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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】半導体集積回路
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/06 20060101AFI20241022BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20241022BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
H01L27/06 311C
H01L27/04 H
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021009986
(22)【出願日】2021-01-26
(65)【公開番号】P2022113951
(43)【公開日】2022-08-05
【審査請求日】2023-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】石丸 賢一
【審査官】岩本 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-074012(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0367830(US,A1)
【文献】特開2020-065161(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2022/0107345(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/06
H01L 21/822
H01L 27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲートに制御信号を入力し、ドレインを第1の端子に接続したNMOSトランジスタと、
コレクタを共通接続し、エミッタを前記第1の端子又は第2の端子にそれぞれ接続した第1のバイポーラトランジスタおよび第2のバイポーラトランジスタと、ベースを前記第1のバイポーラトランジスタおよび前記第2のバイポーラトランジスタの共通接続されたコレクタに接続し、双方向のエミッタの一方を前記第1のバイポーラトランジスタのベースと抵抗素子を介して前記第1のバイポーラトランジスタのエミッタとに接続し、双方向のエミッタの他方を前記第2のバイポーラトランジスタのベースと抵抗素子を介して前記第2のバイポーラトランジスタのエミッタとに接続した第3のバイポーラトランジスタとからなる双方向型静電気放電保護素子と、を備えた半導体集積回路において、
前記NMOSトランジスタのソースにアノードを接続し、カソードを前記第2の端子に接続したダイオードを備え、
前記NMOSトランジスタのソースと前記ダイオードのアノードとの接続点に、第3の端子を接続したことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項2】
P型基板上に、
ゲートに制御信号を入力し、ドレインを第1の端子に接続したNMOSトランジスタと、
コレクタを共通接続し、エミッタを前記第1の端子又は第2の端子にそれぞれ接続した第1のバイポーラトランジスタおよび第2のバイポーラトランジスタと、ベースを前記第1のバイポーラトランジスタおよび前記第2のバイポーラトランジスタの共通接続されたコレクタに接続し、双方向のエミッタの一方を前記第1のバイポーラトランジスタのベースと抵抗素子を介して前記第1のバイポーラトランジスタのエミッタとに接続し、双方向のエミッタの他方を前記第2のバイポーラトランジスタのベースと抵抗素子を介して前記第2のバイポーラトランジスタのエミッタとに接続した第3のバイポーラトランジスタとからなる双方向型静電気放電保護素子と、を備えた半導体集積回路において、
前記NMOSトランジスタのソースにアノードを接続し、カソードを前記第2の端子に接続したダイオードを備え、
前記NMOSトランジスタのソースと前記ダイオードのアノードとの接続点に、前記P型基板に接続する第3の端子を接続したことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項3】
請求項1又は請求項2いずれか記載の半導体集積回路において、
前記第1の端子と前記第2の端子との間に、前記双方向型静電気放電保護素子を直列に複数接続したことを特徴とする半導体集積回路
