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特許7574074硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物および電子部品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物および電子部品
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/00 20060101AFI20241021BHJP
   C08K 5/13 20060101ALI20241021BHJP
   C08K 5/3477 20060101ALI20241021BHJP
   C08L 101/08 20060101ALI20241021BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20241021BHJP
   G03F 7/032 20060101ALI20241021BHJP
   C08G 59/26 20060101ALN20241021BHJP
【FI】
C08L101/00
C08K5/13
C08K5/3477
C08L101/08
G03F7/004 502
G03F7/004 512
G03F7/032
C08G59/26
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020213860
(22)【出願日】2020-12-23
(65)【公開番号】P2021138916
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-11-21
(31)【優先権主張番号】P 2020039156
(32)【優先日】2020-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591021305
【氏名又は名称】太陽ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】福田 晋一朗
(72)【発明者】
【氏名】宮部 英和
【審査官】松村 駿一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-225478(JP,A)
【文献】特開平08-041300(JP,A)
【文献】特開平01-108237(JP,A)
【文献】特開2015-193786(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 101/00
C08K 5/13
C08K 5/3477
C08L 101/08
G03F 7/004
G03F 7/032
C08G 59/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ヒンダードフェノール系酸化防止剤と、(B)熱硬化性成分と、(C)アルカリ可溶性樹脂と、(D)光重合開始剤とを含有する硬化性樹脂組成物であって、
(A)ヒンダードフェノール系酸化防止剤が、
(A1)20℃の蒸気圧が1.0×10-7Pa以下であり、エステル骨格を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤と、
(A2)イソシアヌレート構造を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤と、
を少なくとも含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
(A1)20℃の蒸気圧が1.0×10-7Pa以下であり、エステル骨格を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤および(A2)イソシアヌレート構造を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤の配合量が、固形分換算で、(B)熱硬化性成分および(C)アルカリ可溶性樹脂の合計100質量部に対してそれぞれ0.1質量部以上5.0質量部以下であることを特徴とする請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の硬化性樹脂組成物を樹脂層として有することを特徴とするドライフィルム。
【請求項4】
請求項1若しくは2に記載の硬化性樹脂組成物、又は請求項に記載のドライフィルムの樹脂層を硬化したことを特徴とする硬化物。
【請求項5】
請求項に記載の硬化物を有することを特徴とする電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性樹脂組成物およびそのドライフィルム、これらの硬化物並びにその硬化物を有する電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板には、回路パターンの導体層を有する基板上に、ソルダーレジストが形成される。ソルダーレジストに限らず、プリント配線板の層間絶縁材やフレキシブルプリント配線板のカバーレイ等の永久保護膜の材料としては、従来、種々の硬化性樹脂組成物が提案されている。
【0003】
なかでも、環境問題への配慮から、現像液として希アルカリ水溶液を用いるアルカリ現像型の硬化性樹脂組成物が多いが、これに限られず、インクを印刷版のメッシュを通してパネルの上に押し出して印刷するスクリーン印刷用の硬化性樹脂組成物も存在する。
【0004】
このような硬化性樹脂組成物としては種々の用途のものが存在するが、その一例として、発光ダイオード(LED)等の発光素子が実装されるプリント配線板の絶縁層として好適な、高反射率の白色の硬化性樹脂組成物が知られている。高反射率の絶縁層とすることでLED等の光源からの光の利用の効率化が図られる。白色の硬化性樹脂組成物とするには、二酸化チタンなどの白色着色剤を添加することが一般的である。しかしながら、白色の場合、熱により変色すると劣化が視認しやすいという問題がある。また、白色の硬化物に限らず、透明の硬化物や、着色剤の添加量が少ない硬化物においてもこの問題は当てはまる。
【0005】
特許文献1は、フェノール系酸化防止剤としてIrganox1010を含有する感光性および熱硬化性の樹脂組成物を開示する。この樹脂組成物によれば、製造時のはんだリフローを想定した加熱条件での黄変抑制効果が示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-108523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の樹脂組成物によれば、製造時の加熱条件での黄変抑制効果が示されているものの、黄変抑制効果としてこの効果で十分であるということはできない。具体的には、発光ダイオード(LED)等の発光素子が実装されるプリント配線板においては、長期間LED光源の光に硬化性樹脂組成物を用いた絶縁層がさらされることによる長期的な黄変の問題があることが発明者らの検討により明らかになってきた。
【0008】
前記課題を鑑みた本発明の目的は、熱硬化時の黄変を防止できるだけでなく、紫外線による長期的な黄変をも防止し得る硬化性樹脂組成物、硬化性樹脂組成物から得られる樹脂層を有するドライフィルム、これらの硬化物、およびその硬化物を有する電子部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明者らは、上記目的達成に向け鋭意検討を行った。その結果、硬化性樹脂組成物中に特定の酸化防止剤の組み合わせを採用することで上記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の上記目的は、
(A)ヒンダードフェノール系酸化防止剤と、(B)熱硬化性成分とを含有する組成物であって、
(A)ヒンダードフェノール系酸化防止剤が、
(A1)20℃の蒸気圧が1.0×10-7Pa以下であり、エステル骨格を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤と、
(A2)イソシアヌレート構造を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤と、
を少なくとも含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物により達成されることが見出された。
【0011】
本発明の硬化性樹脂組成物は、また、(C)アルカリ可溶性樹脂と、(D)光重合開始剤と、を含むことが好ましく、(C)アルカリ可溶性樹脂が、カルボキシル基含有フッ素樹脂を含むことがさらに好ましい。
【0012】
さらに、(A1)20℃の蒸気圧が1.0×10-7Pa以下であり、エステル骨格を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤および(A2)イソシアヌレート構造を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤の配合量が、固形分換算で、(B)熱硬化性成分および(C)アルカリ可溶性樹脂の合計100質量部に対してそれぞれ0.1質量部以上5.0質量部以下であることが好ましい。
【0013】
さらに、上記目的は、本発明の硬化性樹脂組成物を樹脂層として有するドライフィルム、
本発明の硬化性樹脂組成物、またはドライフィルムの樹脂を硬化した硬化物、および
この硬化物を有する電子部品
によっても達成することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の硬化性樹脂組成物によれば、硬化性樹脂組成物の熱硬化時の黄変及び硬化後の硬化物の紫外線照射による黄変を抑制することができる。したがって、例えば、白色、透明、半透明、着色剤の添加量が少ない硬化物に適用された場合に、黄変による影響が小さい硬化物を形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<硬化性樹脂組成物>
