマトリクス液晶表示装置(AMLCD)またはアクティブマトリクス有機発光ダイオード(AMOLED)などの多種多様な表示デバイスが、タッチスクリーンパネルを利用する表示デバイスの光源として使用され得る。TFTデバイスの製造において、電子移動度が高く、漏洩電流が少なく、絶縁破壊電圧が高い電子デバイスが、光が通過するためのより大きい画素面積および回路の集積化を可能にして、その結果、より明るい表示装置、より高い総合電気効率、より速い応答時間、およびより高い解像度の表示装置が得られる。不純物を含む金属電極層のように、デバイス内に形成される材料層の膜品質が低いと、デバイスの電気性能が悪くなり、デバイスの実用寿命が短くなることが多い。それゆえに、TFTデバイス内に膜層を形成し集積する安定した確実な方法が、閾電圧シフトが少ない電子デバイスを製造する際に使用する、膜漏洩が少なく絶縁破壊電圧が高いデバイス構造体を提供するために非常に重要になっており、電子デバイスの総合性能の改善が望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、デバイス電気性能およびデバイス安定性の改善をもたらすTFTデバイスを製造するための、材料の改善が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、TFT表示装置用途、半導体または抵抗ランダムアクセスメモリ(ReRAM)における金属含有層にアニーリングプロセスを実施する方法を提示する。1つの例では、金属含有層を基板上に形成する方法は、処理チャンバ内の基板に酸素含有混合ガスを供給するステップであって、基板が、光学的に透明な基板に配置された金属含有層を含むステップと、酸素含有混合ガスを処理チャンバ内で2バールから50バールの間のプロセス圧力に維持するステップと、金属含有層を酸素含有混合ガスの存在下で熱アニールするステップとを含む。
【0006】
別の例では、基板上に配置された金属含有層の密度を高くする方法は、光学的に透明な基板上に配置された金属含有層を2バールより大きい圧力で熱処理するステップと、誘電体層を熱処理する間に基板温度を500℃未満に維持するステップとを含む。
【0007】
さらに別の例では、基板上に配置された金属含有層の密度を高くする方法は、基板上に金属含有層を形成するステップと、金属含有層にドーパントを注入するステップと、基板上の金属含有層を2バールよりも大きい圧力で、基板温度を500℃未満に維持しながら熱処理するステップとを含む。
【0008】
上述の、本発明の特徴が列挙された様式が詳細に理解できるように、上で簡潔に要約した本発明のより具体的な説明は、添付の図面にそのいくつかが示されている実施形態を参照することによって得られるであろう。しかし、本発明が、その他の同様に効果的な実施形態を認めることができるので、添付の図面は、本発明の典型的な実施形態を示すのみであり、したがって、本発明の範囲を限定するものとみなされるべきでないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】いくつかの実施形態による、カセットが配置されている処理チャンバの簡略化前面断面図である。
図2図1の処理チャンバを組み込むことができるクラスタシステムの図である。
図3】薄膜トランジスタデバイス構造の1つの例の断面図である。
図4】薄膜トランジスタデバイス構造の別の例の断面図である。
図5】いくつかの実施形態による、金属含有材料において実施されるアニーリングプロセスのフロー図である。
図6A-6D】いくつかの実施形態による、図5の金属含有材料を熱アニールする順序の1つの実施形態を描写する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
理解しやすいように、可能な場合には同様のアニール条件による大気圧でのアニールなどの、各図に共通の同じ要素を指定するのに同じ参照数字が使用されている。1つの実施形態の要素および特徴は、別に詳述されていなくても他の実施形態に有利に組み込まれることが企図されている。
【0011】
しかし、本発明では、その他の同様に効果的な実施形態を認めることができるので、添付の図面は、本発明の例示的な実施形態を示すのみであり、したがって、本発明の範囲を限定するものとみなされるべきでないことに留意されたい。
【0012】
本開示の実施形態は一般に、TFTデバイス構造体と、表示デバイスの電気性能を向上させるようにTFTデバイス構造体のソース、ドレイン、インターフェースおよびコンタクト領域の活性層に熱アニーリングプロセスを実施する方法とを提示する。半導体またはメモリデバイス製造プロセスを含む他の用途でもまた、本明細書に記載の実施形態を利用することができる。熱アニーリングプロセスでは、金属電極、ソース/ドレインおよび/またはコンタクト領域、および/または基板上の膜層の活性層膜特性の密度を上げることができる。1つの例では、熱処理プロセスは、金属含有層(たとえば、活性層)などの、金属含有層の熱エネルギーを供給するために実施され、あるいは、金属電極層(たとえば、金属ゲート電極、ソース-ドレインおよび/またはコンタクト領域もしくは電極層、または他の適切な金属構造体)がTFTデバイス内に形成される。熱アニーリングプロセスでは、活性層膜構造体の酸素欠乏の密度を上げる、または最小限にして、良好な品質、インターフェース管理および熱安定性をデバイス構造体にもたらすことができる。熱アニーリングプロセスではまた、金属含有材料の結晶性の程度を増大させて、金属含有層の電気特性を改善することもできる。それゆえに、表示デバイスのソース/ドレインおよび/またはコンタクト領域の金属電極および活性層の所望の膜特性により、トランジスタデバイスおよびダイオードデバイスの電気性能を効率的に向上させることができる。
