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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/537 20060101AFI20241021BHJP
   A61F 13/511 20060101ALI20241021BHJP
   A61F 13/512 20060101ALI20241021BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20241021BHJP
【FI】
A61F13/537 310
A61F13/511 300
A61F13/512
A61F13/53 300
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021109378
(22)【出願日】2021-06-30
(65)【公開番号】P2023006663
(43)【公開日】2023-01-18
【審査請求日】2024-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 正史
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼島 麗子
(72)【発明者】
【氏名】合田 裕樹
【審査官】冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-1930(JP,A)
【文献】特開2007-97643(JP,A)
【文献】特開2007-175093(JP,A)
【文献】特開2017-186728(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吸収する吸収体と、
前記吸収体より肌側に位置する肌側層と、
前記肌側層と前記吸収体との間に位置する中間層と、
を有する吸収性物品であって、
前記中間層は、複数の顕在捲縮繊維を備え、複数の固定部において、接着剤で前記顕在捲縮繊維同士が固定されており、
前記顕在捲縮繊維は、単一繊維で螺旋形状を有しており、
前記吸収性物品の前記肌側層の肌側面から前記中間層に向かって40mlの人工尿を注入した後において、
平面視における前記人工尿が注入された部分と重なる重なり部分において、前記中間層は、前記肌側層よりも親水性が高い
ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
請求項1に記載の吸収性物品であって、
前記重なり部分において、前記肌側層は、前記人工尿の注入前より、前記人工尿の注入後の方が、親水性が低いことを特徴とする吸収性物品。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の吸収性物品であって、
前記接着剤は、親水性であることを特徴とする吸収性物品。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の吸収性物品であって、
前記顕在捲縮繊維の表面は、親水化処理が施されていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の吸収性物品であって、
前記肌側層は、複数の繊維を備え、
前記複数の繊維には、前記肌側層の親水性を高めるための親水剤が塗布されていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の吸収性物品であって、
前記固定部において、前記顕在捲縮繊維同士が当接した状態で固定された部分を有することを特徴とする吸収性物品。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の吸収性物品であって、
前記固定部において、前記顕在捲縮繊維同士が離間した状態で固定された部分を有することを特徴とする吸収性物品。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の吸収性物品であって、
前記顕在捲縮繊維の螺旋形状は、円弧部を有しており、
前記円弧部の少なくとも一部同士が前記接着剤で固定された円弧状の繊維集合部を有することを特徴とする吸収性物品。
【請求項9】
請求項8に記載の吸収性物品であって、
前記繊維集合部を複数有し、
平面視において、互いに凸となる方向が異なる前記繊維集合部同士が前記接着剤で固定された部分を有することを特徴とする吸収性物品。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の吸収性物品であって、
複数の前記顕在捲縮繊維のうち少なくとも一部は、前記固定部によって固定されていない先端部を有することを特徴とする吸収性物品。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の吸収性物品であって、
前記肌側層は、厚さ方向に貫通する孔を複数備えていることを特徴とする吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-97643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