本発明の硬化性樹脂組成物は、
(A)ヒンダードフェノール系酸化防止剤と、(B)熱硬化性成分とを含有する組成物であって、
(A)ヒンダードフェノール系酸化防止剤が、
(A1)20℃の蒸気圧が1.0×10-7Pa以下であり、エステル骨格を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤と、
(A2)イソシアヌレート構造を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤と、
を少なくとも含む。
【0016】
[(A)ヒンダードフェノール系酸化防止剤]
(A)ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、塗膜にかかる熱が原因の劣化による黄変、および硬化物への長期間の紫外線の暴露による劣化による黄変を抑制するために、(A1)20℃の蒸気圧が1.0×10-7Pa以下であり、エステル骨格を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤と、(A2)イソシアヌレート構造を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤と、を少なくとも含むかたちで硬化性樹脂組成物中に配合される。これら(A1)および(A2)成分の併用により、硬化物を形成する際の熱硬化における黄変を抑制し、かつ、硬化物への長期間の紫外線の暴露による黄変も抑制することができる。これらの作用により、長期間の紫外線により暴露された後でも黄変が少なく反射率の高い白色硬化物を維持することができる。
【0017】
(A1)20℃の蒸気圧が1.0×10-7Pa以下であり、エステル骨格を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9-ビス{2-[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオキニルオキシ]-1,1-ジメチルエチル}-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、エチレンビス(オキシエチレン)ビス-(3-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)プロピオネート)、ヘキサメチレンビス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、などが挙げられる。
【0018】
(A1)20℃の蒸気圧が1.0×10-7Pa以下であり、エステル骨格を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤の市販品としては、アデカスタブ AO-60、アデカスタブ AO-80(以上、ADEKA社製)、Irganox 245、Irganox 259、Irganox 1010(以上、BASFジャパン社製)、スミライザー GA-80(住友化学工業社製)を用いることができるが、これらに限られるものではない。
【0019】
また、(A1)20℃の蒸気圧が1.0×10-7Pa以下であり、エステル骨格を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、20℃の蒸気圧が5.0×10-8Pa以下のものを用いることが、加熱又は加温に伴う硬化性樹脂組成物からのヒンダードフェノール系酸化防止剤の揮発を防ぐ観点から好ましく、20℃の蒸気圧が1.0×10-9Pa以下のものを用いることがさらに好ましい。
【0020】
(A2)イソシアヌレート構造を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、式(1)
【化1】
のイソシアヌレート構造を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤であればどのようなものであってもよいが、
好ましくは、式(2)
【化2】
(式(2)中、R、R、Rは、それぞれ、水素原子、炭素数1個以上4個以下の直鎖状または分岐状の炭化水素基、および3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル基である(ただし、R~Rの少なくとも1個が3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル基である))
で表される化合物であり、なかでも、R~Rが全て3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル基である式(2)で表される化合物であることが特に好ましい。
【0021】
(A2)イソシアヌレート構造を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤の市販品としては、アデカスタブ AO-20(ADEKA社製)、Irganox 3114(BASFジャパン社製)、K-NOX 014(三洋貿易社製)、日本サイテックインダストリーズ社製のサイアノックス1790などが挙げられる。
【0022】
(A1)20℃の蒸気圧が1.0×10-7Pa以下であり、エステル骨格を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤および(A2)イソシアヌレート構造を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤の配合量は、固形分換算で、(B)熱硬化性成分及び(C)アルカリ可溶性樹脂の合計100質量部((C)アルカリ可溶性樹脂を含有しない場合は、(B)熱硬化性成分100質量部)に対してそれぞれ0.1質量部以上5.0質量部以下であることが好ましく、それぞれ0.2質量部以上4質量部以下であることがさらに好ましく、それぞれ0.4質量部以上2質量部以下であることがさらに好ましい。
【0023】
(A1)20℃の蒸気圧が1.0×10-7Pa以下であり、エステル骨格を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤および(A2)イソシアヌレート構造を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤の配合量が、固形分換算で、(B)熱硬化性成分及び(C)アルカリ可溶性樹脂の合計100質量部((C)アルカリ可溶性樹脂を含有しない場合は、(B)熱硬化性成分100質量部)に対してそれぞれ0.1質量部以上であることで、白色、透明、半透明の及び少量の顔料・着色剤を含む硬化性樹脂組成物の中で黄変が目立たなくなる効果が期待できる。
【0024】
また、(A1)20℃の蒸気圧が1.0×10-7Pa以下であり、エステル骨格を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤および(A2)イソシアヌレート構造を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤の配合量が、固形分換算で、(B)熱硬化性成分及び(C)アルカリ可溶性樹脂の合計100質量部((C)アルカリ可溶性樹脂を含有しない場合は、(B)熱硬化性成分100質量部)に対してそれぞれ5質量部以下であることで、ヒンダードフェノール系酸化防止剤に起因する黄変を防止する効果が期待できる。
【0025】
[(B)熱硬化性成分]
(B)熱硬化性成分は、本発明の硬化性樹脂組成物を熱硬化させるために添加される。
【0026】
熱硬化性成分としては、イソシアネート化合物、アミノ樹脂、マレイミド化合物、ベンゾオキサジン樹脂、カルボジイミド樹脂、シクロカーボネート化合物、エポキシ化合物、多官能オキセタン化合物、エピスルフィド樹脂などの公知慣用の熱硬化性成分が使用できる。
【0027】
本発明では、特にエポキシ樹脂が好ましく用いられる。
【0028】
エポキシ樹脂としては、1分子中に少なくとも2つのエポキシ基を有する公知慣用の多官能エポキシ樹脂が使用できる。エポキシ樹脂は、液体のものであってもよく、固形又は半固形のものであってもよい。ここで、液体、固形、半固形とは、それぞれ、30℃におけるエポキシ樹脂の状態をいう。
【0029】
エポキシ樹脂としては、例えば、三菱ケミカル社製のjER828、jER834、jER1001、jER1004、DIC社製のEPICLON 840、850、850-S、1050、2055、日鉄ケミカル&マテリアル社製のエポトートYD-011、YD-013、YD-127、YD-128、ダウケミカル社製のD.E.R.317、D.E.R.331、D.E.R.661、D.E.R.664、住友化学社製のスミ-エポキシESA-011、ESA-014、ELA-115、ELA-128等(何れも商品名)のビスフェノールA型エポキシ樹脂;三菱ケミカル社製のjERYL903、DIC社製のEPICLON 152、165、日鉄ケミカル&マテリアル社製のエポトートYDB-400、YDB-500、ダウケミカル社製のD.E.R.542、住友化学社製のスミ-エポキシESB-400、ESB-700等(何れも商品名)のブロム化エポキシ樹脂;三菱ケミカル社製のjER152、jER154、ダウケミカル社製のD.E.N.431、D.E.N.438、DIC社製のEPICLON N-730、N-770、N-865、日本化薬社製のEPPN-201、EOCN-1025、EOCN-1020、EOCN-104S、RE-306、NC-3000、住友化学社製のスミ-エポキシESCN-195X、ESCN-220、日鉄ケミカル&マテリアル社製のYDCN-700-2、YDCN-700-3、YDCN-700-5、YDCN-700-7、YDCN-700-10、YDCN-701、YDCN-704、YDCN-704A、DIC社製のEPICLON N-680、N-690、N-695(いずれも商品名)等のノボラック型エポキシ樹脂;DIC社製のEPICLON 