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特許7574403基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20241021BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20241021BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/302 101G
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2023506786
(86)(22)【出願日】2022-01-14
(86)【国際出願番号】 JP2022001193
(87)【国際公開番号】W WO2022196063
(87)【国際公開日】2022-09-22
【審査請求日】2023-06-27
(31)【優先権主張番号】P 2021041543
(32)【優先日】2021-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原 直樹
(72)【発明者】
【氏名】檜山 真
(72)【発明者】
【氏名】岡▲ざき▼ 太洋
【審査官】宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/024762(WO,A1)
【文献】特開2009-076705(JP,A)
【文献】特開2011-176197(JP,A)
【文献】特開2002-324829(JP,A)
【文献】国際公開第2009/072426(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板が搬入及び搬出されるロードロック室と、
前記ロードロック室内に設けられ、複数の前記基板を所定の間隔で多段に支持する支持具と、
前記ロードロック室外に設けられ、前記基板を支持している状態の前記支持具の温度を非接触で測定可能な温度センサと、
を備える基板処理装置。
【請求項2】
前記温度センサによって測定された前記支持具の温度に基づいて、前記基板の温度を求めることが可能なよう構成された制御部を更に備える、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記支持具は、支持された状態の前記基板の面に対して垂直な方向に延びる垂直面を有し、
前記温度センサは、前記基板を支持している状態の前記支持具の前記垂直面の温度を非接触で測定するように構成されている、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項4】
複数の前記基板が多段に積載される方向を軸として前記支持具を回転させる回転駆動部と、
前記垂直面が前記温度センサに対向する角度まで、複数の前記基板を支持した状態の前記支持具を回転させる回転処理を行うように、前記回転駆動部を制御することが可能なよう構成された制御部と、
を更に備える請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記回転処理を行った後、前記温度センサで測定された前記支持具の温度を取得することが可能なよう構成されている、請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記温度センサで測定された前記支持具の温度を取得するときに、前記温度センサの温度測定範囲が全て前記垂直面内に入るように、前記回転処理において前記支持具を回転させことが可能なよう構成されている、請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
複数の前記基板が多段に積載される方向に前記支持具を昇降させる昇降駆動部と、
前記温度センサによって測定された前記支持具の温度を取得すると共に、前記昇降駆動部の昇降動作を制御することが可能なよう構成された制御部と、を更に備え、
前記支持具は、支持された状態の前記基板の面に対して垂直な方向に延びる垂直面を有しており、
前記制御部は、前記温度センサの温度測定範囲内に前記垂直面が入った状態で、前記支持具の昇降方向における前記垂直面と前記温度センサとの相対的な位置を変えるように、複数の前記基板を支持した状態の前記支持具を昇降させる昇降処理を行い、前記温度センサによって前記垂直面の複数の測定位置で温度が取得されるように、前記昇降駆動部を制御することが可能なよう構成されている、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項8】
複数の前記基板が多段に積載される方向を軸として前記支持具を回転させる回転駆動部を更に備え、
前記制御部は、前記垂直面が前記温度センサに対向する角度まで、複数の前記基板を支持した状態の前記支持具を回転させる回転処理を行った後、前記昇降処理を行って、前記温度センサによって前記垂直面の複数の測定位置で温度を取得することが可能なよう構成されている、請求項7に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記測定位置で取得された温度に基づいて、前記測定位置に対応する前記垂直面の位置に支持された前記基板の温度を求めることが可能なよう構成されている、請求項7に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記昇降処理において、前記支持具の上昇と下降を連続して少なくとも1回ずつ行い、前記温度センサで前記測定位置ごとに、当該測定位置の温度を複数回取得するように、前記昇降駆動部を制御することが可能なよう構成されている、請求項7に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記昇降処理において、前記測定位置ごとに複数回取得された温度の平均値を、前記測定位置の温度として求めることが可能なよう構成されている、請求項10に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記制御部は、求められた前記測定位置の温度に基づいて、前記測定位置に対応する前記垂直面の位置に支持された前記基板の温度を求めることが可能なよう構成されている、請求項11に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記ロードロック室内に不活性ガスを供給する供給部を更に備え、
