(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】検査装置及び参照画像生成方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/956 20060101AFI20241021BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20241021BHJP
【FI】
G01N21/956 A
H01L21/66 J
(21)【出願番号】P 2021138841
(22)【出願日】2021-08-27
【審査請求日】2024-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】504162958
【氏名又は名称】株式会社ニューフレアテクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】杉原 真児
【審査官】小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-246062(JP,A)
【文献】特開2009-71271(JP,A)
【文献】特開2006-208340(JP,A)
【文献】米国特許第5804340(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 - G01N 21/958
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料の撮像機構と、
前記撮像機構が撮像した前記試料の画像データから輪郭線を抽出する画像取得回路と、
設計データから展開画像を生成する展開回路と、
前記展開画像のパターンの輪郭点のデータを生成する輪郭データ生成回路と、
前記輪郭点を中心とした円のうち、前記パターンに含まれない領域の面積を算出する面積算出回路と、
前記輪郭点と前記輪郭線との間のシフト量を算出するシフト量算出回路と、
前記面積及び前記シフト量に基づいて前記輪郭点のリサイズ量を算出する推定回路と、
前記リサイズ量に基づいて前記輪郭点のデータのリサイズ処理を実行し、前記リサイズ処理が施された前記輪郭点のデータに基づいて参照画像を生成する参照画像生成回路と
を備える、検査装置。
【請求項2】
前記参照画像生成回路は、前記リサイズ処理において、前記リサイズ量に基づいて前記輪郭点を移動させ、
複数の前記輪郭点が1つの画素内に含まれる場合、前記画素に含まれる前記複数の輪郭点を統合し、
2つの前記輪郭点が1画素以上離れている場合、前記2つの輪郭点の間の画素に異なる前記輪郭点を補間する、
請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
試料の撮像機構と、
前記撮像機構が撮像した前記試料の画像データから輪郭線を抽出する画像取得回路と、
設計データのパターンの輪郭点のデータを生成する輪郭データ生成回路と、
前記輪郭点を中心とした円のうち、前記パターンに含まれない領域の面積を算出する面積算出回路と、
前記輪郭点と前記輪郭線との間のシフト量を算出するシフト量算出回路と、
前記面積及び前記シフト量に基づいて前記輪郭点のリサイズ量を算出する推定回路と、
リサイズ処理が施された設計データから展開画像を生成する展開回路と、
前記リサイズ量に基づいて前記設計データの前記リサイズ処理を実行し、前記リサイズ処理が施された前記展開画像に基づいて参照画像を生成する参照画像生成回路と
を備える、検査装置。
【請求項4】
試料を撮像した画像データから輪郭線を抽出する工程と、
設計データから展開画像を生成する工程と、
前記展開画像のパターンの輪郭点のデータを生成する工程と、
前記輪郭点を中心とした円のうち、前記パターンに含まれない領域の面積を算出する工程と、
前記輪郭点と前記輪郭線との間のシフト量を算出する工程と、
前記面積及び前記シフト量に基づいて関数を推定する工程と、
前記関数を用いて前記輪郭点のリサイズ量を算出する工程と、
前記リサイズ量に基づいて前記輪郭点のデータのリサイズ処理を実行する工程と、
前記リサイズ処理が施された前記輪郭点のデータに基づいて参照画像を生成する工程と
を備える、参照画像生成方法。
【請求項5】
前記リサイズ処理を実行する工程は、
前記リサイズ量に基づいて前記輪郭点を移動させる工程と、
複数の前記輪郭点が1つの画素内に含まれる場合、前記画素に含まれる前記複数の輪郭点を統合する工程と、
2つの前記輪郭点が1画素以上離れている場合、前記2つの輪郭点の間の画素に異なる前記輪郭点を補間する工程と
を含む、請求項4に記載の参照画像生成方法。
【請求項6】
試料を撮像した画像データから輪郭線を抽出する工程と、
設計データからパターンの輪郭点のデータを生成する工程と、
前記輪郭点を中心とした円のうち、前記パターンに含まれない領域の面積を算出する工程と、
前記輪郭点と前記輪郭線との間のシフト量を算出する工程と、
前記面積及び前記シフト量に基づいて関数を推定する工程と、
前記関数を用いて前記輪郭点のリサイズ量を算出する工程と、
前記リサイズ量に基づいて前記設計データのリサイズ処理を実行する工程と、
前記リサイズ処理が施された前記設計データから展開画像を生成する工程と、
前記展開画像に基づいて参照画像を生成する工程と
を備える、参照画像生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料に形成されたパターンの欠陥検査をするための検査装置及び参照画像生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程では、露光装置(「ステッパ―」または「スキャナー」とも呼ばれる)を用いた縮小露光により、回路パターンが半導体基板上に転写される。露光装置では、回路パターンを半導体基板(以下、「ウェハ」とも表記する)上に転写するために、原画パターン(以下、単に「パターン」とも表記する)が形成されたマスク(「レチクル」とも呼ばれる)が用いられる。
【0003】
例えば、最先端のデバイスでは、数nmの線幅の回路パターンの形成が要求される。回路パターンの微細化に伴い、マスクにおける原画パターンも微細化している。また、回路パターンの微細化にともない、OPC(Optical Proximity Correction)あるいはSRAF(Sub Resolution Assist Feature)等の超解像技術が導入され、原画パターンが複雑化している。このため、マスクの検査装置には、微細で複雑な原画パターンに対応した高い欠陥検出性能が求められる。
【0004】
欠陥検査方式には、マスクを撮像した画像に基づく検査画像と、設計データに基づく参照画像とを比較するD-DB(Die to Database)方式と、マスク上に形成された同一パターンからなる複数の領域の画像を比較するD-D(Die to Die)方式とがある。
【0005】
マスク上に形成されているパターンは、パターン形成(描画)プロセスに起因して、設計データに対して寸法がシフトしている場合がある。D-DB方式の場合、寸法シフトが発生すると、検査画像のパターンのエッジ位置が、参照画像のエッジ位置と一致しなくなる。参照画像と検査画像との間に位置ずれが生じると、位置ずれ箇所が擬似欠陥として検出される場合がある。
【0006】
寸法シフトに対応するため、参照画像を作成する際、設計データに基づいて生成された2値または多値の展開画像に対して、パターンのエッジ位置を移動させるリサイズ処理及びパターンのコーナー部分を丸めるコーナー丸め処理等の補正が施される。
【0007】
