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特許7574334熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及びそれを含む成形品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及びそれを含む成形品
(51)【国際特許分類】
   C08L 67/00 20060101AFI20241021BHJP
   C08L 55/02 20060101ALI20241021BHJP
   C08L 25/16 20060101ALI20241021BHJP
   C08L 35/06 20060101ALI20241021BHJP
   C08K 5/20 20060101ALI20241021BHJP
   C08L 67/02 20060101ALI20241021BHJP
【FI】
C08L67/00
C08L55/02
C08L25/16
C08L35/06
C08K5/20
C08L67/02
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022580182
(86)(22)【出願日】2021-11-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-15
(86)【国際出願番号】 KR2021017647
(87)【国際公開番号】W WO2023095963
(87)【国際公開日】2023-06-01
【審査請求日】2022-12-23
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】弁理士法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】コ、コン
(72)【発明者】
【氏名】クォン、テ-フン
(72)【発明者】
【氏名】ファン、ヒ-チェ
(72)【発明者】
【氏名】パク、チェ-チャン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヨン
【審査官】武貞 亜弓
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-056556(JP,A)
【文献】特開昭61-183344(JP,A)
【文献】特開平07-062179(JP,A)
【文献】特開平07-316382(JP,A)
【文献】特開平03-221554(JP,A)
【文献】特開平04-055459(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00- 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリエステル樹脂20~40重量%、
(B)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体26~29重量%、
(C)α-メチルスチレン-ビニルシアン化合物共重合体25~30重量%、
(D)マレイミド系重合体15~19重量%、及び
(E)アミド系滑剤0.1~5重量%を含み、
前記(B)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体は、共役ジエンゴム40~80重量%に、芳香族ビニル化合物10~40重量%及びビニルシアン化合物1~20重量%がグラフト重合されたグラフト共重合体であり、
前記(A)ポリエステル樹脂は、固有粘度が1.1dl/g以上であり、
前記(D)マレイミド系重合体は、スチレン-N-フェニルマレイミド-マレイン酸無水物共重合体である、
熱可塑性樹脂組成物。
【請求項2】
前記(A)ポリエステル樹脂の重量は、前記(B)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体の重量よりも少なくない、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項3】
前記熱可塑性樹脂組成物は、600MT射出機、射出温度230℃及び金型温度50℃の条件下で30ショット(shots)の射出計量偏差の平均が18.3以下である、請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項4】
前記熱可塑性樹脂組成物は、ISO 75に準拠した熱変形温度が108℃以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項5】
前記熱可塑性樹脂組成物は、ISO 178に準拠して、厚さ1/8''の試験片を用いて、間隔(span)64mm及び試験速度2mm/minの条件下で測定した曲げ強度及び曲げ弾性率が、それぞれ66MPa以上及び1950MPa以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項6】
前記熱可塑性樹脂組成物は、MS210-05またはISO 105に準拠して、温度89±3℃、相対湿度50±5%で照射量84MJ/m2及び照射照度0.55±0.02W/m2・nm(300~400nm)で測定したエンボス試験片の色差変化(ΔE)が0.9以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項7】
前記(A)ポリエステル樹脂は、ポリエチレンアジペート(PEA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)及びポリエチレンナフタレート(PEN)からなる群から選択される1種以上である、請求項1~6のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項8】
前記(E)アミド系滑剤は脂肪酸アミド系滑剤である、請求項1~7のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項9】
前記熱可塑性樹脂組成物は、酸化防止剤及び紫外線吸収剤からなる群から選択された1種以上を0.1~5重量%含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項10】
(A)固有粘度が1.1dl/g以上であるポリエステル樹脂20~40重量%、
(B)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体26~29重量%、
(C)α-メチルスチレン-ビニルシアン化合物共重合体25~30重量%、
(D)マレイミド系重合体15~19重量%、及び
(E)アミド系滑剤0.1~5重量%を含み、
前記(B)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体は、共役ジエンゴム40~80重量%に、芳香族ビニル化合物10~40重量%及びビニルシアン化合物1~20重量%がグラフト重合されたグラフト共重合体であり、
前記(D)マレイミド系重合体は、スチレン-N-フェニルマレイミド-マレイン酸無水物共重合体である、
前記(A)ポリエステル樹脂の重量は、前記(B)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体の重量よりも少なくない、熱可塑性樹脂組成物。
【請求項11】
(A)ポリエステル樹脂20~40重量%、
(B)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体26~29重量%、
(C)α-メチルスチレン-ビニルシアン化合物共重合体25~30重量%、
(D)マレイミド系重合体15~19重量%、及び
(E)アミド系滑剤0.1~5重量%を含んで、200~300℃の条件下で溶融混練及び押出するステップを含み、
前記(B)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体は、共役ジエンゴム40~80重量%に、芳香族ビニル化合物10~40重量%及びビニルシアン化合物1~20重量%がグラフト重合されたグラフト共重合体であり、
前記(A)ポリエステル樹脂は、固有粘度が1.1dl/g以上であり、
前記(D)マレイミド系重合体は、スチレン-N-フェニルマレイミド-マレイン酸無水物共重合体である、
熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
【請求項12】
請求項1~10のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物を含む、成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及びそれを含む成形品に関し、より詳細には、従来の耐熱ABS樹脂組成物と比較して機械的物性が同等以上に維持されながらも、耐熱性、耐化学性、耐光性及び耐騒音性がいずれも優れ、特に、経済性が非常に優れるので自動車内装材に適した熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及びそれを含む成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
ABS樹脂は、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン三元共重合体であって、耐衝撃性、剛性、耐薬品性及び加工性に優れるので、電気・電子、建築、自動車などの様々な分野に様々な用途に使用されている。しかし、ABS樹脂は、エンジニアリングプラスチックに比べて耐熱性が不十分であるため、耐熱度を要求する電気・電子製品の部品や自動車内装材などには使用が制限的である。
【0003】