【0013】
図1は、単一基板の高圧アニーリングプロセスのための、単一基板処理チャンバ100の簡略化前面断面図である。単一基板処理チャンバ100は、外面112と、内部容積部115を囲む内面113とを備えた本体110を有する。図1にあるようないくつかの実施形態では、本体110は環状断面を有するが、他の実施形態では、本体110の断面は長方形または任意の閉じた形状であり得る。本体110の外面112は、それだけには限らないがステンレス鋼などの、耐食鋼(CRS)から作ることができる。単一基板処理チャンバ100から外部環境への熱損失を防止する1つまたは複数の熱遮蔽体125が、本体110の内面113に配置される。本体110の内面113ならびに熱遮蔽体125は、それだけには限らないがHASTELLOY(登録商標)、ICONEL(登録商標)、およびMONEL(登録商標)などの、高い腐食耐性を示すニッケルベースの鋼合金から作ることができる。
【0014】
基板支持体130が、内部容積部115の中に配置される。基板支持体130は、ステム134と、ステム134によって保持された基板支持部材132とを有する。ステム134は、チャンバ本体110を貫通して形成された通路122に通される。アクチュエータ138に接続されたロッド139は、チャンバ本体110を貫通して形成された第2の通路123に通される。ロッド139は、基板支持体130のステム134を収容する開口136を有する、プレート135に連結される。リフトピン137が基板支持部材132に接続される。アクチュエータ138は、プレート135が上または下へ動いてリフトピン137と接続および分離するようにロッド139を作動する。リフトピン137が上昇または下降すると、基板支持部材132は、チャンバ100の内部容積部115の中で上昇または下降する。基板支持部材132には、中心に抵抗加熱要素131が埋設されている。電源133が、抵抗加熱要素131に電力供給するように構成される。電源133ならびにアクチュエータ138の動作は、コントローラ180によって制御される。
【0015】
単一基板処理チャンバ100は、本体110に開口111を有し、この開口を通して1つまたは複数の基板120が、内部容積部115に配置された基板支持体130に載せられ、またそこから降ろされ得る。開口111は、本体110にトンネル121を形成する。スリットバルブ128は、スリットバルブ128が開いているときにしか開口111および内部容積部115にアクセスできないように、トンネル121を封止可能に閉鎖するように構成される。処理用の内部容積部115を密閉するために、高圧封止材127を利用してスリットバルブ128と本体110の間を封止する。高圧封止材127は、ポリマーから、たとえば、それだけには限らないがパーフルオロエラストマーおよびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフルオロポリマーから作ることができる。高圧封止材127はさらに、封止性能を改善するために封止材にバイアスをかけるばね部材を含み得る。処理中に高圧封止材127を高圧封止材127の最大安全動作温度より下に維持するために、冷却チャネル124が、高圧封止材127に隣接するトンネル121に配置される。冷却流体源126からの、それだけには限らないが不活性、誘電性および高性能の熱伝達流体などの冷却剤を冷却チャネル124の中に循環させることができる。冷却流体源126からの冷却剤の流れは、温度センサ116または流量センサ(図示せず)から受け取られたフィードバックを通して、コントローラ180によって制御される。スリットバルブ128が開いているときに開口111を通る、内部容積部115からの熱の流れを阻止するために、環状形状の熱チョーク129がトンネル221の周囲に形成される。
【0016】
単一基板処理チャンバ100は、本体110を貫通するポート117を有し、このポートは、ガスパネル150、コンデンサ160およびポート117を接続する流体回路190に流体連通している。流体回路190は、ガス導管192、供給源導管157、入口分離バルブ155、排気導管163、および出口分離バルブ165を有する。いくつかのヒータ196、158、152、154、164、166は、流体回路190の様々な部分とのインターフェースとなっている。いくつかの温度センサ151、153、119、167および169もまた、温度測定値を取り込み、その情報をコントローラ180に送るために流体回路190の様々な部分に配置されている。コントローラ180は温度測定値情報を用いて、流体回路190の温度が、流体回路190および内部容積部115に配置された処理流体の凝縮点を超える温度に維持されるように、ヒータ152、154、158、196、164、および166の動作を制御する。
