(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】基板のSPM加工
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20241021BHJP
【FI】
H01L21/304 642A
H01L21/304 648A
H01L21/304 642E
H01L21/304 622Q
(21)【出願番号】P 2022544273
(86)(22)【出願日】2021-06-29
(86)【国際出願番号】 US2021039692
(87)【国際公開番号】W WO2022006161
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2022-08-31
(32)【優先日】2020-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン, ブライアン ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】ミハイリチェンコ, エカテリーナ エー.
(72)【発明者】
【氏名】カークパトリック, ブライアン ケー.
【審査官】安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-518704(JP,A)
【文献】特開平02-125429(JP,A)
【文献】特開平09-045657(JP,A)
【文献】特開2015-185632(JP,A)
【文献】特開平05-047729(JP,A)
【文献】特開昭59-123581(JP,A)
【文献】特開平07-176507(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0020096(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304-21/308
H01L 21/02 -21/033
H01L 21/67 -21/687
B08B 3/00 - 3/14
B08B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基板から微粒子を除去する基板洗浄システムであって、
基板を洗浄するためのSPM(sulfuric peroxide mix)液を保持する第1の容器を含むSPMクリーナであって、前記第1の容器は、前記SPM液からの煙霧を格納する上部と、前記第1の容器の上部にある少なくとも2つの開閉可能なアクセスポートと、前記基板が前記SPM液に浸漬された状態で前記第1容器内で前記基板のそれぞれのエッジにおいて前記基板を保持する複数の支持体と、前記第1の容器内に配置された前記基板を輸送するための前記第1の容器内のコンベヤと、を更に含む、SPMクリーナと、
基板にリンス液を適用するための第2の容器を含むリンスモジュールであって、前記第2の容器は、前記第2の容器内で前記基板のそれぞれのエッジにおいて前記基板を保持する複数の支持体を含む、リンスモジュールと、
基板を前記第1の容器の上部にある前記少なくとも2つの開閉可能なアクセスポートを通して輸送し、この際、基板を、前記少なくとも2つの開閉可能なアクセスポートのうち第1の開閉可能なアクセスポートを通して前記第1の容器に送達し、前記少なくとも2つの開閉可能なアクセスポートのうち第2の開閉可能なアクセスポートを通して前記第1の容器から取り出し、また、基板を前記第2の容器の上部を通して輸送するためのロボットシステムと、
を備え、
前記少なくとも2つの開閉可能なアクセスポートはそれぞれ、前記第1の容器から漏れる煙霧の量を減らすバルブを備える、
システム。
【請求項2】
前記第2の容器は、上部と、前記第2の容器の上部にある少なくとも2つの開閉可能なアクセスポートとを有する、又は前記第2の容器は、開いた上部を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の容器のアクセスポートよりも、前記第1の容器の支持体の数の方が多い、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも2つの開閉可能なアクセスポートは入口ポートと出口ポートとから構成され、前記支持体は一連の位置に配置され、前記入口ポートは前記一連の最初の位置の上に位置し、前記出口ポートは前記一連の最後の位置の上に位置する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の容器のコンベヤは、前記支持体から少なくとも1つの基板を保持して前記少なくとも1つの基板を支持体間でシフトさせるための少なくとも1つのグリッパを有するウォーキングビームを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記コンベヤは、前記複数の支持体が所定間隔ごとに固定されるベルトと、前記ベルトを駆動する駆動ローラとを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
同数のアクセスポート及び支持体があり、各アクセスポートは対応する支持体の上方に位置決めされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記支持体は、前記第1の容器の固定された横方向位置に支持される、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
装置は、前記第1の容器の上部にある前記少なくとも2つの開閉可能なアクセスポート、及び前記第2の容器の上部にある少なくとも2つの開閉可能なアクセスポートのうちの第2のアクセスポートを通して基板を輸送するためのロボットアームを更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記第2の容器の上部にあ
る少なくとも2つの開閉可能なアクセスポートのうちの第1のアクセスポートを通して前記基板を輸送するための第1のロボットアームと、前記第2の容器の上部にある