例えば、引用文献1には、展開画像において、各画素の近傍に存在する隣接図形の距離からリサイズ処理におけるリサイズ量を求める技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
検査画像におけるパターンの寸法シフトは、パターンのサイズ及び形状に依存する。寸法シフトに対応するため、参照画像を作成する際にパターンのクラス分類を行い、クラス別に設定されたリサイズ量に基づいてリサイズ処理等の補正が施される場合がある。しかし、パターンの複雑化が進むと、パターンのクラス分類が困難となり、クラス毎の一律なパラメータ設定も困難となる。このため、検査画像と参照画像との一致度を向上させることが困難となる。
【0010】
本発明はこうした点に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明は、検査装置において、パターンの輪郭点毎に、開口部分の等方的な距離の面積を算出できる。そして、検査装置において、面積に基づくリサイズ量を算出し、リサイズ処理を実行できる。これにより、位置ずれに起因する擬似欠陥の検出を低減できる検査装置及び参照画像生成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様によれば、検査装置は、試料の撮像機構と、撮像機構が撮像した試料の画像データから輪郭線を抽出する画像取得回路と、設計データから展開画像を生成する展開回路と、展開画像のパターンの輪郭点のデータを生成する輪郭データ生成回路と、輪郭点を中心とした円のうち、パターンに含まれない領域の面積を算出する面積算出回路と、輪郭点と輪郭線との間のシフト量を算出するシフト量算出回路と、面積及びシフト量に基づいて輪郭点のリサイズ量を算出する推定回路と、リサイズ量に基づいて輪郭点のデータのリサイズ処理を実行し、リサイズ処理が施された輪郭点のデータに基づいて参照画像を生成する参照画像生成回路と、を含む。
【0012】
本発明の第2の態様によれば、検査装置は、試料の撮像機構と、撮像機構が撮像した試料の画像データから輪郭線を抽出する画像取得回路と、設計データのパターンの輪郭点のデータを生成する輪郭データ生成回路と、輪郭点を中心とした円のうち、パターンに含まれない領域の面積を算出する面積算出回路と、輪郭点と輪郭線との間のシフト量を算出するシフト量算出回路と、面積及びシフト量に基づいて輪郭点のリサイズ量を算出する推定回路と、リサイズ処理が施された設計データから展開画像を生成する展開回路と、リサイズ量に基づいて設計データのリサイズ処理を実行し、リサイズ処理が施された展開画像に基づいて参照画像を生成する参照画像生成回路と、を含む。
【0013】
本発明の第3の態様によれば、参照画像生成方法は、試料を撮像した画像データから輪郭線を抽出する工程と、設計データから展開画像を生成する工程と、展開画像のパターンの輪郭点のデータを生成する工程と、輪郭点を中心とした円のうち、パターンに含まれない領域の面積を算出する工程と、輪郭点と輪郭線との間のシフト量を算出する工程と、面積及びシフト量に基づいて輪郭点のリサイズ量を算出する工程と、リサイズ量に基づいて輪郭点のデータのリサイズ処理を実行する工程と、リサイズ処理が施された輪郭点のデータに基づいて参照画像を生成する工程と、を含む。
【0014】
本発明の第4の態様によれば、参照画像生成方法は、試料を撮像した画像データから輪郭線を抽出する工程と、設計データからパターンの輪郭点のデータを生成する工程と、輪郭点を中心とした円のうち、パターンに含まれない領域の面積を算出する工程と、輪郭点と輪郭線との間のシフト量を算出する工程と、面積及びシフト量に基づいて輪郭点のリサイズ量を算出する工程と、リサイズ量に基づいて設計データのリサイズ処理を実行する工程と、リサイズ処理が施された設計データから展開画像を生成する工程と、展開画像に基づいて参照画像を生成する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明の検査装置及び参照画像生成方法によれば、検査画像と参照画像とを比較する際に、輪郭点毎に、開口部分の等方的な距離の面積を算出し、面積に基づくリサイズ量を算出することにより、位置ずれに起因する擬似欠陥の検出を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る検査装置の全体構成を示す図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る検査装置における検査工程の全体の流れを示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る検査装置におけるリサイズ量関数の推定処理のフローチャートである。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る検査装置における輪郭点抽出の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る検査装置における推定領域のCAD図形輪郭線と開口部接触面積との関係を示す図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る検査装置における推定領域の実画輪郭線とCAD図形輪郭線とシフト量との関係を示す図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る検査装置において、シフト量の規格値と半径R=2の開口部接触面積との関係から1次関数の回帰曲線を算出した例を示すグラフである。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係る検査装置において、シフト量の規格値と半径R=4の開口部接触面積との関係から1次関数の回帰曲線を算出した例を示すグラフである。
【
図9】
図9は、第1実施形態に係る検査装置において、シフト量の規格値と半径R=2の開口部接触面積との関係から開口部接触面積の任意の区間毎に平均値を算出した例を示すグラフである。
【
図11】
図11は、第1実施形態に係る検査装置における欠陥検査工程のフローチャートである。
【
図12】
図12は、第1実施形態に係る検査装置において、輪郭データ生成からリサイズマップ生成までの工程の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、第1実施形態に係る検査装置においてリサイズ処理により図形パターンが縮小する場合の一例を示す図である。
【
図14】
図14は、第1実施形態に係る検査装置においてリサイズ処理により図形パターンが膨張する場合の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、第2実施形態に係る検査装置におけるリサイズ量関数の推定処理のフローチャートである。
【
図16】
図16は、第2実施形態に係る検査装置における欠陥検査工程のフローチャートである。
【
図17】
図17は、第3実施形態に係る検査装置の全体構成を示す図である。
【
図18】
図18は、第3実施形態に係る検査装置におけるリサイズ量関数の推定処理のフローチャートである。
【
図19】
図19は、第3実施形態に係る検査装置における欠陥検査工程のフローチャートである。
【
図20】
