(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】発光素子
(51)【国際特許分類】
H01L 33/38 20100101AFI20241021BHJP
【FI】
H01L33/38
(21)【出願番号】P 2022105641
(22)【出願日】2022-06-30
【審査請求日】2023-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】村本 衛司
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 幸祐
【審査官】佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-219652(JP,A)
【文献】国際公開第2011/071100(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0031339(KR,A)
【文献】特開2014-207327(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
n側層と、p側層と、前記n側層と前記p側層との間に位置する活性層とを有する半導体構造体であって、平面視において前記n側層は前記活性層及び前記p側層から露出する複数の第1領域を有する、前記半導体構造体と、
平面視において前記半導体構造体の外側に配置された第1p側電極と、
前記p側層における前記活性層と反対側の面側に配置された第2p側電極と、
前記第1p側電極と接続する第1p側接続部と、前記第2p側電極と接続する第2p側接続部とを有するp側配線層と、
前記n側層の前記複数の第1領域に接続する複数の第1n側接続部を有するn側配線層と、
を備え、
平面視において、前記第1p側電極と、前記第2p側接続部との間の最短距離は、前記第1p側電極と、前記複数の第1n側接続部のうち前記第1p側電極に最も近い第1n側接続部との間の最短距離よりも大きく、
平面視において、前記第2p側電極は、前記第1p側電極と、前記複数の第1n側接続部のうち前記第1p側電極に最も近い第1n側接続部との間の領域に少なくとも配置され、
平面視において、複数の前記第2p側接続部が互いに離れて位置し、
平面視において、前記複数の第2p側接続部のうち前記第1p側電極との間の最短距離が最も小さい第3距離に位置する第2p側接続部の面積は、前記複数の第2p側接続部のうち前記第1p側電極との間の最短距離が前記第3距離よりも大きい第4距離に位置する第2p側接続部の面積よりも小さい発光素子。
【請求項2】
n側層と、p側層と、前記n側層と前記p側層との間に位置する活性層とを有する半導体構造体であって、平面視において前記n側層は前記活性層及び前記p側層から露出する複数の第1領域を有する、前記半導体構造体と、
平面視において前記半導体構造体の外側に配置された第1p側電極と、
前記p側層における前記活性層と反対側の面側に配置された第2p側電極と、
前記第1p側電極と接続する第1p側接続部と、前記第2p側電極と接続する第2p側接続部とを有するp側配線層と、
前記n側層の前記複数の第1領域に接続する複数の第1n側接続部を有するn側配線層と、
を備え、
平面視において、前記第1p側電極と、前記第2p側接続部との間の最短距離は、前記第1p側電極と、前記複数の第1n側接続部のうち前記第1p側電極に最も近い第1n側接続部との間の最短距離よりも大きく、
平面視において、前記第2p側電極は、前記第1p側電極と、前記複数の第1n側接続部のうち前記第1p側電極に最も近い第1n側接続部との間の領域に少なくとも配置され、
前記第2p側接続部が、平面視において前記半導体構造体の中
心に少なくとも位置する発光素子。
【請求項3】
n側層と、p側層と、前記n側層と前記p側層との間に位置する活性層とを有する半導体構造体であって、平面視において前記n側層は前記活性層及び前記p側層から露出する複数の第1領域を有する、前記半導体構造体と、
平面視において前記半導体構造体の外側に配置された第1p側電極と、
前記p側層における前記活性層と反対側の面側に配置された第2p側電極と、
前記第1p側電極と接続する第1p側接続部と、前記第2p側電極と接続する第2p側接続部とを有するp側配線層と、
前記n側層の前記複数の第1領域に接続する複数の第1n側接続部を有するn側配線層と、
平面視において前記半導体構造体の外側に配置され、前記n側配線層と接続する第1n側電極と、
を備え、
平面視において、前記第1p側電極と、前記第2p側接続部との間の最短距離は、前記第1p側電極と、前記複数の第1n側接続部のうち前記第1p側電極に最も近い第1n側接続部との間の最短距離よりも大きく、
平面視において、前記第2p側電極は、前記第1p側電極と、前記複数の第1n側接続部のうち前記第1p側電極に最も近い第1n側接続部との間の領域に少なくとも配置され、
平面視において、複数の前記第2p側接続部が互いに離れて位置し、
平面視において、前記複数の第2p側接続部のうち前記第1p側電極に最も近い第2p側接続部と、前記第1p側電極との距離は、前記第1p側電極に最も近い前記第2p側接続部と、前記第1n側電極との距離よりも短い発光素子。
【請求項4】
平面視において、複数の前記第2p側接続部が互いに離れて位置する請求項2に記載の発光素子。
【請求項5】
平面視において、隣り合う前記複数の第1n側接続部の間に、前記第2p側接続部が配置される請求項1、3、または4に記載の発光素子。
【請求項6】
平面視における前記第1p側電極と前記第2p側接続部との間の最短距離が、100μm以上500μm以下である請求項1~4のいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項7】
前記第2p側接続部が、平面視において前記半導体構造体の中
心に少なくとも位置する請求項1または3に記載の発光素子。
【請求項8】
