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特許7574216骨格型MFIを有するゼオライト材料を含む成形品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】骨格型MFIを有するゼオライト材料を含む成形品
(51)【国際特許分類】
   C01B 37/02 20060101AFI20241021BHJP
   B01J 29/035 20060101ALI20241021BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20241021BHJP
【FI】
C01B37/02
B01J29/035 Z
C07B61/00 300
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021564365
(86)(22)【出願日】2020-04-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-27
(86)【国際出願番号】 EP2020061597
(87)【国際公開番号】W WO2020221683
(87)【国際公開日】2020-11-05
【審査請求日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】19171503.6
(32)【優先日】2019-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(72)【発明者】
【氏名】パルフレスク,アンドレイ-ニコラエ
(72)【発明者】
【氏名】リュッチェル,ハンス-ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】リーデル,ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー,ウルリヒ
(72)【発明者】
【氏名】テレス,ヨアキム ヘンリケ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェーバー,マルクス
【審査官】森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-535718(JP,A)
【文献】特表2016-502487(JP,A)
【文献】特開2018-048076(JP,A)
【文献】特表2015-512845(JP,A)
【文献】国際公開第2012/076543(WO,A1)
【文献】特開2019-001711(JP,A)
【文献】特表2016-529190(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/20 - 39/54
B01J 29/035
C07B 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイプIの窒素吸着/脱着等温線を示し、且つ骨格型MFIと、Si、O及びTiを含む骨格構造とを有するゼオライト材料を含む化学成形品であって、前記成形品が前記ゼオライト材料のためのバインダーをさらに含み、前記バインダーがSi及びOを含み、前記成形品が少なくとも0.4mL/gの全細孔容積及び少なくとも6Nの破壊強さを示す、成形品。
【請求項2】
前記成形品に含まれる前記ゼオライト材料の95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは少なくとも99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、Si、O、Ti、及び任意にHからなり、そして
前記ゼオライト材料が、元素Tiとして計算して、且つ前記ゼオライト材料の合計質量に基づいて、0.2~5質量%の範囲、好ましくは0.5~4質量%の範囲、より好ましくは1.0~3質量%の範囲、より好ましくは1.2~2.5質量%の範囲、より好ましくは1.4~2.2質量%の範囲の量でTiを含み、
前記成形品に含まれる前記ゼオライト材料が好ましくはチタンシリカライト-1である、請求項1に記載の成形品。
【請求項3】
前記成形品に含まれる前記バインダーの95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは少なくとも99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、Si及びOからなり、そして前記成形品が前記バインダーを、SiOとして計算して、前記成形品の合計質量に基づいて、2~90質量%の範囲、好ましくは5~70質量%の範囲、より好ましくは10~50質量%の範囲、より好ましくは15~30質量%の範囲、より好ましくは20~25質量%の範囲の量で含む、請求項1又は2に記載の成形品。
【請求項4】
前記成形品の95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは少なくとも99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、前記ゼオライト材料及び前記バインダーからなる、請求項1から3のいずれか1項に記載の成形品。
【請求項5】
0.4~1.5mL/gの範囲、好ましくは0.4~1.2mL/gの範囲、より好ましくは0.4~1.0mL/gの範囲の全細孔容積を示し、6~25Nの範囲、好ましくは7~20Nの範囲、より好ましくは8~15Nの範囲の破壊強さを示す、請求項1から4のいずれか1項に記載の成形品。
【請求項6】
以下の特徴:
- 水に対する屈曲度パラメータを、参考例11に記載のように決定して、1.0~2.5の範囲、好ましくは1.3~2.0の範囲、より好ましくは1.6~1.8の範囲、より好ましくは1.6~1.75の範囲、より好ましくは1.6~1.72の範囲で示す、
- BET比表面積を、参考例6に記載のように決定して、300~450m/gの範囲、好ましくは310~400m/gの範囲、より好ましくは320~375m/gの範囲で示す、
- 結晶化度を、参考例7に記載のように決定して、50~100%の範囲、好ましくは50~90%の範囲、より好ましくは50~80%の範囲で示す、
- プロピレンオキシド活性を、参考例9に記載のように決定して、少なくとも4.5質量%、好ましくは4.5~11質量%の範囲、より好ましくは4.5~10質量%の範囲で示す、
- 圧力降下率を、参考例9に記載のように決定して、0.005~0.019バール(abs)/分の範囲、好ましくは、0.006~0.017バール(abs)/分の範囲、より好ましくは0.007~0.015バール(abs)/分の範囲で示す、
- プロピレンオキシドをプロペン及び過酸化水素から調製するための反応において触媒として使用した場合に、参考例10に記載のような連続エポキシ化反応において決定して、55~56℃の範囲の冷却媒体の温度で、200~600時間の範囲のオンストリーム時間、好ましくは300~600時間の範囲のオンストリーム時間、より好ましくは350~600時間の範囲のオンストリーム時間で、90~95%の範囲の過酸化水素変換率を示し、「オンストリーム時間」が、触媒の再生を伴わない連続エポキシ化反応の継続時間を指す、
のうちの1つ以上を示す、請求項1から5のいずれか1項に記載の成形品。
【請求項7】
参考例1に記載のように決定してタイプIの窒素吸着/脱着等温線を示し、且つ骨格型MFIと、Si、O及びTiを含む骨格構造とを有するゼオライト材料を含む化学成形品の製造方法であって、前記成形品が前記ゼオライト材料のためのバインダーをさらに含み、前記バインダーがSi及びOを含む、成形品の製造方法、好ましくは請求項1から6のいずれか1項に記載の化学成形品の製造方法であって、以下の工程:
(i) 参考例1に記載のように決定してタイプIの窒素吸着/脱着等温線を示し、骨格型MFIと、Si、O及びTiを含む骨格構造とを有するゼオライト材料を提供する工程、
(ii) 水中のシリカのコロイド分散体を含むバインダー前駆体を提供する工程であって、前記バインダー前駆体が、参考例5に記載のように決定して少なくとも35ナノメートルのDv10値、少なくとも45ナノメートルのDv50値、及び少なくとも65ナノメートルのDv90値によって特徴付けられる体積ベースの粒度分布を示す、提供する工程、
(iii) 工程(i)で提供されたゼオライト材料と、工程(ii)で提供されたバインダー前駆体とを含む混合物を調製する工程、
(iv) 工程(iii)から得られた混合物を成形して、前記成形品の前駆体を得る工程、
(v) 工程(iv)から得られた成形品の前駆体と水とを含む混合物を調製し、そして前記混合物を水熱条件下で水処理に供して、水処理した前記成形品の前駆体を得る工程、
(vi) 前記水処理した前記成形品の前駆体をガス雰囲気中でか焼して、前記成形品を得る工程
を含む、方法。
【請求項8】
工程(ii)による前記水中のシリカのコロイド分散体の前記体積ベースの粒度分布が、参考例5に記載のように決定して35~80ナノメートルの範囲、好ましくは40~75ナノメートルの範囲、より好ましくは45~70ナノメートルの範囲のDv10値、45~125ナノメートルの範囲、好ましくは55~115ナノメートルの範囲、より好ましくは65~105ナノメートルの範囲のDv50値、及び65~200ナノメートルの範囲、好ましくは85~180ナノメートルの範囲、より好ましくは95~160ナノメートルの範囲のDv90値によって特徴付けられ、好ましくは工程(ii)による前記バインダー前駆体の95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、水中のシリカのコロイド分散体からなる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
工程(iii)により調製され、そして工程(iv)に供される前記混合物において、前記ゼオライト材料の質量比が、前記ゼオライト材料とSiOとして計算される前記バインダーとの総計に対して、2~90%の範囲、好ましくは5~70%の範囲、より好ましくは10~50%の範囲、より好ましくは15~30%の範囲、より好ましくは20~25%の範囲であり、工程(iii)により調製され、そして工程(iv)に供される前記混合物が、好ましくは、1種以上の添加剤、好ましくは1種以上の粘度改変剤、又は1種以上のメソ細孔形成剤、又は1種以上の粘度改変剤及び1種以上のメソ細孔形成剤をさらに含み、前記1種以上の添加剤が、好ましくは、水、アルコール、有機ポリマー、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、前記有機ポリマーが、好ましくは、セルロース、セルロース誘導体、デンプン、ポリアルキレンオキシド、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、前記有機ポリマーが、より好ましくは、セルロースエーテル、ポリアルキレンオキシド、ポリスチレン、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、前記有機ポリマーが、より好ましくは、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレンオキシド、ポリスチレン、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、
より好ましくは、前記1種以上の添加剤が、水、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレンオキシド、及びポリスチレンを含む、より好ましくはこれらからなる、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
工程(iii)により調製され、そして工程(iv)に供される前記混合物において、
- 前記ゼオライト材料の、前記1種以上の添加剤に対する質量比が、0.3:1~1:1の範囲、好ましくは0.4:1~0.8:1の範囲、より好ましくは0.5:1~0.6:1の範囲であり、
- 前記ゼオライト材料の、前記セルロース誘導体、好ましくは前記セルロースエーテル、より好ましくは前記カルボキシメチルセルロースに対する質量比が、10:1~53:1の範囲、好ましくは15:1~40:1の範囲、より好ましくは20:1~35:1の範囲であり、
- 前記ゼオライト材料の、前記ポリエチレンオキシドに対する質量比が、70:1~110:1の範囲、好ましくは75:1~100:1の範囲、より好ましくは77:1~98:1の範囲であり、
- 前記ゼオライト材料の、前記ポリスチレンに対する質量比が、2:1~8:1の範囲、好ましくは3:1~6:1の範囲、より好ましくは3.5:1~5:1の範囲であり、
- 前記ゼオライト材料の、前記水に対する質量比が、0.7:1~0.85:1の範囲、好ましくは0.72:1~0.8:1の範囲、より好ましくは0.74:1~0.79:1の範囲であり、
工程(iii)により調製され、そして工程(iv)に供される前記混合物が、参考例12に記載のように決定して、500~3000Nの範囲、より好ましくは750~2000Nの範囲、より好ましくは1000~1500Nの範囲の可塑性を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
工程(iv)による成形が、前記成形品の前記前駆体をガス雰囲気中で乾燥させることをさらに含み、前記乾燥が、好ましくは、80~160℃の範囲、好ましくは100~140℃の範囲、より好ましくは110~130℃の範囲のガス雰囲気の温度で行われ、前記ガス雰囲気が、好ましくは、窒素、酸素、又はこれらの混合物を含み、前記ガス雰囲気が、より好ましくは、酸素、空気、又は希薄空気であり、工程(iv)による成形が、乾燥させた前記成形品の前駆体をガス雰囲気中でか焼することをさらに含み、か焼が、好ましくは、450~530℃、好ましくは470~510℃、より好ましくは480~500℃の前記ガス雰囲気の温度で行われ、前記ガス雰囲気が、好ましくは窒素、酸素又はこれらの混合物を含み、前記ガス雰囲気が、より好ましくは酸素、空気又は希薄空気である、請求項7から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
工程(v)において調製される前記混合物中で、前記成形品の前記前駆体の、前記水に対する質量比が、1:1~1:30の範囲、好ましくは1:5~1:25の範囲、より好ましくは1:10~1:20の範囲であり、工程(v)により調製される前記混合物の、好ましくは95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、前記成形品の前記前駆体及び前記水からなる、請求項7から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
工程(v)による水処理が、100~200℃の範囲、好ましくは125~175℃の範囲、より好ましくは130~160℃の範囲、より好ましくは135~155℃の範囲、より好ましくは140~150の範囲の前記混合物の温度を含み、工程(v)による水処理が、自己圧力下で、好ましくはオートクレーブ内で行われる、請求項7から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
工程(v)が、前記水処理から得られた前記混合物から、前記水処理した前記成形品の前駆体を分離することをさらに含み、前記分離が、好ましくは、前記水処理から得られた前記混合物を固液分離に供すること、好ましくは前記分離した前駆体を洗浄すること、及び前記好ましくは洗浄した前駆体を好ましくは乾燥させることを含み、工程(v)による前記乾燥が、好ましくは、前記前駆体をガス雰囲気中で乾燥させることを含み、乾燥が、好ましくは、80~160℃の範囲、より好ましくは100~140℃の範囲、より好ましくは110~130℃の範囲の前記ガス雰囲気の温度で行われ、前記ガス雰囲気は、好ましくは、窒素、酸素、又はこれらの混合物を含み、前記ガス雰囲気は、より好ましくは酸素、空気、又は希薄空気である、請求項7から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
工程(vi)によるか焼が、前記ガス雰囲気における、400~490℃の範囲、好ましくは420~470℃の範囲、より好ましくは440~460℃の範囲の温度で行われ、前記ガス雰囲気が、好ましくは、窒素、酸素、又はこれらの混合物を含み、前記ガス雰囲気は、より好ましくは、酸素、空気、又は希薄空気である、請求項7から14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
