(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】食品提示方法、食品提示システム、食品提示装置、食品提示プログラム、及びそのプログラムを記録した記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G16H 20/60 20180101AFI20241018BHJP
【FI】
G16H20/60
(21)【出願番号】P 2024052356
(22)【出願日】2024-03-27
【審査請求日】2024-05-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004477
【氏名又は名称】キッコーマン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】大嶋(浅木) 麻里子
(72)【発明者】
【氏名】竹内 崇裕
【審査官】鹿野 博嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-059844(JP,A)
【文献】特開2016-010387(JP,A)
【文献】特開2020-024510(JP,A)
【文献】特開2003-259808(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2023/0210443(US,A1)
【文献】特開2022-116361(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アレルゲンの検討のために子供に摂食させる食品を、前記子供の食事を管理しているユーザに提示する食品提示方法であって、
既知アレルゲン認識部が、前記ユーザの入力に基づいて、前記子供が摂取した場合にアレルギー反応を生じさせる可能性の高いアレルゲンである既知アレルゲンを認識するステップと、
交差アレルゲン認識部が、前記既知アレルゲンに基づいて、前記既知アレルゲンに関する交差反応を生じさせる可能性の高いアレルゲンである交差アレルゲンを認識するステップと、
交差食品認識部が、前記交差アレルゲンに基づいて、前記交差アレルゲンを含む食品である交差食品を認識するステップと、
交差食品提示部が、前記交差食品を前記ユーザに提示するステップとを備え
、
前記交差食品認識部は、前記交差アレルゲンに基づいて、前記アレルギー反応を生じさせ得るアレルゲンを1種類のみ含む複数の供試食品のうちから該交差アレルゲンを含む供試食品を、前記交差食品として認識することを特徴とする食品提示方法。
【請求項2】
請求項1に記載の食品提示方法において、
摂食保留食品認識部が、前記ユーザの入力に基づいて、前記アレルギー反応を生じさせ得るアレルゲンを1種類のみ含む複数の供試食品のうち摂食させた結果前記子供に前記アレルギー反応を生じさせてしまう可能性があり、摂食を保留すべき供試食品である摂食保留食品を認識するステップと、
対応関係認識部が、前記摂食保留食品と、該摂食保留食品に含まれるアレルゲンとの対応関係を認識するステップとを備え、
前記既知アレルゲン認識部は、前記対応関係に基づいて、前記既知アレルゲンを認識することを特徴とする食品提示方法。
【請求項3】
請求項1に記載の食品提示方法において、
提供食品認識部が、前記交差食品の提示後に、前記ユーザの入力に応じて、前記アレルギー反応を生じさせ得るアレルゲンを1種類のみ含む複数の供試食品から提供する供試食品である提供食品を認識するステップと、
提供手配部が、前記提供食品の提供を手配するステップとを備えていることを特徴とする食品提示方法。
【請求項4】
請求項1に記載の食品提示方法において、
レシピ認識部が、所定量以下の前記交差食品を用いた料理のレシピを認識するステップと、
レシピ提示部が、前記レシピを前記ユーザに提示するステップとを備えていることを特徴とする食品提示方法。
【請求項5】
請求項1に記載の食品提示方法において、
非交差食品認識部が、前記交差アレルゲンに基づいて、前記交差アレルゲンの含有量の低い食品である非交差食品を認識するステップと、
非交差食品提示部が、前記非交差食品を前記ユーザに提示するステップとを備えていることを特徴とする食品提示方法。
【請求項6】
請求項5に記載の食品提示方法において、
前記非交差食品提示部は、互いに交差反応を生じさせる可能性が低い複数の前記非交差食品を、前記ユーザに提示することを特徴とする食品提示方法。
【請求項7】
アレルゲンの検討のために子供に摂食させる食品を、前記子供の食事を管理しているユーザに提示する食品提示システムであって、
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の食品提示方法を実行するように構成されていることを特徴とする食品提示システム。
【請求項8】
アレルゲンの検討のために子供に摂食させる食品を、前記子供の食事を管理しているユーザに提示する食品提示装置であって、
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の食品提示方法を実行するように構成されていることを特徴とする食品提示装置。
【請求項9】
アレルゲンの検討のために子供に摂食させる食品を、前記子供の食事を管理しているユーザに提示する食品提示方法をコンピュータに実行させる食品提示プログラムであって、
前記コンピュータに、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の食品提示方法を実行させることを特徴とする食品提示プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載の食品提示プログラムを記録し、前記食品提示プログラムを前記コンピュータが読み取り可能であることを特徴とする記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アレルゲンの検討のために子供に摂食させる食品を、子供の食事を管理しているユーザに提示する食品提示、食品提示システム、食品提示装置、食品提示プログラム、及びそのプログラムを記録した記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、何らかのアレルギーのある子供は増加傾向にあるといわれている。そのアレルギー反応を生じさせるアレルゲンとしては、特定の化学物質、ハウスダスト、花粉の他、特定の食品が挙げられる。そのため、子供の食事を管理している者(例えば、その子供の親等)は、その子供にどのような食品を摂取させた場合にアレルギー反応を生じさせてしまうのかについて、非常に強い関心を持っている場合が多い。