平面視における前記第2p側接続部の面積は、平面視における前記p側層の面積の10%以上90%以下である請求項1~4のいずれか1つに記載の発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、半導体構造物と、平面視において半導体構造物の外側に配置された電極パッドと、半導体構造物の第2導電型(p型)半導体層における活性層と反対側の面に配置された第2電極と、第2電極と電極パッドとを接続する第2導電層とを有する発光素子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、高い信頼性を有する発光素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、発光素子は、n側層と、p側層と、前記n側層と前記p側層との間に位置する活性層とを有する半導体構造体であって、平面視において前記n側層は前記活性層及び前記p側層から露出する複数の第1領域を有する、前記半導体構造体と、平面視において前記半導体構造体の外側に配置された第1p側電極と、前記p側層における前記活性層と反対側の面側に配置された第2p側電極と、前記第1p側電極と接続する第1p側接続部と、前記第2p側電極と接続する第2p側接続部とを有するp側配線層と、前記n側層の前記複数の第1領域に接続する複数の第1n側接続部を有するn側配線層と、を備え、平面視において、前記第1p側電極と、前記第2p側接続部との間の最短距離は、前記第1p側電極と、前記複数の第1n側接続部のうち前記第1p側電極に最も近い第1n側接続部との間の最短距離よりも大きく、平面視において、前記第2p側電極は、前記第1p側電極と、前記複数の第1n側接続部のうち前記第1p側電極に最も近い第1n側接続部との間の領域に少なくとも配置される。
本発明の一態様によれば、発光素子は、n側層と、p側層と、前記n側層と前記p側層との間に位置する活性層とを有する半導体構造体であって、平面視において前記n側層は前記活性層及び前記p側層から露出する複数の第1領域を有する、前記半導体構造体と、平面視において前記半導体構造体の外側に配置された第1p側電極と、前記p側層における前記活性層と反対側の面側に配置された第2p側電極と、前記第1p側電極と接続する第1p側接続部と、前記第2p側電極と接続する第2p側接続部とを有するp側配線層と、前記n側層の前記複数の第1領域に接続する複数の第1n側接続部を有するn側配線層と、を備え、平面視において、前記p側配線層は、前記複数の第1領域と重なる複数の第1開口を有し、平面視において、前記複数の第1開口のうち前記第1p側電極との間の最短距離が最も小さい第1距離に位置する第1開口の面積は、前記複数の第1開口のうち前記第1p側電極との間の最短距離が前記第1距離よりも大きい第2距離に位置する第1開口の面積よりも大きい。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、高い信頼性を有する発光素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態の発光素子の模式平面図である。
【
図2】
図1のII-II線における模式断面図である。
【
図3】第2実施形態の発光素子の模式平面図である。
【
図4】第3実施形態の発光素子の模式平面図である。
【
図5】第4実施形態の発光素子の模式平面図である。
【
図6】第5実施形態の発光素子の模式平面図である。
【
図7】第6実施形態の発光素子の模式平面図である。
【
図8】第7実施形態の発光素子の模式平面図である。
【
図9】第8実施形態の発光素子の模式平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照し、実施形態の発光素子について説明する。実施形態に記載されている構成部の寸法、材料、形状、相対的配置などは、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさ、位置関係などは、説明を明確にするため誇張していることがある。また、以下の説明において、同一の名称、符号については、同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。また、断面図として、切断面のみを示す端面図を示す場合がある。
【0009】
以下の説明において、特定の方向又は位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、及びそれらの用語を含む別の用語)を用いる場合がある。しかしながら、それらの用語は、参照した図面における相対的な方向又は位置を分かり易さのために用いているに過ぎない。参照した図面における「上」、「下」等の用語による相対的な方向又は位置の関係が同一であれば、本開示以外の図面、実際の製品等において、参照した図面と同一の配置でなくてもよい。本明細書において「上(又は下)」と表現する位置関係は、例えば、2つの部材があると仮定した場合に、2つの部材が接している場合と、2つの部材が接しておらず一方の部材が他方の部材の上方(又は下方)に位置している場合を含む。また、本明細書において「平行」とは、2つの直線、辺、面等が延長しても交わらない場合だけでなく、2つの直線、辺、面等がなす角度が10°以内の範囲で交わる場合も含む。
【0010】
[第1実施形態]
<半導体構造体>
図1及び
図2に示すように、第1実施形態の発光素子1は、半導体構造体10を備える。半導体構造体10は、窒化物半導体からなる。本明細書において「窒化物半導体」とは、例えば、In
xAl
yGa
1-x-yN(0≦x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)なる化学式において組成比x及びyをそれぞれの範囲内で変化させた全ての組成の半導体を含むものとする。また、上記化学式において、N(窒素)以外のV族元素もさらに含むもの、導電型などの各種の物性を制御するために添加される各種の元素をさらに含むものも「窒化物半導体」に含まれるものとする。