830、三菱ケミカル社製jER807、日鉄ケミカル&マテリアル社製のエポトートYDF-170、YDF-175、YDF-2004等(何れも商品名)のビスフェノールF型エポキシ樹脂;日鉄ケミカル&マテリアル社製のエポトートST-2004、ST-2007、ST-3000(商品名)、三菱ケミカル社製のYX8034等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂;三菱ケミカル社製のjER604、日鉄ケミカル&マテリアル社製のエポトートYH-434、住友化学社製のスミ-エポキシELM-120等(何れも商品名)のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ヒダントイン型エポキシ樹脂;ダイセル社ダイセル社製のセロキサイド2021等(何れも商品名)の脂環式エポキシ樹脂;三菱ケミカル社製のYL-933、日本化薬社製のEPPN-501、EPPN-502等(何れも商品名)のトリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂;三菱ケミカル社製のYL-6056、YX-4000、YL-6121(何れも商品名)等のビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂又はそれらの混合物;日本化薬社製EBPS-200、ADEKA社製EPX-30、DIC社製のEXA-1514(商品名)等のビスフェノールS型エポキシ樹脂;三菱ケミカル社製のjER157S(商品名)等のビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂;三菱ケミカル社製のjERYL-931等(何れも商品名)のテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂;日産化学社製のTEPIC等(何れも商品名)の複素環式エポキシ樹脂;日油社製ブレンマーDGT等のジグリシジルフタレート樹脂;日鉄ケミカル&マテリアル社製ZX-1063等のテトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂;日鉄ケミカル&マテリアル社製ESN-190、ESN-360、DIC社製HP-4032、EXA-4750、EXA-4700等のナフタレン基含有エポキシ樹脂;DIC社製HP-7200、HP-7200H等のジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂;日油社製CP-50S、CP-50M等のグリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂;さらにシクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートの共重合エポキシ樹脂;CTBN変性エポキシ樹脂(例えば日鉄ケミカル&マテリアル社製のYR-102、YR-450等)等が挙げられるが、これらに限られるものではない。
【0030】
中でも、樹脂中にベンゼン環を含まないエポキシ樹脂であることが好ましく、例えば、TEPIC-S、TEPIC-VL、TEPIC-PAS、TEPIC-UC等(何れも日産化学社製)の複素環式エポキシ樹脂、セロキサイド2000、セロキサイド2021、セロキサイド2081等(何れもダイセル社製)の脂環式エポキシ樹脂を(B)熱硬化性成分として用いることが好ましい。
【0031】
(B)熱硬化性成分の配合量は、後述する(C)アルカリ可溶性樹脂との合計量でその配合量が規定される。すなわち、(B)熱硬化性成分および後述する(C)アルカリ可溶性樹脂の合計量は、固形物換算で硬化性組成物の5.5質量%以上75質量%以下であり、好ましくは、11質量%以上70質量%以下であり、さらに好ましくは、21.5質量%以上58質量%以下である。
【0032】
(B)熱硬化性成分および(C)アルカリ可溶性樹脂の合計量が、固形物換算で硬化性樹脂組成物の5.5質量%以上75質量%以下であることで、良好な塗膜強度を確保しつつ、粘度が良好で塗布性にも優れた硬化性樹脂組成物とすることができる。
【0033】
[(C)アルカリ可溶性樹脂]
(C)アルカリ可溶性樹脂は、硬化性樹脂組成物のアルカリ現像液への溶解、すなわち、アルカリ溶液での現像を可能とする樹脂であり、本発明の硬化性樹脂組成物をアルカリ現像型のものとする場合に(C)アルカリ可溶性樹脂が配合される。
【0034】
(C)アルカリ可溶性樹脂としては、カルボキシル基含有樹脂またはフェノール樹脂を用いると好ましい。特に、カルボキシル基含有樹脂を用いると現像性の面からより好ましい。
【0035】
カルボキシル基含有樹脂としては、分子中にカルボキシル基を有し、さらにエチレン性不飽和基を有さない(非感光性の)、又はこれを有する(感光性の)従来公知の各種カルボキシル基含有樹脂を使用することができるが、硬化性樹脂組成物を光硬化性にすることや耐現像性の観点から、エチレン性不飽和基を有する(感光性の)ものを使用することが好ましい。
【0036】
なお、エチレン性不飽和基とは、エチレン性不飽和結合を有する官能基であって、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基が挙げられ、反応性の観点から、(メタ)アクリロイル基であることが好ましい。ここで、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基及びメタアクリロイル基を総称する用語である。
【0037】
本発明の硬化性樹脂組成物に用いることができるカルボキシル基含有樹脂の具体例としては、以下に列挙するような化合物(オリゴマーおよびポリマーのいずれでもよい)が挙げられる。
【0038】
(1)(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸と、スチレン、α-メチルスチレン、低級アルキル(メタ)アクリレート、イソブチレン等の不飽和基含有化合物との共重合により得られるカルボキシル基含有樹脂。
【0039】
(2)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネートと、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のカルボキシル基含有ジアルコール化合物及びポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキシド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基及びアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
【0040】
(3)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネート化合物と、ポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキシド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基及びアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるウレタン樹脂の末端に酸無水物を反応させてなる末端カルボキシル基含有ウレタン樹脂。
【0041】
(4)ジイソシアネートと、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂の(メタ)アクリレートもしくはその部分酸無水物変性物、カルボキシル基含有ジアルコール化合物及びジオール化合物の重付加反応による感光性カルボキシル基含有ウレタン樹脂。
【0042】
(5)上記(2)または(4)の樹脂の合成中に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の分子中に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
【0043】
(6)上記(2)または(4)の樹脂の合成中に、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの等モル反応物など、分子中に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
【0044】
(7)多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、側鎖に存在する水酸基に無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の2塩基酸無水物を付加させた感光性カルボキシル基含有樹脂。
【0045】
(8)2官能エポキシ樹脂の水酸基をさらにエピクロロヒドリンでエポキシ化した多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、生じた水酸基に2塩基酸無水物を付加させた感光性カルボキシル基含有樹脂。
【0046】
(9)後述するような多官能オキセタン樹脂にジカルボン酸を反応させ、生じた1級の水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有ポリエステル樹脂。
【0047】
(10)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンオキシド、プロピレンオキシドなどのアルキレンオキシドとを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0048】
(11)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの環状カーボネート化合物とを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0049】