図20は、第3実施形態に係る検査装置における展開画像のリサイズ処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、実施形態について図面を参照して説明する。実施形態は、発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示している。図面は模式的または概念的なものであり、各図面の寸法及び比率等は必ずしも現実のものと同一とは限らない。本発明の技術的思想は、構成要素の形状、構造、配置等によって特定されるものではない。
【0018】
以下では、試料の検査装置として、走査型電子顕微鏡(以下、「SEM(Scanning Electron Microscope)」と表記する)を用いて測定対象パターンの電子線画像(以下、「SEM画像」あるいは「実画像」とも表記する)を撮像する検査装置について説明する。なお、検査装置は、光学顕微鏡を用いてパターンの光学画像を撮像してもよいし、受光素子を用いて、試料を反射または透過した光の光学画像を撮像してもよい。また、本実施形態では、検査対象となる試料がマスクである場合について説明するが、試料は、ウェハ、または液晶表示装置などに使用される基板等、表面にパターンが設けられている試料であればよい。
【0019】
1.第1実施形態
1.1 検査装置の全体構成
まず、
図1を用いて、検査装置の全体構成の一例について説明する。
図1は、検査装置1の全体構成を示す図である。
【0020】
図1に示すように、検査装置1は、撮像機構10と制御機構20とを含む。
【0021】
撮像機構10は、試料室11及び鏡筒12を含む。鏡筒12は、試料室11の上に設置されている。例えば、鏡筒12は、試料室11に対し垂直に延伸する円筒形状を有している。試料室11及び鏡筒12は、互いに接する面が開口している。試料室11と鏡筒12とにより形成される空間は、ターボ分子ポンプ等を用いて真空(減圧)状態に保持される。
【0022】
試料室11内には、ステージ13、ステージ駆動機構14、及び検出器15が設けられている。
【0023】
ステージ13の上には、試料(マスク)300が載置される。ステージ13は、ステージ13の表面に平行なX方向、及びステージ13の表面に平行であり且つX方向と交差するY方向に移動可能である。また、ステージ13は、ステージ13の表面に垂直なZ方向に移動可能であってもよいし、Z方向を回転軸として、XY平面上で回転軸周りに回転可能であってもよい。
【0024】
ステージ駆動機構14は、ステージ13を、X方向及びY方向に移動させるための駆動機構を有する。なお、ステージ駆動機構14は、例えば、ステージ13をZ方向に移動させる機構を有していてもよいし、Z方向を回転軸として、ステージ13をXY平面上で回転軸周りに回転させる機構を有していてもよい。
【0025】
検出器15は、試料から放出された二次電子または反射電子等を検出する。検出器15は、検出した二次電子または反射電子等の信号、すなわちSEM画像のデータを、画像取得回路217に送信する。
【0026】
鏡筒12内には、SEMの構成要素である電子銃16及び電子光学系17が設けられている。
【0027】
電子銃16は、試料室11に向かって電子線を射出するように設置されている。
【0028】
電子光学系17は、電子銃16から射出された電子線を、試料300の所定の位置に収束させて照射する。例えば、電子光学系17は、複数の集束レンズ101及び102と、複数の走査コイル103及び104と、対物レンズ105とを含む。電子銃16から射出された電子線は、加速された後に集束レンズ101及び102、並びに対物レンズ105によって、ステージ13上に載置された試料300の表面に電子スポットとして集束される。走査コイル103及び104は、試料300上における電子スポットの位置を制御する。
【0029】
制御機構20は、制御回路21、記憶装置22、表示装置23、入力装置24、及び通信装置25を含む。
【0030】
制御回路21は、検査装置1の全体を制御する。より具体的には、制御回路21は、撮像機構10を制御してSEM画像を取得する。また、制御回路21は、制御機構20を制御して、生成した参照画像と検査画像とを比較し、欠陥を検出する。すなわち、制御回路21は、欠陥検査を実行するためのプロセッサである。例えば、制御回路21は、図示せぬCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)を含む。例えば、CPUは、非一時的な記憶媒体としてのROMあるいは記憶装置22に格納されたプログラムをRAMに展開する。そして、制御回路21は、RAMに展開されたプログラムをCPUにより解釈及び実行して、検査装置1を制御する。なお、制御回路21は、例えば、マイクロプロセッサなどのCPUデバイスであってもよいし、パーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置であってもよい。また、制御回路21は、少なくとも一部の機能が、特定用途集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:Field Programmable Gate Alley)、または、グラフィック処理ユニット(GPU:Graphics Processing Unit)等の他の集積回路によって担われる専用回路(専用プロセッサ)を含んでいてもよい。
【0031】
制御回路21は、展開回路211、輪郭データ生成回路212、開口部接触面積算出回路213、シフト量算出回路214、推定回路215、参照画像生成回路216、画像取得回路217、及び比較回路218を含む。なお、これらは、CPU、ASIC、FPGA、または、GPUなどの集積回路が実行するプログラムによって構成されてもよいし、それらの集積回路が備えるハードウェアまたはファームウェアによって構成されてもよいし、それらの集積回路によって制御される個別の回路によって構成されてもよい。以下では、制御回路21が、実行するプログラムによって、展開回路211、輪郭データ生成回路212、開口部接触面積算出回路213、シフト量算出回路214、推定回路215、参照画像生成回路216、画像取得回路217、及び比較回路218の機能を実現する場合について説明する。
【0032】
展開回路211は、例えば、記憶装置22に保持されている設計データ221を図形毎のデータ(図形データ)に展開し、その図形データの図形形状を示す図形コード及び図形寸法などを解釈する。そして、展開回路211は、設計データ221を、所定の量子化寸法のグリッドを単位とするマス目内に配置される図形パターンとして、2値または多値(例えば8bit)の画像(以下、「CAD画」または「展開画像」とも表記する)に展開する。展開回路211は、展開画像の画素毎に図形が占める占有率を演算する。このようにして、演算された各画素内の図形占有率が画素値である。例えば、展開画像が8ビットの階調データで表される場合、各画素の画素値は、0~255の階調値で表される。画素値が0の場合、図形占有率は、0%であり、画素値が255の場合、図形占有率は、100%である。
【0033】
輪郭データ生成回路212は、設計データ221または展開画像の図形パターンの輪郭データを生成する。輪郭データは、パターンの輪郭点及び輪郭点を結ぶ輪郭線に関する情報を含む。換言すると、画素毎に輪郭線が通る座標の代表値、すなわち輪郭点と、輪郭点における輪郭ベクトルの法線方向の情報とが格納されたデータである。本実施形態では、輪郭データ生成回路212は、輪郭データとして、展開画像の図形パターンの輪郭点及び輪郭線(以下、「CAD図形輪郭線」と表記する)を生成する。例えば、輪郭データ生成回路212は、輪郭データを開口部接触面積算出回路213及びシフト量算出回路214に送信する。
【0034】