【0011】
図2に示すように、半導体構造体10は、n側層11と、p側層13と、活性層12とを有する。n側層11からp側層13に向かう方向を第1方向d1とする。活性層12は、第1方向d1において、n側層11とp側層13との間に位置する。
【0012】
活性層12は、光を発する発光層であり、例えば複数の障壁層と、複数の井戸層を含むMQW(Multiple Quantum well)構造を有する。活性層12は、例えば、ピーク波長が210nm以上580nm以下の光を発する。n側層11は、n型不純物を含む半導体層を有する。p側層13は、p型不純物を含む半導体層を有する。
【0013】
図1に示すように、半導体構造体10は、第1外縁10A、第2外縁10B、第3外縁10C、及び第4外縁10Dを有する。第1外縁10A、第2外縁10B、第3外縁10C、及び第4外縁10Dは、平面視において、直線状である。第1外縁10A、第2外縁10B、第3外縁10C、及び第4外縁10Dの平面視における長さは、例えば、300μm以上2000μm以下である。平面視において、第1外縁10Aと第2外縁10Bとは互いに平行であり、第3外縁10Cと第4外縁10Dとは互いに平行である。平面視において、第1外縁10A及び第2外縁10Bは、第3外縁10C及び第4外縁10Dに対して交差し、例えば直交する。
【0014】
半導体構造体10は、平面視において、第1外縁10A及び第4外縁10Dに接続する第5外縁10Eと、第2外縁10B及び第3外縁10Cに接続する第6外縁10Fとをさらに有する。第5外縁10E及び第6外縁10Fは、例えば、平面視において半導体構造体10の中心に向かって凹んだ曲線状である。
【0015】
また、半導体構造体10は、第1面10aを有する。第1面10aは、n側層11の面である。活性層12からの光は、主に第1面10aから発光素子1の外部に取り出される。n側層11は、複数の第1領域11aを有する。複数の第1領域11aは、第1方向d1において第1面10aの反対側に位置する。複数の第1領域11aは、活性層12及びp側層13から露出する。
【0016】
n側層11は、第1方向d1において第1面10aの反対側に位置し、活性層12及びp側層13から露出する第2領域11bをさらに有する。平面視において、第2領域11bは、n側層11の外周部に位置し、活性層12、p側層13、及び第1領域11aが配置された領域を囲んでいる。
【0017】
<第1p側電極>
図1に示すように、発光素子1は、平面視において半導体構造体10の外側に配置された第1p側電極21をさらに備える。例えば、第1p側電極21は、平面視において半導体構造体10の第5外縁10Eに近接する位置に配置される。
【0018】
第1p側電極21は、例えば、チタン(Ti)、白金(Pt)、及び金(Au)からなる群から選択される少なくとも1つの金属を含む。第1p側電極21の厚みは、例えば、0.1μm以上1.2μm以下とすることができる。
【0019】
<第2p側電極>
発光素子1は、第2p側電極22をさらに備える。
図2に示すように、第2p側電極22は、第1方向d1において、p側層13における活性層12と反対側の面13a側に配置される。例えば、第2p側電極22は、p側層13の面13aに直接接し、p側層13と電気的に接続されている。
【0020】
第2p側電極22は、活性層12が発する光に対して高い反射率を有することが好ましい。第2p側電極22が、活性層12が発する光に対して高い反射率を有するとは、第2p側電極22が活性層12からの光の波長に対して、70%以上の反射率、好ましくは80%以上の反射率を有していることを意味する。第2p側電極22は、例えば、銀(Ag)を含む金属層である。活性層12から第2p側電極22に向かって出射した光を、第2p側電極22で第1面10a側に向かって反射させることで、第1面10aからの光取り出し効率を向上できる。第2p側電極22の厚みは、例えば、0.1μm以上3μm以下とすることができる。
【0021】
<p側配線層>
発光素子1は、p側配線層40をさらに備える。
図2に示すように、第1方向d1において、第2p側電極22は、p側層13とp側配線層40との間に位置する。
【0022】
p側配線層40は、第1p側電極21と接続する第1p側接続部41と、第2p側電極22と接続する第2p側接続部42とを有する。p側層13は、第2p側電極22及びp側配線層40を介して、第1p側電極21と電気的に接続される。p側配線層40は、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、Ti、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、Ptの少なくともいずれかを含む金属層である。p側配線層40の厚みは、例えば、0.1μm以上3μm以下とすることができる。
【0023】
<n側配線層>
発光素子1は、n側配線層50をさらに備える。n側配線層50は、n側層11の複数の第1領域11aに接続する複数の第1n側接続部51を有する。n側層11は、第1領域11aにおいて、n側配線層50と電気的に接続される。n側配線層50は、例えば、Ti、Al、ケイ素(Si)、Cuの少なくともいずれかを含む金属層である。n側配線層50の材料として、例えば、p側配線層40と同じ材料を用いることもできる。n側配線層50の厚みは、例えば、0.1μm以上3μm以下とすることができる。
【0024】
図1において、第1領域11aを破線の円で表し、n側配線層50の第1n側接続部51を、第1領域11aの内側に位置する破線の円で表す。また、
図1において、p側配線層40と第2p側電極22とが接続される第2p側接続部42を、網掛けがなされた領域として表す。なお、第1領域11a、第1n側接続部51、及び第2p側接続部42の平面視における形状は、円に限らない。
【0025】