前記制御部は、前記供給部のガス供給を制御可能とされ、前記基板が搬入された前記ロードロック室内に前記不活性ガスを供給することで前記ロードロック室内の圧力を上昇させることが可能なよう構成されている、請求項7~請求項12のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記ロードロック室内に不活性ガスを所定時間供給した後で、前記昇降処理を行って、前記温度センサによって前記垂直面の複数の測定位置で温度を取得することが可能なように構成されている、請求項13に記載の基板処理装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記温度センサによって取得された複数の前記測定位置の温度のうち、少なくとも1つが予め設定された閾値を超えた場合、前記支持具により前記基板を支持したまま前記不活性ガスの供給を継続し、所定時間経過後、再度、前記昇降処理を行い、前記温度センサによって測定された前記支持具の温度を取得することが可能なように構成されている、請求項14に記載の基板処理装置。
【請求項16】
前記基板を大気搬送室と前記ロードロック室との間で搬送する大気側搬送装置を更に備え、
前記制御部は、前記大気側搬送装置の搬送動作を制御可能とされ、前記温度センサによって取得された複数の前記測定位置の温度のうち、少なくとも1つが予め設定された閾値以下である場合、前記大気側搬送装置によって複数の前記基板を前記ロードロック室から搬出させることが可能なように構成されている、請求項15に記載の基板処理装置。
【請求項17】
前記支持具は、支持された状態の前記基板の面に対して垂直な方向に延びる垂直面を有しており、
前記垂直面は、前記基板よりも赤外線の透過率が小さい、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項18】
前記支持具は、支持された状態の前記基板の面に対して垂直な方向に延びる垂直面を有しており、
前記垂直面は、赤外線に対して不透明な材料で形成されている、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項19】
前記支持具は、支持された状態の前記基板の面に対して垂直な方向に延びる垂直面を有しており、
前記垂直面は、前記支持具を構成する支柱部に設けられており、
前記支柱部における前記垂直面に対応する部分の厚みは、複数の前記基板が多段に積載される方向において一定である、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項20】
基板が搬入及び搬出される複数のロードロック室と、
前記ロードロック室内に設けられ、複数の前記基板を所定の間隔で多段に支持する支持具と、
前記ロードロック室外に設けられ、前記基板を支持している状態の前記支持具の温度を非接触で測定可能な温度センサと、
前記ロードロック室の一方側に接続された大気搬送室と、
前記ロードロック室の他方側に接続された真空搬送室と、
前記大気搬送室に設けられて、前記基板を前記大気搬送室と前記ロードロック室との間で搬送する大気側搬送装置と、
前記真空搬送室に設けられて、前記基板を前記真空搬送室と前記ロードロック室との間で搬送する真空側搬送装置と、
一の前記ロードロック室において前記温度センサにより測定された温度と、他の前記ロードロック室において前記温度センサにより測定された温度とに基づいて、前記一のロードロック室又は前記他のロードロック室を介して前記大気搬送室と前記真空搬送室の間で前記基板を搬送する経路を変更するように、前記大気側搬送装置の搬送動作及び前記真空側搬送装置の搬送動作を制御することが可能なように構成された制御部と、
を備える基板処理装置。
【請求項21】
前記制御部は、前記一のロードロック室において前記温度センサから取得した前記支持具の温度と、前記他のロードロック室において前記温度センサから取得した前記支持具の温度が近づくように、前記真空搬送室から前記一のロードロック室に前記基板を搬入する頻度と、前記真空搬送室から前記他のロードロック室に前記基板を搬入する頻度を変更することが可能なように構成されている、請求項20に記載の基板処理装置。
【請求項22】
ロードロック室内に複数の基板を搬入し、前記ロードロック室内に設けられた支持具に前記複数の基板を所定の間隔で多段に支持させる工程と、
前記複数の基板を支持している状態の前記支持具の温度を前記ロードロック室外に設けられた非接触の温度センサで測定する工程と、
を有する、半導体装置の製造方法。
【請求項23】
コンピュータに、
ロードロック室内に複数の基板を搬入し、前記ロードロック室内に設けられた支持具に前記複数の基板を所定の間隔で多段に支持させる手順と、
前記複数の基板を支持している状態の前記支持具の温度を前記ロードロック室外に設けられた非接触の温度センサで測定する手順と、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
基板が搬入及び搬出されるロードロック室を有する基板処理装置が従来から知られている。基板処理装置のロードロック室は、室内の雰囲気を大気状態と真空状態とに入れ替える機能を有している(例えば、特開2012-99711号公報参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、基板処理装置では、ロードロック室に搬入された基板が、所望の温度まで冷却されていない状態のまま、ロードロック室から大気側へ搬出されてしまうことがある。
【0004】
本開示の目的は、ロードロック室内の基板の温度を把握可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、基板が搬入及び搬出されるロードロック室と、前記ロードロック室内に設けられ、複数の前記基板を所定の間隔で多段に支持する支持具と、前記基板を支持している状態の前記支持具の温度を非接触で測定可能な温度センサと、を備える技術が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、ロードロック室内の基板の温度を把握可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の一実施形態に係る基板処理装置の概略構成図である。
図2】本開示の一実施形態に係る基板処理装置の概略縦断面図である。
図3】本開示の一実施形態に係る基板処理装置のロードロック室の概略縦断面図である。
図4】本開示の一実施形態に係る基板処理装置において、ボート温度を温度センサで測定している状態を示す概略斜視図である。
図5】本開示の一実施形態に係る基板処理装置において、ロードロック室から大気搬送室へ基板の搬出の可否を判定するフローを示すフローチャートである。
図6】本開示の一実施形態に係る基板処理装置の制御部の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の一実施形態について図1図6を参照しながら説明する。なお、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0009】
