(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】原子層自己整合基板の処理及び統合型ツールセット
(51)【国際特許分類】
C23C 16/455 20060101AFI20241021BHJP
C23C 16/04 20060101ALI20241021BHJP
C23C 16/44 20060101ALI20241021BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20241021BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20241021BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20241021BHJP
H01L 23/532 20060101ALI20241021BHJP
H01L 21/285 20060101ALI20241021BHJP
【FI】
C23C16/455
C23C16/04
C23C16/44 F
H01L21/205
H01L21/90 A
H01L21/88 M
H01L21/285 C
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022210978
(22)【出願日】2022-12-27
(62)【分割の表示】P 2020564207の分割
【原出願日】2019-05-15
【審査請求日】2023-01-24
(32)【優先日】2018-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】パリーク, スケトゥ アルン
【審査官】安齋 美佐子
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-539265(JP,A)
【文献】特開2011-035366(JP,A)
【文献】特開2017-092454(JP,A)
【文献】特開2010-084192(JP,A)
【文献】特開2014-022653(JP,A)
【文献】特開2012-209394(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/00-16/56
H01L 21/205,21/285,21/302,21/3205,21/768
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜を堆積するための方法であって、
基板を堆積ステーションに移動させることと、
前記堆積ステーションで前記基板の表面に膜を堆積することと、
前記基板をアニールステーションに移動させることと、
前記アニールステーションで前記基板上の前記膜をアニールすることと、
前記基板を処理ステーションに移動させることと、
前記処理ステーションで、アニールされた前記膜をプラズマで処理することと
前記基板をエッチングステーションに移動させることと、
処理されたアニールされた前記膜をエッチングして、前記膜を少なくとも部分的に除去することとを含み、前記基板は、回転可能な中心ベースから延びる支持アーム上で移動され、前記堆積ステーション、前記アニールステーションおよび前記処理ステーションの各々は、前記基板を移動し、前記膜を堆積し、前記膜をアニールし、アニールした前記膜を処理するように構成されたコントローラを有する統合型処理ツールの一部であ
り、前記コントローラは、処理されたアニールされた前記膜をエッチングするようにさらに構成される、方法。
【請求項2】
前記コントローラは、前記膜の堆積、前記膜のアニール、アニールされた前記膜の処理、および処理されアニールされた前記膜のエッチングのサイクルを複数回繰り返して、前記基板の第2の表面に対して前記基板の第1の表面上に膜を選択的に形成するようにさらに構成されている、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記膜
が20Å以下の
1サイクルの厚さに堆積され、前記サイクル
が20回以上繰り返される、請求項
2に記載の方法。
【請求項4】
膜を堆積させるための方法であって、
堆積ステーションに第1の基板表面と第2の基板表面を有する基板を提供することであって、前記第1の基板表面は第2の基板表面と異なる材料を含む、基板を提供することと、
前記堆積ステーションにおいて、前記第1の基板表面および前記第2の基板表面に膜を堆積することであって、前記膜
は20Å以下の厚さを有する堆積することと、
前記基板を前記堆積ステーションからアニールステーションに移動させることと、
前記膜をアニールしてアニール膜を形成することと、
前記基板を処理ステーションに移動させることと、
アニールされた前記膜をプラズマで処理して処理されたアニール膜を形成することであって、前記プラズマは、前記第1の基板表面または前記第2の基板表面の少なくとも一方における前記膜の少なくとも1つの特性を変化させる、膜を形成することと、
前記基板をエッチングステーションに移動させることと、
前記第1の基板表面に対して前記第2の基板表面から前記膜を選択的にエッチングすることと、
前記膜の堆積、前記膜のアニール、前記膜の処理、前記膜の選択的エッチング、および対応する移動を繰り返し、前記第1の基板表面
に1000Å以上の厚さを有する膜を選択的に堆積させることとを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して薄膜を堆積させるための装置に関する。特に、本開示は、自己整合膜を基板上に堆積させるための複数の別個の処理ステーションを有する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現行の原子層堆積(ALD)プロセスは、多くの潜在的な問題及び困難を有する。多くのALD化学物質(例えば、前駆体及び反応体)は「非相溶性」であり、これは、化学物質が一緒に混合され得ないことを意味する。非相溶性の化学物質が混合する場合、ALDプロセスの代わりに化学気相堆積(CVD)プロセスが発生し得る。CVDプロセスは、一般に、ALDプロセスよりも小さい厚さ制御を有する、及び/又は、結果として得られるデバイスに欠陥を引き起こし得る気相粒子の生成をもたらす可能性がある。単一の反応性ガスが一度に処理チャンバに流入する従来の時間領域ALDプロセスの場合、長いパージ/ポンプアウト時間が生じ、その結果化学物質が気相中で混合されない。空間ALDチャンバは、時間領域ALDチャンバがポンピング/パージすることができるよりも速く、一つ又は複数のウエハを一つの環境から第2の環境に移動させることができ、その結果、より高いスループットが得られる。
【0003】