発光素子1に電流を供給して発光させる駆動状態において、第1p側電極21とp側配線層40とが接続する第1p側接続部41は、電流が集中しやすく発熱しやすい。また、発光素子1の駆動状態において、第2p側電極22を介してp側配線層40とp側層13とが接続する第2p側接続部42も、電流が集中しやすく発熱しやすい。したがって、発熱しやすい第1p側接続部41と、発熱しやすい第2p側接続部42とが近くなると、第1p側接続部41の近くで第2p側接続部42と接続している部分の周辺に位置する配線や半導体構造体10が熱によるダメージを受けやすくなる。
【0026】
本実施形態によれば、
図1に示すように、平面視において、第1p側電極21と第2p側接続部42との間の最短距離は、第1p側電極21と、複数の第1n側接続部51のうち第1p側電極21に最も近い第1n側接続部51aとの間の最短距離よりも大きい。
【0027】
これにより、半導体構造体10における第1p側電極21と近い部分における電流の集中を低減でき、発光素子1の信頼性を高くすることができる。半導体構造体10のうち第1p側電極21と近い部分における電流の集中を低減するために、平面視における第1p側電極21と第2p側接続部42との間の最短距離は、例えば、100μm以上500μm以下が好ましい。また、本実施形態において、半導体構造体10において発熱しやすい領域である、第1p側接続部41と、第2p側接続部42との間の距離を大きくすることができる。その結果、半導体構造体10への熱によるダメージを低減し、発光素子1の信頼性を高くすることができる。なお、紫外域のピーク波長の光を発する活性層12を有する半導体構造体10は、紫外域よりも長いピーク波長の光を発する活性層12を有する半導体構造体よりも発熱しやすい。これは、紫外域のピーク波長が光を発する活性層12を有する半導体構造体10には、Gaに対するAl含有比率が高い半導体層を用いる場合が多く、内部量子効率が低くなる傾向があるためである。しかしながら、実施形態においては、活性層12が、紫外域のピーク波長の光を発する場合であっても発光素子1の信頼性を高くすることができる。紫外域の光とは、例えば、ピーク波長が210nm以上410nm以下の光を指す。
【0028】
第2p側電極22を通じて、p側層13及び活性層12に電流が供給される。また、前述したように、第2p側電極22は反射層としても機能する。したがって、電流密度分布の偏りを低減するため、及び第1面10a側への反射面積を大きくするために、第2p側電極22は、p側層13の面13aの広い領域にわたって配置されることが好ましい。例えば、第2p側電極22のp側層13の面13aに対する被覆率は、70%以上であることが好ましく、80%以上であることが更に好ましい。
図1において、第2p側電極22の外縁を破線で表す。
図1に示すように、平面視において、第2p側電極22は、第1p側電極21と、複数の第1n側接続部51のうち第1p側電極21に最も近い第1n側接続部51aとの間の領域に少なくとも配置されることが好ましい。
【0029】
図1に示す例では、平面視において、複数の第2p側接続部42が互いに離れて位置する。これにより、電流の集中を低減することができる。平面視において、複数の第2p側接続部42のうち第1p側電極21に最も近い第2p側接続部42aと第1p側電極21との間の最短距離は、複数の第1n側接続部51のうち第1p側電極21に最も近い第1n側接続部51aとの間の最短距離よりも大きい。
【0030】
また、電流の集中を低減するために、平面視において、隣り合う複数の第1n側接続部51の間に、第2p側接続部42が配置されることが好ましい。例えば、平面視において、第1p側電極21から、後述する第1n側電極31に向かう方向において、第1n側接続部51aと第2p側接続部42とが交互に配置されている。
【0031】
第2p側接続部42は、平面視において半導体構造体10の中心を含む領域に少なくとも位置する。これにより、平面視において発光素子1の中心を含む領域を相対的に強く発光させることができ、発光素子1を用いた発光装置の光学設計が容易になる。
【0032】
平面視における第2p側接続部42の面積は、平面視におけるp側層13の面積の10%以上90%以下が好ましく、30%以上70%以下がさらに好ましい。平面視における第2p側接続部42の面積をこのような値にすることで、第1p側接続部41と、第2p側接続部42との距離を適度に空け、第1p側電極21と近い部分における電流の集中を低減して信頼性を高めつつ、第2p側電極22とp側配線層40との接続面積が確保されるため順方向電圧を低減できる。複数の第2p側接続部42が互いに離れて位置する場合には、第2p側接続部42の面積とは、複数の第2p側接続部42の合計面積である。p側層13の面積は、第2p側電極22が配置される面13aの面積である。
【0033】
発光素子1は、以下に説明する構成をさらに備えることができる。
【0034】
<第1絶縁膜>
図2に示すように、第1絶縁膜71が、p側層13の面13a及び第2p側電極22を覆っている。第1絶縁膜71の厚みは、例えば、0.01μm以上1.5μm以下とすることができる。
【0035】
<第2絶縁膜>
第2絶縁膜72は、第1方向d1において、半導体構造体10とp側配線層40との間に位置する。第2絶縁膜72は、半導体構造体10の第1面10aの第1方向d1における反対側に位置する面を覆っている。また、第2絶縁膜72は、第1絶縁膜71を覆っている。第2絶縁膜72の厚みは、例えば、0.1μm以上2μm以下とすることができる。
【0036】
p側配線層40の第2p側接続部42は、第1絶縁膜71に配置された開口及び第2絶縁膜72に配置された開口において、第2p側電極22に接続している。
【0037】
図1に示すように、平面視において、第2絶縁膜72は、半導体構造体10の第5外縁10Eの外側に位置する第1部分72aと、半導体構造体10の第6外縁10Fの外側に位置する第2部分72bとを有する。
図2に示すように、第1p側電極21は、第2絶縁膜72の第1部分72aに配置された開口において、p側配線層40の第1p側接続部41と接続される。