本実施形態に係る基板処理装置10は、図1及び図2に示されるように、大気搬送室(EFEM:Equipment Front End Module)12と、大気搬送室12に接続され、基板収納容器であるポッド27-1~27-3を載置する載置部としてのロードポート29-1~29-3と、圧力制御される予備室としてのロードロック室14A、14Bと、真空搬送室としての搬送室16と、基板100に対する処理を行う処理室18A、18Bとを備えている。また、処理室18Aと処理室18Bとの間は、境界壁20によって遮られている。本実施形態では、基板100として例えばシリコンウェーハ等の半導体装置を製造する半導体ウェーハが使用される。
【0010】
本実施形態では、ロードロック室14A、14Bの各構成(ロードロック室14A、14Bに付随する構成も含む)がそれぞれ同様の構成となっている。このため、ロードロック室14A、14Bを「ロードロック室14」と総称する場合がある。
【0011】
また、本実施形態では、処理室18A、18Bの各構成(処理室18A、18Bに付随する構成も含む)がそれぞれ同様の構成となっている。このため、ロードロック室14A、14Bを「ロードロック室14」と総称する場合がある。
【0012】
ロードロック室14と搬送室16との間には、図2に示されるように、隣り合う室を連通する連通部22が形成されている。この連通部22は、ゲートバルブ24によって開閉されるようになっている。
【0013】
搬送室16と処理室18との間には、図2に示されるように、隣り合う室を連通する連通部26が形成されている。この連通部26は、ゲートバルブ28によって開閉されるようになっている。
【0014】
大気搬送室12には、ロードポート29-1~29-3にそれぞれ載置されたポッド27-1~27-3とロードロック室14との間において、基板100を搬送する大気側搬送装置としての大気ロボット30が設けられている。この大気ロボット30は、大気中にて同時に複数枚の基板100を搬送可能に構成されている。
【0015】
ロードロック室14には、基板100が搬送及び搬出されるようになっている。具体的には、ロードロック室14には、大気ロボット30によって未処理の基板100が搬入され、搬入された未処理の基板100が真空ロボット70によって搬出されるようになっている。一方、ロードロック室14には、真空ロボット70によって処理済みの基板100が搬入され、搬入された処理済みの基板100が大気ロボット30によって搬出されるようになっている。
【0016】
また、ロードロック室14の室内には、基板100を支持する支持具としてのボート32が設けられている。図4に示されるように、ボート32は、複数枚(例えば10~30枚)の基板100を所定間隔で多段に支持すると共に、基板100を水平に収容するように形成されている。具体的には、このボート32は、上板部34と下板部36とが複数(例えば3つ)の支柱部38によって接続された構造となっている。
【0017】
また、支柱部38の長手方向内側には、基板100を支持する複数(例えば10~30個)の支持溝40が所定間隔でそれぞれ平行に形成されている。
【0018】
また、複数の支柱部38のうち、一つの支柱部38の外面(支持溝40側と反対側の面)には、垂直面39が形成されている。この垂直面39は、ボート32で基板100を支持した状態で基板100の板面に対して垂直な方向(本実施形態では鉛直方向と同じ方向)に延びている。また、垂直面39が形成された部位においては、支柱部38の厚みが一定である。
【0019】
また、ボート32は、金属材料、好ましくは、熱伝導性に優れる金属材料(例えば、鉄、銅、アルミニウム)によって構成されている。
【0020】
なお、ボート32をアルミニウムで形成する場合、垂直面39をアルマイト処理しておくことが後述の温度センサ110を用いた温度測定の観点で好ましい。
【0021】
ロードロック室14を構成する天板部15Aには、ロードロック室14の内部と連通するガス供給管42が接続されている。ガス供給管42には、上流側から順に不活性ガス(例えば窒素ガスや希ガス)を供給する図示しないガス供給源、ガス供給バルブ43が設けられている。
【0022】
また、天板部15Aには、例えば冷却液循環流路等の図示しない冷却機構が設けられている。この冷却機構によって、ボート32に支持された基板100が冷却されるようになっている。具体的には、処理室18での処理後に熱をもった処理済み基板100が上記冷却機構によって冷却される。
【0023】
ロードロック室14を構成する底板部15Bには、ロードロック室14の内部と連通する排気管44が接続されている。排気管44には、下流側に向ってバルブ45、排気装置としての真空ポンプ46が設けられている。
【0024】
ここで、ゲートバルブ24、28により連通部22、26を閉塞した状態で、ガス供給バルブ43を閉塞した状態にする。この状態で、バルブ45を開放すると共に真空ポンプ46を作動させると、ロードロック室14の内部が真空排気され、ロードロック室14の内部を真空圧化(もしくは減圧化)させることができる。また、ゲートバルブ24、28により連通部22、26を閉塞した状態で、バルブ45を閉塞又はその開度を小さくすると共にガス供給バルブ43を開放し、ロードロック室14の内部に不活性ガスを導入することにより、ロードロック室14の内部を大気圧化させる。
【0025】
ロードロック室14を構成する外周壁部15Cには、図3に示されるように、基板100をロードロック室14内に搬入及び搬出するための開口部102が設けられている。具体的には、開口部102は、外周壁部15Cの大気ロボット30側に設けられている。大気ロボット30は、開口部102を介して基板100をボート32に支持させ、開口部102を介して基板100をボート32から取り出すようになっている。
【0026】
また、外周壁部15Cには、開口部102を開閉するためのゲートバルブ104が設けられている。
【0027】
また、外周壁部15Cには、窓部106が設けられている。この窓部106は、赤外線が透過可能な材料で形成されている。窓部106を形成する材料としては、例えば、ゲルマニウムが挙げられる。
【0028】