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、P型基板上に形成されたNMOSトランジスタを含む半導体集積回路であって、ノイズやサージ電圧からNMOSトランジスタを保護する保護素子を備えた半導体集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば有線ネットワークの出力回路では、出力端子から入力する静電気ノイズから出力回路を保護するため、出力回路を構成するトランジスタをN型のDMOSFET(Double Diffused MOSFET)で構成している。また、出力端子の電圧が負電圧となった場合、DMOSFETのドレイン、ソース間の寄生ダイオード(ボディダイオード)が存在することで十分な耐量確保を図ることができないことから、静電気(ESD:Electro-Static Discharge)保護素子を備える構成としている。例えば静電気保護素子は、双方向サイリスタで構成することができる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第9659922号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
出力端子とグランド端子間に接続されたN型のDMOSFETのようなNMOSトランジスタとその保護素子となる双方向サイリスタ(双方向型静電気放電保護素子)とをP型基板上に形成する場合、P型基板と回路素子を構成するN型領域とで寄生ダイオードが形成される。ここで、保護素子となる双方向サイリスタが接続する出力端子とグランド端子とに極性の異なるESDが印加された場合、ESDの極性により保護素子の特性が異なることが知られている。これは、ESDの極性により寄生ダイオードがオンすることにより等価的に形成される寄生トランジスタがオンする場合と、この寄生トランジスタが形成されない場合との動作の差によるためである。そこで本発明は、P型基板上に被保護素子であるNMOSトランジスタと保護素子である双方向サイリスタとを形成した場合に、寄生トランジスタの影響を受けずに所望の特性を得ることができる半導体集積回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本願請求項1に係る発明は、ゲートに制御信号を入力し、ドレインを第1の端子に接続したNMOSトランジスタと、コレクタを共通接続し、エミッタを前記第1の端子又は第2の端子にそれぞれ接続した第1のバイポーラトランジスタおよび第2のバイポーラトランジスタと、ベースを前記第1のバイポーラトランジスタおよび前記第2のバイポーラトランジスタの共通接続されたコレクタに接続し、双方向のエミッタの一方を前記第1のバイポーラトランジスタのベースと抵抗素子を介して前記第1のバイポーラトランジスタのエミッタとに接続し、双方向のエミッタの他方を前記第2のバイポーラトランジスタのベースと抵抗素子を介して前記第2のバイポーラトランジスタのエミッタとに接続した第3のバイポーラトランジスタとからなる双方向型静電気放電保護素子と、を備えた半導体集積回路において、前記NMOSトランジスタのソースにアノードを接続し、カソードを前記第2の端子に接続したダイオードを備え、前記NMOSトランジスタのソースと前記ダイオードのアノードとの接続点に、第3の端子を接続したことを特徴とする。
【0006】
本願請求項2に係る発明は、P型基板上に、ゲートに制御信号を入力し、ドレインを第1の端子に接続したNMOSトランジスタと、コレクタを共通接続し、エミッタを前記第1の端子又は第2の端子にそれぞれ接続した第1のバイポーラトランジスタおよび第2のバイポーラトランジスタと、ベースを前記第1のバイポーラトランジスタおよび前記第2のバイポーラトランジスタの共通接続されたコレクタに接続し、双方向のエミッタの一方を前記第1のバイポーラトランジスタのベースと抵抗素子を介して前記第1のバイポーラトランジスタのエミッタとに接続し、双方向のエミッタの他方を前記第2のバイポーラトランジスタのベースと抵抗素子を介して前記第2のバイポーラトランジスタのエミッタとに接続した第3のバイポーラトランジスタとからなる双方向型静電気放電保護素子と、を備えた半導体集積回路において、前記NMOSトランジスタのソースにアノードを接続し、カソードを前記第2の端子に接続したダイオードを備え、前記NMOSトランジスタのソースと前記ダイオードのアノードとの接続点に、前記P型基板に接続する第3の端子を接続したことを特徴とする。