開口部接触面積算出回路213は、輪郭データの輪郭点毎に、輪郭点を中心とした円において、パターンに含まれない領域の面積(以下、「開口部接触面積」と表記する)を算出する。開口部接触面積は、真円の面積を1として規格化された値である。なお、開口部接触面積が算出される円の半径は、任意に設定し得る。例えば、開口部接触面積算出回路213は、開口部接触面積のデータを推定回路215に送信する。
【0035】
シフト量算出回路214は、輪郭データと、画像取得回路217から取得したSEM画像(実画像)の輪郭線(以下、「実画輪郭線」と表記する)との間の距離をシフト量として算出する。本実施形態では、シフト量算出回路214は、CAD図形輪郭線と実画輪郭線とを比較する。そして、シフト量算出回路214は、輪郭点(画素)毎に、CAD図形輪郭線と実画輪郭線との間の距離(相対ベクトルの大きさ)を算出する。従って、本実施形態では、CAD図形輪郭線と実画輪郭線との間の距離をシフト量と定義する。
【0036】
推定回路215は、開口部接触面積とリサイズ量との関係を示す関数(以下、「リサイズ量関数」と表記する)を推定する回路である。推定回路215は、複数の輪郭点におけるシフト量と開口部接触面積との関係から、リサイズ量関数を推定する。より具体的には、推定回路215は、複数の各輪郭点におけるシフト量と開口部接触面積との関係から、例えば回帰曲線を算出する。回帰曲線は1次関数で表されてもよいし、2次以上の関数で表されてもよい。そして、推定回路215は、回帰曲線の誤差が最小となる半径及びリサイズ量関数を推定する。なお、推定回路215は、複数の各輪郭点におけるシフト量と開口部接触面積との関係から、シフト量と開口部接触面積との関係を示すテーブルを生成してもよい。
【0037】
また、推定回路215は、リサイズ量関数を用いて、リサイズ処理に用いられるリサイズ量を算出する。そして、推定回路215は、画素毎にリサイズ量を表したリサイズマップを作成する。例えば、推定回路215は、リサイズマップを参照画像生成回路216に送信する。
【0038】
参照画像生成回路216は、展開画像を用いて参照画像を生成する。より具体的には、参照画像生成回路216は、リサイズマップに基づいて展開画像のリサイズ処理を実行する。そして、参照画像生成回路216は、リサイズ処理後の展開画像から輪郭線(以下、「参照輪郭線」と表記する)を抽出して参照画像(輪郭画像)を生成する。例えば、参照画像生成回路216は、生成した参照画像を、比較回路218に送信する。
【0039】
画像取得回路217は、撮像機構10の検出器15からSEM画像のデータを取得する。画像取得回路217は、SEM画像(実画像)から実画輪郭線を抽出して検査画像(輪郭画像)を生成する。
【0040】
比較回路218は、適切なアルゴリズムを用いて、検査画像と参照画像とを比較し、欠陥を検出する。より具体的には、比較回路218は、検査画像と参照画像とのアライメントを行う。比較回路218は、アライメント結果に基づいて、試料300面内における検査画像の歪み量を測定し、歪み係数を算出する。比較回路218は、アライメント結果と歪み量とに基づいて、各画素の位置ずれ量を算出する。位置ずれ量は、参照輪郭線と実画輪郭線との間の距離(相対ベクトルの大きさ)を示す。比較回路218は、位置ずれ量が予め設定された閾値を超えた場合には、試料300の対応する画素(座標位置)に欠陥があると判定する。
【0041】
記憶装置22は、欠陥検査に関するデータ及びプログラムを記憶する。例えば、記憶装置22は、設計データ221、リサイズ量データ222、検査条件のパラメータ223、及び検査データ224等を記憶する。設計データ221は、試料300の設計データである。リサイズ量データ222には、輪郭データ、開口部接触面積、シフト量、リサイズマップ、及びリサイズ量関数等が含まれる。検査条件のパラメータ223には、例えば、撮像機構10の撮像条件及び欠陥検出条件(閾値及びアルゴリズム等)が含まれる。検査データ224には、例えば、検査画像と参照画像との位置ずれ量に関する情報、画像データ(展開画像、参照画像、SEM画像、及び検査画像)、検出された欠陥に関するデータ(座標及びサイズ等)が含まれる。また、記憶装置22は、非一時的な記憶媒体として、欠陥検査プログラム225を記憶する。欠陥検査プログラム225は、制御回路21に欠陥検査を実行させるためのプログラムである。
【0042】
なお、記憶装置22は、外部ストレージとして、磁気ディスク記憶装置(HDD:Hard Disk Drive)またはソリッドステートドライブ(SSD)等の各種記憶装置を含んでいてもよい。更に、記憶装置22は、例えば、非一時的な記憶媒体としてCD(Compact Disc)またはDVD(Digital Versatile Disc)等に記憶されたプログラムを読み込むためのドライブを含んでいてもよい。
【0043】
表示装置23は、例えば、表示画面(例えば、LCD(Liquid Crystal Display)またはEL(Electroluminescence)ディスプレイ等)等を含む。表示装置23は、制御回路21の制御により、例えば、欠陥検出結果を表示する。
【0044】
入力装置24は、キーボード、マウス、タッチパネル、またはボタンスイッチなどの入力装置である。
【0045】
通信装置25は、外部装置との間でデータの送受信を行うために、ネットワークに接続するための装置である。通信には、各種の通信規格が用いられ得る。例えば、通信装置25は、外部装置から設計データを受信し、欠陥検査の結果等を外部装置に送信する。
【0046】
1.2 検査工程の全体の流れ
次に、
図2を参照して、欠陥検査工程の全体の流れの一例について説明する。
図2は、検査工程の全体の流れを示すフローチャートである。
【0047】
図2に示すように、検査工程は、大まかに、リサイズ量関数の推定工程(ステップS1)と、欠陥検査工程(ステップS2)とを含む。
【0048】
リサイズ量関数の推定工程は、試料300の欠陥検査を実行する前に、欠陥検査に用いるリサイズ量関数の推定処理を実行する工程である。リサイズ量関数の推定処理は、試料300において、予め設定された複数の推定領域を用いて実行される。推定領域は、試料300内の、リサイズ量関数の推定処理に用いられるパターンを含む領域である。
【0049】
欠陥検査工程は、試料300の欠陥検査を行う工程である。
【0050】
1.2.1 リサイズ量関数の推定処理
次に、
図3を参照して、ステップS1のリサイズ量関数の推定処理の一例について説明する。
図3は、リサイズ量関数の推定処理のフローチャートである。
【0051】
図3に示すように、リサイズ量関数の推定処理として、ステップS101~S111が実行される。各ステップの詳細について説明する。
【0052】
[ステップS101]
制御回路21は、記憶装置22に記憶されている過去に実行された検査のリサイズ量データ222(リサイズ量関数)の使用の有無を判断する。例えば、今回の検査の試料300と同一または類似の試料の検査を過去に実行している場合、制御回路21は、過去のデータを使用し得る。同一または類似の試料とは、今回の検査対象である試料300と、例えば、マスク名、マスクシリーズ、またはパターンの種類及び最小寸法のいずれかが同一の試料である。過去のデータの使用の有無は、検査装置1の利用者(オペレータ)が判断してもよいし、制御回路21が試料300の情報(マスク名または設計データ221等)に基づいて判断してもよい。
【0053】
[ステップS102]
過去のデータを使用する場合(ステップS101_Yes)、制御回路21は、記憶装置22から過去のリサイズ量データ222、すなわち、リサイズ量関数を読み出す。制御回路21は、リサイズ量関数を読み出した後、リサイズ量関数の推定処理を終了する。