窓部106の室外側には、温度センサ110が設けられている。言い換えると、温度センサ110は、ロードロック室14の外側に配置されている。この温度センサ110は、ロードロック室14内のボート32の温度を非接触で測定可能なセンサ、すなわち非接触温度センサである。具体的には、温度センサ110は、処理済みの基板100を支持している状態のボート32の温度を非接触で測定する。この温度センサ110は、放射温度計であり、ボート32から放射される赤外線の強度を測定することでボート32の温度を測定する。より具体的には、温度センサ110は、窓部106を通してボート32の垂直面39から放射される赤外線の強度を測定してボート32の温度を測定している。なお、ボート32の温度測定時には、ボート32の垂直面39が温度センサ110の温度測定範囲111内に入るように、後述するコントローラ120によって駆動装置50が制御される。具体的には、ボート32の垂直面39が温度センサ110の温度測定範囲111内に入るように、コントローラ120が駆動装置50を制御してボート32の昇降位置及び回転角度が調整される。図4では、垂直面39の上下方向においてほぼ同じ間隔で5つの温度測定範囲111が設定され、それぞれの範囲の温度測定を行う例について示されている。
なお、本実施形態では、非接触温度センサである温度センサ110として放射温度計を用いているが、パイロメータを用いてもよい。
【0029】
また、温度センサ110は、ボート32が昇降することによりボート32の上下方向の端部まで温度測定が可能な位置に配置されている。なお、本実施形態では、図3に示されるように、温度センサ110は、外周壁部15Cの下部側に配置されている。これにより、ボート32が最も高い位置まで上昇した際に、ボート32の下端部の温度が温度センサ110により測定可能となっている。
【0030】
ロードロック室14の底板部15Bには、このロードロック室14の内外を連通する開口部48が形成されている。ロードロック室14の下方には、開口部48を介してボート32を昇降及び回転させる駆動装置50が設けられている。
【0031】
駆動装置50は、ボート32を支持する支持軸としてのシャフト52と、このシャフト52を囲うように設けられた伸縮自在な図示しないベローズと、これらシャフト52及びベローズの下端が固定される固定台56と、シャフト52を介してボート32を昇降させる昇降駆動部58と、この昇降駆動部58と固定台56とを接続する接続部材60と、ボート32を回転させる回転駆動部62と、を備えている。
【0032】
昇降駆動部58は、複数の基板100が多段に積載される方向にボート32を昇降させるように構成されている。
【0033】
ベローズの上端は、ロードロック室14を構成する底板部15Bに形成された開口部48の周囲に固定されている。
【0034】
回転駆動部62は、複数の基板100が多段に積載される方向を軸としてボート32を回転させるように構成されている。具体的には、回転駆動部62は、シャフト52を軸としてボート32を回転させるようになっている。
【0035】
搬送室16には、ロードロック室14と処理室18との間で基板100を搬送する真空側搬送装置としての真空ロボット70が設けられている。真空ロボット70は、基板100を支持して搬送する基板搬送部72と、この基板搬送部72を昇降及び回転させる搬送駆動部74とを備えている。
【0036】
基板搬送部72には、アーム部76が設けられている。このアーム部76には、基板100が載置されるフィンガ78が設けられている。なお、アーム部76には、上下方向に所定間隔で複数のフィンガが設けられてもよい。また、アーム部76が複数段積層されてもよい。また、フィンガ78は、略水平方向に伸縮自在に構成されている。
【0037】
ロードロック室14から処理室18への基板100の移動は、真空ロボット70によって、連通部22を介してボート32に支持された基板100を搬送室16内に移動させ、続いて、連通部26を介して処理室18内へ移動させることにより行われる。
【0038】
また、処理室18からロードロック室14への基板100の移動は、真空ロボット70によって、連通部26を介して処理室18内の基板100を搬送室16内に移動させ、続いて、連通部22を介してボート32に支持させることにより行われる。
【0039】
処理室18には、第1処理部80と、この第1処理部80よりも搬送室16から遠い位置に配置された第2処理部82と、この第2処理部82と真空ロボット70との間で基板100を搬送する基板移動部84と、が設けられている。
【0040】
第1処理部80は、基板100を載置する載置台92と、この載置台92を加熱するヒータ94とを備える。
【0041】
第2処理部82は、基板100を載置する載置台96と、この載置台96を加熱するヒータ98とを備える。
【0042】
第1処理部80及び第2処理部82は、基板100を同様に処理できるように構成されている。
【0043】
基板移動部84は、基板100を支持する移動部材86と、境界壁20近傍に設けられた移動軸88とにより構成される。移動部材86は、移動軸88を軸として回転及び昇降自在に設けられている。
【0044】
また、基板移動部84は、移動部材86を第1処理部80側へ回転させることで、この第1処理部80側において真空ロボット70との間で基板100を授受する。このようにして、基板移動部84は、真空ロボット70によって搬送された基板100を第2処理部82の第2の載置台96に移動させ、また、第2載置台96に載置された基板100を真空ロボット70へ移動させる。
【0045】
基板処理装置10は、図6に示すように、制御部としてのコントローラ120を備えている。このコントローラ120は、CPU(Central Processing Unit)121A、RAM(Random Access Memory)121B、記憶装置121C、I/Oポート121Dを備えたコンピュータとして構成されている。
【0046】
RAM121B、記憶装置121C、I/Oポート121Dは、内部バス121Eを介して、CPU121Aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ120には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置122が接続されている。
【0047】
記憶装置121Cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置121C内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理の手順や条件等が記載されたプロセスレシピ等が、読み出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する基板処理工程における各手順をコントローラ120に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単に、プログラムともいう。また、プロセスレシピを、単に、レシピともいう。本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、レシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。RAM121Bは、CPU121Aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0048】