電子デバイスのスケーリング(例えば、<10nm)では、自己整合フィーチャを形成することは極めて困難である。不整合があると短絡が発生し、デバイスの性能が損なわれる。加えて、ケイ素化合物などの自己整合プロセスは、大きな拡散のために横方向の成長をもたらす。横方向の成長も、短絡をもたらす可能性がある。現行の自己整合スキームは、堆積、アニール、除去といった複数のプロセスを使用して、自己整合フィーチャを生成する。
【0004】
したがって、膜の不整合がほとんど又はまったくない自己整合膜を形成する改良された堆積装置及び方法が、当技術分野において必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本開示の一つ又は複数の実施態様は、複数のプロセスステーションを備える処理ツールを対象とする。各プロセスステーションは、隣接するプロセスステーションの処理領域から分離された処理領域を提供する。基板支持体は、処理のためにウエハを支持する支持面を有する。基板支持体は、複数のプロセスステーションのうちの少なくとも二つの間でウエハを移動させるように構成される。コントローラは、基板支持体及び複数のプロセスステーションに接続される。コントローラは、基板支持体を作動させてウエハをステーション間で移動させ、プロセスステーションの各々で発生するプロセスを制御するように構成される。複数のプロセスステーションは、堆積ステーション、アニールステーション、及び処理ステーションを含む。
【0006】
本開示のさらなる実施態様は、膜を堆積させるための方法を対象とする。基板は、基板の表面上に膜を堆積させるために、堆積ステーションに移動される。基板は、基板上の膜をアニールするために、アニールステーションに移動される。基板は、アニールされた膜をプラズマで処理するために、処理ステーションに移動される。堆積ステーション、アニールステーション、及び処理ステーションの各々は、基板を移動させ、膜を堆積させ、膜をアニールし、アニールされた膜を処理するように構成されたコントローラを備える統合型処理ツールの一部である。
【0007】
本開示のさらなる実施態様は、膜を堆積させるための方法を対象とする。第1の基板表面及び第2の基板表面を有する基板が、堆積ステーション内に提供される。第1の基板表面は、第2の基板表面とは異なる材料を含む。堆積ステーション内の第1の基板表面及び第2の基板表面上に膜が堆積される。膜は、約20Å以下の厚さを有する。基板は、膜をアニールしてアニールされた膜を形成するために、堆積ステーションからアニールステーションへ移動される。基板は、アニールされた膜をプラズマで処理して処理済みのアニールされた膜を形成するために、処理ステーションに移動される。プラズマは、第1の基板表面又は第2の基板表面のうちの少なくとも一方の上の膜の少なくとも一つの特性を変化させる。基板は、第1の基板表面に対して第2の基板表面から膜を選択的にエッチングするために、エッチングステーションに移動される。約1000Å以上の厚さを有する膜を第1の基板表面上に選択的に堆積させるために、膜を堆積させ、膜をアニールし、膜を処理し、膜を選択的にエッチングすることが繰り返される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示の上述の特徴を詳細に理解できるように、上記で簡単に要約されている本開示のより詳細な説明が、実施態様を参照することによって得られ、それらの実施態様の一部は添付図面に示されている。しかしながら、添付図面は本開示の典型的な実施態様のみを示すものであり、したがって、本開示の範囲を限定するものと見なすべきではなく、本開示は他の等しく有効な実施態様も許容し得ることに留意されたい。
【0009】
【
図1A-H】Aは、本開示の一つ又は複数の実施態様による処理ツールの概略図である。BからHは、本開示の一つ又は複数の実施態様による堆積プロセスを示す。
【
図1J】本開示の一つ又は複数の実施態様による、
図1BからHに示される堆積プロセスのフロー図である。
【
図2】本開示の一つ又は複数の実施態様による支持アセンブリの底部斜視図である。
【
図3】本開示の一つ又は複数の実施態様による支持アセンブリの上部斜視図である。
【
図4】本開示の一つ又は複数の実施態様による支持アセンブリの上面斜視図である。
【
図5】線IV-IVに沿った
図4の支持アセンブリの概略断面図である。
【
図6】本開示の一つ又は複数の実施態様による処理チャンバの断面斜視図である。
【
図7】本開示の一つ又は複数の実施態様による処理チャンバの断面図である。
【
図8】本開示の一つ又は複数の実施態様による処理プラットフォームの概略図である。
【
図9】AからIは、本開示の一つ又は複数の実施態様による処理チャンバ内のプロセスステーションの概略図である。
【
図10】A及びBは、本開示の一つ又は複数の実施態様によるプロセスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示のいくつかの例示的な実施態様を記載する前に、本開示が以下の記載において規定される構造又はプロセス工程の詳細に限定されないことを理解されたい。本開示は、他の実施態様が可能であり、様々な方法で実施又は実行可能である。
【0011】
ここで使用される「基板」は、製造プロセス中にその上で膜処理が実施される任意の基板又は基板の上に形成される材料表面を指す。例えば、その上で処理を実施することのできる基板表面は、用途に応じて、シリコン、酸化ケイ素、ストレインドシリコン、シリコンオンインシュレータ(SOI)、炭素がドープされた酸化ケイ素、アモルファスシリコン、ドープされたシリコン、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、ガラス、サファイアなどの材料、並びに、金属、金属窒化物、金属合金、及びその他の導電材料などの他の任意の材料を含む。基板には、限定されないが、半導体ウエハが含まれる。基板は、基板表面を研磨し、エッチングし、還元し、酸化し、ヒドロキシル化し、アニールし、及び/又はベークするために、前処理プロセスに曝露されてもよい。基板自体の表面に直接的に膜処理を行うことに加えて、本発明では、開示される膜処理工程のいずれもが、より詳細に後述するように、基板上に形成される下層に実施されてもよく、用語「基板表面」は、文脈に示すように、このような下層を含むことを意図している。したがって、例えば、膜/層又は部分的な膜/層が基板表面上に堆積されている場合、新たに堆積された膜/層の露出表面が基板表面になる。
【0012】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される用語「前駆体」、「反応体」、「反応性ガス」などは、基板表面と、又は基板表面上に形成された膜と反応することのできる任意のガス種を指すために互換可能に使用される。
【0013】