【0003】
そのような状況から、子供の摂食する食品を管理するためのシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。このシステムでは、携帯端末等を介して、アレルゲンの適切な摂取量(ひいては、食品の摂食量)を報知して、アレルギー反応の抑制を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載のシステムは、どのアレルゲンによってアレルギー反応を生じさせてしまうのかが判明していることを前提として構成されている。そのため、このシステムでは、どのアレルゲンによってアレルギー反応を生じさせてしまうのかがまだ分かっていない子供について、アレルギー反応を抑制することはできない。
【0006】
一方、アレルゲンは多数あり、また、1つの食品の中にアレルゲンが複数含まれていることもある。そのため、子供の食事を管理している者が、子供がどのような食品を摂食した場合にアレルギー反応を生じさせしまうのかについて、十分に把握することは難しいという問題があった。
【0007】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであり、アレルゲンの検討のために子供に摂食させる食品を、その子供の食事を管理しているユーザが、容易に把握することができる食品提示方法、食品提示システム、食品提示装置、食品提示プログラム、及びそのプログラムを記録した記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の食品提示方法は、
アレルゲンの検討のために子供に摂食させる食品を、前記子供の食事を管理しているユーザに提示する食品提示方法であって、
既知アレルゲン認識部が、前記ユーザの入力に基づいて、前記子供が摂取した場合にアレルギー反応を生じさせる可能性の高いアレルゲンである既知アレルゲンを認識するステップと、
交差アレルゲン認識部が、前記既知アレルゲンに基づいて、前記既知アレルゲンに関する交差反応を生じさせる可能性の高いアレルゲンである交差アレルゲンを認識するステップと、
交差食品認識部が、前記交差アレルゲンに基づいて、前記交差アレルゲンを含む食品である交差食品を認識するステップと、
交差食品提示部が、前記交差食品を前記ユーザに提示するステップとを備え、
前記交差食品認識部は、前記交差アレルゲンに基づいて、前記アレルギー反応を生じさせ得るアレルゲンを1種類のみ含む複数の供試食品のうちから該交差アレルゲンを含む供試食品を、前記交差食品として認識することを特徴とする。
【0009】
アレルゲンは多数存在し、食品等に表示が推奨されるものだけでも20種類以上のアレルゲンが存在している。そのため、全てのアレルゲンについて検討(アレルゲンに対する体質の検討、アレルゲンに対する反応の検討等)を行うことは、食品を食べる子供だけでなく、食べさせるユーザにも負担が大きい場合が多い。
【0010】
そこで、本発明の食品提示方法では、アレルギー反応を生じさせてしまう既知のアレルゲンがあった場合には、その既知のアレルゲンに関する交差反応を生じさせる可能性の高いアレルゲンを含む食品を交差食品として認識し、その交差食品をユーザに提示する。
【0011】
これにより、この方法では、ユーザは、目的に応じた形でアレルゲンの検討を行うことができる。例えば、ユーザは、交差食品に含まれるもののまだ食べさせたことのない食品を摂食させることによって、摂取可能なアレルゲンの検討を行ったりすることができる。
【0012】
したがって、本発明の食品提示方法によれば、ユーザは、アレルゲンの検討のために子供に摂食させる食品を、直接的に、且つ、目的に応じた形で、容易に把握することができる。
【0014】
また、このように、アレルゲンの検討のために子供に摂食させる食品として、アレルギー反応を生じさせ得る量のアレルゲンを1種類のみ含む供試食品を採用すると、ユーザは、供試食品の種類を見るだけで、どのアレルゲンについて検討すべきなのか(ひいては、子供にどのアレルゲンでアレルギー反応を生じさせてしまう可能性があるのか)を、直接的に理解することができる。
【0015】
また、本発明の食品提示方法においては、
摂食保留食品認識部が、前記ユーザの入力に基づいて、前記アレルギー反応を生じさせ得るアレルゲンを1種類のみ含む複数の供試食品のうち摂食させた結果前記子供に前記アレルギー反応を生じさせてしまう可能性があり、摂食を保留すべき供試食品である摂食保留食品を認識するステップと、
対応関係認識部が、前記摂食保留食品と、該摂食保留食品に含まれるアレルゲンとの対応関係を認識するステップとを備え、
前記既知アレルゲン認識部は、前記対応関係に基づいて、前記既知アレルゲンを認識することが好ましい。
【0016】
このように、既知のアレルゲンの入力にも、アレルギー反応を生じさせ得る量のアレルゲンを1種類のみ含む供試食品を採用すると、アレルギー反応を生じさせる可能性の高いアレルゲンの種類及び量を、システム側が正確に把握しやすくなる。ひいては、システムによって提示される食品も的確なものになる。これにより、ユーザは、アレルゲンの検討のために子供に摂食させる食品を、的確に把握することができる。
【0017】
また、本発明の食品提示方法においては、
提供食品認識部が、前記交差食品の提示後に、前記ユーザの入力に応じて、前記アレルギー反応を生じさせ得るアレルゲンを1種類のみ含む複数の供試食品から提供する供試食品である提供食品を認識するステップと、