I/Oポート121Dは、温度センサ110、大気ロボット30、真空ロボット70、駆動装置50、ゲートバルブ24、ゲートバルブ28、ゲートバルブ104、ガス供給バルブ43、バルブ45、真空ポンプ46、基板移動部84、第1ヒータ94、第2ヒータ98等に接続されている。
【0049】
CPU121Aは、記憶装置121Cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置122からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置121Cからレシピを読み出すように構成されている。CPU121Aは、読み出したレシピの内容に沿うように、大気ロボット30、真空ロボット70、駆動装置50及び基板移動部84による基板100の搬送動作、ゲートバルブ24、ゲートバルブ28及びゲートバルブ104の開閉動作、ガス供給バルブ43、バルブ45及び真空ポンプ46による流量・圧力調節動作、第1ヒータ94及び第2ヒータ98による温度調整動作等を制御することが可能なように構成されている。
【0050】
コントローラ120は、外部記憶装置(例えば、ハードディスク等の磁気ディスク、CD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリ等の半導体メモリ)123に格納された上述のプログラムを、コンピュータにインストールすることにより構成することができる。記憶装置121Cや外部記憶装置123は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成されている。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置121C単体のみを含む場合、外部記憶装置123単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。なお、コンピュータへのプログラムの提供は、外部記憶装置123を用いず、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行ってもよい。
【0051】
また、コントローラ120は、ボート32の温度を測定した温度センサ110から温度情報を取得するようになっている。コントローラ120は、取得した温度情報に基づいて、基板100の温度を求める(算出する)。本実施形態では、垂直面39の温度センサ110による温度測定位置に対応する部位に位置する基板100の温度が、温度センサ110で測定した温度に基づいて求められる。基板100の温度の算出は、例えば、垂直面39の温度測定位置に対応する部位の温度と、その部位に支持された基板100の温度との関係を予め実験等により取得しておき、当該関係に基づいて行うことができる。なお、垂直面39の温度センサ110による一つの温度測定位置に対応する部位に支持された基板100が複数枚ある場合には、この複数枚の基板100の温度を全て温度センサ110の一つの温度測定位置で測定された温度としてもよい。
【0052】
さらに、コントローラ120は、ボート32の温度測定時には、ボート32の垂直面39が窓部106に向くように、駆動装置50の回転駆動部62を制御する。具体的には、コントローラ120は、ボート32の温度測定時には、ボート32の垂直面39が窓部106の外側に配置された温度センサ110を向くように、駆動装置50の回転駆動部62を制御して、ボート32の回転角度を調整するようになっている。そして、コントローラ120は、ボート32の温度測定時には、ボート32の垂直面39が窓部106に向いた状態で窓部106に対して上下方向に移動(昇降)するように昇降駆動部58を制御して、垂直面39を複数位置で温度測定させるようになっている。言い換えると、コントローラ120は、温度センサ110の温度測定範囲111内に垂直面39が入った状態で、ボート32の昇降方向における垂直面39と温度センサ110との相対的な位置を変えるように、複数の基板100を支持した状態のボート32を昇降させる昇降処理を行う。この昇降処理によって、温度センサ110によって垂直面39の複数位置で温度が測定され、垂直面39の複数の測定位置の温度情報がコントローラ120で取得されるようになっている。また、温度センサ110によって垂直面39の複数の測定位置の温度情報が取得されると、コントローラ120は、取得した各測定位置の温度情報に基づいて、各測定位置に対応する部位に支持された基板100の温度をそれぞれ求める(算出する)。
【0053】
そして、コントローラ120は、ボート32の温度測定時には、駆動装置50を制御して、ボート32を上方及び下方にそれぞれ少なくとも一回移動させるようになっている。言い換えると、コントローラ120は、ボート32を初期位置から上昇(又は下降)させた後、ボート32を下降させて初期位置へ戻す動作を1回の昇降動作としている。なお、ボート32を上昇及び下降させるときには、上昇時と下降時に垂直面39の同じ位置で温度測定を行うことが好ましい。このように同じ測定位置で複数回の温度情報を測定することで、コントローラ120には同じ測定位置で複数回温度情報が取得される。なお、同じ測定位置で複数回の温度情報を取得した場合、温度情報の平均値又は最新の温度情報に基づいて基板100の温度を求めることが可能である。
【0054】
また、コントローラ120は、処理済みの基板100がボート32に支持され、ロードロック室14内で所定時間冷却された後に、温度センサ110を用いてボート32の温度を測定し、ロードロック室14から大気搬送室12への搬出の可否を判定する。ここで、基板100の大気搬送室12への搬出の可否判定は、ボート32の温度が予め設定した閾値以下の場合に可と判定され、閾値を超える場合には否と判定される。コントローラ120は、基板100の搬出を可と判定すると、ロードロック室14のゲートバルブ104を開き、大気ロボット30で基板100を搬出する。一方、基板100の搬出が否と判定された場合には、コントローラ120は、更に所定時間経過した後で、再度、ボート32の温度を測定する。なお、垂直面39の複数位置で温度測定する場合、少なくとも1つの測定位置の温度情報が閾値を超える場合には基板100の搬出は否と判定してもよい。また、この場合、垂直面39の複数位置でそれぞれ測定された測定温度の平均を算出し、この平均が閾値を超える場合には基板100の搬出は否と判定してもよい。また、ボート32の温度に基づいて基板100の温度を求め、この基板100の温度が予め設定した閾値を超えるか否かで基板100の搬出の可否を判定してもよい。また、垂直面39の複数位置で温度測定することにより、複数位置に支持された基板100の温度をそれぞれ求めた場合、少なくとも1枚の基板100の温度が閾値を超える場合には基板100の搬出を否と判定してもよい。