前記少なくとも2つの開閉可能なアクセスポートのうちの第2のアクセスポートを通して基板を輸送するための第2のロボットアームとを更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1の容器は、前記SPM液を保持するタンクを含み、前記ロボットシステムは、前記基板を前記SPM液内に下降させるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記第2の容器は、前記リンス液を保持するタンクを含み、前記ロボットシステムは、前記基板を前記リンス液内に下降させるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1の容器の前記少なくとも2つの開閉可能なアクセスポートは、2から20個の開閉可能なアクセスポートを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
研磨後の基板を処理するための洗浄システムであって、
SPM(sulfuric peroxide mix)モジュールであって、
SPM液を保持する第1の容器と、前記第1の容器の液中に5から20枚の基板を保持する5から20個の第1の支持体と、前記第1の容器内に配置された前記基板を輸送するための前記第1の容器内のコンベヤと、を有するSPMクリーナと、
リンス液を保持する第2の容器と、前記第2の容器の液中に5から20枚の基板を保持する5から20個の第2の支持体とを有するリンスステーションと
を含む、SPMモジュールと、
メガソニッククリーナ、回転ブラシクリーナ、バフパッドクリーナ、ジェットスプレークリーナ、ケミカルスピンクリーナ、スピンドライヤ、及びマランゴニドライヤから構成される群から選択された少なくとも2つの洗浄要素であって、各々が一度に一つの基板を処理するように構成された、少なくとも2つの洗浄要素と、
基板を前記第1の容器の上部にある少なくとも2つのポートのうちの第1のポートを通して前記第1の容器の支持体上へ輸送し、前記基板を前記第1の容器の上部にある前記少なくとも2つのポートのうちの第1又は第2のポートを通して前記第1の容器から取り出し、前記基板を前記第2の容器の上部を通して前記第2の容器の支持体上へ輸送し、前記基板を前記第2の容器から取り出し、前記基板を前記少なくとも2つの洗浄要素のうちの第1の洗浄要素へ輸送し、前記基板を前記少なくとも2つの洗浄要素のうちの第2の洗浄要素へ輸送するように構成された複数のロボットと、
を備え、
前記第1の容器の上部は、前記SPM液からの煙霧を格納し、
前記少なくとも2つのポートはそれぞれ、前記第1の容器から漏れる煙霧の量を減らすバルブを備える、
システム。
【請求項15】
基板投入ステーションと、前記複数のロボットに、前記基板を前記
基板投入ステーションから前記SPMモジュールへ、前記SPMモジュールから前記少なくとも2つの洗浄要素のうちの前記第1の洗浄要素へ、及び前記少なくとも2つの洗浄要素のうちの前記第1の洗浄要素から前記少なくとも2つの洗浄要素のうちの前記第2の洗浄要素へ輸送させるように構成されたコントローラとを備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
基板投入ステーションと、前記複数のロボットに、前記基板を前記
基板投入ステーションから前記少なくとも2つの洗浄要素のうちの前記第1の洗浄要素へ輸送させ、前記基板を前記少なくとも2つの洗浄要素のうちの前記第1の洗浄要素から前記SPMモジュールへ、及び前記SPMモジュールから前記少なくとも2つの洗浄要素のうちの前記第2の洗浄要素へ輸送させるように構成されたコントローラとを備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記複数のロボットは、第1の軸に沿って移動可能なアームを有する第1のロボットを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
前記SPMモジュール、前記少なくとも2つの洗浄要素のうちの前記第1の洗浄要素、及び前記少なくとも2つの洗浄要素のうちの前記第2の洗浄要素は、前記第1の軸に沿って上述の順序で配置される、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記少なくとも2つの洗浄要素のうちの前記第1の洗浄要素、前記SPMモジュール、及び前記少なくとも2つの洗浄要素のうちの前記第2の洗浄要素は、前記第1の軸に沿って上述の順序で配置される、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記SPMクリーナ及び前記リンスステーションは、前記第1の軸に垂直な第2の軸に沿って並んで配置される、請求項17に記載のシステム。
【請求項21】
前記複数のロボットは、前記基板を前記SPMクリーナから前記リンスステーションへ輸送する第2のロボットを含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記複数のロボットは、前記基板を投入ステーションから前記SPMモジュールへ輸送する第3のロボットを含む、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
請求項1に記載の基板洗浄システムを用いて、複数の基板から微粒子を除去するための方法であって、
SPM(sulfuric peroxide mix)液を保持する第1の容器の上部にある複数の開閉可能なアクセスポートのうちの第1のアクセスポートを開くことと、
第1の基板を前記第1のアクセスポートを通して挿入し、前記第1の基板を前記
SPM液
内の複数の支持体のうちの1つの支持体上に送達することと、
前記第1のアクセスポートを閉じることと、
前記第1の容器の上部にある前記複数の開閉可能なアクセスポートのうちの第2のアクセスポートを開くことと、
第2の基板を前記第2のアクセスポートを通して挿入し、前記基板を前記
SPM液内の前記複数の支持体のうちの第2の支持体上に送達することと、
前記第2のアクセスポートを閉じることと、
前記第1の容器の上部にある前記第1のアクセスポートを開くことと、
前記第1の基板を前記第1のアクセスポートを通して取り出し、前記第1の基板をリンスステーション内に送達することと、
前記第1のアクセスポートを閉じることと、
前記第1の容器の上部にある前記第2のアクセスポートを開くことと、