提供手配部が、前記提供食品の提供を手配するステップとを備えているように構成されていてもよい。
【0018】
また、本発明の食品提示方法においては、
レシピ認識部が、所定量以下の前記交差食品を用いた料理のレシピを認識するステップと、
レシピ提示部が、前記レシピを前記ユーザに提示するステップとを備えていることが好ましい。
【0019】
子供に交差食品を食べさせて未知のアレルゲンの検討を行おうとする場合、その子供の食事を管理しているユーザがその交差食品をどのように食べさせるのかを考えることは、アレルギー反応を生じさせてしまうことを恐れる等の理由から、心理的にも非常に負担が大きいことが多い。そこで、このように、システム側で交差食品を用いた料理のレシピを提示するようにすると、ユーザの心理的な負担を軽減することができる。
【0020】
また、本発明の食品提示方法は、
アレルゲンの検討のために子供に摂食させる食品を、前記子供の食事を管理しているユーザに提示する食品提示方法であって、
既知アレルゲン認識部が、前記ユーザの入力に基づいて、前記子供が摂取した場合にアレルギー反応を生じさせる可能性の高いアレルゲンである既知アレルゲンを認識するステップと、
交差アレルゲン認識部が、前記既知アレルゲンに基づいて、前記既知アレルゲンに関する交差反応を生じさせる可能性の高いアレルゲンである交差アレルゲンを認識するステップと、
非交差食品認識部が、前記交差アレルゲンに基づいて、前記交差アレルゲンの含有量の低い食品である非交差食品を認識するステップと、
非交差食品提示部が、前記非交差食品を前記ユーザに提示するステップとを備えていることを特徴とする。
【0021】
アレルゲンは多数存在し、食品等に表示が推奨されるものだけでも20種類以上のアレルゲンが存在している。そのため、全てのアレルゲンについて検討(アレルゲンに対する体質の検討、アレルゲンに対する反応の検討等)を行うことは、食品を食べる子供だけでなく、食べさせるユーザにも負担が大きい場合が多い。
【0022】
そこで、本発明の食品提示方法では、アレルギー反応を生じさせてしまう既知のアレルゲンがあった場合には、その既知のアレルゲンに関する交差反応を生じさせる可能性の高いアレルゲンの含有量の低い食品を非交差食品として認識し、その非交差食品をユーザに提示する。
【0023】
これにより、この方法では、ユーザは、目的に応じた形でアレルゲンの検討を行うことができる。例えば、ユーザは、非交差食品を子供に摂食させることによって、未知のアレルゲンの検討を行ったりすることができる。
【0024】
したがって、本発明の食品提示方法によれば、ユーザは、アレルゲンの検討のために子供に摂食させる食品を、直接的に、且つ、目的に応じた形で、容易に把握することができる。
【0025】
また、本発明の食品提示方法においては、非交差食品の認識と提示を行う構成の場合、
前記非交差食品提示部は、互いに交差反応を生じさせる可能性が低い複数の前記非交差食品を、前記ユーザに提示することが好ましい。
【0026】
このようにして提案された非交差食品同士は、互いに交差反応が生じてしまう可能性が低い。そのため、それらの非交差食品を用いれば、互いに交差反応を生じる関係に無い複数種類のアレルゲンについて、効率的に検討を行うことができる。これにより、その子供の食事を管理しているユーザの負担も、食べる子供の負担も抑制することができる。
【0027】
また、本発明の食品提示システムは、
アレルゲンの検討のために子供に摂取させる食品を、前記子供の食事を管理しているユーザに提示する食品提示システムであって、
上記いずれかの食品提示方法を実行するように構成されていることを特徴とする。
【0028】
また、本発明の食品提示装置は、
アレルゲンの検討のために子供に摂食させる食品を、前記子供の食事を管理しているユーザに提示する食品提示装置であって、
上記いずれかの食品提示方法を実行するように構成されていることを特徴とする。
【0029】
また、本発明の食品提示プログラムは、
アレルゲンの検討のために子供に摂食させる食品を、前記子供の食事を管理しているユーザに提示する食品提示方法をコンピュータに実行させる食品提示プログラムであって、
前記コンピュータに、上記いずれかの食品提示方法を実行させることを特徴とする。
【0030】
また、本発明の記録媒体は、
上記の食品提示プログラムを記録し、前記食品提示プログラムを前記コンピュータが読み取り可能であることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】実施形態に係る提示システムの概略構成を示す説明図。
【
図2】
図1の提示システムの処理部の構成を示すブロック図。
【
図3】
図1の提示システムが、摂食保留食品を認識する際に、ユーザ端末に表示される画面の一例を示すイメージ図。
【
図4】
図1の提示システムが、ユーザに提供可能な供試食品を提示する際に、ユーザ端末に表示される画面の一例を示すイメージ図。
【
図5】
図1の提示システムが、ユーザにレシピを提示する際に、ユーザ端末に表示される画面の一例を示すイメージ図。
【
図6】
図1の提示システムが、ユーザに提供可能な供試食品を提示する際に、ユーザ端末に表示される画面の一例を示すイメージ図。
【
図7】
図1の提示システムが、供試食品及びレシピ提示する際に実行する処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照して、実施形態に係る食品提示システム(以下、「提示システムS」という。)、及びそれを用いて実行される食品提示方法について説明する。
【0033】
[システムの概略構成]
以下、
図1及び
図2を参照して、提示システムSの概略構成について説明する。
【0034】
図1に示すように、提示システムSは、子供の食事を管理しているユーザUの要求に応じて、ユーザUに対し、アレルゲンの検討(アレルゲンに対する体質の検討、アレルゲンに対する反応の検討等)のためにその子供に摂食させる供試食品、又はその供試食品を用いた料理のレシピを提示するためのコンピュータシステムである。