【0017】
ガスパネル150は、加圧された処理流体を内部容積部115に供給するように構成される。内部容積部115に導入された処理流体の圧力は、本体110に連結された圧力センサ114によって監視される。コンデンサ160は、冷却流体供給源(図示せず)に流体連結され、ガス導管192を通って内部容積部115を出る気相の処理流体を凝縮するように構成される。こうして、凝縮された処理流体はポンプ176によって取り出される。1つまたは複数のヒータ140が本体110に配置され、単一基板処理チャンバ100の内部容積部115を加熱するように構成される。ヒータ140、152、154、158、196、164、および166は、流体回路190の処理流体を気相に維持し、コンデンサ160への出口分離バルブ165は、流体回路中での凝縮を防止するために開いている。
【0018】
コントローラ180は、単一基板処理チャンバ100の動作を制御する。コントローラ180は、ガスパネル150、コンデンサ160、ポンプ170、入口分離バルブ155、出口分離バルブ165、電源133および145の動作を制御する。コントローラ180はまた、温度センサ116、圧力センサ114、アクチュエータ138、冷却流体供給源126および温度読み取りデバイス156および162に通信可能に接続される。
【0019】
処理流体には、酸素含有および/または窒素含有ガス、および/またはカルコゲンもしくはテルル(S、Se、Teなど)ガス、または酸素、乾燥蒸気、水、過酸化水素、アンモニア、S蒸気、Se蒸気、H2S、H2Seなどの蒸気が含まれ得る。処理流体は、基板上で金属材料と反応させて金属酸素窒化物、金属酸化物、金属オキシカルコゲナイドまたは金属カルコゲナイドを形成することができる。酸素含有および/または窒素含有ガスの代替として、またはそれに加えて、処理流体にはケイ素含有ガスも含まれ得る。ケイ素含有ガスの例としては、有機ケイ素、テトラアルキルオルソシリケートガスおよびジシロキサンがある。有機ケイ素ガスには、少なくとも1つの炭素-ケイ素結合を有する有機化合物のガスが含まれる。テトラアルキルオルソシリケートガスには、SiO4 4-イオンと結びついた4つのアルキル基から構成されたガスが含まれる。より具体的には、1つまたは複数のガスは、(ジメチルシリル)(トリメチルシリル)メタン((Me)3SiCH2SiH(Me)2)、ヘキサメチルジシラン((Me)3SiSi(Me)3)、トリメチルシラン((Me)3SiH)、クロロトリメチルシラン((Me)3SiCl)、テトラメチルシラン((Me)4Si)、テトラエトキシシラン((EtO)4Si)、テトラメトキシシラン((MeO)4Si)、テトラキス-(トリメチルシリル)シラン((Me3Si)4Si)、(ジメチルアミノ)ジメチル-シラン((Me2N)SiHMe2)、ジメチルジエトキシシラン((EtO)2Si(Me)2)、ジメチル-ジメトキシシラン((MeO)2Si(Me)2)、メチルトリメトキシシラン((MeO)3Si(Me))、ジメトキシテトラメチル-ジシロキサン(((Me)2Si(OMe))2O)、トリス(ジメチルアミノ)シラン((Me2N)3SiH)、ビス(ジメチルアミノ)メチルシラン((Me2N)2CH3SiH)、ジシロキサン((SiH32O)、およびこれらの組み合わせとすることができる。
【0020】
基板120を処理する間、高圧領域115の環境は、処理流体を高圧領域内で蒸気相に維持する温度および圧力に維持される。このような圧力および温度は、処理流体の組成に基づいて選択される。水蒸気の場合では、温度および圧力は、水蒸気を乾燥蒸気状態に維持する条件に保持される。1つの例では、高圧領域115は、大気圧よりも大きい圧力、たとえば約2バールよりも大きい圧力に加圧される。別の例では、高圧領域115は、約20から約50バールの間など、約10から約50バールの間の圧力に加圧される。別の例では、高圧領域115は、約100バールまでの圧力に加圧される。処理する間、高圧領域115はまた、高温に、たとえば、約300℃から約500℃の間などの225℃を超える温度に維持される(カセット150に配置される基板155のサーマルバジェットによって制限される)。
【0021】
図2は、図1に示された処理チャンバ100などの、1つまたは複数の処理チャンバを含む例示的な処理システム200の概略的な上面図であり、処理チャンバは処理システムに組み込まれ一体化されている。1つの実施形態では、処理システム200は、Santa Clara、CaliforniaにあるApplied Materials,Inc.から市販されている、Centura(登録商標)またはEndura(登録商標)一体化処理システムとすることができる。他の処理システム(他の製造業者からのものを含む)が、本開示から利益を得るように適合され得ることが企図される。
【0022】