【0055】
また、コントローラ120は、ロードロック室14Aに設けられた温度センサ110により測定された垂直面39の温度又は基板100の温度と、ロードロック室14Bに設けられた温度センサ110により測定された垂直面39の温度又は基板100の温度とに基づいて、ロードロック室14又はロードロック室14Bを介して大気搬送室12と搬送室16の間で基板100を搬送する経路を変更するように、大気ロボット30の搬送動作及び真空ロボット70の搬送動作を制御するように構成されてもよい。具体的には、コントローラ120は、例えば、ロードロック室14Aとロードロック室14Bの各々のボート32に支持された基板100の温度をそれぞれ求めることで、ロードロック室14Aとロードロック室14Bのどちらが早く処理済みの基板100を大気搬送室12へ搬出するかを推定し、より早く処理済み基板100が搬出されるロードロック室14に次の処理済み基板100の経路を変更するように構成されてもよい。
【0056】
さらにコントローラ120は、ロードロック室14Aにおいて温度センサ110から取得したボート32の温度と、ロードロック室14Bにおいて温度センサ110から取得したボート32の温度が近づくように、搬送室16からロードロック室14Aに処理済みの基板100を搬入する頻度と、搬送室16からロードロック室14Bに処理済みの基板100を搬入する頻度を変更するように構成されてもよい。
【0057】
(半導体装置の製造方法)
次に、基板処理装置10を用いた半導体装置の製造方法、すなわち、基板100の処理手順について説明する。なお、基板処理装置10の各構成部は上記のようにコントローラ120によって制御される。
【0058】
まず、大気ロボット30によって、ポッド27-1~27-3に収納されている基板100を、大気搬送室12内に搬出する。
【0059】
次に、ロードロック室14内を大気圧化したのち、ゲートバルブ104を開放する。具体的には、ガス供給管42のガス供給バルブ43を開き、不活性ガスをロードロック室14内へ供給する。このようにして、ロードロック室14内を大気圧化した後、ゲートバルブ104を開放する。
【0060】
次に、ロードロック室14内に基板100を搬入する。具体的には、大気ロボット30によって、大気搬送室12内に搬入された基板100をロードロック室14内に搬送し、室内のボート32の支持溝40に基板100を載置する。これにより、基板100がボート32によって支持される。
【0061】
次に、ゲートバルブ104を閉塞した後、ロードロック室14内を真空圧化する。具体的には、ボート32が所定枚数の基板100を支持した後、排気管44のバルブ45を開き真空ポンプ46によって、ロードロック室14内を排気する。このようにして、ロードロック室14内を真空圧化する。なお、このとき、搬送室16及び処理室18は真空圧化している。
【0062】
次に、基板100をロードロック室14から処理室18へ搬送する。具体的には、まず、ゲートバルブ24を開く。このとき、昇降駆動部58は、ボート32に支持された基板100が真空ロボット70で取り出せるようにボート32を昇降させる。回転駆動部62は、ボート32の基板取り出し口が搬送室16側を向くように、このボート32を回転させる。
【0063】
真空ロボット70は、アーム部76のフィンガ78をボート32方向へ延伸し、これらフィンガ78に基板100を載置する。フィンガ78を収縮した後、アーム部76を処理室18側に向くよう回転させる。次いで、フィンガ78を延伸し、ゲートバルブ28が開かれた連通部26を介して、基板100を処理室18内へ搬入する。
【0064】
処理室18において、フィンガ78に載置された基板100は、処理部80の載置台92に載置される、又は、処理部80側で待機する移動部材86に受け渡される。移動部材86は、基板100を受け取った後、処理部82側へ回転して載置台96にこの基板100を載置する。
【0065】
そして、処理室18において、基板100に例えばアッシング処理等の所定の処理を行う。これらの所定の処理において、ヒータにより加熱されたり、処理によって生じる反応熱などにより加熱されたりすることで、基板100の温度は上昇する。
【0066】
次に、処理後の基板100を処理室18からロードロック室14へ搬送する。処理室18からロードロック室14への基板100の搬送(搬入)は、基板100を処理室18に搬入させた動作とは逆の手順で行われる。このとき、ロードロック室14内は真空圧化状態が維持されている。
【0067】
ロードロック室14へ処理済みの基板100が搬入され、ボート32に基板100が所定の間隔で多段に支持されると、ゲートバルブ24を閉塞し、ロードロック室14内を大気圧化する。具体的には、ガス供給管42のガス供給バルブ43を開き、不活性ガスをロードロック室14内へ供給する。このようにして、ロードロック室14内を不活性ガスにより大気圧化させる。ここで、ボート32及びボート32により支持された基板100は、上記冷却機構と、ロードロック室14内に供給された不活性ガスによって冷却される。ロードロック室14での基板100の冷却は、所定時間T1の間行われる。なお、供給される不活性ガスは、冷却を促進させるため、予めガス供給管42の前段において冷却されていてもよい。
【0068】
また、ボート32への処理済みの基板100の装填(載置)が完了すると、ボート32を、冷却を行う位置まで上昇又は下降させる。本実施形態では、ボート32を最も高い位置まで上昇させた状態で冷却を行うことにより、冷却機構による冷却を促進させている。
【0069】
次に、基板100が所定時間T1の間冷却された後、コントローラ120は、図5に示されるように、温度センサ110によるボート32の温度測定を開始する(ステップS132)。このステップS132では、複数の基板100を支持している状態のボート32の温度を温度センサ110で測定する。具体的には、コントローラ120は、回転駆動部62を制御してボート32の垂直面39が窓部106を通して温度センサ110を向くようにボート32を回転させる。本実施形態では、ゲートバルブ104から基板100を搬出する際のボート32の回転位置と同じ位置までボート32を回転させる。また、昇降駆動部58を制御してボート32の垂直面39が窓部106を通して温度センサ110に対して上下方向に相対的に移動するようにボート32を昇降させる。このように垂直面39が温度センサ110の温度測定範囲111内に入るようにすることで、垂直面39の温度測定を確実に行うことができる。
【0070】
