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特許7573961金属張積層板の製造方法及び回路基板の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】金属張積層板の製造方法及び回路基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 15/08 20060101AFI20241021BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20241021BHJP
   B32B 15/088 20060101ALI20241021BHJP
   B32B 27/34 20060101ALI20241021BHJP
【FI】
B32B15/08 J
H05K1/03 630D
H05K1/03 630H
B32B15/088
B32B27/34
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019164506
(22)【出願日】2019-09-10
(65)【公開番号】P2020075483
(43)【公開日】2020-05-21
【審査請求日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】P 2018185875
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006644
【氏名又は名称】日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115118
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 和浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095588
【弁理士】
【氏名又は名称】田治米 登
(74)【代理人】
【識別番号】100094422
【弁理士】
【氏名又は名称】田治米 惠子
(74)【代理人】
【識別番号】110000224
【氏名又は名称】弁理士法人田治米国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 裕明
(72)【発明者】
【氏名】安達 康弘
(72)【発明者】
【氏名】西山 哲平
(72)【発明者】
【氏名】平石 克文
【審査官】大▲わき▼ 弘子
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-188954(JP,A)
【文献】特開2006-306972(JP,A)
【文献】特開2006-306973(JP,A)
【文献】特開2012-134478(JP,A)
【文献】特開2010-116443(JP,A)
【文献】特開2013-028146(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B1/00-43/00、
H05K1/03、
C09J7/00-7/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のポリイミド層を含む絶縁樹脂層と、前記絶縁樹脂層の少なくも片側の面に積層された金属層と、を備えた金属張積層板を製造する方法であって、
以下の工程1~5;
工程1)前記金属層の上に、ポリアミド酸の溶液を塗布することによって、単層又は複数層の第1のポリアミド樹脂層を積層形成する工程、
工程2)前記第1のポリアミド樹脂層中のポリアミド酸を前記金属層上でイミド化して単層又は複数層からなる第1のポリイミド層を形成する工程、
工程3)前記第1のポリイミド層の表面に対し、該第1のポリイミド層と第2のポリイミド層との層間密着性を向上させるコロナ処理を行う工程、
工程4)前記第1のポリイミド層のコロナ処理を行った面の上に、さらに、ポリアミド酸の溶液を塗布することによって、単層又は複数層の第2のポリアミド樹脂層を積層形成する工程、
工程5)前記第2のポリアミド樹脂層中のポリアミド酸をイミド化して単層又は複数層からなる前記第2のポリイミド層を形成するとともに、前記第1のポリイミド層と前記第2のポリイミド層とが積層されてなる前記絶縁樹脂層を形成する工程、
を含み、
前記第1のポリイミド層が熱可塑性ポリイミド層であり、前記第2のポリイミド層が非熱可塑性ポリイミド層であり、
前記第1のポリイミド層の厚み(L1)が0.5μm以上100μm以下の範囲内であり、かつ、前記絶縁樹脂層全体の厚み(L)が5μm以上200μm未満の範囲内であり、前記Lと前記L1との比(L/L1)が4以上45以下の範囲内であることを特徴とする金属張積層板の製造方法。
【請求項2】
前記第1のポリイミド層が単層であり、その厚み(L1)が1μm以上3μm以下の範囲内であるとともに、前記絶縁樹脂層全体の厚み(L)が5μm以上30μm未満の範囲内である請求項1に記載の金属張積層板の製造方法。
【請求項3】
前記金属層の透湿度が、厚み25μm、25℃のとき、100g/m/24hr以下である請求項1又は2に記載の金属張積層板の製造方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載された方法で製造された前記金属張積層板の前記金属層を配線回路加工する工程を含む回路基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板などの材料として利用可能な金属張積層板の製造方法、及び、回路基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化、軽量化、省スペース化の進展に伴い、薄く軽量で、可撓性を有し、屈曲を繰り返しても優れた耐久性を持つフレキシブル回路基板(FPC;Flexible Printed Circuits)の需要が増大している。FPCは、限られたスペースでも立体的かつ高密度の実装が可能であるため、例えば、HDD、DVD、携帯電話、スマートフォン等の電子機器の配線や、ケーブル、コネクター等の部品にその用途が拡大しつつある。FPCに用いる絶縁樹脂として、耐熱性や接着性に優れたポリイミドが注目されている。
【0003】
FPC材料としての金属張積層板の製造方法として、金属箔上にポリアミド酸の樹脂液を塗布することによってポリイミド前駆体層を形成した後、イミド化してポリイミド層を形成するキャスト法が知られている。絶縁樹脂層として複数のポリイミド層を有する金属張積層板をキャスト法によって製造する場合、一般的には、銅箔等の基材上に、複数層のポリイミド前駆体層を順次形成した後、これらを一括してイミド化することが行われている。しかし、複数のポリイミド前駆体層を一括してイミド化すると、ポリイミド前駆体層中の溶剤やイミド化水が抜け切らず、残留溶剤やイミド化水によってポリイミド層間での発泡や剥離が生じ、歩留まりの低下を招くという問題があった。
【0004】
上記発泡や剥離の問題は、ポリイミド前駆体層を一層毎にイミド化し、その上にポリアミド酸の樹脂液を塗布することを繰り返すことによって解決できる。しかし、一旦イミド化したポリイミド層上に、さらに、ポリアミド酸の樹脂液を塗布してイミド化させると、層間の密着性が十分に得られ難くなる。従来技術では、ポリアミド酸の樹脂液を塗布する前に、下地のポリイミドフィルムやポリイミド層の表面に、コロナ処理、プラズマ処理などの表面処理を施すことによって、層間の密着性を改善する提案がなされている(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5615253号公報
【文献】特許第5480490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、絶縁樹脂層として複数のポリイミド層を有する金属張積層板をキャスト法によって製造する場合に、発泡を抑制しながら、ポリイミド層間の密着性を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、キャスト法によって形成する複数のポリイミド層の厚みをコントロールすることによって、発泡を抑制しつつ、ポリイミド層間の密着性を改善できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の金属張積層板の製造方法は、複数のポリイミド層を含む絶縁樹脂層と、前記絶縁樹脂層の少なくも片側の面に積層された金属層と、を備えた金属張積層板を製造する方法である。