【0035】
ここで、「供試食品」とは、アレルギー反応を生じさせ得るアレルゲンを1種類のみ含む食品である。本実施形態における供試食品は、一旦ペースト状に加工した食材をフリーズドライ等によってキューブ状に固めたものであり、そのまま食べること水又は湯等に溶かしてペースト状にして食べることもでき、また、料理の材料として用いることも可能なものである。
【0036】
なお、本発明の供試食品の製品形態は、上記のフリーズドライした製品形態に限定されるものではなく、アレルギー反応を生じさせ得るアレルゲンを1種類のみ含む食材として調製されたものであればよい。そのため、例えば、供試食品の製品形態は、個体に限らず、粉体、液体又はペースト等であってもよい。また、例えば、供試食品は、そのまま食べることができずに、料理の材料としてのみ用いることができるものであってもよい。また、その製法も、製品形態に応じて適した方法を適宜採用してよい。
【0037】
提示システムSは、提示システムSによるサービスの提供者が保有しているサーバ1によって構成されている。
【0038】
サーバ1は、インターネット網、公衆回線等を通じて、ユーザUの保有するスマートフォン、タブレット等のユーザ端末2と、相互に情報通信可能に構成されている。
【0039】
なお、本発明の食品提示システムは、1つのサーバによって構成されるものに限定されるものではなく、食品提示システムを構成しているいずれかの端末が後述する処理部を備えているように構成されていればよい。
【0040】
そのため、例えば、複数のサーバによって食品提示システム全体を構成してもよい。また、ユーザ端末に処理部の少なくとも1つ又はその処理部の機能の少なくとも一部を実装して、ユーザ端末とサーバとで協働して又はユーザ端末のみで、システムを構成してもよい。
【0041】
さらに、本実施形態の提示システムSではユーザ端末2に設けられている後述の入力部2a及び出力部2bに相当する機能をサーバ1に設けられている処理部を有している端末に設け、独立した食品提示装置として構成してもよい。
【0042】
また、
図2に示すように、提示システムSであるサーバ1と通信可能なユーザ端末2は、実装されたハードウェア構成及びプログラムの少なくとも一方により実現される機能(処理部)として、入力部2aと、出力部2bとを備えている。
【0043】
本実施形態においては、ユーザ端末2の入力部2a及び出力部2bがタッチパネルであるとして説明を行う。ただし、ユーザ端末は、そのような構成に限定されるものではなく、ユーザからの情報の入力を受け付けることができ、且つ、ユーザへ情報を提示するための出力を行うことができるものであればよい。そのため、例えば、ユーザ端末は、タッチパネルの他、キーボード、マイク、カメラ、スピーカー等を用いて、入力及び出力を可能に構成されていてもよい。
【0044】
また、本実施形態においては、サーバ1及びユーザ端末2は、現実空間の物品で構成されたものとして説明を行っている。しかし、本発明の食品提示システムを構成する機器、又は食品提示システムと情報の入力又は出力を行う機器は、現実空間の物品に限定されるものではなく、仮想空間の物品であってもよいし、現実空間の物品と仮想空間の物品とを組み合わせて構成されたものであってもよい。
【0045】
そのため、例えば、本実施形態におけるユーザ端末2の入力部2a及び出力部2bを仮想のものとして、そのユーザ端末2を、仮想空間又は仮想空間と現実空間とを複合させた空間において、ユーザUが操作可能に構成してもよい。
【0046】
[各処理部の構成]
次に、
図2~
図5を参照して、提示システムSを構成する処理部について説明する。
【0047】
図2に示すように、サーバ1は、実装されたハードウェア構成及びプログラムの少なくとも一方により実現される機能(処理部)として、摂食保留食品認識部1aと、対応関係認識部1bと、供試食品情報格納部1cと、既知アレルゲン認識部1dと、交差アレルゲン認識部1eと、交差反応情報格納部1fと、食品認識部1gと、供試食品提示部1h(交差食品提示部、非交差食品提示部)と、レシピ認識部1iと、レシピ情報格納部1jと、レシピ提示部1kと、提供食品認識部1lと、提供手配部1mとを備えている。
【0048】
摂食保留食品認識部1aは、ユーザUの入力に基づいて、複数の供試食品のうち摂食させた結果子供にアレルギー反応を生じさせてしまう可能性があり、摂食を保留すべき供試食品である摂食保留食品の種類及び量を認識する。
【0049】
提示システムSでは、
図3に示すように、摂食保留食品認識部1aは、ユーザ端末2に、提示システムSによって提供される複数の供試食品からなるセット商品(例えば、ナッツ類のセット商品、卵類のセット商品等)を構成する個々の供試食品の各々を、チェックボックスにチェックを入れて選択可能な形式で表示させ、チェックが入れられた供試食品を摂食保留食品として認識する。このとき、子供がアレルギー反応を生じるまでに摂食させた量(例えば、供試食品の個数等)についても、入力可能に表示させる(不図示)。
【0050】
また、提示システムSでは、ユーザUは、供試食品の他、一般的な食品(例えば、甲殻類、そば等)、花粉(例えば、イネ科、スギ、ヒノキ等)、化学物質(例えば、ゴム等)等といった、食品以外のものについても、選択可能になっている。
【0051】
なお、本発明の摂食保留食品認識部は、このような構成に限定されるものではなく、ユーザの入力に基づいて、複数の供試食品のうち摂食させた結果子供にアレルギー反応を生じさせてしまう可能性があり、摂食を保留すべき供試食品である摂食保留食品を認識するものであればよい。
【0052】
そのため、例えば、ユーザがユーザ端末に入力した文章、音声等に基づいて、摂食保留食品を認識してもよいし、ユーザが他のシステムで入力した情報に基づいて、摂食保留食品を認識してもよい。
【0053】
対応関係認識部1bは、摂食保留食品の種類及び量と、その摂食保留食品1つあたりに含まれるアレルゲンの種類及び量との対応関係を認識する。
【0054】