【0054】
[ステップS103]
過去のデータを使用しない場合(ステップS101_No)、制御回路21は、リサイズ量関数の関数型を決定する。より具体的には、制御回路21は、回帰曲線の次数またはテーブルの生成を決定する。なお、回帰曲線の次数またはテーブル生成の決定は、オペレータがおこなってもよい。
【0055】
[ステップS104]
次に、制御回路21は、推定領域を選定する。推定領域は、オペレータが選定してもよいし、設計データ221に基づいて、制御回路21が選定してもよい。
【0056】
[ステップS105]
次に、画像取得回路217は、撮像機構10から推定領域のSEM画像を取得する。そして、画像取得回路217は、SEM画像から推定領域の実画輪郭線を抽出する。
【0057】
[ステップS106]
次に、展開回路211は、設計データ221に基づいて、推定領域の展開画像を生成する。なお、ステップS106は、ステップS105の前、あるいは同時に実行されてもよい。
【0058】
[ステップS107]
次に、輪郭データ生成回路212は、推定領域の展開画像に基づいて、推定領域内のパターンの輪郭データを生成する。本実施形態では、輪郭データとして輪郭点及びCAD図形輪郭線が生成される。
図4を参照して、輪郭点抽出の一例を説明する。
図4は、輪郭点抽出の一例を示す図である。なお、
図4において、パターンは設計データ221上のパターン(図形)を可視化しているもので、展開画像の各画素は、図形の占有率に相当する階調値を持っている。従って、展開画像の階調値の合計はその領域の図形の面積に比例する。
図4の例では、ソーベルフィルタを用いて輪郭点を抽出する場合について説明する。なお、輪郭点の抽出に用いられるフィルタは、ソーベルフィルタに限定されない。
【0059】
図4に示すように、まず、輪郭データ生成回路212は、パターンエッジを含む注目画素を中心とした3×3の展開画像において、ソーベルフィルタを用いて注目画素における輪郭の法線方向を求める。より具体的には、輪郭データ生成回路212は、展開画像に対して、ソーベルフィルタのX方向及びY方向のカーネルとの畳み込み演算をそれぞれ行う。そして、輪郭データ生成回路212は、注目画素において、X方向に対する演算値及びY方向に対する演算値を合成して得られた輪郭ベクトルの法線角度θを算出する。例えば、ソーベルフィルタ処理後のX方向の値をFx、Y方向の値をFyとすると、θ=atan(Fy/Fx)という式で表される。
【0060】
次に、輪郭データ生成回路212は、3×3の展開画像の画素値(階調値)の合計(すなわち3×3画素の総面積)が同じであり、ソーベルフィルタで求めた輪郭ベクトルと境界線が垂直となる半平面を形成する。
【0061】
次に、輪郭データ生成回路212は、半平面の境界線上のX方向及びY方向の中点となる位置に、輪郭点を設定する。輪郭点は、各画素内においてサブ画素単位で設定され得る。
【0062】
[ステップS108]
次に、開口部接触面積算出回路213は、推定領域の各輪郭点(各画素)における開口部接触面積を算出する。このとき、開口部接触面積算出回路213は、輪郭点を中心とした円の半径Rを複数設定し得る。そして、開口部接触面積算出回路213は、半径R毎に、開口部接触面積を算出する。なお、半径Rは、オペレータが設定してもよいし、例えば過去のデータに基づいて、制御回路21が設定してもよい。
図5を参照して、開口部接触面積の算出の一例を説明する。
図5は、推定領域におけるCAD図形輪郭線と開口部接触面積との関係を示す。なお、
図5の例は、説明を簡略化するため、輪郭点を含む一部の画素における開口部接触面積を示している。
【0063】
図5に示すように、開口部接触面積算出回路213は、各輪郭点における開口部接触面積を算出する。例えば、輪郭点がCAD図形輪郭線の直線上にある場合、開口部は半円形となるため、開口部接触面積Sは0.50である。同様に、輪郭点が、CAD図形輪郭線の90度コーナー上にある場合、開口部接触面積Sは0.75である。また、輪郭点が、CAD図形輪郭線の270度コーナー上にある場合、開口部接触面積Sは0.25である。
【0064】
[ステップS109]
次に、シフト量算出回路214は、推定領域の各輪郭点(各画素)におけるシフト量を算出する。
図6を参照して、推定領域におけるシフト量算出の一例を説明する。
図6は、推定領域における実画輪郭線とCAD図形輪郭線とシフト量との関係を示す。シフト量は参照輪郭線の法線方向へ伸ばした直線が実画輪郭線と交わる距離とする。なお、
図6の例では、説明を簡略化するため、輪郭点を含む画素の一部におけるシフト量を示している。また、
図6の例では、CAD図形輪郭線に対して実画輪郭線が膨張している場合を示しているが、実画輪郭線は、CAD図形輪郭線に対して縮小していてもよい。
【0065】
図6に示すように、シフト量算出回路214は、CAD図形輪郭線の各輪郭点における実画輪郭線との距離をシフト量として算出する。
【0066】
なお、ステップS108とS109とは順序を入れ替えてもよい。
【0067】
[ステップS110]
次に、推定回路215は、各半径Rについて、誤差が最小となる関数係数、すなわち回帰曲線を推定する。
【0068】
まず、
図7及び
図8を参照して、推定回路215が、シフト量と開口部接触面積との関係を表す回帰曲線を算出する例を説明する。
図7は、シフト量の規格値と半径R=2の開口部接触面積との関係から1次関数の回帰曲線を算出した例を示すグラフである。
図8は、シフト量の規格値と半径R=4の開口部接触面積との関係から1次関数の回帰曲線を算出した例を示すグラフである。なお、
図7及び
図8の例は、同じパターン、すなわち同じシフト量に対応する、異なる半径Rの開口部接触面積を算出した場合を示している。
【0069】
図7に示すように、推定回路215は、シフト量の規格値と半径R=2の開口部接触面積との関係から回帰曲線を算出する。
図7の白丸は、シフト量を規格化した値を示す。太い実線は、回帰曲線を示す。回帰曲線の関数型を1次関数とすると、
図7の例では、回帰曲線は、y=0.7944x+0.1996で表せられる。ここで、xは、開口部接触面積である。yは、シフト量の規格値である。
図7の例では、推定された回帰式の当てはまりの良さ(度合い)を表す回帰曲線の決定係数は、例えば0.8664である。本例は単回帰であるため、相関係数の二乗を決定係数としていて、値が大きい方が、当てはまりが良いことを示す。決定係数は、この他に残差の二乗和の平方根(RMSE:Root Mean Square Error)などを選択することができる。RMSEの場合は、値が小さい方が、当てはまりが良いことを表す。
【0070】
図8に示すように、推定回路215は、シフト量の規格値と半径R=4の開口部接触面積との関係から回帰曲線を算出する。回帰曲線の関数型を1次関数とすると、
図8の例では、回帰曲線は、y=0.8288x+0.2816で表せられる。
図8の例では、回帰曲線の決定係数は、例えば0.8242である。
【0071】
なお、推定回路215は、回帰曲線の代わりにテーブルを生成してもよい。
図9及び
図10を参照して、推定回路215が、シフト量と開口部接触面積との関係を表すテーブルを生成する例を説明する。
図9は、シフト量の規格値と半径R=2の開口部接触面積との関係から開口部接触面積の任意の区間毎に平均値を算出した例を示すグラフである。
図10は、
図9で説明した平均値に基づくテーブルである。
【0072】