前記第2の基板を前記第2のアクセスポートを通して取り出し、前記第2の基板をリンスステーション内に送達することと、
前記第2のアクセスポートを閉じることと
を含む方法。
【請求項24】
請求項1に記載の基板洗浄システムを用いて、複数の基板から微粒子を除去するための方法であって、
SPM(sulfuric peroxide mix)液を保持する第1の容器の上部にある複数の開閉可能なアクセスポートのうちの第1のアクセスポートを開くことと、
第1の基板を前記第1のアクセスポートを通して挿入し、前記第1の基板を前記
SPM液内の第1の位置上に送達することと、
前記第1のアクセスポートを閉じることと、
前記第1の基板を前記
SPM液内の前記第1の位置から第2の位置へ移送することと、
前記第1の容器の上部にある前記複数の開閉可能なアクセスポートのうちの第2のアクセスポートを開くことと、
前記第1の基板を前記第2のアクセスポートを通して取り出し、前記第1の基板をリンスステーション内に送達することと、
前記第2のアクセスポートを閉じることと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板の研磨後のインライン洗浄に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路は、通常、シリコンウエハに導電層、半導電層、絶縁層を順次堆積させ、その後の層の処理によって基板(例えば、半導体ウエハ)に形成される。
【0003】
ある製造ステップでは、充填層を非平面上に堆積させ、非平面が露出するまで充填層を平坦化する。例えば、導電性充填層をパターニングされた絶縁層に堆積させて、絶縁層のトレンチや孔を埋めることができる。その後、絶縁層の隆起したパターンが露出するまで充填層を研磨する。
【0004】
化学機械研磨(CMP)は、平坦化方法の一つとして認められている。この平坦化方法では、通常、基板をキャリアヘッドに取り付ける必要がある。基板の露出面は、回転する研磨パッドに当てられる。キャリアヘッドは、基板を研磨パッドに押し付けるために、制御可能な荷重を基板に与える。研磨パッドの表面には、研磨粒子を有するスラリ等の研磨液が供給される。例えば、CMPにおける銅充填層の研磨では、酸化セリウムを研磨粒子として使用し得る。
【0005】
研磨粒子のスラリは、酸化セリウム微粒子と有機添加物を含んでいてよく、研磨プロセスからの他の炭素系残留物を含み得る。これらの微粒子を除去するために、基板を、過酷な酸化溶媒の使用を含み得る洗浄プロセスにかけることができる。例えば、硫酸と過酸化水素の混合物(SPM)を使用して、研磨後の基板の表面から酸化セリウム微粒子を除去することができる。SPM洗浄は、各基板を別々の容器の槽に入れる並行分離モードで実行され得る。
【発明の概要】
【0006】
一態様では、複数の基板から微粒子を除去する基板洗浄システムは、基板に洗浄液を適用するための第1の容器と、基板にリンス液を適用するための第2の容器と、ロボットシステムとを含む。第1の容器は、第1の容器の上部にある少なくとも2つの開閉可能なアクセスポートと、第1の容器内でそれぞれのエッジにおいて基板を保持する複数の支持体とを含む。第2の容器は、第2の容器内でそれぞれのエッジにおいて基板を保持する複数の支持体を有する。ロボットシステムは、基板を第1の容器の上部にある少なくとも2つの開閉可能なアクセスポートを通して輸送し、基板を第2の容器の上部を通して輸送する。
【0007】
別の態様では、研磨後の基板を処理するための洗浄システムは、少なくとも2つの洗浄要素と、複数のロボットとを含むSPM(sulfuric peroxide mix)モジュールを含む。SPMモジュールは、SPM液を保持する第1の容器と、第1の容器の液中に5から20枚の基板を保持する5から20個の第1の支持体とを有するSPMクリーナと、リンス液を保持する第2の容器と、第2の容器の液中に5から20枚の基板を保持する5から20個の第2の支持体とを有するリンスステーションとを含む。少なくとも2つの洗浄要素は、メガソニッククリーナ、回転ブラシクリーナ、バフパッドクリーナ、ジェットスプレークリーナ、ケミカルスピンクリーナ、スピンドライヤ、及びマランゴニドライヤから構成される群から選択され、少なくとも2つの洗浄要素の各々は、一度に一つの基板を処理するように構成される。複数のロボットは、基板を第1の容器の上部にある少なくとも2つのポートのうちの第1のポートを通して第1の容器の支持体上へ輸送し、基板を第1の容器の上部にある少なくとも2つのポートのうちの第1又は第2のポートを通して第1の容器から取り出し、基板を第2の容器の上部を通して第2の容器の支持体上へ輸送し、基板を第2の容器から取り出し、基板を少なくとも2つの洗浄要素のうちの第1の洗浄要素へ輸送し、基板を少なくとも2つの洗浄要素のうちの第2の洗浄要素へ輸送するように構成される。
【0008】
別の態様では、複数の基板から微粒子を除去するための方法は、洗浄液槽を保持する第1の容器の上部にある複数の開閉可能なアクセスポートのうちの第1のアクセスポートを開くことと、第1の基板を第1のアクセスポートを通して挿入し、第1の基板を洗浄液槽の複数の支持体のうちの1つの支持体上に送達することと、第1のアクセスポートを閉じることと、第1の容器の上部にある複数の開閉可能なアクセスポートのうちの第2のアクセスポートを開くことと、第2の基板を第2のアクセスポートを通して挿入し、基板を洗浄液槽の複数の支持体のうちの第2の支持体上に送達することと、第2のアクセスポートを閉じることと、第1の容器の上部にある第1のアクセスポートを開くことと、第1の基板を第1のアクセスポートを通して取り出し、第1の基板をリンスステーション内に送達することと、第1のアクセスポートを閉じることと、第1の容器の上部にある第2のアクセスポートを開くことと、第2の基板を第2のアクセスポートを通して取り出し、第2の基板をリンスステーション内に送達することと、第2のアクセスポートを閉じることとを含む。
【0009】
別の態様では、複数の基板から微粒子を除去するための方法は、洗浄液槽を保持する第1の容器の上部にある複数の開閉可能なアクセスポートのうちの第1のアクセスポートを開くことと、第1の基板を第1のアクセスポートを通して挿入し、第1の基板を洗浄液槽の第1の位置上に送達することと、第1のアクセスポートを閉じることと、第1の基板を洗浄液槽の第1の位置から第2の位置へ移送することと、第1の容器の上部にある複数の開閉可能なアクセスポートのうちの第2のアクセスポートを開くことと、第1の基板を第2のアクセスポートを通して取り出し、第1の基板をリンスステーション内に送達することと、第2のアクセスポートを閉じることとを含む。