本発明の金属張積層板の製造方法は、以下の工程1~5;
工程1)前記金属層の上に、ポリアミド酸の溶液を塗布することによって、単層又は複数層の第1のポリアミド樹脂層を積層形成する工程、
工程2)前記第1のポリアミド樹脂層中のポリアミド酸をイミド化して単層又は複数層からなる第1のポリイミド層を形成する工程、
工程3)前記第1のポリイミド層の表面に対し、表面処理を行う工程、
工程4)前記第1のポリイミド層の上に、さらに、ポリアミド酸の溶液を塗布することによって、単層又は複数層の第2のポリアミド樹脂層を積層形成する工程、
工程5)前記第2のポリアミド樹脂層中のポリアミド酸をイミド化して単層又は複数層からなる第2のポリイミド層を形成するとともに、前記第1のポリイミド層と前記第2のポリイミド層とが積層されてなる前記絶縁樹脂層を形成する工程、
を含んでいる。
そして、本発明の金属張積層板の製造方法は、前記第1のポリイミド層の厚み(L1)が0.5μm以上100μm以下の範囲内であり、かつ、前記絶縁樹脂層全体の厚み(L)が5μm以上200μm未満の範囲内であり、前記Lと前記L1との比(L/L1)が1を超え400未満の範囲内である。
【0009】
本発明の金属張積層板の製造方法は、前記第1のポリイミド層における前記金属層と接している層を構成するポリイミドが、熱可塑性ポリイミドであってもよい。
【0010】
本発明の金属張積層板の製造方法は、前記金属層の透湿度が、厚み25μm、25℃のとき、100g/m/24hr以下であってもよい。
【0011】
本発明の回路基板の製造方法は、上記方法で製造された前記金属張積層板の前記金属層を配線回路加工する工程を含むものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明方法によれば、キャスト法を利用し、発泡を抑制しながら、ポリイミド層間の密着性に優れた絶縁樹脂層を有する金属張積層板を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施の形態の金属張積層板の製造方法の手順を示す工程図である。
図2】エッチング後寸法変化率の測定に使用した位置測定用ターゲットの説明図である。
図3】エッチング後寸法変化率の測定に使用した評価サンプルの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、適宜図面を参照しながら説明する。本実施の形態の金属張積層板の製造方法は、複数のポリイミド層を含む絶縁樹脂層と、この絶縁樹脂層の少なくとも片側の面に積層された金属層と、を備えた金属張積層板を製造する方法である。
【0015】
図1は、本発明の一実施の形態の金属張積層板の製造方法の主要な手順を示す工程図である。本実施の形態の方法は、以下の工程1~5を含んでいる。なお、図1において、矢印の横の数字は工程1~5を意味している。
【0016】
工程1)
工程1では、金属層10となる金属箔10Aの上に、ポリアミド酸の溶液を塗布することによって、単層又は複数層の第1のポリアミド樹脂層20Aを積層形成する。キャスト法によって、金属箔10A上にポリアミド酸の樹脂溶液を塗布する方法は特に制限されず、例えばコンマ、ダイ、ナイフ、リップ等のコーターにて塗布することが可能である。
なお、第1のポリアミド樹脂層20Aを複数層とする場合、例えば、金属箔10Aに、ポリアミド酸の溶液を塗布・乾燥することを複数回繰り返し行う方法や、多層押出により、金属箔10A上に同時にポリアミド酸を多層に積層した状態で塗布・乾燥する方法などを採用できる。
【0017】
工程1では、後述するように、工程2で硬化した後の第1のポリイミド層20の厚み(L1)が0.5μm以上100μm以下の範囲内となるように、第1のポリアミド樹脂層20Aを形成することが好ましい。キャスト法では、ポリアミド酸の樹脂層が金属箔10Aに固定された状態でイミド化されるので、イミド化過程におけるポリイミド層の伸縮変化を抑制して、厚みや寸法精度を維持することができる。
【0018】
金属箔10Aの材質としては、特に制限はないが、例えば、銅、ステンレス、鉄、ニッケル、ベリリウム、アルミニウム、亜鉛、インジウム、銀、金、スズ、ジルコニウム、タンタル、チタン、鉛、マグネシウム、マンガン及びこれらの合金等が挙げられる。この中でも、特に銅又は銅合金が好ましい。銅箔としては、圧延銅箔でも電解銅箔でもよく、市販されている銅箔を好ましく用いることができる。
【0019】
本実施の形態において、例えばFPCの製造に用いる場合の金属層10の好ましい厚みは3~80μmの範囲内であり、より好ましくは5~30μmの範囲内である。
【0020】
金属層10として使用する金属箔10Aは、表面に、例えば防錆処理、サイディング、アルミニウムアルコラート、アルミニウムキレート、シランカップリング剤等の表面処理が施されていてもよい。また、金属箔10Aは、カットシート状、ロール状のもの、又はエンドレスベルト状などの形状とすることができるが、生産性を得るためには、ロール状又はエンドレスベルト状の形態とし、連続生産可能な形式とすることが効率的である。さらに、回路基板における配線パターン精度の改善効果をより大きく発現させる観点から、金属箔10Aは長尺に形成されたロール状のものが好ましい。
【0021】
また、金属層10の透湿度は、例えば厚み25μm、25℃で、100g/m/24hr以下であることが好ましい。金属層10の透湿度が低く、金属層10側から溶剤やイミド化水が抜けにくい場合に、本実施の形態の方法の効果が大きく発揮される。
【0022】
工程2)
工程2では、工程1で形成した第1のポリアミド樹脂層20A中のポリアミド酸をイミド化して単層又は複数層からなる第1のポリイミド層20を形成する。第1のポリアミド樹脂層20A中に含まれるポリアミド酸をイミド化することによって、第1のポリアミド樹脂層20A中に含まれていた溶剤やイミド化水の大部分を除去できる。
【0023】
ポリアミド酸をイミド化させるための方法は、特に制限されず、例えば、80~400℃の範囲内の温度条件で1~60分間の範囲内の時間加熱する熱処理が好ましい。熱処理は、金属層10の酸化を抑制するため、低酸素雰囲気下で行うことが好ましく、具体的には、窒素又は希ガスなどの不活性ガス雰囲気下、水素などの還元ガス雰囲気下、あるいは真空中で行うことが好ましい。
【0024】
工程3)
工程3では、第1のポリイミド層20の表面に対し、表面処理を行う。
表面処理としては、第1のポリイミド層20と第2のポリイミド層30の層間密着性を向上させ得る処理であれば特に制限はなく、例えば、プラズマ処理、コロナ処理、火炎処理、紫外線処理、オゾン処理、電子線処理、放射線処理、サンドブラスト加工、ヘアライン加工、エンボス加工、化学薬品処理、蒸気処理、表面グラフト化処理、電気化学的処理、プライマー処理などを挙げることができる。特に、第1のポリイミド層20が熱可塑性ポリイミド層である場合は、プラズマ処理、コロナ処理、紫外線処理などの表面処理が好ましく、その条件としては、例えば300W/min/m以下とすることが好ましい。
【0025】
工程4)
工程4では、工程3で表面処理を行った第1のポリイミド層20の上に、さらに、ポリアミド酸の溶液を塗布することによって、単層又は複数層の第2のポリアミド樹脂層30Aを積層形成する。キャスト法によって、第1のポリイミド層20の上にポリアミド酸の樹脂溶液を塗布する方法は特に制限されず、例えばコンマ、ダイ、ナイフ、リップ等のコーターにて塗布することが可能である。
なお、第2のポリアミド樹脂層30Aを複数層とする場合、例えば、第1のポリイミド層20の上に、ポリアミド酸の溶液を塗布・乾燥することを複数回繰り返し行う方法や、多層押出により、第1のポリイミド層20の上に同時にポリアミド酸を多層に積層した状態で塗布・乾燥する方法などを採用できる。
【0026】
工程4では、後述するように、次の工程5の後で絶縁樹脂層40全体の厚み(L)が5μm以上200μm未満の範囲内となるように、第2のポリアミド樹脂層30Aを形成することが好ましい。
【0027】
工程5)