請求項1から6のいずれか1項に記載の成形品を使用する方法であって、吸着剤、吸収剤、触媒又は触媒成分として、好ましくは触媒として又は触媒成分として、より好ましくはルイス酸触媒又はルイス酸触媒成分として、異性化触媒として又は異性化触媒成分として、酸化触媒として又は酸化触媒成分として、アルドール縮合触媒として又はアルドール縮合触媒成分として、又はプリンス反応触媒として又はプリンス反応触媒成分として、好ましくは酸化触媒として又は酸化触媒成分として、好ましくはエポキシ化触媒又はエポキシ化触媒成分として、より好ましくはエポキシ化触媒として、
好ましくは、少なくとも1つのC-C二重結合を有する有機化合物、好ましくはC2~C10アルケン、より好ましくはC2~C5アルケン、より好ましくはC2~C4アルケン、より好ましくはC2又はC3アルケン、より好ましくはプロペンのエポキシ化反応のために、より好ましくは過酸化水素を酸化剤としたプロペンのエポキシ化反応のために、より好ましくはアルコール、好ましくはメタノールを含む溶媒における過酸化水素を酸化剤としたプロペンのエポキシ化反応のために、使用する方法。
【請求項17】
水中のシリカのコロイド分散体をバインダー前駆体として、参考例1に記載のように決定してタイプIの窒素吸着/脱着等温線を示し、且つ骨格型MFIと、Si、O及びTiを含む骨格構造とを有するゼオライト材料を含み、前記バインダー前駆体から得られたバインダーをさらに含む化学成形品の調製に、好ましくは請求項1から6のいずれか1項に記載の成形品の調製に、使用する方法であって、前記シリカが、参考例5に記載のように決定して少なくとも35ナノメートル、好ましくは35~80ナノメートルの範囲、より好ましくは40~75ナノメートルの範囲、より好ましくは45~70ナノメートルの範囲のDv10値、少なくとも45ナノメートル、好ましくは45~125ナノメートルの範囲、より好ましくは55~115ナノメートルの範囲、より好ましくは65~105ナノメートルの範囲のDv50値、及び少なくとも65ナノメートル、好ましくは65~200ナノメートルの範囲、より好ましくは85~180ナノメートルの範囲、より好ましくは95~160ナノメートルの範囲のDv90値によって特徴付けられる体積ベースの粒度分布を示し、前記成形品が、好ましくは、参考例2に記載のように決定して少なくとも0.4mL/gの全細孔容積、及び参考例3に記載のように決定して少なくとも6Nの破壊強さを示す、使用する方法。
【請求項18】
参考例1に記載のように決定してタイプIの窒素吸着/脱着等温線を示し、且つ骨格型MFIと、Si、O及びTiを含む骨格構造とを有するゼオライト材料を含む混合物であって、前記混合物が、水中のシリカのコロイド分散体をさらに含み、前記バインダー前駆体が、参考例5に記載のように決定して少なくとも35ナノメートルのDv10値、少なくとも45ナノメートルのDv50値、及び少なくとも65ナノメートルのDv90値によって特徴付けられる体積ベースの粒度分布を示し、
前記混合物が、好ましくは、参考例12に記載のように決定して、500~3000Nの範囲、好ましくは750~2000Nの範囲、より好ましくは1000~1500Nの範囲の可塑性を有し、
前記水中のシリカのコロイド分散体が、前記シリカ及び前記水の合計質量に基づいて、25~65質量%、より好ましくは30~60質量%、より好ましくは35~55質量%の範囲の量で前記シリカを含み、前記バインダー前駆体の好ましくは95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、前記水中のシリカのコロイド分散体からなり、
前記混合物において、前記ゼオライト材料の質量比が、前記ゼオライト材料とSiOとして計算される前記バインダーとの総計に対して、好ましくは2~90%の範囲、より好ましくは5~70%の範囲、より好ましくは10~50%の範囲、より好ましくは15~30%の範囲、より好ましくは20~25%の範囲であり、
前記混合物が、好ましくは、1種以上の添加剤、好ましくは1種以上の粘度改変剤、又は1種以上のメソ細孔形成剤、又は1種以上の粘度改変剤及び1種以上のメソ細孔形成剤をさらに含む、混合物。
【請求項19】
化学成形品、好ましくは請求項1から6のいずれか1項に記載の化学成形品を製造するために、請求項18に記載の混合物を使用する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学成形品であって、特に、特定のバインダーと、骨格型MFIを有する特定のゼオライト材料と、Si、O及びTiを含む骨格構造とを含む成形品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
構造型MFIのチタン含有ゼオライト材料は、タイプIの窒素吸着/脱着等温線を示し(例えばチタンシリカライト-1)、例えばエポキシ化反応を含む効率的な触媒であることが知られている。典型的には連続モードで行われるような、工業規模のプロセスにおいて、このゼオライト材料は通常、触媒活性のあるゼオライト材料に加えて、好適なバインダーを含む成形品の形で用いられる。
【0003】
US2016/250624A1は、疎水性ゼオライト材料を含有する成形品の製造方法、及びその製造方法に関する。
【0004】
US6551546B1は、少なくとも1つの多孔質酸化物材料及び少なくとも1つの金属酸化物を含む成形体を製造するための方法に関する。
【0005】
DE19859561A1も同様に、少なくとも1つの多孔質酸化物材料及び少なくとも1つの金属酸化物を含む成形体を製造するための方法に関する。
【0006】
US7825204B2は、無機酸化物を含む押出物に関するものであり、櫛状分岐ポリマーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】US2016/250624A1
【文献】US6551546B1
【文献】DE19859561A1
【文献】US7825204B2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、骨格型MFIを有するゼオライト材料を含む新規且つ有利な成形品であって、触媒又は触媒成分として、特にプロペンからプロピレンオキシドへのエポキシ化反応において使用するときに、有利な特性、特に改善されたプロピレンオキシド選択性を有する、成形品を提供することである。本発明のさらなる目的は、そのような成形品を調製するための方法を提供することであり、特に、好ましくは触媒又は触媒成分として、具体的には酸化又はエポキシ化反応において使用するときに、有利な特性を有する成形品が得られる方法を提供することである。本発明のさらなる目的は、過酸化水素を酸化剤とするプロペンのエポキシ化のための改善された方法であって、エポキシ化反応の副生成物及び副産物に関して非常に低い選択性を示すと同時に、非常に高いプロピレン選択性を可能にする方法を提供することである。
【0009】
驚くべきことに、成形品の製造に、所定の特定のバインダー前駆体材料を使用し、そして骨格型MFIを有するゼオライト材料を含む中間成形品を特定の後処理に供した場合に、前記有利な特性を示すそのような成形品を提供できることが見出された。特に、驚くべきことに、プロペンからプロピレンオキシドへのエポキシ化反応における触媒として使用した場合に、そして先行技術の成形品と比較した場合に、プロピレンオキシドの選択性及び収率の著しい向上を示し、且つ優れた寿命特性をさらに示す成形品を提供できることが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0010】
従って、本発明は、タイプIの窒素吸着/脱着等温線を示し、且つ骨格型MFIと、Si、O及びTiを含む骨格構造とを有するゼオライト材料を含む化学成形品であって、該成形品が前記ゼオライト材料のためのバインダーをさらに含み、該バインダーがSi及びOを含む、成形品に関するものであり、該成形品は、少なくとも0.4mL/gの全細孔容積及び少なくとも6Nの破壊強さ(crushing strength)を示す。特に、本発明は、参考例1に記載のように決定してタイプIの窒素吸着/脱着等温線を示し、且つ骨格型MFIと、Si、O及びTiを含む骨格構造とを有するゼオライト材料を含む化学成形品であって、該成形品が前記ゼオライト材料のためのバインダーをさらに含み、該バインダーがSi及びOを含む、成形品に関するものであり、該成形品は、参考例2に記載のように決定して少なくとも0.4mL/gの全細孔容積、及び参考例3に記載のように決定して少なくとも6Nの破壊強さを示す。
【0011】
本発明によれば、成形品とは、成形プロセスから得られる三次元の実体と理解され、よって「成形品(molding)」という用語は、「成形体(shaped body)」という用語と同義に用いられる。
【0012】
さらに、本発明は、参考例1に記載のように決定してタイプIの窒素吸着/脱着等温線を示し、且つ骨格型MFIと、Si、O及びTiを含む骨格構造とを有するゼオライト材料を含む化学成形品の製造方法であって、該成形品が前記ゼオライト材料のためのバインダーをさらに含み、該バインダーがSi及びOを含む、成形品の製造方法、好ましくは本明細書に記載の本発明の化学成形品の製造方法に関するものであり、この方法は、以下の工程を含む。
(i) 参考例1に記載のように決定してタイプIの窒素吸着/脱着等温線を示し、骨格型MFIと、Si、O及びTiを含む骨格構造とを有するゼオライト材料を提供する工程、
(ii) 水中のシリカのコロイド分散体を含むバインダー前駆体を提供する工程であって、前記バインダー前駆体が、参考例5に記載のように決定して少なくとも35ナノメートルのDv10値、少なくとも45ナノメートルのDv50値、及び少なくとも65ナノメートルのDv90値によって特徴付けられる体積ベースの粒度分布を示す、提供する工程、
(iii) 工程(i)で提供されたゼオライト材料と、工程(ii)で提供されたバインダー前駆体とを含む混合物を調製する工程、
(iv) 工程(iii)から得られた混合物を成形して、成形品の前駆体を得る工程、
(v) 工程(iv)から得られた成形品の前駆体と水とを含む混合物を調製し、そして混合物を水熱条件下で水処理に供して、水処理した成形品の前駆体を得る工程、
(vi) 水処理した成形品の前駆体をガス雰囲気中でか焼して、成形品を得る工程。
【0013】
さらに本発明は、参考例1に記載のように決定してタイプIの窒素吸着/脱着等温線を示し、骨格型MFIと、Si、O及びTiを含む骨格構造とを有するゼオライト材料の粒子を含む化学成形品であって、該成形品が前記粒子のためのバインダーをさらに含み、該バインダーがSi及びOを含む、成形品、好ましくは、本明細書に記載の本発明の方法によって得ることができる又は得られた化学成形品に関するものである。
【0014】
さらに本発明は、本明細書に記載の本発明の成形品を、吸着剤、吸収剤、触媒又は触媒成分として、好ましくは触媒として又は触媒成分として、より好ましくはルイス酸触媒又はルイス酸触媒成分として、異性化触媒として又は異性化触媒成分として、酸化触媒として又は酸化触媒成分として、アルドール縮合触媒として又はアルドール縮合触媒成分として、又はプリンス反応触媒として又はプリンス反応触媒成分として、使用する方法に関する。
【0015】
さらに本発明は、有機化合物を、好ましくは連続モードで、本明細書に記載の成形品を含む触媒と接触させることを含む、有機化合物を酸化するための方法、好ましくは有機化合物をエポキシ化するための、より好ましくは、少なくとも1つのC-C二重結合を有する有機化合物、好ましくはC2~C10アルケン、より好ましくはC2~C5アルケン、より好ましくはC2~C4アルケン、より好ましくはC2又はC3アルケン、より好ましくはプロペンをエポキシ化するための方法に関するものである。
【0016】
さらに本発明は、プロピレンオキシドの製造方法であって、プロペンを、好ましくは連続モードで、メタノール溶液中で過酸化水素と、本明細書に記載の成形品を含む触媒の存在下で反応させて、プロピレンオキシドを得ることを含む方法に関するものである。
【0017】
さらに本発明は、水中のシリカのコロイド分散体をバインダー前駆体として、参考例1に記載のように決定してタイプIの窒素吸着/脱着等温線を示し、且つ骨格型MFIと、Si、O及びTiを含む骨格構造とを有するゼオライト材料を含み、前記バインダー前駆体から得られたバインダーをさらに含む、化学成形品の調製に、好ましくは本明細書に記載の成形品の調製に、使用する方法に関するものであり、前記シリカは、参考例5に記載のように決定して少なくとも35ナノメートル、好ましくは35~80ナノメートルの範囲、より好ましくは40~75ナノメートルの範囲、より好ましくは45~70ナノメートルの範囲のDv10値、少なくとも45ナノメートル、好ましくは45~125ナノメートルの範囲、より好ましくは55~115ナノメートルの範囲、より好ましくは65~105ナノメートルの範囲のDv50値、及び少なくとも65ナノメートル、好ましくは65~200ナノメートルの範囲、より好ましくは85~180ナノメートルの範囲、より好ましくは95~160ナノメートルの範囲のDv90値によって特徴付けられる体積ベースの粒度分布を示し、前記成形品は、好ましくは、参考例2に記載のように決定して少なくとも0.4mL/gの全細孔容積、及び参考例3に記載のように決定して少なくとも6Nの破壊強さを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の化学成形品に関して、成形品に含まれるゼオライト材料の95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは少なくとも99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、Si、O、Ti、及び任意にHからなることが好ましい。
【0019】
化学成形品に含まれるゼオライト材料に関して、ゼオライト材料が、元素Tiとして計算して、且つゼオライト材料の合計質量に基づいて、0.2~5質量%の範囲、好ましくは0.5~4質量%の範囲、より好ましくは1.0~3質量%の範囲、より好ましくは1.2~2.5質量%の範囲、より好ましくは1.4~2.2質量%の範囲の量で、Tiを含むことが好ましい。
【0020】
さらに、成形品に含まれるゼオライト材料が、チタンシリカライト-1であることが好ましい。
【0021】
バインダーに関して、成形品に含まれるバインダーの95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは少なくとも99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、Si及びOからなることが好ましい。
【0022】
成形品は、バインダーを、SiOとして計算して、成形品の合計質量に基づいて、2~90質量%の範囲、より好ましくは5~70質量%の範囲、より好ましくは10~50質量%の範囲、より好ましくは15~30質量%の範囲、より好ましくは20~25質量%の範囲の量で含むことが好ましい。
【0023】
さらに、成形品の95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは少なくとも99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、ゼオライト材料及びバインダーからなることが好ましい。
【0024】
成形品は、参考例4に記載のように決定して0.1~2nm未満の範囲の細孔径を有するミクロ細孔を含むことが好ましい。さらに、成形品は、参考例4に記載のように決定して2~50nmの範囲の細孔径を有するメソ細孔を含むことが好ましい。このように、成形品が、参考例4に記載のように決定して0.1~2nm未満の範囲の細孔径を有するミクロ細孔、及び参考例4に記載のように決定して2~50nmの範囲の細孔径を有するメソ細孔を含むことが特に好ましい。
【0025】
好ましくは、本明細書に開示する成形品は、0.4~1.5mL/gの範囲、より好ましくは0.4~1.2mL/gの範囲、より好ましくは0.4~1.0mL/gの範囲の全細孔容積を示し、細孔容積は参考例2に記載のように決定される。
【0026】
さらに、本明細書に開示する成形品は、6~25Nの範囲、より好ましくは7~20Nの範囲、より好ましくは8~15Nの範囲の破壊強さを示すことが好ましく、破壊強さは参考例3に記載のように決定される。
【0027】
成形品がストランドであることが好ましい。ストランドである成形品が、六角形、長方形、二次の(quadratic)、三角形、楕円形、又は円形の断面、より好ましくは円形の断面を有することが特に好ましい。ストランドである成形品が押出物であることが特に好ましい。