吸収性物品において、排泄物が吸収性物品の表面に残ったり、一旦吸収した排泄物が吸収性物品の表面に戻ったりしないことが好ましく、例えば、特許文献1には、軟便等の吸収保持性能を向上させた使い捨ておむつが開示されているが、軟便等の高粘度の排泄物をより一層吸収しつつ、一旦吸収した排泄物が肌側面に戻ってしまう恐れをより軽減させる吸収性物品が求められている。
【0005】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、排泄物を吸収しやすくし、一旦吸収した排泄物が肌側面に戻ることを軽減して、着用者の不快感を軽減させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための主たる発明は、液体を吸収する吸収体と、前記吸収体より肌側に位置する肌側層と、前記肌側層と前記吸収体との間に位置する中間層と、を有する吸収性物品であって、前記中間層は、複数の顕在捲縮繊維を備え、複数の固定部において、接着剤で前記顕在捲縮繊維同士が固定されており、前記顕在捲縮繊維は、単一繊維で螺旋形状を有しており、前記吸収性物品の前記肌側層の肌側面から前記中間層に向かって40mlの人工尿を注入した後において、平面視における前記人工尿が注入された部分と重なる重なり部分において、前記中間層は、前記肌側層よりも親水性が高いことを特徴とする吸収性物品である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、排泄物を吸収しやすくし、一旦吸収した排泄物が肌側面に戻ることを軽減して、着用者の不快感を軽減させることができる 。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】展開かつ伸長状態におけるテープ型使い捨ておむつ1の平面図である。
図2図1に示す線A-Aでの断面図である。
図3】セカンドシート35の概略斜視図である。
図4】吸収性本体50のトップシート22とセカンドシート35と吸収体21を分離して示した概略斜視図である。
図5】液戻り量の測定方法を示す図である。
図6図5の測定方法による測定結果を示す図である。
図7】セカンドシート35の一部の拡大模式図である。
図8図8Aは、セカンドシート35の一部の拡大写真を示す図である。図8Bは、図8Aの拡大写真に、補助線を加えた図である。
図9図9Aは、セカンドシート35の一部の拡大写真を示す図である。図9Bは、図9Aの拡大写真に、補助線を加えた図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
液体を吸収する吸収体と、前記吸収体より肌側に位置する肌側層と、前記肌側層と前記吸収体との間に位置する中間層と、を有する吸収性物品であって、前記中間層は、複数の顕在捲縮繊維を備え、複数の固定部において、接着剤で前記顕在捲縮繊維同士が固定されており、前記顕在捲縮繊維は、単一繊維で螺旋形状を有しており、前記吸収性物品の前記肌側層の肌側面から前記中間層に向かって40mlの人工尿を注入した後において、平面視における前記人工尿が注入された部分と重なる重なり部分において、前記中間層は、前記肌側層よりも親水性が高いことを特徴とする吸収性物品である。
【0010】
このような吸収性物品によれば、単一繊維の顕在捲縮繊維を複数の固定部で互いを固定させることで形成された中間層は、その顕在捲縮繊維をより大きな螺旋形状としやすくなり、中間層に複合繊維を用いた場合よりも嵩高にすることができる。また、螺旋形状の顕在捲縮繊維を吸収性物品の中間層に設けることで、軟便等の高粘度の排泄物を吸収しやすくしつつ、中間層が肌側層よりも親水性が高いことで、一旦、中間層で吸収した排泄物が肌側層に戻って着用者の肌に排泄物が当接し、不快感を与えてしまう恐れを軽減させやすくなる。特に、繰り返し排泄された排泄物が肌側層に戻ることを軽減させやすくなる。
【0011】
かかる吸収性物品であって、前記重なり部分において、前記肌側層は、前記人工尿の注入前より、前記人工尿の注入後の方が、親水性が低いことが望ましい。
【0012】
このような吸収性物品によれば、一旦、排泄物が通過した肌側層は、排泄物の通過前よりも親水性が低くなることで、一旦吸収した排泄物が肌側層の表面に戻ってしまう恐れを軽減させることができる。
【0013】
かかる吸収性物品であって、前記接着剤は、親水性であることが望ましい。
【0014】
このような吸収性物品によれば、中間層の親水性をより高くすることができるため、肌側層から受けた排泄物を中間層で吸収しやすくしつつ、一旦中間層で吸収した排泄物が肌側層に戻ってしまう恐れを軽減させることができる。
【0015】
かかる吸収性物品であって、前記顕在捲縮繊維の表面は、親水化処理が施されていることが望ましい。
【0016】
このような吸収性物品によれば、親水化処理が施された顕在捲縮繊維は、接着剤との親和性が向上しやすくなる。
【0017】
かかる吸収性物品であって、前記肌側層は、複数の繊維を備え、前記複数の繊維には、前記肌側層の親水性を高めるための親水剤が塗布されていることが望ましい。