工程5では、第2のポリアミド樹脂層30A中に含まれるポリアミド酸をイミド化して、第2のポリイミド層30に変化させ、第1のポリイミド層20と第2のポリイミド層30とを含む絶縁樹脂層40を形成する。
工程5では、第2のポリアミド樹脂層30A中に含まれるポリアミド酸をイミド化し、ポリイミドを合成する。イミド化の方法は、特に制限されず、工程2と同様の条件で実施できる。
【0028】
<任意工程>
本実施の形態の方法は、上記以外の任意の工程を含むことができる。
【0029】
以上の工程1~工程5によって、第1のポリイミド層20と第2のポリイミド層30との密着性に優れた絶縁樹脂層40を有する金属張積層板100を製造することができる。本実施の形態の方法では、第1のポリイミド層20を金属層10上にキャスト法で形成しても、第2のポリイミド層30を形成する前にイミド化を行うことによって、溶剤やイミド化水が除去されており、発泡や層間剥離などの問題が生じることがない。また、第2のポリアミド樹脂層30Aを形成する前に、第1のポリイミド層20に対して表面処理を行うことによって、第1のポリイミド層20と第2のポリイミド層30との密着性を確保できる。
【0030】
本実施の形態の方法により製造される金属張積層板100の絶縁樹脂層40において、第1のポリイミド層の厚み(L1)は0.5μm以上100μm以下の範囲内である。
ここで、第1のポリイミド層20が単層である場合、その厚み(L1)は、0.5μm以上5μm以下の範囲内が好ましく、1μm以上3μm以下の範囲内がより好ましい。この場合、工程2では、イミド化後の厚み(L1)が5μm以下の薄い状態で硬化させることによって、溶剤やイミド化水をほとんど除去できる。また、第1のポリイミド層20が単層である場合、その厚み(L1)を5μm以下に制御することによって、金属層10とのピール強度を低下させる原因の一つである金属層10との界面におけるポリアミド酸の残存がなくなり、完全にイミド化させることが可能になるため、ピール強度を向上させることが可能になる。厚み(L1)が0.5μm未満であると金属層10との接着性が低下し、絶縁樹脂層40が剥離し易くなる。
一方、第1のポリイミド層20が複数層からなる場合、その厚み(L1)は、5μm以上100μm以下の範囲内が好ましく、25μm以上100μm以下の範囲内がより好ましい。第1のポリイミド層20が複数層からなる場合、その厚み(L1)が100μmを超えると発泡が生じやすくなる。
【0031】
また、絶縁樹脂層40全体の厚み(L)は、5μm以上200μm未満の範囲内である。
ここで、第1のポリイミド層20が単層である場合、絶縁樹脂層40全体の厚み(L)は、5μm以上30μm未満の範囲内が好ましく、10μm以上25μm以下の範囲内がより好ましい。第1のポリイミド層20が単層である場合、絶縁樹脂層40全体の厚み(L)が5μm未満であると、発明の効果である発泡抑制効果が発現しにくく、また、寸法安定性の向上効果も得られ難い。
一方、第1のポリイミド層20が複数層からなる場合、絶縁樹脂層40全体の厚み(L)は、10μm以上200μm未満の範囲内が好ましく、50μm以上200μm未満の範囲内がより好ましい。第1のポリイミド層20が複数層からなる場合、絶縁樹脂層40全体の厚み(L)が200μm以上になると、発泡が生じやすくなる。
【0032】
以上のように、第1のポリイミド層20の厚み(L1)と絶縁樹脂層40全体の厚み(L)は、発泡抑制や寸法安定性の改善、金属層10との接着性に影響するため、厚み(L)と厚み(L1)との比(L/L1)は1を超え400未満の範囲内とする。
比(L/L1)は、好ましくは1を超え60未満の範囲内がよく、より好ましくは4以上45以下、もっとも好ましくは5以上30以下である。
【0033】
なお、絶縁樹脂層40は、第1のポリイミド層20及び第2のポリイミド層30以外のポリイミド層を含んでいてもよい。また、絶縁樹脂層40を構成するポリイミド層は、必要に応じて、無機フィラーを含有してもよい。具体的には、例えば二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、フッ化アルミニウム、フッ化カルシウム等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を混合して用いることができる。
【0034】
<ポリイミド>
次に、第1のポリイミド層20及び第2のポリイミド層30を形成するための好ましいポリイミドについて説明する。第1のポリイミド層20及び第2のポリイミド層30の形成には、一般的にポリイミドの合成原料として用いられる酸無水物成分及びジアミン成分を特に制限なく使用可能である。
【0035】
金属張積層板100において、第1のポリイミド層20を構成するポリイミドは、熱可塑性ポリイミド、非熱可塑性ポリイミドのいずれでもよいが、下地となる金属層10との接着性の確保が容易であるという理由から、熱可塑性ポリイミドが好ましい。
【0036】
また、第2のポリイミド層30を構成するポリイミドは、熱可塑性ポリイミド、非熱可塑性ポリイミドのどちらでもよいが、非熱可塑性ポリイミドとする場合に発明の効果が顕著に発揮される。
すなわち、イミド化が完了しているポリイミド層上に、非熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸の樹脂層をキャスト法等の方法で積層してイミド化しても、通常は、ポリイミド層間の密着性がほとんど得られない。しかし、本実施の形態では、上述のように第1のポリイミド層20に表面処理を行ってから第2のポリアミド樹脂層30Aを積層することによって、第2のポリイミド層30を構成するポリイミドが熱可塑性であるか非熱可塑性であるかにかかわらず、第1のポリイミド層20との層間で優れた密着性が得られる。また、第2のポリイミド層30を非熱可塑性ポリイミドとすることによって、金属張積層板100におけるポリイミド層の機械的強度を担保する主たる層(ベース層)としての機能を奏することができる。
【0037】
以上から、金属張積層板100において、第1のポリイミド層20として熱可塑性ポリイミド層、第2のポリイミド層30として非熱可塑性ポリイミド層が積層された構造を形成することは、最も好ましい態様である。
【0038】
また、ポリイミドには、低熱膨張性ポリイミドと、高熱膨張性ポリイミドがあるが、通常は、熱可塑性ポリイミドは高熱膨張性であり、非熱可塑性ポリイミドは低熱膨張性である。例えば、第1のポリイミド層20を熱可塑性ポリイミド層とする場合、熱膨張係数は好ましくは30×10-6を超え80×10-6/K以下の範囲内とすることがよい。熱可塑性ポリイミド層の熱膨張係数を上記範囲内とすることによって、第1のポリイミド層20としての金属層10との接着性を確保することができる。また、第2のポリイミド層30を低膨張性のポリイミド層とすることによって、金属張積層板100におけるポリイミド層の寸法安定性を担保する主たる層(ベース層)としての機能を奏することができる。具体的には、低膨張性のポリイミド層の熱膨張係数が1×10-6 ~30×10-6(1/K)の範囲内、好ましくは1×10-6 ~25×10-6(1/K)の範囲内、より好ましくは10×10-6 ~25×10-6(1/K)の範囲内がよい。また、非熱可塑性ポリイミドは低熱膨張性であるから、非熱可塑性ポリイミド層の厚み割合を大きくすることにより、熱膨張係数を低く抑えることができる。なお、第1のポリイミド層20及び第2のポリイミド層30は、使用する原料の組合せ、厚み、乾燥・硬化条件を適宜変更することで所望の熱膨張係数を有するポリイミド層とすることができる。
【0039】
なお、「熱可塑性ポリイミド」とは、一般にガラス転移温度(Tg)が明確に確認できるポリイミドのことであるが、本発明では、動的粘弾性測定装置(DMA)を用いて測定した、30℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上であり、350℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa未満であるポリイミドをいう。また、「非熱可塑性ポリイミド」とは、一般に加熱しても軟化、接着性を示さないポリイミドのことであるが、本発明では、動的粘弾性測定装置(DMA)を用いて測定した、30℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上であり、350℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上であるポリイミドをいう。