【0028】
成形品が円形の断面を有するストランドである場合、断面の直径が0.5~5mmの範囲、より好ましくは1~3mmの範囲、より好ましくは1.5~2mmの範囲であることが好ましい。本明細書に開示する特定の直径を有する円形の断面を有するストランドである成形品は、押出物であることが特に好ましい。
【0029】
よって本明細書に開示する成形品が、押出物であることが好ましい。
【0030】
成形品が、水に対する屈曲度パラメータを、参考例11に記載のように決定して、1.0~2.5の範囲、より好ましくは1.3~2.0の範囲、より好ましくは1.6~1.8の範囲、より好ましくは1.6~1.75の範囲、より好ましくは1.6~1.72の範囲で示すことが好ましい。
【0031】
さらに、成形品が、BET比表面積を、参考例6に記載のように決定して、300~450m/gの範囲、より好ましくは310~400m/gの範囲、より好ましくは320~375m/gの範囲で示すことが好ましい。
【0032】
成形品の結晶化度に関して、成形品が、結晶化度を、参考例7に記載のように決定して、50~100%の範囲、より好ましくは50~90%の範囲、より好ましくは50~80%の範囲で示すことが好ましい。
【0033】
成形品のプロピレンオキシド活性に関して、成形品が、プロピレンオキシド活性を、参考例9に記載のように決定して、少なくとも4.5質量%、より好ましくは4.5~11質量%の範囲、より好ましくは4.5~10質量%の範囲で示すことが好ましい。
【0034】
成形品が、圧力降下率を、参考例9に記載のように決定して、0.005~0.019バール(abs)/分の範囲、より好ましくは、0.006~0.017バール(abs)/分の範囲、より好ましくは0.007~0.015バール(abs)/分の範囲で示すことが好ましい。
【0035】
好ましくは、成形品は、触媒又は触媒成分として、特にプロピレンオキシドをプロペン及び過酸化水素から調製するための反応において、使用される。この点で、プロピレンオキシドをプロペン及び過酸化水素から調製するための反応、好ましくは参考例10に記載のような連続エポキシ化反応において、触媒として使用される成形品は、90~95%の範囲の過酸化水素変換率を示すことが好ましく、ここで、好ましくは、冷却媒体の温度は55~56℃の範囲であり、オンストリーム時間は200~600時間の範囲であり、好ましくはオンストリーム時間は300~600時間の範囲であり、より好ましくはオンストリーム時間は350~600時間の範囲である。この点で、「オンストリーム時間」という用語は、触媒の再生を伴わない連続エポキシ化反応の継続時間を指す。
【0036】
さらに、本発明は、参考例1に記載のように決定してタイプIの窒素吸着/脱着等温線を示し、且つ骨格型MFIと、Si、O及びTiを含む骨格構造とを有するゼオライト材料を含む化学成形品の製造方法であって、該成形品が前記ゼオライト材料のためのバインダーをさらに含み、該バインダーがSi及びOを含む、成形品の製造方法、好ましくは本明細書に記載の化学成形品の製造方法に関するものであり、この方法は、以下の工程を含む。
(i) 参考例1に記載のように決定してタイプIの窒素吸着/脱着等温線を示し、骨格型MFIと、Si、O及びTiを含む骨格構造とを有するゼオライト材料を提供する工程、
(ii) 水中のシリカのコロイド分散体を含むバインダー前駆体を提供する工程であって、前記バインダー前駆体が、参考例5に記載のように決定して少なくとも35ナノメートルのDv10値、少なくとも45ナノメートルのDv50値、及び少なくとも65ナノメートルのDv90値によって特徴付けられる体積ベースの粒度分布を示す、提供する工程、
(iii) 工程(i)で提供されたゼオライト材料と、工程(ii)で提供されたバインダー前駆体とを含む混合物を調製する工程、
(iv) 工程(iii)から得られた混合物を成形して、成形品の前駆体を得る工程、
(v) 工程(iv)から得られた成形品の前駆体と水とを含む混合物を調製し、そして混合物を水熱条件下で水処理に供して、水処理した成形品の前駆体を得る工程、
(vi) 水処理した成形品の前駆体をガス雰囲気中でか焼して、成形品を得る工程。
【0037】
工程(ii)による水中のシリカのコロイド分散体の体積ベースの粒度分布は、参考例5に記載のように決定して35~80ナノメートルの範囲、より好ましくは40~75ナノメートルの範囲、より好ましくは45~70ナノメートルの範囲のDv10値、45~125ナノメートルの範囲、より好ましくは55~115ナノメートルの範囲、より好ましくは65~105ナノメートルの範囲のDv50値、及び65~200ナノメートルの範囲、より好ましくは85~180ナノメートルの範囲、より好ましくは95~160ナノメートルの範囲のDv90値によって特徴付けられることが好ましい。
【0038】
さらに、工程(ii)による水中のシリカのコロイド分散体の体積ベースの粒度分布が、単峰性分布であることが好ましい。
【0039】
工程(ii)による水中のシリカのコロイド分散体に含まれるシリカの含有量に関して、特に制限は適用されない。工程(ii)の水中のシリカのコロイド分散体は、シリカ及び水の合計質量に基づいて、25~65質量%の範囲、より好ましくは30~60質量%の範囲、より好ましくは35~55質量%の範囲の量でシリカを含むことが好ましい。
【0040】
工程(ii)によるバインダー前駆体の95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、水中のシリカのコロイド分散体からなることが好ましい。
【0041】
さらに、工程(i)によるゼオライト材料の95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは少なくとも99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、Si、O、Ti、及び好ましくはHからなることが好ましい。
【0042】
工程(i)によるゼオライト材料中のTiの含有量に関して、特に制限は適用されない。工程(i)によるゼオライト材料が、ゼオライト材料の合計質量に基づいて、0.2~5質量%の範囲、より好ましくは0.5~4質量%の範囲、より好ましくは1.0~3質量%の範囲、より好ましくは1.2~2.5質量%の範囲、より好ましくは1.4~2.2質量%の範囲の量で、Tiを含むことが好ましい。
【0043】
工程(i)によるゼオライト材料が、チタンシリカライト-1であることが好ましい。
【0044】
さらに、工程(iii)により調製され、そして工程(iv)に供される混合物において、ゼオライト材料の質量比が、ゼオライト材料とSiOとして計算されるバインダーとの総計に対して、2~90%の範囲、より好ましくは5~70%の範囲、より好ましくは10~50%の範囲、より好ましくは15~30%の範囲、より好ましくは20~25%の範囲であることが好ましい。
【0045】
本明細書に開示する混合物は、さらなる成分を含んでよい。工程(iii)により調製され、そして工程(iv)に供される混合物が、1種以上の添加剤、より好ましくは1種以上の粘度改変剤、又は1種以上のメソ細孔形成剤、又は1種以上の粘度改変剤及び1種以上のメソ細孔形成剤をさらに含むことが好ましい。
【0046】
工程(iii)により調製され、そして工程(iv)に供される混合物が、1種以上の添加剤をさらに含む場合、工程(iii)により調製され、そして工程(iv)に供される混合物の、95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、ゼオライト材料、バインダー前駆体、及び1種以上の添加剤からなることが好ましい。
【0047】
さらに、工程(iii)により調製され、そして工程(iv)に供される混合物が、1種以上の添加剤をさらに含む場合、1種以上の添加剤が、水、アルコール、有機ポリマー、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択されることが好ましく、有機ポリマーは、好ましくは、セルロース、セルロース誘導体、デンプン、ポリアルキレンオキシド、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、有機ポリマーは、より好ましくは、セルロースエーテル、ポリアルキレンオキシド、ポリスチレン、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、有機ポリマーは、より好ましくは、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレンオキシド、ポリスチレン、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、1種以上の添加剤は、水、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレンオキシド、及びポリスチレンを含む、より好ましくはこれらからなる。
【0048】
さらに、工程(iii)により調製され、そして工程(iv)に供される混合物が1種以上の添加剤をさらに含む場合、工程(iii)により調製され、そして工程(iv)に供される混合物において、ゼオライト材料の、1種以上の添加剤に対する質量比が、0.3:1~1:1の範囲、より好ましくは0.4:1~0.8:1の範囲、より好ましくは0.5:1~0.6:1の範囲であることが好ましい。
【0049】
工程(iii)により調製され、そして工程(iv)に供される混合物が、添加剤としてセルロース誘導体をさらに含む場合、工程(iii)により調製され、そして工程(iv)に供される混合物において、ゼオライト材料の、セルロース誘導体、好ましくはセルロースエーテル、より好ましくはカルボキシメチルセルロースに対する質量比が、10:1~53:1の範囲、より好ましくは15:1~40:1の範囲、より好ましくは20:1~35:1の範囲であることが好ましい。
【0050】
工程(iii)により調製され、そして工程(iv)に供される混合物が添加剤としてポリエチレンオキシドをさらに含む場合、工程(iii)により調製され、そして工程(iv)に供される混合物において、ゼオライト材料の、ポリエチレンオキシドに対する質量比が、70:1~110:1の範囲、より好ましくは75:1~100:1の範囲、より好ましくは77:1~98:1の範囲であることが好ましい。
【0051】
工程(iii)により調製され、そして工程(iv)に供される混合物が添加剤としてポリスチレンをさらに含む場合、工程(iii)により調製され、そして工程(iv)に供される混合物において、ゼオライト材料の、ポリスチレンに対する質量比が、2:1~8:1の範囲、より好ましくは3:1~6:1の範囲、より好ましくは3.5:1~5:1の範囲であることが好ましい。
【0052】
工程(iii)により調製され、そして工程(iv)に供される混合物が添加剤として水をさらに含む場合、工程(iii)により調製され、そして工程(iv)に供される混合物において、ゼオライト材料の、水に対する質量比が、0.7:1~0.85:1の範囲、より好ましくは0.72:1~0.8:1の範囲、より好ましくは0.74:1~0.79:1の範囲であることが好ましい。
【0053】
工程(iii)により調製され、そして工程(iv)に供される混合物が、セルロース誘導体、ポリエチレンオキシド、ポリスチレン、及び水を添加剤としてさらに含むことが特に好ましい。
【0054】
工程(iii)における混合物の提供、すなわち、どのように混合物を調製するかに関して、特に制限は適用されない。混合物が、各成分の好適な混合によって、好ましくはニーダー又は混合ミューラーにおける混合によって、調製されることが好ましい。
【0055】
さらに、工程(iv)により、工程(iii)から得られた混合物がストランドに、より好ましくは円形の断面を有するストランドに成形されることが好ましく、ここで円形の断面を有するストランドは、好ましくは0.5~5mmの範囲、より好ましくは1~3mmの範囲、より好ましくは1.5~2mmの範囲の直径を有する。
【0056】
さらに、工程(iii)から得られ、そして工程(iv)に供される混合物が、参考例12に記載のように決定して、500~3000Nの範囲、より好ましくは750~2000Nの範囲、より好ましくは1000~1500Nの範囲の可塑性を有することが好ましい。
【0057】
工程(iv)の成形に関して、特に制限は適用されず、成形は、任意の考えられる手段によって行ってよい。工程(iv)による成形が、工程(iii)から得られた混合物を押出すことを含むのが好ましい。
【0058】
好適な押出装置は、例えば、「Ullmann’s Enzyklopaedie der Technischen Chemie」、第4版、第2巻、第295頁以下、1972年に記載されている。押出機の使用に加えて、押出プレスも成形品の調製に使用することができる。必要に応じて、押出機は、押出工程中に適切に冷却することができる。押出機ダイヘッドを介して押出機から出るストランドは、適当なワイヤ又は非連続ガス流を介して機械的に切断することができる。
【0059】
工程(iv)による成形は、さらなるプロセス工程を含んでよい。工程(iv)による成形は、成形品の前駆体をガス雰囲気中で乾燥させることをさらに含むことが好ましく、前記乾燥は、好ましくは80~160℃の範囲、より好ましくは100~140℃の範囲、より好ましくは110~130℃の範囲のガス雰囲気の温度で行われ、ガス雰囲気は、好ましくは窒素、酸素、又はこれらの混合物を含み、ガス雰囲気は、より好ましくは酸素、空気、又は希薄空気である。
【0060】
さらに、工程(iv)による成形は、好ましくは乾燥させた成形体の前駆体をガス雰囲気中でか焼することをさらに含むことが好ましく、か焼は、好ましくは、450~530℃の範囲、より好ましくは470~510℃の範囲、より好ましくは480~500℃の範囲のガス雰囲気の温度で行われ、ガス雰囲気は、好ましくは窒素、酸素又はこれらの混合物を含み、ガス雰囲気は、より好ましくは酸素、空気又は希薄空気である。
【0061】
工程(v)において調製される混合物中の水の含有量に関して、特に制限は適用されない。工程(v)において調製される混合物中で、成形品の前駆体の、水に対する質量比が、1:1~1:30の範囲、より好ましくは1:5~1:25の範囲、より好ましくは1:10~1:20の範囲であることが好ましい。
【0062】
さらに、工程(v)により調製される混合物の、95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、成形品の前駆体及び水からなることが好ましい。
【0063】
工程(v)による水処理のための混合物の温度に関して、特に制限は適用されない。工程(v)による水処理が、100~200℃の範囲、より好ましくは125~175℃の範囲、より好ましくは130~160℃の範囲、より好ましくは135~155℃の範囲、より好ましくは140~150の範囲の混合物の温度を含むことが好ましい。
【0064】
工程(v)による水処理は、自己圧力下で、好ましくはオートクレーブ内で行われることが好ましい。
【0065】
工程(v)による水処理は、6~10時間、より好ましくは7~9時間、より好ましくは7.5~8.5時間行われることが好ましい。
【0066】
さらに、工程(v)が、水処理から得られた混合物から、水処理した成形品の前駆体を分離することを含むのが好ましい。
【0067】
工程(v)が、水処理から得られた混合物から、水処理した成形品の前駆体を分離することをさらに含む場合、水処理から得られた混合物から、水処理した成形品の前駆体を分離することは、水処理から得られた混合物を固液分離に供すること、好ましくは分離した前駆体を洗浄すること、及び好ましくは洗浄した前駆体を好ましくは乾燥させることを含むのが好ましい。
【0068】
さらに、水処理から得られた混合物から、水処理した成形品の前駆体を分離することが、水処理から得られた混合物を固液分離に供することを含む場合には、工程(v)による固液分離が、ろ過、又は遠心分離、又はろ過及び遠心分離を含むことが好ましい。
【0069】
工程(v)が、分離した前駆体の洗浄を含む場合、前駆体の洗浄は、液体溶媒系を用いて少なくとも1回行われることが好ましく、液体溶媒系は、好ましくは、水、アルコール、及びこれらの2種以上の混合物のうちの1種以上を含むことが好ましく、水処理した成形品の前駆体は、より好ましくは水で洗浄する。
【0070】