システム200は、真空気密処理プラットフォーム204、ファクトリインターフェース202、およびシステムコントローラ244を含む。プラットフォーム204は、図1に描写された1つの処理チャンバ100などの、複数の処理チャンバ100、212、232、228、220と、真空基板移送チャンバ236に連結されている少なくとも1つのロードロックチャンバ222とを含む。2つのロードロックチャンバ222が図2に示されている。ファクトリインターフェース202は、ロードロックチャンバ222によって移送チャンバ236に連結されている。
【0023】
1つの実施形態では、ファクトリインターフェース202は、基板を移送しやすくするために、少なくとも1つのドッキングステーション208、および少なくとも1つのファクトリインターフェースロボット214を含む。ドッキングステーション208は、1つまたは複数の前方開口型統一ポッド(FOUP)を受け入れるように構成される。2つのFOUP 206A~Bが、図2の実施形態に示されている。ブレード216がロボット214の一方の端部に配置されているファクトリインターフェースロボット214は、ロードロックチャンバ222を経由する処理のために、基板をファクトリインターフェース202から処理プラットフォーム204まで移送するように構成される。任意選択で、1つまたは複数の計測学ステーション518が、FOUP 206A~Bからの基板を測定しやすくするために、ファクトリインターフェース202の末端226に接続され得る。
【0024】
ロードロックチャンバ222のそれぞれが、ファクトリインターフェース202に連結された第1のポート、および移送チャンバ236に連結された第2のポートを有する。ロードロックチャンバ222は、圧力制御システム(図示せず)に連結され、このシステムは、ロードロックチャンバ222をポンプダウンおよび通気して、移送チャンバ236の真空環境と、ファクトリインターフェース202の実質的に周囲の(たとえば大気の)環境との間に基板を通しやすくする。
【0025】
移送チャンバ236には、真空ロボット230が配置されている。真空ロボット230は、ロードロックチャンバ222と計測学システム210と処理チャンバ212、232、228、220の間で基板224を移送することができるブレード234を有する。
【0026】
システム200の1つの実施形態では、システム200は、1つまたは複数の処理チャンバ100、212、232、228、220を含むことがあり、これらは、アニーリングチャンバ(たとえば、高圧アニーリングチャンバ、RTPチャンバ、レーザアニールチャンバ)、堆積チャンバ、エッチチャンバ、洗浄チャンバ、硬化チャンバ、または他の同様のタイプの半導体処理チャンバとすることができる。システム200のいくつかの実施形態では、処理チャンバ100、212、232、228、220のうちの1つまたは複数、移送チャンバ236、ファクトリインターフェース202および/またはロードロックチャンバ222のうちの少なくとも1つ。
【0027】
システムコントローラ244は、処理システム200に連結される。計算デバイス201を含み得る、または計算デバイス201内に含まれ得るシステムコントローラ244は、システム200の処理チャンバ100、212、232、228、220の直接制御を用いて処理システム200の動作を制御する。あるいは、システムコントローラ244は、処理チャンバ100、212、232、228、およびシステム200と結びついたコンピュータ(またはコントローラ)を制御することができる。動作中、システムコントローラ244はまた、それぞれのチャンバからのデータ収集およびフィードバックによって、システム200の動作を最適化することも可能にする。
【0028】
システムコントローラ244は、上述の計算デバイス201とほとんど同様に、一般に中央処理ユニット(CPU)238、メモリ240、および支援回路242を含む。CPU238は、工業環境で使用できる汎用コンピュータプロセッサの任意の形のものでよい。支援回路242は、従来CPU238に連結され、キャッシュ、クロック回路、入力/出力サブシステム、電源などを含み得る。ソフトウェアルーチンにより、CPU238が特定用途向けコンピュータ(コントローラ)244に変わる。ソフトウェアルーチンは、システム200から遠隔に設置されている第2のコントローラ(図示せず)によって記憶および/または実行されてもよい。
【0029】
図3は、金属含有層を含むTFTデバイス350の一例を描写しており、この金属含有層は、図2に描写されたシステム200に組み込むことができる図1に描写の高圧アニーリングプロセス100などの、高圧アニーリングチャンバ内で熱アニーリングプロセスにかけることができる。薄膜トランジスタデバイス構造体350は、基板301に配置されたボトムゲートTFT構造体である。基板301は、異なるデバイス構造体または異なる膜スタックを基板301上に形成しやすくするために、その上にあらかじめ形成されている膜、構造体または層の異なる組み合わせを有し得ることに留意されたい。1つの例では、基板301は、図3に示されるように、その上に形成されたデバイス構造体350を有し得る。あるいは、基板301は、図4にさらに示されるように、その上に配置された別のデバイス構造体450を有することがあり、これについては以下でさらに説明する。基板301は、ガラス基板、プラスチック基板、ポリマー基板、金属基板、単一基板、ロールツーロール基板、または他の、薄膜トランジスタを形成するのに適している適切な透明な基板のうちの任意の1つとすることができる。