【0018】
このような吸収性物品によれば、肌側層の親水性を高くすることができるため、着用者が吸収性物品を着用した当初は、肌側層で排泄物を吸収しやすいが、一旦、排泄物が肌側層を通過すると、中間層は肌側層よりも親水性が高いため、排泄物が中間層から肌側層に戻ってしまう恐れを軽減させる。
【0019】
かかる吸収性物品であって、前記固定部において、前記顕在捲縮繊維同士が当接した状態で固定された部分を有することが望ましい。
【0020】
このような吸収性物品によれば、互いに固定された複数の顕在捲縮繊維の強度を向上させることができるため、中間層の剛性を向上させやすくなる。
【0021】
かかる吸収性物品であって、前記固定部において、前記顕在捲縮繊維同士が離間した状態で固定された部分を有することが望ましい。
【0022】
このような吸収性物品によれば、固定部をより太くすることができるため、中間層の剛性を向上させやすくなる。
【0023】
かかる吸収性物品であって、前記顕在捲縮繊維の螺旋形状は、円弧部を有しており、前記円弧部の少なくとも一部同士が前記接着剤で固定された円弧状の繊維集合部を有することが望ましい。
【0024】
このような吸収性物品によれば、互いに固定された円弧部の強度を向上させることができるため、顕在捲縮繊維の螺旋形状を維持しやすくなる。
【0025】
かかる吸収性物品であって、前記繊維集合部を複数有し、平面視において、互いに凸となる方向が異なる前記繊維集合部同士が前記接着剤で固定された部分を有することが望ましい。
【0026】
このような吸収性物品によれば、円弧部の強度をさらに向上させることができるため、顕在捲縮繊維の螺旋形状を維持しやすくなる。
【0027】
かかる吸収性物品であって、複数の前記顕在捲縮繊維のうち少なくとも一部は、前記固定部によって固定されていない先端部を有することが望ましい。
【0028】
このような吸収性物品によれば、固定部が設けられていない先端部は、着用時等における外圧によって隣接する顕在捲縮繊維に近づくことができるため、毛細管現象によって、排泄物を保持しやすくなり、排泄物が中間層から肌側層に戻ってしまう恐れを軽減させることができる。
【0029】
かかる吸収性物品であって、前記肌側層は、厚さ方向に貫通する孔を複数備えていることが望ましい。
【0030】
このような吸収性物品によれば、肌側層で受け止めた排泄物を中間層に移動させやすくなり、着用者の不快感を軽減させやすくなる。
【0031】
===実施形態===
本発明に係る吸収性物品として、乳幼児用のテープ型使い捨ておむつ1(以下、単に「おむつ1」とも呼ぶ)を例に挙げて実施形態を説明する。但し、本発明に係る吸収性物品は、パンツ型使い捨ておむつや、生理用ショーツ、生理用ナプキン、軽失禁パッド、吸収パッド等であってもよい。
【0032】
<テープ型使い捨ておむつ1の基本構成>
図1は、展開かつ伸長状態におけるテープ型使い捨ておむつ1(以下「おむつ1」ともいう。)の平面図であり、おむつ1を肌側から見た図である。図2は、図1に示す線A-Aでの断面図である。おむつ1の展開状態とは、おむつ1全体を平面的に展開した状態をいう。おむつ1の伸長状態とは、おむつ1に生じていた皺が実質的に視認されなくなる程に伸長させた状態であり、おむつ1を構成する各部材(例えば後述するトップシート22等)の寸法がその部材単体の寸法と一致又はそれに近い長さになるまでおむつ1が伸長した状態である。
【0033】
おむつ1は、図1等に示す展開且つ伸長状態において、互いに直交する長手方向、幅方向、及び厚さ方向を有し、長手方向の一方側から、腹側部3と、股下部5と、背側部7を有する。腹側部3は、おむつ1を着用する際に着用者の腹側(前側)に位置する部分である。背側部7は、おむつ1を着用する際に着用者の背側(後側)に位置する部分である。腹側部3と背側部7との間に股下部5が位置する。
【0034】
おむつ1における「厚さ方向」とは、おむつ1を構成する各部材が積層された方向であり、着用者に接する側を「肌側」といい、その反対側を「非肌側」という。図1等において、中心線C-Cは、幅方向の中心であり、中心線CLは、長手方向の中心である。図2では、各部材を接合する接着剤を省略して示している。また、便宜上、線A-Aの断面より長手方向の背側の視認可能な部分を省略して示している。
【0035】
おむつ1は、幅方向の中央部に、液吸収性の吸収体21と、吸収体21を肌側から覆う液透過性のトップシート22と、吸収体21より肌側に位置する液透過性のセカンドシート35と、吸収体21を非肌側から覆う液不透過性のバックシート23、及び、おむつ1の外装をなすバックシート23を非肌側から覆い、おむつ1の外形をなす外装シート27(例えば不織布)とを有する。また、トップシート22の上側に、一対並んで設けられた一対のサイドシート26と、腹側部3のターゲットテープ29と、背側部7の幅方向の両端部から延出したファスニングテープ30とを有する。
【0036】
トップシート22は、吸収体21より肌側に位置する「肌側層」である。トップシート22としては、エアスルー不織布、スパンボンド不織布等のエアスルー不織布等のシート部材を例示できる。トップシート22は、厚さ方向に貫通する複数の孔22aを備え、複数の孔22aは、開口された領域の面積は、トップシート22の総面積の30%である。