【0010】
実装態様は、以下の特徴のうちの1又は複数を含み得る。
【0011】
コンベヤは、複数の基板を保持し、複数の基板を支持体間で同時にシフトさせるための複数のグリッパを含み得る。少なくとも1つのグリッパは、少なくとも1つの基板を支持体から持ち上げるために、垂直方向に作動可能であってよい。第1又は第2の容器の複数の支持体の各々は、少なくとも1つのグリッパによって把持されるように、基板を上昇した位置に持ち上げるための垂直アクチュエータを更に含み得る。少なくとも1つのグリッパ用の支持アームは、複数の支持体の上方又は下方に延在し得る。第1及び第2の容器のコンベヤは、容器内で支持体を横方向に移動させるように構成され得る。
【0012】
コントローラは、ロボットシステムに、基板をポートを通して送達させ、基板を同じポートから回収させるように構成され得る。少なくとも2つの開閉可能なアクセスポートは、独立して作動可能であってよい。共通のアクチュエータが、少なくとも2つの開閉可能なアクセスポートを同時に開閉し得る。
【0013】
洗浄液は、硫酸と過酸化水素の3対1の混合物であってよい。リンス液は、実質的に脱イオン水を含み得る。第1の容器は、洗浄液用のヒータ及びフィルタを含む再循環流体経路を含み得る。第2の容器は、リンス液用のヒータ及びフィルタを含む再循環流体経路を含み得る。第2の容器は、第2の容器の内部領域内にリンス液を噴霧するための複数のノズルを有し得る。
【0014】
基板は、先入れ先出し(FIFO)モードで、第1の容器から送出され得る。複数の支持体の各支持体は、第1の基板を第1のアクセスポートを通して挿入してから、第1の基板を第1のアクセスポートを通して取り出すまでの時間内に、複数の基板から基板を受け入れ得る。
【0015】
少なくとも2つの洗浄要素には、回転ブラシクリーナ、バフパッドクリーナ、又はジェットスプレークリーナが含まれ得る。
【0016】
第1の基板が第1の位置から離れて移動し、第1の基板が洗浄液槽から取り出される前に、第1のアクセスポートが開かれてよく、第2の基板が第1のアクセスポートを通して挿入されてよく、第2の基板が洗浄液槽の第1の位置に送達されてよく、第1のアクセスポートが閉じられてよい。洗浄液槽で第1の基板を処理する時間は、8分から12分の範囲であり得る。第1の基板を第1の位置から第2の位置へ移送することは、基板を第1の固定支持体に載置することと、第1の容器のロボットを用いて第1の基板を第1の固定支持体から第2の固定支持体へ移動させることとを含み得る。第1の基板を第1の位置から第2の位置へ移送することは、第1の基板を支持体に載置することと、支持体を第1の位置から第2の位置へ移動させることとを含み得る。
【0017】
特定の実装態様は、以下の可能な利点のうちの1又は複数を含み得るが、これらに限定されない。インラインSPM処理システムは、多数の基板のバッチモード処理を実行することができる。SPM処理は、CMPシステムに統合することができ、それによって、基板のカセットを別のSPMシステムへ輸送する必要がなくなり、基板を移動させる時間が短縮されるため、サイクルタイムが改善される。また、インラインSPM処理システムは、処理容器内の溶液を再循環及びろ過することで、基板1枚あたりに必要な処理薬液の量を減らし、基板1枚あたりのコストを低減することができる。インラインSPM処理システムは、先入れ先出しモードで動作することにより、基板をSPM槽により長い時間停留させ、システム全体のスループットを低下させずに清浄度を確保し、統合CMP装置の設置面積を縮小することができる。
【0018】
1又は複数の実装態様の詳細を、添付の図面及び以下の説明に記載する。他の態様、特徴、及び利点は、説明及び図面、並びに特許請求の範囲から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】インライン型SPM洗浄槽の概略断面図である。
【
図3】A~Dは、ピックアンドプレース型FIFO方式による基板洗浄の概略図である。
【
図4】A~Dは、連続FIFO方式による基板洗浄の概略図である。
【
図5】A~Fは、ウォーキングビームシステムの概略図である。
【
図6】A~Fは、ランニングビームシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
様々な図面中の同様の符号は、同種の要素を示している。
【0021】
SPM洗浄は、各基板を別々の処理チャンバの槽に入れる並列分離モードで実行され得る。これにより、複数の基板の並行処理が可能になるが、別々の容器を使用することにより、処理薬液、例えば、硫酸及び過酸化水素の使用が増加する可能性がある。更に、薬液は再利用できない可能性があり、各基板に新たな薬液が必要になる場合がある。この薬液は、かなりの出費となり得る。
【0022】
更に、SPM処理に要する時間は、研磨時間に対してかなり大きく、例えば、10倍以上にもなることがある。したがって、SPMプロセスがスループットを低下させないように研磨システムのスループットに一致させるためには、多数の基板をSMPによって並列処理する必要がある。しかし、複数のSPMチャンバを設けて、各チャンバで1枚の基板を処理することは、コスト、クリーンルームにおける利用可能な設置面積、薬液コストに起因して実現不可能な可能性がある。
【0023】
これらの課題の1又は複数に対処し得るアプローチは、複数の基板を同じタンクで処理するSPM処理システムを有することである。
【0024】
図1は、化学機械研磨(CMP)システム100を示す内部図である。システム100は、概して、ファクトリインターフェースモジュール102、投入モジュール104、ポリッシャモジュール106、及び洗浄モジュール108を含む。4つの主要な構成要素は、一般に、CMPシステム100内に配置される。
【0025】