【0030】
ゲート電極層302が基板301上に形成され、パターニングされ、ゲート絶縁体層304が後に続く。1つの実施形態では、ゲート電極層302は、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、クロム(Cr)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)またはこれらの組み合わせなどの、任意の適切な金属材料から製作することができる。ゲート絶縁体層304に適している材料には、酸化ケイ素(SiO2)、酸窒化ケイ素(SiON)、窒化ケイ素(SiN)などが含まれる。図3に描写された薄膜トランジスタデバイス構造体350は、ゲート電極層302がデバイス構造体350の底部に形成されているボトムゲートデバイス構造であることに留意されたい。
【0031】
活性層306が、ゲート絶縁体層304の上に形成される。活性層306に利用される材料は、プラスチック材料などのフレキシブル基板材料が基板の損傷なしに低温で処理されることを可能にする適切な低温製造である、高い電子移動度を有する透明な金属酸化物材料から選択することができる。活性層306に利用できる適切な材料の例としては、a-IGZO(アモルファスインジウムガリウム亜鉛酸化物)、InGaZnON、ZnO、ZnON、ZnSnO、CdSnO、GaSnO、TiSnO、CuBO2、CuAlO2、CuGaO2、SrCuO、LaCuOS、GaN、InGaN、AlGaNまたはInGaAlNが特に挙げられる。
【0032】
活性層306の形成後、バリア層308を活性層306の上に形成することができる。バリア層308は、次にその上に形成される金属電極層310(たとえば、ソース-ドレイン電極用)に良好な境界面接着ならびに良好なバリア特性(たとえば、拡散バリア)をもたらすように、金属含有材料から形成することができる。バリア層308は、活性層306の上に所望のパターンを形成するようにパターニングされて、次のエッチングプロセスで基板301に配置される膜層にフィーチャが転写されやすくなり得る。図3に描写されたバリア層308は所望のパターンにパターニングされるが、活性層306から金属電極層310の中へ、またはその逆に成分が拡散することを防止する阻止/拡散バリア特性をバリア層308が効率的に実現できる限り、バリア層308は、デバイス構造体350の全体連続ブランク膜、または必要に応じて任意の異なるフィーチャを含めて、任意の形にできることに留意されたい。1つの実施形態では、バリア層308は、Ta25またはTiO2などの金属誘電体層によって、または必要に応じて任意の適切な金属誘電体層によって製作された、図3に描写されたような、金属含有誘電体層の単層とすることができる。別の実施形態では、バリア層308は、必要に応じて複合体膜の形にすることができる。
【0033】
ソース-ドレイン金属電極層などの金属電極層310がバリア層308の上に配置された後、次に、エッチングプロセスが実施されてチャネル320が金属電極層310に形成される。エッチング後、次に、パッシベーション層などの絶縁材料層314が金属電極層310の上に形成されて、薄膜トランジスタデバイス構造体350を形成するプロセスが完了する。
【0034】
1つの実施形態では、金属電極層310として使用できる材料の例としては、銅(Cu)、金、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、タンタル(Ta)、これらの合金、およびこれらの組み合わせがある。絶縁材料層314として使用できる適切な材料には、酸化ケイ素(SiO2)、酸窒化ケイ素(SiON)、または窒化ケイ素(SiN)などが含まれる。
【0035】
図4は、図3に描写されたボトムゲートデバイス構造体350ではなく、基板301の上に形成されたトップゲート低温ポリシリコン(LTPS)TFTデバイス構造体450の一例を描写している。LTPS TFTデバイス450は、任意選択の絶縁層404が上に配置されていたり配置されていなかったりする光学的に透明な基板301上に形成されたソース領域409a、チャネル領域408、およびドレイン領域409b(またはたとえば、金属コンタクト領域またはソースドレイン金属コンタクトとも呼ばれる)を含む活性層452を用いて構築されたMOSデバイスである。1つの例では、ソース領域409a、チャネル領域408、およびドレイン領域409bを含む活性層は、プラスチック材料などのフレキシブル基板材料が基板の損傷なしに低温で処理されることを可能にする適切な低温製造である、高い電子移動度を有する金属酸化物材料などの、透明な金属含有層から製作することができる。ソース領域409a、チャネル領域408、およびドレイン領域409bに利用できるこのような材料の適切な例としては、a-IGZO(アモルファスインジウムガリウム亜鉛酸化物)、ドープされたIGZO、InGaZnON、ZnO、ZnON、ZnSnO、CdSnO、GaSnO、TiSnO、CuBO2、CuAlO2、CuGaO2、SrCuO、LaCuOS、GaN、InGaN、AlGaNまたはInGaAlNが特に挙げられる。