【0040】
ポリイミドの原料となるジアミン化合物としては、芳香族ジアミン化合物、脂肪族ジアミン化合物などを使用できるが、例えば、NH-Ar1-NHで表される芳香族ジアミン化合物が好ましい。ここで、Ar1は下記式で表される基から選択されるものが例示される。Ar1は置換基を有することもできるが、好ましくは有しないか、有する場合にはその置換基は炭素数1~6の低級アルキルまたは低級アルコキシ基がよい。これらの芳香族ジアミン化合物は1種のみを使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
【0041】
【化1】
【0042】
ジアミン化合物と反応させる酸無水物としては、ポリアミド酸の合成の容易さの点で、芳香族テトラカルボン酸無水物が好ましい。芳香族テトラカルボン酸無水物としては、特に限定されるものでははいが、例えば、O(CO)Ar2(CO)Oで表される化合物が好ましい。ここで、Ar2は、下記式で表される4価の芳香族基が例示される。酸無水物基[(CO)O]の置換位置は任意であるが、対称の位置が好ましい。Ar2は、置換基を有することもできるが、好ましくは有しないか、有する場合にはその置換基は炭素数1~6の低級アルキル基であるのがよい。
【0043】
【化2】
【0044】
(ポリイミドの合成)
ポリイミド層を構成するポリイミドは、酸無水物及びジアミンを溶媒中で反応させ、前駆体樹脂を生成したのち加熱閉環させることにより製造できる。例えば、酸無水物成分とジアミン成分をほぼ等モルで有機溶媒中に溶解させて、0~100℃の範囲内の温度で30分~24時間撹拌し重合反応させることでポリイミドの前駆体であるポリアミド酸が得られる。反応にあたっては、生成する前駆体が有機溶媒中に5~30重量%の範囲内、好ましくは10~20重量%の範囲内となるように反応成分を溶解する。重合反応に用いる有機溶媒としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N-メチル-2-ピロリドン、2-ブタノン、ジメチルスホキシド、硫酸ジメチル、シクロヘキサノン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライム、トリグライム等が挙げられる。これらの溶媒を2種以上併用して使用することもでき、更にはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素の併用も可能である。また、このような有機溶剤の使用量としては特に制限されるものではないが、重合反応によって得られるポリアミド酸溶液(ポリイミド前駆体溶液)の濃度が5~30重量%程度になるような使用量に調整して用いることが好ましい。合成された前駆体は、通常、反応溶媒溶液として使用することが有利であるが、必要により濃縮、希釈又は他の有機溶媒に置換することができる。また、前駆体は一般に溶媒可溶性に優れるので、有利に使用される。
【0045】
ポリイミドの合成において、上記酸無水物及びジアミンはそれぞれ、その1種のみを使用してもよく2種以上を併用して使用することもできる。酸無水物及びジアミンの種類や、2種以上の酸無水物又はジアミンを使用する場合のそれぞれのモル比を選定することにより、熱膨張性、接着性、貯蔵弾性率、ガラス転移温度等を制御することができる。なお、上記ポリイミドにおいて、ポリイミドの構造単位を複数有する場合は、ブロックとして存在しても、ランダムに存在していてもよいが、ランダムに存在することが好ましい。
【0046】
以上、本実施の形態で得られる金属張積層板は、第1のポリイミド層20と第2のポリイミド層30との密着性に優れており、FPCに代表される回路基板材料として使用することによって、電子機器の信頼性を向上させることができる。
【0047】
<回路基板>
本発明の一実施の形態の回路基板は、複数のポリイミド層を含む絶縁樹脂層と、該絶縁樹脂層の少なくも片側の面に積層された配線層とを備えている。この回路基板は、上記実施の形態の方法によって得られた金属張積層板100の金属層10を常法によってパターン状に加工して配線層を形成することによって製造することができる。金属層10のパターニングは、例えばフォトリソグラフィー技術とエッチングなどを利用する任意の方法で行うことができる。
【0048】
なお、回路基板を製造する際に、通常行われる工程として、例えば前工程でのスルーホール加工や、後工程の端子メッキ、外形加工などの工程は、常法に従い行うことができる。
【実施例
【0049】
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。なお、以下の実施例において、特にことわりのない限り各種測定、評価は下記によるものである。
【0050】
[粘度測定]
樹脂の粘度はE型粘度計(ブルックフィールド社製、商品名;DV-II+Pro)を用いて、25℃における粘度を測定した。トルクが10%~90%になるよう回転数を設定し、測定を開始してから2分経過後、粘度が安定した時の値を読み取った。
【0051】
[発泡の評価]
第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間で剥離が確認されるか、又はポリイミド層に亀裂が発生している場合を「発泡あり」とし、剥離や亀裂がない場合を「発泡なし」とした。
【0052】
[エッチング後寸法変化率の測定]
80mm×80mmのサイズの金属張積層板を準備した。この積層板の金属層の上に、ドライフィルムレジストを設けた後、露光、現像して、図2に示すように、16個の直径1mmのレジストパターンを、全体が正四角形をなすように形成し、縦方向(MD)及び横方向(TD)のそれぞれ50mm間隔で5箇所を測定可能とする位置測定用ターゲットを調製した。
【0053】
調製したサンプルについて、温度;23±2℃、相対湿度;50±5%の雰囲気中にて、位置測定用ターゲットにおけるレジストパターンの縦方向(MD)及び横方向(TD)におけるターゲット間の距離を測定した後、レジストパターン開孔部の金属層の露出部分をエッチング(エッチング液の温度;40℃以下、エッチング時間;10分以内)により除去し、図3に示すように、16個の金属層残存点を有する評価サンプルを調製した。この評価サンプルを温度;23±2℃、相対湿度;50±5%の雰囲気中にて24±4時間静置後、縦方向(MD)及び横方向(TD)における金属層残存点間の距離を測定した。縦方向及び横方向の各5箇所の常態に対する寸法変化率を算出し、各々の平均値をもってエッチング後寸法変化率とする。
各寸法変化率は下記数式により出した。
エッチング後寸法変化率(%)=(B-A)/A × 100
A ; レジスト現像後のターゲット間の距離
B ; 金属層エッチング後の金属層残存点間の距離
エッチング後寸法変化率の絶対値が、0.2%以下である場合を「良」、0.2%を超え0.4%以下である場合を「可」、0.4%を超える場合を「否」とする。
【0054】
[カールの評価]
フィルムカールは、金属張積層板の銅箔を全面エッチングし、銅箔除去後の100mm×100mmの寸法のポリイミドフィルムの第1のポリイミド層を下にして置いたときの4隅の浮き高さを測定した。4隅の浮き高さの平均値が10mmを超える場合を「カールあり」と評価した。
【0055】
[透湿度の評価]
JIS Z0208に準拠して、透湿カップに吸湿剤/塩化カルシウム(無水)を封入し、24時間後のカップの質量増加を水蒸気の透過量として評価した。
【0056】
[吸湿率の測定]
ポリイミドフィルムの試験片(幅4cm×長さ25cm)を2枚用意し、80℃で1時間乾燥した。乾燥後直ちに23℃/50%RHの恒温恒湿室に入れ、24時間以上静置し、その前後の重量変化から次式により求めた。
吸湿率(重量%)=[(吸湿後重量-乾燥後重量)/乾燥後重量]×100
【0057】
[ガラス転移温度(Tg)の測定]
ポリイミドフィルム(10mm×40mm)を動的熱機械分析装置(DMA:ティーエイ・インスツルメント ジャパン社製、商品名:RSA-G2)にて20℃から500℃まで5℃/分で昇温させたときの動的粘弾性を測定し、ガラス転移温度(Tanδ極大値:℃)を求めた。
【0058】
[貯蔵弾性率の測定]
貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定装置(DMA)を用いて測定した。30℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上であり、350℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上であるポリイミドを「非熱可塑性ポリイミド」とし、30℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上であり、350℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa未満であるポリイミドを「熱可塑性ポリイミド」とする。
【0059】
[熱膨張係数(CTE)の測定]
厚み25μm、3mm×20mmのサイズのポリイミドフィルムを、サーモメカニカルアナライザー(Bruker社製、商品名;4000SA)を用い、5.0gの荷重を加えながら一定の昇温速度で30℃から300℃まで昇温させ、更にその温度で10分保持した後、5℃/分の速度で冷却し、250℃から100℃までの平均熱膨張係数(熱膨張係数)を求めた。
【0060】
実施例及び比較例に用いた略号は、以下の化合物を示す。
m-TB:2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル
TPE-R:1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン
BAPP:2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン
TFMB:2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノビフェニル
BAFL:9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン
PMDA:ピロメリット酸二無水物
DMAc:N,N-ジメチルアセトアミド
【0061】
(合成例1)
1000mlのセパラブルフラスコに、75.149gのm-TB(353.42mmol)、850gのDMAcを投入し、室温、窒素気流下で撹拌した。完全に溶解した後、74.851gのPMDA(342.82mmol)を添加し、室温で4時間撹拌してポリアミド酸溶液Aを得た。得られたポリアミド酸溶液Aの粘度は22,700cPであった。得られたポリアミド酸のイミド化後のポリイミドは非熱可塑性であった。また、得られたポリイミドフィルム(厚み;25μm)のCTEは6.4ppm/Kであった。
【0062】
(合成例2)
1000mlのセパラブルフラスコに、65.054gのm-TB(310.65mmol)、10.090gのTPE-R(34.52mmol)、850gのDMAcを投入し、室温、窒素気流下で撹拌した。完全に溶解した後、73.856gのPMDA(338.26mmol)を添加し、室温で4時間撹拌してポリアミド酸溶液Bを得た。得られたポリアミド酸溶液Bの粘度は26,500cPであった。得られたポリアミド酸のイミド化後のポリイミドは非熱可塑性であり、ガラス転移温度(Tg)は303℃であった。また、得られたポリイミドフィルム(厚み;25μm)のCTEは16.2ppm/Kであり、吸湿率は0.61重量%、透湿度は64g/m/24hrであった。
【0063】
(合成例3)
1000mlのセパラブルフラスコに、89.621gのTFMB(279.33mmol)、850gのDMAcを投入し、室温、窒素気流下で撹拌した。完全に溶解した後、60.379gのPMDA(276.54mmol)を添加し、室温で4時間撹拌してポリアミド酸溶液Cを得た。得られたポリアミド酸溶液Cの粘度は21,200cPであった。得られたポリアミド酸のイミド化後のポリイミドは非熱可塑性であった。また、得られたポリイミドフィルム(厚み;25μm)のCTEは0.5ppm/Kであった。
【0064】
(合成例4)
1000mlのセパラブルフラスコに、49.928gのTFMB(155.70mmol)、33.102gのm-TB(155.70mmol)、850gのDMAcを投入し、室温、窒素気流下で撹拌した。完全に溶解した後、66.970gのPMDA(307.03mmol)を添加し、室温で4時間撹拌してポリアミド酸溶液Dを得た。得られたポリアミド酸溶液Dの粘度は21,500cPであった。得られたポリアミド酸のイミド化後のポリイミドは非熱可塑性であった。また、得られたポリイミドフィルム(厚み;25μm)のCTEは6.0ppm/Kであった。
【0065】
(合成例5)
300mlのセパラブルフラスコに、29.492gのBAPP(71.81mmol)、255gのDMAcを投入し、室温、窒素気流下で撹拌した。完全に溶解した後、15.508gのPMDA(71.10mmol)を添加し、室温で4時間撹拌してポリアミド酸溶液Eを得た。得られたポリアミド酸溶液Eの粘度は10,700cPであった。得られたポリアミド酸のイミド化後のポリイミドは熱可塑性であり、ガラス転移温度(Tg)は312℃であった。また、得られたポリイミドフィルム(厚み;25μm)のCTEは63.1ppm/Kであり、吸湿率は0.54重量%、透湿度は64g/m/24hrであった。
【0066】
(合成例6)
300mlのセパラブルフラスコに、25.889gのTPE-R(88.50mmol)、255gのDMAcを投入し、室温、窒素気流下で撹拌した。完全に溶解した後、19.111gのPMDA(87.62mmol)を添加し、室温で4時間撹拌してポリアミド酸溶液Fを得た。得られたポリアミド酸溶液Fの粘度は13,200cPであった。得られたポリアミド酸のイミド化後のポリイミドは非熱可塑性であった。また、得られたポリイミドフィルム(厚み;25μm)のCTEは57.7ppm/Kであった。
【0067】
(合成例7)
300mlのセパラブルフラスコに、27.782gのBAFL(79.73mmol)、255gのDMAcを投入し、室温、窒素気流下で撹拌した。完全に溶解した後、17.218gのPMDA(78.94mmol)を添加し、室温で4時間撹拌してポリアミド酸溶液Gを得た。得られたポリアミド酸溶液Gの粘度は10,400cPであった。得られたポリアミド酸のイミド化後のポリイミドは非熱可塑性であった。また、得られたポリイミドフィルム(厚み;25μm)のCTEは52.0ppm/Kであった。
【0068】
[実施例1]
厚み12μmの電解銅箔上に、第1のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Eを硬化後の厚みが2μmとなるように均一に塗布した後、120℃から360℃まで段階的に昇温させて溶媒の除去及びイミド化を行った。得られた第1のポリイミド層に120W・min/mでコロナ処理を行った。次に、その上に、第2のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Aを硬化後の厚みが25μmとなるように均一に塗布した後、120℃で3分間加熱乾燥して溶媒を除去した。その後、130℃から360℃まで段階的に昇温させてイミド化を行い、金属張積層板1を調製した。第1のポリイミド層の厚み(L1)は2μmであり、絶縁樹脂層全体の厚み(L)は27μmであり、比(L/L1)は、13.5であった。調製した金属張積層板1の樹脂面に粘着テープを貼り、垂直方向に瞬間的に引き剥がしによる剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
【0069】
[実施例2]
ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Fを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板2を調製した。実施例1と同様に、調製した金属張積層板2の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
【0070】
[実施例3]
ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Gを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板3を調製した。実施例1と同様に、調製した金属張積層板3の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