PC/ABS素材は、優れた機械的物性及び経済的な価格により自動車、電気・電子製品など様々な用途に広く使用されており、自動車用途としては内装材に主に使用されるが、特に、センターフェイシア(center fascia)、ドアトリム(door trim)などに多く適用されている。しかし、PC/ABSの場合、素材自体の非結晶性特性により耐化学性が脆弱であるため、用途に制限を受けており、自動車内装材において化学製品による耐環境応力亀裂性(Environmental Stress Cracking;ESC)の問題は慢性的であり、深刻な品質問題として台頭している。特に、自動車の内部で使用頻度が高い化学物質に対してクラック(crack)の問題が多く発生し、このような問題を未然に防止できる耐化学性素材に対する要求がますます増加している。
【0004】
そのため、自動車内装材に使用される既存の素材と同じ程度の機械的物性、耐化学性、耐光性及び耐騒音性などを維持しながらも、耐熱性及び耐化学性に優れた素材の開発が必要な実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】韓国登録特許第10-00334710000号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような従来技術の問題点を解決するために、本記載は、従来の耐熱ABS樹脂組成物と比較して機械的物性が同等以上に維持されながらも、耐熱性、耐化学性、耐光性及び耐騒音性がいずれも優れ、特に、経済性が非常に優れるので自動車内装材に適した熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0007】
また、本記載は、前記の熱可塑性樹脂組成物の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
また、本記載は、前記の熱可塑性樹脂組成物を含む成形品を提供することを目的とする。
【0009】
本記載の上記目的及びその他の目的は、以下で説明する本記載によって全て達成することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
また、本記載は、(A)ポリエステル樹脂、(B)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体、(C)α-メチルスチレン-ビニルシアン化合物共重合体、(D)マレイミド系重合体及び(E)アミド系滑剤を含み、前記(A)ポリエステル樹脂20~40重量%、前記(B)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体15~30重量%、前記(C)α-メチルスチレン-ビニルシアン化合物共重合体20~35重量%、前記(D)マレイミド系重合体10~20重量%、または(E)アミド系滑剤0.1~5重量%を含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【0012】
また、本記載は、(A)ポリエステル樹脂20~40重量%;(B)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体15~30重量%;(C)α-メチルスチレン-ビニルシアン化合物共重合体20~35重量%;(D)マレイミド系重合体10~20重量%;及び(E)アミド系滑剤0.1~5重量%を含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【0013】
また、本記載は、(A)固有粘度が1.1dl/g以上であるポリエステル樹脂20~40重量%;(B)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体15~30重量%;(C)α-メチルスチレン-ビニルシアン化合物共重合体20~35重量%;(D)マレイミド系重合体10~20重量%;及び(E)滑剤0.1~5重量%を含み、前記(A)ポリエステル樹脂の重量は、前記(B)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体の重量よりも少なくないことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物を提供することができる。
【0015】
また、本記載は、(A)ポリエステル樹脂、(B)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体、(C)α-メチルスチレン-ビニルシアン化合物共重合体、(D)マレイミド系重合体及び(E)アミド系滑剤を含んで、200~300℃の条件下で溶融混練及び押出するステップを含み、前記(A)ポリエステル樹脂20~40重量%、前記(B)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体15~30重量%、前記(C)α-メチルスチレン-ビニルシアン化合物共重合体20~35重量%、前記(D)マレイミド系重合体10~20重量%、または前記(E)アミド系滑剤0.1~5重量%を含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法を提供する。
【0016】
また、本記載は、(A)ポリエステル樹脂20~40重量%;(B)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体15~30重量%;(C)α-メチルスチレン-ビニルシアン化合物共重合体20~35重量%;(D)マレイミド系重合体10~20重量%;及び(E)アミド系滑剤0.1~5重量%を含んで、200~300℃の条件下で溶融混練及び押出するステップを含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法を提供する。
【0017】
また、本記載は、前記熱可塑性樹脂組成物を含むことを特徴とする成形品を提供する。
【0018】
また、本記載は、(A)ポリエステル樹脂20~40重量%;(B)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体15~30重量%;(C)α-メチルスチレン-ビニルシアン化合物共重合体20~35重量%;(D)マレイミド系重合体10~20重量%;及び(E)アミド系滑剤0.1~5重量%を含んで、200~300℃の条件下で溶融混練及び押出してペレットを製造するステップと;製造されたペレットを射出機を用いて射出するステップとを含み、600MT射出機、射出温度230℃及び金型温度50℃の条件下で30ショット(shots)の射出計量偏差の標準偏差が2.4以下、または射出計量偏差の平均が18.3以下であることを特徴とする成形品の製造方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、従来の耐熱ABS樹脂組成物と比較して機械的物性が同等以上に維持されながらも、耐熱性、耐化学性、耐光性及び耐騒音性がいずれも優れ、特に、経済性が非常に優れるので自動車内装材に適した熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及びそれを含む成形品を提供する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】耐化学性の指標である耐環境応力亀裂性(Environmental Stress Cracking;ESC)を測定する方法を概略的に示した図である。
図2】耐騒音性の指標である摩擦騒音性を測定する方法を概略的に示した図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本記載の熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及びそれを含む成形品を詳細に説明する。
【0022】
本発明者らは、ポリエステル樹脂を最も大きい含量とし、ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体、α-メチルスチレン-ビニルシアン化合物共重合体、マレイミド系重合体及びアミド系滑剤を所定の組成比で含める場合、従来の耐熱ABS樹脂組成物と比較して非常に経済的であり、機械的物性が同等以上に維持されながらも、自動車内装材に要求される耐熱性、耐化学性、耐光性及び耐騒音性などが全て改善されることを確認し、これに基づいてさらに研究に邁進して本発明を完成するようになった。
【0023】
本記載による熱可塑性樹脂組成物を詳細に説明すると、次の通りである。
【0024】
本記載の熱可塑性樹脂組成物は、(A)ポリエステル樹脂、(B)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体、(C)α-メチルスチレン-ビニルシアン化合物共重合体、(D)マレイミド系重合体及び(E)アミド系滑剤を含むことを特徴とし、この場合に、機械的物性が同等以上に維持され、耐熱性、耐化学性、耐光性及び耐騒音性がいずれも優れ、原価低減による経済性にも優れるので自動車内装材に適するという利点がある。
【0025】
また、本記載の熱可塑性樹脂組成物は、好ましくは、(A)ポリエステル樹脂、(B)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体、(C)α-メチルスチレン-ビニルシアン化合物共重合体、(D)マレイミド系重合体及び(E)アミド系滑剤を含み、前記(A)ポリエステル樹脂20~40重量%、前記(B)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体15~30重量%、前記(C)α-メチルスチレン-ビニルシアン化合物共重合体20~35重量%、前記(D)マレイミド系重合体10~20重量%、または(E)アミド系滑剤0.1~5重量%を含むことを特徴とし、この場合に、機械的物性が同等以上に維持され、耐熱性、耐化学性、耐光性及び耐騒音性がいずれも優れ、原価低減による経済性にも優れるので自動車内装材に適するという利点がある。