【0036】
次に、ゲート絶縁層406が、堆積されたポリシリコン層の上部に堆積されて、バリア層411およびその上に配置されたゲート電極などの金属電極層414が、チャネル領域408、ソース領域409a、およびドレイン領域409bから分離される。バリア層411は、次にその上に形成される金属電極層414(たとえば、ゲート電極)に良好な界面接着ならびに良好なバリア特性(たとえば、拡散バリア)をもたらすように、金属含有材料から形成することができる。バリア層411は、ゲート絶縁層406の上に所望のパターンを形成するようにパターニングされて、次のエッチングプロセスで基板102に配置される膜層にフィーチャが転写されやすくなり得る。バリア層411は、ゲート絶縁層406から金属電極層414の中へ、またはその逆に成分が拡散することを防止する阻止/拡散バリア特性を効率的に実現することができる。1つの実施形態では、バリア層411は、Ta25またはTiO2などの金属誘電体層によって、または必要に応じて任意の適切な金属誘電体層によって製作された、図4に描写されたような、金属含有誘電体層の単層とすることができる。別の実施形態では、バリア層411は、必要に応じて複合体膜の形にすることができる。
【0037】
ゲート電極層414は、ゲート絶縁層406の上部に形成され、バリア層411がこれらの間に置かれている。ゲート絶縁層406はまた、一般に二酸化ケイ素(SiO2)層で作られるので、一般にはゲート酸化物層としても知られている。次に、層間絶縁体などの絶縁材料層412と、TFTデバイスの制御を可能にするために絶縁材料層412を貫通して、デバイス接続部(図示せず)とが作られる。
【0038】
絶縁材料層412が形成された後、ソース-ドレイン金属電極層410a、410bが次に、絶縁材料層412に堆積、形成およびパターニングされる。ソース-ドレイン金属電極層410a、410bがパターニングされた後、パッシベーション層418が次に、ソース-ドレイン金属電極層410a、410bを覆って形成される。
【0039】
図5は、図3~4の活性層306、452、または図3~4それぞれの金属電極302、310、410a、410b、414などの金属含有層に対して実施される、熱アニーリングプロセス500の1つの例のフロー図を示す。
【0040】
方法500は操作502で、図3および図4の基板301などの基板を供給することによって開始する。基板301は、光学的に透明な基板とすることができる。基板301は、図6Aに示されるように、その上に配置された材料層601を含み得る。材料層601は、TFTデバイス構造体を形成するために利用できる単層または多層とすることができる。あるいは、材料層601は、TFTデバイス構造体を形成するのに利用できる複数の材料を含み得る構造体とすることができる。
【0041】
基板301は、図6Bに示されるように、材料層601上に形成された金属含有層602をさらに含む。材料層601が存在しない例では、金属含有層602は、基板301上に直接形成することができる。いくつかの例では、金属含有層602は、図3もしくは図4の活性層306、452、または図3~4の金属電極302、310、410a、410b、414として使用することができる。一例では、金属含有層602は、a-IGZO(アモルファスインジウムガリウム亜鉛酸化物)、ドープされたIGZO、InGaZnON、ZnO、ZnON、ZnSnO、CdSnO、GaSnO、TiSnO、CuBO2、CuAlO2、CuGaO2、SrCuO、LaCuOS、GaN、InGaN、AlGaNまたはInGaAlNなどからなる群から選択された金属酸化物層である。1つの例では、金属含有層602は、IGZO層またはドープされたIGZO層である。あるいは、金属含有層602は、銅(Cu)、金、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、タンタル(Ta)またはこれらの合金などの、金属層とすることができる。
【0042】
操作504で、イオンを金属含有層602に注入するための任意選択のイオンドーピング/注入プロセスが実施されて、図6Cに示される、ドープされた金属含有層610が形成される。イオン注入プロセスが除かれる例では、より詳細に以下で説明する、操作506の熱アニーリングプロセスが金属含有層602に直接実施され得る。イオンドーピング/注入プロセスは、ドーパントが中に形成される金属含有層602の特定の位置で、特定の膜/表面特性をドープ、コーティング、処理、注入、挿入または修正するために実施されて、ドープされた金属含有層610が形成される。イオンドーピング/注入プロセスでは、金属含有層602の膜/表面特性を修正するために入射イオンを利用して、金属含有層602にドープされるドーパントによって、ドープされた金属含有層610を形成する。イオンドーピング/注入プロセスは、任意の適切なイオン注入/ドーピング処理ツールで実施することができる。所望の種類の原子を含むイオンは、所望の濃度で金属含有層602にドープすることができる。金属含有層602にドープされたイオンは、金属含有層602の格子構造、結晶性の程度、結合構造、または膜密度に影響を及ぼす、改善する、または変更する金属含有層602の膜/表面特性を修正して、ドープされた金属含有層610を形成することができる。