【0037】
セカンドシート35は、トップシート(肌側層)22と吸収体21との間に位置する「中間層」である。セカンドシート35は、ポリエステルからなる不織布等のシート部材を例示できる。セカンドシート35の詳細な構成は、後述する。
【0038】
バックシート23としては、ポリエチレンフィルム等の樹脂フィルム等のシート部材を例示でき、外装シート27としては、スパンボンド不織布やSMS不織布(スパンボンド/メルトブローン/スパンボンド不織布)等の柔軟なシート部材を例示できる。
【0039】
吸収体21は、平面視において、長手方向に長い長方形状であり、腹側部3、股下部5及び背側部7にわたって配置されている。吸収体21は、尿や便等の排泄物を吸収する吸収性コア24と、吸収性コア24を厚さ方向の肌側及び非肌側の両側からそれぞれ覆う液透過性のコアラップシート25を有している。
【0040】
吸収性コア24は、所定形状の一例としての平面視略砂時計形状を有する。吸収性コア24を構成する液体吸収性素材としては、例えばパルプ繊維等の液体吸収性繊維や、高吸収性ポリマー(所謂SAP)等の液体吸収性粒状物を使用することができる。また、液体吸収性繊維及び液体吸収性粒状物以外の液体吸収性素材を含んでいても良い。コアラップシート25に好適な材料としては、ティッシュペーパーや不織布等を例示できる。但し、これらコアラップシート25は必須の構成ではない。
【0041】
幅方向において、吸収体21より外側には、長手方向に沿って伸縮するレッグギャザー弾性部材15がそれぞれ設けられている。レッグギャザー弾性部材15は、長手方向に沿って伸縮する弾性部材であり、おむつ1の着用時において、脚回り開口部に伸縮性を付与する部材である。すなわち、レッグギャザー弾性部材15はおむつ1の脚繰り部を着用者の脚に合わせてフィットさせる脚回り弾性部材である。レッグギャザー弾性部材15は、伸縮性を有する帯状の弾性シートや、複数の糸ゴム等を用いることができる。そして、レッグギャザー弾性部材15が股下部5のサイドシート26及びバックシート23に伸縮性を付与することによって、レッグギャザーが構成される。レッグギャザーによって、着用状態において、おむつ1の幅方向の各側端部が着用者の脚回りにフィットし、排泄物の漏れが抑制される。
【0042】
また、おむつ1は、幅方向の両側部で、レッグギャザー弾性部材15より内側に、サイドシート26とともに長手方向に伸縮可能なレッグサイドギャザー弾性部材18(例えば、糸ゴム)を備え、防漏壁としての一対の立体ギャザーを構成する。レッグサイドギャザー弾性部材18は、長手方向に伸長状態で、サイドシート26に固定されている。立体ギャザーが着用者の肌側に立ち上がることで、排泄物等の横漏れを抑制する。
【0043】
レッグギャザー弾性部材15及びレッグサイドギャザー弾性部材18の数や形状、材質等は、図1等に示すものに限られない。例えば、それぞれ弾性部材の数は任意に設定することができ、糸状のポリウレタン伸縮性繊維や、熱可塑性エラストマ樹脂を溶融してフィルム状とした伸縮性フィルムや伸縮繊維からなる伸縮性不織布としてもよい。
【0044】
腹側部3は、幅方向の中央部の非肌側面(外装シート27の非肌側面)にターゲットテープ29を備え、背側部7は、幅方向の両側端部から外側に向かって延出したファスニングテープ30を備える。ターゲットテープ29は、ファスニングテープ30と係合可能な部材であり、例えば不織布によって形成されている。ターゲットテープ29は、ファスニングテープ30を係合させるためのターゲット領域を構成する。ファスニングテープ30は、テープ基材と、フック材とを有しており、テープ基材は、例えば不織布の部材であり、横方向に長い略長方形状を成す。フック材(例えば、面ファスナーの雄部材)は、背側部7から幅方向の外側に延出したテープ基材の肌側面に設けられている。ターゲットテープ29に各ファスニングテープ30を係止することにより、おむつ1の胴回り開口及び脚回り開口が形成され、着用者の身体(胴)に対しておむつ1の位置を固定することができる。なお、外装シート27の非肌側に別部材としてのターゲットテープ29を配置する代わりに、外装シート27を構成している最外層の不織布をターゲット領域として、直接ファスニングテープ30を外装シート27の非肌側面に係止させてもよい。
【0045】
<液戻り性について>
セカンドシート35(中間層)は、液体の透過性及び吸収性がよいことが好ましい。特に、おむつ1のように、粘度の高い液体(軟便等)を吸収する吸収性物品の場合には、セカンドシート35が粘度の高い液体(軟便等)を透過させやすい構成であることが要求される。
【0046】
セカンドシート35は、高い液透過性とクッション性を備えた複数の顕在捲縮繊維35fで構成されたシート部材である。図3は、セカンドシート35の概略斜視図である。捲縮繊維とは捲縮形状(ジグザグ状、Ω状、螺旋状など)を有する繊維であり、セカンドシート35は、螺旋状の螺旋捲縮繊維で構成されている。
【0047】