【0038】
<第3絶縁膜>
第3絶縁膜73は、第1方向d1において、p側配線層40とn側配線層50との間に位置する。第3絶縁膜73の厚みは、例えば、0.1μm以上2μm以下とすることができる。
【0039】
第1絶縁膜71、第2絶縁膜72、及び第3絶縁膜73は、例えば、シリコン酸化膜またはシリコン窒化膜である。第1絶縁膜71、第2絶縁膜72、及び第3絶縁膜73のそれぞれは、単層構造としてもよいし、複数の絶縁層が積層された積層構造としてもよい。
【0040】
n側配線層50の第1n側接続部51は、平面視において、第3絶縁膜73、p側配線層40、第2絶縁膜72、第1絶縁膜71、及び第2p側電極22のそれぞれに配置された開口においてn側層11の第1領域11aと接続している。
【0041】
<第1n側電極>
第1n側電極31は、平面視において半導体構造体10の外側に配置され、n側配線層50と接続する。
図1に示すように、第1n側電極31は、平面視において半導体構造体10の第6外縁10Fに近接する位置に配置される。第1n側電極31の材料として、例えば、第1p側電極21と同じ材料を用いることができる。第1p側電極21は、平面視において四角形状の発光素子1の1つの角の近くに位置する。第1n側電極31は、第1p側電極21が近くに位置する角と向かい合う角の近くに位置する。平面視において、第1p側電極21と、第1n側電極31とは、発光素子1の対角線上に配置されている。第1n側電極31の厚みは、例えば、0.1μm以上1.2μm以下とすることができる。
【0042】
図2に示すように、n側配線層50は、第1n側電極31と接続する第2n側接続部52を有する。例えば、第2n側接続部52は、導電層60を介して、第1n側電極31と接続している。導電層60は、第1n側電極31と第2n側接続部52との間に位置する。導電層60の材料として、p側配線層40と同じ材料を用いることができる。導電層60の厚みは、例えば、例えば、0.1μm以上3μm以下とすることができる。
【0043】
第1n側電極31は、第2絶縁膜72の第2部分72bに配置された開口において、導電層60と接続される。また、n側配線層50の第2n側接続部52は、第1n側電極31と直接接続してもよい。
【0044】
<基板>
基板100は、第1方向d1において、半導体構造体10の第1面10aの反対側に位置し、発光素子1の前述した構成を支持する。基板100は、例えば、シリコン基板である。
【0045】
<接合層>
基板100とn側配線層50とが、例えば接合層110によって接合される。接合層110は、例えば、Ti、ニッケル(Ni)、錫(Sn)、Al、Cu、Pt、Au等を含む金属層である。接合層110の厚みは、例えば、2μm以上30μm以下とすることができる。
【0046】
発光素子1は、第1p側電極21及び第1n側電極31を介して、電源回路と電気的に接続される。また、基板100及び接合層110が導電性を有する場合、第1n側電極31を配置せずに、n側配線層50を接合層110及び基板100を介して電源回路と電気的に接続してもよい。
【0047】
その他、発光素子1は、半導体構造体10の第1面10a及び側面を覆う保護膜90を備えることができる。また、半導体構造体10の第1面10aを粗面化して複数の凸部を有する面とすることで、第1面10aからの光取り出し効率を向上させることができる。
【0048】
以下、
図1と同様の平面図を参照して、他の実施形態について説明する。他の実施形態の発光素子も、
図2に示す第1実施形態の発光素子1の断面構造と同様の断面構造を有する。なお、他の実施形態における記載及び図面と矛盾がない限り、第1実施形態で説明した事項は、他の実施形態にも適用される。また、他の実施形態を示す
図3~
図9においても、
図1と同様に、p側配線層40と第2p側電極22とが接続される第2p側接続部42を、網掛けがなされた領域として表す。
【0049】
[第2実施形態]
第2実施形態の発光素子2によれば、
図3に示すように、平面視において、複数の第2p側接続部42のうち第1p側電極21との間の最短距離が最も小さい第3距離D3に位置する第2p側接続部42aの面積は、複数の第2p側接続部42のうち第1p側電極21との間の最短距離が第3距離D3よりも大きい第4距離に位置する第2p側接続部42の面積よりも小さい。
【0050】
これにより、第1p側電極21と近い部分における電流の集中を低減して信頼性を高めつつ、第2p側接続部42とp側層13との十分な接続面積を確保して順方向電圧を低減できる。
【0051】
図3に示す例では、平面視において、第1n側電極31よりも第1p側電極21に近い第2p側接続部42の面積は、第1p側電極21よりも第1n側電極31に近い第2p側接続部42の面積よりも小さい。平面視において、第1p側電極21と第1n側電極31とを最短距離で結ぶ第1軸上に並ぶ複数の第2p側接続部42の面積は、第1p側電極21に近い第2p側接続部42ほど面積が小さくなっている。
【0052】
平面視において、複数の第2p側接続部42のうち、第1p側電極21との間の最短距離が最も大きい距離であって、且つ第1n側電極31との間の最短距離が最も小さい距離に、第2p側接続部42bが位置する。平面視において、第2p側接続部42bの面積は、複数の第2p側接続部42のうち最も大きい。平面視において、第2p側接続部42bの面積を、複数の第2p側接続部42のうち最も大きくすることで、第1p側電極21から離れた領域に電流を供給しやすい。
【0053】
また、平面視において、第1p側電極21との間の最短距離が第3距離D3よりも大きい距離であって、且つ第1p側電極21と第2p側接続部42bとの間の最短距離よりも小さい距離に、複数の第2p側接続部42c、複数の第2p側接続部42d、及び複数の第2p側接続部42eが配置されている。
【0054】