【0071】
[実施例4]
ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Cを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板4を調製した。実施例1と同様に、調製した金属張積層板4の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
【0072】
[実施例5]
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Bを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板5を調製した。実施例1と同様に、調製した金属張積層板5の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
【0073】
[実施例6]
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Bを使用し、ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Fを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板6を調製した。実施例1と同様に、調製した金属張積層板6の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
【0074】
[実施例7]
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Bを使用し、ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Gを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板7を調製した。実施例1と同様に、調製した金属張積層板7の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
【0075】
[実施例8]
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Bを使用し、ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Aを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板8を調製した。実施例1と同様に、調製した金属張積層板8の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
【0076】
[実施例9]
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Bを使用し、ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Cを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板9を調製した。実施例1と同様に、調製した金属張積層板9の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
【0077】
[実施例10]
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Cを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板10を調製した。実施例1と同様に、調製した金属張積層板10の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
【0078】
[実施例11]
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Cを使用し、ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Fを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板11を調製した。実施例1と同様に、調製した金属張積層板11の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
【0079】
[実施例12]
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Cを使用し、ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Gを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板12を調製した。実施例1と同様に、調製した金属張積層板12の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
【0080】
[実施例13]
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Cを使用し、ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Aを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板13を調製した。実施例1と同様に、調製した金属張積層板13の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
【0081】
[実施例14]
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Dを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板14を調製した。実施例1と同様に、調製した金属張積層板14の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
【0082】
[実施例15]
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Dを使用し、ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Fを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板15を調製した。実施例1と同様に、調製した金属張積層板15の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
【0083】
[実施例16]
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Dを使用し、ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Gを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板16を調製した。実施例1と同様に、調製した金属張積層板16の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
【0084】
[実施例17]
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Dを使用し、ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Aを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板17を調製した。実施例1と同様に、調製した金属張積層板17の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
【0085】
[実施例18]