(12)1分子中に複数のエポキシ基を有するエポキシ化合物に、p-ヒドロキシフェネチルアルコール等の1分子中に少なくとも1個のアルコール性水酸基と1個のフェノール性水酸基を有する化合物と、(メタ)アクリル酸等の不飽和基含有モノカルボン酸とを反応させ、得られた反応生成物のアルコール性水酸基に対して、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、アジピン酸等の多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0050】
(13)上記(1)~(12)のいずれかの樹脂にさらにグリシジル(メタ)アクリレート、α-メチルグリシジル(メタ)アクリレート等の分子中に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加してなる感光性カルボキシル基含有樹脂。
【0051】
上記のようなカルボキシル基含有樹脂は、バックボーン・ポリマーの側鎖に多数のカルボキシル基を有するため、希アルカリ水溶液による現像が可能になる。
【0052】
さらに、(C)アルカリ可溶性樹脂が、カルボキシル基含有フッ素樹脂を含むことが好ましい。
【0053】
カルボキシル基含有フッ素樹脂としては、公知のカルボキシル基を含むフッ素樹脂を用いることができる。フッ素樹脂とは、少なくとも1つのフッ素原子を有するポリマーまたはオリゴマーのことをいう。アルカリ可溶性樹脂中にフッ素原子が存在することで、熱変色耐性を向上させることができる。
【0054】
本発明の硬化性樹脂組成物に用いることができるカルボキシル基含有フッ素樹脂の具体例としては、以下に列挙するような化合物(オリゴマー及びポリマーのいずれでもよい)が挙げられる。なお、以下に記述される「フッ素置換物」とは、所定の化合物の官能基を構成する水素原子以外の水素原子の1つ以上がフッ素で置換された化合物のことをいう。
【0055】
(1)(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸と、スチレン、α-メチルスチレン、アルキル(メタ)アクリレート(アルキルは、例えば、炭素原子数が2~15、好ましくは2~8のアルキルである)、イソブチレン等の不飽和基含有化合物のフッ素置換物との共重合により得られるカルボキシル基含有フッ素樹脂。
【0056】
(2)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネートと、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のカルボキシル基含有ジアルコール化合物及びポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキシド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基及びアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂であって、記述した原料の少なくとも1つがフッ素置換物である、カルボキシル基及びウレタン結合を含有するフッ素樹脂。
【0057】
(3)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネート化合物と、ポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキシド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基及びアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるウレタン樹脂の末端に酸無水物を反応させてなる末端カルボキシル基含有ウレタン樹脂であって、記述した原料の少なくとも1つがフッ素置換物である、カルボキシル基及びウレタン結合を含有するフッ素樹脂。
【0058】
(4)ジイソシアネートと、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂の(メタ)アクリレートもしくはその部分酸無水物変性物、カルボキシル基含有ジアルコール化合物及びジオール化合物の重付加反応による感光性カルボキシル基含有ウレタン樹脂であって、記述した原料の少なくとも1つがフッ素置換物である、カルボキシル基及びウレタン結合を含有するフッ素樹脂。
【0059】
(5)上記(2)または(4)の樹脂の合成中に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の分子中に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基及びウレタン結合を含有するフッ素樹脂。
【0060】
(6)上記(2)または(4)の樹脂の合成中に、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの等モル反応物など、分子中に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基及びウレタン結合を含有するフッ素樹脂。
【0061】
(7)多官能エポキシ樹脂のフッ素置換物に(メタ)アクリル酸を反応させ、側鎖に存在する水酸基に無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の2塩基酸無水物を付加させた感光性カルボキシル基含有フッ素樹脂。
【0062】
(8)2官能エポキシ樹脂の水酸基をさらにエピクロロヒドリンでエポキシ化した多官能エポキシ樹脂のフッ素置換物に(メタ)アクリル酸を反応させ、生じた水酸基に2塩基酸無水物を付加させた感光性カルボキシル基含有フッ素樹脂。
【0063】
(9)後述するような多官能オキセタン樹脂のフッ素置換物にジカルボン酸を反応させ、生じた1級の水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基及びエステル結合を含有するフッ素樹脂。
【0064】
(10)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物のフッ素置換物とエチレンオキシド、プロピレンオキシドなどのアルキレンオキシドとを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性フッ素樹脂。
【0065】
(11)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物のフッ素置換物とエチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの環状カーボネート化合物とを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性フッ素樹脂。
【0066】
(12)1分子中に複数のエポキシ基を有するエポキシ化合物のフッ素置換物に、p-ヒドロキシフェネチルアルコール等の1分子中に少なくとも1個のアルコール性水酸基と1個のフェノール性水酸基を有する化合物と、(メタ)アクリル酸等の不飽和基含有モノカルボン酸とを反応させ、得られた反応生成物のアルコール性水酸基に対して、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、アジピン酸等の多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性フッ素樹脂。
【0067】
(13)上記(1)~(12)のいずれかの樹脂にさらにグリシジル(メタ)アクリレート、α-メチルグリシジル(メタ)アクリレート等の分子中に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加してなる感光性カルボキシル基含有フッ素樹脂。
【0068】
上述したフッ素置換物は、所定の化合物をフッ素化することにより得ることができる。フッ素化方法としては、公知の方法でよく、例えば、低温フッ素化、接触フッ素化、水溶液フッ素化、液相フッ素化、固相フッ素化、気相フッ素化などを採用することができる。
【0069】
なお、(C)アルカリ可溶性樹脂としてカルボキシル基含有フッ素樹脂を用いる場合、市販品としては、例えば、新中村化学社製のカルボキシル基含有フッ素樹脂(製品名:TIF-1、TIF-2、TIF-3)を使用することができる。
【0070】
また、上記(C)アルカリ可溶性樹脂の酸価は、20~200mgKOH/gの範囲が好ましく、より好ましくは40~150mgKOH/gの範囲である。(C)アルカリ可溶性樹脂の酸価が20mgKOH/g以上の場合、塗膜の密着性が良好となり、アルカリ現像が良好となる。一方、酸価が200mgKOH/g以下の場合には、現像液による露光部の溶解を抑制できるために、必要以上にラインが痩せたり、場合によっては、露光部と未露光部の区別なく現像液で溶解剥離したりすることを抑制して、良好にレジストパターンを描画することができる。
【0071】
また、本発明で用いる(C)アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は、樹脂骨格により異なるが、2,000~150,000、さらには5,000~100,000の範囲が好ましい。重量平均分子量が2,000以上の場合、タックフリー性能が良好であり、露光後の塗膜の耐湿性が良好で、現像時に膜減りを抑制し、解像度の低下を抑制できる。一方、重量平均分子量が150,000以下の場合、現像性が良好で、貯蔵安定性にも優れる。
【0072】
本発明の硬化性樹脂組成物中に(C)アルカリ可溶性樹脂が含まれる場合、その配合量は、固形物換算で硬化性樹脂組成物中に、好ましくは5質量%以上60質量%以下、より好ましくは10質量%以上60質量%以下、さらに好ましくは15質量%以上60質量%以下、特に好ましくは20質量%以上50質量%以下である。5質量%以上60質量%以下の場合、塗膜強度が良好であり、組成物の粘性が適度で、塗布性等が向上する。