工程(v)が、好ましくは洗浄した前駆体の乾燥をさらに含む場合、工程(v)による乾燥は、前駆体をガス雰囲気中で乾燥させることを含み、乾燥は、より好ましくは、80~160℃の範囲、より好ましくは100~140℃の範囲、より好ましくは110~130℃の範囲のガス雰囲気の温度で行われ、ガス雰囲気は、好ましくは、窒素、酸素、又はこれらの混合物を含み、ガス雰囲気は、より好ましくは酸素、空気、又は希薄空気である。
【0071】
工程(vi)によるか焼のためのガス雰囲気の温度に関して、特に制限は適用されない。工程(vi)によるか焼が、400~490℃の範囲、より好ましくは420~470℃の範囲、より好ましくは440~460℃の範囲のガス雰囲気の温度で行われることが好ましく、ガス雰囲気は、好ましくは、窒素、酸素、又はこれらの混合物を含み、ガス雰囲気は、より好ましくは、酸素、空気、又は希薄空気である。
【0072】
本明細書に記載の本発明の方法は、工程(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)及び(vi)からなることが好ましい。
【0073】
さらに本発明は、参考例1に記載のように決定してタイプIの窒素吸着/脱着等温線を示し、骨格型MFIと、Si、O及びTiを含む骨格構造とを有するゼオライト材料の粒子を含む化学成形品であって、該成形品が前記粒子のためのバインダーをさらに含み、該バインダーがSi及びOを含む、成形品、好ましくは、本明細書に記載の方法によって得ることができる又は得られた、本明細書に記載の化学成形品に関するものである。
【0074】
さらに本発明は、本明細書に記載の成形品を、吸着剤、吸収剤、触媒又は触媒成分として、好ましくは触媒として又は触媒成分として、より好ましくはルイス酸触媒又はルイス酸触媒成分として、異性化触媒として又は異性化触媒成分として、酸化触媒として又は酸化触媒成分として、アルドール縮合触媒として又はアルドール縮合触媒成分として、又はプリンス反応触媒として又はプリンス反応触媒成分として、使用する方法に関する。
【0075】
本明細書に記載の本発明の成形品は、酸化触媒として又は酸化触媒成分として、より好ましくはエポキシ化触媒として又はエポキシ化触媒成分として、より好ましくはエポキシ化触媒として、使用されることが好ましい。
【0076】
本発明による成形品を酸化触媒として又は酸化触媒成分として使用する場合、成形品は、好ましくは、少なくとも1つのC-C二重結合を有する有機化合物、好ましくはC2~C10アルケン、より好ましくはC2~C5アルケン、より好ましくはC2~C4アルケン、より好ましくはC2又はC3アルケン、より好ましくはプロペンのエポキシ化反応に、より好ましくは過酸化水素を酸化剤としたプロペンのエポキシ化反応に、より好ましくはアルコール、好ましくはメタノールを含む溶媒における過酸化水素を酸化剤としたプロペンのエポキシ化反応に使用される。
【0077】
さらに本発明は、有機化合物を、好ましくは連続モードで、本発明による成形品を含む触媒と接触させることを含む、有機化合物を酸化するための方法、好ましくは有機化合物をエポキシ化するための、より好ましくは、少なくとも1つのC-C二重結合を有する有機化合物、好ましくはC2~C10アルケン、より好ましくはC2~C5アルケン、より好ましくはC2~C4アルケン、より好ましくはC2又はC3アルケン、より好ましくはプロペンをエポキシ化するための方法に関するものである。
【0078】
過酸化水素を酸化剤として使用することが好ましく、酸化反応は好ましくは溶媒中で、より好ましくはアルコール、好ましくはメタノールを含む溶媒中で行われる。
【0079】
本発明によれば、過酸化水素を酸化剤として使用する場合、過酸化水素は、水素及び酸素から、又は他の好適な前駆体から、反応中にその場で形成されることが考えられる。より好ましくは、本発明の文脈で使用される用語「過酸化水素を酸化剤として使用する」又は同様のものは、過酸化水素がその場で形成されないが、出発物質として、好ましくは溶液、好ましくは少なくとも部分的に水溶液、より好ましくは水溶液の形態で用いられる実施態様に関するものであり、前記好ましくは水溶液は、溶液の合計質量に基づいて、20~60、より好ましくは25~55質量%の範囲の好ましい過酸化水素濃度を有する。
【0080】
さらに本発明は、プロピレンオキシドの製造方法であって、プロペンを、好ましくは連続モードで、メタノール溶液中で過酸化水素と、本発明による成形品を含む触媒の存在下で反応させて、プロピレンオキシドを得ることを含む方法に関するものである。
【0081】
さらに本発明は、水中のシリカのコロイド分散体をバインダー前駆体として、参考例1に記載のように決定してタイプIの窒素吸着/脱着等温線を示し、且つ骨格型MFIと、Si、O及びTiを含む骨格構造とを有するゼオライト材料を含み、前記バインダー前駆体から得られたバインダーをさらに含む、化学成形品の調製に、好ましくは本明細書に記載の成形品の調製に、使用する方法に関するものであり、前記シリカは、参考例5に記載のように決定して少なくとも35ナノメートル、好ましくは35~80ナノメートルの範囲、より好ましくは40~75ナノメートルの範囲、より好ましくは45~70ナノメートルの範囲のDv10値、少なくとも45ナノメートル、好ましくは45~125ナノメートルの範囲、より好ましくは55~115ナノメートルの範囲、より好ましくは65~105ナノメートルの範囲のDv50値、及び少なくとも65ナノメートル、好ましくは65~200ナノメートルの範囲、より好ましくは85~180ナノメートルの範囲、より好ましくは95~160ナノメートルの範囲のDv90値によって特徴付けられる体積ベースの粒度分布を示し、前記成形品は、好ましくは、参考例2に記載のように決定して少なくとも0.4mL/gの全細孔容積、及び参考例3に記載のように決定して少なくとも6Nの破壊強さを示す。
【0082】
さらなる態様によれば、本発明は、参考例1に記載のように決定してタイプIの窒素吸着/脱着等温線を示し、且つ骨格型MFIと、Si、O及びTiを含む骨格構造とを有するゼオライト材料を含む混合物に関するものであり、混合物は、水中のシリカのコロイド分散体をさらに含み、前記バインダー前駆体は、参考例5に記載のように決定して少なくとも35ナノメートルのDv10値、少なくとも45ナノメートルのDv50値、及び少なくとも65ナノメートルのDv90値によって特徴付けられる体積ベースの粒度分布を示す。
【0083】
混合物が、参考例12に記載のように決定して、500~3000Nの範囲、より好ましくは750~2000Nの範囲、より好ましくは1000~1500Nの範囲の可塑性を有することが好ましい。
【0084】
さらに、水中のシリカのコロイド分散体の体積ベースの粒度分布は、参考例5に記載のように決定して35~80ナノメートルの範囲、より好ましくは40~75ナノメートルの範囲、より好ましくは45~70ナノメートルの範囲のDv10値、45~125ナノメートルの範囲、好ましくは55~115ナノメートルの範囲、より好ましくは65~105ナノメートルの範囲のDv50値、及び65~200ナノメートルの範囲、好ましくは85~180ナノメートルの範囲、より好ましくは95~160ナノメートルの範囲のDv90値によって特徴付けられることが好ましい。
【0085】
シリカのコロイド分散体の体積ベースの粒度分布が、単峰性分布であることが好ましい。
【0086】
水中のシリカのコロイド分散体中のシリカの含有量に関して、特に制限は適用されない。水中のシリカのコロイド分散体は、シリカ及び水の合計質量に基づいて、25~65質量%の範囲、より好ましくは30~60質量%の範囲、より好ましくは35~55質量%の範囲の量でシリカを含むことが好ましい。
【0087】
バインダー前駆体の95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、水中のシリカのコロイド分散体からなることが好ましい。
【0088】
さらに、ゼオライト材料の95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは少なくとも99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、Si、O、Ti、及び好ましくはHからなることが好ましい。
【0089】
ゼオライト材料に含まれるTiの量に関して、特に制限は適用されない。ゼオライト材料が、ゼオライト材料の合計質量に基づいて、0.2~5質量%の範囲、より好ましくは0.5~4質量%の範囲、より好ましくは1.0~3質量%の範囲、より好ましくは1.2~2.5質量%の範囲、より好ましくは1.4~2.2質量%の範囲の量で、Tiを含むことが好ましい。
【0090】
ゼオライト材料が、チタンシリカライト-1であることが好ましい。
【0091】
さらに、混合物において、ゼオライト材料の質量比が、ゼオライト材料とSiOとして計算されるバインダーとの総計に対して、2~90%の範囲、より好ましくは5~70%の範囲、より好ましくは10~50%の範囲、より好ましくは15~30%の範囲、より好ましくは20~25%の範囲であることが好ましい。
【0092】
混合物は、さらなる成分を含んでよい。よって混合物が、1種以上の添加剤、より好ましくは1種以上の粘度改変剤、又は1種以上のメソ細孔形成剤、又は1種以上の粘度改変剤及び1種以上のメソ細孔形成剤をさらに含むことが好ましい。
【0093】
混合物の95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、ゼオライト材料、及びバインダー前駆体からなることが好ましい。混合物が、1種以上の添加剤をさらに含む場合、混合物の95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、ゼオライト材料、バインダー前駆体、及び1種以上の添加剤からなることが好ましい。
【0094】
1種以上の添加剤が、水、アルコール、有機ポリマー、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択されることが好ましく、有機ポリマーは、好ましくは、セルロース、セルロース誘導体、デンプン、ポリアルキレンオキシド、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、有機ポリマーは、より好ましくは、セルロースエーテル、ポリアルキレンオキシド、ポリスチレン、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、有機ポリマーは、より好ましくは、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレンオキシド、ポリスチレン、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、1種以上の添加剤は、水、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレンオキシド、及びポリスチレンを含む、より好ましくはこれらからなる。
【0095】
1種以上の添加剤が、水、アルコール、有機ポリマー、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される場合、混合物において、ゼオライト材料の、1種以上の添加剤に対する質量比が、0.3:1~1:1の範囲、より好ましくは0.4:1~0.8:1の範囲、より好ましくは0.5:1~0.6:1の範囲であることが好ましい。
【0096】
1種以上の添加剤が、セルロース誘導体、好ましくはセルロースエーテル、より好ましくはカルボキシメチルセルロースを含む場合、混合物において、ゼオライト材料の、セルロース誘導体、好ましくはセルロースエーテル、より好ましくはカルボキシメチルセルロースに対する質量比が、10:1~53:1の範囲、より好ましくは15:1~40:1の範囲、より好ましくは20:1~35:1の範囲であることが好ましい。
【0097】
1種以上の添加剤がポリエチレンオキシドを含む場合、混合物において、ゼオライト材料の、ポリエチレンオキシドに対する質量比が、70:1~110:1の範囲、より好ましくは75:1~100:1の範囲、より好ましくは77:1~98:1の範囲であることが好ましい。
【0098】
1種以上の添加剤がポリスチレンを含む場合、混合物において、ゼオライト材料の、ポリスチレンに対する質量比が、2:1~8:1の範囲、より好ましくは3:1~6:1の範囲、より好ましくは3.5:1~5:1の範囲であることが好ましい。
【0099】
1種以上の添加剤が水を含む場合、混合物において、ゼオライト材料の、水に対する質量比が、0.7:1~0.85:1の範囲、より好ましくは0.72:1~0.8:1の範囲、より好ましくは0.74:1~0.79:1の範囲であることが好ましい。
【0100】
1種以上の添加剤が、セルロース誘導体、好ましくはセルロースエーテル、より好ましくはカルボキシメチルセルロース、ポリエチレンオキシド、ポリスチレン、及び水を含むことが、特に好ましい。
【0101】
さらなる態様によれば、本発明は、ゼオライト材料、水、及びシリカを含む混合物の製造方法、好ましくは上記に記載の混合物の製造方法に関するものであり、該方法は、以下の工程を含む:
(i’) 参考例1に記載のように決定してタイプIの窒素吸着/脱着等温線を示し、且つ骨格型MFIと、Si、O及びTiを含む骨格構造とを有するゼオライト材料を提供する工程、
(ii’) 水中のシリカのコロイド分散体を提供する工程であって、前記シリカが、参考例5に記載のように決定して少なくとも35ナノメートル、好ましくは35~80ナノメートルの範囲、より好ましくは40~75ナノメートルの範囲、より好ましくは45~70ナノメートルの範囲のDv10値、少なくとも45ナノメートル、好ましくは45~125ナノメートルの範囲、より好ましくは55~115ナノメートルの範囲、より好ましくは65~105ナノメートルの範囲のDv50値、及び少なくとも65ナノメートル、好ましくは65~200ナノメートルの範囲、より好ましくは85~180ナノメートルの範囲、より好ましくは95~160ナノメートルの範囲のDv90値によって特徴付けられる体積ベースの粒度分布を示す、提供する工程、
(iii’) 工程(i’)で提供されたゼオライト材料及び工程(ii’)で提供されたバインダー前駆体の粒子を含む混合物を調製する工程。
【0102】
工程(ii’)による水中のシリカのコロイド分散体の体積ベースの粒度分布は、参考例5に記載のように決定して35~80ナノメートルの範囲、好ましくは40~75ナノメートルの範囲、より好ましくは45~70ナノメートルの範囲のDv10値、45~125ナノメートルの範囲、好ましくは55~115ナノメートルの範囲、より好ましくは65~105ナノメートルの範囲のDv50値、及び65~200ナノメートルの範囲、好ましくは85~180ナノメートルの範囲、より好ましくは95~160ナノメートルの範囲のDv90値によって特徴付けられることが好ましい。
【0103】
さらに、工程(ii’)による水中のシリカのコロイド分散体の体積ベースの粒度分布が、単峰性分布であることが好ましい。
【0104】
水中のシリカのコロイド分散体に含まれるシリカの含有量に関して、工程(ii’)による水中のシリカのコロイド分散体が、シリカ及び水の合計質量に基づいて、25~65質量%の範囲、より好ましくは30~60質量%の範囲、より好ましくは35~55質量%の範囲の量でシリカを含むことが好ましい。
【0105】
工程(ii’)によるバインダー前駆体の95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、水中のシリカのコロイド分散体からなることが好ましい。
【0106】
さらに、工程(i’)によるゼオライト材料の95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは少なくとも99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、Si、O、Ti、及び好ましくはHからなることが好ましい。
【0107】
工程(i’)によるゼオライト材料に含まれるTiの量に関して、特に制限は適用されない。工程(i’)によるゼオライト材料が、ゼオライト材料の合計質量に基づいて、0.2~5質量%の範囲、好ましくは0.5~4質量%の範囲、より好ましくは1.0~3質量%の範囲、より好ましくは1.2~2.5質量%の範囲、より好ましくは1.4~2.2質量%の範囲の量で、Tiを含むことが好ましい。
【0108】
工程(i’)によるゼオライト材料が、チタンシリカライト-1であることが好ましい。
【0109】
ゼオライト材料とSiOとして計算されるバインダーとの総計に対する、ゼオライト材料の質量比に関して、工程(iii’)により調製される混合物において、ゼオライト材料の質量比が、ゼオライト材料とSiOとして計算されるバインダーとの総計に対して、2~90%の範囲、より好ましくは5~70%の範囲、より好ましくは10~50%の範囲、より好ましくは15~30%の範囲、より好ましくは20~25%の範囲であることが好ましい。