平面視において、第1p側電極21と第2p側接続部42cとの間の最短距離は、第3距離D3よりも大きく、且つ第1p側電極21と第2p側接続部42bとの間の最短距離よりも小さい。平面視において、第2p側接続部42cの面積は、第2p側接続部42aの面積よりも大きく、第2p側接続部42bの面積よりも小さい。
【0055】
平面視において、第1p側電極21と第2p側接続部42dとの間の最短距離は、第1p側電極21と第2p側接続部42cとの間の最短距離よりも大きく、且つ第1p側電極21と第2p側接続部42bとの間の最短距離よりも小さい。平面視において、第2p側接続部42cの面積は、第2p側接続部42cの面積よりも大きく、第2p側接続部42bの面積よりも小さい。
【0056】
平面視において、第1p側電極21と第2p側接続部42eとの間の最短距離は、第1p側電極21と第2p側接続部42dとの間の最短距離よりも大きく、且つ第1p側電極21と第2p側接続部42bとの間の最短距離よりも小さい。平面視において、第2p側接続部42eの面積は、第2p側接続部42dの面積よりも大きく、第2p側接続部42bの面積よりも小さい。第2p側接続部42の面積をこのようにすることで、第1p側電極21から離れるほど、第2p側接続部42の面積が大きくなるため、第1p側電極21の近傍の半導体構造体10において電流の集中を低減できる。
【0057】
次に、第3~第7実施形態について、それぞれ、
図4~
図8を参照して説明する。
【0058】
第3~第7実施形態のp側配線層40は、平面視において、複数の第1開口43を有する。平面視において、第1開口43は、n側層11の第1領域11a、及び第1領域11aに接続するn側配線層50の第1n側接続部51に重なる。また、第1開口43は、第3絶縁膜73の開口、第2絶縁膜72の開口、第1絶縁膜71の開口、及び第2p側電極22の開口に重なる。平面視において、p側配線層40の第2p側接続部42は、複数の第1開口43を囲んでいる。
【0059】
[第3実施形態]
図4に示すように、第3実施形態の発光素子3では、平面視において、第2p側接続部42は、半導体構造体10の中心を含む領域に位置する。平面視において、第1p側電極21と第2p側接続部42との間の最短距離と、第1n側電極31と第2p側接続部42との間の最短距離とは同じである。ここで、第1p側電極21と第2p側接続部42との間の最短距離と、第1n側電極31と第2p側接続部42との間の最短距離とは同じであるとは、第1p側電極21と第2p側接続部42との間の最短距離と、第1n側電極31と第2p側接続部42との間の最短距離との差が、5μm以下であることを意味する。これにより、発熱しやすい領域である、第1p側接続部41と、第2p側接続部42との間の距離を大きくしつつ、平面視において発光素子3の中心を含む領域を相対的に強く発光させることができ、発光素子3を用いた発光装置の光学設計が容易になる。
【0060】
[第4実施形態]
図5に示すように、第4実施形態の発光素子4では、平面視において、第1p側電極21と第2p側接続部42との間の最短距離は、第1n側電極31と第2p側接続部42との間の最短距離よりも大きい。また、本実施形態において、平面視における第1p側電極21と第2p側接続部42との間の最短距離は、第3実施形態よりも大きい。これにより、第3実施形態と比較して、半導体構造体10における第1p側電極21と近い部分における電流の集中を低減でき、発光素子4の信頼性を高くすることができる。また、第3実施形態と比較して、発熱しやすい領域である、第1p側接続部41と、第2p側接続部42との間の距離を大きくすることができ、発光素子4の信頼性を高くすることができる。
【0061】
[第5実施形態]
図6に示すように、第5実施形態の発光素子5では、平面視において、第1p側電極21と第2p側接続部42との間の最短距離は、第1n側電極31と第2p側接続部42との間の最短距離よりも大きい。また、平面視における第2p側接続部42の面積が、第4実施形態よりも大きい。本実施形態において、平面視における第2p側接続部42の面積は、平面視におけるp側層13の面積の20%以上40%以下である。これにより、第3実施形態と比較して、半導体構造体10のうち第1p側電極21と近い部分における電流の集中を低減でき、発光素子5の信頼性を高くすることができる。また、第3実施形態と比較して、発熱しやすい領域である、第1p側接続部41と、第2p側接続部42との間の距離を大きくすることができ、発光素子5の信頼性を高くすることができる。また、第4実施形態と比較して、第2p側電極22とp側配線層40との接続面積が大きいため順方向電圧を低減できる。
【0062】
[第6実施形態]
図7に示すように、第6実施形態の発光素子6では、平面視において、第1p側電極21と第2p側接続部42との間の最短距離は、第1n側電極31と第2p側接続部42との間の最短距離よりも大きい。また、平面視において、第2p側接続部42は、半導体構造体10の中心を含む領域に位置する。また、平面視における第2p側接続部42の面積が、第5実施形態よりも大きい。本実施形態において、平面視における第2p側接続部42の面積は、平面視におけるp側層13の面積の50%以上70%以下である。これにより、第3実施形態と比較して、半導体構造体10のうち第1p側電極21と近い部分における電流の集中を低減でき、発光素子6の信頼性を高くすることができる。また、第5実施形態と比較して、第2p側電極22とp側配線層40との接続面積が大きいため順方向電圧を低減できる。
【0063】
[第7実施形態]