【0073】
[(D)光重合開始剤]
【0074】
本発明の硬化性樹脂組成物がアルカリ現像型である場合、露光工程での組成物の光硬化を可能にするため、(D)光重合開始剤が硬化性樹脂組成物中に配合される。(D)光重合開始剤としては、光重合開始剤や光ラジカル発生剤として公知のものであれば、いずれのものを用いることもできる。
【0075】
(D)光重合開始剤としては、例えば、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-4-プロピルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-1-ナフチルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド等のビスアシルフォスフィンオキサイド類;2,6-ジメトキシベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6-ジクロロベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィン酸メチルエステル、2-メチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ピバロイルフェニルフォスフィン酸イソプロピルエステル、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等のモノアシルフォスフィンオキサイド類;1-ヒドロキシ-シクロヘキシルフェニルケトン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン等のヒドロキシアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンジル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインn-プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn-ブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾインアルキルエーテル類;ベンゾフェノン、p-メチルベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、メチルベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;アセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノ-1-プロパノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル)-1-[4- (4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、N,N-ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン類;チオキサントン、2-エチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アントラキノン、クロロアントラキノン、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-tert-ブチルアントラキノン、1-クロロアントラキノン、2-アミルアントラキノン、2-アミノアントラキノン等のアントラキノン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;エチル-4-ジメチルアミノベンゾエート、2-(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート、p-ジメチル安息香酸エチルエステル等の安息香酸エステル類;1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)等のオキシムエステル類;ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)フェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)-ビス[2,6-ジフルオロ-3-(2-(1-ピル-1-イル)エチル)フェニル]チタニウム等のチタノセン類;フェニルジスルフィド2-ニトロフルオレン、ブチロイン、アニソインエチルエーテル、アゾビスイソブチロニトリル、テトラメチルチウラムジスルフィド等を挙げることができる。これらの中でもモノアシルフォスフィンオキサイド類、オキシムエステル類が好ましく、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)がより好ましい。(D)光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0076】
(D)光重合開始剤の配合量は、(C)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01~30質量部、より好ましくは0.01~20質量部である。(D)光重合開始剤の配合量が、0.01質量部以上の場合、光硬化性が良好となり、塗膜が剥離しにくく塗膜特性が良好となり、(D)光重合開始剤の配合量が、30質量部以下の場合、(D)光重合開始剤の光吸収が良好となり、深部硬化性が向上する。
【0077】
[エチレン性不飽和基を有する化合物]
本発明の硬化性樹脂組成物は、エチレン性不飽和基を有する化合物として公知慣用の光重合性モノマーを含んでもよい。エチレン性不飽和基を有する化合物は、分子中に1個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物であり、活性エネルギー線照射によるアルカリ可溶性樹脂の光硬化を助け、硬化性樹脂組成物を硬化させるものである。
【0078】
前記エチレン性不飽和基を有する化合物として用いられる化合物としては、例えば、慣用公知のポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、カーボネート(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。具体的には、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレートなどのヒドロキシアルキルアクリレート類;エチレングリコール、メトキシテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコールのジアクリレート類;N,N-ジメチルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどのアクリルアミド類;N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリレートなどのアミノアルキルアクリレート類;ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス-ヒドロキシエチルイソシアヌレートなどの多価アルコール又はこれらのエチレオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物、もしくはε-カプロラクトン付加物などの多価アクリレート類;フェノキシアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、及びこれらのフェノール類のエチレンオキサイド付加物もしくはプロピレンオキサイド付加物などの多価アクリレート類;グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレートなどのグリシジルエーテルの多価アクリレート類;前記に限らず、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートジオール、水酸基末端ポリブタジエン、ポリエステルポリオールなどのポリオールを直接アクリレート化、もしくは、ジイソシアネートを介してウレタンアクリレート化したアクリレート類及びメラミンアクリレート、及び前記アクリレートに対応する各メタクリレート類の少なくとも何れか一種などが挙げられる。
【0079】
中でも、エチレン性不飽和基を有する化合物がベンゼン環を含まないモノマーであることが好ましい。また、光硬化後の硬化物の強度向上の観点から、エチレン性不飽和基を有する化合物が、環式化合物(但し、ベンゼン環を含まない)を含むことが好ましい。
【0080】
環式化合物(但し、ベンゼン環を含まない)であるエチレン性不飽和基を有する化合物の市販品としては、A-DCP、A-9300、A-9300YN、A-9300-1CL、DCP(以上、新中村化学社製)、A1208、D3380、M0594、T2325(以上、東京化成工業社製)、M-215、M-313、M-315(以上、東亞合成社製)、Photomer4356(以上、IGM Resins社製)、FA-731A(以上、日立化成社製)等が挙げられる。
【0081】
さらに、エチレン性不飽和基を有する化合物は、分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物であることが好ましい。
【0082】
エチレン性不飽和基を有する化合物が配合される場合、その配合量は、(C)アルカリ可溶性樹脂の合計100質量部に対して固形分換算で、10質量部以上60質量部以下の割合であり、15質量部以上50質量部以下の割合であることが好ましく、20質量部以上40質量部以下であることがより好ましい。
【0083】
(C)エチレン性不飽和基を有する化合物の配合量が(C)アルカリ可溶性樹脂の合計100質量部に対して固形分換算で、10質量部以上60質量部以下の範囲内であることで、硬化性樹脂組成物の光硬化性に優れ、現像時にパターンニングが良好となり、タック性(指触乾燥性)も良好となる。