なお、螺旋捲縮繊維として、潜在型の螺旋捲縮繊維(以下、潜在捲縮繊維ともいう)と、顕在型の螺旋捲縮繊維(以下、顕在捲縮繊維ともいう)が知られている。潜在捲縮繊維は、加熱することにより捲縮して螺旋形状を発現する繊維であるため、螺旋形状の発現の制御が難しく、潜在捲縮繊維で不織布を形成すると、螺旋形状が小さくなり、高密度な構造となりやすく、高粘度の液体を透過させることが出来ないおそれがある。これに対し、本実施形態のセカンドシート35は、捲縮繊維として、最初から螺旋状を有する顕在捲縮繊維35fで形成されている。また、本実施形態の顕在捲縮繊維35fは、単一成分(例えばポリエステル)で構成された単一繊維(単一成分繊維)である。
【0048】
不織布としては、単一繊維からなる不織布と複合繊維からなる不織布が知られている。単一繊維は、成分が1種類の原液(単一成分)を紡糸口金から紡糸し、1本の繊維としたものをいう。複合繊維は、成分の異なる2種類(複合成分)の原液を2つに区切られた紡糸口金から同時に紡糸し、1本の繊維としたものをいう。複合繊維には、2成分が貼り合わされた構造(所謂、サイドバイサイド構造)や、芯・鞘構造のもの等がある。
【0049】
セカンドシート35は、単一繊維の螺旋形状を有する複数の顕在捲縮繊維同士を、複数の固定部35m(図7)において、接着剤で固定することで形成されたシート状の不織布が用いられている。
【0050】
具体的には、セカンドシート35には、単一成分のポリエステルを溶融し、紡糸口金を通して紡糸を行い、口金から紡糸された直後の繊維束に所定の空気を吹き付けて未延伸糸とし、紡糸油剤を付与することで得られた未延伸糸トウを所定の温度下で延伸し、さらに、弛緩熱処理を施すことで得た螺旋形状を有する顕在捲縮繊維を用いられている。図3に示すように、表面から視認可能な円弧部35cを複数有している。本実施形態のセカンドシート35の顕在捲縮繊維は、単繊維繊度が0.7~20dtexである。また、繊維を伸ばした状態の繊維の長さが25mmより長い繊維を含んでいることが好ましく、繊維の長さの平均値が25mmより長いことがより好ましい。顕在捲縮繊維35fの繊維の長さを25mm以上とすることで、25mmより短い場合よりもセカンドシート35の嵩を高くすることができるため、クッション性を向上させることができる。そして、顕在捲縮繊維による中間層の嵩が高いことで、中間層で保持することができる排泄物の量を向上させることができる。このような螺旋形状を有する顕在捲縮繊維35f同士を、ホットメルト接着剤等の接着剤で固定した複数の固定部35mを設けることで、顕在捲縮繊維35fは、シート状の不織布となる。
【0051】
なお、セカンドシート35において、顕在捲縮繊維35fを伸ばした状態の繊維長さが、25mmより短いものを有していてもよく、40mmより長いものを有していてもよい。また、顕在捲縮繊維35fの成分としては、ポリエステルに限らず、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリフェニレンサルファイド等を用いてもよい。
【0052】
セカンドシート35の製造方法としては、カード機を用いて顕在捲縮繊維35fの開繊処理を行う開繊工程と、開繊工程後に顕在捲縮繊維35fをウェブとするウェブ形成工程と、ウェブ形成工程後に複数の顕在捲縮繊維35f同士を接着剤で固定して固定部35mを形成して、不織布を形成する不織布形成工程を経て、得られた不織布を所定の大きさにカットするカット工程を経ることでセカンドシート35となる。
【0053】
開繊工程において、カード機を用いて繊維をほぐすことで、開繊処理を効率よく行うことができるだけでなく、顕在捲縮繊維35fの偏りを少なくすることができる。なお、開繊工程において、カード機を用いる場合、顕在捲縮繊維35fの繊維の長さを25mmより長くすることが好ましい。顕在捲縮繊維35fの繊維の長さが25mm以下の場合よりも、適切にカード機による開繊を行うことができる。
【0054】
ただし、上述の製造方法に限らず、顕在捲縮繊維35fを、エアレイド工程を経て、接着剤で繊維同士を接合させて形成した不織布シートによるセカンドシート35でもよい。
【0055】
このような顕在捲縮繊維35fを接着剤による固定部35mで固定したセカンドシート35を用いることで、顕在捲縮繊維35fの螺旋形状を維持したまま、接着剤によってシート状の不織布とすることができるため、セカンドシート35がクッション性を備えた嵩高のシートとなりやすい。
【0056】
従来から、加熱によって螺旋形状を発現させる潜在捲縮繊維が広く知られており、潜在捲縮繊維としては、複合繊維(2成分の繊維)が知られている。この潜在捲縮繊維は、螺旋形状の制御が難しく、螺旋形状の径が小さくなりやすいため、これを用いた不織布は、高密度で嵩が低いものとなってしまう。また、螺旋形状の径が過度に小さくならないようにするための制御は、繊維が不規則に変形しやすいため、想定する螺旋形状を形成することが難しかった。
【0057】
これに対し、本実施形態のセカンドシート35は、単一繊維の螺旋形状を有する複数の顕在捲縮繊維35f同士を接着剤で固定した固定部35mを備えた不織布とすることで、複合繊維の顕在捲縮繊維を用いた場合よりも、嵩高な不織布とすることができる。螺旋形状の顕在捲縮繊維35fによる嵩高な不織布は、繊維同士の空間を確保しやすく、繊維同士の空間が広げられた螺旋形状を備えたシートであるため、軟便等の高粘度の排泄物を吸収しやすくなる。