【0110】
工程(iii’)により調製される混合物は、さらなる成分を含んでよい。工程(iii’)により調製される混合物が、1種以上の添加剤、より好ましくは1種以上の粘度改変剤、又は1種以上のメソ細孔形成剤、又は1種以上の粘度改変剤及び1種以上のメソ細孔形成剤をさらに含むことが好ましい。
【0111】
工程(iii’)により調製される混合物が、1種以上の添加剤をさらに含む場合、工程(iii’)により調製される混合物の、95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、ゼオライト材料、バインダー前駆体、及び1種以上の添加剤からなることが好ましい。
【0112】
1種以上の添加剤が、水、アルコール、有機ポリマー、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択されることが好ましく、有機ポリマーは、好ましくは、セルロース、セルロース誘導体、デンプン、ポリアルキレンオキシド、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、有機ポリマーは、より好ましくは、セルロースエーテル、ポリアルキレンオキシド、ポリスチレン、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、有機ポリマーは、より好ましくは、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレンオキシド、ポリスチレン、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、1種以上の添加剤は、水、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレンオキシド、及びポリスチレンを含む、より好ましくはこれらからなる。
【0113】
工程(iii’)により調製される混合物が1種以上の添加剤を含む場合、工程(iii’)により調製される混合物において、ゼオライト材料の、1種以上の添加剤に対する質量比が、0.3:1~1:1の範囲、より好ましくは0.4:1~0.8:1の範囲、より好ましくは0.5:1~0.6:1の範囲であることが好ましい。
【0114】
工程(iii)により調製され、そして工程(iv)に供される混合物が、セルロース誘導体、好ましくはセルロースエーテル、より好ましくはカルボキシメチルセルロースを含む場合、工程(iii)により調製され、そして工程(iv)に供される混合物において、ゼオライト材料の、セルロース誘導体、好ましくはセルロースエーテル、より好ましくはカルボキシメチルセルロースに対する質量比が、10:1~53:1の範囲、より好ましくは15:1~40:1の範囲、より好ましくは20:1~35:1の範囲であることが好ましい。
【0115】
工程(iii)により調製され、そして工程(iv)に供される混合物がポリエチレンオキシドを含む場合、工程(iii)により調製され、そして工程(iv)に供される混合物において、ゼオライト材料の、ポリエチレンオキシドに対する質量比が、70:1~110:1の範囲、より好ましくは75:1~100:1の範囲、より好ましくは77:1~98:1の範囲であることが好ましい。
【0116】
工程(iii)により調製され、そして工程(iv)に供される混合物が水を含む場合、工程(iii)により調製され、そして工程(iv)に供される混合物において、ゼオライト材料の、水に対する質量比が、0.7:1~0.85:1の範囲、より好ましくは0.72:1~0.8:1の範囲、より好ましくは0.74:1~0.79:1の範囲であることが好ましい。
【0117】
工程(iii)による混合物の調製が、ニーダー又は混合ミューラーにおける混合を含むことが好ましい。
【0118】
さらに、本明細書に記載の、ゼオライト材料、水、及びシリカを含む混合物の製造方法は、工程(i)、(ii)及び(iii)からなることが好ましい。
【0119】
本発明のなおさらなる態様によれば、本発明は、本明細書に記載の方法によって得ることができる又は得られた混合物、好ましくは本明細書に記載の混合物に関するものである。
【0120】
本発明を、従属関係及び後方参照によって示すように、以下の実施態様及び実施態様の組み合わせによって、さらに例示する。特に、実施態様の範囲が言及される各例において、例えば「実施態様1から4のいずれか1項に記載の成形品」などの用語の文脈では、この範囲内のすべての実施態様が当業者に明示的に開示されることが意図されており、すなわち、この用語の文言は、「実施態様1、2、3、及び4のいずれか1項に記載の方法」と同義であると当業者には理解されることに留意されたい。さらに、以下の実施態様の一組は、保護の範囲を決定する特許請求の範囲の組み合わせではなく、本発明の一般的及び好ましい側面に向けられた説明の好適に構成された部分を表すものであることを明示的に留意されたい。
【0121】
1. 参考例1に記載のように決定してタイプIの窒素吸着/脱着等温線を示し、且つ骨格型MFIと、Si、O及びTiを含む骨格構造とを有するゼオライト材料を含む化学成形品であって、該成形品が前記ゼオライト材料のためのバインダーをさらに含み、該バインダーがSi及びOを含み、該成形品が、参考例2に記載のように決定して少なくとも0.4mL/gの全細孔容積、及び参考例3に記載のように決定して少なくとも6Nの破壊強さを示す、成形品。
【0122】
2. 成形品に含まれるゼオライト材料の95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは少なくとも99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、Si、O、Ti、及び任意にHからなる、実施態様1に記載の成形品。
【0123】
3. 前記ゼオライト材料が、元素Tiとして計算して、且つゼオライト材料の合計質量に基づいて、0.2~5質量%の範囲、好ましくは0.5~4質量%の範囲、より好ましくは1.0~3質量%の範囲、より好ましくは1.2~2.5質量%の範囲、より好ましくは1.4~2.2質量%の範囲の量でTiを含む、実施態様1又は2に記載の成形品。
【0124】
4. 成形品に含まれるゼオライト材料がチタンシリカライト-1である、実施態様1から3のいずれか1項に記載の成形品。
【0125】
5. 成形品に含まれるバインダーの95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは少なくとも99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、Si及びOからなる、実施態様1から4のいずれか1項に記載の成形品。
【0126】
6. バインダーを、SiOとして計算して、成形品の合計質量に基づいて、2~90質量%の範囲、好ましくは5~70質量%の範囲、より好ましくは10~50質量%の範囲、より好ましくは15~30質量%の範囲、より好ましくは20~25質量%の範囲の量で含む、実施態様1から5のいずれか1項に記載の成形品。
【0127】
7. 前記成形品の95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは少なくとも99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、ゼオライト材料及びバインダーからなる、実施態様1から6のいずれか1項に記載の成形品。
【0128】
8. 参考例4に記載のように決定して0.1~2nm未満の範囲の細孔径を有するミクロ細孔、及び参考例4に記載のように決定して2~50nmの範囲の細孔径を有するメソ細孔を含む、実施態様1から7のいずれか1項に記載の成形品。
【0129】
9. 0.4~1.5mL/gの範囲、好ましくは0.4~1.2mL/gの範囲、より好ましくは0.4~1.0mL/gの範囲の全細孔容積を示す、実施態様1から8のいずれか1項に記載の成形品。
【0130】
10. 6~25Nの範囲、好ましくは7~20Nの範囲、より好ましくは8~15Nの範囲の破壊強さを示す、実施態様1から9のいずれか1項に記載の成形品。
【0131】
11. 六角形、長方形、二次の、三角形、楕円形、又は円形の断面、より好ましくは円形の断面を有するストランドである、実施態様1から10のいずれか1項に記載の成形品。
【0132】
12. 断面の直径が0.5~5mmの範囲、好ましくは1~3mmの範囲、より好ましくは1.5~2mmの範囲である、実施態様11に記載の成形品。
【0133】
13. 押出物である、実施態様1から12のいずれか1項、好ましくは11又は12に記載の成形品。
【0134】
14. 水に対する屈曲度パラメータを、参考例11に記載のように決定して、1.0~2.5の範囲、好ましくは1.3~2.0の範囲、より好ましくは1.6~1.8の範囲、より好ましくは1.6~1.75の範囲、より好ましくは1.6~1.72の範囲で示す、実施態様1から13のいずれか1項に記載の成形品。
【0135】
15. BET比表面積を、参考例6に記載のように決定して、300~450m/gの範囲、好ましくは310~400m/gの範囲、より好ましくは320~375m/gの範囲で示す、実施態様1から14のいずれか1項に記載の成形品。
【0136】
16. 結晶化度を、参考例7に記載のように決定して、50~100%の範囲、好ましくは50~90%の範囲、より好ましくは50~80%の範囲で示す、実施態様1から15のいずれか1項に記載の成形品。
【0137】
17. プロピレンオキシド活性を、参考例9に記載のように決定して、少なくとも4.5質量%、好ましくは4.5~11質量%の範囲、より好ましくは4.5~10質量%の範囲で示す、実施態様1から16のいずれか1項に記載の成形品。
【0138】
18. 圧力降下率を、参考例9に記載のように決定して、0.005~0.019バール(abs)/分の範囲、好ましくは、0.006~0.017バール(abs)/分の範囲、より好ましくは0.007~0.015バール(abs)/分の範囲で示す、実施態様1から17のいずれか1項に記載の成形品。
【0139】
19. プロピレンオキシドをプロペン及び過酸化水素から調製するための反応において触媒として使用される実施態様1から18のいずれか1項に記載の成形品であって、前記触媒が、参考例10に記載のような連続エポキシ化反応において決定して、90~95%の範囲の過酸化水素変換率を示し、冷却媒体の温度が55~56℃の範囲であり、オンストリーム時間が200~600時間の範囲、好ましくはオンストリーム時間が300~600時間の範囲、より好ましくはオンストリーム時間が350~600時間の範囲であり、用語「オンストリーム時間」が、触媒の再生を伴わない連続エポキシ化反応の継続時間を指す、成形品。
【0140】
20. 参考例1に記載のように決定してタイプIの窒素吸着/脱着等温線を示し、且つ骨格型MFIと、Si、O及びTiを含む骨格構造とを有するゼオライト材料を含む化学成形品の製造方法であって、該成形品が前記ゼオライト材料のためのバインダーをさらに含み、該バインダーがSi及びOを含む、成形品の製造方法、好ましくは実施態様1から19のいずれか1項に記載の成形品の製造方法であって、以下の工程:
(i) 参考例1に記載のように決定してタイプIの窒素吸着/脱着等温線を示し、骨格型MFIと、Si、O及びTiを含む骨格構造とを有するゼオライト材料を提供する工程、
(ii) 水中のシリカのコロイド分散体を含むバインダー前駆体を提供する工程であって、前記バインダー前駆体が、参考例5に記載のように決定して少なくとも35ナノメートルのDv10値、少なくとも45ナノメートルのDv50値、及び少なくとも65ナノメートルのDv90値によって特徴付けられる体積ベースの粒度分布を示す、提供する工程、
(iii) 工程(i)で提供されたゼオライト材料と、工程(ii)で提供されたバインダー前駆体とを含む混合物を調製する工程、
(iv) 工程(iii)から得られた混合物を成形して、成形品の前駆体を得る工程、
(v) 工程(iv)から得られた成形品の前駆体と水とを含む混合物を調製し、そして混合物を水熱条件下で水処理に供して、水処理した成形品の前駆体を得る工程、
(vi) 水処理した成形品の前駆体をガス雰囲気中でか焼して、成形品を得る工程
を含む、製造方法。
【0141】
21. 工程(ii)による水中のシリカのコロイド分散体の体積ベースの粒度分布が、参考例5に記載のように決定して35~80ナノメートルの範囲、好ましくは40~75ナノメートルの範囲、より好ましくは45~70ナノメートルの範囲のDv10値、45~125ナノメートルの範囲、好ましくは55~115ナノメートルの範囲、より好ましくは65~105ナノメートルの範囲のDv50値、及び65~200ナノメートルの範囲、好ましくは85~180ナノメートルの範囲、より好ましくは95~160ナノメートルの範囲のDv90値によって特徴付けられる、実施態様20に記載の方法。
【0142】
22. 工程(ii)による水中のシリカのコロイド分散体の体積ベースの粒度分布が単峰性分布である、実施態様20又は21に記載の方法。
【0143】
23. 工程(ii)の水中のシリカのコロイド分散体が、シリカ及び水の合計質量に基づいて、25~65質量%の範囲、好ましくは30~60質量%の範囲、より好ましくは35~55質量%の範囲の量でシリカを含む、実施態様20から22のいずれか1項に記載の方法。
【0144】
24. 工程(ii)によるバインダー前駆体の95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、水中のシリカのコロイド分散体からなる、実施態様20から23のいずれか1項に記載の方法。
【0145】
25. 工程(i)によるゼオライト材料の95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは少なくとも99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、Si、O、Ti、及び好ましくはHからなる、実施態様20から24のいずれか1項に記載の方法。
【0146】
26. 工程(i)によるゼオライト材料が、ゼオライト材料の合計質量に基づいて、0.2~5質量%の範囲、好ましくは0.5~4質量%の範囲、より好ましくは1.0~3質量%の範囲、より好ましくは1.2~2.5質量%の範囲、より好ましくは1.4~2.2質量%の範囲の量で、Tiを含む、実施態様20から25のいずれか1項に記載の方法。
【0147】
27. 工程(i)によるゼオライト材料がチタンシリカライト-1である、実施態様20から26のいずれか1項に記載の方法。
【0148】
28. 工程(iii)により調製され、そして工程(iv)に供される混合物において、ゼオライト材料の質量比が、ゼオライト材料とSiOとして計算されるバインダーとの総計に対して、2~90%の範囲、好ましくは5~70%の範囲、より好ましくは10~50%の範囲、より好ましくは15~30%の範囲、より好ましくは20~25%の範囲である、実施態様20から27のいずれか1項に記載の方法。
【0149】
29. 工程(iii)により調製され、そして工程(iv)に供される混合物が、1種以上の添加剤、好ましくは1種以上の粘度改変剤、又は1種以上のメソ細孔形成剤、又は1種以上の粘度改変剤及び1種以上のメソ細孔形成剤をさらに含む、実施態様20から28のいずれか1項に記載の方法。
【0150】
30. 工程(iii)により調製され、そして工程(iv)に供される混合物の、95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、ゼオライト材料、バインダー前駆体、及び1種以上の添加剤からなる、実施態様29に記載の方法。
【0151】
31. 1種以上の添加剤が、水、アルコール、有機ポリマー、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、有機ポリマーが、好ましくは、セルロース、セルロース誘導体、デンプン、ポリアルキレンオキシド、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、有機ポリマーが、より好ましくは、セルロースエーテル、ポリアルキレンオキシド、ポリスチレン、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、有機ポリマーが、より好ましくは、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレンオキシド、ポリスチレン、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、1種以上の添加剤が、水、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレンオキシド、及びポリスチレンを含む、より好ましくはこれらからなる、実施態様29又は30に記載の方法。