提示システムSでは、対応関係認識部1bは、摂食保留食品に基づいて、その摂食保留食品に対応するアレルゲンの種類及び量(すなわち、対応する供試食品1つあたりに含まれる量)に関する情報を、供試食品情報格納部1cに格納されている情報から検索及び取得して認識する。このとき、その情報は、提示システムSの外部のシステムから認識してもよい。
【0055】
なお、本発明におけるアレルゲンの量は、アレルゲンの含有量を直接測定した量に限らず、アレルゲンを含む食材の量であってもよい。そのため、例えば、アレルゲンの量は、供試食品に含まれるアレルゲンの含有量を直接測定した量であってもよく、公知情報から得られた食材に含まれるアレルゲンの濃度に基づいて、計算によって求めた量であってもよく、あるいはその供試食品に含まれるアレルゲンを含有する食材(例えば卵、牛乳、蕎麦粉、ナッツ類などの食材)そのものの量であってもよい。すなわち、アレルゲンの含有量に相関する量を、本発明のアレルゲンの量として扱うことができる。
【0056】
供試食品情報格納部1cは、複数の供試食品の各々に対応するアレルゲン(すなわち、供試食品1つあたりに含まれるアレルゲン)の種類及び量に関する情報を格納している。
【0057】
既知アレルゲン認識部1dは、ユーザUの入力によって認識された対応関係に基づいて、子供が摂取した場合にアレルギー反応を生じさせる可能性の高いアレルゲンである既知アレルゲンを認識する。
【0058】
提示システムSでは、既知アレルゲン認識部1dは、
図3に示した画面においてチェックの入れられた供試食品に対応するアレルゲンを、既知アレルゲンとして認識する。
【0059】
なお、提示システムSでは、既知アレルゲン認識部1dは、ユーザUの入力によって認識された対応関係に基づいて、既知アレルゲンを認識している。これは、このように、既知のアレルゲンの入力にも、アレルギー反応を生じさせ得る量のアレルゲンを1種類のみ含む供試食品を採用すると、アレルギー反応を生じさせる可能性の高いアレルゲン(例えば、過去に摂取した際にアレルギー反応を生じさせてしまったアレルゲン等)の種類及び量を、システム側が正確に把握しやすいためである。
【0060】
しかし、本発明の既知アレルゲン認識部は、このような構成に限定されるものではなく、ユーザの入力に基づいて、既知アレルゲンを認識するものであればよい。そのため、例えば、既知アレルゲン認識部は、供試食品を介さずに、ユーザが別途把握している既知のアレルゲンを、ユーザ端末を介して入力させて直接認識してもよい。このとき認識する既知アレルゲンは、食品に含まれるものに限られず、花粉、化学物質等であってもよい。
【0061】
交差アレルゲン認識部1eは、既知アレルゲンの種類及び量に基づいて、既知アレルゲンに関する交差反応を生じさせる可能性の高いアレルゲンである交差アレルゲンの種類及び量を認識する。
【0062】
提示システムSでは、交差アレルゲン認識部1eは、既知アレルゲンの種類及び量に基づいて、その既知アレルゲンに対応する交差アレルゲンの種類及び量に関する情報を、交差反応情報格納部1fに格納されている情報から検索及び取得して認識する。このとき、その情報は、提示システムSの外部のシステムから認識してもよい。
【0063】
交差反応情報格納部1fは、複数の既知アレルゲンの各々に対応する交差アレルゲンに関する情報(例えば、種類、量、及び既知アレルゲンに対して交差反応を生じさせる可能性の度合い等)を格納している。
【0064】
食品認識部1gは、交差食品認識部1g1と、非交差食品認識部1g2とを有している。
【0065】
交差食品認識部1g1は、交差アレルゲンに基づいて、アレルギー反応を生じさせ得るアレルゲンを1種類のみ含む複数の供試食品のうちから、その交差アレルゲンを含む供試食品を、交差食品として認識する。
【0066】
これは、このように、交差食品(ひいては、アレルゲンの検討のために子供に摂食させる食品)として、アレルギー反応を生じさせ得る量のアレルゲンを1種類のみ含む供試食品を採用すると、ユーザは、供試食品の種類を見るだけで、どのアレルゲンについて検討すべきなのか(ひいては、子供にどのアレルゲンでアレルギー反応を生じさせてしまう可能性があるのか)を、直接的に理解することができるためである。
【0067】
しかし、本発明の交差食品認識部は、このような構成に限定されるものではなく、交差アレルゲンに基づいて、交差アレルゲンを含む食品である交差食品を認識するものであればよい。そのため、例えば、交差食品認識部は、供試食品以外の食品を、交差食品として認識してもよい。
【0068】
非交差食品認識部1g2は、交差アレルゲンに基づいて、アレルギー反応を生じさせ得るアレルゲンを1種類のみ含む複数の供試食品のうちから、その交差アレルゲンを含有していない供試食品を、非交差食品として認識する。
【0069】
なお、本発明の非交差食品認識部は、このような構成に限定されるものではなく、交差アレルゲンに基づいて、その交差アレルゲンの含有量の低い食品を、非交差食品として認識するものであればよい。そのため、供試食品以外の食品を、非交差食品として認識してもよいし、わずかに交差アレルゲンを含む食品を非交差食品として認識してもよい。
【0070】
供試食品提示部1h(交差食品提示部、非交差食品提示部))は、ユーザ端末2を介して、交差食品及び非交差食品として認識された供試食品を、それぞれが交差食品及び非交差食品としてユーザUが理解できるように提示する。
【0071】
提示システムSでは、
図4に示すように、供試食品提示部1hは、ユーザ端末2を介して、複数の供試食品からなるセット商品(例えば、ナッツ類のセット商品等)に含まれる各々の供試食品について、交差食品である場合には「!」を図式化したマークを付して表示する。
【0072】
提示システムSでは、摂食保留食品(ひいては、既知アレルゲン)として、ペカンナッツが選択されているので(
図3参照)、供試食品提示部1hは、ペカンナッツに関する交差反応を生じさせる可能性の高いくるみに関する供試食品には、「!」を図式化したマークを付して表示させる。
【0073】