より具体的には、ボート32を回転させた後、昇降駆動部58により、冷却中に最も高い位置まで上昇していたボート32を、最も低い位置まで下降させる。その過程において、垂直面39の下端部から上端部までの温度を、温度センサ110により走査(スキャン)するように測定する。また、最も低い位置まで下降させた後、再び、最も高い位置までボート32を上昇させ、同様にその過程において、垂直面39の上端部から下端部までの温度を、温度センサ110により走査するように測定する。これにより、垂直面39の上端部から下端部までの間の温度を少なくとも2回以上取得し、温度測定の精度を高めることができる。ただし、当該温度測定動作は、垂直面39の下端から上端までの全体に亘って行う必要はなく、少なくとも複数の測定箇所における温度を測定することにより、ボート32に支持された複数の基板100の温度分布を取得することができる。
【0071】
次に、コントローラ120は、温度センサ110で測定されたボート32の温度情報を取得し、取得した温度情報と予め設定された閾値を比較する(ステップS134)。ステップS134では、コントローラ120は、取得した温度情報が上記閾値以下の場合には、ボート32で支持された基板100が十分に冷却されたと判定し、ステップS136へ移行する。一方、取得した温度情報が上記閾値を超える場合には、ボート32で支持された基板100が十分に冷却されていないと判定し、ステップS132へ戻る。なお、ステップS132へ戻るときには、例えば所定時間T1経過後、ステップS132を実行する。また、ステップS132を再実行するまでの時間は、所定時間T1よりも短い所定時間T2としてもよい。また、コントローラ120は、取得した温度情報と閾値との差分を算出し、算出した差分の大きさに応じて、ステップS132を再実行するまでの時間を異ならせるように設定してもよい。
【0072】
なお、ステップS134では、コントローラ120は、温度センサ110から取得したボート32の温度情報と閾値を比較している。しかし、コントローラ120はステップS134において、上述の通り、取得したボート32の温度情報に基づいて各測定位置に対応する部位に支持された基板100の温度を算出し、算出した基板100の温度と予め設定された閾値を比較することにより、同様の判定を行ってもよい。
【0073】
また、少なくともステップS134において、基板100が十分に冷却されたと判定されるまでの間、ガス供給管42からの不活性ガスの供給は継続されることが望ましい。この場合、排気管44のバルブ45の開度を小さくした状態で開き、真空ポンプ46によって、ロードロック室14内の圧力が一定に維持されるように継続的に排気を行う。
【0074】
ステップS136では、ゲートバルブ104を開く。なお、本実施形態では、基板100をロードロック室14内に搬入した後に、ロードロック室14内を大気圧化させたが、ステップS134において基板100の搬出を可と判定した後に、ロードロック室14内を大気圧化させてもよい。ただし、スループットの向上や、基板100の冷却速度向上の観点からは、ロードロック室14内の大気圧化は、基板100の搬入完了とともに開始することが好ましい。
【0075】
次に、ロードロック室14から大気側へ冷却済みの基板100を搬出する(ステップS138)。具体的には、ゲートバルブ104が開いたロードロック室14から、大気ロボット30を用いて大気搬送室12に基板100を搬出する。
このようにして、基板100の搬送動作を完了する。また、冷却済みの基板100が大気搬送室12に搬送されることで、半導体装置である基板100の製造が完了する。
【0076】
(プログラム)
本実施形態に係るプログラムは、基板100が搬入及び搬出されるロードロック室14と、ロードロック室14内に設けられ、複数の基板100を所定の間隔で多段に支持するボート32と、基板100を支持している状態のボート32の温度を非接触で測定可能な温度センサ110と、を備える基板100の処理装置に実行させるプログラムであって、ロードロック室14内に複数の処理済みの基板100を搬入し、ロードロック室14内に設けられたボート32に複数の基板100を所定の間隔で多段に支持させる手順と、複数の基板100を支持している状態のボート32の温度を非接触の温度センサ110で測定する手順と、を実行させるプログラムである。
【0077】
次に、本実施形態に係る作用について説明する。
ロードロック室から搬出される基板の温度が変動すると、基板が高温な状態で大気と反応し望まない酸化を生じさせたり、装置や部品を破損させたりすることがある。そのため、ロードロック室内の処理済みの基板の温度を把握することが求められている。例えば、熱電対(TC)等の接触式温度センサを用いる場合、基板と熱電対との接触によりパーティクルが発生することがある。また、ボートが駆動する場合には、TC等の配線を行うことが困難となることがある。そのため、非接触で温度測定が可能な温度センサを用いて基板の温度測定を行うことが望ましい。しかし、基板を非接触の温度センサで直接測定すると、基板の種類やロードロック室内の位置によって、正確に温度測定することが困難なことがある。例えば、Siウェーハ等の半導体ウェーハのように、温度によって赤外線の放射率が大きく変化する材質で構成された基板の温度測定を行う場合、特定の放射率を基に温度の測定を行う放射温度計などの非接触の温度センサでは、正確な基板の温度を測定するのが困難なことがある。更に、例えばSiウェーハ等のような赤外線の透過率が大きい(放射率が小さい)材質の基板の温度測定を行う場合、他の熱源から放射される赤外線を基板が透過して、その赤外線を非接触センサが受光してしまうことで、温度測定対象である基板自体の温度を正確に測定することができないことがある。また、ロードロック室内の基板の位置によって透過される赤外線の量が異なることとなり、複数の基板の温度をそれぞれ正確に測定することができないことがある。
【0078】
これに対して、本実施形態では、ロードロック室14から搬出される基板の温度を把握しておくことで、ロードロック室14から搬出される基板100の温度を正確に管理することができる。そのため、例えばロードロック室14から搬出される基板100の温度を制限することで、基板100が高温な状態で大気と反応し望まない酸化を生じさせたり、装置や部品を破損させたりすることを抑制することができる。また、例えば、ロードロック室14から搬出される基板100の温度のバラつきを抑制し、温度のバラつきによる影響(酸化度合いのバラつき、等)を低減することができる。
【0079】
さらに、本実施形態では、基板100を支持している状態のボート32の温度を非接触で測定するように構成された温度センサ110を備えることにより、基板100の種類(特に反射率や透過率等の特性)やロードロック室14内の位置によらず、ボート32に支持された基板100の温度を正確に把握し、その温度管理を容易に行うことが可能となる。