【0152】
32. 工程(iii)により調製され、そして工程(iv)に供される混合物において、ゼオライト材料の、1種以上の添加剤に対する質量比が、0.3:1~1:1の範囲、好ましくは0.4:1~0.8:1の範囲、より好ましくは0.5:1~0.6:1の範囲である、実施態様29から31のいずれか1項に記載の方法。
【0153】
33. 工程(iii)により調製され、そして工程(iv)に供される混合物において、
ゼオライト材料の、セルロース誘導体、好ましくはセルロースエーテル、より好ましくはカルボキシメチルセルロースに対する質量比が、10:1~53:1の範囲、好ましくは15:1~40:1の範囲、より好ましくは20:1~35:1の範囲であり、
ゼオライト材料の、ポリエチレンオキシドに対する質量比が、70:1~110:1の範囲、好ましくは75:1~100:1の範囲、より好ましくは77:1~98:1の範囲であり、
ゼオライト材料の、ポリスチレンに対する質量比が、2:1~8:1の範囲、好ましくは3:1~6:1の範囲、より好ましくは3.5:1~5:1の範囲であり、
ゼオライト材料の、水に対する質量比が、0.7:1~0.85:1の範囲、好ましくは0.72:1~0.8:1の範囲、より好ましくは0.74:1~0.79:1の範囲である、
実施態様29から32のいずれか1項に記載の方法。
【0154】
34. 工程(iii)による混合物の調製が、ニーダー又は混合ミューラーにおける混合を含む、実施態様20から33のいずれか1項に記載の方法。
【0155】
35. 工程(iv)により、工程(iii)から得られた混合物がストランドに、好ましくは円形の断面を有するストランドに成形され、ここで円形の断面を有するストランドは、好ましくは0.5~5mmの範囲、より好ましくは1~3mmの範囲、より好ましくは1.5~2mmの範囲の直径を有する、実施態様20から34のいずれか1項に記載の方法。
【0156】
36. 工程(iii)により調製され、そして工程(iv)に供される混合物が、参考例12に記載のように決定して、500~3000Nの範囲、好ましくは750~2000Nの範囲、より好ましくは1000~1500Nの範囲の可塑性を有する、実施態様20から35のいずれか1項に記載の方法。
【0157】
37. 工程(iv)による成形が、工程(iii)から得られた混合物を押出すことを含む、実施態様20から36のいずれか1項に記載の方法。
【0158】
38. 工程(iv)による成形が、成形品の前駆体をガス雰囲気中で乾燥させることをさらに含み、前記乾燥が、好ましくは80~160℃の範囲、好ましくは100~140℃の範囲、より好ましくは110~130℃の範囲のガス雰囲気の温度で行われ、ガス雰囲気は、好ましくは窒素、酸素、又はこれらの混合物を含み、ガス雰囲気は、より好ましくは酸素、空気、又は希薄空気である、実施態様20から37のいずれか1項に記載の方法。
【0159】
39. 工程(iv)による成形が、乾燥させた成形体の前駆体をガス雰囲気中で好ましくはか焼する工程をさらに含み、か焼が、好ましくは、ガス雰囲気の温度が450~530℃、より好ましくは470~510℃、より好ましくは480~500℃で行われ、ガス雰囲気が、好ましくは窒素、酸素又はこれらの混合物であり、ガス雰囲気は、より好ましくは酸素、空気又は希薄空気である、実施態様20から36のいずれか1項に記載の方法。
【0160】
40. 工程(v)において調製される混合物中で、成形品の前駆体の、水に対する質量比が、1:1~1:30の範囲、好ましくは1:5~1:25の範囲、より好ましくは1:10~1:20の範囲である、実施態様20から39のいずれか1項に記載の方法。
【0161】
41. 工程(v)により調製される混合物の、95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、成形品の前駆体及び水からなる、実施態様20から40のいずれか1項に記載の方法。
【0162】
42. 工程(v)による水処理が、100~200℃の範囲、好ましくは125~175℃の範囲、より好ましくは130~160℃の範囲、より好ましくは135~155℃の範囲、より好ましくは140~150の範囲の混合物の温度を含む、実施態様20から41のいずれか1項に記載の方法。
【0163】
43. 工程(v)による水処理が、自己圧力下で、好ましくはオートクレーブ内で行われる、実施態様20から42のいずれか1項に記載の方法。
【0164】
44. 工程(v)による水処理が、6~10時間、好ましくは7~9時間、より好ましくは7.5~8.5時間行われる、実施態様20から43のいずれか1項に記載の方法。
【0165】
45. 工程(v)が、水処理から得られた混合物から、水処理した成形品の前駆体を分離することを含む、実施態様20から44のいずれか1項に記載の方法。
【0166】
46. 水処理から得られた混合物から、水処理した成形品の前駆体を分離することが、水処理から得られた混合物を固液分離に供すること、好ましくは分離した前駆体を洗浄すること、及び好ましくは洗浄した前駆体を好ましくは乾燥させることを含む、実施態様45に記載の方法。
【0167】
47. 工程(v)による固液分離が、ろ過、又は遠心分離、又はろ過及び遠心分離を含む、実施態様46に記載の方法。
【0168】
48. 工程(v)による洗浄が、液体溶媒系を用いて前駆体の洗浄を少なくとも1回行うことを含み、液体溶媒系は、好ましくは、水、アルコール、及びこれらの2種以上の混合物のうちの1種以上を含み、水処理した成形品の前駆体が、より好ましくは水で洗浄される、請求項46又は47に記載の方法。
【0169】
49. 工程(v)による乾燥が、前駆体をガス雰囲気中で乾燥させることを含み、乾燥が、より好ましくは、80~160℃の範囲、より好ましくは100~140℃の範囲、より好ましくは110~130℃の範囲のガス雰囲気の温度で行われ、ガス雰囲気は、好ましくは、窒素、酸素、又はこれらの混合物を含み、ガス雰囲気は、より好ましくは酸素、空気、又は希薄空気である、実施態様46から48のいずれか1項に記載の方法。
【0170】
50. 工程(vi)によるか焼が、400~490℃の範囲、好ましくは420~470℃の範囲、より好ましくは440~460℃の範囲のガス雰囲気の温度で行われ、ガス雰囲気が、好ましくは、窒素、酸素、又はこれらの混合物を含み、ガス雰囲気が、より好ましくは、酸素、空気、又は希薄空気である、実施態様20から49のいずれか1項に記載の方法。
【0171】
51. 工程(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)及び(vi)からなる、実施態様20から50のいずれか1項に記載の方法。
【0172】
52. 参考例1に記載のように決定してタイプIの窒素吸着/脱着等温線を示し、骨格型MFIと、Si、O及びTiを含む骨格構造とを有するゼオライト材料の粒子を含む化学成形品であって、前記成形品が前記粒子のためのバインダーをさらに含み、前記バインダーがSi及びOを含む、化学成形品、好ましくは、実施態様20から51のいずれか1項に記載の方法によって得ることができる又は得られた、実施態様1から19のいずれか1項に記載の化学成形品。
【0173】
53. 実施態様1から19のいずれか1項に記載の、又は実施態様52に記載の成形品を、吸着剤、吸収剤、触媒又は触媒成分として、好ましくは触媒として又は触媒成分として、より好ましくはルイス酸触媒又はルイス酸触媒成分として、異性化触媒として又は異性化触媒成分として、酸化触媒として又は酸化触媒成分として、アルドール縮合触媒として又はアルドール縮合触媒成分として、又はプリンス反応触媒として又はプリンス反応触媒成分として、使用する方法。
【0174】
54. 酸化触媒として又は酸化触媒成分として、好ましくはエポキシ化触媒として又はエポキシ化触媒成分として、より好ましくはエポキシ化触媒としての、実施態様53に記載の使用する方法。
【0175】
55. 少なくとも1つのC-C二重結合を有する有機化合物、好ましくはC2~C10アルケン、より好ましくはC2~C5アルケン、より好ましくはC2~C4アルケン、より好ましくはC2又はC3アルケン、より好ましくはプロペンのエポキシ化反応のための、より好ましくは過酸化水素を酸化剤としたプロペンのエポキシ化反応のための、より好ましくはアルコール、好ましくはメタノールを含む溶媒における過酸化水素を酸化剤としたプロペンのエポキシ化反応のための、実施態様54に記載の使用する方法。
【0176】
56. 有機化合物を、好ましくは連続モードで、実施態様1から19のいずれか1項に記載の、又は実施態様52に記載の成形品を含む触媒と接触させることを含む、有機化合物を酸化するための方法、好ましくは有機化合物をエポキシ化するための、より好ましくは、少なくとも1つのC-C二重結合を有する有機化合物、好ましくはC2~C10アルケン、より好ましくはC2~C5アルケン、より好ましくはC2~C4アルケン、より好ましくはC2又はC3アルケン、より好ましくはプロペンをエポキシ化するための方法。
【0177】
57. 過酸化水素を酸化剤として使用し、酸化反応が好ましくは溶媒中で、より好ましくはアルコール、好ましくはメタノールを含む溶媒中で行われる、実施態様56に記載の方法。
【0178】
58. プロピレンオキシドの製造方法であって、プロペンを、好ましくは連続モードで、メタノール溶液中で過酸化水素と、実施態様1から19のいずれか1項に記載の、又は実施態様52に記載の成形品を含む触媒の存在下で反応させて、プロピレンオキシドを得ることを含む方法。
【0179】
59. 水中のシリカのコロイド分散体をバインダー前駆体として、参考例1に記載のように決定してタイプIの窒素吸着/脱着等温線を示し、且つ骨格型MFIと、Si、O及びTiを含む骨格構造とを有するゼオライト材料を含み、前記バインダー前駆体から得られたバインダーをさらに含む、化学成形品の調製に、好ましくは実施態様1から19のいずれか1項に記載の成形品の調製に、使用する方法であって、前記シリカが、参考例5に記載のように決定して少なくとも35ナノメートル、好ましくは35~80ナノメートルの範囲、より好ましくは40~75ナノメートルの範囲、より好ましくは45~70ナノメートルの範囲のDv10値、少なくとも45ナノメートル、好ましくは45~125ナノメートルの範囲、より好ましくは55~115ナノメートルの範囲、より好ましくは65~105ナノメートルの範囲のDv50値、及び少なくとも65ナノメートル、好ましくは65~200ナノメートルの範囲、より好ましくは85~180ナノメートルの範囲、より好ましくは95~160ナノメートルの範囲のDv90値によって特徴付けられる体積ベースの粒度分布を示し、前記成形品が、好ましくは、参考例2に記載のように決定して少なくとも0.4mL/gの全細孔容積、及び参考例3に記載のように決定して少なくとも6Nの破壊強さを示す、使用する方法。
【0180】
本発明を、従属関係及び後方参照によって示すように、さらなる以下の実施態様及び実施態様の組み合わせによって、さらに例示する。特に、実施態様の範囲が言及される各例において、例えば「実施態様1’から4’のいずれか1項に記載の混合物」などの用語の文脈では、この範囲内のすべての実施態様が当業者に明示的に開示されることが意図されており、すなわち、この用語の文言は、「実施態様1’、2’、3’、及び4’のいずれか1項に記載の混合物」と同義であると当業者には理解されることに留意されたい。さらに、以下の実施態様の一組は、保護の範囲を決定する特許請求の範囲の組み合わせではなく、本発明の一般的及び好ましい側面に向けられた説明の好適に構成された部分を表すものであることを明示的に留意されたい。
【0181】
1’. 参考例1に記載のように決定してタイプIの窒素吸着/脱着等温線を示し、且つ骨格型MFIと、Si、O及びTiを含む骨格構造とを有するゼオライト材料を含む混合物であって、該混合物が、水中のシリカのコロイド分散体をさらに含み、前記バインダー前駆体は、参考例5に記載のように決定して少なくとも35ナノメートルのDv10値、少なくとも45ナノメートルのDv50値、及び少なくとも65ナノメートルのDv90値によって特徴付けられる体積ベースの粒度分布を示す、混合物。
【0182】
2’. 参考例12に記載のように決定して、500~3000Nの範囲、好ましくは750~2000Nの範囲、より好ましくは1000~1500Nの範囲の可塑性を有する、実施態様1’に記載の混合物。
【0183】
3’. 水中のシリカのコロイド分散体の体積ベースの粒度分布が、参考例5に記載のように決定して35~80ナノメートルの範囲、好ましくは40~75ナノメートルの範囲、より好ましくは45~70ナノメートルの範囲のDv10値、45~125ナノメートルの範囲、好ましくは55~115ナノメートルの範囲、より好ましくは65~105ナノメートルの範囲のDv50値、及び65~200ナノメートルの範囲、好ましくは85~180ナノメートルの範囲、より好ましくは95~160ナノメートルの範囲のDv90値によって特徴付けられる、実施態様1’又は2’に記載の混合物。
【0184】
4’. シリカのコロイド分散体の体積ベースの粒度分布が単峰性分布である、実施態様1’から3’のいずれか1項に記載の混合物。
【0185】
5’. 水中のシリカのコロイド分散体が、シリカ及び水の合計質量に基づいて、25~65質量%の範囲、好ましくは30~60質量%の範囲、より好ましくは35~55質量%の範囲の量でシリカを含む、実施態様1’から4’のいずれか1項に記載の方法。
【0186】
6’. バインダー前駆体の95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、水中のシリカのコロイド分散体からなる、実施態様1’から5’のいずれか1項に記載の方法。
【0187】
7’. ゼオライト材料の95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは少なくとも99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、Si、O、Ti、及び好ましくはHからなる、実施態様1’から6’のいずれか1項に記載の混合物。
【0188】
8’. ゼオライト材料が、ゼオライト材料の合計質量に基づいて、0.2~5質量%の範囲、好ましくは0.5~4質量%の範囲、より好ましくは1.0~3質量%の範囲、より好ましくは1.2~2.5質量%の範囲、より好ましくは1.4~2.2質量%の範囲の量で、Tiを含み、ゼオライト材料が好ましくはチタンシリカライト-1である、実施態様1’から7’のいずれか1項に記載の方法。
【0189】
9’. 混合物において、ゼオライト材料の質量比が、ゼオライト材料とSiOとして計算されるバインダーとの総計に対して、2~90%の範囲、好ましくは5~70%の範囲、より好ましくは10~50%の範囲、より好ましくは15~30%の範囲、より好ましくは20~25%の範囲である、実施態様1’から8’のいずれか1項に記載の混合物。
【0190】
10’. 1種以上の添加剤、好ましくは1種以上の粘度改変剤、又は1種以上のメソ細孔形成剤、又は1種以上の粘度改変剤及び1種以上のメソ細孔形成剤をさらに含む、実施態様1’から9’のいずれか1項に記載の混合物。
【0191】
11’. 混合物の95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、ゼオライト材料、バインダー前駆体、及び1種以上の添加剤からなる、実施態様1’から10’のいずれか1項に記載の混合物。
【0192】
12’. 1種以上の添加剤が、水、アルコール、有機ポリマー、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、有機ポリマーが、好ましくは、セルロース、セルロース誘導体、デンプン、ポリアルキレンオキシド、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、有機ポリマーが、より好ましくは、セルロースエーテル、ポリアルキレンオキシド、ポリスチレン、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、有機ポリマーが、より好ましくは、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレンオキシド、ポリスチレン、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、1種以上の添加剤が、水、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレンオキシド、及びポリスチレンを含む、より好ましくはこれらからなる、実施態様1’から11’のいずれか1項に記載の混合物。