図9に示すように、推定回路215は、例えば、開口部接触面積を0.05毎に区分して、それぞれの区間におけるシフト量の規格値の平均値を算出する。
図9の白丸は、シフト量を規格化した値を示す。黒四角は、区間の平均値を示す。推定回路215は、区間毎の平均値に基づいて、
図10に示すテーブルを生成する。テーブルの開口部接触面積は、各区間における上限値を示す。例えば、開口部接触面積が0.41である場合、推定回路215は、テーブルを参照して、シフト量の規格値を0.547とする。例えば、0.547にシフト量の規格化に用いた定数を乗算すると、リサイズ量が算出される。
【0073】
[ステップS111]
次に、推定回路215は誤差が最小となる半径Rと関係係数とを決定する。例えば、推定回路215は、
図7及び
図8で説明した半径R=2の回帰曲線とR=4の回帰曲線とを比較する。この結果、半径R=2の場合の決定係数0.8664が、半径R=4の場合の決定係数0.8242よりも大きいため、推定回路215は、半径R=2を選択する。ここで、決定係数は相関係数の二乗であるため、数値が大きい方のRが選択された。例えば決定係数がRMSEの場合は、数値が小さい方のRが選択される。そして、推定回路215は、リサイズ量を算出する関数として、例えば、Rs(n)=0.7944a×S(n)+0.1996を推定する。
【0074】
ここで、Rs(n)は、リサイズ量である。aは、シフト量の規格化に用いた定数である。例えば、定数aは、シフト量の最大値である。S(n)は、開口部接触面積である。変数nは、輪郭点(画素)の番号を示す整数である。0.7794及び0.1996は、ステップS110で算出した半径R=2のとき回帰曲線の係数である。これにより、リサイズ量関数の推定処理が終了する。
【0075】
なお、本実施形態では、2つの半径R(R=2及びR=4)に基づいて、リサイズ量関数を推定する場合について説明したが、半径Rは3つ以上設定されてもよい。
【0076】
1.2.2 欠陥検査工程
次に、
図11を参照して、ステップS2の欠陥検査工程の一例について説明する。
図11は、欠陥検査工程のフローチャートである。
【0077】
図11に示すように、欠陥検査工程は、検査画像取得工程(ステップS21)と、参照画像生成工程(ステップS22)と、比較工程(ステップS23)とを含む。
【0078】
1.2.2.1 検査画像取得工程
まず、ステップS21の検査画像取得工程の一例について説明する。
【0079】
図11に示すように、検査画像取得工程として、ステップS211~S213が実行される。各ステップの詳細について説明する。
【0080】
[ステップS211]
まず、画像取得回路217は、撮像機構10から、試料300のSEM画像を取得する。
【0081】
[ステップS212]
次に、画像取得回路217は、取得したSEM画像のノイズを除去するため、フィルタ処理を実行する。フィルタ処理は、ガウシアンフィルタ(Gaussian Filter)やバイラテラルフィルタ(Bilateral Filter)などの一般的なフィルタを用いることができる。
【0082】
[ステップS213]
次に、画像取得回路217は、フィルタ処理後のSEM画像から各パターンの実画輪郭線を抽出する。すなわち、画像取得回路217は、検査画像(輪郭画像)を生成する。輪郭位置の抽出の仕方は、従来の手法で構わない。例えば、ソーベルフィルタ等を用いてx,y方向に微分フィルタ処理を行い、それぞれの微分値から実画の傾き方向を求める。そして実画の傾き方向の階調値プロファイルを求め、そのピーク位置を輪郭線(実画輪郭線)上の輪郭位置として抽出する。
【0083】
画像取得回路217は、生成した検査画像を、例えば、比較回路218及び記憶装置22に送信する。
【0084】
1.2.2.2 参照画像生成工程
次に、ステップS22の参照画像生成工程の一例について説明する。
【0085】
図11に示すように、参照画像生成工程として、ステップS221~S228が実行される。各ステップの詳細について説明する。
【0086】
[ステップS221]
まず、制御回路21は、記憶装置22から、設計データ221を取得する。
【0087】
[ステップS222]
次に、展開回路211は、設計データ221を、例えば8bitの画像データ(展開画像)に展開(変換)する展開処理を実行する。展開回路211は、展開画像を、例えば、輪郭データ生成回路212及び記憶装置22に送信する。
【0088】
[ステップS223]
次に、輪郭データ生成回路212は、リサイズ量関数の推定工程のステップS107と同様に、展開画像に基づいて、輪郭データを生成する。本実施形態の輪郭データ生成回路212は、展開画像の図形パターンに基づいて、輪郭点及びCAD図形輪郭線を生成する。輪郭データの例を
図12に示す。
図12は、輪郭データ生成からリサイズマップ生成までの工程の一例を示す図である。なお、
図12の例は、説明を簡略化するため図形パターンの一部に対応する4×4の画素を示している。
【0089】
図12の(a)に示すように、輪郭データとして、図示せぬ輪郭点及びCAD図形輪郭線が生成される。
【0090】
[ステップS224]
次に、開口部接触面積算出回路213は、リサイズ量関数の推定処理で決定された半径Rを用いて、輪郭点(CAD画輪郭線)を含む各画素における開口部接触面積を算出する。
図12の(b)は、各画素の開口部接触面積を示すマップである。本実施形態の開口部接触面積算出回路213は、輪郭点(CAD図形輪郭線)を含む10個の画素において、開口部接触面積S1~S10をそれぞれ算出し、マップを生成する。
【0091】
[ステップS225]
次に、推定回路215は、リサイズ量関数を用いて、各画素におけるリサイズ量を算出し、リサイズマップを生成する。
図12の(c)は、リサイズマップである。推定回路215は、リサイズ量関数を用いて、開口部接触面積S1~S10に対応するリサイズ量Rs1~Rs10をそれぞれ算出し、リサイズマップを生成する。
【0092】
[ステップS226]
本実施形態では、参照画像生成回路216は、リサイズ処理として、ステップS226の輪郭点の移動と、ステップS227の統合及び補間処理とを実行する。
【0093】
まず、参照画像生成回路216は、輪郭データの輪郭点を移動させる。より具体的には、参照画像生成回路216は、リサイズマップに基づいて、
図4を用いて説明した輪郭ベクトルの方向に、輪郭点を移動させる。
【0094】
[ステップS227]
次に、参照画像生成回路216は、輪郭点の統合及び補間処理を実行する。
図13及び
図14を参照して統合及び補間処理の一例について説明する。
図13は、リサイズ処理により図形パターンが縮小する場合の一例を示す図である。
図14は、リサイズ処理により図形パターンが膨張する場合の一例を示す図である。
【0095】
図13に示すように、輪郭点の移動により図形パターンが縮小する場合、1つの画素に複数の輪郭点が含まれる場合がある。このような場合、参照画像生成回路216は、例えば、画素内の複数の輪郭点の重心位置に統合輪郭点を設け、これを当該画素における輪郭点とする。
【0096】
図14に示すように、輪郭点の移動により図形パターンが膨張する場合、輪郭線を含む画素において、2つの輪郭点の間に輪郭点を含まない画素が存在する場合がある。換言すれば、2つの輪郭点の間が1画素以上離れる場合がある。このような場合、参照画像生成回路216は、2つの輪郭点の間の画素に補間輪郭点を設け、これを当該画素における輪郭点とする。補間処理としては、一般的な補間処理を使うことができる。例えば、ラグランジュ補間によって輪郭点の補間を行って輪郭線を描き、画素の中心に近い輪郭線上の点を輪郭点とすると好適である。