【0084】
[白色着色剤]
本発明の硬化性樹脂組成物が、高反射率の絶縁層を製造する用途に用いられる場合には、硬化性樹脂組成物中に白色着色剤が配合されることが好ましい。
【0085】
白色着色剤としては、酸化チタン、酸化亜鉛、チタン酸カリウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、鉛白、硫化亜鉛、チタン酸鉛等が挙げられるが、熱による変色の抑制効果が高いことから、酸化チタンを用いることが好ましい。白色着色剤を含有させることで、本発明の組成物を白色とすることができ、高い反射率を得ることが可能となる。
【0086】
酸化チタンとしては、ルチル型、アナターゼ型、ラムスデライト型のいずれの構造の酸化チタンであってもよく、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。このうちラムスデライト型酸化チタンは、ラムスデライト型Li0.5TiOに化学酸化によるリチウム脱離処理を施すことで得られる。
【0087】
上記のうち、ルチル型酸化チタンを用いると、耐熱性をより向上することができるとともに、光照射に起因する変色を起こしにくくなり、厳しい使用環境下でも品質を低下しにくくすることができるので、好ましい。特に、アルミナ等のアルミニウム酸化物やシリカにより表面処理されたルチル型酸化チタンを用いることで、光に対する劣化を抑え、反射率や耐熱性をさらに向上することができる。また、上記表面処理した上にさらに別の表面処理をすることもできる。特に、アルミナで表面処理した上にジルコニアでさらに表面処理することで、反射率をより一層向上させることができる。白色着色剤として酸化チタンを用いる場合、全酸化チタン中の、アルミニウム酸化物により表面処理されたルチル型酸化チタンの含有量は、好適には10質量%以上、より好適には30質量%以上であり、上限は100質量%以下であって、すなわち、酸化チタンの全量が、上記アルミニウム酸化物により表面処理されたルチル型酸化チタンであってもよい。上記アルミニウム酸化物により表面処理されたルチル型酸化チタンとしては、例えば、ルチル型塩素法酸化チタンである石原産業(株)製のCR-58や、ルチル型硫酸法酸化チタンである同社製のR-630等が挙げられる。また、ケイ素酸化物により表面処理されたルチル型酸化チタンを用いることも好ましく、この場合も、耐熱性をさらに向上することができる。さらに、アルミニウム酸化物とケイ素酸化物との双方で表面処理されたルチル型酸化チタンを用いることも好ましく、例えば、ルチル型塩素法酸化チタンである石原産業(株)製のCR-90等が挙げられる。
【0088】
さらに、酸化チタンに硫黄が含有されている場合があるが、その硫黄量は、100ppm以下が好ましく、60ppm以下がより好ましい。硫黄量が100ppm以下であると、発生する硫黄ガスによる周辺部の変色が生じないからである。
【0089】
このような白色着色剤の配合量は、硬化性樹脂組成物中の固形分(樹脂組成物が有機溶剤を含有する場合には、有機溶剤を除く成分)に対して、好ましくは5~80質量%の範囲、より好ましくは10~70質量%の範囲である。
【0090】
[シリカ粉末]
本発明の硬化性樹脂組成物には、必要によりチキソトロピーを付与するため、シリカ粉末が配合されていてもよい。チキソトロピーとは、塗料などの流動体において、流動と静置によって見かけの粘度が可逆的に変化する現象をいう。
【0091】
本発明で使用されるシリカ粉末としては、天然シリカおよび合成シリカの双方を使用可能であるが、一般には、品質の安定した合成シリカが用いられる。
【0092】
本発明で使用するシリカ粉末としては、合成または天然の結晶性シリカの粉砕品、溶融シリカの粉砕品、または溶融シリカの球形加工品、または合成球形シリカ、合成微粉シリカなどが使用できる。
【0093】
合成シリカ、すなわち含水非晶質二酸化ケイ素(SiO・nHO)は、反応槽で珪酸ナトリウム溶液(水ガラス)と硫酸とを反応させることにより製造され、反応条件に応じて形状や粒径を管理し、合成球形シリカ、または合成微粉シリカとすることができる。
【0094】
本発明で好ましく使用されるシリカ粉末としては、例えばAerosil 90、Aerosil 130、Aerosil 150、Aerosil 200、Aerosil 225、Aerosil 300、Aerosil 380、Aerosil OX50、Aerosil TT6600、Aerosil R104、Aerosil R106、Aerosil R202、Aerosil R711、Aerosil R805、Aerosil R812、Aerosil R816、Aerosil R972、Aerosil R974、Aerosil R7200、Aerosil R8200、Aerosil R9200(以上、日本アエロジル社製)、ACEMATT 82、ACEMATT HK125、ACEMATT HK400、ACEMATT HK460、ACEMATT TS100、ACEMATT 82(以上、EVONIK DEGUSSA社製)、E-200A、E-220A、K-500、E-1009、E-1011、E-1030、E-150J、E-170、E-200、E-220、E-743、E-75、HD、HD-2、L-250、L-300、G-300、SS-10、SS-50、SS-30P、SS-30V、SS-30X、SS-50、SS-70(以上、東ソー・シリカ社製)等の合成微粉シリカ、FUSELEX RD-8、FUSELEX RD-8AL、FUSELEX RD-120、FUSELEX MCF-200C、FUSELEX GP-200TC、FUSELEX TZ-20、FUSELEX ZA-30C、FUSELEX E-1、FUSELEX E-2、FUSELEX AS-1、FUSELEX X(以上、龍森社製)、FS-3DC、FS-5DC(以上、デンカ社製)等の溶融粉砕シリカ、FB-5D、FB-12D、FB-20D、FB-105、FB-940、FB-9454、FB-950、FB-105FC、FB-870FC、FB-875FC、FB-9454FC、FB-950FC、FB-300FC、FB-105FD、FB-970FD、FB-975FD、FB-950FD、FB-300FD、FB-400FD、FB-7SDC、FB-5SDC、FB-3SDC、FB-74X、FB-25SX、FB-35X、FB-302X、FB-105X、FB-940X、FB-950X、FB-105XFC、FB-950XFC、FB-100XFD、FB-950XFD、FB-7SDX、FB-5SDX、FB-3SDX(以上、デンカ社製)、MSR-2212、MSR-25、MSR-3512、MSR-2214M4、MSV-2212N、MSV-2212NH、MSV-2507NH、MSV-3512N、MSV-3512NH、MSS-7、MSS-6、EXR-4、EXR-3、AC-5VLD、B-21、A-21、MP-15EF、AC-5V、MP-8FS(以上、龍森社製)等の溶融球状シリカ、SO-E1、SO-E2、SO-E3、SO-E5、SO-E6、SO-C1、SO-C2、SO-C3、SO-C5、SO-C6(以上、アドマテックス社製)等の合成球状シリカ、CRYSTALITE 3K、CRYSTALITE 3K-S、CRYSTALITE C、CRYSTALITE TNC-1、CRYSTALITE NX-7、CRYSTALITE SMT-10、CRYSTALITE CMC-12S、CRYSTALITE XJ-7、CRYSTALITE C-BASE-1、CRYSTALITE A-1、CRYSTALITE A-A、CRYSTALITE VX-S2(以上、龍森社製)等の結晶性破砕シリカが挙げられる。
【0095】
シリカ粉末が配合される場合、分散性の観点で合成微粉シリカが好ましく使用されるが、合成微粉シリカと、溶融粉砕シリカとの混合物を用いてもよい。
【0096】
シリカ粉末の配合量は、硬化性樹脂組成物100質量部(固形分)に対して、好ましくは0.01質量部以上15質量部以下、より好ましくは0.1質量部以上10質量部以下、特に好ましくは0.5質量部以上5質量部以下である。この範囲であることで、シリカ粉末のチキソトロピック剤としての効果、すなわち、硬化性樹脂組成物中での成分(白色剤粉末等)の沈降分離の抑制、基板への塗布時の好適な粘度低下、及び塗布後のレベリング性改良などの効果が発揮される。
【0097】
[その他の成分]
本発明の硬化性樹脂組成物は、消泡剤を配合してもよい。消泡剤としては、例えば、シリコン系消泡剤、非シリコン系消泡剤等が挙げられるが、中でも、現像液の汚染を低減できることや、マーキングインキの密着性不良を引き起こしにくいとの観点から、非シリコン系消泡剤を用いることが好ましい。消泡剤は、1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0098】
シリコン系消泡剤としては、例えば、KS-66(信越化学工業社製)等が挙げられる。非シリコン系消泡剤としては、FOAMKILLER NSI-0.00(青木油脂工業社製)等が挙げられる。
【0099】
消泡剤の配合量は、固形分換算で、(C)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、0.01~30.00質量部であることが好ましい。
【0100】
硬化性樹脂組成物の硬化物の黄変は、白色の硬化性樹脂組成物に限らず、透明、半透明、あるいは少量の着色剤が添加された硬化膜においても問題となり得る。したがって、本発明の硬化性樹脂組成物は、白色着色剤以外にも着色剤が配合されていてもよい。着色剤の具体例としては、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、ロイコクリスタルバイオレット、カーボンブラック、ナフタレンブラック、ソルベント・ブルー等が挙げられる。着色剤は、1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0101】