【0043】
金属含有層602がInGaZnOを含む実施形態では、金属含有層602にドープされるイオンは、インジウム(In)またはモリブデン(Mo)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)などを含み得る。金属含有層602(たとえば、InGaZnO)にドープされるInまたはMoドーパントは、高い移動度などの電気特性、InGaZnO材料の(たとえば、アモルファス構造、C軸配向結晶構造(CAAC)、多結晶構造、さらには単結晶構造からの)結晶化度を変え、それによって、所望の膜特性を持つドープされた金属含有層610が得られると考えられる。たとえば、InGaZnO材料のInまたはMoドーパントによって得られる高い結晶化度により、膜特性の電子移動度が増大し、それによって、ドープされた金属含有層610が利用されると、TFTデバイス構造または半導体デバイスの電気性能が向上すると考えられる。
【0044】
さらに、InGaZnO材料に含まれるガリウム(Ga)と酸化亜鉛(ZnO)の比率もまた、ドープされた金属含有層610の結果として生じる格子構造に影響を及ぼし得ると考えられる。InGaZnO材料に含まれるGa成分の比率により、膜透明度ならびに全体の膜バンドギャップが増大し得ると考えられる。InGaZnO材料に含まれるZnまたはZnO成分の比率により、移動度が向上すると共に、結晶化度向上のための熱アニーリング温度要件が緩和し得る。それゆえに、InGaZnO材料へのInドーパントの適切な用量を選択することによって、InGaZnO材料の所望の結晶性を得ることができる。さらに、InGaZnOの所望の結晶性はまた、後続の操作506での熱アニーリングプロセスの温度要件を緩和する助けにもなって、基板301が比較的低い熱サイクルバジェットを有する光学的に透明な材料であることが多いので、TFTデバイスの適用においてプロセスの利点をもたらす。
【0045】
1つの実施形態では、InGaZnO材料中に結果として生じたInドーパントは、ドープされた金属含有層610中に形成された、約8.5×1015イオン/cm2などの、約5×1015イオン/cm2から約9×1015イオン/cm2の間のドーピング濃度を有し得る。さらに、InGaZnO材料中のInまたはMo成分の比率は、原子量で約10%~13%から約14%~16%へ増加させることができる(約15%から約30%の間の増加)。
【0046】
いくつかのプロセスパラメータは、イオンドーピング/注入プロセスの間に制御することができる。イオンドーピング/注入プロセスは、イオンドーピング混合ガスをイオンドーピング/注入ツールに所望の量の電力エネルギーと共に供給することによって実施して、イオンドーピング混合ガスから基板301の中へイオンをドーピングすることができる。イオンドーピング混合ガスは、約10sccmから約1000sccmの間の流量で、イオンドーピング/注入ツールに供給することができる。注入の間に蒸気相状態で使用されるイオンドーピングに供給するための適切な成分には、インジウム蒸気およびモリブデン蒸気が含まれる。容量性または誘導性RF電力などのRF電力、DC電力、電磁エネルギー、イオンビーム、またはマグネトロンスパッタリングがイオンドーピング/注入プロセスに供給されて、処理中にイオンドーピング混合ガスを解離する助けになり得る。解離エネルギーによって生成されたイオンは、基板支持体に、または基板支持体の上のガス入口に、または両方にDCまたはRF電気バイアスを加えることによって生じた電界を用いて、基板に向けて加速することができる。いくつかの実施形態では、ガス含有高エネルギーイオンはプラズマとすることができる。約35kevから約55keVの間などの、約20keVから約80kevの間の、たとえば約45keVのエネルギーが、イオンを金属含有層602に注入するために使用され得る。基板温度は、約15℃などの、約5℃から約50℃の間に制御され得る。
【0047】
操作506で、高圧アニーリングプロセスが実施される。2バールよりは大きいが未満であるなどの、高いプロセス圧力で実施されるアニーリングプロセスは、ドープされる金属含有層610の空孔の密度を高くし修復することを助けて、図6Dに示された、所望の膜特性を持つアニールされた金属含有層603が形成され得る。いくつかの例では、高いプロセス圧力は100バールまでになり得る。イオンドーピング/注入プロセスが操作504で実施されない実施形態では、高圧アニーリングプロセスは、図6Bの金属含有層602に対し実施されて、図6Dに示される、アニールされた金属含有層603が形成され得る。アニーリングプロセスは、図1に描写された処理チャンバ100などの処理チャンバで、または基板を1枚ずつ処理するものを含む他の適切な処理チャンバで実施することができる。