【0007】
本願請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2いずれか記載の半導体集積回路において、前記第1の端子と前記第2の端子との間に、前記双方向型静電気放電保護素子を直列に複数接続したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の半導体集積回路は、寄生トランジスタ(寄生ダイオード)の影響を受けることがないので、第1の端子と第2の端子に対して極性の異なるESDが印加した場合でも、極性によらず同等のESD耐性を得ることができる。特に一般的な半導体集積回路に用いられているP型基板上に、被保護素子としてNMOSトランジスタと保護素子として双方向サイリスタを形成する場合に、P型基板とN型領域とで形成される寄生ダイオードの影響を受けない構成とすることができ、適用範囲の広い半導体集積回路である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】双方向サイリスタの説明図である。
図2】NMOSトランジスタと双方向サイリスタをP型基板上に形成した一般的な半導体集積回路の説明図である。
図3】寄生トランジスタがオンした場合の双方サイリスタの等価回路である。
図4】本発明の半導体集積回路の説明図である。
図5】本発明の半導体集積回路の回路構成の説明図である。
図6】本発明の第1の実施例の半導体集積回路の説明図である。
図7】本発明の第2の実施例の半導体集積回路の説明図である。
図8】本発明の第3の実施例の半導体集積回路の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の半導体集積回路は、被保護素子としてNMOSトランジスタを、保護素子として双方向サイリスタ(双方向型静電気放電保護素子に相当)を含み、寄生トランジスタ(寄生ダイオード)の影響を受けることのない構成としている。
【0011】
まず、保護素子である双方向サイリスタについて説明する。双方向サイリスタは、2つのNPNトランジスタのコレクタを共通接続し、それぞれベースおよびエミッタを短絡させた2端子とすることで、2端子間にpnpn接合を形成する構成となっている。
【0012】
一般的な半導体集積回路では、このような双方向サイリスタはP型のシリコン基板(P型基板)上に形成される。図1は、P型基板上に形成した双方向サイリスタの説明図である。図1に示すように、P型基板1上にはN型エピタキシャル層2が積層し、高濃度のP型領域からなる素子分離領域3で区画された保護素子形成領域に双方向サイリスタが形成される。
【0013】
図1に示すように、P型基板1とN型エピタキシャル層2との間にN型埋込層4と、N型エピタキシャル層2表面からN型埋込層4に達する高濃度のN型拡散領域5が形成されている。N型拡散領域5を挟んだ2つのN型エピタキシャル層2は、NPNトランジスタ形成領域となる。このNPNトランジスタ形成領域は、それぞれ、P型拡散領域6a、6bと、このP型拡散領域6a、6bの表面に高濃度のP型拡散領域7a、7bと高濃度のN型拡散領域8a、8bとが形成されている。
【0014】
一方のNPNトランジスタ形成領域のP型拡散領域7aとN型拡散領域8aを第1の端子T1に共通接続し、他方のNPNトランジスタ形成領域のP型拡散領域7bとN型拡散領域8bを第2の端子T2に共通接続すると、図1に示すような双方向サイリスタが形成される。
【0015】
図1に示す双方向サイリスタについてさらに詳細に説明すると、N型拡散領域8aをエミッタ、P型拡散領域6aをベース、N型拡散領域5をコレクタとする第1のNPNトランジスタQ1と、N型拡散領域8bをエミッタ、P型拡散領域6bをベース、N型拡散領域5をコレクタとする第2のNPNトランジスタQ2が、第1の端子T1と第2の端子T2との間に形成される。さらに、P型拡散領域6a、6bをコレクタ又はエミッタ、N型エピタキシャル層2、N型埋込層4およびN型拡散領域5をベースとするPNPトランジスタQ3が第1の端子T1と第2の端子T2との間に形成される。なお抵抗素子は、それぞれP型拡散領域6a、6b内の抵抗成分を示している。
【0016】
このような構造の双方向サイリスタでは、第1の端子T1と第2の端子T2との間にESDが印加する場合、正電圧、負電圧のいずれのESDに対してもほぼ同様の電圧-電流特性を得ることができる。即ち、保護素子として動作するトリガ電圧やスナップバック保持電圧の絶対値はほぼ等しくなる。
【0017】