【0193】
13’. 混合物において、ゼオライト材料の、1種以上の添加剤に対する質量比が、0.3:1~1:1の範囲、好ましくは0.4:1~0.8:1の範囲、より好ましくは0.5:1~0.6:1の範囲である、実施態様12’に記載の方法。
【0194】
14’. 混合物において、
ゼオライト材料の、セルロース誘導体、好ましくはセルロースエーテル、より好ましくはカルボキシメチルセルロースに対する質量比が、10:1~53:1の範囲、好ましくは15:1~40:1の範囲、より好ましくは20:1~35:1の範囲であり、
ゼオライト材料の、ポリエチレンオキシドに対する質量比が、70:1~110:1の範囲、好ましくは75:1~100:1の範囲、より好ましくは77:1~98:1の範囲であり、
ゼオライト材料の、ポリスチレンに対する質量比が、2:1~8:1の範囲、好ましくは3:1~6:1の範囲、より好ましくは3.5:1~5:1の範囲であり、
ゼオライト材料の、水に対する質量比が、0.7:1~0.85:1の範囲、好ましくは0.72:1~0.8:1の範囲、より好ましくは0.74:1~0.79:1の範囲である、
実施態様12’又は13’に記載の混合物。
【0195】
15’. ゼオライト材料、水、及びシリカを含む混合物の製造方法、好ましくは実施態様1’から14’に記載の混合物の製造方法であって、以下の工程:
(i’) 参考例1に記載のように決定してタイプIの窒素吸着/脱着等温線を示し、且つ骨格型MFIと、Si、O及びTiを含む骨格構造とを有するゼオライト材料を提供する工程、
(ii’) 水中のシリカのコロイド分散体を提供する工程であって、前記シリカが、参考例5に記載のように決定して少なくとも35ナノメートル、好ましくは35~80ナノメートルの範囲、より好ましくは40~75ナノメートルの範囲、より好ましくは45~70ナノメートルの範囲のDv10値、少なくとも45ナノメートル、好ましくは45~125ナノメートルの範囲、より好ましくは55~115ナノメートルの範囲、より好ましくは65~105ナノメートルの範囲のDv50値、及び少なくとも65ナノメートル、好ましくは65~200ナノメートルの範囲、より好ましくは85~180ナノメートルの範囲、より好ましくは95~160ナノメートルの範囲のDv90値によって特徴付けられる体積ベースの粒度分布を示す、提供する工程、
(iii’) 工程(i’)で提供されたゼオライト材料及び工程(ii’)で提供されたバインダー前駆体の粒子を含む混合物を調製する工程
を含む方法。
【0196】
16’. 工程(ii’)による水中のシリカのコロイド分散体の体積ベースの粒度分布が、参考例5に記載のように決定して35~80ナノメートルの範囲、好ましくは40~75ナノメートルの範囲、より好ましくは45~70ナノメートルの範囲のDv10値、45~125ナノメートルの範囲、好ましくは55~115ナノメートルの範囲、より好ましくは65~105ナノメートルの範囲のDv50値、及び65~200ナノメートルの範囲、好ましくは85~180ナノメートルの範囲、より好ましくは95~160ナノメートルの範囲のDv90値によって特徴付けられる、実施態様15’に記載の方法。
【0197】
17’. 工程(ii’)による水中のシリカのコロイド分散体の体積ベースの粒度分布が単峰性分布である、実施態様15’又は16’に記載の方法。
【0198】
18’. 工程(ii’)による水中のシリカのコロイド分散体が、シリカ及び水の合計質量に基づいて、25~65質量%の範囲、好ましくは30~60質量%の範囲、より好ましくは35~55質量%の範囲の量でシリカを含む、実施態様15’から17’のいずれか1項に記載の方法。
【0199】
19’. 工程(ii’)によるバインダー前駆体の95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、水中のシリカのコロイド分散体からなる、実施態様15’から18’のいずれか1項に記載の方法。
【0200】
20’. 工程(i’)によるゼオライト材料の95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは少なくとも99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、Si、O、Ti、及び好ましくはHからなる、実施態様15’から19’のいずれか1項に記載の方法。
【0201】
21’. 工程(i’)によるゼオライト材料が、ゼオライト材料の合計質量に基づいて、0.2~5質量%の範囲、好ましくは0.5~4質量%の範囲、より好ましくは1.0~3質量%の範囲、より好ましくは1.2~2.5質量%の範囲、より好ましくは1.4~2.2質量%の範囲の量で、Tiを含む、実施態様15’から20’のいずれか1項に記載の方法。
【0202】
22’ . 工程(i’)によるゼオライト材料が、チタンシリカライト-1である、実施態様15’から21’のいずれか1項に記載の方法。
【0203】
23’. 工程(iii’)により調製される混合物において、ゼオライト材料の質量比が、ゼオライト材料とSiOとして計算されるバインダーとの総計に対して、2~90%の範囲、好ましくは5~70%の範囲、より好ましくは10~50%の範囲、より好ましくは15~30%の範囲、より好ましくは20~25%の範囲である、実施態様15’から22’のいずれか1項に記載の方法。
【0204】
24’. 工程(iii’)により調製される混合物が、1種以上の添加剤、好ましくは1種以上の粘度改変剤、又は1種以上のメソ細孔形成剤、又は1種以上の粘度改変剤及び1種以上のメソ細孔形成剤をさらに含む、実施態様15’から23’のいずれか1項に記載の方法。
【0205】
25’. 工程(iii’)により調製される混合物の、95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、ゼオライト材料、バインダー前駆体、及び1種以上の添加剤からなる、実施態様24’に記載の方法。
【0206】
26’. 1種以上の添加剤が、水、アルコール、有機ポリマー、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、有機ポリマーが、好ましくは、セルロース、セルロース誘導体、デンプン、ポリアルキレンオキシド、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、有機ポリマーが、より好ましくは、セルロースエーテル、ポリアルキレンオキシド、ポリスチレン、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、有機ポリマーが、より好ましくは、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレンオキシド、ポリスチレン、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、1種以上の添加剤が、水、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレンオキシド、及びポリスチレンを含む、より好ましくはこれらからなる、実施態様24’又は25’に記載の方法。
【0207】
27’. 工程(iii’)により調製される混合物において、ゼオライト材料の、1種以上の添加剤に対する質量比が、0.3:1~1:1の範囲、好ましくは0.4:1~0.8:1の範囲、より好ましくは0.5:1~0.6:1の範囲である、実施態様24’から26’のいずれか1項に記載の方法。
【0208】
28’. 工程(iii)により調製され、そして工程(iv)に供される混合物において、
ゼオライト材料の、セルロース誘導体、好ましくはセルロースエーテル、より好ましくはカルボキシメチルセルロースに対する質量比が、10:1~53:1の範囲、好ましくは15:1~40:1の範囲、より好ましくは20:1~5:1の範囲であり、
ゼオライト材料の、ポリエチレンオキシドに対する質量比が、70:1~110:1の範囲、好ましくは75:1~100:1の範囲、より好ましくは77:1~98:1の範囲であり、
ゼオライト材料の、ポリスチレンに対する質量比が、2:1~8:1の範囲、好ましくは3:1~6:1の範囲、より好ましくは3.5:1~5:1の範囲であり、
ゼオライト材料の、水に対する質量比が、0.7:1~0.85:1の範囲、好ましくは0.72:1~0.8:1の範囲、より好ましくは0.74:1~0.79:1の範囲である、
実施態様24’から27’のいずれか1項に記載の方法。
【0209】
29’. 工程(iii)による混合物の調製が、ニーダー又は混合ミューラーにおける混合を含む、実施態様15’から28’のいずれか1項に記載の方法。
【0210】
30’. 工程(i)、(ii)及び(iii)からなる、実施態様15’から29’のいずれか1項に記載の方法。
【0211】
31’. 実施態様15’から29’のいずれか1項に記載の方法により得ることができる又は得られた混合物、好ましくは実施態様1’から14’のいずれか1項に記載の混合物。
【0212】
32’. 化学成形品、好ましくは実施態様1から19のいずれか1項又は実施態様52に記載の化学成形品を調製するための、実施態様1’から14’のいずれか1項に記載の又は実施態様31’に記載の混合物の使用する方法。
【0213】
本発明を以下の参考例、実施例及び比較例によってさらに説明する。
【実施例
【0214】
参考例1: N吸着/脱着等温線の決定
窒素吸着/脱着等温線を、DIN66131に開示されている方法に準拠して、77Kで測定した。等温線は液体窒素の温度で、Micrometrics ASAP2020M及びTristarシステムを用いて測定した。
【0215】
参考例2: 全細孔容積の決定
全細孔容積は、DIN66133に準拠して、水銀圧入ポロシメトリーを介して決定した。
【0216】
参考例3: 破壊強さの決定
本発明の文脈で言及される破壊強さは、破壊強さ試験機Z2.5/TS1S(供給者はZwick GmbH&Co.,D-89079,Ulm、ドイツ)によって決定されたものであると理解される。この機械の原理及びその操作に関して、それぞれ、Zwick GmbH&Co.,Technische Dokumentation,August-Nagel-Strasse 11,D-89079 Ulm、ドイツによる取扱説明書「Register 1:Betriebsanleitung/Sicherheitshandbuch fuer die Material-Pruefmaschine Z2.5/TS1S」、第1.5版、2001年12月を参照されたい。この機械は、固定された水平のテーブルを備えており、このテーブルの上にストランドを配置した。垂直方向に自由に動く直径3mmのプランジャーによって、ストランドを固定テーブルに対して作動させた。装置は、予備力0.5N、予備力下のせん断速度10mm/分、及びその後の試験速度1.6mm/分で操作した。垂直可動式のプランジャーは、力を拾うためのロードセルに接続されており、測定中には、調査対象の成形品(ストランド)が配置されている固定されたターンテーブルに向かって動くことによって、ストランドをテーブルに対して作動させた。プランジャーは、ストランドの長手方向の軸に対して垂直に適用された。前記機械を用いて、後述する所定のストランドに、プランジャーを介してストランドが破壊されるまで増加する力を加えた。ストランドが破壊された力をストランドの破壊強さと呼ぶ。実験の制御は、測定結果を登録及び評価するコンピュータを使用して行った。得られた値は、各場合において10本のストランドを測定したときの平均値である。
【0217】
参考例5: Dv10、Dv50、及びDv90値の決定
試料は、Malvern Instruments GmbH,Herrenberg、ドイツのZetasizer Nanoを用いて分析した。まず、同じpH範囲で希釈できるように、所定の試料のpH値を決定した。試料は、pH=9.1のミリポア水で0.005%の測定濃度に希釈し、その後ろ過した(5マイクロメートル)。測定は25℃で行った。
【0218】
参考例6: BET比表面積の決定
BET比表面積は、DIN66131に開示されている方法に準拠して、77Kで窒素物理吸着によって決定した。BET比表面積の決定のため、Micrometrics ASAP2020M及びTristarシステムを用いて、液体窒素の温度におけるN収着等温線を測定した。
【0219】
参考例7: 粉末X線回折、及び結晶化度の決定
粉末X線回折(PXRD)データは、40kV及び40mAで作動する銅陽極X線管で操作されるLYNXEYE検出器を備えた回折計(D8Advance Series II,Bruker AXS GmbH社)を使用して収集した。形状はブラッグ-ブレンターノ法であり、空気散乱シールドを使用して空気散乱を低減した。
【0220】
結晶性の計算:試料の結晶化度は、Bruker AXS GmbH,Karlsruheが提供するソフトウェアDIFFRAC.EVAを使用して決定した。この方法は、ユーザーマニュアルの121ページに記載されている。計算にはデフォルトのパラメータを使用した。
【0221】
相組成の計算:相組成は、Bruker AXS GmbH,Karlsruheが提供するソフトウェアDIFFRAC.TOPASを使用して、生データに対して計算した。識別された相の結晶構造、装置のパラメータ及び個々の相の結晶子サイズを使用して、回折パターンをシミュレートした。これをデータに当てはめ、さらにバックグラウンド強度をモデル化する関数を加えた。
【0222】
データ収集:試料は乳鉢で均質化した後、ブラッグ-ブレンターノ法の形状データ収集のためにBruker-AXS GmbH社が提供する標準の平坦な試料ホルダーに押し込んだ。ガラス板を使用して試料粉末を圧縮して平らにし、平坦な表面を達成した。データは、2~70°の2シータの角度範囲で、0.02°の2シータの工程サイズで収集し、可変発散スリットは0.1°の角度に設定した。結晶含有率は、全散乱強度に対する結晶信号の強度を表す(DIFFRAC.EVAのユーザーマニュアル、Bruker AXS GmbH,Karlsruhe)。
【0223】
参考例8: C値(BET C定数)の決定
C値は、当業者に知られているように、p/pに対するBET値1/(V((p/p)-1))のプロットに基づいて、通常の計算((傾き/切片)+1)によって決定した。pは、77.4K(液体窒素のb.p.)で表面と平衡している吸着ガスの部分蒸気圧であり(単位Pa)、pは、吸着ガスの飽和圧力であり(単位Pa)、そしてVは、標準温度及び圧力(STP)[273.15K及び大気圧(1.013×10Pa)]での吸着ガスの体積(単位mL)である。
【0224】
参考例9: プロピレンオキシド活性及び圧力降下率の決定(PO試験)
プロペンのエポキシ化触媒としての成形品の可能な適合性を評価するための予備的な試験手順であるPO試験において、プロペンを過酸化水素水溶液(30質量%)と反応させてプロピレンオキシドを得ることによって、ガラスオートクレーブ中で成形品を試験した。特に、0.5gの成形品を45mLのメタノールと共に、-25℃に冷却したガラスオートクレーブに導入した。20mLの液体プロペンをガラスオートクレーブに押し込み、ガラスオートクレーブを0℃に加熱した。この温度で、18gの過酸化水素水溶液(水中30質量%)をガラスオートクレーブに導入した。0℃で5時間反応させた後、混合物を室温に加熱し、ガスクロマトグラフィーで液相のプロピレンオキシド含有量に関して分析した。液相のプロピレンオキシド含有量(質量%単位)は、PO試験の結果、すなわち成形品のプロピレンオキシド活性である。圧力降下率は、上記PO試験中の圧力進行に続いて決定した。オートクレーブの圧力ラインに配置されたS-11送信機(Wika Alexander Wiegand SE&Co.KG社)及びグラフィックプロッタBuddeberg6100Aを使用して、圧力の進行を記録した。それぞれ得られたデータを読み出し、圧力上昇曲線を描写した。圧力降下率(PDR)は、次の式によって決定した。
PDR=[p(max)-p(min)]/デルタt
式中、
PDR/(バール/min)=圧力降下率