また、本発明の硬化性樹脂組成物には、組成物の調製や、基板やキャリアフィルムに塗布する際の粘度調整等の目的で、有機溶剤を含有させることができる。有機溶剤としては、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、炭酸プロピレン等のエステル類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類;石油エーテル、石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤など、公知慣用の有機溶剤が使用できる。これらの有機溶剤は、単独で、または二種類以上組み合わせて用いることができる。
【0102】
本発明の硬化性樹脂組成物には、更に、電子材料の分野において公知慣用の他の添加剤を配合してもよい。他の添加剤としては、熱重合禁止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、老化防止剤、抗菌・防黴剤、レベリング剤、増粘剤、密着性付与剤、チキソ性付与剤(シリカ粉末を除く)、光開始助剤、増感剤、光塩基発生剤、熱可塑性樹脂、エラストマー、ウレタンビーズなどの有機フィラー、硫酸バリウム、タルク、シリカ(シリカ粉末を除く)等の無機フィラー、離型剤、表面処理剤、分散剤、分散助剤、表面改質剤、安定剤、蛍光体、セルロース樹脂等が挙げられる。
【0103】
本発明の硬化性樹脂組成物は、ドライフィルム化して用いても液状として用いても良い。液状として用いる場合は、1液性でも2液性以上でもよい。
【0104】
<ドライフィルム>
本発明のドライフィルムは、キャリアフィルム上に、本発明の硬化性樹脂組成物を塗布、乾燥させることにより得られる樹脂層を有する。ドライフィルムを形成する際には、まず、本発明の硬化性樹脂組成物を上記有機溶剤で希釈して適切な粘度に調整した上で、コンマコーター、ブレードコーター、リップコーター、ロッドコーター、スクイズコーター、リバースコーター、トランスファロールコーター、グラビアコーター、スプレーコーター等により、キャリアフィルム上に均一な厚さに塗布する。その後、塗布された組成物を、通常、50~130℃の温度で1~30分間乾燥することで、樹脂層を形成することができる。塗布膜厚については特に制限はないが、一般に、乾燥後の膜厚で、10~150μm、好ましくは20~60μmの範囲で適宜選択される。
【0105】
キャリアフィルムとしては、プラスチックフィルムが用いられ、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム等を用いることができる。キャリアフィルムの厚さについては特に制限はないが、一般に、10~150μmの範囲で適宜選択される。
【0106】
キャリアフィルム上に本発明の硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を形成した後、膜の表面に塵が付着することを防ぐ等の目的で、さらに、膜の表面に、剥離可能なカバーフィルムを積層することが好ましい。剥離可能なカバーフィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルムやポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、表面処理した紙等を用いることができる。カバーフィルムとしては、カバーフィルムを剥離するときに、樹脂層とキャリアフィルムとの接着力よりも小さいものであればよい。
【0107】
なお、本発明においては、上記カバーフィルム上に本発明の硬化性樹脂組成物を塗布、乾燥させることにより樹脂層を形成して、その表面にキャリアフィルムを積層するものであってもよい。すなわち、本発明においてドライフィルムを製造する際に本発明の硬化性樹脂組成物を塗布するフィルムとしては、キャリアフィルム及びカバーフィルムのいずれを用いてもよい。
【0108】
<硬化物>
本発明の硬化性樹脂組成物がアルカリ現像型のもの(すなわち、(C)アルカリ可溶性樹脂と(D)光重合開始剤とを含む)である場合についてまず説明する。
【0109】
この場合、本発明の硬化性樹脂組成物を用いて硬化物を形成するには、その組成物を基板上に塗布し、溶剤を揮発乾燥した後に得られた樹脂層に対し、露光(光照射)を行うことにより、露光部(光照射された部分)が硬化する。具体的には、接触式または非接触方式により、パターンを形成したフォトマスクを通して選択的に活性エネルギー線により露光、もしくは、レーザーダイレクト露光機により直接パターン露光して、未露光部をアルカリ水溶液(例えば、0.3~3質量%炭酸ソーダ水溶液)により現像することにより、硬化物のパターンが形成される。さらに約100~180℃の温度に加熱して熱硬化(ポストキュア)させることにより、耐熱性、耐薬品性、耐吸湿性、密着性、電気特性等の諸特性に優れた硬化皮膜(硬化物)を形成することができる。
【0110】
本発明の硬化性樹脂組成物がアルカリ現像型のものでは無い場合、その硬化性樹脂組成物は、例えば(C)アルカリ可溶性樹脂と(D)光重合開始剤とを含まない熱硬化型である。この場合、硬化物を形成するには、その組成物を基板上に塗布し、溶剤を揮発乾燥した後に得られた樹脂層に対し、約100~180℃の温度に加熱して熱硬化させることで、硬化被膜(硬化物)を得ることができる。
【0111】
本発明の硬化性樹脂組成物は、例えば、上記有機溶剤を用いて塗布方法に適した粘度に調整して、基材上に、ディップコート法、フローコート法、ロールコート法、バーコーター法、スクリーン印刷法、カーテンコート法等の方法により塗布した後、約60~100℃の温度で組成物中に含まれる有機溶剤を揮発乾燥(仮乾燥)させることで、タックフリーの樹脂層を形成することができる。また、上記組成物をキャリアフィルムまたはカバーフィルム上に塗布し、乾燥させてフィルムとして巻き取ったドライフィルムの場合、ラミネーター等により本発明の組成物の層が基材と接触するように基材上に貼り合わせた後、キャリアフィルムを剥がすことにより、基材上に樹脂層を形成することができる。
【0112】
上記基材としては、あらかじめ銅等により回路形成されたプリント配線板やフレキシブルプリント配線板の他、紙フェノール、紙エポキシ、ガラス布エポキシ、ガラスポリイミド、ガラス布/不繊布エポキシ、ガラス布/紙エポキシ、合成繊維エポキシ、フッ素樹脂・ポリエチレン・ポリフェニレンエーテル,ポリフェニレンオキシド・シアネート等を用いた高周波回路用銅張積層板等の材質を用いたもので、全てのグレード(FR-4等)の銅張積層板、その他、金属基板、ポリイミドフィルム、PETフィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ガラス基板、セラミック基板、ウエハ板等を挙げることができる。
【0113】
上記揮発乾燥または熱硬化は、熱風循環式乾燥炉、IR炉、ホットプレート、コンベクションオーブン等(蒸気による空気加熱方式の熱源を備えたものを用いて乾燥機内の熱風を向流接触せしめる方法及びノズルより支持体に吹き付ける方式)を用いて行うことができる。
【0114】
上記活性エネルギー線照射に用いられる露光機としては、高圧水銀灯ランプ、超高圧水銀灯ランプ、メタルハライドランプ、水銀ショートアークランプ等を搭載し、350~450nmの範囲で活性エネルギー線を照射する装置であればよく、さらに、直接描画装置(例えば、コンピューターからのCADデータにより直接レーザーで画像を描くレーザーダイレクトイメージング装置)も用いることができる。直描機のランプ光源またはレーザー光源としては、最大波長が350~410nmの範囲にあるものでよい。画像形成のための露光量は膜厚等によって異なるが、一般には20~1000mJ/cm、好ましくは20~800mJ/cmの範囲内とすることができる。
【0115】
上記現像方法としては、ディッピング法、シャワー法、スプレー法、ブラシ法等によることができ、現像液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、アミン類等のアルカリ水溶液が使用できる。
【0116】
本発明の硬化性樹脂組成物は、ソルダーレジストやカバーレイを形成するために、特にソルダーレジストを形成するために好適に使用される。
【0117】
<電子部品>
また、本発明は、本発明の硬化性樹脂組成物またはドライフィルムの樹脂層を硬化させた硬化物を有する電子部品も提供する。本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物を用いることで、外観性、耐久性、生産性の高い電子部品が提供される。なお、本発明において電子部品とは、電子回路に使用する部品を意味し、プリント配線板、トランジスタ、発光ダイオード、レーザーダイオード等の能動部品の他抵抗、コンデンサ、インダクタ、コネクタ等の受動部品も含まれ、本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物がこれらの絶縁性硬化塗膜として、本発明の効果を奏するものである。
【実施例
【0118】
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0119】
<1.実施例1~7および比較例1~5の硬化性樹脂組成物の調製>
下記表1の実施例、比較例に記載の種々の成分を表1に示す割合(質量部)にて撹拌機にて予備混合した後、3本ロールミルで混練し、硬化性樹脂組成物を調製した。なお、表中の数値は質量部(不揮発分、すなわち、固形分換算)を示す。
【0120】
前記各硬化性樹脂組成物について、以下に示すように、試験用試料を作成し、現像性、反射率(初期値)、b*値(初期値)、反射率(UV照射後)、UV処理ΔE(光変色耐性)及び250μmの開口性の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0121】
<(C-2)成分の合成例1>