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Dを使用し、ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Cを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板18を調製した。実施例1と同様に、調製した金属張積層板18の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
【0086】
比較例1
コロナ処理を行わなかったこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板19を調製した。実施例1と同様に、調製した金属張積層板19の剥離試験を行ったところ、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間剥離が生じた。
【0087】
比較例2
コロナ処理を行わなかったこと以外、実施例2と同様にして、金属張積層板20を調製した。実施例1と同様に、調製した金属張積層板20の剥離試験を行ったところ、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間剥離が生じた。
【0088】
比較例3
コロナ処理を行わなかったこと以外、実施例14と同様にして、金属張積層板21を調製した。実施例1と同様に、調製した金属張積層板21の剥離試験を行ったところ、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間剥離が生じた。
【0089】
比較例4
コロナ処理を行わなかったこと以外、実施例15と同様にして、金属張積層板22を調製した。実施例1と同様に、調製した金属張積層板22の剥離試験を行ったところ、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間剥離が生じた。
【0090】
[実施例19]
厚み12μmの電解銅箔上に、第1のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Eを硬化後の厚みが2.5μmとなるように均一に塗布した後、120℃から360℃まで段階的に昇温させて溶媒の除去及びイミド化を行った。得られた第1のポリイミド層に120W・min/mでコロナ処理を行った。次に、その上に、第2のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Aを硬化後の厚みが20μmとなるように均一に塗布した後、その上に、第3のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Eを硬化後の厚みが2.5μmとなるように均一に塗布し、120℃で3分間加熱乾燥して溶媒を除去した。その後、130℃から360℃まで段階的に昇温させてイミド化を行い、金属張積層板23を調製した。第1のポリイミド層の厚み(L1)は2.5μmであり、絶縁樹脂層全体の厚み(L)は25μmであり、比(L/L1)は、10.0であった。発泡は確認されず、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールも確認されなかった。また、寸法変化率は「良」だった。
【0091】
[実施例20]
第1のポリイミド層及び第3のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Fを硬化後の厚みがそれぞれ2.7μmとなるように均一に塗布し、第2のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Aを硬化後の厚みが19.6μmとなるように均一に塗布したこと以外、実施例19と同様にして、金属張積層板24を調製した。第1のポリイミド層の厚み(L1)は2.7μmであり、絶縁樹脂層全体の厚み(L)は25μmであり、比(L/L1)は、9.3であった。発泡は確認されず、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールも確認されなかった。また、寸法変化率は「良」だった。
【0092】
[実施例21]
第1のポリイミド層及び第3のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Gを硬化後の厚みがそれぞれ3.2μmとなるように均一に塗布し、第2のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Aを硬化後の厚みが18.6μmとなるように均一に塗布したこと以外、実施例19と同様にして、金属張積層板25を調製した。第1のポリイミド層の厚み(L1)は3.2μmであり、絶縁樹脂層全体の厚み(L)は25μmであり、比(L/L1)は、7.8であった。発泡は確認されず、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールも確認されなかった。また、寸法変化率は「可」だった。
【0093】
[実施例22]
第1のポリイミド層及び第3のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Eを硬化後の厚みがそれぞれ1.7μmとなるように均一に塗布したこと、第2のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Aを硬化後の厚みが22μmとなるように均一に塗布したこと、並びに、ポリアミド酸溶液A及び第3のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Eを塗布後の130℃から360℃までの昇温時間を1/3に短縮したこと以外、実施例19と同様にして、金属張積層板26を調製した。第1のポリイミド層の厚み(L1)は1.7μmであり、絶縁樹脂層全体の厚み(L)は25.4μmであり、比(L/L1)は、14.9であった。発泡は確認されず、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールも確認されなかった。また、寸法変化率は「良」だった。
【0094】
[実施例23]
第1のポリイミド層及び第3のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Eを硬化後の厚みがそれぞれ1.8μmとなるように均一に塗布したこと、第2のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Aを硬化後の厚みが22μmとなるように均一に塗布したこと、並びに、ポリアミド酸溶液A及び第3のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Eを塗布後の130℃から360℃までの昇温時間を1/3に短縮したこと以外、実施例19と同様にして、金属張積層板27を調製した。第1のポリイミド層の厚み(L1)は1.8μmであり、絶縁樹脂層全体の厚み(L)は25.6μmであり、比(L/L1)は、14.2であった。発泡は確認されず、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールも確認されなかった。また、寸法変化率は「良」だった。
【0095】
[実施例24]
第1のポリイミド層及び第3のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Eを硬化後の厚みがそれぞれ2.2μmとなるように均一に塗布したこと、第2のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Aを硬化後の厚みが20μmとなるように均一に塗布したこと、並びに、ポリアミド酸溶液A及び第3のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Eを塗布後の130℃から360℃までの昇温時間を1/3に短縮したこと以外、実施例19と同様にして、金属張積層板28を調製した。第1のポリイミド層の厚み(L1)は2.2μmであり、絶縁樹脂層全体の厚み(L)は24.4μmであり、比(L/L1)は、11.1であった。発泡は確認されず、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールも確認されなかった。また、寸法変化率は「良」だった。
【0096】
[実施例25]