本開示のいくつかの実施態様は、下に位置する基板材料に基づく自己整合フィーチャの製造を可能にする統合型ツールセットを提供する。いくつかの実施態様は、異なるフィーチャ又は表面上の異なる膜(例えば、金属上の金属ケイ素化合物及び誘電体上のSiN)の成長を可能にする。いくつかの実施態様では、統合型ツールは、表面を堆積させ、アニールし、処理し、任意で除去するプロセスを行うための回転プラットフォームを有する又は有さない複数のステーションを備える。このシーケンスを繰り返し、横方向の成長(侵食)を生じさせることなく、フィーチャ内での極めて制御された成長を可能にすることができる。本開示の実施態様は、平面基板、フィーチャ(例えば、ビア、トレンチ、フィン)を有する基板、及びハードマスク/パターニング用途に使用することができる。平面用途は、金属表面上に金属ケイ素化合物膜を形成し、隣接する誘電体表面上に窒化膜を形成することができる。表面フィーチャを使用する用途には、限定されないが、金属上に金属ケイ素化合物が形成され、酸化物上に窒化物が形成される金属/酸化物表面上に、ビアを形成することが含まれる。金属がスペーサ材料上にある例示的なハードマスク/パターニング用途では、金属ケイ素化合物を底面及び上面に形成することができる。
【0014】
図1Aは、自己整合フィーチャを形成するための統合型処理ツール10を示す。処理ツール10は、複数のプロセスステーション11、12、13、14を有し、各ステーションは、隣接するプロセスステーションから分離された処理領域11a、12a、13a、14aを提供する。図示された例示的な実施態様は、四つのステーションを有するが、当業者であれば、四つより多い又は少ないステーションが存在し得ることを認識するであろう。個々のステーションは、ガスカーテン又は物理的バリアによって隣接するステーションから分離することができる。
【0015】
基板支持体15(破線として示されている)は、処理のために基板又はウエハを支持する支持面を有する。基板支持体は、複数のプロセスステーションのうちの少なくとも二つの間でウエハを移動させるように構成される。いくつかの実施態様では、基板支持体は、プロセスステーションのすべての間でウエハを移動させるように構成される。このように使用されるとき、用語「間」は、個々のプロセスステーションの処理領域を含む。
【0016】
コントローラ16は、基板支持体15及び複数のプロセスステーション11、12、13、14に接続することができる。コントローラは、基板支持体15を作動させてウエハをステーション間で移動させ、プロセスステーションの各々で発生するプロセスを制御するように構成することができる。いくつかの実施態様では、複数のプロセスステーション11、12、13、14は、それぞれ、堆積ステーション、アニーリングステーション、処理ステーション、及び任意のエッチングステーションを含む。
【0017】
図1B~1Hは、二つの異なる表面化学を有する平面基板を用いた例示的なプロセスを示す。
図1Jは、
図1Bから1Hに示すプロセス500のフロー図である。510において、基板は、処理のための環境内に提供又は位置決めされる。例えば、基板は、プロセスステーション11内に位置決めすることができ、したがって処理のために提供される。
図1Bに示すように、基板21は、第1の表面22aを有する第1の材料22と、第1の材料22及び第1の表面22aとは異なる第2の表面23aを有する第2の材料23とを有する。プロセスステーション11は、膜を形成することのできる任意の適切な堆積チャンバを含むことができる。いくつかの実施態様では、堆積ステーションは、原子層堆積(ALD)チャンバ、プラズマ強化原子層堆積(PEALD)、化学気相堆積(CVD)チャンバ、又はプラズマ強化化学気相堆積(PECVD)チャンバのうちの一つ又は複数を備える。いくつかの実施態様では、第1の材料22は、金属(例えば、コバルト、銅、チタン)を含む。いくつかの実施態様では、第2の材料23は、誘電体(例えば、酸化物)を含む。
【0018】
いくつかの実施態様では、プロセスステーションは、堆積プロセスの一部分への曝露を含むことができる。いくつかの実施態様では、プロセスステーション11は、基板を第1の反応物に曝露することができ、プロセスステーション12は、基板を第2の反応物に曝露して、第1の反応物と反応させ、膜を堆積させることができる。この点に関して、二つ以上のステーションが、単一の堆積プロセスのために使用されてよい。
【0019】
520では、プロセスステーション11の堆積チャンバ内で、
図1Cに示すように、基板21上に膜24が形成される。膜24は、第1の材料22と第2の材料23の両方の上に実質的に等しい厚さが存在するように共形性に形成することができるか、又は第2の材料23に対して第1の材料22に選択的にすることができる。選択性の程度は、第1の材料22:第2の材料23について約1:1から約50:1の範囲とすることができる。
【0020】
膜24は、任意の適切な厚さに形成することができる。いくつかの実施態様では、膜24は、堆積される材料の概ね一つの単層以下の厚さを有する。いくつかの実施態様において、膜24の厚さは、0.1Åを上回り、最大約10Å、15Å、20Å、25Å、30Å、35Å又は40Åである。いくつかの実施態様では、膜は、シリコン、チタン、銅、コバルト、タングステン、又はアルミニウムのうちの一つ又は複数を含む。
【0021】
膜24の形成後、基板21はプロセスステーション11からプロセスステーション12に移動される。
図1D及び530に示されるように、膜24は、アニールされた膜25を形成するために、プロセスステーション12においてアニールプロセスに曝露することができる。いくつかの実施態様では、アニールステーションは、レーザアニール、熱アニール、又はフラッシュアニールチャンバのうちの一つ又は複数を含む。
【0022】
アニールされた膜25を形成した後、基板21は、プロセスステーション12からプロセスステーション13に移動される。
図1E及び540に示されるように、アニールされた膜25は処理されて、処理された膜26が形成される。処理は、例えば、膜組成物に依存する任意の適切な処理とすることができる。いくつかの実施態様では、処理はプラズマ処理チャンバを含む。プラズマは、アニールされた膜25の少なくとも一つの特性を変化させる。いくつかの実施態様では、処理は、処理された膜26aと処理された膜26bとの間に差があるように、第1の表面22a上のアニールされた膜25の特性を第2の表面23a上のものとは異なるように変化させる。
【0023】
いくつかの実施態様では、
図1Fに示されるように、処理は、アニールされた膜を第2の表面23aから除去する。これらの実施態様では、基板21は、エッチングプロセス(後述)なしで処理されてもよい。この種の実施態様では、基板をプロセスステーション11に戻すことによってプロセスを繰り返すことができる。