【0097】
[ステップS228]
次に、参照画像生成回路216は、リサイズ処理が施された輪郭点に基づいて、参照画像(輪郭画像)を生成する。参照画像生成回路216は、生成した参照画像を比較回路218及び記憶装置22に送信する。
【0098】
1.2.2.3 比較工程
次に、ステップS23の比較工程の一例について説明する。
【0099】
図11に示すように、比較工程として、ステップS231~S233が実行される。各ステップの詳細について説明する。
【0100】
[ステップS231]
まず、比較回路218は、検査画像と参照画像とを用いてアライメントを実行する。すなわち、比較回路218は、検査画像内のパターンと、参照画像内のパターンとの位置合わせを行う。このとき、比較回路218は、実画輪郭線の位置と参照輪郭線の位置との相対ベクトルを求める。そして、比較回路218は、各パターンにおける相対ベクトルの平均値を、参照画像に対する検査画像のアライメントシフト量として、算出する。アライメントシフト量の算出は、他の一般的な方法を用いることができる。
【0101】
[ステップS232]
次に、比較回路218は、検査画像の歪み量を測定し、歪み係数を算出する。例えば、ステージ移動精度あるいは試料300の歪み等により、設計データ221に基づく座標情報と、撮像された画像から算出されたパターンの座標との間に位置ずれが生じる場合がある。比較回路218は、例えば、試料300面内における局所的なアライメントシフト量の分布等から検査画像の歪み量を測定し、歪み係数を算出する。
【0102】
[ステップS232]
次に、比較回路218は、相対ベクトルと歪み係数とに基づいて、画素毎に実画輪郭線と参照輪郭線との間の位置ずれ量を算出する。そして、比較回路218は、位置ずれ量に基づいて、欠陥を検出する。位置ずれ量が閾値を超えた場合、対象画素が欠陥と判定される。制御回路21は、欠陥検査の結果を、記憶装置22に保存した後、例えば、表示装置23に表示してもよく、通信装置25を介して外部装置(例えば、レビュー装置等)に出力してもよい。
【0103】
1.3 本実施形態に係る効果
欠陥検査において、検査画像(実画輪郭線)と参照画像(参照輪郭線)とを比較する際、パターンの寸法シフトにより、実画輪郭線と参照輪郭線との間に位置ずれが発生する。位置ずれ量は、パターンの形状により異なる。このため、パターンが複雑化すると、リサイズ処理により実画輪郭線と参照輪郭線との一致度を向上させることが難しくなる。
【0104】
これに対し、本実施形態に係る構成であれば、検査装置は、輪郭点(画素)毎にシフト量を算出できる。検査装置は、輪郭点(画素)毎に、開口部接触面積を算出できる。検査装置は、シフト量と開口部接触面積との関係からリサイズ量関数を推定できる。検査装置は、欠陥検査工程において、リサイズ量関数を用いてリサイズ量を算出し、リサイズマップを生成できる。これにより、検査装置は、輪郭点毎に最適なリサイズ量を算出できる。このため、検査画像と参照画像との一致度を向上させることができる。従って、欠陥検査による擬似欠陥の抽出を低減でき、欠陥検査の信頼性を向上できる。
【0105】
更に本実施形態に係る構成であれば、リサイズ量関数は、開口部接触面積に基づいてリサイズ量を算出する。従って、パターンが複雑化することによる検査画像と参照画像との一致度の低下を抑制できる。
【0106】
2.第2実施形態
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、設計データ221から輪郭データを直接生成する場合について説明する。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0107】
2.1 リサイズ量関数の推定処理
まず、
図15を参照して、リサイズ量関数の推定処理の一例について説明する。
図15は、リサイズ量関数の推定処理のフローチャートである。
【0108】
図15に示すように、まず、第1実施形態と同様に、ステップS101~S105が実行される。
【0109】
[ステップS120]
ステップS105が実行された後、本実施形態の輪郭データ生成回路212は、推定領域の設計データ221に基づいて、推定領域内のパターンの輪郭データを生成する。
【0110】
[ステップS108]
次に、本実施形態の開口部接触面積算出回路213は、推定領域の各輪郭点における開口部接触面積を算出する。本実施形態では、開口部接触面積算出回路213は、設計データ221の輪郭点を中心とした円のうち、パターンに含まれない領域を開口部接触面積として算出する。このとき、開口部接触面積算出回路213は、輪郭点を中心とした円の半径Rを複数設定し得る。そして、開口部接触面積算出回路213は、半径R毎に、開口部接触面積を算出する。
【0111】
[ステップS109]
次に、本実施形態のシフト量算出回路214は、推定領域の各輪郭点におけるシフト量を算出する。本実施形態のシフト量算出回路214は、設計データ221における輪郭点と実画輪郭線との距離をシフト量として算出する。
【0112】
次に、第1実施形態と同様に、ステップS110及びS111が実行される。これにより、リサイズ量関数が推定される。
【0113】
2.2 欠陥検査工程
次に、
図16を参照して、欠陥検査工程の一例について説明する。
図16は、欠陥検査工程のフローチャートである。本実施形態の欠陥検査工程において、ステップS21の検査画像取得工程及びステップS23の比較工程は、第1実施形態と同様である。以下では、ステップS22の参照画像生成工程について説明する。
【0114】
2.2.1 参照画像生成工程
図16に示すように、第1実施形態と同様に、ステップS221が実行される。
【0115】
[ステップS240]
ステップS221が実行された後、本実施形態の輪郭データ生成回路212は、設計データ221に基づいて、輪郭データを生成する。
【0116】
[ステップS224]
次に、本実施形態の開口部接触面積算出回路213は、リサイズ量関数の推定処理で決定された半径Rを用いて、設計データ221の各輪郭点における開口部接触面積を算出する。
【0117】
[ステップS225]
次に、本実施形態の推定回路215は、リサイズ量関数を用いて、設計データ221の各輪郭点におけるリサイズ量を算出し、リサイズマップを生成する。
【0118】
[ステップS241]
次に、本実施形態の参照画像生成回路216は、リサイズマップに基づいて、設計データ221のリサイズ処理を実行する。本実施形態では、参照画像生成回路216は、リサイズ処理として、設計データ221を移動させる。
【0119】
[ステップS222]
次に、本実施形態の展開回路211は、リサイズ処理された(移動後の)設計データ221の展開処理を実行する。
【0120】
次に、ステップS228が実行される。参照画像生成回路216は、展開画像からパターンの参照輪郭線を抽出する。
【0121】
2.3 本実施形態に係る効果
本実施形態に係る構成であれば、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0122】
更に、本実施形態に係る構成であれば、設計データから輪郭データを生成できる。
【0123】
3.第3実施形態
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態では、第1及び第2実施形態とは異なるリサイズ量関数の推定処理及び参照画像生成工程について説明する。以下、第1及び第2実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0124】