図8に示すように、第7実施形態の発光素子7では、平面視において、第1p側電極21と第2p側接続部42との間の最短距離は、第1n側電極31と第2p側接続部42との間の最短距離よりも大きい。また、本実施形態において、平面視における第1p側電極21と第2p側接続部42との間の最短距離は、第3実施形態よりも大きい。これにより、第3実施形態と比較して、半導体構造体10のうち第1p側電極21と近い部分における電流の集中を低減でき、発光素子7の信頼性を高くすることができる。また、第3実施形態と比較して、発熱しやすい領域である、第1p側接続部41と、第2p側接続部42との間の距離を大きくすることができ、発光素子7の信頼性を高くすることができる。また、本実施形態において、平面視における第1p側電極21と第1n側電極31との間の最短距離は、第4実施形態よりも大きい。これにより、第4実施形態と比較して、平面視において発光素子7の中心を含む領域を相対的に強く発光させることができ、発光素子7を用いた発光装置の光学設計が容易になる。また、平面視において、第2p側接続部42は、半導体構造体10の中心を含む領域に位置する。
【0064】
[第8実施形態]
次に、
図9を参照して、第8実施形態の発光素子8について説明する。
【0065】
第8実施形態の発光素子8によれば、平面視において、p側配線層40は、n側層11の複数の第1領域11aと重なる複数の第1開口43を有する。また、平面視において、第1開口43は、第1領域11aに接続するn側配線層50の第1n側接続部51に重なる。さらに、平面視において、第1開口43は、第3絶縁膜73の開口、第2絶縁膜72の開口、第1絶縁膜71の開口、及び第2p側電極22の開口に重なる。
【0066】
平面視において、p側配線層40における第2p側電極22と接続する第2p側接続部42の外縁は、第2p側電極22の外縁の内側に位置し、第2p側電極22の外縁に沿って延びている。
【0067】
平面視において、複数の第1開口43のうち第1p側電極21との間の最短距離が最も小さい第1距離に位置する第1開口43aの面積は、複数の第1開口43のうち第1p側電極21との間の最短距離が第1距離よりも大きい第2距離に位置する第1開口43の面積よりも大きい。
【0068】
これにより、半導体構造体10における第1p側電極21と近い部分における電流の集中を低減でき、発光素子8の信頼性を高くすることができる。
【0069】
図9に示す例では、平面視において、第1n側電極31よりも第1p側電極21に近い第1開口43の面積は、第1p側電極21よりも第1n側電極31に近い第1開口43の面積よりも大きい。また、平面視において、第1p側電極21と第1n側電極31とを最短距離で結ぶ第1軸a1上に、互いに面積の異なる複数の第1開口43が並んでいる。第1軸a1上に並ぶ複数の第1開口43の面積は、第1p側電極21に近い第1開口43ほど面積が大きくなっている。これにより、第1p側電極21と近い部分における第2p側接続部42の面積を低減して電流集中の低減による信頼性を高めつつ、第2p側接続部42とp側層13との十分な接続面積を確保して順方向電圧を低減できる。
【0070】
例えば、第1軸a1上において、第1p側電極21から第1n側電極31に向かって順に、第1開口43a、第1開口43b、第1開口43c、第1開口43d、及び第1開口43eが並んでいる。第1開口43aの面積は第1開口43bの面積よりも大きい。第1開口43bの面積は第1開口43cの面積よりも大きい。第1開口43cの面積は第1開口43dの面積よりも大きい。第1開口43dの面積は第1開口43eの面積よりも大きい。第1開口43aの直径は、例えば、130μm以上160μm以下である。第1開口43bの直径は、例えば、110μm以上130μm以下である。第1開口43cの直径は、例えば、90μm以上110μm以下である。第1開口43dの直径は、例えば、70μm以上90μm以下である。第1開口43eの直径は、例えば、50μm以上70μm以下である。
【0071】
また、平面視において、第1軸a1に平行な第2軸a2が2以上あり、それぞれの第2軸a2上においても互いに面積の異なる複数の第1開口43が並んでいる。そして、それぞれの第2軸a2上に並ぶ複数の第1開口43の面積は、第1p側電極21との間の最短距離が小さい第1開口43ほど面積が大きくなっている。
【0072】
次に、上述した各実施形態の構成を有する実施例1~6の発光素子と、参考例の発光素子とを作製し、それぞれの発光素子の信頼性を評価した結果について説明する。なお、発光素子の信頼性の評価は、実施例1~6の発光素子及び参考例の発光素子それぞれについて、2個の発光素子を作製し、3000mAの電流値で300時間駆動させた後、各発光素子を5mAの電流値で駆動させた際のVf値を測定する試験の結果に基づき行った。発光素子に、発熱等によりショートした箇所が発生した場合、Vf値が小さい値となる傾向がある。本試験において、Vf値が3V以下であった場合に、発光素子が故障していると判断した。
【0073】
実施例1は、
図4に示す第3実施形態の発光素子3の構成を有する。
実施例2は、
図5に示す第4実施形態の発光素子4の構成を有する。
実施例3は、
図6に示す第5実施形態の発光素子5の構成を有する。
実施例4は、
図7に示す第6実施形態の発光素子6の構成を有する。
実施例5は、
図8に示す第7実施形態の発光素子7の構成を有する。
実施例6は、
図9に示す第8実施形態の発光素子8の構成を有する。
【0074】
参考例は、
図10に示す発光素子9の構成を有する。参考例においては、p側配線層40が、第2p側電極22のほぼ全面において第2p側電極22と電気的に接続されている。
図10においても、他の図と同様、p側配線層40における第2p側電極22と接続する第2p側接続部42を、網掛けがなされた領域として表す。参考例においては、平面視において、第1p側電極21と第2p側接続部42との間の最短距離は、第1p側電極21と、複数の第1n側接続部51のうち第1p側電極21に最も近い第1n側接続部51aとの間の最短距離よりも小さい。
【0075】