【0058】
本実施形態において、セカンドシート35は、ポリエステルからなる撥水性繊維には、親水化処理が施されている。親水化処理が施された顕在捲縮繊維は、接着剤との親和性が向上しやすくなる。親水化処理としては、SR処理、親水油剤の塗布、親水性モノマーのグラフト重合、プラズマ処理等など公知の親水化技術を用いることができる。セカンドシート35の親水性は、液体(排泄物、人工尿)の通過の有無に関わらず低下しないことが好ましい。また、セカンドシート35には、例えば、親水性ポリエステル樹脂加工剤(親水性バインダー)が顕在捲縮繊維35fに塗布されていることが好ましい。顕在捲縮繊維35fに親水性の親水性バインダーを塗布することで、セカンドシート35の顕在捲縮繊維35f同士を接着させやすくなり、不織布シートとしての剛性を高めやすくなる。
【0059】
おむつ1のセカンドシート35は、図4等に示すように、トップシート22より非肌側で、吸収体21より肌側に設けられている。このようなセカンドシート35を備えたおむつ1のトップシート22の肌側面からセカンドシート35に向かって40mlの人工尿を注入した後、つまり、おむつ1の肌側面から非肌側面に向かう厚さ方向に40mlの人工尿を注入した後において、おむつ1の平面視における人工尿が注入された部分と重なる重なり部分の、セカンドシート35の親水性が、トップシート22の親水性より高い。そのため、一旦、セカンドシート35で吸収した排泄物がトップシート22に戻ってしまうことを軽減させることができる。その結果、一旦、おむつ1が吸収した排泄物が、トップシート22の肌側面に戻って、着用者の肌に当接して、着用者に不快感を与えてしまう恐れを軽減させやすくなる。なお、低月齢の乳幼児の1回あたりの平均排尿量は、約40mlである。
【0060】
人工尿は、イオン交換水10Lに、尿素200g、塩化ナトリウム80g、硫酸マグネシウム8g、塩化カルシウム3g、及び青色1号色素約1gを溶解させることにより調整された液体である。なお、人工尿に替えて、人工軟便を用いて親水性及び吸収性を比較してもよい。人工軟便としては、イオン交換水71.9質量%に、塩化ナトリウムを1.0質量%、グリセリンを15.0質量%、カルボキシメチルセルロースナトリウム(NaCMC)を2.0質量%、トリトンX―100を0.05質量%、赤色102号色素を0.05質量%、粉末セルロースを10.0質量%加えて、攪拌混合した後、イオン交換水を加えて、2000mPa/sに調整したものを用いることができる。
【0061】
各シートの「親水性」とは、シートの表面において液体が広がりやすく、シートの表面が90°以下の接触角を有することを意味する。また、「疎水性」とは、シートの表面において液体が拡がらず、そしてシートの表面が90°よりも大きい接触角を有することを意味する。接触角とは、水平面(水平な表面)を有するシートと当該水平面上に滴下された水(液滴)とを接触させた状態において、液体の輪郭曲線と当該水平面との交点における当該輪郭曲線の接線と、当該水平面とがなす角度である。トップシート22とセカンドシート35の親水性の比較は、測定した接触角の比較によって判定することができる。具体的には、おむつ1の肌側面から人工尿を注入し、トップシート22とセカンドシート35を取り出し、おむつ1の平面視における人工尿が注入された部分と重なる重なり部分のトップシート22とセカンドシート35の親水性を比較する。つまり、セカンドシート35とイオン交換水との接触角が、トップシート22とイオン交換水との接触角よりも小さければ、セカンドシート35の親水性の方がトップシート22の親水性よりも高い。
【0062】
トップシート22は、複数の疎水性繊維を備えた疎水性不織布であり、複数の疎水性繊維に対して、所定の油剤を付着させる処理(親水処理)を行うことによって親水性を高めたものが好ましい。未使用のおむつ1のトップシート22の親水性を高めておくことで、着用者がおむつ1を着用した当初は、トップシート22が排泄物を吸収しやすくなり、トップシート22からセカンドシート35を介して吸収体21に移動させやすくなる。そして、一旦、排泄物がトップシート22を通過した後、トップシート22はセカンドシート35より親水性が低いため、セカンドシート35からトップシート22に向かって排泄物が戻ってしまう恐れを軽減させることができる。
【0063】
また、トップシート22は、おむつ1の平面視において、トップシート22の肌側面からセカンドシート35に向かって40mlの人工尿を注入した部分と重なる重なり部分において、トップシート22が、人工尿の注入前より、人工尿の注入後の方が、親水性が低いことが好ましい。本実施形態では、排泄物(人工尿)を吸収する前(未使用状態)のトップシート22は所定の油剤を付着させる処理(親水処理)を行うことで、親水性を高められている。そして、おむつ1が所定量の排泄物(40mlの人工尿)を吸収すると、排泄物(人工尿)の通過に伴い、その親水処理によって付着された油剤の親水効果が減少して、おむつ1の所定量の排泄物の吸収後(40mlの人工尿の注入後)は、トップシート22は、所定量の排泄物の吸収前(40mlの人工尿の注入前)より、親水性が低くなる。