【0024】
いくつかの実施態様では、処理ツール10は、プロセスステーション14としてのエッチングステーションを含む。膜の特性が第1の表面22a上と第2の表面23a上とで異なる
図1Eの実施態様のような実施態様では、基板21は、プロセスステーション13からプロセスステーション14に移動させることができる。
図1G及び550に示されるように、いくつかの実施態様では、基板21は、第1の表面22aから処理された膜26aを除去することに対して第2の表面23aから処理された膜26bを選択的に除去することができるエッチングプロセスに曝露される。
図1Gに示されるように、処理された膜26aの厚さは、エッチングプロセスの一部として減少してよく、処理された膜26bは、実質的に完全に除去される(>95重量%)。
【0025】
エッチングステーションは、第1の表面22aから膜26aを除去することに対して第2の表面23aから膜26bを選択的に除去することができる任意の適切なエッチングチャンバとすることができる。いくつかの実施態様では、エッチングステーションは、化学エッチング、反応性イオンエッチング、又は等方性エッチングチャンバのうちの一つ又は複数を含む。
【0026】
560において、所定の厚さの膜26aが形成されたかどうかが決定される。そうでない場合、プロセス500は520に戻り、基板上に膜24を堆積させる。
図1Hに示されるように、所定の厚さが形成された場合、プロセス500は、任意のさらなる処理のために570に続く。
【0027】
いくつかの実施態様では、膜26aの厚さは、インライン又は外部プロセスを通して測定される。いくつかの実施態様では、膜26aの厚さは、その場で測定される。いくつかの実施態様では、膜26aの厚さは、垂直厚さ、限界寸法(CD)、スペーサ幅、及び/又はスペーサ高さのうちの一つ又は複数を測定することによって決定される。いくつかの実施態様では、膜26aの所定の厚さは、多数の繰り返しサイクルを通して形成される。
【0028】
いくつかの実施態様では、
図1Hに示すように、所定の厚さの膜26aを形成するために、堆積、アニール、処理、及び任意のエッチングプロセスを繰り返すことができる。いくつかの実施態様の所定の厚さは、約100Å、200Å、300Å、400Å、500Å、600Å、700Å、800Å、900Å又は1000Å以上である。
【0029】
いくつかの実施態様では、コントローラ16は、中央処理ユニット、メモリ、及びサポート回路を含む。コントローラ16は、直接、又は特定のプロセスチャンバ及び/又はサポートシステム構成要素に関連付けられたコンピュータ(又はコントローラ)を介して、プロセスステーション又は処理チャンバを制御することができる。コントローラ16は、様々なチャンバ及びサブプロセッサを制御するために工業環境で使用することのできる、任意の形態の汎用コンピュータプロセッサのうちの一つとすることができる。コントローラのメモリ又はコンピュータ可読媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、フロッピーディスク、ハードディスク、光記憶媒体(例えば、コンパクトディスク又はデジタルビデオディスク)、フラッシュドライブ、又は任意の他の形態のデジタルストレージ、ローカル又はリモートなどの、容易に利用可能なメモリの一つ又は複数であってよい。サポート回路は、従来の方式でプロセッサを支持するためにCPUに結合される。これらの回路は、キャッシュ、電源、クロック回路、入出力回路、およびサブシステムなどを含む。一つ又は複数のプロセスは、ここに記載される方式で装置又は個々の構成要素の動作を制御するために実行又は呼び出すことのできるソフトウェアルーチンとしてメモリに記憶させることができる。コントローラ16は、流量、ガスバルブ、ガス源、又は様々な構成を実行するための他のプロセスを制御する任意のコマンド又は機能を含むことのできる、一つ又は複数の構成を含むことができる。コントローラの様々な構成は、コントローラが構成を実行することを可能にするために、プロセスステーションの制御と、一つ又は複数のモータ、アクチュエータ、バルブ、流量コントローラ及び/又はヒータを通る基板支持体の移動とを可能にすることができる。
【0030】
いくつかの実施態様では、コントローラ16は、プロセスステーション11、12、13、14及び基板支持体15を含む処理ツール10を動作させる一つ又は複数の構成を有する。いくつかの実施態様では、コントローラは、ウエハを堆積チャンバからアニールチャンバへ、処理チャンバへと順次移動させるための第1の構成、堆積チャンバ内で基板上に層を堆積させるための第2の構成、アニールチャンバ内で基板上の層をアニールするための第3の構成、処理チャンバ内でアニールされた層をプラズマ処理するための第4の構成のうちの一つ又は複数を含む。いくつかの実施態様では、プロセスステーションはエッチングステーションを含み、第1の構成は、ウエハを堆積チャンバからアニールチャンバへ、処理チャンバへ、エッチングチャンバへと順次移動させ、コントローラは、エッチングチャンバ内でウエハにエッチングプロセスを実施するための第5の構成を有する。
【0031】
いくつかの実施態様では、コントローラは、堆積チャンバ内で膜を一定の厚さ(例えば、約15Å以下)に堆積させ、基板をアニールチャンバに移動させて膜をアニールし、基板を処理チャンバに移動させて膜をプラズマに曝露し、基板をエッチングチャンバに移動させて基板のいくつかの部分から膜を選択的にエッチングするように構成される。
【0032】
いくつかの実施態様では、コントローラは、堆積、アニール、処理、及びエッチングプロセスを繰り返して、所定の厚さの膜を構築するように構成される。
【0033】
本開示の一つ又は複数の実施態様は、二つ以上の処理環境間の空間的分離を使用する。いくつかの実施態様は、有利には、非相溶性ガスの分離を維持するための装置及び方法を提供する。いくつかの実施態様は、有利には、最適化可能なプラズマ処理を含む装置及び方法を提供する。いくつかの実施態様は、有利には、区別された熱投入環境、区別されたプラズマ処理環境、及び他の環境を可能にする装置及び方法を提供する。
【0034】
本開示の一つ又は複数の実施態様は、四つの処理環境を有する処理チャンバを対象とする。いくつかの実施態様は四つより多い処理環境を有し、いくつかの実施態様は四つより少ない処理環境を有する。処理環境は、水平面内を移動しているウエハに対して同一平面上に取り付けることができる。プロセス環境は、円形構成に配置される。一つから四つの(又はそれより多くの)個々のウエハヒータが搭載された回転可能な構造は、プロセス環境に類似した直径を有する円形経路内でウエハを移動させる。各ヒータは、温度制御することができ、一つ又は複数の同心円状のゾーンを有することができる。ウエハ装填のために、真空ロボットが、完成したウエハを拾得し、未処理のウエハを各ウエハヒータの上方(下部Z位置)に位置するピン上に置くことができるように、回転可能な構造を下げることができる。動作中、各ウエハは、プロセスが終了するまで独立した環境下にあることができ、次いで、回転可能な構造は、回転して、処理のために、ヒータ上のウエハを次の環境に移動(四つのステーションの場合は90°回転、三つのステーションの場合は120°回転)させることができる。