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下ロートおよび窒素導入管を備えた2リットルセパラブルフラスコに、溶媒としてジエチレングリコールジメチルエーテル900g、および重合開始剤としてt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(日本油脂(株)製パーブチルO)21.4gを加えて90℃に加熱した。加熱後、ここに、メタクリル酸309.9g、メタクリル酸メチル116.4g、およびラクトン変性2-ヒドロキシエチルメタクリレート(ダイセル化学工業(株)製プラクセルFM1)109.8gを、重合開始剤であるビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(日本油脂(株)製パーロイルTCP)21.4gと共に3時間かけて滴下して加え、さらに6時間熟成することにより、カルボキシル基含有共重合樹脂を得た。なお、反応は、窒素雰囲気下で行った。
【0122】
次に、得られたカルボキシル基含有共重合樹脂に、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート(ダイセル化学(株)製サイクロマーA200)363.9g、開環触媒としてジメチルベンジルアミン3.6g、重合抑制剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル1.80gを加え、100℃に加熱し、攪拌することによりエポキシの開環付加反応を行った。16時間後、固形分の酸価が108.9mgKOH/g、重量平均分子量が25,000の、芳香環を有さないカルボキシル基含有樹脂((C)アルカリ可溶性樹脂)を含む溶液を得た。
【0123】
<評価方法>
(1)現像性
バフ研磨(Scotch brite SF(#600相当)とUEF(#1000相当)の2連)したFR-4 1.6mm厚 銅箔18μm厚の銅張積層板に、実施例1~6及び比較例1~5の各硬化性樹脂組成物をアプリケーターを用いて塗布し、80℃×30分の乾燥処理を行い、膜厚が20μmの乾燥塗膜を得た。その後、1wt%の炭酸ナトリウム水溶液に浸漬し、以下の基準で現像性を評価した。
【0124】
なお、実施例7はアルカリ可溶性樹脂を含んでいないので、現像性の評価は行っていない。
【0125】
○:現像時間90秒以上120秒未満
×:現像時間120秒以上
-:未評価
【0126】
(2)反射率(初期値)
バフ研磨(Scotch brite SF(#600相当)とUEF(#1000相当)の2連)したFR-4 1.6mm厚 銅箔18μm厚の銅張積層板に、実施例1~6及び比較例1~5の各硬化性樹脂組成物をアプリケーターを用いて塗布し、80℃×30分の乾燥処理を行い、膜厚が20μmの乾燥塗膜を得た。その後、メタルハライドランプ光源を用いてパターニングを有するネガマスクを介して露光量600mJ/cmにて活性エネルギー線を照射した後に、1wt%の炭酸ナトリウム水溶液に浸漬した。その後、150℃1時間の熱硬化処理を行い、硬化塗膜を有する基板を得た。
【0127】
なお、実施例7の硬化性樹脂組成物については、アプリケーターを用いて基板に塗布し、80℃×30分の乾燥処理を行った後、150℃1時間の熱硬化処理を行い、硬化塗膜を有する基板を得た。すなわち、実施例7の硬化性樹脂組成物に対してはアルカリ現像を行っていない。
【0128】
これら硬化塗膜を有する各基板について、色彩色差計(CR-400、コニカミノルタ社製)を用い、波長450nmの反射率を、正反射光を含んで測定するため表面状態に関係なく素材そのものの色の評価であるSCI(正反射光込み)方式で測定した。ここで、初期値とは、後述する(4)反射率(UV照射後)及び(5)UV処理ΔE(光変色耐性)のUV照射後の値と比較した(UV照射前の)初期値のことをいうものとする。後述する(3)b*値の初期値についても同様である。反射率(初期値)の評価基準は以下のとおりである。
【0129】
○:89%以上
×:89%未満
【0130】
(3)b*値(初期値)
上記の(2)反射率(初期値)の評価で用いた基板と同じ基板を、分光測色計(CM-2600d、コニカミノルタ社製)を用い、表色系としてCIE L*a*b*を用い(標準光源D65を使用)、SCI方式で測定した。b*値(初期値)の評価基準は以下のとおりである。
【0131】
○:1以下
×:2以上
【0132】
(4)反射率(UV照射後)
上記(2)反射率(初期値)の評価で用いた基板と同じ基板を準備し、基板上に形成した硬化塗膜の表面にメタルハライドランプを光源としたUV光を20J/cm照射した。UV光照射後の基板について、波長451nmに変更したことを除き、上記(2)反射率(初期値)と同じ方法で反射率を測定した。反射率(UV照射後)の評価基準は以下のとおりである。
【0133】
○:85%以上
×:85%未満
【0134】
(5)UV処理ΔE(光変色耐性)
上記(4)反射率(UV照射後)のUV照射前後の基板について、初期値からの色の変化量ΔE(ΔE*ab、色差)を算出した。UV処理ΔE(光変色耐性)の変化基準は以下のとおりである。
【0135】
○:0.9以下
×:1.0以上
【0136】
(6)250μmの開口性
バフ研磨(Scotch brite SF(#600相当)とUEF(#1000相当)の2連)したFR-4 1.6mm厚 銅箔18μm厚の銅張積層板に、実施例1~6及び比較例1~5の各硬化性樹脂組成物をアプリケーターを用いて塗布し、80℃×30分の乾燥処理を行い、膜厚が20μmの乾燥塗膜を得た。その後、250μm×250μmの開口部が複数形成されたパターニングを有するネガを介してメタルハライドランプ光源を用いて露光量600mJにて活性エネルギー線を照射した後に、1wt%の炭酸ナトリウム水溶液に浸漬して現像し、次いで150℃で60分間加熱して硬化処理を行った。なお、実施例7の硬化性樹脂組成物についてはアルカリ現像できないため、本評価は行っていない。250μmの開口性の評価基準は以下のとおりである。
【0137】
○:180μm以上210μm未満の開口が形成可能であったもの
×:180μm未満の開口が形成されたもの
-:未評価
【0138】
【表1】
【0139】
*1:ペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)(蒸気圧:1.3×10E-10 Pa(20℃))(Irganox1010:BASFジャパン社製)
*2:エチレンビス(オキシエチレン)ビス-(3-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)プロピオネート)(蒸気圧:4.0×10E-8 Pa(20℃))(Irganox245:BASFジャパン社製)
*3:ヘキサメチレンビス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)(蒸気圧:1.3×10E-8 Pa (20℃))(Irganox259:BASFジャパン社製)
*4:1,3,5-トリス[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン(蒸気圧:7.0×10E-13 Pa (20℃))(Irganox3114:BASFジャパン社製)
*5:2,4,6-トリス(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシベンジル)メシチレン(蒸気圧:2.0×10E-11 Pa (20℃))(Irganox1330:BASFジャパン社製)
*6:オクチル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシーヒドロシンナメート(蒸気圧:1.5×10E-3 Pa (25℃))(Irganox1135:BASFジャパン社製)
*7:イソシアヌレート型エポキシ樹脂(TEPIC-VL:日産化学社製)
*8:脂環型エポキシ樹脂(セロキサイド2021P:ダイセル社製)
*9:カルボキシル基含有フッ素樹脂(酸価130mgKOH/g) (TIF-3:新中村化学社製)
*10:合成例1のカルボシキル基含有共重合(感光性)樹脂
*11:2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルフォスフィンオキサイド(Omnirad TPO H:IGMResins社製)
*12:ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(Omnirad819:IGMResins社製)
*13:エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート(A-9300YN:新中村化学社製)
*14:脂肪族系2官能アクリレート(A-DOD-N:新中村化学製)
*15:ルチル型酸化チタン(PX-3788:堺化学工業社製)
*16:微粉シリカ (Nipsil(登録商標)E-743:東ソー・シリカ社製)
*17:微粉シリカ (AEROSIL(登録商標)R974:日本アエロジル社製)
【0140】
実施例1~7の硬化性樹脂組成物は、比較例1~5の硬化性樹脂組成物と比較して、熱硬化時の黄変を防止しつつ、紫外線照射による黄変をも抑制できる硬化物を得ることができることが分かった。特に、(A1)20℃の蒸気圧が1.0×10-7Pa以下であり、エステル骨格を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤及び(A2)イソシアヌレート構造を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤が共に含まれていなければ、上記効果を得ることができなかった。
【0141】
また、実施例1~6の硬化性樹脂組成物によれば、上記熱硬化時及び紫外線照射による黄変抑制・防止効果を発揮しつつ、良好なアルカリ現像性を示す硬化性樹脂組成物が得られることが分かった。