第1のポリイミド層及び第3のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Eを硬化後の厚みがそれぞれ2.4μmとなるように均一に塗布したこと、並びに、第2のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Dを硬化後の厚みが20.2μmとなるように均一に塗布したこと以外、実施例19と同様にして、金属張積層板29を調製した。第1のポリイミド層の厚み(L1)は2.4μmであり、絶縁樹脂層全体の厚み(L)は25μmであり、比(L/L1)は、10.4であった。発泡は確認されず、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールも確認されなかった。また、寸法変化率は「良」だった。
【0097】
[実施例26]
第1のポリイミド層及び第3のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Fを硬化後の厚みがそれぞれ2.7μmとなるように均一に塗布したこと、並びに、第2のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Dを硬化後の厚みが20μmとなるように均一に塗布したこと以外、実施例19と同様にして、金属張積層板30を調製した。第1のポリイミド層の厚み(L1)は2.7μmであり、絶縁樹脂層全体の厚み(L)は25.4μmであり、比(L/L1)は、9.4であった。発泡は確認されず、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールも確認されなかった。また、寸法変化率は「良」だった。
【0098】
[実施例27]
第1のポリイミド層及び第3のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Gを硬化後の厚みがそれぞれ3.2μmとなるように均一に塗布したこと、並びに、第2のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Dを硬化後の厚みが19μmとなるように均一に塗布したこと以外、実施例19と同様にして、金属張積層板31を調製した。第1のポリイミド層の厚み(L1)は3.2μmであり、絶縁樹脂層全体の厚み(L)は25.4μmであり、比(L/L1)は、7.9であった。発泡は確認されず、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールも確認されなかった。また、寸法変化率は「可」だった。
【0099】
[実施例28]
厚み12μmの電解銅箔上に、ポリアミド酸溶液Eを硬化後の厚みが2.0μmとなるように均一に塗布した後、120℃で溶媒の除去を行った。その上にポリアミド酸溶液Aを硬化後の厚みが50μmとなるように均一に塗布した後、120℃、3分で溶媒の除去を行った。更にその上にポリアミド酸溶液Eを硬化後の厚みが2.0μmとなるように均一に塗布した後、120℃で溶媒の除去を行い、120℃から360℃まで段階的に昇温させて溶媒の除去及びイミド化を行い、第1のポリイミド層を形成した片面金属張積層板28Bを得た。得られた片面金属張積層板28Bのポリイミド層に120W・min/mでコロナ処理を行った。次に、その上に、第2のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Aを硬化後の厚みが50μmとなるように均一に塗布、溶媒の除去した後、その上に、第3のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Eを硬化後の厚みが2.0μmとなるように均一に塗布し、120℃で3分間加熱乾燥して溶媒を除去した。その後、130℃から360℃まで段階的に昇温させてイミド化を行い、片面金属張積層板28を調製した。第1のポリイミド層の厚み(L1)は54μmであり、絶縁樹脂層全体の厚み(L)は106μmであり、比(L/L1)は、1.96であった。発泡は確認されず、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールも確認されなかった。また、寸法変化率は「良」だった。
【0100】
[実施例29]
第1のポリイミド層のうち2層を構成するためのポリアミド酸溶液E及び第3のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Eを、それぞれ硬化後の厚みが10μmとなるように均一に塗布したこと以外、実施例28と同様にして、片面金属張積層板29を調製した。第1のポリイミド層の厚み(L1)は70μmであり、絶縁樹脂層全体の厚み(L)は130μmであり、比(L/L1)は、1.86であった。発泡は確認されず、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールも確認されなかった。また、寸法変化率は「良」だった。
【0101】
[実施例30]
第1のポリイミド層のうち2層を構成するためのポリアミド酸溶液E及び第3のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Eを、それぞれポリアミド酸溶液Fとし、硬化後の厚みが2.0μmとなるように均一に塗布したこと、第2のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Bを硬化後の厚みが50μmとなるように均一に塗布したこと以外、実施例28と同様にして、片面金属張積層板30を調製した。第1のポリイミド層の厚み(L1)は54μmであり、絶縁樹脂層全体の厚み(L)は106μmであり、比(L/L1)は、1.96であった。発泡は確認されず、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールも確認されなかった。また、寸法変化率は「良」だった。
【0102】
[実施例31]
第1のポリイミド層のうち2層を構成するためのポリアミド酸溶液F及び第3のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Fを、それぞれ硬化後の厚みが10μmとなるように均一に塗布したこと以外、実施例30と同様にして、片面金属張積層板31を調製した。第1のポリイミド層の厚み(L1)は70μmであり、絶縁樹脂層全体の厚み(L)は130μmであり、比(L/L1)は、1.86であった。発泡は確認されず、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールも確認されなかった。また、寸法変化率は「良」だった。
【0103】
比較例5
コロナ処理を行わなかったこと以外、実施例19と同様にして、金属張積層板32を調製したところ、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールが確認された。
【0104】
比較例6
コロナ処理を行わなかったこと以外、実施例20と同様にして、金属張積層板33を調製したところ、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールが確認された。
【0105】
比較例7
コロナ処理を行わなかったこと以外、実施例21と同様にして、金属張積層板34を調製したところ、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールが確認された。
【0106】
比較例8
コロナ処理を行わなかったこと以外、実施例22と同様にして、金属張積層板35を調製したところ、発泡が確認された。
【0107】
比較例9
コロナ処理を行わなかったこと以外、実施例23と同様にして、金属張積層板36を調製したところ、発泡が確認された。
【0108】
比較例10
コロナ処理を行わなかったこと以外、実施例24と同様にして、金属張積層板37を調製したところ、発泡が確認された。
【0109】
以上、本発明の実施の形態を例示の目的で詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に制約されることはない。
【符号の説明】
【0110】
10…金属層、10A…金属箔、20…第1のポリイミド層、20A…第1のポリアミド樹脂層、30…第2のポリイミド層、30A…第2のポリアミド樹脂層、40…絶縁樹脂層、100…金属張積層板
図1
図2
図3