ファクトリインターフェース102は、複数の基板カセット110を保持する支持体、チャンバを囲むハウジング111、及び1又は複数のインターフェースロボット112を含む。ファクトリインターフェースロボット112は、概して、カセット110とシステム100の他のモジュールのうちの1又は複数との間で基板を移送するのに必要な可動範囲を提供する。
【0026】
未処理の基板は、概して、インターフェースロボット112によって、カセット110から投入モジュール104へ移送される。投入モジュール104は、概して、インターフェースロボット112と移送ロボット114との間の基板の移送を促進する。移送ロボット114は、基板を投入モジュール104とポリッシャ102との間で移送する。
【0027】
ポリッシャ106は、概して、移送ステーション116と、1又は複数の研磨ステーション118とを含む。移送ステーション116は、研磨モジュール106内に配置され、基板を移送ロボット114から受け入れるように構成される。移送ステーション116は、基板を、研磨中に基板を保持する研磨ステーション118のキャリアヘッド120へ移送する。
【0028】
研磨ステーション118は、研磨パッド120が位置する回転可能な円盤状プラテンを含む。プラテンは、軸を中心に回転するように動作可能である。研磨パッド120は、外側研磨層とより軟らかいバッキング層とを有する2層研磨パッドであってよい。研磨ステーション118は、研磨液、例えば、研磨スラリを研磨パッド120上に分注するための、分注アーム122を更に含む。研磨スラリにおいて、研磨粒子は酸化ケイ素であり得るが、幾つかの研磨プロセスでは、酸化セリウム研磨粒子を使用する。研磨ステーション118は、研磨パッド120を一貫した表面粗さに維持するコンディショナヘッド123も含み得る。
【0029】
研磨ステーション118は、少なくとも1つのキャリアヘッド124を含む。キャリアヘッド124は、研磨工程の間、基板10を研磨パッド110に対して保持するように動作可能である。基板に実行される研磨工程の後に、キャリアヘッド124は、基板を移送ステーション116に戻すように移送する。
【0030】
次に、移送ロボット114は、基板を、研磨モジュール106とCMPシステム100の残り部分とを接続する開口部を通して研磨モジュール106から取り出す。移送ロボット114は、水平に配向された基板を研磨モジュール106から取り出し、基板を垂直に再配向して洗浄モジュール108に載置する。
【0031】
洗浄モジュール108は、概して、独立して又は一致して動作し得る1又は複数の洗浄装置を含む。例えば、洗浄モジュール108は、
図1において上から下へ、SPMモジュール128(以下に更に説明する)、投入モジュール129、1又は複数のブラシ又はバフ仕上げパッドクリーナ131、132、メガソニッククリーナ133、及びドライヤ134を含み得る。他の可能な洗浄装置には、ケミカルスピンクリーナ及びジェットスプレークリーナが含まれる。輸送システム、例えば、ロボットアームを支持するオーバーヘッドコンベヤ130は、装置から装置へ基板をウォーキング、又はランニングで運ぶことができる。簡単に説明すると、1又は複数のクリーナ131、132は、基板を載置することができ、基板の表面を回転ブラシ又は回転バフ仕上げパッドと接触させて、残っている全ての微粒子を除去する装置である。その後、基板はメガソニッククリーナ133へ移送され、高周波振動によって洗浄液中に制御されたキャビテーションを発生させて洗浄される。あるいは、メガソニッククリーナは、ブラシ又はバフ仕上げパッドクリーナ131、132の前に位置決めされ得る。最終的なリンスは、乾燥モジュール134へ移送される前に、リンスモジュールで実行され得る。
【0032】
図1は、SPMモジュール128をシーケンスにおける最初の洗浄装置として図示したが、これは、実際の物理的位置又は洗浄工程の順序には必要ない(ただし、工程順序と同じ物理的順序で洗浄装置を有することは、スループットにとってより効率的である)。例えば、基板は、ブラシ又はバフ仕上げパッドクリーナ(例えば、バフパッド)により処理され、次にSPMモジュールにより処理され、次に別のブラシ又はバフ仕上げパッドクリーナ(例えば、回転ブラシ)により処理され、次にジェットスプレークリーナにより処理され得る。
【0033】
上述したように、CMPシステム100は、基板を研磨モジュール106から洗浄モジュール108内へ移送する。研磨プロセスからの破片、例えば、研磨パッド又はスラリからの研磨粒子又は有機材料が、基板に付着する場合がある。これらの材料の一部、例えば、酸化セリウム微粒子、及び研磨モジュール106からの有機添加物は、上に挙げたクリーナ131、132、133で除去することが困難である。したがって、基板は、洗浄モジュール108内のインライン型SPM(sulfuric peroxide mixture)モジュール128に移動される。
図1に示すSPMモジュールは、多数の基板のインライン型SPM洗浄を同時にできるようにするモジュールである。SPMモジュール128は、洗浄容器124及びリンス容器126の2つの容器を含む。
【0034】
図2に、SPMモジュール128の切断側面図を示す。SPMモジュール128は、洗浄容器124、リンス容器126、及びSPMモジュール128内の基板を移送するための1又は複数の専用ロボットアーム137のロボットシステムを含む。SPMモジュール128のハウジングは、一般に、硫酸と過酸化物との混合物と共に使用するのに適した(例えば、反応性のない)任意の材料からできていてよい。
図2に、隣接して位置決めされ、基部で接続された洗浄容器124及びリンス容器126を示したが、一般に、容器は、プロセスに適した任意の方法でCMPシステム100内のどこにでも配置することができる。
【0035】
洗浄容器124の左側に図示したのは、移送ロボット114が洗浄される基板10aを載置する受け入れステーション180である。洗浄モジュールのロボットアーム、例えばSPMモジュール128のロボットアーム137は、次に基板10aを把持し、受け入れステーション180からそれを取り出す。
【0036】
リンス容器126の右側に図示したのは、移送ロボット114が洗浄及びリンスされた基板10aを載置する払い出しステーション182である。洗浄モジュールのロボットアーム、例えば、オーバーヘッドコンベヤは、次に、基板10aを把持し、払い出しステーション182からそれを取り出す。
【0037】