【0048】
操作506で実施される高圧アニーリングプロセスでは、処理圧力を蒸気相の、たとえば実質的に液滴が存在しない乾燥蒸気相の、高圧領域で維持する。処理圧力および温度は、膜欠陥を修復するために膜構造の密度を高くするように制御されて不純物が除去され、膜密度が高められる。1つの例では、高圧領域115は、たとえば約2バールを超える、大気圧より大きい圧力まで加圧される。別の例では、高圧領域115は、約35バールなどの、約5~約50バールなどの、約5~約100バールの圧力まで加圧される。この高圧は、膜構造体の密度を高くすることを効率的に助けることができるので、500℃未満などの比較的低い温度が、基板301の熱サイクル損傷の可能性を低減する。
【0049】
処理の間、高圧領域115は、外側チャンバ110の中に配置されたヒータ122によって比較的低い温度に、たとえば、約150℃から約350℃の間などの、500℃未満の温度に維持される。それゆえに、基板への低いサーマルバジェットが、高圧アニーリングプロセスを低い温度状況と共に利用することによって獲得され得る。
【0050】
高圧プロセスは、金属含有層602またはドープされた金属含有層610のダングリングボンドを取り除く駆動力をもたらし、それによって、金属含有層602のダングリングボンドがアニーリングプロセスの間に修復され、反応し、飽和し得ると考えられる。1つの例では、O3ガス、O2ガス、空気、H2O、H22、N2O、NO2、CO2、COおよび乾燥蒸気などの酸素含有ガス、または硫黄(S)蒸気およびセレン(Se)蒸気を含むカルコゲン蒸気、またはテルル蒸気もしくは他の適切なガスが、アニーリングプロセスの間に供給され得る。1つの特定の例では、酸素含有ガスは、水蒸気、たとえば乾燥蒸気、および/または空気を含む。アニーリングプロセスの間に、酸素含有ガスからの酸素成分は、金属含有層602に入り込み、結合構造を変え、その中の原子空孔を取り除き、それによって、格子構造が高密度になり強化され、金属含有層602の結晶化度が高まり得る。いくつかの例では、Ar、N2、He、Krなどの不活性ガスまたはキャリアガスが、酸素含有ガスと共に供給されることがある。1つの実施形態では、酸素含有混合ガスに供給される酸素含有ガスは、2バールより大きい圧力で供給される乾燥蒸気である。
【0051】
1つの例示的な実施態様では、プロセス圧力は、5バールから100バールの間などの、20バールから約80バールの間などの、たとえば約25バールから75バールの間の、約35バールなどの、2バールより大きい圧力に調節される。プロセス温度は、約150℃から約380℃の間などの、約180℃から約400℃の間などの、150℃を超えるが500℃未満に制御することができる。1つの例では、硫黄(S)蒸気、セレン(Se)蒸気などのカルコゲン蒸気が、SまたはSeを含むInGaZnOなどの金属オキシカルコゲンのアニーリングプロセスの間に供給されることがある。
【0052】
高圧のアニーリングプロセス後には、金属含有層602またはドープされた金属含有層610は、高密度化膜構造を有し、この構造は、約1大気圧の圧力の従来のアニーリングプロセスによってアニールされた金属含有層602またはドープされた金属含有層610と比較して、両アニーリングプロセスは同じアニール温度であるが、高い膜密度、高い膜移動度、低いキャリア濃度および低い膜抵抗を実現するアモルファス形態を持つ、比較的堅牢な膜構造になる。1つの例では、1大気圧の従来のアニーリングプロセスと比較して、同じアニール温度のもとではあるが、インジウムドーパント(ドープされた金属含有層610から形成)を含む高圧アニールされた金属含有層603の移動度は、約5倍から約20倍の間で増大し、抵抗は約10倍増大し、キャリア濃度は約100分の1に減少する。
【0053】
1つの例では、1大気圧の従来のアニーリングプロセスと比較して、同じアニール温度のもとではあるが、インジウムドーパント(金属含有層602から形成)を含まない高圧アニールされた金属含有層603の移動度は、約1.5倍から約5倍の間で増大し、抵抗は約20パーセント~約99パーセント増大し、キャリア濃度は約100分の1に減少する。
【0054】
このように、金属含有層を熱アニールする方法が提供される。金属含有層は、2バールを超えるが50バール未満などの、高いプロセス圧力を用いる高圧アニーリングプロセスによって熱処理/アニールすることができる。このような高圧アニーリングプロセスを利用することによって、プロセス温度は500℃未満に維持され、それによって、金属含有層が形成される基板に付与されるサーマルバジェットが低減し、所望の結晶化度および構造集積化管理による良好な膜品質が実現し得る。
【0055】
以上は本発明の実施形態を対象とするが、本発明の基本的な範囲から逸脱することなく、本発明の他のさらなる実施形態を考案することができ、また本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって決定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A-6D】