【0064】
これによって、おむつ1の着用当初は、トップシート22が排泄物を吸収しやすくなり、トップシート22からセカンドシート35、吸収体21に排泄物を移動させやすくなる。一旦、排泄物を吸収した後は、セカンドシート35の親水性の方がトップシート22の親水性よりも高いことで、吸収した排泄物がセカンドシート35からトップシート22に戻る恐れを軽減させやすくなる。
【0065】
未使用状態のトップシート22に付着させる所定の油剤は、所定量の液体(排泄物)によって、その親水性の効果が低減するものを用いることが好ましい。なお、未使用状態(40mlの人工尿の注入前)のおむつ1のトップシート22の親水性は、所定の油剤の付着による処理等の親水処理によって、未使用状態(40mlの人工尿の注入前)において、トップシート22の親水性がセカンドシート35の親水性より高くてもよく、未使用状態(40mlの人工尿の注入前)において、トップシート22の親水性がセカンドシート35の親水性より低くてもよい。
【0066】
図4に示すように、トップシート22が、厚さ方向に貫通する孔22aを複数備えることが好ましい。トップシート22に設けられた孔22aによって、トップシート22で受け止めた排泄物をセカンドシート35に移動させやすくなり、トップシート22の肌側面に排泄物が滞留することによる着用者の不快感を軽減させやすくなる。
【0067】
また、所定量の人工尿を吸収した後のセカンドシート35の親水性の方がトップシート22の親水性よりも高いことで、おむつ1が排泄物を複数回吸収するような場合であっても、一旦、吸収した排泄物がトップシート22の肌側面に戻る恐れを軽減させやすくなり、長時間の着用でも着用者の不快感を軽減させやすくなる。図5A図5Cは、液戻り量の測定方法を示す図である。図6は、図5の測定方法による測定結果を示す図である。「液戻り量」とは、一旦、吸収された液体のうち、最表面側に戻った液体及び最表面に残存する液体の量をいう。
【0068】
トップシート22の試験片としてトップシート片22p、セカンドシート35の試験片としてセカンドシート片35p、吸収体21の試験片として吸収体片21pを用いる。測定においては、各試験片を同じ大きさとし、例えば、70mm×150mmのものを用いる。なお、トップシート片22pは、おむつ1のトップシート22と同様の、厚さ方向に貫通した複数の孔(開口率30%)を備えたシート片である。まず、STEP1として、図5Aに示すように、上から順にトップシート片22p、セカンドシート片35p、吸収体片21pを重ね、その上方に、厚さ方向に貫通する直径50mmの円形の貫通口を備える円筒治具を配置し、貫通口から人工尿40mlを注入する。そして、STEP2として、図5Bに示すように、3分後に円筒治具を取り除く。STEP3として、人工尿を注入してから5分後に、図5Cに示すように、人工尿が注入された部分(円筒治具の貫通口が配置されていた部分)の全域を覆うように、トップシート片22pの上方に、予め重量を測定しておいた濾紙(面積100mm×100mm)を載置し、さらに濾紙の上から底面の面積が100mm×100mm、重さが3.5kgの錘を載せて3分間静置する。STEP4として、3分経過後に、濾紙の重量を測定することで、濾紙が吸収した人工尿の重量を算出することができ、トップシート片22pの表面の液戻り量を求める(1回目)。そして、所定時間経過後に、人工尿を注入した部分(円筒治具の貫通口を配置した部分)について、上述のSTEP1~STEP4を再度行う(2回目)。
【0069】
具体的に、低月齢の乳幼児の1回あたりの平均排尿量は、約40mlであるため、サンプル(1)~サンプル(3)について40mlの人工尿を2回(合計80ml)注入する測定を行った。トップシート片22pとして、サンプル(1)は撥水性繊維に親水処理を行っていない撥水性シートであり、平均繊度2.6dtex、繊維組成がポリエチレン(PE)/ポリエチレンテレフタレート(PET)、坪量26gsmの不織布である。サンプル(2)は、撥水性繊維に、液体の通過によって親水性が低下する親水処理済みの親水性シートAであり、平均繊度2.6dtex、繊維組成がPE/PET、坪量30gsmの不織布である。サンプル(3)は、撥水性繊維に、液体の通過によって親水性が低下しない親水処理済みの親水性シートBであり、平均繊度2.6dtex、繊維組成がPE/PET、坪量25gsmの不織布である。セカンドシート片35pは、サンプル(1)~サンプル(3)について同じシートを用いており、平均繊度7.4dtex、繊維組成がポリエチレンテレフタレート(PET)、坪量48gsmの不織布である。吸収体片21pは、サンプル(1)~サンプル(3)について同じ吸収体を用いており、上述のおむつ1の吸収体の一部である。人工尿40mlを吸収後において、サンプル(1)の撥水性シート及びサンプル(2)の親水性シートAの親水性は、セカンドシート片35pの親水性より低い。一方、人工尿40mlを吸収後において、サンプル(3)の親水性シートBの親水性は、セカンドシート片35pの親水性より高い。