【0026】
本記載の熱可塑性樹脂組成物は、より好ましくは、(A)ポリエステル樹脂20~40重量%;(B)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体15~30重量%;(C)α-メチルスチレン-ビニルシアン化合物共重合体20~35重量%;(D)マレイミド系重合体10~20重量%;及び(E)アミド系滑剤0.1~5重量%を含むことを特徴とし、この場合に、機械的物性が同等以上に維持され、耐熱性、耐化学性、耐光性及び耐騒音性がいずれも優れ、原価低減による経済性にも優れるので自動車内装材に適するという利点がある。
【0027】
以下、本発明の熱可塑性樹脂組成物を構成別に詳細に説明する。
【0028】
(A)ポリエステル樹脂
前記(A)ポリエステル樹脂は、一例として、熱可塑性樹脂組成物の総重量に対して20~40重量%、好ましくは25~40重量%、より好ましくは25~35重量%、さらに好ましくは28~31重量%であってもよく、この範囲内で、従来の耐熱ABS樹脂組成物と比較して機械的物性及び耐熱性が維持されながらも、耐化学性、耐光性及び耐騒音性が向上するという効果がある。
【0029】
前記(A)ポリエステル樹脂の固有粘度は、好ましくは1.1dl/g以上、より好ましくは1.1~1.3dl/g、さらに好ましくは1.2~1.3dl/gであってもよく、この範囲内で、機械的物性及び加工性に優れ、特に耐衝撃性及び耐騒音性に優れるという効果がある。
【0030】
本記載において、固有粘度は、特に言及がない限り、測定しようとする試料を塩化メチレンに完全に溶解させた後、フィルターを使用して濾過させた濾過液を、ウベローデ粘度計を用いて20℃で測定した値である。
【0031】
前記(A)ポリエステル樹脂は、一例として、ポリエチレンアジペート(PEA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)及びポリエチレンナフタレート(PEN)からなる群から選択された1種以上であり、好ましくは、ポリブチレンテレフタレートであってもよく、この場合に、組成物の全体的な機械的物性が良好であるので、物性バランスに優れながらも、成形が容易であるという利点がある。
【0032】
前記ポリブチレンテレフタレート樹脂は、通常のポリブチレンテレフタレート樹脂であれば、特に制限されず、一例として、1,4-ブタンジオールとジメチルテレフタレートの縮重合された重合体であってもよい。
【0033】
前記ポリエステル樹脂の製造方法は、本発明の属する技術分野で通常用いられる製造方法であれば、特に制限されない。
【0034】
(B)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体
前記(B)グラフト共重合体は、一例として、熱可塑性樹脂組成物の総重量に対して15~30重量%、好ましくは20~30重量%、より好ましくは25~30重量%、さらに好ましくは26~29重量%、最も好ましくは26~27重量%であってもよく、この範囲内で、機械的物性及び熱安定性が維持されながらも、耐化学性、耐光性及び耐騒音性に優れるという効果がある。
【0035】
前記(B)グラフト共重合体は、一例として、共役ジエンゴム40~80重量%に芳香族ビニル化合物10~40重量%及びビニルシアン化合物1~20重量%がグラフト重合されたグラフト共重合体であってもよく、好ましくは、共役ジエンゴム50~70重量%に芳香族ビニル化合物20~35重量%及びビニルシアン化合物1~15重量%がグラフト重合されたグラフト共重合体であってもよく、より好ましくは、共役ジエンゴム55~65重量%に芳香族ビニル化合物25~35重量%及びビニルシアン化合物5~15重量%がグラフト重合されたグラフト共重合体であってもよく、この範囲内で、機械的物性及び加工性に優れるという効果がある。
【0036】
前記(B)グラフト共重合体は、一例として、グラフト率が30~50%、好ましくは35~45%であってもよく、この範囲内で、機械的物性及び加工性に優れるという効果がある。
【0037】
本記載において、グラフト率は、グラフト重合体ラテックスを凝固、洗浄及び乾燥して粉末の形態を得、この粉末2gをアセトン300mlに入れて24時間撹拌し、この溶液を超遠心分離機を用いて分離し、分離されたアセトン溶液をメタノールに落とし、グラフトされていない部分を得、これを60~120℃で乾燥させて重量を測定して、下記数式1によって計算する。
【0038】
【数1】
【0039】
前記共役ジエンゴムは、一例として、平均粒径が600~3,500Å、好ましくは1,000~3,000Å、より好ましくは1,500~2,500Åであってもよく、この範囲内で、機械的物性及び加工性が向上するという効果がある。
【0040】
本記載において、平均粒径は、特に言及がない限り、動的光散乱法(dynamic light scattering)を用いて測定することができ、詳細には、Nicomp380装備(製品名、製造社:PSS)を用いて、ガウス(Gaussian)モードでインテンシティ(intensity)値で測定する。このとき、具体的な測定例として、試料は、ラテックス(TSC35~50wt%)0.1gを脱イオン水又は蒸留水で1,000~5,000倍希釈し、すなわち、Intensity Setpoint 300kHzを大きく外れないように適切に希釈し、ガラス管(glass tube)に入れて準備し、測定方法は、自動希釈(Auto-dilution)してフローセル(flow cell)で測定し、測定モードは、動的光散乱法(dynamic light scattering)/Intensity 300KHz/Intensity-weight Gaussian Analysisとし、設定(setting)値は、温度23℃、測定波長632.8nmとして測定することができる。
【0041】
前記(B)グラフト共重合体は、一例として、重量平均分子量が70,000~100,000g/mol、好ましくは75,000~85,000g/molであってもよく、この範囲内で、流動性が適切であるので加工性に優れ、耐衝撃性に優れるという効果がある。
【0042】
本記載において、重量平均分子量は、カラム充填物質として多孔性シリカが充填されたゲルクロマトグラフィー(GPC)を介して、温度40℃で、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を用いて、標準PS(Standard polystyrene)試料に対する相対値として測定することができる。
【0043】
前記(A)ポリエステル樹脂の重量は、好ましくは、前記(B)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体の重量よりも少なくなく、より好ましくは、前記(B)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体の重量よりも大きく、この場合に、機械的物性が同等以上に維持され、耐熱性、耐化学性、耐光性及び耐騒音性がいずれも優れ、原価低減による経済性にも優れるので自動車内装材にさらに適するという利点がある。
【0044】
本記載において、共役ジエン化合物は、一例として、1,3-ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-エチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン及びイソプレンからなる群から選択された1種以上であってもよい。
【0045】
本記載において、ビニルシアン化合物は、一例として、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、またはこれらの混合であってもよい。
【0046】
本記載において、芳香族ビニル化合物は、一例として、スチレン、α-メチルスチレン、ο-メチルスチレン、ρ-メチルスチレン、m-メチルスチレン、エチルスチレン、イソブチルスチレン、t-ブチルスチレン、ο-ブロモスチレン、ρ-ブロモスチレン、m-ブロモスチレン、ο-クロロスチレン、ρ-クロロスチレン、m-クロロスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、フルオロスチレン及びビニルナフタレンからなる群から選択される1種以上であってもよい。
【0047】
前記(B)グラフト共重合体の製造方法は、本発明の属する技術分野で通常用いられる製造方法であれば、特に制限されず、一例として、懸濁重合、乳化重合、溶液重合または塊状重合であってもよく、好ましくは乳化重合であってもよい。
【0048】
(C)α-メチルスチレン-ビニルシアン化合物共重合体
前記(C)α-メチルスチレン-ビニルシアン化合物共重合体は、好ましくは、熱可塑性樹脂組成物の総重量に対して20~35重量%、より好ましくは20~30重量%、さらに好ましくは25~30重量%、より一層好ましくは26~29重量%、最も好ましくは26~27重量%であってもよく、この範囲内で、機械的物性及び耐摩擦性などが同等以上に維持されながらも、耐熱性がさらに優れるという効果がある。
【0049】
前記(C)α-メチルスチレン-ビニルシアン化合物共重合体は、好ましくは、α-メチルスチレン65~85重量%及びビニルシアン化合物15~35重量%を含んでなり、より好ましくは、α-メチルスチレン65~80重量%及びビニルシアン化合物20~35重量%を含んでなり、さらに好ましくは、α-メチルスチレン70~80重量%及びビニルシアン化合物20~30重量%を含んでなり、より一層好ましくは、α-メチルスチレン65~85重量%及びビニルシアン化合物25~30重量%を含んでなり、この範囲内で、機械的物性及び耐摩擦性などが同等以上に維持されながらも、耐熱性がさらに優れるという効果がある。
【0050】