3.1 検査装置の全体構成
まず、
図17を用いて、検査装置の全体構成の一例について説明する。
図17は、検査装置1の全体構成を示す図である。
【0125】
図1に示すように、本実施形態の検査装置1では、輪郭データ生成回路212が廃されている。そして、輪郭点検出回路219が設けられている。その他の構成は、第1実施形態の
図1と同様である。
【0126】
輪郭点検出回路219は、展開画像の図形パターンの輪郭点を検出する。より具体的には、輪郭位置の検出とは、対象となるデータのフォーマットに関わらず、輪郭線が通る座標を認識することである。輪郭点検出回路219が検出した輪郭点は、例えば、開口部接触面積算出回路213及びシフト量算出回路214に送信され、記憶装置22にデータとして記憶されない。
【0127】
3.2 リサイズ量関数の推定処理
次に、
図18を参照して、リサイズ量関数の推定処理の一例について説明する。
図18は、リサイズ量関数の推定処理のフローチャートである。
【0128】
図18に示すように、まず、第1実施形態と同様に、ステップS101~S106が実行される。
【0129】
[ステップS130]
ステップS106が実行された後、輪郭点検出回路219は、推定領域の展開画像に基づいて、推定領域内のパターンの輪郭点を検出する。検出された輪郭点の情報は、例えば、データとして、記憶装置22には記憶されない。
【0130】
[ステップS108]
次に、本実施形態の開口部接触面積算出回路213は、検出された輪郭点における開口部接触面積を算出する。このとき、開口部接触面積算出回路213は、輪郭点を中心とした円の半径Rを複数設定し得る。そして、開口部接触面積算出回路213は、半径R毎に、開口部接触面積を算出する。
【0131】
[ステップS109]
次に、本実施形態のシフト量算出回路214は、推定領域内の各輪郭点におけるシフト量を算出する。本実施形態のシフト量算出回路214は、検出された輪郭点と実画輪郭線との距離をシフト量として算出する。
【0132】
次に、第1実施形態と同様に、ステップS110及びS111が実行される。これにより、リサイズ量関数が推定される。
【0133】
3.3 欠陥検査工程
次に、
図19を参照して、欠陥検査工程の一例について説明する。
図19は、欠陥検査工程のフローチャートである。本実施形態の欠陥検査工程において、ステップS21の検査画像取得工程及びステップS23の比較工程は、第1実施形態と同様である。以下では、ステップS22の参照画像生成工程について説明する。
【0134】
3.3.1 参照画像生成工程
図19に示すように、第1実施形態と同様に、ステップS221及びS222が実行される。
【0135】
[ステップS250]
ステップS222が実行された後、輪郭点検出回路219は、展開画像の輪郭点を検出する。
【0136】
[ステップS224]
次に、本実施形態の開口部接触面積算出回路213は、リサイズ量関数の推定処理で決定された半径Rを用いて、検出された輪郭点における開口部接触面積を算出する。
【0137】
[ステップS225]
次に、本実施形態の推定回路215は、リサイズ量関数を用いて、各輪郭点におけるリサイズ量を算出し、リサイズマップを生成する。
【0138】
[ステップS251]
次に、参照画像生成回路216は、リサイズマップに基づいて、展開画像のリサイズ処理を実行する。本実施形態では、参照画像生成回路216は、リサイズ処理として、展開画像の図形パターンをリサイズする。例えば、参照画像生成回路216は、1画素単位でリサイズ処理を繰り返す。1画素単位のリサイズ処理とは、例えば、エッジ位置を1画素分だけ移動させるリサイズ量を100と定義した場合、1回のリサイズ処理の上限をリサイズ量100としたリサイズ処理である。例えば、リサイズマップにおいて、画素のリサイズ量が250である場合、3回のリサイズ処理が実行される。
【0139】
図20を参照して、展開画像のリサイズ処理について説明する。
図20は、展開画像のリサイズ処理の一例を示す図である。
図20において、パターンは、設計データ221上のパターン(図形)を可視化しているもので、展開画像の各画素は、図形の占有率に相当する階調値を持っている。従って、展開画像の階調値の合計はその領域の図形の面積に比例する。
図20の例では、図形を膨張させる方向にリサイズ処理を行っているが、図形を収縮させる場合は図形を予め階調反転させてからリサイズ処理を行い、処理後に再度反転させると好適である。
図20の例では、ソーベルフィルタを用いてリサイズ処理を実行する場合について説明する。なお、リサイズ処理に用いられるフィルタは、ソーベルフィルタに限定されない。
【0140】
図20に示すように、参照画像生成回路216は、
図4と同様にして、ソーベルフィルタを用いて注目画素の輪郭ベクトルを算出する。そして、参照画像生成回路216は、3×3の展開画像において、輪郭ベクトルに対応する半平面を形成する。次に、参照画像生成回路216は、注目画素において、半平面をリサイズ量の方向に最大1画素分以下のリサイズ量(本例では、リサイズ量100以下)だけ移動させる。すなわち、参照画像生成回路216は、リサイズ量に応じて、注目画素の画素値を補正し、1画素単位のリサイズ処理を実行する。リサイズ量は、X方向及びY方向の2つの成分を持っている。
図20におけるリサイズ量は、X方向のリサイズ量をRx、Y方向のリサイズ量をRyとすると、(Rx・cosθ,Ry・sinθ)というベクトルで表される。
【0141】
参照画像生成回路216は、各画素のリサイズ量が予め設定された閾値以下(例えば0)になるまで、膨張処理、リサイズ処理、及びリサイズ量の減算処理を繰り返す。膨張処理は、リサイズ量として1以上が設定されている画素の隣接画素のうち、リサイズ量が0である画素にリサイズ量を付与し、リサイズ量が付与されている画素を増加(膨張)させる処理である。リサイズ量の減算処理は、1画素分のリサイズ処理後、リサイズ量から1画素分のリサイズ量を減算する処理である。
【0142】
[ステップS228]
次に、第1実施形態と同様に、ステップS228が実行される。参照画像生成回路216は、展開画像からパターンの参照輪郭線を抽出する。
【0143】
3.4 本実施形態に係る効果
本実施形態に係る構成であれば、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0144】
4.変形例等
上述の実施形態では、検査装置において参照画像を生成する場合について説明したが、参照画像の生成方法は、検査装置に限定されない。データに基づいて参照画像を生成する装置、例えば、測定装置等、他の装置に適用されてもよい。
【0145】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0146】
1…検査装置、10…撮像機構、11…試料室、12…鏡筒、13…ステージ、14…ステージ駆動機構、15…検出器、16…電子銃、17…電子光学系、20…制御機構、21…制御回路、22…記憶装置、23…表示装置、24…入力装置、25…通信装置、101、102…集束レンズ、103、104…走査コイル、105…対物レンズ、211…展開回路、212…輪郭データ生成回路、213…開口部接触面積算出回路、214…シフト量算出回路、215…推定回路、216…参照画像生成回路、217…画像取得回路、218…比較回路、219…輪郭点検出回路、221…設計データ、222…リサイズ量データ、223…検査条件パラメータ、224…検査データ、225…欠陥検査プログラム、300…試料