また、供試食品提示部1hは、ユーザ端末2を介して、非交差食品に該当する供試食品をユーザUに提示する際に、その供試食品に関する交差反応を生じさせる可能性が低い非交差食品(すなわち、複数の非交差食品の組み合わせ)を、ユーザUに提示する。
【0074】
提示システムSでは、供試食品提示部1hは、ユーザ端末2を介して、非交差食品に該当する供試食品をユーザUに提示する際に、その供試食品に関する交差反応を生じさせる可能性が低い非交差食品である供試食品を含むセット商品を、次のアレルギーを検討するために推奨される商品として表示する。なお、そのセット商品に含まれる複数の供試食品の全てが非交差食品である必要はなく、例えば、前述のような形式で交差食品及び非交差食品が明示されているのであれば、商品セットに交差食品を含んでいてもよい。
【0075】
本実施形態では、非交差食品として、落花生、アーモンド、カシューナッツに関する供試食品が認識されているので、それらに関する交差反応を生じさせる可能性が低い複数の供試食品(トマト、じゃがいも、きゅうり、にんじんの供試食品)からなる商品セットである「初めてのお野菜セット」を、ユーザ端末Uに同時に表示させる。
【0076】
これは、このようにして提案された非交差食品同士は、互いに交差反応が生じてしまう可能性が低い。そのため、それらの非交差食品を用いれば、互いに交差反応を生じる関係に無い複数種類のアレルゲンについて、効率的に検討を行うことができるためである。
【0077】
なお、提示システムSでは、供試食品提示部1hは、交差食品及び非交差食品として認識された供試食品を、それぞれが交差食品及び非交差食品としてユーザUが理解できるように提示している。
【0078】
しかし、本発明の交差食品提示部は、このような構成に限定されるものではなく、交差食品をユーザに提示するものであればよい。また、本発明の非交差食品提示部は、このような構成に限定されるものではなく、非交差食品をユーザに提示するものであればよい。
【0079】
そのため、例えば、交差食品提示部及び非交差食品提示部は、ユーザが交差食品及び非交差食品を理解できる形式であれば、交差食品及び非交差食品の各々を別個に表示してもよい。また、後の処理で不要である場合には、交差食品提示部又は非交差食品提示部を省略し、交差食品又は非交差食品を提示しなくてもよい。
【0080】
レシピ認識部1iは、所定量の交差食品を用いたレシピ、及び非交差食品のみを用いた料理のレシピを認識する。
【0081】
提示システムSでは、レシピ認識部1iは、認識された交差食品に基づいて、レシピ情報格納部1jに格納されているレシピから、所定量の交差食品を用いたレシピの情報を検索及び取得して認識する。このとき、その情報は、提示システムSの外部のシステムから認識してもよい。
【0082】
ここで、所定量は、システム設計者が適宜設定する量である。例えば、ユーザの管理している子供の年齢、体格といった身体情報から、その量のアレルゲンを摂取した結果アレルギー反応が生じても、そのアレルギー反応が小さいと推定される量等である。
【0083】
また、レシピ認識部1iは、認識された非交差食品に基づいて、レシピ情報格納部1jに格納されているレシピから、非交差食品のみを用いたレシピの情報を検索及び取得して認識する。このとき、その情報は、提示システムSの外部のシステムから認識してもよい。
【0084】
提示システムSでは、レシピ認識部1iは、ペカンナッツの交差食品であるくるみに関する供試食品と、ペカンナッツの非交差食品である卵、にんじん等を用いたレシピを認識する(
図5参照)。
【0085】
ところで、提示システムSでは、レシピ認識部1iによって認識されるレシピは、調理済みの供試食品を用いたレシピとなっている。
【0086】
これは、同じアレルゲンを含む食材であっても、その食材の調理の仕方(例えば、加熱の度合い等)によっては、アレルギーを生じさせる可能性が変化してしまう場合があるためである。そこで、このように提供するレシピに用いる食材として、アレルギー反応を生じさせ得る量のアレルゲンを1種類のみ含む調理済みの供試食品を用いるようにすると、調理によるアレルゲンの変化の影響を抑制することができる。
【0087】
なお、本発明のレシピ認識部は、このような構成に限定されるものではなく、料理のレシピを認識するものであればよい。
【0088】
そのため、例えば、レシピ認識部は、他の処理で用いない場合には、非交差食品のみを用いた料理のレシピを認識しなくてもよい。また、例えば、レシピ認識部は、交差食品として前述の供試食品以外の食品を用いた料理のレシピを認識してもよい。また、例えば、レシピ認識部は、レシピ情報そのものを直接的に認識するものであってもよいし、レシピに関する情報(例えば、食材ごとに適した調理方法、調味料等)を取得し、その情報を大規模言語モデル等を用いて組み合わせて、間接的に認識するものであってもよい。
【0089】
また、提示システムSでは、レシピ認識部1iは、レシピとして、交差食品以外の食品として、摂食したことは無いが非交差食品として認識されている食品、又は既にアレルギーがないことが確認された食品を優先的に使用している。そのため、そのレシピに従って調理された料理は、交差食品そのもの以外によってアレルギー反応を生じさせてしまう可能性の低いものとなっている。
【0090】
レシピ情報格納部1jは、供試食品を用いた料理のレシピに関する情報を、その料理に含まれるアレルゲンの種類及び量、並びに交差アレルゲンの種類及び量ごとに分類して格納している。
【0091】
レシピ提示部1kは、認識したレシピを、ユーザ端末2を介して、ユーザUに提示する。
【0092】
提示システムSでは、
図4に示す画面に表示された「参考レシピを表示」というボタンがユーザUによってタッチされた際に、
図5に示すように、レシピ提示部1kは、ペカンナッツの交差食品であるくるみに関する供試食品、及びペカンナッツの非交差食品である卵、にんじん等を用いたレシピを記載した画面を、ユーザ端末2に表示させる。このとき、その料理に用いられる食材の各々には、
図3に示す画面と同様に、交差食品及び非交差食品を示す表示が付されて表示される。