ところで被保護素子としてNMOSトランジスタと保護素子とをP型基板上に形成する場合、双方向サイリスタの特性が所望の電圧-電流特性を示さない場合がある。NMOSトランジスタ(図2ではDMOSFET)と、双方向サイリスタをP型基板上に形成した例を図2に示す。出力端子となる第1の端子T1とグランド端子となる第2の端子T2との間に、NMOSトランジスタと双方向サイリスタを接続している。NMOSトランジスタのドレインDは逆流防止用ダイオード9を介して第1の端子T1に接続し、ソースSは第2の端子T2に接続している。NMOSトランジスタのゲートGには、NMOSトランジスタのオン/オフを制御する制御信号が印加される。双方向サイリスタの接続は上述の通りである。
【0018】
ここでP型基板1は、グランド端子となる第2の端子T2に接続するのが一般的である。その結果、P型基板1とN型埋込層4との間に寄生ダイオードが形成される。具体的には双方向サイリスタを構成するN型埋込層4とP型基板1との間で、P型基板1をアノードとしN型埋込層4をカソードとする寄生ダイオード10が形成される。
【0019】
この寄生ダイオード10の形成について保護素子の動作とともに説明する。まず、第2の端子T2を基準として第1の端子T1に正のESDが印加した場合について説明する。被保護素子であるNMOSトランジスタの耐圧より低い所定の電圧に達すると、保護素子である双方向サイリスタの動作が開始する。その結果、ESDによる電流は第2の端子T2(グランド端子)に流れ、NMOSトランジスタが保護される。
【0020】
一方第2の端子T2を基準として第1の端子T1に負のESDが印加すると、逆流防止用ダイオード9より双方向サイリスタが先に動作するように設定することで、ESDによる電流が第1の端子T1に流れNMOSトランジスタが保護される。しかしこの場合、寄生ダイオード10が順方向にバイアスされ、双方向サイリスタは、図3に示す回路と等価となる。即ち、PNPトランジスタQ4(寄生トランジスタ)が発生する。
【0021】
ここで、PNPトランジスタQ3を含むサイリスタが支配的に動作すれば、第2の端子T2を基準として第1の端子T1に正のESDが印加した場合と同様の保護特性が得られる。しかしながら、PNPトランジスタQ4を含むサイリスタが支配的に動作する場合もある。即ち、PNPトランジスタQ3よりPNPトランジスタQ4が先に動作する場合がある。その結果、正のESDが印加した場合と比較して、負のESDが印加した場合のスナップバック保持電圧が低くなってしまい、所望の特性が得られなくなってしまう。
【0022】
双方向サイリスタを構成する半導体拡散領域を最適化すれば、PNPトランジスタQ3が動作するスナップバック電圧よりPNPトランジスタQ4が動作するスナップバック保持電圧を高く設定することは可能である。しかしながら、半導体集積回路を形成する場合、保護素子と被保護素子、あるいは内部回路を構成する素子を同時に形成するため、所望の特性が得られない場合がある。また双方向サイリスタのみを専用のプロセスで形成することは、半導体集積回路の製造コストが嵩み好ましくない。
【0023】
そこで本発明は、寄生ダイオード10の影響のない半導体集積回路を提案するものである。本発明の半導体集積回路は、被保護素子としてNMOSトランジスタを含み、保護素子として双方向サイリスタを含む点は図2で説明した一般的な半導体集積回路と同様であり、逆流防止用ダイオードの接続と各端子の電位を変更している。以下、本発明の半導体集積回路を詳細に説明する。
【0024】
図4は、本発明の半導体集積回路の説明図である。図4に示す例では、出力端子となる第1の端子T1とグランド端子となる第2の端子T2との間に、被保護素子のNMOSトランジスタと保護素子の双方向サイリスタを接続している点で、図2で説明した一般的な半導体集積回路と同様となる。しかしながら、一般的な半導体集積回路と以下の点で相違している。
【0025】
まず、第3の端子T3を設けている。ここで第1の端子T1を半導体集積回路の内部回路の高電位端子とし、第2の端子T2を最低電位端子とするとき、第3の端子は高電位端子の電位より低い電位の端子とする。またこの第3の端子T3は、被保護素子であるNMOSトランジスタのソースに接続することから、ドレインが接続する第1の端子との間で、NMOSトランジスタが動作可能な電位差となる端子としている。第3の端子T3は、P型基板1にも接続する。
【0026】
さらに逆流防止用ダイオード11を、アノードをNMOSトランジスタのソースSに、カソードを第2の端子T2に接続する。図4の示す半導体集積回路の回路構成を図5に示す。