【0035】
本開示のいくつかの実施態様は、有利には、非相溶性のガスを用いたALDのための空間的分離を提供する。いくつかの実施態様は、従来の時間領域又は空間的プロセスチャンバよりも高いスループット及びツールリソースの利用を可能にする。各プロセス環境は、異なる圧力で動作することができる。ヒータの回転はZ方向の動きを有するため、各ヒータをチャンバ内にシールすることができる。
【0036】
いくつかの実施態様は、有利には、マイクロ波、ICP、平行プレートCCP、又は3電極CCPのうちの一つ又は複数を含むことができるプラズマ環境を提供する。ウエハ全体をプラズマに浸漬し、ウエハ全体で不均一なプラズマからプラズマ損傷を除去することができる。
【0037】
いくつかの実施態様では、シャワーヘッドとウエハとの間の小さな間隙を使用して、ドーズガスの利用を増大させ、サイクル時間速度を上昇させることができる。正確なシャワーヘッド温度制御と高い動作範囲(最大230℃)。理論に束縛されることなく、シャワーヘッド温度がウエハ温度に近いほど、ウエハ温度均一性が向上すると考えられる。
【0038】
シャワーヘッドは、速度を上げるために、小さなガス孔(<200μm)、多数のガス孔(数千から1000万以上)、及び小さな分配容積を使用してシャワーヘッド内部に再帰的に供給されるガス分配を含むことができる。小型で多数のガス孔は、レーザドリル又はドライエッチングによって作ることができる。ウエハがシャワーヘッドに近い場合、垂直な孔を通ってウエハに向かうガスから受ける乱流がある。いくつかの実施態様は、互いに近い間隔で配置された多数の孔を使用して、シャワーヘッドを通るより低速のガスを可能にし、ウエハ表面への均一な分配を達成する。
【0039】
いくつかの実施態様は、単一のツール上で複数のチャンバを使用する統合された処理プラットフォームを対象とする。処理プラットフォームは、異なるプロセスを実施することのできる様々なチャンバを有することができる。
【0040】
本開示のいくつかの実施態様は、ウエハヒータに取り付けられたウエハを一つの環境から別の環境に移動させる装置及び方法を対象とする。ウエハをヒータに静電的にチャッキング(又はクランプ)することによって、高速移動を可能にすることができる。ウエハの移動は、直線運動でも円運動でもよい。
【0041】
本開示のいくつかの実施態様は、一つ又は複数の基板を処理する方法を対象とする。実施例には、限定されないが、一つのヒータ上の一つのウエハを、空間的に分離された複数の異なる連続環境に走らせること;二つのウエハヒータ上の二つのウエハを、三つの環境(二つの同じ環境と二つの類似する環境の間の一つの異なる環境)に走らせることであって、一方のウエハが環境Aを、次いでBを見ることを繰り返し、他方のウエハがBを、次いでAを見ることを繰り返し、残りの一つの環境がアイドル状態(ウエハなし)である、二つのウエハを走らせること;二つのウエハを、両方のウエハが同時に同じ環境を見る(即ち、Aの両方のウエハが次いで共にBに進む)、二つの第1の環境及び二つの第2の環境に走らせることであって、二つのA環境と二つのB環境に四つのウエハを用いること;及び他の二つのウエハがBの環境で処理されている間にAの環境において二つのウエハを処理することが含まれる。いくつかの実施態様では、ウエハは、環境A及び環境Bに繰り返し曝露され、次いで同じチャンバ内に位置する第3の環境に曝露される。
【0042】
いくつかの実施態様では、ウエハは、処理のために複数のチャンバを通過し、そこでチャンバのうちの少なくとも一つが、同じチャンバ内部の複数の空間的に分離された環境を用いて順次処理を行う。
【0043】
いくつかの実施態様は、環境が著しく異なる圧力(例えば、一方が<100mT、他方が>3T)にある、同じチャンバ内部の空間的に分離された処理環境を有する装置を対象とする。いくつかの実施態様では、ヒータ回転ロボットは、各ウエハ/ヒータを空間的に分離された環境にシールするためにz軸方向に移動する。
【0044】
いくつかの実施態様は、チャンバリッドの中心に上方に向かう力を加えて上側の大気の圧力及び反対側の真空によって生じるたわみを排除する垂直構造部材を備える、チャンバの上方に構築された構造を含む。上記構造物の力の大きさは、トッププレートのたわみに基づいて機械的に調整することができる。力の調整は、フィードバック回路及び力変換器を使用して自動的に、又は、例えばオペレータが回すことのできるねじを使用して手動で、行うことができる。
【0045】
図2から6は、本開示の一つ又は複数の実施態様による支持アセンブリ100を示している。支持アセンブリ100は、回転可能な中心基部110を含む。回転可能な中心基部110は、対称又は非対称の形状を有することができ、回転軸線111を規定する。回転軸111は、
図5に示す第1の方向に延びる。第1の方向は、垂直方向と呼んでもよいが、このような「垂直」という用語の使用は、重力に垂直な方向に限定されないことを理解されたい。
【0046】
支持アセンブリ100は、中心基部110に接続されてそこから延びる少なくとも二つの支持アーム120を含む。支持アーム120は、内側端部121及び外側端部122を有する。内側端部121は、中心基部110が回転軸線111の周りで回転すると、支持アーム120も同様に回転するように中心基部110に接触している。支持アーム120は、ファスナー(例えば、ボルト)によって、又は中心基部110と一体形成されることによって、内側端部121で中心基部110に接続することができる。
【0047】
いくつかの実施態様では、支持アーム120は、内側端部121又は外側端部122の一方が、同じ支持アーム120上の内側端部121及び外側端部122の他方よりも回転軸111から遠くなるように、回転軸111で直交して延びる。いくつかの実施態様では、支持アーム120の内側端部121は、同じ支持アーム120の外側端部122よりも回転軸111に近い。
【0048】
支持アセンブリ100内の支持アーム120の数は変更することができる。いくつかの実施態様では、少なくとも二つの支持アーム120がある。いくつかの実施態様では、三つの支持アーム120がある。いくつかの実施態様では、四つの支持アーム120がある。いくつかの実施態様では、五つの支持アーム120がある。いくつかの実施態様では、六つの支持アーム120がある。
【0049】