他の好ましい例として、前記(C)α-メチルスチレン-ビニルシアン化合物共重合体は、α-メチルスチレン65~85重量%、ビニルシアン化合物15~35重量%及び芳香族ビニル化合物(但し、α-メチルスチレンを除く)0~10重量%を含んでなり、この範囲内で、機械的物性及び耐摩擦性などが同等以上に維持されながらも、耐熱性がさらに優れるという効果がある。
【0051】
前記(C)α-メチルスチレン-ビニルシアン化合物共重合体は、好ましくは、分岐度が0.40~0.60であり、この範囲内で、機械的物性及び耐摩擦性などが同等以上に維持されながらも、耐熱性がさらに優れるという効果がある。
【0052】
本記載において、分岐度は、MALLS(Multi-angle laser light scattering)を用いて分子量及びRG(Radius of Gyration)を測定し、LogMwに対するLog RGをプロット(Plot)して、その傾きで分岐度を求めることができる。ここで、分岐度は、その値が1である場合、分岐が発生しないこと(線状)を意味し、0.3である場合、分岐が多く発生してクロスリンキング(cross-linking)されたこと(球状)を意味する。分岐度が0.3に近いほど、重合体に分岐が多いことが分かる。
【0053】
前記(C)α-メチルスチレン-ビニルシアン化合物共重合体は、一例として、重量平均分子量が80,000~200,000g/mol、好ましくは90,000~150,000g/molであり、この範囲内で、機械的物性及び耐摩擦性などが同等以上に維持されながらも、耐熱性がさらに優れるという効果がある。
【0054】
本記載において、重量平均分子量(Mw)は、GPC(Waters Breeze)を介して、標準PS(Standard polystyrene)試料に対する相対値として測定することができる。
【0055】
前記(C)α-メチルスチレン-ビニルシアン化合物共重合体は、好ましくは、ガラス転移温度(Tg)が124~140℃であり、この範囲内で、機械的物性及び耐摩擦性などが同等以上に維持されながらも、耐熱性がさらに優れるという効果がある。
【0056】
本記載において、ガラス転移温度(Tg)は、パーキンエルマー(Perkin Elmer)社のPyris 6 DSCを用いて測定することができる。
【0057】
前記(C)α-メチルスチレン-ビニルシアン化合物共重合体は、好ましくは、ガスクロマトグラフィー(GPC)で測定した残留モノマー含量が500ppm以下、より好ましくは450ppm以下、さらに好ましくは350~450ppmであってもよく、この範囲内で、曲げ強度、曲げ弾性率、耐熱性及び耐光性に優れるという効果がある。
【0058】
本記載において、残留モノマー含量は、共重合体2gをクロロホルム10mlに溶解させた後、メタノール30mlで沈殿させ、その後、上澄み液を取ってフィルタリング(0.2μmのディスクシリンジフィルター(disc syringe filter))した後、ガスクロマトグラフィー(GC)を用いて、ALS-GC/FID(Automatic Liquid Sampler-Gas Chromatography/Flame Ionization Detector)で分析して測定することができる。
【0059】
前記(C)α-メチルスチレン-ビニルシアン化合物共重合体は、一例として、かさ密度が0.20~0.35g/cc、好ましくは0.22~0.33g/ccであり、この範囲内で、保管及び運搬が容易であるという効果がある。
【0060】
本記載において、かさ密度(g/cc)は、100ccカップ内の粉末の重量グラム(g)を100で割って決定し、g/ccで計算することができる。
【0061】
前記(C)α-メチルスチレン-ビニルシアン化合物共重合体の製造方法は、本発明の属する技術分野で通常用いられる製造方法であれば、特に制限されず、具体例として、α-メチルスチレン65~85重量%及びビニルシアン化合物15~35重量%を含む単量体混合物100重量部に、多官能性開始剤0.05~0.5重量部を投入して重合させるステップを含むことができる。ここで、重合は、一例として、懸濁重合、乳化重合、溶液重合または塊状重合であってもよく、好ましくは塊状重合であり、この場合に、耐熱性及び流動性などに優れるという効果がある。
【0062】
(D)マレイミド系重合体
前記(D)マレイミド系重合体は、マレイミド系化合物から誘導された繰り返し単位を含む重合体であって、機械的物性及び耐熱性を全て向上させるという利点がある。
【0063】
前記(D)マレイミド系重合体は、好ましくは、熱可塑性樹脂組成物の総重量に対して10~20重量%、より好ましくは15~20重量%、さらに好ましくは15~19重量%、より一層好ましくは16~19重量%であってもよく、この範囲内で、機械的物性、熱安定性及び耐摩擦性が維持されながらも、耐環境応力亀裂性(Environmental Stress Cracking;ESC)及び射出成形性に優れるという効果がある。
【0064】
前記(D)マレイミド系重合体は、一例として、マレイミド系単量体を20重量%以上含んでなってもよく、好ましくは20~60重量%、より好ましくは30~60重量%、さらに好ましくは40~60重量%、より一層好ましくは45~55重量%含んでなってもよく、この範囲で、機械的物性及び耐熱性がいずれも優れるという効果がある。
【0065】
前記(D)マレイミド系重合体は、好ましくは、N-(置換)マレイミド及び芳香族ビニル化合物を含んでなる共重合体であってもよく、より好ましくは、N-(置換)マレイミド;不飽和ジカルボン酸またはその無水物;及び芳香族ビニル化合物を含んでなる共重合体であってもよく、この範囲で、機械的物性及び耐熱性がいずれも優れるという効果がある。
【0066】
前記(D)マレイミド系重合体は、好ましい実施例として、マレイミド系化合物45~55重量%;芳香族ビニル化合物40~50重量%;及びマレイン酸またはその無水物1~10重量%を含んでなることができ、この範囲で、機械的物性及び耐熱性がいずれも優れるという効果がある。
【0067】
前記マレイミド系化合物は、好ましくは、マレイミドまたはN-(置換)マレイミドであり、より好ましくは、N-(置換)マレイミドであり、具体例としては、N-メチルマレイミド、N-エチルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、及びN-フェニルマレイミドからなる群から選択された1種以上であってもよく、この範囲で、機械的物性及び耐熱性がいずれも優れるという効果がある。
【0068】
前記(D)マレイミド系重合体は、好ましくは、重量平均分子量が80,000~200,000g/molであり、この範囲で、機械的物性及び耐熱性がいずれも優れるという効果がある。
【0069】
前記(D)マレイミド系重合体は、好ましくは、ガラス転移温度が140~210℃、より好ましくは180~210℃、さらに好ましくは190~205℃であってもよく、この範囲で、機械的物性及び耐熱性がいずれも優れるという効果がある。
【0070】
前記(D)マレイミド系重合体の製造方法は、本発明の属する技術分野で通常用いられる製造方法であれば、特に制限されず、一例として、懸濁重合、乳化重合、溶液重合または塊状重合により製造されてもよく、好ましくは塊状重合であってもよい。
【0071】
(E)アミド系滑剤
前記(E)アミド系滑剤は、好ましくは、熱可塑性樹脂組成物の総重量に対して0.1~5重量%、より好ましくは0.1~3重量%、さらに好ましくは0.1~2.5重量%、よりさらに好ましくは0.1~2.0重量%、より一層好ましくは0.3~2.0重量%、最も好ましくは0.5~2.0重量%であってもよく、この範囲内で、機械的物性などを低下させないながらも、射出成形性に優れ、特に射出計量時に各ショット(shot)当たりの計量時間(秒)及び偏差を減らすという効果がある。
【0072】
前記(E)アミド系滑剤は、好ましくは、脂肪酸アミド系滑剤であってもよく、この場合に、射出成形性に優れるという効果がある。
【0073】
前記脂肪酸アミド系滑剤は、好ましくは、ステアルアミド(stearamide)、ベヘンアミド(behenamide)、エチレンビス(ステアルアミド)[ethylene bis(stearamide)]、N,N’-エチレンビス(12-ヒドロキシステアルアミド)[N,N’-ethylene bis(12-hydroxystearamide)]、エルカミド(erucamide)、オレアミド(oleamide)及びエチレンビスオレアミド(ethylene bis oleamide)からなる群から選択された1種以上であってもよく、より好ましくは、エチレンビス(ステアルアミド)[ethylene bis(stearamide)]であり、この範囲内で、機械的物性などを低下させないながらも、射出成形性に優れるという効果がある。
【0074】
熱可塑性樹脂組成物
前記熱可塑性樹脂組成物は、好ましくは、600MT射出機、射出温度230℃及び金型温度50℃の条件下で30ショット(shots)の射出計量偏差の標準偏差が2.4以下、より好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1.2以下、よりさらに好ましくは1.0未満であってもよく、この範囲内で、物性バランスに優れながらも、射出加工性に優れるという利点がある。
【0075】
前記熱可塑性樹脂組成物は、好ましくは、ISO 1133に準拠して260℃、5kgの条件下で測定される流動性(Melt Flow Rate)が10~25g/10min、より好ましくは10~20g/10min、さらに好ましくは11~16g/10min、よりさらに好ましくは12~14g/10minであり、この範囲内で、全ての物性バランスに優れながらも、特に加工性及び射出成形性に優れるという効果がある。
【0076】