【0070】
図6に示す測定結果は、2回目の人工尿を注入した後の液戻り量を測定した結果である。図6に示すように、サンプル(1)及びサンプル(2)のそれぞれ液戻り量の平均値は、1.8g、2,7gであるのに対し、サンプル(3)の液戻り量は、4.6gであり、明らかにサンプル(3)の液戻り量が多いことが分かる。この結果から、所定量の人工尿を吸収した後において、セカンドシート35の親水性の方がトップシート22の親水性よりも高くすることで、おむつ1が排泄物を複数回吸収するような場合であっても、一旦、吸収した排泄物がトップシート22の肌側面に戻る恐れを軽減させやすくなる。
【0071】
図7は、セカンドシート35の一部の拡大模式図である。図7に示すように、顕在捲縮繊維35f同士は、複数の固定部35mで固定されて不織布シートとされている。この固定部35mを形成するための接着剤が親水性であることが好ましい。セカンドシート35内の接着剤を親水性とすることで、セカンドシート35の親水性をより高くすることで、トップシート22よりセカンドシート35の親水性をより高くしやすくなり、一旦吸収した排泄物がセカンドシート35からトップシート22に戻る恐れを軽減させやすくなる。
【0072】
また、図7に示すように、固定部35mにおいて、顕在捲縮繊維35f同士が当接した状態で固定された当接固定部35tを有することが好ましく、顕在捲縮繊維35f同士が離間した状態で固定された離間固定部35sを有することが好ましい。当接固定部35tを有することで、互い固定された複数の顕在捲縮繊維35fの強度を向上させることができるため、セカンドシート35の剛性を向上させやすくなる。離間固定部35sを有することで、固定された顕在捲縮繊維35fと顕在捲縮繊維35fとの間の接着剤部分も含めて固定部35m(35s)とすることができるため、固定部35m(離間固定部35s)をより太くすることができ、セカンドシート35の剛性を向上させやすくなる。
【0073】
さらに、図7に示すように、複数の顕在捲縮繊維35fのうち少なくとも一部は、固定部35mによって固定されていない先端部35eを有することが好ましい。つまり、未使用状態のおむつ1のセカンドシート35において、どこにも固定されていない顕在捲縮繊維35fの先端部35eを有することで、着用時において、着用者の肌との当接による圧力や排泄物の吸収による圧力等の外圧によって、セカンドシート35内において隣接する顕在捲縮繊維35fに近づくことができるため、より繊維密度が高くなる部分を設けることができ、毛細管現象によって、排泄物を保持しやすくなり、排泄物がセカンドシート35からトップシート22に戻ってしまう恐れを軽減させることができる。
【0074】
図8Aは、セカンドシート35の一部の拡大写真を示す図である。図8Bは、図8Aの拡大写真に、補助線を加えた図である。セカンドシート35の顕在捲縮繊維35fは、円弧部35c(図7等参照)を有しており、図8A及び図8Bに示すように、円弧部35cの少なくとも一部同士が接着された円弧状の繊維集合部を有することが好ましい。図8B中の太線は、繊維集合部を示している。図8A及び図8Bにおいて、複数の顕在捲縮繊維35fによって形成された環形状の繊維集合部を有することがわかる。この繊維集合部を有することで、互いに固定された状態の複数の円弧部35cによって、円弧形状を備えた部分の強度を向上させることができるため、顕在捲縮繊維35fの螺旋形状を維持しやすくなる。
【0075】
さらに、セカンドシート35の顕在捲縮繊維35fが複数の繊維集合部を有し、おむつ1の平面視で、互いに凸となる方向が異なる繊維集合部同士が接着剤で固定された部分を有することがより好ましい。図9Aは、セカンドシート35の一部の拡大写真を示す図である。図9Bは、図9Aの拡大写真に、補助線を加えた図である。つまり、図9A及び図9Bに示すように、セカンドシート35は、複数の環形状の繊維集合部を有し、繊維集合部の環形状の外側に、隣接する繊維集合部の環形状の外側から当接して、固定されていることで、円弧部の強度を更に向上させることができ、顕在捲縮繊維35fの螺旋形状を維持しやすくなる。
【0076】
===その他の実施形態===
上述の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更・改良され得ると共に、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0077】
1 おむつ(テープ型使い捨ておむつ、吸収性物品)、
3 腹側部、
5 股下部、
7 背側部、
15 レッグギャザー弾性部材、
18 レッグサイドギャザー弾性部材、
21 吸収体、
22 トップシート(肌側層)、
22a 孔、
23 バックシート、
24 吸収性コア、
25 コアラップシート、
26 サイドシート、
27 外装シート、
29 ターゲットテープ、
30 ファスニングテープ、
35 セカンドシート(中間層)、
35f 顕在捲縮繊維、
35c 円弧部、
35m 固定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9