支持アーム120は、中心基部110の周りに対称に配置することができる。例えば、四つの支持アーム120を有する支持アセンブリ100において、支持アーム120の各々は、中心基部110の周りに90°の間隔で位置決めされる。三つの支持アーム120を有する支持アセンブリ100では、支持アーム120は、中心基部110の周りに120°の間隔で配置される。
【0050】
ヒータ130は、支持アーム120の外側端部122に位置決めされる。いくつかの実施態様では、各支持アーム120はヒータ130を有する。ヒータ130の中心は、中心基部110の回転時にヒータ130が円形経路内を移動するように、回転軸111から一定の距離に位置する。
【0051】
ヒータ130は、ウエハを支持することのできる支持面131を有する。いくつかの実施態様では、ヒータ130支持面131は、実質的に同一平面上にある。このように使用される場合、「実質的に同一平面上」という用語は、個々の支持面131によって形成される平面が、他の支持面131によって形成される平面の±5°、±4°、±3°、±2°又は±1°以内であることを意味する。
【0052】
いくつかの実施態様では、ヒータ130は、支持アーム120の外側端部122上に直接位置決めされる。いくつかの実施態様では、図面に例示されるように、ヒータ130は、ヒータスタンドオフ134によって支持アーム120の外側端部122の上方に上昇させられる。ヒータスタンドオフ134は、ヒータ130の高さを増加させるために、任意のサイズ及び長さとすることができる。
【0053】
いくつかの実施態様では、中心基部110、支持アーム120及び/又はヒータスタンドオフ134のうちの一つ又は複数にチャネル136が形成される。チャネル136は、電気的接続をルーティングするため、又はガス流を提供するために使用することができる。
【0054】
ヒータは、当業者に既知の任意の適切なタイプのヒータとすることができる。いくつかの実施態様では、ヒータは、ヒータ本体内部に一つ又は複数の加熱要素を備えた抵抗加熱器である。
【0055】
いくつかの実施態様のヒータ130は、追加の構成要素を含む。例えば、ヒータは、静電チャックを含むことができる。静電チャックは、ヒータが移動する間にヒータ支持面131上に位置決めされたウエハを所定の位置に保持することができるように、種々のワイヤ及び電極を含むことができる。これにより、ウエハが、プロセスの開始時にヒータ上にチャックされ、異なるプロセス領域に移動しながら、同じヒータ上のその同じ位置に留まることが可能になる。
【0056】
ヒータ130及び支持面131は、背面ガスの流れを提供する一つ又は複数のガス出口を含むことができる。これは、支持面131からのウエハの除去を助けることができる。
図2及び3に示されるように、支持面131は、複数の開口137及びガスチャネル138を含む。開口137及び/又はガスチャネル138は、真空源又はガス源(例えば、パージガス)のうちの一つ又は複数と流体連通することができる。
【0057】
支持アセンブリ100のいくつかの実施態様は、シーリングプラットフォーム140を含む。シーリングプラットフォームは、上面141、底面、及び厚さを有する。シーリングプラットフォーム140は、シール又はバリアを提供して支持アセンブリ100の下の領域へと流れるガスを最小限に抑えることを助けるために、ヒータ130の周囲に位置決めすることができる。いくつかの実施態様では、
図3に示されるように、シーリングプラットフォーム140は、リング状であり、各ヒータ130の周囲に位置決めされる。図示の実施態様では、シーリングプラットフォーム140は、シーリングプラットフォーム140の上面141がヒータの支持面131の下になるように、ヒータ130の下に位置している。いくつかの実施態様では、
図4及び5に示されるように、シーリングプラットフォーム140は、ヒータ130の支持面131へのアクセスを可能にするためにヒータ130のすべてを複数の開口142で取り囲む単一の構成要素である。開口142は、ヒータがシーリングプラットフォーム140を通過することを可能にすることができる。いくつかの実施態様では、シーリングプラットフォーム140は、シーリングプラットフォーム140が垂直方向に移動し、ヒータ130とともに回転するように、固定される。いくつかの実施態様では、シーリングプラットフォーム140は、
図5に示されるように、ヒータ130の支持面131によって形成される主平面と実質的に平行な主平面を形成する上面141を有する。いくつかの実施態様では、シーリングプラットフォーム140は、
図4に示されるように、ウエハ表面がシーリングプラットフォーム140の上面141と同一平面上にあるように、処理されるウエハの厚さに実質的に等しい量だけ支持面131の主平面上方の距離である主平面を形成する上面141を有する。
【0058】
いくつかの実施態様では、
図4及び
図5に示されるように、シーリングプラットフォーム140は、支持ポスト127によって支持される。支持ポスト127は、単一の構成要素のプラットフォームが使用されるとき、シーリングプラットフォーム140の中心のダレを防止する有用性を有することができる。
【0059】
いくつかの実施態様では、
図7に示されるように、支持アセンブリ100は、少なくとも一つのモータ150を含む。少なくとも一つのモータ150は、中心基部110に接続されており、回転軸111の周りで支持アセンブリ100を回転させるように構成されている。いくつかの実施態様では、少なくとも一つのモータは、中心基部110を回転軸線111に沿う方向に移動させるように構成される。例えば、
図7では、モータ155はモータ150に接続されており、支持アセンブリ100をZ軸又は垂直方向に移動させることができる。
【0060】
図6及び7に示すように、本開示の一つ又は複数の実施態様は、支持アセンブリ100を組み込んだ処理チャンバ200を対象としている。処理チャンバ200は、壁204と、底部206と、内部容積209を画定する上部208とを有するハウジング202を有する。
図6に示す実施態様は、上部208を示していない。
【0061】
処理チャンバ200は、複数のプロセスステーション210を含む。プロセスステーション210は、ハウジング202の内部容積209内に位置し、回転軸111の周りで円形構成に配置される。各プロセスステーション210は、前面214を有するガスインジェクタ212を含む。いくつかの実施態様では、ガスインジェクタ212の各々の前面214は、実質的に同一平面上にある。
【0062】