【0093】
このように非交差食品を明示したレシピが提示されると、子供に交差食品を食べさせて未知のアレルゲンの検討を行おうとする際にその交差食品をどのように食べさせるのかを考えなければならないという、ユーザUが感じてしまう心理的な負担を、軽減することができる。
【0094】
また、提示システムSでは、ユーザUがユーザ端末2を介して画面を切り替えることによって、非交差食品のみを用いた料理のレシピも表示される。
【0095】
なお、本発明のレシピ提示部は、このような構成に限定されるものではなく、認識したレシピをユーザに提示するものであればよい。
【0096】
そのため、例えば、レシピ提示部は、複数のレシピを同時又は所定の順序で複数提示してもよいし、画像だけではなく、音声、画像及び動画のいずれか又はこれらの組み合わせによって、レシピをユーザに提示してもよい。また、レシピを提示するタイミングも、ユーザの要望等に応じて、適宜変更してよい。また、レシピ提示部は、所定量の交差食品を用いたレシピ、又は非交差食品のみを用いた料理のレシピを提示しなくてもよい。また、レシピ提示部は、レシピに対応する料理に用いられる食材の各々について、交差食品であるか、非交差食品であるかの表示を付さなくてもよい。
【0097】
提供食品認識部1lは、交差食品の提示後に、ユーザUの入力に応じて、複数の供試食品からユーザUに提供する供試食品である提供食品を認識する。
【0098】
提示システムSでは、
図6に示すように、提供食品認識部1lは、複数の供試食品の各々とともにユーザ端末2に表示された発注ボタン(
図6において「カートに入れる」という文字の記載されたボタン)をユーザUがタッチした際に、その発注ボタンが表示された画面に対応する供試食品を提供食品として認識する。なお、提供食品の認識は、他の方法によって行われてもよい。例えば、ユーザUがユーザ端末2に文章、音声等によって直接入力した供試食品を、提供食品として認識してもよい。
【0099】
提供手配部1mは、別途ユーザUの入力等から得た条件(宛先、配送日、個数等)に基づいて、提供食品をユーザUに提供するための手配に関する処理を実行する。
【0100】
[各処理部で実行される処理]
次に、
図2~
図7を参照して、提示システムSが、ユーザUに食品を提示する際に実行する処理(すなわち、食品提示方法)について説明する。
【0101】
この処理においては、まず、摂食保留食品認識部1aが、ユーザUの入力に基づいて、複数の供試食品のうち摂食させた結果子供にアレルギー反応を生じさせてしまう可能性があり、摂食を保留すべき供試食品である摂食保留食品の種類及び量を認識する(
図7/STEP01)。
【0102】
具体的には、
図3に示すように、摂食保留食品認識部1aは、ユーザ端末2に、提示システムSによって提供される複数の供試食品からなるセット商品(例えば、ナッツ類のセット商品、卵類のセット商品等)を構成する個々の供試食品の各々を、チェックボックスにチェックを入れて選択可能な形式で表示させ、チェックが入れられた供試食品を摂食保留食品として認識する。このとき、子供がアレルギー反応を生じるまでに摂食させた量(例えば、供試食品の個数等)についても、入力可能に表示させる(不図示)。
【0103】
次に、対応関係認識部1bが、摂食保留食品の種類及び量と、その摂食保留食品1つあたりに含まれるアレルゲンの種類及び量との対応関係を認識する(
図7/STEP02)。
【0104】
具体的には、対応関係認識部1bは、摂食保留食品に基づいて、その摂食保留食品に対応するアレルゲンの種類及び量に関する情報を、供試食品情報格納部1cに格納されている情報から検索及び取得して認識する。
【0105】
次に、既知アレルゲン認識部1dが、ユーザUの入力によって認識された対応関係に基づいて、子供が摂取した場合にアレルギー反応を生じさせる可能性の高いアレルゲンである既知アレルゲンを認識する(
図7/STEP03)。
【0106】
具体的には、既知アレルゲン認識部1dは、
図3に示した画面においてチェックの入れられた供試食品に対応するアレルゲンを、既知アレルゲンとして認識する。
【0107】
次に、交差アレルゲン認識部1eが、既知アレルゲンの種類及び量に基づいて、既知アレルゲンに関する交差反応を生じさせる可能性の高いアレルゲンである交差アレルゲンの種類及び量を認識する(
図7/STEP04)。
【0108】
具体的には、交差アレルゲン認識部1eは、既知アレルゲンの種類及び量に基づいて、その既知アレルゲンに対応する交差アレルゲンの種類及び量に関する情報を、交差反応情報格納部1fに格納されている情報から検索及び取得して認識する。
【0109】
次に、食品認識部1gが、交差アレルゲンに基づいて、アレルギー反応を生じさせ得るアレルゲンを1種類のみ含む複数の供試食品のうちから、その交差アレルゲンを含む供試食品を、交差食品として認識するとともに、その交差アレルゲンを含有していない供試食品を、非交差食品として認識する(
図7/STEP05)。
【0110】
次に、供試食品提示部1hが、ユーザ端末2を介して、交差食品及び非交差食品として認識された供試食品を、それぞれが交差食品及び非交差食品としてユーザUが理解できるように提示する(
図7/STEP06)。
【0111】
具体的には、
図4に示すように、供試食品提示部1hは、ユーザ端末2を介して、複数の供試食品からなるセット商品(例えば、ナッツ類のセット商品等)に含まれる各々の供試食品について、交差食品である場合には「!」を図式化したマークを付して表示する。
【0112】
次に、提示システムSが、ユーザUがレシピの提示を希望しているか否かを判断する(
図7/STEP07)。
【0113】
具体的には、提示システムSは、
図4に示す画面に表示された「参考レシピを表示」というボタンがユーザUによってタッチされた場合に、ユーザUがレシピの提示を希望していると判断する。
【0114】
レシピの提示を希望していると判断した場合(STEP07でYESの場合)、レシピ認識部1iが、所定量の交差食品を用いたレシピ、及び非交差食品のみを用いた料理のレシピを認識する(