【0080】
また、本実施形態では、コントローラ120が測定したボート32の温度に基づいて、基板100の温度を求めることができる。このため、ボート32に支持された基板100の温度を正確に把握することができる。
【0081】
また、本実施形態では、ボート32の垂直面39は、温度センサ110のスポット径(温度測定範囲111)よりも広い面である。ボート32の温度測定時には、温度センサ110のスポット径内に基板100が入らない位置にボート32を回転させることで、ボート32の温度を正確に測定することが可能となる。
【0082】
本実施形態では、支持された複数の基板100に対応した垂直面39の複数の位置の温度を測定するため、各基板100の温度をそれぞれ算出することができる。
【0083】
また、本実施形態では、垂直面39が温度センサ110に対向するようにボート32を回転させることで、温度センサ110の温度測定範囲111の全体が垂直面39に入るようにしている。これにより、ボート32の温度測定を基に基板100の温度を正確に把握することができる。
【0084】
本実施形態では、固定された温度センサ110によって、ボート32の複数の位置で温度が測定及び取得される。したがって、温度センサ110で温度を測定及び取得したボート32の垂直面39の各位置に載置された基板100の温度を求めることができる。
【0085】
本実施形態では、ボート32の垂直面39を窓部106を通して温度センサ110に対向させた後に昇降動作を行うことで、固定された温度センサ110によって、垂直面39の温度をより正確に測定及び取得することができる。また、ボート32の垂直面39の複数位置の温度を連続して複数回(2回以上)測定することで、より安定して温度を測定することが可能となる(すなわち、外乱の影響を抑制することができる。)
【0086】
本実施形態では、不活性ガスによりロードロック室14内の圧力を上昇させることにより、ロードロック室14内に支持された基板100からの放熱を促進し、ロードロック室14内で基板100を冷却することができる。また、ボート32の温度を測定することにより、不活性ガス雰囲気下で冷却された基板100の温度を求めることができる。これにより、ロードロック室14内の基板100が予め設定した閾値以下となるまでロードロック室14内で冷却を行った後、搬出することができる。
【0087】
本実施形態では、温度センサ110をロードロック室14外に設けることにより、温度センサ110の設置やメンテナンスが容易となる。また、温度センサ110に高い耐熱性が不要になる。
【0088】
本実施形態では、測定する温度帯における温度変化に対する赤外線の放射率の変化が基板を構成する材質よりも小さい材質であるアルミニウム等により、ボート32を構成している。そして、基板100を支持している状態のボート32の温度を測定することにより、基板100が温度変化に対する赤外線の放射率の変化が大きい材質により構成される場合であっても、ボート32に支持された基板100の温度を正確に把握し、その温度管理を容易に行うことが可能となる。また、本実施形態では、測定する温度帯における赤外線の透過率及び反射率の少なくとも一方(望ましくは両方)が、基板を構成する材質より小さい(又は、放射率が基板を構成する材質よりも大きい)材質であるアルミニウム等により、ボート32を構成している。したがって、基板100の種類(特に反射率や透過率)やロードロック室14内の位置によらず、ボート32に支持された基板100の温度を正確に把握し、その温度管理を容易に行うことが可能となる。特に、ボート32を構成する材質は、赤外線に対して実質的に不透明であることが望ましい。
【0089】
また、本実施形態では、垂直面39の少なくとも表面を、基板100よりも赤外線の反射率がより小さくなるように(すなわち放射率が大きくなるように)アルマイト処理している。これにより上述の効果をより顕著に得ることができる。
【0090】
本実施形態では、垂直面39に対応する部分の厚みを一定としていることから、積載された基板100の温度と測定されたボート32の温度との相関が一定となり、基板100の温度を求めることが容易となる。
【0091】
本実施形態では、条件に応じてコントローラ120が基板100の搬送経路を変更するため、ロードロック室14から搬出される基板100の温度の偏りを低減したり、ボート32の温度の偏りを低減して基板100の冷却時間を短縮したりすることができる。
【0092】
<他の実施形態>
本開示は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、上述の実施形態では、温度センサ110がロードロック室14の外周壁部15Cの下部側に配置されているが、本開示はこの構成に限定されない。温度センサ110がボート32端部の温度測定が可能であれば、ロードロック室14のどの位置に設けてもよい。なお、外周壁部15Cの温度センサ110を設ける部位には、窓部106を設ける。
【0093】
また、上述の実施形態では、ロードロック室14の室内において基板100を所定時間冷却した後で、温度センサ110によるボート32の温度測定をしているが、本開示はこの構成に限定されない。例えば、ロードロック室14での基板100の冷却中に、ボート32の一部の温度を継続して測定し、測定していた温度センサ110からの温度情報が予め設定した閾値以下となった場合に、温度センサ110によるボート32の温度測定をしてもよい。
【0094】
また、上述の実施形態では、ロードロック室14に窓部106を1箇所設け、この窓部106に温度センサ110を1箇所配置しているが、本開示はこの構成に限定されない。例えば、ロードロック室14に複数の窓部106を設け、これらの窓部106にそれぞれ温度センサ110を配置してもよいし、大きい一つの窓部106を形成し、この窓部106に複数の温度センサ110を配置してもよい。
【0095】
また、上述の実施形態では、ボート32の温度が閾値を超えている場合には、ロードロック室14から基板100が大気側へ搬出されるのが停止されるが、本開示はこの構成に限定されず、搬出の停止と共に、インタフェースを介してアラーム通知を行ってもよい。
【0096】
なお、2021年3月15日に出願された日本国特許出願2021-041543号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【符号の説明】
【0097】
10 基板処理装置
14 ロードロック室
32 ボート
39 垂直面
58 昇降駆動部
100 基板
110 温度センサ
120 コントローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6