プロセスステーション210は、任意の適切なプロセスを実行し、任意の適切なプロセス条件を提供するように構成することができる。使用されるガスインジェクタ212のタイプは、例えば、実施されるプロセスのタイプ及びプロセスチャンバのタイプに依存するであろう。例えば、原子層堆積装置として動作するように構成されたプロセスステーション210は、シャワーヘッド又は渦型インジェクタを有する。一方、プラズマステーションとして動作するように構成されたプロセスステーション210は、プラズマを生成するとともに、プラズマガスがウエハに向かって流れることを可能にする、一つ又は複数の電極及び接地されたプレート構成を有し得る。
図7に例示される実施態様は、図面の左側に、図面の右側とは異なるタイプのプロセスステーション210を有する。適切なプロセスステーション210には、限定されないが、熱プロセスステーション、マイクロ波プラズマ、3電極CCP、ICP、平行プレートCCP、UV露光、レーザ加工、ポンピングチャンバ、アニーリングステーション及び計測ステーションが含まれる。
【0063】
図7に示されるように、一つ又は複数の真空流及びパージガス流を使用して、一つのプロセスステーション210を隣接するプロセスステーション210から分離することを助けることができる。パージガスプレナム260は、プロセスステーション210の外側境界でパージガスポート261と流体連通している。真空プレナム265は、真空ポート266と流体連通している。パージガスポート261及び真空ポート266は、プロセスステーション210の周囲に延びて、ガスカーテンを形成することができる。ガスカーテンは、プロセスガスの内部容積209への漏出を最小化又は排除することを助けることができる。
【0064】
プロセスステーション210の数は、ヒータ130及び支持アーム120の数により変化させることができる。いくつかの実施態様では、等しい数のヒータ130、支持アーム120及びプロセスステーション210が存在する。いくつかの実施態様では、ヒータ130、支持アーム120、及びプロセスステーション210は、ヒータ130の支持面131の各々が、同時に異なるプロセスステーション210の前面214に隣接して位置することができるように構成される。別の言い方をすれば、各ヒータは、同時にプロセスステーションの前に位置決めされる。
【0065】
図8は、本開示の一つ又は複数の実施態様による処理プラットフォーム300を示す。
図8に示される実施態様は、一つの可能な構成を表しているにすぎず、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきでない。例えば、いくつかの実施態様では、処理プラットフォーム300は、異なる数の処理チャンバ200、バッファステーション320、及びロボット330構成を有する。
【0066】
例示的な処理プラットフォーム300は、複数の側面311、312、313、314を有する中央移送ステーション310を含む。図示される移送ステーション310は、第1の側面311、第2の側面312、第3の側面313、及び第4の側面314を有する。四つの側面が示されているが、当業者であれば、例えば処理プラットフォーム300の全体的な構成に応じて、移送ステーション310に対して任意の適切な数の側面が存在し得ることを理解するであろう。
【0067】
移送ステーション310は、その中に位置決めされたロボット330を有する。ロボット330は、加工中にウエハを移動させることのできる任意の適切なロボットであり得る。いくつかの実施態様では、ロボット330は、第1のアーム331及び第2のアーム332を有する。第1のアーム331及び第2のアーム332は、他方のアームから独立して動かすことができる。第1のアーム331及び第2のアーム332は、x-y平面及び/又はz軸に沿って動かすことができる。いくつかの実施態様では、ロボット330は、第3のアーム又は第4のアーム(図示しない)を含む。アームの各々は、他のアームから独立して動かすことができる。
【0068】
図示の実施態様は、中央移送ステーション310の第2の側面312、第3の側面313、及び第4の側面314にそれぞれ二つずつ接続された6つの処理チャンバ200を含む。処理チャンバ200の各々は、異なるプロセスを実行するように構成することができる。
【0069】
処理プラットフォーム300は、中央移送ステーション310の第1の側面311に接続された一つ又は複数のバッファステーション320も含むことができる。バッファステーション320は、同じ又は異なる機能を実行することができる。例えば、バッファステーションは、処理されて元のカセットに戻されるウエハのカセットを保持することができるか、又はバッファステーションの一つは、処理後に他のバッファステーションに移動される未処理のウエハを保持することができる。いくつかの実施態様では、バッファステーションのうちの一つ又は複数は、処理の前及び/又は後にウエハを前処理、予備加熱又は洗浄するように構成される。
【0070】
処理プラットフォーム300はまた、中央移送ステーション310と処理チャンバ200のいずれかとの間に一つ又は複数のスリットバルブ318を含んでもよい。スリットバルブ318は、中央移送ステーション310内部の環境から処理チャンバ200内部の環境を分離するために開閉することができる。例えば、処理チャンバが処理中にプラズマを生成する場合、浮遊プラズマが移送ステーション内のロボットに損傷を与えることを防止するために、その処理チャンバのスリットバルブを閉じることが役立つ。
【0071】
処理プラットフォーム300は、ウエハ又はウエハのカセットが処理プラットフォーム300に装填されることを可能にするために、ファクトリインターフェース350に接続することができる。ファクトリインターフェース350内部のロボット355を使用して、ウエハ又はカセットをバッファステーションに出し入れすることができる。ウエハ又はカセットは、中央移送ステーション310内のロボット330によって処理プラットフォーム300内部で移動させることができる。いくつかの実施態様では、ファクトリインターフェース350は、別のクラスタツール(即ち、別のマルチチャンバ処理プラットフォーム)の移送ステーションである。
【0072】