洗浄容器124及びリンス容器126の各々の上面に位置決めされるのは、複数の操作可能なアクセスポート150である。アクセスポート150は、タンクからの煙霧及び液体の漏れを低減するために閉じることができ、これにより、清浄度を向上させ、オペレータのリスクを低減することができる。一般に、各容器は少なくとも2つの操作可能なアクセスポート150を有するが、幾つかの実施形態では、リンスタンクは、開いた上部を有し得る、例えば、ロボットアーム137の引き込み位置とタンクの液体との間にカバーがない場合がある。
図2に、各容器の上方にある2つの操作可能なアクセスポート150を示したが、一般に、2つを超えてもよい。幾つかの実装態様では、各容器の複数のアクセスポート150は、最大40ポートになり得る。アクセスポート150は、ロボットシステムからのコマンドに応答してアクセスポート150を開く又は閉じるために、独立した又は統合されたコントローラによって操作され得る。各容器のアクセスポート150は、同時に操作することができる、あるいは、独立して操作することができる。アクセスポート150の一例は、スリットバルブである。
【0038】
洗浄容器124及びリンス容器126は、液体を保持することができる内部区画を含む。洗浄容器124は、洗浄液134、例えば、SPMで充填される。幾つかの実装態様では、洗浄液134は、硫酸と過酸化水素を3:1で含む混合物であってよい。充填された洗浄区画に隣接して、少なくとも1つのオーバーフローベースン136がある。
【0039】
ベースン136は、内部区画を概ね囲む任意の領域であってよい。洗浄液134が内部区画内で再循環されるとき、内部区画からオーバーフローする全ての洗浄液134は、オーバーフローベースン136に捕捉され、フィルタリング、加熱及び補充システム138に方向づけされ、内部区画に戻される。
【0040】
システムコントローラからの信号を受信すると、例えば、基板10aがロボットアーム137によって把持されると、少なくとも1つのアクセスポート150が開けられる。次に、ロボットアーム137は、基板10aを開いたポート150を通して挿入し、基板10aを支持体140に載置する。
【0041】
基板支持体140が、基部に沿って配置され、洗浄容器124及びリンス容器126の長さに沿って間隔を空けて配置される。各支持体140は、基板10をエッジに沿って把持することができ、基板10を動かないように保持することができる。概ね、各容器は少なくとも1つの支持体を有する。
図2に、洗浄容器124とリンス容器126の各々に5つの支持体を示したが、一般に、最大40の支持体140が存在し得る。
図2に、更に、支持体140に載置された基板10bを示す。
【0042】
次に、ロボットアーム137がアクセスポート150から引き込まれ、ポート150が閉じられる。支持体140のラインに隣接して位置決めされるのは、基板グリッパ172を用いて1つの固定支持体140から次の支持体へと基板を順次輸送するためのウォーキングビームシステム142である。
図2に、4つのグリッパ172を有するウォーキングビームシステム142を示したが、一般に、支持体140の数よりも少ないグリッパを有し得る。ウォーキングビーム基板輸送システムのレールは、内部区画の長さに沿って、支持体140と平行に延在する。ウォーキングビーム142システムの更なる詳細を、
図5A~
図5Fに示す。
【0043】
基板10の洗浄容器124内での洗浄時間が完了すると、例えば、最初の支持体140aから最後の支持体140bに移動すると、次に、基板10の上方の操作可能なアクセスポート150が開かれ、基板10がロボットアーム137を介して取り出される。次に、ポート150が閉じ、ロボットアームが、基板10をリンス容器126のアクセスポート150の上方の位置まで移送する。次に、コントローラシステムは、基板10をリンス容器126内のどこに載置することができるかを決定し、支持体140の上方の関連するポート150を開く。ロボットアームは、開いたポート150を通して基板10aを挿入し、基板10aを支持体140に載置する。次に、ロボットアーム137がアクセスポート150から引き込まれ、ポート150が閉じられる。
【0044】
リンス容器126は、高温リンス液135で充填された内部区画を含む。例えば、液体135は、脱イオン水であってよい。リンス容器126内のリンス液135は、容器126に載置されたときに基板から残留洗浄液134を除去するために、SPMモジュール128の動作中に循環される。溢れたリンス液135は、容器から流出させることができる。あるいは、基板は、リンス容器126のリンス液135で噴霧され得る。
【0045】
リンス容器126は、リンス時間の間、基板10を輸送するために、本明細書に記載の任意の基板10搬送機構、例えば、ウォーキングビーム、ランニングビーム、又はコンベヤを用いることが可能である。
【0046】
バッチモードで基板を処理すること、例えば、
図2のSPMモジュール128は、多数の基板に対する効率及び材料使用に対する利点を達成する。先入れ先出し(FIFO)モードで洗浄又はリンスを実行することにより、システム100の全体的なスループットに影響を与えることなく、SPMモジュールのコントローラによって指示された時間だけ各基板を処理することが可能になり、これは、他のシステムモジュールにおける時間よりも長くてよい。
【0047】
SPMモジュール128の別の実装態様を
図3A~
図3Dに示す。この実装態様は、容器内基板輸送システムを利用しない。すなわち、この実装態様は、容器内の基板10の輸送のために、ウォーキングビーム又はランニングビームシステムを利用しない。その代わりに、ロボットアーム(複数可)(図示せず)は、洗浄125及びリンス126の容器内の固定支持体140間で基板10を輸送する。SPMモジュール128のこの実装態様はまた、洗浄容器124及びリンス容器126内に含まれる機能部品が少なく、高苛性溶液内での動作部品の摩耗を防止する。
【0048】
図3A~
図3Dの洗浄125及びリンス126容器は、容器の底部に沿って配置された固定支持体140と、支持体140の数と同じ数の上面に沿った同数の操作可能なアクセスポート150、すなわち各支持体140に対して1つのポート150とを有するように図示されている。
【0049】
図3A~