図7/STEP08)。
【0115】
具他的には、レシピ認識部1iは、認識された交差食品に基づいて、レシピ情報格納部1jに格納されているレシピから、所定量の交差食品を用いたレシピの情報を検索及び取得して認識する。
【0116】
次に、レシピ提示部1kが認識したレシピを、ユーザ端末2を介して、ユーザUに提示する(
図7/STEP09)。
【0117】
具体的には、
図5に示すように、レシピ提示部1kは、ペカンナッツの交差食品であるくるみに関する供試食品、及びペカンナッツの非交差食品である卵、にんじん等を用いたレシピを記載した画面を、ユーザ端末2に表示させる。このとき、その料理に用いられる食材の各々には、
図3に示す画面と同様に、交差食品及び非交差食品を示す表示が付されて表示される。
【0118】
ユーザUが他の画面を表示するなどして、レシピの提示を希望していないと判断した場合(STEP07でNOの場合)、又は、レシピを提示した場合(STEP09の処理を行った場合)、提示システムSが、ユーザUが供試食品の提供を希望しているか否かを判断する(
図7/STEP10)。
【0119】
具体的には、
図6に示すように、提示システムSは、複数の供試食品の各々とともにユーザ端末2に表示された発注ボタンがユーザUによってタッチされた場合に、ユーザUが供試食品の提供を希望していると判断する。
【0120】
ユーザUが他の画面を表示するなどして、供試食品の提供を希望していないと判断した場合(STEP10でNOの場合)、提示システムSは今回の処理を終了する。
【0121】
一方、供試食品の提供を希望していると判断した場合(STEP10でYESの場合)、提供食品認識部1lが、ユーザUの入力に応じて、複数の供試食品からユーザUに提供する供試食品である提供食品を認識する。
【0122】
具体的には、提供食品認識部1lは、発注ボタンをユーザUがタッチした際に、その発注ボタンが表示された画面に対応する供試食品を提供食品として認識する(
図7/STEP11)。
【0123】
次に、提供手配部1mが、別途ユーザUの入力等から得た条件(宛先、配送日、個数等)に基づいて、提供食品をユーザUに提供するための手配に関する処理を実行して(
図7/STEP12)、今回の処理を終了する。
【0124】
以上説明したように、提示システムSを用いた食品提示方法では、アレルギー反応を生じさせてしまう既知のアレルゲンがあった場合には、その既知のアレルゲンに関する交差反応を生じさせる可能性の高いアレルゲンを含む食品を交差食品として認識し、その交差食品をユーザUに提示する。また、この方法では、その既知のアレルゲンに関する交差反応を生じさせる可能性の高いアレルゲンを含有量の低い食品を非交差食品として認識し、その非交差食品をユーザUに提示する。
【0125】
ここで、アレルゲンは多数存在し、食品等に表示が推奨されるものだけでも20種類以上のアレルゲンが存在している。そのため、全てのアレルゲンについて検討を行うことは、食品を食べる子供だけでなく、食べさせるユーザUにも負担が大きい場合が多い。
【0126】
しかし、この方法では、ユーザUは、目的に応じた形でアレルゲンの検討を行うことができる。例えば、ユーザUは、交差食品に含まれるもののまだ食べさせたことのない食品を摂食させることによって、摂取可能なアレルゲンの検討を行ったりすることができる。また、ユーザUは、非交差食品を子供に摂食させることによって、未知のアレルゲンの検討を行ったりすることができる。
【0127】
したがって、提示システムSを用いた食品提示方法によれば、ユーザは、アレルゲンの検討のために子供に摂食させる食品を、直接的に、且つ、目的に応じた形で、容易に把握することができる。
【0128】
[その他の実施形態]
以上、図示の実施形態について説明したが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。
【0129】
例えば、上記実施形態では、提示システムSは、交差食品及び非交差食品の提示だけでなく、交差食品及び非交差食品に関する料理のレシピの提示及び供試食品の提供の手配も行っている。しかし、本発明は、このような構成に限定されるものではなく、交差食品及び非交差食品を提示するものであればよい。そのため、例えば、レシピの提示及び供試食品の提供の手配に関する処理は省略してもよい。
【0130】
また、例えば、上記実施形態では、提供システムSが1つのコンピュータシステムである場合について説明した。しかし、本発明は、この他に、前述の食品提示方法を任意の1つ又は複数のコンピュータによって実行させるための食品提示プログラム、及びそのプログラムを記録し、且つ、そのプログラムを、ユーザ等が利用するコンピュータが読み取り可能な記録媒体も含む。
【符号の説明】
【0131】
1…サーバ、1a…摂食保留食品認識部、1b…対応関係認識部、1c…供試食品情報格納部、1d…既知アレルゲン認識部、1e…交差アレルゲン認識部、1f…交差反応情報格納部、1g…食品認識部、1g1…交差食品認識部、1g2…非交差食品認識部、1h…供試食品提示部(交差食品提示部、非交差食品提示部)、1i…レシピ認識部、1j…レシピ情報格納部、1k…レシピ提示部、1l…提供食品認識部、1m…提供手配部、2…ユーザ端末、2a…入力部、2b…出力部、S…提示システム(食品提示システム)、U…ユーザ。
【要約】
【課題】アレルゲンの検討のために子供に摂食させる食品を、その子供の食事を管理しているユーザが、容易に把握することができる食品提示方法を提供する。
【解決手段】提示システムSは、子供が摂取した場合にアレルギー反応を生じさせる可能性の高いアレルゲンである既知アレルゲンを認識する既知アレルゲン認識部1dと、既知アレルゲンに基づいて、既知アレルゲンに関する交差反応を生じさせる可能性の高いアレルゲンである交差アレルゲンを認識する交差アレルゲン認識部1eと、交差アレルゲンに基づいて、交差アレルゲンを含む食品である交差食品を認識する食品認識部1gと、交差食品をユーザに提示する供試食品提示部1hとを備える。
【選択図】
図2