コントローラ395は、処理プラットフォーム300の様々な構成要素に提供及び結合されて、その動作を制御することができる。コントローラ395は、処理プラットフォーム300全体を制御する単一のコントローラ、又は処理プラットフォーム300の個々の部分を制御する複数のコントローラとすることができる。例えば、処理プラットフォーム300は、個々の処理チャンバ200、中央移送ステーション310、ファクトリインターフェース350、及びロボット330の各々のための別個のコントローラを含むことができる。いくつかの実施態様では、コントローラ395は、中央処理装置(CPU)396、メモリ397、及びサポート回路398を含む。コントローラ395は、処理プラットフォーム300を直接、又は特定のプロセスチャンバ及び/又はサポートシステム構成要素に関連付けられるコンピュータ(又はコントローラ)を介して、制御することができる。コントローラ395は、様々なチャンバ及びサブプロセッサを制御するための工業環境で使用することのできる任意の形態の汎用コンピュータプロセッサのうちの一つとすることができる。コントローラ395のメモリ397又はコンピュータ可読媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、フロッピーディスク、ハードディスク、光記憶媒体(例えば、コンパクトディスク又はデジタルビデオディスク)、フラッシュドライブ、又は任意の他の形態のデジタルストレージ、ローカル又はリモートなどの、容易に利用可能なメモリの一つ又は複数であってよい。サポート回路398は、従来の方式でプロセッサをサポートするためにCPU396に接続される。これらの回路は、キャッシュ、電力供給装置、クロック回路、入出力回路、及びサブシステムなどを含む。一つ又は複数のプロセスは、ここに記載される方式で処理プラットフォーム300又は個々の処理チャンバの動作を制御するために実行又は呼び出すことのできるソフトウェアルーチンとしてメモリ398に記憶させることができる。ソフトウェアルーチンはまた、CPU 396によって制御されるハードウェアから遠隔して位置する第2のCPU(図示しない)によって記憶及び/又は実行されてもよい。
【0073】
図9AからIは、異なるプロセスステーション210を有する処理チャンバ200の様々な構成を示す。文字付きの円は、異なるプロセスステーション210及びプロセス条件を表す。例えば、
図9Aでは、各々が異なる文字を有する四つのプロセスステーション210がある。これは、各々が他のステーションとは異なる条件を有する四つのプロセスステーション210を表す。矢印で示すように、プロセスは、ウエハを有するヒータをステーションAからDへ移動させることによって発生し得る。Dに曝露した後、サイクルを継続するか、又は逆にすることができる。
【0074】
図9Bでは、ウエハをヒータ上でA位置とB位置との間で往復させて、四つのウエハを同時に処理することができる。二つのウエハはA位置で、二つのウエハはB位置で、開始するであろう。独立したプロセスステーション210は、各ウエハがAへの曝露から開始されるように、最初のサイクルの間、ステーションのうちの二つをオフにすることを可能にする。
【0075】
図9Bに例示される実施態様は、四つのプロセスステーション210での二つのウエハの処理においても有用である。これは、プロセスの一つが極めて異なる圧力下にあるか、又はAとBのプロセス時間が非常に異なる場合に、特に有用であり得る。
【0076】
図9Cでは、三つのウエハを、単一の処理チャンバ200内においてABCプロセスで処理することができる。一つのステーションは、オフにすることができるか、又は異なる機能(例えば、予熱)を実施することができる。
【0077】
図9Dでは、二つのウエハをAB処理プロセスで処理することができる。例えば、ウエハは、Bのヒータ上にのみ配置することができる。時計回りに1/4回転させると、一のウエハがAステーションに、二つ目のウエハがTステーションに配置される。戻る方向に回転させると、両方のウエハがBステーションに移動し、さらに4分の1回転反時計回りに回転させると、2番目のウエハがAステーションに、1番目のウエハがBステーションに配置される。
【0078】
図9Eでは、最大四つのウエハを同時に処理することができる。例えば、AステーションがCVD又はALDプロセスを実施するように構成されている場合、四つのウエハを同時に処理することができる。
【0079】
図9のFからIは、三つのプロセスステーション210を有する処理チャンバ200の同様のタイプの構成を示す。簡単に言えば、
図9Fでは、単一ウエハ(又は二つ以上のウエハ)をABCプロセスに供することができる。
図9Gでは、一方をA位置に配置し、他方をB位置のうちの一つに配置することによって、二つのウエハをABプロセスに供することができる。次いで、B位置で開始するウエハがまずA位置に移動し、次いで同じB位置に戻るように、ウエハを往復させることができる。
図9Hでは、ウエハをAB処理プロセスに供することができる。
図9Iでは、三つのウエハを同時に処理することができる。
【0080】
図10のA及びBは、本開示の別の実施態様を示す。
図10Aにおいて、支持アーム120上のヒータ130は、ウエハ101がガスインジェクタ212に隣接するように、プロセスステーション210の下の位置まで回転されている。支持アーム120上又はヒータ130の外側部分上のOリング129は、弛緩状態にある。支持アーム120及びヒータ130は、ヒータ130の支持面131が移動して、
図10Bに示すように、プロセスステーション210の前面214と接触するか又はほぼ接触するように、プロセスステーション210に向かって移動される。この位置において、Oリング129は圧縮されて、支持アーム120の外縁又はヒータ130の外側部分の周りにシールを形成する。これにより、反応領域219を迅速にパージすることができるように、反応領域219の容積を最小化するために、ウエハ101をインジェクタ212のできるだけ近くに移動させることができる。
【0081】
反応領域219から流出し得るガスは、真空ポート266を通って真空プレナム265内に、そして排気又はフォアラインに排気される。真空ポート266の外側のパージガスカーテンは、パージガスプレナム260及びパージガスポート261によって生成することができる。加えて、パージガスを、ヒータ130と支持アーム120との間の間隙237を通して流して反応領域219をさらにカーテンで遮り、反応性ガスが処理チャンバ200の内部容積209に流入することを防ぐことができる。
【0082】
本明細書全体を通して、「一実施態様」、「特定の実施態様」、「一つ又は複数の実施態様」又は「実施態様」への言及は、実施態様に関連して説明された特定の特徴、構造、材料、又は特性が、本開示の少なくとも一つの実施態様に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な箇所での「一つ又は複数の実施態様において」、「特定の実施態様において」、「一実施態様において」、又は「実施態様において」といった表現の出現は、必ずしも本開示の同じ実施態様を指すものではない。さらに、特定の特徴、構造、材料、又は特性は、一つ又は複数の実施態様において任意の適切な方式で組み合わせることができる。
【0083】
ここでの開示は特定の実施態様を参照して説明されているが、これらの実施態様は、本開示の原理及び用途の例示にすぎないことを理解されたい。本開示の本質及び範囲から逸脱することなく、本開示の方法及び装置に様々な改変例及び変形例が可能であることが、当業者には自明であろう。したがって、本開示は、特許請求の範囲及びその均等物の範囲内にある修正例及び変形例を含むことが意図される。