【0027】
図5に示す構成の半導体集積回路における保護素子の動作について説明する。まず、第2の端子T2を基準として第1の端子T1に正のESDが印加した場合について説明する。被保護素子であるNMOSトランジスタの耐圧より低い所定の電圧に達すると、保護素子である双方向サイリスタの動作が開始する。その結果、ESDによる電流が第2の端子T2に流れ、NMOSトランジスタが保護される。
【0028】
一方第2の端子T2を基準として第1の端子T1に負のESDが印加すると、負のESDは双方向サイリスタと逆流防止用ダイオード11に印加することになる。ここで、逆流防止用ダイオード11より先に双方向サイリスタが動作するように設計することで、ESDによる電流が第1の端子T1に流れる。このように逆流防止用ダイオード11により寄生ダイオード12は動作しない。換言すると、図3に示すトランジスタQ4のない回路構成とすることができる。したがって、ESDの極性よって、スナップバック保持電圧に差が生じることはない。
【0029】
以上説明したように本発明によれば、ESDの極性によらず、所望の特性の保護素子を備えた半導体集積回路を形成することができる。次に、逆流防止用ダイオードを含めた半導体集積回路の実施例について説明する。
【実施例1】
【0030】
第1の実施例を図6に示す。図6に示す例は、逆流防止用ダイオードを被保護素子と同じN型のDMOSトランジスタで構成している。被保護素子(NMOSトランジスタ)と保護素子(双方向サイリスタ)の構造は、上述の通りである。
【0031】
本実施例の逆流防止用ダイオードは、被保護素子(NMOSトランジスタ)のソースSと第3の端子T3との接続点にP型拡散領域7cおよびP拡散領域6cを接続し、第2の端子T2にN型拡散領域13およびN型拡散領域5aを接続することで、図4で説明したNMOSトランジスタのソースSにアノードを接続し、カソードを第2の端子T2に接続する逆流防止用ダイオード11を備えた半導体集積回路を形成することが可能となる。
【実施例2】
【0032】
第2の実施例を図7に示す。本実施例では、逆流防止用ダイオードを被保護素子のNMOSトランジスタを構成する拡散領域と同時に形成するN型領域とP型基板等で構成している。被保護素子(NMOSトランジスタ)と保護素子(双方向サイリスタ)の構造は、上述の通りである。
【0033】
本実施例の逆流防止用ダイオードは、被保護素子(NMOSトランジスタ)のソースSと第3の端子T3との接続点に素子分離領域3(P型拡散領域)を接続し、第2の端子T2にN型拡散領域13、N型拡散領域5bおよびN型埋込層4aを接続することで、図4で説明したNMOSトランジスタのソースSにアノードを接続し、カソードを第2の端子T2に接続した逆流防止用ダイオード11を備えた半導体集積回路を形成することが可能となる。
【実施例3】
【0034】
次に第3の実施例について説明する。上記説明では、保護素子として1個の双方向サイリスタを接続した場合について説明した。図8は第3の実施例の半導体集積回路であり、保護素子として2つの双方向サイリスタを直列に接続した例を示している。図8に示す半導体集積回路は、図4で説明した半導体集積回路において2つの双方向サイリスタを直列に接続した例である。
【0035】
このように構成すると、1つの双方向サイリスタを保護素子として備えた場合と比較してトリガ電圧、スナップバック保持電圧がそれぞれ2倍となり、ESDによる電流を双方向サイリスタに流すことで、NMOSトランジスタを保護することが可能となる。
【0036】
本実施例においても、逆流防止用ダイオード11は図6および図7で説明した構造を採用することができる。
【0037】
以上本発明の実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものでないことは言うまでもない。例えば、逆流防止用ダイオードは上記実施例の構造に限定されない。また直列に接続する双方向サイリスタは2個に限定されない。
【符号の説明】
【0038】
1:P型基板、2:N型エピタキシャル層、3:素子分離領域、4、4a:N型埋込層、5、5a、5b:N型拡散領域、6a、6b、6c:P型拡散領域、7a、7b、7c:P型拡散領域、8a、8b:N型拡散領域、9:逆流防止用ダイオード、10:寄生トランジスタ、11:逆流防止用ダイオード、12:寄生ダイオード、13:N型拡散領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8