前記熱可塑性樹脂組成物は、好ましくは、600MT射出機、射出温度230℃及び金型温度50℃の条件下で30ショット(shots)の射出計量偏差の平均が18.3以下、より好ましくは18.1以下、さらに好ましくは16以下、よりさらに好ましくは14以下、最も好ましくは13.5未満であってもよく、この範囲内で、物性バランスに優れながらも、射出加工性に優れるという利点がある。
【0077】
前記熱可塑性樹脂組成物は、好ましくは、ISO 75に準拠して0.45MPa下で測定した熱変形温度が108℃以上であってもよく、具体例として108~110℃であってもよく、この範囲内で、物性バランスに優れながらも、耐熱性に優れるという利点がある。
【0078】
前記熱可塑性樹脂組成物は、好ましくは、ISO 75に準拠して1.82MPa下で測定した熱変形温度が88℃以上、具体例として88~100℃、好ましくは88~95℃であってもよく、この範囲内で、全ての物性バランスに優れ、特に耐熱性に優れるという効果がある。
【0079】
前記熱可塑性樹脂組成物は、好ましくは、ISO 178に準拠して、厚さ1/8''の試験片を用いて、間隔(span)64mm及び試験速度2mm/minの条件下で測定した曲げ強度及び曲げ弾性率が、それぞれ66MPa以上及び1950MPa以上であってもよく、具体例として、それぞれ66~70MPa及び1950~2020MPaであってもよく、この範囲内で、物性バランスに優れながらも、機械的強度に優れるという利点がある。
【0080】
前記熱可塑性樹脂組成物は、一例として、MS210-05またはISO 105に準拠して、温度89±3℃、相対湿度50±5%で照射量84MJ/m2及び照射照度0.55±0.02W/m2・nm(300~400nm)で測定した光沢試験片の色差変化(ΔE)が1.2以下、好ましくは1.1以下、より好ましくは0.5~1.1であってもよく、この範囲内で、全ての物性バランスに優れるという効果がある。
【0081】
本記載において、色差変化(ΔE)は、ハンターLabカラーメータを用いて試験片の色相を測定し、下記数式3によってΔEを求める。
【0082】
【数2】
【0083】
また、前記熱可塑性樹脂組成物は、一例として、MS210-05またはISO 105に準拠して、温度89±3℃、相対湿度50±5%で照射量84MJ/m2及び照射照度0.55±0.02W/m2・nm(300~400nm)で測定したエンボス試験片の色差変化(ΔE)が0.9以下、好ましくは0.5~0.9であってもよく、この範囲内で、全ての物性バランスに優れるという効果がある。
【0084】
本記載において、耐光性を測定するための試験片は、2,000~40,000グリットで鏡面処理された金型を用いて、射出温度230~250℃、金型温度50℃で製造され、エンボス試験片は、前記試験片と同様に製造するが、表面にエンボスサイズ15~21μmが形成される金型で製造する。
【0085】
通常、自動車内装材に使用される熱可塑性樹脂組成物は、一般に、MS210-05またはISO 105に準拠して測定した光沢試験片及びエンボス試験片の色差変化(ΔE)が2以下であることが要求されるが、本発明による熱可塑性樹脂組成物は、色差変化(ΔE)が光沢試験片及びエンボス試験片のそれぞれで1.2以下及び1.0以下と非常に低いので、従来の熱可塑性樹脂組成物と比較して耐光性に優れる。
【0086】
前記熱可塑性樹脂組成物は、一例として、耐環境応力亀裂性(Environmental Stress Cracking;ESC)テストに準拠して、応力2.0%のジグにASTM D638による引張強度測定用試験片と同じ大きさの試験片(長さ165mm、幅19mm、厚さ3.2mm)を固定させた後、芳香剤(酢酸イソアミル、リモネン及びリナロールを、体積比4:1:1で混合した混合液)25μlをマイクロピペットで塗布した後、2時間後にクレーズ(craze)またはクラック(crack)が発生しないものであってもよく、この範囲内で、全ての物性バランスに優れるという効果がある。
【0087】
本記載において、耐環境応力亀裂性は、耐化学性であって、持続的な内・外部応力の存在下で化学薬品と接触してプラスチックの表面に亀裂及び破壊が発生する現象をいう。
【0088】
下記図1は、耐環境応力亀裂性を測定する方法を概略的に示した図であって、応力2.0%のジグにASTM D638による引張強度測定用試験片と同じ大きさの試験片を固定させた後、試験片に芳香剤を塗布した後、2時間後に試験片の表面を観察する一連の過程を示したもので、“Normal”は、クレーズ又はクラックが発生していない試験片の表面であり、“Craze&Crack”は、クレーズ又はクラックが発生したものであり、“Crack&Break”は、クラックで試験片が破断されたものである。また、図1の右側の図は、試験片の表面にクレーズ又はクラックが発生して破断される過程を図式化したものである。
【0089】
前記熱可塑性樹脂組成物は、一例として、ISO 180/1Aに準拠して、ノッチ付き試験片を用いて23℃で測定したアイゾット衝撃強度が15kJ/m2以上、好ましくは20kJ/m2以上であってもよく、具体例として15~25kJ/m2、好ましくは20~25kJ/m2であってもよく、この範囲内で、全ての物性バランスに優れるという効果がある。
【0090】
前記熱可塑性樹脂組成物は、一例として、ISO 527に準拠して50mm/min下で測定した引張強度が37MPa以上、好ましくは37~45MPa、より好ましくは40~43MPaであってもよく、この範囲内で、全ての物性バランスに優れるという効果がある。
【0091】
前記熱可塑性樹脂組成物は、一例として、ISO 527に準拠して50mm/min下で測定した伸び率が37%以上、好ましくは40%以上、具体例として37~45%であってもよく、この範囲内で、全ての物性バランスに優れるという効果がある。
【0092】
前記熱可塑性樹脂組成物は、一例として、ISO 1183に準拠して測定した密度が1.11g/cm3以下、好ましくは1.00~1.11g/cm3であってもよく、この範囲内で、軽いながらも全ての物性バランスに優れるという効果がある。
【0093】
前記熱可塑性樹脂組成物は、一例として、70×60mm及び25×50mmの平板試験片を用いて、チーグラー(Ziegler)SSP-04装備で試験片の荷重10N及び運動条件1mm/sの条件下で、加速度(acceleration)、衝撃(impulse)、振動数(Frequency)、摩擦抵抗(Friction)及び変動(Fluctuation)をそれぞれ測定し、下記数式2によってRPN(Risk Priority Number)値で計算した摩擦騒音性が3以下、好ましくは1~3であってもよく、この範囲内で、全ての物性バランスに優れ、特に耐騒音性に優れるという効果がある。
【0094】
前記熱可塑性樹脂組成物は、一例として、70×60mm及び25×50mmの平板試験片を用いて、チーグラー(Ziegler)SSP-04装備で試験片の荷重10N及び運動条件4mm/sの条件下で、加速度(acceleration)、衝撃(impulse)、振動数(Frequency)、摩擦抵抗(Friction)及び変動(Fluctuation)をそれぞれ測定し、下記数式2によってRPN(Risk Priority Number)値で計算した摩擦騒音性が2以下、好ましくは1~2であってもよく、この範囲内で、全ての物性バランスに優れ、特に耐騒音性に優れるという効果がある。
【0095】
前記熱可塑性樹脂組成物は、一例として、70×60mm及び25×50mmの平板試験片を用いて、チーグラー(Ziegler)SSP-04装備で試験片の荷重40N及び運動条件1mm/sの条件下で、加速度(acceleration)、衝撃(impulse)、振動数(Frequency)、摩擦抵抗(Friction)及び変動(Fluctuation)をそれぞれ測定し、下記数式2によってRPN(Risk Priority Number)値で計算した摩擦騒音性(Stick-Slip Noise)が2以下、好ましくは1~2であってもよく、この範囲内で、全ての物性バランスに優れ、特に耐騒音性に優れるという効果がある。
【0096】
前記熱可塑性樹脂組成物は、一例として、70×60mm及び25×50mmの平板試験片を用いて、チーグラー(Ziegler)SSP-04装備で試験片の荷重40N及び運動条件4mm/sの条件下で、加速度(acceleration)、衝撃(impulse)、振動数(Frequency)、摩擦抵抗(Friction)及び変動(Fluctuation)をそれぞれ測定し、下記数式2によってRPN(Risk Priority Number)値で計算した摩擦騒音性(Stick-Slip Noise)が1以下であってもよく、この範囲内で、全ての物性バランスに優れ、特に耐騒音性に優れるという効果がある。
【0097】
【数3】
【0098】
<摩擦騒音性の評価>
RPN 1以上3以下:良好(摩擦騒音の発生可能性が非常に低い)
RPN 4以上5以下:部分的に良好
RPN 6以上10以下:良くない
【0099】
本発明において、摩擦騒音性は、車両で発生するBSR(Buzz、Squeak、Rattle)を測定し、BSRは、感性品質の代表的な特性値であって、システムの組立継ぎ目、締結部または摩擦部位で発生し、異音または雑音ともいう。ここで、バズ(Buzz)は、構造振動によるもので、部品のパネルが単独で太鼓のように出す騒音であり、スクイーク(Squeak)は、部品間にせん断方向に摩擦によって発生する騒音であり、ラトル(Rattle)は、部品間に垂直方向にぶつかって発生する騒音を意味する。
【0100】
下記図2は、チーグラー(Ziegler)SSP-04装備で摩擦騒音性を測定する方法を概略的に示した図であって、25×50mmの平板試験片に70×60mmの試験片を(10N、1mm/s)、(10N、4mm/s)、(40N、1mm/s)及び(40N、4mm/s)の4つの荷重と運動条件下で測定する。
【0101】
前記熱可塑性樹脂組成物は、好ましくは、酸化防止剤及び紫外線吸収剤からなる群から選択された1種以上を0.1~5重量%含むことができ、この範囲内で、加工性、耐光性、耐騒音性及び耐化学性が改善されるという効果がある。