p(max)/バール=反応開始時の最大圧力
p(min)/バール=反応中に観察された最低圧力
デルタt/min=反応開始時からp(min)が観察された時点までの時間差
【0225】
参考例10: プロピレンのエポキシ化触媒の性能の決定
連続エポキシ化反応の設定において、熱安定化のためのジャケットを備えた垂直に配置された管状反応器(長さ:1.4m、外径10mm、内径:7mm)に、以下の各実施例に記載したストランドの形の成形品15gを充填した。残りの反応器の容積は、反応器の下端では約5cmの高さまで、及び反応器の上端ではその残りを、不活性物質(直径2mmのステアタイト球)で満たした。反応器には、出発物質を以下の流量で通した:メタノール(49g/h)、過酸化水素(9g/h、過酸化水素含有量40質量%の過酸化水素水溶液として用いた)、プロピレン(7g/h、ポリマーグレード)。冷却媒体を冷却ジャケットに通して、反応混合物の温度を調整し、反応器から出る反応混合物に基づいて決定された過酸化水素変換率が90%で本質的に一定となるようにした。反応器内の圧力は20バール(abs)で一定に保たれ、固定床触媒を除いた反応混合物は、単一の液相からなっていた。圧力制御弁の下流にある反応器の流出流を回収し、秤量して分析した。有機成分は2台の別々のガスクロマトグラフで分析した。過酸化水素含有量は、硫酸チタニル法を使用して比色分析で決定した。所定のプロピレンオキシドに対する選択性は、プロペン及び過酸化水素に対して決定し、流出流中のプロピレンオキシドのモルを供給物中のプロペン又は過酸化水素のモルで割った比の100倍として計算した。
【0226】
参考例11: 水に対する屈曲度パラメータの決定
屈曲度パラメータは、US20070099299A1の実験の欄に記載されているように測定した。特に、これを行うためのNMR分析は、FEGRIS NT NMR分光器を用いて、25℃及び1バールで、125MHz 1Hの共鳴周波数で実施した(Stallmachら、Annual Reports on NMR Spectroscopy2007、第61巻、第51~131頁参照)。PFG NMR自己拡散解析に使用したパルスプログラムは、US20070099299A1の図1bによるパルス磁場勾配によるスティミュレイテッドスピンエコーであった。各試料について、磁場勾配の強度を段階的に増加させることにより、異なる拡散時間(7~100msの間)でスピンエコー減衰曲線を測定した(最大gmax=10T/mまで)。スピンエコー減衰曲線から、US20070099299A1の式(5)及び(6)によって、間隙水の自己拡散係数の時間依存性を求めた。屈曲度の計算:US20070099299A1の式(7)を用いることによって求めた自己拡散係数D(Δ)から平均二次シフトの時間依存性
【数1】
を算出した。例として、US20070099299A1の図2では、同文献の例示的な触媒担体についてのデータが、自由水についての対応する結果とともに両対数でプロットされている。US20070099299A1の図2には、拡散時間Δの関数としての
【数2】
の線形フィッティングによるベストフィット直線もそれぞれ示されている。US2007/0099299A1の式(7)によると、その傾きは、値
【数3】
に正確に対応し、ここで
【数4】
は、拡散時間間隔にわたって平均化された自己拡散係数に対応する。US2007/0099299A1の式(3)によると、屈曲度は、成形品におけるこのようにして決定された自由溶媒の平均自己拡散係数(D0)の、平均自己拡散係数の対応する値に対する比率から得られる。
【0227】
参考例12: 可塑性の決定
本発明の文脈で言及される可塑性は、テーブルトップ試験機Z010/TN2S(供給者はZwick,D-89079 Ulm、ドイツ)を介して決定されると理解される。この機械の原理及びとその操作に関して、それぞれ、Zwick Technische Dokumentation,August-Nagel-Strasse 11,D-89079 Ulm、ドイツ(1999)による取扱説明書「Betriebsanleitung der Material-Pruefmaschine」、第1.1版を参照されたい。Z010試験機は、固定された水平のテーブルを備えており、このテーブルの上に、内径26mm及び内部高さ75mmの円筒形区画を含むスチール製試験容器を配置した。この容器に、容器内に充填した塊が空気含有物を含有しないように測定対象の組成物を充填した。充填レベルは、円筒形区画の上端から10mm下であった。測定対象の組成物を含有する容器の円筒形区画の中央上方には、下端が球状のプランジャーがあり、球の直径は22.8mmで、垂直方向に自由に動かすことができた。前記プランジャーは、最大試験荷重が10kNの試験機のロードセルに取り付けられた。測定中、プランジャーを垂直下方に動かし、このようにして試験容器内の組成物に入れた。試験条件下で、プランジャーを、予備力(Vorkraft)1.0N、予備力速度(Vorkraftgeschwindig-keit)100mm/分、及びその後の試験速度(Pruefgeschwindigkeit)14mm/分で動かした。測定された力が、この測定で以前に測定された最大力の70%未満の値に達した時点で、測定を終了した。実験は、測定結果の登録及び評価を行うコンピュータによって制御した。測定された最大力(単位NのF_max)は、本発明の文脈において言及される可塑性に相当する。
【0228】
実施例1: 骨格型MFIを有するゼオライト材料の粒子の提供
以下のレシピに従って、チタンシリカライト-1(TS-1)粉末を調製した:TEOS(テトラエチルオルトシリケート)(300kg)を室温で撹拌槽反応器に投入し、撹拌(100r.p.m.)を開始した。第2の容器では、まず60kgのTEOS及び13.5kgのTEOT(テトラエチルオルトチタネート)を混合し、次に第1の容器のTEOSに加えた。その後、さらに360kgのTEOSを第1の容器内の混合物に加えた。次に、第1の容器の内容物を10分間攪拌した後、950gのTPAOH(テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド)を加えた。撹拌は60分間続けた。加水分解によって放出されたエタノールは、底部温度95℃で蒸留して分離した。その後、第1の容器の内容物に水300kgを加え、留出物の量に相当する量の水をさらに加えた。得られた混合物を1時間攪拌した。175℃で12時間以内に自己圧力で結晶化を行った。得られたチタンシリカライト-1結晶を分離し、乾燥させ、空気中500℃の温度で6時間か焼した。得られたゼオライト材料の粒子は、元素Tiとして計算して1.9質量%のTi含有量を示した。
【0229】
実施例2: 本発明による粒度分布を有するコロイダルシリカバインダー前駆体を用いた成形品の調製
成形:実施例1のゼオライト材料の粒子(105.3g)及びカルボキシメチルセルロース(4.0g;Walocel(TM)、Mw=15,000g)をニーダーで5分間混合した。次に、水性ポリスチレン分散体(100.7g;ポリスチレン33.7g)を連続的に添加した。10分後、ポリエチレンオキシド(1.33g)を加えた。10分後、水性コロイダルシリカバインダー前駆体(70g;50質量%のSiO;Dv10=51nm;Dv50=72nm;Dv90=111;Nalco Chemical Co.社製)を添加した。さらに10分後、10mLの水を加え、さらに5分後に、さらに10mLの水を加えた。合計の混練時間は40分であった。混練から得られた1283Nの可塑性を有する成形可能な塊を、130バールの圧力で、直径1.9mmの円形の穴を有するマトリクスを通して押し出した。得られたストランドを、空気中、オーブン中で120℃の温度で4時間乾燥させ、空気中、490℃の温度で5時間か焼した。本明細書中、上記に記載のように決定されたストランドの破壊強さは1.4Nであった。
【0230】
水処理:これらのストランド36gを、それぞれ9gの4つの部分に分けて、1つの部分につき180gの脱イオン水と混合した。得られた混合物を、オートクレーブ内で8時間、145℃の温度に加熱した。その後、得られた水処理されたストランドを分離し、0.8mmのふるいにかけた。その後、得られたストランドを脱イオン水で洗浄し、周囲温度で窒素流に供した。それぞれ洗浄したストランドを、続いて空気中、120℃の温度で4時間乾燥させ、次に空気中、450℃の温度で2時間か焼した。
【0231】
得られた材料は、0.1g/100g未満のTOC、44g/100gのSi含有量、及び1.4g/100gのTi含有量を有していた。本明細書中、上記に記載のように決定されたストランドの破壊強さは8Nであり、本明細書中、上記に記載のように決定された全細孔容積は0.83mL/gであった。水に対する屈曲度パラメータは1.60であった。BET比表面積は356m/g、C値は-356であった。
【0232】
実施例3: 本発明による粒度分布を有するコロイダルシリカバインダー前駆体を用いた成形品の調製
成形:実施例1のゼオライト材料の粒子(105.3g)及びカルボキシメチルセルロース(4.0g;Walocel(TM)、Mw=15,000g)をニーダーで5分間混合した。次に、水性ポリスチレン分散体(100.7g;ポリスチレン33.7g)を連続的に添加した。10分後、ポリエチレンオキシド(1.33g)を加えた。10分後、水性コロイダルシリカバインダー前駆体(70g;40質量%のSiO;Dv10=68nm;Dv50=97nm;Dv90=151nm;Nalco Chemical Co.社製)を添加した。さらに10分後、20mLの水を加えた。合計の混練時間は35分であった。混練から得られた成形可能な塊を、150バールの圧力で、直径1.9mmの円形の穴を有するマトリクスを通して押し出した。得られたストランドを、空気中、オーブン中で120℃の温度で4時間乾燥させ、空気中、490℃の温度で5時間か焼した。本明細書中、上記のように決定されたストランドの破壊強さは1.0Nであった。
【0233】
水処理:これらのストランド36gを、それぞれ9gの4つの部分に分けて、1つの部分につき180gの脱イオン水と混合した。得られた混合物を、オートクレーブ内で8時間、145℃の温度に加熱した。その後、得られた水処理されたストランドを分離し、0.8mmのふるいにかけた。その後、得られたストランドを脱イオン水で洗浄し、周囲温度で窒素流に供した。それぞれ洗浄したストランドを、続いて空気中、120℃の温度で4時間乾燥させ、次に空気中、450℃の温度で2時間か焼した。
【0234】
得られた材料は、0.1g/100g未満のTOC、44g/100gのSi含有量、及び1.4.g/100gのTi含有量を有していた。本明細書中、上記に記載のように決定されたストランドの破壊強さは11Nであり、本明細書中、上記に記載のように決定された全細孔容積は0.84mL/gであった。水に対する屈曲度パラメータは1.71であった。BET比表面積は352m/g、C値は-500であった。
【0235】
実施例4: 本発明による粒度分布を有するコロイダルシリカバインダー前駆体を用いた成形品の調製
成形:実施例1のゼオライト材料の粒子(105.3g)及びカルボキシメチルセルロース(4.0g;Walocel(TM)、Mw=15,000g)をニーダーで5分間混合した。次に、水性ポリスチレン分散体(100.7g;ポリスチレン33.7g)を連続的に添加した。10分後、ポリエチレンオキシド(1.33g)を加えた。10分後、水性コロイダルシリカバインダー前駆体(70g;50質量%のSiO;Dv10=56;Dv50=81nm;Dv90=129nm;Nalco Chemical Co.社製)を添加した。さらに10分後、20mLの水を加えた。合計の混練時間は35分であった。混練から得られた成形可能な塊を、150バールの圧力で、直径1.9mmの円形の穴を有するマトリクスを通して押し出した。得られたストランドを、空気中、オーブン中で120℃の温度で4時間乾燥させ、空気中、490℃の温度で5時間か焼した。本明細書中、上記に記載のように決定されたストランドの破壊強さは1.5Nであった。
【0236】
水処理:これらのストランド36gを、それぞれ9gの4つの部分に分けて、1つの部分につき180gの脱イオン水と混合した。得られた混合物を、オートクレーブ内で8時間、145℃の温度に加熱した。その後、得られた水処理されたストランドを分離し、0.8mmのふるいにかけた。その後、得られたストランドを脱イオン水で洗浄し、周囲温度で窒素流に供した。それぞれ洗浄したストランドを、続いて空気中で120℃の温度で4時間乾燥させ、次に空気中で450℃の温度で2時間か焼した。
【0237】
得られた材料は、0.1g/100g未満のTOC、44g/100gのSi含有量、及び1.4g/100gのTi含有量を有していた。本明細書中、上記に記載のように決定されたストランドの破壊強さは12Nであり、本明細書中、上記に記載のように決定された全細孔容積は0.82mL/gであった。水に対する屈曲度パラメータは1.67であった。BET比表面積は353m/g、C値は-395であった。
【0238】
比較例1: 本発明によらない粒度分布のコロイダルシリカバインダー前駆体を用いた成形品の調製
成形:実施例1のゼオライト材料の粒子(105.3g)及びカルボキシメチルセルロース(4.0g;Walocel(TM)、Mw=15,000g)をニーダーで5分間混合した。次に、水性ポリスチレン分散体(100.7g;ポリスチレン33.7g)を連続的に添加した。10分後、ポリエチレンオキシド(1.33g)を加えた。10分後、水性コロイダルシリカバインダー前駆体(70g;40質量%のSiO;Dv10=28nm;Dv50=37nm;Dv90=52nm;Ludox(登録商標)AS-40)を添加した。さらに10分後、20mLの水を加えた。合計の混練時間は35分であった。混練から得られた3321Nの可塑性を有する成形可能な塊を、100バールの圧力で、直径1.9mmの円形の穴を有するマトリックスを通して押し出した。得られたストランドを、空気中、オーブン中で120℃の温度で4時間乾燥させ、空気中、490℃の温度で5時間か焼した。本明細書中、上記に記載のように決定されたストランドの破壊強さは1.6Nであった。
【0239】
水処理:これらのストランド36gを、それぞれ9gの4つの部分に分けて、1つの部分につき180gの脱イオン水と混合した。得られた混合物を、オートクレーブ内で8時間、145℃の温度に加熱した。その後、得られた水処理されたストランドを分離し、0.8mmのふるいにかけた。その後、得られたストランドを脱イオン水で洗浄し、周囲温度で窒素流に供した。それぞれ洗浄したストランドを、続いて空気中120℃の温度で4時間乾燥させ、次に空気中450℃の温度で2時間か焼した。
【0240】
得られた材料は、0.1g/100g未満のTOC、44g/100gのSi含有量、及び1.5g/100gのTi含有量を有していた。本明細書中、上記に記載のように決定されたストランドの破壊強さは5Nであり、本明細書中、上記に記載のように決定された全細孔容積は0.89mL/gであった。水に対する屈曲度パラメータは1.73であった。BET法による比表面積は389m/g、C値は-547であった。
【0241】
破壊強さ値のまとめ
以下の表1に、上記で調製した成形品の破壊強さ値をまとめる。明らかに、本発明の成形品は著しく高い、従って非常に有利な値を示す。さらに、表から分かるように、本発明の方法の工程(v)による水処理によって達成された破壊強さ値の改善は、先行技術の方法に関するそれぞれの改善よりも著しく良好である。
【0242】
【表1】
【0243】
実施例5: プロペンをエポキシ化する触媒としての成形品の試験
実施例5.1: 予備試験-PO試験
実施例の成形品を、エポキシ化触媒としてのその一般的な適合性に関して、参考例9に記載のPO試験により予備的に試験した。プロピレンオキシド活性のそれぞれの結果値を以下の表2に示す。
【0244】
【表2】
【0245】
明らかに、本発明による成形品は、PO試験によると非常に良好なプロピレン-エチレンオキシド活性を示し、工業的な連続エポキシ化反応における触媒の有望な候補である。
【0246】
実施例5.2: 連続エポキシ化反応における成形品の触媒特性
参考例10に記載のように、連続エポキシ化反応において、本発明の成形品の特性を先行技術の成形品と比較した。有意なオンストリーム時間(TOS)の後、実施例3及び4による成型品の過酸化水素変換率を、先行技術によるそれぞれの成型品(比較例1)と比較したところ、表3による以下の結果が得られた。
【0247】
【表3】
【0248】
引用文献
- US2016/250624A1
- US6551546B1
- DE19859561A1
- US7825204B2