図3Dでは、同時に動作するアクセスポート150を図示したが、ポート150が独立して開閉できるように、各ポートに対して別々のアクチュエータが存在し得る。前者は、全てのポートを共通のアクチュエータで駆動させることを可能にし、コストを下げることができる。後者は、基板が載置されている支持体140に関連するポート150、又は基板が取り出される支持体140に関連するポート150のみを開くことができ、これにより煙霧又は液体の漏れを低減することができる。
【0050】
SPMモジュール128のこの実装態様は、ロボットアーム(複数可)が個々の基板を把持し、コントローラによって指定された場所に基板を載置し、次に同じ場所から基板をピックアップするという作業を実行するため、「ピックアンドプレース」方式で動作することが可能である。特に、SPMモジュール128のこの実装態様は、洗浄容器124内に載置された最初の基板が洗浄容器124から取り出された最初の基板であるFIFO方式を実行することができる。しかし、SPMモジュール128のこの実装態様は、任意のタイミングが可能であり、各基板の処理時間を制御するために、基板を任意の順序で取り出すことができる。
【0051】
図3Aに、3つの基板10a、10b、及び10cを有するSPMモジュールを示す。基板10aは、移送ロボット114によって載置された後、洗浄容器124の受け入れステーションに図示されている。基板10bは、洗浄容器124に図示されている。基板10cは、洗浄容器124での洗浄時間が完了した後、リンス容器126に図示されている。
【0052】
図3Bに、定置FIFOプロセスの最初のステップを示す。基板10aは、ロボットアームによって受け入れステーションから取り出され、洗浄容器124のアクセスポート150が開かれ、基板10aが空の支持体140に載置される。次に、ロボットアームがアクセスポート150から引き込まれ、SPMコントローラは基板10aの洗浄時間の開始時刻を記録する。
【0053】
洗浄時間は、一般に、微粒子の除去又は溶解に十分であると決定される任意の時間であるが、幾つかの実装態様では、約8分から約12分(例えば、約9分から約11分、又は約10分)であってよい。
【0054】
図3Cに、基板10bの洗浄時間の終了を示す。洗浄容器124のアクセスポート150が開かれ、ロボットアームが支持体140から基板10bを取り出し、アクセスポート150を通してロボットアームを引き込む。次に、コントローラシステムは、空の支持体140に対応するリンス容器126のアクセスポート150を開く。基板10bは、アクセスポート150を通して挿入され、支持体140に載置される。次に、ロボットアームがポート150を通って引き込まれ、コントローラは、基板10aのリンス時間の開始時刻を記録する。
【0055】
リンス時間は、一般に、残留SPMの希釈に十分であると決定される任意の時間であるが、幾つかの実装態様では、約8分から約12分(例えば、約9分から約11分、又は約10分)であってよい。
【0056】
図3Dに、基板10cのリンス時間の終了を示す。リンス容器124のアクセスポート150が開かれ、ロボットアームが支持体140から基板10cを取り出し、アクセスポート150を通してロボットアームを引き込む。次に、ロボットアームは、右側の払い出しステーションの支持体内に基板10cを挿入する。次に、SPMシステムの移送ロボットが、SPMモジュールから基板10cを取り出すことができる。
【0057】
図3A~
図3Dに示したものの代替的なFIFO方式を、
図4A~
図4Dに示す。
図4A~
図4DのFIFO動作モードは、基板10が連続的又は時限的に輸送される方法を示すものであり、本明細書に記載の様々な容器内輸送システム、例えば
図5A~
図5Fのウォーキングビームシステム142、
図6A~
図6Fのランニングビームシステム144、又は
図7のコンベヤ、又は別の容器内輸送システムを使用することが可能である。各支持体に対してアクセスポート150がある
図3A~
図3Dに示すシステムとは異なり、
図4A~
図4Dに示す構成は、2つのアクセスポート150のみを有し、そのうちの第1は基板を挿入するために、第2は基板を取り出すために使用される。
【0058】
図4AのSPMモジュールは、例示的な基板10a、10b、及び10cを含む多数の基板10と共に図示されている。移送ロボット114によって載置された後の基板10aを、洗浄容器124の受け入れステーションに示す。基板10bを、洗浄容器124に示す。洗浄容器124での洗浄時間を完了した後の基板10cを、リンス容器126に示す。
【0059】
SPMモジュール100の受け入れステーションに基板10aが載置されると、コントローラは、次に、ウォーキングビーム142に指示して、洗浄容器124内の複数の基板をある距離だけ前方に輸送させる。距離は、洗浄容器124の全長の分数であってよい。一般に、最初の開放可能なアクセスポート150と最後の開放可能なアクセスポート150との間の距離を支持体の数で割って、洗浄容器124から配置された又は取り出された基板ごとに移動が必要な距離を決定することができる。
【0060】
図4Bにおいて、ウォーキングビームシステム142のグリッパ172は、洗浄容器124及びリンス容器126の上部にある最後のアクセスポート150に向かって基板10b及び10cを輸送する。
図4Bに、容器124及び126の底部に沿ったウォーキングビームシステム142を示したが、一般に、基板は、本明細書に記載の任意の輸送機構、例えば、ランニングビーム、ウォーキングビーム、又はコンベヤによって移動させることができる。
【0061】
基板10b及び10cの洗浄時間が完了し、それらが洗浄容器124及びリンス容器126の最後のアクセスポートの下に位置決めされると、アクセスポート150がコントローラによって開かれる。次に、ロボットアーム(図示せず)が、基板10bを洗浄容器124から取り出し、それをリンス容器126の第1の開いたアクセスポートを通して挿入する。基板10bは、第1の支持体140に載置され、ロボットアームは、リンス容器126の第1のアクセスポートから引き込まれる。
【0062】
ロボットアームは、次に、基板10cをリンス容器126から取り出し、基板10cを払い出しステーションに載置する。
【0063】