【0102】
前記酸化防止剤は、一例として、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤またはこれらの混合を含むことができ、好ましくはフェノール系酸化防止剤であってもよく、この場合に、押出工程時に熱による酸化を防止し、機械的物性及び耐熱性に優れるという効果がある。
【0103】
前記フェノール系酸化防止剤は、一例として、N,N’-ヘキサン-1,6-ジイル-ビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオンアミド)]、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’-ヘキサメチレン-ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナムアミド)、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート-ジエチルエステル、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、及び1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)イソシアヌレートからなる群から選択された1種以上であってもよく、この場合に、物性バランスが高く維持されながらも、耐熱性が大きく改善され得る。
【0104】
前記リン系酸化防止剤は、一例として、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート及びトリメチルホスフェートからなる群から選択された1種以上であってもよい。
【0105】
前記酸化防止剤は、好ましくは、熱可塑性樹脂組成物の総重量に対して0.05~1.0重量%、より好ましくは0.1~0.7重量%、さらに好ましくは0.1~0.5重量%含まれてもよく、この範囲内で、物性バランスに優れると共に、耐熱性が改善されるという効果がある。
【0106】
前記紫外線吸収剤は、一例として、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、キノリノン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤及びベンゾオキサゾール系紫外線吸収剤からなる群から選択された1種以上であってもよく、好ましくはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤であってもよく、この場合に、物性バランスに優れると共に、耐光性がさらに改善されるという効果がある。
【0107】
前記トリアジン系紫外線吸収剤は、一例として、2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-エトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジフェニル-(2-ヒドロキシ-4-プロポキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジフェニル-(2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,6-ジフェニル-4-(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-ドデシルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-ベンジルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-プロポキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ドデシルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ベンジルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-エトキシエトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ブトキシエトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-プロポキシエトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-メトキシカルボニルプロピルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-エトキシカルボニルエチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-(1-(2-エトキシヘキシルオキシ)-1-オキソプロパン-2-イルオキシ)フェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-3-メチル-4-エトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-3-メチル-4-プロポキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-3-メチル-4-ブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-3-メチル-4-ブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-3-メチル-4-ヘキシルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-3-メチル-4-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-3-メチル-4-ドデシルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-3-メチル-4-ベンジルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-3-メチル-4-エトキシエトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-3-メチル-4-ブトキシエトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-3-メチル-4-プロポキシエトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-3-メチル-4-メトキシカルボニルプロピルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-3-メチル-4-エトキシカルボニルエチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-3-メチル-4-(1-(2-エトキシヘキシルオキシ)-1-オキソプロパン-2-イルオキシ)フェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-N-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、及び2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-(2-(2-エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ)フェノールからなる群から選択された1種以上であってもよい。
【0108】
前記ベンゾフェノン系紫外線吸収剤は、一例として、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-ベンジルオキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-5-スルホキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-5-スルホキシトリハイドライドレイトベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-ドデシルオキシ-ベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクタデシルオキシ-ベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシ-5-ソジウムスルホキシベンゾフェノン、ビス(5-ベンゾイル-4-ヒドロキシ-2-メトキシフェニル)メタン、2-ヒドロキシ-4-n-ドデシルオキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-2’-カルボキシベンゾフェノン、及び4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンからなる群から選択された1種以上であってもよい。
【0109】