実施例1~6及び参考例は、平面視における第2p側接続部42の位置及び面積のみが互いに異なり、それ以外の構成は同じである。実施例1~6の発光素子及び参考例の発光素子について、共通する構成を説明する。第1p側電極21及び第1n側電極31として、Ti、Pt、Auを含む金属層を用いた。第1p側電極21及び第1n側電極31の厚みは0.7μmとした。p側配線層40及び導電層60として、TiとRh含む金属層を用いた。p側配線層40及び導電層60の厚みは0.3μmとした。第2p側電極22として、Ag、Ni、Ti、Ptを含む金属層を用いた。第2p側電極22の厚みは0.7μmとした。n側配線層50として、Ti、Al、Si、Cuを含む金属層を用いた。n側配線層50の厚みは0.4μmとした。半導体構造体10として、AlaGa1-aN(0<a≦0.5)を含む複数の半導体層を用いた。基板100としてシリコン基板を用いた。基板100の平面視における形状は、1辺が1000μmの正方形とした。接合層110として、Pt、Ti、Ni、Sn、Auを含む金属層を用いた。接合層110の最大厚みは10μmとした。第1絶縁膜71、第2絶縁膜72、第3絶縁膜73及び保護膜90として、酸化シリコン膜を用いた。第1絶縁膜71の厚みは0.4μm、第2絶縁膜72の厚みは0.8μm、第3絶縁膜73の厚みは0.8μm、保護膜90の厚みは0.8μmとした。
【0076】
上記試験の結果は、以下のとおりであった。
実施例1~4の発光素子では、2個の発光素子ともに故障が確認されなかった。
実施例5及び6の発光素子では、2個の発光素子のうちの1個の発光素子に故障が確認された。
参考例の発光素子では、2個の発光素子ともに故障が確認された。
これらの結果から、実施例の発光素子は、参考例の発光素子と比較して、高い信頼性を有することが確認された。
【0077】
本発明の実施形態は、以下の発光素子を含む。
【0078】
[項1]n側層と、p側層と、前記n側層と前記p側層との間に位置する活性層とを有する半導体構造体であって、平面視において前記n側層は前記活性層及び前記p側層から露出する複数の第1領域を有する、前記半導体構造体と、
平面視において前記半導体構造体の外側に配置された第1p側電極と、
前記p側層における前記活性層と反対側の面側に配置された第2p側電極と、
前記第1p側電極と接続する第1p側接続部と、前記第2p側電極と接続する第2p側接続部とを有するp側配線層と、
前記n側層の前記複数の第1領域に接続する複数の第1n側接続部を有するn側配線層と、
を備え、
平面視において、前記第1p側電極と、前記第2p側接続部との間の最短距離は、前記第1p側電極と、前記複数の第1n側接続部のうち前記第1p側電極に最も近い第1n側接続部との間の最短距離よりも大きく、
平面視において、前記第2p側電極は、前記第1p側電極と、前記複数の第1n側接続部のうち前記第1p側電極に最も近い第1n側接続部との間の領域に少なくとも配置される発光素子。
[項2]平面視において、複数の前記第2p側接続部が互いに離れて位置する上記項1に記載の発光素子。
[項3]平面視において、隣り合う前記複数の第1n側接続部の間に、前記第2p側接続部が配置される上記項2に記載の発光素子。
[項4] 平面視における前記第1p側電極と前記第2p側接続部との間の最短距離が、100μm以上500μm以下である上記項1~3のいずれか1つに記載の発光素子。
[項5]n側層と、p側層と、前記n側層と前記p側層との間に位置する活性層とを有する半導体構造体であって、平面視において前記n側層は前記活性層及び前記p側層から露出する複数の第1領域を有する、前記半導体構造体と、
平面視において前記半導体構造体の外側に配置された第1p側電極と、
前記p側層における前記活性層と反対側の面側に配置された第2p側電極と、
前記第1p側電極と接続する第1p側接続部と、前記第2p側電極と接続する第2p側接続部とを有するp側配線層と、
前記n側層の前記複数の第1領域に接続する複数の第1n側接続部を有するn側配線層と、
を備え、
平面視において、前記p側配線層は、前記複数の第1領域と重なる複数の第1開口を有し、
平面視において、前記複数の第1開口のうち前記第1p側電極との間の最短距離が最も小さい第1距離に位置する第1開口の面積は、前記複数の第1開口のうち前記第1p側電極との間の最短距離が前記第1距離よりも大きい第2距離に位置する第1開口の面積よりも大きい発光素子。
[項6]平面視において、前記複数の第2p側接続部のうち前記第1p側電極との間の最短距離が最も小さい第3距離に位置する第2p側接続部の面積は、前記複数の第2p側接続部のうち前記第1p側電極との間の最短距離が前記第3距離よりも大きい第4距離に位置する第2p側接続部の面積よりも小さい上記項2に記載の発光素子。
[項7]前記第2p側接続部が、平面視において前記半導体構造体の中心を含む領域に少なくとも位置する上記項1~6のいずれか1つに記載の発光素子。
[項8]平面視における前記第2p側接続部の面積は、平面視における前記p側層の面積の10%以上90%以下である上記項1~7のいずれか1つに記載の発光素子。
[項9]平面視において前記半導体構造体の外側に配置され、前記n側配線層と接続する第1n側電極をさらに備え、
平面視において、前記第1n側電極よりも前記第1p側電極に近い前記第1開口の面積は、前記第1p側電極よりも前記第1n側電極に近い前記第1開口の面積よりも大きい上記項5~8のいずれか1つに記載の発光素子。
【0079】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。本発明の上述した実施形態を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての形態も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものである。
【符号の説明】
【0080】
1~8…発光素子、10…半導体構造体、10a…第1面、11…n側層、11a…第1領域、11b…第2領域、12…活性層、13…p側層、21…第1p側電極、22…第2p側電極、31…第1n側電極、40…p側配線層、41…第1p側接続部、42…第2p側接続部、43…第1開口、50…n側配線層、51…第1n側接続部、52…第2n側接続部、60…導電層、71…第1絶縁膜、72…第2絶縁膜、73…第3絶縁膜、90…保護膜、100…基板、110…接合層