基板10aは、ロボットアームによって受け入れステーションから取り出され、洗浄容器126の第1の開いたアクセスポートを通して挿入される。基板10aは、第1の支持体140に載置され、ロボットアームは、洗浄容器126の第1のアクセスポートから引き込まれる。
【0064】
図4Dに示すように、CMPシステムの移送ロボットは次に、別の基板10dをSPMモジュールの受け入れステーションに載置し、基板10cをターミナルステーションから回収して、CMPシステムの次のモジュールに移動させることができる。
【0065】
図5A~
図5Fは、ウォーキングビームシステム142とその動作を示す概略図である。
図5Aに示すように、基板10は、洗浄容器124又はリンス容器126内の支持体140に垂直に位置決めされる。
図5Bは、支持体140の基板10の
図5Aの左側からの端面図である。ウォーキングビームは、明確にするために図示していない。再び
図5Aを参照すると、対向側面で基板10に隣接する2つのウォーキングビームレール170a及び170bがある。各ウォーキングビームレール170a及び170bに結合されているのは、それぞれグリップ装置172a及び172bである。グリップ装置172は、互いに対向し、基板10と一直線上になるように配置され得る。
【0066】
図5Cに示すように、コントローラからの信号で、グリッパ172a及び172bが作動して基板10に向かって移動し、これにより、対向側面のエッジに接触し得る。
図5Dは、左側のグリッパ172aが接触している支持体140の基板10を示す端面図である。
【0067】
図5Eに示すように、ウォーキングビームシステム142は、次にグリッパ172を上昇させ、それによって基板10を支持体140から、基板10の底部エッジが支持体140の上部エッジより上になる高さまで持ち上げる。あるいは、基板がグリッパ172内に載置されるように、支持体(複数可)140を下降させることができる。次に、グリッパ172は、
図5Fに示すように、基板10を次の順位の支持体140nへ移送するために、ウォーキングビーム170に沿って軸方向に移動する。洗浄容器124及びリンス容器126内で動作する場合、ウォーキングビームグリッパ172は、容器の基板10を次の順位の支持体140に同時に移送するために一致して動作する。
【0068】
ウォーキングビームシステム142の代替例として、
図6A~
図6Fに、SPMシステム128の洗浄容器124及びリンス容器126が基板10の動きを制御するために用いることができるランニングビームシステム144の詳細を示す。
図6Aに、レール170が容器の上部に沿って長手方向に延在するランニングビームシステム144を示す。グリッパ172は、レール170から下に向かって延在し、基板10の対向するエッジに沿ってアライメントされている。
図6Bは、支持体140の基板10の
図6Aの左側からの端面図である。ランニングビームは、明確にするために図示していない。再び
図6Aを参照すると、ランニングビームシステム142は、レール170及びグリップ装置172を含むウォーキングビーム140システムと同じ構成要素を含む。
【0069】
図6Cに示すように、コントローラからの信号で、グリッパ172a及び172bが作動して基板10に向かって移動し、これにより、対向側面のエッジに接触し得る。
図6Dは、左側のグリッパ172aが接触している支持体140の基板10を示す端面図である。
【0070】
図6Eに示すように、グリッパ172は、基板10を把持した後に上に向かって引っ込み、それによって基板10を支持体140から、基板10の底部エッジが支持体140の上部エッジより上になる高さまで持ち上げる。次に、グリッパ172は、
図6Fに示すように、基板10を次の順位の支持体へ移送するために、ランニングビーム170に沿って軸方向に移動する。ウォーキングビームシステム142が洗浄容器124又はリンス容器126の基板10全部を同時に移動させるのに対し、ランニングビームシステム144は基板を個別に移動させる。ランニングビームシステム144は、洗浄容器124又はリンス容器126の出口に最も近い基板10を次の順位の支持体140に移動させ、連続する基板10を容器の出口に向かって移動させるように動作する。
【0071】
図5A~
図5F及び
図6A~
図6Fに示すウォーキング142及びランニングビーム144システムの代替例として、
図7に、SPMモジュール128の洗浄容器124及びリンス容器126を通して基板10を移動するのに使用可能なコンベヤシステム700を示す。コンベヤ700は、連続ベルト710に取り付けられた複数の支持体140を含む。一般に、ベルト710は、少なくとも1つの支持体140を有し得る。幾つかの実装態様では、バッキング710は、最大80個の支持体140を含み得る。
【0072】
コンベヤシステム700は、ベルト710の内面に接触する駆動機構720、例えば、2つの駆動輪も含む。
図7に、2つの駆動輪を図示したが、一般に、洗浄容器124及びリンス容器126内に必要な数の支持体を運ぶために必要な数が存在し得る。駆動機構720は、ローカルSPMコントローラ、又はCMPコントローラを介して制御され得る。駆動機構720は、容器124及び126内で動作可能であってよい、又は容器の外部で動作可能であり、例えば、磁気駆動システムであり得る。
【0073】
一般に、コンベヤの支持体は、バッキング710の外面に沿って一定間隔を空けて配置され得る。バッキング710の支持体140の数は、バッキング710の上面に、容器124及び126で処理されている基板の数と等しい数の支持体が存在するような数であってよい。駆動機構720は、バッキング710に保持された基板を連続的又は断続的に輸送し得る。断続的に動作する駆動機構720は、駆動機構720が動作していない、例えば静止している間、ロボットアーム137が基板10を回収し、基板10を支持体140内に載置するように動作する。駆動機構720の輸送速度は、最初のアクセスポートにおいて支持体に載置された基板が、決められた時間の後に最後のアクセスポートに到達するような速度であってよい。
【0074】
本発明の多数の実施形態について説明してきた。それにもかかわらず、本発明の主旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更がなされ得ることが理解されよう。したがって、他の実施形態は、以下の特許請求の範囲の範囲内にある。