前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、一例として、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-2’-ヒドロキシ-3’,2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、5’-ビス(α,α-ジメチルベンジル)フェニル-ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチル-フェニル)-ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチル-フェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-アミル)-ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-アミルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-(3”,4”,5”,6”-テトラヒドロフタルイミドメチル)-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ペンチルフェニル)、2-(2’-ヒドロキシ-5’-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、及び2,2’-メチレンビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール]からなる群から選択された1種以上であってもよい。
【0110】
前記インドール系紫外線吸収剤は、一例として、2-[(1-メチル-2-フェニル-1H-インドール-3-イル)メチレン]プロパンジニトリルであってもよい。
【0111】
前記キノリノン系紫外線吸収剤は、一例として、4-ヒドロキシ-3-[(フェニルイミノ)メチル]-2(1H)-キノリノンであってもよい。
【0112】
前記ベンゾエート系紫外線吸収剤は、一例として、2,4-ジ-t-ブチルフェニル-3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシベンゾエート、2,6-ジ-t-ブチルフェニル-3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシベンゾエート、n-ヘキサデシル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、及びn-オクタデシル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエートからなる群から選択された1種以上であってもよい。
【0113】
前記シアノアクリレート系紫外線吸収剤は、一例として、2’-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート、エチル-2-シアノ-3-(3’,4’-メチレンジオキシフェニル)-アクリレート、またはこれらの混合であってもよい。
【0114】
前記紫外線吸収剤は、好ましくは熱可塑性樹脂組成物の総重量に対して0.05~1.0重量%、より好ましくは0.1~0.7重量%、さらに好ましくは0.1~0.5重量%含まれてもよく、この範囲内で、物性バランスに優れると共に、耐光性がさらに改善されるという効果がある。
【0115】
熱可塑性樹脂組成物の製造方法
本記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、(A)ポリエステル樹脂、(B)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体、(C)α-メチルスチレン-ビニルシアン化合物共重合体、(D)マレイミド系重合体及び(E)アミド系滑剤を含んで、200~300℃の条件下で溶融混練及び押出するステップを含むことを特徴とし、この場合に、機械的物性が同等以上に維持されながらも、耐熱性、耐化学性、耐光性及び耐騒音性がいずれも優れ、特に、経済性が非常に優れるので自動車内装材に適するという利点がある。
【0116】
また、本記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、好ましくは、(A)ポリエステル樹脂、(B)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体、(C)α-メチルスチレン-ビニルシアン化合物共重合体、(D)マレイミド系重合体及び(E)アミド系滑剤を含んで、200~300℃の条件下で溶融混練及び押出するステップを含み、前記(A)ポリエステル樹脂20~40重量%;前記(B)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体15~30重量%;前記(C)α-メチルスチレン-ビニルシアン化合物共重合体20~35重量%;前記(D)マレイミド系重合体10~20重量%;または前記(E)アミド系滑剤0.1~5重量%を含むことを特徴とし、この場合に、機械的物性が同等以上に維持されながらも、耐熱性、耐化学性、耐光性及び耐騒音性がいずれも優れ、特に、経済性が非常に優れるので自動車内装材に適するという利点がある。
【0117】
また、本記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、より好ましくは、(A)ポリエステル樹脂20~40重量%;(B)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体15~30重量%;(C)α-メチルスチレン-ビニルシアン化合物共重合体20~35重量%;(D)マレイミド系重合体10~20重量%;及び(E)アミド系滑剤0.1~5重量%を含んで、200~300℃の条件下で溶融混練及び押出するステップを含むことを特徴とし、この場合に、機械的物性が同等以上に維持されながらも、耐熱性、耐化学性、耐光性及び耐騒音性がいずれも優れ、特に、経済性が非常に優れるので自動車内装材に適するという利点がある。
【0118】
前記熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、一例として、(B)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体を製造するステップを含むことができる。
【0119】
前記(B)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体を製造するステップは、一例として、共役ジエンゴムラテックス、芳香族ビニル化合物及びビニルシアン化合物の総100重量部に、イオン交換水70~200重量部、開始剤0.1~2重量部、乳化剤0.1~2重量部及び分子量調節剤0.05~1.5重量部を投入して重合反応させた後、重合転化率93~99重量%で重合反応を終了してグラフト共重合体ラテックスを製造した後、これを凝集、脱水及び乾燥するステップであってもよい。
【0120】
具体的な一例として、前記(B)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体を製造するステップは、共役ジエンゴム、芳香族ビニル化合物及びビニルシアン化合物の総100重量部を基準として、共役ジエンゴムラテックス40~80重量%(固形分基準)、イオン交換水60~150重量部に、別途の混合装置で混合された芳香族ビニル化合物10~40重量%、ビニルシアン化合物1~20重量%、イオン交換水10~50重量部、開始剤0.09~1.5重量部、乳化剤0.1~2重量部及び分子量調節剤0.05~1.5重量部を含む混合溶液を、65~75℃で2~4時間投入した後、開始剤0.01~0.5重量部を投入し、30分~90分かけて75~80℃に昇温させた後、重合転化率93~99重量%でグラフト重合を終了してグラフト共重合体ラテックスを製造した後、これを凝集、脱水及び乾燥するステップであってもよく、この場合に、機械的物性及び加工性に優れるという効果がある。
【0121】
本記載において、重合転化率の測定方法は、本発明の属する技術分野で通常用いられる測定方法であれば、特に制限されない。
【0122】
前記(B)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体を製造する際に含まれる共役ジエンゴムラテックスは、一例として、共役ジエン化合物100重量部に、イオン交換水30~100重量部、乳化剤0.5~3重量部、電解質0.01~0.5重量部、分子量調節剤0.1~0.5重量部及び開始剤0.1~1重量部を投入し、重合して製造することができ、この場合に、耐衝撃性に優れるという効果がある。
【0123】
他の例として、前記共役ジエンゴムラテックスは、共役ジエン化合物100重量部に、イオン交換水40~70重量部、乳化剤1~2.5重量部、電解質0.05~0.3重量部、分子量調節剤0.2~0.4重量部及び開始剤0.3~0.8重量部を投入し、重合して共役ジエンゴムラテックスを製造することができ、この場合に、耐衝撃性に優れるという効果がある。
【0124】
前記グラフト共重合体ラテックス及び/又は共役ジエンゴムラテックスの製造時に使用される乳化剤は、一例として、ロジン酸金属塩、アルキルアリールスルホネート、アルカリメチルアルキルスルフェート、スルホン化アルキルエステル及び不飽和脂肪酸の金属塩からなる群から選択された1種以上であってもよい。
【0125】
前記グラフト共重合体ラテックス及び/又は共役ジエンゴムラテックスの製造時に使用される電解質は、一例として、KCl、NaCl、KHCO3、NaHCO3、K2CO3、Na2CO3、KHSO3、NaHSO3、K427、Na427、K3PO4、Na3PO4、K2HPO4及びNa2HPO4からなる群から選択された1種以上であってもよい。
【0126】
前記グラフト共重合体ラテックス及び/又は共役ジエンゴムラテックスの製造時に使用される開始剤は、一例として、水溶性過硫酸重合開始剤、脂溶性重合開始剤、または酸化-還元系触媒系などを使用することができ、前記水溶性過硫酸重合開始剤としては、一例として、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム及び過硫酸アンモニウムからなる群から選択された1種以上であってもよく、前記脂溶性重合開始剤としては、一例として、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、アゾビスイソブチロニトリル、t-ブチルヒドロペルオキシド、パラメタンヒドロペルオキシド及びベンゾイルペルオキシドからなる群から選択された1種以上であってもよく、酸化-還元系触媒系としては、一例として、ソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート、ソジウムエチレンジアミンテトラアセテート、硫酸第一鉄、デキストロース、ピロリン酸ナトリウム及び亜硫酸ナトリウムからなる群から選択された1種以上であってもよい。
【0127】
上述した記載以外に、グラフト共重合体及びゴムラテックスの製造方法における反応時間、反応温度、圧力、反応物の投入時点などのようなその他の反応条件は、本発明の属する技術分野で通用されている範囲内であれば、特に制限されず、必要に応じて適宜選択して行うことができる。
【0128】
前記混練及び押出は、一例として、一軸押出機、二軸押出機、またはバンバリーミキサーを介して行われてもよく、この場合に、組成物が均一に分散して相溶性に優れるという効果がある。
【0129】
前記混練及び押出は、一例として、バレル温度が200~250℃、好ましくは210~240℃である範囲内で行われてもよく、この場合に、単位時間当たりの処理量が適切であり、かつ十分な溶融混練が可能となり得、樹脂成分の熱分解などの問題を引き起こさないという効果がある。
【0130】
前記混練及び押出は、一例として、スクリュー回転数が200~300rpm、好ましくは230~270rpmである条件下で行われてもよく、この場合に、単位時間当たりの処理量が適切であるので、工程効率に優れながらも、過度の切断を抑制するという効果がある。
【0131】
成形品
本記載の成形品は、一例として、本記載の熱可塑性樹脂組成物から製造されたものであってもよく、この場合に、機械的物性、熱安定性及び耐騒音性が維持されながらも、耐化学性、加工性及び射出成形性が向上するという効果がある。
【0132】
前記成形品は、好ましくは自動車内装材であってもよく、具体的に、センターフェイシア(center fascia)、またはドアトリム(door trim)であってもよい。
【0133】
前記成形品の製造方法は、好ましくは、(A)ポリエステル樹脂20~40重量%;(B)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体15~30重量%;(C)α-メチルスチレン-ビニルシアン化合物共重合体20~35重量%;(D)マレイミド系重合体10~20重量%;及び(E)アミド系滑剤0.1~5重量%を含んで、200~300℃の条件下で溶融混練及び押出してペレットを製造するステップと;製造されたペレットを射出機を用いて射出するステップとを含み、600MT射出機、射出温度230℃及び金型温度50℃の条件下で30ショット(shots)の射出計量偏差の標準偏差が2.4以下、または射出計量偏差の平均が18.3以下であることを特徴とし、この場合に、物性バランスに優れながらも、射出加工性に優れるという利点がある。
【0134】
本記載の熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及び成形品を説明するにおいて、明示的に記載していない他の条件や装備などは、当業界において通常行われる範囲内で適宜選択することができ、特に制限されないことを明示する。
【0135】
以下、本記載の理解を助けるために好ましい実施例を提示するが、以下の実施例は、本記載を例示するものに過ぎず、本記載の範疇及び技術思想の範囲内で様々な変更及び修正が可能であることは当業者にとって明らかであり、このような変更及び修正が添付の特許請求の範囲に属することも当然である。
【0136】
[実施例]
下記の実施例及び比較例で使用された物質は、次の通りである。
【0137】
*A1:ポリブチレンテレフタレート(固有粘度1.0dl/g)
*A2:ポリブチレンテレフタレート(固有粘度1.2dl/g)
*B1:アクリロニトリル-ブタジエン-スチレングラフト共重合体(ブタジエンゴム50重量%、スチレン30重量%及びアクリロニトリル10重量%がグラフト重合されたグラフト共重合体、グラフト率39重量%、重量平均分子量78,000g/mol)
*C1:スチレン-アクリロニトリル共重合体(アクリロニトリル28重量%)
*C2:α-メチルスチレン-アクリロニトリル-スチレン共重合体(α-メチルスチレン65重量%、アクリロニトリル28重量%)
*D1:スチレン-N-フェニルマレイミド-マレイン酸無水物共重合体(スチレン46重量%、N-フェニルマレイミド52重量%、マレイン酸無水物2重量%)
*E1:ポリエチレンワックス滑剤
*E2:エチレンビス-ステアルアミド滑剤
*酸化防止剤:フェノール系酸化防止剤
*紫外線吸収剤:ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤
【0138】
実施例1~10及び比較例1~7
下記表1及び表2に記載した成分及び含量を押出機(42Ψ、バレル温度230℃)に投入してペレット(Pellet)に製造した後、これを射出して物性測定のための試験片を製造した。
【0139】
[試験例]
前記実施例1~10及び比較例1~7で製造された試験片の特性を下記のような方法で測定し、その結果を下記の表1及び表2に示した。
【0140】
*流動性(Melt Flow Rate):ISO 1133に準拠して260℃、5kgの条件下で測定した。ここで、流動性の単位はg/10minである。
【0141】
*アイゾット衝撃強度(KJ/m2):ノッチ付き試験片を用いて、ISO 180/1Aに準拠して23℃下で測定した。
【0142】
*引張強度(MPa):ISO 527に準拠して、50mm/minの条件で測定した。
【0143】
*伸び率(%):ISO 527に準拠して、50mm/minの条件で測定した。
【0144】
*曲げ強度、曲げ弾性率(MPa):厚さ1/8''の試験片を用いて、ISO 178に準拠して間隔(span)64mm及び試験速度2mm/minの条件で測定した。
【0145】
*熱変形温度(℃):ISO 75に準拠して0.45MPa下で測定した。
【0146】
*密度(g/cm3):ISO 1183に準拠して測定した。
【0147】
*ESCテスト(耐化学性):応力2.0%のジグにASTM D638による引張強度測定用試験片と同じ大きさの試験片(長さ165mm、幅19mm、厚さ3.2mm)を固定させた後、芳香剤(酢酸イソアミル、リモネン及びリナロールを、体積比4:1:1で混合した混合液)25μlをマイクロピペットで塗布した後、2時間後にクレーズ(craze)またはクラック(crack)の発生の有無を目視で測定し、発生しない場合に“○”と表示し、クレーズ(craze)又はクラック(crack)が発生する場合に“×”と表示した。
【0148】
*摩擦騒音性(Stick-Slip Noise):70×60mm及び25×50mmの平板試験片を用いて、チーグラー(Ziegler)SSP-04装備で23℃及び相対湿度50%で、加速度(acceleration)、衝撃(impulse)、振動数(Frequency)、摩擦抵抗(Friction)、及び変動(Fluctuation)をそれぞれ測定し、下記数式2によってRPN(Risk Priority Number)値を計算した後、下記基準によって摩擦騒音性を評価する。試験片の荷重及び運動条件は、(10N、1mm/s)、(10N、4mm/s)、(40N、1mm/s)及び(40N、4mm/s)の4つの条件で行った。
【0149】
【数4】
【0150】
<摩擦騒音性の評価>
RPN 1以上3以下:良好(摩擦騒音の発生可能性が非常に低い)
RPN 4以上5以下:部分的に良好
RPN 6以上10以下:良くない
【0151】
*耐光性:MS210-05またはISO 105に準拠して、温度89±3℃、相対湿度50±5%で照射量84MJ/m2及び照射照度0.55±0.02W/m2・nm(300~400nm)で光沢試験片及びエンボス試験片のそれぞれの色差変化(ΔE)を測定した。試験片は、2,000~40,000グリットで鏡面処理された金型を用いて、射出温度230~250℃、金型温度50℃で製造し、エンボス試験片は、前記試験片と同様に製造するが、表面にエンボスサイズ15~21μmが形成される金型で製造した。
【0152】
前記色差変化(ΔE)は、ハンターLabカラーメータを用いて試験片の色相を測定し、下記数式3によってΔEを求めた。
【0153】
【数5】
【0154】
*射出計量偏差:600MT射出機、射出温度230℃及び金型温度50℃の条件下で、30ショット(shots)の射出計量偏差を測定し、これらの値から平均及び標準偏差を求めた。
【0155】
【表1】
【0156】
【表2】
【0157】
【表3】
*射出時に、射出成形品の離型性が低下する問題が発生する
【0158】
前記表1~表3に示したように、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物(実施例1~10)は、本発明の範囲を外れた比較例1~7と比較して、流動性、衝撃強度、引張強度及び伸び率は対等な値を有するが、曲げ強度、曲げ弾性率、熱変形温度、耐騒音性及び射出成形性は全て大きく優れることが確認できた。
【0159】
注目すべき結果として、アミド系滑剤を0.5~2.0の範囲内で使用した実施例1~3及び実施例8~10は、射出加工性の指標である射出計量偏差の平均値が16以下、標準偏差値が1.3以下と射出加工性が非常に優れることが確認できた。
【0160】
これに反して、本発明に係るアミド系滑剤を0.1重量%未満含む比較例6は、射出時に射出成形品の離型性が低下してしまい問題が大きく、本発明に係るアミド系滑剤を5重量%超えて含む比較例7は、耐化学性が劣るという問題があった。
【0161】
また、固有粘度1.0dl/gのポリエステル樹脂を使用した比較例4及び5は、衝撃強度が非常に劣るという問題があった。
図1
図2